基板に集積した埋込み配線およびバイアのストレス解析および監視
埋込み配線フィーチャを有する層にストレス解析計算を適用してストレス情報を取得し、微細構造を設計し、そして生産プロセスを設計、管理するための技法およびシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2003年1月27日出願の米国仮出願第60/443,211号の恩恵を請求し、その開示のすべてを本出願の一部として引用して本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は、多数の層を有する集積化構造を含む基板上に製作されるデバイスフィーチャのストレスに関する。
【0003】
適切な固体材料で形成した基板をプラットフォームとして用いて、基板上に堆積した多層の薄膜微細構造等の各種構造を支持できる。電子集積回路、光集積デバイス、および光電子回路、微細電子機械システム(MEMS)、ならびに平面型ディスプレイシステム(例えば、LCDおよびプラズマディスプレイ)は、各種基板上に集積化したこのような構造の例である。基板は、半導体材料(例えば、シリコンウェーハ)、絶縁体上シリコンウェーハ(SOI)、ガラス材料等で作成できる。多様な材料層、または多様な構造が、これらの構造の同一基板上に形成されてもよく、互いに接触して各種の界面を形成する。デバイスによっては、複雑な多数の層、または連続的に傾斜した形状を用いることもあり、多様な3次元構造を形成できる。
【0004】
従って、多様な材料、多様な構造の界面は、例えば、機械的および熱的特性のいずれか、または両方の材料特性の差により各デバイスフィーチャに複雑なストレス状態を発生させることもある。多様な製作条件、および環境因子(例えば、温度の変化または変動)に影響される相互接続の構造に、複雑なストレス状態が現れることもある。集積回路の製作において、例えば、相互接続の導電性配線のストレス状態は、膜の堆積、温度サイクル、化学機械研磨(CMP)、または他の薄層化プロセスにより、および表面安定化被覆、または封止により、影響を受けることもある。これら、および他の因子により起きるストレスは、後続処理ステップの完全性や有効性、またはデバイスの性能と信頼性とに悪影響を与えることもある。このようなストレスは、ストレスが働いているもとでの部品またはデバイスの欠陥を発生させることさえある。
【0005】
少なくともこれらの理由から、ストレス、ストレス変化、およびストレス蓄積履歴、ならびに基板のストレス配分、基板上に製作されるフィーチャのストレス配分の解析、計測および監視が要望されている。例えば、基板上に形成される各種のフィーチャ上のストレスを解析して、デバイス構造の設計、材料の選定、製作プロセス、およびデバイスの他の局面を改良でき、それにより、歩留り、デバイス性能、およびデバイス信頼性を強化できる。ストレスを計測して、ストレス移動、金属配線およびバイア等のフィーチャ内のストレス起因ボイド、誘電体クラック、層間剥離、ヒロック形成、および電気移動等の現象による欠陥に対する材料の信頼性を見極め、または評価できる。ストレス計測を用いて、ウェーハ製作工場で大規模に製造中の回路チップダイの機械的完全性、および電子機械的機能の品質管理を容易化できる。更に、ストレス計測を用いて、各種製作プロセスの設計、および温度処理(例えば、表面安定化処理、アニーリング、または硬化中の温度偏位)、化学機械処理(例えば、研磨または薄層化)等の技法を改良して、完成した部品またはデバイスの残留ストレスを減少させることができる。
【0006】
概要
各種の基板型デバイスに共通して見られる広く用いられている1つの構造は、基板が支持する異なる材料内に埋込まれた配線フィーチャである。例えば、導電性の配線は、基板上に形成される酸化物層、窒化物層、または他の低k誘電体層等の絶縁材料内に埋込まれることが多い。銅配線は、シリコン基板に成長させた酸化物層に、所望の相互銅配線の形状と同じ寸法をもつ溝をエッチングし、次いで、銅をその溝に堆積して埋込み相互銅配線を形成するダマシンプロセスを用いることにより製作することが多い。次いで、溝から上の余分な銅は、例えば、研磨により除去する。いくつかの実施によっては、酸化物層と同一材料、または異なる誘電体材料の被覆層を配線上に追加して形成してもよい。このような埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の層を同一の基板上に形成してもよい。更に、基板に垂直なバイアを用いて、異なる層の埋込み配線フィーチャに垂直方向の相互配線を提供する。
【0007】
本出願は、解析計算を用いて、埋込み配線フィーチャおよびバイアをもつ集積化構造におけるストレスを解析し、監視するためのシステムおよび技法を含む。集積化構造には、各種の集積回路(例えば、ドープし、歪みを加えた半導体領域をもつ回路)、集積化光電子デバイス、およびMEMSデバイス等を含めることができる。熱弾性複合材料解析に基づいて、材料特性、例えば、配線、バイア、および周囲の誘電体膜等のデバイスフィーチャの寸法、ならびに局部的な表面曲率および局部的温度の変化、の関数としてストレス変化の解析式を提供する。周囲の誘電体膜には、埋込み配線フィーチャの上部に形成した被覆層を含んでもよい。このような解析式により、複雑で膨大な数値計算をしないでも局部的フィーチャのストレス変化の直接的な計算が可能になる。このような解析計算は、デバイスの製作および動作において、ストレスを所望のレベル以下に維持するように各種の集積化構造を設計するのに用いることができる。従って、層構造およびフィーチャアーキテクチャ、構造中の材料、ならびに製作プロセスを、設計プロセスで適切に設計または選択して、デバイスの製作中、および通常の使用または動作中のストレス挙動を確実に所望のものとすることができる。
【0008】
一枚以上のウェーハを製作している間に、ウェーハ上のストレス変化が、例えば、熱サイクル、または製作中のあるプロセスステップから、別のプロセスへの移行により発生することがある。従って、システムを解析計算に基づいて設計して、インシトゥの、かつリアルタイムのウェーハストレス監視を提供できる。なぜなら、本明細書で説明した解析式により、ウェーハ曲率および温度の高速計測処理が可能となるからである。製作中のストレス増加に対するこのインシトゥ監視を用いて、例えば、フィードバック制御メカニズムによるプロセス状態調整を可能とすることにより、かつ、製作プロセス全体が完了する前に欠陥のあるウェーハを選別することにより、製作プロセスの総合歩留まりを改善することができる。
【0009】
本出願は、各種方法の内の一実施例として、基板上の層状構造を設計するための方法を説明する。本実施例では、層状構造は、基板上に少なくとも1層を含み、層に埋込まれる平行配線フィーチャを含むよう提供される。解析式を用いて、配線フィーチャ領域の基板曲率情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報から配線フィーチャのストレスを計算する。次いで、計算したストレスを用いて、ストレス起因欠陥条件が満たされるかどうかを判定する。ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、層状構造のパラメータを調整し、解析式を再度用いて、調整したパラメータに基づいて配線フィーチャのストレスを計算する。パラメータの調整は、ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで継続する。
【0010】
別の実施例として、本出願は、基板上に層状構造を製作するための方法も説明する。最初に、基板上に少なくとも1層を形成するとともに、その層に埋込み平行配線フィーチャを形成するよう基板を処理する。次いで、配線フィーチャ領域の局部的曲率情報を取得する。同様に、配線フィーチャ領域の局部的温度情報も取得する。次に、解析式を用いて、配線フィーチャの局部的曲率情報および局部的温度情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報、により配線フィーチャの局部的ストレスを計算する。
【0011】
本出願の一実施例によるシステムには、層、および層に埋込まれた平行配線フィーチャにより製作された基板を支持する基板支持体、基板と相互作用して基板上の温度および配線フィーチャの曲率に関する情報を取得する検知モジュール、および解析式をプログラムして配線フィーチャの局部的ストレスを計算する処理モジュールを含む。解析式は、配線フィーチャをもつ領域の曲率情報、局部的温度情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報の関数である。
【0012】
解析式に基づく監視および解析技法の用途は、例えば、このような多数の層を設計し、製作する際の、多数の集積層をもつウェーハおよび基板に応用することができる。一実施では、層構造は、互いに積み重ねた複数の層を含むよう提供され、各層は埋込み配線フィーチャをもつ。層構造の表面情報は光学的に取得する。光学的に取得した情報を処理して表面曲率情報を抽出する。次いで、解析式を適用し、配線フィーチャの部位における抽出した曲率情報、および局部的温度に基づいて配線フィーチャの局部的ストレスを計算する。
【0013】
製作工程によっては、ストレスの解析式に基づく処理結果を用いて、処理中のウェーハを監視でき、処理条件を処理結果に基づいて制御し、調整できる。
【0014】
これらの実施および他の実施、実施例、およびその改変、ならびに利点を、図面、詳細説明、および請求項で更に詳細に説明する。
【0015】
詳細な説明
図1Aおよび図1Bは、熱弾性複合材料解析に基づいて説明するストレスの解析計算および解析式のための例示の集積化構造を表す形状を示す。図1Aは、厚い基板上に形成した平行で高さがある埋込み配線フィーチャをもつ一層を示す。図1Bは、基板上の平行な埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の多層構造を示す。一般に、このような多層構造は、n層を有し、n=2のときの2層の例を図1Bに示す。直交座標系(x1、x2、x3)を挿入図に示す。x1およびx2と記す方向は、基板に平行な2つの直交方向を表し、方向x1は層内の配線フィーチャの長手方向に沿い、方向x2は配線フィーチャに垂直である。x3と記す方向は基板面に対する法線方向を表す。
【0016】
多層構造の各層では、埋込み配線フィーチャは互いにほぼ平行で、方向x2に沿ってアレイを形成し、空間周期、つまりピッチdでほぼ等間隔に並ぶ。各層の厚さをhfで表す。各層の埋込み配線フィーチャは、配線フィーチャを埋込んだ材料と同一材料、または異なる材料で形成した被覆層で覆ってもよい。被覆層がある場合は、層厚hfは各配線フィーチャの高さ、つまり厚さtより大きく、被覆層の厚さは(hf−t)である。
【0017】
一実施例として、提示の解析的な熱弾性解析は、多層の合計高さ(nhf)、および各埋込み配線フィーチャの高さ(t)が、下層の基板の厚さ(hs)よりずっと低く、基板の横方向寸法LおよびWは、その厚さhsよりずっと、例えば、10倍以上、大きいという仮定に基づいている。更に、配線フィーチャは「高く」、配線高さ(t)が配線幅(b)より、例えば、t≧1.1b、だけ高い。解析的な熱弾性解析の精度は、これらの仮定に依存し、これらの因子が増大するにつれて概して高くなる。
【0018】
これらの仮定の下で、図1A、および図1Bの各埋込み配線のストレスは、曲率の成分の変化、温度変化、フィーチャ形状(例えば、配線、誘電体層、およびバイアの寸法、各層の高さ、基板厚さ等)、ならびに配線フィーチャの材料特性および周囲材料、例えば、配線フィーチャ、誘電体層、およびバイアのヤング率、ポアソン比、および熱膨張係数、からなる明示的な解析関数として表すことができる。曲率および温度の変化は、製作中の堆積、または熱サイクル等の処理を受けるウェーハの最終状態と開始状態との間の正味の差を意味する。例えば、被覆層がない(この場合、hf=t)単層構造(n=1)の埋込み配線フィーチャのストレステンソル成分σ33l、σ22l、およびσ11lは、次のように表わすことができる。
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、Esおよびνsは、それぞれ基板のヤング率およびポアソン比であり、K11およびK22は、ストレスフリー状態等の、基準となる初期状態での曲率テンソル成分値に対する、その構造の全体の局部的曲率の曲率テンソル成分の変化(すなわち、温度変化により起きる曲率成分の変化)であり、パラメータf1は(bt)/(dt)=b/d、すなわち、高さ(t)のホスト層内の配線体積分率で定義され、パラメータfoは、(1−fl)で定義されて高さ(t)の配線間の材料体積分率を表し、そしてΔTは、ストレスフリー状態の温度等の基準温度からの温度変化である。添字「o」、「l」、および「s」は、封止材料(例えば、低k誘電体材料)、埋込み配線フィーチャ、および支持基板をそれぞれ表す。これらの計算記号の幾つかは、Wikstrom、Gudmundson、およびSureshの「基板に堆積した周期的な薄い配線の熱弾性解析(Thermoelastic Analysis of Periodic Thin Lines Deposited on A Substrate)」(Journal of the Mechanics and Physics of Solids、vol.47、pp.1113〜1130、May 1999)、ならびにSureshおよびRosakisの米国特許第6,600,565号に記載されている。
【0019】
上記の明示的な式(1)〜式(3)の解析式を僅かに修正して、厚さ(hf−t)の被覆層で上部を更に覆った単層構造に対するストレステンソル成分の変化を表してもよい。この被覆層は配線フィーチャを埋込む誘電体材料と同一の材料で形成してもよい。代替として、被覆層を異なる材料で形成してもよい。式(1)〜式(3)のこの修正では、パラメータhf、K11、およびK22をt、[K11−K11(cap)]、および[K22−K22(cap)]でそれぞれ置換する。ここで、K11(cap)およびK22(cap)は、それぞれ層内のx1およびx2方向に沿う被覆層により作成される全体の曲率に対する曲率成分の寄与分である。被覆層を含むよう修正した表現では、K11およびK22は、層構造全体の全体曲率成分の変化である。従って、差[K11−K11(cap)]および[K22−K22(cap)]は、周期的な配線フィーチャをホストする厚さtの層の曲率寄与分に対応する。式中の他のパラメータは変更しないままである。例えば、パラメータf1は、厚さtのホスト層内の配線の体積分率のままであり、パラメータf0は、依然として配線フィーチャ間の材料の体積分率を表す。
【0020】
等方性被覆層をもつ単層構造が温度変化を受ける場合、被覆層のテンソル成分は、特に次のように表される。
【数4】
ここで、E(cap)、ν(cap)、およびα(cap)は、それぞれ被覆層のヤング率、ポアソン比、および熱膨張係数である。被覆層の曲率寄与分は厚さ(hf−t)に比例するので、修正した式は、t=hfで、かつ、K11(cap)、およびK22(cap)が両方ともゼロの場合、最初の式(1)〜式(3)に帰着する。埋込み配線フィーチャ、および異方性被覆層をもつ単層構造の解析式は、式(1)〜式(3)に対する上記修正に基づいて導き出すこともできる。
【0021】
被覆層あり、なしの埋込み配線フィーチャをもつ単層に対するストレステンソル成分の上記解析式は、基板上の互いに積み重ねられた多数の層をもつ多層構造に拡張できる。上記の式を、hfをntで、K11を[K11−K11(cap)]で、K22を[K22−K22(cap)]でそれぞれ置換して修正するだけでよい。パラメータnは層数である。例えば、n層構造の各層の配線フィーチャのストレステンソル成分の変化は、以下のように書くことができる。
【数5】
ここで、被覆層の曲率成分は、各層に等方性被覆層をもつn層構造に対して次のように表すことができる。
【数6】
【0022】
被覆層がない(hf=t、かつK11(cap)およびK22(cap)がゼロの)場合、ストレステンソル成分は、以下の式にまとめることができる。
【数7】
【0023】
各種の層構造に対する上記の明示的な解析式により、任意の部位での、配線フィーチャに平行かつ垂直な局部的曲率変化、およびその部位の局部的温度変化に基づいて、単層または多層構造に埋込まれた配線フィーチャのストレス変化の直接的な計算が可能となる。従って、曲率および温度の変化が、例えば計測により既知であれば、所与の配線フィーチャの関係付けられるストレス変化、またはその層の全ての配線フィーチャのストレス分布が、膨大な数値計算をしないでも解析的に計算できる。従って、ストレス監視システムは、曲率およびその変化を監視するための表面曲率計測モジュール、温度およびその変化を検知するための温度検知モジュール、および上記計算を実行するようプログラムされた処理モジュールを有することにより、構築できる。
【0024】
ストレス成分σ33l、およびσ11lの上記変化には、2つの異なる寄与分が含まれる。一方の寄与分は、局部的曲率の2つの成分の変化に関連し、他方は、基準状態(例えば、アニール処理または表面安定化処理から冷却する等の初期のストレスフリーのストレス状態)からの温度変動ΔTに比例する。曲率依存の寄与分は、例えば、埋込み配線フィーチャと基板との間の熱的不整合、および封止材料または表面安定化材料と基板との間の熱的不整合等の、熱的不整合の影響を表す。この寄与分は、ストレスへの外部寄与分であり、曲率情報により計算できる。第2の部分は薄膜構造の2相間の(すなわち、金属配線と、金属配線の周囲の封止または表面安定化、低k誘電体材料との間の)熱的不整合の影響を表す。この第2寄与分は、自己平衡し、曲率変化を生成しない。従って、この第2寄与分は、ストレスに対する固有の熱寄与分を表す。層内の配線フィーチャに垂直なストレス成分であるストレステンソル成分σ22lは、外部寄与分だけを有し、従って、局部的曲率だけに依存し、局部的温度に依存しない。
【0025】
従って、熱弾性複合材料解析の本実施例では、ある部位での曲率および温度の変化両方を解析式に用いて、図1Aおよび図1Bに示す構造の配線フィーチャのストレスを判定する。しかしながら、ある種の状況のもとでは、上記解析式は更に簡略化できる。
【0026】
例えば、n層構造に埋込まれた周期的配線フィーチャが基板全体に一様に分布し、かつ温度も構造全体にわたって一様な場合、ストレステンソル成分は温度変化ΔTだけの関数として表すことができる。温度変化だけに依存するこのような解析式は、配線構造の空間的に一定な曲率変化を、式(1)〜式(3)、または、被覆層か多層をもつ構造に対する修正した等価式のΔTの関数として表すことにより達成できる。ただし、温度変化と表面曲率変化との間の関係が、降伏点に達する前の線形関数を保っている限りにおいてである。従って、この特別な状況では、ストレス評価には温度変化で十分であり、従って、局部的表面曲率を計測する必要性が回避される。例えば、多層構造の任意のレベル等で、配線フィーチャ上のストレステンソル成分σ331は、以下のように温度変化の関数だけで表すことができる。
【数8】
同様に、ストレス成分σ22lおよびσ11lは、曲率に依存しないでΔTの関数として表すことができる。従って、多層構造を含むこのような構造のストレスは、温度検知モジュールを用いることにより監視および計測できる。
【0027】
逆に、上記特別な状況では、各局部的ストレステンソル成分を、温度変化に明示的に依存せずに、x1およびx2方向に沿った2つの局部的曲率の内の1つの関数として表すこともできる。
【数9】
ここで、Lは次式で定義される曲率成分の比であり、
【数10】
Mは次式で定義され、
【数11】
Mは以下のように明示的に表される。
【数12】
パラメータLの更に明示的な表現は以下のように書くことができる。
【数13】
上記の解析式は、各曲率成分と温度の関係を用いて、ΔTを除去し、曲率成分だけでストレスを表すことにより導かれる。従って、単一の曲率計測モジュールを用いるだけで、ストレスを監視、かつ計測できる。多層のそれぞれに被覆層がない場合には、上記のストレスの式は、次のように簡略化した形にまとめることができる。
【数14】
【0028】
面内型の層、各層の水平配線フィーチャに加えて、ある種の多層構造およびデバイスには、1層以上の層を通る一個以上の縦方向の孔つまり導管(バイア)があり、異なる層の配線フィーチャを相互接続することができる。このようなバイアの一実施例は、バイアを充填する金属(例えば、Cu、W等)または適切な導電性材料で形成するのが典型的な、縦方向の導電性リードである。バイアでの垂直相互接続の両端は、別々の層の2つの導電性配線フィーチャに相互層接続として接続するのが普通である。この追加した1つ以上のバイア接続は、接続した配線フィーチャおよびバイア接続上のストレスに影響を与えることがある。バイア接続の存在により、このようなデバイスのストレスパターンが複雑になる。従って、望ましいのは、ストレス解析にバイアの影響を含み、バイアの寸法の影響、および構造のストレス状態の空間的な分布を調べることである。
【0029】
図2は、隣接する2層における、共に線幅bの2本の整列した平行な配線フィーチャ間を相互接続するバイア直径2R、ピッチV、高さhvの周期的な円筒バイアを含む図1Aおよび図1Bの構造形状に基づく例示の一構造を示す。本実施例を簡略化するために、1層の配線フィーチャの上部と、隣接上部層の底部との間の被覆層は、配線フィーチャ間に充填されている材料と同一の材料で作成されていると仮定する。本実施例に基づいて、x3方向(基板に垂直な方向)に沿ったストレスは、局部的表面曲率、および局部的温度の変化の関数として、次の解析的形式で表すことができる。
【数15】
ここで、πR2/(bv)の比率は、fvと記して、バイアの体積分率を表す。
【数16】
【0030】
式(6)で、各バイアの縦方向ストレスσ33Vは2つの成分を有する。第1の成分は、式(1)〜式(5)、および被覆層および多層を含むようそれぞれ修正した式から導き出すことができる同一部位での接続した配線フィーチャの縦方向ストレスσ33lに比例する。第2の成分は、温度変化ΔTに依存する。これら2つの成分により、各バイアのストレスσ33Vは、配線フィーチャストレスσ33Lに対して「増幅」される。
【0031】
更に、被覆層が配線フィーチャ間の材料と異なる等方性材料で作成されている場合、上記の式(6)は、EoおよびαoをそれぞれE(cap)およびα(cap)で置換して修正できる。被覆層が異方性材料で形成される場合、これらの材料特性値は、縦方向に沿った対応値でなければならない。
【0032】
図3は、銅(Cu)およびタングステン(W)の配線フィーチャおよびバイアをもつ2つの同一バイア構造の封止材料、つまり表面安定化材料(例えば、TEOS、およびSILKの商標名で市販されている材料)を、比fvの関数として計算した増幅因子を示す。この例では、E(cap)およびEoは同一である。図3の値に対する温度変化は380℃である。
【0033】
上記説明では、層内の埋込み配線フィーチャは、平行であるとして示され、それぞれx1方向に沿って図1Bの隣接層の平行配線フィーチャと整列している。しかし、本明細書で説明するストレスに対する解析関数の適用は、この構成に限定されない。例えば、ストレスに対するこれらの解析関数は、1層の配線フィーチャは平行であるが、隣接層の配線フィーチャに対してx2方向に沿って共通の距離だけずれている構成に用いることができる。別の実施例として、ストレスに対するこれらの解析関数は、1層の配線フィーチャが隣接層の平行配線フィーチャにほぼ垂直な構成に用いることができる。
【0034】
集積化構造またはデバイスは、図1A、図1B、および図2に示す構成と類似の層構成をもつよう設計できる。例えば、デバイスによっては、配線フィーチャは、誘電体層(例えば、酸化物層もしくは窒化物層、または別の適切な絶縁体もしくは誘電体層)に埋込む金属配線等の導電性配線でもよい。従って、ここで説明するストレスに対する解析関数を用いて、製作中の、および完成した部品またはデバイスのストレスを監視および解析することができる。他のデバイスでは、図1A、図1B、および図2に示す類似の多層構成が製作プロセスの特定の段階中に一時的に存在し、製作完了したときに他の構成に引き続き変更することができる。この状況では、ここで説明するストレスに対する解析関数を用いて、例えば、製作プロセスを制御するためのツールとして、または全体の製作プロセスが完了する前に欠陥のあるウェーハもしくはデバイスを選別するためのツールとして、製作プロセス中のストレスを監視および解析することができる。
【0035】
埋込み配線フィーチャおよびバイアをもつ構造に対するストレスの上記の解析式および計算が、有限要素法(FEM)の膨大な数値計算の結果と比較して高精度であることを実証した。例えば、配線フィーチャのアスペクト比t>3bに対して、明示的な解析式の精度は、約5%以内である。従って、多くの実践設計では、解析計算は、十分正確であり、インシトゥシステムおよび用途に対する高速度ストレス監視機構を提供する場合に特に有利である。
【0036】
応用の一実施例として、水平配線フィーチャおよび垂直バイアに対するストレスの上記解析的評価は、設計段階または製作段階で用いて、それを超えると配線フィーチャまたはバイアの欠陥が発生するか、または統計的に確実になる臨界温度閾値または臨界曲率閾値に達したかどうかを判定することができる。このような欠陥閾値基準は、構造(例えば、脆弱な誘電体フィーチャ)の破断等の材料欠陥、転移形成および融合、封止層または表面安定化層からの配線フィーチャの層間剥離、または金属ボイドを招く個別のストレス成分(またはそれらの組合せ)に対する既知の臨界レベルに基づいてもよい。光電子部品およびデバイスでは、欠陥基準は、好ましくない屈折率変化、および光学的複屈折をそれぞれ招く静水圧ストレスの臨界レベル、および配線の主ストレスの差に関連付けることができる。金属配線のボイドに対しては、欠陥基準は、熱偏位の結果として、配線に作用する静水圧ストレスの作用のもとで自然発生するボイド核生成(キャビテーション)に関連付けることができる。ボイドを核生成するのに十分な静水圧ストレスの臨界レベルは、配線材料の一軸降伏(流動)ストレスよりα倍(例えば、2〜5倍)大きいのが普通である。所与の構造に対する所与の欠陥閾値基準については、上記の解析式を用いて、臨界ストレスに対するフィーチャおよび温度のパラメータの組合せを判定できるので、所与の臨界欠陥条件を適切な構造設計および製作プロセスにより回避できる。
【0037】
図4は、配線フィーチャのストレスが関係付けられる欠陥基準を満たす場合の、図1A、図1B、および図2の配線フィーチャの1つのキャビテーションを示す。一般に、3つのストレス成分σ33L、σ22L、およびσ11Lの平均値は、静水圧ストレスσhLとして定義され、それを用いてキャビテーションが発生するかどうかを判定する。
【0038】
臨界ストレスを計算する際、ストレスは温度変化の項で表すことができるので、温度の臨界変化(ΔTc)を計算して、欠陥基準が所与の材料情報、および構造の形状により満たされるかどうかを判定できる。臨界欠陥条件に対する配線フィーチャのストレス成分は、次のように書くことができる。
【数17】
ここで、パラメータiおよびjは、整数1、2、および3の任意の値をとる。代替として、ストレスは、曲率の内の1つの変化の項で表すことができるので、曲率変化に対する臨界値を計算して、欠陥基準が構造に関する所与の情報により満たされるかどうかを判定することができる。臨界欠陥条件に対する配線フィーチャのストレス成分は、次のように書くことができる。
【数18】
被覆層の材料のパラメータ、および配線フィーチャの厚さは、被覆層が配線フィーチャ間を充填する材料と異なる材料で作成される場合、上記の表現に含めるべきである。従って、欠陥基準、例えば、(σ33L+σ22L+σ11L)/3=ασyを上記解析式に用いて、例えば、金属の流動ストレス、および構造の熱的および機械的特性により、臨界温度変化(ΔTc)および曲率(ΔK11c)に対する解析式を以下のように取得できる。
【数19】
【0039】
図5〜図7は、被覆層のない周期的な封止または埋込み配線の単層構造に対する配線形状パラメータの関数として臨界閾値を確立するための実施例を示す。図5〜図7のパラメータαは、材料の一軸降伏ストレスを超える臨界欠陥ストレスの比である。図5に、Si基板上のTEOS誘電体のCu配線に対する温度変化の臨界値を、ミクロンでの配線ピッチdの関数としてプロットしてある。従って、このような構造に対する動作温度または処理温度は、臨界値から離して設定して、潜在的な欠陥を回避しなければならない。図6は、Si基板上のTEOS誘電体層のCu配線に対する温度変化の臨界値を、配線幅bの関数として示す。図7は、Si基板上のTEOS誘電体層のCu配線に対する曲率変化の臨界値を、配線ピッチdの関数として示す。
【0040】
多数の配線レベルを接続する縦方向バイアに対して、類似の方法論を用いて、バイアの抜け、押し込み等のバイア欠陥が発生するであろう温度または曲率の変化に対する臨界閾値を計算できる。温度および曲率の変化に対する臨界値は、以下のように象徴的に表わされる。
【数20】
、および
【数21】
これらの式は、バイアおよび配線形状、使用材料の材料特性、およびバイア降伏点つまり流動強度の関数である。
【0041】
バイアの臨界閾値を評価するための実施例を図8、図9、図10、および図11に示す。説明文に記した構成について、温度および曲率の閾値が配線およびバイアの形状に依存することが判る。
【0042】
上記の解析式および計算は、設計ツールとして各種の装置に実装され、監視ツールとして各種のストレス計測または監視システムに実装される。このような実装の実施例を以下に説明する。
【0043】
埋込み配線フィーチャまたはバイアをもつ集積化構造の設計において、上記解析ツールを用いて、特定の設計構造、材料選定または製作条件が、意図または提案した構造で、好ましくないストレス状態を何か起こすかどうかを評価できる。特に、設計構造、材料選定、および製作条件の内のいずれかで解析計算に基づいて調整できるので、構造のストレスが所望の範囲内に留まって、何らかの潜在的なストレス起因障害または欠陥を回避できる。この設計プロセスは反復プロセスであってもよく、1つ以上の設計パラメータを、解析計算を通してから最適化プロセスを介して何回も修正して、所望の設計を得る。上記の解析ツールは、設計最適化ソフトウエアツールに組み込んで、設計を容易化できる。
【0044】
他の用途では、上記解析ツールを各種のストレス計測または監視システムに実装できる。
【0045】
図12は、例示の一ストレス監視システム1200を示す。基板支持体1201は、埋込み配線構造をもつ試料の基板またはウェーハを支持するよう備えられる。検知モジュール1202を接続して、計測している表面の温度変動、曲率情報、またはその両方等の、試料基板の特性を計測して計測信号1203を生成する。処理モジュール1210をプログラムして、本明細書で説明した1つ以上の解析式に従って信号1203の情報を処理し、試料基板の層構造のストレス情報1212を生成する。検知モジュール1202は、試料基板の温度変動、試料基板の表面曲率、またはその両方を計測して、計測信号を生成するよう備えられてもよい。処理モジュール1210には、コンピュータが含まれて、解析式に基づいてストレスを計算するための命令を格納してもよい。
【0046】
図13は、光検出メカニズムを実装する光検出モジュール1310、および処理機構を実装する処理モジュール1210を用いるストレス計測システム1300を示す。別の温度検知モジュールを実装して、試料ウェーハ上の選択部位の温度計測値を取得して湿度変化を監視してもよい。光検出モジュール1310は、試料基板面に照射光プローブビーム1311を生じ、次いで、透過または反射ビーム1312を検出する。照射光ビーム1311は、計測している1つ以上の領域を含む領域を、全フィールド光計測構成、またはポイントツーポイント走査構成で照射するよう方向を与える。次いで、試料基板からの透過または反射ビーム1312を光学的に処理して、照射領域全体の曲率情報をもつ光パターンを生成する。この光パターンは、曲率信号1203に変換される。信号1203は、電子プロセッサ、または他の種類のプロセッサを含む処理モジュール1210に送られる。曲率信号1203は光パターンを表す電子信号であってもよい。次いで、信号を処理して、基板の照射領域全体の曲率データを生成する。処理モジュール1210は、それぞれの曲率データに基づいて、基板の照射領域の任意の1ヶ所以上の所望部位に形成された配線フィーチャの所望のストレスデータ1212を生成する。
【0047】
表面曲率情報を得るために光検出モジュール1310を実装するための光システムは、全フィールド光シャーリング干渉法構成を用いて、表面勾配情報を光学的に取得してもよい。一般に、シャーリング干渉計は、歪み波面を光学的に処理して、波面干渉を引き起こす。この干渉は、光学式シャーリングまたは波面移動により起き、それを用いて波面の局部的傾斜、および表面トポロジー変動を計測する。このようなシャーリング干渉計は、波面をシャーリング、つまりシフトするよう設計されるシステムのデバイスまたは部品を通して歪み波面を導いて、波面の傾斜計測を可能にする。光学式シャーリング干渉法システムの一実施例として、コヒーレント勾配検知(CGS)システムは、2枚の光学式回折格子を用いて回折によりシフトした波面を生成し、画像装置を用いて所望の回折次数を取得する。次いで、画像装置が取得した干渉パターンを処理して、波面の傾斜情報を取得する。CGSに加えて、シャーリング干渉計、およびシャーリング装置または部品の他の実施例には、半径方向シャーリング干渉計、バイラテラルシャーリング干渉計のくさび板(米国特許第5,710,631号)等が含まれる。本システムは、可視および不可視で、コヒーレントおよび非コヒーレントの、IRおよびUV放射を含む任意の放射源を用いてもよい。
【0048】
光学式シャーリング干渉法の使用は、例えば、集積回路、光集積デバイス、光電子集積デバイス、およびMEMSデバイスを支持するために用いられるパターン化したウェーハ、およびパターン化したマスク基板(削除せず)等の、各種の微細構造でパターン化された表面を含む表面を光学的計測する際に、ある種の利点を提示する。更に、光学式シャーリング干渉計は、ウェーハレベルでのデバイス製作中の曲率および関連するストレス等の表面特性のインシトゥ監視で用いることができ、その計測値を用いてリアルタイムで製作条件またはパラメータを制御できる。一実施例として、光学式シャーリング干渉計の計測および動作は、光学式シャーリング干渉法の自己参照性により、概して、剛性のある本体の移動および回転にはさほど影響されない。従って、計測しているウェーハまたはデバイスは、プローブビームを表面のほぼ法線方向または計測に影響を与えない低い入射角に向けることによって計測できる。波面をシフトまたはシャーリングすることにより、光学式シャーリング干渉計は、波面の1点がシャーリング距離だけ離れた別の点に変形する量、すなわち、同一波面の2つの干渉レプリカの間の距離を計測する。この意味で、光学式シャーリング干渉計は自己参照であり、従って、計測しているウェーハまたはデバイスの振動に対する不感応性または免疫が増大する。この振動耐力は、振動絶縁が事実上無理な特定プロセス(例えば、チャンバ内堆積)中の製造環境、またはインシトゥで計測を実行する場合、特に利点となる。
【0049】
デバイスパターンをもつ表面は、従来型干渉計(非シャーリング型)にとっては幾つかの困難をもたらす。従来型干渉計は、試料から反射した波面と、既知の参照面から反射した波面との間の干渉に基づくトポロジーまたはトポグラフィの波面干渉を生成する。デバイスパターンをもつ表面を計測するために用いる従来型干渉計は、パターン化表面から反射してくる比較的不均一な、または拡散する波面が、参照ミラーで反射する波面とコヒーレントに干渉しないので、効果がないことが多く、干渉計の画像をアンラップ(位相接続)し、解釈するのを妨げる。
【0050】
パターン化ウェーハを計測するためにシャーリング干渉法を適用する際、パターン化ウェーハ、例えば、直径200mm、300mm等の半導体および光電子ウェーハを、コリメート化プローブビームがウェーハ面から反射するような構成でシャーリング干渉計に配置する。パターン化ウェーハにシャーリング干渉計を用いると、2つの干渉する波面は、僅かな距離だけシャーリングされた後の形状がほぼ類似しているので、コヒーレントな干渉を生じる。パターン化表面からの反射波面には、それぞれ本質的にノイズがあり、散乱していることもあるが、この方法で再結合する場合は、形成する意義、解釈する意義のある干渉縞パターンに対する波面間のコヒーレンス性が十分存在している。
【0051】
シャーリング干渉計を用いて、パターン化ウェーハを計測するための方法は、更に位相シフトを用いて改良できる。位相シフトを実装して、試料面上の干渉縞位置を循環させ、または操作する干渉波面間の位相分離を漸次調整できる。一実施例では、シャーリング干渉計を構成してパターン化ウェーハ面の多数の位相化画像、例えば位相が0°、90°、180°、270°、および360°について取得できる。位相シフト方法は、「相対位相」変調を検出器アレイ上の各ピクセルで計算することにより、波面傾斜を計測できるようにする。本方法により、パターン化ウェーハ上に見られるような反射率変化を示す表面上の波面および試料の傾斜の一貫した解釈も可能になる。パターン化ウェーハ面上では、試料上の各ピクセル部位は、強度が変化する光を反射するので、たった一枚のシャーリング干渉図形では解釈が困難になる。位相シフトを同時に利用すると、傾斜分解能の精度が向上し、干渉縞分離または干渉縞強度の変化よりも、各ピクセルの相対位相を計測することにより、変化する反射率をもつパターン化表面の干渉図形の正確な解釈が可能になる。
【0052】
パターン化ウェーハ面の多数の位相シフトした干渉図形を収集したので、表面傾斜を正確に解釈するための後続のアンラップアルゴリズムを用いることができる。適切なアンラップアルゴリズムには、最小不連続法(MDF)、および前処理付き共役勾配法(PCG)が含まれるが、これだけには限定しない。
【0053】
干渉図形を一旦アンラップすると、傾斜の生データ、および曲率の導関数の解釈は、表面多項式を傾斜の生データに統計的に適合させることにより更に強化される。ゼルニッケ多項式を含む統計的な表面適合を、トポロジーおよび曲率データを導くために、パターン化ウェーハから導かれる傾斜の生データに適用できる。
【0054】
シャーリング干渉法は、単一導関数、すなわち、光学的に波面を一回微分することを用いて、波面の傾斜から曲率を計算する。第2に、本方法は全フィールド干渉データを用いるので、容量型プローブ法よりずっと多いデータ点を用いるのが普通である。更に、各種のレーザービーム走査ツールを用いてウェーハの湾曲、つまり表面曲率を計測することもできる。これらの方法は、半径方向の曲率を計測するのが普通である。シャーリング干渉法は2つの直交方向の傾斜を容易に計測でき、全曲率テンソル、ウェーハストレス状態、またはウェーハ上に製作した構造の解明が可能になる。
【0055】
図14は、図13の光学的検出モジュール1310のような光学的シャーリングシステムの一実施として例示のコヒーレント勾配検知(CGS)システム1400を示す。Rosakis他の米国特許第6,031,611号を参照されたい。CGSシステム1400は、光プローブとして光源110からのコリメートしたコヒーレント光ビーム112を用いて、基本的に任意の材料で形成した鏡面反射面130が示す曲率情報を取得する。ビームスプリッタ等の光素子120を用いて、ビーム112を表面130に向けることができる。反射面130が湾曲している場合、反射プローブビーム132の波面は歪み、それにより、反射プローブビーム132は、計測している表面130の曲率と関係付けられる光路差、または位相変化を獲得する。このシステムは、表面130の照射した領域内の点毎の「スナップショット」を生成し、従って、照射した領域内の任意の方向に沿う任意の点の曲率情報が取得できる。これにより、走査システムを用いて、一回につき一点づつ連続的に計測する必要がなくなる。
【0056】
互いに離間している2つの回折格子140および150を反射プローブビーム132の光路に配置して、曲率計測のために歪み波面を操作する。第1の回折格子140が生成する2つの異なる回折成分を回折する第2の回折格子150が生成する2つの回折成分を、レンズ等の光素子160を用いて相互干渉するよう結合する。2つの回折格子140および150による回折は、2つの選択した回折成分間の相対的離間距離、すなわち、横方向シフト、を実現する。この横方向シフトは、他の回折格子パラメータが固定されている場合、2つの回折格子140と150との間の距離の関数である。空間フィルタ170を光素子160に対して配置して、選択した回折成分の干渉パターンをピンホール172を通して透過させ、第2回折格子150からの他の次数の回折を遮断する。
【0057】
次いで、透過した干渉パターンを、CCDアレイ等の検知ピクセルアレイを含む画像センサ180で受けて、干渉パターンを表す電気信号を生成する。図13の処理モジュール1210の一部であってもよい信号プロセッサ190は、電気信号を処理して、反射面130の曲率によって起きる波面歪みの空間勾配を抽出する。次いで、この空間勾配を更に処理して、曲率情報を得ることができ、それによって表面130の照射領域の曲率マップを得ることができる。単一の空間微分を干渉パターンに実行して表面曲率を計測する。本技法は、表面の曲率変動が勾配になっている場合、つまり、面外変位が薄膜、配線、または基板の厚さより小さい場合、表面曲率の正確な計測を提供できる。本技法は、幾つかの他の干渉技法と比較すると剛体の動きには感応しない。本データ処理操作の詳細は、上記参照のRosakis他の米国特許第6,031,611号に記載されている。表面曲率の処理が完了すると、プロセッサ190は更に、ここで説明する多層モデルの解析式に基づいて表面曲率からストレスを計算するよう動作する。
【0058】
2つの回折格子140および150は、一般的に、回折格子周期が異なり、相対的に任意の角度を向く任意の回折格子でよい。2つの回折格子は、相対的に同一方向を向き、同一の回折格子周期としてデータ処理を容易にする方が好ましい。この場合、回折格子の向きは、回折格子140および150による2重回折のため、2つの選択した回折成分の間の相対的空間変位(シャーリング)の向きで設定するのが基本である。
【0059】
図14に示すCGSシステムでは、位相シフトは、x3方向に沿う回折格子間距離を固定したまま、x3方向と垂直なx1とx2とで定義する面内で、2つの回折格子140と150との相対位置を調整して達成できる。正確な平行移動台または位置決め変換器等の、位置決めメカニズムを用いて、位相シフトするために回折格子間の相対位置の調整を実施してもよい。
【0060】
ある種の用途では、全フィールドの2次元曲率計測値を得るために2つの別々の方向の空間シャーリングを必要とすることもある。これは、CGSシステム1400を用いて、試料面130が第1方向にあるとき第1計測を実行し、次いで、試料面130が回転して第2方向(例えば、第1方向と垂直な方向)にあるとき第2計測を実行することにより行われる。
【0061】
代替として、図15に示す2アームCGSシステムを実装して、異なる2方向の2セットの別々の2重回折格子を持つよう2つの異なる空間シャーリング方向の干渉パターンを同時に生成してもよい。従って、両方の空間シャーリング方向の曲率分布の時間変化影響が取得できる。更に、図14の2つの回折格子140および150はそれぞれ、2つの直交クロス回折格子をもつ回折格子板で置き換えて、図15のシステムの2次元シャーリングを得てもよい。空間フィルタ170をx1方向に沿ってシフトした光学的開口をもつ代替のフィルタで置き換えて、直交方向に沿ってシャーリングするために干渉パターンを選択的に透過させてもよい。
【0062】
上記CGSおよび他の光学的シャーリング干渉法システムを用いて、直接的または間接的に基板上に形成される各種フィーチャおよび部品の曲率を計測してもよい。直接計測では、CGSのプローブビームは、処理されるウェーハまたは基板のパターン化表面の上部に直接送り、曲率情報を取得することができる。この操作モードの表面フィーチャおよび部品ならびにそれらの周囲領域は、滑らかで、光学的に反射性である。更に、場合により望ましいのは、曲率以外の、フィーチャおよび部品ならびにそれらの周囲領域の特性が、波面歪みにさほど寄与しないということである。従って、波面歪みは、光プローブビームが照射する領域の曲率インジケータとして用いることができる。例えば、幾つかの完成した集積回路は、基板の回路素子上に非導電性誘電体材料で通常作成される上部の表面安定化層をもち、下にある回路を保護している。表面安定化層は、一般に滑らかでCGS計測に対する十分な反射性がある。
【0063】
しかしながら、上記条件は他の基板型デバイスによっては満たされないこともある。例えば、基板またはそれらの周囲領域の前面に形成されるフィーチャおよび部品が、光学的に反射性でないこともある。前面のフィーチャおよび部品は、周囲の領域と異なっているフィーチャまたは部品の高さ等の、曲率以外の因子により反射した波面を歪ませるかもしれない。これら等の状況では、フィーチャまたは部品の曲率は、基板背面の反対側の面の対応する部位の曲率計測から推定することにより間接的に計測してもよい。これが可能な理由は、基板に形成した不連続のフィーチャまたは部品のストレスは、基板が変形する原因となり得るし、基板に形成した薄膜は一般に、基板面に従うからである。
【0064】
ある種のフィーチャの高さがその周囲と異なる場合、フィーチャ毎の反射プローブビームの波面の位相歪みには、少なくとも高さの差が寄与する部分、および曲率が寄与する部分が含まれる。CGS計測に基板背面を用いることに加えて、CGS計測は前面を照射することにより実行してもよい。このように、高さ情報が既知の場合、曲率情報は、曲率計算における高さの差の影響を除去することにより抽出できる。
【0065】
多層構造に対するストレス計算は、簡単な解析公式を用いるので、計測した曲率k1およびk2の変化に基づくストレス計算は、プロセッサにより短時間で実行できる。例えば、マイクロプロセッサを用いてコンピュータールーティンを実装して計算を実行することができる。従って基本的に、複雑で時間を浪費する数値計算を回避できる。データ処理モジュールのこの特徴は、光学式シャーリング干渉計検出モジュール(例えば、CGS)の全フィールド平行処理と組み合わせた場合、比較的高速のストレス計測が可能になる。従って、このようなシステムを用いて、多層構造の配線フィーチャおよびバイアの一時的な曲率変化、および関係付けられるストレスを各種の製作プロセスに対してリアルタイムで計測する。
【0066】
図16は、光学的方法を用いて、ウェーハ上に堆積した多層構造のストレスを計算する上記方法を適用するための例示のプロセスを示す。
【0067】
インシトゥ、リアルタイムの監視システムでは、多層構造をもつ製作中のウェーハの、システムが決定するストレスをフィードバック信号として用いて、後続の製作プロセスに影響を及ぼしてもよい。例えば、計測ストレスが許容値を越える場合、ウェーハ上のデバイスは欠陥があると見なしてもよく、従って、製作を終了させることができる。代替として、許容できるストレス値を熱サイクル状態のインジケータとして設計してもよく、熱サイクル状態を計測ストレスに従ってリアルタイムで調整して、ウェーハ上のデバイスの品質を確かなものにしてもよい。
【0068】
多層構造のストレスを判定するための上記解析ツールを、デバイスおよび製作プロセスの設計に際して設計ツールとして用いてもよい。例えば、金属配線フィーチャ、中間層誘電体層(例えば、被覆層)、およびバイアのための各種の候補材料を解析公式で評価して、このような材料を用いたときの製作中のストレス、および最終デバイスを許容範囲内とすることができる。解析公式を用いて、蓄積したストレスを最小化し、構造の信頼性を最適化できる多層構造のために望ましい形状を識別することもできる(ストレス起因欠陥に対する最適化設計)。更に別の実施例として、アニール処理等の熱サイクル処理を含む製作プロセス毎の温度変動を評価して、それにより、製作中の許容範囲内にストレスを制限するように実際の動作温度を設定してもよい。
【0069】
上記の解析式を、動作中に繰り返し熱偏位を受ける部品の疲労寿命を評価するための手段として用いてもよい。これは、上記解析式に適切な疲労寿命基準、ストレス移動、またはストレス起因電気移動欠陥基準を実装することにより達成できる。デバイスまたは部品の欠陥を招く臨界温度または曲率閾値を解析式により計算して、残存サービス寿命の評価を確立できる。
【0070】
僅かの実施例しか説明していないが、言うまでもなく改変および改良がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1Aは、厚い基板上に形成した平行で高さがある埋込み配線フィーチャをもつ一層の薄い層を示す。配線フィーチャは被覆層で覆ってもよい。
【図1B】図1Bは、厚い基板上の平行で薄い埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の多層構造を示す。
【図2】図2は、2つの隣接する層の、整列し、平行な2本の配線フィーチャ間を相互接続する周期的な円筒形バイアを含む図1Aおよび1Bの構造形状に基づく一実施例の構造を示す。
【図3】図3は、2つの例示の封止材料、つまり表面安定化材料に対するバイア体積分率の関数として計算した増幅因子を示し、αは、配線材料の一軸降伏(流動)ストレスを超えるボイドの核となるのに十分な静水圧ストレスの臨界レベルとの間の比率である。
【図4】図4は、配線フィーチャのストレスが、関係する欠陥基準を満たす場合の、図1A、図1B、および図2の配線フィーチャの内の1つのキャビテーション、つまりボイドのストレス起因成長を示す。
【図5】図5は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図6】図6は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図7】図7は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図8】図8は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図9】図9は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図10】図10は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図11】図11は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図12】図12は、計測データを処理するためのシステムの一部としてここで説明する解析式を用いる一例示のストレス監視システムを示す。
【図13】図13は、光検出モジュールと、その処理モジュールの一部として説明する解析式とを用いる例示のストレス計測システムを示す。
【図14】図14は、図13の光検出モジュールのための光シャーリングシステムの一実施として、例示のコヒーレント勾配検知(CGS)システムを示す。
【図15】図15は、異なる2方向に、2セットの2重グレーティングを別々に備えて、2つの異なる直交空間シャーリング方向の干渉パターンを同時に生成する2本アームのCGSシステムを示す。
【図16】図16は、光学的方法を用いる上記の方法を適用して、ウェーハ上に堆積した多層構造のストレスを計算するための例示プロセスを示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2003年1月27日出願の米国仮出願第60/443,211号の恩恵を請求し、その開示のすべてを本出願の一部として引用して本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は、多数の層を有する集積化構造を含む基板上に製作されるデバイスフィーチャのストレスに関する。
【0003】
適切な固体材料で形成した基板をプラットフォームとして用いて、基板上に堆積した多層の薄膜微細構造等の各種構造を支持できる。電子集積回路、光集積デバイス、および光電子回路、微細電子機械システム(MEMS)、ならびに平面型ディスプレイシステム(例えば、LCDおよびプラズマディスプレイ)は、各種基板上に集積化したこのような構造の例である。基板は、半導体材料(例えば、シリコンウェーハ)、絶縁体上シリコンウェーハ(SOI)、ガラス材料等で作成できる。多様な材料層、または多様な構造が、これらの構造の同一基板上に形成されてもよく、互いに接触して各種の界面を形成する。デバイスによっては、複雑な多数の層、または連続的に傾斜した形状を用いることもあり、多様な3次元構造を形成できる。
【0004】
従って、多様な材料、多様な構造の界面は、例えば、機械的および熱的特性のいずれか、または両方の材料特性の差により各デバイスフィーチャに複雑なストレス状態を発生させることもある。多様な製作条件、および環境因子(例えば、温度の変化または変動)に影響される相互接続の構造に、複雑なストレス状態が現れることもある。集積回路の製作において、例えば、相互接続の導電性配線のストレス状態は、膜の堆積、温度サイクル、化学機械研磨(CMP)、または他の薄層化プロセスにより、および表面安定化被覆、または封止により、影響を受けることもある。これら、および他の因子により起きるストレスは、後続処理ステップの完全性や有効性、またはデバイスの性能と信頼性とに悪影響を与えることもある。このようなストレスは、ストレスが働いているもとでの部品またはデバイスの欠陥を発生させることさえある。
【0005】
少なくともこれらの理由から、ストレス、ストレス変化、およびストレス蓄積履歴、ならびに基板のストレス配分、基板上に製作されるフィーチャのストレス配分の解析、計測および監視が要望されている。例えば、基板上に形成される各種のフィーチャ上のストレスを解析して、デバイス構造の設計、材料の選定、製作プロセス、およびデバイスの他の局面を改良でき、それにより、歩留り、デバイス性能、およびデバイス信頼性を強化できる。ストレスを計測して、ストレス移動、金属配線およびバイア等のフィーチャ内のストレス起因ボイド、誘電体クラック、層間剥離、ヒロック形成、および電気移動等の現象による欠陥に対する材料の信頼性を見極め、または評価できる。ストレス計測を用いて、ウェーハ製作工場で大規模に製造中の回路チップダイの機械的完全性、および電子機械的機能の品質管理を容易化できる。更に、ストレス計測を用いて、各種製作プロセスの設計、および温度処理(例えば、表面安定化処理、アニーリング、または硬化中の温度偏位)、化学機械処理(例えば、研磨または薄層化)等の技法を改良して、完成した部品またはデバイスの残留ストレスを減少させることができる。
【0006】
概要
各種の基板型デバイスに共通して見られる広く用いられている1つの構造は、基板が支持する異なる材料内に埋込まれた配線フィーチャである。例えば、導電性の配線は、基板上に形成される酸化物層、窒化物層、または他の低k誘電体層等の絶縁材料内に埋込まれることが多い。銅配線は、シリコン基板に成長させた酸化物層に、所望の相互銅配線の形状と同じ寸法をもつ溝をエッチングし、次いで、銅をその溝に堆積して埋込み相互銅配線を形成するダマシンプロセスを用いることにより製作することが多い。次いで、溝から上の余分な銅は、例えば、研磨により除去する。いくつかの実施によっては、酸化物層と同一材料、または異なる誘電体材料の被覆層を配線上に追加して形成してもよい。このような埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の層を同一の基板上に形成してもよい。更に、基板に垂直なバイアを用いて、異なる層の埋込み配線フィーチャに垂直方向の相互配線を提供する。
【0007】
本出願は、解析計算を用いて、埋込み配線フィーチャおよびバイアをもつ集積化構造におけるストレスを解析し、監視するためのシステムおよび技法を含む。集積化構造には、各種の集積回路(例えば、ドープし、歪みを加えた半導体領域をもつ回路)、集積化光電子デバイス、およびMEMSデバイス等を含めることができる。熱弾性複合材料解析に基づいて、材料特性、例えば、配線、バイア、および周囲の誘電体膜等のデバイスフィーチャの寸法、ならびに局部的な表面曲率および局部的温度の変化、の関数としてストレス変化の解析式を提供する。周囲の誘電体膜には、埋込み配線フィーチャの上部に形成した被覆層を含んでもよい。このような解析式により、複雑で膨大な数値計算をしないでも局部的フィーチャのストレス変化の直接的な計算が可能になる。このような解析計算は、デバイスの製作および動作において、ストレスを所望のレベル以下に維持するように各種の集積化構造を設計するのに用いることができる。従って、層構造およびフィーチャアーキテクチャ、構造中の材料、ならびに製作プロセスを、設計プロセスで適切に設計または選択して、デバイスの製作中、および通常の使用または動作中のストレス挙動を確実に所望のものとすることができる。
【0008】
一枚以上のウェーハを製作している間に、ウェーハ上のストレス変化が、例えば、熱サイクル、または製作中のあるプロセスステップから、別のプロセスへの移行により発生することがある。従って、システムを解析計算に基づいて設計して、インシトゥの、かつリアルタイムのウェーハストレス監視を提供できる。なぜなら、本明細書で説明した解析式により、ウェーハ曲率および温度の高速計測処理が可能となるからである。製作中のストレス増加に対するこのインシトゥ監視を用いて、例えば、フィードバック制御メカニズムによるプロセス状態調整を可能とすることにより、かつ、製作プロセス全体が完了する前に欠陥のあるウェーハを選別することにより、製作プロセスの総合歩留まりを改善することができる。
【0009】
本出願は、各種方法の内の一実施例として、基板上の層状構造を設計するための方法を説明する。本実施例では、層状構造は、基板上に少なくとも1層を含み、層に埋込まれる平行配線フィーチャを含むよう提供される。解析式を用いて、配線フィーチャ領域の基板曲率情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報から配線フィーチャのストレスを計算する。次いで、計算したストレスを用いて、ストレス起因欠陥条件が満たされるかどうかを判定する。ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、層状構造のパラメータを調整し、解析式を再度用いて、調整したパラメータに基づいて配線フィーチャのストレスを計算する。パラメータの調整は、ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで継続する。
【0010】
別の実施例として、本出願は、基板上に層状構造を製作するための方法も説明する。最初に、基板上に少なくとも1層を形成するとともに、その層に埋込み平行配線フィーチャを形成するよう基板を処理する。次いで、配線フィーチャ領域の局部的曲率情報を取得する。同様に、配線フィーチャ領域の局部的温度情報も取得する。次に、解析式を用いて、配線フィーチャの局部的曲率情報および局部的温度情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報、により配線フィーチャの局部的ストレスを計算する。
【0011】
本出願の一実施例によるシステムには、層、および層に埋込まれた平行配線フィーチャにより製作された基板を支持する基板支持体、基板と相互作用して基板上の温度および配線フィーチャの曲率に関する情報を取得する検知モジュール、および解析式をプログラムして配線フィーチャの局部的ストレスを計算する処理モジュールを含む。解析式は、配線フィーチャをもつ領域の曲率情報、局部的温度情報、配線フィーチャおよび層の形状情報、ならびに配線フィーチャ、層、および基板の材料情報の関数である。
【0012】
解析式に基づく監視および解析技法の用途は、例えば、このような多数の層を設計し、製作する際の、多数の集積層をもつウェーハおよび基板に応用することができる。一実施では、層構造は、互いに積み重ねた複数の層を含むよう提供され、各層は埋込み配線フィーチャをもつ。層構造の表面情報は光学的に取得する。光学的に取得した情報を処理して表面曲率情報を抽出する。次いで、解析式を適用し、配線フィーチャの部位における抽出した曲率情報、および局部的温度に基づいて配線フィーチャの局部的ストレスを計算する。
【0013】
製作工程によっては、ストレスの解析式に基づく処理結果を用いて、処理中のウェーハを監視でき、処理条件を処理結果に基づいて制御し、調整できる。
【0014】
これらの実施および他の実施、実施例、およびその改変、ならびに利点を、図面、詳細説明、および請求項で更に詳細に説明する。
【0015】
詳細な説明
図1Aおよび図1Bは、熱弾性複合材料解析に基づいて説明するストレスの解析計算および解析式のための例示の集積化構造を表す形状を示す。図1Aは、厚い基板上に形成した平行で高さがある埋込み配線フィーチャをもつ一層を示す。図1Bは、基板上の平行な埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の多層構造を示す。一般に、このような多層構造は、n層を有し、n=2のときの2層の例を図1Bに示す。直交座標系(x1、x2、x3)を挿入図に示す。x1およびx2と記す方向は、基板に平行な2つの直交方向を表し、方向x1は層内の配線フィーチャの長手方向に沿い、方向x2は配線フィーチャに垂直である。x3と記す方向は基板面に対する法線方向を表す。
【0016】
多層構造の各層では、埋込み配線フィーチャは互いにほぼ平行で、方向x2に沿ってアレイを形成し、空間周期、つまりピッチdでほぼ等間隔に並ぶ。各層の厚さをhfで表す。各層の埋込み配線フィーチャは、配線フィーチャを埋込んだ材料と同一材料、または異なる材料で形成した被覆層で覆ってもよい。被覆層がある場合は、層厚hfは各配線フィーチャの高さ、つまり厚さtより大きく、被覆層の厚さは(hf−t)である。
【0017】
一実施例として、提示の解析的な熱弾性解析は、多層の合計高さ(nhf)、および各埋込み配線フィーチャの高さ(t)が、下層の基板の厚さ(hs)よりずっと低く、基板の横方向寸法LおよびWは、その厚さhsよりずっと、例えば、10倍以上、大きいという仮定に基づいている。更に、配線フィーチャは「高く」、配線高さ(t)が配線幅(b)より、例えば、t≧1.1b、だけ高い。解析的な熱弾性解析の精度は、これらの仮定に依存し、これらの因子が増大するにつれて概して高くなる。
【0018】
これらの仮定の下で、図1A、および図1Bの各埋込み配線のストレスは、曲率の成分の変化、温度変化、フィーチャ形状(例えば、配線、誘電体層、およびバイアの寸法、各層の高さ、基板厚さ等)、ならびに配線フィーチャの材料特性および周囲材料、例えば、配線フィーチャ、誘電体層、およびバイアのヤング率、ポアソン比、および熱膨張係数、からなる明示的な解析関数として表すことができる。曲率および温度の変化は、製作中の堆積、または熱サイクル等の処理を受けるウェーハの最終状態と開始状態との間の正味の差を意味する。例えば、被覆層がない(この場合、hf=t)単層構造(n=1)の埋込み配線フィーチャのストレステンソル成分σ33l、σ22l、およびσ11lは、次のように表わすことができる。
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、Esおよびνsは、それぞれ基板のヤング率およびポアソン比であり、K11およびK22は、ストレスフリー状態等の、基準となる初期状態での曲率テンソル成分値に対する、その構造の全体の局部的曲率の曲率テンソル成分の変化(すなわち、温度変化により起きる曲率成分の変化)であり、パラメータf1は(bt)/(dt)=b/d、すなわち、高さ(t)のホスト層内の配線体積分率で定義され、パラメータfoは、(1−fl)で定義されて高さ(t)の配線間の材料体積分率を表し、そしてΔTは、ストレスフリー状態の温度等の基準温度からの温度変化である。添字「o」、「l」、および「s」は、封止材料(例えば、低k誘電体材料)、埋込み配線フィーチャ、および支持基板をそれぞれ表す。これらの計算記号の幾つかは、Wikstrom、Gudmundson、およびSureshの「基板に堆積した周期的な薄い配線の熱弾性解析(Thermoelastic Analysis of Periodic Thin Lines Deposited on A Substrate)」(Journal of the Mechanics and Physics of Solids、vol.47、pp.1113〜1130、May 1999)、ならびにSureshおよびRosakisの米国特許第6,600,565号に記載されている。
【0019】
上記の明示的な式(1)〜式(3)の解析式を僅かに修正して、厚さ(hf−t)の被覆層で上部を更に覆った単層構造に対するストレステンソル成分の変化を表してもよい。この被覆層は配線フィーチャを埋込む誘電体材料と同一の材料で形成してもよい。代替として、被覆層を異なる材料で形成してもよい。式(1)〜式(3)のこの修正では、パラメータhf、K11、およびK22をt、[K11−K11(cap)]、および[K22−K22(cap)]でそれぞれ置換する。ここで、K11(cap)およびK22(cap)は、それぞれ層内のx1およびx2方向に沿う被覆層により作成される全体の曲率に対する曲率成分の寄与分である。被覆層を含むよう修正した表現では、K11およびK22は、層構造全体の全体曲率成分の変化である。従って、差[K11−K11(cap)]および[K22−K22(cap)]は、周期的な配線フィーチャをホストする厚さtの層の曲率寄与分に対応する。式中の他のパラメータは変更しないままである。例えば、パラメータf1は、厚さtのホスト層内の配線の体積分率のままであり、パラメータf0は、依然として配線フィーチャ間の材料の体積分率を表す。
【0020】
等方性被覆層をもつ単層構造が温度変化を受ける場合、被覆層のテンソル成分は、特に次のように表される。
【数4】
ここで、E(cap)、ν(cap)、およびα(cap)は、それぞれ被覆層のヤング率、ポアソン比、および熱膨張係数である。被覆層の曲率寄与分は厚さ(hf−t)に比例するので、修正した式は、t=hfで、かつ、K11(cap)、およびK22(cap)が両方ともゼロの場合、最初の式(1)〜式(3)に帰着する。埋込み配線フィーチャ、および異方性被覆層をもつ単層構造の解析式は、式(1)〜式(3)に対する上記修正に基づいて導き出すこともできる。
【0021】
被覆層あり、なしの埋込み配線フィーチャをもつ単層に対するストレステンソル成分の上記解析式は、基板上の互いに積み重ねられた多数の層をもつ多層構造に拡張できる。上記の式を、hfをntで、K11を[K11−K11(cap)]で、K22を[K22−K22(cap)]でそれぞれ置換して修正するだけでよい。パラメータnは層数である。例えば、n層構造の各層の配線フィーチャのストレステンソル成分の変化は、以下のように書くことができる。
【数5】
ここで、被覆層の曲率成分は、各層に等方性被覆層をもつn層構造に対して次のように表すことができる。
【数6】
【0022】
被覆層がない(hf=t、かつK11(cap)およびK22(cap)がゼロの)場合、ストレステンソル成分は、以下の式にまとめることができる。
【数7】
【0023】
各種の層構造に対する上記の明示的な解析式により、任意の部位での、配線フィーチャに平行かつ垂直な局部的曲率変化、およびその部位の局部的温度変化に基づいて、単層または多層構造に埋込まれた配線フィーチャのストレス変化の直接的な計算が可能となる。従って、曲率および温度の変化が、例えば計測により既知であれば、所与の配線フィーチャの関係付けられるストレス変化、またはその層の全ての配線フィーチャのストレス分布が、膨大な数値計算をしないでも解析的に計算できる。従って、ストレス監視システムは、曲率およびその変化を監視するための表面曲率計測モジュール、温度およびその変化を検知するための温度検知モジュール、および上記計算を実行するようプログラムされた処理モジュールを有することにより、構築できる。
【0024】
ストレス成分σ33l、およびσ11lの上記変化には、2つの異なる寄与分が含まれる。一方の寄与分は、局部的曲率の2つの成分の変化に関連し、他方は、基準状態(例えば、アニール処理または表面安定化処理から冷却する等の初期のストレスフリーのストレス状態)からの温度変動ΔTに比例する。曲率依存の寄与分は、例えば、埋込み配線フィーチャと基板との間の熱的不整合、および封止材料または表面安定化材料と基板との間の熱的不整合等の、熱的不整合の影響を表す。この寄与分は、ストレスへの外部寄与分であり、曲率情報により計算できる。第2の部分は薄膜構造の2相間の(すなわち、金属配線と、金属配線の周囲の封止または表面安定化、低k誘電体材料との間の)熱的不整合の影響を表す。この第2寄与分は、自己平衡し、曲率変化を生成しない。従って、この第2寄与分は、ストレスに対する固有の熱寄与分を表す。層内の配線フィーチャに垂直なストレス成分であるストレステンソル成分σ22lは、外部寄与分だけを有し、従って、局部的曲率だけに依存し、局部的温度に依存しない。
【0025】
従って、熱弾性複合材料解析の本実施例では、ある部位での曲率および温度の変化両方を解析式に用いて、図1Aおよび図1Bに示す構造の配線フィーチャのストレスを判定する。しかしながら、ある種の状況のもとでは、上記解析式は更に簡略化できる。
【0026】
例えば、n層構造に埋込まれた周期的配線フィーチャが基板全体に一様に分布し、かつ温度も構造全体にわたって一様な場合、ストレステンソル成分は温度変化ΔTだけの関数として表すことができる。温度変化だけに依存するこのような解析式は、配線構造の空間的に一定な曲率変化を、式(1)〜式(3)、または、被覆層か多層をもつ構造に対する修正した等価式のΔTの関数として表すことにより達成できる。ただし、温度変化と表面曲率変化との間の関係が、降伏点に達する前の線形関数を保っている限りにおいてである。従って、この特別な状況では、ストレス評価には温度変化で十分であり、従って、局部的表面曲率を計測する必要性が回避される。例えば、多層構造の任意のレベル等で、配線フィーチャ上のストレステンソル成分σ331は、以下のように温度変化の関数だけで表すことができる。
【数8】
同様に、ストレス成分σ22lおよびσ11lは、曲率に依存しないでΔTの関数として表すことができる。従って、多層構造を含むこのような構造のストレスは、温度検知モジュールを用いることにより監視および計測できる。
【0027】
逆に、上記特別な状況では、各局部的ストレステンソル成分を、温度変化に明示的に依存せずに、x1およびx2方向に沿った2つの局部的曲率の内の1つの関数として表すこともできる。
【数9】
ここで、Lは次式で定義される曲率成分の比であり、
【数10】
Mは次式で定義され、
【数11】
Mは以下のように明示的に表される。
【数12】
パラメータLの更に明示的な表現は以下のように書くことができる。
【数13】
上記の解析式は、各曲率成分と温度の関係を用いて、ΔTを除去し、曲率成分だけでストレスを表すことにより導かれる。従って、単一の曲率計測モジュールを用いるだけで、ストレスを監視、かつ計測できる。多層のそれぞれに被覆層がない場合には、上記のストレスの式は、次のように簡略化した形にまとめることができる。
【数14】
【0028】
面内型の層、各層の水平配線フィーチャに加えて、ある種の多層構造およびデバイスには、1層以上の層を通る一個以上の縦方向の孔つまり導管(バイア)があり、異なる層の配線フィーチャを相互接続することができる。このようなバイアの一実施例は、バイアを充填する金属(例えば、Cu、W等)または適切な導電性材料で形成するのが典型的な、縦方向の導電性リードである。バイアでの垂直相互接続の両端は、別々の層の2つの導電性配線フィーチャに相互層接続として接続するのが普通である。この追加した1つ以上のバイア接続は、接続した配線フィーチャおよびバイア接続上のストレスに影響を与えることがある。バイア接続の存在により、このようなデバイスのストレスパターンが複雑になる。従って、望ましいのは、ストレス解析にバイアの影響を含み、バイアの寸法の影響、および構造のストレス状態の空間的な分布を調べることである。
【0029】
図2は、隣接する2層における、共に線幅bの2本の整列した平行な配線フィーチャ間を相互接続するバイア直径2R、ピッチV、高さhvの周期的な円筒バイアを含む図1Aおよび図1Bの構造形状に基づく例示の一構造を示す。本実施例を簡略化するために、1層の配線フィーチャの上部と、隣接上部層の底部との間の被覆層は、配線フィーチャ間に充填されている材料と同一の材料で作成されていると仮定する。本実施例に基づいて、x3方向(基板に垂直な方向)に沿ったストレスは、局部的表面曲率、および局部的温度の変化の関数として、次の解析的形式で表すことができる。
【数15】
ここで、πR2/(bv)の比率は、fvと記して、バイアの体積分率を表す。
【数16】
【0030】
式(6)で、各バイアの縦方向ストレスσ33Vは2つの成分を有する。第1の成分は、式(1)〜式(5)、および被覆層および多層を含むようそれぞれ修正した式から導き出すことができる同一部位での接続した配線フィーチャの縦方向ストレスσ33lに比例する。第2の成分は、温度変化ΔTに依存する。これら2つの成分により、各バイアのストレスσ33Vは、配線フィーチャストレスσ33Lに対して「増幅」される。
【0031】
更に、被覆層が配線フィーチャ間の材料と異なる等方性材料で作成されている場合、上記の式(6)は、EoおよびαoをそれぞれE(cap)およびα(cap)で置換して修正できる。被覆層が異方性材料で形成される場合、これらの材料特性値は、縦方向に沿った対応値でなければならない。
【0032】
図3は、銅(Cu)およびタングステン(W)の配線フィーチャおよびバイアをもつ2つの同一バイア構造の封止材料、つまり表面安定化材料(例えば、TEOS、およびSILKの商標名で市販されている材料)を、比fvの関数として計算した増幅因子を示す。この例では、E(cap)およびEoは同一である。図3の値に対する温度変化は380℃である。
【0033】
上記説明では、層内の埋込み配線フィーチャは、平行であるとして示され、それぞれx1方向に沿って図1Bの隣接層の平行配線フィーチャと整列している。しかし、本明細書で説明するストレスに対する解析関数の適用は、この構成に限定されない。例えば、ストレスに対するこれらの解析関数は、1層の配線フィーチャは平行であるが、隣接層の配線フィーチャに対してx2方向に沿って共通の距離だけずれている構成に用いることができる。別の実施例として、ストレスに対するこれらの解析関数は、1層の配線フィーチャが隣接層の平行配線フィーチャにほぼ垂直な構成に用いることができる。
【0034】
集積化構造またはデバイスは、図1A、図1B、および図2に示す構成と類似の層構成をもつよう設計できる。例えば、デバイスによっては、配線フィーチャは、誘電体層(例えば、酸化物層もしくは窒化物層、または別の適切な絶縁体もしくは誘電体層)に埋込む金属配線等の導電性配線でもよい。従って、ここで説明するストレスに対する解析関数を用いて、製作中の、および完成した部品またはデバイスのストレスを監視および解析することができる。他のデバイスでは、図1A、図1B、および図2に示す類似の多層構成が製作プロセスの特定の段階中に一時的に存在し、製作完了したときに他の構成に引き続き変更することができる。この状況では、ここで説明するストレスに対する解析関数を用いて、例えば、製作プロセスを制御するためのツールとして、または全体の製作プロセスが完了する前に欠陥のあるウェーハもしくはデバイスを選別するためのツールとして、製作プロセス中のストレスを監視および解析することができる。
【0035】
埋込み配線フィーチャおよびバイアをもつ構造に対するストレスの上記の解析式および計算が、有限要素法(FEM)の膨大な数値計算の結果と比較して高精度であることを実証した。例えば、配線フィーチャのアスペクト比t>3bに対して、明示的な解析式の精度は、約5%以内である。従って、多くの実践設計では、解析計算は、十分正確であり、インシトゥシステムおよび用途に対する高速度ストレス監視機構を提供する場合に特に有利である。
【0036】
応用の一実施例として、水平配線フィーチャおよび垂直バイアに対するストレスの上記解析的評価は、設計段階または製作段階で用いて、それを超えると配線フィーチャまたはバイアの欠陥が発生するか、または統計的に確実になる臨界温度閾値または臨界曲率閾値に達したかどうかを判定することができる。このような欠陥閾値基準は、構造(例えば、脆弱な誘電体フィーチャ)の破断等の材料欠陥、転移形成および融合、封止層または表面安定化層からの配線フィーチャの層間剥離、または金属ボイドを招く個別のストレス成分(またはそれらの組合せ)に対する既知の臨界レベルに基づいてもよい。光電子部品およびデバイスでは、欠陥基準は、好ましくない屈折率変化、および光学的複屈折をそれぞれ招く静水圧ストレスの臨界レベル、および配線の主ストレスの差に関連付けることができる。金属配線のボイドに対しては、欠陥基準は、熱偏位の結果として、配線に作用する静水圧ストレスの作用のもとで自然発生するボイド核生成(キャビテーション)に関連付けることができる。ボイドを核生成するのに十分な静水圧ストレスの臨界レベルは、配線材料の一軸降伏(流動)ストレスよりα倍(例えば、2〜5倍)大きいのが普通である。所与の構造に対する所与の欠陥閾値基準については、上記の解析式を用いて、臨界ストレスに対するフィーチャおよび温度のパラメータの組合せを判定できるので、所与の臨界欠陥条件を適切な構造設計および製作プロセスにより回避できる。
【0037】
図4は、配線フィーチャのストレスが関係付けられる欠陥基準を満たす場合の、図1A、図1B、および図2の配線フィーチャの1つのキャビテーションを示す。一般に、3つのストレス成分σ33L、σ22L、およびσ11Lの平均値は、静水圧ストレスσhLとして定義され、それを用いてキャビテーションが発生するかどうかを判定する。
【0038】
臨界ストレスを計算する際、ストレスは温度変化の項で表すことができるので、温度の臨界変化(ΔTc)を計算して、欠陥基準が所与の材料情報、および構造の形状により満たされるかどうかを判定できる。臨界欠陥条件に対する配線フィーチャのストレス成分は、次のように書くことができる。
【数17】
ここで、パラメータiおよびjは、整数1、2、および3の任意の値をとる。代替として、ストレスは、曲率の内の1つの変化の項で表すことができるので、曲率変化に対する臨界値を計算して、欠陥基準が構造に関する所与の情報により満たされるかどうかを判定することができる。臨界欠陥条件に対する配線フィーチャのストレス成分は、次のように書くことができる。
【数18】
被覆層の材料のパラメータ、および配線フィーチャの厚さは、被覆層が配線フィーチャ間を充填する材料と異なる材料で作成される場合、上記の表現に含めるべきである。従って、欠陥基準、例えば、(σ33L+σ22L+σ11L)/3=ασyを上記解析式に用いて、例えば、金属の流動ストレス、および構造の熱的および機械的特性により、臨界温度変化(ΔTc)および曲率(ΔK11c)に対する解析式を以下のように取得できる。
【数19】
【0039】
図5〜図7は、被覆層のない周期的な封止または埋込み配線の単層構造に対する配線形状パラメータの関数として臨界閾値を確立するための実施例を示す。図5〜図7のパラメータαは、材料の一軸降伏ストレスを超える臨界欠陥ストレスの比である。図5に、Si基板上のTEOS誘電体のCu配線に対する温度変化の臨界値を、ミクロンでの配線ピッチdの関数としてプロットしてある。従って、このような構造に対する動作温度または処理温度は、臨界値から離して設定して、潜在的な欠陥を回避しなければならない。図6は、Si基板上のTEOS誘電体層のCu配線に対する温度変化の臨界値を、配線幅bの関数として示す。図7は、Si基板上のTEOS誘電体層のCu配線に対する曲率変化の臨界値を、配線ピッチdの関数として示す。
【0040】
多数の配線レベルを接続する縦方向バイアに対して、類似の方法論を用いて、バイアの抜け、押し込み等のバイア欠陥が発生するであろう温度または曲率の変化に対する臨界閾値を計算できる。温度および曲率の変化に対する臨界値は、以下のように象徴的に表わされる。
【数20】
、および
【数21】
これらの式は、バイアおよび配線形状、使用材料の材料特性、およびバイア降伏点つまり流動強度の関数である。
【0041】
バイアの臨界閾値を評価するための実施例を図8、図9、図10、および図11に示す。説明文に記した構成について、温度および曲率の閾値が配線およびバイアの形状に依存することが判る。
【0042】
上記の解析式および計算は、設計ツールとして各種の装置に実装され、監視ツールとして各種のストレス計測または監視システムに実装される。このような実装の実施例を以下に説明する。
【0043】
埋込み配線フィーチャまたはバイアをもつ集積化構造の設計において、上記解析ツールを用いて、特定の設計構造、材料選定または製作条件が、意図または提案した構造で、好ましくないストレス状態を何か起こすかどうかを評価できる。特に、設計構造、材料選定、および製作条件の内のいずれかで解析計算に基づいて調整できるので、構造のストレスが所望の範囲内に留まって、何らかの潜在的なストレス起因障害または欠陥を回避できる。この設計プロセスは反復プロセスであってもよく、1つ以上の設計パラメータを、解析計算を通してから最適化プロセスを介して何回も修正して、所望の設計を得る。上記の解析ツールは、設計最適化ソフトウエアツールに組み込んで、設計を容易化できる。
【0044】
他の用途では、上記解析ツールを各種のストレス計測または監視システムに実装できる。
【0045】
図12は、例示の一ストレス監視システム1200を示す。基板支持体1201は、埋込み配線構造をもつ試料の基板またはウェーハを支持するよう備えられる。検知モジュール1202を接続して、計測している表面の温度変動、曲率情報、またはその両方等の、試料基板の特性を計測して計測信号1203を生成する。処理モジュール1210をプログラムして、本明細書で説明した1つ以上の解析式に従って信号1203の情報を処理し、試料基板の層構造のストレス情報1212を生成する。検知モジュール1202は、試料基板の温度変動、試料基板の表面曲率、またはその両方を計測して、計測信号を生成するよう備えられてもよい。処理モジュール1210には、コンピュータが含まれて、解析式に基づいてストレスを計算するための命令を格納してもよい。
【0046】
図13は、光検出メカニズムを実装する光検出モジュール1310、および処理機構を実装する処理モジュール1210を用いるストレス計測システム1300を示す。別の温度検知モジュールを実装して、試料ウェーハ上の選択部位の温度計測値を取得して湿度変化を監視してもよい。光検出モジュール1310は、試料基板面に照射光プローブビーム1311を生じ、次いで、透過または反射ビーム1312を検出する。照射光ビーム1311は、計測している1つ以上の領域を含む領域を、全フィールド光計測構成、またはポイントツーポイント走査構成で照射するよう方向を与える。次いで、試料基板からの透過または反射ビーム1312を光学的に処理して、照射領域全体の曲率情報をもつ光パターンを生成する。この光パターンは、曲率信号1203に変換される。信号1203は、電子プロセッサ、または他の種類のプロセッサを含む処理モジュール1210に送られる。曲率信号1203は光パターンを表す電子信号であってもよい。次いで、信号を処理して、基板の照射領域全体の曲率データを生成する。処理モジュール1210は、それぞれの曲率データに基づいて、基板の照射領域の任意の1ヶ所以上の所望部位に形成された配線フィーチャの所望のストレスデータ1212を生成する。
【0047】
表面曲率情報を得るために光検出モジュール1310を実装するための光システムは、全フィールド光シャーリング干渉法構成を用いて、表面勾配情報を光学的に取得してもよい。一般に、シャーリング干渉計は、歪み波面を光学的に処理して、波面干渉を引き起こす。この干渉は、光学式シャーリングまたは波面移動により起き、それを用いて波面の局部的傾斜、および表面トポロジー変動を計測する。このようなシャーリング干渉計は、波面をシャーリング、つまりシフトするよう設計されるシステムのデバイスまたは部品を通して歪み波面を導いて、波面の傾斜計測を可能にする。光学式シャーリング干渉法システムの一実施例として、コヒーレント勾配検知(CGS)システムは、2枚の光学式回折格子を用いて回折によりシフトした波面を生成し、画像装置を用いて所望の回折次数を取得する。次いで、画像装置が取得した干渉パターンを処理して、波面の傾斜情報を取得する。CGSに加えて、シャーリング干渉計、およびシャーリング装置または部品の他の実施例には、半径方向シャーリング干渉計、バイラテラルシャーリング干渉計のくさび板(米国特許第5,710,631号)等が含まれる。本システムは、可視および不可視で、コヒーレントおよび非コヒーレントの、IRおよびUV放射を含む任意の放射源を用いてもよい。
【0048】
光学式シャーリング干渉法の使用は、例えば、集積回路、光集積デバイス、光電子集積デバイス、およびMEMSデバイスを支持するために用いられるパターン化したウェーハ、およびパターン化したマスク基板(削除せず)等の、各種の微細構造でパターン化された表面を含む表面を光学的計測する際に、ある種の利点を提示する。更に、光学式シャーリング干渉計は、ウェーハレベルでのデバイス製作中の曲率および関連するストレス等の表面特性のインシトゥ監視で用いることができ、その計測値を用いてリアルタイムで製作条件またはパラメータを制御できる。一実施例として、光学式シャーリング干渉計の計測および動作は、光学式シャーリング干渉法の自己参照性により、概して、剛性のある本体の移動および回転にはさほど影響されない。従って、計測しているウェーハまたはデバイスは、プローブビームを表面のほぼ法線方向または計測に影響を与えない低い入射角に向けることによって計測できる。波面をシフトまたはシャーリングすることにより、光学式シャーリング干渉計は、波面の1点がシャーリング距離だけ離れた別の点に変形する量、すなわち、同一波面の2つの干渉レプリカの間の距離を計測する。この意味で、光学式シャーリング干渉計は自己参照であり、従って、計測しているウェーハまたはデバイスの振動に対する不感応性または免疫が増大する。この振動耐力は、振動絶縁が事実上無理な特定プロセス(例えば、チャンバ内堆積)中の製造環境、またはインシトゥで計測を実行する場合、特に利点となる。
【0049】
デバイスパターンをもつ表面は、従来型干渉計(非シャーリング型)にとっては幾つかの困難をもたらす。従来型干渉計は、試料から反射した波面と、既知の参照面から反射した波面との間の干渉に基づくトポロジーまたはトポグラフィの波面干渉を生成する。デバイスパターンをもつ表面を計測するために用いる従来型干渉計は、パターン化表面から反射してくる比較的不均一な、または拡散する波面が、参照ミラーで反射する波面とコヒーレントに干渉しないので、効果がないことが多く、干渉計の画像をアンラップ(位相接続)し、解釈するのを妨げる。
【0050】
パターン化ウェーハを計測するためにシャーリング干渉法を適用する際、パターン化ウェーハ、例えば、直径200mm、300mm等の半導体および光電子ウェーハを、コリメート化プローブビームがウェーハ面から反射するような構成でシャーリング干渉計に配置する。パターン化ウェーハにシャーリング干渉計を用いると、2つの干渉する波面は、僅かな距離だけシャーリングされた後の形状がほぼ類似しているので、コヒーレントな干渉を生じる。パターン化表面からの反射波面には、それぞれ本質的にノイズがあり、散乱していることもあるが、この方法で再結合する場合は、形成する意義、解釈する意義のある干渉縞パターンに対する波面間のコヒーレンス性が十分存在している。
【0051】
シャーリング干渉計を用いて、パターン化ウェーハを計測するための方法は、更に位相シフトを用いて改良できる。位相シフトを実装して、試料面上の干渉縞位置を循環させ、または操作する干渉波面間の位相分離を漸次調整できる。一実施例では、シャーリング干渉計を構成してパターン化ウェーハ面の多数の位相化画像、例えば位相が0°、90°、180°、270°、および360°について取得できる。位相シフト方法は、「相対位相」変調を検出器アレイ上の各ピクセルで計算することにより、波面傾斜を計測できるようにする。本方法により、パターン化ウェーハ上に見られるような反射率変化を示す表面上の波面および試料の傾斜の一貫した解釈も可能になる。パターン化ウェーハ面上では、試料上の各ピクセル部位は、強度が変化する光を反射するので、たった一枚のシャーリング干渉図形では解釈が困難になる。位相シフトを同時に利用すると、傾斜分解能の精度が向上し、干渉縞分離または干渉縞強度の変化よりも、各ピクセルの相対位相を計測することにより、変化する反射率をもつパターン化表面の干渉図形の正確な解釈が可能になる。
【0052】
パターン化ウェーハ面の多数の位相シフトした干渉図形を収集したので、表面傾斜を正確に解釈するための後続のアンラップアルゴリズムを用いることができる。適切なアンラップアルゴリズムには、最小不連続法(MDF)、および前処理付き共役勾配法(PCG)が含まれるが、これだけには限定しない。
【0053】
干渉図形を一旦アンラップすると、傾斜の生データ、および曲率の導関数の解釈は、表面多項式を傾斜の生データに統計的に適合させることにより更に強化される。ゼルニッケ多項式を含む統計的な表面適合を、トポロジーおよび曲率データを導くために、パターン化ウェーハから導かれる傾斜の生データに適用できる。
【0054】
シャーリング干渉法は、単一導関数、すなわち、光学的に波面を一回微分することを用いて、波面の傾斜から曲率を計算する。第2に、本方法は全フィールド干渉データを用いるので、容量型プローブ法よりずっと多いデータ点を用いるのが普通である。更に、各種のレーザービーム走査ツールを用いてウェーハの湾曲、つまり表面曲率を計測することもできる。これらの方法は、半径方向の曲率を計測するのが普通である。シャーリング干渉法は2つの直交方向の傾斜を容易に計測でき、全曲率テンソル、ウェーハストレス状態、またはウェーハ上に製作した構造の解明が可能になる。
【0055】
図14は、図13の光学的検出モジュール1310のような光学的シャーリングシステムの一実施として例示のコヒーレント勾配検知(CGS)システム1400を示す。Rosakis他の米国特許第6,031,611号を参照されたい。CGSシステム1400は、光プローブとして光源110からのコリメートしたコヒーレント光ビーム112を用いて、基本的に任意の材料で形成した鏡面反射面130が示す曲率情報を取得する。ビームスプリッタ等の光素子120を用いて、ビーム112を表面130に向けることができる。反射面130が湾曲している場合、反射プローブビーム132の波面は歪み、それにより、反射プローブビーム132は、計測している表面130の曲率と関係付けられる光路差、または位相変化を獲得する。このシステムは、表面130の照射した領域内の点毎の「スナップショット」を生成し、従って、照射した領域内の任意の方向に沿う任意の点の曲率情報が取得できる。これにより、走査システムを用いて、一回につき一点づつ連続的に計測する必要がなくなる。
【0056】
互いに離間している2つの回折格子140および150を反射プローブビーム132の光路に配置して、曲率計測のために歪み波面を操作する。第1の回折格子140が生成する2つの異なる回折成分を回折する第2の回折格子150が生成する2つの回折成分を、レンズ等の光素子160を用いて相互干渉するよう結合する。2つの回折格子140および150による回折は、2つの選択した回折成分間の相対的離間距離、すなわち、横方向シフト、を実現する。この横方向シフトは、他の回折格子パラメータが固定されている場合、2つの回折格子140と150との間の距離の関数である。空間フィルタ170を光素子160に対して配置して、選択した回折成分の干渉パターンをピンホール172を通して透過させ、第2回折格子150からの他の次数の回折を遮断する。
【0057】
次いで、透過した干渉パターンを、CCDアレイ等の検知ピクセルアレイを含む画像センサ180で受けて、干渉パターンを表す電気信号を生成する。図13の処理モジュール1210の一部であってもよい信号プロセッサ190は、電気信号を処理して、反射面130の曲率によって起きる波面歪みの空間勾配を抽出する。次いで、この空間勾配を更に処理して、曲率情報を得ることができ、それによって表面130の照射領域の曲率マップを得ることができる。単一の空間微分を干渉パターンに実行して表面曲率を計測する。本技法は、表面の曲率変動が勾配になっている場合、つまり、面外変位が薄膜、配線、または基板の厚さより小さい場合、表面曲率の正確な計測を提供できる。本技法は、幾つかの他の干渉技法と比較すると剛体の動きには感応しない。本データ処理操作の詳細は、上記参照のRosakis他の米国特許第6,031,611号に記載されている。表面曲率の処理が完了すると、プロセッサ190は更に、ここで説明する多層モデルの解析式に基づいて表面曲率からストレスを計算するよう動作する。
【0058】
2つの回折格子140および150は、一般的に、回折格子周期が異なり、相対的に任意の角度を向く任意の回折格子でよい。2つの回折格子は、相対的に同一方向を向き、同一の回折格子周期としてデータ処理を容易にする方が好ましい。この場合、回折格子の向きは、回折格子140および150による2重回折のため、2つの選択した回折成分の間の相対的空間変位(シャーリング)の向きで設定するのが基本である。
【0059】
図14に示すCGSシステムでは、位相シフトは、x3方向に沿う回折格子間距離を固定したまま、x3方向と垂直なx1とx2とで定義する面内で、2つの回折格子140と150との相対位置を調整して達成できる。正確な平行移動台または位置決め変換器等の、位置決めメカニズムを用いて、位相シフトするために回折格子間の相対位置の調整を実施してもよい。
【0060】
ある種の用途では、全フィールドの2次元曲率計測値を得るために2つの別々の方向の空間シャーリングを必要とすることもある。これは、CGSシステム1400を用いて、試料面130が第1方向にあるとき第1計測を実行し、次いで、試料面130が回転して第2方向(例えば、第1方向と垂直な方向)にあるとき第2計測を実行することにより行われる。
【0061】
代替として、図15に示す2アームCGSシステムを実装して、異なる2方向の2セットの別々の2重回折格子を持つよう2つの異なる空間シャーリング方向の干渉パターンを同時に生成してもよい。従って、両方の空間シャーリング方向の曲率分布の時間変化影響が取得できる。更に、図14の2つの回折格子140および150はそれぞれ、2つの直交クロス回折格子をもつ回折格子板で置き換えて、図15のシステムの2次元シャーリングを得てもよい。空間フィルタ170をx1方向に沿ってシフトした光学的開口をもつ代替のフィルタで置き換えて、直交方向に沿ってシャーリングするために干渉パターンを選択的に透過させてもよい。
【0062】
上記CGSおよび他の光学的シャーリング干渉法システムを用いて、直接的または間接的に基板上に形成される各種フィーチャおよび部品の曲率を計測してもよい。直接計測では、CGSのプローブビームは、処理されるウェーハまたは基板のパターン化表面の上部に直接送り、曲率情報を取得することができる。この操作モードの表面フィーチャおよび部品ならびにそれらの周囲領域は、滑らかで、光学的に反射性である。更に、場合により望ましいのは、曲率以外の、フィーチャおよび部品ならびにそれらの周囲領域の特性が、波面歪みにさほど寄与しないということである。従って、波面歪みは、光プローブビームが照射する領域の曲率インジケータとして用いることができる。例えば、幾つかの完成した集積回路は、基板の回路素子上に非導電性誘電体材料で通常作成される上部の表面安定化層をもち、下にある回路を保護している。表面安定化層は、一般に滑らかでCGS計測に対する十分な反射性がある。
【0063】
しかしながら、上記条件は他の基板型デバイスによっては満たされないこともある。例えば、基板またはそれらの周囲領域の前面に形成されるフィーチャおよび部品が、光学的に反射性でないこともある。前面のフィーチャおよび部品は、周囲の領域と異なっているフィーチャまたは部品の高さ等の、曲率以外の因子により反射した波面を歪ませるかもしれない。これら等の状況では、フィーチャまたは部品の曲率は、基板背面の反対側の面の対応する部位の曲率計測から推定することにより間接的に計測してもよい。これが可能な理由は、基板に形成した不連続のフィーチャまたは部品のストレスは、基板が変形する原因となり得るし、基板に形成した薄膜は一般に、基板面に従うからである。
【0064】
ある種のフィーチャの高さがその周囲と異なる場合、フィーチャ毎の反射プローブビームの波面の位相歪みには、少なくとも高さの差が寄与する部分、および曲率が寄与する部分が含まれる。CGS計測に基板背面を用いることに加えて、CGS計測は前面を照射することにより実行してもよい。このように、高さ情報が既知の場合、曲率情報は、曲率計算における高さの差の影響を除去することにより抽出できる。
【0065】
多層構造に対するストレス計算は、簡単な解析公式を用いるので、計測した曲率k1およびk2の変化に基づくストレス計算は、プロセッサにより短時間で実行できる。例えば、マイクロプロセッサを用いてコンピュータールーティンを実装して計算を実行することができる。従って基本的に、複雑で時間を浪費する数値計算を回避できる。データ処理モジュールのこの特徴は、光学式シャーリング干渉計検出モジュール(例えば、CGS)の全フィールド平行処理と組み合わせた場合、比較的高速のストレス計測が可能になる。従って、このようなシステムを用いて、多層構造の配線フィーチャおよびバイアの一時的な曲率変化、および関係付けられるストレスを各種の製作プロセスに対してリアルタイムで計測する。
【0066】
図16は、光学的方法を用いて、ウェーハ上に堆積した多層構造のストレスを計算する上記方法を適用するための例示のプロセスを示す。
【0067】
インシトゥ、リアルタイムの監視システムでは、多層構造をもつ製作中のウェーハの、システムが決定するストレスをフィードバック信号として用いて、後続の製作プロセスに影響を及ぼしてもよい。例えば、計測ストレスが許容値を越える場合、ウェーハ上のデバイスは欠陥があると見なしてもよく、従って、製作を終了させることができる。代替として、許容できるストレス値を熱サイクル状態のインジケータとして設計してもよく、熱サイクル状態を計測ストレスに従ってリアルタイムで調整して、ウェーハ上のデバイスの品質を確かなものにしてもよい。
【0068】
多層構造のストレスを判定するための上記解析ツールを、デバイスおよび製作プロセスの設計に際して設計ツールとして用いてもよい。例えば、金属配線フィーチャ、中間層誘電体層(例えば、被覆層)、およびバイアのための各種の候補材料を解析公式で評価して、このような材料を用いたときの製作中のストレス、および最終デバイスを許容範囲内とすることができる。解析公式を用いて、蓄積したストレスを最小化し、構造の信頼性を最適化できる多層構造のために望ましい形状を識別することもできる(ストレス起因欠陥に対する最適化設計)。更に別の実施例として、アニール処理等の熱サイクル処理を含む製作プロセス毎の温度変動を評価して、それにより、製作中の許容範囲内にストレスを制限するように実際の動作温度を設定してもよい。
【0069】
上記の解析式を、動作中に繰り返し熱偏位を受ける部品の疲労寿命を評価するための手段として用いてもよい。これは、上記解析式に適切な疲労寿命基準、ストレス移動、またはストレス起因電気移動欠陥基準を実装することにより達成できる。デバイスまたは部品の欠陥を招く臨界温度または曲率閾値を解析式により計算して、残存サービス寿命の評価を確立できる。
【0070】
僅かの実施例しか説明していないが、言うまでもなく改変および改良がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1Aは、厚い基板上に形成した平行で高さがある埋込み配線フィーチャをもつ一層の薄い層を示す。配線フィーチャは被覆層で覆ってもよい。
【図1B】図1Bは、厚い基板上の平行で薄い埋込み配線フィーチャをもつ2層以上の多層構造を示す。
【図2】図2は、2つの隣接する層の、整列し、平行な2本の配線フィーチャ間を相互接続する周期的な円筒形バイアを含む図1Aおよび1Bの構造形状に基づく一実施例の構造を示す。
【図3】図3は、2つの例示の封止材料、つまり表面安定化材料に対するバイア体積分率の関数として計算した増幅因子を示し、αは、配線材料の一軸降伏(流動)ストレスを超えるボイドの核となるのに十分な静水圧ストレスの臨界レベルとの間の比率である。
【図4】図4は、配線フィーチャのストレスが、関係する欠陥基準を満たす場合の、図1A、図1B、および図2の配線フィーチャの内の1つのキャビテーション、つまりボイドのストレス起因成長を示す。
【図5】図5は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図6】図6は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図7】図7は、封止または埋込みの周期的配線の単一レベル構造について、配線形状の関数として臨界スレッショールドを確立するための実施例を示す。
【図8】図8は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図9】図9は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図10】図10は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図11】図11は、見出しに記した構成について、配線およびバイア形状パラメータを関数とするバイアに対する臨界閾値を推定するための実施例を示す。
【図12】図12は、計測データを処理するためのシステムの一部としてここで説明する解析式を用いる一例示のストレス監視システムを示す。
【図13】図13は、光検出モジュールと、その処理モジュールの一部として説明する解析式とを用いる例示のストレス計測システムを示す。
【図14】図14は、図13の光検出モジュールのための光シャーリングシステムの一実施として、例示のコヒーレント勾配検知(CGS)システムを示す。
【図15】図15は、異なる2方向に、2セットの2重グレーティングを別々に備えて、2つの異なる直交空間シャーリング方向の干渉パターンを同時に生成する2本アームのCGSシステムを示す。
【図16】図16は、光学的方法を用いる上記の方法を適用して、ウェーハ上に堆積した多層構造のストレスを計算するための例示プロセスを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の層構造を設計するための方法であって、
基板上の少なくとも1層の誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれた平行配線フィーチャを含む層構造を提供するステップと、
解析式を用いて、前記配線フィーチャの領域にある前記基板の曲率情報、局部的温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層ならびに前期基板の形状情報、および前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の材料情報より、配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
計算したストレスを用いてストレス起因欠陥条件が満たされるかどうかを判定するステップと、
前記ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、前記層構造のパラメータを調整するステップと、
前記解析式を用いて、前記調整したパラメータに基づいて前記配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
前記ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで前記パラメータの調整を継続するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記パラメータは形状パラメータである請求項1の方法。
【請求項3】
前記パラメータは、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の内の1つの材料特性である請求項1の方法。
【請求項4】
前記パラメータは、前記層構造により作成されるデバイスが通常動作で動作する温度である請求項1の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、前記層構造が製作中に処理されるサーマルバジェット(thermal budget)である請求項1の方法。
【請求項6】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャをもつ少なくとも2層の誘電体層、および前記2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくとも1個の縦方向バイアを備える請求項1の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップと、
計算したストレスを用いて、前記バイアに対するストレス起因欠陥条件が満たされているかどうかを判定するステップと、
前記バイアに対する前記ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、前記層構造のパラメータを調整するステップと、
前記解析式を用いて、前記調整したパラメータに基づいて前記配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
前記バイアに対する前記ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで前記パラメータの調整を継続するステップとを含む方法。
【請求項7】
基板上に層構造を製作するための方法であって、
基板を処理して、前記基板上に少なくともひとつの誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれる平行配線フィーチャを形成するステップと、
配線フィーチャの領域の局部的曲率情報を取得するステップと、
前記配線フィーチャの領域の局部的温度情報を取得するステップと、
解析式を用いて、前記配線フィーチャの前記局部的曲率情報および前記局部的温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の形状情報、ならびに前記配線フィーチャ、前記誘電体層および前記基板の材料情報により、前記配線フィーチャの局部的ストレスを計算するステップとを含む方法。
【請求項8】
更に、光プローブビームを用いて前記層構造を照射するステップと、前記層構造からの前記光プローブビームの光反射を検出して、前記局部的曲率情報を取得するステップを含む請求項7の方法。
【請求項9】
更に、前記誘電体層および前記平行配線フィーチャが製作される前記基板の表面へ前記光プローブビームを向けるステップを含む請求項8の方法。
【請求項10】
更に、前記誘電体層および前記平行配線フィーチャが製作される基板面と反対側の前記基板の表面へ前記光プローブビームを向けるステップを含む請求項8の方法。
【請求項11】
更に、前記光反射を用いて、前記光プローブビームで照射した領域の曲率情報を更に取得するステップを含む請求項8の方法。
【請求項12】
更に、前記局部的曲率情報の取得において、光学式シャーリング干渉計を用いて、前記光反射を光学的に処理するステップを含む請求項8の方法。
【請求項13】
更に、前記光反射の光学的処理において、前記光学式シャーリング干渉計に2枚の光学的回折格子を用いて、光シャーリングを実行するステップを含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記光学式シャーリング干渉計は、半径方向シャーリング干渉計を備える請求項12の方法。
【請求項15】
前記光学式シャーリング干渉計は、くさび板を有するバイラテラルシャーリング干渉計を備える請求項12の方法。
【請求項16】
更に、前記層構造の欠陥基準に基づく温度変化の臨界値を、前記解析式を用いることにより計算するステップと、
製作中の温度変動が前記臨界値から離れるように制御するステップとを含む請求項7の方法。
【請求項17】
更に、前記層構造の欠陥基準に基づく曲率変化の臨界値を、前記解析式を用いることにより計算するステップと、
製作中の条件を制御して、曲率変化が前記臨界値から離れるように制御するステップとを含む請求項7の方法。
【請求項18】
前記基板は、前記誘電体層上に埋込み配線フィーチャを持つ少なくとも別の誘電体層と、2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくともひとつの縦方向バイアとを備える請求項7の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップと、
前記縦方向バイアに沿う計算した前記ストレスに従って処理条件を調整するステップとを含む方法。
【請求項19】
更に、前記計算した局部的ストレスに従って処理条件を調整するステップを備える請求項7の方法。
【請求項20】
システムであって、
誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれる平行配線フィーチャにより製作される基板を支持する基板支持体と、
前記基板と相互作用して前記基板上の配線フィーチャの温度および曲率に関する情報を取得する検知モジュールと、
前記配線フィーチャを有する領域の曲率および温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の形状情報、ならびに前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の材料情報により、前記配線フィーチャの局部的ストレスを計算するよう解析式でプログラムした処理モジュールとを備えるシステム。
【請求項21】
前記検知モジュールは、プローブ光ビームを前記基板に投射して、前記配線フィーチャの曲率を計測する光学式シャーリング干渉計システムを備える請求項20のシステム。
【請求項22】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、CGSシステムを備える請求項21のシステム。
【請求項23】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、半径方向剪断干渉計を備える請求項21のシステム。
【請求項24】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、光学的シャーリングを実行するくさび板を備えるバイラテラルシャーリング干渉計を備える請求項21のシステム。
【請求項25】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャをもつ少なくとも2層の誘電体層と前記2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくともひとつの縦方向バイアとを備え、
前記処理モジュールは更に、接続した前記配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、解析式を用いて前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するようプログラムされている請求項20のシステム。
【請求項26】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャ上部の被覆層、および隣接する上部層を備え、前記処理モジュールは、前記解析式に前記被覆層の影響を含むようプログラムされている請求項25のシステム。
【請求項27】
方法であって、
互いに積み重ねられ、各層が埋込み配線フィーチャを有する複数の層を備える層構造を提供するステップと、
前記層構造の表面に関する情報を光学的に取得するステップと、
前記光学的取得情報を処理して前記表面の曲率情報を抽出するステップと、
解析式を適用して、前記配線フィーチャの部位の抽出した曲率情報、および局部的温度に基づいて、配線フィーチャの局部的ストレスを計算するステップとを含む方法。
【請求項28】
前記層構造は、2層の異なる誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくとも1つの縦方向バイアを備える請求項27の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記接続された層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップを含む方法。
【請求項29】
前記表面の情報は、
プローブビームを前記表面に照射して、前記表面に関する情報を搬送する信号ビームを生成するステップと、
光学式シャーリング干渉計を用いて、前記信号ビームを光学的に処理して、シャーリング干渉パターンを生成するステップと、
前記シャーリング干渉パターンを用いて、前記曲率情報を抽出するステップとにより光学的に取得する請求項27の方法。
【請求項30】
更に、前記光学式シャーリング干渉計として2つの光学的回折格子を有する勾配検知システムを用いて、前記シャーリング干渉パターンを生成するステップを含む請求項27の方法。
【請求項31】
前記層構造は、2層の異なる層の配線フィーチャを接続する少なくともひとつの縦方向バイアを備える請求項27の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続した配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記層および前記バイアの材料の材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップとを含む方法。
【請求項1】
基板上の層構造を設計するための方法であって、
基板上の少なくとも1層の誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれた平行配線フィーチャを含む層構造を提供するステップと、
解析式を用いて、前記配線フィーチャの領域にある前記基板の曲率情報、局部的温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層ならびに前期基板の形状情報、および前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の材料情報より、配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
計算したストレスを用いてストレス起因欠陥条件が満たされるかどうかを判定するステップと、
前記ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、前記層構造のパラメータを調整するステップと、
前記解析式を用いて、前記調整したパラメータに基づいて前記配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
前記ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで前記パラメータの調整を継続するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記パラメータは形状パラメータである請求項1の方法。
【請求項3】
前記パラメータは、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の内の1つの材料特性である請求項1の方法。
【請求項4】
前記パラメータは、前記層構造により作成されるデバイスが通常動作で動作する温度である請求項1の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、前記層構造が製作中に処理されるサーマルバジェット(thermal budget)である請求項1の方法。
【請求項6】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャをもつ少なくとも2層の誘電体層、および前記2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくとも1個の縦方向バイアを備える請求項1の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップと、
計算したストレスを用いて、前記バイアに対するストレス起因欠陥条件が満たされているかどうかを判定するステップと、
前記バイアに対する前記ストレス起因欠陥条件が満たされる場合、前記層構造のパラメータを調整するステップと、
前記解析式を用いて、前記調整したパラメータに基づいて前記配線フィーチャのストレスを計算するステップと、
前記バイアに対する前記ストレス起因欠陥条件が満たされなくなるまで前記パラメータの調整を継続するステップとを含む方法。
【請求項7】
基板上に層構造を製作するための方法であって、
基板を処理して、前記基板上に少なくともひとつの誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれる平行配線フィーチャを形成するステップと、
配線フィーチャの領域の局部的曲率情報を取得するステップと、
前記配線フィーチャの領域の局部的温度情報を取得するステップと、
解析式を用いて、前記配線フィーチャの前記局部的曲率情報および前記局部的温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の形状情報、ならびに前記配線フィーチャ、前記誘電体層および前記基板の材料情報により、前記配線フィーチャの局部的ストレスを計算するステップとを含む方法。
【請求項8】
更に、光プローブビームを用いて前記層構造を照射するステップと、前記層構造からの前記光プローブビームの光反射を検出して、前記局部的曲率情報を取得するステップを含む請求項7の方法。
【請求項9】
更に、前記誘電体層および前記平行配線フィーチャが製作される前記基板の表面へ前記光プローブビームを向けるステップを含む請求項8の方法。
【請求項10】
更に、前記誘電体層および前記平行配線フィーチャが製作される基板面と反対側の前記基板の表面へ前記光プローブビームを向けるステップを含む請求項8の方法。
【請求項11】
更に、前記光反射を用いて、前記光プローブビームで照射した領域の曲率情報を更に取得するステップを含む請求項8の方法。
【請求項12】
更に、前記局部的曲率情報の取得において、光学式シャーリング干渉計を用いて、前記光反射を光学的に処理するステップを含む請求項8の方法。
【請求項13】
更に、前記光反射の光学的処理において、前記光学式シャーリング干渉計に2枚の光学的回折格子を用いて、光シャーリングを実行するステップを含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記光学式シャーリング干渉計は、半径方向シャーリング干渉計を備える請求項12の方法。
【請求項15】
前記光学式シャーリング干渉計は、くさび板を有するバイラテラルシャーリング干渉計を備える請求項12の方法。
【請求項16】
更に、前記層構造の欠陥基準に基づく温度変化の臨界値を、前記解析式を用いることにより計算するステップと、
製作中の温度変動が前記臨界値から離れるように制御するステップとを含む請求項7の方法。
【請求項17】
更に、前記層構造の欠陥基準に基づく曲率変化の臨界値を、前記解析式を用いることにより計算するステップと、
製作中の条件を制御して、曲率変化が前記臨界値から離れるように制御するステップとを含む請求項7の方法。
【請求項18】
前記基板は、前記誘電体層上に埋込み配線フィーチャを持つ少なくとも別の誘電体層と、2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくともひとつの縦方向バイアとを備える請求項7の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップと、
前記縦方向バイアに沿う計算した前記ストレスに従って処理条件を調整するステップとを含む方法。
【請求項19】
更に、前記計算した局部的ストレスに従って処理条件を調整するステップを備える請求項7の方法。
【請求項20】
システムであって、
誘電体層、および前記誘電体層に埋込まれる平行配線フィーチャにより製作される基板を支持する基板支持体と、
前記基板と相互作用して前記基板上の配線フィーチャの温度および曲率に関する情報を取得する検知モジュールと、
前記配線フィーチャを有する領域の曲率および温度情報、前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の形状情報、ならびに前記配線フィーチャ、前記誘電体層、および前記基板の材料情報により、前記配線フィーチャの局部的ストレスを計算するよう解析式でプログラムした処理モジュールとを備えるシステム。
【請求項21】
前記検知モジュールは、プローブ光ビームを前記基板に投射して、前記配線フィーチャの曲率を計測する光学式シャーリング干渉計システムを備える請求項20のシステム。
【請求項22】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、CGSシステムを備える請求項21のシステム。
【請求項23】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、半径方向剪断干渉計を備える請求項21のシステム。
【請求項24】
前記光学式シャーリング干渉計システムは、光学的シャーリングを実行するくさび板を備えるバイラテラルシャーリング干渉計を備える請求項21のシステム。
【請求項25】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャをもつ少なくとも2層の誘電体層と前記2層の誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくともひとつの縦方向バイアとを備え、
前記処理モジュールは更に、接続した前記配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記誘電体層および前記バイアの材料情報により、解析式を用いて前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するようプログラムされている請求項20のシステム。
【請求項26】
前記層構造は、埋込み配線フィーチャ上部の被覆層、および隣接する上部層を備え、前記処理モジュールは、前記解析式に前記被覆層の影響を含むようプログラムされている請求項25のシステム。
【請求項27】
方法であって、
互いに積み重ねられ、各層が埋込み配線フィーチャを有する複数の層を備える層構造を提供するステップと、
前記層構造の表面に関する情報を光学的に取得するステップと、
前記光学的取得情報を処理して前記表面の曲率情報を抽出するステップと、
解析式を適用して、前記配線フィーチャの部位の抽出した曲率情報、および局部的温度に基づいて、配線フィーチャの局部的ストレスを計算するステップとを含む方法。
【請求項28】
前記層構造は、2層の異なる誘電体層の配線フィーチャをそれぞれ接続する少なくとも1つの縦方向バイアを備える請求項27の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続された配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記接続された層および前記バイアの材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップを含む方法。
【請求項29】
前記表面の情報は、
プローブビームを前記表面に照射して、前記表面に関する情報を搬送する信号ビームを生成するステップと、
光学式シャーリング干渉計を用いて、前記信号ビームを光学的に処理して、シャーリング干渉パターンを生成するステップと、
前記シャーリング干渉パターンを用いて、前記曲率情報を抽出するステップとにより光学的に取得する請求項27の方法。
【請求項30】
更に、前記光学式シャーリング干渉計として2つの光学的回折格子を有する勾配検知システムを用いて、前記シャーリング干渉パターンを生成するステップを含む請求項27の方法。
【請求項31】
前記層構造は、2層の異なる層の配線フィーチャを接続する少なくともひとつの縦方向バイアを備える請求項27の方法であって、前記方法は更に、
解析式を用いて、前記接続した配線フィーチャの縦方向ストレス、局部的温度情報、前記配線フィーチャおよび前記バイアの形状情報、ならびに前記層および前記バイアの材料の材料情報により、前記縦方向バイアに沿ったストレスを計算するステップとを含む方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−519476(P2006−519476A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518847(P2005−518847)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/002235
【国際公開番号】WO2004/068554
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501272937)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/002235
【国際公開番号】WO2004/068554
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501272937)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】
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