説明

固体撮像装置

【課題】低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】画素部100は、入射した光の大きさに応じた画素信号を出力する画素101と、補正用基準電圧に応じた補正用画素信号を出力する補正用画素102とを有する。AD変換回路105は、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、画素信号または補正用画素信号のレベルに対応する数の遅延素子をパルス信号が通過すると、パルス信号が通過した遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力する。制御部111は、1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の画素信号のAD変換に対応して1行の補正用画素信号のAD変換を行うように垂直走査部103およびAD変換部105を制御する。ノイズ除去部109は、補正用画素信号のAD変換結果を用いて画素信号のAD変換結果からノイズを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素から出力されるアナログの電圧信号を二進数のデジタルデータに変換するアナログ・デジタル(以下では、「AD」と記載する)変換を行う固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなど、固体撮像装置(以下では、「イメージセンサ」と記載する)を用いて撮像した画像をデジタルデータとして取得し、そのデジタルデータを保存、編集できる撮像装置が広く普及している。このような撮像装置に用いるイメージセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサが最も一般的で広く使用されていたが、近年では、イメージセンサの一層の小型化や低消費力化の要望があり、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサが注目され、普及してきた。また、撮像装置の小型化や低消費電力化に伴い、イメージセンサに使用されるAD変換回路についても、より小型で消費電力が小さいAD変換回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図15は、従来例に係るAD変換回路の構成を示している。図15に示すAD変換回路は、パルス信号PA,PBの位相差を符号化するパルス位相差符号化回路2と、パルス信号PA,PBを発生する制御回路4とを備える。パルス位相差符号化回路2は、パルス周回回路10(遅延回路)、カウンタ12、ラッチ回路14、パルスセレクタ16、エンコーダ18、および信号処理回路19を備える。
【0004】
パルス周回回路10は、一方の入力端にパルス信号PAを受けて動作する反転回路(遅延素子:1個の否定論理積回路NANDと多数(偶数個)のインバータINV)をリング(円環)状に接続して構成されており、入力信号としてのアナログ信号Vinが各反転回路の電源電圧として印加される。カウンタ12は、パルス周回回路10内の最終段のインバータINV(否定論理積回路NANDの前段に設けられたインバータINV)の出力信号の論理状態の遷移に基づいて、パルス周回回路10内でのパルス信号の周回回数をカウントして二進数のデジタルデータを発生する。
【0005】
ラッチ回路14は、カウンタ12から出力されるデジタルデータをラッチする。パルスセレクタ16は、パルス周回回路10を構成する各反転回路の出力信号を取り込み、各反転回路の出力信号の論理状態に基づいて、パルス周回回路10内を周回しているパルス信号の位置を示す信号を出力する。エンコーダ18は、パルスセレクタ16からの出力信号をエンコードし、パルス信号の周回位置に基づいたデジタルデータを生成する。
【0006】
信号処理回路19は、ラッチ回路14から出力されるデジタルデータを上位ビット、エンコーダ18から出力されるデジタルデータを下位ビットとし、下位ビットのデータから上位ビットのデータを減じることにより、パルス信号PA,PBの位相差を表す二進数のデジタルデータDO1を生成する。信号処理回路19によって生成されたデジタルデータDO1は、データ出力ライン20を介して外部に出力される。
【0007】
このAD変換回路は、各反転回路がパルス信号に与える遅延時間が電源電圧によって変化することを利用し、AD変換を行う期間(以下、「サンプリング期間」と記載する)内にパルス信号がパルス周回回路10内を周回する数をカウントする。さらに、AD変換回路は、カウントしたカウント値を上位ビットとして用い、パルス周回回路10内の各反転回路の出力信号の論理状態をエンコーダした値を下位ビットとして用い、この上位ビットと下位ビットの出力値を合成する。各反転回路がパルス信号に与える遅延時間が電源電圧によって変化するため、所定期間内にパルス信号が通過する反転回路の数は、画素信号のレベルに対応する数となり、その数に応じたデジタルデータが生成される。
【0008】
また、上記のAD変換回路を各列に対応して設け、画素から出力される信号をAD変換するCMOS型イメージセンサ(カラムADC方式CMOS型イメージセンサ)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなカラムADC方式CMOS型イメージセンサでは、列毎のAD変換回路のゲインやオフセット成分のばらつきを補正するため、一般的に、基準となる信号のAD変換結果を用いて列毎のゲインやオフセット成分のばらつきを補正することが必要である。
【0009】
しかし、上記のAD変換回路を備えたカラムADC方式CMOS型イメージセンサでは、発振回路であるパルス周回回路が画素ピッチ毎に隣接して設けられていることにより隣接する列間で電磁波ノイズの干渉やパルス周回回路自身の位相ノイズが発生する。パルス周回回路内をパルスが周回することで反転回路の出力の状態がH(High)とL(Low)の間で切り替わることにより反転回路の電源電圧やGND電圧に揺らぎが生じ、その揺らぎによって反転回路におけるパルスの遅延時間が揺らぎ、AD変換結果に対してノイズが重畳する。このノイズがパルス周回回路自身の位相ノイズである。上記のようなノイズが低周波ノイズとしてAD変換結果に重畳するため、列毎のオフセット成分のばらつきを補正することができず、画像上ではオフセット成分を補正できなかった列に対応して縦すじが発生してしまう。
【0010】
特許文献3には、上記のAD変換回路に重畳する低周波ノイズを除去する方法が記載されている。特許文献3では、アナログ信号のAD変換結果と、低周波ノイズ除去に用いる基準電圧のAD変換結果との比を算出することで低周波ノイズを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3064644号公報
【特許文献2】特開2010-283580号公報
【特許文献3】特許第03292182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、低周波ノイズを除去する上記の方法ではイメージセンサへの適用について検討されておらず、基準電圧を1回AD変換し、この基準電圧のAD変換結果を用いて1行分の画素信号の低周波ノイズを除去すると、1画面(1フレーム)分の基準電圧および画素信号のAD変換回数の合計はイメージセンサの行数の2倍になるため、消費電力が大きい。
【0013】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、入射される光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素と、補正用基準電圧に応じた補正用画素信号を出力する複数の補正用画素とを有し、前記複数の画素と前記複数の補正用画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力する画素部と、前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素または前記補正用画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力させる垂直走査部と、前記複数の補正用画素に前記補正用基準電圧を出力する基準電圧生成部と、前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または前記補正用画素信号のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用画素信号のAD変換を行うように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御する制御部と、前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、を備えることを特徴とする固体撮像装置である。
【0015】
また、本発明は、入射される光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素を有し、前記複数の画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号を出力する画素部と、前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号を出力させる垂直走査部と、前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または補正用基準電圧のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部との接続状態を、前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部とが接続された第1の状態と、前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部とが切断された第2の状態との間で切り替え可能であって、前記第1の状態では前記画素信号を前記AD変換部に出力し、前記第2の状態では前記補正用基準電圧を前記AD変換部に出力する選択電圧出力部と、1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行うように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御する制御部と、前記補正用基準電圧のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、を備えることを特徴とする固体撮像装置である。
【0016】
また、本発明は、入射される光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素と、補正用画素信号を出力する遮光された複数の遮光画素とを有し、前記複数の画素および前記複数の遮光画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力する画素部と、前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素または前記遮光画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力させる垂直走査部と、前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または前記補正用画素信号のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用画素信号のAD変換を行うように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御する制御部と、前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、を備えることを特徴とする固体撮像装置である。
【0017】
また、本発明の固体撮像装置において、前記ノイズ除去部は、1行の前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて、当該1行の前記補正用画素信号のAD変換を行う直前にAD変換を行ったr行(rは自然数)の前記画素信号および当該1行の前記補正用画素信号のAD変換を行った直後にAD変換を行ったs行(sは自然数、r+s=m)の前記画素信号のノイズを除去することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の固体撮像装置において、前記ノイズ除去部は、1行の前記補正用基準電圧のAD変換結果を用いて、当該1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行う直前にAD変換を行ったr行(rは自然数)の前記画素信号および当該1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行った直後にAD変換を行ったs行(sは自然数、r+s=m)の前記画素信号のノイズを除去することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の固体撮像装置において、前記制御部は、前記AD変換部のAD変換期間の長さがpであるときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部のAD変換期間の長さがqであるときはm=i(iは2以上の自然数)となるように、前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、前記pが前記qよりも大であるとき前記iは前記jよりも大であり、前記pが前記qよりも小であるとき前記iは前記jよりも小であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の固体撮像装置において、前記制御部は、前記AD変換部のAD変換期間の長さがpであるときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部のAD変換期間の長さがqであるときはm=i(iは2以上の自然数)となるように、前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、前記pが前記qよりも大であるとき前記iは前記jよりも大であり、前記pが前記qよりも小であるとき前記iは前記jよりも小であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の固体撮像装置において、前記複数の画素信号出力線は、第1の画素信号出力線と第2の画素信号出力線を有し、前記第1の画素信号出力線に接続された前記AD変換部ではm=k(kは2以上の自然数)であり、前記第2の画素信号出力線に接続された前記AD変換部ではm=l(lは2以上の自然数)であり、前記kと前記lは異なることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の固体撮像装置は、前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を前記制御部に出力する比較部をさらに備え、前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より大きいときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より小さいときはm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、前記iは前記jよりも大であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の固体撮像装置は、前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を前記制御部に出力する比較部をさらに備え、前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より大きいときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より小さいときはm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、前記iは前記jよりも大であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の固体撮像装置は、前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を制御部に出力する比較部をさらに備え、前記制御部は、所定の列の前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも大きいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも小さいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、前記iは前記jよりも大であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の固体撮像装置は、前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を制御部に出力する比較部をさらに備え、前記制御部は、所定の列の前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも大きいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも小さいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、前記iは前記jよりも大であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の固体撮像装置は、動作モードに応じた信号を前記制御部に出力する動作モード設定部をさらに備え、前記制御部は、前記動作モード設定部から出力される信号に基づいて前記mを変化させるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の固体撮像装置は、動作モードに応じた信号を前記制御部に出力する動作モード設定部をさらに備え、前記制御部は、前記動作モード設定部から出力される信号に基づいて前記mを変化させるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の画素信号のAD変換に対応して1行の補正用画素信号のAD変換を行うことによって、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が備えるノイズ除去部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置が備えるノイズ除去部の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置が備えるノイズ除去部の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図15】従来例に係るAD変換回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明に係る各実施形態においては、説明を簡略にするため、固体撮像装置の詳細な構成および動作についてのみ説明する。AD変換回路の詳細な構成および動作や固体撮像装置の撮影動作については従来のAD変換回路や固体撮像装置と同様であるので説明を省略する。
【0031】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る固体撮像装置1000の構成を示している。以下では、図中の各構成について説明する。固体撮像装置1000は、画素部100、垂直走査部103、アナログ信号処理部104、AD変換回路105、メモリ部106、出力部107、水平走査部108、ノイズ除去部109、基準電圧生成部110、および制御部111を備える。
【0032】
画素部100は、行列状に配列された複数の画素101と複数の補正用画素102を有する。本実施形態では、画素101は横7列、縦6行に配列されているものとして説明する。これは以下の各実施形態においても同様である。また、本実施形態では、1行分の補正用画素102が配置されている。
【0033】
画素101は、入射した光の大きさに基づく画素信号を生成する。補正用画素102には、基準電圧生成部110から基準電圧Vref(補正用基準電圧)が入力される。補正用画素102は、入射した光の大きさにかかわらず、基準電圧生成部110からの基準電圧Vrefに基づく信号(補正用画素信号)を出力する。それぞれの画素101および補正用画素102は、画素配列を構成する列(以下、画素列と記載する)毎に配置された画素信号出力線120に接続されている。それぞれの画素101で生成された画素信号および補正用画素102の信号は、対応する画素信号出力線120に出力される。
【0034】
垂直走査部103は、画素部100へ各種制御信号を出力することによって画素101の露光動作や信号読み出し動作、補正用画素102の信号読み出し動作等を制御する。画素101および補正用画素102の制御は行単位で行われる。つまり、画素101または補正用画素102の信号を読み出す場合、垂直走査部103は、信号を読み出す行を選択し、選択した行の画素101または補正用画素102に対して制御信号を出力し、選択した行の画素101または補正用画素102から画素信号出力線120に信号を出力させる。
【0035】
アナログ信号処理部104は、画素部100から出力されるアナログ信号にサンプル&ホールド(S/H)等の処理を行う。AD変換回路105は、アナログ信号処理部104によって処理されたアナログ信号をAD変換し、デジタルデータを生成する。AD変換回路105として、例えば複数の反転回路(遅延素子)がリング(円環)状に接続され、入力信号としてのアナログ信号が各反転回路の電源電圧として印加され、各反転回路をパルス信号が通過するように構成された遅延回路を有するAD変換回路を用いることができる。各反転回路がパルス信号に与える遅延時間が電源電圧によって変化するため、所定期間内にパルス信号が通過する反転回路の数は、画素101の画素信号または補正用画素102の信号のレベルに対応する数となり、その数に応じたデジタルデータが生成される。メモリ部106は、AD変換結果であるデジタルデータを保持する。出力部107は、メモリ部106に保持されたデジタルデータを後段のノイズ除去部109に出力する。
【0036】
水平走査部108は、メモリ部106からのデジタルデータの読み出しを制御する。ノイズ除去部109は、補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて、画素信号のAD変換結果から低周波ノイズを除去した信号を生成する。基準電圧生成部110は基準電圧Vrefを生成し、補正用画素102に出力する。制御部111は、垂直走査部103およびAD変換回路105に制御信号φPV,φPAを出力し、垂直走査部103およびAD変換回路105の動作を制御する。
【0037】
また、垂直走査部103は、制御部111により制御され、制御部111からの制御信号φPVに対応した動作を行う。垂直走査部103は、制御信号φPVに基づいて制御信号φVCO,φV1〜φV6を生成する。制御信号φVCOは補正用画素102に出力され、制御信号φV1〜φV6は画素101の1行目〜6行目に出力される。制御信号φVCOがH(High)となっている間には補正用画素102が選択され、制御信号φV1〜φV6がH(High)となっている間には制御信号φV1〜φV6に対応する行の画素101が選択される。
【0038】
本実施形態の固体撮像装置1000は、画素列毎にアナログ信号処理部104、AD変換回路105、メモリ部106を備える。各画素列において画素部100からのアナログ信号はアナログ信号処理部104に出力される。アナログ信号処理部104は、アナログ信号を処理し、処理後のアナログ信号をAD変換回路105に出力する。AD変換回路105は、制御部111により制御され、制御部111からの制御信号φPAがH(High)となっている間に入力信号をAD変換して、AD変換後のデジタルデータをメモリ部106に出力する。
【0039】
次に、以上のように構成された固体撮像装置1000の動作について、図2を参照して説明する。図2は、固体撮像装置1000の動作を示している。はじめに、期間t1において、制御信号φVCOと制御信号φPAがLからHになり、AD変換の対象となる補正用画素102の信号のAD変換が開始される。制御信号φPAがHである期間がサンプリング期間である。サンプリング期間が終了して制御信号φPAがHからLになった後、制御信号φVCOがHからLになる。これにより、補正用画素102の信号をAD変換する期間が終了し、AD変換結果DCO1-1が得られる。
【0040】
続いて、期間t2において、制御信号φV1と制御信号φPAがLからHになり、AD変換の対象となる画素101の1行目の画素信号のAD変換が開始される。制御信号φPAがHであるサンプリング期間中にAD変換が行われ、制御信号φV1がHからLになることで画素101の1行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-1が得られる。さらに、制御信号φV2と制御信号φPAがLからHになり、AD変換の対象となる画素101の2行目の画素信号のAD変換が行われ、AD変換結果DSIG1-2が得られる。さらに、制御信号φV3と制御信号φPAがLからHになり、AD変換の対象となる画素101の3行目の画素信号のAD変換が行われ、AD変換結果DSIG1-3が得られる。
【0041】
続いて、期間t3において、上述した期間t1と同様にして、補正用画素102の信号がAD変換され、AD変換結果DCO1-2が得られる。続いて、期間t4において、上述した期間t2と同様にして、画素101の4行目〜6行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG1-4〜DSIG1-6が得られる。
【0042】
次に、図3を参照して、ノイズ除去部109の動作を説明する。図3は、ノイズ除去部109が低周波ノイズ除去を行う手順を示している。以下では、1フレーム分の画素信号DSIG1-1〜DSIG1-6の低周波ノイズ除去を行う場合を例に説明する。
【0043】
上述したようにAD変換結果が得られ、低周波ノイズ除去に必要なAD変換結果がノイズ除去部109に入力されると、ノイズ除去部109は順次処理を開始する(ステップS100)。ノイズ除去部109は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の1行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-1に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-1を出力する(ステップS101)。このとき、ノイズ除去部109による低周波ノイズ除去処理の一例としては、以下の(1)式や(2)式に示す処理を用いることができる。
【0044】
【数1】

【0045】
(1)式および(2)式は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1(DCO1-1〜DCO1-2に相当)を用いて画素101の画素信号のAD変換結果DSIG1(DSIG1-1〜DSIG1-6に相当)に低周波ノイズ除去処理を行い、信号DSIGCO1(DSIGCO1-1〜DSIGCO1-6に相当)を得る処理を示している。ここで、DOFFは、演算結果を正(≧0)にするためのオフセット値である。低周波ノイズ除去処理は、上記の(1)式や(2)式を用いた処理以外でも良く、補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて画素101の画素信号のAD変換結果から低周波ノイズを除去できる処理であれば良い。
【0046】
続いて、ノイズ除去部109は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の2行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-2に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-2を出力する(ステップS102)。続いて、ノイズ除去部109は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の3行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-3に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-3を出力する(ステップS103)。
【0047】
上記と同様に、ノイズ除去部109は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-2を用いて、画素101の4行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-4、画素101の5行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-5、画素101の6行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-6に順次低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-4,DSIGCO1-5,DSIGCO1-6を出力する(ステップS104〜S106)。画素101の全行の画素信号の低周波ノイズ除去処理が終了すると、ノイズ除去部109は処理を終了する(ステップS107)。
【0048】
図2および図3に示したように、補正用画素102の1行の信号のAD変換に対応して画素101の3行の画素信号のAD変換が行われ、補正用画素102の1行の信号のAD変換結果を用いて画素101の3行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去処理が行われる。このような制御を行うため制御部111は、補正用画素102の1行の信号のAD変換と画素101の3行の画素信号のAD変換とからなるAD変換を繰り返し行うよう、垂直走査部103による信号読み出し動作と、AD変換回路105によるAD変換動作とを制御する。
【0049】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置1000は、低周波ノイズを除去するための補正用画素102の1行の信号のAD変換を、画素101の複数行(本実施形態では3行)の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、1行の画素信号のAD変換を行う毎に補正用画素の1行の信号のAD変換を行う場合と比較して、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0050】
なお、本実施形態において低周波ノイズを除去するための補正用画素102の1行の信号のAD変換は、画素101の3行の画素信号のAD変換に対応して行われるが、これに限られるものではなく、予め低周波ノイズの影響を確認しておき、低周波ノイズの影響の度合いに応じて、AD変換の回数を最適な回数にしてもよい。また、本実施形態において補正用画素102の行数が1であるとして説明したが、補正用画素102の行数を2以上としても同様の効果が得られる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態に係る固体撮像装置2000の構成を示している。図4中で用いている各構成のうち、図1中で用いている構成と同一の構成には同一の符号を付与し、説明を省略する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0052】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、画素部100を画素部200に、垂直走査部103を垂直走査部203に、制御部111を制御部204に変更し、選択電圧出力部201を新たに備えた点である。画素部200は、行列状に配列された複数の画素101のみを有しており、画素101は横7列、縦6行に配列されている。垂直走査部203は、第1の実施形態における垂直走査部103の機能から、制御信号φVCOを出力する機能を除いたものである。
【0053】
選択電圧出力部201は、基準電圧生成部110を備えると共に、基準電圧生成部110に接続された第1の入力端子と、画素信号出力線120に接続された第2の入力端子と、アナログ信号処理部104に接続された出力端子とを有するスイッチ202を備えている。スイッチ202の第1の入力端子には基準電圧生成部110からの基準電圧Vref(補正用基準電圧)が入力され、スイッチ202の第2の入力端子には、画素信号出力線120を介して画素信号が入力される。
【0054】
スイッチ202は制御部204からの制御信号φSELによって制御される。制御信号φSELがLとなっている場合には、第2の入力端子と出力端子が接続されて(第1の入力端子と出力端子が切断されて)、画素信号がアナログ信号処理部104に出力される。また、制御信号φSELがHとなっている場合には、第1の入力端子と出力端子が接続されて(第2の入力端子と出力端子が切断されて)、基準電圧Vrefがアナログ信号処理部104に出力される。制御部204は、第1の実施形態と同様に垂直走査部103およびAD変換回路105の動作を制御すると共に、選択電圧出力部201に制御信号φSELを出力し、選択電圧出力部201の動作を制御する。
【0055】
次に、以上のように構成された固体撮像装置2000の動作について、図5を参照して説明する。図5は、固体撮像装置2000の動作を示している。本実施形態における第1の実施形態との相違点は、制御信号φVCOが制御信号φSELに変更される点である。制御信号φSELがHである期間t1,t3では、スイッチ202およびアナログ信号処理部104を介して基準電圧VrefがAD変換回路105に入力され、AD変換される。また、制御信号φSELがLである期間t2,t4では、スイッチ202およびアナログ信号処理部104を介して画素101の1行目〜6行目の画素信号がAD変換回路105に順次入力され、順次AD変換される。AD変換結果に対する低周波ノイズ除去部109の動作は、第1の実施形態で説明した動作(図3)と同一であるので、説明を省略する。
【0056】
図5および図3に示したように、基準電圧Vrefの1行の信号のAD変換に対応して画素101の3行の画素信号のAD変換が行われ、基準電圧Vrefの1行の信号のAD変換結果を用いて画素101の3行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去処理が行われる。このような制御を行うため、制御部204は、基準電圧Vrefの1行の信号のAD変換と画素101の3行の画素信号のAD変換とからなるAD変換を繰り返し行うよう、垂直走査部203による信号読み出し動作と、選択電圧出力部201のスイッチ202による接続の切替動作と、AD変換回路105によるAD変換動作とを制御する。
【0057】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置2000は、低周波ノイズを除去するための基準電圧Vrefの1行の信号のAD変換を、画素101の複数行の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の基準電圧Vrefの信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0058】
なお、本実施形態において低周波ノイズを除去するための基準電圧Vrefの1行の信号のAD変換は、画素101の3行の画素信号のAD変換に対応して行われるが、これに限られるものではなく、予め低周波ノイズの影響を確認しておき、低周波ノイズの影響の度合いに応じて、AD変換の回数を最適な回数にしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、選択電圧出力部201を画素部200とアナログ信号処理部104の間に配置し、アナログ信号処理部104を介して基準電圧生成部110の出力電圧VrefがAD変換回路105に入力されるが、選択電圧出力部201をアナログ信号処理部104とAD変換回路105の間に配置し、AD変換回路105に基準電圧Verfが直接入力されるように構成しても同様の効果が得られる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図6は、本実施形態に係る固体撮像装置3000の構成を示している。図6中で用いている各構成のうち、図1中で用いている構成と同一の構成には同一の符号を付与し、説明を省略する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0061】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、画素部100を画素部300に変更し、基準電圧生成部110を除いた点である。画素部300は、行列状に配列された複数の画素101と複数の遮光画素301を有する。本実施形態では、1行分の遮光画素301が配置されている。遮光画素301では常に入射光が遮られているため、遮光画素301は、入射光が当たらない暗状態の画素信号(補正用画素信号)を出力する。
【0062】
以上のように構成された固体撮像装置3000の動作およびノイズ除去部109の動作は、第1の実施形態の補正用画素102を遮光画素301に置き換えた場合の動作と同一であるので説明を省略する。
【0063】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置3000は、低周波ノイズを除去するための遮光画素301の1行の信号のAD変換を、画素101の複数行の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の遮光画素301の信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0064】
なお、本実施形態において低周波ノイズを除去するための遮光画素301の1行の信号のAD変換は、画素101の3行の画素信号のAD変換に対応して行われるが、これに限られるものではなく、予め低周波ノイズの影響を確認しておき、低周波ノイズの影響の度合いに応じて、AD変換の回数を最適な回数にしてもよい。また、本実施形態において遮光画素301の行数が1であるとして説明したが、遮光画素301の行数を2以上としても同様の効果が得られる。
【0065】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第1から第3の実施形態に適用できるが、ここでは第1の実施形態に適用した場合を例として説明する。
【0066】
図7は、本実施形態に係る固体撮像装置4000の構成を示している。図7中で用いている各構成のうち、図1で用いている構成と同一の構成には同一の符号を付与して、説明を省略する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0067】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、ノイズ除去部109をノイズ除去部401に変更した点である。AD変換回路105の動作は、第1の実施形態で説明した動作(図2)と同様であるので、説明を省略する。以下、1フレーム分の画素信号DSIG1-1〜DSIG1-6の低周波ノイズ除去を行う場合のノイズ除去部401の動作について、図8を用いて説明する。図8は、ノイズ除去部401が低周波ノイズ除去を行う手順を示している。以下では、1フレーム分の画素信号DSIG1-1〜DSIG1-6の低周波ノイズ除去を行う場合を例に説明する。
【0068】
第1の実施形態と同様にAD変換結果が得られ、低周波ノイズ除去に必要なAD変換結果がノイズ除去部401に入力されると、ノイズ除去部401は順次処理を開始する(ステップS400)。ノイズ除去部401は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の1行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-1に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-1を出力する(ステップS401)。
【0069】
続いて、ノイズ除去部401は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の2行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-2に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-2を出力する(ステップS402)。続いて、ノイズ除去部401は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-2を用いて、画素101の3行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-3に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-3を出力する(ステップS403)。
【0070】
続いて、ノイズ除去部401は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-2を用いて、画素101の4行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-4、画素101の5行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-5に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-4、DSIGCO1-5を出力する(ステップS404,S405)。その後、ノイズ除去部401は、2フレーム目の補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-1を用いて画素101の6行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-6に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-6を出力する(ステップS406)画素101の全行の画素信号の低周波ノイズ除去処理が終了すると、ノイズ除去部401は処理を終了する(ステップS407)。
【0071】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、補正用画素102の1行の信号のAD変換に対応して画素101の複数行の画素信号のAD変換が行われる。また、図8に示したように、補正用画素102の1行の信号のAD変換結果を用いて画素101の1行目〜3行目の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去処理が行われる。特に、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-2を用いた低周波ノイズ除去処理においては、AD変換結果DCO1-2に対応する補正用画素102の信号のAD変換を行う直前にAD変換された画素101の1行の画素信号のAD変換結果DSIG1-3と、AD変換結果DCO1-2に対応する補正用画素102の信号のAD変換を行った直後にAD変換された画素101の2行の画素信号のAD変換結果DSIG1-4,DSIG1-5に対して低周波ノイズ除去処理が行われる。
【0072】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置4000は、低周波ノイズを除去するための補正用画素102の1行の信号のAD変換を、画素101の複数行の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、1行の画素信号のAD変換を行う毎に補正用画素の1行の信号のAD変換を行う場合と比較して、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0073】
また、固体撮像装置4000は、補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて、その補正用画素102の信号のAD変換の直前にAD変換された画素101の1行の画素信号のAD変換結果と、その補正用画素102のAD変換の直後にAD変換された画素101の2行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズを除去する。第1の実施形態では、補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて、その補正用画素102の信号のAD変換の直後にAD変換された画素101の3行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズが除去されている。
【0074】
本実施形態では、補正用画素102の信号がAD変換されるタイミングと、その信号のAD変換結果を用いた低周波ノイズ除去処理の対象となる画素101の画素信号がAD変換されるタイミングとの時間差は、最大でも図2の期間t1の略2倍の時間である。一方、第1の実施形態では、同様の時間差は、最大で図2の期間t1の略3倍の時間である。つまり、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、補正用画素102の信号がAD変換されたタイミングとより時間的に近いタイミングでAD変換された画素101の画素信号のAD変換結果に対して低周波ノイズ除去処理が行われる。
【0075】
低周波ノイズは時間に依存するので、第1のタイミングでAD変換された補正用画素102の信号に含まれる低周波ノイズと、第2のタイミングでAD変換された画素101の画素信号に含まれる低周波ノイズとの相関は、第1のタイミングと第2のタイミングの時間差が小さいほど高くなる。つまり、この時間差が小さいほど、より高精度に低周波ノイズを除去することができる。したがって、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、より高精度に低周波ノイズを除去することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、第1の実施形態への適用例を説明したが、上述した第2、第3の実施形態に適用しても同様の効果が得られる。
【0077】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。上述した第1から第4の実施形態では、AD変換回路105のサンプリング期間が常に一定であると考えて説明を行った。しかし、より高い分解能のデジタルデータが必要な場合においては、動作条件を変更し、サンプリング期間をより長くすることが考えられる。サンプリング期間がより長くなった場合に、1フレームにおける補正用画素の信号のAD変換の回数と画素の画素信号のAD変換の回数との比が一定であると、補正用画素の信号のAD変換のタイミングと、その信号のAD変換結果を用いた低周波ノイズ除去処理の対象となる画素の画素信号のAD変換のタイミングとの時間差がより大きくなる。第4の実施形態で説明したように、この時間差が小さいほど、より高精度に低周波ノイズを除去することができる。
【0078】
そこで、本実施形態では、サンプリング期間がより長く設定された場合には、1フレームにおいて、画素の画素信号のAD変換の回数に対する補正用画素の信号のAD変換の回数の割合を増加させる。本実施形態は、上述した第1から第4の実施形態に適用できるが、ここでは第1の実施形態に適用した場合を例として説明する。
【0079】
図9は、本実施形態に係る固体撮像装置5000の構成を示している。図9中で用いている各構成のうち、図1中で用いている構成と同一の構成には同一の符号を付与して説明を省略する。以下では第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0080】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、制御部111を制御部501に変更し、ノイズ除去部109をノイズ除去部502に変更して、ノイズ除去部502の動作を制御部501が制御する点である。制御部501は、垂直走査部103、AD変換回路105、およびノイズ除去部502に制御信号を出力し、垂直走査部103、AD変換回路105、およびノイズ除去部502の動作を制御する。制御部501は、制御信号φPV,φPAによって垂直走査部103とAD変換回路105を制御し、1フレームにおける画素101の画素信号および補正用画素102の信号がAD変換される回数とサンプリング期間を変更する。また、制御部501は、制御信号φPNによって、1フレームにおける画素101の画素信号および補正用画素102の信号がAD変換される回数をノイズ除去部502に通知し、ノイズ除去部502を制御する。
【0081】
次に、以上のように構成された固体撮像装置5000の動作について、図10を参照して説明する。図10は、固体撮像装置5000の動作を示している。はじめに、1フレーム目の動作を説明する。1フレーム目の動作は、サンプリング期間が第1の実施形態と同様のサンプリング期間に設定された場合の動作である。期間t1〜t4において、第1の実施形態と同様の動作により、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1,DCO1-2と画素信号のAD変換結果DSIG1-1〜DSIG1-6が得られる。
【0082】
1フレーム目では、補正用画素102の1行の信号のAD変換に対応して画素101の3行の画素信号のAD変換が行われる。すなわち、1行の信号のAD変換を1回のAD変換と数えるとすると、補正用画素102の信号の1回のAD変換に対応して画素101の画素信号のAD変換が3回行われる。また、1フレーム目では制御信号φPNはLであり、ノイズ除去部502は、第1の実施形態と同様に、補正用画素102の1行の信号のAD変換結果を用いて、画素101の3行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズを除去する。
【0083】
次に、2フレーム目の動作を説明する。2フレーム目の動作は、サンプリング期間が1フレーム目のサンプリング期間の2倍に変更された場合の動作である。2フレーム目では、制御信号φPAと制御信号φVCOの周期が1フレーム目の各周期の2倍になっている。
【0084】
はじめに、期間t5において、制御信号φVCO、制御信号φPAがLからHになり、補正用画素102の信号がアナログ信号処理部104を介してAD変換回路105に入力されてAD変換が開始される。制御信号φPAがHであるサンプリング期間中にAD変換が行われ、制御信号φVCOがHからLになることで、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-1が得られる。
【0085】
続いて、期間t6において、制御信号φV1、制御信号φPAがLからHになり、画素101の1行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG2-1が得られる。また、期間t6では、同様にして画素101の2行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG2-2が得られる。その後、期間t7において、上述した期間t5と同様にして、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-2が得られる。
【0086】
続いて、期間t8において、上述した期間t6と同様にして、画素101の3行目、4行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG2-3,DSIG2-4が得られる。続いて、期間t9において、上述した期間t5と同様の動作により、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-3が得られる。続いて、期間t10において、上述した期間t6と同様にして、画素101の5行目、6行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG2-5,DSIG2-6が得られる。
【0087】
2フレーム目では、補正用画素102の信号の1回のAD変換に対応して画素101の画素信号のAD変換が2回行われる。また、2フレーム目では制御信号φPNはHであり、ノイズ除去部502は、補正用画素102の1行の信号のAD変換結果を用いて、画素101の2行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズを除去する。
【0088】
次に、図11を参照して、ノイズ除去部502の動作を説明する。図11は、ノイズ除去部502が低周波ノイズ除去を行う手順を示している。以下では、2フレーム分の画素信号DSIG1-1〜DSIG1-6,DSIG2-1〜DSIG2-6の低周波ノイズ除去を行う場合を例に説明する。
【0089】
上述したようにAD変換結果が得られ、低周波ノイズ除去に必要なAD変換結果がノイズ除去部502に入力されると、ノイズ除去部502は順次処理を開始する(ステップS500)。1フレーム目ではノイズ除去部502は、制御信号φPNに基づき、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-1を用いて、画素101の1行目〜3行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-1〜DSIG1-3に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-1〜DSIGCO1-3を出力する(ステップS501〜ステップS503)。続いて、ノイズ除去部502は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO1-2を用いて、画素101の4行目〜6行目の画素信号のAD変換結果DSIG1-4〜DSIG1-6に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-4〜DSIGCO1-6を出力する(ステップS504〜ステップS506)。
【0090】
続いて、2フレーム目ではノイズ除去部502は、制御信号φPNに基づき、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-1を用いて、画素101の1行目、2行目の画素信号のAD変換結果DSIG2-1,DSIG2-2に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO1-1,DSIGCO1-2を出力する(ステップS507,S508)。続いて、ノイズ除去部502は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-2を用いて、画素101の3行目、4行目の画素信号のAD変換結果DSIG2-3,DSIG2-4に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO2-3,DSIGCO2-4を出力する(ステップS509,S510)。続いて、ノイズ除去部502は、補正用画素102の信号のAD変換結果DCO2-3を用いて、画素101の5行目、6行目の画素信号のAD変換結果DSIG2-5,DSIG2-6に低周波ノイズ除去処理を行い、低周波ノイズを除去した後の信号DSIGCO2-5,DSIGCO2-6を出力する(ステップS511,S512)。
【0091】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置5000は、低周波ノイズを除去するための補正用画素102の1行の信号のAD変換を、画素101の複数行(本実施形態では3行または2行)の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、1行の画素信号のAD変換を行う毎に補正用画素の1行の信号のAD変換を行う場合と比較して、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0092】
また、固体撮像装置5000は、AD変換回路105のサンプリング期間がより長く変更された場合には、1フレーム内における画素101の画素信号のAD変換の回数に対する補正用画素102の信号のAD変換の回数の割合を増加させる。これによって、補正用画素102の信号がAD変換されたタイミングとより時間的に近いタイミングでAD変換された画素101の画素信号のAD変換結果に対して低周波ノイズ除去処理が行われるため、より高精度に低周波ノイズを除去することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、AD変換回路105のサンプリング期間を長くした場合について説明したが、AD変換回路のサンプリング期間を短くした場合には、低周波ノイズの影響が軽減されるため、1フレーム期間において補正用画素102の信号をAD変換する回数をより少なくすることで、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。また、本実施形態では、第1の実施形態への適用例を説明したが、上述した第2から第4の実施形態に適用しても同様の効果が得られる。
【0094】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。上述した第1から第5の実施形態において、1フレームにおいて補正用画素の信号をAD変換する回数は各列のAD変換回路で共通であると考えて説明してきた。しかし、撮影する被写体によって各画素の画素信号のレベルが異なり、列によって、画素信号に対する低周波ノイズの影響の度合いが異なる。そこで、本実施形態では、列によって、1フレームにおいて補正用画素の信号をAD変換する回数を変更する。画素信号のレベルが高い列では、低周波ノイズの影響が増加するため、より高精度な低周波ノイズ除去処理が必要となる。本実施形態は、上述した第1から第4の実施形態に適用できるが、ここでは第1の実施形態に適用した場合を例として説明する。
【0095】
図12は、本実施形態に係る固体撮像装置6000の構成を示している。図12中で用いている各構成のうち、図1中で用いている構成と同一の構成要素には同一の符号を付与して説明を省略する。以下では第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0096】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、画素部100を画素部600に、垂直走査部103を画素選択部603に、制御部111を制御部606に、ノイズ除去部109をノイズ除去部502にそれぞれ変更し、閾値電圧生成部604と、各列に対応した比較部605とを新たに備えた点である。
【0097】
画素部600は、行列状に配列された複数の画素601と複数の補正用画素602を有する。本実施形態では、1行分の補正用画素602が配置されている。画素選択部603は、画素部600へ各種制御信号を出力することによって画素601の露光動作や信号読み出し動作、補正用画素602の信号読み出し動作等を制御する。画素選択部603は、行毎かつ列毎に制御信号を出力することによって、画素601および補正用画素602の各種動作を行毎かつ列毎に制御する。本実施形態では、各列の補正用画素602に制御信号φVCO1〜φVCO7が出力される。また、1行目の画素601には列毎に制御信号φV1-1〜φV1-7が出力される。2行目〜6行目の画素601に出力される制御信号についても同様である。
【0098】
上記の制御信号によって、画素101および補正用画素102の制御は行単位かつ列単位で行われる。つまり、画素101または補正用画素102の信号を読み出す場合、画素選択部603は、信号を読み出す行および列を選択し、選択した行および列の画素101または補正用画素102に対して制御信号を出力し、選択した行および列の画素101または補正用画素102から画素信号出力線120に信号を出力させる。例えば、制御信号φVCO1がHになった場合には補正用画素602の1列目が選択され、制御信号φV1-2がHになった場合には画素601の2行目1列目が選択される。また、画素選択部603は、制御部606により制御され、制御部606からの制御信号φPVに対応した動作を行う。
【0099】
比較部605は、+入力端子と−入力端子を有し、−入力端子にはアナログ信号処理部104の出力信号が入力され、+入力端子には閾値電圧生成部604の出力電圧である閾値電圧Vth(閾値用基準電圧)が入力される。比較部605は列毎に設けられており、各列の比較部605はアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)と閾値電圧Vthを比較し、比較結果COUT1〜COUT7を制御部606に出力する。比較部605は、アナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)が閾値電圧Vthよりも大きい場合には比較結果としてHを出力し、アナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)が閾値電圧Vthよりも小さい場合には比較結果としてLを出力する。
【0100】
比較部605の動作は、制御部606からの制御信号φCOMP1〜φCOMP7によって制御される。比較部605は、制御信号φCOMP1〜φCOMP7がHの場合にはアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)と閾値電圧Vthの比較を行い、制御信号φCOMP1〜φCOMP7がLの場合にはアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)と閾値電圧Vthの比較を行わない休止状態となる。
【0101】
制御部606は、比較部605の比較結果に基づいて、1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数を変更し、その変更に対応するように、AD変換回路105、画素選択部603、比較部605、ノイズ除去部502を制御する。具体的には、比較部605がアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)と閾値電圧Vthを比較した結果、アナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)の方が大きい場合には、制御部606は、1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数を増加させる。
【0102】
1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数は、制御信号φPAによって、該当する列のAD変換回路105に通知され、該当する列のAD変換回路105はAD変換の動作を変更する。また、1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数は、制御信号φPVによって画素選択部603に通知され、画素選択部603は、該当する列の補正用画素602の信号を読み出す回数を変更する。また、1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数が変更されると、制御信号φCOMP1〜φCOMP7のいずれかによって、該当する列の比較部605にそのことが通知され、該当する列の比較部605は比較動作を休止する。また、1フレーム期間において補正用画素602の信号をAD変換する回数は、制御信号φPNによってノイズ除去部502に通知され、ノイズ除去部502は、制御信号φPNに従って低周波ノイズ除去処理を行う。
【0103】
次に、以上のように構成された固体撮像装置6000の動作について、画素部600の1列目に注目し、図13を参照して説明する。図13は、固体撮像装置6000の動作を示している。はじめに、1フレーム目の動作を説明する。1フレーム目では、画素601から画素信号が出力されたときのアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)が常に閾値電圧Vthよりも小さい場合を仮定している。期間t1において、上述した各実施形態と同様の動作により、補正用画素602の信号のAD変換結果DCO1-1が得られる。このとき、制御信号φCOMP1はLであるため、比較部605において補正用画素602の信号と閾値電圧Vthの比較は行われず、比較結果COUT1はLとなる。
【0104】
続いて、期間t2において、画素601の1行目〜3行目の画素信号のAD変換が行われる。制御信号φV1-1,φV2-1,φV3-1と制御信号φPAが順番にLからHになり、AD変換の対象となる画素601の1行目〜3行目の画素信号が、アナログ信号処理部104を介して比較部605とAD変換回路105に入力され、画素信号のAD変換結果DSIG1-1,DSIG1-2,DSIG1-3が得られる。このとき、制御信号φCOMP1はHとなるため、比較部605によって画素信号と閾値電圧Vthの比較が行われる。図13の1フレーム目では、各画素信号は閾値電圧Vthよりも小さいので、比較結果COUT1はLのままである。 続いて、期間t3,t4においても、上述した期間t1,t2と同様の動作により、補正用画素602の信号のAD変換結果DCO1-2、画素信号のAD変換結果DSIG1-4,DSIG1-5,DSIG1-6が得られる。
【0105】
以上のように、1フレーム期間において、画素601から画素信号が出力されたときのアナログ信号処理部104の出力信号が閾値電圧Vthよりも常に小さい場合、画素601の画素信号の3回のAD変換に対応して、補正用画素602の信号のAD変換が1回行われる。
【0106】
次に、2フレーム目の動作を説明する。2フレーム目では、画素601から画素信号が出力されたときのアナログ信号処理部104の出力信号が閾値電圧Vthよりも大きくなる場合を仮定している。期間t5において、上述した期間t1と同様にして、補正用画素602の信号のAD変換結果DCO2-1が得られる。
【0107】
続いて、期間t6において、上述した期間t2と同様にして、画素601の1行目〜3行目の画素信号がAD変換され、AD変換結果DSIG2-1,DSIG2-2,DSIG2-3が得られる。このとき、制御信号φCOMPはHとなるため、比較部605によって画素信号と閾値電圧Vthの比較が行われる。図13の2フレーム目では、画素601の3行目の画素信号が閾値電圧Vthよりも大きいため、比較結果COUT1がHになる。これにより、制御部606は、期間t7以降において、補正用画素602の信号をAD変換する回数を増加させる。具体的には、期間t7以前は、画素601の画素信号の3回のAD変換に対応して、補正用画素602の信号のAD変換が1回行われていたが、期間t7以降は、画素601の画素信号の2回のAD変換に対応して、補正用画素602の信号のAD変換が1回行われる。
【0108】
続いて、期間t7において、上述した期間t1と同様にして、補正用画素602の信号のAD変換結果DCO2-2が得られる。続いて、期間t8において、画素601の4行目、5行目の画素信号のAD変換が行われ、画素信号のAD変換結果DSIG2-4,DSIG2-5が得られる。このとき、上述した期間t6において、既に補正用画素602の信号をAD変換する回数が変更されているので、期間t8以降では、制御信号φCOMP1はLとなり、比較部605は画素信号と閾値電圧Vthの比較を行わない。
【0109】
続いて、期間t9において、上述した期間t1と同様の動作により、補正用画素602の信号のAD変換結果DCO2-3が得られる。続いて、期間t10において、画素601の6行目の画素信号のAD変換が行われ、画素信号のAD変換結果DSIG2-6が得られる。
【0110】
以上のように、1フレーム期間において、画素601から画素信号が出力されたときのアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)が閾値電圧Vthよりも大きくなった場合、補正用画素602の信号のAD変換の回数が変更され、画素601の画素信号の2回のAD変換に対応して、補正用画素602の信号のAD変換が1回行われる。
【0111】
ノイズ除去部502は、制御部606からの制御信号φPNに従い、補正用画素602の信号のAD変換結果を用いて、画素601の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去処理を行う。2フレーム目においては、補正用画素602の信号のAD変換の回数が変更されたことが制御信号φPNによってノイズ除去部502に通知されるため、ノイズ除去部502は、低周波ノイズ除去処理に用いる補正用画素602の信号のAD変換結果と画素601の画素信号のAD変換結果との対応関係を変更する。ノイズ除去部502の動作については、上述した実施形態と同様のため説明を省略する。
【0112】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置6000は、低周波ノイズを除去するための補正用画素602の1行の信号のAD変換を、画素601の複数行(本実施形態では3行または2行)の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の補正用画素602の信号のAD変換結果を用いて画素601の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、1行の画素信号のAD変換を行う毎に補正用画素の1行の信号のAD変換を行う場合と比較して、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0113】
また、固体撮像装置6000は、画素601から画素信号が出力されたときのアナログ信号処理部104の出力信号(AD変換回路105の入力信号)と閾値電圧Vthを比較し、画素信号の方が大きい場合には、1フレーム内における画素601の画素信号のAD変換の回数に対する補正用画素602の信号のAD変換の回数の割合を増加させる。これによって、補正用画素602の信号がAD変換されたタイミングとより時間的に近いタイミングでAD変換された画素601の画素信号のAD変換結果に対して低周波ノイズ除去処理が行われるため、より高精度に低周波ノイズを除去することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、所定の列の画素信号が閾値電圧よりも大きい場合に、その列において補正用画素602の信号のAD変換の回数を増やす場合について説明したが、所定の列の画素信号が閾値電圧よりも大きいと判断した場合に、その列だけでなく、その列の左右の列についても同様に補正用画素602の信号のAD変換の回数を増やしても良い。この場合、その列の左右列で画素信号が閾値電圧よりも小さくても、その列の左右列では補正用画素602の信号のAD変換の回数が増加する制御が行われる。
【0115】
低周波ノイズには近隣の列からの干渉も影響しているため、画素信号が閾値電圧よりも大きい列の干渉がその列の左右の列へ影響し、撮像画像において、その左右の列に対応する位置に縦すじが発生する可能性がある。しかし、その左右の列についても同様に補正用画素602の信号のAD変換の回数を増やして低周波ノイズ除去を行うことで、高精度に低周波ノイズを除去することができる。
【0116】
また、本実施形態では、画素信号が閾値電圧よりも大きい場合、つまり低周波ノイズがより発生しやすい場合に、補正用画素602の信号のAD変換の回数を増やしたが、予め製造段階や固体撮像装置の初期設定段階において各列の低周波ノイズの影響の度合いを把握しておき、低周波ノイズの影響を受けやすい(縦すじが発生しやすい)列については、補正用画素602の信号をAD変換する回数を他の列における回数よりも常に多い状態にしておいても良い。
【0117】
また、本実施形態では、比較部605をアナログ信号処理部104とAD変換回路105の間に配置し、比較部605がアナログ信号処理部104の出力信号と閾値電圧を比較しているが、比較部605を画素部600とアナログ信号処理部104の間に配置し、比較部605が画素信号と閾値電圧を比較するように構成しても同様の効果が得られる。また、本実施形態では、第1の実施形態への適用例を説明したが、上述した第2から第4の実施形態に適用しても同様の効果が得られる。
【0118】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第1から第4の実施形態に適用できるが、ここでは第1の実施形態に適用した場合を例として説明する。
【0119】
図14は、本実施形態に係る固体撮像装置7000の構成を示している。図14中で用いている各構成において、図1中で用いている構成と同一の構成には同一の符号を付与して説明を省略する。以下では第1の実施形態との相違点を中心に、本実施形態の構成と動作について説明する。
【0120】
本実施形態における第1の実施形態との相違点は、制御部111を制御部701に、ノイズ除去部109をノイズ除去部702に変更し、動作モード設定部700を新たに備えた点である。
【0121】
固体撮像装置7000は、撮影動作のモードとして、撮影画像の画質を優先する高精細モードと、撮影動作の低消費電力化を優先する省電力モードとを備えている。高精細モードに適した撮影条件としては、固体撮像装置7000の後段に配置される画像処理部(不図示)のゲインが高く、暗い領域が多い被写体が撮影対象であるなどのように、縦すじがより目立ちやすくなる撮影条件がある。また、省電力モードに適した撮影条件としては、画像処理部(不図示)のゲインが低く、明るい領域が多い被写体が撮影対象であるなどのように、縦すじがより目立たない撮影条件がある。
【0122】
動作モード設定部700は、上述した高精細モードもしくは省電力モードを設定し、設定したモードに対応した制御信号を制御部701に出力する。制御部701は、動作モード設定部700からの制御信号に従って、垂直走査部103、AD変換回路105、ノイズ除去部702の動作を制御し、補正用画素102の信号のAD変換を行う回数を制御する。ノイズ除去部702は、制御部701からの制御信号に基づき、画素信号の低周波ノイズ除去処理を行う。
【0123】
次に、以上のように構成された固体撮像装置7000の動作を説明する。動作モード設定部700によって高精細モードが設定された場合には、動作モード設定部700は、高精細モードに対応した制御信号を制御部701に出力する。制御部701は、この制御信号に基づいて、1フレームにおいて補正用画素102の信号のAD変換を行う回数を省電力モードにおける回数よりも増やすように垂直走査部103、AD変換回路105、ノイズ除去部702の動作を変更する。例えば、高精細モードでは、画素101の画素信号の2回のAD変換に対応して、補正用画素102の信号のAD変換が1回行われる。
【0124】
高精細モードでは、1フレームにおいて補正用画素102の信号のAD変換を行う回数を省電力モードにおける回数よりも増やすことで、補正用画素102の信号がAD変換されたタイミングとより時間的に近いタイミングでAD変換された画素101の画素信号のAD変換結果に対して低周波ノイズ除去処理が行われるため、省電力モードよりも高い精度で低周波ノイズを除去することができる。
【0125】
一方、動作モード設定部700によって省電力モードが設定された場合には、動作モード設定部700は、省電力モードに対応した制御信号を制御部701に出力する。制御部701は、この制御信号に基づいて、1フレームにおいて補正用画素102の信号のAD変換を行う回数を高精細モードにおける回数よりも減らすように、AD変換回路105、ノイズ除去部702の動作を変更する。例えば、省電力モードでは、画素101の画素信号の3回のAD変換に対応して、補正用画素102の信号のAD変換が1回行われる。
【0126】
省電力モードでは、1フレームにおいて補正用画素102の信号のAD変換を行う回数を高精細モードにおける回数よりも減らすことで、高精細モードよりも低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。
【0127】
上述したように、本実施形態に係る固体撮像装置7000は、低周波ノイズを除去するための補正用画素102の1行の信号のAD変換を、画素101の複数行の画素信号のAD変換に対応して行い、1行の補正用画素102の信号のAD変換結果を用いて画素101の複数行の画素信号のAD変換結果の低周波ノイズ除去を行う。このため、1行の画素信号のAD変換を行う毎に補正用画素の1行の信号のAD変換を行う場合と比較して、低周波ノイズ除去に伴う消費電力の増加を最小限に抑えることができる。また、動作モードに応じて、補正用画素102の信号のAD変換を行う回数が変更されるので、複雑な動作変更を必要とせずに、動作モードに対応した最適な動作で撮影を行うことができる。
【0128】
なお、動作モードの設定に関しては、ユーザによる手動の入力に基づいて動作モードを設定しても良い。また、本実施形態に係る固体撮像装置7000を備える撮像装置が事前に撮影した画像の情報(ライブビュー画像)から動作モードを判断し、自動で動作モードを設定しても良い。また、本実施形態では、第1の実施形態への適用例を説明したが、上述した第2から第4の実施形態に適用しても同様の効果が得られる。
【0129】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明の適用例としては、固体撮像装置の画素信号出力線が1列毎に配置されている場合に限らず、複数の画素で1つの画素信号出力線が共有され、画素信号出力線が複数列毎に配置されている場合でも同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0130】
100,200,300,600・・・画素部、101,601・・・画素、102,602・・・補正用画素、103,203・・・垂直走査部、104・・・アナログ信号処理部、105・・・ AD変換回路(AD変換部)、106・・・メモリ部、107・・・出力部、108・・・水平走査部、109,401,502,702・・・ノイズ除去部、110・・・基準電圧生成部、111,204,501,606,701・・・制御部、201・・・選択電圧出力部、202・・・スイッチ、301・・・遮光画素、603・・・画素選択部、604・・・閾値電圧生成部、605・・・比較部、700・・・動作モード設定部、1000,2000,3000,4000,5000,6000,7000・・・固体撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素と、補正用基準電圧に応じた補正用画素信号を出力する複数の補正用画素とを有し、前記複数の画素と前記複数の補正用画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力する画素部と、
前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素または前記補正用画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力させる垂直走査部と、
前記複数の補正用画素に前記補正用基準電圧を出力する基準電圧生成部と、
前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または前記補正用画素信号のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、
1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用画素信号のAD変換を行うように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御する制御部と、
前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
入射した光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素を有し、前記複数の画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号を出力する画素部と、
前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号を出力させる垂直走査部と、
前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または補正用基準電圧のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、
前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部との接続状態を、前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部とが接続された第1の状態と、前記複数の画素信号出力線と前記AD変換部とが切断された第2の状態との間で切り替え可能であって、前記第1の状態では前記画素信号を前記AD変換部に出力し、前記第2の状態では前記補正用基準電圧を前記AD変換部に出力する選択電圧出力部と、
1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行うように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御する制御部と、
前記補正用基準電圧のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
入射した光の大きさに応じた画素信号を出力する複数の画素と、補正用画素信号を出力する遮光された複数の遮光画素とを有し、前記複数の画素および前記複数の遮光画素は行列状に配置され、前記行列の列に対応して配置された複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力する画素部と、
前記行列の行を選択し、選択した行の前記画素または前記遮光画素から前記複数の画素信号出力線に前記画素信号または前記補正用画素信号を出力させる垂直走査部と、
前記複数の画素信号出力線の1つと接続され、複数の遅延素子が接続された遅延回路を有し、前記画素信号または前記補正用画素信号のレベルに対応する数の前記遅延素子をパルス信号が通過すると、前記パルス信号が通過した前記遅延素子の数に応じたデジタル信号を出力するAD変換部と、
1フレーム内でm(mは2以上の自然数)行の前記画素信号のAD変換に対応して1行の前記補正用画素信号のAD変換を行うように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御する制御部と、
前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて前記画素信号のAD変換結果からノイズを除去するノイズ除去部と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項4】
前記ノイズ除去部は、1行の前記補正用画素信号のAD変換結果を用いて、当該1行の前記補正用画素信号のAD変換を行う直前にAD変換を行ったr行(rは自然数)の前記画素信号および当該1行の前記補正用画素信号のAD変換を行った直後にAD変換を行ったs行(sは自然数、r+s=m)の前記画素信号のノイズを除去することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去部は、1行の前記補正用基準電圧のAD変換結果を用いて、当該1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行う直前にAD変換を行ったr行(rは自然数)の前記画素信号および当該1行の前記補正用基準電圧のAD変換を行った直後にAD変換を行ったs行(sは自然数、r+s=m)の前記画素信号のノイズを除去することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記AD変換部のAD変換期間の長さがpであるときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部のAD変換期間の長さがqであるときはm=i(iは2以上の自然数)となるように、前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、
前記pが前記qよりも大であるとき前記iは前記jよりも大であり、
前記pが前記qよりも小であるとき前記iは前記jよりも小である
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記AD変換部のAD変換期間の長さがpであるときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部のAD変換期間の長さがqであるときはm=i(iは2以上の自然数)となるように、前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、
前記pが前記qよりも大であるとき前記iは前記jよりも大であり、
前記pが前記qよりも小であるとき前記iは前記jよりも小である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記複数の画素信号出力線は、第1の画素信号出力線と第2の画素信号出力線を有し、
前記第1の画素信号出力線に接続された前記AD変換部ではm=k(kは2以上の自然数)であり、
前記第2の画素信号出力線に接続された前記AD変換部ではm=l(lは2以上の自然数)であり、
前記kと前記lは異なる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を前記制御部に出力する比較部をさらに備え、
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より大きいときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より小さいときはm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、
前記iは前記jよりも大である
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を前記制御部に出力する比較部をさらに備え、
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より大きいときはm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧より小さいときはm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、
前記iは前記jよりも大である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を制御部に出力する比較部をさらに備え、
前記制御部は、所定の列の前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも大きいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも小さいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御し、
前記iは前記jよりも大である
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記AD変換部に入力される信号の各々と閾値用基準電圧の大きさを比較し、比較結果を制御部に出力する比較部をさらに備え、
前記制御部は、所定の列の前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも大きいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=j(jは2以上の自然数)となり、前記AD変換部に入力される信号が前記閾値用基準電圧よりも小さいとき、当該所定の列および当該所定の列の左右の列においてm=i(iは2以上の自然数)となるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御し、
前記iは前記jよりも大である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
動作モードに応じた信号を前記制御部に出力する動作モード設定部をさらに備え、
前記制御部は、前記動作モード設定部から出力される信号に基づいて前記mを変化させるように前記垂直走査部および前記AD変換部を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
動作モードに応じた信号を前記制御部に出力する動作モード設定部をさらに備え、
前記制御部は、前記動作モード設定部から出力される信号に基づいて前記mを変化させるように前記垂直走査部、前記AD変換部、および前記選択電圧出力部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−90279(P2013−90279A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231865(P2011−231865)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】