説明

圧電振動デバイス、およびその製造方法

【課題】ベースへ圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑える。
【解決手段】水晶振動子1では、水晶振動片2を保持するサポート材5と、サポート材5を介して水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するためにベース3と接合する蓋4とが設けられている。そして、ベース3にサポート材5がベース用バンプ71によりバンプ接合されるとともにサポート材5に水晶振動片2が水晶振動片用バンプ72によりバンプ接合されている。この水晶振動子1では、サポート材5の水晶振動片2との接合部位51、もしくは水晶振動片2のサポート材5との接合部位261,262の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧電振動デバイスとして、例えば、水晶発振器や水晶振動子などが挙げられる。この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が直方体のパッケージで構成されている。このパッケージはベースと蓋とから構成され、このパッケージ内部には圧電振動片がFCB法により導電性バンプを介してベースにバンプ接合されて、圧電振動片が片保持されている。そして、ベースと蓋とが接合されることで、パッケージの内部の圧電振動片が気密封止されている(例えば、下記する特許文献1ご参照。)。
【特許文献1】特開2001−85966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1では、上記したように、ベース上に圧電振動片を片保持する際、圧電振動片はベースに導電性バンプを介してFCB法を用いた超音波接合によりバンプ接合される。
【0004】
このFCB法によるバンプ接合に関して、従来からベースへの圧電振動片の接合強度のバラツキが懸念されている。
【0005】
そこで、接合強度のバラツキを抑制するために、例えば、ベースへ圧電振動片を接合する際の様々な接合条件の変更(バンプ材料の変更やFCB法の圧着強度の変更など)を行い、ベースへの圧電振動片のFCB法によるバンプ接合を行った場合、ベースへの圧電振動片の接合強度自体を強化させることはできる。
【0006】
しかしながら、ベースへの圧電振動片の接合条件を変更することによる接合強度のバラツキを抑える効果は少ない。具体的に、従来の技術によれば、接合強度のバラツキが所望の接合強度の±30%の範囲で発生し、この接後強度のバラツキの範囲の幅が存在することによって、良好な特性を有する圧電振動デバイスを安定して製造することができない。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、ベースへ圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑える圧電振動デバイス、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、圧電振動片を保持するサポート材と、前記サポート材を介して圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースに前記サポート材がベース用バンプによりバンプ接合されるとともに前記サポート材に前記圧電振動片が圧電振動片用バンプによりバンプ接合された圧電振動デバイスにおいて、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記ベースへ前記圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることが可能となる。これは、本発明によれば、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなるので、接合強度を上げるとともに、接合位置を確定することができ、その結果、接合強度の一定にすることが可能となる。従って、前記ベースへ前記圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることが可能となる。
【0010】
前記構成において、前記圧電振動片用バンプは、第1の圧電振動片用バンプと第2の圧電振動片用バンプとからなり、前記第1の圧電振動片用バンプが前記圧電振動片の接合部位に形成され、前記第2の圧電振動片用バンプが前記サポート材の接合部位に形成され、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが超音波接合されて前記サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されてもよい。
【0011】
この場合、前記第1の圧電振動片用バンプが前記圧電振動片の接合部位に形成され、前記第2の圧電振動片用バンプが前記サポート材の接合部位に形成され、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが超音波接合されて前記サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されるので、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとは、それぞれ事前に前記圧電振動片と前記サポート材にバンプ接合されたこととなる。そのため、前記第1の圧電振動片用バンプと前記圧電振動片とのバンプ接合を安定して行うことが可能となり、また、第2の圧電振動片用バンプと前記サポート材とのバンプ接合を安定して行うことが可能となる。そして、この条件のもとで前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとがバンプ接合されるので、超音波接合によりバンプを前記サポート材や前記圧電振動片に接合するのと比較して、本発明によればバンプ同士の接合により前記サポート材に前記圧電振動片を接合するので、接合の対象部材の材質を接合に好適な材料とすることができ、その結果、安定して前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを介して前記サポート材への前記圧電振動片の接合を行うことが可能となる。
【0012】
前記構成において、前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプのうち少なくとも一方は、メッキバンプであり、前記サポート材に前記圧電振動片が、前記圧電振動片用バンプにより拡散接合されてもよい。
【0013】
この場合、前記サポート材への前記圧電振動片の接合強度を上げることが可能となる。また、前記サポート材への前記圧電振動片の接合に拡散接合を用いない場合と比較して、前記サポート材へ前記圧電振動片が前記圧電振動片用バンプを介して低温低圧により接合される。そのため、低温低圧によって前記圧電振動片用バンプを拡散し易い(すべり易い)状態にして前記サポート材への前記圧電振動片の接合を行うことが可能となる。
【0014】
前記構成において、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とには、それぞれ凹形状と凸形状とが形成され、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが前記凹形状と前記凸形状とに形成され、これら前記凹形状および前記凸形状に形成された前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプが超音波接合されて前記圧サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されてもよく、接合強度を高めることに好ましい。
【0015】
前記構成において、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とには、それぞれ凹形状が形成され、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが前記凹形状それぞれに形成され、これら前記凹形状に形成された前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプが超音波接合されて前記圧サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されてもよい。
【0016】
この場合、前記サポート材に前記圧電振動片を接合した際の前記圧電振動片と前記サポート材との間隙を狭くすることが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスの低背化に好適である。
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの製造方法は、圧電振動片を保持するサポート材と、前記サポート材を介して圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とを設け、前記ベースに前記サポート材をベース用バンプによりバンプ接合するとともに前記サポート材に前記圧電振動片を圧電振動片用バンプによりバンプ接合する圧電振動デバイスの製造方法において、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなり、FCB法により前記サポート材の接合部位に前記圧電振動片の接合部位を前記圧電振動片用バンプを用いて超音波接合することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、前記ベースへ前記圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることが可能となる。これは、本発明によれば、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなるので、接合強度を上げるとともに、接合位置を確定することができ、その結果、接合強度の一定にすることが可能となる。従って、前記ベースへ前記圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることが可能となる。
【0019】
前記方法において、前記圧電振動片用バンプは、第1の圧電振動片用バンプと第2の圧電振動片用バンプとからなり、前記第1の圧電振動片用バンプを前記圧電振動片の接合部位に形成し、前記第2の圧電振動片用バンプを前記サポート材の接合部位に形成し、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを超音波接合して前記サポート材に前記圧電振動片をバンプ接合してもよい。
【0020】
この場合、前記第1の圧電振動片用バンプを前記圧電振動片の接合部位に形成し、前記第2の圧電振動片用バンプを前記サポート材の接合部位に形成し、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを超音波接合して前記サポート材に前記圧電振動片をバンプ接合するので、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとは、それぞれ事前に前記圧電振動片と前記サポート材にバンプ接合されたこととなる。そのため、前記第1の圧電振動片用バンプと前記圧電振動片とのバンプ接合を安定して行うことが可能となり、また、第2の圧電振動片用バンプと前記サポート材とのバンプ接合を安定して行うことが可能となる。そして、この条件のもとで前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとがバンプ接合されるので、超音波接合によりバンプを前記サポート材や前記圧電振動片に接合するのと比較して、本発明によればバンプ同士の接合により前記サポート材に前記圧電振動片を接合するので、接合の対象部材の材質を接合に好適な材料とすることができ、その結果、安定して前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを介して前記サポート材への前記圧電振動片の接合を行うことが可能となる。
【0021】
前記方法において、前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプのうち少なくとも一方は、メッキバンプであり、前記サポート材に前記圧電振動片を、前記圧電振動片用バンプにより拡散接合してもよい。
【0022】
この場合、前記サポート材への前記圧電振動片の接合強度を上げることが可能となる。また、前記サポート材への前記圧電振動片の接合に拡散接合を用いない場合と比較して、前記サポート材へ前記圧電振動片が前記圧電振動片用バンプを介して低温低圧により接合される。そのため、低温低圧によって前記圧電振動片用バンプを拡散し易い(すべり易い)状態にして前記サポート材への前記圧電振動片の接合を行うことが可能となる。
【0023】
前記方法において、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とに、それぞれ凹形状と凸形状とに形成し、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを前記凹形状と前記凸形状とに形成し、これら前記凹形状および前記凸形状に形成した前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプを超音波接合して前記圧サポート材に前記圧電振動片をバンプ接合してもよく、この場合、接合強度を高めることに好ましい。
【0024】
前記方法において、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とに、それぞれ凹形状に形成し、前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを前記凹形状それぞれに形成し、これら前記凹形状に形成した前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプを超音波接合して前記圧サポート材に前記圧電振動片をバンプ接合してもよい。
【0025】
この場合、前記サポート材に前記圧電振動片を接合した際の前記圧電振動片と前記サポート材との間隙を狭くすることが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスの低背化に好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ベースへ圧電振動片を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0028】
本実施例にかかる水晶振動子1では、図1,2に示すように、水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、この水晶振動片2を片保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4と、水晶振動片2への外的な応力を軽減させるサポート材5とが設けられている。
【0029】
この水晶振動子1では、ベース3と蓋4とからパッケージ6が構成され、ベース3と蓋4とが接合されてパッケージ6の内部空間が形成され、このパッケージ6の内部空間内のベース3上にサポート材5を介して水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージ6の内部空間が気密封止される。この際、図1,2に示すように、ベース3と水晶振動片2とサポート材5とは、それぞれ金属材料からなるバンプ(ベース用バンプ71および水晶振動片用バンプ72)を用いてFCB法により電気機械的に超音波接合されている。
【0030】
なお、ここでいう水晶振動片用バンプ72は、第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とから構成される。第1の水晶振動片用バンプ73は、水晶振動片2のサポート材5への接合前に水晶振動片2の接合部位261,262(下記参照)に形成され、第2の水晶振動片用バンプ74は、水晶振動片2のサポート材5への接合前にサポート材5の接合部位51(下記参照)に形成され、第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とが超音波接合(拡散接合)されてサポート材5に水晶振動片2がバンプ接合される。また、ベース用バンプ71は、第1のベース用バンプ75と第2のベース用バンプ76とからなる。第1のベース用バンプ75は、サポート材5のベース3への接合前にベース3の接合部位34(下記参照)に形成され、第2のベース用バンプ76は、サポート材5のベース3への接合前にサポート材5の接合部位52(下記参照)に形成され、第1のベース用バンプ75と第2のベース用バンプ76とが超音波接合(拡散接合)されてベース3にサポート材5がバンプ接合される。
【0031】
次に、この水晶振動子1の各構成について図1〜3を用いて説明する。なお、図3は、当該水晶振動子1を製造する前の水晶振動子1の各構成部材を示した図である。
【0032】
ベース3は、図1〜3に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した壁部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。なお、本実施例にかかるベース3の平面視の寸法は、2.5mm×3.2mm以下に設定されている。
【0033】
また、壁部32は、底部31の表面外周に沿って成形されている。壁部32の上面は、蓋4との接合領域であり、この接合領域には、蓋4と接合するためのメタライズ層33(例えば、タングステンメタライズ層上にニッケル,金の順でメッキした構成が設けられている。
【0034】
また、このベース3の底部31には、水晶振動片2の励振電極231,232それぞれと電気機械的に接合するためにサポート材5と接合するサポート材5との接合部位34が設けられ、この接合部位34には、底部31に対して突起した複数の凸形状が形成されている。そして、この接合部位34には、水晶振動片2の励振電極231,232それぞれと電気機械的に接合する複数の電極パッド(図示省略)が形成されている。これら電極パッドは、ベース3の外周裏面に形成される端子電極(図示省略)にそれぞれ電気機械的に接合されている。これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの端子電極および電極パッドは、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極および電極パッドのうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。また、ベース3にサポート材5を接合する前では、図3に示すように、凸部の突起表面(電極パッド表面)には金メッキからなる第1のベース用バンプ75が形成されている。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が用いられる。また、本実施例のベース3では、複数の凸形状が形成されているが、これに限定されるものではなく、複数の凹形状が形成されてもよく、更に複数の凸形状と凹形状が形成されてもよい。
【0035】
蓋4は、例えば金属材料からなり、図2に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋4は、下面にろう材41が形成されており、ビーム溶接等の手法によりベース3に接合されて、蓋4とベース3とによる水晶振動子1のパッケージ6が構成される。なお、本実施例にかかる蓋4の平面視の寸法は、2.5mm×3.2mm以下に設定されている。
【0036】
また、蓋4は、例えば、4層の熱膨張係数の異なる金属材料から形成されている。具体的に、ベース3との接続面となる蓋4の下面から、ろう材である銀ろう層、銅層、コバール層及びニッケル層が順に積層されている。蓋の下面側が銀ろう層及び銅層であるため、他の層に比べてセラミックからなるベース3との熱接合がし易い。また、これら銀ろう層及び銅層上にコバール層が積層されているので、セラミックからなるベース3との熱膨張率を略同じにしてベース3と蓋4との熱変形を同等にすることが可能となる。また、最上面にニッケル層が形成されているので、ベース3と蓋4とのシーム溶接を行い易くする。なお、熱変形を同等レベルにすることからコバール層の厚みはできるだけ厚く設計されている。
【0037】
水晶振動片2は、図1〜3に示すように、ATカット水晶片の基板21からなり、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形され、基板21の外周形は直方体形状からなる。なお、本実施例にかかる水晶振動片2の主面寸法は、1.4mm×2.0mm以下に設定され、水晶振動片2の高さ寸法は0.1mm以下に設定されている。
【0038】
この水晶振動片2の基板21の両主面221,222には、水晶振動片2の高周波化に対応するため凹部201が形成され、これら凹部201内部にはそれぞれ励振電極231,232が形成され、これらの励振電極231,232を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド)と電気機械的に接合するために励振電極231,232から引き出された引き出し電極241,242が形成されている。また、水晶振動片2は、その基板21の複数の部位261,262(接合部位261,262)においてサポート材5と水晶振動片用バンプ72により接合されている。なお、本実施例でいう基板21の接合部位261,262には、主面221に対して突起した複数の凸形状がそれぞれ形成され、これら接合部位261,262は基板21の長手方向の一端部27であって短手方向の両端部に設けられている。そして、これら接合部位261,262には、図2に示すように引き出し電極241,242が引き出されている。また、水晶振動片2をサポート材5に接合する前では、図3に示すように、これら接合部位261,262の突起表面には金メッキからなる第1の水晶振動片用バンプ73が形成されている。そして、励振電極231,232が、引き出し電極241,242からサポート材5を介して水晶振動片用バンプ72及びベース用バンプ71により、ベース3の電極パッドと電気機械的に接合されている。なお、これらの励振電極231,232及び引き出し電極241,242は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、基板21側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはクロム、金、クロム(Cr−Au−Cr)の順に、あるいはクロム、金、ニッケル(Cr−Au−Ni)の順に、あるいはクロム、銀、クロム(Cr−Ag−Cr)の順に、あるいはクロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に、あるいはニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層して形成されている。なお、本実施例の水晶振動片2では、複数の凸形状が形成されているが、これに限定されるものではなく、複数の凹形状が形成されてもよく、更に複数の凸形状と凹形状が形成されてもよい。
【0039】
サポート材5は、図2に示すように、脆性材である水晶片からなるZ板である。このサポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の平面視外形と略同等となるように設定され、サポート材5は平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。なお、本実施例にかかるサポート材5の平面視の寸法は1.4mm×2.0mm以下に設定され、サポート材5の高さ寸法は0.1mm以下に設定されている。
【0040】
また、このサポート材5には、図1,図2に示すように、その一主面(図1では表側)に水晶振動片2と接合するための水晶振動片用接合部位51(以下、接合部位51とする)が設けられ、その他主面(図1では裏側)にベース3と接合するためのベース用接合部位52(以下、接合部位52とする)が設けられている。このサポート材の接合部位51と接合部位52には、それぞれ複数の凹形状が形成されている。そして、これら接合部位51と接合部位52との間を、引回し電極(図示省略)が引回されている。なお、ここでいう接合部位51は、図3に示すようにサポート材5の一主面の長手方向の一端部であって短手方向の両端部に設定されている。また、ここでいう接合部位52は、サポート材5の他主面の対向する長手方向の両端部であって短手方向の両側部に設定されている。また、これら接合部位51と接合部位52との凹部内底面には金バンプからなる第2の水晶振動片用バンプ74と第2のベース用バンプ76とがそれぞれ形成されている。なお、本実施例のサポート材5では、複数の凹形状が形成されているが、これに限定されるものではなく、複数の凸形状が形成されてもよく、更に複数の凸形状と凹形状が形成されてもよい。
【0041】
また、図1〜図3に示すように、ベース3とサポート材5とはベース用バンプ71により4つの接合部位52において4点で超音波接合され、水晶振動片2とサポート材5は水晶振動片用バンプ72により2つの接合部位51において2点で超音波接合されるとともに電気機械的に接合される。これらの接合により、水晶振動片2の励振電極231,232が、それぞれ引き出し電極241,242、水晶振動片用バンプ72、サポート材5の引回し電極およびベース用バンプ71を介してベース3の電極パッドに電気機械的に接合される。また、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72は、図1に示すように、平面視同一位置に形成されている。ここでいう平面視同一位置とは、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72とが平面視において重畳する図1に示す位置のことを含むが、これは好適な例であり、この位置はこれに限定されるものではなく、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72とが平面視において一部重畳する位置関係も含む。
【0042】
ところで、ベース3へのサポート材5の接合、およびサポート材5への水晶振動片2の熱接合の際に各部材において外形変形もしくは歪みが生じる。この外形変形もしくは歪みによってパッケージ6に熱応力などの応力が生じ、この応力がサポート材5を介して水晶振動片2にかかる。
【0043】
しかしながら、上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、水晶振動片2が、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に保持されるので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3に蓋4を接合する際にパッケージ6に応力がかかった場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができる。特に、この本実施例にかかる水晶振動子1の作用効果は、従来技術のようにベースに水晶振動片を直接導電性バンプを介して接合した水晶振動子と比較して顕著にあらわれる。
【0044】
具体的に、水晶振動片2は、FCB法によりサポート材5を介してベース3上に超音波接合されるので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3に蓋4を接合する際にパッケージ6に応力がかかる場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができる。また、本実施例によれば、パッケージ6の小型化を図るのに好適であり、特に、本実施例による作用効果は、背景技術(例えば、特許文献1に記載の従来技術)のようにベースに圧電振動片を直接導電性バンプを介して接合した圧電振動デバイスと比較して顕著にあらわれる。
【0045】
次に、当該水晶振動子1の製造方法について図1〜3を用いて説明する。
【0046】
まず、図3に示すように、ベース3のサポート材5との接合部位34の突起表面に金メッキからなる第1のベース用バンプ75を形成する。また、水晶振動片2のサポート材5との接合部位261,262の突起表面に金メッキからなる第1の水晶振動片用バンプ73を形成する。また、サポート材5の接合部位52の凹部内底面に金バンプからなる第2のベース用バンプ76を形成する。
【0047】
そして、ベース3に形成した第1のベース用バンプ75に、サポート材5に形成した第2のベース用バンプ76を接し、これら第1のベース用バンプ75と第2のベース用バンプ76とをてFCB法により超音波接合にて拡散接合することで、ベース3の接合部位34にサポート材5の接合部位52を電気機械的にバンプ接合する。
【0048】
ベース3にサポート材5を接合した後に、サポート材5の接合部位51の凹部内底面に金バンプからなる第2の水晶振動片用バンプ74を形成する。
【0049】
サポート材5に第2の水晶振動片用バンプ74を形成した後に、水晶振動片2に形成した第1の水晶振動片用バンプ73に、サポート材5に形成した第2の水晶振動片用バンプ74を接する。そして、これら第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とをてFCB法により超音波接合にて拡散接合することで、サポート材5の接合部位51に水晶振動片2の接合部位261,262を電気機械的にバンプ接合する。
【0050】
上記した工程により、ベース3にサポート材5を介して水晶振動片2を接合した後に、
ベース3のメタライズ層33に蓋4の下面に形成されたろう材41を当接し、これらメタライズ層33とろう材41とをシームやビーム溶接等の手法により接合して内部空間を気密封止し、水晶振動子1を製造する。
【0051】
なお、本実施例で製造した水晶振動子1の寸法は次の通りである。水晶振動子1の外形は、2.5mm×3.2mm×0.75mm以下に設定されている。また、水晶振動子1の内部空間は、1.7mm×2.6mm×0.35mm以下に設定されている。また、この内部宇空間内におけるベース用バンプ71の高さは0.02mm以下に設定され、水晶振動片用バンプ72の高さは0.02mm以下に設定される。
【0052】
上記したように、本実施例によれば、サポート材5の水晶振動片2との接合部位51と、水晶振動片2のサポート材5との接合部位261,262が凹凸形状からなるので、接合強度を上げるとともに、接合位置を確定することができ、その結果、接合強度の一定にすることができる。従って、本実施例によれば、ベース3へ水晶振動片2を接合する際の接合強度のバラツキを抑えることができる。なお、ベース3とサポート材5とのベース用バンプ71を介したバンプ接合についても、同様の作用効果を有するが、水晶振動片2とサポート材5との水晶振動片用バンプ72を介したバンプ接合による作用効果のほうがより顕著にあらわれる。しかしながら、ベース3とサポート材5とのベース用バンプ71を介したバンプ接合と、水晶振動片2とサポート材5との水晶振動片用バンプ72を介したバンプ接合とを併用することで更に好適になることは言うまでもない。特に、この場合、水晶振動片2の支持土台となるベース3へのサポート材5の接合を安定させることで、このサポート材5上に搭載する水晶振動片2の接合をより安定させることができる。
【0053】
また、本実施例によれば、第1の水晶振動片用バンプ73が水晶振動片2の接合部位261,262に形成され、第2の水晶振動片用バンプ74がサポート材5の接合部位51に形成され、第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とが超音波接合されてサポート材5に水晶振動片2がバンプ接合されるので、第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とは、それぞれ事前に水晶振動片2とサポート材5にバンプ接合されたこととなる。そのため、第1の水晶振動片用バンプ73と水晶振動片2とのバンプ接合を安定して行うことができ、また、第2の水晶振動片用バンプ74とサポート材5とのバンプ接合を安定して行うことができる。そして、この条件のもとで第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とがバンプ接合されるので、超音波接合によりバンプをサポート材5や水晶振動片2に接合するのと比較して、本実施例によればバンプ同士の接合によりサポート材5に水晶振動片2を接合するので、接合の対象部材の材質を接合に好適な材料とすることができ、その結果、安定して第1の水晶振動片用バンプ73と第2の水晶振動片用バンプ74とを介してサポート材5への水晶振動片2の接合を行うことができる。
【0054】
また、本実施例によれば、サポート材5に水晶振動片2が、水晶振動片用バンプ72により拡散接合されるので、サポート材5への水晶振動片2の接合強度を上げることができる。また、サポート材5への水晶振動片2の接合に拡散接合を用いない場合と比較して、前記サポート材5へ水晶振動片2が水晶振動片用バンプ72を介して低温低圧により接合される。そのため、低温低圧によって水晶振動片用バンプ72を拡散し易い(すべり易い)状態にしてサポート材5への水晶振動片2の接合を行うことができる。
【0055】
また、サポート材5が、脆性材からなっているので、サポート材5の膨張係数が水晶振動片2の膨張係数に近似する。そのため、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる水晶振動片2の特性の悪化はなく、外的な応力を緩衝させることができる。
【0056】
また、サポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の外形と略同等になるように設定されるので、サポート材5の設置により水晶振動子1の小型化を妨げることはなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
【0057】
また、水晶振動片2は水晶片であり、サポート材5は水晶片からなるZ板であり、異方性の影響を受けにくい材料であるので、サポート材5を成形する際のエッチング時、異方性の影響を受けにくく、サポート材5の形状を任意の形状に容易に成形することができる。なお、サポート材5に水晶振動片と同様のATカット板を用いた場合、Z板と比較してサポート材5を成形する際のエッチングの影響を受け易く、予め設定した軸に対して垂直方向にエッチングしたい場合であっても斜め方向にエッチングするため、サポート材5の形状を任意の形状に成形することが難しい。そのため、サポート材5にZ板を用いることが好ましい。また、サポート材5が異方性の影響を受けにくい材料であるので、水晶振動片2の振動の影響を受けることがなく、サポート材5の設置により水晶振動片2の特性を悪化させることを防止することができる。また、水晶振動片2とサポート材5が同一の水晶片であるので、膨張係数が同じとなり、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる外的な応力の緩衝に好ましい。
【0058】
なお、本実施例では、サポート材5として水晶片を適用しているが、これに限定されるものではなく、脆性材であれば他の形態であってもよく、例えば、異方性材料ではないガラス材からなってもよい。
【0059】
また、本実施例では、図1に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された蓋4と、凹状に成形されたベース3とを用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4とにより水晶振動片2を気密封止できれば、ベースと蓋の形状は任意に設定してもよい。例えば、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されたベースと、凹状に成形された蓋とを用いてもよい。
【0060】
また、本実施例では、水晶振動片2の両主面221,222それぞれに1つの励振電極231,232を形成しているが、これに限定されるものではなく、使用用途に合わせて両主面221,222それぞれに形成される励振電極の数を任意に設定してもよい。例えば、両主面それぞれに2つの励振電極が形成されてもよく、または、一主面に1つの励振電極が形成されるとともに他主面に2つの励振電極が形成されたフィルタ素子構成としてもよい。
【0061】
また、水晶振動片2の引き出し電極241,242は、上記した実施例に限定されるものではなく、さらにメッキ形成されてもよい。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が用いられる。
【0062】
また、本実施例では、水晶振動片2のサポート材5への接合部位と対向する対向位置28にFCB法によってFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させて水晶振動片2をサポート材5に水晶振動片用バンプ72を介して接合している。ところで、本実施例に示すように、FCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた水晶振動片2の対向位置28に引き出し電極241,242が形成されている場合、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242がひっつく、すなわち水晶振動片2から引き出し電極241,242が剥がれてFCB装置の超音波を発する部材に固着する。そのため、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242が固着した状態で、他の水晶振動片2のサポート材5への接合を行う場合、FCB法による接合強度が弱くなる。従って、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242が固着した場合、固着した引き出し電極241,242を取り除く必要がある。この問題を解決するために、水晶振動片2の対向位置28では基板21が露出されてもよい。この場合、FCB法により対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、対向位置28の基板21がFCB装置の超音波を発する部材に固着することがない。また、水晶振動片2の対向位置の基板21が露出されていることを好適な例として挙げているが、これに限定されるものではなく、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料が形成されていてもよい。ここでいう絶縁材料とは、材料全体が絶縁材料であってもよく材料表面のみが絶縁化された材料であってもよく、フッ化マグネシウム、酸化珪素、二酸化珪素などの絶縁材料や、酸化クロムなどの酸化金属化合物であってもよい。例えば、クロムからなる材料の表面を酸化させた絶縁材料であってもよい。さらに、上記したような問題を解決する構成は、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料を形成するだけではなく、この水晶振動片2の対向位置28にクロム単層からなる材料により引き出し電極を形成してもよい。ここでクロム単層を挙げた理由として、クロムは、金と比較して硬い材質からなるとともに水晶振動片2の基板21との接合強度が高いため、上記したような金からなる材料と比較してFCB装置の超音波を発する部材に固着することはないことに関係している。また、クロム単層以外に、例えば、励振電極231,232と引き出し電極241,242のうち少なくとも引き出し電極241,242の対向位置28が、クロム、ニッケルを順に積層して(その逆でも可能)構成された引き出し電極であってもよい。また、クロム、金を順に積層し、その後に表面の金のみを除去してクロム単層とした構成であってもよい。すなわち、クロムが表面に配されている構成であればその組み合わせを任意に設定してもよい。
【0063】
上記した例によれば、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料もしくはクロム単層の引き出し電極が形成されるので、FCB法により水晶振動片2の対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、水晶振動片2の対向位置28に形成された絶縁材料もしくはクロム単層からなる材料がFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施例では、図1,図2に示すような平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されたサポート材5を用いているが、サポート材の形状はこれに限定されるものではなく、熱応力が水晶振動片2に伝わるのを抑制するために凹部を設けてもよく、また、水晶振動片2がサポート材5に接合することで水晶振動片2がサポート材5に対して撓むのを抑制する水晶振動片用枕部を設けてもよい。特に、水晶振動片用枕部をサポート材に設けることで、水晶振動片用バンプ72を用いたサポート材5への水晶振動片2の接合の際に、サポート材5上の水晶振動片2の搭載位置に対して傾くことなく安定して水晶振動片2を配することができる。具体的に、水晶振動片用枕部は、サポート材5の水晶振動片2と面する主面に形成された突起部であり、図1,図2に示すサポート材に水晶振動片用枕部を設ける場合、水晶振動片用枕部の設置位置は、接合部位51を考慮してサポート材5の長手方向他側部近傍であって、その短手方向の中間部近傍とすることが望ましい。
【0065】
また、上記した本実施例では、引き出し電極241,242が一主面221の一端部27に引き出されているが、これに限定されるものではなく、一主面221に引き出されていればよい。例えば、引き出し電極241,242が一主面221の一端部27と、一端部27と対向する他端部とに引き出されてもよい。
【0066】
また、上記したように、ATカット水晶片の基板21は、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されているが、これに限定されるものではなく、基板21に切欠部が形成されてもよい。
【0067】
また、本実施例では、サポート材5の水晶振動片2との接合部位51と、水晶振動片2のサポート材5との接合部位261,262が凹凸形状からなるが、凹凸形状はこれに限定されるものではなく、サポート材5の水晶振動片2との接合部位51、もしくは水晶振動片2のサポート材5との接合部位261,262の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなっていればよい。例えば、図4,5に示すようなベース3とサポート材5と水晶振動片2の組合せで水晶振動子1が構成されてもよい。
【0068】
具体的に、図4に示す水晶振動子1の構成では、ベース3の底部31に設けられたサポート材5との接合部位34には、底部31に対して窪んだ複数の凹形状が形成されている。この接合部位34の凹形状の内底面には金バンプからなる第1のベース用バンプ75がそれぞれ形成されている。また、サポート材5では、上記した実施例の形態(図1〜3)と同様に、その接合部位51と接合部位52にそれぞれ複数の凹形状が形成されている。そして、これら接合部位51と接合部位52との凹部内底面には金バンプからなる第2の水晶振動片用バンプ74と第2のベース用バンプ76とがそれぞれ形成されている。また、水晶振動片2は、基板21の接合部位261,262にそれぞれ複数の凹形状が形成され、これら接合部位261,262の凹形状の内底面には金バンプからなる第1の水晶振動片用バンプ73が形成されている。そして、上記した製造方法と同様の方法によりベース3にサポート材5をベース用バンプ71を介してFCB法によりバンプ接合し、サポート材5に水晶振動片2を水晶振動片用バンプ72を介してFCB法によりバンプ接合する。
【0069】
この図4に示す水晶振動子1の構成によれば、上記した本実施例の作用効果に加えて、サポート材5に水晶振動片2を接合した際の水晶振動片2とサポート材5との間隙を狭くすることができ、その結果、当該水晶振動子1の低背化に好適である。また、ベース3にサポート材5を接合した際のベース3とサポート材5との間隙を狭くすることができ、その結果、当該水晶振動子1の低背化に好適である。
【0070】
また、図5に示す水晶振動子1の構成では、ベース3の底部31に設けられたサポート材5との接合部位34を平坦な面形状とし、これら接合部位34に金メッキからなる第1のベース用バンプ75が形成されている。また、水晶振動片2の接合部位261,262を平坦な面形状とし、これら接合部位261,262に金メッキからなる第1の水晶振動片用バンプ73が形成されている。また、サポート材5では、上記した実施例の形態(図1〜3)と同様に、その接合部位51と接合部位52にそれぞれ複数の凹形状が形成されている。そして、これら接合部位51と接合部位52との凹部内底面には金バンプからなる第2の水晶振動片用バンプ74と第2のベース用バンプ76とがそれぞれ形成されている。そして、上記した製造方法と同様の方法によりベース3にサポート材5をベース用バンプ71を介してFCB法によりバンプ接合し、サポート材5に水晶振動片2を水晶振動片用バンプ72を介してFCB法によりバンプ接合する。
【0071】
この図5に示す水晶振動子1の構成によれば、上記した本実施例の作用効果に加えて、ベース3と水晶振動片2の構成の簡略化を図ることができる。
【0072】
さらに、上記した本実施例では、図1〜3に示すようにATカット水晶片からなる水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、図6に示すような音叉型水晶振動片など他の圧電振動片であってもよい。
【0073】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、水晶振動子などの圧電振動子に適用できる
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本実施例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、その水晶振動子の内部を公開した概略平面図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる水晶振動子を製造する前の各構成部材を示した概略構成図である。
【図4】図4は、本実施例の他の例にかかる水晶振動片の概略構成図である。
【図5】図5は、本実施例の他の例にかかる水晶振動片の概略構成図である。
【図6】図6は、本実施例の他の例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、その水晶振動子の内部を公開した概略平面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 水晶振動子
2 ATカット水晶振動片
261,262 接合部位
3 ベース
34 接合部位
4 蓋
5 サポート材
51 水晶振動片用接合部位
52 ベース用接合部位
71 ベース用バンプ
72 水晶振動片用バンプ
73 第1の水晶振動片用バンプ
74 第2の水晶振動片用バンプ
75 第1のベース用バンプ
76 第2のベース用バンプ
8 水晶振動片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を保持するサポート材と、前記サポート材を介して圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースに前記サポート材がベース用バンプによりバンプ接合されるとともに前記サポート材に前記圧電振動片が圧電振動片用バンプによりバンプ接合された圧電振動デバイスにおいて、
前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記圧電振動片用バンプは、第1の圧電振動片用バンプと第2の圧電振動片用バンプとからなり、
前記第1の圧電振動片用バンプが前記圧電振動片の接合部位に形成され、
前記第2の圧電振動片用バンプが前記サポート材の接合部位に形成され、
前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが超音波接合されて前記サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプのうち少なくとも一方は、メッキバンプであり、
前記サポート材に前記圧電振動片が、前記圧電振動片用バンプにより拡散接合されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、
さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とには、それぞれ凹形状と凸形状とが形成され、
前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが前記凹形状と前記凸形状とに形成され、これら前記凹形状および前記凸形状に形成された前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプが超音波接合されて前記圧サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位が凹凸形状からなるとともに、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位が凹凸形状からなり、
さらに、前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位と、前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位とには、それぞれ凹形状が形成され、
前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとが前記凹形状それぞれに形成され、これら前記凹形状に形成された前記第1の圧電振動片用バンプおよび前記第2の圧電振動片用バンプが超音波接合されて前記圧サポート材に前記圧電振動片がバンプ接合されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項6】
圧電振動片を保持するサポート材と、前記サポート材を介して圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とを設け、前記ベースに前記サポート材をベース用バンプによりバンプ接合するとともに前記サポート材に前記圧電振動片を圧電振動片用バンプによりバンプ接合する圧電振動デバイスの製造方法において、
前記サポート材の前記圧電振動片との接合部位、もしくは前記圧電振動片の前記サポート材との接合部位の少なくとも一方の接合部位が凹凸形状からなり、
FCB法により前記サポート材の接合部位に前記圧電振動片の接合部位を前記圧電振動片用バンプを用いて超音波接合することを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記圧電振動片用バンプは、第1の圧電振動片用バンプと第2の圧電振動片用バンプとからなり、
前記第1の圧電振動片用バンプを前記圧電振動片の接合部位に形成し、
前記第2の圧電振動片用バンプを前記サポート材の接合部位に形成し、
前記第1の圧電振動片用バンプと前記第2の圧電振動片用バンプとを超音波接合して前記サポート材に前記圧電振動片をバンプ接合することを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−81670(P2009−81670A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249493(P2007−249493)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】