説明

圧電発振器、GPS受信装置及び電子機器

【課題】外部からの制御信号に基づいて消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器、これを用いて低消費電力化を実現するGSP受信装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】温度補償回路10は、取得した温度情報とPROM70(記憶部)に記憶された温度補償データとに基づいて、圧電振動子40の周波数温度特性を補償するための温度補償電圧を発生させ、電圧制御発振回路30は、圧電振動子40を発振させるとともに、発振制御電圧に基づいて圧電振動子40の発振周波数を制御し、スイッチ回路60(電源制御部)は、外部からの制御信号に基づいて、温度補償回路10に電源電圧を供給するか又は温度補償回路10の少なくとも一部に電源電圧を供給しないように制御し、温度補償回路10に電源電圧が供給される期間と同期して、電圧制御発振回路30に発振制御電圧として温度補償電圧が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発振器、GPS受信装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星を利用した測位システムとして、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、カーナビゲーション装置等で利用されている。GPSでは、地球周回軌道を周回する複数のGPS衛星からそれぞれ送信される1.5GHz帯の電波信号をGPS受信装置で受信し、受信した電波信号に重畳されている軌道情報と時刻情報を基に現在位置を算出する処理(測位計算処理)や時刻修正処理を行う。
【0003】
GPS受信装置では、GPSの電波を受信して中間周波数帯の信号に変換するRF信号処理と、中間周波数帯の信号からベースバンド信号を復調し、ベースバンド信号に基づき測位計算等を行うベースバンド信号処理とが行われる。ベースバンド信号処理は周波数誤差が±100ppm程度の周波数精度のクロック信号で行っても問題ないが、RF信号処理ではGPSの電波信号に正確にロックするために周波数誤差が±0.5ppm以内の極めて高い周波数精度のクロック信号が必要とされる。そのため、GPS受信装置では高い周波数精度のクロック信号が得られる温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated X’tal Oscillator)が広く使用されている。温度補償水晶発振器(TCXO)は、所定の温度範囲で水晶振動子の発振周波数の所望の周波数(公称周波数)からのずれ(周波数偏差)をキャンセルすることにより温度に関係なくほぼ一定の周波数のクロック信号を出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−163542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、カーナビゲーション装置のような設置型の電子機器のみならず、携帯電話機や腕時計等の携帯型の電子機器にもGPS受信装置が組み込まれるようになっており、GPS受信装置の低消費電力化が要求されるようになっている。特に、技術の進歩によりRF信号処理やベースバンド信号処理を行う回路の消費電力が大幅に削減され、その結果、GPS受信装置全体の消費電力に占める温度補償水晶発振器(TCXO)の消費電力の割合が非常に大きくなってきている。そのため、特に携帯型の電子機器に組み込まれるGPS受信装置では、温度補償水晶発振器(TCXO)の消費電力を低減することが重要な課題になっている。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、外部からの制御信号に基づいて消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器を提供することができる。また、本発明の他のいくつかの態様によれば、この圧電発振器を用いて低消費電力化を実現するGSP受信装置及び電子機器を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、圧電振動子と、前記圧電振動子の周波数温度特性を特定するための温度補償データを記憶する記憶部と、温度情報を取得し、取得した前記温度情報と前記温度補償データとに基づいて、前記圧電振動子の周波数温度特性を補償するための温度補償電圧を発生させる温度補償回路と、前記圧電振動子を発振させるとともに、発振制御電圧に基づいて前記圧電振動子の発振周波数を制御する電圧制御発振回路と、外部からの制御信号に基づいて、前記温度補償回路に電源電圧を供給するか又は前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧を供給しないように制御する電源制御部と、を含み、前記温度補償回路に電源電圧が供給される期間と同期して、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記温度補償電圧が供給される、圧電発振器である。
【0008】
本発明の圧電発振器は、外部からの制御信号に基づいて温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧を供給しないようにすれば、その分だけ消費電力を低減させることができる。一方、この圧電発振器は、外部からの制御信号に基づいて温度補償回路に電源電圧を供給すれば温度補償型の発振器として動作するので、周波数精度を向上させることができる。従って、本発明によれば、外部からの制御信号に基づいて、消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器を提供することができる。
【0009】
(2)この圧電発振器は、前記制御信号に基づいて、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記温度補償電圧を供給するか固定電圧を供給するかを制御する、温度補償電圧制御部をさらに含み、前記温度補償電圧制御部は、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記固定電圧を供給するようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、電圧制御発振回路の発振制御電圧を固定することで圧電発振器の発振周波数の変動幅を温度変化分の変動幅に抑えることができる。
【0011】
(3)この圧電発振器において、前記温度補償電圧制御部は、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されなくなると同時に又はその前に前記温度補償電圧を保持し、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記固定電圧として当該保持した前記温度補償電圧を前記電圧制御発振回路に供給するようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されなくなった後も、電圧制御発振回路にはその直前の温度補償電圧が固定的に供給されるので、温度補償回路への電源電圧の供給を停止する前後で圧電発振器の発振周波数が変化しないようにすることができる。
【0013】
(4)この圧電発振器において、前記温度補償電圧制御部は、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記固定電圧として所定の一定電圧を前記電圧制御発振回路に供給するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、所定の一定電圧を発生させる簡単な構成の回路(例えば、抵抗分圧回路)を付加することで、コストの増加を抑えながら、温度補償回路への電源電圧の供給が停止される時の圧電発振器の発振周波数の変動幅を温度変化分の変動幅に抑えることができる。
【0015】
(5)この圧電発振器において、前記温度補償回路は、前記温度情報と前記温度補償データとに基づいて、前記圧電振動子の周波数温度特性を近似する多項式の各次数の項を補償するための電圧をそれぞれ発生させる複数の電圧発生回路と、当該複数の電圧発生回路が発生させる電圧に基づいて前記温度補償電圧を生成する温度補償電圧生成回路と、を含み、前記電源制御部は、前記制御信号に基づいて、前記多項式の1次以上の項を補償するための電圧を発生させる前記電圧発生回路に電源電圧を供給するか否かを制御し、前記温度補償電圧生成回路は、前記多項式の1次以上の項を補償するための電圧を発生させる前記電圧発生回路に電源電圧が供給されない時は、前記多項式の0次の項を補償するための電圧を前記発振制御電圧として前記電圧制御発振回路に供給するようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、電圧制御発振回路の発振制御電圧となる一定電圧を発生させる回路(例えば、抵抗分圧回路)を新たに付加する必要もなく、コストの増加を抑えながら、温度補償回路への電源電圧の供給が停止される時の圧電発振器の発振周波数の変動幅を温度変化分の変動幅に抑えることができる。
【0017】
(6)この圧電発振器は、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されていない状態から前記温度補償回路に電源電圧が供給される状態に切り替わってから前記電圧制御発振回路に前記温度補償電圧が供給されるまでの遅延時間を制御する遅延制御部をさらに含むようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、温度補償回路に電源電圧が供給されて温度補償回路が安定動作をするようになるまでの期間は、電圧制御発振回路に温度補償電圧が供給されないようにすることができ、この期間における圧電発振器の発振周波数の揺らぎを抑制することができる。
【0019】
(7)本発明は、上記のいずれかの圧電発振器と、GPS衛星から送信された電波信号を受信する受信部と、前記圧電発振器の発振信号に基づいて、前記電波信号から中間周波数帯の信号を復調するRF処理部と、前記圧電発振器の発振信号に基づいて、前記中間周波数帯の信号からベースバンド信号を復調し、当該ベースバンド信号から所定の情報を抽出して所定の計算処理を行うベースバンド処理部と、を含み、前記ベースバンド処理部は、前記RF処理部が前記電波信号から前記中間周波数帯の信号を復調する期間は、前記圧電発振器の前記温度補償回路に電源電圧が供給されるように制御するとともに、前記計算処理を行う期間と同期させて前記圧電発振器の前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されないように制御するための前記制御信号を生成して前記圧電発振器に供給する、GPS受信装置である。
【0020】
このようにすれば、RF処理部が電波信号から中間周波数帯の信号を復調する期間は、圧電発振器を温度補償型の圧電発振器として動作させて極めて高い周波数精度のクロック信号をRF処理部に供給することができる。一方、ベースバンド処理部が所定の計算処理を行う期間は、それほど高い周波数精度のクロック信号が要求されないため、温度補償回路の動作を停止することでその分だけ圧電発振器の消費電力を低減することができる。従って、本発明によれば、低消費電力化を実現するGSP受信装置を実現することができる。
【0021】
(8)このGPS受信装置において、前記ベースバンド処理部は、前記RF処理部が前記電波信号から前記中間周波数帯の信号を復調する処理を開始する所定時間前に前記温度補償回路に電源電圧が供給されるように制御するための前記制御信号を生成するようにしてもよい。
【0022】
このようにすれば、例えば、圧電発振器の温度補償回路に電源電圧が供給された後、当該温度補償回路から発生する熱が圧電振動子に伝わって当該温度補償回路と圧電振動子の温度差がなくなるまでは、圧電発振器の電圧制御発振回路に温度補償電圧を供給しないようにすることができる。従って、このGS受信装置によれば、当該温度差に起因する圧電発振器の周波数誤差の影響を抑制し、RF処理部の動作開始直後の処理を無駄にしないようにすることができる。
【0023】
(9)本発明は、上記のいずれかのGPS受信装置を含む、電子機器である。
【0024】
本発明によれば、GSP受信装置を含む電子機器の低消費電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の圧電発振器の構成例を示す図。
【図2】温度補償回路の構成例を示す図。
【図3】第2実施形態の圧電発振器の構成例を示す図。
【図4】第3実施形態の圧電発振器の構成例を示す図。
【図5】温度補償回路の構成例を示す図。
【図6】第4実施形態の圧電発振器の構成例を示す図。
【図7】GPSの概要について説明するための図。
【図8】本実施形態のGPS受信装置及びこれを含む電子機器の構成例を示す機能ブロック図。
【図9】本実施形態のGPS受信装置の具体的な処理の一例を示すフローチャート図。
【図10】本実施形態のGPS受信装置の具体的な処理の他の一例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0027】
1.圧電発振器
1−1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の圧電発振器の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の圧電発振器1Aは、温度補償回路10、サンプルホールド回路20、電圧制御発振回路30、圧電振動子40、出力バッファー50、スイッチ回路60、プログラマブルROM(PROM:Programmable ROM)70、レギュレーター80等を含んで構成されている。なお、本実施形態の圧電発振器は、これらの構成要素の一部を省略した構成としてもよい。
【0028】
圧電振動子40は、逆圧電効果を利用して振動する圧電素子であり、例えば、水晶振動子やセラミック振動子、ニオブ酸リチウム振動子、タンタル酸リチウム振動子などの単結晶材料を用いた振動子や、酸化亜鉛圧電薄膜振動子、酸化アルミニウム圧電薄膜振動子などの圧電性薄膜を用いた振動子等である。
【0029】
特に、ATカット水晶振動子の周波数温度特性(Δf/f:fは公称周波数、Δfは周波数誤差)は広い温度範囲に亘って近似3次曲線の極めて良好な特性を示すことが知られており、圧電振動子40としてATカット水晶振動子を使用することで、周波数精度が極めて高い温度補償水晶発振器を実現することができる。そのため、高精度のクロックが必要になる電子機器では、圧電振動子40としてATカット水晶振動子を用いた温度補償水晶発振器が広く利用されている。
【0030】
さらに、GPSの電波受信等の特定の処理では、周波数誤差が±0.5ppm程度の極めて高い周波数精度のクロック信号が要求されるため、GPS受信装置では、圧電振動子40としてATカット水晶振動子を用い、その周波数温度特性(Δf/f)を例えば次式(1)に示す5次関数で近似することで近似の精度を高めることで極めて正確に温度補償を行う温度補償水晶発振器が採用される場合がある。式(1)において、fは公称周波数、Δfは周波数誤差、Tは温度変数、tは基準温度(例えば25℃)を示す。
【0031】
【数1】

【0032】
電圧制御発振回路30は、発振制御電圧に応じて圧電振動子40の負荷容量を変化させることにより、圧電振動子40を発振制御電圧に応じた周波数で発振させて発振信号を生成する。本実施形態では、電圧制御発振回路30は、インバーター32、抵抗34、キャパシター36、バリキャップ38を含んでおり、これらの素子により圧電振動子40を発振させる発振ループが形成されている。バリキャップ38の一端に発振制御電圧が印加され、そのレベルに応じてバリキャップ38の容量が変動し、その容量に応じて圧電振動子40の発振周波数が変化する。例えば、発振制御電圧が高いほどバリキャップ38の容量が小さくなる(又は大きくなる)ため、発振制御電圧を調整することで、圧電振動子40の発振周波数を調整することができる。従って、圧電振動子40の周波数温度特性に応じて、現在の温度に基づき発振制御電圧をリアルタイムに調整することで圧電振動子40の発振周波数を温度に関係なくほぼ一定にすることができる。
【0033】
出力バッファー50は、電圧制御発振回路30の発振信号を、後段で要求される所望のレベルに増幅し、外部端子7を介して外部に出力する。
【0034】
PROM70は、圧電振動子40の周波数温度特性を特定するための温度補償データが記憶されており、本発明における記憶部として機能する。具体的には、この温度補償データは、圧電振動子40の周波数温度特性を表す曲線を特定するためのパラメーターである。例えば、式(1)に示す周波数温度特性は、基準温度tを固定すると、5次係数A,4次係数A,3次係数A,1次係数A、定数Aによって特定することができる。そこで、本実施形態では、PROM70には、温度補償データとして、5次係数データ(A),4次係数データ(A),3次係数データ(A),1次係数データ(A)、定数データ(0次係数データ)(A)が記憶されている。
【0035】
PROM70は、外部端子2、3からそれぞれクロック信号とデータ信号を供給することで、2線式のインターフェース(ICインターフェース等)を介してメモリー素子にデータを書き込むことができるようになっている。このインターフェースは、イネーブル信号を供給する外部端子を追加して3線式のインターフェースとすることもできる。そして、圧電発振器1Aの検査工程等において、圧電振動子40の周波数温度特性を測定し、この測定データから温度補償データを作成し、外部端子2、3を介してPROM70に温度補償データが書き込まれる。この温度補償データにより、圧電振動子40の周波数温度特性の個体間ばらつきを吸収することができる。
【0036】
PROM70は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やヒューズ型等のOTPROM(One Time Programmable ROM)で実現することができる。
【0037】
なお、PROM70は、温度補償データとともに、圧電振動子40の特性に応じてインバーター32の能力を調整するための調整データ等を記憶するようにしてもよい。
【0038】
温度補償回路10は、温度情報を取得し、取得した温度情報とPROM70に記憶された温度補償データとに基づいて、圧電振動子40の周波数温度特性を補償するための温度補償電圧を発生させる。図2は、温度補償回路10の構成例を示す図である。図2に示すように、本実施形態の温度補償回路10は、温度センサー11、5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15、基準電圧発生回路16、電圧加算回路17を含んで構成されている。
【0039】
温度センサー11は、温度に応じた電圧を出力するセンサーであり、例えば、電気抵抗の変化として温度変化を捉えるサーミスターによって実現することができる。
【0040】
5次関数電圧発生回路12は、PROM70に記憶されている5次係数データAと温度センサー11の出力電圧に基づいて、式(1)の5次の項であるA(T−tを補償する電圧(5次関数電圧)を発生させる。
【0041】
4次関数電圧発生回路13は、PROM70に記憶されている4次係数データAと温度センサー11の出力電圧に基づいて、式(1)の4次の項であるA(T−tを補償する電圧(4次関数電圧)を発生させる。
【0042】
3次関数電圧発生回路14は、PROM70に記憶されている3次係数データAと温度センサー11の出力電圧に基づいて、式(1)の3次の項であるA(T−tを補償する電圧(3次関数電圧)を発生させる。
【0043】
1次関数電圧発生回路15は、PROM70に記憶されている1次係数データAと温度センサー11の出力電圧に基づいて、式(1)の1次の項であるA(T−t)を補償する電圧(1次関数電圧)を発生させる。
【0044】
基準電圧発生回路16は、PROM70に記憶されている定数データ(0次係数データ)Aと温度センサー11の出力電圧に基づいて、式(1)の定数項(0次の項)であるAを補償する電圧(基準電圧)を発生させる。この基準電圧は、例えば、基準温度t(例えば25℃)において圧電振動子40の発振周波数が公称周波数になる電圧である。
【0045】
電圧加算回路17は、5次関数電圧発生回路12の出力電圧(5次関数電圧)、4次関数電圧発生回路13の出力電圧(4次関数電圧)、3次関数電圧発生回路14の出力電圧(3次関数電圧)、1次関数電圧発生回路15の出力電圧(1次関数電圧)、基準電圧発生回路16の出力電圧(基準電圧)を加算し、温度補償電圧を生成する。
【0046】
レギュレーター80は、外部端子5から供給される電源電圧を所定のレベルの電圧にするとともに安定化して、温度補償回路10、電圧制御発振回路30、出力バッファー50の電源電圧として供給する。一方、温度補償回路10、サンプルホールド回路20、電圧制御発振回路30、出力バッファー50等のグラウンド電位(接地電位)は、外部端子6を介して供給される。
【0047】
本実施形態では、電圧制御発振回路30と出力バッファー50には、レギュレーター80が出力する電源電圧が常に供給される。一方、温度補償回路10には、レギュレーター80が出力する電源電圧が供給されるか否かがスイッチ回路60の開閉に従って制御される。すなわち、スイッチ回路60は、外部端子4から入力される制御信号に基づいて、温度補償回路10に電源電圧を供給するか否かを制御するものであり、本発明における電源制御部として機能する。本実施形態では、外部端子4はプルアップ抵抗8を介して電源電位にプルアップされており、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時はスイッチ回路60が閉じて温度補償回路10に電源電圧が供給される。一方、外部端子4がローレベルの時はスイッチ回路60が開いて温度補償回路10に電源電圧が供給されない。
【0048】
サンプルホールド回路20は、外部端子4からの制御信号に基づいて、温度補償回路10に電源電圧が供給されなくなると同時に又はその前に温度補償回路10の出力電圧(温度補償電圧)を保持し、温度補償回路10に電源電圧が供給されない時は、当該保持した温度補償電圧を電圧制御発振回路30に供給する。本実施形態では、サンプルホールド回路20は、3端子のスイッチ回路22と一端が接地されたキャパシター24を含んで構成されている。スイッチ回路22は、外部端子4の電圧レベルに応じて、キャパシター24の他端を温度補償回路10の出力と接続するかオープンにするかを制御し、キャパシター24の両端にかかる電圧が発振制御電圧として電圧制御発振回路30に供給される。
【0049】
本実施形態では、スイッチ回路22は、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時は温度補償回路10とキャパシター24を接続し、外部端子4がローレベルの時はキャパシター24をオープンにする。従って、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時は温度補償回路10の出力電圧(温度補償電圧)がそのまま電圧制御発振回路30の発振制御電圧となる。一方、外部端子4がハイレベル又はオープンからローレベルに変化すると、その変化の直前の温度補償電圧がキャパシター24に保持されるので、外部端子4がローレベルの時は、この保持された温度補償電圧が電圧制御発振回路30の発振制御電圧となる。
【0050】
このように、サンプルホールド回路20は、外部端子4からの制御信号に基づいて、電圧制御発振回路30に温度補償電圧を供給するか固定電圧(キャパシター24に保持された電圧)を供給するかを制御するものであり、本発明における温度補償電圧制御部として機能する。
【0051】
このような構成の第1実施形態の圧電発振器1Aは、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時は、温度補償回路10に電源電圧を供給し、温度補償圧電発振器として動作することで、高い周波数精度の発振信号を出力することができる。一方、外部端子4がローレベルの時は、圧電発振器1Aは、温度補償回路10への電源電圧の供給を停止し、キャパシター24に保持された固定電圧で発振周波数が制御される単純な圧電発振器として動作することで、温度補償回路の分だけ消費電力を削減することができる。すなわち、本実施形態によれば、外部からの制御信号に基づいて、消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器を提供することができる。
【0052】
一例として、圧電発振器全体の消費電力に対して、温度補償回路10の消費電力が約50%、電圧制御発振回路30と圧電振動子40の消費電力が約20%、出力バッファーの消費電力が約30%を占めるとすると、温度補償回路10への電源電圧の供給を停止している期間は約50%の消費電力を削減することができる。さらに、温度補償回路10への電源電圧の供給を停止する期間が全体の90%であるとすると、全体として約45%(=50%×90%)の消費電力を削減することができる。
【0053】
また、第1実施形態の圧電発振器1Aによれば、温度補償回路10に電源電圧が供給されなくなった後も、電圧制御発振回路30にはその直前の温度補償電圧が固定的に供給されるので、温度補償回路10への電源電圧の供給を停止する前後で発振周波数が変化しないようにすることができる。
【0054】
1−2.第2実施形態
図3は、第2実施形態の圧電発振器の構成例を示す図である。図3に示すように、第2実施形態の圧電発振器1Bは、温度補償回路10、電圧制御発振回路30、圧電振動子40、出力バッファー50、スイッチ回路60、PROM70、レギュレーター80、スイッチ回路90、定電圧発生回路100等を含んで構成されている。なお、本実施形態の圧電発振器は、これらの構成要素の一部を省略した構成としてもよい。
【0055】
第2実施形態の圧電発振器1Bは、第1実施形態の圧電発振器1Aに対して、サンプルホールド回路20がスイッチ回路90と定電圧発生回路100に置き換わっている。
【0056】
定電圧発生回路100は、レギュレーター80が出力する電源電圧を抵抗102と抵抗104の抵抗比により抵抗分圧した一定電圧を発生させる。この一定電圧は、例えば、式(1)の定数項Aを補償する基準電圧、すなわち、基準温度t(例えば25℃)において圧電振動子40の発振周波数が公称周波数になる電圧又はその付近の一定電圧であってもよい。
【0057】
スイッチ回路90は、外部端子4の電圧レベルに応じて、温度補償回路10の出力電圧(温度補償電圧)又は定電圧発生回路100による一定電圧を選択し、発振制御電圧として電圧制御発振回路30に供給する。本実施形態では、スイッチ回路90は、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時(スイッチ回路60が閉じる時)は温度補償電圧を選択し、外部端子4がローレベルの時(スイッチ回路60が開く時)は一定電圧を選択する。すなわち、スイッチ回路90は、温度補償回路10に電源電圧が供給される時は温度補償電圧を選択し、温度補償回路10に電源電圧が供給されない時は一定電圧を選択し、発振制御電圧として電圧制御発振回路30に供給する。
【0058】
このように、スイッチ回路90は、外部端子4からの制御信号に基づいて、電圧制御発振回路30に温度補償電圧を供給するか固定電圧(定電圧発生回路100による一定電圧)を供給するかを制御するものであり、本発明における温度補償電圧制御部として機能する。
【0059】
図3におけるその他の構成は図1と同じであるため、それぞれ同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0060】
このような構成の第2実施形態の圧電発振器1Bは、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時は、温度補償回路10に電源電圧を供給し、温度補償圧電発振器として動作することで、高い周波数精度の発振信号を出力することができる。一方、外部端子4がローレベルの時は、圧電発振器1Bは、温度補償回路10への電源電圧の供給を停止し、定電圧発生回路100による一定電圧で発振周波数が制御される単純な圧電発振器(圧電振動子40の周波数温度特性に従う周波数変動を有する圧電発振器)として動作することで、温度補償回路の分だけ消費電力を削減することができる。すなわち、本実施形態によれば、外部からの制御信号に基づいて、消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器を提供することができる。
【0061】
また、第2実施形態の圧電発振器1Bによれば、簡単な構成の定電圧発生回路(抵抗分圧回路)を付加することで、コストの増加を抑えながら、温度補償回路10への電源電圧の供給が停止される時の発振周波数の変動幅を温度変化分の変動幅(例えば、圧電振動子40が水晶振動子であれば±100ppm以内)に抑えることができる。
【0062】
1−3.第3実施形態
図4は、第3実施形態の圧電発振器の構成例を示す図である。図4に示すように、第3実施形態の圧電発振器1Cは、温度補償回路110、電圧制御発振回路30、圧電振動子40、出力バッファー50、スイッチ回路60、PROM70、レギュレーター80等を含んで構成されている。なお、本実施形態の圧電発振器は、これらの構成要素の一部を省略した構成としてもよい。
【0063】
第3実施形態の圧電発振器1Cは、第1実施形態の圧電発振器1Aに対して、サンプルホールド回路20が削除されるとともに、温度補償回路110の構成が温度補償回路10と異なる。
【0064】
図5は、温度補償回路110の構成例を示す図である。図5に示すように、温度補償回路110は、第1実施形態における温度補償回路10に対して、5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15と電圧加算回路17との間にそれぞれ、スイッチ回路112、113、114、115が追加されている。
【0065】
温度補償回路110は、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時(スイッチ回路60が閉じる時)は、スイッチ回路112、113、114、115はすべて閉じ、電圧加算回路17により、5次関数電圧、4次関数電圧、3次関数電圧、1次関数電圧、基準電圧を加算して温度補償電圧を出力する。この時、スイッチ回路60が閉じるので、5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15に電源電圧が供給される。一方、外部端子4がローレベルの時(スイッチ回路60が開く時)は、スイッチ回路112、113、114、115はすべて開き、式(1)の定数項Aを補償する基準電圧を出力する。この時、スイッチ回路60が開くので、5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15には電源電圧が供給されない。なお、スイッチ回路60の開閉にかかわらず、基準電圧発生回路16には常に電源電圧が供給される。
【0066】
このように、スイッチ回路112、113、114、115と電圧加算回路17は、式(1)の1次以上の項を補償するための電圧を発生させる電圧発生回路12、13、14、15に電源電圧が供給されない時は、式(1)の定数項(0次の項)を補償するための基準電圧を電圧制御発振回路30に供給するものであり、本発明における温度補償電圧生成回路として機能する。
【0067】
図4におけるその他の構成は図1と同じであるため、それぞれ同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0068】
このような構成の第3実施形態の圧電発振器1Cは、外部端子4がハイレベルもしくはオープンの時は、温度補償回路10の内部の5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15に電源電圧を供給し、温度補償圧電発振器として動作することで、高い周波数精度の発振信号を出力することができる。一方、外部端子4がローレベルの時は、圧電発振器1Bは、温度補償回路10の内部の5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15への電源電圧の供給を停止し、基準電圧発生回路16による一定電圧で発振周波数が制御される単純な圧電発振器(圧電振動子40の周波数温度特性に従う周波数変動を有する圧電発振器)として動作することで、5次関数電圧発生回路12、4次関数電圧発生回路13、3次関数電圧発生回路14、1次関数電圧発生回路15の分だけ消費電力を削減することができる。すなわち、本実施形態によれば、外部からの制御信号に基づいて、消費電力の低減と周波数精度の向上のいずれかを択一的に実現可能な圧電発振器を提供することができる。
【0069】
また、第3実施形態の圧電発振器1Cによれば、定電圧発生回路(抵抗分圧回路)を新たに付加する必要もなく、コストの増加を抑えながら、温度補償回路10への電源電圧の供給が停止される時の発振周波数の変動幅を温度変化分の変動幅(例えば、圧電振動子40が水晶振動子であれば±100ppm以内)に抑えることができる。
【0070】
1−4.第4実施形態
図6は、第4実施形態の圧電発振器の構成例を示す図である。図6に示すように、第4実施形態の圧電発振器1Dは、温度補償回路10、サンプルホールド回路20、電圧制御発振回路30、圧電振動子40、出力バッファー50、スイッチ回路60、PROM70、レギュレーター80、遅延制御回路120等を含んで構成されている。なお、本実施形態の圧電発振器は、これらの構成要素の一部を省略した構成としてもよい。
【0071】
第4実施形態の圧電発振器1Dは、第1実施形態の圧電発振器1Aに対して、遅延制御回路120が追加されている。
【0072】
遅延制御回路120は、温度補償回路10に電源電圧が供給されていない状態から電源電圧が供給される状態に切り替わってから電圧制御発振回路30に温度補償電圧が供給されるまでの遅延時間(固定であってよいし、可変であってもよい)を制御するものであり、本発明における遅延制御部として機能する。本実施形態では、遅延制御回路120は、外部端子4がローレベルからハイレベル又はオープンになった時(スイッチ回路60が閉じた時)から所定時間をカウントし、所定の遅延時間の経過前はキャパシター24の端子をオープンにし、所定の遅延時間が経過後にキャパシター24の端子を温度補償回路10の出力と接続するように、サンプルホールド回路20のスイッチ回路22の開閉動作を制御する。一方、外部端子4がハイレベル又はオープンからローレベルになった時(スイッチ回路60が開いた時)は、直ちにキャパシター24の端子をオープンにするようにスイッチ回路22を制御する。
【0073】
図6におけるその他の構成は図1と同じであるため、それぞれ同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0074】
このような構成の第4実施形態の圧電発振器1Dは、第1実施形態の圧電発振器1Aと同様の効果に加えて、遅延時間をあらかじめ調整しておくことで、温度補償回路10に電源電圧が供給されて温度補償回路10が安定動作をするようになるまでの期間は、電圧制御発振回路30に温度補償電圧が供給されないようにすることができ、この期間における発振周波数の揺らぎを抑制することができる。
【0075】
2.GPS受信装置、電子機器
2−1.GPSの概要
図7は、GPSの概要について説明するための図である。
【0076】
GPS衛星150は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させた信号(以下、「GPS衛星信号」という)を地上に送信している。GPS受信装置200は、このGPS衛星信号を受信して航法メッセージを復調する機能を有する装置である。
【0077】
現在、約30個のGPS衛星が存在しており、GPS衛星信号がどのGPS衛星から送信されたかを識別するために、各GPS衛星はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンをGPS衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、GPS衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、GPS衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
【0078】
GPS衛星150は原子時計を搭載しており、GPS衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、GPS衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。そのため、GPS受信装置200は、1つのGPS衛星から送信されたGPS衛星信号を受信し、その中に含まれる時刻情報と時刻補正パラメータを使用して内部時刻を正確な時刻に修正することができる。
【0079】
さらに、GPS衛星信号にはGPS衛星150の軌道上の位置を示す軌道情報が含まれている。GPS受信装置200は、時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。GPS受信装置200の3次元の位置(x,y,z)を特定する場合、3つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信されたGPS衛星信号を受信し、その中に含まれる時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う。また、GPS受信装置200の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提とすると、x,y,zパラメータに加えて時刻誤差も未知数になるため、GPS受信装置200は、4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信されたGPS衛星信号を受信し、その中に含まれる時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う場合もある。
【0080】
2−2.GPS受信装置の構成
図8は、本実施形態のGPS受信装置及びこれを含む電子機器の構成例を示す機能ブロック図である。本実施形態の電子機器400は、GPS受信装置200、ホストCPU300、操作部310、表示部320、ROM(Read Only Memory)330、RAM(Random Access Memory)340、通信部350を含んで構成されている。
【0081】
ホストCPU300は、ROM330に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、ホストCPU300は、GPS受信装置200に対して各種の制御コマンドを送信してGPS受信装置200の動作を制御したり、GPS受信装置200からの測位データを受け取って各種の計算処理をする。また、ホストCPU300は、操作部310からの操作信号に応じた各種の処理、表示部320に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理、外部とデータ通信を行うために通信部350を制御する処理等を行う。
【0082】
操作部310は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をホストCPU300に出力する。この操作部310の操作により、測位の開始や終了等の各種指示が入力される。
【0083】
表示部320は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、ホストCPU300から入力される表示信号に基づいて各種の情報(例えば、ナビゲーション情報や時刻情報等)を表示する。
【0084】
ROM330は、ホストCPU300が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、ナビゲーション機能等を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0085】
RAM340は、ホストCPU300の作業領域として用いられ、ROM330から読み出されたプログラムやデータ、操作部310から入力されたデータ、ホストCPU300が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0086】
通信部350は、CPU300と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
【0087】
GPS受信装置200は、GPSアンテナ202、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルター204、RF回路210、ベースバンド回路220、温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)230を含んで構成されており、GPS衛星信号の受信、時刻情報や軌道情報の取得、測位計算等の処理を行う。
【0088】
GPSアンテナ202は、GPS衛星信号を含む各種の電波を受信するアンテナである。SAWフィルター204は、GPSアンテナ202が受信した電波からGPS衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルター204は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルターとして構成される。GPSアンテナ202及びSAWフィルター204は、本発明における受信部として機能する。
【0089】
RF回路210は、PLL(Phase Locked Loop)211、LNA(Low Noise Amplifier)212、ミキサー213、IFアンプ214、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルター215、ADC(A/D変換器)216を含んで構成されている。
【0090】
PLL211は、数十MHz程度で発振するTCXO230の発振信号を1.5GHz帯の周波数に逓倍したクロック信号を生成する。
【0091】
SAWフィルター204が抽出したGPS衛星信号は、LNA212で増幅される。LNA212で増幅されたGPS衛星信号は、ミキサー213でPLL211が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯(例えば、数MHz)の信号(IF信号)にダウンコンバートされる。ミキサー213でミキシングされた信号は、IFアンプ214で増幅される。
【0092】
ミキサー213でのミキシングにより、IF信号とともにGHzオーダーの高周波信号も生成されるため、IFアンプ214はIF信号とともにこの高周波信号も増幅する。IFフィルター215は、IF信号を通過させるとともに、この高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルター215を通過したIF信号はADC(A/D変換器)216でデジタル信号に変換される。
【0093】
このように、RF回路210は、TCXO230の発振信号に基づいて、GPS衛星信号からIF信号を復調するものであり、本発明におけるRF処理部として機能する。
【0094】
ベースバンド回路220は、DSP(Digital Signal Processor)221、CPU(Central Processing Unit)222、SRAM(Static Random Access Memory)223、RTC(リアルタイムクロック)224を含んで構成されており、TCXO230の発振信号をクロック信号として各種処理を行う。
【0095】
DSP221とCPU222は、協働しながら、IF信号からベースバンド信号を復調し、ベースバンド信号に対して各種処理を行い航法メッセージに含まれる時刻情報や軌道情報を取得し、測位計算を行う。
【0096】
SRAM223は、取得した時刻情報や軌道情報を記憶するためのものである。RTC224は、ベースバンド処理を行うためのタイミングを生成するものである。このRTC224は、TCXO230からのクロック信号でカウントアップされる。
【0097】
ベースバンド回路220は、ベースバンド信号の処理として、例えば、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド回路220は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星に同期(GPS衛星を捕捉)したものと判断する。なお、GPSでは、すべてのGPS衛星が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信したGPS衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星を検索することができる。
【0098】
また、ベースバンド回路220は、捕捉したGPS衛星の時刻情報や軌道情報を取得するために、当該GPS衛星のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星の時刻情報や軌道情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド回路220は、航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を取得し、SRAM223に記憶する処理を行う。
【0099】
また、ベースバンド回路220は、時刻情報や軌道情報に基づいて測位計算を行い、測位計算により得られた位置情報(測位データ)をホストCPU300に送信する処理を行う。
【0100】
ところで、RF回路210は、GPS衛星信号の周波数に正確にロックさせるために、周波数誤差が±0.5ppm以内の極めて正確なクロック信号を必要とする。これに対して、ベースバンド回路220は、すべての処理をデジタル処理で行うため、周波数誤差が±100ppm程度(水晶振動子の周波数温度特性の変動幅程度)のクロック信号でも正常に動作することができる。そこで、特に本実施形態では、TCXO230は、温度補償を行って周波数精度が極めて高い発振信号を生成するモード(TCXOモード)と、温度補償を行わず周波数精度が低い発振信号を生成するモード(SPXOモード)のいずれかを、外部端子(モード選択端子)を介して選択できるようになっている。TCXOモードは消費電力が大きいが極めて高い周波数精度のクロック信号を得ることができ、SPXOモードはクロック信号の周波数精度は低いが消費電力を低減することができる。このようなTCXO230は、例えば、前述した第1実施形態〜第4実施形態のいずれかの圧電発振器として実現することができる。
【0101】
本実施形態では、ベースバンド回路220が、TCXO230のモード選択端子に制御信号を供給することで、TCXOモードとSPXOモードを任意のタイミングで切り替えることができるようになっており、この2つのモードの切替タイミングはアプリケーションに応じて適切に設定される。例えば、1秒毎に位置情報を更新するナビゲーションを考えた場合、1秒間のうち、RF回路210は最初の100msのみ処理を行い、ベースバンド回路220はその後の900msで処理を行うようにすることができる。この場合、ベースバンド回路220は、RF回路210が処理を行う期間はTCXOモードを選択し、ベースバンド回路220が処理を行う期間はSPXOモードを選択するようにしてもよい。
【0102】
このように、ベースバンド回路220は、RF回路210がGPS衛星信号からIF信号を復調する期間は、TCXO230の温度補償回路に電源電圧が供給されるように制御するとともに、測位計算処理を行う期間と同期させてTCXO230の温度補償回路の少なくとも一部(たとえば温度補償回路を構成する複数の能動回路のうち少なくとも一部)に電源電圧が供給されないように制御するための制御信号を生成するものであり、本発明におけるベースバンド処理部として機能する。
【0103】
なお、電子機器400としては、携帯電話機、携帯型ナビゲーション装置(PND:Portable Navigation Device)、PDA(Personal Data Assistance)、携帯型音楽プレイヤー、腕時計等が挙げられる。
【0104】
2−3.GPS受信装置の処理
図9は、本実施形態のGPS受信装置の具体的な処理の一例を示すフローチャート図である。
【0105】
GPS受信装置200は、ホストCPU300から測位処理の指示を受けると、ベースバンド処理回路220により、TCXO230の温度補償機能をON(TCXOモードに設定)し(ステップS10)、測位処理を開始する(ステップS20)。
【0106】
GPS受信装置200は、まず、衛星検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(ステップS30)。衛星検索工程において、GPS受信装置200は、捕捉可能なGPS衛星を検索する処理を行う。具体的には、衛星検索工程において、RF回路210がGPS衛星信号を受信してIF信号を生成し、ベースバンド回路220が、IF信号からベースバンド信号を復調するとともに、各衛星番号のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させ、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードと各ローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。ベースバンド回路220は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値が最大になるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が所定の閾値以上であればGPS衛星を捕捉したものと判断する。そして、ベースバンド回路220は、捕捉した各GPS衛星の情報(衛星番号等)をSRAM223に記憶する。
【0107】
GPS受信装置200は、少なくとも1つのGPS衛星を捕捉する前にタイムアウト時間が経過した場合(ステップS40でYesの場合)、ホストCPU300から測位処理の終了指示を受けなければ(ステップS150でNoの場合)、衛星検索工程を継続する(ステップS30)。電子機器400が受信できない環境にある場合、例えば、屋内にあるような場合には、すべてのGPS衛星のサーチを行っても捕捉できるGPS衛星が存在せず、タイムアウトが発生する。
【0108】
一方、タイムアウト時間が経過する前にGPS衛星を捕捉することができた場合(ステップS50でYesの場合)、GPS受信装置200は、捕捉したGPS衛星の衛星情報(時刻情報や軌道情報等)の取得を開始する(ステップS60)。具体的には、ベースバンド回路220が、捕捉した各GPS衛星からの航法メッセージをそれぞれ復調して時刻情報や軌道情報を取得し、取得した時刻情報や軌道情報をSRAM223に記憶する。
【0109】
GPS受信装置200がN個(例えば3個又は4個)以上のGPS衛星の衛星情報を取得する前にタイムアウト時間が経過した場合(ステップS70でYesの場合)、ホストCPU300から測位処理の終了指示を受けなければ(ステップS150でNoの場合)、衛星検索工程を継続する(ステップS30)。GPS受信装置200がN個(例えば3個又は4個)以上のGPS衛星を捕捉することができない場合や捕捉したGPS衛星からのGPS衛星信号の受信レベルが小さすぎる場合には、N個(例えば3個又は4個)以上のGPS衛星の衛星情報を正しく復調することができないままタイムアウトが発生する。
【0110】
一方、タイムアウト時間が経過する前にN個(例えば3個又は4個)以上のGPS衛星の衛星情報を取得することができた場合(ステップS80でYesの場合)、衛星サーチ開始後所定時間Tが経過すると(ステップS90でYesの場合)、GPS受信装置200は、ベースバンド処理回路220により、TCXO230の温度補償機能をOFF(SPXOモードに設定)し(ステップS100)、測位計算を開始する(ステップS110)。具体的には、ベースバンド回路220が、捕捉したGPS衛星からN個(例えば3個又は4個)のGPS衛星を選択し、選択したN個(例えば3個又は4個)のGPS衛星の衛星情報(時刻情報及び軌道情報)をSRAM223から読み出して測位計算(位置情報の生成)を開始する(ステップS110)。
【0111】
具体的には、ベースバンド回路220は、内部時刻と時刻情報の差及び時刻補正データに基づいて、N個(例えば3個又は4個)のGPS衛星と電子機器400との距離をそれぞれ計算し、軌道情報に基づいてN個のGPS衛星の位置をそれぞれ計算し、N個のGPS衛星と電子機器400との距離及びN個のGPS衛星の位置に基づいて、電子機器400の位置情報を生成することができる。
【0112】
GPS受信装置200は、測位計算の終了後、測位データ(測位計算結果、具体的には位置情報)をホストCPU300に送信する(ステップS120)。
【0113】
そして、測位計算開始後所定時間Tが経過すると(ステップS130でYesの場合)、GPS受信装置200は、ベースバンド処理回路220により、TCXO230の温度補償機能をON(TCXOモードに設定)し(ステップS140)、ホストCPU300から測位処理の終了指示を受けなければ(ステップS150でNoの場合)、次の測位計算のために新たに衛星検索工程を開始する(ステップS30)。
【0114】
GPS受信装置200は、ホストCPU300から測位処理の終了指示を受けるまで(ステップS150でYesになるまで)、ステップS30以降の処理を繰り返す。
【0115】
このフローチャートによれば、RF回路210がGPS衛星信号からIF信号を復調する期間は、TCXO230をTCXOモードで動作させることで±0.5ppm程度の極めて高い周波数精度のクロック信号をRF回路210に供給することができる。一方、ベースバンド回路220が測位計算処理を行う期間は、±100ppm程度の周波数精度のクロック信号でも十分であり、TCXO230をSPXOモードで動作させることで消費電力を低減することができる。
【0116】
例えば、1秒毎に位置情報を更新するナビゲーションであれば、T=100ms、T=900msに設定すれば、1秒間のうちの最初の100msで衛星情報を取得し、残りの900msで測位計算を行うようにすることができる。つまり、TCXO230は、最初の100msはTCXOモードであり、残りの900msはSPXOモードである。従って、SPXOモードにすることでTCXO230の消費電力を50%削減することができるとすると、TXO230がSPXOモードで動作する時間が90%であるので、全体としてTCXO230の消費電力を45%削減することができる。
【0117】
図10は、本実施形態のGPS受信装置の具体的な処理の他の一例を示すフローチャート図である。図9のフローチャートでは、衛星検索工程を再開する直前にTCXO230をTCXOモードに設定している。その場合、TCXOモードになると温度補償回路に電源電圧が供給されて動作を開始するとTCXO230の回路部分が発熱するが、この熱が水晶振動子に伝わって回路部分と水晶振動子の温度差がなくなるまでに若干の時間がかかる。そのため、TCXO230をTCXOモードに設定した後、所定時間は、温度センサーの検出温度と水晶振動子の実際の温度にずれが生じ、TCXO230の周波数精度が劣化する。従って、GPS受信装置200は、衛星検索工程を再開しても、GPS衛星信号にすぐにロックすることができず、無駄な処理を行うことになる。そこで、図10のフローチャートでは、GPS受信装置200が衛星検索工程を再開する所定時間前からTCXO230をTCXOモードに設定する。図10のフローチャートにおいて、図9と同じ処理には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0118】
図10のフローチャートにおいて、ステップS10〜S110の処理は、図9のフローチャートと同じである。図10のフローチャートでは、GPS受信装置200は、測位計算を開始した後所定時間Tが経過すると(ステップS112でYesの場合)、ベースバンド処理回路220により、TCXO230の温度補償機能をON(TCXOモードに設定)する(ステップS114)。
【0119】
そして、GPS受信装置200は、測位計算の終了後、測位データ(測位計算結果、具体的には位置情報)をホストCPU300に送信し(ステップS120)、測位計算開始後所定時間Tが経過すると(ステップS130でYesの場合)、ホストCPU300から測位処理の終了指示を受けなければ(ステップS150でNoの場合)、次の測位計算のために新たに衛星検索工程を開始する(ステップS30)。
【0120】
このフローチャートによれば、RF回路210が処理を開始するT−T時間だけ前からTCXO230をTCXOモードで動作させることで±0.5ppm程度の極めて高い周波数精度のクロック信号をRF回路210に供給することができる。従って、T−Tを適切に設定することで、TCXO230の温度補償回路に電源電圧が供給された後、当該温度補償回路から発生する熱が水晶振動子に伝わって温度センサーの検出温度と水晶振動子の温度の差がなくなった後に、RF回路210の処理を開始させることができる。従って、温度センサーの検出温度と水晶振動子の温度の差に起因するTCXO230の周波数誤差の影響を抑制し、RF回路210の動作開始直後の処理を無駄にしないようにすることができる。
【0121】
例えば、1秒毎に位置情報を更新するナビゲーションであれば、T=100ms、T=900ms、T=800msに設定することで、RF回路210が処理を開始する100ms前からTCXO230がTCXOモードになる。この100msの間に温度センサーの検出温度と水晶振動子の温度の差が無くなれば、RF回路210が衛星検索工程を開始した直後からGPS衛星信号にロックすることができるようになる。
【0122】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0123】
例えば、第4実施形態の圧電発振器1Dでは、第1実施形態の圧電発振器1Aに対して遅延制御回路120を付加した構成であるが、第2実施形態の圧電発振器1Bや第3実施形態の圧電発振器1Cに対して遅延制御回路120を付加した圧電発振器を構成することもできる。第2実施形態の圧電発振器1Bに対して遅延制御回路120を付加する場合、遅延制御回路120は、外部端子4がローレベルからハイレベル又はオープンになった時(スイッチ回路60が閉じた時)から所定時間をカウントし、所定の遅延時間の経過前は電圧制御発振回路30に定電圧発生回路100による一定電圧が供給され、所定の遅延時間が経過後に電圧制御発振回路30に温度補償電圧が供給されるように、スイッチ回路90を制御するとともに、外部端子4がハイレベル又はオープンからローレベルになった時(スイッチ回路60が開いた時)は、電圧制御発振回路30に直ちに一定電圧が供給されるようにスイッチ回路90を制御すればよい。また、第3実施形態の圧電発振器1Cに対して遅延制御回路120を付加する場合、遅延制御回路120は、外部端子4がローレベルからハイレベル又はオープンになった時(スイッチ回路60が閉じた時)から所定時間をカウントし、所定の遅延時間の経過前は温度補償回路110の内部のスイッチ回路112、113、114、115をすべて開き、所定の遅延時間が経過後にスイッチ回路112、113、114、115をすべて閉じるように制御するとともに、外部端子4がハイレベル又はオープンからローレベルになった時(スイッチ回路60が開いた時)は、スイッチ回路112、113、114、115を直ちに開くように制御すればよい。
【0124】
また、例えば、第1実施形態〜第4実施形態の圧電発振器において、PROM70に温度補償データのみが記憶されている場合は、温度補償回路10への電源電圧の供給停止と同期させてPROM70への電源電圧の供給も停止するようにしてもよい。このようにすれば、圧電発振器の消費電力をさらに低減することができる。ただし、これらの圧電発振器を本実施形態のGPS受信装置200に用いる場合、温度補償回路10への電源電圧の供給停止期間(RF回路210の動作停止期間)もベースバンド回路220にクロック信号を供給する必要があるため、PROM70に温度補償データとともにインバーター32の能力の調整データ等が記憶されている場合は温度補償回路10への電源電圧の供給停止期間もPROM70への電源電圧の供給を停止しないほうがよい。
【0125】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0126】
1A,1B,1C,1D 圧電発振器、2,3,4,5,6,7 外部端子、8 プルアップ抵抗、10 温度補償回路、11 温度センサー、12 5次関数電圧発生回路、13 4次関数電圧発生回路、14 3次関数電圧発生回路、15 1次関数電圧発生回路、16 基準電圧発生回路、17 電圧加算回路、20 サンプルホールド回路、22 スイッチ回路、24 キャパシター、30 電圧制御発振回路、32 インバーター、34 抵抗、36 キャパシター、38 バリキャップ、40 圧電振動子、50 出力バッファー、60 スイッチ回路、70 プログラマブルROM(PROM)、80 レギュレーター、90 スイッチ回路、100 定電圧発生回路、102,104 抵抗、110 温度補償回路、112,113,114,115 スイッチ回路、120 遅延制御回路、150 GPS衛星、200 GPS受信装置、300 ホストCPU、310 操作部、320 表示部、330 ROM、340 RAM、350 通信部、202 GPSアンテナ、204 SAWフィルター、210 RF回路、211 PLL、212 LNA、213 ミキサー、214 IFアンプ、215 IFフィルター、216 ADC(A/D変換器)、220 ベースバンド回路、221 DSP、222 CPU、223 SRAM、224 RTC(リアルタイムクロック)、230 温度補償水晶発振器(TCXO)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と、
前記圧電振動子の周波数温度特性を特定するための温度補償データを記憶する記憶部と、
温度情報を取得し、取得した前記温度情報と前記温度補償データとに基づいて、前記圧電振動子の周波数温度特性を補償するための温度補償電圧を発生させる温度補償回路と、
前記圧電振動子を発振させるとともに、発振制御電圧に基づいて前記圧電振動子の発振周波数を制御する電圧制御発振回路と、
外部からの制御信号に基づいて、前記温度補償回路に電源電圧を供給するか又は前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧を供給しないように制御する電源制御部と、を含み、
前記温度補償回路に電源電圧が供給される期間と同期して、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記温度補償電圧が供給される、圧電発振器。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御信号に基づいて、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記温度補償電圧を供給するか固定電圧を供給するかを制御する、温度補償電圧制御部をさらに含み、
前記温度補償電圧制御部は、
前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記電圧制御発振回路に前記発振制御電圧として前記固定電圧を供給する、圧電発振器。
【請求項3】
請求項2において、
前記温度補償電圧制御部は、
前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されなくなると同時に又はその前に前記温度補償電圧を保持し、前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記固定電圧として当該保持した前記温度補償電圧を前記電圧制御発振回路に供給する、圧電発振器。
【請求項4】
請求項2において、
前記温度補償電圧制御部は、
前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されない時は、前記固定電圧として所定の一定電圧を前記電圧制御発振回路に供給する、圧電発振器。
【請求項5】
請求項1において、
前記温度補償回路は、
前記温度情報と前記温度補償データとに基づいて、前記圧電振動子の周波数温度特性を近似する多項式の各次数の項を補償するための電圧をそれぞれ発生させる複数の電圧発生回路と、
当該複数の電圧発生回路が発生させる電圧に基づいて前記温度補償電圧を生成する温度補償電圧生成回路と、を含み、
前記電源制御部は、
前記制御信号に基づいて、前記多項式の1次以上の項を補償するための電圧を発生させる前記電圧発生回路に電源電圧を供給するか否かを制御し、
前記温度補償電圧生成回路は、
前記多項式の1次以上の項を補償するための電圧を発生させる前記電圧発生回路に電源電圧が供給されない時は、前記多項式の0次の項を補償するための電圧を前記発振制御電圧として前記電圧制御発振回路に供給する、圧電発振器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されていない状態から前記温度補償回路に電源電圧が供給される状態に切り替わってから前記電圧制御発振回路に前記温度補償電圧が供給されるまでの遅延時間を制御する遅延制御部をさらに含む、圧電発振器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の圧電発振器と、
GPS衛星から送信された電波信号を受信する受信部と、
前記圧電発振器の発振信号に基づいて、前記電波信号から中間周波数帯の信号を復調するRF処理部と、
前記圧電発振器の発振信号に基づいて、前記中間周波数帯の信号からベースバンド信号を復調し、当該ベースバンド信号から所定の情報を抽出して所定の計算処理を行うベースバンド処理部と、を含み、
前記ベースバンド処理部は、
前記RF処理部が前記電波信号から前記中間周波数帯の信号を復調する期間は、前記圧電発振器の前記温度補償回路に電源電圧が供給されるように制御するとともに、前記計算処理を行う期間と同期させて前記圧電発振器の前記温度補償回路の少なくとも一部に電源電圧が供給されないように制御するための前記制御信号を生成して前記圧電発振器に供給する、GPS受信装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記ベースバンド処理部は、
前記RF処理部が前記電波信号から前記中間周波数帯の信号を復調する処理を開始する所定時間前に前記温度補償回路に電源電圧が供給されるように制御するための前記制御信号を生成する、GPS受信装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のGPS受信装置を含む、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−239053(P2011−239053A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107016(P2010−107016)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】