説明

基板への塗膜形成方法及び基板への塗膜形成装置

【課題】 従来の塗膜形成方法は、作業工程が多く生産性が悪かった。塗料の接着性も優れず、二種類のフィルムが積層されるため塗膜基板が厚くなり、コスト高でもあった。
【解決手段】 走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布する方法である。また、フィルム、又はそのフィルムと基板を切断するようにすることもできる。走行中のフィルムに孔を開け、その孔を使用してフィルムを走行させることもできる。上記塗膜形成方法を実現する装置として、フィルムに塗料を塗布する塗布装置と、塗布された塗料を半乾燥状態にする半乾燥装置と、前記フィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布する貼付装置とを備えたものがある。前記貼付装置は真空貼付式とすることができる。また加圧式等とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子回路用基板、ICカード、液晶表示用基板といった電子部材として使用される単層又は積層の基板に、絶縁塗料や感光塗料といった各種塗料(レジスト)で塗膜を形成するための基板への塗膜形成方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部材としての基板(以下「基板」とする。)に絶縁塗料や感光塗料といったレジストを塗布して塗膜を形成する方法として、従来は以下に示すような方法があった。
(1)基板の一面又は両面に、ロールコーター等によって塗料を塗布し、その基板を乾燥させ、乾燥した基板に保護フィルムを貼付して塗装済み基板を形成する方法。
(2)予め塗料が塗布され、乾燥させてあるドライフィルムを基板に重ねて加熱加圧して、その塗料を基板の一面又は両面に貼付け(ホットラミネートし)、その上に保護フィルムを貼付する方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記(1)の方法では次のような課題があった。
(a)基板に塗料を塗布してから塗料を乾燥させるため乾燥までに手間や時間が掛かり、作業性が悪い。
(b)基板に塗料を塗って乾燥させるだけでは、塗料表面が波打って凹凸になり易く、平滑性に欠ける。
(c)基板に有底ホールやスルーホールがある場合、それらの内部に塗料が充填されにくい。
【0004】
前記(2)の方法では次のような課題があった。
(a)ドライフィルムの塗料を加熱して溶融させる加熱工程が必要であるため、加熱に手間や時間が掛かり、作業性が悪い。
(b)乾燥している塗料を溶融させるためには高熱が必要になり、その高熱でフィルム又は基板が変質したり、歪んだり、伸縮したりするおそれがある。
(c)ドライフィルムの上に保護フィルムを重ねるため、フィルムの貼り付け作業が面倒であり、二種類のフィルムが必要となり、作業性が悪く、コスト高の一因となる。
(d)基板表面の塗料の平滑性に難点がある。
(e)基板のホール内まで塗料が充填しにくく、絶縁不良の原因となることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基板への塗膜形成方法及び装置は、簡易な構成で基板への塗料塗布ができ、フィルムへの塗料の塗布からその塗料の基板への塗布までを自動的に連続して行うことができ、塗料を平滑に且つ確実に塗布することができるものである。
【0006】
本件出願の基板への塗膜形成方法は、走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布する方法である。また、半乾燥状態の塗料を基板に塗布したフィルム、又はそのフィルムと基板を切断するようにすることもできる。前記の基板への塗膜形成方法において、走行中のフィルムに孔を開け、その孔を使用してフィルムを走行させることもできる。
【0007】
本件出願の基板への塗膜形成装置は、走行中のフィルムに塗料を塗布する塗布装置と、塗布された塗料を半乾燥状態にする半乾燥装置と、前記フィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布する貼付装置とを備えたものである。前記貼付装置は真空貼付式とすることができる。貼付装置はフィルムをローラーで加圧する加圧式、又はフィルムを加熱ローラーで加熱してから他の加圧ローラーで加圧する加圧式と加熱式の併用、又はフィルムを加熱ローラーで加熱し加圧もする加熱加圧式とすることもできる。前記塗布装置は回転ロール式であって、回転ロールの表面の全面又は一部をフィルムに塗料を塗布する塗料塗布部分とすることができる。また、本件出願の基板の塗膜形成装置は、前記塗膜形成装置において、走行中のフィルムの幅方向両端部にフィルムの長手方向に間隔をあけて孔を開口する孔加工装置と、前記孔に挿入できる突起を二以上備えた回転搬送体を設け、回転搬送体を回転中に突起がフィルムの孔に入り込んで前記フィルムを搬送することができるものとすることもできる。基板は手作業で供給することできるが、基板供給装置を設けて、それから基板を供給することもできる。この場合、基板が一枚ずつの単葉のものの場合は一枚ずつ供給し、連続基板の場合は連続的に供給する。また、フィルムが回路パターンや所定形状を模様等を有し、そのパターンや模様の塗料を基板の所定位置に塗布する場合は、塗料が塗布されているパターンや模様を基板の所定位置に位置合わせして供給し、そのような位置合わせが必要ない場合は、位置合わせせずに供給することができる。基板にフィルムを貼付けた後に、連続するフィルムだけを、又は連続するフィルムと連続する基板とを共に切断することのできる切断装置を備えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本願の請求項1記載の基板への塗膜形成方法は、走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布するので、次のような効果がある。
(1)フィルムへの塗料の塗布から、その塗料の半乾燥、基板へのフィルムの貼付けまでを、フィルムの走行中に自動的に連続して行なうことができるため、作業性が良い。
(2)塗料が半乾燥の状態でフィルムを基板に貼り付けるので、塗料を基板に張り付け易く、基板への塗料の接着性が良く、基板に塗布された塗料が平滑になる。
(3)基板に貼付されるのは保護フィルム層だけであるため、基板にドライフィルムと保護フィルムとの双方を貼付する従来方式に比してフィルムの枚数が少なくなり、コストの低減ができる。
【0009】
本願の請求項2記載の基板への塗膜形成方法は、走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布し、そのフィルム、又はそのフィルムと基板を切断するので、次のような効果がある。
(1)フィルムへの塗料の塗布から、その塗料の半乾燥、基板へのフィルムの貼付けまでを、フィルムの走行中に自動的に連続して行なうことができるため、作業性が良い。
(2)塗料が半乾燥の状態でフィルムを基板に貼り付けるので、塗料を基板に張り付け易く、基板への塗料の接着性が良く、基板に塗布された塗料が平滑になる。
(3)基板に貼付されるのは保護フィルム層だけであるため、基板にドライフィルムと保護フィルムとの双方を貼付する従来方式に比してフィルムの枚数が少なくなり、コストの低減ができる。
(4)単葉の基板に連続するフィルムが貼られて搬送されてきた場合に、フィルムを基板に合わせて切断して基板ごとに分離することができる。
(5)連続する基板に連続するフィルムが貼られて搬送されてきた場合は、フィルムと基板を同時に切断して所望形状のフィルム付き基板を形成することができる。
【0010】
本願の請求項3記載の基板への塗膜形成方法は、走行中のフィルムに孔を開け、その孔を使用してフィルムを走行させるようにしたため、上記各効果に加えて、次のような効果もある。
(1)2枚のフィルムを基板の両面に貼り付ける場合等、孔に搬送体の一部を挿し込んで搬送すれば、2枚のフィルムが同期して搬送され、位置ずれしない。このため、フィルムに所定形状、パターン等の塗料が塗布されていても、2枚のフィルムのそれら形状、パターン等が位置ずれすることなく基板に塗布される。
(2)重ねてある二枚のフィルムの両外面に塗料が塗布されていても、そのフィルムの塗料が搬送体に付着することなくフィルムを搬送させることができる。
【0011】
本願の請求項4記載の基板への塗膜形成装置は、塗料をフィルムに塗布する塗料塗布装置、塗料を半乾燥状態にする半乾燥装置、フィルムを基板に貼付する貼付装置を備えているので次のような効果がある。
(1)フィルムへの塗料の塗布から、その塗料の半乾燥、基板へのフィルムの貼付けまでを、フィルムの走行中に自動的に連続して行なうことができるため、作業性が良い。
(2)塗料が半乾燥の状態でフィルムを基板に貼り付けるので、塗料を基板に張り付け易く、基板への塗料の接着性が良く、基板に塗布された塗料が平滑になる。
(3)基板に貼付されるのは保護フィルム層だけであるため、基板にドライフィルムと保護フィルムとの双方を貼付する従来方式に比してフィルムの枚数が少なくなり、コストの低減ができる。
【0012】
本願の請求項5記載の基板への塗膜形成装置はフィルム貼り付け装置が真空貼付け方式であるため次のような効果がある。
(1)基板表面の空気、基板の有底ホール又はスルーホール内の空気が除去され、フィルムが基板に密着し、塗料の接着が確実になり、塗料表面が平滑に仕上がる。
(2)半乾燥状態の塗料が基板の有底ホール又はスルーホール内にまで充填されるので、基板のホール内の絶縁性が向上する。
(3)塗料中の気泡も除去することができ、塗膜形成後の基板の表面にピンホールが形成されるおそれも減少する。
【0013】
本願の請求項6記載の基板への塗膜形成装置はフィルム貼り付け装置が加圧ローラー式、又は加熱ローラー式と加圧ローラー式の併用、または加熱加圧ローラー式であるため次のような効果がある。
(1)半乾燥状態の塗料を基板に貼り付けるので、貼付装置がフィルムをローラーで加圧する加圧式、又はフィルムを加熱ローラーで加熱してから他の加圧ローラーで加圧する加圧式と加熱式の併用、又はフィルムを加熱ローラーで加熱し加圧もする加熱加圧式であっても、塗料を基板に確実に塗布することができる。
(2)半乾燥状態の塗料を加圧して基板に塗布するので、基板へ塗布された塗料表面が平滑になる。
(3)加熱ローラーの温度が低くても塗料を基板に確実に塗布することができる。このため、加熱ローラーの加熱温度を高くすることにより生ずるフィルムの変形や変質、基板の変形等が発生しない。
(4)加熱加圧式又は加熱式を併用した場合は、加熱と同時に加圧が行なわれるので、塗料が基板に塗布され易く、塗料の乾燥も促進され、短時間での塗膜形成が可能となる。
【0014】
本願の請求項7記載の基板への塗膜形成装置は塗布装置が回転ロール式であって、回転ロールの表面の全面又は一部がフィルムに塗料を塗布する塗料塗布部分であるため次のような効果がある。
(1)回転ロールの表面の全面がフィルムに塗料を塗布する塗料塗布部分である場合は、回転ロールの表面をフィルムの幅に合わせれば、フィルムの全面に塗料を塗布することができる。
(2)回転ロールの表面の一部がフィルムに塗料を塗布する塗料塗布部分である場合は、塗料塗布部分に付着した塗料だけをフィルムに塗布できるので、フィルムの塗布不要部分にまで塗料が塗布されることが無く、塗料の無駄がなくなる。塗料塗布部分をフィルムに塗布したい所望形状、パターンにして、それら形状、パターンの塗料をフィルムに塗布することができる。
【0015】
本願の請求項8記載の基板への塗膜形成装置は孔加工装置と回転搬送体を備えているので次のような効果がある。
(1)孔加工装置により走行中のフィルムの幅方向両端部に、フィルムの長手方向に間隔をあけて孔を開口し、回転搬送体を回転させてその突起を前記孔に挿入すれば、フィルムが連続的に送り出されて搬送される。
(2)2枚のフィルムを基板の両面に貼り付ける場合等、回転搬送体を回転させてその突起を前記孔に挿入すれば、2枚のフィルムが同期して搬送され、位置ずれしない。このため、フィルムに所定形状、パターン等の塗料が塗布されていても、2枚のフィルムのそれら形状、パターン等が位置ずれすることなく基板に塗布される。
(3)重ねてある二枚のフィルムの両外面に塗料が塗布されていても、そのフィルムの塗料が搬送体に付着することなくフィルムを搬送させることができる。
【0016】
本願の請求項9記載の基板への塗膜形成装置は基板供給装置を備えているので次のような効果がある。
(1)基板を貼付けるフィルムの上或は下に自動的に供給することができ、作業性が良い。
(2)基板供給装置が、基板をフィルムの塗料塗布部分と位置合わせして供給できるものの場合は、基板の所定位置にフィルムの塗料を塗布することができ、位置合わせが確実にできる。
(3)基板及びフィルムの塗料塗布部分に作業者が手を触れることがないため作業が容易になり、基板やフィルムが汚れることもない。
【0017】
本願の請求項10記載の基板への塗膜形成装置は切断装置を備えているので次のような効果がある。
(1)単葉の基板に連続するフィルムが貼られて搬送されてきた場合に、フィルムを基板に合わせて切断して基板ごとに分離することができる。
(2)連続する基板に連続するフィルムが貼られて搬送されてきた場合は、フィルムと基板を同時に切断して所望形状のフィルム付き基板を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
本発明の基板への塗膜形成方法は、図1に示す塗膜形成装置を用いて実施される。本発明の基板への塗膜形成方法を実施する塗膜形成装置の実施形態の一例を図1〜図6に基づいて説明する。図1、図2に示す塗膜形成装置1は、フィルム2を巻き回したリール10を備えるリール室4、孔加工装置11を備える孔加工室5、塗布装置12を備える塗布室6、部屋全体を半乾燥装置13として機能させる半乾燥室7、基板供給装置14、貼付装置15、切断装置16を備える貼付室8の各室に分けて構成されている。いずれの部屋もクリーンルームとしてあり、内部のフィルム2や基板電子部材用基板(以下「基板」とする。)3に塵埃等が付着しないようにしてある。
【0019】
本発明の塗膜形成装置1は、図1、図2に示すように、二個のリール10から引き出した二枚のフィルム2を重ね合わせて搬送し、孔加工装置11によって、二枚のフィルム2の幅方向両端部に、フィルム2の長手方向に所定間隔で連続して孔20(図3参照。)を多数個開口し、塗布装置12によって、フィルム2のうち基板3と接着する面に塗料を塗布し、半乾燥装置13によって、フィルム2に塗布した塗料を半乾燥状態とし、半乾燥状態の二枚のフィルム2を各フィルム毎に分離させて搬送し、その二枚のフィルム2間に、基板供給装置14によって、フィルム2を貼付する基板3を供給し、貼付装置15によって、半乾燥状態のフィルム2を基板3の両面に貼付してその塗料を基板3に塗布し、フィルム切除装置1によって、基板3の大きさ及び形状に合わせて、基板3に貼り付けたフィルム2、又はフィルム2及び基板3を切除して、基板3に塗膜を形成する装置である。前記塗布室6、半乾燥室7、貼付室8内には、孔20を開口したフィルム2を搬送するための回転搬送体17が複数個備えられている(図3参照。)。本実施形態の塗膜形成装置1は、基板3の両面にフィルム2を貼付して塗膜を形成するものであるが、本発明の塗膜形成装置は、基板3の片面にのみフィルム2を貼付して塗膜を形成するものとする等、任意の構成とすることができる。
【0020】
本実施形態の塗膜形成装置1に用いられる基板3は、電子回路用基板、液晶表示用基板等の電子部材用基板であって、樹脂製の板状部材である。基板3にはベークライト等の汎用硬質樹脂や機能性樹脂といった任意の樹脂材を用いることができる。また、基板3には、ガラス材や金属材等、その他電子部材用基板に使用される任意の素材を用いることもできる。基板3は単層板であっても積層板であってもよい。また、基板3には、有底ホール、スルーホール等のホールを形成することもできる。
【0021】
本実施形態の塗膜形成装置1に用いられるフィルム2は塗料を塗布でき、基板3に塗布された塗料を保護できるものであれば、どのような樹脂製のフィルム材であってもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の汎用樹脂や機能性樹脂等の任意の樹脂材を用いることができる。本実施形態では、フィルム2は、リール等に巻き回し可能な連続フィルムであるが、フィルム2は、既に所定長に切断されている単葉のフィルムを用いることも可能である。
【0022】
前記フィルム2に塗布される塗料は絶縁塗料、感光塗料といった各種塗料(レジスト)等、任意の塗料とすることができる。フィルム2に塗布する塗料の粘度は、任意とすることができる。
【0023】
前記リール室4には、図1に示すように、フィルム2を巻き回したリール10が二個備えられている。二つのリール10から引き出されたフィルム2は、リール室4内に備えられたガイドローラー18によってガイドされて、二枚重ねにされて孔加工室5へと搬送されていくようにしてある。
【0024】
前記孔加工室5には、図1に示すように、フィルム2に孔を開口させる孔加工装置11が備えられている。孔加工装置11は、図1に示すような針状の開口具19を複数備え、搬送されてくる二枚重ねのフィルム2の幅方向両端部に、フィルム2の長手方向に所定間隔で連続して孔20(図3参照。)を多数個開口する。開口具19は図に示す針状のものには限られず、円板状の部材の外周に孔開口用の針を複数本備え、回転しながら連続してフィルム2に孔を開口できるロータリー状のものとすることもできる。孔加工装置11によって孔20を開口された二枚のフィルム2は、塗布装置12に搬送されていくようにしてある。孔20の開口間隔や孔20の径等は、任意とすることができる。
【0025】
前記塗布室6には、図1〜図4に示すように、孔20を開けた二枚のフィルム2を搬送する複数個の回転搬送体17と、その回転搬送体17によって走行中の二枚のフィルム2の両側から塗料を塗布する塗布装置12とが備えられている。
【0026】
前記回転搬送体17は、図3に示すように、回転軸21の両端部に、外周面に突起22を複数個備えた回転板23が備えられたものである。図3に示すように、二枚の回転板23は、回転軸21によって同期回転するようにしてある。回転搬送体17は、突起22を孔20に挿し込んでフィルム2上に突出させて備えられている。従って、その状態で回転板23を図3中の矢印A方向に回転させると、突起22が孔20に引っかかった状態で回転板23が回転し、回転板23の突起22が連続して孔20に挿し込まれ、フィルム2が図中矢印B方向に搬送される。本実施形態の場合、二枚のフィルム2の孔20に突起22を挿し込んで搬送するため、二枚のフィルム2を同期して搬送させることができ、位置ずれをさせないという利点がある。回転板23の設置数は、図に示す二枚には限られず、任意の数だけ設置することができる。回転板23の径や備えられる突起22の数等は、任意とすることができる。また、回転搬送体17は、図に示すような、突起22を備える回転板23を用いた構造のものには限られず、突起を備えた回転ベルトを用いた構造とする等、任意のものとすることができる。図4に示すように、塗布室6内の回転搬送体17は、孔加工室5から搬入された二枚のフィルム2を、塗布装置12間に下方から上方に向けて搬入できるように搬送し、塗布装置12によって塗料を塗布させて、半乾燥室7へ搬送できるように配置してある。
【0027】
前記塗布装置12は、図4に示すように、下方から上方に向けて縦方向に搬送される二枚重ねのフィルム2の両側に夫々一つずつ備えられている。この塗布装置12は回転ロール式であり、その回転ロールが、回転しながら、回転ロール間を下方から上方に向けて立てて搬送される二枚重ねのフィルム2の両面に押し付けられて、フィルム2のうち基板3と接着する面に塗料を塗布できるようにしてある。回転ロールは、ゴム製、樹脂製、金属製、セラミックス製といった任意の回転ロールを用いることができる。塗布装置12の回転ロールには、形成する塗膜の厚さと同じ深さの溝(図示しない)が形成され、塗料塗布部としてある。また、塗布装置12には、図4に示すように、塗料供給装置24が塗布装置12に接触させて備えられている。前記塗料供給装置24は、図4に示すように、回転ロールであって、塗料を常に供給できるように、塗料容器33内の塗料34に接触するように備えられている。塗料供給装置24は、接触する塗布装置12の回転にあわせて回転し、塗布装置12に塗料を供給する。更に、塗布装置12の表面には、ロール用スキージ(図示しない)を当てて、塗料供給装置24によって塗布装置12の表面に供給された塗料のうち、溝内に収容された塗料以外の余分な塗料を削ぎ落とすことができるようにしてある。従って、塗料供給装置24によって塗布装置12に塗料が供給され、塗布装置12表面にロール用スキージ(図示しない)を当てて余分な塗料を削ぎ落とすと、溝内の塗料のみが塗布装置12に残る。その溝内の塗料をフィルム2に塗布して、所望の厚さの塗膜を形成することができる。即ち、塗布装置12に形成する溝の深さを調節して、保護フィルム5に形成する塗膜の厚さを調節することができる。塗膜の厚さは任意とすることができるが、例えば、0.1μm〜50μm以上とすることができる。また、塗布装置12の表面に、溝を形成しない部分を形成すれば、塗料供給装置24によってその部分に供給された塗料はロール用スキージによって削ぎ落とされ、その部分には塗料が残らず、保護フィルム5に、塗料が塗布されない余白部分を形成することができる。従って、回転ロール式の塗布装置12のうち、溝を形成した部分のみを塗料塗布部とすることができる。前記溝の形成位置は任意に決めることができる。また、前記塗料塗布部は、溝には限られず、ロールの外周面から一段高く突出させ、その突出部を塗料塗布部とすることもできる。その場合、塗料供給装置24から供給される塗料は、そのロール外周面から突出した塗料塗布部に付着し、その塗料をフィルム2に塗布できるようになる。前記塗布装置12及び塗料供給装置24はロール状のものに限られず、フィルム2に塗料を塗布可能であれば、インクジェット装置や、スプレー装置や、刷毛等、任意の装置とすることができる。
【0028】
塗布装置12の上方には、図4に示すように、フィルム用スキージ25が備えられ、塗布装置12によって塗料を塗布された二枚のフィルム2を両側から挟むようにして、フィルム2に塗布された余分な塗料を掻き落としたり、均したりできるようにしてある。フィルム用スキージ25は、図4に示すように、フィルム2の搬送方向に厚みを持った板状の部材であり、フィルム2を両側から挟むようにして、フィルム2に塗布された余分な塗料を掻き落としたり、均したりするものである。フィルム2とフィルム用スキージ25の接触面は幅広であることが望ましい。フィルム用スキージ25によって、余分な塗料を掻き落としたり、均したりされたフィルム2は、回転搬送体17によって、前記半乾燥室7内に搬送される。
【0029】
塗布装置12は、ロールの外周面に、複数本のリング状の溝や、螺旋状の溝を備えて、塗りムラがなくなるようにすることもできる。また、塗料供給装置24を省略して、塗布装置12に直接塗料を供給することもできる。
【0030】
塗布装置12へのフィルム2の搬入方向は、図に示すように、垂直方向に上向きには限られず、垂直方向に下向きや、水平方向に横向きや、斜め向き等、任意の方向とすることができる。また、フィルム2の幅方向一端を高くして、フィルム2を斜めに傾けて塗布装置12へ搬入することもできる。
【0031】
前記半乾燥室7は、図1に示すように、室内全体を半乾燥装置13として使用するものである。この半乾燥装置13は、ヒータ(図示しない)と、前記塗布室6内に配置されたものと同様の回転搬送体17を複数個備えてなる。ヒータ及び回転搬送体17は、半乾燥装置13中に任意数設置することができる。回転搬送体17の配置も、図1に示すジグザグの配置には限られず、任意の配置とすることができる。半乾燥室7内の回転搬送体17は、塗布室6内で塗料を塗布された二枚のフィルム2を搬送しながら半乾燥化させ、塗料が半乾燥状態となったフィルム2を貼付室8へと搬送させるように配置してある。塗布室6内で塗料を塗布された二枚のフィルム2は、半乾燥室7(半乾燥装置13)内に搬入され、半乾燥室7内を複数個の回転搬送体17によって搬送される間に、フィルム2に塗布された塗料が半乾燥状態とされる。ここで半乾燥状態とは、塗料が生乾きとなった状態であり、フィルム2をどのような方向に向けても塗料が垂れ落ちず、塗料の膜厚が変化しない状態であって、基板等にフィルム2を接着させれば、塗料が基板に塗布される程度の乾燥度のことを言う。半乾燥室7(半乾燥装置13)内は、例えば、80℃とされ、搬入されたフィルム2を20分かけて搬出するようにすることができる。半乾燥室7(半乾燥装置13)内の設定温度及び、搬入から搬出までの所要時間は、ヒータの設置数や各ヒータの設定温度、回転搬送体の設置数や配置を調節することによって、任意に設定することができる。また、半乾燥室7(半乾燥装置13)の入口付近と出口付近とを、室外との急激な温度変化を避けるべく、若干低めの設定温度とすることもできる。半乾燥室7(半乾燥装置13)内で、塗布された塗料を半乾燥状態とされた二枚のフィルム2は、前記貼付室8へと搬送される。
【0032】
前記貼付室8には、図5(a)(b)に示すように、前記塗布室6と同様の回転搬送体17と、基板3をフィルム2間に自動供給する基板供給装置14と、塗布された塗料が半乾燥状態となったフィルム2を真空状態下で基板3に貼付する貼付装置15と、基板3に貼付したフィルム2、又はそのフィルム2及び基板3を切断する切断装置16とが備えられている。また、貼付室8には、図5(a)(b)に示すように、フィルム2を貼付した基板3を側方へ搬送する側方搬送体26と、基板3に貼付したフィルム2、又はそのフィルム2及び基板3を切断した基板を排出する基板排出装置30も備えられている。
【0033】
貼付室8内の回転搬送体17は、図5(a)に示すように、二枚重ねて搬送されてきたフィルム2のうち一方を上方へ、他方を下方へと夫々分けて搬送し、各フィルム2の塗料塗布部分同士が上下に対向するように方向変換させながら搬送するように配置されている。図5(a)に示すように、下方へ搬送されたフィルム2は、その塗料塗布部分上に基板3を載せられるようにされ、上方へ搬送されたフィルム2は、先に下方のフィルム2上に載せられた基板3の上面にフィルム2の塗料塗布部分を配置できるようにしてある。
【0034】
前記基板供給装置14は、図5(a)(b)に示すように、吸着アーム27によって基板3を吸着し、下方へ搬送されたフィルム2の塗料塗布部分上まで移動し、その塗料塗布部分に位置合わせをして下方のフィルム2上に基板3を配置できるものである。この基板供給装置14は、基板3が一枚ずつの単葉のものの場合は一枚ずつ供給し、連続基板の場合は、連続的に供給することができる。基板供給装置14は、センサ等を備え、下方へ搬送されたフィルム2の塗料塗布部分との位置合わせを正確に行えるようにしてある。もっとも、基板供給装置14は、下方へ搬送されたフィルム2の塗料塗布部分との位置合わせをせずに基板3を供給することもできる。
【0035】
前記貼付装置15は、図5(a)(b)に示すように、上下両面にフィルム2が配置された基板3を搬入して、真空状態下で加圧及び加熱し、図6(a)に示すようにフィルム2を基板3の両面に同時に押し付けてフィルム2を基板3に貼り付け、フィルム2に塗布された半乾燥状態の塗料を基板3に塗布(転写)する装置である。図6(b)に示すように、基板3には塗膜層9が形成される。貼付装置15には、例えば真空ラミネータ等が用いられる。もっとも、貼付装置15は、既存の真空ラミネータには限られず、フィルム2をローラーで加圧する加圧式のもの、又はフィルムを加熱ローラーで加熱してから他の加圧ローラーで加圧する加圧式と加熱式の併用のもの、又はフィルムを加熱ローラーで加熱し加圧もする加熱加圧式のもの等、任意のものとすることができる。その場合、真空室内にそれらローラーを備えることが望ましい。また、貼付装置15は、前記のものには限られず、塗料が塗布されたフィルム2を基板4に押し付けてフィルム2の塗料を基板に塗布(転写)可能であれば、板状のプレスボード等、任意の装置とすることもできる。
【0036】
前記切断装置16は、貼付装置15によってフィルム2を両面に貼付した後の基板3の、基板3に貼付したフィルム2、又はそのフィルム2及び基板3を切断し、各基板ごとに切り分ける装置であって、図5(b)に示すように、切刃28、29を二箇所に設けている。従って、この切断装置16によって、単葉の基板3に連続するフィルム2が貼られて搬送されてきた場合には、フィルム2を基板3に合わせて切断して基板ごとに分離することができ、連続する基板3に連続するフィルム2が貼られて搬送されてきた場合には、フィルム2と基板3を同時に切断して所望形状のフィルム付き基板を形成することができる。切刃28は貼付装置15の搬送方向先方に配置され、切刃29は、切刃28の搬送方向先方に設けられた側方搬送体26の途中に配置されている。貼付装置15によってフィルム2を両面に貼付した後の基板3は、貼付装置15直後の切刃28によって、フィルム2及び基板3の搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を、基板3の搬送中に切断される(図5b中矢印A)。切刃28によって搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を切断された基板3は、図5(b)に示す側方搬送体26に載せられ、側方へ搬送される(図5b中矢印B)。側方搬送体26によって側方へ搬送される基板3は、切刃29によって側方搬送体26にフィルム2及び基板3の搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を、基板3の搬送中に切断される。
【0037】
前記基板排出装置30は、側方搬送体26の終端部に備えられ、切断装置16によって、各基板3ごとに切り分けられた基板3を、貼付室8から搬出する装置である。この基板排出装置30も、前記基板供給装置14と同様に吸着アーム31を備え、側方搬送体26の終端部まで搬送された基板3を吸着して、移動させる。基板排出装置30によって貼付室8から排出された基板3は、露光、フィルム剥離、現像(アルカリ洗浄)、中和(酸洗浄)、洗浄(水洗浄)、乾燥の各後処理工程を経て、電子回路用基板等とされる。露光装置、フィルム剥離装置、現像(アルカリ洗浄)装置、中和(酸洗浄)装置、洗浄(水洗浄)装置、乾燥装置の各後処理装置には、現存する又は新たに改良、開発されたいずれの装置を用いることができる。
【0038】
(使用例1)
本実施形態の基板への塗膜形成装置を用いて、図6(b)に示す塗膜形成基板を形成するには、次のようにする。
(1)リール室4内の二つのリール10から夫々フィルム2を引き出し、ガイドローラー18によってガイドして、二枚重ねにして孔加工室5へと搬送する。
(2)孔加工室5内では、孔加工装置11によって、孔加工室5内に搬送した二枚重ねのフィルム2の長手方向に所定間隔で連続して孔20を多数個開口させる。孔20を開口された二枚のフィルム2は、塗布室6へと搬送される。
(3)塗布室6内では、回転搬送体17によって塗布室6内を搬送される二枚のフィルム2の両側から、塗布装置12によって塗料を塗布する。塗料を塗布された二枚のフィルム2は、半乾燥室7へと搬送される。
(4)半乾燥室7内では、塗料を塗布したフィルム2を回転搬送体17で搬送して、フィルム2に塗布された塗料を半乾燥状態とする。半乾燥室7(半乾燥装置)内は、例えば80℃とし、搬入したフィルム2を20分かけて搬出するようにすることができる。塗布された塗料を半乾燥状態とした二枚のフィルム2は、貼付室8へと搬送される。
(5)貼付室8内では、回転搬送体17によって、二枚重ねて搬送されてきたフィルム2のうち一方を上方へ、他方を下方へと夫々分けて搬送し、各フィルム2の塗料塗布部分同士が上下に対向するように方向転換させながら搬送する。
(6)基板供給装置14によって、下方へ搬出されたフィルム2の塗料塗布部分上に基板3を位置合わせして配置する。その後、下方へ搬出されたフィルム2上に配置された基板3の上面に、上方へ搬送されたフィルム2の塗料塗布部分を配置する。
(7)貼付装置15によって、上下両面にフィルム2が配置された基板3を、真空状態下で加圧及び加熱し、フィルム2を基板3の両面に同時に押し付けてフィルム2を基板3に貼り付け、フィルム2に塗布された半乾燥状態の塗料を基板3に塗布(転写)する(図6参照。)。
(8)貼付装置15によってフィルム2を両面に貼付した後の基板3は、切断装置16の切刃28によって、搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を、基板3の搬送中に切断される(図5b中矢印A)。切刃28によって搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を切断された基板3は、図5(b)に示す側方搬送体26に載せられ、側方へ搬送される(図5b中矢印B)。側方搬送体26によって側方へ搬送される基板3は、切断装置16の切刃29によって側方搬送体26に搬送方向前後側のフィルム2、又はフィルム2及び基板3を、基板3の搬送中に切断される。
(9)基板排出装置30によって、各基板3ごとに切り分けられた基板3を、貼付室8から搬出する。
上記(1)〜(9)に工程を連続して行うことによって、フィルム2を両面に貼り付けて塗膜を形成した基板3を連続して生産することができる。
また、上記(1)〜(9)の工程によって生産された、フィルム2を両面に貼り付けて塗膜を形成した基板3は、その後に露光、フィルム剥離、現像(アルカリ洗浄)、中和(酸洗浄)、洗浄(水洗浄)、乾燥の各後処理工程を経て、電子回路用基板等とすることができる。
【0039】
(実施形態2)
本発明の塗膜形成装置では、フィルム2への塗料の塗布方法は前記実施形態1記載の方法には限られず、回転ロール式の塗布装置12を、溝や突出部等の塗料塗布部を形成しない単なる回転ロールとし、その塗布装置12に、回転ロール式の、溝や突出部等の塗料塗布部を形成した移行ロールを接触させ、その移行ロールに、塗料供給装置24を接触させて、塗料塗布装置24から移行ロールの塗料塗布部に塗料を供給し、移行ロールに供給した塗料を塗布装置12に転写し、その塗布装置12に転写した塗料をフィルム2に塗布するようにすることもできる。前記移行ロールも、塗布装置12の回転ロールと同様に、ゴム製、樹脂製、金属製、セラミックス製といった任意の材質製のロールを使用することができる。
【0040】
(実施形態3)
前記各実施形態では、本発明の基板への塗膜形成装置は、前記図1記載のように、リール室4、孔加工室5、塗布室6、半乾燥室7、貼付室8の各室を横方向に連続させて配置し、横方向にフィルム2を搬送する横型装置であったが、これには限られず、リール室4、孔加工室5、塗布室6、半乾燥室7、貼付室8の各室を縦方向に連続させて配置し、縦方向にフィルム2を搬送する縦型装置とすることもできる。また、リール室4、孔加工室5、塗布室6、半乾燥室7、貼付室8の各室の一部だけを縦向き又は横向きとすることもできる。また、リール室4、孔加工室5、塗布室6、半乾燥室7、貼付室8の各室又はその一部を斜め方向に連続させて配置し、斜め方向にフィルム2を搬送する斜め型装置とすることもできる。
【0041】
(実施形態4)
前記各実施形態では、本発明の基板への塗膜形成装置は、貼付装置15によって、上下両面にフィルム2が配置された基板3を、真空状態下で加圧及び加熱し、フィルム2を基板3の両面に同時に押し付けてフィルム2を基板3に貼り付け可能としているが、これには限られず、基板3の片面に先にフィルム2を貼付し、その後他面にフィルム2を貼付するようにすることもできる。この場合は、基板のホール内の気泡や基板表面の空気を片面ずつ確実に取り除くことができ、フィルム2を基板3に密着させ易くなる。
【0042】
(実施形態5)
前記各実施形態では、フィルム2を基板3に貼付して、その塗料を基板3に塗布する際には、フィルム2に塗布した塗料を半乾燥室7内で半乾燥状態にしたものを貼付していたが、これには限られず、フィルム2に塗布した塗料を半乾燥状態にさせずに、塗料を塗布した状態のままフィルム2を基板3に貼付させるようにすることもできる。その場合、塗布する塗料の粘度は、例えば、18〜40センチポアズ(cP)程度といった、搬送中に塗料が垂れ落ちず、基板3の有底ホールやスルーホールに充填可能な粘度とすることが望ましい。
【0043】
(実施形態6)
前記各実施形態では、図3に示すように、孔加工装置11によって、孔加工室5内に搬送した二枚重ねのフィルム2の長手方向に所定間隔で連続して孔20を多数個開口させ、回転搬送体17の突起22を孔20に挿し込んでフィルム2上に突出させ、その状態で回転板23を回転させてフィルム2を搬送していたが、フィルムの搬送方法はこれには限られず、フィルム2に孔を開口させずに、搬送体をすべてローラーコンベアとする等、任意の方法によって搬送することができる。
【0044】
(その他の実施形態)
本発明の塗膜形成装置は、基板3の片面にのみフィルム2を貼付して塗膜を形成するものとすることもできる。その場合、リール10、塗布装置12、貼付装置15等の各装置を、基板3の片面にのみフィルム2を貼付して塗膜を形成するための構成とすることができる。また、この他にも、本発明の塗膜形成装置は、基板に塗膜を形成可能であれば、任意の構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の基板への塗膜形成方法及び塗膜形成装置は、基材に塗膜を形成するものであれば、例えば、金属板にペンキ等の塗料を塗布する場合とか、他の分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の塗膜形成装置の実施形態の一例を示す正面図。
【図2】図1に示す塗膜形成装置の実施形態の一例を示す正面図。
【図3】図1に示す塗膜形成装置の回転搬送体によるフィルムの搬送の様子を示す説明斜視図。
【図4】図1に示す塗膜形成装置の塗布室内の様子を示す正面図。
【図5】(a)は、図1に示す塗膜形成装置の貼付室内の様子を示す正面図。(b)は(a)に示す貼付室内の様子を示す平面図。
【図6】(a)は本発明の塗膜形成方法及び塗膜形成装置によって基板に塗膜を形成する場合の説明図、(b)は本発明の塗膜形成方法及び塗膜形成装置によって基板に塗膜を形成した様子を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 塗膜形成装置
2 フィルム
3 基板
4 リール室
5 孔加工室
6 塗布室
7 半乾燥室
8 貼付室
10 リール
11 孔加工装置
12 塗布装置
13 半乾燥装置
14 基板供給装置
15 貼付装置
16 切断装置
17 回転搬送体
20 孔
21 回転軸
22 突起
23 回転板





【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布することを特徴とする基板への塗膜形成方法。
【請求項2】
走行中のフィルムに塗料を塗布し、塗布された塗料を半乾燥状態にし、そのフィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布し、そのフィルム、又はそのフィルムと基板を切断することを特徴とする基板への塗膜形成方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の基板への塗膜形成方法において、走行中のフィルムに孔を開け、その孔を使用してフィルムを走行させることを特徴とする基板への塗膜形成方法。
【請求項4】
走行中のフィルムに塗料を塗布する塗布装置と、塗布された塗料を半乾燥状態にする半乾燥装置と、前記フィルムを走行中に基板に貼付して半乾燥状態の塗料を基板に塗布する貼付装置とを備えたことを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の基板への塗膜形成装置において、貼付装置が真空貼付式であることを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の基板への塗膜形成装置において、貼付装置がフィルムをローラーで加圧する加圧式、又はフィルムを加熱ローラーで加熱してから他の加圧ローラーで加圧する加圧式と加熱式の併用、又はフィルムを加熱ローラーで加熱し加圧もする加熱加圧式であることを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の基板への塗膜形成装置において、塗布装置が回転ロール式であって、回転ロールの表面の全面又は一部がフィルムに塗料を塗布する塗料塗布部分であることを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の基板への塗膜形成装置において、走行中のフィルムの幅方向両端部にフィルムの長手方向に間隔をあけて孔を開口する孔加工装置と、前記孔に挿入できる突起を二以上備えた回転搬送体を備え、この回転搬送体は回転中に突起がフィルムの孔に入り込んで前記フィルムを搬送することを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の基板への塗膜形成装置において、フィルムを貼付する基板を供給する基板供給装置を備え、基板供給装置はフィルムの塗料塗布部分と位置合わせして、又は位置合わせせずに供給することを特徴とする基板への塗膜形成装置。
【請求項10】
請求項4乃至請求項9のいずれかに記載の基板への塗膜形成装置において、基板に貼付けられたフィルムを、又はフィルムと基板とを共に切断する切断装置を備えたことを特徴とする基板への塗膜形成装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−815(P2007−815A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185760(P2005−185760)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(391052622)株式会社都ローラー工業 (19)
【出願人】(593222779)東京エレテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】