説明

吸着装置、当該吸着装置を備えた気相成長装置、および吸着方法

【課題】吸着状態の誤判断を防ぐことができる吸着装置、当該吸着装置を備えた気相成長装置、および吸着方法を提供すること。
【解決手段】本発明では、吸着部16を構成する各吸着パッド(図示せず)には、流量センサ66が接続されており、個々の流量センサ66は、各吸着パッドとポンプ82との間の空気の流量を測定する。また、全体用流量センサ62は、吸着部16とポンプ82との間の空気の流量を測定する。制御部54では、個々の流量センサ66および全体用流量センサ62の測定値に応じて、流量センサ66の測定値の閾値を変更する。変更した閾値に基づいて、吸着部16の吸着状態の判定を再度行うことによって、実際には基板トレイ32を吸着しているにも拘らず、基板トレイ32を吸着していないと誤判断されてしまうのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着物を吸着するための吸着装置、当該吸着装置を備えた気相成長装置、および吸着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種作業の自動化の要請により、物品の搬送、移動、および取り出し等の作業を自動的に行う手段として真空吸着装置が利用されている。真空吸着装置では、吸着パッドで物品を吸着保持することによって、当該物品の搬送、移動、および取り出し等の所望の作業を達成している。具体的には、真空ポンプで吸着パッドの内部を負圧にすることによって物品を吸着保持している。この際、吸着パッドが吸着物を吸着すると、当該吸着パッド内の負圧状態が増すので、これをセンサで検出することによって、吸着物が吸着しているか否かの判断をして、次なる搬送等の動作を行う。
【0003】
吸着を判断するためのセンサとしては、圧力センサと流量センサとがある。例えば、圧力センサを用いた場合には、吸着前後の吸着パッド内の圧力値を比較し、吸着物の吸着状態を判定している。しかし、真空ポンプに複数の吸着パッドが連通接続されているとき、いずれか1つの吸着パッドの吸着能力によって、他の吸着パッドの吸着能力に変動が生じてしまう場合がある。すなわち、吸着パッド内に圧力変動がもたらされる場合がある。そのため、一般的に、圧力センサを使用した場合には、個々の吸着パッドの吸着確認のための圧力値(吸着状態を判定するための圧力値)を一律に設定するのは困難である。
【0004】
そこで、特許文献1では、吸着パッド内の圧力変動に対応して、吸着物の吸着状態を判断する圧力値を変更する方法が開示されている。具体的には、圧力パッド内の空気の第1流量Q1と、第1流量Q1によって得られる第1真空圧力P1とから吸着状態を判断する第1圧力値V1を決定する。ここで、吸着パッド内の圧力変動により、吸着パッド内の空気の流量が第1流量Q1から第2流量Q2へと変化した際、この第2流量Q2によって得られる第2真空圧力P2を定める。次に、第1圧力値V1によって第1真空圧力P1を按分した値に基づいて、吸着状態を判断する第2圧力値V2を決定する。
【0005】
これによれば、吸着パッド内に圧力変動が生じた場合であっても、圧力変動に応じて個々の吸着パッドに対する吸着の有無を判別する圧力値の設定が容易になる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、以下のような問題がある。特許文献1では、圧力センサを利用しているが、当該圧力センサは、吸着前後での圧力変化が小さいため、吸着状態の正確な検知が難しく、誤検知しやすいという欠点がある。そこで、圧力センサに代わって、流量センサを使って吸着物の吸着状態の判断を行った。流量センサを用いる場合には、吸着前後の吸着パッド内の空気の流量を比較し、吸着物の吸着状態を判定する。一般的に、吸着前後での吸着パッド内における空気の流量の変化量は大きいため、流量センサを用いた場合には、吸着状態の誤検知が少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−72067号公報(1993年3月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、流量センサを使用した場合では、以下のような問題が発生した。
【0009】
例えば、真空発生源とそれに接続した複数(例として4個)の吸着パッドがあって、吸着パッドごとに、流量センサを接続し、流量センサの閾値を23L/min(閾値以下が真空吸着している状態)に設定したとする。4つの吸着パッドで1つの搬送物を真空吸着して持ち上げたとき、各流量センサの値が約20L/minとなった場合、各流量センサの値は閾値以下なので、各吸着パッドは吸着物を吸着していると判断する。ところが、いずれか1つの吸着パッドの吸着状態が非常に良く、その流量センサの値がほぼ0L/minとなった場合、他の吸着パッドにつながっている流量センサが通常と同じように吸着しても、当該吸着パッドに接続された流量センサの値は約25L/minとなる。これは、吸着状態が良い流量センサの影響を受けるためである。その結果、実際には、該吸着パッドで吸着物を吸着しているにも拘らず、流量センサの値が閾値よりも大きいので、その吸着パッドは吸着物を吸着していないと誤判断をすることがあった。
【0010】
そこで、本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着状態の誤判断を防ぐことができる吸着装置、当該吸着装置を備えた気相成長装置、および吸着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る吸着装置は、上記課題を解決するために、真空発生源と、前記真空発生源から導出されている共通管と、前記共通管から分岐した複数の個別管と、個々の前記個別管の末端に接続された吸着体からなる吸着部と、個々の前記個別管に設けられ、空気の流量を測定する複数の第1流量センサと、前記共通管に設けられ、空気の流量を測定する第2流量センサと、個々の第1流量センサの測定値が予め定めた第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が予め定めた第2閾値を超えるか否かを判定することによって、前記吸着部が吸着物を吸着しているか否かを判定する判定部とを備えた吸着装置であって、前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1閾値を当該第1閾値とは異なる値の他の第1閾値に変更する変更部を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、第1流量センサの測定値と第1閾値との比較結果、および第2流量センサの測定値と第2閾値との比較結果に応じて、吸着部が吸着物を吸着したか否かを判定するための判定部を備えている。第1流量センサおよび第2流量センサはそれぞれ空気の流量を測定するものであり、従来の圧力センサに比べて、吸着物を吸着した前後の測定値の変化が大きい。したがって、吸着部の吸着状態の判定をより正確に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明に係る制御部は、判定部の判定結果に基づいて、第1流量センサの測定値の閾値を変更する。変更した閾値に基づいて、吸着部の吸着状態の判定を再度行うことによって、実際には吸着物を吸着しているにも拘らず、吸着物を吸着していないと誤判断されてしまうのを防ぐことができる。その結果、吸着物を吸着していないと誤判断される度に、吸着装置を停止する必要がなくなり、吸着装置の稼働率を上げることができる。
【0014】
また、本発明に係る吸着装置は、前記判定部が、前記第2流量センサの前記測定値が前記第2閾値以下であると判定した場合に、前記第1流量センサの前記測定値が前記第1閾値を超えると判定された前記第1流量センサと、前記第1流量センサの前記測定値が前記第1閾値以下であると判定された第1流量センサとが、それぞれ少なくとも1つあると、前記変更部は、前記測定値が前記第1閾値を超えると判定された前記第1流量センサの数に応じて、前記第1閾値を前記他の第1閾値に変更し、個々の前記第1流量センサの前記測定値が前記他の第1閾値を超えるか否かを判定することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、複数の第1流量センサのうち、測定値が第1閾値を超えていると判定された第1流量センサの数に応じた他の第1閾値に変更している。すなわち、吸着体のうち、吸着物を吸着していないと判断された吸着体の数に応じて、第1流量センサの測定値の閾値を変更している。これによれば、実際には吸着物を吸着しているにも拘らず、吸着物を吸着していないと誤判断されてしまう場合を考慮して、吸着状態の判定を行うことができるので、より正確な判定が可能となる。
【0016】
また、本発明に係る吸着装置は、個々の前記第1流量センサは、複数の第3流量センサによって構成されており、当該複数の第3流量センサは、直列に接続されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、1つの第1流量センサに複数の閾値を設定することができない場合でも、各第3流量センサに異なる閾値を設定することによって、吸着状況を判定する際の閾値を変更することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る吸着装置は、前記第2流量センサの前記測定値が前記第2閾値を超えたと判定された場合、あるいは前記複数の第1流量センサのうち、少なくとも1つの前記測定値が前記他の第1閾値を超えたと判定された場合に、前記吸着部の動作を停止すると共に、警告を発する制御部をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、吸着部が吸着物を吸着できなかった場合に、吸着部(吸着装置)の動作を停止すると共に、警告を発する。作業員は、当該警告を検知することによって、吸着部が吸着物を吸着できない何らかの不都合があることを認識することができる。したがって、即座に吸着装置に適切な処置を施すことができる。
【0020】
また、本発明に係る気相成長装置は、上記課題を解決するために、上述したいずれかの吸着装置を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、吸着物を吸着保持して搬送する際に、吸着物の吸着状態の誤判断をするのを防ぐことができ、正確性の高い吸着判定をすることができる気相成長装置が実現される。
【0022】
また、本発明に係る吸着方法は、上記課題を解決するために、真空発生源と、前記真空発生源から導出されている共通管と、前記共通管から分岐した複数の個別管と、個々の前記個別管の末端に接続された吸着体からなる吸着部と、個々の前記個別管に設けられ、空気の流量を測定する複数の第1流量センサと、前記共通管に設けられ、空気の流量を測定する第2流量センサと、個々の第1流量センサの測定値が予め定めた第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が予め定めた第2閾値を超えるか否かを判定することによって、前記吸着部が吸着物を吸着しているか否かを判定する判定部とを備えた吸着装置であって、前記真空発生源によって真空を発生する工程と、前記吸着部によって吸着物を吸着する工程と、個々の前記第1流量センサによって前記流量を測定する工程と、前記第2流量センサによって前記流量を測定する工程と、前記判定部が、個々の第1流量センサの測定値が前記第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が前記第2閾値を超えるか否かを判定する工程と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1閾値を当該第1閾値とは異なる値の他の第1閾値に変更する工程とを備えていることを特徴としている。
【0023】
上記の方法によれば、第1流量センサおよび第2流量センサの測定値に応じて、吸着部の吸着状態の判定をするために予め定めた、第1流量センサの測定値の閾値を変更する。変更した閾値に基づいて、吸着部の吸着状態の判定を再度行うことによって、実際には吸着物を吸着しているにも拘らず、吸着物を吸着していないと誤判断されてしまうのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る吸着装置は、第1流量センサおよび第2流量センサの測定値に応じて、吸着部の吸着状態の判定をするために予め定めた、第1流量センサの測定値の閾値を変更する。したがって、複数の吸着体を1つの真空発生源に連結した場合に生じる流量変動に対応することが可能である。さらに、変更した閾値に基づいて、吸着部の吸着状態の判定を再度行うことによって、実際には吸着物を吸着しているにも拘らず、吸着物を吸着していないと誤判断されてしまうのを防ぐことができる。その結果、吸着物を吸着していないと誤判断される度に、吸着装置を停止する必要がなくなり、吸着装置の稼働率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る気相成長装置の構成を示す断面図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係る気相成長装置の上面図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態に係る気相成長装置の吸着部が基板トレイを吸着した状態における断面図であり、(b)は、基板トレイの上面図である。
【図3】(a)は、吸着物を吸着したときの、流量センサの測定値の変化の様子を示すグラフであり、(b)は、本発明の一実施形態に係る流量センサの閾値の一設定例であり、(c)は、本発明の一実施形態に係る全体用流量センサの閾値の一設定例である。
【図4】本発明の一実施形態に係る吸着判定装置による吸着判定の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る気相成長装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のいくつかの実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0027】
〔第1の実施形態〕
(気相成長装置1の構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る気相成長装置1の構成について、図1を参照して説明する。図1(a)は、気相成長装置1の構成を示す断面図である。図1(b)は、気相成長装置1の上面図である。
【0028】
図1(a)に示すように、気相成長装置1は概略的には、搬送装置2(吸着装置)、土台部4、チャンバー34、および基板トレイ置き場38を備えている。搬送装置2はさらに、搬送部14と吸着判定装置50(判定部,変更部,制御部)とを備えている。
【0029】
土台部4は、サセプタ6、サセプタ回転手段8、複数のトレイ載置台10、およびトレイ回転手段12を備えている。図1(b)に示すように、サセプタ6は円盤状であり、その一方の面に複数のトレイ載置台10を、自身の円周に沿って載置している。各トレイ載置台10には、成膜対象である基板30を載置する基板トレイ32を1つずつ載置することができる。
【0030】
サセプタ6において、トレイ載置台10を載置している面とは反対側の面には、サセプタ6の軸部6’を回転軸として、当該サセプタ6を回転させるサセプタ回転手段8が設けられている。サセプタ回転手段8がサセプタ6を回転させることによって、サセプタ6と共にトレイ載置台10を回転させることができる(以下、公転とも称する)。また、各トレイ載置台10には、サセプタ6を挟んでトレイ回転手段12が接続されている。トレイ回転手段12がトレイ載置台10の軸部10’を回転軸として回転することによって、トレイ載置台10を回転させることができる(以下、自転とも称する)。サセプタ回転手段8とトレイ回転手段12とは、各々が独立して回転する。したがって、サセプタ6の上に載せられたトレイ載置台10は、サセプタ回転手段8の回転、およびトレイ回転手段12の回転によって、公転と自転とをすることになる。
【0031】
また、サセプタ6およびトレイ載置台10は、通常状態においてはチャンバー34内に密閉されている。チャンバー34には開閉可能な開閉部36が形成されており、開閉部36を開くことによって、開閉部36を介して基板30を載置した基板トレイ32をチャンバー34内外に出し入れすることができる。チャンバー34の外には、基板トレイ32を置くための基板トレイ置き場38が設置されている。
【0032】
搬送部14は、吸着部16、昇降移動部24、平面移動部26、および台座部28を備えている。吸着部16の構成について、図2を参照して説明する。図2(a)は、気相成長装置1の吸着部16が基板トレイ32を吸着した状態における断面図である。図2(b)は、基板トレイ32の上面図である。
【0033】
吸着部16は、図2(a)に示すように、本体部18、4本の脚部20、および吸着パッド22(吸着体)を備えている。吸着パッド22は、基板トレイ32の上面を真空吸着する吸着体であり、各脚部20の先端部分に取り付けられている。吸着パッド22は、図2(b)に示すように、基板30が載置された基板トレイ32を吸着する際に、基板トレイ32の表面が露出している箇所を吸着する。このため、吸着パッド22は、基板トレイ32に載置されている基板30に直接接触することはない。したがって、基板30を傷つけたり、汚したりすることはない。なお、基板トレイ32は円盤状であり、基板30を載置するために、基板30より大きく構成されている。また、本実施形態においては、吸着部16は4本の脚部20を備えているが、本発明はこれに限定されない。また、基板30は円盤状であるが、必ずしも円盤状でなくても良い。すなわち、基板30は、基板30を載置した基板トレイ32に吸着パッド22が接触できる形および大きさであれば良い。
【0034】
吸着部16は昇降移動部24の先端部分に取り付けられている。昇降移動部24が移動することによって、トレイ載置台10の基板トレイ32の載置面に対して吸着部16を垂直方向に移動させることができる。なお、ここで言う「垂直」とは、完全な垂直を意味するほか、完全な垂直とほぼ同等の作用効果を奏する範囲内である場合をも実質的に意味する。以下における記載も同様である。また、昇降移動部24は、台座部28上に取り付けられている平面移動部26の側面に取り付けられている。平面移動部26が台座部28上において移動することによって、トレイ載置台10の基板トレイ32の載置面に対して吸着部16を平行方向に移動させることができる。ここで言う「平行」とは、完全な平行を意味するほか、完全な平行とほぼ同等の作用効果を奏する範囲内である場合をも実質的に意味する。以下における記載も同様である。
【0035】
4つの吸着パッド22と、個々の流量センサ66(第1流量センサ)とは、4本の管64(個別管)によって接続されている。各流量センサ66と電磁弁72とは、4本の管84によって接続されており、電磁弁72はマニホールド70に接続されている。マニホールド70と全体用流量センサ62(第2流量センサ)とは、全体用の管68(共通管)で接続されている。全体用流量センサ62と真空発生源であるポンプ82とは、管86(共通管)で接続されている。すなわち、ポンプ82から管86は導出しており、当該管86と全体用流量センサ62を介して接続された管68は、4本の管64に分岐している。各管64の末端には、流量センサ66を挟んで吸着パッド22が接続されている。個々の流量センサ66は、各吸着パッド22に接続された管64における空気の流量を測定する。また、全体用流量センサ62は、当該全体用流量センサ62に接続された管68における空気の流量を測定する。
【0036】
吸着判定装置50は、ベース部52、制御部54、制御パネル56、警告灯58、全体用流量センサ62、全体用流量センサ62と制御部54との間の信号線60、複数の流量センサ66、および各流量センサ66と制御部54との間の信号線74を備えている。ベース部52には、制御部54、制御パネル56、および警告灯58が取り付けられている。また、制御部54には、信号線60の一端と信号線74の一端とが接続されており、信号線60の他端は全体用流量センサ62に接続され、信号線74の他端は各流量センサ66に接続されている。なお、吸着判定装置50における吸着検査方法は後述する。
【0037】
(気相成長装置1による吸着)
次に、気相成長装置1による基板トレイ32の吸着を含む処理について説明する。
【0038】
まず、チャンバー34の開閉部36を開口する。次に、平面移動部26が移動することによって、吸着部16を基板トレイ置き場38の真上に移動させる。ここで言う「真上」とは、完全な真上を意味するほか、完全な真上とほぼ同等の作用効果を奏する範囲内である場合をも実質的に意味する。以下における記載も同様である。また、基板トレイ置き場38には、図示しない搬送装置によって搬送された成膜前の基板30を1つずつ載置した基板トレイ32が複数載置されている。
【0039】
次に、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32の上面側から吸着部16を接近させて、吸着パッド22に基板トレイ32を吸着させる。この際、4個の吸着パッド22は、図2(b)に示したように、基板トレイ32の表面が露出している箇所を吸着する。これによって、基板30が吸着パッド22の接触によって汚れたり傷ついたりすることはない。
【0040】
吸着パッド22が基板トレイ32を吸着すると、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32を基板トレイ置き場38から取り除く。次に、平面移動部26が移動することによって、基板トレイ32を開閉部36からチャンバー34内においてサセプタ6上の所定の位置に位置するトレイ載置台10の真上に移動させる。そして、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32を該トレイ載置台10に接近させ、吸着部16が吸着パッド22の吸着を解除することによって、基板トレイ32をトレイ載置台10に載置する。基板トレイ32をトレイ載置台10に載置した後、昇降移動部24および平面移動部26が移動することによって、吸着部16をチャンバー34外の基板トレイ置き場38の真上に戻す。ここで、基板トレイ置き場38には、図示しない搬送装置によって、新たな基板トレイ32が載置されている。搬送部14は、基板トレイ置き場38に載置されている新たな基板トレイ32を、上記と同様の手順によって、基板トレイ32が載置されていない他のトレイ載置台10に載置する。このように、搬送部14は、サセプタ6上に載置する基板トレイ32の数だけ以上の手順を繰り返し行う。
【0041】
また、トレイ載置台10に1つの基板トレイ32が載置される度に、土台部4のサセプタ回転手段8が回転する。これによって、直前に基板トレイ32を載置したトレイ載置台10の位置に、まだ基板トレイ32が載置されていない新たなトレイ載置台10が移動する。すなわち、新たなトレイ載置台10を前記所定の位置に移動させる。したがって、搬送部14は、前回の搬送先と同じ位置、すなわち毎回サセプタ6上の所定の位置に、新たな基板トレイ32を搬送すれば良い。
【0042】
サセプタ6に載置するすべての基板トレイ32をトレイ載置台10に載置した後、開閉部36を閉口することによって、チャンバー34を密閉する。
【0043】
次に、気相成長装置1は基板30の表面を成膜する。具体的には、チャンバー34内を窒素置換した後、図示しない加熱機構によって基板30を800度〜1400度まで加熱し、基板30の表面にプロセスガスを供給する。これによって、基板30の表面近郊に気相反応を生じさせ、基板30の表面を成膜する。なお、この成膜中に、トレイ回転手段12が回転することによって、トレイ載置台10を回転させている。さらに、サセプタ回転手段8が回転することによって、サセプタ6を回転させている。これによって、基板30の表面をムラなく、均一に成膜することができる。
【0044】
基板30表面を成膜し終えると、開閉部36を開口する。そして、平面移動部26が移動することによって、吸着部16を開閉部36からチャンバー34内の前記所定の位置に位置するトレイ載置台10の真上に移動させる。次に、昇降移動部24が移動することによって、成膜された基板30を載置している基板トレイ32の上面側から吸着部16を接近させて、吸着パッド22に基板トレイ32を吸着させる。
【0045】
吸着パッド22が基板トレイ32を吸着すると、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32を吸着した吸着部16をトレイ載置台10から基板トレイ32を取り除く。次に、平面移動部26が移動することによって、基板トレイ32を吸着した吸着部16をチャンバー34外の基板トレイ置き場38の真上に移動させる。そして、昇降移動部24が移動することによって、吸着部16を基板トレイ置き場38に接近させ、吸着部16が吸着パッド22の吸着を解除することによって、基板トレイ32を基板トレイ置き場38に載置する。
【0046】
基板トレイ32を基板トレイ置き場38に載置した後、昇降移動部24および平面移動部26が移動することによって、吸着部16をチャンバー34内のトレイ載置台10の真上に戻す。ここで、図示しない搬送装置によって、基板トレイ置き場38からは、載置された基板トレイ32が取り除かれている。搬送部14は、新たなトレイ載置台10に載置されている基板トレイ32を、上記と同様の手順によって、基板トレイ置き場38に載置する。このように、搬送部14は、サセプタ6上に載置されている基板トレイ32の数だけ以上の手順を繰り返し行う。
【0047】
また、トレイ載置台10から1つの基板トレイ32が搬送される度に、土台部4のサセプタ回転手段8が回転する。これによって、直前に基板トレイ32が搬送されたトレイ載置台10の位置に、まだ基板トレイ32が載置されている新たなトレイ載置台10が移動する。すなわち、新たなトレイ載置台10を前記所定の位置に移動させる。
【0048】
ここで、搬送部14が、基板トレイ置き場38またはトレイ載置台10から、基板トレイ32を搬送する搬送工程には、基板トレイ32を吸着できているか否かを検知する検知工程が含まれる。検知工程においては、吸着部16が基板トレイ32を吸着していると判定された場合には、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32を基板トレイ置き場38またはトレイ載置台10から取り除く。
【0049】
(吸着判定装置50による判定)
前述したように、吸着部16が基板トレイ32を吸着しているか否かは、吸着判定装置50が判定する。具体的には、各吸着パッド22と各管64との間に接続されている個々の流量センサ66の測定結果と、全体用流量センサ62の測定結果とに基づいて、吸着判定装置50の制御部54が判定する。
【0050】
吸着パッド22を基板トレイ置き場38またはトレイ載置台10に接近させ、基板トレイ32を吸着したときに、個々の流量センサ66は、各吸着パッド22に接続された管64における空気の流量の測定結果を、信号線74を介して制御部54に送る。また、全体用流量センサ62は、全体用流量センサ62に接続された管68における空気の流量の測定結果を、信号線60を介して制御部54に送る。
【0051】
得られた流量の測定結果は、予め設定された閾値との比較を行う。なお、閾値とは、流量が当該閾値以下ならば、吸着部16(吸着パッド22)が基板トレイ32を吸着していると判断される値である。したがって、個々の流量センサ66、あるいは全体用流量センサ62の流量が閾値以下であれば、吸着部16(吸着パッド22)が基板トレイ32を吸着しているという信号を制御部54へ出力する。
【0052】
流量センサ66および全体用流量センサ62の閾値設定について、図3を参照して説明する。図3(a)は、吸着物を吸着したときの、流量センサの測定値の変化の様子を表す図である。図3(b)は、各流量センサ66の閾値の一設定例である。図3(c)は、全体用流量センサ62の閾値の一設定例である。図3(a)〜(c)では、縦軸が空気の流量を示し、横軸が経過時間を示す。
【0053】
図3(a)に示すように、通常は、時点Pにおいて吸着物を吸着したとすると、吸着体内の負圧状態が増すので、流量センサの値は低下する。本実施形態では、流量センサ66または全体用流量センサ62の低下した値が、閾値以下であるかを判定することによって、吸着部16(吸着パッド22)が基板トレイ32を吸着したか否かを判断する。前述したように、流量センサ66、あるいは全体用流量センサ62の値が閾値以下であれば、吸着部16(吸着パッド22)が基板トレイ32を吸着していると判断される。
【0054】
図3(b)に流量センサ66の閾値の設定例を示す。図3(b)に示すように、流量センサ66には、複数の閾値(S0〜S3)を設定する。具体的には、S0は、4つの吸着パッド22が、通常の吸着をしたと判定する閾値である。S1は、1つの吸着パッド22がほぼ完璧な吸着したときの、残りの3つの吸着パッド22が吸着したと判定する閾値である。S2は、2つの吸着パッド22がほぼ完璧な吸着したときの、残りの2つの吸着パッド22が吸着したと判定する閾値である。そして、S3は、3つの吸着パッド22がほぼ完璧な吸着したときの、残りの1つの吸着パッド22が吸着したと判定する閾値である。各閾値の関係は、S0<S1<S2<S3となる。流量センサ66は、複数の閾値S0〜S3のうち、いずれかの閾値に基づいて、基板トレイ32の吸着状態を判定する。
【0055】
また、図3(c)に全体用流量センサ62の閾値の設定例を示す。図3(c)に示すように、全体用流量センサ62には、閾値Saを設定する。Saは、S0の4倍を目安に設定する。
【0056】
(吸着判定装置50による判定手順)
次に、吸着判定装置50による吸着判定の手順を図4のフローチャートに示す。以下、このフローチャートに基づいて、吸着判定装置50の制御部54による吸着判定、および制御の方法を順次説明する。なお、流量センサ66の個数をm個とする。本実施形態においては、吸着パッド22は4つあり、それに対応して4つの流量センサ66が設けられているので、m=4となる。
【0057】
搬送の処理をスタートすると、前述したように、吸着部16を基板トレイ置き場38またはトレイ載置台10の真上に移動後、昇降移動部24が移動することによって、基板トレイ32の上面側から吸着部16を接近させて、吸着パッド22に基板トレイ32を吸着する(ステップ1、以降はST1と略記する)。
【0058】
基板トレイ32の吸着は、吸着パッド22ごとに設けられている電磁弁72の作動によって行われる。基板トレイ32の吸着によって吸着パッド22につながる管64の真空圧が安定するのを待ち、安定した段階で全体用流量センサ62の測定値が閾値Sa(第1閾値)以下であるか否かをチェックする(ST2)。全体用流量センサ62の流量値が、閾値Sa以下であるという信号、および閾値Saよりも大きいという信号のいずれかを制御部54に出力する。
【0059】
全体用流量センサ62の流量値が閾値Saよりも大きい場合は(ST2,NO)、単数または複数の吸着パッド22が基板トレイ32を未吸着であり、該吸着パッド22からエアリークが発生している可能性があると制御部54が判断する。その場合には、制御部54は、基板トレイ32の吸着を失敗したと判断し、吸着エラー処理をする(ST9)。
【0060】
全体用流量センサ62の流量値が閾値Sa以下の場合は(ST2,YES)、個々の吸着パッド22の吸着状況を調べる。具体的には、個々の流量センサ66の流量値と、閾値S0とを比較し、各流量センサ66の流量値が、閾値S0(第2閾値)以下という信号、および閾値S0よりも大きいという信号のいずれかを制御部54に出力する。制御部54では、“個々の流量値≦閾値S0”を満たす流量センサ66の数を求めて、その数をn1とする(ST3)。
【0061】
そのn1とm(流量センサ66の数)とを比較する(ST4)。n1とmとが一致すれば(ST4,YES)、すべての吸着パッド22で基板トレイ32を吸着しており、吸着が成功したと判定する(ST8)。
【0062】
ここで、実際には基板トレイ32を吸着しているが、n1とmとが一致しない場合がある(ST4,NO)。それは、単数または複数の吸着パッド22の吸着状況が非常に良いと、該吸着パッド22に接続された流量センサ66の流量値が、閾値S0よりも極端に小さくなる場合である。この場合、他の吸着パッド22では、通常と同じように吸着しても、該吸着パッド22に接続している流量センサ66の流量値は、非常に吸着状況の良い吸着パッド22の影響を受けて、閾値S0を超えてしまう可能性がある。このように、複数の吸着パッド22を1つのポンプ82に連結した際に、流量変動が生ずる場合がある。
【0063】
そこで、本実施形態では、閾値S0を超えている流量センサ66の数(m−n1)に応じて、閾値S0を超えている流量センサ66の閾値を変更する(ST5)。具体的には、n1=1のときは閾値S1に変更し、n1=2のときは閾値S2に変更し、n1=3のときは閾値S3に変更する。
【0064】
再度、個々の流量センサ66の流量値と、新しい閾値(S1またはS2またはS3)(第3閾値)とを比較し、各流量センサ66の流量値が、閾値以下という信号、および閾値よりも大きいという信号のいずれかを制御部54に出力する。制御部54では、“個々の流量値≦新しい閾値”を満たす流量センサ66の数を求めて、その数をn2とする(ST6)。
【0065】
そのn2とm(流量センサ66の数)とを比較する(ST7)。n2とmとが一致すれば(ST7,YES)、すべての吸着パッド22で基板トレイ32を吸着しており、吸着が成功したと判定する(ST8)。ここで、n2とmとが一致しない場合には(ST7,NO)、制御部54は、基板トレイ32の吸着を失敗したと判断し、吸着エラー処理をする(ST9)。
【0066】
吸着エラーが発生した場合には、制御部54が警告音を発する。作業員は、この警告音を聞くことによって、基板トレイ32を吸着できない何らかの不都合があることを認識できる。したがって、作業員が警告音を聞いた場合には、即座に搬送装置2に適切な処置をすることができる。なお、作業員に認識させるための警告は、警告灯58の点灯によって行っても良いし、通信媒体を経由して制御パネル56等のモニターに警告を表示するようにしても良い。
【0067】
以上のように、本実施形態では、個々の流量センサ66および全体用流量センサ62の測定値に応じて、流量センサ66の測定値の閾値を変更する。したがって、複数の吸着パッド22を1つのポンプ82に連結した場合に生じる流量変動に対応することが可能である。さらに、変更した閾値に基づいて、吸着部16の吸着状態の判定を再度行うことによって、実際には基板トレイ32を吸着しているにも拘らず、基板トレイ32を吸着していないと誤判断されてしまうのを防ぐことができる。その結果、基板トレイ32を吸着していないと誤判断される度に、吸着部16の動作を停止する必要がなくなり、気相成長装置1の稼働率を上げることができる。
【0068】
〔第2の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係る気相成長装置について、図5を参照して説明する。図5は、気相成長装置11の構成を示す断面図である。
【0069】
前述した第1の実施形態では、1つの吸着パッド22に接続されている流量センサ66は、1つであったが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、本実施形態のように、1つの吸着パッド22に、複数の流量センサを接続することも可能である。
【0070】
本実施形態では、図5に示すように、1つの吸着パッド22と電磁弁72との間に、複数の流量センサ75,76,78,80(第3流量センサ)を直列に並べて接続している。そして、流量センサ75には閾値S0を設定し、流量センサ76には閾値S1を設定し、流量センサ78には閾値S2を設定し、流量センサ80には閾値S3を設定している。これによれば、1つの流量センサに複数の閾値を設定することができない場合でも、異なる閾値が設定された流量センサ75,76,78,80を利用することによって、吸着状況の判定を複数の閾値に基づいて、判定することが可能となる。すなわち、例えば、4つの吸着パッド22のうち、2つの吸着パッド22に接続された流量センサ75が閾値S0を超えていると判定された場合、各吸着パッド22の吸着状況の判定を、各流量センサ78の流量値と閾値S2とに基づいて行う。
【0071】
本実施形態において、複数の流量センサ75,76,78,80を設けている点以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは言及しない。また、基板トレイ32の吸着状態を判定する具体的な手順についても、第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、吸着体である吸着パッドを用いて吸着物の吸着を行うとき、各吸着パッドの状況によって流量センサの閾値の変更を行う吸着装置に適用することができ、例えば、基板トレイの吸着を行う気相成長装置等において利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1,11 気相成長装置
2 搬送装置
4 土台部
6 サセプタ
6’ 軸部
8 サセプタ回転手段
10 トレイ載置台
10’ 軸部
12 トレイ回転手段
14 搬送部
16 吸着部
22 吸着パッド
24 昇降移動部
26 平面移動部
28 台座部
30 基板
32 基板トレイ
34 チャンバー
38 基板トレイ置き場
50 吸着判定装置
52 ベース部
54 制御部
56 制御パネル
58 警告灯
60,74,84 信号線
62 全体用流量センサ
64,68 管
66,75,76,78,80 流量センサ
70 マニホールド
72 電磁弁
82 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空発生源と、
前記真空発生源から導出されている共通管と、
前記共通管から分岐した複数の個別管と、
個々の前記個別管の末端に接続された吸着体からなる吸着部と、
個々の前記個別管に設けられ、空気の流量を測定する複数の第1流量センサと、
前記共通管に設けられ、空気の流量を測定する第2流量センサと、
個々の第1流量センサの測定値が予め定めた第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が予め定めた第2閾値を超えるか否かを判定することによって、前記吸着部が吸着物を吸着しているか否かを判定する判定部とを備えた吸着装置であって、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1閾値を当該第1閾値とは異なる値の他の第1閾値に変更する変更部を備えていることを特徴とする吸着装置。
【請求項2】
前記判定部が、前記第2流量センサの前記測定値が前記第2閾値以下であると判定した場合に、前記第1流量センサの前記測定値が前記第1閾値を超えると判定された前記第1流量センサと、前記第1流量センサの前記測定値が前記第1閾値以下であると判定された第1流量センサとが、それぞれ少なくとも1つあると、前記変更部は、前記測定値が前記第1閾値を超えると判定された前記第1流量センサの数に応じて、前記第1閾値を前記他の第1閾値に変更し、個々の前記第1流量センサの前記測定値が前記他の第1閾値を超えるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
個々の前記第1流量センサは、複数の第3流量センサによって構成されており、当該複数の第3流量センサは、直列に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着装置。
【請求項4】
前記第2流量センサの前記測定値が前記第2閾値を超えたと判定された場合、あるいは前記複数の第1流量センサのうち、少なくとも1つの前記測定値が前記他の第1閾値を超えたと判定された場合に、前記吸着部の動作を停止すると共に、警告を発する制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の吸着装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸着装置を備えたことを特徴とする気相成長装置。
【請求項6】
真空発生源と、
前記真空発生源から導出されている共通管と、
前記共通管から分岐した複数の個別管と、
個々の前記個別管の末端に接続された吸着体からなる吸着部と、
個々の前記個別管に設けられ、空気の流量を測定する複数の第1流量センサと、
前記共通管に設けられ、空気の流量を測定する第2流量センサと、
個々の第1流量センサの測定値が予め定めた第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が予め定めた第2閾値を超えるか否かを判定することによって、前記吸着部が吸着物を吸着しているか否かを判定する判定部とを備えた吸着装置であって、
前記真空発生源によって真空を発生する工程と、
前記吸着部によって吸着物を吸着する工程と、
個々の前記第1流量センサによって前記流量を測定する工程と、
前記第2流量センサによって前記流量を測定する工程と、
前記判定部が、個々の第1流量センサの測定値が前記第1閾値を超えるか否かを判定し、なおかつ前記第2流量センサの測定値が前記第2閾値を超えるか否かを判定する工程と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1閾値を当該第1閾値とは異なる値の他の第1閾値に変更する工程とを備えていることを特徴とする吸着装置の吸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−692(P2012−692A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135370(P2010−135370)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】