説明

印刷版材料用支持体

【課題】 本発明の目的は、印刷インキが絡み難く、汚れ発生の少ない印刷版材料を与える印刷版材料用支持体を提供することにある。
【解決手段】 基材上に、粒子による凸部を有する粗面化された表面を有する層、を有する印刷版材料用支持体において、該層は、平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を少なくとも2層含み、前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層の平均粒子径のうち、最も支持対に近い側に存在する層の平均粒子径が最大であり、かつ前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層が、連続搬送される帯状基材上に同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布されることにより設層された層であることを特徴とする印刷版材料用支持体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗面化された表面を有する印刷版材料用の支持体に関し、特に粒子を含有する親水性層を有する印刷版材料用支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷の分野においては、近年平版印刷が多く利用されている。平版印刷に使用される平版印刷版材料は一般的に親水性表面を有する支持体上に画像形成層を設けた構造の材料が用いられる。
【0003】
親水性表面を有する支持体としては、その表面を粗面化、親水化処理したアルミニウム板、その表面に親水性層を設けたポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムなどが知られている。
【0004】
上記の親水性層としては、平版印刷において保水性を与えるために粗面化した層を用いることが知られており、粗面化するために粒子を含有する層を設けることが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
平版印刷において、良好な印刷適性を得るためには、複雑な表面形状を形成する必要があり、このために平均粒子径の異なる(粒径分布の中心値が異なる)複数の粒子を塗布液中に混合分散して用いることも検討されているが、平均粒子径の異なる粒子を混合して用いた場合には、乾燥過程において大粒子の周囲に小粒子が引き寄せられる傾向があり、粒子が均一に分散した表面とはなり難いという問題がある。
【0006】
大粒子の回りに小粒子が凝集した状態では、印刷に適した複雑な表面形状とはならず、印刷版用親水性層としての性能も所謂PS版アルミ砂目に及ばないものであった。
【0007】
上記の問題点を解決すべく、大粒子を含有する下層を塗布・乾燥して形成した後、その上に小粒子を含有する上層を塗布・乾燥して形成し、微粒子の分散配置の程度が改善された2層構成の親水性層を有する印刷性能の改善された印刷版材料が知られている(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、上記の方法で形成した親水性層であっても、下層の大粒子の影響を受けて上層の小粒子が大粒子周辺に引き寄せられる傾向は依然として残り、網点画像の高濃度部において、印刷インキの絡みにより汚れが発生する場合がある、印刷を一時停止して印刷再開時非画像部に汚れが発生する場合があるといった問題があり、印刷適性が充分ではなかった。
【特許文献1】特開2003−231374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、印刷インキが絡み難く、汚れ発生の少ない印刷版材料を与える印刷版材料用支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、下記手段により達成される。
【0011】
(請求項1)
基材上に、粒子による凸部を有する粗面化された表面を有する層、を有する印刷版材料用支持体において、該層は、平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を少なくとも2層含み、前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層の平均粒子径のうち、最も支持対に近い側に存在する層の平均粒子径が最大であり、かつ前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層が、連続搬送される帯状基材上に同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布されることにより設層された層であることを特徴とする印刷版材料用支持体。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記構成により、印刷インキが絡み難く、汚れ発生の少ない印刷版材料を与える印刷版材料用支持体が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、基材上に、粒子による凸部を有する粗面化された表面を有する層、を有する印刷版材料用支持体において、該層は、平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を少なくとも2層含み、前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層の平均粒子径のうち、最も支持対に近い側に存在する層の平均粒子径が最大であり、かつ前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層が、連続搬送される帯状基材上に同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布されることにより設層された層であることを特徴とする。
【0014】
本発明の支持体は、粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を複数有する。
【0015】
上記粒子を含有する層のうち最も支持体に近い層に含まれる粒子の平均粒子径を、その他の粒子を含有する層に含まれる粒子の平均粒子径よりも大きくし、これらの、粒子を含有する層を同時重層塗布することで、粒径の異なる微粒子が均一に分散配置した複雑な表面粗さ形状を有する塗布形成層が得られ、印刷インキが絡み難く、汚れ発生の少ない印刷版材料を与える印刷版材料用支持体が提供できる。
【0016】
本発明に係る粒子による凸部を有する粗面化された表面とは、上記の粒子を含有する複数の層の粒子によりその表面が粗面化されている面をいう。
【0017】
本発明に係る粗面化された表面は、粒子径を調製して、粒子を含有する層のうち下層(基材に近い側)の粒径を、少なくとも、この下層より上にある層の膜厚よりも大きくすることで得ることができる。
【0018】
本発明に係る平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い粒子の面積粒径(投影面積と同じ面積を有する円の直径)を求め、この粒径が0.5μm以上の粒子100個をランダムに抽出し、これらの粒子の面積粒径値から算出される面積粒径値の数平均値である。
【0019】
粒径の異なる粒子が均一に分散配置される詳細なメカニズムは不明であるが、積層された塗布層の表層から乾燥が進行する過程において、上層側の乾燥が先行し、上層側に含有される小粒径微粒子の流動が抑制されて、下層側に含有される大粒径の微粒子の周囲に引き寄せられ難くなるためであると推定される。
【0020】
粒子を含有する層のうち最も支持体側に存在する層に含まれる粒子の平均粒子径を、その他の微粒子を含有する層に含まれる該微粒子の平均粒子径よりも小さくした場合には、粒径の異なる微粒子が均一に分散配置した複雑な表面粗さ形状を有する塗布形成層は得られない。
【0021】
本発明に係る粒子を含有する層のうち最も支持体に近い側に存在する層に含有される粒子の平均粒子径としては、2〜10μmであることが好ましく、3〜8μmであることがより好ましい。また、粒子の含有量としては、粗面化の程度、粒子の凝集のしづらさから、層の固形分に対して、1〜60質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましい。最も支持体に近い側に存在する粒子を含有する層の付き量としては、0.1g/m2〜10g/m2が好ましい。この範囲において、上記含有量が好ましい態様である。
【0022】
その他の粒子を含有する層に含有される粒子の平均粒径としては、0.5〜5μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。
【0023】
また、粒子の含有量としては、層の固形分に対して、粗面化の程度、粒子の凝集のしづらさから1〜60質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましい。
【0024】
本発明に用いることができる同時重層塗布用スライド型コーターとしては、特開2002−153803、特開2002−153808、特開2002−166210、特開2002−166219、特開2002−192045、特開2002−182333、特開2002−233804、特開2002−248397、特開2002−292326、特開2002−254006、特開2002−273229、特開2002−361146、特開2003−024853、特開2003−062517、特開2003−112111、特開2003−114500、特開2003−117463の各公報に記載されているか、各公報が参照している公報、文献に記載されている公知のコーターを用いることができる。
【0025】
また、同時重層塗布用スライド型コーターとしては、公知のスライドビード塗布やスライドカーテン塗布による同時重層塗布に用いるスライド型コーターも含まれる。
【0026】
粒子を含む層は2層以上であれば何層でもかまわないが、3層以下であることが好ましく、2層であることがより好ましい。
【0027】
また、粒子を含まないか、もしくは粒子径0.5μm未満の粒子を含む層を、基材と粒子を含有する層のうち最も支持体側に存在する層との間、粒子を含有する層のうち最も支持体側に存在する層とその他の粒子を含有する層との間、その他の粒子を含有する層よりも表側に設けてもよい。
【0028】
本発明に係る粒子を含む層は、同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布されるが、図により好ましい態様を説明する。
【0029】
図1は、比較で用いたワイヤーバーを用いて塗布する場合の主要構成図である。
【0030】
搬送される基材11に、粒子を含有する層用の塗布液を押し出しコーター12を用いて供給し、過剰の塗布液をワイヤーバー13で掻き落として塗布を行う。
【0031】
図2は、同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布する場合の主要構成図である。
【0032】
本発明の好ましい態様の一つは、同時重層塗布用スライド型コーター22が有するコーターダイスチャンバー23、24に粒子を含有する層用の塗布液を、塗布必要量よりも過剰に供給し、過剰の塗布液をコーターダイスチャンバー23、24から引き抜き、引き抜いた塗布液を塗布液供給タンク33、34もしくは、塗布液供給タンクからコーターまでの送液配管25、26に戻して循環させることである。塗布液循環を行って送液配管内25、26やコーターダイスチャンバー23、24内の塗布液送液流量を多くすることで、配管内やコーターダイスチャンバー内で微粒子が沈降して堆積することを抑制することが可能になる。循環量は、配管径やコーターダイスチャンバーの体積等を考慮し、適宜決めることができる。
【0033】
本発明の好ましい別の態様としては、同時重層塗布用スライド型コーター22に送液配管25、26により接続されている塗布液供給タンク33、34から送液された粒子を含有する層用塗布液を送液配管25、26の途中、もしくはこのコーターに設置された分散機35、36で再分散された後に塗布される態様である。
【0034】
粒子を含有する層用の塗布液を再分散することで、粒子が軽度の凝集生じていてもそれを破壊することができ、その直後に塗布することで、塗布層中の微粒子の分散配置をより均一なものとすることができる。
【0035】
塗布液の再分散と前述の塗布液循環は組み合わせて行うこともでき、相乗効果が得られるものである。
【0036】
塗布液循環を行う場合には、循環配管のどの位置に分散機を配置しても目的の効果が得られるが、分散機からコーターまでの配管長をより短く(再分散から塗布までの時間を短縮)した方が再分散による微粒子の均一分散配置効果が高くなるため好ましい。
【0037】
再分散に用いる分散機としては、特に限定されるものではないが、塗布液中への異物混入の懸念がない超音波分散機やメディアレス分散機を用いることが好ましい。
【0038】
送液配管途中に設置する超音波分散機としては、例えば、エスエムテー社製の連続処理タイプの超音波分散機、UH−600SRシリーズ等を好ましく用いることができる。超音波分散ユニットを複数連結して処理効果を高めることもできる。
【0039】
メディアレス分散機としては、エムテクニック社製のクレアミックスや、浅田鉄工社製のトルネード、吉田機械興業社製のナノマイザーといったものを好ましく用いることができる。
【0040】
コーターに分散機を設置する態様としては、特開2003−170096や特開2003−170097に記載されている超音波や低周波を印加する手段を設けたコーターを挙げることができ、また、特開平5−50001に記載されているコーターチャンバー内に攪拌ローターを内蔵する押し出しコーターの機構をスライドコーターに応用して用いることもできる。
【0041】
すなわち、本発明においては、以下のような態様が好ましい態様である。
【0042】
(1)基材上に、粒子による凸部を有する粗面化された表面を有する層、を設層する製造方法であって、該層は平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を少なくとも2層含み、前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層のうち最も支持対側に存在する層の平均粒子径が最大であり、かつ前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を、連続搬送される帯状基材上に同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布し、設層することを特徴とする印刷版用支持体の製造方法。
【0043】
(2)前記同時重層塗布用スライド型コーターのダイスチャンバーに粒子を含有する塗布液を塗布必要量よりも過剰に供給し、過剰の塗布液をコーターダイスチャンバーから引き抜き、引き抜いた塗布液を塗布液供給タンク、もしくは、塗布液供給タンクからコーターまでの送液配管に戻して循環させることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
【0044】
(3)前記塗布液供給タンクから送液された前記粒子を含有する塗布液のうち少なくとも一つが、送液配管途中、もしくはコーターに設置された分散機で再分散された後に塗布されることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
【0045】
(4)前記分散機が超音波分散機であることを特徴とする前記(3)に記載の製造方法。
【0046】
(5)前記分散機がメディアレス分散機であることを特徴とする前記(3)に記載の製造方法。
【0047】
(6)前記(2)〜(6)に記載の印刷版材料用支持体の製造方法により製造されたことを特徴とする印刷版材料用支持体。
【0048】
本発明に係る粒子の素材としては、無機粒子、有機粒子いづれも用いることができるが、無機粒子が好ましい。
【0049】
(粒径が0.5〜10μmの粒子)
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができるが、塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。多孔質な金属酸化物粒子としては、多孔質シリカ粒子や多孔質アルミノシリケート粒子を好ましく用いることができる。
【0050】
無機素材で被覆された粒子も用いることができ、例えば、ポリメチルメタアクリレートやポリスチレンといった有機粒子を芯材とし、芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては、芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
【0051】
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
【0052】
(親水性層)
本発明に係る粒子を含有する層は、印刷時印刷インキ反発性であり、水を保水する非画像部となり得る層即ち親水性層である場合が特に好ましい。
【0053】
親水性層は親水性素材を含む。
【0054】
親水性素材としては、無機粒子あるいは親水性高分子化合物が挙げられる。
【0055】
無機粒子としては、金属酸化物粒子が好ましく用いられる。
【0056】
金属酸化物微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
【0057】
金属酸化物粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。
【0058】
又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0059】
上記金属酸化物粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
【0060】
上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。
【0061】
コロイダルシリカとしては、ネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液とした場合アルカリ性を呈するものが好ましい。
【0062】
コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。
【0063】
又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0064】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
【0065】
親水性素材としては、多孔質金属酸化物粒子も好ましく用いることができる。
【0066】
多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
【0067】
親水性素材としては、さらに、層状鉱物粒子も好ましくもちいることができる。
【0068】
層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0069】
上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0070】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
【0071】
また、親水性素材として金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。
【0072】
ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0073】
水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
【0074】
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
る。
【0075】
本発明に係る親水性層の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができ、Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。
【0076】
本発明の支持体を用いた印刷版材料が感熱画像形成層を含む形態である場合には、親水性層は、光熱変換素材を含有することが好ましい。
【0077】
本発明に係る粒子を含む層用塗布液の溶媒としては、水が好ましく用いられるが、アルコール類等の水と相溶する溶媒を含有することもできる。
【0078】
また、上記塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。
【0079】
Si系やF系やアセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。
【0080】
該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
【0081】
また、上記塗布液にはリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0082】
[基材]
本発明に係る基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。
【0083】
例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
【0084】
本発明においては、基材がプラスチックフィルムで有る場合に特に有効である。
【0085】
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
【0086】
本発明に係る基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0087】
これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
【0088】
また、裏面のすべり性を制御するために粗面を有する裏面コート層を設けた基材や公知の導電性素材を含有する裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
【0089】
[塗布・乾燥方法]
本発明に係る粒子を含む層は、上記のように同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布される。
【0090】
乾燥温度としては、70℃以上であることが好ましい。基材が樹脂である場合には、80〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、基材が金属である場合には、80℃〜300℃の範囲であることがより好ましい。
【0091】
乾燥時間としては1秒間〜5分間の範囲が好ましく、5〜2分間の範囲がより好ましい。また、乾燥温度と乾燥時間との組み合わせによっては、基材に熱ダメージを与える可能性があるため、基材が熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
【0092】
(印刷版材料としての利用)
本発明の支持体を印刷版に用いるには、この支持体上にインクジェット方式により画像部となる素材を付与して印刷版とする方法、あるいはこの支持体上に画像形成層を設けた印刷版材料を作成し、画像様露光、加熱などにより画像を形成して非画像部となるべき部分の画像形成層を除去して印刷版とする方法などがある。
【0093】
インクジェット方式を用いる方法により画像部となる素材を付与する方法に用いられるインクとしては、特許2995075号公報に開示されている油性インクや、特開平10−24550号公報に開示されているようなホットメルトインクや、特開平10−157053号公報に開示されているような常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子が分散された油性インク、あるいは常温で固体かつ疎水性の熱可塑性樹脂粒子が分散された水性インク等を用いることができるが、放射線硬化性インクを好ましく用いることができる。
【0094】
放射線硬化性インクは、重合性化合物を含み、可視画性を得る目的で色材を添加することもできる。
【0095】
画像形成層を設ける場合の画像形成層としては、特に制限はないが感熱画像形成層が好ましく用いられる。
【0096】
感熱画像形成層としては、例えば、親水性の層を熱により親水性の層から疎水性の層へと変化させ得る疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する画像形成層を挙げることができる。
【0097】
疎水化前駆体としては、例えば熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
【0098】
画像形成層には、疎水化前駆体として、熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子等の熱可塑性疎水性粒子、もしくは、疎水性物質を内包するマイクロカプセル、特定のブロック化イソシアネート化合物などを好ましく用いることができる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中「部」は特に断りのないかぎり「質量部」を表す。
【0100】
(基材の作製)
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。
【0101】
また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、しそれぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
【0102】
塗布後の25℃、25%相対湿度での表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材1を得た。
【0103】
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) (固形分基準)6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
【0104】
【化1】

【0105】
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス (固形分基準)0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物 6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
【0106】
【化2】

【0107】
実施例1
(塗布液の調製)
下記に示す素材をホモジナイザを用いて十分に分散した後濾過して、印刷版材料親水性層用の塗布液a〜eを得た。
【0108】
印刷版材料親水性層用塗布液組成、(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
【0109】
【表1】

【0110】
(印刷版材料の作製)
印刷版材料用支持体1(比較例)
図1に示すワイヤーバー方式の塗布方法を用いて連続して搬送される基材1(下引きA面)上に親水性層を形成した。
【0111】
搬送速度は10m/min、図1には示していないドライヤの乾燥温度を120℃とし、乾燥時間は90秒であった。
【0112】
塗布液aを用い、乾燥付量が3.5g/m2となるように塗布して、乾燥して巻き取った後、60℃で48時間エイジング処理を行なって、印刷版材料用支持体1を得た。
【0113】
印刷版材料用支持体2(比較例)
印刷版材料用支持体1と同様の塗布方法により、塗布液bを用い、乾燥付量が2.5g/m2となるように塗布、乾燥して下層を形成して一旦巻き取った。次いで、形成した下層上に、同様の塗布方法により、塗布液cを用い、乾燥付量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、上層を形成して巻き取った。次いで、印刷版材料1と同様にしてエイジングを行なって、印刷版材料用支持体2を得た。
【0114】
印刷版材料用支持体3(実施例)
図2に示すスライド型コーターを用いたスライドビード方式の同時重層塗布方法(塗布液循環あり)を用いて連続して搬送される基材1(下引きA面)上に下層と上層の2層からなる親水性層を形成した。
【0115】
搬送速度は10m/min、図2には示していないドライヤの乾燥温度を120℃とし、乾燥時間は90秒であった。
【0116】
また、図2に示した分散機は、上層、下層ともに用いなかった。
【0117】
下層用塗布液として塗布液bを用い、上層用塗布液としては塗布液cを用いた。下層の乾燥付量は2.5g/m2、上層の乾燥付量は1.0g/m2となるように設定した。下層、上層を塗布、乾燥し、2層からなる親水性層を形成して巻き取った後、印刷版材料用支持体1と同様にしてエイジングを行なって、印刷版材料用支持体3を得た。
【0118】
印刷版材料用支持体4(実施例)
下層用塗布液として塗布液dを用い、上層用塗布液としては塗布液eを用いた以外は、印刷版材料用支持体3と同様にして、印刷版材料用支持体4を得た。
【0119】
印刷版材料用支持体5(実施例)
下層、上層双方の送液配管途中(図2の分散機の位置)に超音波分散機を設置した以外は、印刷版材料3と同様にして、印刷版材料用支持体5を得た。
【0120】
超音波分散機としては、上層、下層ともにエスエムテー社製のUH−600SRを用いた。
【0121】
印刷版材料用支持体6(実施例)
下層、上層双方の送液配管途中(図2の分散機の位置)にメディアレス分散機を設置した以外は、印刷版材料用支持体4と同様にして、印刷版材料用支持体6を得た。
【0122】
メディアレス分散機としては、上層、下層ともにエムテクニック社製の循環分散可能なクレアミックスCLM−0.8Sを用いた。
【0123】
印刷版材料用支持体7(比較例)
下層用塗布液として塗布液cを用い、上層用塗布液としては塗布液dを用いた以外は、印刷版材料用支持体3と同様にして、印刷版材料用支持体7を得た。
【0124】
(表面形状観察)
各印刷版材料の親水性層表面の微粒子配置分布の状態を、キーエンス社製マイクロスコープ:VH−7000を用いて、1000倍の倍率で各サンプルに付き10視野観察して比較した。目視で下記のような結果判定を行い、結果を表1に示した。
◎:非常に均一、○:均一、△:やや不均一、×:不均一、××:非常に不均一
インクジェット方式による画像形成
下記のように、マゼンタインクの調製及びインクジェット画像の形成を行い、上記各持体上に画像を形成した。
【0125】
(マゼンタインクの調製)
〈マゼンタ顔料分散物の調製〉下記の組成を順次混合及び分散してマゼンタ顔料分散物を作製した。なお、分散は、マゼンタ顔料粒子の平均粒径として、0.2〜0.3μmの範囲となるように分散条件を適宜調整した。
【0126】
C.I.ピグメントレッド57:1 15質量部
高分子分散剤(Zeneca社製Solsperse) 5質量部
ステアリルアクリレート 80質量部
次いで、下記の各組成物を混合し、次いで絶対濾過精度2μmのフィルターで濾過して、マゼンタインクを調製とした。
【0127】
調製したマゼンタインクの25℃における粘度は120mPa・sであり、70℃における粘度は15mPa・s、25℃における表面張力は250μN/cmであった。
【0128】
〈マゼンタインク〉
上記マゼンタ顔料分散物 20質量部
ステアリルアクリレート 60質量部
2官能芳香族ウレタンアクリレート(分子量1500) 10質量部
6官能脂肪族ウレタンアクリレート(分子量1000) 5質量部
開始剤(Ciba製、イルガキュアー184) 5質量部
《インクジェット画像の形成》
ピエゾ型インクジェットノズルを用いたインクジェット記録装置によって、上記各支持体へ画像記録を行った。
【0129】
インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドから構成され、前室インクタンクからヘッド部分まで断熱及び加温を行った。温度センサーは前室インクタンク及びピエゾヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に60℃±2℃となるように温度制御を行った。ピエゾヘッドは、ノズル径24μmで、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV−A光を露光面照度100mW/cm2に集光し、インク着弾後0.1秒後に照射が始まるよう露光系・主走査速度・射出周波数を調整した。
【0130】
上記装置を用いて、環境温度25℃にて、上記調製したマゼンタインクを射出し、直後にUV光を照射した。照射した露光エネルギーは300mJ/cm2で行った。
【0131】
作成した画像は、ベタ画像と誤差拡散方式による0%〜100%まで連続的に変化するグラデーション画像である。
【0132】
(印刷性能評価)
印刷方法
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用して印刷を行なった。
【0133】
画像形成後の印刷版を印刷機の版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件(湿し水量は後述する設定値Aとした)および刷り出しシークエンスを用いて印刷を行なった。
【0134】
(印刷インキのカラミ難さの評価)
印刷版材料用支持体1を使用した印刷版の印刷評価で湿し水量の調整を行い、印刷物上のグラデーション画像の95%濃度部分がカラミ(画像部以外の部分に印刷インキが付着する現象)がなく再現できる湿し水量の設定値、設定値Aを確認した。
【0135】
次いで、湿し水量を設定値Aの70%に絞った設定値Bにし、グラデーション画像にカラミがどの濃度部分にまで発生しているか確認し、カラミ難さの指標とした。その他の各印刷版に対しても、湿し水量設定値Bでのカラミ難さの指標を確認した。数値が大きいほどカラミ難く良好である。結果を表2に示した。
【0136】
(汚れ回復性の評価)
湿し水量設定値Aの状態で500枚印刷して安定した印刷状態とした後、印刷機を一旦停止した。次いで、湿し水ローラーを接触させずにインクローラーのみ接触させて20枚の印刷を行なって全面ベタの状態とし、次いで、湿し水ローラーを接触させて、湿し水を供給してから非画像部の汚れが完全になくなるまでに要する印刷枚数を求めた。枚数が少ない方が良好である。結果を表2に示した。
【0137】
表2からわかるように、本発明の支持体の表面は、粒径の異なる微粒子が均一に分散配置された複雑な表面粗さ形状を有し、この支持体を用いた印刷版は、印刷時インキが絡み難く、汚れの回復性が良好であり、印刷適性に優れることが分かる。
【0138】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】比較で用いたワイヤーバーを用いて塗布する場合の主要構成図である。
【図2】本発明に用いられる同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布する場合の主要構成図である。
【符号の説明】
【0140】
11、21 基材
12 押し出しコーター
13 ワイヤーバー
14、27、28、29、30 循環ポンプ
15、33、34 塗布液供給タンク
16、31、32 フィルター
17、18、25、26 送液配管
22 同時重層塗布用スライド型コーター
23、24 コーターダイスチャンバー
35、36 分散機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、粒子による凸部を有する粗面化された表面を有する層、を有する印刷版材料用支持体において、該層は、平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層を少なくとも2層含み、前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層の平均粒子径のうち、最も支持対に近い側に存在する層の平均粒子径が最大であり、かつ前記平均粒子径が0.5〜10μmである粒子を含有する層が、連続搬送される帯状基材上に同時重層塗布用スライド型コーターを用いて塗布されることにより設層された層であることを特徴とする印刷版材料用支持体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−69136(P2006−69136A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258096(P2004−258096)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】