説明

原稿自動搬送装置

【課題】 装置の部品点数の増加を抑制しつつ、良好に蓋部の開閉状況を検出することができる原稿自動搬送装置を提供する。
【解決手段】 ガイド部材62は、蓋部に設けられており、コンタクトガラス12との間で原稿Dをガイドする。ガイド用スプリング82は、ガイド部材62をコンタクトガラス12に向けて付勢する。フィーラ部材86は、ガイド部材62の長さ方向の端部のうち回動軸64から見て遠方側の端部付近に設けられる。センサ85は、フィーラ部材86の位置に応じた検出結果を出力する。これにより、ガイド用スプリング82は、ガイド部材62に付勢力を付与するだけでなく、蓋部の開閉状況を検出するために使用されるフィーラ部材86の揺動動作にも利用でき、蓋部の開閉状況の検出用に別個のスプリングを設ける必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
搬送させられた原稿から画像データの読み取りを可能とする原稿自動搬送装置に関するもので、特に、蓋部の開閉状況の検出手法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧板(蓋部)の開閉状況を検出するために、開閉状況検出センサを設けた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
【特許文献1】特開平07−319332号公報
【特許文献2】特開平09−251228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および2の装置では、圧板の開閉状況を検出するため専用の検出機構を設ける必要があった。そのため、装置の部品点数が増加し、その結果、装置の組立工数および製造コストが増加するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明では、装置の部品点数の増加を抑制しつつ、良好に蓋部の開閉状況を検出することができる原稿自動搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、搬送された原稿から画像データの読み取りを可能とする原稿自動搬送装置であって、本体部に対して回動可能な蓋部に設けられており、搬送されつつ前記第1読取部で読み取られる原稿を、前記本体部に設けられたコンタクトガラスとの間でガイドするガイド部材と、前記ガイド部材に設けられており、前記ガイド部材を前記コンタクトガラスに向けて付勢する弾性部材と、前記弾性部材の付勢状況に応じて揺動するフィーラ部材の位置に基づいて、前記蓋部の開閉状況を検出する検出部と、を備え、前記フィーラ部材は、前記ガイド部材に設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の原稿自動搬送装置において、前記フィーラ部材は、前記ガイド部材の端部のうち、前記蓋部の回動軸から見て遠方の端部側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の原稿自動搬送装置において、前記フィーラ部材は、前記ガイド部材の中心線のうち前記回動軸の軸方向と略直交する中心線付近に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、前記ガイド部材に設けられており、前記コンタクトガラスと当接することによって前記コンタクトガラスとの間隔を規定する突起部、をさらに備える。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の原稿自動搬送装置において、前記フィーラ部材は、前記突起部の付近に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、前記フィーラ部材は、前記ガイド部材と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7の発明は、搬送された原稿から画像データの読み取りを可能とする原稿自動搬送装置であって、本体部に対して回動可能な蓋部に設けられており、搬送されつつ前記第1読取部で読み取られる原稿を、前記本体部に設けられたコンタクトガラスとの間でガイドするガイド部材と、前記ガイド部材に設けられており、前記ガイド部材を前記コンタクトガラスに向けて付勢する弾性部材と、前記弾性部材の付勢状況に応じて揺動可能とされており、前記蓋部の固定側に設けられたフィーラ部材との位置関係に基づいて、前記蓋部の開閉状況を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記ガイド部材に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、前記蓋部に設けられており、原稿の主面のうち前記第1読取部によって読み取られた面と逆側の面の画像データを読み取る第2読取部、をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項8に記載の発明によれば、ガイド部材をコンタクトガラスに向けて付勢する弾性部材を、蓋部の開閉状況を検出するために使用されるフィーラ部材の揺動動作にも利用できる。これにより、フィーラ部材の揺動動作用に別の弾性部材を設けることが不要となる。すなわち、蓋部の開閉状況の検出のための専用の検出機構(弾性部材)は、必要とされない。そのため、装置の部品点数を減少させることができ、装置の組立工数および製造コストを低減させることができる。
【0015】
特に、請求項2に記載の発明によれば、フィーラ部材は、ガイド部材の遠方側の端部付近に設けられている。また、蓋部が回動させられると、この遠方側の端部は、ガイド部材の回動軸側の端部と比較して大きく回動する。これにより、フィーラ部材は蓋部の回動によって大きく回動することになる。そのため、検出部によって蓋部の開閉状況を正確に検出することができる。
【0016】
特に、請求項3に記載の発明によれば、フィーラ部材は、ガイド部材の中心線のうち、回動軸の軸方向と略直交する中心線の付近に設けられている。そのため、蓋部の開閉状況を正確に検出することができる。
【0017】
特に、請求項4に記載の発明によれば、蓋部が閉鎖されて突起部がコンタクトガラスと当接することにより、ガイド部材とコンタクトガラスとの間隔を所定値とすることができ、搬送される原稿を良好にガイドすることが可能となる。そのため、検出部によって取得される検出結果に基づいて、蓋部の開閉状況および原稿のガイド状況の確認処理を、同時に実行することが可能となる。また、第1読取部によって良好に画像データを読み取ることができる。
【0018】
特に、請求項5に記載の発明によれば、フィーラ部材は突出部付近に設けられている。そのため、フィーラ部材の揺動に基づく開閉状況を検出することにより、ガイド部材による原稿のガイド状況をさらに良好に検出できる。
【0019】
特に、請求項6に記載の発明によれば、ガイド部材とフィーラ部材とを1つの部品とすることができるため、装置の組立工数および製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
<1.複合機の構成>
図1は、本発明の実施の形態における複合機100のハードウェア構成の一例を示す斜視図である。図2は、複合機100の機能構成の一例を示すブロック図である。また、図3は、蓋部60が閉じられた状態での原稿自動搬送装置1付近の構成の一例を示す正面断面図である。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0022】
複合機100は、スキャナ、プリンタ、複写機、ファクシミリ、またはこれらの機能を複合させた複合機である。図1ないし図3に示すように、複合機100は、主として、原稿自動搬送装置1と、読取走査装置13と、密着型イメージセンサ16と、を備える。
【0023】
原稿自動搬送装置1は、図1に示すように、蓋部60側に設けられており、原稿Dを搬送させつつ読取走査装置13および密着型イメージセンサ16(図3参照)により、原稿Dの片面または両面から画像データの読み取りを可能とする装置である。
【0024】
すなわち、原稿載置部2に載置された原稿Dは、蓋部60が閉じられた状態で、ガイド部材62とコンタクトガラス12との間に搬送される。次に、搬送させられる原稿Dの主面のうちコンタクトガラス12側の主面から反射された光が、読取走査装置13で検知されて、原稿Dの画像データが読み取られる。そして、読み取られた画像データは、例えば、画像メモリ36(図2参照)に格納される。
【0025】
また、原稿Dの両面から画像データが読み取られる場合には、読取走査装置13によって読み取られた面と逆側の面の画像データが、密着型イメージセンサ16によって読み取られる。図3に示すように、密着型イメージセンサ16は、蓋部60に設けられている。そして、図2に示すように、読み取られた画像データは、読取走査装置13の場合と同様に、例えば、画像メモリ36に格納される。
【0026】
ここで、蓋部60と本体部70とは、図1に示すように、ヒンジ部63によって連結されており、蓋部60は、本体部70に対して回動軸64を中心として矢印AR1方向に回動可能とされている。そのため、蓋部60は、この回動運動により開閉可能とされている。
【0027】
また、本体部70に配設された読取走査装置13は、原稿ガラス15に沿ってX軸方向に往復運動可能とされている。また、蓋部60側には、蓋部60が閉じられた状態において原稿ガラス15に載置された原稿を押圧する押え部材65が設けられている。そのため、原稿ガラス15上に原稿が載置され、蓋部60が閉じられるとともに、読取走査装置13が原稿ガラスに沿って移動させられることにより、原稿ガラス15に載置された原稿から画像データを読み取ることができる。このように、読取走査装置13は、フラットベッドスキャナ(FBS)にも兼用できるように構成されている。
【0028】
なお、原稿自動搬送装置1の詳細なハードウェア構成については後述する。
【0029】
モデム42(図2参照)は、画像メモリ36に格納されたデジタルデータ(画像データ)を音声信号に変換したり、複合機100の外部から送信される音声データをデジタルデータに変換する。NCU41は、公衆電話交換回線網に複合機100を接続する際に必要となる機器であり、発着信やダイヤル制御を行う。
【0030】
記録部50は、画像メモリ36に格納された画像データに対して所定の画像処理(例えば、スムージングや解像度変換等の処理)を施し、処理後の画像データを印刷部(図示省略)に出力する。これにより、画像メモリ36の画像データに基づいて、印刷用紙に所定の文字や線画が印刷される。
【0031】
表示部51は、いわゆる液晶ディスプレイによって構成されており、指や専用のペンで画面に触れることにより、画面上の位置を指定することができる「タッチパネル」としての機能を有する。したがって、複合機100の使用者(以下、単に「使用者」と呼ぶ)は、表示部51に表示された内容に基づき、表示部51の「タッチパネル」機能を使用した指示を行うことにより、複合機100に対して所定の動作を実行させることができる。このように、表示部51は、複合機100に所定のデータの入力を可能とする入力部としても使用される。
【0032】
操作部52は、いわゆるキーパッドによって構成される入力部である。使用者は、表示部51の表示内容に基づいた入力作業を行うことにより、複合機100に対して所定の動作を実行させることができる。
【0033】
RAM32は、読み書き自在のメモリであり、例えば、原稿自動搬送装置1による原稿搬送に関する情報が格納される。また、画像メモリ36は、読み書き自在のメモリであり、原稿自動搬送装置1やモデム42を介して複合機100に入力された画像データが格納される。
【0034】
ROM33は、読出し専用メモリーであり、MPU(Micro Processing Unit)31は、ROM33に格納されたプログラムに従った制御を実行する。また、MPU31は、RAM32、ROM33、画像メモリ36、および原稿自動搬送装置1等と信号線35を介して電気的に接続される。したがって、MPU31は、このプログラムに従って、原稿自動搬送装置1による原稿の搬送処理や画像データの読取処理等を所定のタイミングで実行できる。
【0035】
なお、本実施の形態において、複合機100の動作を制御するプログラムはROM33に格納されているが、これに限定されるものでない。例えば、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリに、当該プログラムを格納してもよい。
【0036】
<2.原稿自動搬送装置の構成>
ここでは、原稿自動搬送装置1について詳説する。原稿自動搬送装置1は、いわゆるADF(Auto Document Feeder)であり、複数の原稿を連続して自動読み取り可能な装置である。図3に示すように、原稿自動搬送装置1は、主として、原稿載置部2と、ピックアップローラ3と、原稿分離部4と、ガイド部材62と、を備える。
【0037】
原稿載置部2は、原稿供給トレイ2bを有しており、図3に示すように、この原稿供給トレイ2bには、1又は複数の読み取り原稿Dが載置される。ここで、原稿供給トレイ2bは、原稿自動搬送装置1から着脱自在に設けられている。また、原稿供給口部2aに原稿Dを供給可能とするため、原稿供給トレイ2bは、原稿供給口部2a側に向かって下方に傾斜するように装着されている。
【0038】
ピックアップローラ3は、原稿供給トレイ2bに載置された原稿Dを原稿分離部4側に繰り入れるローラであり、図3に示すように、原稿供給口部2aの上部付近に配設される。
【0039】
原稿分離部4は、主として、分離ローラ4aと、分離パッド4bと、圧縮スプリング4cとを有し、ピックアップローラ3によって原稿自動搬送装置1内に繰り入れられた原稿Dを1枚ずつ分離して搬送する。図3に示すように、原稿分離部4は、原稿Dの搬送方向から見てピックアップローラ3の下流側に配設される。
【0040】
分離パッド4bは、圧縮スプリング4cによって分離ローラ4aに向けて付勢されている。また、分離ローラ4aの周体と分離パッド4bの原稿D側の面とは、摩擦係数において差異を有する。これにより、分離ローラ4aと分離パッド4bとの間に原稿Dが供給されると、原稿Dは、この摩擦係数の差異のため、分離ローラ4a側のものから1枚ずつ取り出されて給送される。
【0041】
次に、原稿分離部4によって1枚ずつ分離された原稿Dは、第1搬送ローラ6、レジストローラ7、第2搬送ローラ8の駆動により、略U字形状に形成された原稿搬送路5に沿って搬送される。そして、原稿Dは、ガイド部材62とコンタクトガラス12に挟まれた第1の読取ポイントP1に到達する。
【0042】
図4は、蓋部60が開放されている場合におけるガイド部材62付近の構成の一例を示す側面図である。図5は、蓋部60が閉鎖されている場合におけるガイド部材62付近の構成の一例を示す側面図である。また、図6は、ガイド部材62付近の構成の一例を示す上面図である。
【0043】
ガイド部材62は、蓋部60に設けられ、回動軸64と略直交する方向に延伸する部材であり、例えば、樹脂や金属によって形成されている。ガイド部材62は、蓋部60が閉鎖された状態(図5参照)において、本体部70のコンタクトガラス12との間で原稿Dをガイドする。
【0044】
また、ガイド部材62の長さ方向の端部付近には、突起部81(81a、81b)が配設されている。図4および図5に示すように、突起部81は、ガイド部材62の主面のうちコンタクトガラス12側の面に配設される。また、図6に示すように、突起部81は、ガイド部材62の長さ方向の中心線であって、回動軸64の軸方向と略直交する仮想中心線87付近に設けられている。
【0045】
これにより、蓋部60が閉鎖されると、突起部81はコンタクトガラス12と当接し、ガイド部材62とコンタクトガラス12との間隔が所定値に規定される。そのため、ガイド部材62とコンタクトガラス12との間を搬送される原稿Dが上下にばたつくことを抑制することができ、読取走査装置13による画像データの読取処理を良好に実行することができる。
【0046】
なお、図4および図5に示すように、突起部81は、ガイド部材62と別体の部材とされているが、これに限定されるものでない。例えば、ガイド部材62と突起部81とが一体的に形成されてもよい。これにより、原稿自動搬送装置1の組み付け工数を削減することができる。
【0047】
ガイド用スプリング82は、ガイド部材62に設けられており、ガイド部材62をコンタクトガラス12に向けて付勢する弾性部材である。図4および図5に示すように、ガイド用スプリング82は、蓋部60の所定部位83に固定されている。
【0048】
したがって、蓋部60が閉鎖されてガイド用スプリング82が圧縮されると、ガイド部材62の突起部81とコンタクトガラス12とは、ガイド用スプリング82の付勢力によって確実に当接されることになる。そのため、蓋部60が閉鎖された状態で、第1の読取ポイントP1を通過する原稿Dを確実にガイドすることができ、良好に画像データを取得することができる。
【0049】
フィーラ部材86は、ガイド部材62の長さ方向(すなわち、回動軸64と略垂直な方向)の端部のうち回動軸64から見て遠方側の端部付近(遠方の端部側)に設けられている。図4および図5に示すように、フィーラ部材86は、ガイド部材62の主面のうちコンタクトガラス12と逆側の面であって、突起部81bの取り付け位置付近に配設される。さらに、フィーラ部材86は、図6に示すように、ガイド部材62の仮想中心線のうち、回動軸64と略直交する仮想中心線87の付近に設けられている。
【0050】
したがって、ガイド用スプリング82の付勢状況に応じてガイド部材62が揺動すると、フィーラ部材86は、ガイド部材62と同様に揺動する。例えば、蓋部60が閉鎖されてガイド用スプリング82が圧縮されると、フィーラ部材86は、所定部位83に対して矢印AR2方向に相対的に移動する(図5参照)。一方、蓋部60が開放されて圧縮による付勢力が開放されると、フィーラ部材86は所定部位83に対して矢印AR2と逆方向に相対的に移動する(図5参照)。
【0051】
なお、図4および図5に示すように、フィーラ部材86は、ガイド部材62と別体の部材とされているが、これに限定されるものでなく、例えば、ガイド部材62と突起部81とを一体的に形成してもよい。これにより、原稿自動搬送装置1の組み付け工数を削減することができる。
【0052】
センサ85は、フィーラ部材86の位置に応じた検出結果を出力するフォトセンサであり、蓋部60の所定部位88に固定されている。ここで、センサ85は、発光素子85aの光が受光素子85bによって受光される場合には「オン」状態となる。また、発光素子85aからの光が遮られて受光素子85bに到達しない場合には「オフ」状態となる。
【0053】
本実施の形態において、蓋部60が閉鎖されて、ガイド部材62の突起部81がコンタクトガラス12と当接し、突起部81がコンタクトガラス12に押圧されることによってフィーラ部材86が矢印AR2方向に相対移動すると、センサ85の発光素子85aからの光がフィーラ部材86によって遮られることになり、センサ85は「オフ」状態となる(図5参照)。一方、蓋部60が開放されたフィーラ部材86が矢印AR2と逆方向に相対移動すると、発光素子85aからの光が受光素子85bに到達するため、センサ85は「オン」状態となる(図4参照)。このように、センサ85は、蓋部60の開閉状況を検出する検出部として使用される。
【0054】
第1の読取ポイントP1で画像データの読取処理が完了した原稿Dは、第3搬送ローラ9および排出ローラ10の駆動により、第2の読取ポイントP2を経由させられた後、排出トレイ11に排出される。
【0055】
なお、原稿Dを両面読取する場合、読取走査装置13によって読み取られた面と逆側の面の画像データが、第2の読取ポイントP2に配設された密着型イメージセンサ16によって読み取られる。そして、画像データが読み取られた後、原稿Dは排出トレイ11に排出される。
【0056】
<3.本実施の形態の原稿自動搬送装置の利点>
以上のように、本実施の形態の原稿自動搬送装置1では、ガイド部材62をコンタクトガラス12に向けて付勢するガイド用スプリング82を、蓋部60の開閉状況を検出するために使用されるフィーラ部材86の揺動動作にも利用できる。すなわち、原稿自動搬送装置1では、従来技術と異なり、蓋部60の開閉状況の検出用に別個のスプリング(検出機構)を設ける必要がない。そのため、原稿自動搬送装置1の部品点数を減少させることができ、装置1の組立工数および製造コストを低減させることができる。
【0057】
また、フィーラ部材86は、上述のようにガイド部材62の長さ方向の端部のうち回動軸64から見て遠方側の端部に設けられている。さらに、蓋部60が回動させられた場合、遠方側の端部は回動軸64側の端部と比較して大きく回動させられることになる。そのため、センサ85によって蓋部60の開閉状況を正確に検出することができる。
【0058】
また、フィーラ部材86は、突起部81b付近に設けられている。これにより、センサ85によって蓋部60が閉鎖されていると判断される場合、突起部81はコンタクトガラス12に確実に当接されており、第1の読取ポイントP1を通過する原稿Dを確実にガイドすることができる。そのため、センサ85の検出結果に基づいて蓋部60の開閉状況の確認処理とガイド部材62による原稿Dのガイド状況の確認処理とを同時に実行することができる。
【0059】
また、フィーラ部材86は、回動軸64と略直交する仮想中心線87付近に設けられており、突起部81の当接状況を良好に検出することができる。そのため、蓋部60の開閉状況を正確に検出することができる。
【0060】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0061】
(1)本実施の形態において、ガイド部材62は、ガイド用スプリング82によってコンタクトガラス12に向けて付勢されているが、付勢力を付与する部材は、ガイド用スプリング82に限定されるものでなく、例えば板バネであってもよい。
【0062】
(2)また、本実施の形態において、センサ85は蓋部60の固定側である所定部位88に設けられており、フィーラ部材86はガイド部材62に設けられているものとして説明したが、センサ85およびフィーラ部材86の配置はこれに限定されるものでない。例えば、センサ85は、ガイド部材62に設けられており、ガイド用スプリング82の付勢状況に応じて揺動可能とされるとともに、フィーラ部材86は、蓋部60の固定側である所定部位88に設けられてもよい。
【0063】
この場合も、ガイド部材62をコンタクトガラス12に向けて付勢するガイド用スプリング82を、蓋部60の開閉状況を検出するために使用されるセンサ85の揺動動作にも利用でき、センサ85は、フィーラ部材86との位置関係に基づいて、蓋部60の開閉状況を検出することができる。蓋部の開閉状況を検出するために使用されるフィーラ部材の揺動動作にも利用できる。そのため、センサ85の揺動動作用に別の弾性部材を設けることが不要となる。その結果、原稿自動搬送装置1の部品点数を減少させ、装置の組立工数および製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態における複合機のハードウェア構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における複合機の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】蓋部が閉じられた状態での原稿自動搬送装置付近の構成の一例を示す正面断面図である。
【図4】ガイド部材付近の構成の一例を示す側面図である。
【図5】ガイド部材付近の構成の一例を示す側面図である。
【図6】ガイド部材付近の構成の一例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 原稿自動搬送装置
2 原稿載置部
11 排出トレイ
12 コンタクトガラス
13 読取走査装置(第1読取部)
15 原稿ガラス
16 密着型イメージセンサ(第2読取部)
60 蓋部
62 ガイド部材
63 ヒンジ部
64 回動軸
70 本体部
81(81a、81b) 突起部
82 ガイド用スプリング
85 センサ
86 フィーラ部材
87 仮想中心線
100 複合機
D 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された原稿から画像データの読み取りを可能とする原稿自動搬送装置であって、
(a) 本体部に対して回動可能な蓋部に設けられており、搬送されつつ前記第1読取部で読み取られる原稿を、前記本体部に設けられたコンタクトガラスとの間でガイドするガイド部材と、
(b) 前記ガイド部材に設けられており、前記ガイド部材を前記コンタクトガラスに向けて付勢する弾性部材と、
(c) 前記弾性部材の付勢状況に応じて揺動するフィーラ部材の位置に基づいて、前記蓋部の開閉状況を検出する検出部と、
を備え、
前記フィーラ部材は、前記ガイド部材に設けられていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿自動搬送装置において、
前記フィーラ部材は、前記ガイド部材の端部のうち、前記蓋部の回動軸から見て遠方の端部側に設けられていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の原稿自動搬送装置において、
前記フィーラ部材は、前記ガイド部材の中心線のうち前記回動軸の軸方向と略直交する中心線付近に設けられていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、
(d) 前記ガイド部材に設けられており、前記コンタクトガラスと当接することによって前記コンタクトガラスとの間隔を規定する突起部、
をさらに備える原稿自動搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の原稿自動搬送装置において、
前記フィーラ部材は、前記突起部の付近に設けられていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、
前記フィーラ部材は、前記ガイド部材と一体的に形成されていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項7】
搬送された原稿から画像データの読み取りを可能とする原稿自動搬送装置であって、
(a) 本体部に対して回動可能な蓋部に設けられており、搬送されつつ前記第1読取部で読み取られる原稿を、前記本体部に設けられたコンタクトガラスとの間でガイドするガイド部材と、
(b) 前記ガイド部材に設けられており、前記ガイド部材を前記コンタクトガラスに向けて付勢する弾性部材と、
(c) 前記弾性部材の付勢状況に応じて揺動可能とされており、前記蓋部の固定側に設けられたフィーラ部材との位置関係に基づいて、前記蓋部の開閉状況を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、前記ガイド部材に設けられていることを特徴とする原稿自動搬送装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の原稿自動搬送装置において、
(e) 前記蓋部に設けられており、原稿の主面のうち前記第1読取部によって読み取られた面と逆側の面の画像データを読み取る第2読取部、
をさらに備えることを特徴とする原稿自動搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−74399(P2007−74399A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259491(P2005−259491)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】