説明

地図表示装置、地図表示方法及びプログラム

【課題】現在の階層と他の階層との対応関係を認識することができるようにする。
【解決手段】各階層ごとの地図データを取得する情報取得処理手段と、地図画面上の所定の地点を設定地点として設定する地点設定処理手段と、設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する階層判断処理手段と、選択された階層の地図を表示する表示処理手段93とを有する。表示処理手段93は、階層判断処理手段によって設定地点に複数の階層が存在すると判断された場合に、設定地点に複数の階層が存在することを表示する。設定地点に複数の階層が存在することが表示されるので、操作者は、設定地点に複数の階層が存在することを認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置、地図表示方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって現在の位置、すなわち、現在地が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部のディスプレイに地図画面が形成され、該地図画面に、現在地及び周辺の地図が表示されるようになっている。したがって、操作者は現在地を認識することができるだけでなく、周辺の情況を認識することができる。
【0003】
そして、例えば、移動用端末としてのPDA(個人用携帯情報端末)にナビゲーション装置が搭載されている場合、PDAを保持しながら、ナビゲーション装置によって検出された現在地に基づいて目的地まで歩行することができる。また、車両にナビゲーション装置が搭載されている場合、ナビゲーション装置によって検出された現在地に基づいて、目的地まで車両を走行させたり、現在地から目的地までの経路を探索したりすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、地図画面に、地表上の道路を表す地図が表示されるだけであり、例えば、地下の道路を表す地図を表示することができない。
【0005】
すなわち、道路は、通常、地表に沿って形成されるので、地図画面に地表上の道路を表す地図を表示すれば十分であるが、地域によっては、地上に1又は複数の階層(地上1階、地上2階、地上3階等)にわたって、又は地下に1又は複数の階層(地下1階、地下2階等)にわたって道路が形成されることがある。
【0006】
ところが、現在の階層と他の階層との対応関係を認識することができない。
【0007】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、現在の階層と他の階層との対応関係を認識することができる地図表示装置、地図表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の地図表示装置においては、各階層ごとの地図データを取得する情報取得処理手段と、地図画面上の所定の地点を設定地点として設定する地点設定処理手段と、前記設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する階層判断処理手段と、選択された階層の地図を表示する表示処理手段とを有する。
【0009】
そして、該表示処理手段は、前記階層判断処理手段によって前記設定地点に複数の階層が存在すると判断された場合に、設定地点に複数の階層が存在することを表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地図画面上の所定の地点が設定地点として設定され、設定地点に複数の階層が存在する場合に、設定地点に複数の階層が存在することが表示されるので、操作者は、設定地点に複数の階層が存在することを容易に認識することができる。したがって、現在の階層と他の階層との対応関係を認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、移動用端末としてのPDA(個人用携帯情報端末)に搭載されたナビゲーション装置について説明するが、本発明を車両に搭載されたナビゲーション装置に適用することもできる。
【0012】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの機能ブロック図である。
【0013】
図において、91はナビゲーション情報を各階層ごとに取得する第2の情報取得処理手段、92は各階層のうちの所定の階層を選択する階層選択処理手段、93は、選択された階層のナビゲーション情報に従って、選択された階層の地図を基準地点と共に表示する表示処理手段である。
【0014】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの概念図である。
【0015】
図において、61は利用者端末としてのパソコン、62は情報提供者としての情報センタであり、前記パソコン61、情報センタ62等はネットワーク43を介して接続される。また、14はPDAに搭載されたナビゲーション装置であり、該ナビゲーション装置14は、ナビゲーション処理部17、データ記録部16等を備える。前記ナビゲーション装置14、ネットワーク43、パソコン61、情報センタ62等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0016】
前記パソコン61は、演算装置及び制御装置としてのCPU71、操作者に各種の情報を通知する通知装置としての表示部72、操作部73、記録装置74、通信部75等を備える。本実施の形態においては、前記演算装置及び制御装置としてCPU71が使用されるようになっているが、CPU71に代えてMPU等を使用することもできる。また、前記表示部72としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを使用することができる。本実施の形態においては、通知装置として表示部72が使用されるようになっているが、該表示部72に代えて操作者に音声で各種の情報を通知する音声表示装置を使用することもできる。
【0017】
また、操作部73としては、キーボード、マウス等を使用することができるほかに、前記ディスプレイに形成されたタッチパネルを使用することもできる。また、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック等を使用することもできる。前記タッチパネルにおいては、ディスプレイに各種のキー、スイッチ、ボタン等の操作部領域が形成され、該操作部領域をタッチ(押下)することによって入力を行うことができる。
【0018】
また、前記記録装置74には、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の図示されない内部記憶装置が内蔵されるほかに、ハードディスク、メモリカード等の外部記憶装置が選択的に配設される。なお、前記ハードディスクによって第1の記録媒体が、メモリカードによって第2の記録媒体が構成される。また、前記外部記憶装置として、ハードディスク及びメモリカードのほかに、磁気テープ、磁気ドラム、CD−ROM、CD−R、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を配設することができる。なお、前記外部記憶装置を使用するためには、記録装置74に、外部記憶装置に記録されたデータを読み出すための読出装置、及びデータを記録するための書込装置が配設される。
【0019】
本実施の形態においては、前記利用者端末としてパソコン61が使用されるようになっているが、該パソコン61に代えて電子手帳、携帯電話、携帯端末、テレビ電話、ゲーム機等のような、前記ネットワーク43に接続することができ、双方向の通信を行うことができるものを使用することもできる。また、本実施の形態においては、移動用端末としてPDAが使用されるようになっているが、該PDAに代えて電子手帳、携帯電話、携帯端末、テレビ電話、ゲーム機等のような、移動させながら双方向の通信を行うことができるものを使用することもできる。
【0020】
そして、前記情報センタ62は、サーバ63、該サーバ63に接続され、ナビデータを記録するためのナビデータデータベース(DB)64等を備える。該ナビデータデータベース64は、地図を表示するための地図データが記録された地図データファイル、経路を探索するための探索データが記録された探索データファイル、各種の施設に関する施設データが記録された施設データファイル等から成る。前記地図データファイルに、道路データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル等のデータファイルが形成され、道路データファイルに各道路(道路リンク)の情報を表す道路データが、交差点データファイルに各交差点の情報を表す交差点データが、ノードデータファイルに、各道路に沿った設定されたノード点の情報を表すノードデータがそれぞれ記録される。なお、地図データ、探索データ、施設データ等においてナビデータが構成される。
【0021】
そして、前記道路データとして、道路自体に関して、幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、該車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速道路、都市高速道路、有料道路等の高速・有料道を表すデータがそれぞれ記録される。さらに、高速・有料道に関して、入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所等を表すデータが記録される。
【0022】
また、道路は、通常、地表に沿って形成されるので、地図画面に地表上の道路を表す地図を表示すれば十分であるが、地域によっては、地上に1又は複数の階層(地上1階、地上2階、地上3階等)にわたって、又は地下に1又は複数の階層(地下1階、地下2階等)にわたって道路が形成されることがある。例えば、地表上に道路が形成されているだけでなく、2階の部分にも道路が形成されたり、地下にも地下街、地下駐車場、地下道等の道路が形成されたりする。
【0023】
そこで、複数の階層にわたって道路が形成されている場合、前記地図データは、各階層ごとに階層データとして記録される。なお、各階層ごとの階層データは、地図画面上に地図を表示したときに、地図上の各地点がそれぞれ対応する位置に置かれるように作成される。また、前記階層データは、各階層ごとに時間データ、例えば、地下街の各階層ごと、又は地下街の所定の地域ごとの営業時間、地下駐車場の各階層ごとの営業日、営業時間等を有する。なお、地下街の各施設ごとの営業日、営業時間等を時間データとして有することもできる。
【0024】
また、前記ノードデータとして、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、各ノード点間を連結するノード点間リンク、各ノード点の高さ(高度)等を表すデータが記録される。
【0025】
また、前記施設データとして、各地域のホテル、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等の施設を表すデータが記録される。なお、前記ナビデータデータベース64には、ナビゲーション装置14において所定の情報を音声で出力するための音声出力データも記録される。
【0026】
ところで、前記情報センタ62は、情報提供者のうちの交通情報提供者としての交通情報送信センタ、例えば、図示されないVICS(道路交通情報通信システム:Vehicle Information and Communication System)センタから送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報のほかに、ニュース、天気予報等の一般情報を受信することができるようになっていて、前記交通情報及び一般情報を、そのままネットワーク43を介してパソコン61に送ったり、ナビデータデータベース64に記録したりする。そのために、前記ナビデータデータベース64に統計データファイルが配設され、統計データとして過去の交通情報及び一般情報が時系列に記録されるほかに、過去の交通情報及び一般情報に対して所定の加工が施され、交通情報及び一般情報の加工データがナビデータとして記録される。なお、交通情報及び一般情報を加工するのに当たり、前記一般情報等が必要に応じて参照される。
【0027】
前記情報センタ62は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれであってもよい。そして、情報センタ62は、前記ナビデータ等を自ら作成したり、他の情報提供者から購入したりしてパソコン61に供給する。
【0028】
また、前記ネットワーク43としては、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等から成る各種の通信手段を使用することができる。そして、前記ネットワーク43としては、放送用衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信手段を使用することもできる。さらに、前記ネットワーク43としては、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、境域通信システム(DSRC)等の通信手段を使用することもできる。
【0029】
前記パソコン61、サーバ63、ナビゲーション処理部17等は、それぞれ単独に、又は二つ以上を組み合わせることによって、所定のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。
【0030】
次に、前記構成のナビゲーション装置14について説明する。
【0031】
図3は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図である。
【0032】
図において、14はナビゲーション装置であり、該ナビゲーション装置14は、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、地図データ、経路が探索されたときの経路データ等が記録されるデータ記録部16、操作部としての入力部34、第1の通知部としての表示部35、第2の通知部としての音声出力部37、通信部38、第1、第2のスロットとしての外部スロット44、45等を備える。なお、前記データ記録部16はフラッシュメモリによって構成され、内部記憶装置として配設される。
【0033】
そして、前記外部スロット44、45は、インタフェースを構成し、現在地検出部としてのGPSカード46を外部スロット44にセットすることによって、GPSカード46により現在地を検出することができ、通信部としての通信カード47を外部スロット44にセットすることによって、通信カード47によりネットワーク43(図2)とナビゲーション装置14とを接続することができ、メモリカード48を外部スロット45にセットすることによって、メモリカード48に記録された各種のプログラム、データ等を読み出すことができる。
【0034】
前記GPSカード46には、図示されないGPSセンサが内蔵されていて、該GPSセンサは、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における現在地を検出する。
【0035】
前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びに該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、及び制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内、特定区間の決定等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33を内部記憶装置として備え、前記ナビゲーション処理部17に、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。なお、前記RAM32、ROM33、データ記録部16等として半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としてCPU31に代えてMPU等を使用することもできる。
【0036】
前記データ記録部16には、フラッシュメモリが使用されるが、図示されないハードディスクを外部記憶装置として配設することもできる。その場合、ハードディスクに記録されたデータを読み出すための読出装置、及びハードディスクにデータを記録するための書込装置が配設される。なお、前記ハードディスクに代えて、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−R、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等を外部記憶装置として配設することができる。
【0037】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部16に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置に記録することもできる。この場合、例えば、前記外部記憶装置から前記プログラム、データ等を読み出してデータ記録部16に書き込むこともできる。したがって、外部記憶装置を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0038】
前記入力部34は、現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通信部38を操作したりするためのものであり、各種のキー、スイッチ、ボタン等の図示されない操作スイッチ及びスタイラスペンから成る。また、前記入力部34は、前記ディスプレイに形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の操作スイッチによって構成され、該操作スイッチを前記ライントペンによってタッチすることによって入力を行うことができる。
【0039】
なお、入力部34として、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ライトペン、ジョイスティック等を使用したり、音声によって必要な情報を入力するマイクロホン等を使用したりすることができる。
【0040】
そして、前記ディスプレイに形成された各種の画面には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの探索された経路、すなわち、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、FM多重放送の番組等が表示される。前記表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを使用することができる。
【0041】
さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種の音、あらかじめテープ、メモリ等に録音された各種の案内情報等を出力することもできる。
【0042】
そして、前記通信部38は、ナビゲーション装置14とパソコン61とを無線LANを介して接続したり、ナビゲーション装置14と情報センタ62とをネットワーク43を介して接続したりするための無線通信用の外部通信部49、及びナビゲーション装置14とパソコン61とを、シリアルコネクタ、ケーブル等を介して接続するための有線通信用の外部通信部50を備える。なお、前記外部通信部49によって、VICSセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信したり、ニュース、天気予報等の情報をFM多重情報として受信したりすることができる。
【0043】
ところで、前記構成のナビゲーションシステムにおいては、操作者が、例えば、パソコン61の操作部73を操作して、地図データを取得しようとする所定の地域を選択して入力すると、CPU71の図示されない地図データ要求処理手段は、地図データ要求処理を行い、所定の要求信号を情報センタ62に送信する。
【0044】
そして、情報センタ62において要求信号が受信されると、サーバ63の図示されない第1の情報取得処理手段は、第1の情報取得処理を行い、ナビデータデータベース64の地図データファイルを参照して、選択された地域の地図データを読み出し、取得する。続いて、前記サーバ63の図示されない地図データ送信処理手段は、地図データ送信処理を行い、地図データをパソコン61に送信する。
【0045】
そして、前記地図データが送信されると、CPU71の図示されない第1の記録処理手段は、第1の記録処理を行い、前記地図データを記録装置74のハードディスクにダウンロードする。続いて、操作者が、前記記録装置74に、メモリカード48をセットし、所定の手順で操作部73を操作すると、前記第1の記録処理手段は、ダウンロードされた地図データをメモリカード48にコピーする。
【0046】
次に、操作者は、前記メモリカード48をナビゲーション装置14の外部スロット45にセットすると、CPU31の図示されない第2の記録処理手段は、第2の記録処理を行い、前記地図データをデータ記録部16に更にコピーする。
【0047】
また、前記構成のナビゲーションシステムにおいては、操作者が、例えば、パソコン61の操作部73を操作して出発地及び目的地を入力すると、情報センタ62において経路が探索され、探索結果がパソコン61に送られるようになっている。
【0048】
そのために、前記操作者がパソコン61の操作部73を操作して出発地及び目的地を入力すると、CPU71の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、出発地及び目的地を探索条件として設定し、該探索条件を情報センタ62に送信する。
【0049】
そして、情報センタ62において探索条件が受信されると、前記第1の情報取得処理手段は、ナビデータデータベース64の探索データファイルを参照して探索データを読み出し、経路を探索するために必要な情報を取得する。なお、第1の情報取得処理手段は、統計データファイルを参照して、交通情報を元データとする統計データを読み出したり、VICSセンタから送信された交通情報を読み込んだりすることによって前記情報を取得することもできる。
【0050】
続いて、前記サーバ63の図示されない探索処理手段は、探索処理を行い、前記探索条件に従って、前記探索データ、交通情報、統計データ等に基づいて経路を探索する。そして、前記探索処理手段によって経路が探索されると、前記サーバ63の図示されない経路案内データ送信処理手段は、経路案内データ送信処理を行い、探索経路を表す経路データ、探索経路の周辺の地図を表す地図データ、音声出力部37によって探索経路を案内するための音声出力データ等を経路案内データとしてパソコン61に送信する。
【0051】
前記経路データには、探索経路を構成する道路データ(道路属性等)が含まれ、前記地図データには、探索経路が含まれるメッシュ、及び該メッシュに隣接するメッシュのメッシュ情報が含まれる。なお、前記音声出力データについては、情報センタ62からパソコン61に送信することができるが、ナビゲーション装置14のデータ記録部16にあらかじめ音声出力データを記録しておくこともでき、その場合、経路案内データとして送信する必要はない。
【0052】
そして、前記経路案内データが送信されると、CPU71の第1の記録処理手段は、前記経路案内データを記録装置74のハードディスクにダウンロードする。続いて、操作者が、前記記録装置74に、メモリカード48をセットし、所定の手順で操作部73を操作すると、前記第1の記録処理手段は、ダウンロードされた経路案内データをメモリカード48にコピーする。
【0053】
次に、操作者は、前記メモリカード48をナビゲーション装置14の外部スロット45にセットすると、CPU31の第2の記録処理手段は、第2の記録処理を行い、前記経路案内データをデータ記録部16に更にコピーする。
【0054】
次に、前記ナビゲーション装置14の動作について説明する。
【0055】
図4は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図5は本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第1の図、図6は本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第2の図、図7は本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第3の図である。
【0056】
図5〜7において、51はナビゲーション装置14(図3)が搭載されたPDA、52は表示部35のディスプレイであり、該ディスプレイ52に地図画面53が形成され、該地図画面53に現在地Pp及び周辺の地図が表示される。また、54は所定の入力を行うためのスタイラスペン、k1はカーソルキー、k2〜k5は機能を選択するキーである。この場合、スタイラスペン54、前記カーソルキーk1及びキーk2〜k5によって入力部34が構成される。
【0057】
まず、図示されない電源スイッチが投入されると、前記ナビゲーション装置14が起動され、GPSカード46によって現在地Ppが検出される。そして、前記CPU31の第2の情報取得処理手段91(図1)は、第2の情報取得処理を行い、データ記録部16から地図データのうちの第1の階層データとしての地上1階データを読み出して取得し、CPU31の表示処理手段93は、ディスプレイ52に地図画面53を形成し、該地図画面53に現在地Pp及びカーソルを重ねて表示するとともに、地上1階データに従って、図5に示されるような地上1階の周辺の地図を表示する。したがって、操作者は現在地Ppを認識することができるだけでなく、周辺の情況を認識することができる。
【0058】
前記地図画面53は、主要部において、現在地Pp及び周辺の地図を表示するための地図領域AR1、及び下端部において、表示モードを表すためのモード表示領域AR2を備える。
【0059】
そして、操作者が前記カーソルキーk1を操作して、前記地図画面53において、カーソルQを上下左右に移動させるか、又は地図画面53上の所定の部分をスタイラスペン54によってタッチすることにより地図を上下左右にスクロールさせると、CPU31の図示されない地点設定処理手段は、地点設定処理を行い、カーソルQが位置する地図画面53上の所定の地点を設定地点として設定する。
【0060】
続いて、前記CPU31の図示されない階層判定処理手段は、階層判定処理を行い、設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する。本実施の形態においては、前記設定地点の地下に地下街が存在するので、設定地点には、複数の階層、すなわち、第1の階層としての地上1階が、第2の階層としての地下1階が存在することになる。そこで、前記表示処理手段93は、前記モード表示領域AR2の階層表示部g1に、設定地点に存在する各階層の数だけ階層バーを表示する。したがって、操作者は、設定地点に複数の階層が存在することを認識することができる。本実施の形態において、前記階層バーは、「B1」の文字が付された地下1階階層バー、及び「1F」の文字が付された地上1階階層バーから成る。
【0061】
そして、操作者が階層バーを見て、地下1階階層バーを選択してスタイラスペン54でクリックすると、前記CPU31の階層選択処理手段92は、階層選択処理を行い、所定の階層として地下1階を選択し、前記表示処理手段93は、前記地図データのうちの第2の階層データとしての地下1階データを読み出し、前記地図画面53に、現在地Ppを表示するとともに、地下1階データに従って、図6に示されるような地下1階の周辺の地図を、前記地上1階の地図に対応させて表示する。これに伴って、「B1」の文字が付された地下1階階層バーの色が変更される。
【0062】
また、操作者が階層バーを見て、地上1階階層バーを選択してスタイラスペン54でクリックすると、前記階層選択処理手段92は、所定の階層として地上1階を選択し、前記表示処理手段93は、前記地図データのうちの第1の階層データとしての地上1階データを読み出し、前記地図画面53に、現在地Ppを表示するとともに、地上1階データに従って、図5に示されるような地上1階の周辺の地図を、前記地下1階の地図に対応させて表示する。これに伴って、「1F」の文字が付された地上1階階層バーの色が変更される。
【0063】
この場合、前述されたように、各階層ごとの階層データは、地図画面53上に地図を表示したときに、地図上の各地点がそれぞれ対応する位置に置かれるように作成されるので、各階層の地図画面を形成したときに、各階層の互いに対応する地点が、各地図画面53上において同じ位置に表示される。
【0064】
そして、各階層の地図地面を形成したときに、前記現在地Pp及びカーソルQは、前記地図画面53上において同じ位置に表示され、前記現在地Pp及びカーソルQによって表される設定地点により、操作者が、現在の階層における位置と他の階層における位置との対応関係を認識にするための基準となる地点、すなわち、基準地点が構成される。
【0065】
したがって、操作者がどの階層を選択しても、前記現在地Pp及びカーソルQは、地図上において移動することなく、各階層に共通の基準位置を表すことになる。例えば、地図画面53上において、地下1階を選択したときの現在地Pp及びカーソルQの位置と、地上1階を選択したときの現在地Pp及びカーソルQの位置とは等しい。その結果、操作者は、現在地Pp又はカーソルQの位置を目安にして、地図を参照し、地図上の任意の地点を認識することができる。
【0066】
また、前記表示処理手段93は、前記階層データのうちの時間データに基づいて、地下街の各階層ごと、地下街の所定の地域ごと、又は地下街の所定の施設ごとに、地図の表示方法を時間によって異ならせる。例えば、当該日が営業日であるかどうかによって、又は当該時間が営業時間であるかどうかによって、所定の階層、所定の地域、所定の施設等の地図の色を異ならせたり、地図画面53の所定の部分に「営業中」、「営業時間外」等の文字を表示したりすることができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、操作者が階層バーを見て、地下1階階層バーを選択してスタイラスペン54でクリックすると、前記階層選択処理手段92は、地下1階を選択するようになっているが、高度計等のように、階層を検出することが可能な階層検出部を配設することができる場合には、前記階層選択処理手段92は、階層検出部によって検出された階層を選択することができる。
【0068】
続いて、前記CPU31の図示されない詳細地図判定処理手段は、詳細地図判定処理を行い、選択された階層の地図に詳細地図が存在するかどうかを判断する。本実施の形態においては、前記地下1階の地図に、基本の縮尺で表示される標準地図、該標準地図より詳細な縮尺で表示される第1の詳細地図、及び該第1の詳細地図より詳細な縮尺で表示される第2の詳細地図が存在するので、前記表示処理手段93は、前記モード表示領域AR2において階層表示部g1に隣接させて縮尺表示部g2を設定し、該縮尺表示部g2に三つの縮尺バーを表示する。該縮尺バーは、標準地図の縮尺を表す第1の縮尺バー、第1の詳細地図の縮尺を表す第2の縮尺バー、及び第2の詳細地図の縮尺を表す第3の縮尺バーから成り、第1〜第3の縮尺バーには、それぞれ「50m」、「25m」、「10m」の文字が付される。これらの文字によって、表示されている地図上の単位距離を認識することができる。
【0069】
そして、操作者が第1〜第3の縮尺バーを見て、所定の縮尺バーを選択してスタイラスペン54でクリックすると、前記CPU31の図示されない縮尺選択処理手段は、縮尺選択処理を行い、地図画面の所定の縮尺を選択し、前記表示処理手段93は、前記地下1階データのうちの、選択された縮尺に対応する地下1階データを読み出し、前記地図画面53に、現在地Ppを表示するとともに、地下1階の周辺の地図を前記縮尺で表示する。
【0070】
図7においては、第2の詳細地図の縮尺が選択されたときの、現在地Pp及び地下1階の詳細地図が表示される。これに伴って、「10m」の文字が付された第3の縮尺バーの色が変更される。
【0071】
なお、出発地から目的地までの経路が探索された場合、地図画面53に探索経路が表示される。そのために、前記表示処理手段93は、データ記録部16から経路案内データを読み出し、経路案内データのうちの経路データに従って、探索経路を表示し、音声出力部によるメッセージによって探索経路を音声で操作者に通知して経路案内を行う。
【0072】
なお、本実施の形態においては、記録装置74のハードディスクにダウンロードされた経路案内データをメモリカード48にコピーし、該メモリカード48をナビゲーション装置14にセットしてデータ記録部16に更にコピーするようになっているが、パソコン61から無線LANでナビゲーション装置14に送信することもできる。
【0073】
このように、地図画面53に設定地点における各階層の地図を表示することができるので、現在の階層における位置と他の階層における位置との対応関係を容易に認識することができる。したがって、例えば、地下街が形成されている地域において、地下街の地図画面53を見ることができるので、地上を歩行していて地下街に移動しようとするときに、現在地Ppが地下街のどの位置に対応するかを容易に認識することができ、どこから地下に移動したらよいか十分に分かる。また、地上の地図画面53を見ることができるので、地下街を歩行していて地上に移動しようとするときに、現在地Ppが地上のどの位置に対応するかを容易に認識することができ、地下街のどこから地上に移動したらよいか十分に分かる。
【0074】
すなわち、現在の階層から他の階層に移動したときに、現在地Ppを容易に認識することができ、目的地に容易に到達することができる。
【0075】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 現在地Ppを移動させるか、又は地図をスクロールさせた後の現在地Ppを設定地点として設定する。
ステップS2 設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する。設定地点に複数の階層が存在する場合はステップS3に進み、存在しない場合は処理を終了する。
ステップS3 階層バーを表示する。
ステップS4 地下1階階層バーを選択するかどうかを判断する。地下1階階層バーを選択する場合はステップS5に、選択しない場合はステップS6に進む。
ステップS5 地下構造物の地図を表示し、ステップS3に戻る。
ステップS6 地上1階階層バーを選択するかどうかを判断する。地上1階階層バーを選択する場合は処理を終了し、選択しない場合はステップS3に戻る。
【0076】
本実施の形態においては、PDAに搭載されたナビゲーション装置14について説明しているが、車両に搭載されたナビゲーション装置に適用することもできる。
【0077】
この場合、地下駐車場が形成されている地域において、地下駐車場の地図画面を見ることができるので、地上を走行していて地下駐車場に移動しようとするときに、現在地が地下駐車場のどの位置に対応するかを容易に認識することができ、どこから地下に移動したらよいか十分に分かる。また、地上の地図画面を見ることができるので、地下駐車場を走行していて地上に移動しようとするときに、現在地が地上のどの位置に対応するかを容易に認識することができ、地下街のどこから地上に移動したらよいか十分に分かる。
【0078】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第1の図である。
【図6】本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第2の図である。
【図7】本発明の実施の形態における地図画面の例を示す第3の図である。
【符号の説明】
【0080】
14 ナビゲーション装置
17 ナビゲーション処理部
31 CPU
43 ネットワーク
53 地図画面
61 パソコン
62 情報センタ
91 第2の情報取得処理手段
92 階層選択処理手段
93 表示処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各階層ごとの地図データを取得する情報取得処理手段と、地図画面上の所定の地点を設定地点として設定する地点設定処理手段と、前記設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する階層判断処理手段と、選択された階層の地図を表示する表示処理手段とを有するとともに、該表示処理手段は、前記階層判断処理手段によって前記設定地点に複数の階層が存在すると判断された場合に、設定地点に複数の階層が存在することを表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記表示処理手段は、前記設定地点に存在する階層の数だけ階層バーを表示することによって、設定地点に複数の階層が存在することを表示する請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
操作者が前記階層バーのうちの所定の階層バーを選択すると、前記表示処理手段は選択された階層バーによって表される階層の地図を表示する請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記表示処理手段は、前記設定地点に存在する階層の数によって、設定地点に複数の階層が存在することを表示する請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記所定の地点は地表上の道路の点である請求項1〜4のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項6】
各階層ごとの地図データを取得し、地図画面上の所定の地点を設定地点として設定し、前記設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断し、前記設定地点に複数の階層が存在すると判断された場合に、選択された階層の地図を表示するとともに、設定地点に複数の階層が存在することを表示することを特徴とする地図表示方法。
【請求項7】
コンピュータを、各階層ごとの地図データを取得する情報取得処理手段、地図画面上の所定の地点を設定地点として設定する地点設定処理手段、前記設定地点に複数の階層が存在するかどうかを判断する階層判断処理手段、及び選択された階層の地図を表示する表示処理手段として機能させるとともに、該表示処理手段は、前記階層判断処理手段によって前記設定地点に複数の階層が存在すると判断された場合に、設定地点に複数の階層が存在することを表示することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−304112(P2007−304112A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184572(P2007−184572)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【分割の表示】特願2002−171713(P2002−171713)の分割
【原出願日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】