説明

可動部装置と、そのような可動部装置を備えた電気機械変換器

本発明は、電気機械変換器のための可動部装置(1)に関するものであり、この可動部装置は、少なくとも一本の巻きつけられる導線(3)の巻線の支えマンドレル(2)を少なくとも一つ含み、前記マンドレル(2)が、前記変換器の内部の可動部装置(1)の少なくとも一つのガイド用の第二エレメント(5)に内側で連結している少なくとも一つの第一エレメント(4)を含み、前記第一エレメント(4)が、一方では、コイルが前記マンドレル(2)の内側に位置するように前記巻きつけられる導線(3)の巻線の支えとなり、また他方では、ダイアフラムのような、振動の放射用手段となり、前記振動が、巻きつけられる導線(3)の内部への電流の通過によってもたらされる、巻線の変位によって生まれることを特徴とする。本発明は、また、そのような可動部装置(1)を備えた電気機械変換器にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械技術の分野に関するものである。
【0002】
本発明が適用例を見出すこととなるのは、ごく特定すると電気機械変換器の中であるが、しかしこれは全く限定的ではない。
【0003】
これらの電気機械変換器は、一般的に、スピーカ、ジオフォン(受振器)、およびマイクロフォンとして利用される。
【0004】
本発明は、電気機械変換器のための可動部装置に関しており、この可動部装置は、巻きつけられる導線の少なくとも一本による巻線の支えとなるマンドレルを少なくとも一つ含むものである。{りんしょう てき がっぺいしょう}
【背景技術】
【0005】
すでに知られている手法としては、電気機械変換器は、可動部装置を含み、この可動部装置が、一般的にマンドレルに巻きつけられる銅線かアルミニウム線のコイルから成るが、このマンドレルは、柔らかくて軽い材料で実現され、この材料は、アルミ箔や、「KAPTON」(カプトン)(登録商標)のようなイミドを主成分にしたポリマーフィルムのようなものである。別の手法として、スピーカの範囲内で、可動部装置は、ダイアフラムを含み、このダイアフラムは、一般に「膜」と名付けられ、そのマンドレルの一端に結びつくものである。該マンドレルは、前記コイルの導線に対する支えの役目を果たし、円筒形の管の形を呈している。コイルとマンドレルの全体は、永久磁場が貫く「ギャップ」と呼ばれる空間の中で前記コイルの軸方向に動くように組み立てられ、電流がコイルの導線を貫いて流れるとき、該コイルはギャップの内部を変位するようにする。言葉を換えれば、このシステムは、電流を力学的エネルギーに変えること、あるいはその逆を可能にする。
【0006】
前記永久磁場が、磁石によって生まれることに注目すべきである。
【0007】
可動部装置の変位が、このダイアフラムの振動をもたらし、前記コイルを通過する電流に応じて音波が作られるようになる。
【0008】
より特定的には、可動部装置は、ガイド用中空軸の内側で振動する。このガイド用中空軸は、円筒形の形であり、前記可動部装置の一部を取り囲むようになり、そしてそのガイド用中空軸の内部で前記磁場が生まれる。技術の進展は、そのような可動部装置の効率と動的挙動を改善することを目指す。
【0009】
したがって、マンドレルと膜は、できるだけ軽く、かつ、できるだけ薄い材料で構想され、そしてその趣旨に沿って形作られる。すなわち、マンドレルは、円筒の形をなしその中心は中空であり、その中心に対して前記コイルの導線が周囲に巻きつけられる。
【0010】
マンドレルとダイアフラムの重さの減少は、多くの場合それらの剛性の低下を招く。すなわち、この剛性の低下は、スピーカの通過周波数帯において固有共振モードを導く可能性がある。非線形性は、電気機械変換器の周波数特性に悪影響を及ぼすこれらの固有モードから生じる。これらの非線形性は、音の高調波歪み及び非高調波歪みを生み、この歪みはとりわけ耳障りである。
【0011】
さらに、音響として再現されない固有モードのエネルギーは、可動部装置の励振の間ずっと蓄積され、次いで励振が止むとすぐに再現され、固有振動が長引く現象に至らせ、その産物たる音響の品質が犠牲となる。
【0012】
効率を改善するために、相変わらずより軽い材料に助けを求めるが、それだけでなく、より剛性のある材料にも助けを求めた。固有モードに対する効果をより上げるために、特定の部品は、その部品の剛性を増すために厚くもあり、したがってより重いが、これは効率を改善するために先に検討された解決案に反するものである。
【0013】
可動部装置の変位の利用されるガイド装置によると、コイルの支えマンドレルの構想から、多くの場合、長くかつ中空の部材を利用することになるが、その部材は、一方では過大重量を引き起こし、他方では電気機械変換器の通過周波数帯において固有振動モードをもつものである。
【0014】
さらに、そのようなマンドレルの強励起は、その変形を引き起こし、その寿命と能力を大いに損なってしまう。
【0015】
既知の解決案の一つは、電気機械変換器のための可動部装置に関する特許文献1を通して記述されるが、この可動部装置は、一方では放射用手段となるダイアフラムを、他方ではコイルの支えとなる二つの部分からなるエレメントを含むものである。このコイルは、その振動を前記エレメントを介してダイアフラムに伝えるが、そのエレメントは、そのとき、コイルの振動の伝達管の役目を果たす。その伝達管の形およびその位置決めから、この伝達管は、その変位において空気を「裂く」ので有用な音波は全く発せずに、その代わり寄生振動を生み、そして、この伝達管は、コイルをダイアフラムに結びつける管として、この伝達管に固有の振動モードをもつ。ダイアフラムのみが、そのような可動部装置の中で空気を動かす。このように、マンドレルは、支えとしてのみ役立つものであって、放射器としては全く役立たない。そのような可動部装置が関与する技術は、その固有振動モードを取り除く能力なしでも、コイルの支えの固有振動モードを抑制するという目下の探求の対象である。
【0016】
他の文献の特許文献2は、類似のシステムを記述しており、ダイアフラムを支え、また寄生振動の固有モードをもつ管を伴うものである。
【0017】
別の解決案の一つは、特許文献3を通して記述されるが、その文献は、溝の内部でコイルを周囲に閉じ込めるようになる管を含む可動部装置に関するものである。前記管は、いかなる放射手段も有さず、コイルの支えとしてのみ役立つ。
【0018】
そのような各装置では、したがって完全な満足感を得ることはできず、また寄生振動を免れることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、変位の軸に沿った方向に最適のガイドを確保しながらも、通過周波数帯における固有モードの影響を減らすあるいは取り除くことを可能にする電気機械変換器のための小さな寸法の可動部装置を実現することを提案することによって、技術の現状の不都合を克服することである。
【0020】
そうするために、本発明は、電気機械変換器のための可動部装置を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そのような可動部装置は、少なくとも一本の巻きつけられる導線の巻線の支えマンドレルを少なくとも一つ含む。より特定的には、前記マンドレルは、少なくとも一つの第一エレメントを含み、該第一エレメントは、前記変換器の内部の可動部装置の少なくとも一つのガイド用の第二エレメントに内側で連結しているものであり、前記第一エレメントは、一方では、コイルが前記マンドレルの内側に位置するように前記巻きつけられる導線の巻線の支えとなり、また他方では、ダイアフラムのような、振動の放射用手段となるものであるが、前記振動は、巻きつけられる導線の内部への電流の通過によってもたらされる、コイルの変位によって生まれるものである。
【0022】
そのようなマンドレルは、有利には、振動を直接発することができる振動放射表面をもつ。中心のエレメントはまた、マンドレルの全体的な剛性を改善し、より軽い材料を利用することを可能にする。
【0023】
そのような可動部装置は、スピーカの内部で適用され、そのような音響装置の線形性を改善することを可能にする。その可動部装置は、また、外側膜の形の従来のダイアフラムを免れることも可能にする。
【0024】
さらに、コイルをマンドレルの内部に閉じ込めることによって、コイルの変位の結果生じる作用力をマンドレルに直接伝えることができる。とりわけ、振動放射表面としても役立つ支え用のエレメントは、コイルと正確に同じように振動し、それゆえ応答である音響出力の線形性が改善される。
【0025】
言葉を換えれば、コイルの支えの代わりを務めていた既知のマンドレルは、もはや本発明による可動部装置のガイド用のエレメントにすぎない。
【0026】
したがって、本発明による可動部装置は、前記電気機械変換器の通過周波数帯域の限度外に押しやられる固有モードをもつ。
【0027】
さらに、コイルが、本発明によるマンドレルを構成する二つのエレメントと接触することにより、コイルの励振の際のコイルの熱散逸が改善され、コイルが熱くなることが抑えられ、また、したがって電気機械変換器によって発せられる音の圧縮現象を避けることに寄与する。
【0028】
それゆえに、コイルは、その作用力を、巻線の支えとなる第一エレメントへ直接伝えるが、その第一エレメントは、振動を発する特性をもつもので、その振動は、コイルの往復運動によって音波を生み出すものであり、とりわけ第一エレメントの振動放射表面を介して音波を生み出すものである。さらに、この第一エレメントは、コイルの支えとして役立つこともでき、そのときその第一エレメントは、ガイド用のエレメントの内側に包み込まれ、したがって、そのようなマンドレルの内側に包み込まれている。振動放射表面の音響出力は、そのときコイルの音響出力と同じであって、完璧な音響的な線形性に近づくようになる。
【0029】
本発明は、また、そのような可動部装置を含む電気機械変換器、とりわけスピーカタイプの電気機械変換器にも関するものである。
【0030】
本発明の他の特徴と利点は、本発明の非限定的な実施態様の、続いていく詳細な説明から明らかになるものである。以下のような付属の図面を参照することによって、この説明をより容易に理解することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る可動部装置の一実施態様の縦断面図である。
【図2】図1と同様の図であって、別の実施態様によるものである。
【図3】図1のA−A’軸に沿って切断した横断面図である。
【0032】
本発明は、可動部装置1、並びに、そのような可動部装置を備えた電気機械変換器に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、そのような可動部装置1は、少なくとも一つの巻きつけられる導線3の巻線の支えマンドレル2を少なくとも一つ含む。とりわけ、前記マンドレル2は、単数あるいは複数のエレメントから成り、このエレメントは、管の形であって、管の縦あるいは管の切断面の全部かもしくは一部にわたって、部分的に中空の管の形であるか、あるいは棒の形、とりわけ円筒形の棒とすることができる。このマンドレルは、コイルとなるように巻かれる単数あるいは複数の巻線3を収容することを目的とする。
【0034】
前記マンドレル2は、前記巻きつけられる導線3の巻線用の第一エレメント4を少なくとも一つ含むが、この第一エレメントは、前記電気機械変換器の内部の可動部装置1のガイド用の第二エレメント5の少なくとも一つと連結している。言葉を換えれば、コイルは、前記マンドレル2の内側に位置することになり、第一エレメント4によって支えられ、そして第二エレメント5によって取り囲まれる。
【0035】
有利には、本発明の一つの特徴は、前記コイルの、支え用の第一エレメント4への独自の連結から成るが、これは、該コイルが、その作用力を前記支え用の第一エレメント4に直接、つまり仲介なく伝達するようにするものである。
【0036】
さらに、図1と図2で見える実施態様によると、前記巻きつけられる導線3は、少なくとも一つの溝6の内部に巻かれることができる。この溝は、前記第一エレメント4の周囲に、とりわけその周囲の小口7のところに設けられる。
【0037】
複数の溝6が、それぞれ、単数あるいは複数の巻きつけられる導線3を収容するように、前記第一エレメント4の小口7の全部かもしくは一部に広がることができることに注目すべきである。
【0038】
先に触れられたように、第二エレメント5が、スピーカの内部の可動部装置1のガイド用手段となることに注目すべきである。
【0039】
そのような理由で、前記第二エレメント5は、剛性で軽い材料から成ることができるが、その材料とは、炭素繊維あるいはガラス繊維のようなものである。
【0040】
さらに、非限定的な一つの実施態様によると、第二エレメント5のガイドは、磁性流体の継ぎ手8の形成のために、強磁性液体を使って実現されることができる。
【0041】
そのような継ぎ手8は、図2で見ることができ、前記第二エレメント5の外側壁のところに動かないように配置される。各継ぎ手8は、そのとき、前記第二エレメント5の周りにそれぞれ環状の形とすることができ、その第二エレメントを取り囲んでいる。
【0042】
推奨的しかも極めて重要な実施態様によると、前記第一エレメント4は、振動の放射手段となるが、その振動は、巻きつけられる導線3の内部の電流の通過によってもたらされる、コイルの動きによって生まれるものである。
【0043】
前記支え用の第一エレメント4の表面を、ガイド用のエレメントで囲まれる振動放射表面として利用することによって、押出しは、もはや以前のように仲介部品によって行われるのではなく、直接行われ、損失および摩擦を最小にする。そのとき、本発明が、固有モードを、電気機械変換器の通過周波数帯域の限度外に押しやることができることが確認される。
【0044】
さらに、支え用の第一エレメント4の振動放射表面は、少なくとも部分的に、マンドレル2の軸に対して直行して広がる表面から成る。言葉を換えれば、この振動放射表面は、スピーカの軸に対して平行な移動の動きにしたがって移動する。言葉を換えれば、この振動放射表面は、少なくとも部分的に、前記支え用の第一エレメント4の上方の面から成る。したがって、この支え用の第一エレメントは、ダイアフラムと同様にして、音の振動の放射器になる。
【0045】
前記支えおよび放射器としての第一エレメント4が、剛性があり、均一の塊で、かつ軽くなるように準備され、炭素発泡体のような、多層の複合材から成ることができることに注目すべきである。
【0046】
ある推奨実施態様によると、前記第一エレメント4は、三層の複合材料から成ることができるが、その三層の複合材料は、とりわけ二層の炭素層から成り、その二層の炭素層の中心には、ハニカム構造が備わった薄膜が広がる。この中心の層は、三層材料の構想において利用される他のあらゆるタイプの多孔質材料に替えることができるが、それは例えば発泡体ROHACELL(登録商標)(ロハセル)である。
【0047】
巻線の支えおよび振動放射器としての第一エレメントは、したがって、中空になっていない塊、とりわけ多層のものから成るが、これは、その第一エレメントが、効率を改善するためにできるだけ軽いままでありながらも、その固有周波数ができるだけ高くなるようにできるだけ剛性を持たせるようにするためである。
【0048】
有利には、前記第二エレメント5は、少なくとも一つの管で形成される。第一エレメント4について、それ自体は、中空になっていないことができ、棒から成るか、あるいは第二エレメント5の管の切断面をふさぐ表面から成ることができる。
【0049】
より特定的には、前記第一エレメント4は、前記第二エレメント5の内側の切断面の全体をふさぐ表面から成ることができる。さらに、先に触れられたように、このふさぐ表面は、音波を発生させる、振動放射表面となることができる。
【0050】
図3に示される非限定的な実施態様によると、第一エレメント4は、第二エレメント5と内側で連結している。第一エレメント4と第二エレメント5は、同一の円形の切断面をもつ。第二エレメント5は、そのとき、円柱の形状であり、一方第一エレメント4は、円盤の形である。そのような円盤は、とりわけ図1と図2で見える。
【0051】
先に触れられたように、前記円盤と前記管は、推奨的には、円形を基部底辺として、円筒形の形状である。別の実施態様によると、円盤の基部底辺は、多角形、とりわけ直方体、であることができ、一方、管の基部底辺は、円形のままである。となると、前記管は、前記円盤を収容するために多角形の切断面の内側空間をもつ。
【0052】
そのような理由で、前記管は、前記円盤の切断面に相補的な切断面をもつが、その切断面は、前記第一エレメント4と前記巻線3とを第一エレメント4の周りで取り囲むようになっている。
【0053】
注目するのが望ましいことには、第一エレメント4の円盤の、第二エレメント5の管の内側への挿入により、第二エレメントの剛性を著しく増し、そしてひいてはマンドレル2と可動部装置1の全体の剛性を著しく増すことができ、それゆえ固有モードの周波数が上昇するのである。
【0054】
とりわけ、前記円盤と前記管は、コイルと接触している。管の内側表面は、したがって、支えおよび放射器としての第一エレメント4の形状にぴったり一致する。第一エレメント4と第二エレメント5は、コイルの励振の際にコイルが発散する熱を理想的に伝えるように、コイルと接触するようになっており、このことにより、コイルは適切な作動温度を保つことができて、電気機械変換器によって発せられる音の圧縮現象を避けることができる。
【0055】
第一エレメント4と第二エレメント5が、互いの間で連結するようになることができ、その連結が、前記第一エレメント4の周囲の小口7のところで、適合した固定手段を介して、とりわけ接着により、成されることに注目すべきである。となると、コイルは、前記小口7のところ、とりわけ円盤の溝6の内部に閉じ込められ、コイルの動きの、支え用の第一エレメント4への伝達が改善されるようになるが、その第一エレメントは、そのとき、コイルの励振の動きの直接の伝達を介して、振動の放射器、すなわち音響放射の源となり、音波を作り出すために空気を動かすものである。
【0056】
支え用の第一エレメント4は、すでに剛性となっており、したがってガイド用の第二エレメント5の中に位置決めされるが、この第二エレメントは、単独で、厄介な固有モードを確実に持つものである。しかしながら、第二エレメントは、支え用の第一エレメント4に接着されることによって、その固有周波数は上昇する。マンドレル2を形成する二つのエレメント4および5の全体は、可動部装置1となるが、この可動部装置の固有周波数は、スピーカの通過周波数帯を外れるものである。
【0057】
有利には、前記円盤は、その基部のうちの少なくとも一つが平らか、凸状か、凹状であることができる。さまざまな実施態様によると、上方基部9は、平らか、凸状か、凹状に準備されることができ、一方、下方基部10は、それとは無関係に平らか、凸状か、凹状である。下方基部は、同形であることもできるし、あるいは面積測定差があるかもしれない。図2で示される実施態様によると、上方基部9は平らで、下方基部10は、凹状である。
【0058】
先に触れたように、基部の表面のこれらのさまざまな形状は、マンドレル2の軸に直交している単数あるいは複数の平面にほぼ広がる。
【0059】
さらに、支えおよび放射器としての第一エレメント4を補強し、またその剛性を増すために、その基部のうちの少なくとも一つは、被覆材料11によって処理される。そのような被覆材料11は、複合材、とりわけニスやプラスチックフィルム、さらに炭素繊維から成ることができる。利用される材料に応じて、前記第一エレメント4の基部のうちの少なくとも一つの外側表面のこの被覆層11は、すべてのタイプの流体、とりわけ空気に対する、不浸透性を付与することができる。図2の実施態様は、そのような材料11ですっかり覆われる上方の面9を示している。
【0060】
本発明は、また、先に記述されるような可動部装置1を少なくとも一つ含む電気機械変換器、とりわけスピーカタイプの電気機械変換器にも関するものである。
【0061】
本発明に係る可動部装置を備えた電気機械変換器は、先に言及されたのと同じ特徴をもつ。
【0062】
本発明は、可動部装置1によって生まれる音波が、電気機械変換器のバスケットアセンブリのおかげでガイドされることができるという背景に含まれる。
【0063】
本発明は、マンドレル2の内側の巻線を閉じ込めて、そのマンドレルに、コイルの変位の結果として生じる作用力を直接伝えることを可能にするのであり、とりわけコイルの支え用の第一エレメント4に伝える。
【0064】
有利には、第一エレメント4の面のうちの少なくとも一つは、ダイアフラムのような、音の振動の放射表面であり、この振動放射表面は、マンドレル2を、内部にダイアフラムをもつ可動部装置1に変えるものである。本発明は、したがって、膜の形の外側のダイアフラムを免れることができる。本発明の主要な目的は、振動放射表面の音響出力が、コイルの運動ともっとも調和するようにすることである。
【0065】
さらに、コイルが、本発明に係るマンドレル2を構成する二つのエレメント4および5と接触することにより、コイルの励振の際のコイルの熱放散が改善され、コイルが熱くなることが抑えられ、またしたがって電気機械変換器によって発せられる音の圧縮現象を避けることができる。
【0066】
結局のところ、本発明は、材料をできる限り軽い状態に保ちながらも、可動部装置1のより優れた剛性を提供するものであり、それゆえ、固有モードの周波数は上昇するものである。
【0067】
当然ながら、本発明は、図示されまた先に記述された実施例に限定されるものではなく、それらの実施例は、本発明の範囲を逸脱することなく、変形例や修正例を示すことができるものであって、特に本発明に係る可動部装置1は、電気機械変換器に非限定的に組み入れられる、あらゆるタイプの装置において応用例を見出すものであり、とりわけスピーカ、ジオフォン、あるいはマイクロフォンタイプに応用されるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 可動部装置
2 マンドレル
3 巻きつけられる導線
4 第一エレメント
5 第二エレメント
6 溝
7 小口
8 継ぎ手
9 上方基部
10 下方基部
11 被覆材料
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2001−359193号公報
【特許文献2】米国特許第6,587,570号明細書
【特許文献3】米国特許第5,647,014号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械変換器のための可動部装置(1)であって、少なくとも一本の巻きつけられる導線(3)の巻線の支えマンドレル(2)を少なくとも一つ含み、前記マンドレル(2)が、第一エレメント(4)を少なくとも一つ含み、該第一エレメントは前記電気機械変換器の内部の可動部装置(1)のガイド用の第二エレメント(5)の少なくとも一つに内側で連結しており、前記第一エレメント(4)が、一方では、コイルが前記マンドレル(2)の内側に位置するように前記巻きつけられる導線(3)の巻線の支えとなり、また他方では、ダイアフラムのような、振動放射手段となり、前記振動が、巻きつけられる導線(3)の内部への電流の通過によってもたらされる、コイルの変位によって生まれることを特徴とする、電気機械変換器のための可動部装置。
【請求項2】
前記振動放射手段が、少なくとも部分的に、前記第一エレメント(4)の一表面から成ることを特徴とする、請求項1に記載の可動部装置(1)。
【請求項3】
前記第一エレメント(4)が、円形を基部底辺とした円筒形の形状の円盤を少なくとも一つ含み、一方前記第二エレメント(5)が、前記円盤の切断面に相補的な切断面の少なくとも一つの管でできており、前記第一エレメント(4)と前記巻きつけられる導線(3)とを第一エレメント(4)の周りで取り囲むようになっていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の可動部装置(1)。
【請求項4】
前記円盤が、前記巻きつけられる導線(3)の溝(6)を少なくとも一つ含み、前記溝(6)が、前記第一エレメント(4)の周囲の小口に設けられることを特徴とする、請求項3に記載の可動部装置(1)。
【請求項5】
前記円盤と前記管が、前記巻きつけられる導線(3)と接触していることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の可動部装置(1)。
【請求項6】
前記第一エレメント(4)が、その基部のうちの少なくとも一つが平らか、凸状か、凹状であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の可動部装置(1)。
【請求項7】
前記第一エレメント(4)の基部のうちの少なくとも一つが、被覆材料によって処理されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の可動部装置(1)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の可動部装置(1)を少なくとも一つ含む、とりわけスピーカタイプの、電気機械変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517134(P2012−517134A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546919(P2011−546919)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050121
【国際公開番号】WO2010/086549
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511186664)
【氏名又は名称原語表記】ORKIDIA AUDIO
【出願人】(511186675)ユニヴェルシテ デュ メーヌ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DU MAINE
【Fターム(参考)】