説明

受信装置

【課題】自動周波数制御による中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動にトラップ回路を追従させて、妨害信号を効果的に排除することができる受信装置を提供すること。
【解決手段】受信チャンネルの高周波信号を中間周波信号に変換する周波数変換回路と、周波数変換回路で変換された中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を制御するための制御電圧を出力するAFC回路13と、トラップ周波数が可変可能に構成され、中間周波信号に含まれる希望波信号の近傍に位置する周辺チャンネルの信号を減衰させるトラップ回路6、8とを備え、AFC回路13から出力される制御電圧の電圧レベルに応じて、トラップ回路6、8のトラップ周波数を可変するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル及び/又はアナログテレビジョン放送信号を受信可能な受信装置に係り、特に中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を自動調整する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間周波信号を自動調整する受信装置として、自動周波数制御(AFC: Automatic Frequency Control)により中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を基準周波数に近づけるように制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図5に示すように、従来の受信装置において、図示しないアンテナ素子から受信された高周波信号は、RF同調回路21において同調周波数成分が取り出され、増幅器22において増幅された後、局部発振器23から出力された局部発振信号と共に混合器24に入力される。
【0003】
混合器24に入力された高周波信号は、局部発振信号と掛け合わされて中間周波信号に周波数変換される。混合器24で周波数変換された中間周波信号は、バンドパスフィルタ25、トラップ回路26を介して増幅器27に入力され増幅される。増幅器27を通過した中間周波信号は、SAWフィルタ29において希望波信号が取り出され、復調器31において復調される。また、復調器31にはPLL回路32およびAFC回路33が組み込まれている。
【0004】
PLL回路32に選局データ(分周データ)が入力されると、PLL回路32により局部発振器23の発振周波数が調整される。このとき、AFC回路33において、中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差がDC電圧として出力され、図示しないA/D変換器においてデジタル信号に変換された後にPLL回路32にフィードバックされる。そして、PLL回路32において、フィードバックデータに応じて局部発振器23の発振周波数が調整され、中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が基準周波数に近づくように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−329538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の受信装置においては、中間周波信号の希望波信号の周波数が基準周波数に近づくように制御されるが、中間周波信号の希望波信号の周波数が基準周波数に常に一致するのではなく所定の周波数範囲内で変動するため、トラップ回路26により希望波信号の周辺に位置する妨害信号を効果的に排除することができないという問題があった。
【0007】
例えば、図6(a)に示すように、希望映像信号Pnの近傍に隣接音声信号Sn-1がある場合には、隣接音声信号Sn-1が妨害成分として希望映像信号Pnに影響を与えるため、トラップ周波数からの立ち上がりが急峻となるようにトラップ回路26が設計される。この状態で、中間周波信号の希望映像信号Pnの周波数が所定の範囲内で変動すると、図6(b)に示すように、トラップ回路26のトラップ周波数に対して隣接音声信号Sn-1も変動するため、隣接音声信号Sn-1の減衰量が減少してしまっていた。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、自動周波数制御による中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動にトラップ回路を追従させて、妨害信号を効果的に排除することができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の受信装置は、受信チャンネルの高周波信号を中間周波信号に変換する周波数変換回路と、前記周波数変換回路で変換された中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御回路と、トラップ周波数が可変可能に構成され、前記中間周信号に含まれる希望波信号の近傍に位置する周辺チャンネルの信号を減衰させるトラップ回路とを備え、前記自動周波数制御回路から出力される前記制御電圧の電圧レベルに応じて、前記トラップ回路のトラップ周波数を可変することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を制御するための制御電圧の電圧レベルに応じてトラップ回路のトラップ周波数が可変されるため、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に追従させてトラップ周波数を可変させることができる。したがって、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に伴って周辺チャンネルの信号が変動しても、トラップ回路により周辺チャンネルの信号だけを効果的に減衰させることができる。なお、周辺チャンネルとは、受信チャンネルに隣接する隣接チャンネルだけでなく、受信チャンネルから数チャンネル分離れた位置に存在するチャンネルであっても、信号レベルが高く受信チャンネルの妨害信号となるものも含むものである。
【0011】
本発明は、上記受信装置において、前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と前記中間周波信号の希望波信号の基準周波数とが一致する場合に、前記周辺チャンネルの信号に対する前記トラップ周波数を基準トラップ周波数とし、前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が、前記基準周波数に対して低域側にずれている場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数のずれ分だけ低域側に可変し、前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が、前記基準周波数よりも高域側にずれている場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数のずれ分だけ高域側に可変することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差に合わせてトラップ周波数が可変されるため、常に周辺チャンネルの信号にトラップ周波数が合うように制御され、周辺チャンネルの信号だけを効果的に減衰させることができる。
【0013】
本発明は、上記受信装置において、前記制御電圧の電圧レベルは、前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と前記基準周波数との周波数差に応じて変動し、前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルにある場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数に一致させ、前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルより高い場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記電圧レベルの変動に応じた周波数差分だけ低域側に可変し、前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルより低い場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記電圧レベルの変動に応じた周波数差分だけ高域側に可変することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、制御電圧の電圧レベルが中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差に応じて変動し、制御電圧の電圧レベルの中心電圧レベルに対する電圧差に基づいてトラップ周波数が可変されるため、常に周辺チャンネルの信号にトラップ周波数が合うように制御され、周辺チャンネルの信号だけを効果的に減衰させることができる。
【0015】
本発明は、上記受信装置において、前記希望波信号は、映像信号であり、前記周辺チャンネルの信号は、前記希望波信号の低域側に隣接する音声信号であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、受信チャンネルの映像信号の低域側に隣接する周辺チャンネルの音声信号だけを効果的に減衰させることができる。
【0017】
本発明は、上記受信装置を前記周波数変換回路と前記自動周波数制御回路との間に増幅回路を設け、前記トラップ回路を、前記周波数変換回路と前記増幅回路との間、及び前記増幅回路と前記自動周波数制御回路との間にそれぞれ設けて構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動周波数制御による中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数の変動にトラップ回路を追従させて、妨害信号を効果的に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る受信装置の実施の形態を示す図であり、テレビジョンチューナの模式図である。
【図2】本発明に係る受信装置の実施の形態を示す図であり、受信チャンネルの希望波信号の周波数と制御電圧との関係を示す図である。
【図3】本発明に係る受信装置の実施の形態を示す図であり、第1のトラップ回路の回路構成図である。
【図4】本発明に係る受信装置の実施の形態を示す図であり、トラップ周波数の周波数制御の一例を説明するための図である。
【図5】従来例を示す図であり、テレビジョンチューナの模式図である。
【図6】従来例を示す図であり、受信チャンネル信号と隣接チャンネル信号との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明を放送信号受信用のテレビジョンチューナに適用した構成を例示して説明するが、テレビジョンチューナだけでなく、本発明を携帯電話、近距離無線端末等に適用することも可能である。図1は、本発明の実施の形態に係るテレビジョンチューナの模式図である。
【0021】
図1に示すように、図示しないアンテナ素子から受信された高周波信号は、RF同調回路1において同調周波数成分が取り出される。RF同調回路1を通過した高周波信号は、増幅器2において増幅され、局部発振器3から出力された局部発振信号と共に混合器4に入力される。混合器4に入力された高周波信号は、局部発振信号と掛け合わされて中間周波信号に周波数変換される。
【0022】
混合器4で周波数変換された中間周波信号は、バンドパスフィルタ5において中間周波数成分が取り出され、第1のトラップ回路6において妨害信号が抑制される。第1のトラップ回路6を通過した中間周波信号は、増幅器7において増幅され、第2のトラップ回路8において妨害信号が抑制され、SAWフィルタ9に入力される。SAWフィルタ9に入力された中間周波信号は、受信チャンネルの映像信号および音声信号が取り出され、復調器11において復調される。
【0023】
復調器11にはPLL回路12とAFC回路13が組み込まれている。PLL回路12は、図示しないバックエンドから選局データが入力されると、選局データに応じて局部発振器3の発振周波数を調整する。このとき、AFC回路13から出力された制御電圧に応じて、PLL回路12により受信チャンネルの希望波信号に合わせるように局部発振器3の発振周波数が制御される。
【0024】
具体的には、AFC回路13は、各受信チャンネルの高周波信号が周波数変換される同一の中間周波数について基準周波数を有しており、復調器11に入力された実際の中間周波信号の希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差をDC電圧として出力する。図2に示すように、AFC回路13から出力された制御電圧の電圧レベルは、所定の周波数範囲内において上下方向に変動可能に構成されている。具体的には、基準周波数を中心電圧レベルとして、周波数変換された中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が、基準周波数よりも低域側の場合に電圧レベルが中心電圧レベルより高くなり、基準周波数よりも高域側の場合に電圧レベルが中心電圧レベルより低くなる。
【0025】
このように、制御電圧の電圧レベルは、復調器11に入力された中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差に応じて変動する。AFC回路13から出力された制御電圧は、図示しないA/D変換器においてデジタル信号に変換された後にPLL回路12にフィードバックされる。そして、PLL回路12にフィードバックデータが入力されると、PLL回路12によりフィードバックデータに応じて局部発振器3の局部発振信号が調整され、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数が基準周波数に近づくように制御される。
【0026】
また、第1、第2のトラップ回路6、8は、受信チャンネルの希望波信号に対して低域側に隣接する隣接チャンネルの妨害信号を減衰させるように構成されている。第1、第2のトラップ回路6、8は、AFC回路13から入力された制御電圧によりトラップ周波数が可変され、このトラップ周波数は中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に追従される。したがって、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に伴って隣接チャンネルの妨害信号が変動しても、隣接チャンネルの妨害信号にトラップ周波数が合わせられる。
【0027】
図3を参照して、第1、第2のトラップ回路の詳細構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る第1のトラップ回路の回路構成図である。なお、第2のトラップ回路については、第1のトラップ回路と略同一の回路構成であるため説明を省略する。
【0028】
図3に示すように、第1のトラップ回路6は、コンデンサC1、コンデンサC2、抵抗R1およびインダクタLからなるブリッジT型トラップ回路15を有して構成されている。抵抗R1は、入力端子16および出力端子17の間に設けられ、一端がコンデンサC1の一端に接続されると共に、他端がコンデンサC2の一端に接続されている。コンデンサC1の他端およびコンデンサC2の他端は、インダクタLの一端に接続されており、インダクタLの他端はコンデンサC3を介してグランドに接地されている。
【0029】
また、コンデンサC1とコンデンサC2の接続点は、バラクタダイオードDのアノードに接続されており、バラクタダイオードDのカソードはコンデンサC4を介してグランドに接地されている。すなわち、この第1のトラップ回路6は、ブリッジT型トラップ回路15のインダクタLにバラクタダイオードDを並列に接続して構成されている。このように、第1のトラップ回路6では、インダクタLにバラクタダイオードDを並列に接続してL成分を大きくみせている。
【0030】
インダクタLとコンデンサC3との接続点は、端子18を介してAFC回路13に接続され、バラクタダイオードDとコンデンサC4との接続点は端子19および抵抗R2を介して固定電源Vに接続されている。そして、バラクタダイオードDのアノードにはインダクタLを介してAFC回路13から出力された制御電圧が印加され、カソードには抵抗R2を介して固定電源Vから出力された固定電圧が印加される。
【0031】
この場合、バラクタダイオードDは、制御電圧よりも固定電圧が大きいときに可変容量として機能する。そして、AFC回路13からバラクタダイオードDのアノードに印加される電圧が可変されることで、第1のトラップ回路6の共振周波数(トラップ周波数)が調整される。このように構成された第1のトラップ回路6は、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数が基準周波数に一致するときに、トラップ周波数が妨害信号の周波数に一致するように各構成要素の設定値が規定されている。
【0032】
すなわち、この中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数が基準周波数に一致するときのトラップ周波数を基準トラップ周波数とすると、AFC回路13から出力される制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルのときに第1のトラップ回路6の共振周波数が基準トラップ周波数に一致するように構成されている。
【0033】
そして、AFC回路13から出力される制御電圧が中心電圧レベルよりも低い場合には、バラクタダイオードDの容量が減少し、インダクタLのL成分が等価的に小さくなってトラップ周波数が高域側に変動する。このトラップ周波数の変動量は、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動量に一致するように第1のトラップ回路6の各構成要素の設定値が規定されている。よって、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数が基準周波数よりも大きい場合には、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差分だけトラップ周波数が高域側に変動する。同様に、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数が基準周波数よりも小さい場合には、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数と基準周波数との周波数差分だけトラップ周波数が低域側に変動する。
【0034】
図4を参照して、トラップ周波数の周波数制御について説明する。図4は、トラップ周波数の周波数制御の一例を説明するための図である。なお、図4において、(a)は受信チャンネルの映像信号の周波数が基準周波数に一致する場合、(b)は受信チャンネルの映像信号の周波数が基準周波数の高域側に変動した場合、(c)は受信チャンネルの映像信号の周波数が基準周波数の低域側に変動した場合をそれぞれ示している。また、図4における破線Wはトラップ波形を示している。
【0035】
図4(a)に示すように、受信チャンネルの映像信号Pnの周波数が基準周波数f0に一致する場合には、隣接チャンネルの音声信号Sn-1が基準トラップ周波数f1に位置する。この場合、AFC回路13から出力される制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルであるため、トラップ周波数が基準トラップ周波数f1に位置する。よって、第1、第2のトラップ回路6、8により隣接チャンネルの音声信号だけが減衰される。
【0036】
図4(b)に示すように、受信チャンネルの映像信号Pnの周波数が基準周波数f0に対して高域側に変動した場合には、隣接チャンネルの音声信号Sn-1も受信チャンネルの映像信号Pnの変動分だけ基準トラップ周波数f1に対して高域側に変動する。この場合、AFC回路13から出力される制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルよりも低くなるため、トラップ周波数が基準トラップ周波数f1に対して受信チャンネルの映像信号Pnの変動分だけ高域側に変動する。よって、トラップ周波数が隣接チャンネルの音声信号Sn-1の周波数に合わせられ、隣接チャンネルの音声信号Sn-1だけが減衰される。
【0037】
図4(c)に示すように、受信チャンネルの映像信号Pnの周波数が基準周波数f0に対して低域側に変動した場合には、隣接チャンネルの音声信号Sn-1も受信チャンネルの映像信号Pnの変動分だけ基準トラップ周波数f1に対して低域側に変動する。この場合、AFC回路13から出力される制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルよりも高くなるため、トラップ周波数が基準トラップ周波数f1に対して受信チャンネルの映像信号Pnの変動分だけ低域側に変動する。よって、トラップ周波数が隣接チャンネルの音声信号Sn-1の周波数に合わせられ、隣接チャンネルの音声信号Sn-1だけが減衰される。
【0038】
なお、上記のトラップ周波数の周波数制御において、隣接チャンネルの音声信号を減衰させる構成としたが、この構成に限定されるものではない。受信チャンネルの希望波信号に対して妨害信号となるものであれば、受信チャンネルの希望波信号の高域側に位置する妨害信号を減衰させてもよい。すなわち、周辺チャンネルとは、受信チャンネルに隣接した隣接チャンネルのみならず、受信チャンネルから±数チャンネル以内に位置するチャンネルを含むものである。これは、受信チャンネルから±数チャンネル離れて位置していても、信号レベルの高さによっては妨害信号となりうるからである。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係るテレビジョンチューナによれば、制御電圧の電圧レベルに応じて第1、第2のトラップ回路6、8のトラップ周波数が可変されるため、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に追従させてトラップ周波数を可変させることができる。したがって、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動に伴って妨害信号が変動しても、トラップ回路により妨害信号だけを効果的に減衰させることができる。
【0040】
なお、上記した実施の形態においては、本発明をデジタル及び/又はアナログのテレビジョン放送信号チャンネルに同調する受信装置に適用したが、この構成に限定されるものではない。例えば、本発明をデジタル及び/又はアナログのテレビジョン放送信号チャンネルに加え、携帯電話用の通信チャンネル、近距離無線通信端末用の通信チャンネルに同調可能な複合装置に適用することも可能である。
【0041】
また、上記した実施の形態においては、AFC回路により中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を基準周波数に合わせるように局部発振器の発振周波数を制御する構成としたが、中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の基準周波数に対するずれを補正可能な構成であれば、AFC回路に限定されるものではない。
【0042】
また、上記した実施の形態においては、第1のトラップ回路および第2のトラップ回路により2段階で妨害信号を減衰させる構成としたが、1つのトラップ回路により妨害信号を減衰させる構成としてもよいし、3つ以上のトラップ回路により妨害信号を減衰させる構成としてもよい。
【0043】
また、上記した実施の形態においては、復調器にPLL回路およびAFC回路が組み込まれる構成としたが、復調器とは別に、PLL回路およびAFC回路を設ける構成としてもよい。
【0044】
また、上記した実施の形態においては、トラップ回路をブリッジT型トラップ回路のインダクタにバラクタダイオードを並列に接続して構成したが、この構成に限定されるものではない。中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動にトラップ周波数を追従可能な構成であればどのような構成であってもよい。
【0045】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、自動周波数制御による中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数の変動にトラップ回路を追従させて、妨害信号を効果的に排除することができるという効果を有し、特に、デジタル及びアナログテレビジョン放送信号を受信可能な受信装置に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 RF同調回路(同調回路)
3 局部発振器
4 混合器(周波数変換回路)
6 第1のトラップ回路(トラップ回路)
7 増幅器
8 第2のトラップ回路(トラップ回路)
12 PLL回路
13 AFC回路(自動周波数制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信チャンネルの高周波信号を中間周波信号に変換する周波数変換回路と、
前記周波数変換回路で変換された中間周波信号に含まれる希望波信号の周波数を制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御回路と、
トラップ周波数が可変可能に構成され、前記中間周信号に含まれる希望波信号の近傍に位置する周辺チャンネルの信号を減衰させるトラップ回路とを備え、
前記自動周波数制御回路から出力される前記制御電圧の電圧レベルに応じて、前記トラップ回路のトラップ周波数を可変することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と前記中間周波信号の希望波信号の基準周波数とが一致する場合に、前記周辺チャンネルの信号に対する前記トラップ周波数を基準トラップ周波数とし、
前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が、前記基準周波数に対して低域側にずれている場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数のずれ分だけ低域側に可変し、
前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数が、前記基準周波数よりも高域側にずれている場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数のずれ分だけ高域側に可変することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御電圧の電圧レベルは、前記中間周波信号に含まれた希望波信号の周波数と前記基準周波数との周波数差に応じて変動し、
前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルにある場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数に一致させ、
前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルより高い場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記電圧レベルの変動に応じた周波数差分だけ低域側に可変し、
前記制御電圧の電圧レベルが中心電圧レベルより低い場合、前記トラップ周波数を前記基準トラップ周波数から前記電圧レベルの変動に応じた周波数差分だけ高域側に可変することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記希望波信号は、映像信号であり、前記周辺チャンネルの信号は、前記希望波信号の低域側に隣接する音声信号であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の受信装置。
【請求項5】
前記周波数変換回路と前記自動周波数制御回路との間に増幅回路を設け、
前記トラップ回路を、前記周波数変換回路と前記増幅回路との間、及び前記増幅回路と前記自動周波数制御回路との間にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−213177(P2010−213177A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59434(P2009−59434)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】