説明

圧縮機内のサージを検出しサージマージンを再配置するデバイスおよび方法

【課題】圧縮機の吐出圧力の展開パターンに基づいてサージ現象を検出し、サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に相対してサージマージンを再配置する、方法、システム、およびコントローラを提供すること。
【解決手段】コントローラは、吐出圧力の値を圧縮機から受け取り、信号および警告を出力するように構成されたインターフェースと、インターフェースに接続されるとともに、吐出圧力、吐出圧力の割合、および割合の変化率の展開に基づいて、圧縮機内のサージ現象を検出するように構成されたサージ現象検出ユニットと、サージ現象検出ユニットおよびインターフェースに接続されるとともに、サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に相対してサージマージンを再配置するように構成されたサージマージン再配置ユニットとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、全体として、吐出圧力の展開のパターン認識に基づいて、サージ現象の発生が検出された後、サージマージンを再配置する方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、半径流負荷吸収(work−absorbing)ターボ機械の一種である。遠心圧縮機では、圧縮機のロータまたはインペラの回転を通して、流体の連続流に運動エネルギー/速度を加えることによって圧力が増大する。遠心圧縮機は、生産地から消費者へとガスを移動させる天然ガスのパイプライン輸送、製油所、冷凍システム、ガスタービンなどで使用される場合が多い。
【0003】
遠心圧縮機の動作は、サージの発生に影響を受けることがある。圧縮機を通過する流体流の圧力は、圧縮機の入力側におけるサージ圧力から圧縮機の出力側における吐出圧力まで増加する。圧縮機がシステム抵抗を上回るのに十分なエネルギーを加えることができないと、サージ現象が発生し、結果として流れが急速になるとともに吐出圧力が減少する。サージには、高振動、温度上昇、および軸スラストの急激な変化が伴うことがある。これらの影響によって圧縮機が損傷することがある。圧縮機を含むほとんどのシステムは、偶発的なサージングに耐えるように設計される。しかし、サージが繰り返され長期間続くことによって壊損につながることがある。
【0004】
サージ現象中のシステム動作は不安定である。したがって、技術者は、圧縮機に入力される流体の圧力と圧縮機から吐出される流体の圧力との比、制御することができる流体流または他のパラメータを調節することによって、圧縮機の安定限界から遠ざけて圧縮機を動作させようとする。サージマージンは、圧縮機の動作状態がサージ状態にどれくらい接近しているかの基準となる。サージマージンを評価するのに様々なパラメータが使用されてもよい。例えば、サージマージンは、技術者が安全であると見なす(すなわち、サージが発生することが予期されない)圧縮機に入力される流体流と、サージが発生する傾向があるサージ流体流との比であってもよく、流体流を除いて他のすべての動作条件(例えば、サージ圧力と吐出圧力との比)は同じである。
【0005】
図1は、エキスパンダ10および圧縮機20を含む従来システム1の図を示す。従来システム1は、圧縮機20の出力32から圧縮機20の入力34までの流路を提供する、耐サージ流れ再循環ループ30を含む。耐サージ流れ再循環ループ30に沿って、サージ検出器40および耐サージバルブ50が位置する。耐サージ流れ再循環ループ30はまた、ガス冷却機60および流れ要素70を含んでもよい。
【0006】
耐サージバルブ50の動作状態に応じて、ガス流は、圧縮機20の出力32から圧縮機20の入力34まで再循環されてもよい。検出器がサージ傾向を検出すると、耐サージバルブ50が動作して、サージ傾向を反転させるように流れを調節することによってサージサイクルを断ち切る。従来、耐サージ制御およびサージ検出は独立している。従来のサージ検出は単にシステムをトリップさせるものであることがある。
【0007】
サージショットは、サージ傾向の発生によって特徴付けられる現象である。サージ現象の影響が壊滅的であるという可能性により、あらゆるサージ現象の発生を回避するのに十分なサージマージンを有してシステムを動作させることが望ましい。
【0008】
サージ検出器40は、圧縮機20の出力32で吐出圧力(Pd)を監視することによって、サージ傾向の発生を検出してもよい。従来、吐出圧力が急速に減少するとサージ傾向が検出される(すなわち、吐出圧力の時間に対する一次導関数に基づく)。吐出圧力の一次導関数は図1のサージ検出器40内で機械的に計算されるが、あるいは、図2に関して後述される電子サージ検出器での信号処理に基づいて電子的に得られてもよい。
【0009】
図2は、従来の電子サージ検出器100のブロック図を示す。吐出圧力(V)は計算ブロック110に、かつ加算/減算ブロック120に入力される。時定数(T)も計算ブロック110に入力される。計算ブロック110は、時定数Tとともに一次遅れフィルタを使用して得られた吐出圧力(V)に比例した値を出力する。
【0010】
加算/減算ブロック120は、吐出圧力をブロック110によって出力された値から減算し、−PdTs/(1+Ts)に等しい値(A)(ラプラス変換命名法によって表現される)を比較ブロック130に出力する。比較ブロック130は、ブロック120から受け取った値(A)が、比較ブロック130に別個に入力される予め定められた値(B)よりも大きい場合、イベントカウンタブロック140に信号を送る。
【0011】
イベントカウンタ140は、予め定められた時間間隔(T3surge)内で比較ブロック130から受け取った、サージショットを表す多数の信号を追跡し、その値はイベントカウンタ140に別個に入力される。予め定められた時間間隔(T3surge)に等しい期間の間に2つ以上のサージショットが発生する場合、イベントカウンタ140は警告信号を出力する。予め定められた時間間隔(T3surge)に等しい期間の間に3つ以上のサージショットが発生する場合、イベントカウンタ140は、システムの緊急トリップ(すなわち、停止)を知らせるトリップ信号を出力する。
【0012】
従来のサージ検出は、サージショット検出が瞬間的な吐出圧力の傾斜(すなわち、吐出圧力の一次導関数)のみに依存するという欠点を有する。しかし、一般的にはサージ傾向の後に発生する吐出圧力対時間パターンは、より複雑な特徴を有する。例えば、比較的短時間で吐出圧力が急激に降下した後、最小圧力値に達し、次に吐出圧力が再び増加する。このサージパターンの従来の認識は、サージショットの始めにおける吐出圧力の一次導関数のみを考慮するという理由で劣っている。
【0013】
それに加えて、従来のシステムは、誤って構成されたサージラインに基づいて耐サージコントローラが動作する場合に回復動作を提供せず、従来のシステムの唯一の応答はシステムをトリップさせることである。例えば、マージンが実際のサージラインに対して低すぎる設定の場合、ループ30を介した耐サージ制御は圧縮機を通る最小限の安全な流れを維持することができず、耐サージバルブ50の閉止率にも依存した頻度でサージ傾向サイクルが発生することがある。
【0014】
従来システム1の別の欠点は、吐出圧力の時間導関数に適用される増幅が、サージショットの発生を判断するのに使用される予め定められた閾値に関することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、上述の課題および欠点を回避するシステムおよび方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
例示的な一実施形態によれば、流体輸送システムは、(a)通過する流体流の圧力を増加させるように構成された圧縮機と、(b)圧縮機を通過する流体流の一部を圧縮機の吐出出力から圧縮機の入力へと選択的に方向付け直すように構成された耐サージ流れ再循環ループと、(c)耐サージ流れ再循環ループおよび圧縮機に接続されたコントローラであって、(i)圧縮機の吐出圧力、吐出圧力の割合、および吐出圧力の割合の変化率の展開に基づいてサージ現象を検出し、(ii)サージ現象の始まりに記録されるサージパラメータ値に基づいて、流体輸送システムの動作を特徴付けるサージマージンを再配置するように構成されたコントローラとを含む。
【0017】
例示的な一実施形態によれば、圧縮機を含む流体輸送システムのための方法は、(i)圧縮機の吐出圧力の割合および吐出圧力の割合の変化率に基づいて、サージ現象の始まりを検出するステップと、(ii)サージ現象の始まりの後、吐出圧力が予期される低吐出圧力値未満に減少するまで圧力を監視するステップと、(iii)吐出圧力が予期される低吐出圧力値未満に減少した後、吐出圧力の割合が正になったときサージ現象の終わりを検出するステップと、(iv)サージ現象の終わりの後、サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に基づいてサージマージンを再配置するステップとを含む。
【0018】
別の実施形態によれば、コントローラは、(i)圧縮機から吐出圧力の値を受け取り、信号および警告を出力するように構成されたインターフェースと、(ii)インターフェースに接続されるとともに、吐出圧力、吐出圧力の割合、および割合の変化率の展開に基づいて、圧縮機内のサージ現象を検出するように構成されたサージ現象検出ユニットと、(iii)サージ現象検出ユニットおよびインターフェースに接続されるとともに、サージ現象検出ユニットが展開中にサージ現象のパターンを検出した後、サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に相対してサージマージンを再配置するように構成されたサージマージン再配置ユニットとを有する。
【0019】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、1つまたは複数の実施形態を例証し、明細書と併せてそれら実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】圧縮機および機械的サージ検出器を含む従来システムの概略図である。
【図2】従来の電子サージ検出器のブロック図である。
【図3】サージ傾向が発生するときの吐出圧力の展開を示すグラフである。
【図4】一実施形態による圧縮機を含むシステムの概略図である。
【図5】一実施形態による、サージを検出しサージマージンを再配置する方法の流れ図である。
【図6】一実施形態によるサージ現象の始まりを検出する流れ図である。
【図7】例示的な一実施形態による、サージ現象中の吐出圧力の一次導関数、吐出圧力の二次導関数、および初期値からの吐出圧力の偏差の展開を表すグラフである。
【図8】例示的な一実施形態による、サージ現象の始まりの検出を実行する電子回路のブロック図である。
【図9】例示的な一実施形態による、吐出圧力の減少を監視する流れ図である。
【図10】例示的な一実施形態による、減少する吐出圧力の監視を実行する電子回路のブロック図である。
【図11】例示的な一実施形態による、吐出圧力の一次導関数が吐出圧力の増加を示唆するときにサージ現象の終わりを検出する流れ図である。
【図12】例示的な一実施形態による、吐出圧力の一次導関数が吐出圧力の増加を示唆するときにサージ現象の終わりの検出を実行する電子回路のブロック図である。
【図13】例示的な一実施形態による、サージマージンの再配置を実行する電子回路のブロック図である。
【図14】例示的な一実施形態によるコントローラのブロック図である。
【図15】例示的な一実施形態による、圧縮機を含むシステムでのサージ現象の取扱いに対する影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的実施形態の以下の記載は添付図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は同じまたは類似の要素を特定する。以下の詳細な説明は本発明を限定しない。その代わりに、本発明の範囲は添付の請求項によって定義される。以下の実施形態は、単純にするため、圧縮機および耐サージ流れ再循環ループを含むガスシステムの用語および構造に関連して考察される。しかし、以下に考察される実施形態はこれらのシステムに限定されず、ターボ機械の繰り返されるサージサイクルを回避することを必要とする他のシステムに適用されてもよい。
【0022】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」または「一実施形態」に対する言及は、ある実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所に登場する、「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な形で組み合わされてもよい。
【0023】
図3は、サージ傾向が発生するときの吐出圧力の展開を示すグラフである。以下の記載では、サージ現象とはサージ傾向が観察された後の展開を指す。当業者であれば、耐サージバルブの開放によってサージ傾向が反転することを理解する。
【0024】
サージ現象は、サージ現象中の吐出圧力(Pd)の展開を表すパターンの特徴に基づいて特定されてもよい。サージ現象の始まり200では、吐出圧力は急速に減少する。吐出圧力の割合は絶対値単位で増加する(吐出圧力は減少するので実際の値は負である)。吐出圧力の割合の変化率も絶対値単位で増加している(これは負なので実際の値は増加する)。
【0025】
したがって、サージ現象中、吐出圧力は時間間隔Δtdropの間、量Δpdだけ降下する。圧力降下の量Δpdは、サージの始まりにおける吐出圧力と吸気圧力(すなわち、圧縮機の吸気口の圧力)との間の差の既知の百分率(例えば、12%)程度であってもよい。耐サージ流れ再循環ループの存在を考えると、吐出圧力が低期待値210よりも大幅に減少することは予期されない。吐出圧力が降下し始めてから吐出圧力が増加し始めるまでの時間間隔Δtdropも、通常、既知の時間値程度、例えばサージ現象が観察され始めてから2.5sである。予め定められた時間間隔(既知の値より大きい)の間、吐出圧力が吐出圧力の低期待値よりも低く落ち込まない場合、システムは、マージンの再配置を必要とするサージ現象は発生していないと見なしてもよい。
【0026】
最小値に達した後、吐出圧力は増加する(例えば、220)。吐出圧力が増加すると、吐出圧力の割合は正になる。
【0027】
図4は、例示的な一実施形態による、エキスパンダ410および圧縮機420を含むシステム400の概略図である。システム400は、圧縮機420の出力432から圧縮機420の入力434までの流路を提供する、耐サージ流れ再循環ループ430を含む。
【0028】
圧縮機の出力432における吐出圧力の展開に基づいて、コントローラ440はサージ現象を検出する。コントローラ440は、吐出圧力の展開の多数の特徴を検証してもよい。例えば、コントローラ440は、吐出圧力の割合が予め定められた値を超過すると、吐出圧力の割合の変化に従って高速で低下する、サージ現象の始まりを検出してもよい。次に、コントローラ440は、吐出圧力が低期待値よりも低くなるまで、吐出圧力および吐出圧力の割合を監視してもよい。次に、コントローラ440は、割合が正になったときサージ現象の終わりを検出してもよい。サージ現象に続いて、コントローラ440は、再配置警告信号を出力し、圧縮機の動作に対する新しいサージマージン値を提供してもよい。
【0029】
サージ傾向が発生すると、耐サージ流れ再循環ループ430上の耐サージバルブ450が開いて、サージ傾向を反転させる。耐サージ流れ再循環ループ430はまた、ガス冷却機460および流量測定要素470を含んでもよい。
【0030】
図5は、別の実施形態によるサージ検出およびマージン再配置の方法500の流れ図を示す。ステップS510で、サージ現象の始まりは、吐出圧力の割合および吐出圧力の割合の変化率の値に基づいて検出される。ステップS520で、圧力が低期待値未満に低下するまで、吐出圧力の減少が監視される。ステップS530で、吐出圧力の割合が吐出圧力の増加を示唆すると、サージ現象の終わりが検出される。
【0031】
したがって、ステップS510、S520、およびS530は、サージ現象中の吐出圧力の展開を認識する。ステップS540では、サージの再発生を回避するためにサージマージンが再配置される。
【0032】
サージ傾向の発生に対する応答によってのみ(例えば、図2の従来の電子サージ検出器の場合、3回のショット後に)システムをトリップさせていた従来の方策と比較して、本項に記載される様々な実施形態による方法およびシステムのいくつかでは、サージマージンが再配置され、その再配置によって別のサージ現象が発生する傾向が小さくなる(再配置されたマージンは初期のサージマージンよりもサージラインから遠いため)。
【0033】
それに加えて、サージ傾向のみが特定される(すなわち、サージショット)従来の方策と比較して、様々な実施形態による方法およびシステムのいくつかでは、サージ現象の始まりは、吐出圧力、吐出圧力の割合、および割合の変化率の展開を使用して特定され、次に、予期される低圧力値未満に減少するまで吐出圧力が監視され、吐出圧力の割合が正になったときサージ傾向の反転が観察される。したがって、吐出圧力の展開パターンの複数の特徴が認識される。
【0034】
図6は、一実施形態によるサージ現象の始まりを検出する流れ図である。図6に示されるステップは、図5の方法におけるステップS510の可能な実現例と見なされてもよい。S552で、割合D1および変化率D2が計算される。
【0035】
割合D1は吐出圧力の時間単位の変動を表す。一実施形態では、割合D1は、吐出圧力の時間に対する一次導関数として計算されてもよい。代替実施形態では、雑音除去一次フィルタを伴う割合D1を、吐出圧力のラプラス変換Pd(s)を使用して計算し、伝達関数s/(s+1)を乗算して、D1=Pd×s/(s+1)としてもよい。
【0036】
変化率D2は割合D1の時間単位の変動を表す。一実施形態では、割合率D2は、吐出圧力の時間に対する二次導関数として計算されてもよい。代替実施形態では、変化率D2は、二次雑音除去フィルタを使用して計算されてもよい。
【0037】
サージ現象が発生し得るかを判断するため、S554で、割合D1が最大率(MaxRate)の分画kと比較される(吐出圧力は減少するので、kおよびMaxRateが正の値の場合、負の符号が使用される)。分画kおよび最大率(MaxRate)は予め定められた値を有する。例えば、分画kは約60%であってもよい。サージ現象が発生すると、吐出圧力は急速に減少する。割合D1が最大率の分画よりも大きいままの場合(S554のNO分岐)、吐出圧力はゆっくりと減少し、サージ現象は予期されない。
【0038】
割合D1が最大率の分画よりも小さい場合(S554のYES分岐)、S556で、変化率D2は最大率変化(MaxRateChange)と比較される。変化率D2が(−MaxRateChange)より大きいままである限り、サージ現象は予期されない(S556のNO分岐)。サージの始まりを示唆するD1の急な(すなわち、瞬間的な)高速の降下を検出するのに、二次導関数が使用される。
【0039】
変化率D2が最大率変化を超える場合(S556のYES分岐)、サージ現象が発生しやすく、S558で、吐出圧力pd、吸気圧力ps、およびサージパラメータParの現在値が、基準値Pd_F、Ps_F、およびPar_Fとして格納される。
【0040】
サージパラメータは、圧縮機を通る流れと、同じ圧縮機の圧力比でサージが発生することが知られている流れとの比であってもよい。サージパラメータのこの定義に基づいて、サージパラメータは、流れパラメータ対圧力比の二次元プロットのサージライン上にあるものである。サージマージンはサージパラメータの値であり、それよりも低いと、サージパラメータをサージマージン値で維持するため、耐サージ制御によって耐サージバルブが開く。
【0041】
図6に示されるステップS552、S554、S556、およびS558は、サージ現象の始まりの検出を実現する。
【0042】
吐出圧力ならびにその一次および二次導関数が、実際のサージ現象中どのように展開するかが図7に示される。図7のプロット線601は、吐出圧力の時間に対する一次導関数(すなわち、一実施形態によるD1)を(任意単位で)表す。図7のプロット線602は、吐出圧力の時間に対する二次導関数(すなわち、一実施形態によるD2)を(任意単位で)表す。図7のプロット線603は、初期吐出圧力の格納値からの吐出圧力の変動を(百分率で)表す。
【0043】
図8は、一実施形態による、サージ現象の始まりの検出を実行する回路700(電子、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせ)のブロック図である。ブロック710および720は、吐出圧力pdの入力値に基づいて、割合D1および変化率D2をそれぞれ計算する。ブロック730および740では、計算されたD1およびD2が、最大減少割合(−MaxRate)および最大減少変化率(−MaxRateChange)の分画Kとそれぞれ比較される。(i)割合D1が(−K×MaxRate)よりも低い場合、かつ(ii)変化率D2が(−MaxRateChange)よりも低い場合、回路750は回路760に信号を送って、吐出圧力pd、吸気圧力ps、およびサージパラメータParの現在値を、基準値pd_F、ps_F、およびpar_Fとして回路760に格納させる。
【0044】
図9は、一実施形態による、吐出圧力が低い予期圧力よりも低くなるまで吐出圧力の減少を監視する流れ図である。図9に示されるステップは、図5の方法におけるステップS520の可能な実現例と見なされてもよい。
【0045】
S782で、サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)を測定するように構成されたタイマが始動する。S784での比較が、サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)が予め定められた最大時間(MaxT)を超えていることを示す場合(すなわち、S784の分岐YES)、サージショットはそれ以上起こりにくいので、サージ検出論理がリセットされる。予め定められた最大時間(MaxT)はサージ現象の推定最大持続時間である。
【0046】
S784での比較が、サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)が予め定められた最大時間を超えていないことを示す場合(すなわち、S784の分岐NO)、S786で、割合D1が最大率(MaxRate)の分画fと比較される。割合D1が(−MaxRate×f)よりも低くなるまで(すなわち、S786の分岐YES)、ステップS784およびS786が行われる。次に、S788で、現在の吐出圧力pdが低い予期圧力と比較される。低い予期圧力は、吐出圧力の格納値Pd_Fと予期される最大圧力降下(MaxPFall)との間の差である。予期される最大圧力降下は、吐出圧力の格納値Pd_Fと吸気圧力の格納値Ps_Fとの間の差の予め定められた分画gであってもよい(例えば、予め定められた分画gは12%であってもよい)。
【0047】
S788での比較が、吐出圧力が低い予期値未満ではないことを示す場合(すなわち、S788の分岐NO)、Tsurge<MaxT以内でステップS784、S786、およびS788が再び行われる。吐出圧力が低い予期値よりも低い場合(すなわち、S788の分岐YES)、監視は完了する。
【0048】
図10は、一実施形態による、吐出圧力が低い予期される圧力よりも低くなるまで、吐出圧力の監視を実行する回路800(電子、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせ)のブロック図である。ブロック810は、サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)を測定し、時間が最大時間MaxTを超えないことを確保する。ブロック820は、吐出圧力pdの入力値に基づいて割合D1を計算する。例えば、D1は、吐出圧力pdのラプラス変換(Pd(s))を使用し、伝達関数s/(s+1)を乗算して計算されてもよい。別の実施形態では、D1は、吐出圧力pdの時間に対する一次導関数として計算されてもよい。
【0049】
ブロック830は、計算されたD1を、最大減少率(−MaxRate)の分画fと比較する。ブロック840は、吐出圧力の格納値Pd_Fと吐出圧力の現在値pdとの間の差を計算する。ブロック850は、ブロック840によって計算された差を、吐出圧力の格納値Pd_Fと吸気圧力の格納値Ps_Fとの間の差の分画gと比較する。TsurgeがMaxTよりも低く、D1が(−f×MaxRate)よりも低い場合、ブロック840は、ブロック810および830から信号を受け取り、ブロック870に信号を出力する。追加のブロック870が、ブロック840によって計算された差がg×(Pd_F−Ps_F)よりも高いことを示す信号をブロック850から受け取った場合、ブロック870は、吐出圧力の減少の監視を完了することを示す信号を出力する。
【0050】
図11は、割合D1が吐出圧力pdの増加を示すとき、サージ現象の終わりを検出し、新しいサージマージンを設定する流れ図である。図11に示されるステップは、図5の方法におけるステップS530およびS540の可能な実現例と見なされてもよい。
【0051】
S784に類似するステップS910は、サージ現象の推定される始まりからの時間(Tsurge)が、サージを検出する最大時間を超えているかを判断する。S910が、サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)が最大時間を超えていると判断した場合(すなわち、S910の分岐YES)、サージ検出は、サージショットにとって重要であると見なされる予め定められた時間よりも長く続いている。この状況では、方法が終了し、サージ検出論理がリセットされて、サージ傾向の発生を特定するため、吐出圧力の監視に戻る。
【0052】
サージ現象の始まりからの時間(Tsurge)が最大時間を超えていない場合(すなわち、S910の分岐NO)、ステップS920は、割合D1が正である(すなわち、0よりも大きい)かを判断する。割合D1が正である場合、吐出圧力は増加しており、それはサージ現象が終わりを迎えていることを意味する。サージ現象の完了はS930で指摘される。S940で、新しいサージマージンが設定される。
【0053】
図12は、吐出圧力の一次導関数が吐出圧力の増加を示唆するとき、サージ現象の終わりの検出を実行する回路950(電子、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせ)のブロック図である。ブロック952は、吐出圧力pdの入力値に基づいて割合D1を計算する。例えば、D1は、pdのラプラス変換を使用し、伝達関数s/(s+1)で乗算して計算されてもよい。D1の計算値が正(すなわち、0よりも大きい)の場合、ブロック954はブロック956に信号を出力する。ブロック956はタイマであり、それが出力する再配置信号は、マージンが再配置される予定であり、単なるスパイク(mere spike)に続いてそれが発生しないことを確保するのに十分に長い間(例えば、1秒)「True」のままである、ブロック954によって出力される信号である。
【0054】
サージ現象の終わりが検出されたので、次にサージマージンの再配置について考察する。図13は、サージマージンの再配置を実行する回路960(電子、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせ)のブロック図である。回路960は、図12のブロック956によって出力される再配置信号を受け取る。再配置信号を受け取るフリップフロップ回路962は、ブロック964による再配置警告の発行を始動させてもよい。ブロック968が再配置信号を受け取ると、ブロック966に格納された再配置マージンの前回値がセレクタ970に提供される。セレクタ970はまた、サージパラメータの格納値Par#Fをブロック972から受け取る。ブロック974は、再配置論理がマージン以外は増加させることができないことを確保するブロック976に公称マージンを提供する。再配置論理がアクティブにされると、セレクタ970は、1走査のみに対して入力1を選択する(970のsel1は、FalseからTrueへの再配置移行時のパルスである)。この1走査に対して、セレクタ970の出力はPar_F*1.21である(流れの10%がサージ限界を上回ることを意味する)。以降の走査で、sel1はFalseになるが、sel2はアクティブのままなので、先行する走査において計算されたマージンが維持される(970の入力2)。
【0055】
入力として、ラッチされた再配置論理ビットであるsel1、公称サージマージンであるCMD、および再配置されたマージンであるIn1を受け取る第2のセレクタ980は、新しいサージマージンを出力する。ブロック982は、新しいマージンの減少率を制限して、再配置論理がリセットされるとき(例えば、フリップフロップ回路962のR入力を介して)に、不安定または有害な一時的状態を生じさせる可能性がある急激な変化を伴わず、システムがブロック974に格納された公称マージンに向けて耐サージバルブを円滑に動作させることを確保する。
【0056】
図14は、別の実施形態によるコントローラ1000のブロック図である。コントローラ1000は、圧縮機から吐出圧力の値を受け取り、信号および警告を出力するように構成されたインターフェース1010を含む。コントローラ1000はさらに、インターフェースに接続され、吐出圧力、吐出圧力の割合、および割合の変化率の展開に基づいて、圧縮機内のサージ現象を検出するように構成されたサージ現象検出ユニット1020を含む。コントローラ1000はさらに、サージ現象検出ユニット1020およびインターフェース1010に接続され、サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に対してサージマージンを再配置するように構成されたサージマージン再配置ユニット1030を含む。サージマージン再配置ユニット1030の一実施形態は、図13の回路960であってもよい。
【0057】
サージ現象検出ユニットは、インターフェース1010に接続され、吐出圧力の割合および割合の変化率に基づいて、圧縮機内のサージ現象の始まりを検出するように構成された第1の回路1040を含んでもよい。第1の回路1040の一実施形態は、図8の回路700であってもよい。
【0058】
サージ現象検出ユニット1020はさらに、第1の回路1040およびインターフェース1010に接続され、吐出圧力が低い予期される吐出圧力よりも低くなるのを監視するように構成された第2の回路1050を含んでもよい。第2の回路1050の一実施形態は、図10の回路800であってもよい。
【0059】
サージ現象検出ユニット1020はさらに、第2の回路1050、サージマージン再配置ユニット1030、およびインターフェース1010に接続され、吐出圧力の割合が正になったときにサージ現象の終わりを検出するように構成された第3の回路1060を含んでもよい。第3の回路1060の一実施形態は、図12の回路950であってもよい。
【0060】
サージ現象検出ユニット1020はさらに、タイマ1070を含んでもよく、サージ現象が圧縮機にとって安全であると見なされる予め定められた時間よりも長く続く場合に警告を出力するように構成されてもよい。
【0061】
コントローラ1000はさらに、サージ現象検出ユニットおよび再配置ユニットに接続され、サージ現象検出ユニットがサージ現象の始まりを検出すると、吐出圧力、吸気圧力、およびサージパラメータの値を格納するように構成されたバッファ1080を含んでもよい。
【0062】
図15は、圧縮機を含むシステムにおけるサージ現象の取扱いに対する一実施形態の影響を示すグラフである。グラフのx軸は時間を表す。吐出圧力は線1090として表される。T1でサージ現象が始まり、吐出圧力の割合が増加する。この実施形態は、次に、吐出圧力pd、吸気圧力ps、およびサージパラメータParの現在値を凍結し、基準値Pd_F、Ps_F、およびPar_Fとして格納する。上述した様々な実施形態によれば、サージ現象中の吐出圧力の展開パターンが監視され、吐出圧力がT2で増加し始めると、これら実施形態はサージマージンの再配置に進む。例えば、図14の線1093によって示されるように、初期マージンが予期されるサージから10%に設定された場合、再配置されたマージンは、検出されたサージから10%であるようにしてT2で設定される。サージパラメータが予期されるサージ値の1.1倍の初期値を有するときにサージ現象が発生していると仮定すると、新しいサージマージンを設定した後、T2の後に、システムは予期されるサージ値の1.21倍ものサージパラメータなどで動作し、流れに関しては、初期値の1.1倍で動作する(流れはパラメータの平方根に比例する)。図15の線1095は再配置警告信号を示す。
【0063】
上述の例示的実施形態は、時間単位での吐出圧力のパターンの認識および監視に基づいて、サージ現象の特定を向上させる。サージ現象が、例えば耐サージバルブの状態を変化させて圧縮機を通る流体流を変更することによって克服されると、サージマージンは、サージ現象の再発生を回避するように修正される。
【0064】
したがって、サージ現象が発生した場合、実施形態は、システムをトリップさせることに加えてさらなる可能な応答を提供する。さらに、サージ現象の観察に基づいて格納された情報(例えば、格納値)は、システム動作を向上させるため、パラメータ(例えば、サージマージン)を調節するのに使用される。したがって、システムをトリップさせることしかできなかった従来のサージ検出と比較して、様々な実施形態によるサージ検出は、サージ現象の発生を防ぐことを目的とする、システムを動作させる方式の実質的な変化(すなわち、サージマージンの変化)のきっかけとなってもよい。
【0065】
開示される例示的実施形態は、サージ現象を検出し、サージ現象中の吐出圧力のパターンを監視し、続いてサージマージンを再配置するデバイスおよび方法を提供する。本明細書は本発明を限定しようとするものではないことを理解されたい。それとは逆に、例示的実施形態は、添付の請求項によって定義されるような本発明の趣旨および範囲内に含まれる、代案、修正、および等価物を包含するものとする。さらに、例示的実施形態の詳細な記載では、請求される本発明の包括的な理解のため、多数の特定の詳細が記述される。しかし、当業者であれば、様々な実施形態はそのような特定の詳細を伴わずに実施されてもよいことを理解するであろう。
【0066】
本発明の例示的実施形態の特徴および要素は、特定の組み合わせで実施形態に記載されるが、各特徴または要素は、実施形態の他の特徴および要素を伴わずに単独で、または本明細書に開示される他の特徴および要素を伴う、もしくは伴わない様々な組み合わせで使用することができる。
【0067】
本明細書は、開示される主題の実施例を使用して、あらゆるデバイスまたはシステムの作成および使用ならびにあらゆる組み込まれた方法の実施を含めて、当業者が当該主題を実施することを可能にする。特許性のある主題の範囲は請求項によって定義され、当業者には想起される他の実施例を含んでもよい。他のそのような実施例は請求項の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0068】
400 システム
410 エキスパンダ
420 圧縮機
430 耐サージ流れ再循環ループ
432 出力
434 入力
440 コントローラ
450 再循環バルブ
460 ガス冷却機
470 流量測定要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する流体流の圧力を増加させるように構成された圧縮機と、
前記圧縮機を通過する前記流体流の一部を前記圧縮機の吐出出力から前記圧縮機の入力へと選択的に方向付け直すように構成された耐サージ流れ再循環ループと、
前記耐サージ流れ再循環ループおよび前記圧縮機に接続されたコントローラであって、(i)前記圧縮機の吐出圧力、前記吐出圧力の割合、および前記吐出圧力の前記割合の変化率の展開に基づいてサージ現象を検出し、(ii)前記サージ現象の始まりに記録されるサージパラメータ値に基づいて、流体輸送システムの動作を特徴付けるサージマージンを再配置するように構成されたコントローラとを備える、流体輸送システム。
【請求項2】
前記コントローラが、
前記圧縮機内における前記吐出圧力、前記吐出圧力の前記割合、および前記吐出圧力の前記割合の前記変化率の減少に基づいて、前記サージ現象の始まりを検出し、
前記サージ現象の前記始まりの後、前記吐出圧力が予期される低吐出圧力値未満に減少するまで、前記吐出圧力を監視し、
前記吐出圧力が前記予期される低吐出圧力値未満に減少した後、前記吐出圧力の前記割合が正になったとき、前記サージ現象の終わりを検出することによって、前記サージ現象を検出するように構成された、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項3】
前記サージパラメータが前記圧縮機を通る前記流体流と関連する、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記圧縮機を出る前記流体流の前記吐出圧力、および前記吐出圧力の割合の展開に基づいて前記サージ現象を検出するように構成された、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項5】
前記コントローラがタイマを含み、予め定められた時間の間、前記タイマを使用して前記吐出圧力の展開を監視し、前記サージ現象が検出されなかった場合、前記予め定められた時間が経過した後に前記サージ現象の探索をリセットするように構成された、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項6】
前記サージマージンが変更されると、前記コントローラが再配置警告を発行する、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記サージマージンが定義されるサージパラメータが前記サージ現象の前記始まりに記録された前記サージパラメータ値よりも10%大きいままであるように前記流体輸送システムを動作させることを要求することによって、前記サージマージンを再配置するように構成された、請求項1記載の流体輸送システム。
【請求項8】
圧縮機の吐出圧力の割合および前記吐出圧力の前記割合の変化率に基づいて、サージ現象の始まりを検出するステップと、
前記サージ現象の前記始まりの後、前記吐出圧力が予期される低吐出圧力値未満に減少するまで前記吐出圧力を監視するステップと、
前記吐出圧力が前記予期される低吐出圧力値未満に減少した後、前記吐出圧力の前記割合が正になったとき前記サージ現象の終わりを検出するステップと、
前記サージ現象の前記終わりの後、前記サージ現象の前記始まりに記録されたサージパラメータ値に基づいてサージマージンを再配置するステップとを含む、圧縮機を含む流体輸送システムのための方法。
【請求項9】
圧縮機から吐出圧力の値を受け取り、信号および警告を出力するように構成されたインターフェースと、
前記インターフェースに接続されるとともに、前記吐出圧力、前記吐出圧力の割合、および前記吐出圧力の割合の変化率の展開に基づいて、前記圧縮機内のサージ現象を検出するように構成されたサージ現象検出ユニットと、
前記サージ現象検出ユニットおよび前記インターフェースに接続されるとともに、前記サージ現象検出ユニットが前記展開中にサージ現象のパターンを検出した後、前記サージ現象の始まりに記録されたサージパラメータ値に相対してサージマージンを再配置するように構成されたサージマージン再配置ユニットとを備える、コントローラ。
【請求項10】
前記サージマージン再配置ユニットが、前記サージマージンが定義されるサージパラメータが検出された前記サージ現象の始まりに記録された前記サージパラメータ値よりも10%大きいように前記流体輸送システムを動作させることを要求することによって、前記サージマージンを再配置するように構成された、請求項9記載のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−52542(P2012−52542A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−185515(P2011−185515)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【Fターム(参考)】