説明

受信装置およびチューナ

【課題】チューナの高速動作が実現可能であると共に、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能である、受信装置およびチューナを実現する。
【解決手段】受信した無線周波信号に応じた検波用無線周波信号111を検波して得られた第1デジタル値116と、中間周波信号106に応じた検波用中間周波信号109を検波して得られた第2デジタル値117と、を記憶する記憶部119と、第1デジタル値116および第2デジタル値117を、一定時間毎に、記憶部119に記憶させる記憶処理部121と、記憶部119に第1デジタル値116および第2デジタル値117が記憶される度に、PLL回路104のロック周波数を、1チャンネル周波数帯域に相当する分上昇させる発振周波数変化処理部122と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に地上波テレビジョン放送を受信する受信装置、および、該受信装置を備えたチューナに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、チューナ内部の受信装置による、地上波テレビジョン放送の受信に際して、種々の妨害信号(不要妨害波)が存在する環境下において、所望のチャンネル周波数帯域を有する信号のみを、品質を損なうことなく受信するためには、該妨害信号に起因する、受信すべき信号の品質劣化を抑制する必要がある。
【0003】
上記受信装置では通常、信号の受信可能な最小レベル(受信感度)に関する性能と、上記妨害信号に対する耐性に関する性能と、の間に、トレードオフの関係が成立する。受信装置では、これらの両方の性能を、水準以上に維持させるように設計するために、チャンネルスキャンを実施する技術が提案されている。
【0004】
上記チャンネルスキャンでは、各チャンネル周波数帯域における、信号の受信品質を示す情報に基づいて、上記の各性能を最適とするように動的に変化させる。これにより、受信装置では、変化する受信環境に応じて、上記の各性能を最適な度合に維持させることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−278058号公報(2008年11月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記チャンネルスキャンを実施する技術では、各チャンネル周波数帯域における、信号の受信品質を示す情報の取得に際して、チャンネル周波数帯域の設定、受信した信号のレベルに応じたAGC制御(Automatic Gain Control:自動利得制御)、および、受信した信号の復調処理の、一連の処理を、全てのチャンネル周波数帯域に関して実施する。
【0007】
このため、上記チャンネルスキャンを実施する技術では、上記の一連の処理に要する時間が長くなるため、チューナの動作の低速化を引き起こすという問題が発生する。
【0008】
また、上記チャンネルスキャンを実施する技術では、信号の受信品質を示す情報として、ビットエラーレート等の最終情報を取得しているに過ぎない。このことは、チャンネルスキャンを実施する対象となるチャンネル周波数帯域の信号に、受信および復調が可能な情報が含まれている必要がある、ということを意味している。ここで、受信および復調が不可能な妨害信号が含まれている場合、受信した信号と該妨害信号とのそれぞれを検知することはできない。このため、受信装置の各性能を最適化するために不可欠である、受信した信号および該妨害信号の各々のレベルを検知することができないため、変化する受信環境に応じて、受信装置の各性能を的確に最適化することは、困難である。
【0009】
このため、上記チャンネルスキャンを実施する技術では、妨害信号が発生したときに、受信装置の各性能を的確に最適化することが困難であるという問題が発生する。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、チューナの高速動作が実現可能であると共に、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能である、受信装置およびチューナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の受信装置は、上記の問題を解決するために、受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL(Phase Locked Loop)回路を備える受信装置であって、上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で上昇させる発振周波数変化処理部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明の受信装置は、上記の問題を解決するために、受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置であって、上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で下降させる発振周波数変化処理部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、本受信装置は、受信する無線周波信号に関する情報と、無線周波信号に対する検波結果を示す第1デジタル値と、中間周波信号に対する検波結果を示す第2デジタル値と、に基づいて、チャンネルスキャンと同等の機能を簡易的に実現することができる。なお、第1および第2デジタル値には例えば、検波対象の信号の、周波数に関する情報とレベルに関する情報とが含まれる。
【0014】
本受信装置では、チャンネルスキャンと同等の機能の実現に際して、受信した信号の復調処理を実施する必要がなく、また、AGC制御を簡略化することが可能であるので、処理に要する時間の短縮化を図ることができ、チューナの動作の高速化が実現可能となる。
【0015】
また、本受信装置では、受信する無線周波信号に関する情報と、第1および第2デジタル値が示す周波数およびレベルに関する情報と、から、受信した信号のレベルに関する情報を取得することができる。このため、受信した信号および妨害信号の各々のレベルを検知することが可能となるため、変化する受信環境に応じて、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能となる。
【0016】
また、本発明の受信装置は、上記PLL回路は、周波数掃引機能を有しており、上記発振周波数変化処理部は、上記PLL回路のロック周波数を、該PLL回路の掃引周波数に対応付けて変化させることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、PLL回路は、中間周波信号の周波数を、掃引周波数に対応付けられた一定の周波数間隔で、上昇させたり、下降させたりすることができる。
【0018】
また、本発明の受信装置は、上記無線周波信号の周波数を示す情報と、上記第1および第2デジタル値と、から、該無線周波信号と略同一の周波数を有する妨害信号のレベルを検知する妨害信号レベル検知部と、上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、受信装置の性能が最適となるように、該受信装置の性能を調整する受信性能調整部と、を備えることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、受信性能調整部は、本発明に係る、チャンネルスキャンと同等の機能に応じて、受信装置自身の各性能を的確に最適化することが可能となる。加えて、受信性能調整部は、妨害信号レベル検知部で検知された、妨害信号のレベルを考慮して、受信装置の性能を調整するため、該妨害信号に起因して、受信装置の性能を必要以上に高くする虞を低減することができる。結果的に、本受信装置では、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0020】
また、本発明の受信装置は、上記無線周波信号を増幅するための増幅器をさらに備え、上記受信性能調整部は、上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、上記増幅器の入力反射係数(S11)を調整することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、増幅器の入力反射係数が調整されることにより、検波前の信号の周波数を、所望の周波数帯域内に制限するための、各種高周波フィルタ回路(LCフィルタ、SAWフィルタ、および誘電体フィルタ等)の周波数特性を、実質的に適宜変化させることが可能となる。結果として、本受信装置が無線周波信号を増幅する前の段階において、妨害信号のレベルを減衰させ、これにより、受信する無線周波信号の信号品質を向上させることが可能となる。
【0022】
また、本発明の受信装置は、供給された上記中間周波信号の周波数を、所望の周波数帯域内に制限する第1フィルタ回路をさらに備え、上記受信性能調整部は、上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、上記中間周波信号を上記第1フィルタ回路に供給するか否かを決定することを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、受信性能調整部は、妨害信号レベル検知部が検知した妨害信号のレベルに応じて、第1フィルタ回路を機能させるか否かを決定する。中間周波信号を第1フィルタ回路に供給せず、第1フィルタ回路を機能させない場合には、受信装置において、低消費電力化を図ることができる。
【0024】
また、本発明の受信装置は、上記PLL回路は、可変容量素子を有しており、上記PLL回路のロック周波数は、上記可変容量素子の容量値に応じて設定され、上記可変容量素子の容量値の可変範囲は、全てのチャンネル周波数帯域の上記無線周波信号を適切に受信するために最低限必要な可変範囲の2倍以上に広げることが可能であることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の受信装置は、上記PLL回路は、プリスケーラを備え、上記プリスケーラの自己共振周波数は、全てのチャンネル周波数帯域の上記無線周波信号を適切に受信するために最低限必要な自己共振周波数の2倍以上に設定することが可能であることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、可変容量素子の容量値を広げる、もしくは、プリスケーラの自己共振周波数を広げることにより、PLL回路が対応可能な周波数の範囲を広げることが可能となるため、より広い周波数範囲において、妨害信号を検知することが可能となる。
【0027】
また、本発明の受信装置は、上記検波用中間周波信号を検波して、検波結果を示す上記アナログ電圧を出力する中間周波信号検波器をさらに備え、上記中間周波信号検波器は、入力端子に接続された第2フィルタ回路を備え、上記第2フィルタ回路は、受信周波数範囲外の信号の電力を30デシベル以上減衰するようなフィルタ特性を有していることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、妨害信号をより精緻に検知することが可能となる。
【0029】
本発明のチューナは、上記いずれかの受信装置を備えるものであり、これにより、受信装置と同じ効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の受信装置は、受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置であって、上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で上昇させる発振周波数変化処理部と、を備える。
【0031】
本発明の受信装置は、受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置であって、上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で下降させる発振周波数変化処理部と、を備える。
【0032】
従って、本発明の受信装置は、チューナの高速動作が実現可能であると共に、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る高周波フィルタ回路の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図3】本発明に係る増幅器の入力反射係数の特性の一例を示すグラフである。
【図4】本発明に係るPLL回路の回路構成を示す図である。
【図5】本発明に係る中間周波信号検波器の概略構成を示すブロック図である。
【図6】チューナの概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の別の実施の形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】無線周波信号の、周波数とレベルとの関係を示すテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を実施するための形態について、図1〜図7を参照して説明する。
【0035】
なお、本願明細書では、無線周波信号としてRF(Radio Frequency)信号を、中間周波信号としてIF(Intermediate Frequency)信号を、それぞれ想定している。
【0036】
本発明の受信装置およびチューナは、地上波テレビジョン放送(アナログ放送および/またはデジタル放送)を受信して、映像表示および音声出力を実施するための受信機である。
【0037】
なお、具体的で理解し易くするために、以下の説明では、UHF(Ultra High Frequency)帯の地上波テレビジョン放送に対応した、受信装置およびチューナを想定している。但し、本発明の受信装置およびチューナは、UHF帯の地上波テレビジョン放送に対応したものに限定されず、設計に応じて、任意のチャンネル周波数帯域の地上波テレビジョン放送に対応可能なものである。
【0038】
また、受信周波数範囲は474MHz〜858MHzであり、チャンネル周波数帯域は各々6MHzであるものとする。
【0039】
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【0040】
図1に示す受信装置は、アンテナ100が受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換して、後段の復調装置(図6参照)へと出力するものである。
【0041】
上記受信装置は、アンテナ100から上記復調装置に向かって、高周波フィルタ回路101、増幅器123、混合回路124、第1フィルタ回路107、および、中間周波可変利得増幅器110が、部材名を列挙した順番に接続されている。増幅器123および混合回路124は、周波数変換回路102を構成している。
【0042】
アンテナ100が受信した無線周波信号は、高周波フィルタ回路101で妨害信号が除去された後、周波数変換回路102に入力される。
【0043】
周波数変換回路102は、高周波フィルタ回路101から入力された信号を、増幅器123で増幅し、混合回路124で、PLL回路104からのLO(Local Oscillating:局部発振)信号105と混合することにより、中間周波信号106へと周波数変換する。
【0044】
中間周波信号106は、第1フィルタ回路107で妨害信号が除去された後、中間周波可変利得増幅器110で復調に適切なレベルにまで増幅され、上記復調装置へと出力される。
【0045】
ここで、増幅器123の出力信号である検波用無線周波信号111は無線周波信号検波器112に、第1フィルタ回路107の出力信号である検波用中間周波信号109は中間周波信号検波器113に、それぞれ入力される。
【0046】
無線周波信号検波器112は、入力された検波用無線周波信号111の、周波数およびレベルを検波し、この検波結果を示すアナログ電圧を、AD(Analog-Digital:アナログ‐デジタル)変換器114に入力する。
【0047】
中間周波信号検波器113は、入力された検波用中間周波信号109の、周波数およびレベルを検波し、この検波結果を示すアナログ電圧を、AD変換器115に入力する。
【0048】
AD変換器114は、無線周波信号検波器112から入力されたアナログ電圧に対して、AD変換を実施することにより、デジタル信号に変換し、該デジタル信号の特徴(該デジタル信号に含まれた、検波用無線周波信号111の、周波数およびレベルに関する情報)を示す数値である、第1デジタル値116として、記憶部119に記憶する。
【0049】
AD変換器115は、中間周波信号検波器113から入力されたアナログ電圧に対して、AD変換を実施することにより、デジタル信号に変換し、該デジタル信号の特徴(該デジタル信号に含まれた、検波用中間周波信号109の、周波数およびレベルに関する情報)を示す数値である、第2デジタル値117として、記憶部119に記憶する。
【0050】
制御部120は、PLL回路104および記憶部119を制御するものであり、記憶処理部121と発振周波数変化処理部122とを有している。
【0051】
記憶処理部121は、記憶部119に記憶された各種情報を取得し、取得した各種情報に基づいて、制御部120によるPLL回路104および記憶部119の制御を指示する機能を有している。また、記憶処理部121は、記憶部119に対し、任意のタイミングで記憶動作を実施させるように、記憶部119の記憶動作を制御する機能を有している。
【0052】
発振周波数変化処理部122は、記憶処理部121からの指示に基づいて、PLL回路104のロック周波数(所望の中間周波信号106の周波数)を、上昇または下降させる機能を有している。PLL回路104のロック周波数の変化は、中間周波信号106の周波数の変化に対応している。
【0053】
ここからは、制御部120の、記憶処理部121および発振周波数変化処理部122の動作について、詳細に説明する。
【0054】
受信装置は、例えば後述するアプリケーションプロセッサ604からのチャンネルスキャン要求信号605(図6参照)をトリガとして、以下の(手順1)〜(手順4)に示す動作を順次実施する。なお、(手順1)に示す動作の実施前において、PLL回路104のロック周波数は予め、474MHzに設定される。
(手順1) 記憶処理部121は、記憶部119に対し、第1デジタル値116および第2デジタル値117の記憶動作を実施させる。これにより、記憶部119は、入力された第1デジタル値116および第2デジタル値117を記憶する。
(手順2) 記憶処理部121は、記憶部119から、第1デジタル値116および第2デジタル値117の記憶が完了した旨の情報を取得する。記憶処理部121は、取得した該情報に基づいて、発振周波数変化処理部122の制御を開始する。
(手順3) 発振周波数変化処理部122は、PLL回路104のロック周波数を、1チャンネル周波数帯域に相当する分(すなわち、6MHz)上昇させる。これにより、中間周波信号106の周波数は、1チャンネル周波数帯域に相当する分上昇する。
(手順4) (手順1)〜(手順3)に示す動作を、PLL回路104のロック周波数が858MHzになるまで繰り返す。
【0055】
(手順4)に示す動作を実施した結果、記憶部119には、全78チャンネル周波数帯域分の、第1デジタル値116および第2デジタル値117が示す情報が、格納されることになる。そして、本受信装置では、設計段階において予め、周波数変換回路102に入力される、高周波フィルタ回路101の出力信号のレベルと、第1デジタル値116および第2デジタル値117との関係を取得しておけば、無線周波信号の、周波数とレベルとの関係を示すテーブルを得ることができる。
【0056】
図8には、上記テーブルの一例を示している。図8に示すとおり、テーブルとしては、受信信号の各放送チャンネル周波数(日本国内であれば、隣接する放送チャンネル周波数同士の間隔が6MHzである)に対し、存在する電波(受信信号)のレベルを、1対1で格納することが想定される。具体的に、同図中、受信信号の各放送チャンネル周波数は項目「周波数」に、存在する電波のレベルは項目「電波強度」にそれぞれ列挙しており、該テーブルでは、これら「周波数」と「電波強度」との相互関係を示している。もちろん、該テーブルにおいて、項目「周波数」で示されている周波数情報は、必ずしも放送チャンネル周波数の周波数間隔に対応させる必要ない。周波数情報は、多少回路を複雑にすることで細かい周波数間隔(例えば1MHz毎)に設定することも可能であるし、逆に回路を簡易化することで粗い周波数間隔(例えば30MHz毎)に設定することも可能である。
【0057】
なお、(手順3)に示す動作では、発振周波数変化処理部122は、PLL回路104のロック周波数を、1チャンネル周波数帯域に相当する分下降させてもよい。この場合、(手順1)に示す動作の実施前において、PLL回路104のロック周波数は予め、858MHzに設定され、(手順4)に示す動作において、(手順1)〜(手順3)に示す動作は、PLL回路104のロック周波数が474MHzになるまで繰り返されることとなる。
【0058】
ここからは、説明をより具体的にするために、周波数変換回路102に入力される信号のレベルと、第1デジタル値116と、第2デジタル値117と、の関係の一例を挙げて、説明を行う。なお、該関係は、受信装置の性能およびシステムの設計要領等に強く依存するため、便宜上、以下の(A)〜(E)に示す、理想の条件を想定する、
(A) 周波数変換回路102は、受信装置内において、AGC制御が実施される。
(B) (A)で実施しているAGC制御により、周波数変換回路102の利得は、検波用無線周波信号111の出力に際して、増幅器123の飽和が発生しない程度に、自動的に制御されている。
(C) 第1フィルタ回路107は、妨害信号だけを十分に減衰できるようなフィルタ特性を有している。
(D) 第1フィルタ回路107は、αdBの利得を有している。
(E)無線周波信号検波器112および中間周波信号検波器113の特性は、線形性を有している。
【0059】
以上の(A)〜(E)の条件を満足した受信装置では、(A)で実施しているAGC制御が収束した後の周波数変換回路102の利得β(単位dB)、無線周波信号検波器112が出力するアナログ電圧のレベルγ(単位dB)、および、中間周波信号検波器113が出力するアナログ電圧のレベルδ(単位dB)を知ることができれば、周波数変換回路102に入力される信号のレベルε(単位dB)が、以下の数式(1)または(2)により求められる。
【0060】
ε=γ−β[dB] ・・・(1) ε=γ−α−δ[dB] ・・・(2)
無線周波信号検波器112としては、周知の一般的なRF信号検波回路が、中間周波信号検波器113としては、周知の一般的なIF信号検波回路が、それぞれ使用可能である。周知の一般的な、RF信号検波回路およびIF信号検波回路はそれぞれ、検波可能な周波数範囲が限られており、かつ、これらの検波可能な各周波数範囲は設計段階で知ることができるものである。
【0061】
つまり、レベルεは、レベルγおよびレベルδを用いて求めることができる。そしてこのことは、レベルεは、第1デジタル値116と第2デジタル値117とを用いて、上記の数式(1)または(2)と同等の演算を実施することにより、正確な情報として取得することができる、ということを意味している。
【0062】
結果、周波数変換回路102に入力される信号のレベルεと、第1デジタル値116および第2デジタル値117と、の関係から得られた上記テーブルは、周波数とレベルとの関係を示すものとなる。
【0063】
上述した、(手順1)〜(手順4)に示す動作の結果得られた上記テーブルは、従来技術に係るチャンネルスキャンと概ね等しい結果が得られたものであると解釈することができる。
【0064】
すなわち、従来技術に係るチャンネルスキャンでは、上記復調装置が復調可能である情報の有無を判定することで、受信信号の有無を判定している。一方、本受信装置では、無線周波信号および中間周波信号のレベルを示す情報に応じて、チャンネルスキャンと同等の機能を実現している。本受信装置では、受信した無線周波信号に関する情報と、第1デジタル値116および第2デジタル値117と、から、信号レベルに関する情報を取得することができるため、受信した信号および妨害信号の各々のレベルを検知することが可能となるため、変化する受信環境に応じて、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能となる。
【0065】
また、受信装置の性能は、概ねRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit:アナログフロントエンド用の集積回路)の特性に依存して決定される場合が多い。この場合は、復調装置に供給する前の信号のアナログ的な劣化に関する情報を知ることができれば、十分に受信装置の性能の最適化が可能であり、該信号の種類(変調方式等)に関する情報は不要である。このため、(手順1)〜(手順4)に示す動作の結果得られた上記テーブルを用いたチャンネルスキャンは、必要十分なものであると解釈することができる。
【0066】
また、従来技術に係るチャンネルスキャンでは、復調装置に供給する信号のレベルが最適となるように受信した信号に応じたAGC制御を行い、受信した信号を復調装置で復調した後で、受信した信号のレベルを求めるため、全チャンネル周波数帯域に関して、チャンネルスキャンを実施するためには、長い時間を要する。該AGC制御および復調処理に要する時間は、1チャンネル周波数帯域あたりで、少なくとも、数百ms程度である。
【0067】
一方、本発明に係るチャンネルスキャンと同等の機能では、PLL回路104のロック周波数のセトリング時間(1ms以下)と、無線周波信号検波器112および中間周波信号検波器113が各々出力するアナログ信号が収束するまでの時間(1ms以下)と、を要する。このことを考慮しても、1チャンネル周波数帯域あたりで、10ms以上の時間を要することは、通常考えにくい。従って、本発明に係るチャンネルスキャンと同等の機能では、受信装置の、ひいては該受信装置を備えたチューナの、高速動作が可能であるという利点が存在する。
【0068】
言うまでも無いが、記憶部119に記憶された情報は、外部システムから自由に読み取り可能であり、受信装置を含む受信システムでの性能最適化に利用することができる。
【0069】
本発明の受信装置を実現する、さらなる具体例は、以下のとおりである。
【0070】
すなわち、アンテナからのRF信号(無線周波信号)は、高周波フィルタ回路(LCフィルタ、SAWフィルタ、および誘電体フィルタ等)により、ある程度の不要妨害波(妨害信号)を取り除かれた後で、RFアンプ(周波数変換回路102)に入力される。RFアンプは、PLL回路104から出力されたLO信号105を用いて周波数変換を行い、IF信号(中間周波信号106)を出力する。このIF信号を入力として、ローパスフィルタ(第1フィルタ回路107)は、該IF信号に対して所望信号帯域制限を行った信号(検波用中間周波信号109)を出力する。ローパスフィルタの出力信号は、PGA(Programmable Gain Amplifier:プログラマブルゲインアンプ)回路(中間周波可変利得増幅器110)によって適切な信号レベルに増幅される。このとき、RFアンプ内の増幅器の出力信号(検波用無線周波信号111)と上記ローパスフィルタの出力信号とは、RF信号検波回路(無線周波信号検波器112)とIF信号検波回路(中間周波信号検波器113)とにそれぞれ入力され、その検波結果電圧の各々はそれぞれ、AD変換器114とAD変換器115とにおいて、第1デジタル値116と第2デジタル値117とに変換された後、記憶媒体(記憶部119)に入力される。制御部120は、PLL回路104を制御し、必要に応じて記憶媒体に記憶された情報を取得も行う。
【0071】
ところで、PLL回路104は、周波数掃引機能を有している。このとき、発振周波数変化処理部122は、PLL回路104のロック周波数を、PLL回路104の掃引周波数に対応付けて変化させるのが好ましい。これにより、PLL回路104は、中間周波信号106の周波数を、掃引周波数に対応付けられた一定の周波数間隔で、上昇させたり、下降させたりすることができる。
【0072】
〔実施の形態2〕
図7は、本発明の別の実施の形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【0073】
図7に示す受信装置は、図1に示す受信装置に加え、制御部120に、妨害信号レベル検知部125と受信性能調整部126とをさらに有している。
【0074】
妨害信号レベル検知部125は、無線周波信号の周波数を示す情報と、第1デジタル値116および第2デジタル値117と、から、該無線周波信号と略同一の周波数を有する妨害信号のレベルを検知する。受信性能調整部126は、妨害信号レベル検知部125の検知結果に応じて、受信装置の性能が最適となるように、周波数変換回路102、第1フィルタ回路107、中間周波可変利得増幅器110、および受信装置のその他構成要素の性能を調整するものである。つまり、受信性能調整部126は、信号の受信可能な最小レベル(受信感度)に関する性能と、上記妨害信号に対する耐性に関する性能と、の間に、トレードオフの関係が成立することに鑑みて、これらの各性能の両方が、受信環境の変化に関らず水準以上に維持されるように、受信装置の各構成要素の性能を調整する。
【0075】
受信性能調整部126は、RFICを構成する各構成要素の性能調整を実施するが、妨害信号レベル検知部125の検出結果である、第1デジタル値116および第2デジタル値117から得られる、無線周波信号の、周波数とレベルとの関係を示す情報があれば、該情報に基づいて該性能調整を行う具体的な手法は多数考えられる。
【0076】
ここでは、受信装置の性能調整の具体例として、以下の、1.〜3.に列挙する、3つの性能を最適化する手法に関して説明を行う。
1. 「Noise Figure(NF)の最適化」
本受信装置により受信したい、所望のチャンネル周波数帯域の信号のレベル(Desired、以下「D」とする)と、所望の該チャンネル周波数帯域に隣接する2帯域および該2帯域に隣接する2帯域(合計4帯域)に発生している妨害信号のレベルの合計値(Undesired、以下「U」とする)と、の差が、所定値(例えば、D/U比が0dB)以上である場合には、増幅器123の利得を、例えば6dB大きくする。これにより、本受信装置全体での利得は、主に無線周波信号を処理する、混合回路124よりもアンテナ100側の回路においてその比率が大きくなり、NFの改善が可能となる。混合回路124よりもアンテナ100側の回路全体の利得を、6dB大きくすれば、主に中間周波信号106を処理する、混合回路124以降(復調装置側)の回路において発生する妨害信号の寄与度合は、従来の約半分になる。受信装置では一般的に、−40dBm〜―70dBmの、中程度のレベルの信号を受信しているときの利得配分において、周波数変換回路102以降の回路において発生する妨害信号が減衰されることに伴う性能改善効果が大きいので好適である。なおこのとき、妨害信号のレベルは十分小さいので、増幅器123の利得を大きくしたことに起因した、信号波形のひずみに伴うS/N(Signal Noise Ratio:信号対雑音比)の劣化は、無視できる程度に小さい。
2. 「線形性の最適化」
上記の1.の場合とは対称的に、DとUとの差が所定値(例えば、D/U比が−20dB)以下である場合には、増幅器123の利得を、例えば6dB小さくする。これにより、本受信装置全体での利得は、第1フィルタ回路107以降の回路においてその比率が大きくなる。この場合は、増幅器123が出力する信号の波形のひずみを低減することが可能となるため、復調装置に供給する信号のS/Nを改善することができる。具体的に、増幅器123の利得を6dB小さくした場合、3次歪によるS/Nは12dB程度改善され、2次歪によるS/Nは6dB程度改善される。
3. 「消費電力の最小化」
上記の2.の場合よりもさらに、DとUとの差が小さい(例えば、D/U比が−40dB以下)場合には、第1フィルタ回路107をバイパスする、すなわち、実質的に第1フィルタ回路107に中間周波信号106を供給せず、第1フィルタ回路107を機能させない構成とすることが可能である。この場合は、そもそも除去すべき妨害信号が存在しないと断定可能であるため、第1フィルタ回路107をバイパスすることにより、受信装置では、第1フィルタ回路107の消費電力に相当する電力を低減することができる。
【0077】
なお、上記の1.〜3.に示した受信装置の性能調整の具体例は、単なる一例に過ぎず、制御対象となる回路(特に、周波数変換回路102、第1フィルタ回路107、および中間周波可変利得増幅器110)の設計性能に応じて、基準となる値が適宜変更可能であるのは言うまでもない。
【0078】
上記の構成によれば、受信性能調整部126は、本発明に係る、チャンネルスキャンと同等の機能に応じて、受信装置自身の各性能を的確に最適化することが可能となる。加えて、受信性能調整部126は、妨害信号レベル検知部125で検知された、妨害信号のレベルを考慮して、受信装置の性能を調整するため、該妨害信号に起因して、受信装置の性能を必要以上に高くする虞を低減することができる。結果的に、本受信装置では、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0079】
〔実施の形態3〕
本実施の形態に係る受信装置の構成は、上記と同じく図7に示すとおりであるため、詳細な説明を省略する。
【0080】
高周波フィルタ回路101は、本受信装置を備えたシステムに要求される各種条件に応じて、最適なフィルタが予め選択されるが、一般的には、LC(inductance-capacitance:インダクタンス・キャパシタンス)フィルタ、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ、および誘電体フィルタのいずれかが選択される。
【0081】
ここで、増幅器123の入力反射係数(S11・リターンロス)は、高周波フィルタ回路101の周波数選択特性に変化を与えることとなる。
【0082】
通常、一般的な高周波フィルタ回路は、全てのチャンネル周波数帯域を通過帯域とし、ここでは474MHz〜858MHzである。
【0083】
図2は、高周波フィルタ回路101の周波数特性の一例を示すグラフである。なお、横軸206は周波数(単位MHz)を示しており、縦軸207は高周波フィルタ回路101を通過する信号の強度(単位dB)を示している。
【0084】
実線で示している特性は、通常(フィルタ特性調整前)の高周波フィルタ回路101のフィルタ特性201である。点線で示している特性は、フィルタ特性調整後の高周波フィルタ回路101のフィルタ特性202である。
【0085】
通常の高周波フィルタ回路101のフィルタ特性201は、一定値の通過帯域リップル成分203を有しているのが普通である。
【0086】
一方、本受信装置(または、それを備えるチューナ)が実際に受信する信号の周波数は、ある1つのチャンネル周波数帯域内である。このため、高周波フィルタ回路101は、該1つのチャンネル周波数帯域内の信号を通過させるフィルタ特性を有していればよく、UHF帯の全周波数帯域内の信号を通過させるフィルタ特性を有している必要はない。
【0087】
そこで、ある一定の条件が揃った場合には、増幅器123の入力反射係数を変化させることで、フィルタ特性201をフィルタ特性202へと変化させて、所望のチャンネル周波数帯域外の信号である、妨害信号を減衰させることが重要となる。
【0088】
ここで、フィルタ特性を変化させるべき、ある一定の条件とは、妨害信号レベル検知部125により、所望のチャンネル周波数帯域外にレベルの大きな妨害信号が検知されている、という条件である。具体的に、この条件とは、所望の受信信号の周波数204とし、妨害信号の周波数205としたときに、妨害信号の周波数205における信号レベルが極端に高いという結果が、予め得られている信号強度テーブル(図8参照)から分かっている、という条件である。
【0089】
図3は、増幅器123の入力反射係数の特性の一例を示すグラフである。なお、横軸305は周波数(単位MHz)を示しており、縦軸306は増幅器123の入力反射係数(単位dB)を示している。また、周波数303は、全チャンネル周波数帯域(本実施の形態では474MHz〜858MHz)における最低周波数であり、周波数304は、同最高周波数である。
【0090】
通常の受信装置の設計(入力反射係数調整前)では、実線の入力反射係数の特性301に示すとおり、所望の全チャンネル周波数帯域において、入力反射係数を十分に小さくするのが普通である。
【0091】
一方、特定のチャンネル周波数帯域内の信号を受信できるように、受信装置の性能を特化させることが許される状況では、図2に示す高周波フィルタ回路101のフィルタ特性と、図3に示す増幅器123の入力反射係数と、に鑑みて、破線の入力反射係数の特性302に示すとおり、より狭い周波数帯域においてのみ、入力反射係数を十分に小さくすることで、妨害信号に対応することとなる周波数の信号を意図的に減衰させることが可能となる。一般的に、増幅器123の入力反射係数の調整は、大まかな調整であっても、図2に示す、大幅な高周波フィルタ回路101の特性変化が実現可能であるため、周波数選択特性の改善を図ることが可能となる。
【0092】
本実施の形態では、例えば、VHF(Very High Frequency)帯またはWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)帯に高レベルの妨害信号が発生している場合に、該妨害信号を減衰させることになり、RFICに対して過度な性能要求が行われないような、本受信装置を備えたシステム設計が可能となる。該システム設計は、本受信装置としてのRFICの設計コスト(消費電力および回路規模)を低減することが可能であるという効果を奏する。
【0093】
〔実施の形態4〕
本実施の形態では、受信周波数範囲外の妨害信号を検出する例について説明を行う。
【0094】
具体的に、UHF帯(特に474MHz〜858MHz)の信号の受信に適応している受信装置により、UHF帯以外の、VHF帯、GSM(Global System for Mobile)帯、およびCDMA帯の妨害信号を検知することは、受信装置の性能最適化に有効である。
【0095】
ここで問題となるのは、妨害信号を検知するために、所望のチャンネル周波数帯域外においても、PLL回路104のロック周波数の設定が行われて、該帯域においても受信装置が正常に周波数変換を行う必要があるということである。周波数変換の実施に際して、受信装置の動作周波数範囲を拡大することはさほど問題にならないが、PLL回路104のロック周波数(掃引周波数)の範囲を広げることは、回路設計の上で高コスト化を引き起こすという問題がある。
【0096】
そこで、本実施の形態では、コストの増大を抑制して、PLL回路104のロック周波数の範囲を広げることが可能な構成について説明を行う。ここで、該範囲を広げる目的は、単に広帯域に渡る妨害信号の検波のためであり、PLL回路104の性能として通常要求される、雑音性能およびスプリアス性能においては、無視してもよい。
【0097】
図4は、PLL回路104の回路構成を示す図であり、特に、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)の一構成例を図示している。
【0098】
図4に示すVCOは、ごく一般的に用いられる構成であり、電流源401、nチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(以下、単にトランジスタと称する)402および403、容量素子404〜407、可変容量素子(バラクタ)408、インダクタ409、およびスイッチ411および412を備えている。各ソース端子が電流源401に接続された、トランジスタ402および403は、負性抵抗部410を構成している。
【0099】
電流源401は、一端が接地されており、他端がトランジスタ402および403の各ソース端子に接続されている。トランジスタ402および403の各ゲート端子はそれぞれ、容量素子407および406の各一端に接続されている。トランジスタ402および403の各ドレイン端子はそれぞれ、容量素子406および407の各他端に接続されており、この接続に伴う各ノード間には、可変容量素子408およびインダクタ409の並列回路が接続されている。また、この接続に伴う各ノードはそれぞれ、スイッチ411および412の各一端に接続されている。スイッチ411および412の各他端は、容量素子404および405の各一端に接続されている。容量素子404および405の各他端は接地されている。
【0100】
上記VCOは、負荷のLCタンクが、可変容量素子408とインダクタ409とで構成され、可変容量素子408の容量値を変化させてVCOの発振周波数を変化させるための、スイッチ付加容量素子(容量素子404および405、および、スイッチ411および412)を有する。
【0101】
信号を受信するときには、VCOに発生する位相雑音が最小となるように、可変容量素子408の容量値の可変範囲を設定する。具体的に、VCOは、容量素子404および405を、各々接続されたスイッチ411および412を介して制御し、可変容量素子408とインダクタ409との共振周波数を調整することで、可変容量素子408の容量値の可変範囲を、全受信周波数範囲の信号の受信において最低限必要な可変範囲に設定する。これにより、VCOの発振周波数は、可変容量素子408の容量値の可変範囲に対応した範囲となる。
【0102】
一方、本発明に係るチャンネルスキャンと同等の機能を実施するときには、位相雑音等の性能を無視してもよいため、上記スイッチ付加容量素子にてLCタンクの共振周波数を意図的にずらすことで、VCOの周波数可変範囲を広げることに注力することが可能である。具体的に、VCOは、容量素子404および405を、各々接続されたスイッチ411および412を介して制御し、可変容量素子408とインダクタ409との共振周波数を調整することで、可変容量素子408の容量値の可変範囲を、信号の受信時よりも可変範囲を広範囲に設定する。なお、このときの、可変容量素子408の容量値の可変範囲は、信号の受信時に対して2倍以上にまで広げるのが好ましい。
【0103】
以上のとおり、PLL回路104は、VCOに可変容量素子408を有しており、PLL回路104のロック周波数に応じて、中間周波信号106(図1および図7参照)の周波数が、可変容量素子408の容量値に応じて設定される。そして、可変容量素子408の容量値の可変範囲は、スイッチ411および412の開閉(上記スイッチ付加容量素子を機能させるか否か)に応じて、本発明に係るチャンネルスキャンと同等の機能を実施するときに、広げることが可能となっている。なお、このときの、可変容量素子408の容量値の可変範囲は、全受信周波数範囲の信号の受信において最低限必要な可変範囲の2倍以上にまで広げるのが好ましい。
【0104】
上記の構成によれば、VCOのコスト増大を抑制して、VCOの発振可能な周波数範囲、ひいては、PLL回路104のロック可能範囲を広げることが可能となるため、妨害信号の検知が可能な周波数範囲を広くすることができる。
【0105】
次に、PLL回路104のロック周波数を、受信周波数範囲外に設定するために、重要な構成となるプリスケーラ(図示しない)の一例を示す。プリスケーラとは、入力信号の整数分の1の周波数を有する信号を出力することが可能な周知の分周回路であり、PLLアーキテクチャに応じて様々な分周比を得られるものである。このプリスケーラは通常、所望のロック可能範囲を実現するために最適なように設計されており、単純にこのロック可変範囲を広げることは、設計上非常に困難である。
【0106】
そこで、本受信装置では、自身の共振周波数が、受信周波数範囲の、最大値より高い周波数、または、最小値より低い周波数であるプリスケーラを用意し、本発明に係るチャンネルスキャンと同等の機能を実施するときにのみ、該プリスケーラを用いることで、PLL回路104のロック周波数の範囲を広くすることが可能である。
【0107】
上記の構成によれば、可変容量素子408の容量値を広げる、もしくは、プリスケーラの自己共振周波数を広げることにより、PLL回路104が対応可能な周波数の範囲を広げることが可能となるため、より広い周波数範囲において、妨害信号を検知することが可能となる。
【0108】
〔実施の形態5〕
図5は、中間周波信号検波器113の概略構成を示すブロック図である。
【0109】
図5に示す中間周波信号検波器113は、入力端子504および出力端子505の間に、第2フィルタ回路501および中間周波信号検波用フィルタ回路502が、部材名を列挙した順番で直列接続された構成である。
【0110】
ここで、第2フィルタ回路501は、受信周波数範囲外の信号の電力を30dB(30デシベル)以上減衰する程度の、急峻なフィルタ特性を有している。第2フィルタ回路501は、ノイズ性能およびフィルタ特性のバラツキを考慮する必要がほとんどないため、低コストで設計することが出来る。
【0111】
急峻なフィルタ特性の第2フィルタ回路501をさらに備えることで、中間周波信号検波器113は、検波用中間周波信号109の検波に際して、妨害信号より精緻に検知し、所望の周波数を有している信号のレベルのみを、より精緻に検知することが可能となり、信号強度テーブルの信頼性を向上させることができる。
【0112】
〔実施の形態6〕
図6は、本受信装置を備えたチューナの概略構成を示すブロック図である。
【0113】
アンテナ601(図1および図7のアンテナ100に対応)が受信した無線周波信号は、受信装置(図1および図7参照)602で受信され中間周波信号へと周波数変換され、復調装置603で復調処理が行われ、アプリケーションプロセッサ604で映像表示および音声出力を実施するための情報へと変換される。なお、ここまでは、従来技術に係るチャンネルスキャンを実施する技術が適用されたチューナと同じ構成である。
【0114】
但し、本チューナは、受信装置602自身、および受信装置602に対する各種動作が、従来技術に係るチャンネルスキャンを実施する技術が適用されたチューナと異なる。
【0115】
すなわち、アプリケーションプロセッサ604は、任意のタイミングで、受信装置602に対し、チャンネルスキャン要求信号605を出力する。受信装置602は、このチャンネルスキャン要求信号605が供給されると、制御部120による、上述した、チャンネルスキャンと同等の機能を実施する(特に、実施の形態1参照)。また、受信装置602は、該機能に応じて、上述した、自身の各性能の最適化を実施する(特に、実施の形態2参照)。チャンネルスキャンと同等の機能を実施した結果は例えば、高周波フィルタ回路101の出力信号のレベルと、第1デジタル値116および第2デジタル値117の関係から得られた、周波数とレベルとの関係を示すテーブルとして、記憶部119に記憶されており、この結果は、チャンネルスキャン情報信号606として、アプリケーションプロセッサ604に供給される。
【0116】
ここからは、本受信装置を備えた本チューナによる、上述した、チャンネルスキャンと同等の機能の手順を、さらに具体的に説明し、本チューナの有効性を説明する。
【0117】
従来技術に係るチャンネルスキャンでは、1のチャンネル周波数帯域あたり、以下の4ステップを要する。
【0118】
(ステップ1):中間周波信号の周波数(PLL回路104のロック周波数)を設定する。
【0119】
(ステップ2):受信した信号に応じて、受信装置内の各回路のAGC制御を行う。
【0120】
(ステップ3):復調装置の同期処理を行う。
【0121】
(ステップ4):ビットエラーレート(BER)を計算する。
【0122】
ここで、(ステップ1)〜(ステップ4)に要する時間は、受信装置を備えたシステムに依存するため一概に言えないが、例えば日本国内でのワンセグ(ワンセグメント)放送の受信を例に挙げれば、(ステップ1)で1ms、(ステップ2)および(ステップ3)で各々100msである。また、(ステップ4)は、求めるビットエラーレートの精度にもよるが、1e−3以下のオーダーでビットエラーレートを検知するためには、1s(1000シンボル)程度の時間を要する。つまり、(ステップ1)〜(ステップ4)に要する時間の合計は、概ね、1のチャンネル周波数帯域あたり1.4s程度となる。
【0123】
一方、本チューナで、チャンネルスキャンと同等の機能を実現するために必要となるステップは、上記(ステップ1)および(ステップ2)に加え、以下の(ステップ5)である。
【0124】
(ステップ5):該当チャンネル周波数帯域に対応する、第1デジタル値116および第2デジタル値117を、記憶部119へ記憶する。
【0125】
また、(ステップ2)では、復調装置603に関らず、受信装置602単体でのAGC制御が可能であるため、AGC制御の収束速度が従来技術に係る受信装置と比較して高速である。
【0126】
ここで、本チューナにおいて、(ステップ2)および(ステップ5)に要する時間は、受信装置を備えたシステムに依存するため一概に言えないが、例えば日本国内でのワンセグ放送の受信を例に挙げれば、(ステップ1)で1ms、(ステップ2)で10ms、(ステップ5)で1msである。つまり、本発明において、第1デジタル値116および第2デジタル値117を、記憶部119へ記憶する周期を示す「一定時間毎」とは、ここでは、(1ms+10ms+1ms=)12ms毎である。
【0127】
本チューナにおいて、(ステップ2)および(ステップ5)に要する時間は、概ね、1のチャンネル周波数帯域あたり12ms程度となるため、本チューナでは、非常に高速な動作が実現可能となる。
【0128】
上記構成により、本チューナでは、高速動作が実現可能であると共に、移動等による受信環境の変化に柔軟に対応した性能最適化が実施可能となる。
【0129】
最後に、制御部120の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0130】
すなわち、制御部120を備える本受信装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである制御部120の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、制御部120に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0131】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0132】
また、制御部120を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0133】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置において、チューナの高速動作が実現可能であると共に、受信装置の各性能を的確に最適化することが可能な発明である。従って、本発明は、主に地上波テレビジョン放送を受信する受信装置、および、該受信装置を備えたチューナに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0135】
100 アンテナ
101 高周波フィルタ回路
102 周波数変換回路
104 PLL回路
105 LO信号
106 中間周波信号
107 第1フィルタ回路
109 検波用中間周波信号
110 中間周波可変利得増幅器
111 検波用無線周波信号
112 無線周波信号検波器
113 中間周波信号検波器
114および115 アナログ‐デジタル変換器(AD変換器)
116 第1デジタル値
117 第2デジタル値
119 記憶部
120 制御部
121 記憶処理部
122 発振周波数変化処理部
123 増幅器
124 混合回路
125 妨害信号レベル検知部
126 受信性能調整部
201 通常の高周波フィルタ回路101のフィルタ特性
202 調整された高周波フィルタ回路101のフィルタ特性
203 通過帯域リップル成分
204 所望の受信信号の周波数
205 妨害信号の周波数
206 横軸(周波数)
207 縦軸(高周波フィルタ回路101を通過する信号の強度)
301 通常の増幅器123の入力反射係数の特性
302 調整された増幅器123の入力反射係数の特性
303 全チャンネル周波数帯域における最低周波数
304 全チャンネル周波数帯域における最高周波数
305 横軸(周波数)
306 縦軸(入力反射係数)
401 電流源
402および403 nチャネル型MOSトランジスタ
404〜407 容量素子
408 可変容量素子
409 インダクタ
410 負性抵抗部
411および412 スイッチ
501 第2フィルタ回路
502 中間周波信号検波用フィルタ回路
504 入力端子
505 出力端子
601 アンテナ
602 受信装置
603 復調装置
604 アプリケーションプロセッサ
605 チャンネルスキャン要求信号
606 チャンネルスキャン情報信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置であって、
上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、
上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、
上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で上昇させる発振周波数変化処理部と、を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
受信した無線周波信号を中間周波信号へと周波数変換するためのPLL回路を備える受信装置であって、
上記無線周波信号に応じた検波用無線周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル値と、上記中間周波信号に応じた検波用中間周波信号を検波して得られたアナログ電圧をデジタル信号へと変換して得られた第2デジタル値と、を記憶する記憶部と、
上記第1および第2デジタル値を、一定時間毎に、上記記憶部に記憶させる記憶処理部と、
上記記憶部に上記第1および第2デジタル値が記憶される度に、上記PLL回路のロック周波数を、一定の周波数間隔で下降させる発振周波数変化処理部と、を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
上記PLL回路は、周波数掃引機能を有しており、
上記発振周波数変化処理部は、上記PLL回路のロック周波数を、該PLL回路の掃引周波数に対応付けて変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
上記無線周波信号の周波数を示す情報と、上記第1および第2デジタル値と、から、該無線周波信号と略同一の周波数を有する妨害信号のレベルを検知する妨害信号レベル検知部と、
上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、受信装置の性能が最適となるように、該受信装置の性能を調整する受信性能調整部と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項5】
上記無線周波信号を増幅するための増幅器をさらに備え、
上記受信性能調整部は、上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、上記増幅器の入力反射係数を調整することを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
供給された上記中間周波信号の周波数を、所望の周波数帯域内に制限する第1フィルタ回路をさらに備え、
上記受信性能調整部は、上記妨害信号レベル検知部の検知結果に応じて、上記中間周波信号を上記第1フィルタ回路に供給するか否かを決定することを特徴とする請求項4または5に記載の受信装置。
【請求項7】
上記PLL回路は、可変容量素子を有しており、
上記PLL回路のロック周波数は、上記可変容量素子の容量値に応じて設定され、
上記可変容量素子の容量値の可変範囲は、全てのチャンネル周波数帯域の上記無線周波信号を適切に受信するために最低限必要な可変範囲の2倍以上に広げることが可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項8】
上記PLL回路は、プリスケーラを備え、
上記プリスケーラの自己共振周波数は、全てのチャンネル周波数帯域の上記無線周波信号を適切に受信するために最低限必要な自己共振周波数の2倍以上に設定することが可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項9】
上記検波用中間周波信号を検波して、検波結果を示す上記アナログ電圧を出力する中間周波信号検波器をさらに備え、
上記中間周波信号検波器は、入力端子に接続された第2フィルタ回路を備え、
上記第2フィルタ回路は、受信周波数範囲外の信号の電力を30デシベル以上減衰するようなフィルタ特性を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の受信装置を備えたチューナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−252174(P2010−252174A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101113(P2009−101113)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】