説明

周波数シンセサイザ及びフェーズロックループ、並びにクロック生成方法

【課題】従来構成のPLLを用いることなく、高精度の分周を回路増加を抑えつつ実現可能な周波数シンセサイザ及びクロック生成方法を提供する。
【解決手段】周波数シンセサイザは、リファレンスクロック発生器501からのN相のクロックを基に複数の周波数のクロックを生成する位相選択合成器502、503を備える。位相選択合成器502、503において、クロック選択手段504は、N相クロックと位相番号(j:0から(N−1)までの整数)を入力し、位相番号に対応したクロックを選択することで(N/M)fのクロックを生成する。位相番号生成手段505は、(N/M)fのクロックと分周分母M及び分周分子Nを入力し、(N/M)fのクロックに同期して、分周分母M及び分周分子Nから算出される値(M−N)を累算し、累算値ACCをNで割った剰余を位相番号(j)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の周波数を持つクロックを生成する周波数シンセサイザ及びフェーズロックループ、並びにクロック生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の周波数シンセサイザは、分周器、位相比較器、フィルタ(LPF、ループフィルタ)、電圧制御オシレータ(VCO)を組合せ、電圧制御オシレータの分周クロックと基準クロックの分周クロックとの位相同期を取るフィードバック制御(フェーズロックループ:PLL)を行うことで、所望の周波数の生成を実現している(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、前記従来手法では、複数の周波数を同時に生成したい場合には、周波数の種類だけPLLを構成する必要がある。例えば2種類の周波数を生成したい場合には、図28に示すように、リファレンスクロック発生器10001一つに対し、分周器10002、10006、位相比較器10003、LPF10004、VCO10005から構成される第1のPLLと、分周器10007、10011、位相比較器10008、LPF10009、VCO10010から構成される第2のPLLとによって個別に周波数を生成する必要がある。特にPLLの場合、フィルタの実現には容量成分が必要になるため、LSI上における占有面積が大きくなり、コスト増加に繋がる。
【0004】
一方、PLLを用いずに所望の周波数を合成する方法も存在している(例えば特許文献4、特許文献5参照)。この方法は、基準クロックとして互いに位相の異なる多相クロックを入力とし、相の異なるクロック同士からエッジを抽出、あるいは微分器によるエッジ抽出によって、各クロック位相に対応するパルスを生成し、それらのパルスをワイヤードオアなどの合成回路にて合成することで所望の周波数を合成するものである。
【0005】
また、PLLを用いない他の方法として、セレクタで多相クロックを選択し、1サイクルの中で2つのクロック位相を選択し、その各々のクロック位相によって所望のクロックの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを合成するものがある(例えば特許文献6参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第2827968号明細書
【特許文献2】特許第3319677号明細書
【特許文献3】特許第2817676号明細書
【特許文献4】特願平3−241417号公報
【特許文献5】特願平5−119641号公報
【特許文献6】特開2002−305440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したPLLを用いずに所望の周波数を合成する従来例の方法では、所望の周波数に対応する周期分、パルスを生成するためのエッジ抽出回路、あるいは微分器、セレクタ等が複数必要になる。例えば、基準クロックの位相数がP、所望の周期が基準クロックのN倍とすると、エッジ抽出回路あるいは微分器はP×N個必要になる。また、特許文献6の場合には、クロック位相数と同じ数のフリップフロップ、セレクタが必要となる。このため、特に分周動作を高精度に実現したい場合にはP、Nが増加するため、エッジ抽出回路、あるいは微分器、セレクタの回路増加の影響が大きくなる。
【0008】
このように、従来の周波数シンセサイザでは、複数の周波数を同時に生成する場合に、所望の周波数に対応した数だけPLL、エッジ抽出回路、微分器、フリップフロップ、セレクタ等が必要になり、回路規模の大型化、コスト増加を招いていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来構成のフェーズロックループを用いること無く、高精度の分周動作を回路増加を抑えつつ実現することが可能な周波数シンセサイザ及びクロック生成方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、回路増加を抑えつつ高精度の分周動作を実現する構成をフェーズロックループ用の分周器に応用することによって、クロック生成部の特性改善及び低消費電力化を図ることが可能な周波数シンセサイザ及びフェーズロックループ、並びにクロック生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の周波数シンセサイザは、N相クロックから、N/M分周クロック(N、Mは整数)を生成する周波数シンセサイザであって、分周分母M及び分周分子Nから、所定の位相番号を生成する位相番号生成手段と、前記N相クロックから、前記位相番号生成手段が出力する前記位相番号に対応するクロック位相を選択し、前記N/M分周クロックを出力するクロック選択手段と、を備えるものである。
上記構成により、基準クロックとして互いに位相の異なる多相クロックを入力とし、分周後のクロック波形における立ち上がりエッジのタイミングと同じ立ち上がりエッジのタイミングを持つ前記多相クロックを適宜選択、出力することによって分周動作を実現する。このとき、N/M分周が実現できるため、分周分母M及び分周分子Nを制御することによって、例えば周波数f以外に5/6*f、5/7*fなどが実現でき、基準周波数に対して5/6(83%)、5/7(71%)などの周波数を選択できるため、生成出力周波数の解像度が大幅に向上する。また、従来のようなPLLを構成することなく、所望の周波数を得ることが可能となるため、フィルタ等が不要となり、LSI上に構成した場合の占有面積が小さくなり、コスト削減に繋がる。したがって、従来構成のフェーズロックループを用いること無く、高精度の分周動作を回路増加を抑えつつ実現することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記位相番号生成手段は、前記N/M分周クロックのサイクル毎に(M−N)の値を累算し、この累算値をNで割った剰余を前記位相番号とするものとする。
上記構成により、所望の周波数に対応する周期分、パルスを生成するだけのエッジ抽出回路、あるいは微分器が不要になり、セレクタ数が大幅に削減されるため、特に分周動作を高精度に実現したい場合においても、エッジ抽出回路、あるいは微分器、セレクタ等の回路増加の影響を回避することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記クロック選択手段は、第1のクロックを選択する第1のクロック選択回路と、第2のクロックを選択する第2のクロック選択回路とを有し、前記位相番号生成手段は、前記第1のクロックを使用する第1のレジスタと、前記第2のクロックを使用する第2のレジスタとを有し、前記第2のクロック選択回路は、前記第1のレジスタの出力によって制御され、前記第1のクロック選択回路は、前記第2のレジスタの出力によって制御されて、前記N/M分周クロックを供給するものとする。
上記構成により、第1または第2のクロック選択回路によって選択される第1または第2のクロックと、第1または第2のクロック選択回路を制御する第2または第1のレジスタが使用する第2または第1のクロックが異なるため、第1及び第2のレジスタ更新時におけるN/M分周クロックのグリッチ発生を回避することができる。
【0014】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記位相番号生成手段は、前記第1のレジスタと第2のレジスタの値を比較し、前記N/M分周クロックの出力を制御する比較手段を有するものとする。
上記構成により、第1と第2のレジスタの値を比較し、クロックグリッチを無効化することができるので、N/M分周クロックのグリッチ発生を回避することができる。
【0015】
本発明の周波数シンセサイザは、N相クロックから、N/(M+X)分周クロック(N、Mは整数、Xは1未満の小数)を生成する周波数シンセサイザであって、分周分母M、分周分子N及び小数設定Xから、所定の位相番号を生成する位相番号生成手段と、前記N相クロックから、前記位相番号生成手段が出力する前記位相番号に対応するクロック位相を選択し、前記N/(M+X)分周クロックを出力するクロック選択手段と、を備えるものである。
上記構成により、ジッターの少ないフラクショナルPLLを実現可能となる。
【0016】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記位相番号生成手段は、前記N/M分周クロックのサイクル毎にXの値を累算する第1の累算回路と、前記N/M分周クロックのサイクル毎に(M−N)の値を累算する第2の累算回路とを備え、前記第1の累算回路において整数に繰り上がったキャリーを前記第2の累算回路に加算し、前記第2の累算回路の累算値をNで割った剰余を前記位相番号とするものとする。
上記構成により、位相番号生成手段に累算回路を追加するだけで容易にフラクショナルPLLを実現でき、かつ、量子化ノイズを従来方式と比較して大幅に削減できる。
【0017】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記クロック選択手段は、第1のクロックを選択する第1のクロック選択回路と、第2のクロックを選択する第2のクロック選択回路とを有し、前記位相番号生成手段は、前記第1のクロックを使用する第1のレジスタと、前記第2のクロックを使用する第2のレジスタとを有し、前記第2のクロック選択回路は、前記第1のレジスタの出力によって制御され、前記第1のクロック選択回路は、前記第2のレジスタの出力によって制御されて、前記N/(M+X)分周クロックを供給するものとする。
上記構成により、第1または第2のクロック選択回路によって選択される第1または第2のクロックと、第1または第2のクロック選択回路を制御する第2または第1のレジスタが使用する第2または第1のクロックが異なるため、第1及び第2のレジスタ更新時におけるN/(M+X)分周クロックのグリッチ発生を回避することができる。
【0018】
また、本発明は、上記の周波数シンセサイザであって、前記位相番号生成手段は、前記第1のレジスタと第2のレジスタの値を比較し、前記N/(M+X)分周クロックの出力を制御する比較手段を有するものとする。
上記構成により、第1と第2のレジスタの値を比較し、クロックグリッチを無効化することができるので、N/(M+X)分周クロックのグリッチ発生を回避することができる。
【0019】
また、本発明は、M/N分周クロックをN/M分周する上記いずれかの周波数シンセサイザと、前記周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したM/N分周クロックを生成する電圧制御オシレータと、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、位相比較器に入力されるクロック及び基準クロックは、共に従来の構成のN倍の周波数になり、PLLの動作帯域を従来の構成のN倍にすることができる。
【0020】
また、本発明は、M/P分周クロックをP/M分周する上記いずれかの第1の周波数シンセサイザと、M/P分周クロックをP/N分周する上記いずれかの第2の周波数シンセサイザと、前記第1の周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したM/P分周クロックを生成する電圧制御オシレータとを備え、前記第2の周波数シンセサイザが、前記M/P分周クロックをP/N分周して前記基準クロックのM/N分周クロックを生成するフェーズロックループを提供する。
上記構成により、位相比較器の入力クロックの周波数が従来の構成のN倍であり、電圧制御オシレータの段数をP段にできるため、発振可能周波数上限に応じてPの値を任意に設定することができる。
【0021】
また、本発明は、QM/P分周クロックをP/QM分周する上記いずれかの第1の周波数シンセサイザと、QM/P分周クロックをP/Q分周する上記いずれかの第2の周波数シンセサイザと、前記第1の周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したQM/P分周クロックを生成する電圧制御オシレータとを備え、前記第2の周波数シンセサイザが、前記QM/P分周クロックをP/Q分周して前記基準クロックのM逓倍クロックを生成するフェーズロックループを提供する。
上記構成により、電圧制御オシレータの発振周波数はf*QM/Pとなり、これによって、発振周波数を下げる側の組合せが実現できるため、電圧制御オシレータの発振上限周波数の制約を緩和することができ、入力周波数レンジを従来の構成に対してPQ倍とすることができる。
【0022】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザと、乱数値を出力する乱数発生器とを備え、固定値と前記乱数値とを加算して前記分周分母M、分周分子Nあるいは小数設定Xとするフェーズロックループを提供する。
上記構成により、分周分母M、分周分子Nに乱数発生から出力された時系列乱数値として例えばα(t)を足しこむことで、時系列に揺らぎを持つ分数制御を行うことができる。これによって、周波数として例えばf*(N+α(t))/M、あるいはf*N/(M+α(t))といった時系列に揺らぎを持つクロックが実現できる。このような揺らぎを持つクロックは周波数成分として広がりを持っているため、特定周波数成分のピーク振幅が抑えられ、EMIを低減する効果を奏する。
【0023】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1及び第2の周波数シンセサイザと、前記第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ分周して第1と第2のN/2M分周クロックを生成する第1及び第2の分周器と、前記第1と第2のN/2M分周クロックを論理演算してN/M分周クロックを生成する論理演算器と、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、デューティ比が理想的にはHi区間:Lo区間=50%:50%となるN/M分周クロックを生成することができる。
【0024】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザと、前記周波数シンセサイザから供給されるクロックを分周する1つ以上の1/2分周器と、前記周波数シンセサイザから出力されるクロック、あるいは前記1/2分周器から出力されるクロックを選択する選択回路と、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、例えば1/2分周器をW段構成することで分周比は1/(2^W)から1の範囲を実現でき、分周範囲を拡大することができる。
【0025】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1及び第2の周波数シンセサイザと、前記第1のN/M分周クロックをセット入力とし、前記第2のN/M分周クロックをリセット入力とし、セットあるいはリセット結果をN/M分周クロックとするセットリセット保持手段と、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、デューティ比が理想的にはHi区間:Lo区間=50%:50%となるN/M分周クロックを生成することができる。
【0026】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1、第2及び第3のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1、第2及び第3の周波数シンセサイザと、前記第1と第2のN/M分周クロックの位相を混合し、第4のN/M分周クロックを生成する位相混合器と、前記第3と第4のN/M分周クロックを分周して第1と第2のN/2M分周クロックを生成する第1と第2の分周器と、前記第1と第2のN/2M分周クロックを論理演算してN/M分周クロックを生成する論理演算器と、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、分周分母Mが奇数の場合であってもN/M分周クロックのデューティ比を理想的にHi区間:Lo区間=50%:50%にすることができる。
【0027】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1、第2及び第3のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1、第2及び第3の周波数シンセサイザと、前記第1と第2のN/M分周クロックの位相を混合し、第4のN/M分周クロックを生成する位相混合器と、前記第3のN/M分周クロックをセット入力とし、前記第4のN/M分周クロックをリセット入力とし、セットあるいはリセット結果をN/M分周クロックとするセットリセット保持手段と、を備えるフェーズロックループを提供する。
上記構成により、分周分母Mが奇数の場合であってもN/M分周クロックのデューティ比を理想的にHi区間:Lo区間=50%:50%にすることができる。
【0028】
本発明のクロック生成方法は、N相のクロック位相を有する基準クロックのN/M分周クロック(N、Mは整数)を生成するクロック生成方法であって、前記N/M分周クロックの毎サイクルごとに、(M−N)の値を、少なくともNと(M−N)の最小公倍数まで累算するステップと、前記基準クロックのN相のクロック位相から、累算結果をNで割った剰余に対応するクロック位相を選択するステップと、を有するものである。
上記手順により、複数のクロック生成のために従来のようなPLLを複数構成する必要は無くなり、クロック生成部のLSI等への実装時の面積削減、消費電力の削減を実現することが可能となる。
【0029】
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた通信装置を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた情報再生装置を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた画像表示装置を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた電子装置を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた電子制御装置を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの周波数シンセサイザを備えた移動体を提供する。
上記構成により、周波数シンセサイザが従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、通信装置、情報再生装置、画像表示装置、電子装置、電子制御装置、移動体等の各種装置の消費電力を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、従来構成のフェーズロックループを用いること無く、高精度の分周動作を回路増加を抑えつつ実現することが可能な周波数シンセサイザ及びクロック生成方法を提供できる。
【0031】
また、本発明によれば、回路増加を抑えつつ高精度の分周動作を実現する構成をフェーズロックループ用の分周器に応用することによって、クロック生成部の特性改善及び低消費電力化を図ることが可能な周波数シンセサイザ及びフェーズロックループ、並びにクロック生成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
図1は本発明の実施形態に係るクロック生成装置の構成を示すブロック図である。図1において、(a)は本実施形態の周波数シンセサイザを含むクロック生成装置の構成要素を示したものであり、(b)は周波数シンセサイザに相当する位相選択合成器の構成要素を示したものである。
【0033】
クロック生成装置は、N相のクロック位相を出力するリファレンスクロック(基準クロック)発生器501と、後述するクロック位相選択、分周クロック生成を行う周波数シンセサイザに相当する位相選択合成器502、503とを有して構成される。
【0034】
リファレンスクロック発生器501から周波数fのN相クロックが位相選択合成器502、503に入力される。位相選択合成器502、503は、それぞれN/M0分周、N/M1分周を行い、それぞれ(N/M0)f、(N/M1)fのクロックを生成する。
【0035】
位相選択合成器502、503はそれぞれ、クロック選択手段504と、位相番号生成手段505とを有して構成されている。クロック選択手段504は、N相クロックと、位相番号(j:0から(N−1)までの整数)とを入力し、位相番号に対応したクロックを選択することで(N/M)fのクロックを生成する。
【0036】
一方、位相番号生成手段505は、(N/M)fのクロックと、分周分母(M)及び分周分子(N)とを入力する。そして、位相番号生成手段505は(N/M)fのクロックに同期して、分周分母(M)、及び分周分子(N)から算出される値(M−N)を累算する。
【0037】
以下に本実施形態に係るクロック生成装置の動作を説明する。図2は本実施形態における基準クロックと分周クロックとの関係を示す図である。
【0038】
本実施形態では、基準クロックは、φ[0]からφ[N−1]まで均一な位相差を有する、N相のクロック位相を持つもので、分周クロックは、基準クロックをN/M分周したものと定義する。例えば、基準クロックが8相クロックであり、分周クロックが基準クロックの8/12分周である場合は、N=8、M=12となる。
【0039】
ここで、前記基準クロックは、一般的にはインバータリングで構成された発振回路の各インバータ出力の信号を取り出すことなどによって生成が可能である。また、実際のLSIにおいては、トランジスタの特性ばらつきなどによって厳密に位相差、周波数が同一にはならないことが一般的に知られており、ここで述べている「均一な」という言葉は「周波数、位相差がおおよそ同じ」という意味として構わない。
【0040】
図2において、基準クロックの周期をTとすると、位相差は周期Tを位相数Nで割った時間、すなわちT/Nとなる。また、基準クロックをN/M分周した分周クロックの周期は、(M/N)*T(本明細書では「*」は乗算を表す)となる。ここで(M/N)*Tを式変形させると、以下の式(1)のようになる。
【0041】
【数1】

【0042】
ここで、位相差がT/Nであることに着目すると、式(1)最右辺における第一項(T/N)*N、及び、第二項(T/N)*(M−N)は、それぞれ位相差のN倍、及び、(M−N)倍であると言うことが分かる。さらに、式(1)最右辺における第一項が周期Tに等しいことを踏まえると、分周クロックの周期は、基準クロックの周期に位相差の(M−N)倍を加えた時間に等しいことが分かる。すなわち、図2において、基準クロックのφ[0]相と、次サイクルのφ[M−N]相の立ち上がりエッジ101、102は、N/M分周クロックの立ち上がりエッジ103、104と時間的に等しいと言える。
【0043】
図3は本実施形態における基準クロックと分周クロックの複数サイクルにわたる関係を示す図である。
【0044】
上述したように、N/M分周クロックの周期は、基準クロックの周期に位相差の(M−N)倍を加えた時間に等しいことを踏まえると、毎サイクル(M−N)位相遅らせることによって、複数サイクルにわたってN/M分周クロックが生成できることが分かる。
【0045】
すなわち、図3において、基準クロックのφ[0]とN/M分周クロックの1サイクル目の立ち上がりエッジが等しい時点から見た場合、分周クロックの2サイクル目はφ[M−N]に等しいエッジ201となり、3サイクル目はφ[2*(M−N)]に等しいエッジ202となり、(h+1)サイクル目ではφ[h*(M−N)]に等しいエッジ203となる。
【0046】
ここで、図3中の(A)の時点で基準クロックとN/M分周クロックの位相が一致する(立ち上がりエッジ204、205のタイミングが一致する)場合は、遅らせている位相数h*(M−N)はNと(M−N)の公倍数となる。このため、基準クロックとN/M分周クロックの位相が等しい時点から、次に位相が等しい時点となるまでに最小限遅らせる位相数は、Nと(M−N)の最小公倍数(Least Common Multiple:LCM)となる。
【0047】
このことは、XとYの最小公倍数をLCM{X,Y}と表記した場合、遅らせている位相数h*(M−N)は以下の式(2)で表される。
h*(M−N)=LCM{(M−N),N} …(2)
【0048】
この遅らせている位相数h*(M−N)は(M−N)の倍数となるため、単純計算の場合はNを上回ることになるが、周期性を考慮するとφ[0]〜φ[N−1]のいずれかに一致する。
【0049】
図4は位相数と周期性の関係を極座標形式で表した概念図である。この図4を用いて、位相数と周期性の関係を説明する。
【0050】
N相クロックが均等に生成されている場合は、図4に示す通り、基準クロック位相はφ[0]、φ[1]、φ[2]、・・・、φ[N−1]という様に等角度で対応付けられる。そして、φ[N]は角度としてはφ[0]と同等になり、以降、φ[N+1]、φ[N+2]はそれぞれφ[1]、φ[2]と同じ角度となる。
【0051】
すなわち、基準クロックのクロック位相φ[i](301)について、以下の式(3)が成立する。
φ[i]=φ[a*N+i] :aは任意の整数 …(3)
【0052】
ここで、式(3)におけるiは、(a*N+i)という値をNで割った剰余にも等しい。このことは、XをYで割った剰余を(X mod Y)と表記した場合、クロック位相φ[x]は以下の式(4)で表される。
φ[x]=φ[x mod N] :xは任意の整数 …(4)
【0053】
図5は本実施形態におけるN/M分周クロックの生成を説明する概念図である。以上説明したことを踏まえ、本実施形態では、図5に示すようにN相のクロック位相を有する基準クロックを用い、毎サイクル(M−N)ずつの値を、少なくともNと(M−N)の最小公倍数LCM{(M−N),N}まで累算し、累算結果をNで割った剰余を求める。この剰余は、1サイクル目が0、2サイクル目が(M−N) mod N、3サイクル目が2*(M−N) mod N、(h+1)サイクル目がLCM{(M−N),N} mod N(=0)となる。
【0054】
これらの剰余を位相とし、φ[0]、φ[(M−N) mod N](401)、φ[2*(M−N) mod N](402)、・・・、φ[LCM{(M−N),N} mod N](403)のように、剰余に対応するクロック位相を選択することで、基準クロックのN/M分周クロックを生成する。すなわち、基準クロックのクロック位相に0から始まる整数番号を付与した場合に、剰余の数字と一致する整数番号に対応したクロック位相を選択することにより、基準クロックのN/M分周クロックを生成する。
【0055】
例えば、N=3,M=5の3/5分周クロックを生成する場合、基準クロックの3相のクロックφ[0],φ[1],φ[2]を生成する。次に、3/5分周クロックの毎サイクルごとに、(5−3)=2ずつの値を、少なくとも3と(5−3)=2の最小公倍数6まで累算し、累算結果を3で割った剰余を求める。累算結果は「0,2,4,6,8,10」、剰余は「0,2,1,0,2,1」となる。そして、剰余の数字と一致するクロック位相「φ[0],φ[2],φ[1],φ[0],φ[2],φ[1]」を選択することにより、基準クロックの3/5分周クロックを生成する。
【0056】
図1に戻り、本実施形態のクロック生成装置における具体的な動作を説明する。リファレンスクロック発生器501より、周波数fのN相クロックを位相選択合成器502、503に入力する。そして、位相選択合成器502はN/M0分周を行って(N/M0)fのクロックを、位相選択合成器503はN/M1分周を行って(N/M1)fのクロックを、それぞれ生成する。
【0057】
位相選択合成器502、503において、クロック選択手段504は、N相クロックと、位相番号(j:0から(N−1)までの整数)とを入力し、位相番号に対応したクロックを選択することで(N/M)fのクロックを生成する。また、位相番号生成手段505は、(N/M)fのクロックと、分周分母(M)及び分周分子(N)とを入力する。そして、位相番号生成手段505は(N/M)fのクロックに同期して、分周分母(M)、及び分周分子(N)から算出される値(M−N)を累算する。
【0058】
ここで、累算による時系列値(累算値)ACCは以下の式(5)で表され、累算値ACCは0から少なくともLCM{(M−N),N}の範囲の値を持つ。
ACC=(M−N)*t+j0 …(5)
【0059】
式(5)において、tは、時点(0から始まる整数)であり、j0は、初期位相番号(0から(N−1)までの整数)である。
【0060】
次に、累算値ACCをNで割った剰余を位相番号(j)とする。ここで、位相番号の時系列値は以下の式(6)で表される。
j={(M−N)*t+j0} mod N …(6)
【0061】
このようにして得られた位相番号(j)がクロック選択手段504に入力され、クロック選択手段504は、位相番号(j)に対応したクロックを選択することで(N/M)fのクロックを生成する。
【0062】
なお、分周分母(M)、及び分周分子(N)について、本実施形態ではM≧3、かつ、N≧2、かつ、M>Nを満たす整数とすることを制約事項としている。これは後の図8で説明する位相選択合成器の回路実装形態に起因するものであり、上記図5で示す発明内容に基づくものであれば、前記制約事項を満たさなくても構わない。
【0063】
また、初期位相番号(j0)は、複数生成した(N/M)fのクロックを異なる位相にする場合に有効な概念であり、後述する第3の実施形態では、この初期位相番号を用いたデューティ比改善の例を説明する。
【0064】
一般に、クロック切り替え制御を行う際には、切り替えに伴うグリッチが発生しないように考慮する必要がある。ここで、図6、図7を用いて切り替えに伴うグリッチ発生に関して説明する。図6はクロック選択手段504a及び位相番号生成手段505aの回路実装形態の一例を示す図であり、グリッチを防止する仕組みを設けていない構成例である。
【0065】
位相番号生成手段505aは加算器10101、ビット幅Wのレジスタ(Wb reg)10102を有して構成され、クロック選択手段504aはN相クロックから一つのクロックを選択するマルチプレクサ10103を有して構成される。ここで、クロック位相数をN=2^W(2のべき乗:Wは1以上の整数、本明細書では「^」はべき乗を表す)とし、分周分子はNに等しく、分周分母はMとする。
【0066】
レジスタ10102の出力は位相番号に対応する。マルチプレクサ10103で選択されたクロックはそのままクロックclkとなる。レジスタ10102はクロックclkで動作する。加算器10101はk=(M−N)とレジスタ10102の内容とを加算し、レジスタ10102に入力することで、クロックclkに同期してk=(M−N)を累算する。マルチプレクサ10103の出力が周波数シンセサイザの出力クロック(Synthesized clock)として出力される。
【0067】
ここで、Nが2のべき乗(2^W)となっており、レジスタ10102のビット幅はWとなっているため、レジスタ10102の格納結果は累算値ACCをNで割った剰余に等しく、そのまま位相番号として構わない。
【0068】
図7は図6の構成におけるクロック切り替え制御時の動作例を示す図である。ここでは、k=M−Nとし、位相(phase)nから位相n+kに切り替わる制御におけるタイミングチャートを示している。レジスタ10102の格納データ(reg)は位相nを示すため、位相nのクロックによってレジスタ10102の内容はnからn+kに更新される(10201)。そのため、クロックclkは位相nから位相n+kへと切り替わる(10202)。
【0069】
次に、レジスタ10102は位相n+kによって動作するため、位相n+kの立ち上がりエッジでn+kからn+k+kに更新される(10203)。そして、クロックclkは位相n+kから位相n+k+kへと切り替わる(10204)。
【0070】
このようにして得られたクロックclkは、同一サイクル内で複数のパルスが発生する、すなわちグリッチを伴う切り替えとなる。この場合、一点鎖線で囲んだように、正常なクロックが生成されないものとなる。本実施形態によるクロック生成を実現するためには、クロック切り替えの実装にも工夫が求められる。
【0071】
図8は上述したグリッチ発生の問題を考慮した本実施形態に係るクロック選択手段504及び位相番号生成手段505の回路実装形態の一例を示す図であり、グリッチを防止する仕組みを設けたものである。
【0072】
位相番号生成手段505は加算器601、ビット幅Wのレジスタ(Wb reg)602、603、604を有して構成され、クロック選択手段504はN相クロックから一つのクロックを選択する比較手段としてのマルチプレクサ605、606、一致判定器607、論理積素子(AND)608、論理反転素子609、610を有して構成される。ここで、クロック位相数をN=2^W(Wは1以上の整数)とし、分周分子はNに等しく、分周分母はMとする。
【0073】
レジスタ602、603、604の出力は位相番号に対応し、ここではそれぞれ位相番号A、位相番号B、位相番号Cとする。マルチプレクサ605で選択されたクロックは論理積素子608を経てクロックclk0となり、マルチプレクサ606で選択されたクロックはそのままクロックclk1となる。
【0074】
レジスタ602はクロックclk0で動作し、レジスタ603はクロックclk0の反転クロックで動作し、レジスタ604はクロックclk1の反転クロックで動作する。加算器601はk=(M−N)とレジスタ602の内容とを加算し、レジスタ602に入力することで、クロックclk0に同期してk=(M−N)を累算する。
【0075】
ここで、Nが2のべき乗(2^W)となっており、レジスタ602のビット幅はWとなっているため、レジスタ602の格納結果は累算値ACCをNで割った剰余に等しく、そのまま位相番号として構わない。ここでは位相番号Aとしている。
【0076】
また、レジスタ603、レジスタ604はレジスタ602の格納結果をクロックclk0の反転クロック、及びクロックclk1の反転クロックに同期してコピーしているだけなので、同様に位相番号として構わない。ここでは、それぞれ位相番号B、位相番号Cとしている。
【0077】
一致判定器607は、位相番号Bと位相番号Cが一致しているかどうかを判定し、一致していれば論理値1を、一致していなければ論理値0を一致判定結果(equal)として出力する。論理積素子608によって、マルチプレクサ605の出力と一致判定結果equalとの論理積がクロックclk0として生成される。このクロックclk0にはクロック切り替え制御に伴うグリッチが防止されており、N/M分周クロックとなる。論理積素子608の出力が周波数シンセサイザの出力クロック(Synthesized clock)として出力される。
【0078】
図8に示した本実施形態の構成における本質的に重要な点は、図6のようなマルチプレクサ10103によって選択されるクロックclkと、マルチプレクサ10103を制御するレジスタ10102が使用するクロックclkとを同一にするという構成を回避している点である。
【0079】
すなわち、図8において、マルチプレクサ605はレジスタ604によって制御され、かつレジスタ604はマルチプレクサ606によって選択されるクロックclk1を使用している。同様に、マルチプレクサ606はレジスタ602によって制御され、かつレジスタ602はマルチプレクサ605によって選択されるクロックclk0を使用している。
【0080】
図6のような構成の場合、図7に示すようにレジスタ更新によってクロックclkにグリッチが発生するが、図8の本実施形態の構成では、マルチプレクサによって選択されるクロックと、マルチプレクサを制御するレジスタが使用するクロックを同一にするという構成を回避しているため、レジスタ更新時におけるクロックのグリッチ発生を回避することができる。
【0081】
次に、本実施形態の構成によってクロック切り替え制御に伴うグリッチが防止されていることを説明する。図9は本実施形態のクロック選択手段及び位相番号生成手段の構成におけるクロック切り替え制御時の動作例を示す図である。ここでは、k=M−Nとし、位相(phase)nから位相n+kに切り替わる制御における動作条件として、(a)で示す位相nと立ち上がりエッジが最も近いkの最小値(min k)、及び(b)で示す位相nと立ち上がりエッジが最も遠いkの最大値(max k)のそれぞれの場合のタイミングチャートを示している。
【0082】
まず、位相nと立ち上がりエッジが最も近いkの最小値(min k)の場合についての動作を説明する。レジスタ602、603、604の格納データはすべて位相nを示している。レジスタ604の格納データは位相nを示すため、位相nのクロックによってレジスタ602の内容はnからn+kに更新される(701)。
【0083】
レジスタ602の内容によってマルチプレクサ606が制御されるため、マルチプレクサ606から出力されるクロックclk1は位相nから位相n+kへと切り替わる(702)。既に述べたように、レジスタ602はマルチプレクサ605によって選択されたクロックで動作するため、702の動作ではクロックが変化しないため、再び更新されることは無い(703)。
【0084】
また、レジスタ603についてもレジスタ602が動作するクロックを論理反転したクロックで動作するため、レジスタ602と同様、702の動作によって更新されることは無い。
【0085】
一方、レジスタ604は、マルチプレクサ606によって選択されたクロックであるclk1の反転クロックによって動作するために、一点鎖線で示すようにクロック切り替えに伴うグリッチが発生する。しかし、この破線で囲んだ704の部分では、既に述べたようにレジスタ604の入力データであるレジスタ603が更新されていないため、同じ値(位相n)を再度取り直す動作となり、実質的には問題は発生しない。
【0086】
次に、レジスタ603はレジスタ602が動作するクロックを論理反転したクロックで動作するため、位相nのクロックの立ち下がりエッジによって、レジスタ603の内容はnからn+kに更新される(705)。
【0087】
ここで、レジスタ603とレジスタ604の内容は一致判定器607に入力されるため、705の動作によってレジスタ603とレジスタ604の内容が不一致となるので、一致判定結果equalはLoレベルとなる(706)。
【0088】
この一致判定結果equalはマルチプレクサ605の出力と共に論理積素子608に入力されているが、マルチプレクサ605はレジスタ604によって位相nを選択しており、その出力がLoレベルとなっている(707)。このため、706の動作はクロックclk0には何ら影響を与えない。
【0089】
次に、レジスタ604は既に位相n+kに切り替わっているclk1を論理反転したクロックで動作するため、705の動作から位相差k遅れて、レジスタ604の内容はnからn+kに更新される(708)。708の動作によってマルチプレクサ605の選択は位相nからn+kに切り替わる(709)。
【0090】
更に、708の動作によってレジスタ603とレジスタ604の内容が一致するため、一致判定結果equalはHiレベルとなる(710)。しかし、マルチプレクサ605が選択している位相n+kは既にLoレベルとなっている(711)。このため、710の動作はクロックclk0には何ら影響を与えない。以上の動作により、レジスタ602、603、604は再び同じ値(n+k)を示し、同様に位相n+kからn+k+kへの切り替えが繰り返される(712)。
【0091】
次に、位相nと立ち上がりエッジが最も遠いkの最大値(max k)の場合についての動作を説明する。レジスタ602、603、604の格納データはすべて位相nを示している。レジスタ604の格納データは位相nを示すため、位相nのクロックによってレジスタ602の内容はnからn+kに更新される(721)。
【0092】
レジスタ602の内容によってマルチプレクサ606が制御されるため、マルチプレクサ606から出力されるクロックclk1は位相nから位相n+kへと切り替わる(722)。既に述べたように、レジスタ602はマルチプレクサ605によって選択されたクロックで動作するので、722の動作ではクロックが変化しないため、再び更新されることは無い(723)。
【0093】
また、レジスタ603についてもレジスタ602が動作するクロックを論理反転したクロックで動作するため、レジスタ602と同様、722の動作によって更新されることは無い。
【0094】
次に、レジスタ603はレジスタ602が動作するクロックを論理反転したクロックで動作するため、位相nのクロックの立ち下がりエッジによって、レジスタ603の内容はnからn+kに更新される(725)。
【0095】
ここで、レジスタ603とレジスタ604の内容は一致判定器607に入力されるため、725の動作によってレジスタ603とレジスタ604の内容が不一致となるので、一致判定結果equalはLoレベルとなる(726)。
【0096】
この一致判定結果equalはマルチプレクサ605の出力と共に論理積素子608に入力されているが、マルチプレクサ605はレジスタ604によって位相nを選択しており、その出力がLoレベルとなっている(707)。このため、726の動作はクロックclk0には何ら影響を与えない。
【0097】
次に、レジスタ604は既に位相n+kに切り替わっているclk1を論理反転したクロックで動作するため、725の動作から位相差k遅れて、レジスタ604の内容はnからn+kに更新される(728)。728の動作によってマルチプレクサ605の選択は位相nからn+kに切り替わる(729)。
【0098】
ここで、729の動作が行われるまでに一点鎖線で示すように位相nの立ち上がりエッジが存在する。しかし、一致判定結果equalがLoレベルとなっており(727)、論理積素子608によって無効化されるので、この破線で囲んだ724の部分では、クロックclk0にはグリッチは発生しない。
【0099】
更に、728の動作によってレジスタ603とレジスタ604の内容が一致するため、一致判定結果equalはHiレベルとなる(730)。しかし、マルチプレクサ605が選択している位相n+kは既にLoレベルとなっているため(731)、730の動作はクロックclk0には何ら影響を与えない。以上の動作により、レジスタ602、603、604は再び同じ値(n+k)を示し、同様に位相n+kからn+k+kへの切り替えが繰り返される(732)。
【0100】
上述したように、マルチプレクサによって選択されるクロックと、マルチプレクサを制御するレジスタが使用するクロックとを同一にすることを回避する構成によって、レジスタ更新時におけるクロックのグリッチ発生を回避することができる。更には、上記724の動作のように、特定条件でのクロックグリッチを無効化するという仕組みを組み合わせることが望ましい。
【0101】
なお、本実施形態では、724の動作を実現するために一致判定器と論理積素子とを構成要素にしているが、この構成に限定されるべきものではなく、上記724の動作を実現可能な無効化信号を生成するための回路構成、あるいは724の動作を代替する回路構成でも構わない。
【0102】
図10は本実施形態における周波数シンセサイザの出力クロックの一例を示す図である。上述した本実施形態の構成及び動作により、クロックを選択することによって所定の出力クロックが得られる。図10の例では、2/3分周の場合、すなわち図8においてM=3、N=2の場合を示している。この場合、多相クロックとして位相番号j=0であるクロック801、位相番号j=1であるクロック802がクロック選択手段504に入力される。
【0103】
位相番号生成手段505では、k=M−N(=1)ずつ累算を実施し、累算値ACCは0、1、2、3、・・・というように増加していく。なお、この累算値ACCは、N(=2)とM−N(=1)の最小公倍数である2まで少なくとも累算すればよい。
【0104】
そして、累算値ACCをN(=2)で割った剰余を位相番号として、位相番号jは0、1、0、1、・・・と変化する。また、図8で示したグリッチ防止の工夫により、得られる2/3分周クロック803は、クロック801とクロック802のそれぞれのクロックパルスを選択(804、805)して出力したものとなる。
【0105】
図11は従来の構成と本実施形態の構成とを比較した説明図である。図11において、(a)は従来の構成を示し、(b)は本実施形態の構成を示している。図11(a)あるいは背景技術で示した図28のような従来の構成では、複数のクロック生成のためにPLLを複数構成する必要があった。これに対し、図11(b)に示すような本実施形態の構成では、N相のクロック位相を出力するリファレンスクロック発生器(PLL)1001と、位相選択合成器1002とを設けることで、複数のクロックを生成する場合でもPLLを複数構成する必要は無くなり、PLLの個数を削減できる。これによって、回路の実装面積を削減でき、消費電力の削減を実現することが可能となる。
【0106】
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、本発明に係るクロック生成装置の特徴的な構成を用いたフェーズロックループへの応用例をいくつか示す。本発明によるクロック生成の特徴として、以下のものが挙げられる。
【0107】
(1)分周分母、分子の値の変更によって、1つのクロック周波数から他の周波数を生成できる。
(2)分周率の分子として1よりも大きな値をとることができる。
【0108】
まず、上記(1)に挙げた特徴を用いた例として、動的周波数制御(Dynamic Frequency Scaling:DFS)が第1応用例として考えられる。
【0109】
図12は動的周波数制御に適用した第1応用例を説明する図である。図12において、(a)は従来の構成を示し、(b)は本発明に係る第1応用例を示している。図12(a)に示す従来の構成では、例えばPLLから得られる周波数fのクロックと、1/2分周器後に得られる周波数(1/2)fのクロックとを選択回路1004によって切り替えるというものであった。この場合、動的に制御できる周波数は半分かどうかという解像度となる。すなわち、従来の構成では、基準周波数の1/2の周波数、一般的な分周器では1/(2のべき乗)という周波数しか生成できない(つまり基準周波数の90%などではない)。
【0110】
これに対し、図12(b)に示す第1応用例では、N相のクロックを出力するリファレンスクロック発生器(PLL)1001と位相選択合成器1002とを備え、DFSを実現する構成となっている。この構成では、図1、図8に示したようにN/M分周が実現できるため、分数制御値1003によって例えば周波数f以外に(5/6)f、(5/7)fが実現でき、周波数切り替えの解像度が大幅に向上する。すなわち、基準周波数に対して5/6(83%)、5/7(71%)などの周波数を選択でき、周波数の高解像度化を図れる。
【0111】
また、上記(1)に挙げた特徴を用いた例として、スペクトル拡散クロックの生成が第2応用例として考えられる。
【0112】
図13はスペクトル拡散クロック生成に適用した第2応用例を説明する図である。この第2応用例では、図12(b)に示した第1応用例の構成に加えて、乱数発生器1501、加算器1502を設け、上記第1応用例の分数制御と同様の分数制御値1503(N、あるいはM)に乱数発生器1501から出力される時系列乱数値α(t)を足しこむ構成となっている。これにより、時系列に揺らぎを持つ分数制御値1504が生成できる。
【0113】
この構成によれば、例えば、f*(N+α(t))/M、あるいはf*N/(M+α(t))といった時系列に揺らぎを持つクロックが実現できる。このような揺らぎを持つクロックは周波数成分として広がりを持っているため、特定周波数成分のピーク振幅が抑えられ、EMIを低減する効果を奏する。
【0114】
次に、上記(2)に挙げた特徴を用いた例として、PLLの特性改善が第3応用例及び第4応用例として考えられる。
【0115】
図14はPLLの特性改善に適用した第3応用例及び第4応用例を説明する図である。図14において、(a)は従来の構成を示し、(b)は本発明に係る第3応用例を示し、(c)は本発明に係る第4応用例を示している。
【0116】
一般的にPLLでは、図14(a)に示す従来の構成のように、周波数fのクロックを1/N分周してf/Nのクロック1101を生成し、そしてVCO1102の出力クロック1103を1/M分周して位相比較器(PFD)1104に入力し、位相比較結果をVCO1102にフィードバックすることで、1/M分周クロック1105の周波数がf/Nに収束する。このとき、VCO1102の出力クロック1103は(M/N)fとなる。
【0117】
ここで、位相比較器(PFD)1104は入力クロックのエッジ毎に動作するため、図14(a)の構成ではf/Nの周波数で位相比較器(PFD)1104が動作する。
【0118】
これに対し、図14(b)に示す一例としての第3応用例では、位相比較器1111とともに、本実施形態の位相選択合成器を分周器1110に適用し、N段のインバータリングで構成されるVCO1112によって、N相のクロックを分周器1110に入力する構成となっている。この構成の場合、分周器1110によってN/M分周が実現されるため、位相比較器1111の入力クロックは共に周波数fとなり、図14(a)の従来の構成に対してN倍のクロックで位相比較器1111が動作する。これはPLLの動作帯域がN倍になったことを意味し、広帯域化を図れる。
【0119】
なお、N段のVCOによってN相のクロックが生成可能であることは一般的に知られているが、このVCOの段数は発振可能周波数上限の決定要因にもなっている。図14(c)に示す他の例としてる第4応用例では、図14(b)の第3応用例のN/M分周器の代わりに、P/M分周器1120及びP/N分周器1121の組合せを設け、P段のインバータリングで構成されるVCO1123を用いてPLLが構成されている。この構成の場合、位相比較器1122の入力クロックは周波数fのまま、VCO1123の段数はP段にできるため、発振可能周波数上限に応じてPの値を任意に設定することができる。
【0120】
また、PLLへの他の応用例を第5応用例として示す。図15はPLLへの他の応用例である第5応用例を説明する図である。図15において、(a)は従来の第1の構成を示し、(b)は従来の第2の構成を示し、(c)は本発明に係る第5応用例を示している。
【0121】
周波数fから周波数f*Mを生成する場合、図15(a)に示す従来の第1の構成のように、片側に1/M分周器1201を設けて、位相比較器(PFD)1202の入力クロックを周波数fにするという構成がある。ここで、前述した図14と同様に、位相比較器1202は周波数fで動作するものとする。このとき、VCO1203の発振周波数はf*MすなわちMfとなる。ここで、この周波数fが低くなると、VCO1203の発振周波数が低くなるため、VCOの発振下限周波数の制約により入力周波数レンジが決定する。
【0122】
この入力周波数レンジを向上するための従来構成としては、図15(b)に示す従来の第2の構成のように、図15(a)の1/M分周器1201の代わりに1/QM分周器1210及び1/Q分周器1211を設けることで、VCO1212の発振周波数をf*QMすなわちQMfにでき、これにより入力周波数レンジがQ倍となる。
【0123】
しかし、発振周波数の上限について考えた場合、図15(b)の従来の第2の構成では発振周波数を上げるだけなので、発振上限周波数の制約により入力周波数レンジが決定する。
【0124】
これに対し、図15(c)に示す第5応用例では、P/QM分周器1220及びP/Q分周器1221と、P段のVCO1222とを備える構成となっている。この構成では、VCO1222の発振周波数はf*QM/Pすなわち(QM/P)fとなる。これにより、発振周波数を下げる側の組合せが実現できるため、VCOの発振上限周波数の制約を緩和することができる。この場合、入力周波数レンジとしては、図15(a)の従来の第1の構成に対してPQ倍となるので、入力周波数レンジの拡大を図れる。
【0125】
さらに、本発明に係るクロック生成装置は、分周比に小数を用いた、いわゆるフラクショナルPLLの精度向上にも応用できる。図16はフラクショナルPLLの精度向上にも応用した第6応用例を説明する図である。図16において、(a)は従来の構成を示し、(b)は本発明に係る第6応用例を示している。
【0126】
従来のフラクショナルPLLとしては、図16(a)に示す従来の構成のように、VCO1303とともに、片側に1/M分周器1301を設けて、位相比較器(PFD)1302の入力クロックを周波数fにするという構成がある。そして、M未満の小数点に相当する分周比の誤差を定期的に補正するように、1/M分周器1301のM値を1/Mあるいは1/(M+1)に制御する(1304)。このM値の制御1304によって、VCO1303の出力するクロックは1/(M+小数)という分周比に収束する。
【0127】
ここで、図16(a)の従来の構成において、1/M分周器1301のM値を制御する際、M=10の場合を考えると、1/Mと1/(M+1)の差分は1/10と1/11という差分になる。この差分が一般的には量子化ノイズと呼ばれ、ジッター性能に影響する。
【0128】
これに対し、図16(b)に示す第6応用例では、位相比較器1312、P/PM分周器1311と、P段のVCO1313とを備える構成となっている。このように片側にP/PM分周器1311を設けて、位相比較器1312の入力クロックを周波数fとし、そしてM未満の小数点に相当する分周比の誤差を定期的に補正するように、P/PM分周器1311のPM値をP/PMあるいはP/(PM+1)に制御する(1314)。このPM値の制御1314によって、VCO1313の出力するクロックは、図16(a)の従来の構成と同様に、P/(P(M+小数))=1/(M+小数)という分周比に収束する。
【0129】
この第6応用例の構成における量子化ノイズは、M=10、P=5の場合を考えると、P/PMとP/(PM+1)との差分は1/10と5/51(=1/10.2)という差分になる。すなわち、本発明に係る第6応用例では、量子化ノイズが従来の構成での1/11から1/10.2となり、位相量子化ノイズを1/5に削減することができる。このようにして、よりジッターの少ないフラクショナルPLLを実現できる。
【0130】
上記フラクショナルPLLを実現するための位相選択合成器の構成例を図17、図18に示す。図17はフラクショナルPLLを実現する位相選択合成器の構成要素を示す図、図18は図17の位相選択合成器におけるクロック選択手段504及び位相番号生成手段1401の回路実装形態の一例を示す図である。
【0131】
この図17、図18の構成は、図8で説明した位相選択合成器における位相番号生成手段505の変形例となる。すなわち、図8の位相番号生成手段505において加算器601のキャリー入力(キャリーイン:ci)に小数点誤差を入力することで、フラクショナルPLLを実現できる。
【0132】
具体的には、図17に示すように、位相番号生成手段1401には小数設定として「x」という値を設定する。そして、図18に示すように、この小数設定値xを加算器1402、レジスタ1403からなる累算回路によって累算し、小数点からの桁あふれ(キャリーアウト:co)1404を加算器601のキャリー入力に入力する。この他の動作は図8と同様である。この場合、桁あふれが発生する度に加算器601の累算値がkからk+1に変わり、結果として、分周比がP/PMあるいはP/(PM+1)となるように制御される。
【0133】
このように、第6応用例によれば、位相番号生成手段1401において累算手段を追加するだけで、容易にフラクショナルPLLを実現でき、かつ、量子化ノイズを従来方式と比較して大幅に削減できる。
【0134】
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、本発明に係るクロック生成装置の効果を更に高めるためのフェーズロックループへの応用例をいくつか示す。
【0135】
図19は分周範囲を拡大するための第7応用例を説明する図である。図19において、(a)は本実施形態の基本構成を示し、(b)は本発明に係る第7応用例を示している。図19(a)に示す基本構成の位相選択合成器1002の場合、分周比として1/2から1の範囲を実現できる。
【0136】
これに対し、図19(b)に示す第7応用例では、図19(a)の基本構成に加えて、W段の1/2分周器1601と、選択回路1604とを備えた構成となっている。この改善後の構成では、1/3などの上記範囲を超える分周比を実現したい場合、分数制御値を第1分数制御値1602と第2分数制御値1603との2つに分離し、選択回路1604によって位相選択合成器1002あるいは1/2分周器1601のいずれかのクロックを選択する。
【0137】
例えば、分周比を1/3から1の範囲で実現したい場合、1/3=2/3*1/2が成立するため、第1分数制御値1602に2/3から1の範囲を設定する。これにより、位相選択合成器1002の出力は2/3から1の範囲の分周比となり、さらに、1/2分周器1601の出力は1/3から1/2の範囲の分周比となる。
【0138】
ここで、選択回路1604によって位相選択合成器1002の出力、あるいは1/2分周器1601の出力を選択することで、最終的なクロックの分周範囲は両方の出力を合わせた1/3から1の範囲となる。このような構成を一般化すると、1/2分周器をW段構成することによって、分周比は1/(2^W)から1の範囲が実現でき、更なる分周範囲の拡大を図れる。
【0139】
また、本発明の効果を更に高めるための応用例としては、デューティ比の改善が挙げられる。本実施形態に係る位相選択合成器は、図8に示したように加算器601を用いた累算によって、多相クロックからクロックを選択する構成であるため、累算の初期値を変更することによってクロックの位相角を変更することが可能である。
【0140】
図20、図21を用いて本発明に係る第8応用例を説明する。図20はデューティ比を改善するための一例としての第8応用例の構成を示す図である。第8応用例のクロック生成装置は、図1に示したリファレンスクロック発生器501、位相選択合成器502、503の後段に、1/2分周器1701、1702、排他論理和否定素子(XNOR)1703を設けた構成となっている。
【0141】
クロックの位相角の変更は、前述した式(5)で説明した初期位相番号(j0)に相当する。そこで、図20に示すように、リファレンスクロック発生器501のクロックを位相選択合成器502、503に入力し、それぞれの位相選択合成器の出力の位相角を0[deg]、180[deg]にしておき、さらに1/2分周器1701、1702で1/2分周した後、排他論理和否定素子(XNOR)1703の論理演算を行う。
【0142】
図21は図20の第8応用例におけるクロックのタイミングを示す図である。ここで、180[deg]の位相角というのは、周期(M/N)*Tの場合、(M/2N)*Tの時間に相当する。そこで、式(5)における初期位相番号(j0)について、位相角0[deg]のクロックのj0をj0=0とした場合、位相角180[deg]のクロックのj0をj0=M/2とすれば、それぞれの位相角が得られる。
【0143】
これらの動作によって、位相選択合成器502、位相選択合成器503の出力クロックは、図21のクロック1704、1706で示すように、f*N/Mの周波数で、位相が180[deg]ずれた形で生成される。また、1/2分周器1701、1702の出力クロックは、クロック1705、1707で示すように、f*N/2Mの周波数で、位相が同様に90[deg]ずれた形で生成される。
【0144】
このとき、クロック1705、1707はそれぞれクロック1704、1706の立ち上がりエッジ毎に変化するため、デューティ比は理想的にはHi区間:Lo区間=50%:50%になる。そして、クロック1705、1707は位相90[deg]毎にLo/Lo、Hi/Lo、Hi/Hi、Lo/Hiと遷移するため、排他論理和否定素子(XNOR)1703の論理演算を行うことで、f*N/Mの周波数でデューティ比が理想的にはHi区間:Lo区間=50%:50%となるクロック1708が得られる。
【0145】
図22、図23を用いて本発明に係る第9応用例を説明する。図22はデューティ比を改善するための他の例としての第9応用例の構成を示す図、図23は第9応用例におけるクロックのタイミングを示す図である。
【0146】
第9応用例では、図20の第8応用例のように1/2分周器は用いずに、図22に示すようにセットリセット保持手段としてのセット・リセットラッチ1901を用いた構成としている。この構成において、位相選択合成器502、503からそれぞれ出力される位相が180[deg]異なるクロックを、それぞれセット信号1902、あるいはリセット信号1903としてセット・リセットラッチ1901に入力する。
【0147】
図23に示すように、セット・リセットラッチ1901の出力は、まず位相角が0[deg]のクロックを用いたセット信号1902によってLoからHiに遷移し(1904)、次に位相角が180[deg]のクロックを用いたリセット信号1903によってHiからLoに遷移する(1905)。
【0148】
これらの動作によって、セット・リセットラッチ1901の出力として、f*N/Mの周波数でデューティ比が理想的にはHi区間:Lo区間=50%:50%となるクロック1708が得られる。
【0149】
なお、上記の第8応用例及び第9応用例は、初期位相番号j0としてM/2という値を用いるため、Mが奇数の場合には誤差が発生する。そこで、Mが奇数の場合であってもデューティ比を理想的にHi区間:Lo区間=50%:50%にすることができる構成例を第10応用例として以下に示す。
【0150】
図24はデューティ比を改善するためのさらに他の例としての第10応用例の構成を示す図である。第10応用例のクロック生成装置は、図22の第9応用例を変形したもので、リファレンスクロック発生器501と3つの位相選択合成器502、2006、2007とを設けるとともに、位相選択合成器2006、2007の後段に位相混合器2003を設け、位相選択合成器502及び位相混合器2003の出力部にセット・リセットラッチ1901を設けた構成となっている。
【0151】
第10応用例では、位相角が180[deg]のクロックを生成するために、位相角が180−Δ[deg]のクロック2001を生成する位相選択合成器2006、及び位相角が180+Δ[deg]のクロック2002を生成する位相選択合成器2007、及び各々のクロックを入力して混合する位相混合器2003を用いる。
【0152】
ここで、クロック2001、2002は、Mが奇数の場合におけるM/2の小数点切捨て及び切り上げした値をそれぞれj0に適用することによる位相角に相当する。例えば、M=5の場合、5/2=2.5であるので、クロック2001はj0=2とした位相角、クロック2002はj0=3とした位相角となる。
【0153】
図25は第10応用例における位相混合器2003の構成を示す図である。位相混合器2003は、各々のクロックを入力するインバータ2008、2009と、インバータ2008、2009の出力を短絡させる中間ノード2004と、中間ノード2004を入力するインバータ2010とを有して構成されている。
【0154】
図26は図25の位相混合器2003によるクロックのタイミングを示す図である。図25の構成による位相混合器2003において、中間ノード2004はインバータ2008、2009の出力が異なる区間Δ(2011、2012)において、2Δの時間をかけてHiレベルからLoレベルに遷移するように波形がなまった状態となる(2013)。このとき、スイッチングレベル2005は、CMOSの場合、一般的に電源電圧の半分の値になるため、インバータ2010の出力はクロック2001、2002の中間の位相、すなわち位相角が180[deg]となる(2014)。
【0155】
このように、第10応用例によれば、Mが奇数の場合であってもデューティ比を理想的にHi区間:Lo区間=50%:50%にすることができる。なお、図24の構成例では図22の第9応用例の構成を元に説明を行ったが、図20の第8応用例の構成においても位相混合器2003を設けることで同様に適用することが可能である。
【0156】
(第4の実施形態)
第4の実施形態として、本発明に係る周波数シンセサイザを含むクロック生成装置を適用した装置の構成例をいくつか示す。図27は本実施形態に係る周波数シンセサイザを適用した各種装置の構成を示す図である。
【0157】
図27(a)は、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた通信装置の概観を示す図である。通信装置としての携帯電話機1800は、ベースバンドLSI1801及びアプリケーションLSI1802を備えている。このベースバンドLSI1801及びアプリケーションLSI1802は、上述した本実施形態の周波数シンセサイザを有する半導体集積回路である。
【0158】
本発明に係る周波数シンセサイザは、従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、ベースバンドLSI1801及びアプリケーションLSI1802、並びにこれらを備えた携帯電話機1800についてもまた低電力動作が可能となる。さらに、携帯電話機1800が備えている半導体集積回路であってベースバンドLSI1801及びアプリケーションLSI1802以外のものについても、当該半導体集積回路が備える論理回路を本発明に係る周波数シンセサイザとすることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0159】
なお、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた通信装置は、携帯電話機に限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、通信システムにおける送信機・受信機やデータ伝送を行うモデム装置などを含むものである。すなわち、本発明によって、有線・無線や光通信・電気通信の別を問わず、また、デジタル方式・アナログ方式の別を問わず、あらゆる通信装置について消費電力低減の効果を得ることができる。
【0160】
図27(b)は、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた情報再生装置の概観を示す図である。情報再生装置としての光ディスク装置1810は、光ディスクから読み取った信号を処理するメディア信号処理LSI1811と、その信号の誤り訂正や光ピックアップのサーボ制御を行う誤り訂正・サーボ処理LSI1812とを備えている。このメディア信号処理LSI1811及び誤り訂正・サーボ処理LSI1812は、上述した本実施形態の周波数シンセサイザを有する半導体集積回路である。
【0161】
本発明に係る周波数シンセサイザは、従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、メディア信号処理LSI1811及び誤り訂正・サーボ処理LSI1812、並びにこれらを備えた光ディスク装置1810もまた低電力動作が可能となる。さらに、光ディスク装置1810が備えている半導体集積回路であってメディア信号処理LSI1811及び誤り訂正・サーボ処理LSI1812以外のものについても、当該半導体集積回路が備える論理回路を本発明に係る周波数シンセサイザとすることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0162】
なお、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた情報再生装置は、光ディスク装置に限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、磁気ディスクを内蔵した画像録画再生装置や半導体メモリを媒体とした情報記録再生装置などを含むものである。すなわち、本発明によって、情報が記録されたメディアの別を問わず、あらゆる情報再生装置(情報記録機能を含んでいてもよい)について消費電力低減の効果を得ることができる。
【0163】
図27(c)は、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた画像表示装置の概観を示す図である。画像表示装置としてのテレビジョン受像機1820は、画像信号や音声信号を処理する画像・音声処理LSI1821と、表示画面やスピーカなどのデバイスを制御するディスプレイ・音源制御LSI1822とを備えている。この画像・音声処理LSI1821及びディスプレイ・音源制御LSI1822は、上述した本実施形態の周波数シンセサイザを有する半導体集積回路である。
【0164】
本発明に係る周波数シンセサイザは、従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、画像・音声処理LSI1821及びディスプレイ・音源制御LSI1822、並びにこれらを備えたテレビジョン受像機1820もまた低電力動作が可能となる。さらに、テレビジョン受像機1820が備えている半導体集積回路であって画像・音声処理LSI1821及びディスプレイ・音源制御LSI1822以外のものについても、当該半導体集積回路が備える論理回路を本発明に係る周波数シンセサイザとすることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0165】
なお、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた画像表示装置は、テレビジョン受像機に限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、電気通信回線を通じて配信されるストリーミングデータを表示する装置をも含むものである。すなわち、本発明によって、情報の伝送方法の別を問わず、あらゆる画像表示装置について消費電力低減の効果を得ることができる。
【0166】
図27(d)は、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた電子装置の概観を示す図である。電子装置としてのデジタルカメラ1830は、信号処理LSI1831を備えている。この信号処理LSI1831は、上述した本実施形態の周波数シンセサイザを有する半導体集積回路である。
【0167】
本発明に係る周波数シンセサイザは、従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、信号処理LSI1831及びこれを備えたデジタルカメラ1830もまた低電力動作が可能となる。さらに、デジタルカメラ1830が備えている半導体集積回路であって信号処理LSI1831以外のものについても、当該半導体集積回路が備える論理回路を本発明に係る周波数シンセサイザとすることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0168】
なお、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた電子装置は、デジタルカメラに限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、各種センサ機器や電子計算機など、およそ半導体集積回路を備えた装置全般を含むものである。そして、本発明によって、電子装置全般について消費電力低減の効果を得ることができる。
【0169】
図27(e)は、本発明の周波数シンセサイザを備えた電子制御装置及びその電子制御装置を備えた移動体の概観を示す図である。移動体としての自動車1840は、電子制御装置1850を備えている。この電子制御装置1850は、本発明に係る周波数シンセサイザを有する半導体集積回路であって、自動車1840のエンジンやトランスミッションなどを制御するエンジン・トランスミッション制御LSI1851を備えている。また、自動車1840は、ナビゲーション装置1841を備えている。ナビゲーション装置1841もまた電子制御装置1850と同様に、本発明に係る周波数シンセサイザを有する半導体集積回路であるナビゲーション用LSI1842を備えている。
【0170】
本発明に係る周波数シンセサイザは、従来よりも少ない消費電力で動作可能であるため、エンジン・トランスミッション制御LSI1851及びこれを備えた電子制御装置1840もまた低電力動作が可能となる。同様に、ナビゲーションLSI1842及びこれを備えたナビゲーション装置1841もまた低電力動作が可能となる。
【0171】
さらに、電子制御装置1850が備えている半導体集積回路であってエンジン・トランスミッション制御LSI1851以外のものについても、当該半導体集積回路が備える論理回路を本発明に係る周波数シンセサイザとすることによって、上記と同様の効果を得ることができる。ナビゲーション装置1841についても同様のことが言える。そして、電子制御装置1850の低消費電力化によって、自動車1840における消費電力も低減させることができる。
【0172】
なお、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた電子制御装置は、上記のエンジンやトランスミッションを制御するものに限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、モータ制御装置など、およそ半導体集積回路を備え、動力源を制御する装置全般を含むものである。そして、本発明によって、そのような電子制御装置について消費電力低減の効果を得ることができる。また、本発明に係る周波数シンセサイザを備えた移動体は、自動車に限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、列車や飛行機など、およそ動力源であるエンジンやモータなどを制御する電子制御装置を備えたもの全般を含むものである。そして、本発明によって、そのような移動体について消費電力低減の効果を得ることができる。
【0173】
上述したように、本実施形態の周波数シンセサイザによれば、回路規模増加を抑えつつ高精度の分周動作を行って所望の周波数を実現可能となるため、複数の周波数生成が必要な場合であっても従来のようなPLLを用いることなく複数の周波数クロックを生成することができる。また、本実施形態の周波数シンセサイザをPLL用分周器やクロック生成用システムに適用することによって、従来のPLLには無かったクロック生成部の特性改善、及び低消費電力化が可能となる。
【0174】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、高精度の分周動作を回路増加を抑えつつ実現することが可能となる効果、クロック生成部の特性改善及び低消費電力化を図ることが可能となる効果を有し、任意の周波数を持つクロックを生成する周波数シンセサイザ及びフェーズロックループ、並びにクロック生成方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の実施形態に係るクロック生成装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態における基準クロックと分周クロックとの関係を示す図
【図3】本実施形態における基準クロックと分周クロックの複数サイクルにわたる関係を示す図
【図4】位相数と周期性の関係を極座標形式で表した概念図
【図5】本実施形態におけるN/M分周クロックの生成を説明する概念図
【図6】クロック選択手段及び位相番号生成手段の回路実装形態の一例を示す図
【図7】図6の構成におけるクロック切り替え制御時の動作例を示す図
【図8】本実施形態に係るクロック選択手段及び位相番号生成手段の回路実装形態の一例を示す図
【図9】本実施形態のクロック選択手段及び位相番号生成手段の構成におけるクロック切り替え制御時の動作例を示す図
【図10】本実施形態における周波数シンセサイザの出力クロックの一例を示す図
【図11】従来の構成と本実施形態の構成とを比較した説明図
【図12】動的周波数制御に適用した本実施形態の第1応用例を説明する図
【図13】スペクトル拡散クロック生成に適用した本実施形態の第2応用例を説明する図
【図14】PLLの特性改善に適用した本実施形態の第3応用例及び第4応用例を説明する図
【図15】PLLへの他の応用例である本実施形態の第5応用例を説明する図
【図16】フラクショナルPLLの精度向上にも応用した本実施形態の第6応用例を説明する図
【図17】フラクショナルPLLを実現する位相選択合成器の構成要素を示す図
【図18】図17の位相選択合成器におけるクロック選択手段及び位相番号生成手段の回路実装形態の一例を示す図
【図19】分周範囲を拡大するための本実施形態の第7応用例を説明する図
【図20】デューティ比を改善するための一例としての本実施形態の第8応用例の構成を示す図
【図21】第8応用例におけるクロックのタイミングを示す図
【図22】デューティ比を改善するための他の例としての本実施形態の第9応用例の構成を示す図
【図23】第9応用例におけるクロックのタイミングを示す図
【図24】デューティ比を改善するためのさらに他の例としての本実施形態の第10応用例の構成を示す図
【図25】第10応用例における位相混合器の構成を示す図
【図26】図25の位相混合器によるクロックのタイミングを示す図
【図27】本実施形態に係る周波数シンセサイザを適用した各種装置の構成を示す図
【図28】従来の技術における2種類の周波数を生成するためのクロック生成装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0177】
501 リファレンスクロック発生器
502、503、1002、2006、2007 位相選択合成器
504 クロック選択手段
505、1401 位相番号生成手段
601、1402、1502 加算器
602、603、604、1403、1601 レジスタ
605、606 マルチプレクサ
607 一致判定器
608 論理積素子
609、610 論理反転素子
1001 PLL
1110、1120、1121、1220、1221、1311 分周器
1111、1122、1312 位相比較器
1112、1123、1222、1313 VCO(電圧制御オシレータ)
1501 乱数発生器
1604 選択回路
1701、1702 1/2分周器
1703 排他論理和否定素子
1901 セット・リセットラッチ
2003 位相混合器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N相クロックから、N/M分周クロック(N、Mは整数)を生成する周波数シンセサイザであって、
分周分母M及び分周分子Nから、所定の位相番号を生成する位相番号生成手段と、
前記N相クロックから、前記位相番号生成手段が出力する前記位相番号に対応するクロック位相を選択し、前記N/M分周クロックを出力するクロック選択手段と、
を備える周波数シンセサイザ。
【請求項2】
請求項1記載の周波数シンセサイザであって、
前記位相番号生成手段は、前記N/M分周クロックのサイクル毎に(M−N)の値を累算し、この累算値をNで割った剰余を前記位相番号とする周波数シンセサイザ。
【請求項3】
請求項1記載の周波数シンセサイザであって、
前記クロック選択手段は、第1のクロックを選択する第1のクロック選択回路と、第2のクロックを選択する第2のクロック選択回路とを有し、
前記位相番号生成手段は、前記第1のクロックを使用する第1のレジスタと、前記第2のクロックを使用する第2のレジスタとを有し、
前記第2のクロック選択回路は、前記第1のレジスタの出力によって制御され、前記第1のクロック選択回路は、前記第2のレジスタの出力によって制御されて、前記N/M分周クロックを供給する周波数シンセサイザ。
【請求項4】
請求項3記載の周波数シンセサイザであって、
前記位相番号生成手段は、前記第1のレジスタと第2のレジスタの値を比較し、前記N/M分周クロックの出力を制御する比較手段を有する周波数シンセサイザ。
【請求項5】
N相クロックから、N/(M+X)分周クロック(N、Mは整数、Xは1未満の小数)を生成する周波数シンセサイザであって、
分周分母M、分周分子N及び小数設定Xから、所定の位相番号を生成する位相番号生成手段と、
前記N相クロックから、前記位相番号生成手段が出力する前記位相番号に対応するクロック位相を選択し、前記N/(M+X)分周クロックを出力するクロック選択手段と、
を備える周波数シンセサイザ。
【請求項6】
請求項5記載の周波数シンセサイザであって、
前記位相番号生成手段は、前記N/M分周クロックのサイクル毎にXの値を累算する第1の累算回路と、
前記N/M分周クロックのサイクル毎に(M−N)の値を累算する第2の累算回路とを備え、
前記第1の累算回路において整数に繰り上がったキャリーを前記第2の累算回路に加算し、前記第2の累算回路の累算値をNで割った剰余を前記位相番号とする周波数シンセサイザ。
【請求項7】
請求項5記載の周波数シンセサイザであって、
前記クロック選択手段は、第1のクロックを選択する第1のクロック選択回路と、第2のクロックを選択する第2のクロック選択回路とを有し、
前記位相番号生成手段は、前記第1のクロックを使用する第1のレジスタと、前記第2のクロックを使用する第2のレジスタとを有し、
前記第2のクロック選択回路は、前記第1のレジスタの出力によって制御され、前記第1のクロック選択回路は、前記第2のレジスタの出力によって制御されて、前記N/(M+X)分周クロックを供給する周波数シンセサイザ。
【請求項8】
請求項7記載の周波数シンセサイザであって、
前記位相番号生成手段は、前記第1のレジスタと第2のレジスタの値を比較し、前記N/(M+X)分周クロックの出力を制御する比較手段を有する周波数シンセサイザ。
【請求項9】
M/N分周クロックをN/M分周する請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザと、
前記周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、
前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したM/N分周クロックを生成する電圧制御オシレータと、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項10】
M/P分周クロックをP/M分周する請求項1あるいは請求項5記載の第1の周波数シンセサイザと、
M/P分周クロックをP/N分周する請求項1あるいは請求項5記載の第2の周波数シンセサイザと、
前記第1の周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、
前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したM/P分周クロックを生成する電圧制御オシレータとを備え、
前記第2の周波数シンセサイザが、前記M/P分周クロックをP/N分周して前記基準クロックのM/N分周クロックを生成するフェーズロックループ。
【請求項11】
QM/P分周クロックをP/QM分周する請求項1あるいは請求項5記載の第1の周波数シンセサイザと、
QM/P分周クロックをP/Q分周する請求項1あるいは請求項5記載の第2の周波数シンセサイザと、
前記第1の周波数シンセサイザから供給されるクロックと、基準クロックとを位相比較する位相比較器と、
前記位相比較器の出力に応じて、前記基準クロックに位相同期したQM/P分周クロックを生成する電圧制御オシレータとを備え、
前記第2の周波数シンセサイザが、前記QM/P分周クロックをP/Q分周して前記基準クロックのM逓倍クロックを生成するフェーズロックループ。
【請求項12】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザと、
乱数値を出力する乱数発生器とを備え、
固定値と前記乱数値とを加算して前記分周分母M、分周分子Nあるいは小数設定Xとするフェーズロックループ。
【請求項13】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1及び第2の周波数シンセサイザと、
前記第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ分周して第1と第2のN/2M分周クロックを生成する第1及び第2の分周器と、
前記第1と第2のN/2M分周クロックを論理演算してN/M分周クロックを生成する論理演算器と、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項14】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザと、
前記周波数シンセサイザから供給されるクロックを分周する1つ以上の1/2分周器と、
前記周波数シンセサイザから出力されるクロック、あるいは前記1/2分周器から出力されるクロックを選択する選択回路と、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項15】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1と第2のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1及び第2の周波数シンセサイザと、
前記第1のN/M分周クロックをセット入力とし、前記第2のN/M分周クロックをリセット入力とし、セットあるいはリセット結果をN/M分周クロックとするセットリセット保持手段と、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項16】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1、第2及び第3のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1、第2及び第3の周波数シンセサイザと、
前記第1と第2のN/M分周クロックの位相を混合し、第4のN/M分周クロックを生成する位相混合器と、
前記第3と第4のN/M分周クロックを分周して第1と第2のN/2M分周クロックを生成する第1と第2の分周器と、
前記第1と第2のN/2M分周クロックを論理演算してN/M分周クロックを生成する論理演算器と、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項17】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザであって、位相角が一定の差分値を有する第1、第2及び第3のN/M分周クロックをそれぞれ生成する第1、第2及び第3の周波数シンセサイザと、
前記第1と第2のN/M分周クロックの位相を混合し、第4のN/M分周クロックを生成する位相混合器と、
前記第3のN/M分周クロックをセット入力とし、前記第4のN/M分周クロックをリセット入力とし、セットあるいはリセット結果をN/M分周クロックとするセットリセット保持手段と、
を備えるフェーズロックループ。
【請求項18】
N相のクロック位相を有する基準クロックのN/M分周クロック(N、Mは整数)を生成するクロック生成方法であって、
前記N/M分周クロックの毎サイクルごとに、(M−N)の値を、少なくともNと(M−N)の最小公倍数まで累算するステップと、
前記基準クロックのN相のクロック位相から、累算結果をNで割った剰余に対応するクロック位相を選択するステップと、
を有するクロック生成方法。
【請求項19】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた通信装置。
【請求項20】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた情報再生装置。
【請求項21】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた画像表示装置。
【請求項22】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた電子装置。
【請求項23】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた電子制御装置。
【請求項24】
請求項1あるいは請求項5記載の周波数シンセサイザを備えた移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−172512(P2008−172512A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3479(P2007−3479)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】