説明

受信装置

【課題】 アンテナを選局部から離れて取り付けた場合の妨害信号のケーブルへの混入による受信信号の性能劣化を防止する受信装置を提供する。
【解決手段】
選局部102を、復調再生部109ではなく、アンテナブロック110に配置し、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403をケーブル103で伝送する。そして、中間周波数帯域を妨害電波とは異なる周波数帯域にしておくことで、ケーブル103への妨害混入の影響を受けず、出力部107での再生信号の品質が劣化することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送・通信信号をアンテナで受信して復調再生する受信装置に係わり、特にアンテナと復調再生部の設置場所が異なり、アンテナと復調再生部間の伝送距離が比較的長い受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の地上デジタルテレビジョン放送(以下、ISDB-T放送と略す)は、2003年12月1日から東名阪で本放送が開始された。ISDB-T放送は変調方式にOFDM(Orthogonal frequency division multiplexing)方式を用いているため、マルチパスに強く、また、時間インターリーブを施すことができるため、比較的移動体受信に強いという特徴を有している。更に、携帯階層や移動階層を用いることによれば、変調方式や誤り訂正符号化率についても、伝送歪みに対して強いパラメータを選択することも可能である。このため、ISDB-T放送の移動体受信が期待されており、移動体受信機の検討が行われている。
【0003】
従来、移動受信機で放送信号を受信する方法が、例えば、以下の特許文献1に示されている。この方法は、OFDM変調されたデジタルテレビジョン信号をダイバーシティ受信する方法であり、各アンテナブロックから出力される受信信号を第1のケーブルを介して選局部に入力し、AGC電圧を第2のケーブルを介して可変減衰器に入力し、そして、選局部には第1のケーブルに電源電圧を重畳する電源供給手段を設けると共に、増幅器には第1のケーブルから電源電圧を供給している。これによれば、アンテナブロックを、選局部から離れ、例えば、車両のフロントガラス等に取り付けた場合にも、当該アンテナブロックに対して、独立した電源を設ける必要がない。また、選局部の出力信号は復調部に入力され、復調信号とAGC電圧を出力する。
【特許文献1】特開2006−186711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、アンテナブロックを選局部から離れて車両に取り付けた場合には、車両から発生する様々な妨害信号が途中のケーブルから混入してしまい、そのため、当該妨害信号の周波数帯域で伝送された受信信号部分に性能の劣化を生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑み、途中のケーブルから混入する妨害信号の受信信号への影響を排除することにより、伝送された受信信号部分に性能の劣化を生じることのない優れた受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、第1に、アンテナブロックと復調再生部の間をケーブルで接続されている受信装置において、前記アンテナブロックは、送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号を受信するアンテナと、前記アンテナにより受信されて前記ケーブルを介して供給される前記複数のチャンネル信号から、希望するチャンネル信号を示す選局制御信号を抽出して復調する選局制御信号抽出復調部と、前記選局制御信号抽出復調部において抽出して復調した選局制御信号を得て、局部発振信号を用いて前記複数のチャンネル信号から希望するチャンネル信号を中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号として前記ケーブルに出力する周波数変換部とで構成され、前記復調再生部は、前記ケーブルから前記選局チャンネル信号を抽出、復調及び復号して再生信号を得る抽出復調復号部と、前記選局制御信号に変調を施して被変調選局制御信号として前記ケーブルに出力する選局制御信号変調部とで構成される受信装置が提供される。
【0007】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、複数のアンテナブロックと復調再生部の間を複数のケーブルで接続されている受信装置において、複数の前記アンテナブロックは、それぞれ、送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号を受信するアンテナと、前記アンテナにより受信されて前記ケーブルを介して供給される前記複数のチャンネル信号から、希望するチャンネル信号を示す選局制御信号を抽出して復調する選局制御信号抽出復調部と、前記選局制御信号抽出復調部において抽出して復調した選局制御信号を得て、局部発振信号を用いて前記複数のチャンネル信号から希望するチャンネル信号を中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号として前記ケーブルに出力する周波数変換部とで構成され、前記復調再生部は、複数の前記ケーブルが接続されており、複数の前記ケーブルから同一の前記選局チャンネル信号を抽出及び復調する複数の抽出復調部と、前記抽出復調部の出力信号をダイバーシティ合成して復号し、再生信号を得る合成復号部と、前記選局制御信号に変調を施して被変調選局制御信号としてそれぞれの複数の前記ケーブルに同一の前記被変調選局制御信号を出力する選局制御信号変調部とで構成される受信装置が提供される。
【0008】
また、本発明では、前記に記載の受信装置において、前記被変調選局制御信号の周波数帯域は、前記選局チャンネル信号の前記中間周波数帯域と異なり、交わらないことが好ましく、又は、前記被変調選局制御信号の多重時間は、前記選局チャンネル信号の前記中間周波数帯域の多重時間と異なる期間であることが好ましい。或いは、前記に記載の受信装置において、前記選局制御信号抽出復調部は、前記選局制御信号の応答確認や前記周波数変換部の状態を前記ケーブルに出力し、前記選局制御信号変調部は、前記応答確認や前記周波数変換部の前記状態を前記ケーブルから抽出することが好ましい。
【0009】
更に、本発明によれば、前記に記載の受信装置において、前記復調再生部は、前記中間周波数帯域とは異なる周波数の基準信号を前記ケーブルに出力し、前記局部発振信号は前記ケーブルから抽出した前記基準信号から生成することが好ましく、又は、前記アンテナブロックに自動利得制御を設け、前記選局チャンネル信号の出力レベルを最適化したことが好ましい。
【0010】
また、本発明では、前記に記載の受信装置において、前記抽出復調部は、OFDMが入力され、時間領域から周波数領域に変換する変換部を有し、前記合成復号部は、周波数軸上でのダイバーシティ合成とすることが好ましく、更には、前記合成復号部のダイバーシティ合成方法を最大比合成法とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
即ち、上記の本発明によれば、放送・通信信号をアンテナで受信し、特にアンテナと復調再生部の設置場所が異なり、アンテナと復調再生部間の伝送距離が比較的長い受信装置において、放送・通信信号を妨害信号の周波数帯域とは異なる中間周波数帯域に変換して伝送する選局部をアンテナ側に設けることにより、アンテナと復調再生部間の途中のケーブルから混入する妨害信号の受信信号への影響を排除することができるので、性能劣化のない受信信号の復調再生信号を得ることができる効果を発揮し、また、復調再生部から選局部がなくなるので復調再生部を小型化することができるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、特に、移動受信する車載受信機をその一例として、詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施例になるISDB-T放送を移動受信するダイバーシティ受信装置の構成を示すブロック図であり、特に、2系統のアンテナによる受信信号の合成を行う場合の構成を示している。
【0014】
図において、参照符号101a、101bは2系統のアンテナを示しており、各アンテナは、それぞれ、選局部102a、102bを備えており、もって、それぞれ、1アンテナブロック110a、110bを構成している。また、図中の参照符号103a、103bは、ケーブルを示しており、上記2系統のアンテナ101a、101bは、これらのケーブル103a、103bを介して復調再生部109へ電気的に接続されている。より具体的には、上記2系統のアンテナ101a、101bで受信された信号は、当該復調再生部109の内部に設けられた2つの入力処理部104a、104bを介して合成部105へ入力されて復号部106へ導かれる。なお、図中の107は、上記復調再生部109の出力部、108は選局信号の入力部を示している。
【0015】
上述した構成において、選局部102a、102bでは、アンテナ101a、101bで受信した受信信号から必要な選局チャンネル帯域が抽出され、中間周波数帯域に変換される。この中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号は、上記復調再生部109の入力処理部104a、104bにおいて復調される。更に、復調再生部109の合成部105では、上記入力処理部104a、104bからの出力信号からC/Nのよいものを選択することでC/N改善の可能性のある信号を出力し、又は、2系統の出力信号を最大比合成することでC/N改善した信号を出力することが出来る。この合成された信号は、更に、復号部106で復号され、出力部107に再生信号として出力される。
【0016】
即ち、上記の構成では、アンテナ101aと選局部102bとでアンテナブロック110aを、そして、アンテナ101bと選局部102bとでアンテナブロック110bを構成する。また、入力処理部104a、104b、合成部105、復号部106により復調再生部109を構成する。
【0017】
そして、上記図1に示す実施例1では、2系統のアンテナブロック110a、110bで中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号を、それぞれ、ケーブル103a、103bを介して、当該アンテナから離れた場所に設置した復調再生部109へ伝送し、復調再生部109から再生信号を得る構成となっている。より具体的には、例えば、車両のリヤ(後方)フロントガラスの左右に2系統のアンテナブロック110a、110bを設置し、他方、復調再生部109を運転席近傍のカーステレオ部分に設置し、それらの間を、それぞれ、ケーブル103a、103bで接続するという形態である。
【0018】
続いて、上記図1にその構成を示した受信装置の動作を、添付の図2〜4を用いて、以下にその詳細を説明する。
【0019】
図2は、上記図1に示した2系統の選局部102a、102bの各々の内部構成を示すブロック図であり、以下では、これらを総称して選局部102として示す。図中の参照符号201は、上記アンテナ101a又は101bからの受信信号の入力部を示し、202は、上記ケーブル103a又は103bとの入出力部を示す。更に、図中の参照符号203は周波数変換部であり、204は帯域通過フィルタ(以下、「BPF」と略す)、205は局部発振部、206は基準信号発生部、207は制御信号抽出部、208は制御信号復調部、209は電源(以下、「DC」と略す)抽出部を示している。
【0020】
一方、図3は、上記図1に示した復調再生部109を構成する入力処理部104a、104bの各々の内部構成を示すブロック図であり、以下では、これらを総称して入力処理部104として示す。即ち、各入力処理部104は、上記ケーブル103a又は103bからの入出力部301、上記合成部105への出力部302、そして、制御信号の入力部303を備えており、その内部には、帯域通過フィルタ(以下、「BPF」と略す) 304、復調部305を備えている。また、図中の参照符号306は電源(以下、「DC」と略す)供給部を、307は制御信号変調部を示している。
【0021】
図4は、上記図1〜3に示したダイバーシティ受信装置の構成の各部における信号の周波数スペクトルを示したものであり、この図において、参照符号401はDC供給部306からの電源(DC)を、402は制御信号変調部307の出力である被変調制御信号を、403は中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号を、そして、404a、404b、404cはそれぞれの送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号を示している。一般的に、DC401、被変調制御信号402、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403、複数のチャンネル信号404a、404b、404cは、互いに重ならないように異なる周波数帯域を使用している。
【0022】
なお、以降の説明では、上記のアンテナブロック110a、110bをアンテナブロック110と、また、ケーブル103a、103bをケーブル103と総称して示す。
【0023】
上記の入力処理部104においては、DC供給部306からのDC401がケーブル103に重畳される(上記図3を参照)。また、入力部108からは、希望する選局チャンネル信号を選択するための選局信号が入力されており、同時に、それに対応した制御信号が、入力部303を介して、制御信号変調部307に入力される。この制御信号変調部307は制御信号に対し変調を施し、即ち、DCや中間周波数帯域とは異なる帯域の被変調制御信号402を生成する。この被変調制御信号402はケーブル103に重畳される。換言すれば、この被変調制御信号402の周波数帯域には、DCや中間周波数帯域に影響を与えないように帯域制限が行なわれている。
【0024】
一方、選局部102では、DC抽出部209によりDC401を抽出し、アンテナブロック110への電源供給に使用する(上記図2を参照)。制御信号抽出部207は、ケーブル103から被変調制御信号402を抽出し、制御信号復調部208で復調して、当該復調制御信号を局部発振部205に出力する。局部発振部205は、この復調制御信号を受け、希望する選局チャンネル信号を選択するための局部発振信号を周波数変換部203に出力し、そして、当該周波数変換部203では、局部発振信号を使用して希望する選局チャンネル信号を得、BPF204で中間周波数帯域に帯域制限を行って、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403をケーブル103に出力する。例えば、希望する選局チャンネル信号がチャンネル信号404a、404b、404cのうちの404bであった場合には、チャンネル信号404bの周波数を変換して中間周波数帯域の選局チャンネル信号403とする。
【0025】
この選局チャンネル信号403は、ケーブル103を介して伝送され、入力処理部104のBPF304で中間周波数帯域に帯域制限され、その後、復調部305に出力される。そして、当該復調部305で復調され、更に、合成部105への出力部302に出力される。
【0026】
上記図4に示した例では、送信されているチャンネル信号は404a、404b、404cの3つであるが、一般的には、数十のチャンネル信号が送信されており、特に、ISDB-T放送の場合は、UHF13CHからUHF62CHまで、帯域にして470MHzから770MHzまでの広い帯域に亘っている。また、車載受信機では、車内には妨害電波の発生源が多数存在しており、特に、前記UHFという広い帯域内では、妨害電波の周波数と重なる可能性が高くなる。すなわち、UHF帯域のままケーブル103を伝送した場合には、ケーブル103への妨害電波の混入により、当該妨害周波数と重なったチャンネル信号はその信号品質が劣化し、その結果、出力部107での再生信号の品質が劣化する可能性があった。
【0027】
そこで、本実施例1によれば、上記図1にも明らかなように、上述した選局部102を、復調再生部109ではなく、アンテナブロック110内に配置し、もって、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403を、ケーブル103を介して伝送することにより、即ち、当該中間周波数帯域を妨害電波とは異なる周波数帯域に変換することにより、ケーブル103への妨害電波の混入の影響を受けず、出力部107での再生信号の品質が劣化することがない受信装置を達成するものである。なお、被変調制御信号402についても、やはり、妨害電波の周波数とは異なる帯域で伝送することが好ましい。また、図4では、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403は、放送されているチャンネル信号404a、404b、404cよりも低い周波数となっているが、これに限定されることなく、これよりも高い周波数に変換することも可能である。さらに、また、図4では被変調制御信号402は中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403よりも低い周波数であるが、しかし、これよりも高い周波数としてもよい。
【0028】
また、本実施例1では、アンテナブロック110、ケーブル103、入力処理部104は、それぞれ、a、bの2系統であったが、本発明ではこれに限定されることなく、それ以上の系統であってもよい。なお、この場合でも、選局部102がアンテナブロック110内に配置されているため、復調再生部109のサイズを増大する必要がないという効果を生じる。また、上記図2の選局部102は、入力の受信信号部分や出力の中間周波数帯域部分において、自動利得処理を実施するようにしてもよい。加えて、上記図3の入力処理部104では、DC供給部306、制御信号変調部307を外部に設け、もって、複数の入力処理部104a、104bに対して、それぞれ1系統とする構成としているが、これに替えて、それぞれの入力処理部104a、104b内にDC供給部306、制御信号変調部307を設ける構成としてもよい。更には、制御信号変調部307を、直流抑圧のベースバンド変調(符号化)とすることもできる。
【実施例2】
【0029】
続いて、上記図1にその概略構成を示したダイバーシティ受信装置における選局部102と入力処理部103について、上記とは異なる他の内部構成例を、それぞれ、図5と図6に示す。
【0030】
図5は、選局部102の他の内部構成例を示している。なお、この図に示す選局部102においても、上記図2と同一符号は同一機能を示しており、そして、この構成例では、制御信号復調部を501で示すと共に、更に、局部発振部を502で示しており、当該制御信号復調部501からの復調制御信号を局部発振部502に出力する。
【0031】
一方、図6に示す入力処理部104においても、上記図3と同一符号は同一機能を示しており、更に、この構成例では、応答確認受信部601と共に、当該応答確認受信部601からの応答確認信号を出力する出力部602とが設けられている。
【0032】
更に、図7は、上記図1と共に、上記図5及び図6に内部構成を示した選局部102と入力処理部104における各部の信号について、その周波数スペクトルを示したものであり、ここでも、上記図4と同一符号は同一機能を示している。なお、この図における参照符号701は、上記制御信号復調部501からの被変調応答確認信号の周波数スペクトルを示している。
【0033】
上記の構成において、入力処理部104では(図6を参照)、DC供給部306からのDC401がケーブル103に重畳される。また、入力部108からは、希望する選局チャンネル信号を選択するための選局信号が入力されており、同時に、それに対応した制御信号が入力部303から制御信号変調部307に入力される。この制御信号変調部307は入力した制御信号に対して変調を施し、もって、DCや中間周波数帯域とは異なる周波数帯域の被変調制御信号402とする。なお、この被変調制御信号402はケーブル103に重畳される。即ち、この被変調制御信号402の周波数帯域は、DCや中間周波数帯域に影響を与えないように、帯域制限が加えられている。
【0034】
一方、選局部102(図5を参照)では、DC抽出部209においてDC401を抽出し、これをアンテナブロック110への電源の供給に使用する。また、制御信号抽出部207はケーブル103から被変調制御信号402を抽出し、当該抽出した信号を制御信号復調部501へ出力する。当該制御信号復調部501では、この抽出した信号を復調して局部発振部502へ出力すると同時に、当該復調制御信号を正常に受信したことを示す応答信号を生成すると共に、当該応答信号に変調を施して被変調応答確認信号701を生成し、入出力部202を介してケーブル103に出力する。
【0035】
これにより、局部発振部502は復調制御信号を受け、希望する選局チャンネル信号を選択するための局部発振信号を周波数変換部203に出力し、周波数変換部203では、局部発振信号を使用して希望する選局チャンネル信号を得、BPF204で中間周波数帯域に帯域制限を行って、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403をケーブル103に出力する。例えば、希望する選局チャンネル信号がチャンネル信号404a、404b、404cのうちの404bであった場合には、チャンネル信号404bを中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号403とする。
【0036】
その後、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403は、ケーブル103を介して伝送され、入力処理部104のBPF304で中間周波数帯域に帯域制限されてその復調部305に出力され、更に、復調部305で復調された後、合成部105への出力部302へ出力される。
【0037】
一方、応答確認受信部601(図6を参照)は被変調応答確認信号701を受信・復調し、応答信号を出力部602に出力する。なお、入力処理部104では、入力部303から入力される制御信号と、出力部602から出力される応答信号とで、選局制御が確立される。そして、上記制御信号復調部501(図5を参照)からは、正常に受信したことを示す応答信号ではなく、異常を受信したことを示す応答信号が送信され、又は、応答信号そのものが送信されてこなかった場合には、復調再生部109は、再選局などの異常動作措置を実行する。また、局部発振部502の動作状態を確認するために、上記の応答信号だけではなく、その他、例えば、制御信号や応答信号を使用することも可能であろう。
【0038】
なお、本実施例2によれば、上述した実施例1による効果に加え、更に、選局部102への選局動作の正常/異常を復調再生部109で認識できることかが、異常時における処理を敏速に行うことができる。
【0039】
なお、上記図7に示した周波数スペクトルの例では、被変調応答確認信号701は他の周波数帯域と重ならないように配置(周波数を設定)したが、本発明ではこれに限定されず、当該被変調応答確認信号701を被変調制御信号402と同一周波数帯域とし、時間的に、被変調制御信号402と被変調応答確認信号701を使い分け(時分割多重)てもよい。
【実施例3】
【0040】
更に、上記の図1のダイバーシティ受信装置において、時分割多重信号を受信する場合における、上記図2の選局部102及び図3の入力処理部104の動作例を、添付の図8を用いて説明する。すなわち、この図8は、上記ダイバーシティ受信装置における各部の信号の周波数スペクトルと、時分割多重の状態を示したものであり、図中の参照符号801はDC供給部306からの電源(以下DCと略す)の周波数スペクトルを、803fは中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号の周波数スペクトルを、804a、804b、804cはそれぞれの送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号の周波数スペクトルを示しており、更に、802a、802bは制御信号変調部307の出力である時間軸上の被変調制御信号期間を、803a、803bは時間軸上の中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号期間を示している。
【0041】
時分割多重信号を受信する場合には、入力処理部104(図3参照)において、DC供給部306からのDC801がケーブル103に重畳される。また、入力部108からは、希望する選局チャンネル信号を選択するための選局信号が入力されており、同時に、それに対応した制御信号が入力部303から制御信号変調部307に入力される。その結果、制御信号変調部307は入力した制御信号に対し変調を施し、そして、当該変調された被変調制御信号は、被変調制御信号期間802a、802bの間だけ、ケーブル103に重畳される。
【0042】
一方、選局部102(図2参照)では、DC抽出部209においてDC801を抽出してアンテナブロック110への電源の供給に使用する。制御信号抽出部207はケーブル103から被変調制御信号期間802a、802bを抽出し、当該抽出した被変調制御信号を制御信号復調部208において復調し、その復調制御信号を局部発振部205に出力する。局部発振部205はこの復調制御信号を受け、希望する選局チャンネル信号を選択するための局部発振信号を周波数変換部203に出力する。その結果、周波数変換部203では当該局部発振信号を使用して、希望する選局チャンネル信号を得、BPF204で中間周波数帯域への帯域制限を行い、もって、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号803fをケーブル103に出力する。例えば、希望する選局チャンネル信号がチャンネル信号804a、804b、804cのうちの一つ、即ち、チャンネル信号804bであった場合は、当該チャンネル信号804bを中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号803fとする。但し、選局チャンネル信号803fは、選局チャンネル信号期間803a、803bに時間軸多重されている。
【0043】
その後、上記の選局チャンネル信号803fは、ケーブル103を介して伝送され、入力処理部104のBPF304で中間周波数帯域に帯域制限された後、その復調部305へ出力され、更に、当該復調部305で復調された後、合成部105への出力部302へ出力される。
【0044】
上述しように、本実施例3によれば、入力処理部104における制御信号変調部307の出力、即ち、被変調制御信号の周波数帯域を直流抑圧するだけで上記と同様の効果が得られるという優れた効果を発揮する。
【実施例4】
【0045】
加えて、添付の図9〜12により、ISDB-T放送を移動受信するダイバーシティ受信装置の他の構成であり、特に、2系統のアンテナによる受信信号の合成を行う場合に適した実施例を示す。なお、これらの図においても、上記図1と同一符号は同一機能を示している。即ち、本実施例4では、図9からも明らかなように、上記図1に示した構成において、上記の選局部102a、102bと入力処理部104a、104bに替えて、以下に詳細を示す選局部901a、901bと入力処理部902a、902bを備えると共に、更に、基準信号発生部903を備えており、当該基準信号発生部903からの基準信号が上記入力処理部902a、902bへ入力されている。
【0046】
上記図9にその構成を示した本実施例4の動作を、図10〜12を用いて説明する。まず、図10は、選局部901a、901bの内部構成を示すブロック図であり、ここでも、これらを総称して選局部901として示す。なお、この図10に示す選局部901においても、上記図2におけると同一符号は同一機能を示しており、本実施例では、更に、基準信号抽出部1001を設けると共に、その基準信号が局部発振部205に入力されている。
【0047】
一方、図11は、入力処理部902a、902bの内部構成を示すブロック図であり、これらを総称して入力処理部902として示す。この図11に示す入力処理部902においても、上記図3におけると同一符号は同一機能を示している。そして、本実施例では、更に、基準信号発生部903からの基準信号の入力部1101が設けられている。
【0048】
続いて、図12は、上記図9〜11に示した受信装置の構成における各部の信号の周波数スペクトルを示したものであり、ここでも、上記図4と同一符号は同一機能を示すと共に、この図では、基準信号発生部903からの基準信号が参照符号1201によって示されている。
【0049】
これら図9〜図11に示した実施例4では、上記図2に示した選局部102内の基準信号発生部206の代わりに、復調再生部109内に設けた基準信号発生部903を用いる構成としており、具体的には、復調再生部109内の入力部1101(図11参照)から基準信号1201(図12参照)をケーブル103上の受信信号に重畳してアンテナブロック110側に伝送する。一方、アンテナブロック110側では、選局部901の基準信号抽出部1001において基準信号1201を抽出し、もって、局部信号発生部205に供給するものである。
【0050】
すなわち、上記図9の実施例4は、上記図1の実施例1と同様に、2又はそれ以上の複数系統のアンテナを備えたダイバーシティ受信装置に適用することが可能であるが、その場合においても、その基準信号部は参照符号903で示すように、唯一つの基準信号部を備えるだけよい。そのため、装置を構成する部品点数を減らすことができると共に、更に、その全ての系統では、同一の基準信号1201を用いることとなるため、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403が、何れの系統でも完全に同一周波数になるという効果が得られる。即ち、このことによれば、合成部105での周波数制御などの処理における負荷を軽減することが可能になるという効果を奏する。
【0051】
なお、図9の実施例では、上記の基準信号をケーブル上に重畳して伝送するものとして説明したが、更には、当該局部発振部205まで共用し、その局部発振信号をケーブル上に重畳することも可能である。
【実施例5】
【0052】
そして、図13は、上記ISDB-T放送を受信するダイバーシティ受信装置の、特に、復調部305の更に他の構成を示すブロック図である。なお、この図においても、上記図3に示したと同一符号は同一機能を示している。なお、本実施例5では、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号403を入力するための入力部1301と、アナログ−デジタル変換部(以下、A/D変換部) 1302と、直交復調部1303と、そして、高速フーリエ変換部(以下、FFT部) 1304とを備えて構成されている。
【0053】
即ち、本実施例5になる復調部305には、中間周波数帯域に変換された選局チャンネル信号が入力部1301から入力され、A/D変換部1302でデジタル化され、直交復調部1303でベースバンドに変換された後、FFT部1304で時間領域から周波数領域に変換され、もって、出力部302から合成部105へ出力される。
【0054】
これは、ISDB-T信号はOFDM信号であり、当該信号を中間周波数領域に変換することにより、合成部105において、キャリア毎の信号に対して最大比合成などのダイバーシティ合成を行うことを可能とするという効果が得られる。
【0055】
なお、上記においては、ISDB-T放送を受信するダイバーシティ受信装置を中心として説明したが、しかしながら本発明は、ISDB-T放送の受信だけに限らず、その他の放送又は通信における伝送信号の受信に対しても適応可能である。特に、本発明を移動受信装置に適用する場合には、当該装置としては、人により携帯可能なもの、更には、自動車、電車、船舶などに搭載されるもの等、種々の装置に対して適用することが可能であることは、当業者であれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態になる受信装置(実施例1)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記図1の受信装置の主要部分である選局部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】上記図1の受信装置の他の主要部分である入力処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】上記実施例1になる受信装置における動作を説明するためのスペクトル図である。
【図5】本発明の他の実施の形態になる受信装置(実施例2)の主要部分である選局部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態になる受信装置(実施例2)の主要部分である入力処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】上記他の実施の形態になる受信装置(実施例2)における動作を説明するためのスペクトル図である。
【図8】本発明の更に他の実施の形態になる受信装置(実施例3)における動作を説明するスペクトル図である。
【図9】本発明の更に他の実施の形態になる受信装置(実施例4)の概略構成を示すブロック図である。
【図10】上記図9の受信装置の主要部分である選局部の内部構成を示すブロック図である。
【図11】上記図9の受信装置の主要部分である入力処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図12】上記受信装置(実施例4)における動作を説明するためのスペクトル図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態になる受信装置(実施例5)の主要部分である復調部の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
101a、101b…アンテナ
102a、102b、102…選局部
103a、103b…ケーブル
104a、104b、104…入力処理部
105…合成部
106…復号部
107…出力部
108…選局信号の入力部
109…復調再生部
110a、110b…アンテナブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナブロックと復調再生部の間をケーブルで接続されている受信装置において、
前記アンテナブロックは、
送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号を受信するアンテナと、
前記アンテナにより受信されて前記ケーブルを介して供給される前記複数のチャンネル信号から、希望するチャンネル信号を示す選局制御信号を抽出して復調する選局制御信号抽出復調部と、
前記選局制御信号抽出復調部において抽出して復調した選局制御信号を得て、局部発振信号を用いて前記複数のチャンネル信号から希望するチャンネル信号を中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号として前記ケーブルに出力する周波数変換部と、
で構成され、
前記復調再生部は、
前記ケーブルから前記選局チャンネル信号を抽出、復調及び復号して再生信号を得る抽出復調復号部と、
前記選局制御信号に変調を施して被変調選局制御信号として前記ケーブルに出力する選局制御信号変調部と、
で構成されることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
複数のアンテナブロックと復調再生部の間を複数のケーブルで接続されている受信装置において、
複数の前記アンテナブロックは、それぞれ、
送信されている周波数帯域の異なる複数のチャンネル信号を受信するアンテナと、
前記アンテナにより受信されて前記ケーブルを介して供給される前記複数のチャンネル信号から、希望するチャンネル信号を示す選局制御信号を抽出して復調する選局制御信号抽出復調部と、
前記選局制御信号抽出復調部において抽出して復調した選局制御信号を得て、局部発振信号を用いて前記複数のチャンネル信号から希望するチャンネル信号を中間周波数帯域に変換し、選局チャンネル信号として前記ケーブルに出力する周波数変換部と、
で構成され、
前記復調再生部は、
複数の前記ケーブルが接続されており、
複数の前記ケーブルから同一の前記選局チャンネル信号を抽出及び復調する複数の抽出復調部と、
前記抽出復調部の出力信号をダイバーシティ合成して復号し、再生信号を得る合成復号部と、
前記選局制御信号に変調を施して被変調選局制御信号としてそれぞれの複数の前記ケーブルに同一の前記被変調選局制御信号を出力する選局制御信号変調部と、
で構成されることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記被変調選局制御信号の周波数帯域は、前記選局チャンネル信号の前記中間周波数帯域と異なり、交わらないことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記被変調選局制御信号の多重時間は、前記選局チャンネル信号の前記中間周波数帯域の多重時間と異なる期間であることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
前記請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記選局制御信号抽出復調部は前記選局制御信号の応答確認や前記周波数変換部の状態を前記ケーブルに出力し、
前記選局制御信号変調部は、前記応答確認や前記周波数変換部の前記状態を前記ケーブルから抽出することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
前記請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記復調再生部は、前記中間周波数帯域とは異なる周波数の基準信号を前記ケーブルに出力し、
前記局部発振信号は前記ケーブルから抽出した前記基準信号から生成することを特徴とする受信装置。
【請求項7】
前記請求項1又は2に記載の受信装置において、
前記アンテナブロックに自動利得制御を設け、前記選局チャンネル信号の出力レベルを最適化したことを特徴とする受信装置。
【請求項8】
前記請求項2に記載の受信装置において、
前記抽出復調部は、
OFDMが入力され、時間領域から周波数領域に変換する変換部を有し、
前記合成復号部は、周波数軸上でのダイバーシティ合成とすることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
前記請求項8に記載の受信装置において、
前記合成復号部のダイバーシティ合成方法を最大比合成法とすることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−160544(P2008−160544A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347851(P2006−347851)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】