説明

地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法

【課題】スクロール開始地点の情報を保持したまま地図画像をズームアウト、ズームイン表示し、スクロール開始地点が地図画像に表示されている間はズームアウトしないようにする。
【解決手段】スクロール検出手段282と、スクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段231と、地図画像の表示倍率を算出する表示倍率算出手段23と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段232と、を備え、スクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段231はスクロール実距離を取得し、開始地点情報保持手段232は、スクロール開始地点がスクロール操作によって所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、表示倍率算出手段23はスクロール実距離取得手段231がスクロール実距離を取得するごとにスクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出して地図画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索システムなどにおいて地図画像をスクロール表示する機能を有する地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法に関するものであり、特に、地図画像をスクロールする際の起点とスクロール先の地点との距離が大きい場合においても両地点を含む地図画像を、地図縮尺を連続的に変化させながらスクロール表示し、詳細図から広域図までスムーズにスクロールズームするようにした地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
店舗やイベントの情報提供にあっては、ユーザが携帯端末を操作して店舗やイベントのカテゴリ、検索したい地域を入力して検索要求する。サーバは指定されたカテゴリに該当し、かつ当該地域に存在する店舗やイベントを検索し、その情報が地図表示端末に配信される。時刻表の提供においては、ユーザが携帯端末を操作して、路線を指定すると、当該路線の時刻表が携帯端末の表示装置の画面上に提示される。また、乗り換え案内においては、ユーザが、出発地や目的地を指定することにより、推奨する経路が提示される。
【0007】
更に、パーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置からインターネット上の地図サーバに接続し、所望の地点や、施設、店舗の住所、名称、電話番号などを入力して当該地点や施設、店舗の位置を含む所定範囲の地図データをダウンロードして表示装置に地図画像を表示することもできる。
【0008】
利用者が指定した特定の地点を含む地図画像を表示手段に表示する一般的な地図表示システムの場合、利用者は、例えば、所望の施設を住所や名称、電話番号等で指定したり、施設検索を行って所望の施設を検索して、当該施設の所在地点を含む地図データをサーバから受信して表示手段に地図画像とともに施設位置を表示する。このような地図表示システムにおいて、利用者が更に別の施設や地点を指定してサーバに地図画像の送信要求をした場合、最初の地図画像の表示は一旦終了し、利用者が指定した別の施設を含む地図データが改めてサーバから配信されて地図画像とともに施設位置を表示するように構成されている。
【0009】
ところで、利用者はある施設(地点)と他の施設(地点)との相互の位置関係を地図上で確認したい場合がある。このような場合、上記のような地図表示システムでは2つの施設を指定してそれらの地点を含む地図画像を表示することはできない。このような問題は、地図表示システムが地図画像をスクロールする機能を有する場合に、現在位置から所望の地点に向かって地図画像をスクロールした場合にも生ずる問題である。
【0010】
一方、経路探索機能を有するシステムにおいては、所望の2地点を出発地および目的地として指定して、両地点間の経路探索を行って、出発地から目的地までの経路および経路を含む地図画像を表示手段に表示することができる。ここで、携帯電話や携帯電子端末などの携帯端末装置を地図表示装置として用いる場合、表示手段の画面サイズが小さいため、2つの地点を含む地図画像を表示すると、広域地図を表示することになり出発地や目的地の近傍の詳細がわからないという問題を生じる。
【0011】
このような問題を解消するため、例えば、下記の特許文献2(特開2005−43112号公報)には、表示画面を分割してそれぞれの地点を含む地図画像を分割された表示画面に個別に表示するようにした地図表示方法の発明が開示されている。
【0012】
この地図表示方法の発明は、別枠ウインドウ表示式地図検索表示部において、カーソルの移動による地図スクロール表示に際して、現在地またはカーソル位置が画面の外縁に近い所定範囲に至ると、地図表示縮尺演算部が現在地とカーソル位置の両方が同一画面に表示される広域縮尺の地図を演算し、2地点表示用地図検索表示部で所定の地図を検索して表示するように構成され、また、別枠ウインドウ表示用詳細地図検索表示部においては、現在地を中心とする詳細地図、及びカーソル位置を中心とする詳細地図を別枠ウインドウで表示するように構成されたものである。
【0013】
また、下記の特許文献3(特開2002−340578号公報)には、表示画面を2画面に画面分割して、一方の画面に広域地図を、他方の画面に詳細地図を表示するナビゲーション装置において、詳細地図のスクロール操作に対して広域地図を同期してスクロールするようにした発明が開示されている。
【0014】
このナビゲーション装置は、2画面地図表示が指定されたときにディスプレイ画面を左右2つの画面に分割し、左画面に詳細地図を表示すると共に、右画面に詳細地図が表示されている範囲を含む広域地図を表示し、左画面に対するスクロールが行われたときに、左画面上での詳細地図の移動に同期させて右画面上の広域地図をスクロール表示する。2画面地図表示を行うとき、右画面の中央の位置に、左画面の詳細地図が表示されている範囲を画定する枠(表示エリア)を固定的に付して、表示エリア内の地図を相対的に目立つ表示態様で表示するように構成されたものである。
【0015】
上記の特許文献2や特許文献3に開示された発明は、表示画面を2画面に分割し、広域地図と詳細地図をそれぞれの画面に表示するものであるが、スクロール操作に応じて地図縮尺を連続的に変化させ、地図画像をズームアウト、ズームインさせて1画面に詳細地図から広域地図までを変化させながら表示する表示装置の発明が下記の特許文献4(特開2006−146643号公報)に開示されている。この特許文献4に開示された表示装置は、スクロールの指示により表示対象の表示をズームアウトさせながらスクロールを開始し、元の大きさにズームインさせてスクロールを終了し、又はスクロールの終了により、元の大きさにズームインさせるように構成したものである。
【0016】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2005−43112号公報(図12)
【特許文献3】特開2002−340578号公報(図4)
【特許文献4】特開2006−146643号公報(図1、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献4に開示された表示装置の発明によれば、1画面に地図画像を表示し、所望の地点まで地図画像をスクロールする場合、スクロール操作を開始すると、スクロール操作に応じて必要な縮尺の地図画像が表示され、スクロール操作が終了すると元の縮尺の地図画像が表示されるので、利用者は所望の地点までスクロール操作している間、スクロールの開始地点とスクロール先の地点を含む地図画像を観察することができ、また、スクロール操作終了時、すなわち、所望地点までスクロールすると元の縮尺の地図画像が表示されるので、スクロール先の詳細図を観察することができるようになる。
【0018】
しかしながら、この特許文献4に開示された表示装置においては、下記のような不都合が生じる。例えば、現在位置を含む標準倍率(詳細地図)の地図画像が表示された状態で、現在位置の近傍に所在する施設を観察するために、現在位置を中心として近傍を周回するようなスクロール操作を行った場合でも地図画像の縮尺が変化してしまい、地図を観察し難くなってしまう問題点が生ずる。この原因は特許文献4においてはスクロール操作の開始とともにズームアウトが開始され、地図縮尺が変更されるためである。
【0019】
また、上記特許文献4に開示された表示装置においては、スクロール操作を終了した時点で、スクロール先の地点を含む元の縮尺の地図画像が表示されることになるが、スクロール操作が再開された場合に、当初のスクロール開始地点、例えば、現在位置を含む倍率の地図画像にズームアウトすることに関して何ら考慮されておらず、スクロール操作を再開した際のスクロール先地点とスクロール開始地点との位置関係を認識できなくなるという問題点が生じる。
【0020】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、表示手段に表示された地図画像をスクロール操作に伴ってズームアウト、ズームインするようにした地図表示システムにおいて、スクロール開始地点の情報を保持したまま地図画像をスクロールし、スクロール距離が所定の範囲を超え、スクロール開始地点が所定の距離範囲の外に出た場合にズームアウトを開始するとともに、スクロール再開時にもスクロール開始地点を含む地図画像にズームアウトするようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0021】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、表示手段に表示された地図画像をスクロール操作に伴ってズームアウト、ズームインするようにした地図表示システムにおいて、スクロール開始地点の情報を保持したまま地図画像をズームアウト表示、ズームイン表示を行い、スクロール開始地点が地図画像に表示されている間はズームアウトされないようにした地図表示システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段はスクロール操作によるスクロール実距離を取得し、前記開始地点情報保持手段は、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段は、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出し、表示制御手段は表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記地図表示システムは、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段は、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段は、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【0025】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0026】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段は、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させることを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項8にかかる発明は、
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データを送信する経路探索サーバから受信する地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段はスクロール操作によるスクロール実距離を取得し、前記開始地点情報保持手段は、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段は、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出し、表示制御手段は表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記地図表示装置は、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段は、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段は、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得することを特徴とする。
【0032】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記表示制御手段は、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0034】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする。
【0035】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項8にかかる地図表示装置において、前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段は、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させることを特徴とする。
【0036】
また、本願の請求項15にかかる発明は、
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データを送信する経路探索サーバから受信する地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置を用いた地図表示方法において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段がスクロール操作によるスクロール実距離を取得するステップと、前記開始地点情報保持手段が、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別するステップと、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段が、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出するステップと、表示制御手段が表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画するステップと、を有することを特徴とする。
【0037】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記地図表示装置は、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段が、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示する処理を有することを特徴とする。
【0038】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段が、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得するステップを有することを特徴とする。
【0039】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記表示制御手段が、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする。
【0040】
本願の請求項19にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記表示制御手段が、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする。
【0041】
本願の請求項20にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記表示制御手段が、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする。
【0042】
本願の請求項21にかかる発明は、請求項15にかかる地図表示方法において、前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段が、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させるステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
請求項1にかかる発明においては、地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段はスクロール操作によるスクロール実距離を取得し、前記開始地点情報保持手段は、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段は、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出し、表示制御手段は表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画する。
【0044】
このような構成によれば、スクロール距離が一定の距離の範囲(スクロール開始地点が地図画像の範囲内にある)までは、基準倍率の地図画像を表示手段に表示し、スクロール距離が一定の距離範囲を超えるとズームアウトしてスクロール開始地点とスクロール先の地点を含む地図画像を順次地図の倍率をかえながらズームアウト表示することができるようになる。従って、スクロールの開始地点を周回するようなスクロール処理に対して、地図倍率を保つことができるから、詳細地図のまま地図画像をスクロールすることができるようになる。このため、不要に広い広域地図を表示することがなくなる。
【0045】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、地図表示システムは、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段は、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示する。
【0046】
このような構成によれば、スクロール距離が一定の距離の範囲までは、基準倍率の地図画像を表示手段に表示し、スクロール距離が一定の距離範囲を超えるとズームアウトして地図画像を表示し、スクロール距離が一定の距離範囲を超えてズームアウトした後、スクロール操作が停止するとズームインして元の基準倍率で、スクロール先の地点を中心とする地図画像を表示することができるようになる。
【0047】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段は、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得する。
【0048】
このような構成によれば、スクロール操作を終了した後、一定の時間内に更にスクロール操作が再開された場合は、再びスクロールズームモードでズームアウト表示が行われ、最初のスクロールの起点(スクロール開始点)が含まれる表示倍率の地図が表示されるように徐々に表示倍率を変えて行く。これによりスクロール開始点からある地点Aまでスクロールして一旦スクロール操作を停止し、更に、次の地点までスクロール操作を再開しても、スクロールの開始点を含む地図画像に徐々に倍率を変更してズームアウトして地図画像の表示をすることができるようになる。
【0049】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画する。
【0050】
このような構成によれば、スクロール実距離Lに合わせてズームアウトしていくうちに、ズームアウトしすぎて地図が見難くなることを防ぐことができるようになる。従って、スクロール実距離Lがどんなに大きくなっても継続してズームアウトするだけでなく、スクロール実距離Lに合わせて所定の倍率に達したその後は、ズームアウトが止まりスクロール先を追うような地図画像を表示することができるようになる
【0051】
請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画する。
【0052】
このような構成によれば、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えるので、スクロール開始地点から第1の地点までスクロール操作した後、更に第2の地点までスクロール操作した場合に、スクロール開始地点から第1の地点までのスクロール実距離とスクロール開始地点から第2の地点までの実距離との関係で、急激なズームアウト表示になることを防止することができ、違和感のない地図画像表示をすることができるようになる。
【0053】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画する。
【0054】
このような構成によれば、静止ズームモードにおいて地図画像をズームアウト表示、ズームイン表示する際に、ベース表示倍率と比較を行い、それより拡大表示になるときは地図倍率をこのベース表示倍率に置換えるから、一定の地図倍率以上に拡大表示されることがなくなり、観察し難い地図画像が表示されることがなくなる。
【0055】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段は、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させる。
【0056】
このような構成によれば、スクロール先においてスクロール操作が停止したことを確認すると、スクロール前に表示していた表示倍率を限界の値として、徐々に新たに表示されている地点に地図画像をズームインしていく。従って、利用者に違和感を与えない程度に徐々に倍率を変えて地図画像を表示することができるようになる。
【0057】
また、請求項8ないし請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項7にかかる地図表示システムを構成する地図表示装置を提供することができ、請求項15ないし請求項21にかかる発明においては、それぞれ請求項8ないし請求項14にかかる地図表示装置を実現するための地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地図表示システムを例示するものであって、本発明をこの地図表示システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0059】
図1は、本発明の実施例にかかる地図表示システム10の構成を示すシステム構成図である。図1に示すように地図表示システム10は、ネットワーク12を介して接続される地図表示装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。この地図表示システム10は、各種カテゴリに属するPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在地やサービス内容、広告などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、地図データ、交通路線データや運行時刻表データ、音楽や各種画像などのコンテンツ、その他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0060】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0061】
本発明にかかる地図表示システム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともにPOI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよいし、施設検索や地図情報を提供する機能のみを有したものであってもよい。地図表示装置20も携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤー、携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。また、スタンドアロンタイプのナビゲーション装置であってもよい。
【0062】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35を備え、地図表示装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を地図表示装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、経路探索サーバ30は、POIの所在地や電話番号、住所、営業時間などのPOI情報を蓄積したPOI情報データベース36を備えている。
【0063】
また、経路探索サーバ30は、地図表示装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して地図表示装置20に配信する。地図表示装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求し、経路案内のサービスを受ける場合には、前述のように地図表示装置20において所望の出発地や目的地を設定し、経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。出発地と目的地との間に立ち寄りたい経由地がある場合は当該経由地も設定する。
【0064】
これらの地点を設定する方法としては、前述したように経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。出発地、経由地、目的地は、一般的には特定の施設の場所や興味対象場所(POI:Point of Interest)の場所を設定するが、施設やPOIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上の当該施設やPOIの場所として用いられることもある。
【0065】
この地図表示システム10においては、経路探索条件入力画面を表示して地点を入力する方法の他に、所望エリアを指定したり、POI検索して注目POIを選択しそのPOIが所在するエリアの地図を表示し、表示された地図上で所望の地点を指定して出発地や目的地、経由地を指定することができる。
【0066】
経路探索サーバ30は地図表示装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して指定された出発地から目的地に至る最適経路(案内経路)を探索し、地図データベース34から読み出した地図データとともに案内経路のデータを地図表示装置20に送信する。経路探索においては累計の距離、所要時間、乗換え回数、運賃などの条件に従って複数の候補経路を探索して提示し、その中から利用者が選択した経路を案内経路として地図表示装置20に経路案内する態様もある。
【0067】
地図表示装置20は経路探索サーバ30から地図データ、案内経路のデータを受信すると、地図表示装置20の現在位置を中心とした地図画像を表示画面に表示する。地図画像には地図表示装置20の現在位置を示す現在位置マーク、案内経路を示す案内経路画像が重ね合わされて表示される。
【0068】
利用者が表示画面から外れている案内経路や目的地近傍の地図画像を確認したい場合には、画面(地図)のスクロール操作を行い、所望のエリアの地図画像を表示させる。地図データベース34に蓄積される地図データはベクトル地図データであり、ベクトルデータに所定の倍率を掛ける演算を行って、所定の縮尺の地図画像を表示手段に表示することができる。
【0069】
表示手段に表示される地図は、予め設定された基準倍率(基準縮尺)の地図、例えば、詳細地図であり、現在位置や指定したPOIの位置を中心とする所定の範囲の地図である。本実施例の地図表示システム10においては、スクロール操作を検出すると、スクロールの距離が所定の距離の範囲内であるときは、基準倍率の地図がそのままスクロールされる。スクロールの開始位置(現在位置や指定したPOIの位置)の情報は記憶手段に保持される。
【0070】
地図データベース34に蓄積される地図データはベクトル地図データであり、表示手段に地図画像を表示スクロールの距離が所定の距離の範囲を超えると、スクロール操作量(スクロール距離)の変化に応じて地図の倍率(縮尺率)を算出し地図画像をズームアウトして表示する。スクロール操作が終了すると地図の倍率を徐々に元の基準倍率に戻すズームイン表示とし、スクロール先の地点を中心とする地図画像を表示手段に表示する。
【0071】
このような表示制御を行うことにより、スクロール距離が一定の距離の範囲までは、基準倍率の地図画像を表示手段に表示し、スクロール距離が一定の距離範囲を超えるとズームアウトして地図画像を表示し、スクロール距離が一定の距離範囲を超えてズームアウトした後、スクロール操作が終了するとズームインして元の基準倍率の地図画像を表示することができるようになる。
【0072】
本明細書においては、スクロール操作中のズームアウト表示をスクロールズームモードといい、スクロール操作終了後にズームインして基準倍率の地図表示に戻すモードを静止ズームモード(スクロール操作がない状態でズームするモード)ということとする。
【0073】
スクロール操作を終了した後、一定の時間内に更にスクロール操作が再開された場合は、再びスクロールズームモードでズームアウト表示が行われ、最初のスクロールの起点(スクロール開始点)が含まれる表示倍率の地図が表示されるように徐々に表示倍率を変えて行く。これによりスクロール開始点からある地点Aまでスクロールして一旦スクロール操作を停止し、更に、次の地点Bまでスクロール操作を再開しても、スクロールの開始点を含む地図画像に徐々に倍率を変更してズームアウトして地図画像の表示をすることができるようになる。
【0074】
なお、スクロール操作が再開されずに一定の時間が経過した場合は、スクロール先に表示している地図の中心地点を、次のスクロール処理の開始地点(起点)に変更するように構成してもよい。この処理をオプション機能とし、この処理を実行するか否かを利用者の指定によって選択できるようにしておくとよい。
【0075】
このように、表示手段に表示する地図画像の倍率をスクロール操作の実距離に応じて連続的に変化させ、ズームアウト、ズームインして表示する際に、スクロールの実距離が一定の範囲内である時、すなわち、スクロールの開始地点が一定の距離範囲内にあり表示中の地図倍率の地図画像の範囲内にあるときは、ズームアウトせず、現在の地図の倍率を維持してスクロール表示することにより、スクロールの開始地点を周回するようなスクロール処理に対して、地図倍率を保つことができるから、詳細地図のまま地図画像をスクロールすることができるようになる。このため、不要に広い広域地図を表示することがなくなる。
【0076】
また、スクロール開始地点から地図をスクロール操作し、一旦スクロール操作を停止してズームインした後、再び別の地点に向かってスクロール操作を再開しても、当初のスクロール開始地点を保持したまま、すなわち、当初のスクロール開始地点が含まれる倍率の地図画像に徐々にズームアウトするため、当初のスクロール開始地点との位置関係を視認することができるようになる。
【0077】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例にかかる地図表示システム10を説明するが、その前に本発明にかかる地図表示システム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1の地図表示システム10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0078】
経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、経路探索手段32、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、POI情報データベース36、配信要求記憶手段37、配信データ編集手段38を備えて構成されている。経路探索サーバ30において、制御手段301は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段31はネットワーク12を介して地図表示装置20などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0079】
一方、地図表示装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、表示倍率算出手段23、スクロール実距離取得手段231、開始地点情報保持手段232、表示モード制御手段24、地図データ記憶手段25、案内データ記憶手段26、表示手段27、操作入力手段28、表示制御手段29などを備えて構成されている。操作入力手段28は、スクロールキー281、スクロール検出手段282、タイマ手段283を備えている。
【0080】
地図表示装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段21はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0081】
GPS受信手段22はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段28は、キー、ダイヤル等からなり、地図表示装置20を操作するための入力を行い、また、出発地、目的地などの経路探索条件の入力機能としても用いられる。表示手段27は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信(送信)された案内経路や地図の表示に使用されるものである。また、表示手段27はメニュー画面を表示し、操作入力手段28を用いてメニュー画面から所望の項目を選択することにより地図表示装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0082】
経路探索サーバ30は地図表示装置20から経路探索やPOI検索あるいは地図配信の要求があると、配信要求記憶手段37に一次記憶する。要求が経路探索要求である場合、経路探索手段32は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して最適経路あるいは推奨経路(案内経路)を探索する。探索された案内経路のデータは配信データ編集手段38で編集され、地図表示装置20に配信される。また、地図データベース34から案内経路を含む地図データが読み出され、地図表示装置20に配信される。
【0083】
地図表示装置20からの要求がPOI検索である場合、経路探索サーバ30は指定された条件に基づいてPOI情報データベース36を参照して該当するPOIを検索し、地図表示装置20に配信する。また、特定のPOIを指定して地図データの要求があると、経路探索サーバ30は地図データベース34から該当するPOIの所在位置を含む地図データを読み出して地図表示装置20に配信する。
【0084】
また、地図表示装置20からの要求が出発地と目的地などの経路探索条件を設定した経路探索要求である場合、前述したように、経路探索手段32は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して、出発地から目的地に至る最適経路(案内経路)を探索する。そして経路探索サーバ30は、地図データベース34から読み出した地図データとともに案内経路のデータを地図表示装置20に送信する。
【0085】
地図表示装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求する場合、操作入力手段28を操作し、または、表示手段27に表示されるメニュー画面を操作して所望の出発地、目的地、経由地などを指定し、その他の経路探索条件(時刻条件、探索経路数など)を設定し、経路探索を要求する。また、所望のPOIを検索したり、特定の地点やPOIを指定して地図を要求する場合は、当該特定地点やPOIのデータ(位置情報、住所など)に基づいて、経路探索サーバ30に地図要求を送信する。
【0086】
経路探索サーバ30から、地図表示装置20に配信された地図データは地図データ記憶手段25に一次記憶され、案内経路のデータは案内データ記憶手段26に一次記憶される。地図データ記憶手段25および案内データ記憶手段26に記憶された地図データ、案内経路データは必要に応じて読み出され、表示手段27に地図画像、案内経路が表示される。その際、地図表示装置20の現在位置を中心に、所定の範囲の地図画像が表示され、現在位置マーク、案内経路の画像が重ね合わされて表示される。
【0087】
地図データベース34に蓄積される地図データは図3に示すように所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。すなわち、地図データは図3に示すように所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33のように構成されている。地図表示装置20に配信される場合は、地図表示装置20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。
【0088】
地図表示装置20が移動して地図データが不足する場合は、地図表示装置20の移動方向を判別して経路探索サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。地図表示装置20が特定の地点やPOIの位置を指定して地図データの配信要求をした場合も同様である。案内経路のデータはこのベクトル地図データとともに地図表示装置20に配信される。地図表示装置20は、経路探索サーバ30からこのようにして地図データおよび案内経路のデータを受信して、地図画像、案内経路の画像を表示手段27に表示する。
【0089】
また、操作入力手段28はスクロールキー281を備えており、スクロールキー281を操作してスクロールカーソルを任意の向きに移動させることにより、表示手段27の表示画面に表示された地図画像をスクロールすることができる。スクロールキー281の操作があると、スクロール検出手段282はこれを検出し、スクロール操作による距離(スクロール実距離)を算出して、スクロール実距離取得手段231に伝える。
【0090】
表示モード制御手段24は、スクロール操作があると表示モードをスクロールズームモードに切換える。スクロールズームモードにおいて、表示倍率算出手段23は、スクロール実距離取得手段231が取得したスクロール実距離に応じた地図画像の表示倍率を算出する。表示制御手段29は表示倍率算出手段23が算出した表示倍率に従って地図データを描画し、表示手段27に地図画像を表示するズームアウト表示制御を行う。
【0091】
スクロールズームモード時のズームアウト表示では、スクロール検出手段282は一定の間隔でスクロール操作の移動量を検出し、スクロール操作によるスクロールの実距離を算出し、スクロール実距離取得手段231にスクロール実距離を送る。表示倍率算出手段23は、スクロール実距離取得手段231がスクロール実距離を取得するごとに、該スクロール実距離に応じて地図画像の表示倍率を算出する。表示制御手段29は、表示倍率算出手段23が算出した表示倍率に応じて地図画像を表示手段27に描画する。これにより順次地図の表示倍率が変化し、スクロールの開始地点とスクロール先の地点を含む地図画像をズームアウト表示することができる。
【0092】
このような表示制御により、スクロール開始地点からスクロール操作が終了した地点までのスクロール実距離に応じて、スクロール開始地点およびスクロール先の地点を含む地図画像をズームアウトして表示することができる。ただし、ズームアウトの表示は、スクロール開始時に表示されていた表示倍率の地図画像において、スクロールの開始地点が所定の距離範囲から外に出るようなスクロール操作が行われた時に開始される。逆に言えば、スクロール開始地点が表示された地図画像の一定の範囲内にあるようなスクロール距離の間は、スクロールズームモードであってもズームアウト表示は開始されない。
【0093】
スクロール操作が終了すると、表示モード制御手段24はスクロールズームモードから静止ズームモードに表示モードを切換える。静止ズームモードでは、表示制御手段29は、所定の係数で求められる倍率に従ってスクロール先を中心とした元の倍率の地図画像に徐々にズームインする。なお、前述のようにズームアウト表示が開始されない範囲においてスクロール操作が停止した場合には、地図画像はズームイン表示されず、元の地図倍率のままスクロール先を中心とした地図画像が表示される。なお、ズームアウトした際の地図倍率を逆にたどり、ズームイン表示する制御を行うことも可能である。
【0094】
ここで、開始地点情報保持手段232は、スクロールの開始地点の情報、スクロールの開始時点の表示倍率の他に、スクロール操作中のズームアウト処理においてスクロール実距離取得手段231が取得したスクロール実距離のデータおよび表示倍率算出手段23が算出した表示倍率のデータをスクロール開始地点情報として保存するものであり、前述の静止ズームモードにおいて、表示制御手段29はこのスクロール開始地点情報を用いてズームイン表示することができる。
【0095】
スクロール先を中心にした地図画像にズームインした状態で、スクロール操作が再開され、別の地点に向けてスクロールが行われると、表示モード制御手段24は静止ズームモードから再びスクロールズームモードに表示モードを切換える。この状態では、スクロール検出手段282は、開始地点情報保持手段232に保持されたスクロール開始地点情報に基づいて、当初のスクロール開始地点からのスクロール実距離を算出し、表示倍率算出手段23は、このスクロール実距離に基づいて表示倍率を算出するから、当初のスクロール開始地点とスクロール先の地点を含む地図画像に再度ズームアウト表示することができる。
【0096】
以上のスクロールズームモードによるズームアウト表示、静止ズームモードによるズームイン表示について、図を参照して更に具体的に説明する。図4は、スクロール操作に基づくズームアウト表示の開始可否を判別する概念を説明する図であり、図4(A)は、表示手段27に地図画像が表示されている初期画面の状態を示す図、図4(B)はスクロール操作により地図画像がスクロールされた状態を示す図である。
【0097】
図4(A)の初期画面においては、地点Aを中心とする地図画像が表示されている。地点Aは、地図表示装置20の現在位置または地図表示装置20が指定した特定の地点である。このように表示手段27に表示された地図画像の表示領域を変更(スクロール)するときは、利用者が操作入力手段28(スクロールキー281)によりスクロール操作を行い、地図の表示領域を変更する(地図画像をスクロールする)。
【0098】
スクロールは、地図画像をスクロールしたい地点へ、マウス操作によって連続的に移動するスクロール、あるいは、スクロールキー281などの方向キーでポインタを操作して連続的に移動するスクロールでも良い。さらに、スクロール操作はマウスやポインタだけではなく様々な入力手段によって連続的に移動するスクロール操作によって行われる構成であっても良い。
【0099】
スクロール操作によって、図4(B)に示すようにスクロール先の地点Bが地図画像の中心になるように地図画像がスクロールされたものとする。この時、スクロール検出手段282は、スクール操作によるスクロールの実距離を検出し、スクロール操作を開始する前の地点A(スクロール開始地点ということとする)が所定の距離範囲の中にあり、地図画像に入っているか否かを判別する。図4(B)の半径rで示す円Rは、地点Aがスクロール先の地点Bから所定の距離範囲の中にあるかを判別するための境界線を示している。
【0100】
図4(B)において、判別処理を簡単化するため境界線を半径rの円Rとして設定した例を示すが、この境界線は、地点Aが表示手段27に表示されるスクロール後の地図画像の範囲内に入っているか否かを判別するものであるから、必ずしも円Rである必要はなく、表示画面に沿った矩形の境界線を設定してもよい。
【0101】
今、スクロールの開始地点(出発点)を図4(A)に示されている地点Aとして、利用者によって、図4(B)に示す地点Bが地図の中心となるように連続的に地図画像がスクロールされ地図の表示範囲が変更されたとすると、地点Aと地点Bを結んだ長さABがスクロール実距離Lとなる。スクロールの開始地点Aが円Rの外側に出るとき、つまりこのスクロール実距離Lが所定領域半径rより大きい値になると、表示モード制御手段24は地図の表示モードをスクロールズームに移行する。図4(B)に示す状態では、スクロールの開始地点は半径rの境界線を示す円R上にあり、この状態ではスクロールズームに移行せず、スクロール表示される地図画像の表示倍率はもとの倍率のままである。
【0102】
スクロールズームに移行すると、表示倍率算出手段は地図画像の表示倍率Xrを、Xr=r/Lとして算出する。ここでr:所定領域半径、L:スクロール実距離で定義し、このようにして算出した表示倍率に応じて表示制御手段29はベクトル地図データに基づく地図画像の縮尺倍率(表示倍率)を制御して描画し、表示手段27に地図画像を表示する。これにより、スクロール開始地点Aとスクロール先の地点Bを含む地図画像がズームアウトして表示されるようになる。
【0103】
図5は、さらにスクロール先が、実地図上で他の地点へ移動した場合について示す図である。図5に示すように、スクロール開始地点A(第1の地点)から第1のスクロール先の地点B(第2の地点)に地図画像がスクロールされ、更に地点Bから第2のスクロール先の地点C(第3の地点)にスクロールされた場合は、さらにスクロール実距離Lが変化するため地図の表示倍率が変化し、スクロール先の地点C(第3の地点)を中心とした図6に示すような地図画像が表示される。
【0104】
このようにして、スクロールの開始地点Aを所定の地図領域内に置いてズームアウトした地図表示が実行される。しかしながらズームアウト表示する表示方法のみでは、スクロール量(スクロール実距離)が大きくなると、地図画像が広域図側に倍率変化するので、スクロール先周辺、例えば、スクロール先の地点C(図5、図6参照)の周辺の詳細な地図画像が見えなくなる。そこで、スクロール操作が終了すると、表示モード制御手段24は、静止ズームモードに表示モードを切換える。静止ズームモードにおいては、徐々に倍率をスクロール前の倍率に戻すズームイン表示が行われ、スクロール先の地点Cを中心とするスクロール操作開始前の元の表示倍率の地図画像を表示し、地点Cの周辺情報を見やすくする制御を行う。
【0105】
先に説明したように、開始地点情報保持手段232は、スクロールの開始地点の情報、スクロールの開始時点の表示倍率の他に、スクロール操作中のズームアウト処理においてスクロール実距離取得手段231が取得したスクロール実距離のデータおよび表示倍率算出手段23が算出した表示倍率のデータをスクロール開始地点情報として保存するものであり、静止ズームモードにおいて、表示制御手段29はこのスクロール開始地点情報を用いてズームイン表示することもできる。
【0106】
静止ズームモードによりスクロール先の地点Cにズームインして地図画像を表示した状態で、再びスクロール操作が開始されると、表示モード制御手段24は表示モードを再びスクロールズームモードに切換え、当初のスクロール開始地点Aからスクロール先の地点までのスクロール実距離Lに基づいて地図画像の表示倍率を算出し、スクロール先の地点と当初のスクロール開始地点とを含む地図画像にズームアウトして表示する表示制御が行われる。
【0107】
また、静止ズームモードでスクロール先の地点を含む元の表示倍率の地図画像にズームイン表示されたし状態で、一定の時間継続してスクロール操作がなされなかった時には、開始地点情報保持手段232に保持されたスクロール開始地点の情報等をクリアし、現在スクロールにより移動したスクロール先の地点を以後のスクロールのー開始地点として更新するようにすることができる。この機能はオプションとして用意し、利用者が必要に応じてオプション機能を有効にする設定ができるようにするとよい。
【0108】
以上、説明した本実施例にかかる地図表示システムの動作手順を、図7、図8に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。図7は、表示手段27にある地点を中心とする地図画像が表示された状態で、利用者によってスクロール操作がなされた際の処理を示すフローチャートであり、図8は、図7のフローチャートにおいて、スクロール操作がされなかった場合の処理を示すフローチャートである。
【0109】
図7に示すフローチャートにおいて、先ず、ステップS101において、スクロール検出手段282は利用者の操作によってスクロール操作が行われたか否かを判断する。もし、スクロール操作が行われていれば、処理はステップS102へ進む。スクロール操作が行われていなければ、処理は図8のステップS201に進む。
【0110】
スクロール検出手段282が、スクロール操作が行われたことを判別すると。ステップS102において、スクロール検出手段282はスクロール操作による実距離Lを算出し、スクロール実距離取得手段231はスクロール検出手段282が算出したスクロール実距離Lを取得し、ステップS103へ進む。ステップS103において、スクロール実距離取得手段231はスクロールの開始点A(図5参照)が所定の領域半径rで定めた円Rの外側に出るか否かを判断する。
【0111】
もし、スクロール開始地点Aが所定の領域半径rで定めた円Rの内側であれば処理はステップS111の処理に進む。もし、スクロール開始地点Aが所定の領域半径rで定めた円Rの外側に出る場合には、処理はステップS104の処理に進む。
【0112】
ステップS104において、表示倍率算出手段23がスクロール実距離取得手段231によって取得されたスクロール実距離Lに従って、表示倍率Xrを算出する。さらに、ステップS105において、予め設定しておいた表示倍率の限界値Xlimと比較する。ステップS104で算出された表示倍率Xrが、表示倍率限界値Xlimより大きいか等しいか等しい場合にはステップS106において、表示制御手段29が表示倍率XrをXlimと置き換え、処理はステップS107へ進む。ステップS104で算出された表示倍率Xrが、表示倍率限界値Xlimより小さい場合には、処理はステップS107の処理に進む。
【0113】
ここで、表示倍率限界値Xlimは、スクロール実距離Lに合わせてズームアウトしていくうちに、ズームアウトしすぎて地図画像が見難くなることを防ぐ目的で設定されたものである。これにより、スクロール実距離Lがどんなに大きくなっても継続してズームアウトするだけでなく、スクロール実距離Lに合わせて所定の倍率に達したその後は、ズームアウトが止まりスクロール先を追うようなスクロール画像とすることができる。
【0114】
ステップS107において、表示制御手段29はスクロール前のベース表示倍率Xmと表示倍率Xrについて倍率変更値を算出し、倍率変更比率の限界値Ylimと比較を行う。倍率変更比率の限界値Ylimは、例えば表示画面上のスクロール量をsとして、表示倍率の最大変化率の2倍=2×(1+s/r)としても良い。
【0115】
この処理は、利用者が一時的にスクロール操作を停止し静止表示倍率Xcで描写中に、利用者が再度スクロールを開始すると再びスクロールズームモードへ移行するので、このとき、再び表示倍率がXrに切り替わることを防ぐために設けられたものである。
【0116】
もし、表示倍率の変更比率が限界値Ylimより小さいか等しい場合には、ステップS109の処理に進む。もし、表示倍率の変更比率が限界値Ylimより大きいか等しい場合には、ステップ108の処理で、表示倍率を所定の表示倍率Xrに置き換える。例えば、所定の表示倍率Xrが表示倍率の変更比率の限界値Ylim以内になるような値とすればよい。そしてステップS109の処理に進む。
【0117】
静止ズームモードからスクロールズームモードに戻る際には、スクロール実距離L(A〜Cの距離)が、スクロールが開始された地点(図5の地点A)からスクロール再開後にスクロールされた地点(図5の地点C)として算出される。従って、スクロール開始点から最初にスクロール操作された地点(図5の地点B)までのスクロール実距離(A〜Bの距離)によって大きくなりすぎる場合がある。この状態の表示倍率Xrに基づいて表示倍率を求めてしまうと、緩やかなズームイン(静止ズームモード)で表示していた画面が、急激なズームアウトになってしまい、ユーザに違和感を与えかねない。
【0118】
これを防ぐために、上記のように所定の表示倍率の変更変化率の最大値(変更比率の限界値Ylim)を定めておき、表示倍率の変更比率が限界値Ylimより大きい場合には、表示倍率Xrが表示倍率の変更比率の限界値Ylim以内になるような値とする。これによって、急激な表示倍率の変化が起こることを未然に防ぎ、徐々に表示倍率を変化させることができるようになる。
【0119】
ステップS109の処理において、表示倍率Xrの値がスクロール前のベース表示倍率Xmより大きい値であるか否かを判断する。表示倍率Xrがスクロール前のベース表示倍率Xmより大きいか等しい値であれば、そのままステップS111の処理に進む。もし、表示倍率Xrがスクロール前のベース表示倍率Xmより小さいか等しい値であれば、スクロール前の表示倍率より拡大表示してしまうので、ステップS110おいて、表示倍率Xrをスクロール前のベース表示倍率Xmに置き換えて、ステップS111の処理に進む。
【0120】
この処理は、スクロールズームモード、静止ズームモードにおいて地図画像をズームアウト表示、ズームイン表示する際に、一定の地図倍率以上に拡大表示しないために設定された処理であり、ベース表示倍率Xmと比較を行い、それより拡大表示になるときは地図倍率をこのベース表示倍率Xmに置換える処理を行うものである。
【0121】
ステップS111の処理では、タイマ手段283の値をリセットし、処理はステップS112へ進む。ステップS112においては、それまで表示を行っていた表示倍率をベース表示倍率Xmと記憶して、処理はステップS113へ進む。ステップS113の処理においては、以上の処理で算出された表示倍率Xrで、または静止表示倍率Xcで表示制御手段29は表示手段27に地図描写を行い、処理を終了する。
【0122】
一方、ステップS101において、スクロール検出手段282が、スクロール操作が行われていないことを判別すると、処理は、図8に示すフローチャートのステップS201の処理に進む。
【0123】
ステップS201の処理では、表示倍率算出手段が静止表示倍率Xc=Xr×1.1として算出してステップS202の処理に進む。例えば、静止表示倍率Xcは、現在表示している倍率Xrに所定の係数Cを掛けて求めるようにする。ここでは所定の係数Cを1.1としたが、この値は自由に変更してよい。
【0124】
静止ズームモードは、所定の倍率で徐々にズームしていく機能である。スクロール操作を行って新たな地点を表示している最中に、スクロール操作が停止するということは、新たに表示された地点の地図画像を観察するためであると考えられる。そこで、ステップS201の処理ではスクロール先においてスクロール操作が停止したことを確認すると、スクロール前に表示していた表示倍率Xrを限界の値として、徐々に新たに表示されている地点に地図画像をズームインしてゆく。ここで、所定の比率というのは、利用者に違和感を与えない程度に徐々に倍率を変える為に定める定数である。
【0125】
ステップS202において、静止表示倍率Xcとスクロール前のベース表示倍率Xmと比較を行い、静止表示倍率Xcがスクロール前のベース表示倍率Xmより大きいかを判別する。もし、静止表示倍率Xcがスクロール前の表示倍率Xmと等しいか、もしくは小さい値であれば処理は図7のステップS111の処理に進む。
【0126】
もし、静止表示倍率Xcがスクロール前のベース表示倍率Xmより大きい値であれば、処理はステップS203の処理に進む。ステップS203の処理において、まず静止表示倍率Xcをベース表示倍率Xmの値に置き換えて、ステップS204の処理に進む。
【0127】
ステップS204の処理において、操作時間取得部がタイマ手段283の値を取得し、タイマ手段283の値が所定の値より大きいか否かを判断する。もし、タイマ手段283の値が所定の値より小さいか等しければ、処理は図7のステップS112の処理に進む。もし、タイマ手段283の値が所定の値より大きいか等しければ、処理はステップS205の処理に進み、タイマ手段283の値を「1」にリセットとする。そして、ステップS206の処理に進み、スクロール先で表示されている画面の中心を新たなスクロール開始地点とする更新処理を行い、処理はステップS111に進む。
【0128】
次に、地図表示装置20から出発地と目的地を含む経路探索条件を設定して、経路探索サーバ30に経路探索要求があった場合の経路探索サーバ30の経路探索処理について説明する。経路探索用ネットワークデータベース35には、車や歩行者用の経路探索のための道路ネットワークデータや交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータが格納されている。
【0129】
図9は、道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。また、道路ネットワークデータは、道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ、リンクデータ、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)であるリンクコストデータから構成され、データベース化されたものである。
【0130】
例えば、道路が図9に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0131】
すなわち、図9において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図9では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0132】
このような道路ネットワークデータを経路探索用のデータとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図9において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0133】
図9ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0134】
それに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータは以下のように構成されている。例えば、図10に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図10において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図10では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0135】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図10に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0136】
図10に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0137】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0138】
例えば、図10において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0139】
経路探索サーバ30は、地図表示装置20からの経路探索要求があった場合、徒歩と交通機関を利用した経路探索においては道路ネットワークデータと交通ネットワークデータとを総合して経路探索を行なう。その際、目的地への到着時刻が指定されると、その時刻までに目的地に到着するような最適経路あるいは複数の候補経路を探索する。
【0140】
経路探索の結果は地図データとともに地図表示装置20に送信され、地図表示装置20の現在位置を中心とした地図画像が表示手段27に表示され、スクロール操作があると前述したようなスクロールズームモード、静止ズームモードによる表示制御が行われる。
【0141】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる地図表示システムによれば、表示手段に表示された地図画像をスクロール操作に伴ってズームアウト、ズームインするようにした地図表示システムにおいて、スクロール開始地点の情報を保持したまま地図画像をズームアウト表示、ズームイン表示を行い、スクロール開始地点が地図画像に表示されている間はズームアウトせず、また、スクロール操作を停止した後、更に別の地点までスクロール操作が再開された場合でも、当初のスクロール開始地点を含む地図画像を表示することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、地点検索により地図データを提供する地図表示システムのみならず経路探索システムにも適用でき、また、地図表示装置も、携帯電話などの携帯端末装置のみならずパーソナルコンピュータを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施例にかかる地図表示システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかる地図表示システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】地図データベースに蓄積される地図データを示す図である。
【図4】スクロール操作に基づくズームアウト表示の開始可否を判別する概念を説明する図であり、図4(A)は、表示手段27に地図画像が表示されている初期画面の状態を示す図、図4(B)はスクロール操作により地図画像がスクロールされた状態を示す図である。
【図5】スクロール先が更に他の地点になった場合の各地点の関係を示す図である。
【図6】図5に示すスクロール操作の結果として表示手段に表示される地図画像を示す図である。
【図7】本発明の実施例にかかる地図表示システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートに続く地図表示システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【図10】交通ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【符号の説明】
【0144】
10・・・・地図表示システム
12・・・・ネットワーク
20・・・・地図表示装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・表示倍率算出手段
231・・・スクロール実距離取得手段
232・・・開始地点情報保持手段
24・・・・表示モード制御手段
25・・・・地図データ記憶手段
26・・・・案内データ記憶手段
27・・・・表示手段
28・・・・操作入力手段
281・・・スクロールキー
282・・・スクロール検出手段
283・・・タイマ手段
29・・・・表示制御手段
30・・・・経路探索サーバ
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・経路探索手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・POI情報データベース
37・・・・配信要求記憶手段
38・・・・配信データ編集手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段はスクロール操作によるスクロール実距離を取得し、前記開始地点情報保持手段は、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段は、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出し、表示制御手段は表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画することを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
前記地図表示システムは、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段は、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段は、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項7】
前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段は、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項8】
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データを送信する経路探索サーバから受信する地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段はスクロール操作によるスクロール実距離を取得し、前記開始地点情報保持手段は、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別し、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段は、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出し、表示制御手段は表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画することを特徴とする地図表示装置。
【請求項9】
前記地図表示装置は、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段は、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示することを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段は、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得することを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項13】
前記表示制御手段は、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画することを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項14】
前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段は、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させることを特徴とする請求項8に記載の地図表示装置。
【請求項15】
ベクトル地図データを蓄積した地図データベースを備え、前記地図データベースから読み出した地図データを送信する経路探索サーバから受信する地図データに基づいて地図画像を表示手段に表示し、スクロール操作により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置を用いた地図表示方法において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール操作に基づくスクロール実距離を取得するスクロール実距離取得手段と、表示手段に表示する地図画像の倍率を算出する表示倍率算出手段と、スクロール操作の開始地点の情報を保持する開始地点情報保持手段と、表示制御手段と、を備え、
スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール実距離取得手段がスクロール操作によるスクロール実距離を取得するステップと、前記開始地点情報保持手段が、前記スクロール開始地点が前記スクロール操作によって、所定の距離範囲を超えたか否かを判別するステップと、スクロール開始地点が所定の距離範囲を超えた場合、前記表示倍率算出手段が、前記スクロール実距離取得手段がスクロール実距離を取得するごとに前記スクロール実距離に基づいて地図画像の表示倍率を算出するステップと、表示制御手段が表示倍率に応じて地図画像を表示手段に描画するステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項16】
前記地図表示装置は、表示モード制御手段を備え、前記スクロール検出手段が、スクロール操作が開始された後にスクロール操作が停止したことを検出した場合、前記表示モード制御手段が、表示モードを静止ズームモードに切換え、前記スクロール操作によるスクロール先の地点を中心とする地図画像を、前記スクロール開始時の表示倍率まで順次変更してズームイン表示する処理を有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。
【請求項17】
前記スクロール検出手段がスクロール操作の開始後にスクロール操作の停止を検出し、スクロール操作が再開されたことを検出した場合、前記スクロール実距離取得手段が、スクロール開始地点から前記再開されたスクロール先の地点までの実距離を取得するステップを有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。
【請求項18】
前記表示倍率算出手段によって算出された表示倍率が、予め定める表示倍率の最大限界値より大きいとき、前記表示制御手段が、前記最大限界値を前記地図画像の表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。
【請求項19】
前記表示制御手段が、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、表示倍率算出手段によって算出される表示倍率と前記記憶されたベース表示倍率の比が、予め定める表示倍率の変更比率の最大値より大きいとき、表示倍率算出手段によって算出される地図表示倍率とベース表示倍率の比が表示倍率の変更比率の最大値以下となるように表示倍率を置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。
【請求項20】
前記表示制御手段が、スクロール開始時点で表示を行っていた地図画像の表示倍率をベース表示倍率として記憶しておくと共に、前記表示倍率算出手段によって算出される地図画像の表示倍率が前記ベース表示倍率より大きい場合に、前記地図画像の表示倍率をベース表示倍率に置き換えて、前記地図画像を前記表示手段に描画するステップを有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。
【請求項21】
前記スクロール検出手段がスクロール操作を検出しない場合には、前記表示倍率算出手段が、地図画像の表示倍率を所定の比率で変更させるステップを有することを特徴とする請求項15に記載の地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−162820(P2009−162820A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339402(P2007−339402)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】