説明

回路基板組み立て品および回路基板へのチップの取り付け方法

【課題】アンテナアレイにおいて、送信/受信モジュールをアンテナ回路基板に容易に接続でき、製造時間とコストを削減できる手段を提供する。
【解決手段】アンテナアレイは、フリップチップ送信/受信(T/R)モジュール1をアンテナ回路基板2に直接取り付けることによって組み立てられる。フィレットボンド6は、フリップチップT/Rモジュール1の周辺の少なくとも一部の周囲において回路基板2およびフリップチップT/Rモジュール1に付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板組み立て品(assembly)および回路基板へのチップの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップは、回路基板に取り付け可能である。例えば、アンテナアレイは、パッケージ化された送信/受信(T/R)モジュールを用いて、組み立てられることができる。パッケージ化されたモジュールは、ブリックアレイ(brick array)またはコプレーナタイルアレイ(coplanar tile array)であり得る。このようなパッケージ化された組み立て品(assembly)は、留め具、および例えば同軸ケーブル、「ファズ」ボタン("fuzz" button)、リボン、ワイヤボンドを含む配線(相互接続)構造およびコネクタを含み得る。このようなパッケージおよび接続構造は、組み立て品の重さの増加およびバルクの巨大化に寄与し、使用される基板領域の面積を増加させる。組み立てに、多くの工程を要することもあり、このことは製造時間およびコストに寄与する。
【発明の概要】
【0003】
アンテナアレイは、フリップチップ送信/受信(T/R)モジュールをアンテナ回路基板に直接取り付けることを含んだ方法により組み立てられる。フィレット(fillet)ボンド(接着剤)が、フリップチップT/Rモジュールの周辺の少なくとも一部の周囲において回路基板およびフリップチップT/Rモジュールに付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、回路基板に取り付けられたチップの例示的な実施形態を示している。
【図2】図2は、回路基板に取り付けられたチップの例示的な実施形態を示している。
【図3】図3は、チップ位置の配列およびチップ位置において回路基板に取り付けられたチップを有する回路基板の例示的な実施形態を示している。
【図4】図4は、T/Rチップの例示的な実施形態の概略的な回路図を示している。
【図5】図5は、T/Rチップのコントローラの機能ブロック図を示している。
【図6】図6は、アンダーフィルとともに回路に取り付けられたチップの例示的な実施形態を示している。
【図7】図7は、回路に取り付けられたチップの例示的な実施形態を示している。
【図8】図8は、回路に取り付けられたチップの例示的な実施形態を示している。
【図9】図9は、T/Rチップのアレイをアンテナパネルに組み合わせる方法の例示的な実施形態を示している。
【図10】図10は、フレキシブルアンテナ回路基板のパネルの例示的な実施形態の分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の概要の欄に記載のまたは他の、本発明の特徴および利点は、添付の図面に描かれているように、以下の詳細な例示的な実施形態から当業者によって容易に理解されるであろう。
【0006】
以下の詳細な記述および幾つかの図面において、同様の要素は、同様の参照符号により識別される。
【0007】
図1は、回路基板2に接続されたチップ1の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の図1において、チップ1は、回路基板2に接続された送信/受信(T/R)装置のチップである。図1に描かれた実施形態において、回路基板2は、多層アンテナパネル組み立て品である。多層アンテナパネル回路組み立て品は、フレキシブルであっても、堅いものであってもよい。他の実施形態では、チップ1は、回路基板への取り付けに適した受信チップまたは他のチップであり得る。回路基板は、チップの取り付けに適したあらゆる回路基板であり得る。回路基板2は、電力、RF、デジタル信号を配給するための媒体である。RF信号は、回路基板上の、または回路基板に取り付けられ得るアンテナアレイに供給されることができる。
【0008】
T/Rチップは、接続部すなわちバンプ3を有するフリップチップである。バンプ3は、チップ1の裏面上に配置され、回路基板2の上側の表面上の対応するコンタクトパッド4との接続のためのものである。チップ1は、フリップチップまたは直接チップ取り付け工程によって回路基板2に接続済みである。バンプ3は導電媒体5によってコンタクトパッド4に接続されている。この接続は、チップ1と回路基板2との間のマイクロ波、RF、アナログ、デジタル、DC電力の全てまたは何れか1つの相互接続からなる。例示的な実施形態では、チップ1は、マイクロ波または少なくとも最大11GHzのRF周波数で動作し得る。チップは、RFT/RチップまたはT/Rモジュールから構成され得、例えばSiGeT/Rチップ1から構成され得る。
【0009】
バンプ3は、半田または半田合金から構成され得、例えばスズ鉛またはインジウム鉛合金から構成される。コンタクトパッドは、導電材料から構成され得、例えば銅でメッキされた金属からなる。他の実施形態では、バンプは回路基板上であってもよいし、コンタクトパッドはチップ上であってもよい。バンプ3および基板上のRF経路(図示せぬ)は、絶縁層、例えばビスベンゾチクロブテン(BCB)上に配置され得る。例示的な実施形態では、この絶縁層は、例えば、Dowから購入可能なCYCLOTENE 4000 Series電子樹脂(フォトBCB)の1つであり得る。BCBは、ウェハレベルにおいて液体状態でチップ上にスピンコートされ、硬化される。バンプ3およびチップ上のRF経路(trace)は、絶縁層の上面に配置されることにより、RF損失を緩和し、この装置が取り付けられる際にバンプされる配線での機械的圧力を緩和する。
【0010】
図1の例示的な実施形態では、導電媒体5は、半田または導電性接着剤(ECA)、例えば銀粒子を含んだエポキシ樹脂から構成され得る。他の例示的実施形態では、導電媒体は、異方性導電膜51(ACF)から構成されてもよい(図4)し、圧着または超音波(超音波併用熱圧着)コンタクト52を用いて接着されてもよい(図5)。チップ1のバンプ3を回路基板2に接続するための他のあらゆる適当な導電媒体が代わりに用いられてもよい。
【0011】
図1において、フィレットボンド6は、チップ1の少なくとも一部、例えば、チップの周辺の一部の周囲に配置され、チップ1を回路基板6に接着する。フィレットボンドは、非導電性および(または)高粘度接着剤および(または)エポキシ、例えば粘度が約4000センチポイズのシリカを含んだエポキシから構成され得る。ボンド6は、例えば42ギガパスカル(GPa)の高い曲げ弾性率を有する材料から構成され得、チップ1を実質的に強固に回路基板2に固着する。図1の例示的実施形態では、フィレットボンド6は、チップ1の側壁61の少なくとも一部に付けられている。ボンド6は、チップの側壁61のチップ1の厚さの50乃至100%まで亘っている。他の実施形態では、ボンド6は、チップの側壁61の厚さ62の50%未満に亘り得る。別の例示的実施形態では、フィレットボンド6は、側壁61のチップ1の厚さ62の少なくとも約2/3に亘る。
【0012】
ボンド6は、チップ1と回路基板2との間の領域の少なくとも一部に亘る。例えば、図1の例示的実施形態では、ボンド6は、チップ1と回路基板2との間に亘り、最も外側のバンプ3に、このバンプ3を越えることなく接触する。フィレットボンド6に用いられる材料は、半田接着を弱め得る局部熱膨張係数(CTE)の不一致をある程度制御し得るよう選択される。ボンド材料は、半田接合部に接触し、半田の不一致を緩和する。フィレットボンド材料は、望ましい強度、十分な高い曲げ弾性率を有し、チップとCTEが一致しているものが選択される。ある実施形態では、ボンド6は、チップの縁の全体または周辺の周囲に亘り得る。アンテナ回路基板2のコンタクトパッド4と接続するためのバンプ3を有するT/Rチップ1は、接続構造を格納するパッケージなしに回路基板2に接続されることができる。電気的な接続は、バンプ3をパッド4に接続する導電媒体を介してなされ、チップは導電媒体、フィレットボンド、アンダーフィルによって、他の接続および固定構造なしに回路基板に固定されることができる。
【0013】
図2は、チップ1を取り付けられた回路基板2の例示的な実施形態を示している。フィレットボンド6は、チップ1の少なくとも一部の周囲に亘る。図2の例示的な実施形態では、フィレットボンド6は、ミリ波またはRF信号経路7がチップ1の下方から延びている位置の回路基板2上の領域には塗布されていない。ボンド6は、ミリ波/RF経路が存在していないチップ1の周辺の周囲に塗布され得る。RF経路7上にフィレットボンド6を配置しないことは、6GHzを越える周波数を利用する使用形態、および(または)絶縁材料によって覆われたRF経路7内でのRF信号の劣化が好ましくない使用形態に、特に適し得る。信号の劣化は、エポキシと、RF経路の上方の空き領域または空間と、の間の絶縁定数の違いによって引き起こされ得る。
【0014】
図3は、複数のチップ位置10の1つに取り付けられたチップ1を有する回路基板2の例示的な実施形態を示している。フィレットボンド6は、ミリ波/RF経路7の存在しない、チップ1の少なくとも一部の周囲に亘っている。各チップ位置10において、コンタクトパッド4は、チップ1の表面上のバンプ3(図1)のパターンに対応するパターンで回路基板2上に配置されている。バンプおよびコンタクトパッド4は、チップ1と回路基板2との間に、ミリ波、RF、アナログ、デジタル、DC電力の全てまたは何れかの適切な相互接続を形成するように配置されている。チップ位置10は、チップ1が、取り付けられた際にチップのアレイ100を構成するように、回路基板2上に配置される。RF信号71は、回路基板2上でネットワークレーダー受信機/励振器を形成するアレイビームからRF経路7へ入力される。RF経路7の幾つかは、分割器ネットワーク72を構成し得る。図2の例示的な実施形態では、RF信号71は、7つの1:2電力分割器73a乃至cからなる1:8電力分割器ネットワーク72を介して分割される。図2に示されるアレイ100は、より大きなアレイ(図示せぬ)のサブアレイを構成していてもよい。例示的な実施形態では、アレイは数百平方メートルほど大きい場合もある。RF信号経路7は、RFコンタクトパッド41に接続される。分割器ネットワーク72からの信号経路7は、各チップ位置10において、チップ1のビーム形成ポート(BMFポート)11への接続のためのチップ1上のバンプ(図示せぬ)に対応する少なくとも1つのRFコンタクトパッド4と接続される。RF経路7は、チップ1(図4)の低ノイズアンプ(LNA)ポート12と高電力アンプ(HPA)ポート13との接続のためのチップ1上のバンプ(図示せぬ)に対応するRFコンタクトパッド41にも取り付けられ得る。
【0015】
例示的な実施形態の1つでは、図3のTRチップ1は、受信モードでは7乃至11GHzの周波数範囲、9.0dBの増幅率、5ビットの減衰、6ビットの位相で動作し得る。送信モードでは、7乃至11GHzの周波数範囲、17.0dBの増幅率、20.0dBmの出力電力(入力電力=3dBm)、5ビットの減衰、6ビットの位相で動作し得る。コンタクトパッド4の幾つかは、グランドまたはコントローラ31(図4)によって実行される種々のASIC機能に対応する、チップ1上のバンプの接続のためのパッド4から構成され得る。図2の例示的な実施形態では、例えば、1群の内部コンタクトパッド43は、T/Rチップをグランドに接続するためのT/Rチップ上のバンプに対応する。他のコンタクトパッド4は、T/Rチップもグランドに接続し得る。
【0016】
チップ1は、「コモンレッグ」("common leg")回路から構成され得る。図4の例示的な実施形態では、例えば、チップ1は、3つのRF信号ポート、すなわちBMFポート11、LNAポート12、HPAポート13を備える。LNAポートは、転送スイッチ21を介してフォワードゲインアンプ14、第1減衰器15、位相シフタ16、リバースゲインアンプ17、第2減衰器18と切り替え可能に接続される。ゲインアンプ14、17は、2段のヘテロ(ヘテロ接合)バイポーラトランジスタ(HBT)ゲインアンプから構成され得る。受信モードでは、例えばアレイ放射素子からの信号74は、LNAポートを介して入力され、ゲインアンプ14、減衰器15、位相シフタ16、ゲインアンプ17、減衰器18を介して処理され、スイッチ22およびスイッチ23を介してBMFポートへ送られる。送信モードでは、信号71は、ビーム操縦ネットワークからBMFポート11に入力される。BMFポート11は、スイッチ23、21(ともに図示せぬ位置へと切り替えられる)を介してゲインアンプ14、減衰器15、位相シフタ16、ゲインアンプ17、減衰器18、駆動アンプ19へのスイッチ22(図示せぬ位置へと切り替えられる)、HPAポート13を介してレーダーアレイの放射素子に接続される。駆動アンプ19は、「コモンレッグ」回路の外部の単段駆動アンプから構成され得る。チップ1は、デジタル/アナログコントローラ31を備え得る。コントローラ31は、特定用途向け集積回路(ASIC)機能を実行し得る。スイッチ21、22、23は、ピンダイオード、FET、MEMスイッチから構成され得る。
【0017】
図5は、T/Rチップのコントローラ31およびコントローラ31によって実行される例示的なASIC機能の機能ブロック図の例示的な実施形態を示している。ASIC機能は、デジタル制御ロジック32、RAM33、付加的な回路34またはデジタル・アナログコンバータ(DAC)35を含み得る。デジタル制御ロジック32は、単語認識(word recognition)、受信同報通信(reception broadcast)、モジュール固有制御ワード(module specific control words)、RF制御のための電流および次ビーム登録データ、非同期通信に対する障害の検出、ウィリーギグ(whirly gig)およびRAMに基づいたマルチビーム登録、位相シフタの2つの異なるタイプの駆動をサポートし得、および(または)スタンバイモードにおいて無視し得る電力損失を生じ得る。RAM33は、ビーム操縦のための揮発的な複数のビームデータの記憶装置から構成され得る。付加的な回路34は、例えば0.3mWラインレシーバ、LNAバイアスのための0.5mW可変電圧スイッチ制御、基地制御されたアンプバイアス回路、ピンダイオードドライバから構成され得る。DACは、例えば255個の電圧状態を選択するための8ビットの制御を備えたバラクタ位相シフタを線形バイアスするための、例えば電圧設定から構成され得る。これらの機能と、回路基板の対応する基板との間の接続は、フリップチップまたはチップまたは回路基板へのモジュールの直接チップ取り付けから実現され得る。図1において、例えばチップ3上の適切なバンプは、回路基板2上の対応するコンタクトパッド4に、導電媒体5によって接続される。
【0018】
ある例示的な実施形態では、チップ1は、アンダーフィル(underfill)されていてもよい。図6は、例えば、回路基板2に取り付けられたチップ1の例示的な実施形態を示している。チップ1上のバンプ3は、基板2上のコンタクトパッド4に、半田またはECA5によって取り付けられている。フィレットボンド6は、チップ1の少なくとも一部に付けられている。アンダーフィル8は、エポキシ、例えば(シリカを)濃密に充満されたまたは含んだ、または補修可能なエポキシから構成され得る。例示的な実施形態では、エポキシは、最大で60%含み得る。他の実施形態では、アンダーフィルは、シリコンゴム、ウレタン、シリコン、ポリマーの全てまたは何れかから構成され得る。ある例示的な実施形態では、回路基板2は、最初に加熱される。エポキシの玉(bead)は、ニードルを介して、回路基板2上の取り付けられたチップ1の周囲の周辺に撒かれる。回路基板2が冷めるに連れて、エポキシは、チップ1の下方、チップ1と回路基板2との間へと、毛管現象によって引き寄せられる。ある例示的な実施形態では、アンダーフィルは、バンプ3を包み込む。
【0019】
アンダーフィル8は、RF信号がアンダーフィル材料との接触によって望ましくない劣化を経ることがない使用形態で用いられることができる。エポキシは、例えば、6GHzを越える周波数でRF信号を劣化させ得る。信号劣化が問題とならない場合、アンダーフィルは、RF経路を回避することなく付けられる。アンダーフィル6は、チップ1と回路基板2との間の全領域を全て、または部分的に埋め込み得る。
【0020】
他の例示的な実施形態では、部分的なアンダーフィルが用いられ得る。アンダーフィルは、チップと回路基板との間の全領域を埋め込まないように付けられる。例えば、アンダーフィルがRF経路を覆うことが望ましくない使用形態では、アンダーフィルは、チップが回路基板に取り付けられたときにアンダーフィルがRF経路を覆わないような位置および量で選択的に配置される。部分的なアンダーフィルは、RF経路を覆うことを回避することが望ましい使用形態およびRF経路が覆われても良い実施形態で使用されることができる。自動化されたx/y配置装置は、針を制御してRF経路を覆わない位置にアンダーフィル6を選択的に配置できる。アンダーフィルは、導電媒体がECA、半田、圧着および(または)超音波コンタクトからなる場合に使用されることができる。
【0021】
図7は、チップ1がACF51によってアンテナアレイ回路基板2に取り付けられた例示的な実施形態を示している。フィレットボンド6は、チップ1の少なくとも一部の周囲に設けられている。図8は、半田バンプ3がアンテナアレイ回路基板2に取り付けられたチップ1の例示的な実施形態を図示している。半田バンプ3は、圧着または超音波コンタクト52のいずれか一方によって、コンタクトパッド4に接続されている。超音波コンタクトでは、チップ1のバンプ3は、回路基板2上のコンタクトパッド4に対向して保持され、バンプにコンタクトパッド4との接着を生じせしめる超音波振動の対象とされる。フィレットボンド6は、チップ1の少なくとも一部の周囲に設けられている。
【0022】
種々の例示的な実施形態において、導電媒体は、種々の方法によって付される。図9は、例えば、T/Rチップのアレイのアンテナ回路基板への取り付けの例示的な方法のブロックフロー図を示している。図9に描かれている方法は、導電媒体を付けること(201)、チップを基板へ配置すること(202)、チップを基板へ接着すること(203)を含んでいる。導電媒体を付けることは、導電媒体を回路基板のコンタクトパッドに付けること、または導電媒体をチップに、例えばT/Rチップのバンプに取り付けることの少なくとも1つからなる。導電媒体を付けることは、例えば、媒体、例えばECAをフレキシブルな回路基板上に直接スクリーンプリントすること(201a)、またはチップのバンプをペーストに浸すこと(201b)を備え得る。チップのバンプをペーストに浸すこと(201b)は、ピック・アンド・プレイス機を用いて実施されることができる。導電媒体を付けるための他のあらゆる手段が、この発明の範疇から逸脱することなく、用いられ得る。
【0023】
図9に描かれる方法は、また、チップを回路基板上に配置すること(202)を備える。チップは、ピック・アンド・プレイス機によって自動で回路基板に配置されることができる。例示的な実施形態では、ピック・アンド・プレイス機が用いられてチップのバンプがペーストに浸され(201b)、次いでチップが回路基板上に配置される(202)。T/Rモジュールをフレキシブルな回路アレイに直接取り付けることは、他の組み立て方法に対して目立たず、より軽量の選択肢を提供し得る。それは、また、より短い配線経路を提供し、市販のピック・アンド・プレイス機を用いて自動でアクティブアレイを組み立てることを可能とする。ピック・アンド・プレイス機は、例えば、ニューヨークのビンガムトンのUniversal Instruments Corp.から入手可能である。例示的な実施形態では、チップを配置すること(202)は、例えば視覚システム、および少なくともチップおよび回路基板に配置された基点を用いて、チップを回路基板に並べること(202a)を備え得る。
【0024】
チップを所望の位置に配置した(202)後、導電媒体が基板に接着される(203)。基板に接着することは、用いられている導電媒体に応じて、例えばECAを硬化させること(203a)または半田をオーブンまたはベルト式炉(belt furnace)内でリフローすること(203b)を備え得る。または、例示的な実施形態では、チップを基板に接着することは、圧力を加えること(203c)を備え得る。圧力を加えること(203)は、例えば導電媒体が異方性導電接着剤または圧力/超音波コンタクトからなる場合の硬化(203a)の最中に用いられる。例示的な実施形態では、チップを基板に接着することは、フィレットボンドを付けること(204)またアンダーフィルを付けること(205)も備え得る。
【0025】
本明細書に記載されている組み立て品および組み立て方法は、大規模フレキシブルアンテナ回路パネルに適用されることができる。大規模フレキシブルアンテナ回路は、数平方フィートの大きさの大きなフレキシブルパネルの製造を可能にするリールトゥリール式reel-to-reel)フレキシブル製造工程を用いて製造されることができる。アンテナアレイは、10平方フィート以上もの大きさであり得る。組み立て品を形成する個々のパネルの最大幅は、チップを回路基板に配置するのに用いられる入手可能なピック・アンド・プレイス機の大きさによって限定される。
【0026】
図10は、フレキシブルアンテナ回路基板2のパネルの例示的な実施形態の分解透視図を示している。回路基板2は、裏面にT/Rチップ1を取り付けられた回路膜層201、信号/電力回路膜層202、裏面グランド平面層203、エアーストリップライン二次フィード(air strip line secondary feed)層204、サーキュレータ搭載基板205、表面にディスク開口照射素子(disk aperture radiating element)207を搭載されたストリップ線回路基板206を備える。この例示的な実施形態では、各層は、接着剤の層208によって隣接する層から分離している。二次フィード層は、z軸ガスケット層209、表および裏を備え、カプトン(kapton)回路膜層210を有する。サーキュレータ搭載基板205は、3つのポートを有するサーキュレータ212を囲むポケット211を備える。
【0027】
本明細書に記載の組み立て品および組み立て方法は、他の組み立て品または組み立て方法と比べた際に、より軽量の相互接続構造のより高密度のアンテナアレイを提供し得る。より高密度およびより軽量の組み立て品は、フレキシブル回路基板が基体(プラットフォーム)の本体または表面に亘って正角に付けられる例えば宇宙空間を拠点とするレーダーアンテナおよび「スマートスキン」("smart skin")航空電子工学使用形態、または他のあらゆる使用形態において用いられることができる。本明細書に記載の組み立て品および組み立て方法は、構造の取り付けだけでなく、T/Rモジュールおよび(または)フレキシブル回路パネルアレイアンテナ間でミリ波、デジタル、直流電力を同時に相互接続するための配線構造を、他の組み立て品または組み立て方法につきもののバルクまたは重さをもたらすことなく、提供できる。
【0028】
上記の実施形態は、本発明の原理を代表する、なし得る具体的な実施形態の単なる例示であると理解されるべきものである。他の配置は、これらの原理に従って、当業者によって本発明の範囲および思想から逸脱することなく容易に案出されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリップチップ送信/受信(T/R)モジュール1をアンテナ回路基板2に直接取り付けることと、
前記フリップチップT/Rモジュール1の周辺の少なくとも一部の周囲において前記回路基板2と前記フリップチップT/Rモジュール1にフィレットボンド6を付けることと、
を具備する、アンテナアレイ100の組み立て方法。
【請求項2】
前記アンテナ回路基板2が多層フレキシブル回路基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フリップチップT/Rモジュール1を直接取り付けることが、R/F接続、DC電力接続、デジタル接続の少なくとも1つをなすことを具備する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリップチップT/Rモジュール1を取り付けることが、前記フィレットボンド6を前記回路基板2上のR/F経路7に付けることなく、前記フリップチップT/Rモジュール1を取り付けることを具備する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フリップチップT/Rモジュール1が、約6GHzを越える周波数で動作する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記フィレットボンド6が、前記フリップチップT/Rモジュール1の全周囲に亘って広がっている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記フリップチップT/Rモジュール1が、約6GHz未満の周波数で動作する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリップチップT/Rモジュールをアンダーフィルすることをさらに具備する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記フリップチップT/Rモジュール1を前記回路基板2に直接取り付けることが、前記フリップチップT/Rモジュール1上のバンプ3を前記回路基板2上の対応するコンタクトパッド4に導電媒体5を用いて接続することを具備する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電媒体5が、電気的導電接着剤、半田、異方性導電フィルムの少なくとも1つを具備する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記直接取り付けることが、圧着または超音波コンタクト52を形成することを具備する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−151815(P2011−151815A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−28794(P2011−28794)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【分割の表示】特願2006−549699(P2006−549699)の分割
【原出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】