説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】塗布液の消費量を十分に削減しつつ基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】時点t0から時点t1までの期間に、基板に溶剤が吐出された後、時点t2で基板の回転が開始される。時点t3で基板の被処理面の中央部にレジスト液が吐出される。時点t4で基板の回転速度が低下し始め、一定時間後に第1の速度となる。時点t5でレジスト液の吐出が停止される。時点t6から時点t7までの期間に、基板の回転が加速され、時点t7で基板の回転速度が第2の速度に達する。時点t7から時点t8までの期間に、基板の回転が減速され、時点t8で基板の回転速度が第3の速度に達する。ここで、時点t7から時点t8までの期間における基板の回転の減速度は、時点t6から時点t7までの期間における基板の回転の加速度よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に塗布液の膜を形成する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用ガラス基板等の基板にフォトレジスト液(以下、レジスト液と略記する。)等の塗布液の膜を形成するために回転式基板処理装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載されたレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置では、被処理基板が高速(第1の回転速度)で回転されつつ、被処理基板の略中央にレジスト液が供給される。供給されたレジスト液は、被処理基板の径方向外方に広がりながら塗布される。
【0004】
レジスト液供給後、被処理基板の回転速度が低速(第2の回転速度)に低下される。これにより、レジスト液の膜厚が整えられる。
【0005】
最後に、被処理基板の回転速度が中速(第3の回転速度)に上昇される。これにより、残余のレジスト液が振り切られる。
【0006】
また、特許文献2に記載されたレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置では、被処理基板の回転速度を第1の回転速度より低く第2の回転速度より高い回転速度に低下させた後に、第2の回転速度に低下させる。
【0007】
さらに、特許文献3に記載されたレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置では、被処理基板の回転速度を第1の回転速度から第2の回転速度より低下させる際に、減速度(減速の加速度)を第2の回転速度に近づくにつれて減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−260717号公報
【特許文献2】特開2007−115907号公報
【特許文献3】特開2007−115936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3には、上記の方法および装置により、レジスト液の膜厚を均一にしつつ、レジスト液の消費量を削減することができると記載されている。
【0010】
しかしながら、近年、レジスト液の消費量をさらに削減することが要求されている。特許文献1〜3の方法および装置では、レジスト液の消費量を削減するにつれて、レジスト液の膜厚の均一性が悪化する傾向にある。そのため、レジスト液の消費量を十分に削減することができない。
【0011】
本発明の目的は、塗布液の消費量を十分に削減しつつ基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に塗布液の膜を形成する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持して回転させる回転保持装置と、回転保持装置により保持される基板上に塗布液を供給する塗布液供給系と、回転保持装置により回転される基板上に塗布液供給系により塗布液が供給された後、第1の期間で基板の回転速度が第1の速度から第2の速度に上昇した後、第2の期間で基板の回転速度が前記第2の速度から第3の速度に低下するように回転保持装置を制御する制御部とを備え、第2の期間での基板の回転の減速度が第1の期間での基板の回転の加速度より小さいものである。
【0013】
第1の発明に係る基板処理装置においては、回転保持装置が基板を水平姿勢で保持して回転させるとともに、塗布液供給系が基板上に塗布液を供給する。また、制御部は、基板の回転速度が第1の期間で第1の速度から第2の速度に上昇した後、第2の期間で前記第2の速度から第3の速度に低下させするように、回転保持装置を制御する。ここで、第2の期間での基板の回転の減速度は第1の期間での基板の回転の加速度より小さい。
【0014】
第1の期間において基板の回転が加速することにより、基板の中央部上の塗布液が乾燥されながら基板の周縁部上に拡散する。これにより、供給される塗布液の量が少ない場合でも、基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0015】
その後、第2の期間において基板の回転が減速することにより、基板の周縁部上の塗布液が受ける遠心力は大きく低下し、基板の中央部上の塗布液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板の中央部上にのみ塗布液が蓄積されることが防止される。その結果、基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0016】
(2)制御部は、塗布液供給系による塗布液の供給開始時における基板の回転速度が第3の速度よりも高い第4の速度となるように回転保持装置を制御してもよい。
【0017】
この場合、基板の回転速度が、第3の速度よりも高い第4の速度のときに、塗布液供給系により塗布液が供給される。これにより、予め基板上の全体に塗布液が分散される。その結果、少量の塗布液により基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0018】
(3)第1の速度は第3の速度よりも低く、制御部は、塗布液供給系による塗布液の供給終了までに基板の回転速度が第1の速度となるように前記回転保持装置を制御してもよい。
【0019】
この場合、基板の回転速度は、塗布液供給系による塗布液の供給終了時までに、第3の速度よりも低い第1の速度に低下される。これにより、第1の期間で基板の回転速度が第1の速度から第2の速度に上昇する前に、基板の中央部上に塗布液を蓄積させることができる。その結果、より少量の塗布液により基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0020】
(4)制御部は、塗布液供給系による塗布液の供給終了時までに基板の回転速度が第1の速度および第3の速度よりも低い第5の速度となり、その後、第1の期間までの期間において基板の回転速度が第5の速度よりも高くかつ第1の速度以下の速度となるように回転保持装置を制御してもよい。
【0021】
この場合、基板の回転速度は、塗布液供給系による塗布液の供給終了時までに、第1の速度および第3の速度よりも低い第5の速度に低下される。その後、基板の回転速度は、第5の速度から第1の速度に上昇される。これにより、
基板の回転速度が第5の速度から第1の速度に上昇する期間に、基板上の塗布液を乾燥させることができる。これにより、乾燥の遅い性質の塗布液を使用する場合、より効率的に基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0022】
(5)第1の速度は第4の速度と等しく、制御部は、塗布液供給系による塗布液の供給開始から第1の期間の開始時までの期間において基板の回転速度が第1の速度となるように回転保持装置を制御してもよい。
【0023】
この場合、塗布液供給系による塗布液の供給開始から第1の期間の開始時までの期間において、基板の回転速度が第4の速度と等しい第1の速度となる。これにより、乾燥の速い性質の塗布液を使用する場合、より効率的に基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0024】
(6)制御部は、第2の期間後に基板の回転速度が上昇した後に低下するサイクルが1または複数回行われるように回転保持装置を制御し、各サイクルにおける基板の回転の減速度が基板の回転の加速度よりも小さくてもよい。
【0025】
この場合、第2の期間後に基板の回転速度が上昇した後に低下するサイクルが1または複数回行われる。また、各サイクルにおける基板の回転の減速度は基板の回転の加速度よりも小さい。これにより、基板の中央部上の塗布液は、基板の周縁部上により拡散しやすくなる。このため、基板の中央部上にのみ塗布液が蓄積されることが十分に防止される。その結果、基板上の塗布液の膜厚の均一性がより向上する。
【0026】
(7)第1の期間での基板の回転の加速度は10000rpm/s以上であり、第2の期間での基板の回転の減速度は10000rpm/sよりも小さくてもよい。
【0027】
この場合、効率的に基板の中央部上の塗布液を基板の周縁部上に拡散させることができる。これにより、基板上の塗布液の膜厚の均一性を効率的に確保することができる。
【0028】
(8)第2の速度は2000rpm以上であってもよい。この場合、基板の中央部上の塗布液を効率的に乾燥させながら基板の周縁部上に拡散させることができる。これにより、供給される塗布液の量が少ない場合でも、より確実に基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0029】
(9)第2の発明に係る基板処理装置は、基板に塗布液の膜を形成する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持して回転させる回転保持装置と、回転保持装置により保持される基板上に塗布液を供給する塗布液供給系と、回転保持装置により回転される基板上に塗布液供給系により塗布液が供給された後、予め定められた期間で基板の回転速度が低下するように回転保持装置を制御する制御部とを備え、予め定められた期間での基板の回転の減速度が10000rpm/sより小さいものである。
【0030】
第2の発明に係る基板処理装置においては、回転保持装置が基板を水平姿勢で保持して回転させるとともに、塗布液供給系が基板上に塗布液を供給する。また、制御部は、予め定められた期間で基板の回転速度が低下するように回転保持装置を制御する。ここで、予め定められた期間での基板の回転の減速度は10000rpm/sより小さい。
【0031】
この場合、基板が回転することにより、基板の中央部上の塗布液が基板の周縁部上に拡散する。そのため、乾燥の速い性質の塗布液を使用する場合においては、供給される塗布液の量が少なくても、基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0032】
また、予め定められた期間において基板の回転が減速することにより、基板の周縁部上の塗布液が受ける遠心力は大きく低下し、基板の中央部上の塗布液が受ける遠心力はほとんど低下しない。そのため、基板の中央部上の塗布液は、基板の周縁部上に拡散しやすくなる。これにより、基板の中央部上にのみ塗布液が蓄積されることが防止される。その結果、基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0033】
(10)第3の発明に係る基板処理方法は、基板に塗布液の膜を形成する基板処理方法であって、基板を水平姿勢で回転させる工程と、回転する基板上に塗布液を供給する工程と、塗布液の供給後、第1の期間で基板の回転速度を第1の速度から第2の速度に上昇させる工程と、第1の期間後の第2の期間で基板の回転速度を前記第2の速度から第3の速度に低下させる工程とを備え、第2の期間での基板の回転の減速度が第1の期間での基板の回転の加速度より小さいものである。
【0034】
第3の発明に係る基板処理方法においては、基板が水平姿勢で回転するとともに、基板上に塗布液が供給される。また、基板の回転速度は第1の期間で第1の速度から第2の速度に上昇した後、第2の期間で前記第2の速度から第3の速度に低下する。ここで、第2の期間での基板の回転の減速度は第1の期間での基板の回転の加速度より小さい。
【0035】
第1の期間において基板の回転が加速することにより、基板の中央部上の塗布液が乾燥されながら基板の周縁部上に拡散する。これにより、供給される塗布液の量が少ない場合でも、基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0036】
その後、第2の期間において基板の回転が減速することにより、基板の周縁部上の塗布液が受ける遠心力は大きく低下し、基板の中央部上の塗布液が受ける遠心力はほとんど低下しない。そのため、基板の中央部上の塗布液は、基板の周縁部上に拡散しやすくなる。これにより、基板の中央部上にのみ塗布液が蓄積されることが防止される。その結果、基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0037】
(11)第4の発明に係る基板処理方法は、基板に塗布液の膜を形成する基板処理方法であって、基板を水平姿勢で回転させる工程と、回転する基板上に塗布液を供給する工程と、塗布液の供給後、予め定められた期間で基板の回転速度を低下させる工程とを備え、予め定められた期間での基板の回転の減速度が10000rpm/sより小さいものである。
【0038】
第4の発明に係る基板処理方法においては、基板が水平姿勢で回転するとともに、基板上に塗布液が供給される。また、予め定められた期間で基板の回転速度が低下する。ここで、予め定められた期間での基板の回転の減速度は10000rpm/sより小さい。
【0039】
この場合、基板が回転することにより、基板の中央部上の塗布液が基板の周縁部上に拡散する。そのため、乾燥の速い性質の塗布液を使用する場合においては、供給される塗布液の量が少なくても、基板上に塗布液の膜を形成することができる。
【0040】
また、予め定められた期間において基板の回転が減速することにより、基板の周縁部上の塗布液が受ける遠心力は大きく低下し、基板の中央部上の塗布液が受ける遠心力はほとんど低下しない。そのため、基板の中央部上の塗布液は、基板の周縁部上に拡散しやすくなる。これにより、基板の中央部上にのみ塗布液が蓄積されることが防止される。その結果、基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、塗布液の消費量を十分に削減しつつ基板上の塗布液の膜厚の均一性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の概略断面図である。
【図2】基板処理装置おける基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図3】膜形成工程における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図4】基板の被処理面上でレジスト液が拡散される過程を示した図である。
【図5】第2の実施の形態の膜形成工程における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図6】第3の実施の形態の膜形成工程における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図7】第4の実施の形態の膜形成工程における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図8】第5の実施の形態の膜形成工程における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【図9】比較例における基板の回転速度の変化および各信号の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[1]第1の実施の形態
以下、第1の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、塗布液としてレジスト液が用いられる。
【0044】
(1)基板処理装置
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置200の概略断面図である。図1において、基板処理装置200は回転式基板処理装置であり、基板100を水平姿勢で保持して回転する回転保持部1を備える。回転保持部1はモータ3の回転軸2の先端に取り付けられ、鉛直軸の周りで回転駆動される。
【0045】
回転保持部1に保持された基板100の周囲を取り囲むように飛散防止用のカップ5が設けられている。カップ5の上面側には開口部20が設けられ、カップ5の下部には廃液口7および複数の排気口8が設けられている。排気口8は、工場内の排気設備に接続される。回転保持部1の下方には、整流板6が配置されている。この整流板6は、外周部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面を有する。
【0046】
基板100上にレジスト液を吐出するレジストノズル9およびシンナー等の溶剤を吐出する溶剤ノズル9bが、上下動可能かつ基板100の上方位置とカップ5外の待機位置との間で移動可能に設けられている。
【0047】
レジストノズル9はレジスト液供給管T1を介してレジスト液供給源P1と接続されている。また、溶剤ノズル9bは溶剤供給管T2を介して溶剤供給源P2と接続されている。レジスト液供給管T1にはバルブV1が介挿され、溶剤供給管T2にはバルブV2が介挿されている。バルブV1が開かれることにより、レジスト液供給源P1からレジスト液供給管T1を通してレジストノズル9にレジスト液が供給される。また、バルブV2が開かれることにより、溶剤供給源P2から溶剤供給管T2を通して溶剤ノズル9bに溶剤が供給される。
【0048】
基板100の周縁部のレジスト膜を除去するための溶剤等のリンス液(以下、エッジリンス液と呼ぶ。)を吐出するエッジリンスノズル10が上下動可能かつ基板100の周縁部の上方位置と待機位置との間で移動可能に設けられている。さらに、基板100の下方には、基板100の裏面(被処理面と反対側の面)を洗浄するための溶剤等のリンス液(以下、バックリンス液と呼ぶ。)を吐出する複数のバックリンスノズル11が配置されている。
【0049】
エッジリンスノズル10はエッジリンス液供給管T3を介してエッジリンス液供給源P3と接続されている。また、バックリンスノズル11はバックリンス液供給管T4を介してバックリンス液供給源P4と接続されている。エッジリンス液供給管T3にはバルブV3が介挿され、バックリンス液供給管T4にはバルブV4が介挿されている。バルブV3が開かれることにより、エッジリンス液供給源P3からエッジリンス液供給管T3を通してエッジリンスノズル10にエッジリンス液が供給される。また、バルブV4が開かれることにより、バックリンス液供給源P4からバックリンス液供給管T4を通してバックリンスノズル11にバックリンス液が供給される。
【0050】
基板処理装置200は、制御部12を備える。制御部12は、モータ3に回転信号S0を与えることにより、モータ3の回転速度を制御する。それにより、回転保持部1により保持された基板100の回転速度が制御される。また、制御部12は、バルブV1〜V4に、レジスト液吐出信号S1、溶剤吐出信号S2、エッジリンス液吐出信号S3およびバックリンス液吐出信号S4を与えることにより、バルブV1〜V4の開閉を制御する。それにより、レジスト液、溶剤、エッジリンス液およびバックリンス液の吐出タイミングが制御される。
【0051】
(2)基板の処理
次に、図1の基板処理装置200における基板100の処理工程について説明する。図2は、基板処理装置200における基板100の回転速度の変化および各信号S1〜S4の変化を示す図である。
【0052】
図2に示すように、基板100の処理工程は、膜形成工程および洗浄工程を含む。膜形成工程において、基板100の被処理面上にレジスト液が塗布された後、洗浄工程において基板100の被処理面の周縁部および裏面の洗浄が行われる。
【0053】
基板100は、被処理面が上方に向けられた状態で回転保持部1により保持される(図1参照)。初期状態では、基板100の回転が停止されるとともに、各S1〜S4がローレベルにある。
【0054】
膜形成工程においては、まず、溶剤ノズル9bが基板100の中央部上方に移動する。時点t0で溶剤吐出信号S2がハイレベルになる。それにより、溶剤ノズル9bから基板100の被処理面の中央部に溶剤が吐出される。
【0055】
次に、時点t1で溶剤吐出信号S2がローレベルになる。それにより、溶剤ノズル9bからの溶剤の吐出が停止される。次に、時点t2で基板100の回転が開始される。それにより、基板100の被処理面の中央部に吐出された溶剤が、基板100の回転に伴う遠心力により基板100の被処理面の全体に拡散される。
【0056】
次に、レジストノズル9が基板100の中央部上方に移動する。時点t3でレジスト液吐出信号S1がハイレベルになる。それにより、レジストノズル9から基板100の被処理面の中央部にレジスト液が吐出される。その後、時点t5でレジスト液吐出信号S1がローレベルになる。それにより、レジストノズル9からのレジスト液の吐出が停止される。
【0057】
基板100の被処理面の中央部に吐出されたレジスト液は、基板100の回転に伴う遠心力により基板100の被処理面全体に拡散される。
【0058】
本実施の形態では、膜形成工程において、基板100の回転速度が段階的に変化するようにモータ3が制御される。それにより、レジスト液の消費量を削減しつつ基板100の被処理面に均一にレジスト液を塗布することができる。膜形成工程における基板100の回転速度制御の詳細については後述する。
【0059】
洗浄工程においては、まず、時点t11で基板100の回転速度が例えば500rpmに低下される。次に、時点t12で、エッジリンス液吐出信号S3およびバックリンス液吐出信号S4がそれぞれハイレベルになる。これにより、エッジリンスノズル10から基板100の被処理面の周縁部にエッジリンス液が吐出されるとともに、バックリンスノズル11から基板100の裏面にバックリンス液が吐出される。
【0060】
基板100にエッジリンス液およびバックリンス液の吐出が開始された後、時点t13で基板100の回転速度が、例えば1000rpmまで上昇する。このとき、基板100の被処理面の周縁部がエッジリンス液により洗浄されるとともに、基板100の裏面がバックリンス液により洗浄される。これにより、基板100の被処理面の周縁部および裏面に付着するレジスト液および塵埃等が除去される。その後、時点t14でエッジリンス液吐出信号S3がローレベルになり、時点t15でバックリンス液吐出信号S4がローレベルになる。それにより、バックリンス液の吐出およびエッジリンス液の吐出が順に停止される。
【0061】
エッジリンス液およびバックリンス液の吐出が停止された後、時点t16で基板100の回転速度が、例えば2000rpmに上昇する。これにより、基板100に付着するエッジリンス液およびバックリンス液が振り切られ、基板100から除去される。その後、基板100の回転が停止される。これにより、基板処理装置200における一連の処理が終了する。
【0062】
(3)膜形成工程の詳細
次に、上記の膜形成工程の詳細について説明する。図3は、膜形成工程における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。また、図4は、基板100の被処理面上でレジスト液が拡散される過程を示した図である。
【0063】
上記のように、時点t0から時点t1までの期間に、溶剤ノズル9bから基板100に溶剤が吐出された後、時点t2で基板100の回転が開始される。この場合、基板100の回転速度は、例えば3000rpm(第4の速度の例)まで上昇する。これにより、基板100上に吐出された溶剤が基板100の被処理面の径方向外方に拡散される。
【0064】
このようにして、基板100の被処理面全体に溶剤を塗布するプリウエット処理が行われる。それにより、続いてレジスト液を基板100の被処理面に塗布する際に、レジスト液が基板100の被処理面上で拡散しやすくなる。その結果、より少量のレジスト液で基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0065】
基板100の被処理面全体に溶剤が塗布された後、時点t3でレジスト液吐出信号S1がハイレベルになる。これにより、レジストノズル9から基板100の被処理面の中央部にレジスト液が吐出される(図4(a)参照)。このとき、基板100は高速(例えば3000rpm)で回転しているため、基板100上に吐出されたレジスト液が、基板100の被処理面の径方向外方に拡散する(図4(b)参照)。
【0066】
時点t4で基板100の回転速度が低下し始め、一定時間後に例えば100rpm(第1の速度の例)となる。続いて、時点t5でレジスト液吐出信号S1がローレベルになり、レジスト液の吐出が停止される。この場合、基板100の中央部上のレジスト液に働く遠心力は、周縁部上のレジスト液に働く遠心力よりも顕著に小さくなる。そのため、基板100の被処理面の中央部には、周縁部に比べてレジスト液が蓄積される(図4(c)参照)。
【0067】
次に、時点t6から時点t7までの期間(第1の期間の例)に、基板100の回転が加速される。時点t7で基板100の回転速度は2000rpm以上に達し、例えば3500rpm(第2の速度の例)に達する。
【0068】
ここで、時点t6から時点t7までの期間における基板100の回転の加速度(単位時間当たりの回転速度の増加割合)は10000rpm/s以上である。これにより、基板100の中央部上のレジスト液が乾燥されながら基板100の周縁部上に拡散する。そのため、供給されるレジスト液の量が少ない場合でも、基板100上にレジスト液の膜を形成することができる(図4(d)参照)。
【0069】
続いて、時点t7から時点t8までの期間(第2の期間の例)に、基板100の回転が減速される。時点t8で基板100の回転速度が、例えば1000rpm(第3の速度の例)に達する。
【0070】
ここで、時点t7から時点t8までの期間における基板100の回転の減速度(単位時間当たりの回転速度の減少割合)は10000rpm/s未満である。この場合、基板100の周縁部上のレジスト液が受ける遠心力は大きく低下し、基板100の中央部上のレジスト液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板100の周縁部から基板100外に流出するレジスト液の量が減少し、基板100の中央部上から周縁部に拡散したレジスト液が基板100の周縁部上で維持される。その結果、基板100上のレジスト液の膜厚の均一性を確保することができる(図4(e)参照)。
【0071】
また、時点t7から時点t8までの期間においては、基板100の回転速度が直線的に低下する。それにより、基板100の回転による気流が基板100の周囲に生成されにくい。このため、基板100上のレジスト液の乾燥時に、気流がレジスト液の膜に影響を与えることが防止される。その結果、基板100上に形成されるレジスト液の膜に気流の跡が残ることが防止される。
【0072】
その後、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、基板100のレジスト液の膜厚が略均一に保たれつつ、膜厚が調整される。レジスト液が乾燥し、基板100の被処理面に膜が形成された後、処理工程は前述の洗浄工程に移る。
【0073】
(4)効果
本実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法においては、時点t6から時点t7までの期間において基板100の回転が加速することにより、基板100の中央部上のレジスト液が乾燥されながら基板100の周縁部上に拡散する。これにより、供給されるレジスト液の量が少ない場合でも、基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0074】
また、時点t7から時点t8までの期間において基板100の回転が減速することにより、基板100の周縁部上のレジスト液が受ける遠心力は大きく低下し、基板100の中央部上のレジスト液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板100の中央部上にのみレジスト液が蓄積されることが防止される。その結果、基板100上のレジスト液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0075】
時点t6から時点t7までの期間での基板100の回転の加速度は10000rpm/s以上であり、時点t7から時点t8までの期間での基板100の回転の減速度は10000rpm/sよりも小さい。
【0076】
これにより、効率的に基板100の中央部上のレジスト液を基板100の周縁部上に拡散させることができる。これにより、基板100上のレジスト液の膜厚の均一性を効率的に確保することができる。
【0077】
また、時点t7における速度は2000rpm以上である。これにより、基板100の中央部上のレジスト液を効率的に乾燥させながら基板100の周縁部上に拡散させることができる。したがって、供給されるレジスト液の量が少ない場合でも、より確実に基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0078】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について、第1の実施の形態に係る基板処理装置200および基板処理方法と異なる点を説明する。なお、第2の実施の形態から第5の実施の形態においては、基板100の膜形成工程が第1の実施の形態と異なるため、膜形成工程の詳細についてのみ説明する。
【0079】
図5は、第2の実施の形態の膜形成工程における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。
【0080】
図5に示すように、本実施の形態では、時点t4で基板100の回転速度が低下し始め、一定時間後に例えば100rpm(第5の速度の例)となる。続いて、時点t5でレジスト液の吐出が停止された後、時点t21で基板100の回転速度が、例えば100rpmから1000rpm(第1の速度の例)に上昇される。
【0081】
時点t21から時点t22までの期間、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、時点t21から時点t22までの期間に、基板100上のレジスト液を十分に乾燥させることができる。そのため、第1の実施の形態と比較して、乾燥の遅い性質の塗布液を使用する場合に、より効率的に基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0082】
次に、時点t22から時点t23までの期間(第1の期間の例)に、基板100の回転が加速される。時点t23で基板100の回転速度は2000rpm以上に達し、例えば3500rpm(第2の速度の例)に達する。
【0083】
ここで、時点t22から時点t23までの期間における基板100の回転の加速度は10000rpm/s以上である。これにより、基板100の中央部上のレジスト液が乾燥されながら基板100の周縁部上に拡散する。そのため、供給されるレジスト液の量が少ない場合でも、基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0084】
続いて、時点t23から時点t24までの期間(第2の期間の例)に、基板100の回転が減速される。時点t24で基板100の回転速度が、例えば1000rpm(第3の速度の例)に達する。
【0085】
ここで、時点t23から時点t24までの期間における基板100の回転の減速度は10000rpm/s未満である。この場合、基板100の周縁部上のレジスト液が受ける遠心力は大きく低下し、基板100の中央部上のレジスト液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板100の周縁部から基板100外に流出するレジスト液の量が減少し、基板100の中央部上から周縁部に拡散したレジスト液が基板100の周縁部上で維持される。その結果、基板100上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0086】
その後、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、基板100のレジスト液の膜厚が略均一に保たれつつ、膜厚が調整される。レジスト液が乾燥し、基板100の被処理面に膜が形成された後、処理工程は先述の洗浄工程に移る。
【0087】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について、第1の実施の形態に係る基板処理装置200および基板処理方法と異なる点を説明する。
【0088】
図6は、第3の実施の形態の膜形成工程における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。
【0089】
図6に示すように、本実施の形態では、時点t2で基板100の回転速度が上昇し始め、一定時間後に例えば3000rpm(第4の速度の例)となる。時点t3でレジストノズル9から基板100の被処理面の中央部にレジスト液が吐出された後、時点t31まで基板100の回転速度は、例えば3000rpm(第1の速度の例)に維持される。
【0090】
続いて、時点t31から時点t32までの期間(第1の期間の例)に、基板100の回転が加速される。時点t32で基板100の回転速度は2000rpm以上に達し、例えば3500rpm(第2の速度の例)に達する。
【0091】
ここで、時点t31から時点t32までの期間における基板100の回転の加速度は10000rpm/s以上である。また、時点t32でレジストノズル9からのレジストの吐出が停止される。
【0092】
このように、本実施の形態においては、時点t3の後に基板100の回転速度を低下させつつレジスト液を十分に乾燥させる期間が設けられない。そのため、第1の実施の形態と比較して、乾燥の速い性質のレジスト液を使用する場合に、より効率的に基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0093】
また、時点t32から時点t33までの期間(第2の期間の例)に、基板100の回転が減速される。時点t33で基板100の回転速度が、例えば1000rpm(第3の速度の例)に達する。
【0094】
ここで、時点t32から時点t33までの期間における基板100の回転の減速度は10000rpm/s未満である。この場合、基板100の周縁部上のレジスト液が受ける遠心力は大きく低下し、基板100の中央部上のレジスト液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板100の周縁部から基板100外に流出するレジスト液の量が減少し、基板100の中央部上から周縁部に拡散したレジスト液が基板100の周縁部上で維持される。その結果、基板100上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0095】
その後、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、基板100のレジスト液の膜厚が略均一に保たれつつ、膜厚が調整される。レジスト液が乾燥し、基板100の被処理面に膜が形成された後、処理工程は先述の洗浄工程に移る。
【0096】
[4]第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について、第1の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法と異なる点を説明する。
【0097】
図7は、第4の実施の形態の膜形成工程における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。
【0098】
図7に示すように、本実施の形態における時点t0から時点t8までの基板100回転速度の変化は第1の実施の形態における時点t0から時点t8までの基板100の回転速度の変化と同様である。
【0099】
本実施の形態では、時点t8で基板100の回転速度が、例えば1000rpm(第3の速度の例)まで低下された後、時点t41まで例えば1000rpm(2サイクル目の第1の速度の例)に維持される。
【0100】
続いて、時点t41から時点t42までの期間(2サイクル目の第1の期間の例)に、基板100の回転が加速される。時点t42で基板100の回転速度は2000rpm以上に達し、例えば3500rpm(2サイクル目の第2の速度の例)に達する。ここで、時点t41から時点t42までの期間における基板100の回転の加速度は10000rpm/s以上である。
【0101】
さらに、時点t42から時点t43までの期間(2サイクル目の第2の期間の例)に、基板100の回転が減速される。時点t43で基板100の回転速度が、例えば1000rpm(2サイクル目の第1の速度の例)に達する。ここで、時点t42から時点t43までの期間における基板100の回転の減速度は10000rpm/s未満である。
【0102】
このように、本実施の形態においては、時点t8の後に、基板100の回転速度が上昇した後に低下するサイクルがさらに1回行われる。これにより、基板100の中央部上のレジスト液は、基板100の周縁部上により拡散しやすくなる。このため、基板100の中央部上にのみレジスト液が蓄積されることが十分に防止される。その結果、第1の実施の形態と比較して、基板100上のレジスト液の膜厚の均一性がより向上する。
【0103】
その後、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、基板100のレジスト液の膜厚が略均一に保たれつつ、膜厚が調整される。レジスト液が乾燥し、基板100の被処理面に膜が形成された後、処理工程は先述の洗浄工程に移る。
【0104】
[5]第5の実施の形態
第5の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について、第1の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法と異なる点を説明する。
【0105】
図8は、第5の実施の形態の膜形成工程における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。
【0106】
図8に示すように、本実施の形態では、時点t2で基板100の回転速度が上昇し始め、一定時間後に例えば3000rpmに達した後に一定に維持される。また、時点t3から時点t61の期間、レジストノズル9からレジスト液が基板100に吐出される。
【0107】
続いて、時点t62から時点t63までの期間(予め定められた期間の例)に、基板100の回転が減速される。時点t63で基板100の回転速度が、例えば1000rpmに達する。
【0108】
ここで、時点t62から時点t63までの期間における基板100の回転の減速度は10000rpm/s未満である。この場合、基板100の周縁部上のレジスト液が受ける遠心力は大きく低下し、基板100の中央部上のレジスト液が受ける遠心力はほとんど低下しない。これにより、基板100の周縁部から基板100外に流出するレジスト液の量が減少し、基板100の中央部上から周縁部に拡散したレジスト液が基板100の周縁部上で維持される。その結果、基板100上の塗布液の膜厚の均一性を確保することができる。
【0109】
このように、本実施の形態においては、時点t3の後に基板100の回転速度を低下させつつレジスト液を十分に乾燥させる期間が設けられない。そのため、第1の実施の形態と比較して、乾燥の速い性質のレジスト液を使用する場合に、より効率的に基板100上にレジスト液の膜を形成することができる。
【0110】
その後、基板100の回転速度が、例えば1000rpmに維持される。これにより、基板100のレジスト液の膜厚が略均一に保たれつつ、膜厚が調整される。レジスト液が乾燥し、基板100の被処理面に膜が形成された後、処理工程は先述の洗浄工程に移る。
【0111】
[6]他の実施の形態
上記実施の形態では、塗布液としてレジスト液が使用されたが、これに限定されない。例えば、反射防止膜を形成するための液またはレジスト膜を保護する保護膜を形成するための液等の種々の塗布液を使用することができる。
【0112】
また、上記第1〜第5の実施の形態で示された基板100の回転速度は一例であり、本発明は上記の回転速度に限定されるものではない。使用する溶剤、基板100の大きさ、塗布液の粘度および塗布液の乾燥のしやすさなど、種々の要素により基板100の回転速度を適切に設定することが可能である。
【0113】
第1の実施の形態では、時点t6から時点t7までの期間(第1の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に上昇しているが、基板100の回転速度は曲線的に上昇してもよい。
【0114】
また、時点t7から時点t8までの期間(第2の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に低下しているが、基板100の回転速度は曲線的に低下してもよい。
【0115】
さらに、時点t2から時点t4の期間および時点t5から時点t6までの期間において、基板100の回転速度が一定に維持されているが、基板100の回転速度は連続的または段階的に変化してもよい。
【0116】
第2の実施の形態では、時点t22から時点t23までの期間(第1の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に上昇しているが、基板100の回転速度は曲線的に上昇してもよい。
【0117】
また、時点t23から時点t24までの期間(第2の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に低下しているが、基板100の回転速度は曲線的に低下してもよい。
【0118】
さらに、時点t2から時点t4の期間、時点t4から時点t21までの期間、および時点t21から時点t22までの期間において、基板100の回転速度が一定に維持されているが、基板100の回転速度は連続的または段階的に変化してもよい。
【0119】
また、時点t21から時点t24までのサイクルが2回以上行われてもよい。
【0120】
第3の実施の形態では、時点t31から時点t32までの期間(第1の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に上昇しているが、基板100の回転速度は曲線的に上昇してもよい。
【0121】
また、時点t32から時点t33までの期間(第2の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に低下しているが、基板100の回転速度は曲線的に低下してもよい。
【0122】
さらに、時点t2から時点t31の期間において、基板100の回転速度が一定に維持されているが、基板100の回転速度は連続的または段階的に変化してもよい。
【0123】
第4の実施の形態では、時点t6から時点t7までの期間(第1の期間の例)および時点t41から時点t42までの期間(2サイクル目の第1の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に上昇しているが、基板100の回転速度は曲線的に上昇してもよい。
【0124】
また、時点t7から時点t8までの期間(第2の期間の例)および時点t42から時点t43までの期間(2サイクル目の第2の期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に低下しているが、基板100の回転速度は曲線的に低下してもよい。
【0125】
さらに、時点t2から時点t4の期間、時点t5から時点t6までの期間および時点t8から時点t41までの期間において、基板100の回転速度が一定に維持されているが、基板100の回転速度は連続的または段階的に変化してもよい。
【0126】
また、時点t8以降において、時点t41から時点t43までのサイクルが2回以上行われてもよい。
【0127】
第5の実施の形態では、時点t62から時点t63までの期間(予め定められた期間の例)において、基板100の回転速度が直線的に低下しているが、基板100の回転速度は曲線的に低下してもよい。
【0128】
また、時点t2から時点t62の期間において、基板100の回転速度が一定に維持されているが、基板100の回転速度は連続的または段階的に変化してもよい。
【0129】
[7]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0130】
上記実施の形態においては、基板100が基板の例であり、レジスト液が塗布液の例であり、基板処理装置200が基板処理装置の例であり、レジストノズル9が塗布液供給系の例であり、モータ3が回転保持装置の例であり、制御部12が制御部の例である。
【0131】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0132】
[8]実施例
以下の実施例および比較例において、レジスト液の消費量と基板100上に形成されるレジスト液の膜(以下、レジスト膜と呼ぶ。)の状態との関係を調べた。
【0133】
実施例では、基板100の膜形成工程において、基板100の回転速度、レジスト液の吐出タイミングおよび溶剤の吐出タイミングを図3のように変化させた。
【0134】
図9は、比較例における基板100の回転速度の変化および各信号S1,S2の変化を示す図である。比較例では、基板100の膜形成工程において、基板100の回転速度、レジスト液の吐出タイミングおよび溶剤の吐出タイミングを図9のように変化させた。図9の例が図3の例と異なるのは、時点t6において、基板100の回転を加速させた後に減速させる期間を設けないで時点t7aから基板100の回転速度を一定に保った点である。時点t7a以降の基板100の回転速度は図3における時点t8以降の基板100の回転速度と同じである。
【0135】
なお、基板100の洗浄工程については、実施例および比較例において図2に示す同一の工程が行われた。
【0136】
上記の実施例および比較例において、レジスト液の吐出量を0.25mlから0.60mlからに設定し、基板100上にレジスト液が均一に形成されるか否かを調べた。
【0137】
実施例および比較例におけるレジスト消費量の測定結果を表1に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
表1に示すように、実施例においては、レジスト液の吐出量が0.30ml以上である場合、基板100上に均一なレジスト膜が形成された。一方、比較例においては、レジスト液の使用量が0.60ml以上である場合、基板100上に均一なレジスト膜が形成された。
【0140】
上記実施例および比較例の結果から、基板100の回転を低下させた状態から、基板100の回転を加速させた後に減速させる時点t6から時点t8までの期間を設けることにより、レジスト液の消費量を削減しつつ基板100の被処理面上に均一なレジスト膜を形成することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、種々の基板の塗布処理に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 回転保持部
2 回転軸
3 モータ
5 カップ
6 整流板
7 廃液口
8 排気口
9 レジストノズル
9b 溶剤ノズル
10 エッジリンスノズル
11 バックリンスノズル
12 制御部
20 開口部
100 基板
200 基板処理装置
P1 レジスト液供給源
P2 溶剤供給源
P3 エッジリンス供給源
P4 バックリンス供給源
S0〜S4 信号
T1 レジスト液供給管
T2 溶剤供給管
T3 エッジリンス供給管
T4 バックリンス供給管
V1〜V4 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布液の膜を形成する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持して回転させる回転保持装置と、
前記回転保持装置により保持される基板上に塗布液を供給する塗布液供給系と、
前記回転保持装置により回転される基板上に前記塗布液供給系により塗布液が供給された後、第1の期間で基板の回転速度が第1の速度から第2の速度に上昇した後、第2の期間で基板の回転速度が前記第2の速度から第3の速度に低下するように前記回転保持装置を制御する制御部とを備え、
前記第2の期間での基板の回転の減速度が前記第1の期間での基板の回転の加速度より小さいことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記塗布液供給系による塗布液の供給開始時における基板の回転速度が前記第3の速度よりも高い第4の速度となるように前記回転保持装置を制御することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1の速度は前記第3の速度よりも低く、
前記制御部は、前記塗布液供給系による塗布液の供給終了時までに基板の回転速度が前記第1の速度となるように前記回転保持装置を制御することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記塗布液供給系による塗布液の供給終了時までに基板の回転速度が前記第1の速度および前記第3の速度よりも低い第5の速度となり、その後、前記第1の期間までの期間において基板の回転速度が前記第5の速度よりも高くかつ前記第1の速度以下の速度となるように前記回転保持装置を制御することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の速度は前記第4の速度と等しく、
前記制御部は、前記塗布液供給系による塗布液の供給開始から前記第1の期間の開始時までの期間において基板の回転速度が前記第1の速度となるように前記回転保持装置を制御することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の期間後に基板の回転速度が上昇した後に低下するサイクルが1または複数回行われるように前記回転保持装置を制御し、
各サイクルにおける基板の回転の減速度が基板の回転の加速度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の期間での基板の回転の加速度は10000rpm/s以上であり、前記第2の期間での基板の回転の減速度は10000rpm/sよりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第2の速度は2000rpm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板に塗布液の膜を形成する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持して回転させる回転保持装置と、
前記回転保持装置により保持される基板上に塗布液を供給する塗布液供給系と、
前記回転保持装置により回転される基板上に前記塗布液供給系により塗布液が供給された後、予め定められた期間で基板の回転速度が低下するように前記回転保持装置を制御する制御部とを備え、
前記予め定められた期間での基板の回転の減速度が10000rpm/sより小さいことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
基板に塗布液の膜を形成する基板処理方法であって、
基板を水平姿勢で回転させる工程と、
前記回転する基板上に塗布液を供給する工程と、
前記塗布液の供給後、第1の期間で基板の回転速度を第1の速度から第2の速度に上昇させる工程と、
前記第1の期間後の第2の期間で基板の回転速度を前記第2の速度から第3の速度に低下させる工程とを備え、
前記第2の期間での基板の回転の減速度が前記第1の期間での基板の回転の加速度より小さいことを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
基板に塗布液の膜を形成する基板処理方法であって、
基板を水平姿勢で回転させる工程と、
前記回転する基板上に塗布液を供給する工程と、
前記塗布液の供給後、予め定められた期間で基板の回転速度を低下させる工程とを備え、
前記予め定められた期間での基板の回転の減速度が10000rpm/sより小さいことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−119597(P2011−119597A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277754(P2009−277754)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】