説明

回路板

【課題】はんだパッド部での硫化反応及び銀マイグレーションを抑制できるとともに、表面実装部品のはんだ付けの信頼性を向上することが可能な回路板を提供する。
【解決手段】回路板は、モジュール基板と、銀を主成分とする配線パターン25,26と、電気絶縁性の保護層37と、一対の電極67を有したコンデンサ65と、はんだを具備する。配線パターンに接続するはんだパッド部25d、26f及び中間パッド27には、保護層37が設けられる。保護層37は長孔形状の開口37a、37bを有し、これら開口の四隅部を円弧又は斜めに形成する。コンデンサ65を、はんだパッド部にわたって開口内に配設する。はんだを開口37a、37bの縁で堰き止めてはんだパッド部の表面全体を覆って設け、このはんだで電極をパッド部25d、26f、27にはんだ付けした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回路基板に表面実装部品がはんだ付けされた回路板に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板に対をなして設けられたはんだパッド上に表面実装型のLEDチップを配置し、このチップがはんだパッドにはんだ付けされたLED載置基板が、従来技術として知られている。
【0003】
このLED載置基板を備えた発光装置で、白色発光により照明等をする場合、LEDに接続された実装基板上の配線パターンをAg(銀)製とすることは、発光色と配線パターンで反射される光の色が同系色であるので、配線パターン等で反射される光色が白色光に影響を与え難い点で好ましい。
【0004】
ところで、表面実装型の電気部品はリフロー炉に通してはんだ付けされる。この場合、銅、ニッケル、金を、この記載順に実装基板上に積層してなる一般的な配線パターンと比較して、銀製の配線パターンに対するはんだの濡れ性は劣る。そのため、銀製の配線パターンと一体に形成されるはんだパッドの表面全体にわたってはんだが広がらない状態で、表面実装部品がはんだ付けされる可能性が考えられる。
【0005】
こうした不完全なはんだ付け状態では、表面実装部品のはんだ付けの信頼性が低下してしまう不都合が考えられ、これを改善するためにはんだ量を増やす場合は、はんだ量が過多気味となるに伴い、余剰はんだがボールとなってはんだパッドの周辺に形成される恐れがある。これとともに、前記不完全なはんだ付けにより、銀製のはんだパッドの暴露されている部分が、大気中の硫黄成分と硫化反応し劣化するので、その進行により高抵抗化して電気的な悪影響を及ぼす不都合が考えられる。しかも、前記暴露部分を基点として銀マイクレーションを生じて、短絡に至る不都合も考えられる。これらの不都合は製品の品質を高める上で改善することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−158660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、はんだパッド部での硫化反応及び銀マイクレーションを抑制できるとともに、表面実装部品のはんだ付けの信頼性を向上することが可能な回路板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、回路板は、回路基板と、銀を主成分とする配線パターンと、電気絶縁性の保護層と、表面実装部品と、はんだを具備する。配線パターンを回路基板に設ける。配線パターンははんだパッド部を有する。保護層を配線パターンに被着する。保護層は長孔形状の開口を有し、この開口の四隅部を円弧又は斜めに形成する。対をなして近接されたはんだパッド部を開口の長手方向両端部に夫々配設する。表面実装部品は一対の電極を有していて、この表面実装部品をはんだパッド部にわたって開口内に配設する。はんだを開口の縁で堰き止めてはんだパッド部の表面全体を覆って設け、このはんだで電極をはんだパッド部にはんだ付けしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の回路板によれば、はんだパッド部での硫化反応及び銀マイクレーションを抑制できるとともに、表面実装部品のはんだ付けの信頼性を向上することが可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る回路板を備えた道路灯の灯具周りを示す斜視図である。
【図2】図1の灯具が備える光源装置を示す斜視図である。
【図3】図2の光源装置を示す略正面図である。
【図4】図2の光源装置が備える発光モジュールを示す正面図である。
【図5】図4の発光モジュールを、第1製造工程を経た状態で示す正面図である。
【図6】図4の発光モジュールを、第2製造工程を経た状態で示す正面図である。
【図7】図6中F7部の拡大図である。
【図8】図4の中F8部の拡大図である。
【図9】図8の中F9−F9線に沿う断面図である。
【図10】図3中F10−F10線に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1の回路板は、回路基板と;はんだパッド部を有して前記回路基板に設けられた銀を主成分とする配線パターンと;長孔形状の開口を有して前記配線パターンに被着されるとともに、前記開口の四隅部が円弧又は斜めに形成されていてこの開口の長手方向両端部に前記はんだパッド部が夫々配設された電気絶縁性の保護層と、一対の電極を有して前記開口内で前記はんだパッド部にわたって配設された表面実装部品と;前記開口の縁で堰き止められて前記はんだパッド部の表面全体を覆って設けられ前記電極を前記はんだパッド部にはんだ付けしたはんだと;を具備することを特徴としている。
【0012】
この実施形態1の回路板は、実施例1で説明する発光モジュールに適用を限られることはなく、回路基板に表面実装部品がはんだ付けされた構成を備える回路板であれば、いかなる用途の回路板にも適用可能である。
【0013】
この実施形態1で、回路基板は、エポキシ樹脂等の合成樹脂製、金属板に絶縁層が積層された金属ベース基板、或いは無機材料例えばセラミックス製のいずれであってもよい。このモジュール基板を白色のセラミックス製とする場合、そのセラミックスには、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、フォルステライト、ステアタイト、低温焼結セラミックスから選ばれるいずれか、又はこれらの複合材料を用いることが可能であり、特に、安価で光反射率が高く、加工し易い白色のアルミナを好適に使用できる。この実施形態1で、銀を主成分とする配線パターンは、純銀の配線パターン、及び銀メッキなどで形成された配線パターンも含んでいる。
【0014】
この実施形態1で、保護層は、電気絶縁性を有した材料、例えば無機材料具体的にはSiO2を主成分としたガラスを好適に使用することができる。更に、保護層にはこの層に色を付与する顔料が混ぜられていても、混ぜられていなくてもよい。これとともに、保護層が有した開口が長孔形状とは、楕円形状及び長円形状或いはこれらに近似した形状等を含んでいる。
【0015】
実施形態1では、配線パターンに被着された保護層が有する開口の長手方向の端部によって、各はんだパッド部の形状が規定され、かつ、前記開口の四隅部が円弧又は斜めであることによって、リフロー炉を用いてはんだ付けが行われると、溶けたはんだが、開口の縁で堰き止められつつ開口の隅部に対しても確実に広げられてはんだパッド部の表面全体に覆って設けられる。このようにはんだがはんだパッド部の表面全体を覆うことができるので、表面実装部品のはんだ付けの信頼性を向上することが可能であるとともに、銀を主成分とするはんだパッド部での硫化反応及び銀マイクレーションを抑制することが可能である。
【0016】
実施形態2の回路板は、実施形態1において、前記電極とこれに近接された前記開口の隅部との第1離間距離が、前記電極からこれに近接された前記開口の縁までの前記電極を通る前記表面実装部品の中心線に沿う第2離間距離より短いことを特徴としている。
【0017】
この実施形態2は、実施形態1において、更に、はんだパッド部にはんだ付けされた表面実装部品が有した電極と開口の隅部との間の距離がより短くなるので、はんだが、はんだパッド部の表面全体にわたってより確実に広げられ、このはんだによって電極をはんだパッド部にはんだ付けすることが可能である。
【実施例1】
【0018】
以下、実施例1の回路板を備えた照明器具例えば道路灯について、図1〜図10を参照して詳細に説明する。なお、図10は説明の都合上後述する保護層を省略して描かれている。
【0019】
図1中符号1は道路照明のために設置される道路灯を示している。道路灯1は、支柱2の上端部に灯具3を取付けて形成されている。
【0020】
支柱2は、道路傍に立設され、その上部は道路上に覆い被さるように曲げられている。灯具3は、支柱2に連結された器具本体例えば灯体4と、道路に臨んだ灯体4の下面開口を塞いで灯体4に装着された透光板5と、この透光板5に対向して灯体4に収容された少なくとも一台の光源装置6を備えて形成されている。灯体4は、金属例えば複数個のアルミニウムダイキャスト成形品を組み合わせて形成されている。透光板5は強化ガラスからなる。
【0021】
図2及び図3に示すように光源装置6は、装置ベース11の裏面に複数の放熱フィン14を突設するとともに、装置ベース11の正面に、反射器15と、光源として発光モジュール21を取付けてユニット化された構成である。
【0022】
装置ベース11は、金属例えばアルミニウムダイキャスト製であって、四角形に作られている。装置ベース11はその正面に開放された四角い凹みからなるモジュール設置部12(図3及び図10参照)を有している。モジュール設置部12の底面12aは平坦であり、モジュール設置部12を区画する四つの側面12bは互に直角に連続している。放熱フィン14は装置ベース11に一体に形成されている。
【0023】
反射器15は、第1の反射板15a〜第4の反射板15dをラッパ状に組み合わせて形成されている。第1の反射板15aと第2の反射板15bは、平らな構成の平面ミラーであり、互に平行に設けられている。これら第1の反射板15aと第2の反射板15bに連結された第3の反射板15cと第4の反射板15dは、湾曲した構成のカーブミラーであり、互いの間隔が次第に広くなるように設けられている。
【0024】
光源装置6は、その反射器15の出射開口を透光板5に対向させて灯体4内に固定されている。この固定状態で、装置ベース11の一部例えば周部は灯体4の内面に熱伝導可能に接続されている。この熱的接続は、前記周部を灯体4の内面に直接接触させることにより実現できる他、前記周部を放熱性の高い金属やヒートパイプ等の熱伝導部材を介して灯体4の内面に接続することで実現できる。これにより、光源装置6が発した熱を金属製の灯体4を放熱面として外部に放出できるようになっている。
【0025】
次に、発光モジュール21について説明する。図4等に示すように発光モジュール21は、回路基板をなすモジュール基板22と、正極用の配線パターン25と、負極用の配線パターン26と、アライメントマーク35と、第1の保護層37と、第2の保護層38と、複数のアイデンティティーマーク例えば第1のアイデンティティーマーク41〜第4のアイデンティティーマーク44と、複数の半導体発光素子45と、ボンディングワイヤ47〜52と、枠55と、封止部材例えば封止樹脂57と、表面実装部品例えばコネクタ61及びコンデンサ65等を備えている。実施例1の回路板は、前記回路基板、配線パターン25,26、第1の保護層37、前記面実装部品、及び後述のはんだを備えて構成されている。
【0026】
モジュール基板22は、白色のセラミックス例えば白色の酸化アルミニウムで形成されている。このモジュール基板22は、酸化アルミニウムのみで形成されていても良いが、酸化アルミニウムを主成分としこれに他のセラミックス等が混ぜられていてもよく、その場合、酸化アルミニウムを主成分とするために、その含有率を70%以上とすることが好ましい。
【0027】
白色のモジュール基板22の地肌面の可視光領域に対する平均反射率は80%以上であり、特に、85%以上99%以下であることがより好ましい。したがって、モジュール基板22は、後述する青色LEDが発する特定の発光波長440nm〜460nmの青色光、及び後述する蛍光体が放射する特定の発光波長470nm〜490nmの黄色光に対しても、同様な光反射性能を発揮する。
【0028】
モジュール基板22は図3に示すようにモジュール設置部12より多少小さい略四角形である。図4等に示すようにモジュール基板22の四隅は丸みを帯びている。モジュール基板22の厚みは、図10に示すようにモジュール設置部12の深さより薄い。このモジュール基板22の両面は、互に平行に作られた平坦な面からなり、そのうちの一面は光反射面を兼ねた部品実装面22aとして用いられている。
【0029】
正極用の配線パターン25及び負極用の配線パターン26は部品実装面22aに設けられている。
【0030】
詳しくは、図5等に示すように正極用の配線パターン25は、正極パターン基部25aとワイヤ接続部25bを有して形成されている。ワイヤ接続部25bは真っ直ぐに延びて形成されている。正極パターン基部25aとワイヤ接続部25bは略平行で、かつ、斜めのパターン部を介して一体に連続されている。正極パターン基部25aに、正極用の給電パッド部例えば第1正極パッド部25cと、部品接続用の第2正極パッド部つまりはんだパッド部25dが、一体に突設されている。はんだパッド部25dの先端側の二つの隅部は、この隅部へのはんだの広がりを容易にするために、いずれも図7に示すように丸みを帯びて又は斜めにする等により面取りされていることが好ましい。
【0031】
負極用の配線パターン26は、負極パターン基部26aと、第1のワイヤ接続部26bと、中間パターン部26cと、第2のワイヤ接続部26dを有して形成されている。この配線パターン26は正極用の配線パターン25を囲むように設けられている。
【0032】
即ち、負極パターン基部26aは配線パターン25の正極パターン基部25aに対して所定の絶縁距離A(図5参照)を隔てて隣接して設けられている。この負極パターン基部26aに、第1正極パッド部25cに並べて設けられる負極用の給電パッド部として例えば第1負極パッド部26eが一体に突設されている。第1のワイヤ接続部26bは、負極パターン基部26aに対して略90°折れ曲がるように一体に連続している。この第1のワイヤ接続部26bは、配線パターン25のワイヤ接続部25bとの間に第1素子配設スペースS1を形成してワイヤ接続部25bに対し略平行に設けられている。ここに「略平行」とは、図5に示すように平行である形態、又はワイヤ接続部25bに対して多少傾いた形態、若しくは多少湾曲した形態等も含んでいる。
【0033】
中間パターン部26cは、第1のワイヤ接続部26bに対して略90°折れ曲がるように一体に連続して設けられている。この中間パターン部26cの長手方向中間部に、ワイヤ接続部25bの先端(正極パターン基部25aと反対側の端)が隣接している。
【0034】
第2のワイヤ接続部26dは、中間パターン部26cに対して略90°折れ曲がるように一体に連続して設けられている。それにより、第2のワイヤ接続部26dは、配線パターン25のワイヤ接続部25bとの間に第2素子配設スペースS2を形成してワイヤ接続部25bに対し略平行に設けられている。ここに「略平行」とほ、図5に示すように平行である形態、又はワイヤ接続部25bに対して多少傾いた形態、或いは多少湾曲した形態等も含んでいる。
【0035】
したがって、負極用の配線パターン26は正極用の配線パターン25を三方から囲むように設けられている。負極用の配線パターン26で囲まれた領域の中央部に配設された配線パターン25のワイヤ接続部25bを境に、負極用の配線パターン26の第1のワイヤ接続部26bと第2のワイヤ接続部26dは対称に配設されている。
【0036】
第2のワイヤ接続部26dの先端に一体に連続して部品接続用の第2負極パッド部つまりはんだパッド部26fが、前記はんだパッド部25dに対応して設けられている。はんだパッド部26fは、前記はんだパッド部25dから離間している。このはんだパッド部26fの先端側の二つの隅部は、この隅部へのはんだの広がりを容易にするために、いずれも図7に示すように丸みを帯びて又は斜めにする等により面取りされていることが好ましい。
【0037】
配線パターン25のはんだパッド部25dと配線パターン26のはんだパッド部26fとの間に位置して、部品接続用の中間配線パターンをなす中間パッド27が部品実装面22aに形成されている。中間パッド27は略長方形であり、その長手方向の両端部ははんだパッド部25d又は26fに近接するはんだパッド部として用いられる。中間パッド28の四隅部は、これら隅部へのはんだの広がりを容易にするために、いずれも図7に示すように丸みを帯びて又は斜めにする等により面取りされていることが好ましい。
【0038】
なお、配線パターン25を負極用とするとともに配線パターン26を正極用としてもよく、この場合、前記説明の「正極用」又は「正極」を「負極用」又は「負極」に読み替えるとともに、「負極用」又は「負極」を「正極用」又は「正極」に読み替えればよい。
【0039】
更に、部品実装面22aに、点灯確認試験用の点灯検査用パッド28,29と、温度測定用の温度検査パッド31と、部品固定用の実装パッド33が設けられている。
【0040】
即ち、点灯検査用パッド28は、正極用の配線パターン25の正極パターン基部25aから枝分かれして一体に突出されたパターン部28aを介して設けられている。同様に、点灯検査用パッド29は、負極用の配線パターン26の負極パターン基部26aから枝分かれして一体に突出されたパターン部29aを介して設けられている。
【0041】
温度検査パッド31は、点灯検査用パッド29及び負極用の配線パターン26の近傍に、これらとは電気的な接続関係を有することなく独立して設けられている。この温度検査パッド31に熱電対を接続して発光モジュール21の温度を測定できるようになっている。実装パッド33は一対形成されていて、これらは点灯検査用パッド28,29の間に位置して設けられている。
【0042】
アライメントマーク35は、ワイヤ接続部25b、この両側の第1素子配設スペースS1及び第2素子配設スペースS2、第1素子配設スペースS1に隣接した第1のワイヤ接続部26b、及び第2素子配設スペースS2に隣接した第2のワイヤ接続部26dを間に置いて、その両側に夫々複数設けられている。そのため、アライメントマーク35の一部は、所定間隔で第1のワイヤ接続部26bの長手方向に沿って一列に設けられており、他のアライメントマーク35も、同様に所定間隔で第2のワイヤ接続部26dの長手方向に沿って一列に設けられている。
【0043】
前記配線パターン25,26、中間パッド27、点灯検査用パッド28,29、実装パッド33、及びアライメントマーク35は、いずれも銀を主成分として例えば単層に形成されており、これらは印刷例えばスクリーン印刷で部品実装面22aに印刷して設けられたものである(第1製造工程)。なお、印刷に代えてメッキにより設けることもできる。
【0044】
前記第1の保護層37及び第2の保護層38は、電気絶縁性例えばガラス製でモジュール基板22の地肌色とは異なる色例えば白色との区別が明確な黒色をなしている。そのために、これら保護層の主成分をなすSiO2に黒色の顔料を混ぜた材料が使用されている。これら第1の保護層37及び第2の保護層38は、部品実装面22a上に印刷例えばスクリーン印刷により設けられている(第2製造工程)。
【0045】
この印刷により、第1の保護層37は、図6に示すように配線パターン25のワイヤ接続部25bを除いた部位、及び配線パターン26の第1ワイヤ接続部26bと第2ワイヤ接続部26dを除いた部位に被着して設けられている。
【0046】
具体的には、第1の保護層37は、後述する封止樹脂57で封止されない配線パターン25の封止部材外部分のうちで、この部分に含まれる第1正極パッド部25c及びはんだパッド部25dを除いて正極パターン基部25aに被着されているともに、点灯検査用パッド28を除いてパターン部28aにも被着されている。
【0047】
更に、第1の保護層37は、配線パターン26の後述する封止樹脂57で封止されない封止部材外部分のうちで、この部分に含まれる第1負極パッド部26eを除いて負極パターン基部26aに被着されている。しかも、第1の保護層37は、正極パターン基部25aと負極パターン基部26aとの間に絶縁距離Aを確保した隙間部分にも被着されているとともに、点灯検査用パッド29を除いてパターン部29aにも被着されている。加えて、第1の保護層37は、後述する封止樹脂57で封止されない配線パターン26の封止部材外部分のうちで、この部分に含まれる第2のワイヤ接続部26dのはんだパッド部26f側の端部に、はんだパッド部26fを除いて被着されているとともに、はんだパッド部をなす中間パッド27の両端部を除いてこの中間パッド27にも被着されている。
【0048】
図6等に示すように第1の保護層37は、はんだパッド部25dとこれに近接された中間パッド27の一端部が配設される第1開口37aを有しているとともに、はんだパッド部26fとこれに近接された中間パッド27の他端部が配設される第2開口37bを有している。
【0049】
第1開口37aと第2開口37bはいずれも長孔形状であって、それらの第1隅部C1〜第4隅部C4は図7に示すように円弧をなして形成されている。第1開口37a及び第2開口37bの長手方向と直交する短手方向に隣接する第1隅部C1と第2隅部C2とにわたる縁f1、及び同様に前記短手方向に隣接する第3隅部C3と第4隅部C4とにわたる縁f2は、直線状でかつ互に平行である。これとともに、第1開口37a及び第2開口37bの長手方向に隣接する第1隅部C1と第3隅部C3とにわたる縁f3、及び同様に前記長手方向に隣接する第2隅部C2と第4隅部C4とにわたる縁f4も、直線状でかつ互に平行である。したがって、第1開口37aと第2開口37bはいずれも四隅部C1〜C4が丸められた長孔形状に形成されている。
【0050】
なお、縁f1は第1隅部C1及び第2隅部C2に連続する円弧で形成される縁であってもよく、同様に、縁f2も第3隅部C3及び第4隅部C4に連続する円弧で形成される縁であってもよい。更に、縁f3と4縁f4間の間隔は、例えばはんだパッド部25d、はんだパッド部26f、及び中間パッド27の両端部の幅より広く形成されている。又、第1開口37aと第2開口37bの四隅部はいずれも斜めに形成することも可能である。
【0051】
図6に示すように第2の保護層38は、配線パターン26の後述する封止樹脂57で封止されない封止部材外部分に含まれる中間パターン部26cの略全体に被着されている。この第2の保護層38も、前記封止部材外部分に、この部分の周辺にわたる大きさに制限して、以上のように被着されている。
【0052】
前記第1のアイデンティティーマーク41〜第4のアイデンティティーマーク44は、後述する封止樹脂57の外側でこの周りに配設してモジュール基板22の部品実装面22aに印刷例えばスクリーン印刷で設けられている(第3製造工程)。更に、この印刷により「+」「−」の極性表示等も部品実装面22aに設けられている。第1のアイデンティティーマーク41は製造者を示す社名であり、第2のアイデンティティーマーク42は商品名であり、第3のアイデンティティーマーク43は製品番号であり、第4のアイデンティティーマーク44は発光モジュール21についての情報を示した二次元バーコード(QRコード)である。
【0053】
第1のアイデンティティーマーク41〜第4のアイデンティティーマーク44は、モジュール基板22とは異なる色で印刷されており、例えば、第1の保護層37及び第2の保護層38と同じ印刷材料からなり、したがって、黒色で、モジュール基板22の周部に第1の保護層37及び第2の保護層38と同時に印刷により設けられている。
【0054】
複数の前記半導体発光素子45には、例えばサファイアガラス製の透光性素子基板上に半導体発光層をなす化合物半導体を設けるとともに、この発光層上に一対の素子電極を設けた構成を備える各種の発光素子を使用することが可能であるが、紫外線或いは緑色光を発する半導体発光素子を使用することも可能である。これら半導体発光素子45の夫々には、例えば青色発光をするベアチップ製の青色LEDが用いられている。
【0055】
LEDの発光は、半導体のp−n接合に順方向電流を流すことで実現されるので、LEDは電気エネルギーを直接光に変換する固体素子である。こうした発光原理で発光する半導体発光素子は、通電によりフィラメントを高温に白熱させて、その熱放射により可視光を放射させる白熱電球と比較して、省エネルギー効果を有している。
【0056】
各半導体発光素子45のうちの半数は、前記第1素子配設スペースS1内でモジュール基板22に直に実装されている。この実装は、透明なダイボンド材を用いて素子基板を部品実装面22aに接着することで実現されており、第1素子配設スペースS1に実装された複数の半導体発光素子45は縦横に整列してマトリックス状に配設されている。同様に、残りの半導体発光素子45は、前記第2素子配設スペースS2内でモジュール基板22に直に実装されている。この実装も、透明なダイボンド材を用いて素子基板を部品実装面22aに接着することで実現されており、第2素子配設スペースS2に実装された複数の半導体発光素子45も縦横に整列してマトリックス状に配設されている。
【0057】
第1素子配設スペースS1に配設された複数の半導体発光素子45と、第2素子配設スペースS2に配設された複数の半導体発光素子45は、ワイヤ接続部25bを境に対称に設けられている。
【0058】
配線パターン25のワイヤ接続部25bと配線パターン26の第1のワイヤ接続部26bとが並んだ方向に列をなした半導体発光素子45同士は、ボンディングワイヤ47で直列に接続されている。こうして直列接続された素子列の一端に配置された半導体発光素子45は、ワイヤ接続部25bにボンディングワイヤ48で接続されている。これとともに、前記素子列の他端に配置された半導体発光素子45は、第1のワイヤ接続部26bにボンディングワイヤ49で接続されている。
【0059】
同様に、配線パターン25のワイヤ接続部25bと配線パターン26の第2のワイヤ接続部26dとが並んだ方向に列をなした半導体発光素子45同士は、ボンディングワイヤ50で直列に接続されている。こうして直列接続された素子列の一端に配置された半導体発光素子45は、ワイヤ接続部25bにボンディングワイヤ51で接続されている。これとともに、前記素子列の他端に配置された半導体発光素子45は、第2のワイヤ接続部26dにボンディングワイヤ52で接続されている(第4製造工程)。なお、ボンディングワイヤ47〜52はいずれも金属細線好ましくは金線からなり、ワイヤボンディングにより設けられている。
【0060】
モジュール基板22上に実装された複数の半導体発光素子45を以上のように電気的に接続したことにより、COB(Chip On Board)形の発光モジュール21が構成されている。前記電気的接続により、各素子配設スペースS1、S2に設けられた複数の半導体発光素子45は、例えば7個の半導体発光素子45を直列接続してなる例えば12個の素子列を、電気的には並列接続した配列となっている。
【0061】
直列となっている素子列の延長線上に前記アライメントマーク35が夫々配設されている。そして、前記延長線上に位置された左右(図において)のアライメントマーク35を基準に、これらを通る直線上に半導体発光素子45が実装機により実装されるようになっている。
【0062】
図4に示すように前記枠55は、例えば四角環状をなして、その内側に各ワイヤ接続部25b,26b,26d、複数の半導体発光素子45、及び各ボンディングワイヤ47〜52を収めて部品実装面22a上に装着されている。枠55は白色の合成樹脂でつくることが好ましい。この枠55は第1の保護層37の一部及び第2の保護層38の一部に被着されている。
【0063】
前記封止樹脂57は、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂等の透光性樹脂料を用いることができるが、樹脂に代えて透光性のガラスを封止部材として用いることも可能である。封止樹脂57は、枠55内に充填されて、各ワイヤ接続部25b,26b,26d、複数の半導体発光素子45、及び各ボンディングワイヤ47〜52を埋設した状態でこれらを封止して、モジュール基板22上に設けられている(第5製造工程)。部品実装面22aうちで封止樹脂57により覆われた領域が光反射面として用いられる。封止樹脂57は、蛍光体(図示しない)が混ぜられた透明なシリコーン樹脂等からなり、透光性でかつガス透過性を有している。蛍光体には、半導体発光素子45が発した青色の光によって励起されて黄色の光を放射する黄色の蛍光体が用いられている。なお、半導体発光素子45に紫外線を発するLEDを用いた条件で白色の照明光を得るためには、赤色、青色、及び黄色の各蛍光体を用いればよい。
【0064】
前記青色の光とこれに対して補色の関係にある黄色の光が混じることによって白色の光が形成され、この白色光は封止樹脂57の表面から光の利用方向に出射される。そのため、封止樹脂57の表面、つまり、光出射面によって、発光モジュール21の発光面57aが形成されている。この発光面57aの大きさは枠55によって規定されている。
【0065】
封止樹脂57で覆われた銀製の部分の面積をCとし、発光面57aの面積をDと置いた場合、面積Dに対する面積Cの占有率は、5%以上40%以下に設定されている。配線パターン25,26の封止樹脂57で覆われた部分とは、各ワイヤ接続部25b、26b、26dである。
【0066】
なお、枠55に相当する型部材を設けて、この内部に封止樹脂57を設けた後に、型部材をモジュール基板22上から離脱させることにより、封止樹脂57を設けても良い。
【0067】
図4に示すように部品実装面22aには、表面実装部品からなる1個のコネクタ61及び2個のコンデンサ65が実装されている(第6製造工程)。
【0068】
即ち、コネクタ61は、その一側面から突出された第1の端子ピン61aと第2の端子ピン61bを有した2ピンタイプの構成である。このコネクタ61は、前記実装パッド33にはんだ付けされ、それにより、前記点灯検査用パッド28,29間に配設されている。これとともに、第1の端子ピン61aが第1正極パッド部25cに、第2の端子ピン61bが第1負極パッド部26eに夫々田付けされている。このコネクタ61には図示しない電源装置に接続された直流給電用の絶縁被覆電線が差し込み接続される。それにより、コネクタ61を経由して発光モジュール21への給電が可能となっている。
【0069】
2個のコンデンサ65は、図8及び図9に示すように直方体形状の部品本体66の長手方向両端部に夫々電極67を設けて形成されている。電極67の大きさは、図8に示すように各はんだパッド部25d、26f、及び中間パッド27の両端部の大きさより小さい。
【0070】
2個のコンデンサ65のうちの一方は、第1の保護層37の第1開口37a内で、対をなして近接されているはんだパッド部25d及び中間パッド27の一端部にはんだ付けされて、これらにわたって配設されている。同様に、2個のコンデンサ65のうちの他方は、第1の保護層37の第2開口37b内で、対をなして近接されているはんだパッド部26f及び中間パッド27の他端部(はんだパッド部)にはんだ付けされて、これらにわたって配設されている。
【0071】
対をなしたはんだパッド部に2個のコンデンサ65のうちの一方をはんだ付けしたはんだを図9中符号68で代表して示す。図9に示したはんだ68は、第1の保護層37がはんだレジストとして機能することで第1開口37aの縁で堰き止められて、この第1開口37a内に配設されているはんだパッド部25dの表面全体及び中間パッド27の一端部(はんだパッド部)の表面全体を覆って、これら対をなしたはんだパッド部とコンデンサ65の電極67とをはんだ付けしている。同様に、2個のコンデンサ65のうちの他方をはんだ付けしたはんだは、第1の保護層37がはんだレジストとして機能することで第2開口37bの縁で堰き止められて、この第2開口37b内に配設されているはんだパッド部26fの表面全体及び中間パッド27の他端部(はんだパッド部)の表面全体を覆って、これら対をなしたはんだパッド部とコンデンサ65の電極67とをはんだ付けしている。なお、はんだ68は、はんだパッド部にディスペンサを用いて供給され、或いは印刷により供給されるとともに、リフロー炉によって溶かされることでコンデンサ65をはんだ付して設けられている。
【0072】
更に、はんだ付けされたコンデンサ65の電極67とこれに近接された第1開口37a又は第2開口37bの隅部C1〜C4との第1離間距離E(図8参照)は、電極67からこれに近接された第1開口37aの縁f1,f2又は第2開口37bの縁f1,f2までの電極67を通るコンデンサ65の中心線に沿う第2離間距離G(図8参照)より短くなっている。
【0073】
各半導体発光素子45に直流が供給される通常の点灯状態では、コンデンサ65に電流が流れることはない。しかし、例えばサージ電圧等のノイズが重畳して交流が流れるような事態に至った場合、コンデンサ65に電流が流れて配線パターン25,26が短絡され、各半導体発光素子45に交流が供給されることがないようにでき、それにより、各半導体発光素子45が異常発光することを防止している。なお、異常発光を防止する表面実装部品としてコンデンサに代えてツェナーダイオードを用いることもできる。
【0074】
図10に示すように前記構成の発光モジュール21は、そのモジュール基板22の裏面、つまり、部品実装面22aと反対側の面を、前記モジュール設置部12の底面12aに密接させて装置ベース11に支持されている。それにより、モジュール基板22からモジュール設置部12への放熱ができるように発光モジュール21が装置ベース11に支持されている。このように支持された発光モジュール21が灯体4に取付けられた状態で、発光面57aは、透光板5に対向されている。
【0075】
前記モジュールの支持のために、図3及び図10に示すように装置ベース11に複数例えば2個の金属製の押え板71がねじ止めされている。これら押え板71の先端部はモジュール基板22の周部に対向していて、この先端部にモジュール基板22の周部を押圧する金属製のばね72が取付けられている。これらのばね72のばね力でモジュール基板22の裏面が底面12aに密接された状態が保持されている。
【0076】
前記構成の道路灯1への給電が行われると、発光モジュール21が有した複数の半導体発光素子45が一斉に発光するので、発光面57aから出射された白色の光は、透光板5を直接透過し、若しくは反射器15の内面で反射された上で透光板5を透過して、照明対称の道路を照射する。この照明で、平面ミラーからなる第1の反射板15a及び第2の反射板15bで反射された光は、略広がらずに主に道路の長手方向に照射される。これとともに、カーブミラーからなる第3の反射板15c及び第4の反射板15dで反射された光は、道路の幅方向に対する照射角を制御されて主に道路の幅方向に照射される。
【0077】
こうした照明において発光面57aから光の取出し方向に出射される光は、半導体発光素子45から封止樹脂57を直接透過した光、封止樹脂57内の蛍光体から放射されて封止樹脂57を直接透過した光の他に、半導体発光素子45の素子基板及びダイボンド材を通って部品実装面22aに入射されるとともに、この部品実装面22aで反射されて封止樹脂57を透過した光、及び蛍光体から放射されて封止樹脂57を通って部品実装面22aに入射されるとともに、この部品実装面22aで反射されて再び封止樹脂57を透過した光、及び封止樹脂57で封止された銀を主成分とする配線パターン25,26の一部(つまり、ワイヤ接続部25b、並びに第1ワイヤ接続部26b,第2ワイヤ接続部26d)に入射されるとともに、これらの部分で反射されて再び封止樹脂57を透過した光を含んでいる。
【0078】
このように入射光を光の取出し方向に反射させる封止樹脂57で覆われたモジュール基板22の光反射領域、及びこの領域内に配置された配線パターン25,26の各一部は、封止樹脂57で覆われて封止されている。これとともに、配線パターン25,26の残りの部分、つまり、封止樹脂57で封止されることなくその外側に設けられた封止部材外部分は、この部分に被着された第1の保護層37又は第2の保護層38で封止されている。
【0079】
これにより、銀を主成分とした両配線パターン25,26が大気中の硫黄成分で硫化することが抑制されるため、各半導体発光素子45に給電をする経路を形成した両配線パターン25,26が、劣化し高抵抗化することを抑制可能である。
【0080】
更に、コンデンサ65がはんだ付けされた配線パターン25のはんだパッド部25d、配線パターン26のはんだパッド部26f、及び中間パッド27の端部(はんだパッド部)は、第1の保護層37の第1開口37a又は第2開口37b内に配設されていて、第1の保護層37に被着されていないが、これらのはんだパッド部(中間パッド27の端部を含む。)の硫化による劣化は、以下の理由により抑制できる。
【0081】
即ち、配線パターン25,26に被着された第1の保護層37が有した第1開口37aの長手方向の端部、及び第2開口37bの長手方向の端部によって、配線パターン25,26のはんだパッド部の形状が規定されているこれとともに、第1開口37a及び第2開口37bの四隅部C1〜C2が円弧をなして形成されている。
【0082】
この構成によって、第1開口37a及び第2開口37bの長手方向の端部の縁f1及び隅部C1,C2、並びに縁f2及び隅部C3,C4が直角以下の角度を形成して設けられることがない。しかも、はんだパッド部にはんだ付けされるコンデンサ65が有した電極67の角と第1開口37a及び第2開口37bの隅部C1〜C4との間の第1離間距離Eを短くできる。
【0083】
これにより、リフロー炉を用いてはんだ付けが行われた際に、溶けたはんだ68が、図9に示すように第1開口37a及び第2開口37bの縁f1、f2で堰き止められつつ、これら開口37a,37bの隅部C1〜C4に対しても円滑に広がって、はんだパッド部の表面全体にわたって確実に広げられる。しかも、第1離間距離Eが、電極67からこれに近接された縁f1又は縁f2までの電極67を通るコンデンサ65の中心線に沿う第2離間距離Gより短いので、はんだ68は各はんだパッド部の表面全体にわたってより円滑かつ確実に広げられるようになる。
【0084】
このようにはんだ68がはんだパッド部の表面全体を覆って設けられて、銀を主成分とするはんだパッド部の一部が大気中に暴露した状態とならないので、第1開口37a又は第2開口37b内に配設されたはんだパッド部での硫化反応を防止できる。そのため、この点でも両配線パターン25,26が、劣化し高抵抗化することを抑制可能である。
【0085】
更に、既述のようにはんだパッド部の表面全体にわたってはんだ68が確実に広げられて、コンデンサ65の電極66がはんだパッド部にはんだ付けされるので、コンデンサ65に対するはんだ付けの信頼性を向上することが可能である。その上、はんだパッド部の一部が暴露しないので、銀マイグレーションの発生が抑制され、それに伴い、近接配置されているはんだパッド部同士が銀マイグレーションを原因として短絡しないようにできる。
【0086】
又、実施例1においてコンデンサ65等の表面実装部品は1個でも良い。この場合、中間パッド27を省略するとともに、配線パターン25のはんだパッド部25dと配線パターン26のはんだパッド部26fとが配設される開口を保護層37に設けて、これらはんだパッド部25d、26fにわたるコンデンサ等の表面実装部品をはんだパッド部25d、26fにはんだ付けすればよい。
【0087】
なお、第1の保護層37及び第2の保護層38は、封止樹脂57が封止した領域外に設けられている。そのため、第1の保護層37及び第2の保護層38が前記封止領域に入り込んで、封止樹脂57の面積に対応する大きさのモジュール基板22の光反射面積を小さくすることがない。これとともに、第1の保護層37及び第2の保護層38がモジュール基板22の光反射面をなす地肌色とは異なる黒色であるにも拘らず、これら第1の保護層37及び第2の保護層38での光の吸収によって、モジュール基板22側での光反射性能が低下することがない。
【0088】
又、実施例1の発光モジュール21は、既述のように部品実装面22aを有したモジュール基板22が白色のセラミックス製で、その平均反射率は80%以上であるので、部品実装面22aに入射された光、つまり、半導体発光素子45をなす青色LEDが発した発光波長440nm〜460nmの青色光、及び蛍光体が放射した発光波長470nm〜490nmの黄色光を、道路方向、言い換えれば、光の取出し方向に効率良く反射させることができる。
【0089】
このように光を反射する部品実装面22aを有したモジュール基板22は、白色のセラミックス製であり、その地肌面を部品実装面22aとして利用しているので、このモジュール基板22での反射性能は、発光モジュール21の使用開始からの経過時間に拘らず、一定に維持される。
【0090】
更に、モジュール基板22側での光の反射は、部品実装面22aだけではなく、封止樹脂57で封止された配線パターン25のワイヤ接続部25b、及び配線パターン26の第1のワイヤ接続部26b並びに第2のワイヤ接続部26dでも行われるが、これらワイヤ接続部25b,26b,26dは、道路灯1が設置された時からの経過時間が長くなるほど、黒ずみが進行して、その光反射性能は次第に低下する。
【0091】
しかし、前記構成の発光モジュール21は、既述のように発光面57aの面積に対する銀を主成分としたワイヤ接続部25b,26b,26dの面積占有率が40%以下に規定されている。言い換えれば、部品実装面22aでの反射面積が、発光面57aの面積の60%を超える大きさに確保されている。
【0092】
前記面積占有率の規定により、ワイヤ接続部25b,26b,26dの黒化の進行に伴う光反射性能の低下が発光モジュール21全体の光反射性能に与える影響を、小さく制限できる。したがって、実施例1の発光モジュールによれば、発光モジュール21の光束維持率の低下を緩慢にすることが可能である。言い換えれば、発光面57aで覆われた反射領域での光反射性能の低下が緩慢である。それに伴い光の取出し効率が高く維持されるので、省エネルギー効果を促進することが可能である。
【0093】
そして、このように光束維持率の低下が緩慢であることに伴い、光源としての発光モジュール21が規定寿命例えば光束維持率が70%に達するまでに要する時間が長い道路灯1を提供することが可能である。言い換えれば、封止された銀の部分の発光面57aに対する面積占有率が40%以下であることにより、道路灯(照明器具)1が推奨寿命を超えて使用された場合にも、前記銀の部分の黒化に拘らず、発光モジュール21の光束維持率を70%以上に保持することができる。なお、道路灯1の交換の目安となる推奨寿命としては、光束維持率が70%に達する時期をもって規定されている。
【0094】
なお、封止された銀の部分の発光面57aに対する面積占有率が40%を超えると、前記銀の部分の黒化の進行による発光モジュール21全体の光反射性能に与える影響が大きくなり過ぎ、それに伴い発光モジュール21の光束維持率の低下が早められて、光束維持率が70%に達するまでに要する時間が短くなる。
【0095】
又、封止樹脂57で封止された配線パターン25,26のワイヤ接続部25b,26b,26dの発光面57aに対する面積占有率は5%以上である。それにより、ワイヤ接続部25b,26b,26dの幅を、これらの部分に対するボンディングワイヤ48,49、51,52のワイヤボンディングに支障がないように、ある程度広く形成できる。したがって、製造上の問題を招かないようにできる。
【符号の説明】
【0096】
22…モジュール基板(回路基板)、25…正極用配線パターン、25d…はんだパッド部、26…負極用配線パターン、26f…はんだパッド部、27…中間パッド(はんだパッド部)、37…第1の保護層、37a…第1開口、37b…第2開口、C1〜C…開口の隅部、f1、f2…開口の縁、65…コンデンサ(表面実装部品)、67…電極、68…はんだ、E…第1離間距離、G…第2離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と;
はんだパッド部を有して前記回路基板に設けられた銀を主成分とする配線パターンと;
長孔形状の開口を有して前記配線パターンに被着されるとともに、前記開口の四隅部が円弧又は斜めに形成されていてこの開口の長手方向両端部に前記はんだパッド部が夫々配設された電気絶縁性の保護層と、
一対の電極を有して前記開口内で前記はんだパッド部にわたって配設された表面実装部品と;
前記開口の縁で堰き止められて前記はんだパッド部の表面全体を覆って設けられ前記電極を前記はんだパッド部にはんだ付けしたはんだと;
を具備することを特徴とする回路板。
【請求項2】
前記電極とこれに近接された前記開口の隅部との第1離間距離が、前記電極からこれに近接された前記開口の縁までの前記電極を通る前記表面実装部品の中心線に沿う第2離間距離より短いことを特徴とする請求項1に記載の回路板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−15329(P2012−15329A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150419(P2010−150419)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】