説明

固体撮像素子および製造方法、並びに電子機器

【課題】光電変換効率の向上を図る裏面照射型のCMOSセンサを提供する。
【解決手段】撮像素子11は、半導体基板31に対して光が入射する側に積層される有機光電変換層33を備えており、有機光電変換層33に有機光電変換膜43が配置され、半導体基板31に2つのPD41、42が配置されている。そして、有機光電変換層33では、有機光電変換膜43を挟み込むように1対の透明電極54−1,54−2が設けられており、半導体基板31側の透明電極54−1が、光が入射する側に突出する曲面を有して形成され、有機光電変換膜43が、この透明電極54−1が有する曲面に倣って曲面形状を有するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子および製造方法、並びに電子機器に関し、特に、光電変換効率の向上を図ることができるようにした固体撮像素子および製造方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)などの固体撮像素子は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
例えば、CMOSイメージセンサに入射した入射光は、画素が有するPD(Photodiode:フォトダイオード)において光電変換される。そして、PDで発生した電荷が、転送トランジスタを介してFD(Floating Diffusion:フローティングディフュージョン)に転送され、FDにおいて受光量に応じたレベルの画素信号に変換され、読み出される。
【0004】
一般的に、固体撮像素子では、緑色、赤色、および青色の画素が平面上に配置され、各画素から緑色、赤色、および青色の光が光電変換された画素信号が出力される。各色の配置としては、例えば、2つの緑色の画素に対して、赤色および青色の画素が1画素ずつ配置された、いわゆるベイヤー配列が挙げられる。
【0005】
このような固体撮像素子では、1つの画素からは単一の色の信号しか出力されないため、例えば、緑色の画素における青色および赤色の画素信号を、隣接する青色および赤色の画素から補完するデモザイク処理と呼ばれる信号処理が施される。しかしながら、デモザイク処理を行うことに伴い、偽色と称される画質の劣化が発生することがある。
【0006】
そこで、このような偽色による画質の劣化を回避するために、本願出願人は、光電変換層を縦方向に3層積層し、1つの画素から3色の光が光電変換された画素信号を取得する固体撮像素子を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−29337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されている固体撮像素子では、半導体基板に対して積層される有機光電変換部は、半導体基板の内部に形成される無機光電変換部よりも、光電変換率が低く、有機光電変換部での変換効率を向上させることが求められている。
【0009】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光電変換効率の向上を図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面の固体撮像素子は、半導体基板に対して、光が入射する側に積層される光電変換層と、前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部とを備え、前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される。
【0011】
本開示の一側面の固体撮像素子の製造方法は、半導体基板に対して光が入射する側に積層される光電変換層と、前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部とを有し、前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される固体撮像素子の製造方法であって、前記光電変換層に、光が入射する側に突出する曲面を有する凸形状の第1の電極を形成し、前記第1の電極が有する曲面に倣って前記光電変換部を積層し、前記第1の電極との間で前記光電変換部を挟み込む第2の電極を形成するステップを含む。
【0012】
本開示の一側面の電子機器は、半導体基板に対して光が入射する側に積層される光電変換層と、前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部とを有し、前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される固体撮像素子を備える。
【0013】
本開示の一側面においては、光電変換層に配置される光電変換部が、光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一側面によれば、光電変換効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した撮像素子の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】画素の第1の構成例を示す図である。
【図3】第1の構成例の製造方法における第1の工程を示す図である。
【図4】第1の構成例の製造方法における第2の工程を示す図である。
【図5】第1の構成例の製造方法における第3の工程を示す図である。
【図6】第1の構成例の製造方法における第4の工程を示す図である。
【図7】第1の構成例の製造方法における第5の工程を示す図である。
【図8】画素の第1の構成例の第1の変形例を示す図である。
【図9】画素の第1の構成例の第2の変形例を示す図である。
【図10】画素の第2の構成例を示す図である。
【図11】第2の構成例の製造方法における第11の工程を示す図である。
【図12】第2の構成例の製造方法における第12の工程を示す図である。
【図13】第2の構成例の製造方法における第13の工程を示す図である。
【図14】画素の第3の構成例を示す図である。
【図15】第3の構成例の製造方法における第21の工程を示す図である。
【図16】第3の構成例の製造方法における第22の工程を示す図である。
【図17】第3の構成例の製造方法における第23の工程を示す図である。
【図18】第3の構成例の製造方法における第24の工程を示す図である。
【図19】第3の構成例の製造方法における第25の工程を示す図である。
【図20】第3の構成例の製造方法における第26の工程を示す図である。
【図21】第3の構成例の製造方法における第27の工程を示す図である。
【図22】画素の第4の構成例を示す図である。
【図23】画素の第5の構成例を示す図である。
【図24】電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した撮像素子の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、撮像素子11はCMOS型固体撮像素子であり、画素アレイ部12、垂直駆動部13、カラム処理部14、水平駆動部15、出力部16、および駆動制御部17を備えて構成される。
【0019】
画素アレイ部12は、アレイ状に配置された複数の画素21を有しており、画素21の行数に応じた複数の水平信号線22を介して垂直駆動部13に接続され、画素21の列数に応じた複数の垂直信号線23を介してカラム処理部14に接続されている。即ち、画素アレイ部12が有する複数の画素21は、水平信号線22および垂直信号線23が交差する点にそれぞれ配置されている。
【0020】
垂直駆動部13は、画素アレイ部12が有する複数の画素21の行ごとに、それぞれの画素21を駆動するための駆動信号(転送信号や、選択信号、リセット信号など)を、水平信号線22を介して順次供給する。
【0021】
カラム処理部14は、それぞれの画素12から垂直信号線23を介して出力される画素信号に対してCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理を施すことで画素信号の信号レベルを抽出し、画素21の受光量に応じた画素データを取得する。
【0022】
水平駆動部15は、画素アレイ部12が有する複数の画素21の列ごとに、それぞれの画素21から取得された画素データをカラム処理部14から順番に出力させるための駆動信号を、カラム処理部14に順次供給する。
【0023】
出力部16には、水平駆動部15の駆動信号に従ったタイミングでカラム処理部14から画素データが供給され、出力部16は、例えば、その画素データを増幅して、後段の画像処理回路に出力する。
【0024】
駆動制御部17は、撮像素子11の内部の各ブロックの駆動を制御する。例えば、駆動制御部17は、各ブロックの駆動周期に従ったクロック信号を生成して、それぞれのブロックに供給する。
【0025】
図2は、撮像素子11の構成例を示す断面図であり、図2には、画素21の第1の構成例が示されている。
【0026】
図2に示すように撮像素子11は、半導体基板31に絶縁膜32および有機光電変換層33が積層されて構成されている。撮像素子11は、半導体基板31対して配線層などが積層される表面に対して反対側となる裏面から入射光が照射される、いわゆる裏面照射型のCMOSセンサである。
【0027】
半導体基板31は、N-Epi(n型のエピタキシャル)層31aの裏面側に薄膜のSOI(Silicon on Insulator)層31bが形成されて構成されており、SOI層31bに対して絶縁膜32が積層されている。絶縁膜32は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)により形成された絶縁性を備えた膜であり、半導体基板31と有機光電変換層33との間を絶縁する。
【0028】
画素21は、青色の光を光電変換するPD41、赤色の光を光電変換するPD42、および緑色の光を光電変換する有機光電変換膜43が深さ方向に(光の入射する方向に沿って)積層されて構成されており、1つの画素21により、3色の光を光電変換した画素信号を取得することができる。
【0029】
つまり、画素21には、入射光が照射される裏面側(図2の上方向を向く面側)から順に、有機光電変換膜43に有機光電変換層33が形成され、半導体基板31のSOI層31bにPD41が形成され、半導体基板31のN-Epi層31aにPD42が形成されている。従って、画素21に照射される光のうち、緑色の光が有機光電変換膜43において光電変換され、有機光電変換膜43を透過して半導体基板31に照射される光のうち、青色の光がPD41において光電変換され、赤色の光がPD42において光電変換される。
【0030】
さらに、画素21は、縦型電極44、絶縁膜45、FD46、電極47、FD48、貫通電極49および50、電荷蓄積領域51、電極52、FD53、透明電極54−1および54−2、並びに、保護用絶縁膜55を備えて構成される。
【0031】
縦型電極44は、半導体基板31の表面側からPD41に接するように半導体基板31の厚み方向(縦方向)に沿って形成されている。また、縦型電極44は、電荷を転送する転送トランジスタのゲート電極であり、縦型電極44に所定の電圧を印加することにより、pn接合を有するPD41において光電変換されて蓄積されている電荷が、FD46に転送される。
【0032】
絶縁膜45は、縦型電極44の外周を覆うように形成され、半導体基板31と縦型電極44とを絶縁する。
【0033】
FD46は、縦型電極44に隣接する配置で、半導体基板31の表面に接するように形成されており、PD41から転送トランジスタを介して転送される電荷を一時的に蓄積する。FD46には、図示しない増幅トランジスタのゲート電極が接続されており、FD46に蓄積された電荷のレベルに応じた電圧の画素信号が、増幅トランジスタから出力される。
【0034】
電極47は、PD42に隣接する配置で、半導体基板31の表面に対して絶縁膜(図示せず)を介した位置に形成されている。また、電極47は、電荷を転送する転送トランジスタのゲート電極であり、電極47に所定の電圧を印加することにより、pn接合を有するPD42において光電変換されて蓄積されている電荷が、FD48に転送される。
【0035】
FD48は、電極47を隔ててPD42に隣接する配置で、半導体基板31の表面に接するように形成されており、PD42から転送トランジスタを介して転送される電荷を一時的に蓄積する。
【0036】
貫通電極49は、半導体基板31および絶縁膜32を貫通するように形成されており、貫通電極49の一端は有機光電変換層33の透明電極54−1に接続され、貫通電極49の他端は半導体基板31の表面に開口されている。
【0037】
貫通電極50は、半導体基板31および絶縁膜32を貫通するように形成されており、貫通電極50の一端は有機光電変換層33の透明電極54−2に接続され、貫通電極50の他端は、半導体基板31の表面側に形成される電荷蓄積領域51に接続されている。
【0038】
電荷蓄積領域51は、半導体基板31の表面に接するように形成されており、有機光電変換膜43において発生した電荷が貫通電極50を介して供給され、その電荷を蓄積する。
【0039】
電極52は、電荷蓄積領域51に隣接する配置で、半導体基板31の表面に対して絶縁膜(図示せず)を介した位置に形成されている。また、電極52は、電荷を転送する転送トランジスタのゲート電極であり、電極52に所定の電圧を印加することにより、電荷蓄積領域51に蓄積されている電荷が、FD53に転送される。
【0040】
FD53は、電極52を隔てて電荷蓄積領域51に隣接する配置で、半導体基板31の表面に接するように形成されており、電荷蓄積領域51から転送トランジスタを介して転送される電荷を一時的に蓄積する。
【0041】
透明電極54−1および54−2は、有機光電変換膜43を挟み込むように形成された透明な電極である。透明電極54−1は、有機光電変換膜43の下側に形成される下部電極であり、透明電極54−2は、有機光電変換膜43の上側に形成される上部電極である。
【0042】
透明電極54−1および54−2は、貫通電極49および50を介して、図示しない電源により所定の電位差となるように設定されており、これにより、有機光電変換膜43において発生した電荷が、貫通電極50を介して電荷蓄積領域51に蓄積される。
【0043】
保護用絶縁膜55は、有機光電変換膜43と透明電極54−1および54−2とを保護するための膜(パッシベーション膜)であり、撮像素子11の全面に塗布される。
【0044】
そして、撮像素子11においては、透明電極54−1が、撮像素子11の裏面側に対して、光が入射する側(図2の上側)に突出するような凸形状の曲面(球面または非球面)を有するように形成される。これにより、透明電極54−1の曲面に倣って積層される有機光電変換膜43は、光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成され、同様に、透明電極54−2も曲面形状を有して形成される。
【0045】
従って、撮像素子11では、有機光電変換部が平面的に形成されるような従来の構成よりも、有機光電変換膜43の表面積を広くすることができる。これにより、光を受光する受光面が拡大されるため、従来よりも、有機光電変換膜43における光電変換効率を高めることができる。また、撮像素子11では、有機光電変換膜43と透明電極54−1および54−2との接触面積を従来の構成よりも広くすることができ、これによっても有機光電変換膜43における光電変換効率を高めることができる。
【0046】
さらに、撮像素子11では、このような凸型形状を有することにより、有機光電変換層33が、入射光を集光する凸レンズとしての機能を備えることができる。従って、従来のように、有機光電変換部の上方にオンチップレンズを配置する必要がなく、PD41および42に近い距離での集光が可能となる(低背化)ことから、集光効率向上も同時に達成することができる。
【0047】
次に、図3乃至図7を参照して、画素21を備えた撮像素子11の製造方法について説明する。
【0048】
図3に示すように、第1の工程において、半導体基板31の内部にPD41および42が形成され、半導体基板31の表面側から薄膜処理が行われた後に、FD46,48、および53、並びに電荷蓄積領域51が形成される。さらに、縦型電極44、絶縁膜45、並びに、電極47および52が形成された後、半導体基板31の裏面に対して絶縁膜32が積層されて、貫通電極49および50が形成される。
【0049】
図4に示すように、第2の工程において、絶縁膜32に積層されるように透明電極54−1が形成される。
【0050】
まず、透明電極54−1を構成する透明電極材料が絶縁膜32の全面に成膜される。この透明電極材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫(TO)、酸化亜鉛(ZnO)などが採用される。特に、生産性、高導電性、透明性などの観点より、酸化インジウム錫または酸化インジウム亜鉛を採用することが好ましい。また、透明電極材料は、例えば、ゾルゲル法、スピンコーティング法、スプレー法、ロールコーティング法、イオンビーム蒸着(ion beam deposition)法、電子ビーム蒸着(electron beam deposition)法、レーザアブレイション(laser ablation)法、化学気相蒸着法(CVD)、またはスパッタリング法などを用いて成膜することができる。
【0051】
なお、透明電極材料を大面積で成膜する際の均一性および安全性を確保する観点より、スパッタリング法を用いて形成することが好ましい。例えば、ここでは、スパッタリング法により透明電極材料が成膜され、その屈折率は1.8〜2.0程度である。また、有機光電変換膜43および保護用絶縁膜55が、後の工程で積層され、有機光電変換層33において凸レンズを形成することより、できるだけ、これらの膜の屈折率に大きな隔たりがないことが好ましい。
【0052】
次に、絶縁膜32の全面に成膜された透明電極材料に対して、リソグラフィ技術やドライエッチング技術などを用いたパターニングを行うことにより、上側に凸となる形状の透明電極54−1が形成される。
【0053】
具体的には、画素21ごとに島状となるようなパターンで透明電極材料に積層されるフォトレジストパターンが形成され、このフォトレジストパターンに対して熱処理(リフロー)を施すことにより、フォトレジストパターンにおける島状パターンが略半球状の凸型のパターンに加工される。その後、このような形状のフォトレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、凸形状をした透明電極54−1が形成される(メルト法)。
【0054】
図5に示すように、第3の工程において、有機光電変換膜材料43’、透明電極材料54’−2、およびレジスト61が積層される。
【0055】
有機光電変換膜材料43’は、有機光電変換膜43となる材料で形成された膜であり、例えば、蒸着法により、透明電極54−1および絶縁膜32に対して全面的に形成される。上述したように、撮像素子11は、有機光電変換膜43が緑色の光を光電変換する構成とされ、有機光電変換膜材料43’としては、例えば、ローダーミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等を含む有機光電変換材料を採用することができる。
【0056】
なお、有機光電変換膜43が、赤色の光を光電変換するような構成では、フタロシアニン系色素を含む有機光電変換材料を採用することができる。また、有機光電変換膜43が、青色の光を光電変換するような構成では、クマリン系色素、トリス−8−ヒドリキシキノリンAl(Alq3)、メラシアニン系色素等を含む有機光電変換材料を採用することができる。
【0057】
さらに、例えば、2種以上の有機半導体(p型有機半導体とn型有機半導体)を同一の基板上に同時に蒸着することによって形成される有機半導体の複合膜である有機共蒸着膜を光電変換材料として用いることも可能である。このような有機共蒸着膜は、単層の有機光電変換膜に比べ、高い光電変換効率を得られる材料として有機太陽電池開発において、例えば、非特許文献『M. Hiramoto, H. Fujiwara, and M. Yokoyama, Applied Physics Letters, 58, 1062 (1991)』で報告されている。
【0058】
また、p型有機半導体には、上述した、キナクリドン顔料(DQ)、フタロシアニン顔料とそれらの誘導体(中心に種々の金属をもつMPc、金属をもたないH2Pcや、周りに種々の置換基の付いたもの)、ポルフィリン、メラシアニン等とその誘導体等を採用することができる。一方、n型有機半導体として、ペリレン顔料とその誘導体(窒素原子に付いている置換基の異なる誘導体は多種知られており、例えば、t−BuPh−PTC,PhEt−PTCなどがあり、高い光電変換能を持つIm−PTCもある)、ナフタレン誘導体(ペリレン顔料のペリレン骨格がナフタレンになっているもので、例えばNTCDA)、C60等を採用することができる。
【0059】
なお、有機光電変換膜43において、凸レンズとしての集光効果を得るために、有機光電変換膜材料43’には、透明電極54−1および54−2と屈折率に大きな隔たりを持たない材料(屈折率差0〜0.4程度)を採用することが好ましい。具体的には、有機光電変換膜材料43’として、例えば、キナクリドン(屈折率1.7〜2.0)を採用することが好ましい。
【0060】
透明電極材料54’−2は、透明電極54−2となる材料で形成された膜であり、有機光電変換膜材料43’に対して成膜される。透明電極材料54’−2としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫(TO)、酸化亜鉛(ZnO)などを採用することができる。特に、生産性、高導電性、透明性などの観点より、酸化インジウム錫または酸化インジウム亜鉛を採用することが好ましい。また、透明電極材料54’−2は、例えば、スパッタリング法により成膜することができる。
【0061】
レジスト61は、有機光電変換膜材料43’および透明電極材料54’−2が成膜された後に、有機光電変換膜43および透明電極54−2として残される領域に応じて形成される。
【0062】
図6に示すように、第4の工程において、第3の工程により形成された構造物に対して、例えば、ドライエッチングを施すことにより、レジスト61が形成されていない領域にある有機光電変換膜材料43’および透明電極材料54’−2を除去する。これにより、有機光電変換膜43および透明電極54−2が同時にパターニングされる。
【0063】
図7に示すように、第5の工程において、レジスト61が除去される。なお、このとき、透明電極54−2に接するように、貫通電極50が伸長される。
【0064】
その後、図2に示すように、保護用絶縁膜55が、例えば、CVD法で成膜される。保護用絶縁膜55については、直接触れる空気との間で良好な集光を得るために、空気の屈折率約1.0に対し、0.6以上、すなわち、1.6以上の屈折率が必要である。さらに、保護用絶縁膜55の下方に形成される有機光電変換膜43の屈折率を考慮すると、保護用絶縁膜55としては、有機光電変換膜43を構成する膜の屈折率と同等、もしくは、+0.3以内の屈折率の膜を採用することが好ましい。例えば、保護用絶縁膜55として、屈折率が約2.1であるシリコン窒化膜や、折率が約1.8であるシリコン酸化窒化膜などを採用することが適切である。
【0065】
このように、有機光電変換層33を構成する有機光電変換膜43、透明電極54−1および54−2、並びに保護用絶縁膜55の屈折率に大きな隔たりがないことが好ましく、それらの屈折率の差は、例えば、0.4以内に設定される。
【0066】
さらに、有機光電変換層33において、それぞれ隣接するものの材料として、上側から下側に向かって順に、屈折率の高いものから低いものを選択することが好ましい。その選択例として、例えば、保護用絶縁膜55および透明電極54−2については、保護用絶縁膜55としてSiN(屈折率:約2.1)が選択され、透明電極54−2としてITO(屈折率:1.8〜2.0、成膜>条件(O2含有調整)調整で屈折率:2.0とする)、または、GZO(屈折率:1.9)が選択される。また、透明電極54−2および有機光電変換膜43については、透明電極54−2としてITO(屈折率:2.0)またはGZO(屈折率:1.9)が選択され、有機光電変換膜43としてキナクリドン(屈折率:1.9〜2.0)が選択される。また、有機光電変換膜43および透明電極54−1については、有機光電変換膜43としてキナクリドン(屈折率:1.9〜2.0)が選択され、透明電極54−1としてITO(屈折率:1.8)が選択される。また、透明電極54−1および絶縁膜32については、透明電極54−1としてITO(1.8)が選択され、絶縁膜32としてSiO2(屈折率:1.45)が選択される。
【0067】
以上のような各工程を経て、撮像素子11の製造工程が完了する。なお、上述した製造工程では、ドライエッチング技術により有機光電変換膜43および透明電極54−2を同時にパターニングしているが、例えば、リソグラフィ技術を用いて、有機光電変換膜43および透明電極54−2を同時にパターニングしてもよい。
【0068】
次に、図8には、画素21の第1の構成例の第1の変形例が示されている。
【0069】
図8に示されている画素21’は、絶縁膜32に凸形状部32aが形成されている点で、図2の画素21と異なる構成とされている。つまり、図2の画素21では、絶縁膜32が平面的に形成されていたのに対し、画素21’では、絶縁膜32が凸形状の曲面を有するように形成さる。なお、画素21’は、その他の点で画素21と共通する構成となっており、共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0070】
凸形状部32aは、例えば、絶縁膜32と同様に、二酸化ケイ素(SiO2)により形成されている。つまり、凸形状部32aは、画素21’の中央領域において、絶縁膜32の裏面の一部が裏面側(光が入射する側)に向かって突出するように形成されている。
【0071】
このように、画素21’では、凸形状部32aを絶縁膜32に形成して、凸形状部32aの曲面に倣って透明電極54−1を成膜するような構成が採用されており、このような構成においても、図2の画素21と同様に、光電変換効率を向上させることができる。
【0072】
次に、図9には、画素21の第1の構成例の第2の変形例が示されている。
【0073】
図9に示されている画素21’’は、半導体基板31と絶縁膜32との間に凸形状部材32bが設けられている点で、図8の画素21’と異なる構成とされている。なお、画素21’’は、その他の点で画素21’と共通する構成となっており、共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0074】
凸形状部材32bは、例えば、絶縁膜32と同様に、二酸化ケイ素(SiO2)により形成されており、画素21’’の中央領域において、裏面側に突出した凸形状の曲面となるように、半導体基板31の裏面側に対して設けられる。凸形状部材32bを形成することにより、絶縁膜32を成膜する際に、凸形状部材32bの形状が絶縁膜32に転写されて凸形状部32aが形成される。
【0075】
このように、画素21’’では、凸形状部材32bを半導体基板31に積層するように形成し、凸形状部32aの曲面に倣って透明電極54−1を成膜するような構成が採用されておいる。このような構成においても、図2の画素21と同様に、光電変換効率を向上させることができる。
【0076】
次に、図10には、画素21の第2の構成例が示されている。
【0077】
図10に示されている画素21Aは、青色の光を光電変換する有機光電変換膜71が有機光電変換層33Aに備えられる点で、図2の画素21と異なる構成とされている。つまり、画素21では、半導体基板31に形成されるPD41において青色の光が光電変換されていたのに対し、画素21Aでは、PD41に替えて、有機光電変換膜71が設けられ、有機光電変換膜71において青色の光が光電変換される。なお、以下、適宜、画素21と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0078】
有機光電変換層33Aでは、下側から順に、透明電極54−1、有機光電変換膜71、透明電極54−2、有機光電変換膜43、透明電極54−3、および保護用絶縁膜55が積層されて構成されている。
【0079】
透明電極54−1および54−2が有機光電変換膜71を挟み込むように構成され、透明電極54−1に接続される貫通電極72、および、透明電極54−2に接続される貫通電極49を介して、所定の電位差が設定される。そして、有機光電変換膜71において発生した電荷は、透明電極54−1に接続されている貫通電極72を介して、電荷蓄積領域73に蓄積される。また、電荷蓄積領域73に蓄積されている電荷は、転送トランジスタのゲート電極である電極74を介して、FD46に転送される。
【0080】
また、透明電極54−2および54−3が有機光電変換膜43を挟み込むように構成される。なお、透明電極54−2は、有機光電変換膜43と有機光電変換膜71とで共有されており、例えば、GNDに接続される。有機光電変換膜43において発生した電荷は、透明電極54−3に接続されている貫通電極50を介して、電荷蓄積領域51に蓄積される。
【0081】
このように、画素21Aは、有機光電変換膜43、有機光電変換膜71、およびPD42が積層されて構成されており、1つの画素21Aにおいて、緑色、青色、および赤色の光を光電変換した画素信号を出力することができる。そして、画素21Aでは、画素21と同様に、有機光電変換膜43および71の面積を、平面的な構成よりも広くすることができ、光電変換効率を向上させることができる。
【0082】
次に、図11乃至図13を参照して、画素21Aを備えた撮像素子11の製造方法について説明する。
【0083】
まず、図3乃至図7を参照して説明した第1乃至第5の工程と同様に、半導体基板31Aおよび絶縁膜32Aに対して、透明電極54−1、有機光電変換膜71、および透明電極54−2が積層された構造物が製造される。
【0084】
図11に示すように、第11の工程において、上述の第3の工程と同様に、有機光電変換膜材料43’、透明電極材料54’−3、およびレジスト61が積層される。
【0085】
図12に示すように、第12の工程において、上述の第4の工程と同様に、ドライエッチングを施すことにより、レジスト61が形成されていない領域にある有機光電変換膜材料43’および透明電極材料54’−3を除去する。これにより、有機光電変換膜43および透明電極54−3が同時にパターニングされる。
【0086】
図13に示すように、第13の工程において、上述の第5の工程と同様に、レジスト61が除去される。なお、このとき、透明電極54−3に接するように、貫通電極50が伸長される。
【0087】
その後、図10に示すように、保護用絶縁膜55が、例えば、CVD法で成膜され、画素21Aを備えた撮像素子11の製造工程が完了する。
【0088】
次に、図14には、画素21の第3の構成例が示されている。
【0089】
図14に示されている画素21Bは、青色の光を光電変換する有機光電変換膜71、および、赤色の光を光電変換する有機光電変換膜81が、有機光電変換層33Bに備えられる点で、図2の画素21と異なる構成とされている。つまり、画素21では、半導体基板31に形成されるPD41および42において青色および赤色の光が光電変換されていたのに対し、画素21Bでは、PD41および42に替えて、有機光電変換膜71および81が設けられる。そして、画素21Bでは、有機光電変換膜71において青色の光が光電変換され、有機光電変換膜81において赤色の光が光電変換される。なお、以下、適宜、画素21と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0090】
有機光電変換層33Bでは、下側から順に、透明電極54−1、有機光電変換膜71、透明電極54−2、有機光電変換膜43、透明電極54−3、層間絶縁膜82、透明電極54−4、有機光電変換膜81、透明電極54−5、および保護用絶縁膜55が積層されて構成されている。
【0091】
透明電極54−1および54−2が有機光電変換膜71を挟み込むように構成され、透明電極54−1に接続される貫通電極72、および、透明電極54−2に接続される貫通電極49を介して、所定の電位差が設定される。そして、有機光電変換膜71において発生した電荷は、透明電極54−1に接続されている貫通電極72を介して、電荷蓄積領域73に蓄積される。また、電荷蓄積領域73に蓄積されている電荷は、転送トランジスタのゲート電極である電極74を介して、FD46に転送される。
【0092】
また、透明電極54−2および54−3が有機光電変換膜43を挟み込むように構成される。なお、透明電極54−2は、有機光電変換膜43と有機光電変換膜71とで共有されており、例えば、GNDに接続される。有機光電変換膜43において発生した電荷は、透明電極54−3に接続されている貫通電極50を介して、電荷蓄積領域51に蓄積される。
【0093】
透明電極54−4および54−5が有機光電変換膜81を挟み込むように構成され、透明電極54−4に接続される貫通電極83、および、透明電極54−5に接続される貫通電極84を介して、所定の電位差が設定される。そして、有機光電変換膜81において発生した電荷は、透明電極54−5に接続されている貫通電極84を介して、電荷蓄積領域85に蓄積される。また、電荷蓄積領域85に蓄積されている電荷は、転送トランジスタのゲート電極である電極74を介して、FD46に転送される。
【0094】
このように、画素21Bは、有機光電変換膜81、有機光電変換膜43、および有機光電変換膜71が積層されて構成されており、1つの画素21Bにおいて、緑色、青色、および赤色の光を光電変換した画素信号を出力することができる。また、画素21Bでは、画素21と同様に、有機光電変換膜43,71、および81の面積を、平面的な構成よりも広くすることができ、光電変換効率を向上させることができる。
【0095】
次に、図15乃至図21を参照して、画素21Bを備えた撮像素子11の製造方法について説明する。
【0096】
まず、図3乃至図7を参照して説明した第1乃至第5の工程、および、図11乃至図13を参照して説明した第11乃至第13の工程と同様に、半導体基板31Bおよび絶縁膜32Bに対して、透明電極54−1、有機光電変換膜71、透明電極54−2、有機光電変換膜43、および透明電極54−3が積層された構造物が製造される。
【0097】
図15に示すように、第21の工程において、層間絶縁膜82の材料となる層間絶縁膜材料82’が成膜される。
【0098】
図16に示すように、第22の工程において、層間絶縁膜材料82’に対して、透明電極54−4の材料となる透明電極材料54’−4が成膜される。
【0099】
図17に示すように、第23の工程において、層間絶縁膜82および透明電極54−4として残される領域に応じて、レジスト61が形成される。
【0100】
図18に示すように、第24の工程において、ドライエッチングを施すことにより、レジスト61が形成されていない領域にある層間絶縁膜材料82’および透明電極材料54’−4を除去する。これにより、層間絶縁膜82および透明電極54−4が同時にパターニングされる。
【0101】
図19に示すように、第25の工程において、レジスト61が除去される。なお、このとき、透明電極54−4に接するように、貫通電極83が伸長される。
【0102】
図20に示すように、第26の工程において、上述の第3の工程と同様に、有機光電変換膜材料81’、透明電極材料54’−5、およびレジスト61が積層される。
【0103】
図21に示すように、第27の工程において、ドライエッチングを施すことにより、レジスト61が形成されていない領域にある有機光電変換膜材料81’、および透明電極材料54’−5を除去する。これにより、有機光電変換膜81および透明電極54−5が同時にパターニングされ、その後、レジスト61が除去される。
【0104】
その後、図14に示すように、保護用絶縁膜55が、例えば、CVD法で成膜され、画素21Bを備えた撮像素子11の製造工程が完了する。
【0105】
次に、図22には、画素21の第4の構成例が示されている。
【0106】
図22に示されている画素21Cは、絶縁膜32に遮光膜91が形成されている点で、図2の画素21と異なる構成とされており、その他の点で、図2の画素21と共通する構成とされている。なお、以下、適宜、画素21と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0107】
遮光膜91は、半導体基板31の内部に形成されているPD41および42に対して、斜め方向に入射する光の漏れ込みを抑制する。また、遮光膜91を利用して、瞳補正を容易に行うことができる。
【0108】
ここで、従来の固体撮像素子では、例えば、上述の特許文献1に開示されている固体撮像素子では、有機光電変換膜よりも上側にオンチップレンズが配置されているため、オンチップレンズおよび有機光電変換膜の間、並びに、有機光電変換膜およびPDの間の2箇所(2つの層)に遮光膜を配置して、それぞれの遮光膜において瞳補正を行う必用があった。
【0109】
これに対し、画素21Cでは、有機光電変換層33そのものがオンチップレンズとしての機能を備えるため、瞳補正の対象となるのは、半導体基板31の内部に形成されているPD41および42のみとなる。そのため、有機光電変換膜43およびPD41の間に遮光膜91を設けるだけでよく、1つの遮光膜91のみにおいて瞳補正を行えばよい。従って、2箇所で瞳補正を行う場合に比較して、容易に瞳補正を行うことができる。
【0110】
特に、有機光電変換部と無機光電変換部(PD)とを有する構成では、縦方向に3色の光電変換部が設けられるため、3色の光電変換部が平面的に配列(例えば、ベイヤー配列)された構成に比較して、いずれの光電変換部に対してもケラレを抑制するように瞳補正を行うことは容易ではないと想定される。また、瞳補正のためのシュリンク率も高くなると想定される。
【0111】
従って、撮像素子11の構造によって、瞳補正の対象が2画素になることは、比較的容易に瞳補正を行うことができ、感度の高い素子を形成することができる。さらに、シュリンク率を低くすることができるため、素子を微細化するという観点からも、より好適である。
【0112】
次に、図23には、画素21の第5の構成例が示されている。
【0113】
図23に示されている画素21Dは、有機光電変換膜43と透明電極54−1との間に薄膜バッファー膜92が挿入されている点で、図2の画素21と異なる構成とされており、その他の点で、図2の画素21と共通する構成とされている。なお、以下、適宜、画素21と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0114】
薄膜バッファー膜92は、厚さ数nm程度の薄膜であり、薄膜バッファー膜92を挿入することにより、有機光電変換膜43の電気的特性(暗電流抑制、光電流向上など)の向上を図ることができる。薄膜バッファー膜92としては、例えば、有機系膜としてBathocuproine(BCP)(屈折率:1.7程度)を採用することができる。また、無機系膜として、タンタルオキサイド(Ta2O5)(屈折率:2.0〜2.2)や、ハフニウムオキサイド(HfO2)(屈折率1.9〜2.2)、チタンオキサイド(TiO2)(屈折率:2.2〜2.5)等の屈折率が1.6以上2.2以下の材料を採用することができる。
【0115】
なお、図23に示すように、有機光電変換膜43と透明電極54−1との間に薄膜バッファー膜92を挿入する他、有機光電変換膜43と透明電極54−2との間に薄膜バッファー膜(図示せず)を挿入してもよい。また、有機光電変換膜43と透明電極54−1との間に薄膜バッファー膜92を挿入するのとともに、有機光電変換膜43と透明電極54−2との間に薄膜バッファー膜(図示せず)を挿入してもよい。
【0116】
また、上述したような構成の撮像素子11は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0117】
図24は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0118】
図24に示すように、撮像装置101は、光学系102、撮像素子103、信号処理回路104、モニタ105、およびメモリ106を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0119】
光学系102は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を撮像素子103に導き、撮像素子103の受光面(センサ部)に結像させる。
【0120】
撮像素子103としては、上述したような各構成例の撮像素子11が適用される。撮像素子103には、光学系102を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、撮像素子103に蓄積された電子に応じた信号が信号処理回路104に供給される。
【0121】
信号処理回路104は、撮像素子103から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路104が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ105に供給されて表示されたり、メモリ106に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0122】
このように構成されている撮像装置101では、撮像素子103として、上述したような各構成例の撮像素子11を適用することにより、少ない光でも光電変換することができ、ノイズの少ない、より良好な画像を得ることができる。
【0123】
また、本技術における撮像素子11は、裏面照射型のCMOS型固体撮像素子の他、表面照射型のCMOS型固体撮像素子やCCD型固体撮像素子などに採用することができる。
【0124】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体基板に対して、光が入射する側に積層される光電変換層と、
前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部と
を備え、
前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される
固体撮像素子。
(2)
複数の前記光電変換部は、それぞれ所定の色の光を光電変換し、
複数の前記光電変換部のうちの、前記光電変換膜に配置される前記光電変換部において光電変換される光の色以外の色の光を光電変換する前記光電変換部が、前記半導体基板の内部に配置される
上記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記光電変換膜に配置される前記光電変換部は、有機光電変換材料が用いられる有機光電変換部であり、
前記半導体基板の内部に配置される前記光電変換部は、pn接合を有する無機光電変換部である
上記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記光電変換膜に配置される前記光電変換部には、2種類以上の有機半導体を同時に蒸着することにより形成される複合膜である有機共蒸着膜が用いられる
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)
前記光電変換層と前記半導体基板との間に、前記半導体基板の内部に配置される光電変換部に対して斜め方向から入射する前記光を遮光する遮光膜が配置される
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)
前記光電変換層は、前記光電変換層に配置される前記光電変換部を挟み込む一対の電極を少なくとも有しており、
前記光電変換部を前記半導体基板側から挟み込む前記電極が、前記光が入射する側に突出する曲面を有する凸形状に形成されており、前記電極の曲面に倣って前記光電変換部が積層される
上記(1)から(5)までのいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
前記光電変換部を前記光が入射する側から挟み込む前記電極に積層される保護用絶縁膜をさらに備え、
前記光電変換層に配置される前記光電変換部、前記電極、および前記保護用絶縁膜それぞれの間の屈折率の差が所定の値以下に設定されている
上記(6)に記載の固体撮像素子。
(8)
前記半導体基板と前記光電変換層との間に積層される絶縁膜をさらに備え、
前記絶縁膜の前記光電変換膜側の面に、前記光が入射する側に突出する凸形状部が形成されている
上記(1)から(7)までのいずれかに記載の固体撮像素子。
(9)
前記絶縁膜と前記半導体基板との間に、前記光が入射する側に突出する凸形状部材が設けられている
上記(8)に記載の固体撮像素子。
【0125】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
11 撮像素子, 12 画素アレイ部, 13 垂直駆動部, 14 カラム処理部, 15 水平駆動部, 16 出力部, 17 駆動制御部, 21 画素, 22 水平信号線, 23 垂直信号線, 31 半導体基板, 32 絶縁膜, 32a 凸形状部, 32b 凸形状部材, 33 有機光電変換層, 41および42 PD, 43 有機光電変換膜, 44 縦型電極, 45 絶縁膜, 46 FD, 47 電極, 48 FD, 49および50 貫通電極, 51 電荷蓄積領域, 52 電極, 53 FD, 54−1および54−2 透明電極, 55 保護用絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に対して、光が入射する側に積層される光電変換層と、
前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部と
を備え、
前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される
固体撮像素子。
【請求項2】
複数の前記光電変換部は、それぞれ所定の色の光を光電変換し、
複数の前記光電変換部のうちの、前記光電変換膜に配置される前記光電変換部において光電変換される光の色以外の色の光を光電変換する前記光電変換部が、前記半導体基板の内部に配置される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記光電変換膜に配置される前記光電変換部は、有機光電変換材料が用いられる有機光電変換部であり、
前記半導体基板の内部に配置される前記光電変換部は、pn接合を有する無機光電変換部である
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記光電変換膜に配置される前記光電変換部には、2種類以上の有機半導体を同時に蒸着することにより形成される複合膜である有機共蒸着膜が用いられる
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記光電変換層と前記半導体基板との間に、前記半導体基板の内部に配置される光電変換部に対して斜め方向から入射する前記光を遮光する遮光膜が配置される
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記光電変換層は、前記光電変換層に配置される前記光電変換部を挟み込む一対の電極を少なくとも有しており、
前記光電変換部を前記半導体基板側から挟み込む前記電極が、前記光が入射する側に突出する曲面を有する凸形状に形成されており、前記電極の曲面に倣って前記光電変換部が積層される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記光電変換部を前記光が入射する側から挟み込む前記電極に積層される保護用絶縁膜をさらに備え、
前記光電変換層に配置される前記光電変換部、前記電極、および前記保護用絶縁膜それぞれの間の屈折率の差が所定の値以下に設定されている
請求項6に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記半導体基板と前記光電変換層との間に積層される絶縁膜をさらに備え、
前記絶縁膜の前記光電変換膜側の面に、前記光が入射する側に突出する凸形状部が形成されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記絶縁膜と前記半導体基板との間に、前記光が入射する側に突出する凸形状部材が設けられている
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
半導体基板に対して光が入射する側に積層される光電変換層と、前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部とを有し、前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される固体撮像素子の製造方法において、
前記光電変換層に、光が入射する側に突出する曲面を有する凸形状の第1の電極を形成し、
前記第1の電極が有する曲面に倣って前記光電変換部を積層し、
前記第1の電極との間で前記光電変換部を挟み込む第2の電極を形成する
ステップを含む製造方法。
【請求項11】
半導体基板に対して光が入射する側に積層される光電変換層と、
前記光が入射する方向に沿って積層される複数の光電変換部と
を有し、
前記光電変換層に配置される1以上の前記光電変換部が、前記光が入射する側に突出する曲面形状を有して形成される
固体撮像素子を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−55252(P2013−55252A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193110(P2011−193110)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】