説明

口金並びに塗液の塗布装置および塗布方法

【課題】複数の吐出孔からの塗液の吐出、それによる塗布にムラが生じないようにした口金、ならびにその口金を用いた塗液の塗布装置および塗布方法、とくにプラズマディスプレイパネルの隔壁のように、一定の凹凸状のパターンが形成された基材の複数の凹部に、塗布口金から高粘度の蛍光体ペーストを塗布するに際し、適正量の蛍光体ペーストを所望の均一な形態で塗布できるようにした塗布装置および塗布方法を提供する。
【解決手段】塗液を溜める塗液溜め部と、前記塗液溜め部の内側から外側に開口する複数の吐出孔と、前記塗液溜め部に塗液を供給するための複数の塗液供給口を有し、各塗液供給口には、その上流の塗液供給源からの塗液の流れを分岐させて塗液を各塗液供給口に供給するためのトーナメント形流路に接続されていることを特徴とする口金とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗液を塗布するための口金、ならびに、その口金を用いて基材の表面にペースト状の塗液を塗布する塗液の塗布装置および方法に関する。本発明は、とくに、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称することもある。)、液晶カラーフィルター(以下、LCMと略称することもある。)、光学フィルタ、プリント基板、半導体等の製造分野に適用して好適なものであり、特に高粘度塗液を塗布するPDP製造工程における、ガラス基板などの被塗布対象物表面に非接触で塗液を吐出しながら薄膜パターンを形成する塗液の塗布用口金ならびに塗液の塗布装置および塗布方法に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイはその方式において次第に多様化してきている。現在注目されているものの一つが、従来のブラウン管よりも大型で薄型軽量化が可能なプラズマディスプレイである。これは、前面板と背面板の間に形成された放電空間内で放電を生じさせ、この放電によりキセノンガスから波長147nmを中心とする紫外線が生じて、この紫外線が蛍光体を励起することによって表示が可能となる。赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体を塗り分けた放電セルを駆動回路によって発光させることにより、フルカラー表示に対応できる。
【0003】
また、最近活発に開発が進められているAC型プラズマディスプレイは、表示電極/誘電体層/保護層を形成した前面ガラス板と、アドレス電極/誘電体層/隔壁層/蛍光体層を形成した背面ガラス板とを貼り合わせ、ストライプ状の隔壁で仕切られた放電空間内にHe−Xe、または、Ne−Xeの混合ガスを封入した構造を有している。
【0004】
R、G、Bの各蛍光体層は、粉末状の蛍光体粒子を主成分とする蛍光体ペーストが背面板に形成された各色毎に一方向に延びる隔壁により形成された凹凸部の凹部にストライプ状に充填されてなる。
【0005】
蛍光体がストライプ状に構成されているという構造は、ストライプ形ブラックマトリックス式のカラー受像管のパネルも有している。
【0006】
このような構造のものを高い生産性と高品質で製造するには、蛍光体を一定のパターン状に塗り分ける技術が重要となる。
【0007】
例えば、特許文献1には、プラズマディスプレイパネルの隔壁間を対象に、塗布口金で塗布する方法が開示されている。
【0008】
この口金においては、複数の吐出孔が一定間隔をおいて略一直線状に穿設されており、口金内部には塗液溜り部を有している。
【0009】
また、口金上部には、塗液溜り部に塗液を供給する塗液供給口が設けられている。
【0010】
上記のような口金においては、塗液供給口から塗液が供給されると塗液溜り部の内圧が上昇し、これによって所定量の塗液が吐出孔から吐出され、基材表面に塗液が塗布されるようになっている。
【0011】
また、この口金は、内部に塗液溜まりと塗液上部の空間を有し、この上部空間に圧空を注入しその圧力で塗液を口金より押し出す構造が必要である。なぜなら、口金内に塗液を充満させポンプなどで定量液送する構造では、塗液である蛍光体ペーストの粘度が高い場合、塗液の配管圧損が大きく、塗布開始遅れが顕著となるからである。
また、前記塗液上部に空間を有する口金では、蛍光体ペーストを塗布対象物である基材へ塗布した後、塗布した量と同量の蛍光体ペースト量を再び口金内へ供給する必要がある。
【0012】
ところが、特許文献1に開示されたような塗液の塗布においては、以下のような問題がある。
【0013】
すなわち、蛍光体ペーストを口金内へ供給するとき、口金上部から蛍光体ペーストを単に自由落下させるような方法を採用すれば、蛍光体ペーストに気泡が混入する恐れがある。気泡が混入すると、その気泡が口金の吐出孔から出る時に吐出したペーストが途切れ、塗布不良を起こす。
【0014】
また、蛍光体ペーストを口金内へ供給するとき、一箇所から供給したのでは時間がかかる。また、蛍光体ペーストが高粘度であれば、液面が口金内で平坦になるのに時間がかかる。
【0015】
また、口金から吐出される蛍光体ペーストの吐出量は、口金内に溜めている蛍光体ペーストのヘッドと蛍光体ペースト上部の空間に供給される圧空の圧力の和により決まるため、吐出量を一定に保つためにも蛍光体ペーストの液面高さを一定に保持する必要がある。
【0016】
特に複数の吐出孔を有する口金の場合、蛍光体ペーストの液面高さを一定に、かつ、平坦に保持しておかないと、各吐出孔からの吐出量にバラツキが生じ、塗布ムラ等を引き起こす。従って、口金内には複数の塗液供給口から塗液を供給することが好ましい。
【0017】
しかし、複数の塗液供給口から塗液を供給すると、塗布ムラが発生するおそれがあることがわかった。本願発明者の検討によれば、複数の塗液供給口から供給された蛍光体ペーストは、口金内のある定まった位置で必ず合流して留まるが、この合流箇所付近の吐出孔から吐出される蛍光体ペーストが塗布ムラを引き起こしていることがわかった。
【0018】
すなわち、口金へ蛍光体ペーストを供給するとき、蛍光体ペーストには、管内などを流れるときに作用するようなせん断応力が作用する。そして、蛍光体ペーストのような高粘度ペーストは、そのせん断応力の大きさや作用する時間によって、粘度変化が生じる。せん断を受けて口金内へ供給された蛍光体ペーストの一部は、必ず合流箇所に到達して留まる。
【0019】
合流する箇所における蛍光体ペーストは、せん断応力の大きさや、それが作用する時間が他の部分における蛍光体ペーストとは異なり、従って、他の部分の蛍光体ペーストより粘度が著しく変化している。吐出孔から吐出させるために蛍光体ペーストに圧をかける際、同一圧力の下では吐出量とペーストの粘度には相関があり、その結果、この合流箇所付近の吐出孔から吐出される蛍光体ペーストの量は他の部分と異なることになり、塗布ムラ等の塗布不良を引き起こすわけである。
【特許文献1】特開平10−27543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで本発明の課題は、上述のような種々の問題点に着目し、複数の吐出孔からの塗液の吐出、それによる塗布にムラが生じないようにした口金、ならびにその口金を用いた塗液の塗布装置および塗布方法、とくにプラズマディスプレイパネルの隔壁のように、一定の凹凸状のパターンが形成された基材の複数の凹部に、塗布口金から高粘度の蛍光体ペーストを塗布するに際し、適正量の蛍光体ペーストを所望の均一な形態で塗布できるようにした塗布装置および塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明に係る口金は、塗液を溜める塗液溜め部と、該塗液溜め部の内側から外側に開口する複数の吐出孔と、該塗液溜め部に塗液を供給するための複数の塗液供給口を有し、各塗液供給口には、その上流の塗液供給源からの塗液の流れを分岐させて塗液を各塗液供給口に供給するためのトーナメント形流路に接続されていることを特徴とするものからなる。つまり、口金の塗液溜め部内に塗液を供給するとき、複数の塗液供給口の供給流量を揃えるために、塗液は塗液供給源からトーナメント形流路を通って各塗液供給口に流れるようにされている。
【0022】
また、上記塗液供給口の先端はパイプ形状に形成されており、その先端は塗液溜め部内の塗液中に浸かるように設けられていることが好ましい。つまり、塗液を供給するとき、とくに、気泡が混入しないように、供給口をパイプ形状にし、その先端が塗液中に浸かっている構造である。
【0023】
また、隣り合う塗液供給口の間隔は全て等しいことが好ましい。つまり、各塗液供給口からの供給流量が同じで、塗液液面高さの平坦性を考慮すれば、隣り合う塗液供給口の間隔は全て等しいことが望ましい。
【0024】
また、上記トーナメント形流路は、パイプで構成することもできるし、溝を形成した板材を貼りあわせて構成することもできる。とくに後者の構成では、貼りあわせた板材を取り外して容易に流路内部を洗浄することができるので、洗浄性に富む。
【0025】
また、塗液供給口の上流には塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁を設けることができる。また、隣り合う塗液供給口の少なくとも一方の塗液供給口の上流に流量調整制御弁を設けた構成を採用することもできる。この供給流量調整制御弁とは、単に弁を開閉させるものであったり、あるいは絞り要素があって、一度の開時に経時的に供給流量を変化させたり、一度の開時では供給流量は変えずに、サイクル的に供給の機会毎に供給流量を変化させたりすることができる弁のことである。このような構成をとれば、各塗液供給口から供給される塗液が塗液溜め部内で合流する位置を揺さぶる(移動させる)ことが可能になる。つまり、各塗液供給口からの供給流量の調整制御弁に変化を持たせれば(供給の機会毎、あるいは経時的)、合流する位置を移動させることができる。また、隣り合う塗液供給口の少なくとも一方の塗液供給流量に変化を持たせれば、合流する位置を移動させることができる。これにより、合流位置に留まっていた、あるいは、留まろうとする塗液に揺さぶりをかけることができ、塗液の粘度が著しく変化することはなく、塗布ムラは発生しない。
【0026】
また、上記とは別の形態で、合流する位置を移動させることもできる。たとえば、前記複数の塗液供給口が2つのグループに分けられ、ぞれぞれのグループに対しトーナメント形流路が形成されている構造を採用できる。つまり、同じグループの中の塗液供給口から供給される供給量は、各トーナメント形流路により揃えられる。仮に、塗液供給口が4箇所で直線状に配置され、各供給口は(1)(2)(3)(4)の順で並んでいるとする。そしてこれらを、(1)と(2)、(3)と(4)という2つのグループに分け、それぞれのグループでトーナメント形流路を形成しているとする。これにより、4箇所同時に供給することもできるし、(1)と(2)だけ、あるいは(3)と(4)だけから供給することができる。(1)(2)(3)(4)同時に供給した場合、それぞれの塗液供給口の間には、塗液が合流する箇所(境界)が発生し、そこから吐出される塗液が塗布ムラを引き起こす。そこで、合流する箇所を移動させる(ぼかす)ために、まず(1)と(2)だけから供給すると、(1)と(2)の間に合流箇所が発生するが、(3)と(4)からは供給していないので、時間とともに塗液が(3)と(4)の方向に流れ、(1)と(2)の合流する境界も移動してぼけてくる。これにより塗布ムラはなくなる。しかし、延々と(1)と(2)だけから供給したのでは、塗液が高粘度であれば流れにくいために、(3)(4)側の塗液が無くなったり、あるいは(1)(2)側と(3)(4)側で塗液の液面高さが大きく異なって塗布不良が発生する。従って、そうならないように、今度は(3)と(4)から供給するよう切り替える。つまり、(1)と(2)だけ、(3)と(4)だけの供給をある回数、交互に続ければ、合流位置はその都度移動し、塗布ムラは発生しない。なお、複数の塗液供給口を2つのグループに分けて言及したが、2つ以上のグループであればいずれでもよく、同様の効果が得られる。
【0027】
あるいは、前記塗液供給口が4箇所以上設けられ、直線状に配された塗液供給口が一つおきに2つのグループに分けられ、それぞれのグループに対しトーナメント形流路が形成されている構造とすることもできる。つまり、上記と同様、塗液供給口が4箇所の場合、(1)と(3)、(2)と(4)が同じグループとなってトーナメント形流路で繋がっている。これにより、4箇所同時に供給することもできるし、(1)と(3)だけ、あるいは(2)と(4)だけから供給することができる。仮に、(1)(2)(3)(4)の間隔を同じにした場合、まず、(1)と(3)だけから供給すると、塗液は(2)の位置で合流することになる。同じく、(2)と(4)だけから供給すると、塗液は(3)の位置で合流することになる。つまり、片方のグループ((1)と(3))から供給すると、その間の合流する位置((2))で塗布ムラが発生するわけだが、塗布ムラが発生する前に、もう片方のグループ((2)と(4))から供給すると、先に発生した合流位置を強制的にかき乱す(移動させる)ことになるので、塗布ムラは発生しない。前述したのと同様、(1)と(3)だけ、(2)と(4)だけの供給をある回数、交互に続ければよい。またこの構成は、前述した構成に比べ、液面高さの平坦性には有利である。説明の都合上、(1)(2)(3)(4)はそれぞれ同間隔としたが、これに限定されるものではない。先に合流する位置に後で直接供給すれば強制的にかき乱すことができるが、合流する位置付近でも、合流位置を移動させることは十分できる。また、2つのグループの各々のトーナメント形流路の上流に塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁を設けることができる。この供給流量調整制御弁とは、単に弁を開閉させるものであったり、あるいは絞り要素があって、一度の開時に経時的に供給流量を変化させたりすることができる弁のことである。このような構成をとれば、それぞれのグループからの供給や停止を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る口金は、複数の吐出孔は直線状に配され、複数の塗液供給口は吐出孔の配列方向に略並行に直線状に配されている構成をとることができる。
【0029】
本発明に係る塗液の塗布装置は、基材を固定するテーブルと、基材に対面して設けられ、基材に所定量の塗液を塗布する口金と、テーブルと口金を3次元的に相対移動させる移動手段と、口金への塗液の供給源である塗液タンクを有する塗布装置において、該塗液タンクと口金の間に塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁と、該供給流量調整制御弁の流量を制御する制御手段を備え、前記口金に、前述したような口金を用いることを特徴とするものからなる。
【0030】
このような塗液の塗布装置においては、前記口金の塗液溜め部内の塗液量を検出する検出手段を有し、塗液量の検出結果に応じて、塗液タンクと口金の間の塗液の供給流量調整制御弁を制御することで、塗液タンクから口金へ塗液を供給することができる。この塗液溜め部内の塗液量を検出する手段としては、たとえば、塗液液面高さを検出するセンサーを用いることができる。
【0031】
このような塗液の塗布装置は、とくにプラズマディスプレイパネル用基材の製造に有用である。すなわち、本発明に係るプラズマディスプレイパネル用基材の製造装置は、前記基材がプラズマディスプレイ用発光基板であって、前記塗液が赤色、緑色、青色のいずれかの色に発光する蛍光体粉末を含むペーストであり、上記のような塗布装置を用いたことを特徴とするものからなる。
【0032】
本発明に係る塗液の塗布方法は、複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対面させて口金と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、前記口金は複数の塗液供給口を有し、それぞれの塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜め部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給し、塗液を塗布することを特徴とする方法からなる。
【0033】
この方法においては、複数の塗液供給口の、各塗液供給口からの塗液の供給流量を経時的に変化させて、それぞれの塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜め部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給することができる。また、基材への塗液の塗布と、前記口金の塗液溜め部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を供給の度ごとに変えて、各塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜め部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給することもできる。
【0034】
また、本発明に係る塗液の塗布方法は、複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対面させて供給と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、前記口金に前述のような口金を用いて塗液を塗布することを特徴とする方法からなる。
【0035】
この方法においては、基材への塗布と、前記口金の塗液溜め部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を、供給の度ごとに変えることができる。また、複数の塗液供給口が2つのグループに分けられている場合には、基材への塗布と、前記口金の塗液溜め部内への塗液の供給とを繰り返す際、各グループの塗液供給口からの塗液の供給を、供給の機会ごとに交互に切り替えることができる。その際、各グループの塗液供給口からの塗液の供給を、例えば2回、あるいはそれ以上続けて、その後はこの供給動作を各グループで交互に繰り返すこともできる。また、一方のグループの塗液供給口からの塗液の供給と、もう一方のグループの塗液供給口からの塗液の供給と、両方のグループの塗液供給口からの塗液の供給を、一定の回数と周期で繰り返すこともできる。
【0036】
このような塗液の塗布方法においては、前記口金の塗液溜め部内の塗液量を検出し、その検出結果に応じて前記口金に塗液を供給することができる。本発明に係るプラズマディスプレイパネル用基材の製造方法は、前記基材がプラズマディスプレイ用発光基板であって、前記塗液が赤色、緑色、青色のいずれかの色に発光する蛍光体粉末を含むペーストであり、上述したような塗布方法を用いて塗液を塗布する工程を含むことを特徴とする方法からなる。
【0037】
本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、上記のような方法により製造したプラズマディスプレイパネル用基材を用いたことを特徴とするものからなる。
【発明の効果】
【0038】
また、本発明に係る口金によれば、口金へ蛍光体ペースト等の塗液を供給するときに、トーナメント形流路により塗液溜め部内に均等に供給でき、しかも、各塗液供給口から供給された塗液の合流位置を変動させることができるので、各吐出孔からの均一な吐出量を確保できるとともに、塗液中に気泡が混入することを防止でき、塗布不良の発生を防止することができる。したがって、塗布ムラなく、長時間にわたって安定な塗布が可能となる。
【0039】
このような口金を用いた本発明に係る塗液の塗布装置および塗布方法によれば、基材への塗布について、高生産性と高品質化が可能となる。
【0040】
また、本発明のプラズマディスプレイパネル用基材の製造方法およびプラズマディスプレイによれば、上記塗液の塗布装置および塗布方法を使用するので、品質の高いプラズマディスプレイパネルを、長期に渡って安定生産が可能となり、結果的に高い生産性、かつ、安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、塗布対象物に塗液を塗布する複数の吐出孔が略一直線状に配列されるとともに、内部に塗液溜り部を有する口金であって、前記塗液溜り部に、吐出孔の配列方向に略直交する方向に延びる支柱を設けた口金である。
【0042】
上記口金の塗液溜め部に塗液を供給するために複数の塗液供給口を有し、各塗液供給口には、その上流の塗液供給源からの塗液の流れを分岐させて塗液を各塗液供給口に供給するためのトーナメント形流路に接続されている口金である。
【0043】
そして、各塗液供給口からの塗液の供給流量を経時的に変化させ、あるいは、基材への塗液の塗布と、前記口金の塗液溜り部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を供給の度ごとに変えて、それぞれの塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜り部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給し、塗液を塗布することが好ましい。
【0044】
そして、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する時、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすように前記直径(D)および間隔(C)を規定することが好ましい。
【0045】
そして、表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記基材と口金の相対速度(V)と、口金の吐出孔からの塗液の吐出速度(v)が0<V/v≦1の条件を満たすことが好ましい。
【0046】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
図3は、本発明に係る口金、該口金を用いた塗液の塗布装置の斜視図である。この塗布装置は、被塗布基材1(本実施態様においては、プラズマディスプレイ用発光基板)の上面において所定の方向に複数列のストライプ状の塗液の塗着部を形成する装置である。図3において、塗布装置は、機台2上にX軸方向に延びるXスライドレール3a、3bを有している。Xスライドレール3a、3b上にはX軸方向にスライド走行可能にXスライドテーブル4が設けられている。Xスライドテーブル4には、該テーブル4をX軸方向にスライドさせるための駆動軸5が係合されている。Xスライドテーブル4はX軸モータ6によりX軸方向にスライドされるようになっている。基材1は、Xスライドテーブル4上に位置決めされ着脱自在に吸着支持される。
【0048】
機台2の上方には、該機台2を跨ぐように門型の支持機台7が設けられている。支持機台7は手前側の側面7aに、Y軸方向に延びるYスライドレール8a、8bを有している。Yスライドレール8a、8b上にはY軸方向にスライド走行可能にYスライドテーブル9が設けられている。Yスライドテーブル9には、該テーブル9をY軸方向にスライドさせるための駆動軸10が係合されている。Yスライドテーブル9はY軸モータ11によりY軸方向にスライドされるようになっている。Xスライドテーブル4、Yスライドテーブル9等により口金18と被塗布基材1とを塗布方向(X軸、Y軸方向)に相対移動させる第1の移動手段29aが構成されている。
【0049】
Yスライドテーブル9上には、Z軸方向に延びるZスライドレール12a、12bが設けられている。Zスライドレール12a、12b上にはZ軸方向にスライド走行可能にZスライドテーブル13が設けられている。Zスライドテーブル13には該テーブル13をZ軸方向にスライドさせるための駆動軸14が係合されている。Zスライドテーブル13は、Z軸方向位置制御手段41に連結されるZ軸モータ15によりZ軸方向、すなわち口金18を基材1に接近、離間させる方向にスライドされるようになっている。このようにして、第2の移動手段29bが構成されている。
【0050】
Zスライドテーブル13には、口金18が取り付けられている。Yスライドテーブル9には、口金18のY軸方向の位置を検出するための位置センサ17が取り付けられている。位置センサ17は、支持機台7の上面においてY軸方向に設けられたセンサ支持軸16に移動自在に支持されている。Y軸モータ11には、Yスライドテーブル9の移動速度を変更するためのY軸方向速度制御手段20が連結されている。
【0051】
口金18は図3のY軸方向に移動され、口金18の吐出孔形成部材32に所定の間隔にて略一直線状に設けられている複数個の吐出孔18aから塗液を吐出し、基材1上に、複数列の塗着ストライプ19を形成するようになっている。なお、吐出孔18aは等間隔に配列することもできるが、所定の周期でその間隔を変更して形成することもできる。
【0052】
図4は図3に示した塗布装置をX軸方向から見た口金18周辺をあらわしている。Zスライドテーブル13に取り付けられているカメラ22にて基材1の中の代表となる凹部21を撮像し、画像位置処理部23を介してX軸位置制御部24にてXスライドテーブル4を移動し、代表となる凹部21の中央と該代表となる凹部21に対応する口金18の中の代表となる吐出孔18aの中央がほぼ一致するよう制御される。つまり、図5に示すように、基材1の代表となる凹部21の画像と画像処理のカーソル50の中央との差異ΔXをXスライドテーブル4をX軸方向に移動して補正するようになっている。
【0053】
なお、上記代表となる凹部21は、凹部配列方向中央の凹部21である。また、代表となる吐出孔18aは、その配列方向中央の吐出孔18aである。代表となる凹部21および代表となる吐出孔18aをそれぞれその配列方向中央の凹部21、吐出孔18aに設定すれば、配列方向端部における凹部21と吐出孔18aとの中央の位置ずれを最小限に抑制することができる。
【0054】
図6は、口金18の縦断面図である。口金18は、内部に塗液溜り部30が形成される塗液溜り部形成部材31と、該部材31と互いに接合される吐出孔形成部材32と蓋部材33とを有している。なお、各部材31、32、33は、溶接、拡散接合、接着、あるいはボルトによる締結等により互いに強固に接合できる。蓋部材33には、塗液溜り部30内に塗液34を供給する塗液供給口35と、塗液溜り部30の上部に形成される空間部36内に圧縮空気を送入する圧縮空気供給口37が設けられている。
【0055】
圧縮空気供給口37には、管路からなる気体圧力導通路38の一端が連結されている。気体圧力導通路38の他端は、設定圧に維持された圧力を有する気体圧力源40に開口されている。気体圧力導通路38には、方向切替弁からなる開閉手段39が設けられ、開閉手段39の開閉切り替えにより、空間部36と気体圧力源40との連通と遮断が行われる。空間部36と気体圧力源40とが連通されると、空間部36内に圧縮空気が送入され、空間部36の内圧が上昇し、これに伴い一定量の塗液30が吐出孔18aから吐出されるようになっている。開閉手段39は口金18の吐出孔18aの位置と基材1の相対位置を検出し、開閉手段39のタイミングを制御する図示しない位置検出、吐出制御手段にて開閉のタイミングが制御されるようになっている。
【0056】
塗液溜り部30内には、図6、図7に示すように吐出孔18aの配列方向に直交する方向に延びる支柱41が設けられている。支柱41は、吐出孔18aの配列方向に沿って等間隔に複数配列されている。本実施態様においては、支柱41の断面形状は円形になっているが、これに限定されるものではなく楕円形、三角形、四角形、翼形状等に形成することもできる。また、支柱41と塗液溜り部形成部材31は図8に示すようにボルト48により締結することもできる。支柱41と部材31との接合面にはOリング49が介装されており、該部分のシール性が確保されている。なお、本実施態様においては、口金18の内部に空間部36が形成されるタイプのものを示しているが、空間部36がなく口金の内部に塗液34が充満するタイプの口金に対しても本発明を適用できる。
【0057】
図9は、基材1上に形成された凹部21を上面から見た詳細である。凹部21に赤色、青色、緑色のいずれか一色の蛍光体ペースト27(塗液34)が充填されており、隔壁25(縦リブ)により所定のピッチで形成される凹部21は表示部の端部でとぎれ非表示部26には形成されていない。本実施態様においては、図10に示すように同一色の塗液が2つおきの凹部21に塗布できるようになっている。したがって、吐出孔18aのピッチは、隔壁25のピッチの3倍になっている。なお、基材1は、隔壁25に直交する横リブを有し、格子状に凹部21が形成されるものであってもよい。
【0058】
本実施態様においては、口金18の塗液溜り部30には吐出孔18aの配列方向に直交する方向に延びる支柱41が設けられているので、口金18の吐出孔18aの配列方向、換言すれば口金18の幅方向における内圧に対する耐圧強度を大幅に向上することができ、口金18の変形等を効果的に防止し基材1上に塗液を均一に塗布することができる。
【0059】
また、支柱41は、吐出孔18aの配列方向に沿う方向に等間隔に配置されているので、口金18の長手方向全体にわたり均一に内圧に対する耐圧強度を向上することができる。
【0060】
また、本実施態様のような支柱41を設ける構成によれば、口金の内圧に対する耐圧強度を向上すべく口金を形成する各部材を肉厚化する構成に比べ、コストアップを大幅に低減できる。また、重量増加も抑制することができ、口金18の着脱作業を容易化することができる。
【0061】
図11、図12は、本発明の第2実施態様に係る口金を示している。本実施態様においては、口金42は塗液溜り部43を形成する塗液溜り部形成部材44と、該部材44にと互いに接合される吐出孔形成部材45と蓋部材46とを有している。塗液溜り部43内には、吐出孔42aの配列方向に直交する方向に延びる支柱47が設けられている。支柱47は塗液溜り部形成部材44に一体に形成されており、吐出孔42aの配列方向に沿って複数配列されている。
【0062】
本実施態様においても、口金42の内圧に対する耐圧強度を、吐出孔42aの配列方向に沿って均一に向上することができるので、重量増加やコストアップを抑制しつつ、口金42の変形を防止できる。
【0063】
また、本実施態様においては、支柱47は塗液溜り部形成部材44に一体に形成されているので、口金42を構成する部品点数の増加を防止できるとともに、口金42の組立て時等におけるハンドリング性を向上することもできる。
【0064】
次に、本発明の望ましい別の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0065】
まず、本発明に係る塗液の塗布装置の全体構成、とくに凹凸基材(たとえば、プラズマディスプレイパネル用基材)への塗液の塗布装置の全体構成の例について説明する。
【0066】
図13は、本発明の一実施態様に係る塗液の塗布装置の全体斜視図、図14は図13のテーブル206と口金220周りの模式図である。
【0067】
まず、塗液の塗布装置の全体構成について説明する。図13は、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造に適用される塗布装置の一例を示している。この装置は基台202を備えている。基台202上には、一対のガイド溝レール208が設けられており、このガイド溝レール208上にはテーブル206が配置されている。このテーブル206の上面には、表面に凹凸が一定ピッチで一方向にストライプ状に形成された基材204が真空吸引によってテーブル面に固定可能となるように、複数の吸引孔207が設けられている。また、基材204は図示しないリフトピンによってテーブル206上を昇降する。さらに、テーブル206はスライド脚209を介してガイド溝レール208上をX軸方向に往復動自在となっている。
【0068】
一対のガイド溝レール208間には、図14に示す送りねじ機構を構成するフィードスクリュー210が、テーブル206の下面に固定されたナット状のコネクタ211を貫通して延びている。フィードスクリュー210の両端部は軸受212に回転自在に支持され、さらにその一端にはACサーボモータ216が自在継手214を介して連結されている。
【0069】
図13に示すように、テーブル206の上方には、塗液を吐出する口金220がホルダー222を介して昇降機構230、幅方向移動機構236に連結している。昇降機構230は昇降可能な昇降ブラケット228を備えており、昇降機構230のケーシング内部で一対のガイドロッドに昇降自在に取り付けられている。また、このケーシング内には、ガイドロッド間に位置してボールねじからなるフィードスクリュー(図示しない)もまた回転自在に配置されており、ナット型のコネクタを介して昇降ブラケット228と連結されている。さらにフィードスクリューの上端には、図示しないACサーボモータが接続されており、このACサーボモータの回転によって昇降ブラケット228を任意に昇降動作させることができるようになっている。
【0070】
さらに、昇降機構230はY軸移動ブラケット232(アクチュエータ)を介して幅方向移動機構236に接続されている。幅方向移動機構236はY軸移動ブラケット232を口金の幅方向、すなわちY軸方向に往復動自在に移動させるものである。動作のために必要なガイドロッド、フィードスクリュー、ナット型コネクター、ACサーボモータ等は、ケーシング内に昇降機構230と同じように配置されている。幅方向移動機構236は支柱234により基台202上に固定されている。これらの構成によって、口金220はZ軸とY軸方向に自在に移動させることができる。
【0071】
さらに図13を参照すると、基台202の上面には逆L字形のセンサ支柱238が固定されており、その先端にはテーブル206上の基材204の凸部頂上の位置(高さ)を測定する高さセンサ240が取り付けられている。また、高さセンサ240の隣には、基材204の凹凸部の位置を検知するカメラ272が支柱270に取り付けられている。図14に示すように、カメラ272は画像処理装置274に電気的に接続されており、凹凸部位置の変化を定量的に求めることができる。
【0072】
さらに、テーブル206の一端には、センサブラケット264を介して、口金220の吐出孔244のある下端面(吐出孔面)のテーブル206に対する垂直方向の位置を検知するセンサ266が取り付けられている。
【0073】
ここで、口金220へ塗液および圧空を供給して吐出させる部分について、本発明の塗布装置の一実施態様を図14に示す。口金220はその内部に塗液を溜める塗液溜め部277を有し、塗液の液面上部に空間部276を有する。空間部276には圧空供給ホース281,圧空制御弁282,減圧弁284,圧空源286と連なっており、任意の圧力の圧空が供給できる構成となっている。圧空制御弁282は全体コントローラ260により開閉制御される。圧空制御弁282は塗液塗布時に開状態に制御され、口金220内の空間部276に供給された圧空の押圧力により吐出孔244から塗液242を吐出させる。吐出孔244は塗液の塗布幅に応じてその孔径を10〜500μmの間に設定するとよい。
【0074】
口金220は、フタ280を取り外すことで口金内部が開放でき、洗浄作業を行える構成であることが好ましい。
【0075】
口金220内の塗液量は、塗布動作が停止する毎に検知される。本発明の塗布装置においては、口金220内の塗液量を塗液に対し非接触で検出する検出手段を有する。口金220の塗液溜め部277内の塗液量の検出には、非接触の検出手段を用いることにより、塗液による汚染を防ぐことができる。この非接触検出手段として、塗液の液面高さを検出するセンサー288が設けられている。センサー288は全体コントローラ260と電気的に接続され、全体コントローラ260はその検出信号に応じて、供給装置コントローラ258を制御する。また、センサーを口金220に直接固定せず、別部材であるセンサブラケット(図示略)に固定する構成にすることもでき、このようにすれば、口金220の交換時もセンサー288は常に別部材に固定された状態にあり、口金交換の度にセンサ位置合わせ等の調整をする必要が無い。センサブラケットは、口金220の形状仕様の違いにより検出液面高さレベルが異なることも考慮して、センサー288の位置を高さ方向に移動調整可能で、任意の位置で固定できるものが望ましい。本発明において、センサー288はレーザー式、超音波式等非接触検出できるセンサであれば適用でき、中でも検出精度や検出レンジの広さからレーザー式変位計が最も好ましい。この場合、口金220には透明プレートを取り付けて、液面を検出できるよう配慮しておくことが好ましい。
【0076】
前記口金220には、フィルタ247、塗液供給ホース246、塗液の供給流量調整制御弁248、塗液タンク297が接続されている。塗液タンク297には塗液242が蓄えられており、圧空制御弁254を介して圧空源250に接続されている。
【0077】
また上記実施態様においてモータコントローラ262には、テーブル206を駆動するACサーボモータ216や、昇降機構230と幅方向移動機構236のそれぞれのアクチュエータ291、293(たとえば、ACサーボモータ)、さらにはテーブル206の移動位置を検出する位置センサ268からの信号、口金220の作動位置を検出するY、Z軸の各々のリニアセンサ(図示しない)からの信号などが入力される。なお、位置センサ268を使用する代わりに、ACサーボモータ216にエンコーダを組み込み、このエンコーダから出力されるパルス信号に基づき、テーブル206の位置を検出することも可能である。
【0078】
なお、前述の塗液塗布装置の全体構成において、高さセンサー240としては、レーザ、超音波等を利用した非接触測定形式のもの、ダイヤルゲージ、差動トランス等を利用した接触測定形式のもの等、測定可能な原理のものならいかなるものを用いてもよい。
【0079】
また、口金の吐出孔244が凹部と対応する相対位置を検知する検知手段は、基材の凹部と吐出孔を各々別個に検知するカメラを用いた画像処理装置により構成してもよい。
【0080】
次に、本発明の口金に関して、各実施態様を示す。つまり、上述した口金220およびそれに繋がる塗液供給部は、以下のような各種構成を採り得る。
【0081】
図15は、本発明の一実施態様に係る口金301の縦断面図を示している。口金301には複数の塗液供給口302が設けられており、複数の塗液供給口302がその上流でトーナメント形流路303を形成する配管に繋がっている。これにより、口金301の塗液溜め部304へ塗液305を供給するとき、塗液供給源からの塗液305を均等に分配し、各塗液供給口302から塗液溜め部304内へ供給することができる。口金301のフタ306には、塗液溜め部304内に溜められた塗液305を吐出孔307から吐出させるための圧空を上部空間308に供給する圧空供給口309が設けられている。複数の吐出孔307は直線状に配され、複数の塗液供給口302は吐出孔307の配列方向に略平行に直線状に配されている。
【0082】
図16は、塗液供給口312の先端をパイプ形状にし、かつ、その先端を塗液305中に浸からせるようにした口金311を示している。これにより、塗液供給時、塗液中に気泡が混入するのを防止することができる。また、これらの口金301、311においては、塗液液面高さの平坦性を考慮すれば、隣り合う塗液供給口の間隔は全て等しいことが望ましい。また、各塗液供給口の間隔を等しくできない場合、あるいは、塗液供給口の数が奇数になったり、偶数でも3の倍数にしかできずに、均等なトーナメント形流路を形成できない場合は、各塗液供給口からの供給量を揃えるために、たとえば、流路長を変えたり、流路径を変えたりして流路の圧力損失を揃え、供給流量を調整することもできる。
【0083】
図17は、塗液供給口322の上流のトーナメント形流路323を、溝を形成した板材324を貼りあわせて構成した口金321を示している。前述したようなパイプであれば、パイプが長くなればパイプ内壁を洗浄するのが難しくなるが、溝を形成した板材324であれば、それを分解して洗浄できるので、流路の長さによらず、洗浄しやすい。
【0084】
上記のようなトーナメント形流路303、323を介して塗液を供給することにより、塗液を塗液溜め部304内に均等に分配することが可能になり、各吐出孔307からの均一な吐出量が得られるようになる。
【0085】
図18は、塗液供給口332の上流に、塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁333を設けた口金331を示している。この供給流量調整制御弁333は、電気信号によりその開度が制御可能となっており、供給装置コントローラ258によりその開度を制御するものである。図示例では、トーナメント形流路334により分岐された一対の塗液供給口332への流路の一方に供給流量調整制御弁333が設けられている。これにより、図19のように、塗液溜め部304内への供給の機会毎、あるいは、図20のように、1回の供給においても経時的に各塗液供給口からの塗液供給流量に変化を持たせることができるので、塗液溜め部304内で塗液が合流する位置を揺さぶり(移動させ)、塗布ムラを起こさないようにすることができる。この弁333は、図示の如く、隣り合う塗液供給口の一方だけでも、合流する位置を揺さぶることができる。
【0086】
図21は、複数の塗液供給口342を2つのグループ((1)と(2)、(3)と(4)のグループ)に分けて、それぞれをトーナメント形流路343で繋いだ口金341を示している。2つのグループのそれぞれに、供給流量調整制御弁344a、344bが設けられている。これら供給流量調整制御弁344a、344bは、電気信号によりその開度が制御可能となっており、供給装置コントローラ258によりその開度を制御するものである。これにより、図22に示すようなタイミングで、4箇所同時に供給することができるし、塗液供給口342の(1)と(2)だけ、あるいは(3)と(4)だけというように、一つのグループのみからの供給を繰り返すこともできる。これら供給流量調整制御弁344a、344bの制御は、供給装置コントローラ258にて予め決められたパターンで制御する。
【0087】
(1)(2)(3)(4)同時に供給した場合、それぞれの塗液供給口342の間には、塗液が合流する箇所(境界)が発生するが、その対策として、まず、(1)と(2)だけから供給すると、(1)と(2)の間に合流箇所が発生するが、(3)と(4)からは供給していないので、時間とともに塗液が(3)と(4)の方向に流れ、(1)と(2)の合流する境界も移動してぼけてくる。これにより塗布ムラはなくなる。しかし、延々と(1)と(2)だけから供給したのでは、塗液が高粘度であれば流れにくいために、(3)(4)側の塗液が無くなったり、あるいは(1)(2)側と(3)(4)側で塗液の液面高さが大きく異なって塗布不良が発生する。従って、そうならないように、今度は(3)と(4)から供給するよう切り替える。つまり、(1)と(2)だけ、(3)と(4)だけの供給をある回数、例えば、2回、あるいはそれ以上続けて、その後はこの供給動作を各グループで交互に繰り返せば、合流位置はその都度移動し、塗布ムラは発生しない。また、塗液液面の平坦性を考慮すれば、両方のグループ、つまり(1)(2)(3)(4)から同時に供給する機会を定期的に挟めばなおよい。
【0088】
図23は、複数の塗液供給口352を一つ置きに2つのグループ((1)と(3)、(2)と(4)のグループ)に分けて、ぞれぞれをトーナメント流路353a、353bで繋いだ口金351を示している。2つのグループのそれぞれと、それらが合流した上流側とに、供給流量調整制御弁354a、354bが設けられている。これら供給流量調整制御弁354a、354bは、図21のような形態の供給流量調整制御弁でもよいし、あるいは、図23のように、圧空により弁の開閉が制御され、圧空は電気信号により開閉を制御する圧空制御弁354a’、354b’により制御されるものでもよい。これにより、4箇所同時に供給することもできるし、(1)と(3)だけ、あるいは(2)と(4)だけというように、一つのグループのみからの供給を繰り返すことができる。図21に示した実施態様との違いは、一方のグループの塗液の合流位置付近に、他方のグループの塗液供給口があることである。これにより、一方のグループの塗液供給口から供給すると、その間には塗液の合流位置が発生するが、塗布ムラが発生する前に、他方のグループから供給するように切り替えれば、先に発生しかかった合流位置はかき乱され、塗布ムラは発生しない。またこの実施態様では、図21に示した実施態様に比べ、液面高さの平坦性には有利である。とくに、一方のグループの塗液の合流位置に、他方のグループの塗液供給口を配置すれば、一層合流位置をかき乱すことができるので効果的である。
【0089】
図24は、塗液溜め部304内の塗液量(本実施態様では液面)を検出するセンサー362を設けた口金361を示している。その他の構成は、図21に示したものと実質的に同じである。センサー362は全体コントローラ60と電気的に接続され、全体コントローラ60はその電気信号に応じて供給装置コントローラ58を制御する。そして供給流量調整制御弁344a、344bは供給装置コントローラ258により開閉制御され、塗液を供給(補充)する塗布装置である。
【0090】
この装置においては、一つの方法として、塗液溜め部304内の塗液量に上限値、下限値を設定し、下限を下回れば供給を開始し、上限まで入れる。この方法は、上限値、下限値の差にもよるが、1回の供給動作で比較的多くの塗液を供給する方法であり、図18に示したような口金であれば、1回の供給動作中に経時的に各塗液供給口からの供給流量に変化を持たせることができるので、合流位置は定位置に留まらず、塗布ムラは発生しない。
【0091】
また、別の方法として、塗液溜め部304内の塗液量に管理値を設定し、管理値を下回れば供給を開始し、上回れば停止する方法もある。この方法は、基材への塗布量(口金からの吐出量)にもよるが、塗布動作が終了する度に塗液溜め部304内へ塗液を供給する方法であり、図18に示したような口金であれば、供給動作の度に、供給流量に変化を持たせれば、合流位置は定位置に留まらず、塗布ムラは発生しない。また図21、図23に示したような口金であれば、(1)と(2)だけ(または(1)と(3)だけ)、(3)と(4)だけ(または(2)と(4)だけ)の供給をある回数、例えば2回、あるいはそれ以上続けて、その後はこの供給動作を各グループで交互に繰り返せば、合流位置はその都度移動し、塗布ムラは発生しない。続ける回数が多いほど合流位置の移動量が大きくなり、塗布ムラは発生しないが、塗布液面の平坦性を考慮すれば、両方のグルーブ、つまり(1)(2)(3)(4)から同時に供給する機会を定期的に狭めばなおよい。
【0092】
なお、センサーとしては、例えば、前述の如く、塗液の液面高さを非接触で検出するものがあり、レーザー式、超音波式等の非接触の変位計がある。また、口金の重量を測定して、塗液溜め内の塗液量を検出する方法もあり、その重量検知センサとしては、検出重量を電気信号に変換できるロードセルを用いるのが好ましい。
【0093】
さらに、本発明の別の望ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0094】
図3において、図1の基板1の表面には、塗液の塗布方向に延びる複数の縦隔壁101と、該縦隔壁101と直交する方向に延びる横隔壁102とが形成されている。縦隔壁101の高さ(H)と横隔壁102の高さ(Hh)の関係はH≧Hhとなっている。また、壁101、102により基板1の表面には格子状の溝部110が形成され、溝部110は凹部104、103を有している。凹部104は、縦隔壁101と横隔壁102に囲まれた部分として形成されている。一方、凹部103は、縦隔壁101と横隔壁102の頂部から形成されている。
【0095】
図4は図3に示した塗布装置をX軸方向から見た口金18周辺をあらわしている。Zスライドテーブル13に取り付けられているカメラ22にて基板1の中の代表となる溝部110を撮像し、画像位置処理部23を介してX軸位置制御部24にてXスライドテーブル4を移動し、代表となる溝部110の中央と該代表となる溝部110に対応する口金18の中の代表となる吐出孔18aの中央がほぼ一致するよう制御される。
【0096】
図25は、図3に示した塗布装置の口金18への塗液の供給制御装置の概略縦断面図である。図25において、口金418は、筐体431からなり、筐体431の下面板432には、多数個の塗液を吐出する吐出孔418aが、一列に所定の間隔をもって穿設されている。筐体431の内部の空間433は、塗液430(蛍光体ペースト427)が貯留される塗液貯留部434とその上部に位置する気体空間435から形成されている。筐体431の上面板436には、気体圧力導通孔437が設けられ、気体圧力導通孔437には、管路からなる気体圧力導通路438の一端が連結されている。気体圧力導通路438の他端は、設定圧に維持された圧力を有する気体圧力源440に開口されている。気体圧力導通路438には、方向切替弁からなる開閉手段439が設けられ、開閉手段439の開閉切り替えにより、気体空間435と気体圧力源440との連通と遮断が行われる。開閉手段439は口金418の吐出孔418aの位置と基板1の相対位置を検出し、開閉手段439のタイミングを制御する図示しない位置検出、吐出制御手段にて開閉のタイミングが制御されるようになっている。なお、本実施態様においては、ペースト427はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうち、いずれか一色が塗布されるようになっている。
【0097】
図26は、基板1上に形成された溝部421を上面から見た詳細である。本実施態様においては、図27に示すように同一色の塗液が2つおきの溝部421に塗布できるようになっている。したがって、吐出孔418aのピッチは、縦隔壁425aのピッチの3倍になっている。なお、基板1としては、図28に示すように横隔壁425bのないものであってもよい。
【0098】
本実施態様においては、吐出孔418aの直径(D)と、横隔壁425bの高さ(Hh)、および口金418の下面板432から溝部421の凹部421aの底面までの間隔Cとの間には、D+Hh<Cなる関係が成立するようになっている(図29)。吐出孔418aから吐出されたペースト427は、直後においては吐出孔418aの形状を保つままとなる(図30)。しかし、D+Hh<Cなる関係が成立する限りは、横隔壁421bの頂部にペースト427が塗布されても下面板432に付着することはない。
【0099】
なお、吐出孔418aが非円形状である場合は、該吐出孔418aの塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)がB+Hh<Cなる関係を満たすようになっている。
【0100】
また、本実施態様においては、口金418と基板1の相対移動速度(V)、吐出孔418aからのペースト427の吐出速度(v)は、0<V/v≦1である必要がある。図30、図31に示すように、吐出孔418aから吐出されたペースト427は、口金418または基板1の移動方向に曲がる。したがって、吐出されたペースト427の下面板432への付着を防止するためには、吐出速度(v)と基板1または口金418の塗布方向(矢印方向)への移動速度(V)とからなる吐出角度(θ)をなるべく小さくすることが好ましい。吐出角度(θ)は、tanθ=V/vで表すことができる。また、0°<θ≦45°の範囲であれば、ペースト427の下面板432への付着を防止できることが実験的に判明している。したがって、0<V/v≦1であればθを上記範囲内に納めることができるので、ペースト427の下面板432への付着を防止できる。
【0101】
また、凹部421aにペースト427を一杯に充填するためには、単位時間当りの塗布量(Q)はQ=a・v=A・Vとなるからtanθ=V/v=a/Aと表すことができる。したがって、0<a/A≦1であればθを上記範囲内に納めることができるので、ペースト427の下面板432への付着を防止できる。
【0102】
また、横隔壁425bがある基板の溝421への塗布量は、横隔壁425bがない基板のそれより、横隔壁425bの体積分だけ少なくてよい。横隔壁がある基板に対しても、横隔壁がない基板と同じように、一様にペースト427を塗布するわけであるから、塗布直後は凹部421b上にペースト427が堆積している。しかし、ある一定時間放置する(レベリングする)ことで、凹部421bのペースト427は凹部421aに流れ落ち、横隔壁間の塗布溝の充填量が必要量(一杯)になる。
【0103】
ここで、横隔壁のある基板の溝部への単位長さあたりの塗布量をQh、横隔壁のない基板の溝部への塗布量をQとする。図2において、溝幅をWとすると、単位長さ(Lh+L)あたりのQhは、
Qh=W・H・L+W・(H−Hh)・Lh
また、横隔壁がない場合のQは、
Q=W・H・(Lh+L)
従って、横隔壁のある基板の溝部への塗布量Qhと、横隔壁のない基板の溝部への塗布量Qの比kは、
k=Qh/Q
=〔W・H・L+W・(H−Hh)・Lh〕/〔W・H・(Lh+L)〕 =1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh))
と表すことができる。また、この場合にも吐出角(θ)はθ=45°以下に設定
する必要があるから、本実施態様においては0<a/(k・A)≦1の条件を満
たすようになっている。
【実施例】
【0104】
実施例1
図23において、長さ985mmの口金に246mm間隔で4個の塗液供給口を配置し、一つおきに2つのグループに分け、それぞれをステンレス製パイプ(内径φ8mm)で繋いでトーナメント形流路を構成した。そして、青色に発光する蛍光体粉末を含むペースト(粘度約600ポアズ)を口金に供給し、基板に塗布するとき、一方のグループの塗液供給口からのペースト供給と、他方のグループの塗液供給口からのペースト供給を、機会ごとに交互に切り替えたところ、基板50枚を連続しても基板上に塗布ムラは発生しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】格子状の溝部を有する基板の斜視図である。
【図2】基板の拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施態様に係る口金および該口金を用いた塗液の塗布装置の斜視図である。
【図4】図3で示した塗布装置をX軸方向から見た口金周辺の概略図である。
【図5】凹部の画像と画像処理のカーソルを示す概略図である。
【図6】図3に示した塗布装置の口金の断面図である。
【図7】図6の口金のV−V線に沿う断面図である。
【図8】支柱と塗液溜り部形成部材とをボルトにより接合した口金の拡大断面図である。
【図9】基板上の凹部を上面から見た概略図である。
【図10】吐出孔と凹部の位置関係を示す概略図である。
【図11】本発明の別の実施態様に係る口金の断面図である。
【図12】図11の口金のX−X線に沿う断面図である。
【図13】本発明の一実施態様に係る塗液の塗布装置の全体斜視図である。
【図14】図13の装置のテーブルと口金周りの構成を示す模式図である。
【図15】本発明の一実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図16】本発明の別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図17】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図18】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図19】本発明の一実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給流量を模式的に表した図である。
【図20】本発明の別の実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給流量を模式的に表した図である。
【図21】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図22】本発明の一実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給タイミング、流量を模式的に表した図である。
【図23】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図24】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図25】図5の装置の口金への塗液の供給制御装置の概略図である。
【図26】溝部に塗液が塗布された基板の部分拡大平面図である。
【図27】口金の吐出孔と溝部との位置関係を示す概略図である。
【図28】基板の部分拡大平面図である。
【図29】図3の装置の口金と基板との位置関係を示す拡大断面図である。
【図30】図32のXI−XI線に沿う拡大断面図である。
【図31】図3の口金の吐出孔からの塗液の塗布状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0106】
303 トーナメント形流路
304 塗液溜め部
305 塗液
307 吐出口
308 上部空間
309 圧空供給口
311 口金
312 塗液供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液を溜める塗液溜め部と、前記塗液溜め部の内側から外側に開口する複数の吐出孔と、前記塗液溜め部に塗液を供給するための複数の塗液供給口を有し、各塗液供給口には、その上流の塗液供給源からの塗液の流れを分岐させて塗液を各塗液供給口に供給するためのトーナメント形流路に接続されていることを特徴とする口金。
【請求項2】
前記塗液供給口の先端はパイプ形状に形成されており、その先端は塗液溜め部内の塗液中に浸かるように設けられている請求項1記載の口金。
【請求項3】
前記トーナメント形流路は、パイプで構成されている請求項1記載の口金。
【請求項4】
前記トーナメント形流路は、溝を形成した板材を貼りあわせて構成されている請求項1記載の口金。
【請求項5】
前記塗液供給口の上流には塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁が設けられている請求項1記載の口金。
【請求項6】
隣り合う塗液供給口の少なくとも一方の塗液供給口の上流に塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁が設けられている請求項1項記載の口金。
【請求項7】
前記複数の塗液供給口が2つのグループに分けられ、それぞれのグループに対しトーナメント形流路が形成されている請求項1記載の口金。
【請求項8】
前記塗液供給口が4箇所以上設けられ、直線状に配された塗液供給口が一つおきに2つのグループに分けられ、それぞれのグループに対しトーナメント形流路が形成されている請求項1記載の口金。
【請求項9】
一つのグループの塗液供給口から供給された塗液が塗液溜め部内で合流する位置に、もう一つのグループの塗液供給口が配設されている請求項8記載の口金。
【請求項10】
前記2つのグループの各々のトーナメント形流路の上流に塗液の供給流量を調整制御する流量調整制御弁が設けられている請求項8記載の口金。
【請求項11】
前記複数の吐出孔は直線状に配され、前記複数の塗液供給口は吐出孔の配列方向に略平行に直線状に配されている請求項1記載の口金。
【請求項12】
基材を固定するテーブルと、基材に対向して設けられ、基材に所定量の塗液を塗布する口金と、テーブルと口金を3次元的に相対移動させる移動手段と、口金への塗液の供給源である塗液タンクを備えた基材への塗液の塗布装置において、前記塗液タンクと口金の間に塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁と、前記流量調整制御弁の流量を制御する制御手段を備え、前記口金に請求項1または2記載の口金を用いることを特徴とする塗液の塗布装置。
【請求項13】
前記口金の塗液溜り部内の塗液量を検出する検出手段を有する請求項12記載の塗液の塗布装置。
【請求項14】
前記基材の表面にストライプ状に縦隔壁が形成され、その縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する請求項12または13記載の塗液の塗布装置。
【請求項15】
前記基材の表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに前記縦隔壁と略直交する方向に横隔壁が形成され、その縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する請求項12または13記載の塗液の塗布装置。
【請求項16】
前記口金の相対移動方向と垂直な方向の寸法が、基材の塗液の塗布領域よりも長い請求項12〜15のいずれかに記載の塗液の塗布装置。
【請求項17】
複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対向させて口金と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、前記口金は複数の塗液供給口を有し、それぞれの塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜り部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給し、塗液を塗布することを特徴とする基材への塗液の塗布方法。
【請求項18】
複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対向させて口金と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、前記口金は複数の塗液供給口を有し、前記複数の塗液供給口の、各塗液供給口からの塗液の供給流量を経時的に変化させることを特徴とする基材への塗液の塗布方法。
【請求項19】
複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対向させて口金と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、基材への塗液の塗布と、前記口金の塗液溜り部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を供給の度ごとに変えることを特徴とする基材への塗液の塗布方法。
【請求項20】
複数の吐出孔を有する口金に塗液供給源から塗液を供給し、前記口金を基材と対向させて口金と基材を相対的に移動させ、前記口金の吐出孔から塗液を吐出し、基材に塗液を塗布する方法であって、前記口金に請求項1記載の口金を用いて塗液を塗布することを特徴とする基材への塗液の塗布方法。
【請求項21】
前記口金の塗液溜り部内の塗液量を検出し、その検出結果に応じて前記口金に塗液を供給する請求項12〜15のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項22】
基材への塗布と、前記口金の塗液溜り部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を、供給の度ごとに変える請求項17〜21のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項23】
基材への塗布と、前記口金の塗液溜り部内への塗液の供給とを繰り返す際、各グループの塗液供給口からの塗液の供給を、供給の機会ごとに交互に切り替える請求項17〜21のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項24】
一方のグループの塗液供給口からの塗液の供給と、もう一方のグループの塗液供給口からの塗液の供給と、両方のグループの塗液供給口からの塗液の供給を、一定の回数と周期で繰り返す請求項23記載の塗液の塗布方法。
【請求項25】
前記基材の表面にストライプ状に縦隔壁が形成され、その縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する請求項17〜24のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項26】
前記基材の表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに前記縦隔壁と略直交する方向に横隔壁が形成され、その縦隔壁間の溝部に塗液を塗布す請求項17〜24のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項27】
前記口金の相対移動方向と垂直な方向の寸法が、基材の塗液の塗布領域よりも長く、前記口金が一回相対移動することにより基材への塗液の塗布を完了する請求項17〜26のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項28】
前記基材がプラズマディスプレイパネル用基材であって、前記塗液が赤色、緑色、青色のいずれかの色に発光する蛍光体粉末を含むペーストであり請求項12〜27のいずれかに記載の塗布方法を用いて塗液を塗布する工程を含むことを特徴とする、プラズマディスプレイパネル用基材の製造方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法により製造したプラズマディスプレイパネル用基材を用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−43950(P2008−43950A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229903(P2007−229903)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【分割の表示】特願2002−554240(P2002−554240)の分割
【原出願日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】