説明

基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体

【課題】乾燥ユニットにおける基板に対する乾燥性能を向上させることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体を提供する。
【解決手段】基板処理装置1の液処理部2において洗浄槽6に貯留された洗浄液に基板Wを浸す。また、乾燥処理部3においてチャンバー5を内部に形成するチャンバー壁60を加熱する。チャンバー壁60を加熱した後、チャンバー5内に流体のミストを供給する。チャンバー5内に流体のミストを供給した後、基板Wを洗浄槽6からチャンバー5内まで移動させる。そして、基板Wを内側槽30からチャンバー5内まで移動させる間に、または基板Wを移動させた後に、チャンバー5内に乾燥ガスを供給し、基板Wの乾燥を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の基板を薬液やリンス液等の洗浄液に浸漬して洗浄した後、この洗浄が行われた基板を乾燥ユニットで乾燥させるような基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体に関し、とりわけ、乾燥ユニットにおける基板に対する乾燥性能を向上させることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造装置における製造工程においては、半導体ウエハやLCD用ガラス等の基板(以下、ウエハ等という)を、薬液やリンス液等の洗浄液が貯留された洗浄槽に順次浸漬して洗浄を行う洗浄処理方法が広く採用されている。また、洗浄後のウエハ等の表面に例えばIPA(イソプロピルアルコール)等の揮発性を有する有機溶剤の蒸気からなる乾燥ガスを接触させて、乾燥ガスの蒸気をウエハ等の表面に凝縮あるいは吸着させて、その後N2ガス(窒素ガス)等の不活性ガスをウエハ等の表面に供給することによりウエハ等の表面にある水分の除去及び乾燥を行う乾燥処理方法が知られている。
【0003】
この種の洗浄処理方法および乾燥処理方法の両方を行う基板処理装置においては、薬液やリンス液等の洗浄液を貯留する洗浄槽が設置されており、この洗浄槽の上方に、当該洗浄槽の洗浄液に浸漬されたウエハを乾燥させるための乾燥ユニットが設けられている。この乾燥ユニットは、チャンバー(乾燥室)を内部に形成するチャンバー壁を有しており、洗浄槽内の洗浄液に浸漬されたウエハは乾燥ユニットのチャンバー内に移動させられ、このチャンバー内に乾燥ガスが供給されることによりウエハの乾燥が行われるようになっている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0004】
特許文献1、2等に示す従来の基板処理装置においては、まず洗浄槽に貯留された洗浄液にウエハ等を浸し、このウエハ等の洗浄を行う。この際に、チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度の高温N2ガスを予めチャンバー内に供給しておき、チャンバー内を高温ガスで充満させるとともに、チャンバー壁を加熱しておく。ここで、チャンバー壁を加熱するために、チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度の高温N2ガスをチャンバー内に供給する代わりに、チャンバー壁にヒータを設け、このヒータによりチャンバー壁を加熱してもよい。この場合でも、チャンバー壁がヒータにより加熱されると、この加熱されたチャンバー壁によりチャンバー内のガスは加熱されて高温ガスとなる。
【0005】
その後、ウエハを洗浄槽内の洗浄液から引き上げて乾燥ユニットのチャンバー内に移動させ、シャッタ等によりチャンバーを密閉状態にする。そして、チャンバー内に乾燥ガスを供給し、この乾燥ガスをウエハ等の表面に接触させることにより、乾燥ガスの蒸気をウエハの表面に凝縮あるいは吸着させる。その後、不活性ガスをウエハ等の表面に供給することによりウエハ等の表面にある水分の除去及び乾燥を行う。
【0006】
【特許文献1】特開平10−154688号公報
【特許文献2】特開2007−5479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような基板処理装置において、ウエハを洗浄槽内の洗浄液から引き上げて乾燥ユニットのチャンバー内に移動させる前に、チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度の高温N2ガスを予めチャンバー内に供給しておき、チャンバー内を高温ガスで充満させるとともに、チャンバー壁を加熱している。ウエハをチャンバー内に移動させる前にチャンバー壁を予め加熱しておく理由としては、もしチャンバー壁の温度が低い場合には、チャンバー内に乾燥ガスを供給した際にこの乾燥ガスがチャンバー壁により冷却されて凝縮してしまい、ウエハの表面に凝縮あるいは吸着される乾燥ガスの量が低減し、ウエハに対する乾燥性能が劣るようになってしまうからである。
【0008】
しかしながら、チャンバー壁が加熱されるとチャンバー内のガスも高温ガスとなるため、ウエハを洗浄槽内の洗浄液から引き上げて乾燥ユニットのチャンバー内に移動させたときに、このウエハの温度も上昇してしまう。ウエハの温度が上昇すると、当該ウエハの表面に凝縮あるいは吸着される乾燥ガスの量が低減してしまい、ウエハに対する乾燥性能が低下するおそれがある。
【0009】
このように、本願の発明者は、乾燥ユニットにおいてウエハの乾燥を行う際に、チャンバー壁を高温に維持しつつ、チャンバー内のガスを大気の温度よりも低い温度にした場合に、乾燥ガスがチャンバー壁により冷却されて凝縮してしまうことを防止することができ、かつチャンバー内に移動させられるウエハの温度が上昇することを抑制し、このウエハの表面に凝縮あるいは吸着される乾燥ガスの量が低減してしまうことを防止することができるということを発見した。
【0010】
また、ウエハを洗浄槽内の洗浄液から引き上げて乾燥ユニットのチャンバー内に移動させる前の段階において、高温N2ガスがチャンバー内に供給されること等によってチャンバー内が乾燥状態となっていた場合には、ウエハを乾燥ユニットのチャンバー内に移動させたときにこのウエハに付着した水分が自然乾燥してしまい、ウエハの表面にウォーターマークが形成されてしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、乾燥ユニットのチャンバー内において基板の表面に凝縮あるいは吸着される乾燥ガスの量が低減してしまうことを防止するとともに基板がチャンバー内に移動させられたときにこの基板の表面にウォーターマークが形成されることを抑制し、このことにより、乾燥ユニットにおける基板に対する乾燥性能を向上させることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基板処理装置は、基板の洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットであって、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁、前記チャンバー壁を加熱するためのチャンバー壁加熱部、前記チャンバー内に流体のミストを供給する流体ミスト供給部、および前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給部を有する乾燥ユニットと、基板を保持して当該基板を前記洗浄槽内と前記乾燥ユニットのチャンバー内との間で移動させる保持部と、前記チャンバー壁加熱部、前記流体ミスト供給部、前記乾燥ガス供給部および前記保持部の制御を行う制御部であって、まず前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸し、次に前記乾燥ユニットにおいて前記チャンバー壁加熱部によりチャンバー壁を加熱し、その後前記流体ミスト供給部により流体のミストを前記チャンバー内に供給し、その後前記保持部により基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させ、この間に、または前記乾燥ユニットのチャンバー内まで基板を移動させた後に、前記乾燥ガス供給部により前記チャンバー内に乾燥ガスを供給するよう、前記チャンバー壁加熱部、前記流体ミスト供給部、前記乾燥ガス供給部および前記保持部の制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の基板処理方法は、基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置における基板処理方法であって、前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の基板処理装置および基板処理方法によれば、まず乾燥ユニットにおいてチャンバー壁を加熱し、その後、流体のミストをチャンバー内に供給することによってこの流体のミストでチャンバー内のガスを冷却し、その後、基板を洗浄槽内から乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させている。そして、チャンバー内に乾燥ガスを供給することにより基板の乾燥を行っている。
【0015】
このように、乾燥ユニットにおいてチャンバー壁を加熱した後、流体のミストをチャンバー内に供給することによってこの流体のミストでチャンバー内のガスを冷却することにより、チャンバー壁を高温に維持しつつ、チャンバー内のガスを短時間でチャンバー壁の温度よりも低い温度にすることができる。
【0016】
このため、乾燥ガスがチャンバー壁により冷却されて凝縮してしまうことを防止しつつ、チャンバー内に移動させられる基板の温度が上昇することを抑制し、この基板の表面に凝縮あるいは吸着される乾燥ガスの量が低減してしまうことを防止することができる。このことにより、乾燥ユニットにおける基板に対する乾燥性能を向上させることができる。
【0017】
さらに、基板が乾燥ユニットのチャンバー内に移動させられる前に流体のミストをこのチャンバー内に供給することによってチャンバー内を予め加湿することができる。このため、基板をチャンバー内に移動させたときに、チャンバー内が加湿されているので、基板の表面に乾燥ガスが凝縮あるいは吸着する前に基板に付着した水分が自然乾燥してしまうことを抑制することができる。このことにより、基板をチャンバー内に移動させた直後に基板の表面にウォーターマークが形成されることを抑制することができる。
【0018】
本発明の基板処理装置においては、前記流体ミスト供給部により前記チャンバー内に供給される流体のミストの温度は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっていることが好ましい。
【0019】
本発明の基板処理装置においては、前記流体ミスト供給部により前記チャンバー内に供給される流体のミストは、純水、イソプロピルアルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはこれらの混合物からなる流体のミストであることが好ましい。
【0020】
本発明の基板処理装置においては、前記流体ミスト供給部は二流体ノズルを有し、この二流体ノズルにより流体のミストが生成されるようになっていることが好ましい。あるいは、前記流体ミスト供給部は衝突式ミスト発生器を有し、この衝突式ミスト発生器により流体のミストが生成されるようになっていてもよい。
【0021】
本発明の基板処理装置においては、前記乾燥ユニットは、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも低い温度のガスである冷却ガスを前記チャンバー内に供給する冷却ガス供給部を更に有し、前記制御部は、前記乾燥ユニットにおいて前記チャンバー壁加熱部によりチャンバー壁を加熱した後であって、前記保持部により基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる前に、前記冷却ガス供給部により冷却ガスを前記チャンバー内に供給するよう前記冷却ガス供給部の制御を行うことが好ましい。
【0022】
本発明の基板処理装置においては、前記流体ミスト供給部は、前記チャンバー内に流体のミストを間欠的に供給することが好ましい。
【0023】
本発明の基板処理装置においては、前記制御部は、前記流体ミスト供給部による前記チャンバー内への流体のミストの供給量が予め設定された所定量を超えないよう、前記流体ミスト供給部の制御を行うことが好ましい。
【0024】
本発明の基板処理装置においては、前記チャンバー壁加熱部は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度のガスを前記チャンバー内に供給する加熱ガス供給部であることが好ましい。あるいは、前記チャンバー壁加熱部は、前記チャンバー壁に設けられたヒータであってもよい。
【0025】
本発明の基板処理装置においては、前記乾燥ガス供給部により前記チャンバー内に供給される乾燥ガスは、有機溶剤の蒸気からなることが好ましい。
【0026】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー内に供給される流体のミストの温度は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっていることが好ましい。
【0027】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー内に供給される流体のミストは、純水、イソプロピルアルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはこれらの混合物からなる流体のミストであることが好ましい。
【0028】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー壁を加熱した後であって、基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる前において、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも低い温度のガスである冷却ガスを前記チャンバー内に供給する工程を更に備えたことが好ましい。
【0029】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー内に流体のミストを供給する工程において、前記チャンバー内に流体のミストを間欠的に供給することが好ましい。
【0030】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー内に流体のミストを供給する工程において、前記チャンバー内への流体のミストの供給量は予め設定された所定量を超えないようになっていることが好ましい。
【0031】
本発明の基板処理方法においては、前記チャンバー壁を加熱する際に、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度のガスを前記チャンバー内に供給し、このチャンバー内に供給されたガスにより前記チャンバー壁を加熱することが好ましい。あるいは、前記チャンバー壁を加熱する際に、このチャンバー壁に設けられたヒータにより当該チャンバー壁を加熱することが好ましい。
【0032】
本発明のプログラムは、基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、を備えたものであることを特徴とする。
【0033】
本発明の記憶媒体は、基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の基板処理装置、基板処理方法、プログラムならびに記憶媒体によれば、乾燥ユニットにおける基板に対する乾燥性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本実施の形態に係る基板処理装置を示す図である。このうち、図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置の概略構造を示す模式図であり、図2は、図1に示す基板処理装置を側方からみた模式図である。また、図3は、図2に示す基板処理装置の流体ミストノズルの概略構造を示す説明図である。また、図4は、図1に示す基板処理装置による基板の薬液処理、洗浄処理および乾燥処理の動作を示すフローチャートである。
【0036】
なお、本実施の形態では、例えばフォトリソグラフィー技術により所定の回路パターンが形成されている複数の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう。)を一括して所定の薬液で処理し、その後に純水(DIW)による洗浄処理を行い、さらに乾燥処理を行うような装置を例に挙げて説明する。
【0037】
図1および図2は、基板処理装置1の概略構造を示す図である。基板処理装置1は、ウエハWの薬液処理や洗浄処理を行う液処理部2と、液処理部2の上方に設けられ、この液処理部2での洗浄処理が終了したウエハWの乾燥を行う乾燥処理部3とを備えている。ここで、液処理部2は、ウエハWに対して所定の薬液(例えば、希フッ酸水溶液(DHF)、アンモニア−過酸化水素水(APF)、硫酸−過酸化水素水(SPM)等)による処理を行い、その後に純水(DIW)により洗浄処理を行うようになっている。また、基板処理装置1には、複数のウエハWを保持することができ、昇降機構7により液処理部2と乾燥処理部3との間で移動(昇降)自在となっているウエハガイド4が設けられている。基板処理装置1の上方にはファンフィルターユニット(FFU、図示せず)が配設されており、このファンフィルターユニットにより基板処理装置1に清浄な空気がダウンフローとして供給されるようになっている。
【0038】
図2に示すように、ウエハガイド4は、例えば最大で50枚のウエハWを略鉛直姿勢で、水平方向に一定の間隔で並べて保持することができる保持部26と、保持部26を支持する支柱部27とを有している。この支柱部27は、チャンバー5を内部に形成するチャンバー壁60の蓋部分60bを貫通している。
【0039】
液処理部2は、ボックス13と、このボックス13内に収容された液処理槽6とを有している。この液処理槽6は、内側槽30と、内側槽30の上部の開口を囲むように形成された中間槽31と、中間槽31の開口を囲むように形成された外側槽32とを有している。内側槽30は、薬液と純水とを適宜交互に貯留し、ウエハWを薬液や純水に浸漬することにより薬液処理や洗浄処理をそれぞれ行うようになっている。
【0040】
内側槽30の内部には、薬液や純水を内側槽30内に吐出するための処理液吐出ノズル35と、薬液の濃度を測定するための濃度センサ57とがそれぞれ設けられている。処理液吐出ノズル35に取り付けられた処理液供給ライン56は、純水供給ライン52と薬液供給ライン55とに分岐している。処理液吐出ノズル35へは、開閉バルブ53を介在させた純水供給ライン52と処理液供給ライン56とを通して純水供給源90から純水が供給されるようになっている。また、処理液吐出ノズル35へは、開閉バルブ54を介在させた薬液供給ライン55と処理液供給ライン56とを通して薬液供給源91から薬液が供給されるようになっている。
【0041】
内側槽30の底部には開閉バルブ37が介在された排液管36が接続されている。そして、この開閉バルブ37を開くことによって内側槽30に貯留された薬液や純水をボックス13内に排出することができるようになっている。また、ボックス13の下部にも開閉バルブ19が介在された排液管18が設けられており、ボックス13内から薬液や純水を排出することができるようになっている。さらに、ボックス13には、ボックス13内の雰囲気ガスを排気するための排気管29が設けられており、薬液の蒸気等をこの排気管29により排気することができるようになっている。
【0042】
中間槽31は内側槽30の上面開口からオーバーフローした薬液や純水を受け止めるようになっている。中間槽31には、この中間槽31から薬液や純水を排出するための排液管41が設けられており、この排液管41にはトラップ42が接続されている。トラップ42では、排液管41を通して排出された薬液や純水が一定の高さで貯留されるようになっている。そして、このトラップ42には排液管43が更に接続されており、トラップ42に貯留された薬液や純水を排液管43によりボックス13内に排出することができるようになっている。
【0043】
外側槽32には常時純水が貯留されている。また、図1に示すように環状のシール板46が設けられており、このシール板46の下部が外側槽32に貯留された純水に浸されている。また、このシール板46の上端は外側槽32の上方に配置されたシャッターボックス11の下板に密着している。このような構成により、外側槽32は純水を利用したシール機能を有し、内側槽30内の雰囲気が外部に漏れないようになっている。
【0044】
乾燥処理部3にはウエハWを収容するためのチャンバー5およびチャンバー5を内部に形成するチャンバー壁60が設けられている。チャンバー壁60は、略円筒形状の筒部分60aと、筒部分60aの上面開口を開閉するドーム型の蓋部分60bとを有している。筒部分60aの下面開口はシャッターボックス11の上板に形成された開口部に気密に連通している。
【0045】
チャンバー壁60の蓋部分60bは図示しない昇降機構により昇降自在となっており、図1に示すように、蓋部分60bの下端面が筒部分60aの上端に設けられたエアーシールリング63に当接することで、チャンバー5はチャンバー壁60により密閉される。また、蓋部分60bを図1に示す位置の上側に移動させた状態(つまり、チャンバー5を開いた状態)で、基板処理装置1の外部と乾燥処理部3の内部との間でのウエハWの搬出入を行うことができるようになっている。より具体的には、ウエハガイド4の保持部26を筒部分60aよりも上方に出した状態で、保持部26と図示しない外部搬送装置等との間でウエハWの受け渡しを行うようになっている。
【0046】
チャンバー5内には、IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気をチャンバー5内に供給するためのIPA蒸気ノズル71が配置されている。IPA蒸気ノズル71には配管21が接続されており、この配管21はIPA供給源92に接続されている。そして、配管21に設けられた開閉バルブ82を開放し、流量制御バルブ84を操作することにより所定流量のIPAがIPA供給源92から加熱器22に送られる。そして、IPAを加熱器22で加熱することによりIPA蒸気を発生させる。このようにして発生したIPA蒸気はIPA蒸気ノズル71からチャンバー5内に噴射される。
【0047】
IPA蒸気ノズル71としては、例えば、円筒状の形状を有し、蒸気噴射口がその長手方向(図1における紙面に垂直な方向)に一定の間隔で形成された構造を有するものが好適に用いられる。IPA蒸気ノズル71は、蒸気噴射口から噴射されるIPA蒸気がチャンバー5内に収容されたウエハWに直接あたることなく斜め上方に噴射されるように配置されている。そして、IPA蒸気ノズル71から噴射されたIPA蒸気は、図1に示すウエハWの左上と右上を通過してチャンバー壁60の蓋部分60bの内周面上部に向かって上昇し、その後に蓋部分60bの上部中央において合流して下降し、図2に示すようなウエハW同士の間に流入し、ウエハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0048】
また、チャンバー5の内部には、所定の温度に加熱されたN2ガス(窒素ガス)をチャンバー5内に噴射するためのN2ガスノズル72が設けられている。図1に示すように、N2ガス供給源93からは室温のN2ガスが開閉バルブ86を操作することにより加熱器24に供給されるようになっている。そして、加熱器24によりN2ガスが所定温度に加熱させられ、この加熱されたN2ガスがN2ガス供給ライン25を通してN2ガスノズル72からチャンバー5内に噴射させることができるようになっている。
【0049】
N2ガスノズル72としては、IPA蒸気ノズル71と同様の構造を有するものが好適に用いられる。具体的には、N2ガスノズル72は、そのガス噴射口から噴射されるN2ガスがチャンバー5内に収容されたウエハWに直接にあたることなく斜め上方に噴射されるように、配置されることが好ましい。N2ガスノズル72から噴射されたN2ガスは、ウエハWの左上と右上を通過して蓋部分60bの内周面上部に向かって上昇し、蓋部分60bの上部中央において合流して下降し、図2に示すようなウエハW同士の間に流入してウエハWの表面に沿って流下するようになっている。
【0050】
また、チャンバー5内には、冷却ガスをチャンバー5内に噴射するための冷却ガスノズル74が設けられている。図1に示すように、冷却ガスノズル74はガス供給管23に接続されている。このガス供給管23には冷却機構85が介設されており、ガス供給管23の上流側端部にはN2ガス供給源94が設けられている。そして、N2ガス供給源94からは室温のN2ガスが開閉バルブ83を操作することにより冷却機構85に供給されるようになっている。冷却機構85において、N2ガスはチャンバー壁60の外部にある大気の温度よりも低い温度(具体的には例えば15〜20℃)に冷却され、この冷却されたガス(冷却N2ガス)が冷却ガスノズル74によりチャンバー5内に噴射される。
【0051】
冷却ガスノズル74としては、例えば、円筒状の形状を有し、ガス噴射口がその長手方向(図1における紙面に垂直な方向)に一定の間隔で形成された構造を有するものが好適に用いられる。また、冷却ガスノズル74は、チャンバー壁60の蓋部分60bの上部中央近傍に設けられており、この冷却ガスノズル74はIPA蒸気ノズル71よりも上方に配置されている。また、冷却ガスノズル74のガス噴射口は鉛直方向下方を向いている。このことにより、チャンバー5内においてこの冷却ガスノズル74から冷却N2ガスが鉛直方向下方に供給されるようになっている。
【0052】
また、図2に示すように、チャンバー5内には、流体のミストをチャンバー5内に供給するための流体ミストノズル75が設けられている。この流体ミストノズル75は例えば二流体ノズルから構成されている。ここで、流体ミストノズル75からチャンバー5内に供給される流体のミストは、純水、IPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、またはこれらの混合物からなる流体のミストとなっている。また、流体ミストノズル75からチャンバー5内に供給される流体のミストの温度は、チャンバー壁60の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっている。
【0053】
流体ミストノズル75には、当該流体ミストノズル75にN2ガスを供給するためのN2ガス供給管20aと、流体ミストノズル75に純水やIPA、またはHFE(ハイドロフルオロエーテル)、あるいはこれらの混合物からなる流体を供給するための流体供給管20bとがそれぞれ接続されている。また、N2ガス供給管20aの上流側端部にはN2ガス供給源95が接続されており、このN2ガス供給管20aには開閉バルブ87が介設されている。一方、流体供給管20bの上流側端部には流体供給源96が接続されており、この流体供給管20bには開閉バルブ88が介設されている。
【0054】
二流体ノズルからなる流体ミストノズル75の構成について、図3を参照してより具体的に説明する。ここで、二流体ノズルとは、一般的にガスと液体とを混合させることにより微小な液滴のミストを生成し、このミストを噴霧する方式のノズルのことをいう。本実施の形態においては、流体ミストノズル75には、流体供給管20bを介して純水やIPA等の流体が供給されるとともに、N2ガス供給管20aからN2ガスが供給されるようになっている。流体ミストノズル75は例えばフッ素樹脂から形成された略円柱状のノズル本体75aを有しており、このノズル本体75aの内部には、N2ガス供給管20aに連通するようなN2ガス流路75bと、流体供給管20bに連通するような流体流路75cとがそれぞれ設けられている。これらのN2ガス流路75bおよび流体流路75cはノズル本体75a内部にある三つ又状の合流部75dで合流し、この合流部75dから流体ミストノズル75の吐出口75eまで内部流路が更に形成されている。
【0055】
このような流体ミストノズル75においては、ノズル本体75a内において、N2ガス供給管20aからN2ガス流路75bに送られたN2ガスと、流体供給管20bから流体流路75cに送られた流体とが合流部75dで衝突して混合し、このことにより当該合流部75dにおいて流体のミストが形成され、ウエハWに対して吐出口75eからこの流体のミストが噴霧されるようになっている。
【0056】
また、チャンバー5の内部には、チャンバー5内の雰囲気ガスを排出するための排気ノズル73が設けられており、この排気ノズル73には、チャンバー5内からの自然排気を行うための自然排気ライン49と、チャンバー5内からの強制排気を行うための強制排気ライン48とが設けられている。排気ノズル73としては、円筒状の形状を有し、チャンバー5内のガスを取り込むための一定長さのスリット型吸気口がその長手方向(図1において紙面に垂直な方向)に一定の間隔で形成された構造を有するものが好適に用いられる。
【0057】
チャンバー壁60の蓋部分60bの頂点部分には局所排気装置8が取り付けられている。この局所排気装置8は、空気やN2ガス等が供給されると変形、膨張してウエハガイド4の周囲に密着することでウエハガイド4の支柱部27と蓋部分60bとの間の隙間をシールするエアーシールリング(図示せず)を有している。
【0058】
液処理部2に設けられた液処理槽6の雰囲気と乾燥処理部3に設けられたチャンバー5の雰囲気とは、これらの中間に水平方向にスライド自在に配置されたシャッター10によって隔離し、または連通させることができるようになっている。このシャッター10は、液処理槽6において液処理を行うときと、液処理槽6とチャンバー5との間でウエハWを移動させるときには、シャッターボックス11に収容され、液処理槽6の雰囲気とチャンバー5の雰囲気とが連通状態となる。一方、シャッター10をチャンバー壁60の筒部分60aの真下に配置した状態では、シャッター10の上面に設けられたシールリング15が筒部分60aの下端に当接することにより、チャンバー5の下面開口が気密に閉塞される。なお、シャッターボックス11には開閉バルブ17を介在させて排気管16が設けられており、シャッターボックス11内の雰囲気を排気することができるようになっている。
【0059】
また、基板処理装置1には、上述した各構成要素の制御を行う制御部99が設けられている。この制御部99は、基板処理装置1の各構成要素に接続され、各構成要素の動作(具体的には、例えばチャンバー壁60の蓋部分60bの昇降、ウエハガイド4の昇降、シャッター10のスライド、各開閉バルブ82、83、86、87、88等の開閉等)を制御するようになっている。制御部99における制御内容は、図4における基板処理装置1の一連の動作の流れを示すフローチャートに示されるようなものとなっているが、その詳細については後述する。本実施の形態において、制御部99には、工程管理者が基板処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置1の稼動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるデータ入出力部97が接続されている。また、制御部99には、基板処理装置1で実行される各種処理を制御部99による制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置1の各構成要素に処理を実行させるためのプログラム(すなわち、レシピ)が記憶された記憶媒体98が接続されている。記憶媒体98は、ROMやRAMなどのメモリー、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク状記憶媒体、その他の公知な記憶媒体から構成され得る。
【0060】
そして、必要に応じて、データ入出力部97からの指示等にて任意のレシピを記憶媒体98から呼び出して制御部99に実行させることで、制御部99の制御下で、基板処理装置1での所望の処理が行われる。
【0061】
次に、上述のような基板処理装置1を用いたウエハWの処理方法について説明する。図4は、ウエハWの薬液処理、洗浄処理および乾燥処理の動作を示すフローチャートである。なお、以下に示すような一連の薬液処理、洗浄処理および乾燥処理は、記憶媒体98に記憶されたプログラム(レシピ)に従って、制御部99が基板処理装置1の各構成要素を制御することにより行われる。
【0062】
最初に、液処理槽6とチャンバー5とをシャッター10により隔離し(STEP1a)、また、チャンバー5内をN2ガスで満たし、かつその内部圧力が大気圧と同じ状態とする(STEP1b)。一方、液処理槽6の内側槽30に所定の薬液を貯留する(STEP1c)。この状態で、ウエハガイド4の保持部26は乾燥処理部3に配置されている。
【0063】
そして、チャンバー壁60の蓋部分60bを上昇させ、さらにウエハガイド4の保持部26をチャンバー壁60の筒部分60aの上側に出して、チャンバー5内へのN2ガスの供給を停止させ、外部の基板搬送装置(図示せず)からウエハガイド4の保持部26に50枚のウエハWを受け渡す(STEP2)。次いで、ウエハガイド4を降下させてウエハWをチャンバー5内に収容し、さらに蓋部分60bを降下させる。このときに、筒部分60aの上面が僅かに開口した状態とする。その後、排気ノズル73から強制排気を行いながら、液処理槽6とチャンバー5とが連通するようにシャッター10をスライドさせる(STEP3)。
【0064】
こうしてシャッター10を開いても、図示しないファンフィルターユニット(FFU)からのダウンフローがチャンバー5内に流入し、筒部分60aの上面開口から排気ノズル73に向かうクリーンエアの流れが形成されるので、内側槽30に貯留された薬液の雰囲気がチャンバー5に向かって上昇することを防止することができる。
【0065】
続いてウエハガイド4をさらに降下させて、保持したウエハWを内側槽30に貯留された薬液に、所定時間、浸漬させる(STEP4)。この薬液によるウエハWの処理が終了したら、ウエハWを内側槽30内に浸漬させたまま、処理液吐出ノズル35から純水を内側槽30内に供給して、内側槽30内の薬液を純水に置換し、ウエハWの洗浄処理を行う(STEP5)。このとき、内側槽30からオーバーフローした薬液と純水は中間槽31に受け止められ、排液管41、トラップ42および排液管43を通して排液される。なお、内側槽30における薬液から純水への置換は、排液管36を通して薬液をボックス13に排出し、その後に内側槽30に純水を供給することによって行ってもよい。
【0066】
内側槽30内の薬液が純水に置換されたか否かは、濃度センサ57の測定値によって判断することができる。濃度センサ57の測定値によって内側槽30内の薬液が純水に置換され、内側槽30内から薬液が排出されたら、強制排気ライン48から自然排気ライン49に切り替え、蓋部分60bを降下させて筒部分60aの上面を閉塞する。筒部分60aの上面が閉塞されたら、局所排気装置8においてエアーシールリング(図示せず)によりウエハガイド4の支柱部27と蓋部分60bとの間の隙間をシールする。これによりチャンバー5内の雰囲気ガスが外部に漏れることを防止することができる。さらに、N2ガスノズル72から所定温度に加熱されたN2ガスをチャンバー5内に供給し、チャンバー5内を加熱されたN2ガス雰囲気に保持する(STEP6)。このことにより、チャンバー5内が温められるとともにチャンバー壁60が温められて、後にIPA蒸気をチャンバー5内に供給した際に、チャンバー壁60でのIPA蒸気の結露を抑制することができる。
【0067】
そして、チャンバー5内へ加熱されたN2ガスの供給を行った後に、流体ミストノズル75により流体のミストをチャンバー5内に供給する(STEP7a)。この際に、チャンバー5内に供給される流体のミストの温度は、チャンバー壁60の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっている。また、流体のミストは、間欠的にチャンバー5内に供給されるようになっている。すなわち、チャンバー5内への流体のミストの供給およびその停止が交互に繰り返されるような方法で、流体のミストはチャンバー5内に供給されるようになっている。さらに、制御部99は、流体ミストノズル75によるチャンバー5内への流体のミストの供給量が予め設定された所定量を超えないよう、開閉バルブ83の制御を行うようになっている。ここで、予め設定された所定量は記憶媒体98に記憶されている。
【0068】
このようにして、流体のミストをチャンバー5内に供給することによりチャンバー5内が加湿されることとなる。また、流体のミストをチャンバー5内に供給するのと同時に、冷却ガスノズル74により冷却ガスをチャンバー5内に供給する(STEP7b)。このように、流体ミストノズル75によりチャンバー5内に流体のミストが供給されるとともに冷却ガスノズル74によりチャンバー5内に冷却ガスが供給されるので、チャンバー5内のガスが冷却され、このチャンバー5内のガスの温度はチャンバー壁60の温度よりも低くなる。
【0069】
その後、ウエハWをチャンバー5内に収容するために、ウエハガイド4の引き上げを開始する(STEP8)。このSTEP8では、加湿されたチャンバー5内にウエハWが引き上げられるためにこのウエハWに付着した水分は自然乾燥することがないので、この段階でウエハWにウォーターマークが形成されることはない。
【0070】
ウエハWがチャンバー5に収容される位置まで上昇したらウエハガイド4の引き上げを停止させ、シャッター10を閉じて液処理槽6とチャンバー5とを隔離する(STEP9)。そして、ウエハWをチャンバー5内の所定位置に保持したら、チャンバー5内へのIPA蒸気の供給を開始する(STEP10)。
【0071】
このSTEP10により、ウエハWの表面に付着している純水がIPAに置換される。このとき、ウエハWの表面の液の表面張力の変化が緩やかであるので、液膜の厚さにむらが生じることがなく、ウエハWに設けられた回路パターンの凸部にかかる表面張力のバランスも崩れ難いので、パターン倒れの発生を防止することができる。また、このようにウエハW面内で実質的に同時に乾燥を行うことにより、ウォーターマークの形成を抑制することができる。
【0072】
所定時間、IPA蒸気を供給することによりウエハWの表面にIPAの液膜が形成されたら、チャンバー5内へのIPA蒸気の供給を停止し(STEP11)、続いてウエハWの乾燥処理を行う。この乾燥処理は、例えば、チャンバー5内に所定温度に加熱されたN2ガスを供給してウエハWの表面からIPAを揮発、蒸発させ(STEP12)、その後に室温のN2ガスをチャンバー5内に供給してウエハWを所定の温度に冷却する(STEP13)、という手順により行うことができる。
【0073】
なお、このようなSTEP12、13において、ウエハWの表面のIPAを均一に揮発させることにより、ウエハWに設けられた回路パターンの凸部にかかる表面張力のバランスが崩れ難く、これによりパターン倒れの発生を抑制することができる。さらに、ウエハWの表面にIPAのみが存在する状態から乾燥を行うために、ウォーターマークの形成も抑制することができる。
【0074】
ウエハWの乾燥が終了したら、局所排気装置8のエアーシールリングによるシールを解除し、チャンバー壁60の蓋部分60bを上方に上昇させ、これと実質的に同時にウエハガイド4を上昇させて、ウエハWをチャンバー壁60の筒部分60aの上側に出す(STEP14)。このとき、N2ガスノズル72からのN2ガスの供給を停止させ、強制排気ライン48を通して、ファンフィルターユニット(FFU)からのクリーンエアをチャンバー5内に引き入れる。次いで、外部から図示しない基板搬送装置がウエハガイド4にアクセスして、ウエハWを基板処理装置1から搬出する(STEP15)。このようにして、基板処理装置1における一連のウエハWの処理が終了する。
【0075】
以上のように本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法によれば、液処理部2において内側槽30に貯留された純水にウエハWを浸し、また、乾燥処理部3においてチャンバー5を内部に形成するチャンバー壁60を加熱し、チャンバー壁60を加熱した後、チャンバー5内に流体のミストを供給し、その後、ウエハWを内側槽30からチャンバー5内まで移動させている。そして、ウエハWを内側槽30からチャンバー5内まで移動させた後に、チャンバー5内にIPA蒸気を供給し、ウエハWの乾燥を行っている。
【0076】
このように、乾燥処理部3においてチャンバー壁60を加熱した後、流体のミストをチャンバー5内に供給することによってこの流体のミストでチャンバー5内のガスを冷却することにより、チャンバー壁60を高温に維持しつつ、チャンバー5内のガスを短時間でチャンバー壁60の温度よりも低い温度にすることができる。
【0077】
このため、IPA蒸気がチャンバー壁60により冷却されて凝縮してしまうことを防止しつつ、チャンバー5内に移動させられるウエハWの温度が上昇することを抑制し、このウエハWの表面に凝縮あるいは吸着されるIPAの量が低減してしまうことを防止することができる。このことにより、乾燥処理部3におけるウエハWに対する乾燥性能を向上させることができる。
【0078】
さらに、ウエハWが乾燥処理部3のチャンバー5内に移動させられる前に流体のミストをこのチャンバー5内に供給することによってチャンバー5内を予め加湿することができる。このため、ウエハWをチャンバー5内に移動させたときに、チャンバー5内が加湿されているので、ウエハWの表面にIPAが凝縮あるいは吸着する前にウエハWに付着した水分が自然乾燥してしまうことを抑制することができる。このことにより、ウエハWをチャンバー5内に移動させた直後にウエハWの表面にウォーターマークが形成されることを抑制することができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、チャンバー5内に供給される流体のミストの温度は、チャンバー壁60の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっている。このため、乾燥処理部3においてチャンバー壁60を加熱した後、流体のミストをチャンバー5内に供給したときに、チャンバー壁60を高温に維持しつつ、チャンバー5内のガスを確実にチャンバー壁60の温度よりも低い温度にすることができる。
【0080】
なお、チャンバー5内のガスの温度がチャンバー壁60の温度よりも低くなるのであれば、チャンバー5内に供給される流体のミストの温度は、チャンバー壁60の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっていることに限定されることはない。すなわち、チャンバー5内に供給される流体のミストの温度がチャンバー壁60の外部にある大気の温度より高くとも、加熱されたチャンバー壁60の温度よりも低い場合には、このような流体のミストをチャンバー5内に供給しても問題はない。
【0081】
また、本実施の形態では、チャンバー5内に供給される流体のミストは純水、IPA、HFEまたはこれらの混合物からなる流体のミストとなっている。しかしながら、チャンバー5内の加湿を行うとともにチャンバー5内のガスの冷却を行うことができるのであれば、チャンバー5内に供給される流体のミストはこのようなものに限定されることはない。
【0082】
また、流体ミストノズル75は二流体ノズルから構成されている。このような二流体ノズルを用いて流体のミストを発生させた場合には、流体のミストの径を小さくすることができ、この流体のミストは気化しやすくなるのでチャンバー5内のガスの冷却をより一層促進することができる。しかしながら、流体ミストノズル75は二流体ノズルに限定されることはなく、代わりに例えば衝突式ミスト発生器を用いてもよい。このような衝突式ミスト発生器を用いた場合であっても、発生する流体のミストの径を小さくすることができる。
【0083】
また、チャンバー壁60を加熱した後であって、ウエハWを内側槽30からチャンバー5内まで移動させる前において、チャンバー壁60の外部にある大気の温度よりも低い温度のガスである冷却N2ガスをチャンバー5内に供給するようになっている。このことにより、チャンバー5内にあるガスを冷却N2ガスに置換することができるので、より一層確実に、チャンバー壁60を高温に維持しつつ、チャンバー5内のガスを大気の温度よりも低い温度にすることができる。しかしながら、このような冷却N2ガスをチャンバー5内に供給することは必須ではなく、チャンバー5内への冷却N2ガスの供給を省略してもよい。
【0084】
また、チャンバー5内に流体のミストを供給する際に、チャンバー5内に流体のミストを間欠的に供給している。ここで、チャンバー5内へ流体のミストを連続的に供給した場合には、チャンバー壁60で流体のミストが結露してしまうおそれがあるが、本実施の形態では、チャンバー5内に流体のミストを間欠的に供給しているので、このような流体のミストの結露を防止することができる。
【0085】
また、チャンバー5内に流体のミストを供給する際に、チャンバー5内への流体のミストの供給量が予め設定された所定量を超えないよう、チャンバー5内へ流体のミストを供給している。ここで、チャンバー5内への流体のミストの供給量が過剰となった場合には、この流体のミストの供給量がチャンバー5内における飽和水蒸気量を超えてしまい、この超えた分だけ流体のミストが結露してしまうおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、チャンバー5内への流体のミストの供給量が予め設定された所定量(例えば、チャンバー5内における飽和水蒸気量)を超えないようにしているので、このような流体のミストの結露を防止することができる。
【0086】
なお、本発明による基板処理装置1および基板処理方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、ウエハWを内側槽30からチャンバー5内まで移動させ、その後チャンバー5内にIPA蒸気ノズル71からIPA蒸気を供給する代わりに、ウエハWを内側槽30内からチャンバー5内まで移動させる間にこのチャンバー5内にIPA蒸気ノズル71からIPA蒸気を供給するようにしてもよい。
【0087】
また、図5に示すように、乾燥処理部3のチャンバー壁60に、当該チャンバー壁60を加熱するためのヒータ61を設けてもよい。このヒータ61は制御部99により制御されるようになっている。
【0088】
図5に示すような基板処理装置1においては、乾燥処理部3のチャンバー5内にウエハWを移動させる前にこのチャンバー5内およびチャンバー壁60を温める際に、N2ガスノズル72から所定温度に加熱されたN2ガスをチャンバー5内に供給する代わりに、ヒータ61によりチャンバー壁60を直接加熱する。このことにより、チャンバー壁60の温度が高くなり、このチャンバー壁60によりチャンバー5内のガスが温められる。
【0089】
N2ガスノズル72から所定温度に加熱されたN2ガスをチャンバー5内に供給する代わりに図5に示すようなヒータ61を用いる方法によっても、乾燥処理部3のチャンバー5内およびチャンバー壁60を温めることができ、チャンバー5内における液溜まりが解消される。
【0090】
また、基板処理装置1の更に他の構成としては、図6に示すように、乾燥処理部3のチャンバー壁60の内部に液処理槽6が設けられていてもよい。この場合でも、ウエハガイド4が液処理槽6内の位置とこの液処理槽6よりも上方のチャンバー5の位置との間で往復移動を行うようになっている。そして、ウエハガイド4が液処理槽6内に移動させられたときには、このウエハガイド4に保持されるウエハWは液処理槽6内の薬液や純水に浸されるようになっており、一方ウエハガイド4が液処理槽6から上方に移動させられたときには、このウエハガイド4に保持されるウエハWはチャンバー5内に収容されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置の概略構造を示す模式図である。
【図2】図1に示す基板処理装置を側方からみた模式図である。
【図3】図2に示す基板処理装置の流体ミストノズルの概略構造を示す説明図である。
【図4】図1に示す基板処理装置による基板の薬液処理、洗浄処理および乾燥処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る他の基板処理装置の概略構造を示す模式図である。
【図6】本発明に係る更に他の基板処理装置の概略構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0092】
1 基板処理装置
2 液処理部
3 乾燥処理部
4 ウエハガイド
5 チャンバー
6 液処理槽
7 昇降機構
8 局所排気装置
10 シャッター
11 シャッターボックス
13 ボックス
15 シールリング
16 排気管
17 開閉バルブ
18 排液管
19 開閉バルブ
20a N2ガス供給管
20b 流体供給管
21 配管
22 加熱器
23 ガス供給管
24 加熱器
25 N2ガス供給ライン
26 保持部
27 支柱部
29 排気管
30 内側槽
31 中間槽
32 外側槽
35 処理液吐出ノズル
36 排液管
37 開閉バルブ
41 排液管
42 トラップ
43 排液管
46 シール板
48 強制排気ライン
49 自然排気ライン
52 純水供給ライン
53 開閉バルブ
54 開閉バルブ
55 薬液供給ライン
56 処理液供給ライン
57 濃度センサ
60 チャンバー壁
60a 筒部分
60b 蓋部分
61 ヒータ
63 エアーシールリング
71 IPA蒸気ノズル
72 N2ガスノズル
73 排気ノズル
74 冷却ガスノズル
75 流体ミストノズル
75a ノズル本体
75b N2ガス流路
75c 流体流路
75d 合流部
75e 吐出口
83 開閉バルブ
84 流量制御バルブ
85 冷却機構
86 開閉バルブ
87 開閉バルブ
88 開閉バルブ
90 純水供給源
91 薬液供給源
92 IPA供給源
93 N2ガス供給源
94 N2ガス供給源
95 N2ガス供給源
96 流体供給源
97 データ入出力部
98 記憶媒体
99 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットであって、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁、前記チャンバー壁を加熱するためのチャンバー壁加熱部、前記チャンバー内に流体のミストを供給する流体ミスト供給部、および前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給部を有する乾燥ユニットと、
基板を保持して当該基板を前記洗浄槽内と前記乾燥ユニットのチャンバー内との間で移動させる保持部と、
前記チャンバー壁加熱部、前記流体ミスト供給部、前記乾燥ガス供給部および前記保持部の制御を行う制御部であって、まず前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸し、次に前記乾燥ユニットにおいて前記チャンバー壁加熱部によりチャンバー壁を加熱し、その後前記流体ミスト供給部により流体のミストを前記チャンバー内に供給し、その後前記保持部により基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させ、この間に、または前記乾燥ユニットのチャンバー内まで基板を移動させた後に、前記乾燥ガス供給部により前記チャンバー内に乾燥ガスを供給するよう、前記チャンバー壁加熱部、前記流体ミスト供給部、前記乾燥ガス供給部および前記保持部の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記流体ミスト供給部により前記チャンバー内に供給される流体のミストの温度は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記流体ミスト供給部により前記チャンバー内に供給される流体のミストは、純水、イソプロピルアルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはこれらの混合物からなる流体のミストであることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記流体ミスト供給部は二流体ノズルを有し、この二流体ノズルにより流体のミストが生成されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流体ミスト供給部は衝突式ミスト発生器を有し、この衝突式ミスト発生器により流体のミストが生成されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記乾燥ユニットは、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも低い温度のガスである冷却ガスを前記チャンバー内に供給する冷却ガス供給部を更に有し、
前記制御部は、前記乾燥ユニットにおいて前記チャンバー壁加熱部によりチャンバー壁を加熱した後であって、前記保持部により基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる前に、前記冷却ガス供給部により冷却ガスを前記チャンバー内に供給するよう前記冷却ガス供給部の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記流体ミスト供給部は、前記チャンバー内に流体のミストを間欠的に供給することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記流体ミスト供給部による前記チャンバー内への流体のミストの供給量が予め設定された所定量を超えないよう、前記流体ミスト供給部の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記チャンバー壁加熱部は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度のガスを前記チャンバー内に供給する加熱ガス供給部であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記チャンバー壁加熱部は、前記チャンバー壁に設けられたヒータであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記乾燥ガス供給部により前記チャンバー内に供給される乾燥ガスは、有機溶剤の蒸気からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、
前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、
前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、
前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、
基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、
を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
前記チャンバー内に供給される流体のミストの温度は、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度と略同一またはこの大気の温度よりも低くなっていることを特徴とする請求項12記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記チャンバー内に供給される流体のミストは、純水、イソプロピルアルコール、ハイドロフルオロエーテル、またはこれらの混合物からなる流体のミストであることを特徴とする請求項12または13記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記チャンバー壁を加熱した後であって、基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる前において、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも低い温度のガスである冷却ガスを前記チャンバー内に供給する工程を更に備えたことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記チャンバー内に流体のミストを供給する工程において、前記チャンバー内に流体のミストを間欠的に供給することを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記チャンバー内に流体のミストを供給する工程において、前記チャンバー内への流体のミストの供給量は予め設定された所定量を超えないようになっていることを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記チャンバー壁を加熱する際に、前記チャンバー壁の外部にある大気の温度よりも高い温度のガスを前記チャンバー内に供給し、このチャンバー内に供給されたガスにより前記チャンバー壁を加熱することを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記チャンバー壁を加熱する際に、このチャンバー壁に設けられたヒータにより当該チャンバー壁を加熱することを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項20】
基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、
前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、
前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、
前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、
基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、
を備えたものであることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
基板の洗浄液を貯留する洗浄槽および当該洗浄槽の近傍に配置された乾燥ユニットを備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記洗浄槽に貯留された洗浄液に基板を浸す工程と、
前記乾燥ユニットにおいて、チャンバーを内部に形成するチャンバー壁を加熱する工程と、
前記チャンバー壁を加熱した後、前記乾燥ユニットのチャンバー内に流体のミストを供給する工程と、
前記チャンバー内に流体のミストを供給した後、基板を前記洗浄槽内から前記チャンバー内まで移動させる工程と、
基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させる間に、または基板を前記洗浄槽内から前記乾燥ユニットのチャンバー内まで移動させた後に、前記チャンバー内に乾燥ガスを供給する工程と、
を備えたものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−283853(P2009−283853A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136895(P2008−136895)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】