説明

圧電発振器の製造方法、及びそのシート型基板

【課題】本発明の目的は、組み立て工程を簡略化して生産性を向上させることができる圧電発振器を提供することである。
【解決手段】多数個の凹状の開口部10を有する容器1側面で互いにつながった構成のシート型基板50に形成され、それぞれの凹状の開口部10を有する容器1には圧電振動子12が搭載されており、凹状の開口部10を有する容器1は凹状の開口部10に載置された蓋体4により気密封止されており、それぞれの容器1の凹状の開口部10と反対方向の容器底面20に基板2を介して載置される圧電振動子12と導通する少なくともひとつの集積回路22を含む複数のチップ型電子部品24が載置されている圧電発振器Aを多数個有することにより目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる圧電発振器の製造方法、及びそのシート型基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器には圧電発振器が用いられている。かかる従来の圧電発振器100としては、例えば、下面に複数個の外部端子126が被着されている枠状基体121の上面の凹状の開口部110に圧電振動子112が収容されている容器101を取着させるとともに、前記容器101底面に基板120を介して前記圧電振動子112の振動に基づいて発振出力を制御する集積回路122やコンデンサ等のチップ型電子部品124を配設し、これらの集積回路122やチップ型電子部品124を前記容器101の下面に搭載した構造のものが知られている。( 例えば、特許文献1参照 )
【0003】
尚、このような容器101や基板120や枠状基体121は、通常、ガラス−セラミック等のセラミック材料によって一体となるように形成されており、その内部、及び表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することによって製作されている。
【0004】
また、前記集積回路122の内部には、圧電振動子112の温度特性に応じて作成された温度補償データに基づいて水晶発振器の発振出力を補正するための温度補償回路が設けられており、圧電発振器を組み立てた後、上述の温度補償データを集積回路122内のメモリに格納するために、枠状基体121の下面や外側面等に温度補償データ書込用の信号入出力端子126を設けておくのが一般的であった。
【0005】
【特許文献1】特開2000―269741号公報
【0006】
なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の圧電発振器100においては、その組み立てに先立って大型の母基板を分割することにより容器101を、また大型の母カバーを分割することにより蓋体130を得ておく必要があり、この2種類の部材をそれぞれ別個の分割工程で得るようにしていたことから、圧電発振器の組み立て工程が煩雑なものとなり、生産性の向上に供しないという問題があった。
【0008】
また、上述したように、個片の容器101と個片の蓋体130とを事前に準備してから圧電発振器を組み立てる場合、複数個の容器101を個々にキャリアに保持させるための作業が必要となり、またキャリアに保持させた個々の容器101上には蓋体130を個々に位置合わせをして取り付けなければならず、これらによっても圧電発振器の組み立て工程が煩雑になるといった問題があった。
【0009】
更に上述した従来の圧電発振器においては、通常、分割後に得られた個々の個片に圧電振動子112や集積回路122等を個別に搭載することによって製品が組み立てられ、この場合、個々の個片をキャリアに搭載して保持した状態で集積回路122等の搭載作業を行なう必要がある。それ故に、キャリア等の製造設備が増え、これによってもその製造プロセスが複雑化するといった問題があった。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑み創出されたもので、したがってその目的は、組み立て工程を簡略化して生産性を向上させることができる圧電発振器の製造方法、及びそのシート型基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシート型基板は、多数個の凹状の開口部を有する容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの凹状の開口部を有する容器には圧電振動子が搭載されており、先の凹状の開口部を有する容器は凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止されており、それぞれの容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品が載置されている圧電発振器を多数個有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の圧電発振器の製造方法は、多数個の凹状の開口部を有す容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの凹状の開口部を有す容器に圧電振動子を搭載し、凹状の開口部を有する先の容器が凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止された後、容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置し、それぞれの容器、及びこの容器底面に対向する圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品とから成る圧電発振器をシート型基板から個片化する圧電発振器の製造方法において、シート型基板の状態で、それぞれの凹状の開口部を有す容器に圧電振動子を搭載する工程と、シート型基板上の全ての該凹状の開口部を有する該容器を該凹状の開口部に載置される蓋体により一度に気密封止する工程と、先の容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置する工程と、それぞれの先のチップ型電子部品を樹脂で覆う工程と、それぞれの集積回路に外部より信号を入出力し圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせる工程と、圧電発振器をシート型基板から個片化する工程から成ることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明のシート型基板は上記構成において、シート型基板の状態で、それぞれの集積回路に外部より信号が入出力され圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせるときに使用される信号入出力端子が、それぞれの凹状の開口部を有す容器外側に設けられた圧電発振器の外枠部の凹状の開口部方向縁部上に在ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート型基板によれば、多数個の凹状の開口部を有する容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの凹状の開口部を有する容器には圧電振動子が搭載されており、凹状の開口部を有する容器は凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止されており、それぞれの容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品が載置されている圧電発振器を多数個有することから、シート型基板の状態で、圧電振動子、集積回路を含む複数のチップ型電子部品をシート型基板に搭載することが可能なため、従来必要であったそれぞれの容器をキャリアに整列する工程が不要となり、製造工程の簡略化が可能となる。
【0015】
また、このようなシート型基板の場合、シート型基板が生産設備を搬送する搬送用キャリアの役目をすることから搬送用キャリアを別に用意することもなく、その生産効率を改善することも可能となる効果を奏する。
【0016】
また、本発明の圧電発振器の製造方法によれば、多数個の凹状の開口部を有す容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの凹状の開口部を有す容器に圧電振動子を搭載し、凹状の開口部を有する容器が凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止された後、容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される該圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置し、それぞれの容器、及び容器底面に対向する圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品とから成る圧電発振器をシート型基板から個片化する圧電発振器の製造方法において、シート型基板の状態で、それぞれの凹状の開口部を有す容器に圧電振動子を搭載する工程と、シート型基板上の全ての凹状の開口部を有する容器を凹状の開口部に載置される蓋体により一度に気密封止する工程と、容器の凹状の開口部と反対方向の容器底面に基板を介して載置される圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置する工程と、それぞれのチップ型電子部品を樹脂で覆う工程と、それぞれの集積回路に外部より信号を入出力し圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせる工程と、圧電発振器を該シート型基板から個片化する工程とから成ることから、圧電発振器の組み立てに先立って、容器や蓋体を予め個片に分割しておく必要はなく、一括的分割によって容器と蓋体とを同時に切断することができる。
【0017】
しかもこの場合、圧電発振器の組み立てに際して、一体化されたシート型基板そのものがキャリアとして機能するようになっていることから、シート状基板より分割した個片を個々にキャリアに保持させるといった、或いは、各個片に蓋体を個々に取り付けるといった煩雑な作業が一切不要となるといった効果を奏する。
【0018】
これにより、圧電発振器の組み立て工程が大幅に簡素化されるようになり、圧電発振器の生産性を向上することが可能となる。
【0019】
さらに本発明のシート型基板によれば、シート型基板の状態で、それぞれの集積回路に外部より信号が入出力され、圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせるときに使用される信号入出力端子が、それぞれの凹状の開口部を有す容器外側に設けられた圧電発振器の外枠部の凹状の開口部方向縁部上に在ることから、シート型基板の状態で信号入出力端子から集積回路へのデータ書き込みが可能となる。また、この場合、信号入出力端子が外枠部の捨てしろ領域にあることから、集積回路へのデータ書き込み終了後は信号入出力端子を廃棄できるので、圧電発振器の更なる小型化を可能とする効果を奏す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の一形態について説明する。なお、各図においての同一の符号は同じ対象を示すものとする。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の製造方法、及びそのシート型基板を圧電発振器Aの製造に適用した場合に得られる本発明の第1の実施形態における圧電発振器Aの断面図である。同図1に示す圧電発振器Aは大略的に言って、容器1と、圧電振動子12、集積回路22、樹脂28とで構成されている。図1に示される圧電発振器Aは、凹状の開口部10に圧電振動子12を収容した容器1を容器1の底面に基板2を介して、下面に外部端子電極9a、9bが設けられた一対の脚部21a,21bを有した基板2上に載置し、かつ固定させるとともに、一対の脚部21a,21b間に位置する基板2の下面に集積回路22を搭載した構造を有している。
【0022】
前記容器1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成るシールリング3、シールリング3と同様の金属から成る蓋体4から成り、前記基板2の上面にシールリング3を取着させ、その上面に蓋体4を載置し固定させることによって容器1が構成され、シールリング3の内側に位置する基板2の上面に導電性接着剤13を介して圧電振動子12が実装される。前記容器1はその内部に、具体的には、基板2の上面とシールリング3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる凹状の開口部10内に圧電振動子12を収容して気密封止するためのものである。
【0023】
一方、前記容器1の凹状の開口部10に収容される圧電振動子12は、所定の結晶軸でカットした水晶片の両主面に一対の振動電極(図示はない)を被着・形成してなり、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
【0024】
また一方で上述した基板2の下面には、一対の脚部21a,21b間の領域に複数個の外部端子電極9a、9bが被着・形成されており、これら外部端子電極9a、9bの形成領域、即ち、一対の脚部21a,21b間に位置する基板2の下面には、矩形状に形成されたフリップチップ型の集積回路22が搭載されており、集積回路22は樹脂28でその表面が保護されている。ここで用いる樹脂28には硬化した際に収縮率の比較的大きいエポキシ樹脂等が主に用いられる。
【0025】
前記集積回路22はその回路形成面に、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)、圧電振動子12の温度特性を補償する温度補償データを有し、温度補償データに基づいて前記圧電振動子12の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられており、発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えばクロック信号等の基準信号として利用されることとなる。ここで圧電振動子12と集積回路22は基板2内層に設けられた上部内層配線15と下部内層配線25により接続されている。また、圧電振動子12の温度特性を補償する温度補償データ書込用の信号入出力端子27が脚部21a、21bの側面に設けられている。
【0026】
また、図2は本発明の第1の実施形態である圧電発振器Aのシート型基板50の断面図である。シート型基板50は上部板状基板16と下部板状基板26とから成り、上部板状基板16の上面には、圧電発振器Aを構成する圧電振動子12、シールリング3、及び蓋体4が、また下部板状基板26の下面には集積回路22、脚部21a、21b、及び集積回路22の全面を覆う樹脂28から構成されており、容器1と別の容器1の側面につながった外枠部51と下部板状基板26側外枠部51縁部上に形成された信号入力端子27で構成される。また、外枠部51と下部板状基板26側外枠部51縁部上に形成された信号入力端子27は捨てしろ領域40内に形成されており、圧電発振器Aを個片に切断した際には廃棄される。
【0027】
次に上述した圧電発振器Aの製造方法について本発明の第1の実施形態である図2を用いて説明する。まず、図2に図示されるように、縦m列×横n行(n,mは2以上の自然数)のマトリクス状に配列された複数個の凹状の開口部10と有する上部板状基板16と下部板状基板26からなるシート型基板50を準備する。次に、前記上部板状基板16の各凹状の開口部10に圧電振動子12と圧電振動子12を囲繞するシールリング3とを搭載する。ここで前記上部板状基板16は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る複数個の絶縁層を間に導体パターンを介して積層することによって形成されており、各凹状の開口部10には、その上面側に一対の接続パッド(図示はない)と接合用の導体層が被着・形成されている。また、前記下部板状基板26の各容器底面20の下面側には入出力端子やグランド端子等の外部端子電極9a、9bが先の図1にあるように被着して形成されている。
【0028】
このような上部板状基板16や下部板状電極26は、例えば、アルミナセラミックス等から成るセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加し更に混合して得たセラミックグリーンシートの表面等に、接続パッドや外部端子電極9a、9b等となる導体ペーストを所定のパターンに印刷して塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することによって製作される。なお、上部板状基板16や下部板状電極26には、マトリクス状に配列された個々の圧電発振器のあいだに図2に示す如く所定の捨てしろ領域40が設けられている。そして、凹状の開口部10を有する上部板状基板16上に形成される42アロイ等から成るシールリング3を、上部板状基板16の各接合領域にAu−Ni等の接合材を介して載置させた上、接合材を高温で加熱して溶融させることによってシールリング3の下面を上部板状基板16上面の導体層に接合させ、しかる後に各シールリング3の内側に圧電振動子12を1個ずつ搭載する。圧電振動子12はその振動電極と上部板状基板16上面の対応する搭載パッドとを導電性接着剤(バンプ)13を介して電気的・機械的に接続することによって上部板状基板16上に搭載される。
【0029】
また、本実施形態においては、複数個のシールリング3を1個ずつ凹状の開口部10上に搭載するのではなく、マトリクス状に配列された複数個のシールリング3を相互に連結して一体化したものを上部板状基板16上に載置・搭載することによって複数個のシールリング3が上部板状基板16の対応する凹状の開口部10に一時に取着されるようにしている。このような連結型のシールリング3は、例えば42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成る厚みが150μm〜250μmの金属板に従来周知の打ち抜き加工を施し、上部板状基板16の凹状の開口部10と1対1に対応する複数個の貫通孔を穿設することによって製作される。
【0030】
次に上部板状基板16の凹状の開口部10と1対1に対応する複数個のカバー(蓋)領域を有する金属製の蓋体4を、圧電振動子12が封止されるようにシールリング3上に載置・接合する。前記蓋体4としては、例えば、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成る厚みが60μm〜100μmの金属板が用いられ、このような蓋体4にも、先に述べた上部板状基板16と同様に、各カバー領域間に所定の捨てしろ領域40が設けられている。
【0031】
この工程では、蓋体4を各カバー(蓋)領域の内側に対応する凹状の開口部10領域に圧電振動子12が配されるようにして上部板状基板16上面のシールリング3上に載置させ、しかる後に両者を従来から周知のシーム溶接(抵抗溶接)等で接合することによって蓋体4がシールリング3の上面に取着し固定される。なお、上述した一連の接合工程は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましく、これによって圧電振動子12が収納される空間には不活性ガスが充満されるため、圧電振動子12が酸素や大気中の水分等によって腐食して劣化するおそれを有効に防止することができる。
【0032】
図3は本発明の第2の実施形態にかかる製造方法を説明するための側面方向からみた概略の断面図である。先の第1の実施形態と同様に容器底面20を有する下部板状基板26は各容器底面20の内側に集積回路22やチップ型電子部品24を1個ずつ搭載する。集積回路22やチップ型電子部品24は、その接続電極と下部板状基板26下面の対応する搭載パッドとを導電性接着剤(バンプ)23を介して電気的・機械的に接続することによって下部板状基板26上に搭載される。また、集積回路22やチップ型電子部品24はその表面を保護するために、樹脂28が集積回路22やチップ型電子部品24の全面を覆うように塗布されている。そして、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)や圧電振動子12の温度特性を補償する温度補償データを有し、温度補償データに基づいて前記圧電振動子12の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路を有する集積回路22へ、圧電発振器Aの周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせるように、信号入出力端子27よりビットデータを入力し温度補償データの書き込みを行う。また、本発明の第1の実施形態を示す図2において、信号入出力端子27は外枠部51の捨てしろ領域40にあることから、集積回路22へのデータ書き込み終了後は信号入出力端子27を廃棄することが出来るので、圧電発振器Aの更なる小型化が可能となる。
【0033】
最後に、シート型基板50を各基板領域の外周に沿って一括的に分割・切断(ダイシング)し、これによって複数個の圧電発振器Aが同時に製作される。 また、シート型基板50の切断(ダイシング)は、例えば、ダイサー等を用いて、これらの部材を上部板状基板16側より一括的に切断(ダイシング)することによって行われ、これによって複数個の圧電発振器Aが同時に得られる。
【0034】
以上のような工程により圧電発振器Aを製作する場合、圧電発振器Aの組み立てに先立って、基体2とシールリング3、蓋体4を予め個片に分割しておく必要はなく、一括的な分割によって基体2とシーリング3、蓋体4とを同時に切断することができる。しかもこの場合、圧電発振器Aの組み立てに際して、シート型基板50そのものがキャリアとして機能させることができることから、シート型基板50より分割した個片を個々にキャリアに保持させるといった、或いは、各個片に蓋体4を個々に取り付けるといった煩雑な作業は一切不要となる効果を奏する。
【0035】
これにより、圧電発振器Aの組み立て工程が大幅に簡素化されるようになり、圧電発振器Aの生産性を著しく向上することが可能となる。なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能であり、これらの場合においても本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでも無い。例えば上述した実施形態においては、相互に連結された複数個のシールリング3を上部板状基板16上に載置して更に搭載するようにしたが、これに代えて、予め分割しておいた複数個のシールリング3を上部板状基板16の各基板領域に個々に搭載するようにしても構わない。
【0036】
また、本実施形態においては、上部板状基板16や下部板状基板26の基板2領域間に捨てしろ領域40を設けるようにしているが、あいだに捨てしろ領域40を設けることなく基板2領域同士を近接させて配置するようにしても構わない。このことは蓋体4においても同様であり、これらの場合においても本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでも無い。
【0037】
図4は従来の圧電発振器を側面方向からみた概略の断面図である。従来の圧電発振器100においては、その個々の圧電発振器100の組み立てに先立って大型の母基板を分割することにより容器101を、また大型の母カバー(蓋体)を分割することにより個々の蓋体130を得ておく必要があり、この2種類の部材をそれぞれ別個の分割工程で得るようにしていたことから、圧電発振器の組み立て工程が煩雑なものとなり生産性の向上に供しないという問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の製造方法によって製作した圧電発振器(水晶発振器)の側面方向からみた概略の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる製造方法を説明するための側面方向からみた概略の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態にかかる製造方法を説明するための側面方向からみた概略の断面図である。
【図4】従来の圧電発振器を側面方向からみた概略の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
A・・・圧電発振器
1・・・容器
2・・・基板
3・・・シールリング
4・・・蓋体
9a、9b・・・外部端子電極
10・・・凹状の開口部
12・・・圧電振動子(水晶振動子)
13・・・導電性接着剤(バンプ)
15・・・上部内層配線
16・・・上部板状基板
20・・・容器底面
21a、21b・・・脚部
22・・・集積回路
23・・・導電性接着剤(バンプ)
24・・・チップ型電子部品
25・・・下部内層配線
26・・・下部板状基板
27・・・信号入出力端子
28・・・樹脂
40・・・捨てしろ領域
50・・・シート型基板
51・・・外枠部
100・・・圧電発振器
101・・・容器
130・・・蓋体
110・・・凹状の開口部
112・・・圧電振動子(水晶振動子)
120・・・基板
121・・・脚部
122・・・集積回路
124・・・チップ型電子部品
126・・・外部端子電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の凹状の開口部を有する容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの該凹状の開口部を有する容器には圧電振動子が搭載されており、該凹状の開口部を有する該容器は該凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止されており、それぞれの該容器の該凹状の開口部と反対方向の該容器底面に基板を介して載置される該圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品が載置されている圧電発振器を多数個有することを特徴とするシート型基板。
【請求項2】
多数個の凹状の開口部を有する容器側面で互いにつながった構成のシート型基板に形成され、それぞれの該凹状の開口部を有する容器に圧電振動子を搭載し、該凹状の開口部を有する該容器が該凹状の開口部に載置された蓋体により気密封止された後、該容器の該凹状の開口部と反対方向の該容器底面に基板を介して載置される該圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置し、それぞれの該容器、及び該容器底面に対向する該圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品とから成る圧電発振器を該シート型基板から個片化する圧電発振器の製造方法において、
シート型基板の状態で、それぞれの該凹状の開口部を有す容器に圧電振動子を搭載する工程と、
シート型基板上の全ての該凹状の開口部を有する該容器を該凹状の開口部に載置される蓋体により一度に気密封止する工程と、
該容器の該凹状の開口部と反対方向の該容器底面に基板を介して載置される該圧電振動子と導通する少なくともひとつの集積回路を含む複数のチップ型電子部品を載置する工程と、
それぞれの該チップ型電子部品を樹脂で覆う工程と、
それぞれの該集積回路に外部より信号を入出力し圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせる工程と、
該圧電発振器を該シート型基板から個片化する工程と、
から成る圧電発振器の製造方法。
【請求項3】
シート型基板の状態で、それぞれの集積回路に外部より信号が入出力され圧電発振器の周波数温度特性を所望の周波数温度特性に合わせるときに使用される信号入出力端子が、それぞれの凹状の開口部を有す容器外側に設けられた該圧電発振器の外枠部の該凹状の開口部方向縁部上に在ることを特徴とする請求項1に記載のシート型基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−19999(P2006−19999A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195029(P2004−195029)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】