説明

圧電デバイスおよび電子機器

【課題】圧電デバイスの製造を容易なものとしつつ、小型化を図ることができる圧電デバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】内部端子対55が設けられたベース基板51と、ベース基板51に対して固定された圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられたIDT22と、圧電体基板21上に設けられ、IDT22に電気的に接続された引出電極対24とを備える弾性表面波素子片2と、内部端子対55の一方の端子と引出電極対24の一方の端子とに跨るように接合された第1の受動部品31と、内部端子対55の他方の端子と引出電極対24の他方の端子とに跨るように接合された第2の受動部品32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとしては、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)を利用した弾性表面波素子が知られている。
弾性表面波素子は、板状の圧電体基板と、この圧電体基板上に設けられたIDT(Interdigital Transducer)とを備える弾性表面波素子片を有している。
また、弾性表面波素子片の他に、能動機能を有するIC(集積回路)と、受動機能を有する受動部品とを備え、これらが発振回路を構成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような弾性表面波素子では、弾性表面波素子片、ICおよび受動部品がパッケージ内に収納されている。
【0003】
従来では、特許文献1に開示されているように、弾性表面波素子片と受動部品およびICをそれぞれワイヤーを介して電気的に接続している。
そのため、このような弾性表面波素子では、弾性表面波素子片を平面視したときに、弾性表面波素子片、受動部品およびICが互いに重ならないように配置しなければならないため、大型化を招くと言う問題があった。
また、従来では、前述したワイヤーをワイヤーボンディングにより形成するので、製造工程が複雑化すると言う問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−64868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、圧電デバイスの製造を容易なものとしつつ、小型化を図ることができる圧電デバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の圧電デバイスは、第1の端子対が設けられた基体と、
前記基体に対して固定された圧電体基板と、該圧電体基板上に設けられた櫛歯電極と、前記圧電体基板上に設けられ、前記櫛歯電極に電気的に接続された第2の端子対とを備える弾性表面波素子片と、
前記第1の端子対の一方の端子と前記第2の端子対の一方の端子とにそれぞれ電気的に接続された第1の受動部品と、
前記第1の端子対の他方の端子と前記第2の端子対の他方の端子とにそれぞれ電気的に接続された第2の受動部品とを有し、
前記第1の受動部品は、前記第1の端子対の一方の端子と前記第2の端子対の一方の端子とに跨るように接合され、
前記第2の受動部品は、前記第1の端子対の他方の端子と前記第2の端子対の他方の端子とに跨るように接合されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、圧電体基板を平面視したときに、第1の受動部品および第2の受動部品の一部がそれぞれ圧電体基板と重なるように配置される。その結果、圧電デバイスの小型化を図ることができる。
また、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合は、ワイヤーボンディングのような複雑な方法を用いることなく、簡単に行うことができる。そのため、圧電デバイスの製造を容易なものとすることができる。
【0008】
[適用例2]
本発明の圧電デバイスでは、前記第1の受動部品および前記第2の受動部品は、それぞれ、チップ部品であることが好ましい。
チップ部品は、表面実装が可能であるため、第1の端子対および第2の端子対に導電性接着剤にて簡単かつ確実に接合することができる。
【0009】
[適用例3]
本発明の圧電デバイスでは、前記チップ部品は、抵抗器、コンデンサ、コイルのうちのいずれかであることが好ましい。
これらの受動部品は、圧電デバイスの発振回路の一部を構成するものである。また、これらの受動部品は、ICのような電子部品(能動部品)内に組み込むことが難しいため、圧電デバイス内に発振回路を組み込む場合、ICのような電子部品とは別途圧電デバイスに搭載されることとなる。したがって、このような受動部品を第1の受動部品および第2の受動部品として用いることにより、圧電デバイス内に搭載される電子部品の実装面積を減らすことができる。その結果、圧電デバイスの小型化を効果的に図ることができる。
【0010】
[適用例4]
本発明の圧電デバイスでは、前記基体は、第1の面と、該第1の面よりも低い位置の第2の面とを形成する段差部を有し、
前記第1の端子対は、前記第1の面上に設けられ、
前記圧電体基板は、前記第2の面上に設けられ、
前記第2の端子対は、前記圧電体基板の前記第2の面とは反対側の面上に設けられていることが好ましい。
これにより、圧電体基板の厚さ方向における第1の電極対と第2の電極対との離間距離を小さくすることができる。そのため、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合を容易に行うことができる。
【0011】
[適用例5]
本発明の圧電デバイスでは、前記櫛歯電極は、前記圧電体基板の前記第2の面とは反対の面上に設けられていることが好ましい。
これにより、圧電体基板を基体上に設置した後においても、櫛歯電極に対して加工を施して弾性表面波素子片の周波数調整を行うことができる。
【0012】
[適用例6]
本発明の圧電デバイスでは、前記圧電体基板は、接着剤を介して前記第2の面に固定されていることが好ましい。
これにより、簡単かつ確実に、圧電体基板を基体に対して固定・支持することができる。また、圧電体基板を基体に対して固定・支持することにより、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合を安定化させることができる。このようなことから、圧電デバイスの信頼性を向上させることができる。
【0013】
[適用例7]
本発明の圧電デバイスでは、前記接着剤は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記第2の電極対の形成領域と重なる範囲に形成されていることが好ましい。
これにより、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合をより安定化させることができる。
【0014】
[適用例8]
本発明の圧電デバイスでは、前記接着剤は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記櫛歯電極と重ならない範囲に設けられていることが好ましい。
これにより、接着剤と弾性表面波素子片との間に生じた応力が櫛歯電極に悪影響を与えるのを防止することができる。そのため、圧電デバイスの振動特性を悪化させることがない。
【0015】
[適用例9]
本発明の圧電デバイスでは、前記段差部の高さは、前記圧電体基板の厚さと同等であることが好ましい。
これにより、第1の端子対と第2の端子対とを面一とする(同一面に沿って配置する)ことができる。特に、段差部の高さを圧電体基板の厚さと同等とすると、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合を安定的に行うことができる。
【0016】
[適用例10]
本発明の圧電デバイスでは、前記第1の受動部品と前記第1の端子対および前記第2の端子対との接合、および、前記第2の受動部品と前記第1の端子対および前記第2の端子対との接合は、それぞれ、導電性接着剤により行われていることが好ましい。
これにより、簡単かつ確実に、これらの接合を行うことができる。
【0017】
[適用例11]
本発明の圧電デバイスでは、前記弾性表面波素子片および前記受動部品を収納するパッケージを有し、
前記基体は、前記パッケージの一部を構成することが好ましい。
これにより、パッケージ化された小型な圧電デバイスを実現することができる。
【0018】
[適用例12]
本発明の圧電デバイスでは、前記第1の端子対の一方の端子は、前記第2の端子対の一方の端子近傍に設けられ、
前記第1の端子対の他方の端子は、前記第2の端子対の他方の端子近傍に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の受動部品および第2の受動部品の寸法がそれぞれ比較的小さくても、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合を行うことができる。
【0019】
[適用例13]
本発明の圧電デバイスでは、前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の両端子は、前記圧電体基板の1つの辺付近に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の受動部品および第2の受動部品により圧電体基板を片持ち支持することができる。そのため、圧電体基板の熱膨張による不本意な変形や歪みの発生を防止することができる。その結果、圧電デバイスの信頼性を向上させることができる。
【0020】
[適用例14]
本発明の圧電デバイスでは、前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の一方の端子は、前記圧電体基板の互いに対向する1対の辺の一方の辺付近に設けられ、前記第2の端子対の他方の端子は、前記圧電体基板の前記1対の辺の他方の辺付近に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の受動部品および第2の受動部品により圧電体基板を両持ち支持することができる。そのため、基体に対して圧電体基板を安定的に固定・支持することができる。
【0021】
[適用例15]
本発明の圧電デバイスでは、前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の一方の端子は、前記圧電体基板の1つの辺付近に設けられ、前記第2の端子対の他方の端子は、前記圧電体基板の前記1つの辺に隣接する辺付近に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の受動部品および第2の受動部品の互いに大きさが異なる場合においても、容易に、第1の受動部品および第2の受動部品と第1の端子対および第2の端子対との接合を行うことができる。
【0022】
[適用例16]
本発明の圧電デバイスでは、前記第1の受動部品および前記第2の受動部品に電気的に接続された能動部品を有することが好ましい。
これにより、圧電デバイスに発振回路を組み込むことができる。
[適用例17]
本発明の圧電デバイスでは、前記能動部品は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記第1の受動部品および前記第2の受動部品の少なくとも一部と重なるように配置されていることが好ましい。
これにより、発振回路が組み込まれた圧電デバイスの小型化を図ることができる。
[適用例18]
本発明の電子機器は、本発明の圧電デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧電デバイスを示す上面図である。
【図3】図2に示す圧電デバイスの部分拡大断面図である。
【図4】図1に示す圧電デバイスの回路構成を示す回路図である。
【図5】本発明の圧電デバイスの第2実施形態を示す上面図である。
【図6】本発明の圧電デバイスの第3実施形態を示す上面図である。
【図7】本発明の圧電デバイスの第4実施形態を示す上面図である。
【図8】本発明の圧電デバイスを備える電子機器(ノート型パーソナルコンピュータ)である。
【図9】本発明の圧電デバイスを備える電子機器(携帯電話機)である。
【図10】本発明の圧電デバイスを備える電子機器(ディジタルスチルカメラ)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の圧電デバイスおよび電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す圧電デバイスを示す上面図、図3は、図2に示す圧電デバイスの部分拡大断面図、図4は、図1に示す圧電デバイスの回路構成を示す回路図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0025】
(圧電デバイス)
まず、本発明の圧電デバイスについて説明する。
図1に示す圧電デバイス1は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)を利用した弾性表面波素子であって、発振回路が組み込まれたものである。
このような圧電デバイス1は、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4と、これらを収納するパッケージ5とを有している。
【0026】
以下、このような圧電デバイス1を構成する各部について詳細に説明する。
[パッケージ]
次に、パッケージ5について説明する。
パッケージ5は、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4を収納するものである。これにより、パッケージ化された小型な圧電デバイス1を実現することができる。
このようなパッケージ5は、図1、2に示すように、上方に開口するトレイ状のベース基板51と、ベース基板51の開口を塞ぐように設けられた板状の蓋部材52とを有している。本実施形態では、パッケージ5は、その平面視にて、略長方形状をなしている。
【0027】
ベース基板51と蓋部材52とは、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ5は、ベース基板51および蓋部材52で画成された内部空間Sに弾性表面波素子片2を収納している。
このようなベース基板51の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0028】
また、蓋部材52の構成材料としては、例えば、ベース基板51と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材52の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、弾性表面波素子片2をパッケージ5内に収容した後であっても、蓋部材52を介して、後述する弾性表面波素子片の圧電体基板21上の櫛歯電極22にレーザを照射し、その一部を除去して周波数調整を行うことができる。
また、ベース基板51の上面には、弾性表面波素子片2、能動部品4、内部端子対55および配線パターン(図示せず)が設けられている。
【0029】
より具体的に説明すると、ベース基板51の上面には、設置面(第1の面)58と、設置面58よりも低い位置の設置面(第2の面)59と、設置面58よりも高い位置の設置面61とを有している。
そして、設置面58と設置面59との間には、段差部57が形成され、また、設置面58と設置面61との間には、段差部60が形成されている。
【0030】
ベース基板51の設置面59には、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤54を介して、弾性表面波素子片2(より具体的には、後述する圧電体基板21)が固定されている。これにより、簡単かつ確実に、圧電体基板21をベース基板51に対して固定・支持することができる。また、圧電体基板21をベース基板51に対して固定・支持することにより、後述するような第1の受動部品31および第2の受動部品32と引出電極対24および内部端子対55との接合を安定化させることができる。このようなことから、圧電デバイス1の信頼性を向上させることができる。
【0031】
このように、設置面59上に弾性表面波素子片2(より具体的には、後述する圧電体基板21)を設けることにより、弾性表面波素子片2の上面(より具体的には、後述する圧電体基板21の上面)と、設置面58との上下方向での離間距離を小さくすることができる。すなわち、後述するように、引出電極対24を圧電体基板21の上面(前述した設置面59とは反対側の面)上に設けた場合、圧電体基板21の厚さ方向における内部端子対55と引出電極対24との離間距離を小さくすることができる。そのため、後述するような第1の受動部品31および第2の受動部品32と内部端子対55および引出電極対24との接合を容易に行うことができる。
【0032】
このような設置面58、59を形成する段差部57の高さは、後述する圧電体基板21の厚さと同等である。これにより、内部端子対55と引出電極対24とを面一とする(同一面に沿って配置する)ことができる。特に、段差部57の高さを圧電体基板21の厚さと同等とすると、第1の受動部品31および第2の受動部品32と第1の端子対および第2の端子対との接合を安定的に行うことができる。
【0033】
ここで、「段差部57の高さが圧電体基板21の厚さと同等」とは、段差部57の高さをD、圧電体基板21の厚さをTとしたときに、D/Tが0.9〜1.1であることを言う。
また、段差部57の高さは、圧電体基板21の厚さと接着剤54の厚さとの合計に等しくなるように設定される。
【0034】
本実施形態では、弾性表面波素子片2がIDT22等が形成された面を上側(蓋部材52側)にしてベース基板上に載置されている。なお、この接着剤54は、導電性粒子を含有した導電性接着剤であってもよい。
また、接着剤54は、後述する圧電体基板21を平面視したときに、後述する引出電極対24の形成領域と重なる範囲に形成されている。これにより、後述するような第1の受動部品31および第2の受動部品32と引出電極対24および内部端子対55との接合をより安定化させることができる。
また、接着剤54は、後述する圧電体基板21を平面視したときに、後述するIDT22と重ならない範囲に設けられている。これにより、接着剤54と圧電体基板21との間に生じる応力がIDT22に悪影響を与えるのを防止することができる。そのため、圧電デバイス1を振動特性に影響を与えることなく実装できる。
【0035】
本実施形態では、弾性表面波素子片2は、ベース基板51に対して接着剤54を介して片持ち支持されている。
また、ベース基板51の設置面58には、1対の内部端子55a、55bからなる内部端子対(第1の端子対)55が設けられている。ここで、ベース基板51は、パッケージ5の一部を構成するものであって、内部端子対55が設けられた基体である。
【0036】
本実施形態では、設置面58は、平面視にて、弾性表面波素子片2を囲むように環状をなし、その内周縁が矩形をなしており、内部端子対55は、設置面58の内周縁の4つの辺のうち、後述する弾性表面波素子片2の引出電極対24が設けられた辺に対応する辺付近に設けられている。
また、ベース基板51の設置面61には、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤56を介して、能動部品4が載置されている。これにより、能動部品4がベース基板51上に対して固定されている。
【0037】
このような能動部品4は、図示しないが、例えばワイヤーボンディングにより形成された金属ワイヤ(ボンディングワイヤー)を介して、前述した内部端子対55に電気的に接続された配線パターンの端子群(図示せず)に電気的に接続されている。なお、接着剤56および金属ワイヤに代えて、いわゆるフェイスダウンボンディングにより能動部品4をベース基板51上に固定するとともに端子群に電気的に接続してもよい。
【0038】
一方、ベース基板51の下面には、その四隅に位置するように4つの外部端子53a、53b、53c、53dが設けられている。
これら4つの外部端子53a〜53dのうち、外部端子53a、53bは、それぞれ、ベース基板51に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して、前述した内部端子対55に電気的に接続された配線パターン(図示せず)に電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子53c、53dは、それぞれ、パッケージ5を実装用基板上に実装するときに、接合強度を高めたり、パッケージ5と実装用基板との間の距離を均一化したりするためのダミー端子である。
【0039】
なお、2つの外部端子53c、53dは、必要に応じて、能動部品4に電気的に接続された配線パターン(図示せず)に外部端子53a、53bと同様に電気的に接続され、能動部品4の特性検査や、能動部品4内の各種情報(例えば、圧電デバイス1の温度補償情報)の書き換え(調整)を行うための書込端子として用いてもよい。
このようなベース基板51上に設けられた外部端子53a〜53bおよび配線パターン等は、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0040】
[弾性表面波素子片]
次に、弾性表面波素子片2について説明する。
本実施形態では、弾性表面波素子片(圧電振動片)2は、図1に示すように、圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられた励振電極としてのIDT(Interdigital Transducer:櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bとを有している。
【0041】
圧電体基板21は、水晶で構成されている。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料で構成されていてもよい。
本実施形態では、圧電体基板21は、平面視にて矩形(より具体的には長方形)をなしている。
【0042】
IDT22は、圧電体基板21の上面上に設けられている。このIDT22は、互いに平行な複数の電極指を有する1対の電極22a、22bで構成され、電極22aの複数の電極指と電極22bの電極指とが互いに噛み合うように配置されている。本実施形態では、各電極22a、22bの複数の電極指は、圧電体基板21の長手方向に配列されている。このようなIDT22の電極22a、22b間に周期的に変化する電圧が印加されると、圧電体基板21の圧電効果によって、電極22aの電極指と電極22bの電極指との間に周期的なひずみが生じ、圧電体基板21の上面付近に弾性表面波が励振される。励振した弾性表面波は、電極22a、22bの電極指の配列方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
このようにIDT22は、圧電体基板21の上面に設けられているので、圧電体基板21をベース基板51上に設置した後においても、加工を施して弾性表面波素子片2の弾性表面波の周波数調整を行うことができる。
【0043】
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
このようなIDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の長手方向の一端側(図2中右側の端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左側の端側)には、一対の引出電極24a、24bからなる引出電極対(第2の電極対)24が形成されている。引出電極24aは配線25aを介して電極22aに電気的に接続され、また、引出電極24bは配線25bを介して電極22bに電気的に接続されている。
【0044】
また、引出電極対24は、前述した内部端子対55の近傍に設けられている。すなわち、内部端子対55の内部端子55aは、引出電極対24の引出電極24a近傍に設けられ、内部端子対55の内部端子55bは、引出電極対24の引出電極24b近傍に設けられている。これにより、第1の受動部品31および第2の受動部品32の寸法がそれぞれ比較的小さくても、後述するように第1の受動部品31および第2の受動部品32と内部端子対55および引出電極対24との接合を行うことができる。
【0045】
本実施形態では、内部端子対55の内部端子55aの中心と引出電極対24の引出電極24aの中心とを結ぶ線分と、内部端子対55の内部端子55b中心と引出電極対24の引出電極24bの中心とを結ぶ線分とが平行となっている。
また、引出電極対24の両端子(両電極)は、圧電体基板21の1つの辺付近に設けられている。これにより、第1の受動部品31および第2の受動部品32により圧電体基板21を片持ち支持することができる。そのため、IDT22の電極指が並ぶ方向における圧電体基板21の熱膨張による不本意な変形や歪みの発生を防止することができる。その結果、圧電デバイス1の信頼性を向上させることができる。
【0046】
このようなIDT22、反射器23a、23b、引出電極24a、24bおよび配線25a、25bは、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた金属材料により形成することができる。
このような圧電振動片2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
【0047】
[第1の受動部品および第2の受動部品]
第1の受動部品31は、前述した引出電極対24(第1の端子対)の一方の端子である引出電極24aと、前述した内部端子対55(第2の端子対)の一方の端子である内部端子55aとにそれぞれ電気的に接続されている。
また、第2の受動部品32は、前述した引出電極対24(第1の端子対)の他方の端子である引出電極24bと、前述した内部端子対55(第2の端子対)の他方の端子である内部端子55bとにそれぞれ電気的に接続されている。
【0048】
特に、第1の受動部品31は、引出電極24aと内部端子55aとに跨るように接合されている。より具体的には、図3に示すように、第1の受動部品31の一方の端子311が導電性接着剤62を介して内部端子55aに接合されるとともに、第1の受動部品31の他方の端子312が導電性接着剤63を介して引出電極24aに接合されている。ここで、導電性接着剤62、63としては、特に限定されないが、導電性粒子を含有したエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤を用いることができる。
【0049】
同様に、第2の受動部品32は、引出電極24bと内部端子55bとに跨るように接合されている。
このようにして第1の受動部品31および第2の受動部品32を配置することにより、圧電体基板21を平面視したときに、第1の受動部品31および第2の受動部品32の一部がそれぞれ圧電体基板21と重なるように配置される。その結果、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
【0050】
また、第1の受動部品31および第2の受動部品32と引出電極対24および内部端子対55との接合は、ワイヤーボンディングのような複雑な方法を用いることなく、簡単に行うことができる。そのため、圧電デバイス1の製造を容易なものとすることができる。
また、第1の受動部品31および第2の受動部品32は、それぞれ、長手形状をなしている。そして、本実施形態では、第1の受動部品31および第2の受動部品32が互いの長手方向が平行となるように配置されている。
また、第1の受動部品31と内部端子対55および引出電極対24との接合、および、第2の受動部品32と内部端子対55および引出電極対24との接合は、それぞれ、導電性接着剤62、63により行われているので、簡単かつ確実に、これらの接合を行うことができる。
【0051】
なお、第1の受動部品31および第2の受動部品32の種類、内部端子対55および引出電極対24の構成材料等によっては、これらの接続を例えば半田により行ってもよい。
このような第1の受動部品31および第2の受動部品32は、それぞれ、チップ部品である。チップ部品は、表面実装が可能であるため、内部端子対55および引出電極対24に簡単かつ確実に接合することができる。
【0052】
第1の受動部品31および第2の受動部品32に用いるチップ部品は、特に限定されないが、抵抗器、コンデンサ、コイルのうちのいずれかである。
これらの受動部品(抵抗器、コンデンサ、コイル)は、後に詳述するが、圧電デバイス1の発振回路の一部を構成するものである(図4参照)。特に、コイルは、後述するICのような能動部品4内に組み込むことが難しいため、圧電デバイス1内に発振回路を組み込む場合、ICのような能動部品4とは別途に圧電デバイス1に搭載されることとなる。したがって、このような受動部品を第1の受動部品31および第2の受動部品32として用いる(有効利用する)ことにより、圧電デバイス1内に搭載される電子部品の実装面積を減らすことができる。その結果、圧電デバイス1の小型化を効果的に図ることができる。
【0053】
[能動部品]
能動部品(電子部品)4は、例えば集積回路素子(IC)であり、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31および第2の受動部品32と協働して発振回路を構成する機能を有する。
このような能動部品4は、前述した第1の受動部品31および第2の受動部品32にそれぞれ電気的に接続されている。これにより、圧電デバイス1に発振回路を組み込むことができる。
【0054】
例えば、図4に示すように、能動部品4は、帰還抵抗R、インバーターInv、ゲート容量C、ドレイン容量Cを含んでいる。
そして、前述した第1の受動部品31および第2の受動部品32がそれぞれコイルである場合、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4は、図4(a)に示すような発振回路を構成する。
【0055】
また、前述した第1の受動部品31が抵抗器、第2の受動部品32がコイルである場合、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4は、図4(b)に示すような発振回路を構成する。
また、前述した第1の受動部品31がコンデンサ、第2の受動部品32がコイルである場合、弾性表面波素子片2、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4は、図4(c)に示すような発振回路を構成する。
本実施形態では、能動部品4は、圧電体基板21を平面視したときに、第1の受動部品31および第2の受動部品32の少なくとも一部と重なるように配置されている。これにより、発振回路が組み込まれた圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
【0056】
以上説明したような圧電デバイス1によれば、第1の受動部品31が内部端子55aと引出電極24aとに跨るように接合されるとともに、第2の受動部品32が内部端子55bと引出電極24bとに跨るように接合されているので、圧電体基板21を平面視したときに、第1の受動部品31および第2の受動部品32の一部がそれぞれ圧電体基板21と重なるように配置される。その結果、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
また、第1の受動部品31および第2の受動部品32と内部端子対55および引出電極対24との接合は、ワイヤーボンディングのような複雑な方法を用いることなく、簡単に行うことができる。そのため、圧電デバイス1の製造を容易なものとすることができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の圧電デバイスの第2実施形態を示す上面図である。
以下、第2実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0058】
第2実施形態の圧電デバイスは、第1の端子対および第2の端子対の配置およびこれに関連する構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図5では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の圧電デバイス1Aは、図5に示すように、弾性表面波素子片2A、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4と、これらを収納するパッケージ5Aとを有している。
【0059】
パッケージ5Aは、上方に開口するトレイ状のベース基板51Aと、ベース基板51Aの開口を塞ぐように設けられた板状の蓋部材52Aとを有している。
また、ベース基板51Aの上面には、弾性表面波素子片2A、能動部品4、内部端子対55Aおよび配線パターン(図示せず)が設けられている。
より具体的に説明すると、ベース基板51Aの上面には、設置面(第1の面)58Aと、設置面58Aよりも低い位置の設置面(第2の面)59Aとを有している。
そして、設置面58Aと設置面59Aとの間には、段差部57Aが形成されている。
【0060】
ベース基板51Aの設置面59Aには、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤54a、54bを介して、弾性表面波素子片2Aが固定されている。
また、接着剤54a、54bは、後述する圧電体基板21Aを平面視したときに、後述する引出電極対24Aの形成領域と重なる範囲に形成されている。
本実施形態では、弾性表面波素子片2Aは、ベース基板51Aに対して接着剤54a、54bを介して両持ち支持されている。
また、ベース基板51Aの設置面58Aには、1対の内部端子55a、55bからなる内部端子対(第1の端子対)55Aが設けられている。
また、ベース基板51の設置面58Aには、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤56を介して、能動部品4が載置されている。
【0061】
一方、弾性表面波素子片2Aは、圧電体基板21Aと、圧電体基板21A上に設けられた励振電極としてのIDT22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bと、引出電極対(第2の電極対)24Aとを有している。
圧電体基板21Aは、平面視にて、矩形(具体的には長方形)をなしている。
そして、圧電体基板21Aの互いに対向する1対の辺(図5中左側の上側の辺と下側の辺)付近には、一対の引出電極24a、24bからなる引出電極対(第2の電極対)24Aが形成されている。
【0062】
より具体的には、引出電極対24Aの引出電極24aは、圧電体基板21Aの互いに対向する1対の辺の一方の辺付近に設けられ、引出電極対24Aの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1対の辺の他方の辺付近に設けられている。
これにより、第1の受動部品31および第2の受動部品32により圧電体基板21Aを両持ち支持することができる。そのため、ベース基板51Aに対して圧電体基板21Aを安定的に固定・支持することができる。その結果、圧電デバイス1Aの信頼性(特に耐衝撃性)を向上させることができる。
特に、本実施形態では、引出電極対24Aの引出電極24aは、圧電体基板21Aの互いに対向する1対の辺の中央部付近に設けられ、引出電極対24Aの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1対の辺の他方の辺の中央部付近に設けられている。そのため、ベース基板51Aに対して圧電体基板21Aを安定的に固定・支持することができる。
【0063】
また、内部端子対55Aの内部端子55aの中心と引出電極対24Aの引出電極24aの中心とを結ぶ線分と、内部端子対55Aの内部端子55b中心と引出電極対24Aの引出電極24bの中心とを結ぶ線分とが同一線分上となっている。
このような引出電極対24Aの引出電極24aは配線25cを介して電極22aに電気的に接続され、また、引出電極対24Aの引出電極24bは配線25dを介して電極22bに電気的に接続されている。
【0064】
また、内部端子対55Aの内部端子55aは、引出電極対24Aの引出電極24a近傍に設けられ、内部端子対55Aの内部端子55bは、引出電極対24Aの引出電極24b近傍に設けられている。
そして、第1の受動部品31は、前述した引出電極対24A(第1の端子対)の一方の端子である引出電極24aと、内部端子対55A(第2の端子対)の一方の端子である内部端子55aとに跨るように接合されている。
【0065】
また、第2の受動部品32は、前述した引出電極対24A(第1の端子対)の他方の端子である引出電極24bと、内部端子対55A(第2の端子対)の他方の端子である内部端子55bとに跨るように接合されている。
以上説明したような第2実施形態に係る圧電デバイス1Aによっても、前述した第1実施形態に係る圧電デバイス1と同様の効果を発揮することができる。
【0066】
<第3実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の圧電デバイスの第3実施形態を示す上面図である。
以下、第3実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0067】
第3実施形態の圧電デバイスは、第1の端子対および第2の端子対の配置およびこれに関連する構成が異なる以外は、第1、2実施形態とほぼ同様である。なお、図6では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の圧電デバイス1Bは、図6に示すように、弾性表面波素子片2B、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4と、これらを収納するパッケージ5Bとを有している。
【0068】
パッケージ5Bは、上方に開口するトレイ状のベース基板51Aと、ベース基板51Aの開口を塞ぐように設けられた板状の蓋部材52Aとを有している。
また、ベース基板51Aの上面には、弾性表面波素子片2B、能動部品4、内部端子対55Bおよび配線パターン(図示せず)が設けられている。
ベース基板51Aの設置面59Aには、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤54c、54dを介して、弾性表面波素子片2Bが固定されている。
【0069】
また、接着剤54c、54dは、圧電体基板21Aを平面視したときに、後述する引出電極対24Bの形成領域と重なる範囲に形成されている。
本実施形態では、弾性表面波素子片2Bは、ベース基板51Aに対して接着剤54c、54dを介して片持ち支持されている。
また、ベース基板51Aの設置面58Aには、1対の内部端子55a、55bからなる内部端子対(第1の端子対)55Bが設けられている。
【0070】
一方、弾性表面波素子片2Bは、圧電体基板21Aと、圧電体基板21A上に設けられた励振電極としてのIDT22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bと、引出電極対(第2の電極対)24Bを有している。
そして、圧電体基板21Aの互いに隣り合う2つの辺(図6中左側の上側の辺と左側の辺)付近には、一対の引出電極24a、24bからなる引出電極対(第2の電極対)24Bが形成されている。
【0071】
より具体的には、引出電極対24Bの引出電極24aは、圧電体基板21Aの一つの辺付近に設けられ、引出電極対24Bの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1つの辺に隣接する辺付近に設けられている。
これにより、第1の受動部品31および第2の受動部品32の互いに大きさが異なる場合においても、容易に、第1の受動部品31および第2の受動部品32と内部端子対55Bおよび引出電極対24Bとの接合を行うことができる。また、第1の受動部品31および第2の受動部品32の大きさを変更しても、第1の受動部品31および第2の受動部品32以外の構成を変更することなく、第1の受動部品31および第2の受動部品32と内部端子対55Bおよび引出電極対24Bとの接合を行うことができる。
【0072】
特に、本実施形態では、引出電極対24Bの引出電極24aは、圧電体基板21Aの1つの辺(図6中の左側の辺)の一端部(図6中下側の端部)に設けられ、引出電極対24Bの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1つの辺の他端部(図6中上側の端部)に設けられている。そのため、第1の受動部品31および第2の受動部品32により圧電体基板21Aを片持ち支持することができる。
【0073】
このような引出電極対24Bの引出電極24aは配線25eを介して電極22aに電気的に接続され、また、引出電極対24Bの引出電極24bは配線25fを介して電極22bに電気的に接続されている。
また、内部端子対55Bの内部端子55aは、引出電極対24Bの引出電極24a近傍に設けられ、内部端子対55Bの内部端子55bは、引出電極対24Bの引出電極24b近傍に設けられている。
【0074】
本実施形態では、内部端子対55Bの内部端子55aの中心と引出電極対24Bの引出電極24aの中心とを結ぶ線分と、内部端子対55Bの内部端子55b中心と引出電極対24Bの引出電極24bの中心とを結ぶ線分とが直交している。
そして、第1の受動部品31は、前述した引出電極対24B(第1の端子対)の一方の端子である引出電極24aと、内部端子対55B(第2の端子対)の一方の端子である内部端子55aとに跨るように接合されている。
【0075】
また、第2の受動部品32は、前述した引出電極対24B(第1の端子対)の他方の端子である引出電極24bと、内部端子対55B(第2の端子対)の他方の端子である内部端子55bとに跨るように接合されている。
以上説明したような第3実施形態に係る圧電デバイス1Bによっても、前述した第1実施形態に係る圧電デバイス1と同様の効果を発揮することができる。
【0076】
<第4実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の圧電デバイスの第4実施形態を示す上面図である。
以下、第4実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0077】
第4実施形態の圧電デバイスは、第1の端子対および第2の端子対の配置およびこれに関連する構成が異なる以外は、第1〜3実施形態とほぼ同様である。なお、図7では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の圧電デバイス1Cは、図7に示すように、弾性表面波素子片2C、第1の受動部品31、第2の受動部品32および能動部品4と、これらを収納するパッケージ5Cとを有している。
【0078】
パッケージ5Cは、上方に開口するトレイ状のベース基板51Aと、ベース基板51Aの開口を塞ぐように設けられた板状の蓋部材52Aとを有している。
また、ベース基板51Aの上面には、弾性表面波素子片2C、能動部品4、内部端子対55Cおよび配線パターン(図示せず)が設けられている。
ベース基板51Aの設置面59Aには、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤54c、54d、54e、54fを介して、弾性表面波素子片2Cが固定されている。
また、接着剤54c、54fは、圧電体基板21Aを平面視したときに、後述する引出電極対24Cの形成領域と重なる範囲に形成されている。
また、ベース基板51Aの設置面58Aには、1対の内部端子55a、55bからなる内部端子対(第1の端子対)55Cが設けられている。
【0079】
一方、弾性表面波素子片2Cは、圧電体基板21Aと、圧電体基板21A上に設けられた励振電極としてのIDT22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bと、引出電極対(第2の電極対)24Cを有している。
そして、圧電体基板21Aの互いに隣り合う2つの辺(図7中左側の上側の辺と左側の辺)付近には、一対の引出電極24a、24bからなる引出電極対(第2の電極対)24Cが形成されている。
【0080】
より具体的には、引出電極対24Cの引出電極24aは、圧電体基板21Aの一つの辺付近に設けられ、引出電極対24Cの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1つの辺に隣接する辺付近に設けられている。
特に、本実施形態では、引出電極対24Cの引出電極24aは、圧電体基板21Aの1対の対角の一方の角部(図7中の左側かつ下側の角部)に設けられ、引出電極対24Cの引出電極24bは、圧電体基板21Aの前記1対の対角の他方の角部(図7中の右側かつ上側の角部)に設けられている。そのため、第1の受動部品31および第2の受動部品32により圧電体基板21Aを両持ち支持することができる。
【0081】
このような引出電極対24Cの引出電極24aは配線25eを介して電極22aに電気的に接続され、また、引出電極対24Cの引出電極24bは配線25gを介して電極22bに電気的に接続されている。
また、内部端子対55Cの内部端子55aは、引出電極対24Cの引出電極24a近傍に設けられ、内部端子対55Cの内部端子55bは、引出電極対24Cの引出電極24b近傍に設けられている。
【0082】
本実施形態では、内部端子対55Cの内部端子55aの中心と引出電極対24Cの引出電極24aの中心とを結ぶ線分と、内部端子対55Cの内部端子55b中心と引出電極対24Cの引出電極24bの中心とを結ぶ線分とが直交している。
そして、第1の受動部品31は、前述した引出電極対24C(第1の端子対)の一方の端子である引出電極24aと、内部端子対55C(第2の端子対)の一方の端子である内部端子55aとに跨るように接合されている。
【0083】
また、第2の受動部品32は、前述した引出電極対24C(第1の端子対)の他方の端子である引出電極24bと、内部端子対55C(第2の端子対)の他方の端子である内部端子55bとに跨るように接合されている。
以上説明したような第4実施形態に係る圧電デバイス1Bによっても、前述した第1実施形態に係る圧電デバイス1と同様の効果を発揮することができる。
上述したような圧電デバイス1は、各種の電子機器に組み込むことができる。このような圧電デバイス1を備える電子機器は、信頼性の高いものとなる。
【0084】
ここで、本発明の圧電デバイスを備える電子機器について、図8〜図10に基づき、詳細に説明する。
図8は、本発明の圧電デバイスを備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、フィルタ、共振器、基準クロック等として機能する圧電デバイス1が内蔵されている。
【0085】
図9は、本発明の圧電デバイスを備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
このような携帯電話機1200には、フィルタ、共振器等として機能する圧電デバイス1が内蔵されている。
【0086】
図10は、本発明の圧電デバイスを備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0087】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0088】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
【0089】
このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルタ、共振器等として機能する圧電デバイス1が内蔵されている。
なお、本発明の圧電デバイスを備える電子機器は、図8のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図9の携帯電話機、図10のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
以上、本発明の圧電デバイスおよび電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1‥‥圧電デバイス 1A‥‥圧電デバイス 1B‥‥圧電デバイス 1C‥‥圧電デバイス 2‥‥弾性表面波素子片 2A‥‥弾性表面波素子片 2B‥‥弾性表面波素子片 2C‥‥弾性表面波素子片 4‥‥能動部品 5‥‥パッケージ 5A‥‥パッケージ 5B‥‥パッケージ 5C‥‥パッケージ 21‥‥圧電体基板 21A‥‥圧電体基板 22‥‥櫛歯電極 22a‥‥電極 22b‥‥電極 23a‥‥反射器 23b‥‥反射器 24‥‥引出電極対 24A‥‥引出電極対 24B‥‥引出電極対 24C‥‥引出電極対 24a‥‥引出電極 24b‥‥引出電極 25a‥‥配線 25b‥‥配線 25c‥‥配線 25d‥‥配線 25e‥‥配線 25f‥‥配線 25g‥‥配線 31‥‥第1の受動部品 32‥‥第2の受動部品 51‥‥ベース基板 51A‥‥ベース基板 52‥‥蓋部材 52A‥‥蓋部材 53a‥‥外部端子 53b‥‥外部端子 53c‥‥外部端子 53d‥‥外部端子 54‥‥接着剤 54a‥‥接着剤 54b‥‥接着剤 54c‥‥接着剤 54d‥‥接着剤 54e‥‥接着剤 54f‥‥接着剤 55‥‥内部端子対 55A‥‥内部端子対 55B‥‥内部端子対 55C‥‥内部端子対 55a‥‥内部端子 55b‥‥内部端子 56‥‥接着剤 57‥‥段差部 57A‥‥段差部 58‥‥設置面 58A‥‥設置面 59‥‥設置面 59A‥‥設置面 60‥‥段差部 61‥‥設置面 62‥‥導電性接着剤 63‥‥導電性接着剤 100‥‥表示部 311‥‥端子 312‥‥端子 1100‥‥パーソナルコンピュータ 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥メモリ 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニタ 1440‥‥パーソナルコンピュータ C‥‥ドレイン容量 C‥‥ゲート容量 Inv‥‥インバーター R‥‥帰還抵抗 S‥‥内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子対が設けられた基体と、
前記基体に対して固定された圧電体基板と、該圧電体基板上に設けられた櫛歯電極と、前記圧電体基板上に設けられ、前記櫛歯電極に電気的に接続された第2の端子対とを備える弾性表面波素子片と、
前記第1の端子対の一方の端子と前記第2の端子対の一方の端子とにそれぞれ電気的に接続された第1の受動部品と、
前記第1の端子対の他方の端子と前記第2の端子対の他方の端子とにそれぞれ電気的に接続された第2の受動部品とを有し、
前記第1の受動部品は、前記第1の端子対の一方の端子と前記第2の端子対の一方の端子とに跨るように接合され、
前記第2の受動部品は、前記第1の端子対の他方の端子と前記第2の端子対の他方の端子とに跨るように接合されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記第1の受動部品および前記第2の受動部品は、それぞれ、チップ部品である請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記チップ部品は、抵抗器、コンデンサ、コイルのうちのいずれかである請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記基体は、第1の面と、該第1の面よりも低い位置の第2の面とを形成する段差部を有し、
前記第1の端子対は、前記第1の面上に設けられ、
前記圧電体基板は、前記第2の面上に設けられ、
前記第2の端子対は、前記圧電体基板の前記第2の面とは反対側の面上に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記櫛歯電極は、前記圧電体基板の前記第2の面とは反対の面上に設けられている請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記圧電体基板は、接着剤を介して前記第2の面に固定されている請求項4または5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記接着剤は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記第2の電極対の形成領域と重なる範囲に形成されている請求項6に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記接着剤は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記櫛歯電極と重ならない範囲に設けられている請求項6または7に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記段差部の高さは、前記圧電体基板の厚さと同等である請求項4ないし8のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記第1の受動部品と前記第1の端子対および前記第2の端子対との接合、および、前記第2の受動部品と前記第1の端子対および前記第2の端子対との接合は、それぞれ、導電性接着剤により行われている請求項1ないし9のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項11】
前記弾性表面波素子片および前記受動部品を収納するパッケージを有し、
前記基体は、前記パッケージの一部を構成する請求項1ないし10のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項12】
前記第1の端子対の一方の端子は、前記第2の端子対の一方の端子近傍に設けられ、
前記第1の端子対の他方の端子は、前記第2の端子対の他方の端子近傍に設けられている請求項1ないし11のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項13】
前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の両端子は、前記圧電体基板の1つの辺付近に設けられている請求項1ないし12のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項14】
前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の一方の端子は、前記圧電体基板の互いに対向する1対の辺の一方の辺付近に設けられ、前記第2の端子対の他方の端子は、前記圧電体基板の前記1対の辺の他方の辺付近に設けられている請求項1ないし12のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項15】
前記圧電体基板は、平面視にて矩形をなしており、
前記第2の端子対の一方の端子は、前記圧電体基板の1つの辺付近に設けられ、前記第2の端子対の他方の端子は、前記圧電体基板の前記1つの辺に隣接する辺付近に設けられている請求項1ないし12のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項16】
前記第1の受動部品および前記第2の受動部品に電気的に接続された能動部品を有する請求項1ないし15のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項17】
前記能動部品は、前記圧電体基板を平面視したときに、前記第1の受動部品および前記第2の受動部品の少なくとも一部と重なるように配置されている請求項16に記載の圧電デバイス。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の圧電デバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−234196(P2011−234196A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103650(P2010−103650)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】