説明

周辺認識装置、周辺認識方法、プログラム

【課題】カメラ挙動の検出および物体の検出の双方に対して信頼できる高精度のオプティカルフローを求めることができ、物体の三次元情報の検出精度を向上させることが可能な周辺認識装置及び方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】第一撮像装置2は、その光軸が水平方向を向き且つ第一カメラ画像が横長(車両の幅方向の撮像範囲が広い)となるように設置されると共に、第二撮像装置3は、その光軸が第一撮像装置2より下向き(ピッチ角αが小)となり、且つ第二カメラ画像が縦長(車両の進行方向の撮像範囲が広い)となるように設置され、しかも、連続するフレームに同一特徴点PA2が必ず存在するように、即ち、特徴点PA2の追跡が容易となるように、車両の進行方向に対する光軸の傾斜角度が車速に応じて変化するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設置された2台の撮像装置から得られる撮像画像を用いて障害物の位置,形状を示す三次元情報を生成する周辺認識装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、1台のカメラが移動しながら撮影した画像を用いて、カメラ自体またはカメラを搭載した移動体の挙動(以下単に「カメラ挙動」という)を検出すると共に、そのカメラ挙動と画像内の物体候補の動きから、物体の位置,形状を表す三次元情報を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、カメラ挙動や物体の検出には、一般的に、連続する複数の画像列中における同一特徴点の動きをベクトルで表したオプティカルフローが用いられている。
このオプティカルフローは、特徴点が静止している場合は、カメラ挙動に対応したものとなり、また、特徴点が移動している場合は、カメラ挙動に特徴点自体の動きが重畳されたものとなる。
【特許文献1】特開2001−266160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体が車両である場合、車両に搭載される障害物検出用のカメラは、可能な限り広い範囲に渡って撮影が可能なように、カメラの光軸がほぼ水平となるような姿勢で、車両の前方を撮像するように取り付けられる。
【0005】
また、カメラ挙動の検出には、撮像画像中で最も面積が大きい静止物体である道路面上の特徴点を、画像列上で追跡することで得られるオプティカルフローが用いられる。
しかし、上述のように光軸がほぼ水平となるような姿勢で設置されたカメラでは、鉛直下向きに対して大きなピッチ角α(ここではα≒90°)を有するため、道路面上の特徴点に基づくオプティカルフローの検出誤差が大きくなり、カメラ挙動を精度良く検出することができないという問題があった。
【0006】
即ち、カメラの光軸が鉛直下向きに対するピッチ角αを有している場合、図12に示すように、撮像画面Gには、その中心より上側にはより遠くの道路面が投影され、中心より下側にはより近くの道路面が投影されることになり、道路面上の特徴点(物体)が同じ距離だけ移動しても、撮像画面G上に投影された特徴点の動きは、より遠くに位置するものほど小さく、より近くに位置するものほど大きくなる。
【0007】
このように、撮像画面G上の位置によって特徴点の動き方は異なっているため、その特徴点に基づいて検出されるオプティカルフローは、特徴点の動き方の違いに基づく誤差を含んだものとなってしまうのである。しかも、この誤差は、ピッチ角αが大きいほど、また、撮像画像の中心から外れるほど大きなものとなる。
【0008】
実際に、車両に搭載されたピッチ角αを有する撮像装置により撮像された道路面の画像に基づいて、自車両の左右方向の並進運動量、前後方向の並進運動量、ヨー方向の回転運動量をシミュレーションにより求めた結果(真値に対する平均絶対値誤差)を表1に示す。
【0009】
【表1】

【0010】
但し、カメラから路面までの高さを1.5m(1BOX車両のマップランプ脇に前方カメラを設置したことに相当する)、カメラの設置角度をロール傾きなし、ヨー傾きなしとして、鉛直下向きに対するピッチ角αを、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5[rad]の5段階で変化させた。
【0011】
また、カメラ解像度は、横320画素、縦240画素、フレームレートは、0.2ms/フレームとした。
そして、道路面は一様に平らで、横2m縦5mの長方形ペイントが塗ってある平面とし、車両は、時速22Kmで10秒かけて直角コーナーを左折する運動(ゆっくりと交差点を左折する運動に相当する)をするものとして、後述する実施形態で説明する挙動検出部11aでの処理を実行した。
【0012】
但し、長方形ペイントの4頂点を特徴点とし、また、自車両の左右方向(図3(b)のx軸方向)の並進運動成分、自車両の前後方向(同y軸方向)の並進運動成分、自車両のヨー方向(同z軸回り)の回転成分)だけが変化し、上下方向(同z軸方向)の並進運動、ピッチ方向(同x軸回り)の回転成分、ロール方向(同y軸回り)の回転成分は変化せず、常にゼロであるものとした。
【0013】
表1に示す結果から明らかなように、カメラのピッチ角αが大きくなるほど、特にヨー方向の回転運動量の誤差が大きくなり、車両の挙動を精度よく検出することができなくなることがわかる。
【0014】
これに対して、カメラ挙動の検出精度を向上させるために、ピッチ角αを小さくする(カメラの光軸を鉛直下向きに近づける)と、カメラの撮像範囲が狭くなり、障害物の検出能力を低下させてしまう。つまり、物体の検出精度と、カメラ挙動の検出精度とはトレードオフの関係にあり、上述した従来装置では、両者を同時に向上させることができず、物体の三次元情報を精度良く求めることが困難であるという問題があった。
【0015】
また、車両が前進している場合、三次元空間中で観測される静止物を示す特徴点は、車両に対して遠い方から近い方に移動し、車両の前方を撮像するように取り付けられたカメラの撮像画像から検出される特徴点のオプティカルフローは、画面上側から画面下側に流れる。つまり、図13に示すように、道路面上の特徴点を追跡してオプティカルフローを求める際に、画像情報量が少ない側から多い側に向かって特徴点を追跡することになる。
【0016】
従って、道路面上の情報が多く得られる画面下側では、画面上側より多くの特徴点が検出される可能性が高いが、その特徴点は直ぐに画面上から消えてしまうため、これを追跡することができず、これら特徴点の情報をオプティカルフローの検出に有効に役立てることができないという問題があった。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決するために、カメラ挙動の検出および物体の検出の双方に対して信頼できる高精度のオプティカルフローを求めることができ、物体の三次元情報の検出精度を向上させることが可能な周辺認識装置及び方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するためになされた本発明の周辺認識装置は、移動体に設置され、移動体周辺の画像を撮像する第一撮像装置と、第一撮像装置より光軸が下向きとなるように移動体に設置され、移動体が走行する道路面を撮像する第二撮像装置とを備えている。
【0019】
そして、挙動検出手段が、第二撮像装置の撮像画像から道路面上に存在する特徴点のオプティカルフローを抽出し、そのオプティカルフローに基づいて移動体挙動を表す挙動パラメータを検出し、障害物検出手段が、挙動検出手段にて検出された挙動パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像に基づいて、障害物の位置,形状を示す三次元情報を算出する。
【0020】
つまり、第一撮像装置より光軸が下向きとなるように設置された第二撮像装置の撮像画像では、第一撮像装置の撮像画像と比較して、撮像画像内での位置によって特徴点の動き方が異なる度合いが小さいため、この第二撮像装置の撮像画像に基づいて道路面上の特徴点に基づくオプティカルフローを精度よく求めることができる。
【0021】
また、第一撮像装置の撮像画像は、第二撮像装置の撮像画像と比較して、広い範囲を渡って撮像したものとなるため、この第一撮像装置の撮像画像に基づいて道路上及び道路周辺の多くの障害物(特徴点)を探索することができる。
【0022】
従って、本発明の周辺認識装置によれば、第二撮像装置の撮像画像に基づいて挙動パラメータを精度良く求めることができ、その精度のよい挙動パラメータと、広い範囲を撮像した第一撮像装置の撮像画像とに基づいて、広い範囲に渡って物体の三次元情報を精度よく求めることができる。
【0023】
ところで障害物検出手段は、例えば請求項2に記載のように、分割手段が、第一撮像装置の撮像画像を領域分割し、領域パラメータ算出手段が、分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び挙動検出手段により検出された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出し、マッピング手段が、領域パラメータ算出手段にて算出された領域パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像内での対象領域の位置に基づいて、対象領域を三次元座標上にマッピングするように構成されていてもよい。
【0024】
また、障害物検出手段は、例えば請求項3に記載のように、分割手段が、第一撮像装置の撮像画像を領域分割し、挙動補正手段が、分割手段にて分割された領域から道路面を表す道路領域を抽出し、その道路領域上の特徴点のオプティカルフローに基づいて、挙動検出手段にて検出された挙動パラメータを補正し、領域パラメータ算出手段が、分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び挙動補正手段により補正された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出し、マッピング手段が、領域パラメータ算出手段にて算出された領域パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像内での対象領域の位置に基づいて、対象領域を三次元座標上にマッピングするように構成されていてもよい。
【0025】
つまり、挙動パラメータは、請求項2に記載のように、そのまま移動体の挙動(又は第一撮像装置の挙動)として使用しても良いし、請求項3に記載のように、第一撮像装置から得られる情報に基づいて、より第一撮像装置の挙動を正確に表すように補正した上で使用してもよい。
【0026】
ところで、第一撮像装置は、請求項4に記載のように、水平方向又は水平方向より下向きに、且つ移動体の前方に光軸を向けて配置されていることが望ましい。
つまり、第一撮像装置は、その光軸が水平方向に近いほど、より遠方の物体(特徴点)の撮像が可能となるため、道路上及び道路周辺に存在する障害物の検出性能を向上させることができる。
【0027】
また、この場合、第一撮像装置の撮像画像は、請求項5に記載のように、横長であることが望ましい。この場合、第一撮像装置は、より側方の物体(特徴点)の撮像が可能となるため、移動体近傍(特に側方)に存在する障害物の検出性能を向上させることができる。
【0028】
一方、第二撮像装置は、請求項6に記載のように、鉛直下方に光軸を向けて配置されているか、或いは、請求項7に記載のように、鉛直下方から移動体の後方に傾斜した方向に光軸を向けて配置されていることが望ましい。
【0029】
つまり、前者(請求項6)の場合、道路面上の特徴点に基づくオプティカルフローの検出精度を最大限に向上させることができ、また、後者(請求項7)の場合、移動体の進行方向に沿った撮像範囲が広がるため、同一特徴点を長時間追跡することが可能となり、特徴点の追跡精度、ひいては特徴点に基づいて算出されるオプティカルフローや挙動パラメータの信頼度を向上させることができる。
【0030】
また、第二撮像装置は、必ずしも一定の姿勢に固定されている必要はなく、例えば、請求項8に記載のように、姿勢制御手段が、第二撮像装置から取得される連続した二つの撮像画像中に、同一特徴点が存在するように、移動体の速度が大きいほど、移動体の進行方向とは反対側への光軸の傾斜角度が大きくなるように第二撮像装置の姿勢を変化させるように構成されていてもよい。
【0031】
この場合、同一特徴点の追跡を確実に行うことができ、しかも、第二撮像装置の姿勢が必要以上に傾斜することがないため、第二撮像装置の姿勢に基づくオプティカルフローの検出精度の低下を必要最小限に抑えることができる。
【0032】
そして、第二撮像装置の撮像画像は、請求項9に記載のように、縦長であることが望ましい。この場合、第二撮像装置の撮像領域を、移動体の進行方向に沿った撮像領域を、第二撮像装置の姿勢を傾斜させることなく広げることができる。
【0033】
なお、第二撮像装置は、請求項10に記載のように、車線の左端を示す路面表示、又は左側通行の道路であれば道路端に設けられた路側物,右側通行の道路であれば道路中央の分離帯の撮像が少なくとも可能となる姿勢及び位置に配置されているか、又は、請求項11に記載のように、車線の右端を示す路面表示、又は左側通行の道路であれば道路中央の分離帯,右側通行の道路であれば道路端に設けられた路側物の撮像が少なくとも可能となる姿勢及び位置に配置されていることが望ましい。
【0034】
前者(請求項10)の場合、具体的には、第二撮像装置の姿勢を、光軸が移動体の左側方を向くようにしたり、第二撮像装置を、移動体自身が撮像の邪魔になることがないように、移動体の左側面に配置すればよい。また、後者(請求項11)の場合、第二撮像装置の姿勢を、光軸が移動体の右側方を向くようにしたり、第二撮像装置を、移動体自身が撮像の邪魔になることがないように、移動体の左側面に配置すればよい。
【0035】
なお、第二撮像装置は、車線の左右両端を示す路面表示、及び道路端の路側物や道路中央の分離帯を同時に撮像可能な姿勢及び位置に配置されていてもよい。
そして、第二撮像装置は、例えば、請求項12に記載のように、移動体の後方に配置され、運転者から死角となる領域を撮像するバックモニタ用カメラを兼用していてもよい。
【0036】
また、第二撮像装置は、例えば、請求項13に記載のように、移動体の底面に配置されていてもよい。
この場合、第二撮像装置の撮像領域の全体が、当該装置を搭載する移動体の影の部分に含まれ、撮像画像に移動体の影の境界部分が映り込む可能性が低いため、影の境界を特徴点として誤認して、無駄な処理が実行されたり、誤った三次元情報が算出されることを防止できる。
【0037】
なお、このように第二撮像装置が移動体の底面に配置されている場合、第二撮像装置は、請求項14に記載のように、移動体の中心より前方に配置されていることがより望ましい。
【0038】
つまり、第二撮像装置の撮像範囲を広げるために、光軸が移動体の後方に向けて傾斜するように第二撮像装置の姿勢を設定したとしても、その撮像範囲内に自身を搭載する移動体の影の境界部分が写り込む可能性をより確実に低下させることができる。
【0039】
また、第二撮像装置は、必ずしも移動体上の一定の位置に固定されている必要はなく、請求項15に記載のように、移動手段が、第二撮像装置の撮像画像中に、自移動体又は自移動体と併走する他移動体、或いは路側物の影が写り込むことがないように第二撮像装置の姿勢及び位置を変化させるように構成されていてもよい。
【0040】
この場合、影の境界を特徴点と誤認することによる影響を、より確実に除去することができる。
また、特徴点の検出を容易にするため、例えば、請求項16に記載のように、第二撮像装置の撮像範囲を照射範囲とする照明手段を備えていてもよい。
【0041】
ところで、第一撮像装置及び第二撮像装置としては、撮像を行う環境や撮像対象などに応じて、様々な種類の撮像画像を生成するものを用いることができる。
具体的には、例えば、請求項17に記載のように、輝度強度を表す画素値を有した撮像画像を生成するもの(モノクロカメラ等)であってもよいし、請求項18に記載のように、色彩を表す画素値を有した撮像画像を生成するもの(カラーカメラ等)であってもよし、請求項19に記載のように、赤外線強度を表す画素値を有した撮像画像を生成するもの(赤外線カメラ等)であってもよいし、請求項20に記載のように、エッジが強調された撮像画像を生成するもの(模様検出用ビジョンチップ等)であってもよい。
【0042】
次に、請求項21に記載の周辺認識方法は、第二撮像装置の撮像画像から道路面上に存在する特徴点のオプティカルフローを抽出し、該オプティカルフローに基づいて移動体挙動を表す挙動パラメータを検出する挙動検出ステップと、挙動検出手段にて検出された挙動パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像に基づいて、障害物の位置,形状を示す三次元情報を算出する障害物検出ステップとを備えている。
【0043】
つまり、本発明の周辺認識方法では、第二撮像装置の撮像画像は、専ら移動体の挙動(ひいては第一撮像装置の挙動)を表す挙動パラメータを精度良く求めるために使用し、その挙動パラメータを利用して、第一撮像装置の撮像画像からその撮像画像中に存在する障害物の三次元情報を精度よく求めている。
【0044】
このため、同じ撮像装置から得られた撮像画像を用いて移動体の挙動の検出と障害物の検出とをいずれも行う従来装置とは異なり、撮像装置の姿勢(光軸の向き)に関わるトレードオフの関係に捕らわれることなく、移動体の挙動の検出精度を向上させ、且つ障害物の検出領域を十分に確保することができる。
【0045】
そして、障害物検出ステップは、より詳細には、請求項22に記載のように、第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割ステップと、分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び挙動検出ステップにより検出された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出ステップと、領域パラメータ算出ステップにて算出された領域パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像内での対象領域の位置に基づいて、対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピングステップとで構成されていてもよい。
【0046】
また、障害物検出ステップは、請求項23に記載のように、第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割ステップと、分割手段にて分割された領域から道路面を表す道路領域を抽出し、該道路領域上の特徴点のオプティカルフローに基づいて、挙動検出ステップにて検出された挙動パラメータを補正する挙動補正ステップと、分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び挙動補正ステップにより補正された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出ステップと、領域パラメータ算出ステップにて算出された領域パラメータ、及び第一撮像装置の撮像画像内での対象領域の位置に基づいて、対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピングステップとで構成されていてもよい。
【0047】
つまり、前者(請求項22)の場合、挙動パラメータをそのまま利用することにより、少ない処理量で、障害物の三次元情報を求めることができ、一方、後者(請求項23)の場合、挙動パラメータを、第一撮像装置の撮像画像から得られる情報を用いて補正することにより、第一撮像装置の挙動をより正確に表した挙動パラメータが得られるため、障害物の三次元情報の検出精度をより一層向上させることができる。
【0048】
ところで、上記周辺認識方法は、請求項24に記載のように、この方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現してもよい。
この場合、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から必要に応じてコンピュータシステムにロードされるものであってもよいし、ネットワークを介してコンピュータシステムにロードされるものであってもよい。また、記録媒体は、持ち運び可能なものであってもよいし、コンピュータシステムに組み込まれたものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1(a)は、本発明が適用された車載周辺認識装置1の全体構成を示すブロック図である。
【0050】
図1(a)に示すように、車載周辺認識装置1は、車両前方の道路上及び道路周辺の状況を撮影する第一撮像装置2と、車両後方の道路面を中心に撮影する第二撮像装置3と、当該装置1を搭載する車両の車速を検出する車速センサ5と、車速センサ5にて検出される車速に応じて、第二撮像装置3の姿勢を制御する姿勢制御部4と、各種情報を視覚的,聴覚的に報知するためのディスプレイ6及びスピーカ7と、車両制御(エンジン,ブレーキ,変速機,ステアリング等の制御)を実行する際に駆動される各種アクチュエータ8と、第一撮像装置2及び第二撮像装置3から取得する撮像画像、及び姿勢制御部4から取得する姿勢情報に基づいて、道路上及び道路周辺の障害物(車両,路側物など)の位置や形状を示す三次元情報を生成する周辺認識部11と、周辺認識部11にて生成された三次元情報に基づいて、危険(道路領域以外への逸脱,障害物の存在等)の有無などを判断し、ディスプレイ6及びスピーカ7を介して警報,報知を行ったり、アクチュエータ8を制御することにより危険回避動作等を実行する危険判定部13とを備えている。
【0051】
なお、周辺認識部11及び危険判定部13は、CPU,ROM,RAMを中心に構成された周知のマイクロコンピュータからなる。また、第一撮像装置2及び第二撮像装置3は、輝度強度を画素値とする濃淡(モノクロ)画像を生成するCCDカメラ(画角45°)からなる。但し、第一撮像装置2及び第二撮像装置3は、縦方向と横方向とで画素数が異なった長方形の撮像画像を出力する。
【0052】
ここで、図2は、第一撮像装置2及び第二撮像装置3の取付状態、及び姿勢制御部4による制御内容を示す説明図である。
図2に示すように、第一撮像装置2は、車両Mのフロントガラスのマップランプ周辺に取り付けられ、その光軸が車両の正面方向(前進方向)且つ水平方向(鉛直下方からのピッチ角α=90°)を向き、しかも、撮像画像が横長となる(撮像画像の短手方向が車両の進行方向と一致する)ように設定されている。
【0053】
一方、第二撮像装置3は、車両Mの後方左端に高さ0.5mの位置に取り付けられ、その光軸が鉛直下向き(ピッチ角α=0°)から(図2(b)参照)から、車両Mの後方に向けて所定角度(本実施形態ではピッチ角α=30°)傾斜した向き(図2(c)参照)の間を向くよう姿勢を変化させることが可能なように構成され、しかも、撮像画像が縦長となる(撮像画像の長手方向が車両の進行方向と一致する)ように設定されている。
【0054】
そして、姿勢制御部4は、連続して取得される撮像画像(以下「フレーム」ともいう)中に、道路面上の同一特徴点が必ず存在するように、車速に応じてピッチ角αを変化させるように構成されている。
【0055】
なお、第二撮像装置3の取付高さと姿勢(光軸の傾斜角度)の可動範囲は、第二撮像装置3のフレームレートを考慮して設定され、本実施形態では、車速40km/h未満では、α=0°、車速40km/h以上でα=30°となるようにされている。
【0056】
次に、周辺認識部11は、図1(b)に示すように、第二撮像装置3にて撮像された画像(以下「第二カメラ画像」という)、及び姿勢制御部4からの姿勢情報に基づいて、車両の挙動を表す挙動パラメータを生成する挙動検出部11aと、挙動検出部11aにて生成された挙動パラメータ、及び第一撮像装置2にて撮像された画像(以下「第一カメラ画像」という)に基づいて、挙動パラメータを第一撮像装置2の挙動を表したものに補正する挙動補正部11bと、挙動補正部11bにて補正された挙動パラメータ、及び第一カメラ画像に基づいて、第一カメラ画像に写されている障害物の三次元情報を求める三次元情報算出部11cとからなる。なお、これら各部11a〜11cは、周辺認識部11を構成するCPUが実行する処理として実現される。
【0057】
以下、周辺認識部11の各部11a〜11cに対応した処理について詳述する。
但し、以下の説明において、第一撮像装置2の設置位置を基準とする第一カメラ座標系、及び第二撮像装置3の設置位置を基準とする第二カメラ座標系では、図3(a)に示すように、カメラ画像の左右方向をx軸、カメラ画像の上下方向をy軸、カメラの光軸方向をz軸とする。また、車両中心を原点とする車両座標系では、図3(b)に示すように、車両の幅方向をx軸、車両の進行方向をy軸、上下方向をz軸とする。
【0058】
そして、x軸方向の速度を左右速度tx、y軸方向の速度を前後速度ty、z軸方向の速度を上下速度tz、x軸を中心とする回転の角速度をピッチレートωx、y軸を中心とする回転の角速度をロールレートωy、z軸を中心とする回転の角速度をヨーレートωzとして、これらを要素とするベクトルを、挙動パラメータK=(tx,ty,tz,ωx,ωy,ωz)と呼ぶものとする。
【0059】
また、周辺認識部11を構成するROMには、第一カメラ画像中で必ず道路が撮影される領域を道路領域A1、第二カメラ画像中で必ず道路が撮影される領域を道路領域A2として、その道路領域A1の第一カメラ画像内での位置、及び道路領域A2の第二カメラ画像内での位置を示す道路領域位置情報JA1,JA2及び道路領域A2が平面であると仮定した元での第二カメラ座標系における道路領域A2(道路平面)の位置,形状を特定する領域パラメータRA2=(a,b,c)が記憶されている。
【0060】
なお、領域パラメータRは、次の(1)(2)式で定義されるパラメータである。
【0061】
【数1】

【0062】
即ち、(1)式は、カメラ画像中の点(x,y)が、カメラ座標系で表された三次元空間内のある平面領域上に存在する場合、点(x,y)の奥行き(光軸方向の距離)Zとの関係を示す式であり、(2)式は、(1)式を満たす場合に、カメラの焦点距離をfとして、点(x,y)とこれに対応するカメラ座標系内での三次元位置(X,Y,Z)との関係を示す式である。なお、平面領域の領域パラメータ(a,b,c)と、その平面領域の法線ベクトル(A,B,C)とは、(3)式に示す関係を有する。
【0063】
【数2】

【0064】
また、第二撮像装置3の姿勢は車速に応じて変化するため、道路領域A2の道路領域位置情報JA2、及び領域パラメータRA2は、姿勢制御部4から取得される姿勢情報をインデックスとしたテーブル形式で記憶されている。
【0065】
ここで、図4は挙動検出部11aでの処理内容、図5は挙動補正部11bでの処理内容、図6は三次元情報算出部11cでの処理内容を示すフローチャートである。
まず、挙動検出部11aでは、図4に示すように、第二撮像装置3から第二カメラ画像が取得されるまで待機し(S100)、第二カメラ画像が取得されると、姿勢制御部4からの姿勢情報に基づいて道路領域位置情報JA2を取得し、その道路領域位置情報JA2により特定される第二カメラ画像中の道路領域A2から、NA2個(少なくとも3個)の特徴点PA2=(x,y)を抽出する(S110)。なお、ここでは、特徴点PA2として、各種路面表示(道路標示や区画線)の縁や、キャッツアイ、路側物(縁石,防音壁,街路樹等)と路面との境界など、画素値が大きく変化する地点を抽出する。
【0066】
そして、S110で抽出された特徴点PA2と過去の検出結果とに基づいて、各特徴点PA2のそれぞれについてオプティカルフローFA2=(u,v)を算出する(S120)。
次に、姿勢情報に基づいて道路領域A2の領域パラメータRA2=(a,b,c)を取得し(S130)、その取得した領域パラメータRA2とS120にて算出したオプティカルフローFA2に基づいて、第二カメラ座標系における第二撮像装置3の挙動を表す挙動パラメータKB を算出する(S140)
具体的には、オプティカルフロー(u,v)は、特徴点(x,y)、領域パラメータ(a,b,c)、挙動パラメータ(tx,ty,tz,ωx,ωy,ωz)、カメラの焦点距離fを用いて(4)(5)式で表される。
【0067】
【数3】

【0068】
このため、特徴点(x,y)及びオプティカルフロー(u,v)が3個以上あれば、これを(4)(5)式に代入することで、挙動パラメータ(tx,ty,tz,ωx,ωy,ωz)の各要素を未知数とした6個以上の式からなる連立方程式が得られるため、この連立方程式をシンプレックス法などの周知の最適化手法を用いて解くことにより、挙動パラメータの各要素を求めることができる。
【0069】
なお、ここで説明したオプティカルフローモデルについては、例えば、G. Stein, O. Mano and A. Shashua. A robust method for. computing vehicle ego-motion,In IEEE Intelligent Vehicles Symposium (IV2000), Oct. 2000, Dearborn, MIに詳述されている。
【0070】
このようにして得られた挙動パラメータKB は、第二カメラ座標系で表されたものであるため、この挙動パラメータKB を座標変換することにより、車両座標系で表された挙動パラメータKC を求めて(S150)、S100に戻る。
【0071】
つまり、挙動検出部11aでは、車両Mに固定されている第二撮像装置3の挙動と、車両M自体の挙動とは等しいとみなして、第二カメラ画像から近似的に車両挙動を表す挙動パラメータKC を求めている。
【0072】
次に、挙動補正部11bでは、図5に示すように、第一撮像装置2から第一カメラ画像が取得されるまで待機し(S200)、第一カメラ画像が取得されると、挙動検出部11aで求めら、車両座標系で表された挙動パラメータKC を座標変換することにより、第一カメラ座標系で表された仮の挙動パラメータKD を求める(S210)。
【0073】
そして、第一カメラ画像に関する道路領域位置情報JA1により特定される第一カメラ画像中の道路領域A1から、NA1個(少なくとも3個)の特徴点PA1=(x,y)を抽出する(S220)。
【0074】
次に、S220で抽出された特徴点PA1と過去の検出結果とに基づいて、各特徴点PA1のそれぞれについてオプティカルフローFA1=(u,v)を算出する(S230)。
そして、先に求めた仮の挙動パラメータKD 、及びS220で抽出した特徴点PA1、S230にて求めたオプティカルフローFA1に基づいて、道路領域A1の領域パラメータRA1=(a,b,c)を算出する(S240)。
【0075】
また、その領域パラメータRA1とS230にて求めたオプティカルフローFA1とに基づいて、第一カメラ座標系における第一撮像装置2の挙動を表す挙動パラメータKA を算出する(S250)。
【0076】
なお、S240,S250では、S140での処理と同様に、(4)(5)式から得られる連立方程式をシンプレックス法などの周知の最適化手法を用いて解くことで、領域パラメータRA1や挙動パラメータKA を算出する。
【0077】
そして、S210で求められた仮の挙動パラメータKD と、S250で求められた挙動パラメータKA との距離Dを算出し(S260)、その距離Dが予め設定された閾値εより小さいか否かを判断する(S270)。
【0078】
距離Dが閾値ε以上であれば、仮の挙動パラメータKD の値を、S250で求めた挙動パラメータKA で更新した上で(S280)、上述のS240〜S270の処理を繰り返し、一方、距離Dが閾値εより小さければ、挙動パラメータKA を三次元情報算出部11cに出力して(S290)、S200に戻る。
【0079】
つまり、挙動補正部11bでは、第二カメラ画像の情報に基づく仮の挙動パラメータKD と第一カメラ画像の情報を反映させた挙動パラメータKA とが一致するまで反復処理を行うことにより、第一カメラ座標系における第一撮像装置2の挙動をより正確に反映した挙動パラメータKA が得られるようにしている。
【0080】
次に、三次元情報算出部11cでは、図6に示すように、第一撮像装置2から第一カメラ画像が取得されるまで待機し(S300)、第一カメラ画像が取得されると、第一カメラ画像を、各領域が単一平面からなるように領域分割する(S310)。
【0081】
そして、分割された領域の一つを対象領域ADVとして選択し(S320)、その対象領域から、NDV個(少なくとも3個)の特徴点PDV=(x,y)を抽出する(S330)と共に、その抽出した特徴点PDVと過去の検出結果とに基づいて、特徴点PDVのそれぞれについてオプティカルフローFDV=(u,v)を算出する(S340)。
【0082】
そして、挙動補正部11bにて求められた挙動パラメータKA 、及びS330で抽出した特徴点PDV、S340にて求めたオプティカルフローFDVに基づいて、対象領域ADVの領域パラメータRDV=(a,b,c)を算出し(S350)、その領域パラメータRDVを用いて、第一カメラ座標で表された三次元空間に対象領域ADVをマッピングする(S360)。
【0083】
その後、先のS310にて分割された全ての分割領域ADVについて、上述のS320〜S360の処理を実行したか否かを判断し(S370)、未処理の分割領域ADVが存在すれば、S320に戻って、その未処理の分割領域ADVに対してS320〜S360の処理を繰り返し、一方、全ての分割領域ADVについて処理が終了していれば、三次元空間にマッピングされた分割領域ADVをグループ化し、そのグループ化した物体を障害物として検出し、その障害物の三次元情報(位置,形状)を求めて(S380)、S300に戻る。
【0084】
以上説明したように、周辺認識装置1では、第一撮像装置2は、その光軸が水平方向を向き且つ第一カメラ画像が横長(車両の幅方向の撮像範囲が広い)となるように設置されると共に、第二撮像装置3は、その光軸が第一撮像装置2より下向き(ピッチ角αが小)となり、且つ第二カメラ画像が縦長(車両の進行方向の撮像範囲が広い)となるように設置され、しかも、連続するフレームに同一特徴点PA2が必ず存在するように、即ち、特徴点PA2の追跡が容易となるように、車両の進行方向に対する光軸の傾斜角度が車速に応じて変化するようにされている。
【0085】
従って、周辺認識装置1によれば、第二カメラ画像に基づいて、道路領域A2の道路面上の特徴点PA2に基づくオプティカルフローFA2、ひいては車両挙動やカメラ挙動を表す挙動パラメータKB ,KC ,KA を精度良く求めることができ、更に、その精度良く第一撮像装置2の挙動を表す挙動パラメータKA と第一カメラ画像とに基づいて、広い範囲に渡って、障害物の三次元情報を精度良くの検出することができる。
【0086】
また、周辺認識装置1によれば、第二撮像装置3が車両の後方を撮像するように設置され、車両が前進している時には、第二カメラ画像中のオプティカルフローFA2が、画像情報量が大きい側(多くの特徴点を抽出可能な側)から画像情報の小さい側に流れるようにされているため、第二カメラ画像中の情報を無駄なく利用することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0087】
本実施形態では、第1実施形態のものとは、周辺認識部11の構成が異なるだけであるため、この相違する部分を中心に説明する。
図7は、本実施形態における周辺認識部11の構成を示すブロック図である。
【0088】
図7に示すように、周辺認識部11は、第1実施形態のものと比較して挙動補正部11bが省略された構成、即ち、挙動検出部11aと三次元情報算出部11cとからなる。
そして、挙動検出部11aは、S150(図4参照)において、第二カメラ座標系で表された挙動パラメータKBを、第一カメラ座標系で表された挙動パラメータKAに座標変換し、また、三次元情報算出部11cは、挙動検出部11aで算出された挙動パラメータKAに基づいて処理を実行する以外は、第1実施形態と全く同様に構成されている。
【0089】
このように構成された本実施形態の周辺認識装置1によれば、挙動補正部11bが省略されている分だけ、処理負荷を軽減することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施することが可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態では、第二撮像装置3を、車両の後方左端に、且つ光軸が車両の鉛直下方又は車両の後方に傾斜した向きとなるように設置されているが、図8(a)に示すように、光軸が、車両の真後ろに向くのではなく、車両の進行方向を見て左側に傾斜した向きとなるように設置してもよい。
【0091】
この場合、第二カメラ画像中の特徴点PA2として、車線の左端を示す道路区分標示や、左側通行の道路であれば道路左端に存在する縁石等の路側物を、右側通行の道路であれば道路中央に位置する中央分離帯等を、好適に抽出することができる。
【0092】
また、第二撮像装置3は、車両の後端に限らず、図8(b)に示すように、車両の前端や、図8(c)に示すように、車両の中央付近に設置してもよい。
また、第二撮像装置3は、車両の進行方向を見た時の車両の左側に限らず、図9(a)(b)に示すように、車両の右側に設置してもよい。
【0093】
この場合、第二カメラ画像中の特徴点PA2として、車線の右端を示す道路区分表示や、左側通行の道路であれば道路中央に位置する中央分離帯等を、右側通行の道路であれば道路右端に存在する縁石等の路側物を、好適に抽出することができる。
【0094】
また、第二撮像装置3は、図9(c)に示すように、車両の後面に設置してもよい。
更に、図10(a)(b)に示すように、車両の周囲(図では車両左右側面及び後面)に沿ってレール20を設け、このレール20に沿った第二撮像装置3の移動を可能とすると共に、第二撮像装置3の姿勢(光軸の向き)の変更を可能とするように構成してもよい。
【0095】
この場合、自車両又は併走する他車両の影の境界が、第二カメラ画像に映り込むことがないように第二撮像装置3の位置や姿勢を制御することにより、影の境界を特徴点と誤認する等の日射による影響を除去することができ、装置の信頼性をより向上させることができる。
【0096】
また、図11に示すように、第二撮像装置3は、車両の底面に設置されていてもよい。
この場合、自車両の影が第二カメラ画像に映り込むことがないよう、図11(a)に示すように、車両の中央付近、又は、図11(b)(c)に示すように、車速に応じて光軸が後方を向くことを考慮して、車両の中央より前方に設置することが望ましい。
【0097】
また、上記実施形態では、車速に応じて第二撮像装置3の光軸を車両の後方に傾斜させる場合について説明したが、車両が後退する場合に、第二撮像装置3の光軸を車両の前方に傾斜させるように構成してもよい。
【0098】
また、第二撮像装置3は、車両Mの後方の運転者から死角となる領域を撮像するバックモニタ用カメラを兼用していてもよい。
また、周辺認識装置1は、第二カメラ画像における日射の影響を除去するために、第二撮像装置3の撮像範囲を照射する照明装置を備えていてもよい。
【0099】
上記実施形態では、第一撮像装置2及び第二撮像装置3として画素値が輝度強度を表すモノクロ画像を生成するCCDカメラを用いたが、画素値が色彩を表すカラー画像を生成するカメラや、画素値が赤外線強度を表す赤外線カメラ、画像処理を行ってエッジが強調された撮像画像を出力するビジョンチップなどを用いてもよい。
【0100】
上記第一実施形態では、第二カメラ座標系の挙動パラメータKB を、車両座標系の挙動パラメータKC に変換した後、更に、第一カメラ座標系の挙動パラメータKA に変換しているが、挙動パラメータKC を経由することなく、挙動パラメータKB から挙動パラメータKA に直接変換してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】周辺認識装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】撮像装置の設置位置及び状態を示す説明図。
【図3】座標系の定義等を示す説明図。
【図4】挙動検出部での処理内容を示すフローチャート。
【図5】挙動補正部での処理内容を示すフローチャート。
【図6】三次元情報算出部での処理内容を示すフローチャート。
【図7】周辺認識部の他の構成例(第2実施形態)を示すブロック図。
【図8】第二撮像装置の他の設置例を示す説明図。
【図9】第二撮像装置の他の設置例を示す説明図。
【図10】第二撮像装置の他の設置例を示す説明図。
【図11】第二撮像装置の他の設置例を示す説明図。
【図12】撮像装置の光軸が鉛直下方に対して傾斜している場合の問題点を示す説明図。
【図13】前方に向けて取り付けられた撮像装置の問題点を示す説明図。
【符号の説明】
【0102】
1…車載周辺認識装置、2…第一撮像装置、3…第二撮像装置、4…姿勢制御部、5…車速センサ、6…ディスプレイ、7…スピーカ、8…アクチュエータ、11…周辺認識部、11a…挙動検出部、11b…挙動補正部、11c…三次元情報算出部、13…危険判定部、20…レール、G…撮像画面、M…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置され、移動体周辺の画像を撮像する第一撮像装置と、
前記第一撮像装置より光軸が下向きとなるように前記移動体に設置され、前記移動体が走行する道路面を撮像する第二撮像装置と、
前記第二撮像装置の撮像画像から道路面上に存在する特徴点のオプティカルフローを抽出し、該オプティカルフローに基づいて移動体挙動を表す挙動パラメータを検出する挙動検出手段と、
前記挙動検出手段にて検出された挙動パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像に基づいて、障害物の位置,形状を示す三次元情報を算出する障害物検出手段と、
を備えることを特徴とする周辺認識装置。
【請求項2】
前記障害物検出手段は、
前記第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割手段と、
前記分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び前記挙動検出手段により検出された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での前記対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出手段と、
前記領域パラメータ算出手段にて算出された領域パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像内での前記対象領域の位置に基づいて、前記対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピング手段と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の周辺認識装置。
【請求項3】
前記障害物検出手段は、
前記第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割手段と、
前記分割手段にて分割された領域から道路面を表す道路領域を抽出し、該道路領域上の特徴点のオプティカルフローに基づいて、前記挙動検出手段にて検出された挙動パラメータを補正する挙動補正手段と、
前記分割手段にて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び前記挙動補正手段により補正された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での前記対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出手段と、
前記領域パラメータ算出手段にて算出された領域パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像内での前記対象領域の位置に基づいて、前記対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピング手段と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の周辺認識装置。
【請求項4】
前記第一撮像装置は、水平方向又は水平方向より下向きに、且つ移動体の前方に光軸を向けて配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項5】
前記第一撮像装置の撮像画像は横長であることを特徴とする請求項4に記載の周辺認識装置。
【請求項6】
前記第二撮像装置は、鉛直下方に光軸を向けて配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項7】
前記第二撮像装置は、鉛直下方から移動体の後方に傾斜した方向に光軸を向けて配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項8】
前記第二撮像装置から取得される連続した二つの撮像画像中に、同一特徴点が存在するように、移動体の速度が大きいほど、移動体の進行方向とは反対側への光軸の傾斜角度が大きくなるように前記第二撮像装置の姿勢を変化させる姿勢制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項9】
前記第二撮像装置の撮像画像は縦長であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項10】
前記第二撮像装置は、車線の左端を示す路面表示、又は左側通行の道路であれば道路端に設けられた路側物,右側通行の道路であれば道路中央の分離帯の撮像が少なくとも可能となる姿勢及び位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項11】
前記第二撮像装置は、車線の右端を示す路面表示、又は左側通行の道路であれば道路中央の分離帯,右側通行の道路であれば道路端に設けられた路側物の撮像が少なくとも可能となる姿勢及び位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項12】
前記第二撮像装置は、前記移動体の後方に配置され、運転者から死角となる領域を撮像するバックモニタ用カメラを兼用することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項13】
前記第二撮像装置は、前記移動体の底面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項14】
前記第二撮像装置は、前記移動体の中心より前方に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の周辺認識装置。
【請求項15】
前記第二撮像装置の撮像画像中に、自移動体又は自移動体と併走する他移動体又は路側物の影が写り込むことがないように前記第二撮像装置の姿勢及び位置を変化させる移動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項16】
前記第二撮像装置の撮像範囲を照射範囲とする照明手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項17】
前記第一撮像装置及び前記第二撮像装置のうち少なくとも一方は、輝度強度を表す画素値を有した撮像画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項18】
前記第一撮像装置及び前記第二撮像装置のうち少なくとも一方は、色彩を表す画素値を有した撮像画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項19】
前記第一撮像装置及び前記第二撮像装置のうち少なくとも一方は、赤外線強度を表す画素値を有した撮像画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項20】
前記第一撮像装置及び前記第二撮像装置のうち少なくとも一方は、エッジが強調された撮像画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の周辺認識装置。
【請求項21】
移動体に設置され、移動体周辺の画像を撮像する第一撮像装置と、前記第一撮像装置より光軸が下向きとなるように前記移動体に設置され、前記移動体が走行する道路面を撮像する第二撮像装置とから得られる撮像画像に基づいて、移動体周辺に存在する障害物の三次元的な位置,形状を認識する周辺認識方法であって、
前記第二撮像装置の撮像画像から道路面上に存在する特徴点のオプティカルフローを抽出し、該オプティカルフローに基づいて移動体挙動を表す挙動パラメータを検出する挙動検出ステップと、
前記挙動検出ステップにて検出された挙動パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像に基づいて、障害物の位置,形状を示す三次元情報を算出する障害物検出ステップと、
からなることを特徴とする周辺認識方法。
【請求項22】
前記障害物検出ステップは、
前記第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割ステップと、
前記分割ステップにて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び前記挙動検出ステップにより検出された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での前記対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出ステップと、
前記領域パラメータ算出ステップにて算出された領域パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像内での前記対象領域の位置に基づいて、前記対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピングステップと、
からなることを特徴とする請求項21に記載の周辺認識方法。
【請求項23】
前記障害物検出ステップは、
前記第一撮像装置の撮像画像を領域分割する分割ステップと、
前記分割ステップにて分割された領域から道路面を表す道路領域を抽出し、該道路領域上の特徴点のオプティカルフローに基づいて、前記挙動検出ステップにて検出された挙動パラメータを補正する挙動補正ステップと、
前記分割ステップにて分割された領域のそれぞれを対象領域として、該対象領域上の特徴点のオプティカルフロー、及び前記挙動補正ステップにより補正された挙動パラメータに基づいて、三次元空間内での前記対象領域の位置及び向きを規定する領域パラメータを算出する領域パラメータ算出ステップと、
前記領域パラメータ算出ステップにて算出された領域パラメータ、及び前記第一撮像装置の撮像画像内での前記対象領域の位置に基づいて、前記対象領域を三次元座標上にマッピングするマッピングステップと、
からなることを特徴とする請求項21に記載の周辺認識方法。
【請求項24】
請求項21乃至請求項23のいずれかに記載の周辺認識方法を構成する各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−300181(P2007−300181A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124117(P2006−124117)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(506146677)
【Fターム(参考)】