説明

基板処理装置、基板処理方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】薬液又は再利用水を供給する配管が長く又は配管の経路が複雑な場合も、ノズルの詰まりを防止して、基板の処理を均一に行う。
【解決手段】基板1を移動しながら、制御弁34を閉じ、制御弁33を開いて、共通経路35a及び分岐経路35bを介して、ノズル39を薬液供給源30に接続して、ノズル39から基板1の表面へ薬液を吐出する。所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、制御弁33を閉じ、制御弁34を開いて、共通経路35a及び分岐経路35cを介して、ノズル39を圧縮気体供給源40に接続して、ノズル39から共通経路35a内の薬液及び圧縮気体を吐出する。圧縮気体の圧力により、ノズル39へつながる共通経路35a内から薬液が排出されて、薬液の結晶や異物の発生が抑制される。また、ノズル39内に付着した薬液の結晶や異物が、圧縮気体の圧力で除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を用いて、基板の現像、エッチング、剥離等の処理を行う基板処理装置、基板処理方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、基板を移動しながら、薬液又は再利用水をノズルから基板へ吐出して基板の処理を行う基板処理装置、基板処理方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われ、基板の現像、エッチング、剥離等の処理は、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を、スプレーノズル、シャワーノズル、又はスリットノズルから基板へ吐出して行われる。
【0003】
現像液、エッチング液、剥離液等の薬液には、乾燥時に結晶を生ずるものや、異物が溶解したものが多くあり、これらの結晶や異物がスプレーノズル、シャワーノズル、又はスリットノズルの吐出口に詰ると、薬液が基板へ均一に供給されない。特許文献1には、ノズル内の圧力を大気開放することにより、ノズル内の処理液をノズルから迅速に排出して、ノズルの詰まりを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−273568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板処理装置には、特許文献1に記載の様に、基板を回転しながら基板の処理を行うものと、ローラコンベア等の移動手段を用いて、基板を移動しながら基板の処理を行うものとがある。基板を移動しながら基板の処理を行う基板処理装置は、複数のスプレーノズルやシャワーノズルを設置する必要があるので、特許文献1に記載の基板を回転しながら基板の処理を行う基板処理装置に比べ、スプレーノズルやシャワーノズルへ薬液を供給する配管が長くなり、また配管の経路が複雑になる。特に、表示用パネルの大画面化に伴って基板が大型化すると、スプレーノズルやシャワーノズルの数が増加するので、配管がより長く太くなり、配管の経路もより複雑になる。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、ノズル内の圧力を大気開放することにより、ノズル内と大気との差圧がなくなり、処理液が自重により落下してノズルから排出されるものであるが、これを、薬液を供給する配管が長く又は配管の経路が複雑な基板処理装置に適用しても、薬液の供給を止めたときに、配管内に残った薬液を排出することができなかった。そのため、配管内に残った薬液から薬液の結晶や異物が生じ、長期間使用している間に、これらの結晶や異物がノズル内に付着してノズルが詰まり、薬液が基板へ均一に供給されなくなるという問題があった。
【0006】
また、基板の現像、エッチング、剥離等の処理の終了時には、基板の表面の現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を水に置き換える水置換プロセスが行われる。水置換プロセスは、スプレーノズルやシャワーノズルから基板へ純水を供給して行われるが、後工程で使用した純水をタンクに溜めて、溜めた水を再利用することが多い。この再利用水には、異物や不純物が多く含まれており、再利用水に含まれる異物や不純物がノズルに詰まり、再利用水が基板へ均一に供給されなくなるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、薬液又は再利用水を供給する配管が長く又は配管の経路が複雑な場合も、ノズルの詰まりを防止して、基板の処理を均一に行うことである。また、本発明の課題は、基板の処理を均一に行い、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板処理装置は、基板を移動する基板移動手段と、基板移動手段により移動される基板の表面へ薬液を吐出するノズルと、ノズルへ薬液を供給する薬液供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から薬液供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管と、第1の分岐経路に設けられた第1の制御弁と、第2の分岐経路に設けられた第2の制御弁と、第1の制御弁及び第2の制御弁を制御する制御手段とを備え、制御手段が、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを薬液供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ薬液を吐出させ、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の薬液及び圧縮気体を吐出させるものである。
【0009】
また、本発明の基板処理方法は、基板を移動する基板移動手段と、基板の表面へ薬液を吐出するノズルと、ノズルへ薬液を供給する薬液供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から薬液供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管とを設け、第1の分岐経路に第1の制御弁を設け、第2の分岐経路に第2の制御弁を設け、基板を移動しながら、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを薬液供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ薬液を吐出し、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の薬液及び圧縮気体を吐出するものである。
【0010】
あるいは、本発明の基板処理装置は、表面に薬液が供給された基板を移動する基板移動手段と、基板移動手段により移動される基板の表面へ再利用水を吐出するノズルと、ノズルへ再利用水を供給する再利用水供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から再利用水供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管と、第1の分岐経路に設けられた第1の制御弁と、第2の分岐経路に設けられた第2の制御弁と、第1の制御弁及び第2の制御弁を制御する制御手段とを備え、制御手段が、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを再利用水供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ再利用水を吐出させ、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の再利用水及び圧縮気体を吐出させるものである。
【0011】
また、本発明の基板処理方法は、表面に薬液が供給された基板を移動する基板移動手段と、基板の表面へ再利用水を吐出するノズルと、ノズルへ再利用水を供給する再利用水供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から再利用水供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管とを設け、第1の分岐経路に第1の制御弁を設け、第2の分岐経路に第2の制御弁を設け、基板を移動しながら、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを再利用水供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ再利用水を吐出し、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の再利用水及び圧縮気体を吐出するものである。
【0012】
基板の現像、エッチング、剥離等の処理又は薬液の水置換を行う際は、基板を移動しながら、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを薬液供給源又は再利用水供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ薬液又は再利用水を吐出する。そして、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の薬液又は再利用水、及び圧縮気体を吐出する。薬液又は再利用水を供給する配管が長く又は配管の経路が複雑であっても、圧縮気体の圧力により、ノズルへつながる共通経路内から薬液又は再利用水が排出されて、薬液の結晶や異物の発生が抑制される。また、ノズル内に付着した薬液の結晶や異物、不純物が、圧縮気体の圧力で除去される。従って、ノズルの詰まりが防止され、薬液又は再利用水がノズルから基板へ均一に供給されるので、基板の処理が均一に行われる。
【0013】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかの基板処理装置又は基板処理方法を用いて基板の処理を行うものである。基板の処理が均一に行われるので、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基板処理装置及び基板処理方法によれば、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルからノズルへつながる共通経路内の薬液又は再利用水、及び圧縮気体を吐出することにより、薬液又は再利用水を供給する配管が長く又は配管の経路が複雑な場合も、ノズルの詰まりを防止して、基板の処理を均一に行うことができる。
【0015】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、基板の処理を均一に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。基板処理装置は、ローラ10、回転軸11、薬液回収チャンバ20、薬液回収通路21、薬液タンク30、ポンプ31、フィルタ32、制御弁33,34、配管35、ノズルヘッダー36、支持具37、吊り棒38、ノズル39、圧縮空気供給設備40、及び制御装置50を含んで構成されている。
【0017】
図1において、薬液回収チャンバ20内には、複数の回転軸11が、図面奥行き方向に一定の間隔で設置されており、各回転軸11には複数のローラ10が取り付けられている。各回転軸11は、薬液回収チャンバ20の外側で図示しないモータに接続されており、モータにより各回転軸11を回転することで、各回転軸11に取り付けられたローラ10が所定の速度で回転する。基板1は、複数のローラ10上に搭載され、ローラ10の回転により図面奥行き方向へ移動される。
【0018】
なお、本実施の形態では基板1を水平な状態で移動しているが、本発明はこれに限らず、基板1を水平に対して基板移動方向と直交する方向又は基板移動方向に所定の角度傾斜した状態で移動してもよい。
【0019】
ローラ10により移動される基板1の上方には、複数のノズルヘッダー36が、図面奥行き方向に一定の間隔で設置されている。図2は、ノズルヘッダーの上面図である。本実施の形態では、ノズルヘッダー36が基板移動方向に8段設けられている。しかしながら、ノズルヘッダー36の段数は、これに限らず、基板1の基板移動方向の寸法に応じて適宜決定される。
【0020】
図1において、各段のノズルヘッダー36は、支持具37を挟んで左右2つに分割されており、分割された各ノズルヘッダー36の一端は配管35に接続され、他端は支持具37により固定されている。支持具37は、吊り棒38により、図示しない支持部材から吊り下げられている。なお、本実施の形態では、各段のノズルヘッダー36を2つに分割しているが、各段のノズルヘッダー36は、基板1の図面横方向の寸法に応じて、分割せずに一体としてもよく、また3つ以上に分割してもよい。
【0021】
分割された各ノズルヘッダー36には、複数のノズル39がそれぞれ設けられている。ノズル39は、スプレーノズル又はシャワーノズルであり、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を、ローラ10により移動される基板1の表面へ吐出する。基板1の移動に伴い、ノズル39から吐出された薬液が基板1の表面全体へ供給され、基板1の現像、エッチング、剥離等の処理が行われる。
【0022】
ローラ10の周囲には、薬液回収チャンバ20が配置されており、薬液回収チャンバ20の底には、薬液回収通路21が設けられている。なお、図1には、薬液回収チャンバ20及び薬液回収通路21の断面が示されている。ノズル39から基板1の表面へ吐出された薬液は、基板1の表面から薬液回収チャンバ20へ流れ落ち、薬液回収通路21を通って薬液タンク30へ流れ込む。
【0023】
分割された各ノズルヘッダー36と薬液タンク30との間には、薬液を薬液タンク30から各ノズルヘッダー36へ供給する配管35が設置されている。配管35は、ノズルヘッダー36へつながる共通経路35aと、共通経路35aから薬液タンク30へつながる分岐経路35bと、後述する分岐経路35cとで構成されている。
【0024】
分岐経路35bには、薬液タンク30内の薬液を配管35内へ流すためのポンプ31と、薬液に混入した異物や不純物を取り除くフィルタ32と、制御弁33とが設けられている。制御弁33は、分岐経路35cとの分岐点の直前に設けられている。分岐経路35cは、共通経路35aと圧縮空気供給設備40との間に設置されており、分岐経路35cには、制御弁34が設けられている。制御装置50は、ポンプ31、及び制御弁33,34を制御する。
【0025】
以下、本発明の一実施の形態による基板処理方法について説明する。まず、基板1の処理を行う場合、制御装置50は、制御弁34を閉じ、制御弁33を開いて、共通経路35a及び分岐経路35bを介して、ノズルヘッダー36を薬液タンク30に接続する。そして、制御装置50は、ポンプ31を動作させて、薬液タンク30内の薬液をノズルヘッダー36へ供給させる。ノズルヘッダー36へ供給された薬液は、ノズル39から基板1の表面へ吐出され、薬液回収チャンバ20で回収されて、薬液タンク30へ戻る。
【0026】
所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、ローラ10を止めて、基板1の処理を中止する。制御装置50は、ポンプ31を停止させ、制御弁33を閉じ、制御弁34を開いて、共通経路35a及び分岐経路35cを介して、ノズルヘッダー36を圧縮空気供給設備40に接続する。圧縮空気供給設備40は、圧力が0.1MPa以上、例えば0.5MPaの圧縮空気を、ノズルヘッダー36へ供給する。ノズルヘッダー36へ供給された圧縮空気は、共通経路35a内の薬液と共に、ノズル39から吐出される。薬液を供給する配管35が長く又は配管35の経路が複雑であっても、圧縮空気の圧力により、ノズルヘッダー36へつながる共通経路35a内から薬液が排出されて、薬液の結晶や異物の発生が抑制される。また、ノズル39内に付着した薬液の結晶や異物が、圧縮空気の圧力で除去される。従って、ノズル39の詰まりが防止される。
【0027】
共通経路35a内の薬液を全て吐出した後、再び、ローラ10を回転して、基板1の処理を再開する。制御装置50は、制御弁34を閉じ、制御弁33を開いて、共通経路35a及び分岐経路35bを介して、ノズルヘッダー36を薬液タンク30に接続する。そして、制御装置50は、ポンプ31を動作させて、薬液タンク30内の薬液をノズルヘッダー36へ供給させる。ノズルヘッダー36へ供給された薬液は、ノズル39から基板1の表面へ吐出され、薬液がノズル39から基板1へ均一に供給されるので、基板1の処理が均一に行われる。
【0028】
以上説明した実施の形態によれば、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、ノズルヘッダー36を圧縮空気供給設備40に接続して、ノズル39からノズルヘッダー36へつながる共通経路35a内の薬液及び圧縮空気を吐出することにより、薬液を供給する配管35が長く又は配管35の経路が複雑な場合も、ノズル39の詰まりを防止して、基板1の処理を均一に行うことができる。
【0029】
なお、基板の処理に用いる薬液が有機溶剤やアルコール等の可燃物を含む場合、静電気による発火の可能性がある。その場合は、圧縮空気の代わりに不燃性ガスを使用し、あるいは配管に除電用アースを設置する等の対策を行う。
【0030】
図3は、本発明の他の実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。本実施の形態は、図1に示した実施の形態のノズルヘッダー36の代わりに、スリットノズル60を用いたものである。図3において、基板1は、ローラ10の回転により図面手前方向へ移動される。その他の構成要素は、図1に示した実施の形態と同様である。
【0031】
基板の処理において、薬液を短時間に基板の表面全体に盛る必要がある場合、スプレーノズルやシャワーノズルの代わりに、スリット状の吐出口を有するスリットノズルが用いられる。図4は、スリットノズルの斜視図である。スリットノズル60は、スリット状の吐出口60aから、薬液2を基板1の表面へ長手方向に渡って均一に吐出する。スリットノズル60も、薬液の結晶や異物がスリット状の吐出口60aに詰まることがあり、本発明はスリットノズル60のスリット状の吐出口60aの詰まりにも効果がある。
【0032】
本発明は、基板の現像、エッチング、剥離等の処理の終了時に、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を水に置き換える水置換プロセスにも適用できる。水置換プロセスでは、後工程で使用した純水をタンクに溜めて、溜めた水を再利用することが多い。図5は、本発明のさらに他の実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。基板処理装置は、ローラ10、水回収チャンバ70、水回収通路71、再利用水タンク80、ポンプ81、フィルタ82、制御弁83,84、配管85、ノズルヘッダー86,87、ノズル89、純水供給源、圧縮空気供給源、及び制御装置90を含んで構成されている。
【0033】
表面に薬液が供給された基板1は、複数のローラ10上に搭載され、ローラ10の回転により図面左方向へ移動される。ノズルヘッダー86,87には、複数のノズル89がそれぞれ設けられている。ノズル89は、スプレーノズル又はシャワーノズルであり、再利用水又は純水を、ローラ10により移動される基板1の表面へ吐出する。基板1の移動に伴い、ノズル89から吐出された再利用水又は純水が基板1の表面全体へ供給され、基板1の表面の薬液が再利用水、純水に置換される。
【0034】
後工程のノズルヘッダー87は、純水供給源に接続されており、ノズル89から基板1の表面へ純水を吐出する。ノズルヘッダー87のノズル89から基板1の表面へ吐出された純水は、基板1の表面から水回収チャンバ70へ流れ落ち、水回収通路71を通って再利用水タンク80へ流れ込む。
【0035】
前工程のノズルヘッダー86と再利用水タンク80との間には、再利用水3を再利用水タンク80から各ノズルヘッダー86へ供給する配管85が設置されている。配管85は、ノズルヘッダー86へつながる共通経路85aと、共通経路85aから再利用水タンク80へつながる分岐経路85bと、後述する分岐経路85cとで構成されている。
【0036】
分岐経路85bには、再利用水タンク80内の再利用水3を配管85内へ流すためのポンプ81と、再利用水に混入した異物や不純物を取り除くフィルタ82と、制御弁83とが設けられている。制御弁83は、分岐経路85cとの分岐点の直前に設けられている。分岐経路85cは、共通経路85aと圧縮空気供給源との間に設置されており、分岐経路85cには、制御弁84が設けられている。制御装置90は、ポンプ81、及び制御弁83,84を制御する。
【0037】
制御装置90は、制御弁84を閉じ、制御弁83を開いて、共通経路85a及び分岐経路85bを介して、ノズルヘッダー86を再利用水タンク80に接続する。そして、制御装置90は、ポンプ81を動作させて、再利用水タンク80内の再利用水3をノズルヘッダー86へ供給させる。ノズルヘッダー86へ供給された再利用水3は、ノズル89から基板1の表面へ吐出される。
【0038】
所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、ローラ10を止めて、基板1の処理を中止する。制御装置90は、ポンプ81を停止させ、制御弁83を閉じ、制御弁84を開いて、共通経路85a及び分岐経路85cを介して、ノズルヘッダー86を圧縮空気供給源に接続する。ノズルヘッダー86へ供給された圧縮空気は、共通経路85a内の再利用水と共に、ノズル89から吐出される。再利用水には、異物や不純物が多く含まれており、フィルタ82で除去しきれない異物や不純物がノズルヘッダー86のノズルに詰る問題に対しても、本発明は効果を発揮する。
【0039】
本発明の基板処理装置又は基板処理方法を用いて基板の処理を行うことにより、基板の処理を均一に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0040】
例えば、図6は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、ガラス基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄工程及び乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、ガラス基板上にTFTアレイが形成される。
【0041】
また、図7は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、ガラス基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、ガラス基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄工程及び乾燥工程が実施される。
【0042】
図6に示したTFT基板の製造工程では、現像工程(ステップ104)、エッチング工程(ステップ105)、及び剥離工程(ステップ106)において、図7に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の現像、エッチング、及び剥離の処理において、本発明の基板処理装置又は基板処理方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】ノズルヘッダーの上面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図4】スリットノズルの斜視図である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図6】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図7】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 基板
10 ローラ
11 回転軸
20 薬液回収チャンバ
21 薬液回収通路
30 薬液タンク
31 ポンプ
32 フィルタ
33,34 制御弁
35 配管
35a 共通経路
35b,35c 分岐経路
36 ノズルヘッダー
37 支持具
38 吊り棒
39 ノズル
40 圧縮空気供給設備
50 制御装置
60 スリットノズル
70 水回収チャンバ
71 水回収通路
80 再利用水タンク
81 ポンプ
82 フィルタ
83,84 制御弁
85 配管
85a 共通経路
85b,85c 分岐経路
86,87 ノズルヘッダー
90 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移動する基板移動手段と、
前記基板移動手段により移動される基板の表面へ薬液を吐出するノズルと、
前記ノズルへ薬液を供給する薬液供給源と、
前記ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、
前記ノズルへつながる共通経路、該共通経路から前記薬液供給源へつながる第1の分岐経路、及び該共通経路から前記圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管と、
前記第1の分岐経路に設けられた第1の制御弁と、
前記第2の分岐経路に設けられた第2の制御弁と、
前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第2の制御弁を閉じ、前記第1の制御弁を開いて、前記共通経路及び前記第1の分岐経路を介して、前記ノズルを前記薬液供給源に接続して、前記ノズルから基板の表面へ薬液を吐出させ、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、前記第1の制御弁を閉じ、前記第2の制御弁を開いて、前記共通経路及び前記第2の分岐経路を介して、前記ノズルを前記圧縮気体供給源に接続して、前記ノズルから前記共通経路内の薬液及び圧縮気体を吐出させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を移動する基板移動手段と、基板の表面へ薬液を吐出するノズルと、ノズルへ薬液を供給する薬液供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から薬液供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管とを設け、
第1の分岐経路に第1の制御弁を設け、
第2の分岐経路に第2の制御弁を設け、
基板を移動しながら、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを薬液供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ薬液を吐出し、
所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の薬液及び圧縮気体を吐出することを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
表面に薬液が供給された基板を移動する基板移動手段と、
前記基板移動手段により移動される基板の表面へ再利用水を吐出するノズルと、
前記ノズルへ再利用水を供給する再利用水供給源と、
前記ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、
前記ノズルへつながる共通経路、該共通経路から前記再利用水供給源へつながる第1の分岐経路、及び該共通経路から前記圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管と、
前記第1の分岐経路に設けられた第1の制御弁と、
前記第2の分岐経路に設けられた第2の制御弁と、
前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第2の制御弁を閉じ、前記第1の制御弁を開いて、前記共通経路及び前記第1の分岐経路を介して、前記ノズルを前記再利用水供給源に接続して、前記ノズルから基板の表面へ再利用水を吐出させ、所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、前記第1の制御弁を閉じ、前記第2の制御弁を開いて、前記共通経路及び前記第2の分岐経路を介して、前記ノズルを前記圧縮気体供給源に接続して、前記ノズルから前記共通経路内の再利用水及び圧縮気体を吐出させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
表面に薬液が供給された基板を移動する基板移動手段と、基板の表面へ再利用水を吐出するノズルと、ノズルへ再利用水を供給する再利用水供給源と、ノズルへ圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、ノズルへつながる共通経路、共通経路から再利用水供給源へつながる第1の分岐経路、及び共通経路から圧縮気体供給源へつながる第2の分岐経路を有する配管とを設け、
第1の分岐経路に第1の制御弁を設け、
第2の分岐経路に第2の制御弁を設け、
基板を移動しながら、第2の制御弁を閉じ、第1の制御弁を開いて、共通経路及び第1の分岐経路を介して、ノズルを再利用水供給源に接続して、ノズルから基板の表面へ再利用水を吐出し、
所定の周期又は所定の枚数の基板の処理毎に、第1の制御弁を閉じ、第2の制御弁を開いて、共通経路及び第2の分岐経路を介して、ノズルを圧縮気体供給源に接続して、ノズルから共通経路内の再利用水及び圧縮気体を吐出することを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項3に記載の基板処理装置を用いて基板の処理を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項6】
請求項2又は請求項4に記載の基板処理方法を用いて基板の処理を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153425(P2010−153425A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327032(P2008−327032)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】