説明

回路基板

【課題】高密度実装される電子部品に生じた熱を好適に放熱し得る回路基板を提供する。
【解決手段】基板面11aに複数の電子部品が実装される回路基板10であって、複数の電子部品のうち放熱を必要とするトランジスタ31が接続される配線パターン12には、内側に向かって延びる放熱用ビア41が形成され、放熱用ビア41に対して絶縁部21を介して対向する受熱用ビア42が、放熱用ビア41が形成される配線パターン12と異なる電位のパターンに形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板面に発熱する電子部品が実装される回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板面に発熱する電子部品が実装される回路基板に関する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される配線基板が知られている。この配線基板には、ICの裏面中央部に設けられる伝熱部に対応する位置に、上面から下面に貫通するネジ穴が設けられており、このネジ穴に放熱部材の挿入部が螺嵌される。そして、ICの伝熱部と放熱部材とが当接した状態で半田にて接続される。これにより、ICにて発生した熱が、伝熱部から放熱部材へ直接伝導されるとともに、伝熱部から半田を通じて放熱部材へ伝導されることで、ICにて発生した熱を配線基板の下面側へ放熱している。
【0003】
また、下記特許文献2に開示される多層配線基板は、4つの絶縁層を備えている。半導体素子は、第4の絶縁層の表面に形成される半導体素子搭載パターン上に搭載されており、この半導体素子搭載パターンは、第4のビアホールを介して、第3の絶縁層の表面に形成される第2の冷却パターンに熱的に接続されている。この第2の冷却パターンは、第3のビアホールを介して、第2の絶縁層の表面に形成される第1の冷却パターンに熱的に接続されている。この第1の冷却パターンは、第5のビアホールを介して、第4の絶縁層の表面に形成されるヒートシンク搭載パターンに熱的に接続され、このヒートシンク搭載パターンにヒートシンクが熱伝導性のシリコーン接着剤を介して接着されている。
【0004】
このように構成される多層配線基板において、半導体素子の駆動に応じて熱が放出されると、この熱は、半導体素子搭載パターン、第4のビアホール、第2の冷却パターン、第3のビアホール、第1の冷却パターン、第5のビアホールおよびヒートシンク搭載パターンを介して、ヒートシンクへ伝導されることで、放熱される。このように互いに接続された放熱経路を内層に設けることで、放熱経路を基板面に形成する場合と比較して、冷却性能を維持しつつ高密度化を図っている。
【0005】
また、下記特許文献3に開示されるプリント配線基板は、発熱素子が上面の銅箔平面パターン上にはんだやペースト等により固着されている。また、基板の上面と下面とを貫通するように複数の熱伝導ビアホールが形成されており、これら各熱伝導ビアホールを介して、上面のビアホール形成領域上に形成された銅箔平面パターンと下面に形成された銅箔平面パターンとが電気的に接続されている。
【0006】
このような構成において、素子から発生する熱は、銅箔平面パターンに伝達されることで、当該銅箔平面パターンを介して放熱されるとともに、各ビアホールやこれら各ビアホールに接続される下面の銅箔平面パターンを介して放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−28254号公報
【特許文献2】特開平11−330708号公報
【特許文献3】特開平09−148691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、さらなる高密度化や軽量化が要望される回路基板では、基板面に実装される電子部品に生じた熱を放熱するための放熱領域を構成することが困難であり、特に、実装される電子部品が多くなりこれらの電子部品からの発熱量が大きくなるほど、必要な放熱領域の確保が困難になるという問題がある。
【0009】
上記特許文献1や特許文献3における放熱構成では、高密度化に対応することが困難であり、上記特許文献2における放熱構成では、高密度化により最表層だけでなく内層にも複数のパターンが配置される場合には、内層側であってもパターン等の配置が制約されて、内層側に放熱経路を設けることができないという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高密度実装される電子部品に生じた熱を好適に放熱し得る回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の回路基板では、基板面に複数の電子部品が実装される回路基板であって、前記複数の電子部品のうち放熱を必要とする電子部品が接続される配線パターンには、内側に向かって延びる放熱用経路が形成され、前記放熱用経路に対して絶縁部を介して対向する受熱用経路が、前記放熱用経路が形成される配線パターンと異なる電位のパターンに形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回路基板において、前記受熱用経路が形成されるパターンには、前記複数の電子部品のうち当該パターンを介した受熱に対して影響を受けにくい電子部品が接続されることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の回路基板において、当該回路基板は、導体層と絶縁層とが交互に積層されて構成され、前記受熱用経路は、内層側の導体層に設けられるグランドパターンに接続されることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路基板において、前記放熱用経路および前記受熱用経路は、両経路が対向する方向に対して直交する方向に長く形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路基板において、前記放熱用経路および前記受熱用経路は、レーザ加工により形成されるビアを用いて構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路基板において、前記受熱用経路が形成されるパターンの一部が、当該回路基板が収容される筐体の一部に対して収容時に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、基板面に実装される複数の電子部品のうち放熱を必要とする電子部品(以下、発熱部品という)が接続される配線パターンには、内側に向かって延びる放熱用経路が形成される。そして、この放熱用経路に対して接触することなく対向する受熱用経路が、上記放熱用経路が形成される配線パターンと異なる電位のパターンに形成される。
【0018】
これにより、発熱部品にて生じた熱は、その配線パターンを介して放熱用経路に伝熱されると、この放熱用経路に対向する受熱用経路に絶縁部を介して伝熱されることで、当該受熱用経路が形成されるパターンに伝熱されて放熱される。特に、異なる電位のパターンを放熱用パターンとして利用できるため、全ての放熱経路を熱的に接続する必要がないので、放熱経路を形成する自由度が増し、高密度化される回路基板であっても放熱経路を容易に確保することができる。
したがって、高密度実装される電子部品に生じた熱を好適に放熱することができる。
【0019】
請求項2の発明では、受熱用経路が形成されるパターンには、複数の電子部品のうち当該パターンを介した受熱に対して影響を受けにくい電子部品が接続されるため、受熱用経路に伝熱される熱が上記パターンを介して放熱される場合でも、この熱が当該パターンに接続される電子部品に影響を及ぼすことはない。また、複数の電子部品のうち当該パターンを介した受熱に対して影響を受けやすい電子部品には、受熱用経路が形成されないために放熱用経路を介した熱が伝熱することもないので、当該電子部品に対して発熱部品からの熱が影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0020】
請求項3の発明では、受熱用経路は、内層側の導体層に設けられるグランドパターンに接続される。内層側の導体層に設けられるグランドパターンは、一般的に他のパターンと比較して広い表面積を有するように形成されるため、広い放熱領域が確保されて、上記両経路を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。
【0021】
請求項4の発明では、放熱用経路および受熱用経路は、両経路が対向する方向に対して直交する方向(以下、長手方向という)に長く形成されるため、両経路間での対向する面積が増加するので、両経路間での熱伝達が促進されて、上記両経路を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。
【0022】
請求項5の発明では、放熱用経路および受熱用経路は、レーザ加工により形成されるビアを用いて構成されるため、両経路を精度良く形成することができる。このため、放熱用経路および受熱用経路の両経路間の絶縁を確保しつつ両経路間の隙間を小さくできるので、上記両経路を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。特に、複数のビアを上記長手方向に隣接させることで、当該長手方向に長くなる放熱用経路および受熱用経路を容易に形成することができる。
【0023】
請求項6の発明では、受熱用経路が形成されるパターンの一部が、当該回路基板が収容される筐体の一部に対して収容時に接触するため、受熱用経路に伝熱された熱が上記パターンや筐体を介して放熱されるので、受熱用経路を介した放熱が促進されて、上記両経路を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る回路基板の概略を示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す1B−1B線相当の切断面による断面図である。
【図2】トランジスタにて発生した熱の放熱経路を説明する断面図である。
【図3】図3(A)は、第1実施形態の変形例に係る回路基板の概略を示す上面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。
【図4】第2実施形態に係る回路基板の概略を示す断面図である。
【図5】第2実施形態の変形例に係る回路基板の概略を示す断面図である。
【図6】図6(A)は、第3実施形態に係る回路基板の概略を示す上面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【図7】図7(A)は、第3実施形態の変形例に係る回路基板の概略を示す上面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の回路基板を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1(A)は、第1実施形態に係る回路基板10の概略を示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す1B−1B線相当の切断面による断面図である。
図1(A)に示す回路基板10は、例えば、自動車に搭載されるエンジンECUに採用される電源回路を構成するための基板であって、箱状の筐体に収容された状態で車体の適所に車載されている。
【0026】
回路基板10は、図1(B)に示すように、高密度化を図るために、導体層11と絶縁層として機能する絶縁性の樹脂層20とが交互に積層されることで多層基板として構成されている。最表層の導体層は基板面11aを形成し、この基板面11aには、電源制御に関する処理を実現するための複数の電子部品、例えば、図1(A)に例示するように、トランジスタ31、アルミ電解コンデンサ32および複数のチップ抵抗33等が実装されている。トランジスタ31は、各端子が対応する配線パターン12〜14にそれぞれ接続され、アルミ電解コンデンサ32は、両端子が対応する配線パターン15,16にそれぞれ接続され、各チップ抵抗33は、各端子が対応する配線パターン17,18にそれぞれ接続されている。これら各配線パターンは、それぞれ内層の所定の配線パターンとビア12a〜18a等を介して電気的に接続されている。
【0027】
ここで、上述した複数の電子部品のうち、トランジスタ31は、上記電源制御の実施に伴い発熱するために、放熱を必要とする電子部品(発熱部品)である。また、アルミ電解コンデンサ32は、配線パターンを介した受熱に対してトランジスタ31よりも比較的影響を受けやすい電子部品であり、各チップ抵抗33は、配線パターンを介した受熱に対してトランジスタ31よりも比較的影響を受けにくい電子部品である。
【0028】
図1(B)に示すように、トランジスタ31の一端子が接続される配線パターン12には、レーザ加工により形成されるLVH(Laser Via Hole)を用いて、内層側に向かって長穴状に延びる放熱用ビア41が設けられている。また、各チップ抵抗33の一端子が接続される配線パターン17には、レーザ加工により形成されるLVHを用いて、放熱用ビア41に対して樹脂層20の一部(以下、絶縁部21という)を介して対向するように、内層側に向かって長穴状に延びる受熱用ビア42が設けられている。
【0029】
これら放熱用ビア41および受熱用ビア42は、両ビアが対向する方向(図1(A)の左右方向)に対して直交する方向(図1(A)の上下方向:以下、長手方向という)に長くなるように、LVHを多点で配置することでそれぞれ長穴状に形成されている。特に、配線パターン12と配線パターン17とは互いに異なる電位の配線パターンであるため、放熱用ビア41および受熱用ビア42は、両ビア間の絶縁を確保することを前提に両ビア間における絶縁部21を介した熱伝達を促すために、当該両ビア間の隙間が極力小さくなるように、例えば、0.2mmに設定される。また、放熱用ビア41とアルミ電解コンデンサ32が接続される配線パターン15とは、例えば、0.5mm以上離れるように配置される。なお、放熱用ビア41は、特許請求の範囲に記載の「放熱用経路」の一例に相当し、受熱用ビア42は、特許請求の範囲に記載の「受熱用経路」の一例に相当し得る。
【0030】
次に、上述のように構成される回路基板10の放熱効果について、図2を用いて説明する。図2は、トランジスタ31にて発生した熱の放熱経路を説明する断面図である。
上記電源制御の実施に伴いトランジスタ31が発熱すると、この熱の一部が、図2の矢印α1にて示すように、配線パターン12を介して放熱用ビア41に伝熱される。このように放熱用ビア41に伝熱された熱は、図2の矢印α2にて示すように、放熱用ビア41に対向する受熱用ビア42に絶縁部を介して伝熱される。そして、このように受熱用ビア42に伝熱された熱の一部は、図2の矢印α3にて示すように、配線パターン17に伝熱されることで放熱され、残部は、受熱用ビア42に熱的に接続される内層側のパターン等に伝熱されることで放熱される。
【0031】
このように、トランジスタ31にて生じた熱は、両ビア41,42を介する放熱経路を伝熱することで、配線パターン17等により好適に放熱されることとなる。特に、異なる電位のパターンである配線パターン17を放熱用パターンとして利用できるため、全ての放熱経路を形成する配線パターン等をそれぞれ熱的に接続する必要がないので、放熱経路を形成する自由度が増し、高密度化される回路基板10であっても放熱経路を容易に確保することができる。
したがって、高密度実装されるトランジスタ31等の電子部品に生じた熱を好適に放熱することができる。
【0032】
また、受熱用ビア42が形成される配線パターン17には、複数の電子部品のうち当該配線パターン17を介した受熱に対して影響を受けにくいチップ抵抗33が接続されるため、受熱用ビア42に伝熱される熱が上記配線パターン17を介して放熱される場合でも、この熱が各チップ抵抗33に影響を及ぼすことはない。また、複数の電子部品のうち当該パターンを介した受熱に対して影響を受けやすいアルミ電解コンデンサ32が接続される配線パターン15,16には、受熱用ビアが形成されないために放熱用ビア41を介した熱が伝熱することもないので、アルミ電解コンデンサ32に対してトランジスタ31からの熱が影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0033】
さらに、放熱用ビア41および受熱用ビア42は、両ビア41,42が対向する方向に対して直交する長手方向に長く形成されるため、両ビア間での対向する面積が増加するので、両ビア間での熱伝達が促進されて、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。
【0034】
さらにまた、放熱用ビア41および受熱用ビア42は、レーザ加工により形成されるビアを用いて構成されるため、両ビア41,42を精度良く形成することができる。このため、放熱用ビア41および受熱用ビア42の両ビア間の絶縁を確保しつつ両ビア間の隙間を小さくできるので、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果を向上させることができる。特に、複数のビアを上記長手方向に隣接させることで、当該長手方向に長くなる放熱用ビア41および受熱用ビア42を容易に形成することができる。
【0035】
図3(A)は、第1実施形態の変形例に係る回路基板10の概略を示す上面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。
第1実施形態の変形例として、図3(A),(B)に示す回路基板10のように、配線パターン17に複数の受熱用ビア42を形成してもよい。これにより、複数の放熱経路が構成されるので、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果をより向上させることができる。なお、上記変形例の特徴的構成は、他の実施形態および変形例に適用することで、上記効果を奏する。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る回路基板について図4を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る回路基板10aの概略を示す断面図である。
図4に示すように、本第2実施形態に係る回路基板10aは、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果をさらに向上させるために、非貫通ビア43が形成される点が、上記第1実施形態に係る回路基板と異なる。したがって、第1実施形態の回路基板と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、受熱用ビア42が熱的に接続される内層側のパターン19aには、IVH(Interstitial Via Hole)を用いて、さらに内層側にて配置されるグランドパターン19に熱的に接続するための非貫通ビア43が設けられている。このグランドパターン19は、他の電子部品との共用を可能とするために、一般的に他のパターンと比較して広い表面積を有するように形成される。
【0038】
このように、受熱用ビア42がパターン19aを介して比較的広い表面積を有するグランドパターン19に熱的に接続されることにより、広い放熱領域が確保されて、放熱用ビア41および受熱用ビア42を介する放熱経路における放熱効果をさらに向上させることができる。
【0039】
図5は、第2実施形態の変形例に係る回路基板10aの概略を示す断面図である。
第2実施形態の変形例として、図5に示す回路基板10aのように、複数の非貫通ビア43を用いてグランドパターン19とパターン19aとを熱的に接続してもよい。これにより、複数の放熱経路が構成されるので、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果をより向上させることができる。なお、上記変形例の特徴的構成は、他の実施形態および変形例に適用することで、上記効果を奏する。
【0040】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る回路基板について図6を参照して説明する。図6(A)は、第3実施形態に係る回路基板の概略を示す上面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す6B−6B線相当の切断面による断面図である。なお、図6(A)では、便宜上、筐体50は突起51のみを波線にて図示している。
【0041】
本第3実施形態に係る回路基板10bは、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果をさらに向上させるために、受熱用ビア42が筐体50の一部と接触する配線パターン17bに形成される点が、上記第1実施形態に係る回路基板と異なる。したがって、第1実施形態の回路基板と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図6(B)に示すように、当該回路基板10bを収容する金属製の筐体50には、その内壁から内方に突出する突起51が設けられており、この突起51は、その下面にて、回路基板10bが収容される際に、配線パターン17bに接触するように形成されている。配線パターン17bは、配線パターン12と異なる電位の配線パターンであって、上述した受熱用ビア42が、放熱用ビア41に対して絶縁部21を介して対向するように形成されている。
【0043】
これにより、受熱用ビア42が形成される配線パターン17bの一部が、当該回路基板10bが収容される筐体50の突起51に対して収容時に接触するため、受熱用ビア42に伝熱された熱が配線パターン17bや筐体50を介して放熱されることとなる。このため、受熱用ビア42を介した放熱が促進されて、放熱用ビア41および受熱用ビア42を介する放熱経路における放熱効果をさらに向上させることができる。
【0044】
なお、筐体50は、収容時に、突起51にて配線パターン17bに接触するように形成されることに限らず、他の一部にて配線パターン17bに接触するように形成されてもよい。また、上記第3実施形態の特徴的構成は、他の実施形態および変形例に適用することで、上記効果を奏する。
【0045】
図7(A)は、第3実施形態の変形例に係る回路基板10bの概略を示す上面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。なお、図7(A)では、便宜上、筐体50は突起51のみを波線にて図示している。
第3実施形態の変形例として、図7(A),(B)に示す回路基板10bのように、受熱用ビア42と筐体50の突起51とが内層側に配置される配線パターン17cを介して熱的に接続されることで、両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果を向上させてもよい。
【0046】
具体的には、上述した受熱用ビア42が、内層側の配線パターン17cに熱的に接続されるとともに、この配線パターン17cと収容時に突起51に接触する配線パターン17dとがビア44を介して熱的に接続される。
【0047】
このようにしても、受熱用ビア42に伝熱された熱が筐体50等を介して放熱されることとなるため、受熱用ビア42を介した放熱が促進されて、上記両ビア41,42を介する放熱経路における放熱効果をさらに向上させることができる。なお、上記変形例の特徴的構成は、他の実施形態および変形例に適用することで、上記効果を奏する。
【0048】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る回路基板の構成は、エンジンECUに採用される電源回路に採用されることに限らず、高密度実装される電子部品に生じた熱の放熱が必要な回路基板に採用されてもよい。
【0049】
(2)放熱用ビア41が形成される配線パターン12には、上述したトランジスタ31が接続されることに限らず、例えば、IGBTのように所定の制御処理の実施に伴い発熱するために放熱を必要とする電子部品が接続されてもよい。
【0050】
(3)受熱用ビア42が形成される配線パターン17には、上述したチップ抵抗33が接続されることに限らず、単にON/OFFするスイッチング素子のように受熱しても影響を受けない電子部品やセラミックコンデンサのように耐熱性が十分にある電子部品が接続されてもよい。
【0051】
(4)受熱用ビア42は、基板面に設けられる配線パターンに形成されることに限らず、放熱用ビア41に対して絶縁部21を介して対向することを前提に、内層側に配置される配線パターンに形成されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10,10a,10b…回路基板
11…導体層
11a…基板面
12〜18…配線パターン
19…グランドパターン
20…樹脂層(絶縁層)
21…絶縁部
31…トランジスタ
32…アルミ電解コンデンサ
33…チップ抵抗
41…放熱用ビア(放熱用経路)
42…受熱用ビア(受熱用経路)
50…筐体
51…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に複数の電子部品が実装される回路基板であって、
前記複数の電子部品のうち放熱を必要とする電子部品が接続される配線パターンには、内側に向かって延びる放熱用経路が形成され、
前記放熱用経路に対して絶縁部を介して対向する受熱用経路が、前記放熱用経路が形成される配線パターンと異なる電位のパターンに形成されることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記受熱用経路が形成されるパターンには、前記複数の電子部品のうち当該パターンを介した受熱に対して影響を受けにくい電子部品が接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
当該回路基板は、導体層と絶縁層とが交互に積層されて構成され、
前記受熱用経路は、内層側の導体層に設けられるグランドパターンに接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記放熱用経路および前記受熱用経路は、両経路が対向する方向に対して直交する方向に長く形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記載の回路基板。
【請求項5】
前記放熱用経路および前記受熱用経路は、レーザ加工により形成されるビアを用いて構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記載の回路基板。
【請求項6】
前記受熱用経路が形成されるパターンの一部が、当該回路基板が収容される筐体の一部に対して収容時に接触することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230937(P2012−230937A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96775(P2011−96775)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】