説明

圧力調整弁

【課題】シール性を損なうことなく、調整弁本体に対する管継手の着脱が容易であって且つ繰り返し行われる着脱に対し十分な耐久性を有する圧力調整弁を提供すること。
【解決手段】液体を大気圧基準で減圧供給する調整弁本体2に、チューブ接続用の管継手を接合して成る圧力調整弁1であって、調整弁本体2のバルブケーシング11に形成した雌型の接続ポートと、管継手に形成され、接続ポートに差込み接合される雄型の接続口部104と、接続口部104の外周面と接続ポートの内周面との間に介設したシールリング53と、接続口部104の接続ポートからの抜け落ちを阻止する抜止め部材125と、を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を大気圧基準で減圧供給する調整弁本体に、チューブ接続用の管継手を接合して成る圧力調整弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圧力調整弁として、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を減圧供給するものが知られている(特許文献1参照)。この圧力調整弁は、調整弁本体と、調整弁本体にねじ接合した流入コネクタ(管継手)および流出コネクタ(管継手)とで構成されており、流入コネクタにより機能液タンクに連通するチューブが接続され、流出コネクタにより機能液滴吐出ヘッドに連通するチューブが接続されている。弁本体のバルブケーシングには、雌型の流入口(接続ポート)および流出口(接続ポート)が形成され、この流入口と流入コネクタの接合部、および流出口と流出コネクタの接合部とは、それぞれ管用テーパねじにより液密にねじ接合されている。
【特許文献1】特開2006−142215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の圧力調整弁では、内蔵するフィルタの洗浄やシール部材の交換等にために、定期的に分解メンテナンスを行うが、その都度、流入コネクタおよび流入コネクタを着脱することになる。一方、流入コネクタおよび流出コネクタは、構造上、頻繁な着脱を想定していない管用テーパねじで構成されている。このため、数度の分解メンテナンスで、管用テーパねじのねじ山が損傷し、各接合部分のシール性が損なわれる問題があった。また、管用テーパねじに介設したシールテープのテープ片が、機能液に混入して機能液滴吐出ヘッドにノズル詰りが生ずる問題があった。
【0004】
本発明は、シール性を損なうことなく、調整弁本体に対する管継手の着脱が容易であって且つ繰り返し行われる着脱に対し十分な耐久性を有する圧力調整弁を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の圧力調整弁は、液体を大気圧基準で減圧供給する調整弁本体に、チューブ接続用の管継手を接合して成る圧力調整弁であって、調整弁本体のバルブケーシングに形成した雌型の接続ポートと、管継手に形成され、接続ポートに差込み接合される雄型の接続口部と、接続口部の外周面と接続ポートの内周面との間に介設したシールリングと、接続口部の接続ポートからの抜け落ちを阻止する抜止め部材と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、シールリングを介して、管継手の接続口部を調整弁本体の接続ポートに差込み接合するようにしているため、接合部分のシール性を損なうことなく、管継手の着脱(差込みおよび引抜き)をワンタッチで簡単に行うことができる。また、管継手の差込みおよび引抜き(着脱)に際し、接続口部および接続ポートに無理な力が作用することがないため、繰り返し着脱を行っても、接続口部および接続ポートを損傷することがなく、この部分の耐久性を高めることができる。しかも、ねじ接合のようにシールテープを用いる必要が無いため、テープ片が流体(液体)に混入することがない。また、抜止め部材により、接続口部(管継手)の接続ポートからの抜落ちを有効に防止することができる。
【0007】
この場合、シールリングは、硬質のOリングで構成され、接続口部は、先端部にシールリングが装着される外面環状段部を有し、接続ポートは、基端部にシールリングを受ける内面環状段部を有していることが、好ましい。
【0008】
ところで、Oリングを装着した接続口部を接続ポートに差し込んでゆくと、Oリングが変形(つぶれる)し差込み抵抗が大きくなる。この構成によれば、接続口部の接続ポートへの差込みに際し、外面環状段部によりOリングの脱落を防止することができ、且つOリングが内面環状段部に突き当たることで、差込み接合の完了を指先に体感することができる。したがって、管継手の接合不良を防止することができる。
【0009】
この場合、接続ポートは、先端部に、シールリングを装着した接続口部の差し込みを案内する面取り形状の挿入ガイド部を有していることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、シールリングを装着した接続口部(管継手)を、接続ポートに円滑に差込み接合することができる。
【0011】
この場合、接続口部は、外周面の接線方向に延在する弦状溝を有し、接続ポートは、弦状溝の延長上に位置する装填孔を有し、抜止め部材は、弦状溝および装填孔に装填される抜止めピンで構成されていることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、抜止め部材により、接続ポートから接続口部(管継手)が抜けるのを防止すると共に、接続ポートに対し接続口部(管継手)が回転するのを有効に防止することができる。これにより、例えば接続したチューブを介して、管継手が誤って引き抜かれてしまうのを防止することができると共に、管継手にチューブをねじ締めするときに、管継手が連れ廻りしてしまうのを防止することができる。
【0013】
この場合、装填孔は、座ぐり穴付の貫通孔で構成され、抜止めピンは、装填孔に対応する段付のピンで構成され、バルブケーシングには、大気圧を導入するための受圧膜体を押さえる膜体押え部材がねじ止めされ、膜体押え部材の周縁部は、抜止めピンの抜け落ちを阻止するように抜止めピンとオーバーラップして配設されていることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、膜体押え部材により、段付きの抜止めピンが装填孔から抜け落ちるのを有効に防止することができると共に、抜止めピンを膜体押え部材の裏側に隠蔽することができる。
【0015】
この場合、機能液タンクから供給された機能液を、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに減圧供給することが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドを定期的に交換しても、圧力調整弁は、分解メンテナンスにより、繰返し使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付した図面を参照して、本実施形態に係る圧力調整弁について説明する。この圧力調整弁は、カラーフィルタなどを製造する液滴吐出装置の機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給するチューブに介設されており、機能液滴吐出ヘッドに機能液を大気圧基準(一定圧)で減圧供給するものである。
【0018】
図1に示すように、圧力調整弁1は、主要部を成す調整弁本体2と、調整弁本体2の流入側に差込み接合した流入コネクタ(管継手)3と、調整弁本体2の流出側に差込み接合した流出コネクタ(管継手)4と、を備えている。そして、流入コネクタ3には、押えナット107を介して、図外の機能液タンクに連なるチューブ5が接続され、同様に流出コネクタ4には、押えナット107を介して、図外の機能液滴吐出ヘッドに連なるチューブ5が接続される。
【0019】
図2および図3に示すように、調整弁本体2は、略円板状で、かつ前面および後面の中央部が凹型形成されたバルブケーシング11と、バルブケーシング11と共に1次室12を画成する蓋体14と、バルブケーシング11に受圧膜体61を固定することでバルブケーシング11と共に2次室13を画成する膜体押え部材71と、で構成されており、バルブケーシング11、蓋体14および膜体押え部材71は、ステンレス等の耐食性材料で形成されている。また、バルブケーシング11の中心部には、1次室12および2次室13を連通する連通流路15が形成されている。
【0020】
膜体押え部材71および蓋体14は、バルブケーシング11に対し、前後方向から挟み込むようにねじ止めして組み込まれており(図示省略)、いずれも円形の受圧膜体61の中心を通る軸線と同心円となる円形の外形を有している。バルブケーシング11および膜体押え部材71は、受圧膜体61の周縁部およびシールリング53を挟込み込んで相互に液密に突合せ接合されている。同様に、蓋体14は、シールリング18を介してバルブケーシング11に対し相互に液密に突合せ接合されている。これにより、1次室12および2次室13は、液密に保持されている。
【0021】
1次室12は、バルブケーシング11の後面と、バルブケーシング11の開放端を閉蓋する蓋体14とにより、受圧膜体61と同心となる略円柱形状に形成されている。また、1次室12の上部には、1次室12から径方向斜めに延びる流入ポート(接続ポート)16が形成され、中心部には、連通流路15に連なる1次室側開口部17が開口している。そして、この1次室側開口部17には、1次室12側から連通流路15を開閉する弁体81が臨む一方、これに対応して、1次室側開口部17の周縁部により、弁体81が離接する弁座が構成されている。また、弁体81は、これと蓋体14との間に介設した弁体付勢ばね19によって、閉弁方向(2次室13側)に弱い力で付勢されている。
【0022】
流入ポート(接続ポート)16は、流入コネクタ3が差込み接合される接合受け部21と、接合受け部21に連なり、フィルタ24を収容するフィルタ収容部22と、フィルタ収容部22と1次室12とを連通する流入流路部23と、から構成されている。接合受け部21には、後述する流入コネクタ3の接続口部104が差し込み接合される(詳細は、後述する。)。フィルタ収容部22には、フィルタ24が、流入コネクタ3との間に介設した押えばね25に付勢された状態で収容されている。また、流入流路部23は、流入ポート16に対し1次室12側に偏って形成されている。
【0023】
フィルタ24は、円形ステンレス製のフィルタエレメント31と、フィルタエレメント31をセットする受けホルダ32と、フィルタエレメント31を押える押えホルダ33とで構成され、フィルタ収容部22の当接段部26に着座するように設けられている。そして、上記の押えばね25およびフィルタ24は、流入コネクタ3を引抜くことで、取り出し得るようになっている。
【0024】
2次室13は、バルブケーシング11の前面と、バルブケーシング11の開放端を閉蓋する受圧膜体61と、で円錐台形状に形成されており、受圧膜体61は、膜体押え部材71によりバルブケーシング11に取り付けられている。具体的には、2次室13は、バルブケーシング11に凹型形成した内面壁41と受圧膜体61とによって、全体として受圧膜体61を底面とする円錐台形状に形成されている。また、2次室13の下部には、2次室13から真下に延びる流出ポート(接続ポート)42が形成され、中心部には、連通流路15に連なる2次室側開口部43が開口している。そして、この2次室側開口部43の周縁部と後述する受圧膜体61との間には、受圧膜体61を前方向に向かって付勢する膜体付勢ばね44が介設されている。
【0025】
図3に示すように、バルブケーシング11の前面周縁部であるリング状端面51には、断面矩形の環状溝52が形成され、環状溝52には、リング状端面51と受圧膜体61との間をシールする上記のシールリング53が装着されている。また、リング状端面51における環状溝52の外側には、膜体押え部材71を取り付けるための複数の取付けネジ73が螺合するねじ孔54が複数(6個)形成されている。
【0026】
受圧膜体61は、樹脂フィルムで構成した膜体本体62と、膜体本体62の中央部に接着した樹脂製の受圧板63とで構成されている。膜体本体62(受圧膜体61)の周縁部には、バルブケーシング11のねじ孔54に対応する部位に複数(6個)の切抜き孔64が形成されている。受圧板63は、膜体本体62と同心の円板状に、且つ膜体本体62に対し十分に小さい径に形成されており、その中央に上記の弁体81が離接するようになっている(図2参照)。
【0027】
膜体押え部材71は、バルブケーシング11のリング状端面51と同じ大きさのドーナツ状に形成されており、その周縁部には、ねじ孔54および切抜き孔64に対応する部位に複数(6個)のバカ孔72が形成されている。これにより、環状溝52にシールリング53を装着したバルブケーシング11のリング状端面51に受圧膜体61をセットし、これに膜体押え部材71を複数本の取付けネジ73でねじ止めすることで、2次室13が構成される。
【0028】
弁体81は、弾性材で構成され、弁の機能を奏するリング状の弁体本体82と、弁体本体82保持する弁ホルダ83と、を備えている。弁体本体82は、弁座となる1次室側開口部17の周縁部に離接することで連通流路15を開閉する。また、弁ホルダ83は、連通流路15を挿通する軸部84を有しており、この軸部84の先端が上記の受圧板63に当接するようになっている(図2参照)。
【0029】
図4に示すように、流出ポート(接続ポート)42は、流入ポート16と同様の形態を有しており、流出コネクタ4が差込み接合される接合受け部21と、接合受け部21と2次室13とを連通する流出流路部91と、から構成されている。接合受け部21には、流出コネクタ4の接続口部104が差し込み接合される(詳細は、後述する)。
【0030】
このように構成された圧力調整弁1では、例えば機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出により2次室13の圧力が下がってゆくと、大気圧により受圧膜体61が凹変形してゆき、受圧板63が弁体81を押す。これにより、弁体81が開弁し、連通流路15を介して1次室12から2次室13に機能液が流入する。機能液の流入がすすむと、やがて2次室13の圧力が高まってゆき、受圧膜体61が外部に向かって凸変形してゆく。これにより、受圧板63が弁体81から離れるように前進し、同時に弁体81が前進して閉弁する。
【0031】
すなわち、圧力調整弁1は、大気圧と機能液滴吐出ヘッドに連なる2次室13との内部圧力のバランスにより受圧膜体61が変形することで連通流路15を開閉する。その際、弁体付勢ばね19および膜体付勢ばね44に力が分散して作用し、且つ弁体本体82の弾性力により、弁体81は極めてゆっくり開閉動作する。このため、弁体81の開閉による圧力変動(キャビテーション)が抑制され、機能液滴吐出ヘッドの吐出駆動に影響を与えないようになっている。もちろん、1次室12側で発生する脈動等も、弁体81で縁切りされるため、これを吸収(ダンパー機能)することができる。
【0032】
ここで、図5および図6を参照して、流入ポート(接続ポート)16廻りおよび流出ポート(接続ポート)42廻りについて詳細に説明する。上記したように、流入コネクタ(接続口部104)3は、流入ポート16に差し込み接合され、同様に、流出コネクタ(接続口部104)4は、流出ポート42に差し込み接合されている。流入ポート16および流出ポート42は、機能液の流れ方向とフィルタ24の有無とにおいて異なるが、接合部分の基本形態は同一であるため(図5参照)、以下、流入ポート16廻りを例に説明を進める。
【0033】
上述したように、流入ポート16は、先端側から接合受け部21、フィルタ収容部22および流入流路部23を有しており、接合受け部21には、流入コネクタ3の接続口部104が差込み接合され、フィルタ収容部22には、押えばね25に付勢された状態でフィルタ24が収容されている。また、流入コネクタ3の接続口部104と流入ポート16の接合受け部21との間には、Оリング(シールリング)113が介設され、流入コネクタ3と流入ポート16との接合部分がシールされている。さらに、流入コネクタ3と流入ポート16との接合部分には、流入ポート16を貫通し、流入コネクタ3の接続口部104に係止される一対の抜止めピン(抜止め部材125)127,127が装填されている(図6参照)。
【0034】
流入コネクタ3は、チューブ5の端部が差し込まれるチューブ接続部101と、チューブ接続部101に連なる雄ねじ部102と、雄ねじ部102に連なるコネクタ本体103と、コネクタ本体103に連なる接続口部104と、で一体に形成されている。流入コネクタ3の軸心には、コネクタ流路105が形成され、コネクタ流路105の下流端部は、円錐台形状に拡開形成されている。そして、この拡開部分が、流入ポート16のフィルタ収容部22に連通し、またこの部分が押えばね25を受けるばね受け部106となっている。
【0035】
チューブ5は、チューブ接続部101に差し込まれ、この差込み部分を覆うように雄ねじ部102に螺合した押えナット107により、強固に接続される。一方、コネクタ本体103の軸方向の端部外周面には、フランジ状の環状ストッパ111が突設されており、流入ポート16に差込み接合した流入コネクタ3は、この環状ストッパ111が流入ポート16の先端に突き当たることで、差込み深さが規制される。接続口部104の先端部には、幾分細径に形成した外面環状段部112が形成され、この部分に上記のОリング113が装着されている。また、接続口部104の基部側には、その外周面に、接線方向に延在する弦状溝114が平行に2箇所(180度点対称位置)形成されている。両弦状溝114,114には、一対の抜止めピン127,127が装填されている(図5参照)。
【0036】
一方、流入ポート16の接合受け部21には、その先端部内周面に流入コネクタ3の差込みを案内する面取り形状の挿入ガイド部121が形成され、また基端部にОリング113を受ける内面環状段部122が形成されている。そして、接続口部104の基部側が接合受け部21の先端側に差し込まれ、この状態で、Оリング113を軸方向に挟みこむように、外面環状段部112と内面環状段部122とが対峙する。さらに、接合受け部21には、上記の抜止め部材125が装填される一対の装填孔123が貫通形成され、各装填孔123と上記の各弦状溝114とは、直線状(同軸上)に位置するようになっている。
【0037】
すなわち、装填孔123は、調整弁本体2の前後方向となるように流入ポート16を貫通しており、流入コネクタ3を差込み接合した両弦状溝114,114をこれに合せ込み、抜止め部材125を挿通装着するようになっている。この場合、各装填孔123は、各弦状溝114が臨む部分に対し前側の貫通孔と後側の貫通孔とから成り、前側の貫通孔には、いわゆる座ぐり穴126が形成されている。一方、装填孔123が形成されている部位は、リング状端面51の周縁部に切り込むように形成されており、座ぐり穴126の部分が、膜体押え部材71の縁部とオーバーラップしている。
【0038】
各抜止めピン127は、座ぐり穴126に対応して、段付きのピンで構成されており、調整弁本体2の前側から装填される。装填した抜止めピン127は、装填孔123に貫通し支持され、弦状溝114を係止する。これにより、流入コネクタ3は、流入ポート16に抜止め状態で且つ回止め状態で接合される。また、装填した抜止めピン127には、バルブケーシング11にねじ止めした膜体押え部材71の縁部がオーバーラップし、抜止めピン127の抜け落ちを防止すると共に、抜止めピン127を隠蔽する。
【0039】
流入コネクタ3を流入ポート16に差込み接合する場合には、まず流入コネクタ3の外面環状段部112にОリング113を装着し、フィルタ24および押えばね25をフィルタ収容部22に投入する。ここで作業者は、流入コネクタ3を把持し、Оリング113の部分から挿入ガイド部121を案内にして流入ポート16に差し込んでゆく(回しながら差し込む)。環状ストッパ111が流入ポート16の先端に突き当ったら、装填孔123と弦状溝114とが合致するように、流入コネクタ3を調整(回転)し、差込み動作を終了する。続いて、各抜止めピン127を、その頭部が座ぐり穴126に没するように装填する。最後に、流入コネクタ3に対しチューブ5を接続し、押えナット107で固定する。
【0040】
ところで、圧力調整弁1には、機能液タンクからの水頭圧しかかからないため、通常、流入コネクタ3が流入ポート16から外れることはない。しかし、機能液タンク側のチューブ5がオペレータにより勢いよく引っぱられると、流入コネクタ3が勢いよく引き抜かれることになる。また、流入コネクタ3にチューブ5をねじ締めするときには、流入コネクタ3が流入ポート16に対して回転してしまう。抜止め部材125は、主にこのような非常の事態に備えたものであり、機能液の流入側および流出側の接続ポートに対する接続口部104の抜け・回転を有効に防止する。なお、圧力調整弁1と機能液滴吐出ヘッドが連通しているチューブ5に対しても同様である。
【0041】
以上の構成によれば、Оリング113を介して、流入コネクタ3の接続口部104を調整弁本体2の接続ポートに差込み接合し、抜止めピン127で固定するようにしているため、接合部分のシール性を保持することができると共に、流入コネクタ3の着脱をワンタッチで簡単に行うことができると共に、接合部分の耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】圧力調整弁の外観平面図である。
【図2】圧力調整弁を流入ポートの軸線方向に切断した縦断面図である。
【図3】圧力調整弁における2次室側の外環斜視図である。
【図4】圧力調整弁を流出ポートの軸線方向に切断した縦断面図である。
【図5】圧力調整弁の流入ポートと流出ポートを示すための断面図である。
【図6】流入ポート廻りについて示した断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…圧力調整弁 2…調整弁本体 3…流入コネクタ 4…流出コネクタ 5…チューブ 11…バルブケーシング 16…流入ポート 42…流出ポート 53…シールリング 61…受圧膜体 71…膜体押え部材 104…接続口部 112…外面環状段部 114…弦状溝 121…挿入ガイド部 122…内面環状段部 123…装填孔 125…抜止め部材 127…抜止めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を大気圧基準で減圧供給する調整弁本体に、チューブ接続用の管継手を接合して成る圧力調整弁であって、
前記調整弁本体のバルブケーシングに形成した雌型の接続ポートと、
前記管継手に形成され、前記接続ポートに差込み接合される雄型の接続口部と、
前記接続口部の外周面と前記接続ポートの内周面との間に介設したシールリングと、
前記接続口部の前記接続ポートからの抜け落ちを阻止する抜止め部材と、を備えたことを特徴とする圧力調整弁。
【請求項2】
前記シールリングは、硬質のOリングで構成され、
前記接続口部は、先端部に前記シールリングが装着される外面環状段部を有し、
前記接続ポートは、基端部に前記シールリングを受ける内面環状段部を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項3】
前記接続ポートは、先端部に、前記シールリングを装着した前記接続口部の差し込みを案内する面取り形状の挿入ガイド部を有していることを特徴とする請求項2に記載の圧力調整弁。
【請求項4】
前記接続口部は、外周面の接線方向に延在する弦状溝を有し、
前記接続ポートは、前記弦状溝の延長上に位置する装填孔を有し、
前記抜止め部材は、前記弦状溝および前記装填孔に装填される抜止めピンで構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力調整弁。
【請求項5】
前記装填孔は、座ぐり穴付の貫通孔で構成され、
前記抜止めピンは、前記装填孔に対応する段付のピンで構成され、
前記バルブケーシングには、大気圧を導入するための受圧膜体を押さえる膜体押え部材がねじ止めされ、
前記膜体押え部材の周縁部は、前記抜止めピンの抜け落ちを阻止するように前記抜止めピンとオーバーラップして配設されていることを特徴とする請求項4に記載の圧力調整弁。
【請求項6】
機能液タンクから供給された機能液を、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに減圧供給することを特徴とする請求項5に記載の圧力調整弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−210008(P2009−210008A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52918(P2008−52918)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】