説明

基板処理装置のロール間隙調整方法

【課題】第1ロール及び第2ロールが基板に接触する位置を正確に検知し、第1ロール及び第2ロールの押し付け量を適正に設置できる基板処理装置のロール間隙調整方法を提供すること。
【解決手段】基板治具50と、第1ロール治具40−1と、第2ロール治具40−2を用意し、基板治具50の外周部をコマ12の円周溝12aに挿入して支持し、基板治具50の裏面と第2ロール治具40−2の間の間隙が所定値になるように調整して位置決めし、該位置決めして第2ロール治具40−2に第1ロール治具40−1を対向させ、第2ロール治具と該第1ロール治具の間の間隙が所定値になるよう調整して位置決めし、しかる後、第1ロール治具40−1を保持する第1ロール回転機構17に第1ロールを、第2ロール治具40−2を保持する第2ロール回転機構18に第2ロールを保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラブ洗浄装置のように半導体基板のような円板状基板を回転させながら、表面及び裏面にロールスポンジを摺接させた該表面及び裏面を同時に洗浄するように基板処理装置の該表面及び裏面に摺接するロールスポンジの間隙を調整する基板処理装置のロール間隙調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板のような円板状基板を洗浄する洗浄装置として、図1に示すような基板洗浄装置がある。この基板洗浄装置10は、半導体基板等の円板状の被洗浄基板Wfの外周縁を支持して回転する複数(図では4本)のスピンドル11を備えた基板回転機構と、第1ロール型洗浄部材13を第1回転軸線上に支持し矢印F1方向に回転させながら被洗浄基板Wfの表面に摺接させる第1ロール回転機構17と、第2ロール型洗浄部材15を第1回転軸線に平行する第2回転軸線上で、且つ被洗浄基板Wfを挟むように対向して支持し、矢印F2方向に回転させながら被洗浄基板Wfの裏面に摺接させる第2ロール回転機構18とを備えた構成である。
【0003】
上記第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15は、表面層がPVAからなるロールスポンジであり、矢印E方向に回転する被洗浄基板Wfの表面に第1ロール型洗浄部材13の表面層13aを裏面に第2ロール型洗浄部材15の表面層15aを押し当て、表面及び裏面に洗浄液ノズル19から洗浄液を噴射して洗浄する。この第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の押し付け荷重の設定は、第1ロール回転機構17及び第2ロール回転機構18がそれぞれ備えるエアシリンダで行うようになっている。そして、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfに接触する接触位置からエアシリンダのストロークエンドまでの距離を押し付け量としている。なお、図1において、12はスピンドル11の上部に設けたコマ、12aは該コマの外周に設けた円周溝である。また、20は洗浄アームであり、21は該洗浄アーム20を揺動させる揺動軸である。
【特許文献1】特開2002−50602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記洗浄装置において、従来の第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の押し付け量の調整方法は、複数のスピンドル11を備えた基板回転機構にダミーの被洗浄基板Wfを支持させ、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15を被洗浄基板Wfに接触させ、その接触位置を目視で確認し、その接触位置から第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15を押し付け量を所定値(例えば、第1ロール型洗浄部材13の押し付け量:1〜2mm、第2ロール型洗浄部材15の押し付け量:0.1〜0.3mm)を設定している。
【0005】
上記従来の第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の押し付け量の調整方法では、調整作業のバラツキによって、第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfの裏面(下面)に当接しないという問題があった。特に第2ロール型洗浄部材15は被洗浄基板Wfの下方に位置しているため、第2ロール型洗浄部材15と被洗浄基板Wfの裏面(下面)が接触していることを目視で正確に確認できないため、第2ロール型洗浄部材15と被洗浄基板Wfの裏面が接触しているように見えても、該第2ロール型洗浄部材15と被洗浄基板Wfの裏面の間にエアシリンダのストロークエンドまでの距離以上の間隙があり、第2ロール型洗浄部材15をストロークエンドまで押上げても、第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfの裏面に接触しない可能性があった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、第1ロール及び第2ロールが基板に接触する位置を正確に検知し、第1ロール及び第2ロールの押し付け量を適正に設定できる基板処理装置のロール間隙調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、円板状の基板を支持して回転させる基板回転機構と、第1ロールを第1回転軸線上に支持し回転させながら基板の表面に摺接させる第1ロール回転機構と、第2ロールを第1回転軸線に平行する第2回転軸線上で、且つ基板を挟むように対向して支持し回転させながら基板の裏面に摺接させる第2ロール回転機構とを備えた基板処理装置における第1ロールと第2ロール間の間隙を調整する基板処理装置のロール間隙調整方法であって、基板回転機構に基板に相当する板状の基板治具を支持させると共に、第2ロール回転機構に第2ロールに相当する第2ロール治具を支持させ、基板治具裏面と第2ロール治具の間の間隙が所定値になるように、第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、第2ロール治具に第1ロール回転機構に支持させた第1ロールに相当する第1ロール治具を対向させ、第2ロール治具と該第1ロール治具の間の間隙が所定値になるように第1ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、しかる後、第1ロール回転機構及び第2ロール回転機構に、第1ロール治具及び第2ロール治具に換えて、第1ロール及び第2ロールを支持させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記基板処理装置のロール間隙調整方法において、基板治具には、第2ロール治具に対応する位置に間隙測定用窓を設け、該間隙測定用窓を通してダイヤルゲージを用いて基板治具裏面と第2ロール治具の間隙を測定し、該間隙が所定値になるように、第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記基板処理装置のロール間隙調整方法において、第2ロール治具と第1ロール治具の間の間隙調整は、第2ロール回転機構を位置決めした後、第2ロール治具と第1ロール治具の間に所定値の厚みを有するスキミゲージを介在させて、第2ロール治具とスキミゲージと第1ロール治具が接触した状態で第1ロール回転機構の位置を位置決めすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記基板処理装置のロール間隙調整方法において、第1及び第2ロール治具は、樹脂材に剛性の大きい円柱材を埋め込み、該樹脂材の外周を外径が第2ロールの外径と同じ外径を有するロール状に形成するか又は少なくとも一部に第2ロールの外径と同じ外径の大径部を有する円柱状に形成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記基板処理装置のロール間隙調整方法において、樹脂材はPEEKであり、剛性の大きい円柱材はSUSであり、外径の寸法バラツキは0.05mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板回転機構に基板に相当する板状の基板治具を支持させると共に、第2ロール回転機構に第2ロールに相当する第2ロール治具を支持させ、基板治具裏面と第2ロール治具の間の間隙が所定値になるように、第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、第2ロール治具に第1ロール回転機構に支持させた第1ロールに相当する第1ロール治具を対向させ、第2ロール治具と該第1ロール治具の間の間隙が所定値になるように第1ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、しかる後、第1ロール回転機構及び第2ロール回転機構に、第1ロール治具及び第2ロール治具に換えて、第1ロール及び第2ロールを支持させるので、第1ロール及び第2ロールが基板の表面及び裏面に接触する位置を正確に管理でき、第1ロール及び第2ロールの押し付け量を適正に設定できる。
【0013】
また、本発明によれば、基板治具に設けた間隙測定用窓を通してダイヤルゲージを用いて基板治具裏面と第2ロール治具の間隙を測定して第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めするので、第2ロールの押し付け量を該第2ロールが正確に基板の裏面に当接してから設定できる。
【0014】
また、本発明によれば、第2ロール回転機構を位置決めした後、第2ロール治具と第1ロール治具の間に所定値の厚みを有するスキミゲージを介在させて、第2ロール治具とスキミゲージと第1ロール治具が接触した状態で第1ロール回転機構の位置を位置決めするので、このスキミゲージの厚さを基板の厚さと同じにすれば、第1ロールの押し付け量を該第1ロールが正確に基板の裏面に当接してから設定できる。
【0015】
また、本発明によれば、第1及び第2ロール治具は樹脂材に剛性の大きい円柱材を埋め込み、該樹脂材の外周を外径が第2ロールの外径と同じ外径を有するロール状に形成するか又は少なくとも一部に第2ロールの外径と同じ外径の大径部を有する円柱状に形成し、外径の寸法バラツキを例えば0.05mm以下とするので、第1及び第2ロールを押し付け量を精度よく設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。本実施形態例では半導体基板等の円板状の基板を洗浄する基板洗浄装置について説明するが、本願発明に係るロール間隙調整方法は、第1ロールと第2ロールを備え、該第1ロールと第2ロールを回転する円板状の表面及び裏面に接触させて基板を処理する基板処理装置に適用できる。なお、本基板洗浄装置において、被洗浄基板を支持して回転させる基板回転機構は、図1の複数のスピンドル11を備えた基板回転機構と略同じ構成なのでその説明は、省略する。
【0017】
図2は本発明に係る基板洗浄装置の基板回転機構を除いた概略構成を示す側面図である。図示するように、本基板洗浄装置10は、図示するように第1ロール型洗浄部材13を第1回転軸線X1上に支持し回転させながら被洗浄基板Wfの表面に摺接させる第1ロール回転機構17と、第2ロール型洗浄部材15を第1回転軸線X1に平行する第2回転軸線X2上で、且つ被洗浄基板Wfを挟むように対向して支持し回転させながら被洗浄基板Wfの裏面に摺接させる第2ロール回転機構18とを備えた構成である。半導体基板等の円板状の被洗浄基板Wfは図示しない該被洗浄基板Wfの外周縁を支持して回転する複数のスピンドル11を備えた基板回転機構(図1参照)により回転している。なお、33は第1ロール回転機構17の下降を規制するストッパーボルト(ダイヤル式ストッパー)であり、34は第2ロール回転機構18の上昇を規制するストッパーボルト(ダイヤル式ストッパー)である。
【0018】
第1ロール回転機構17は基台30に取り付けられ、エアシリンダ31で所定量上下動できるようになっている。また、第2ロール回転機構18は基台30に取り付けられエアシリンダ32で所定量上下動できるようになっている。第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15は、PVAからなる表面層を有するロールスポンジである。被洗浄基板Wfの表面に第1ロール型洗浄部材13を、被洗浄基板Wfの裏面に第2ロール型洗浄部材15を押し当て、表面及び裏面に図示しない洗浄液ノズルから洗浄液を噴射して、該被洗浄基板Wfの表面及び裏面を同時に洗浄するようになっている。
【0019】
上記第1ロール型洗浄部材13の被洗浄基板Wfの表面の押し付け荷重の調整は、該第1ロール型洗浄部材13が被洗浄基板Wfの表面に接触してから、エアシリンダ31により第1ロール型洗浄部材13を被洗浄基板Wfの表面の押し付け量で行い、第2ロール型洗浄部材15の被洗浄基板Wfの裏面の押し付け荷重の調整は、該第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfの裏面に接触してから、エアシリンダ32により第2ロール型洗浄部材15を被洗浄基板Wfの裏面の押し付け量で行なっている。従って、被洗浄基板Wfの表面及び裏面の押し付け荷重を精度よく設定し、適切な基板洗浄を行うには、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfの表面及び裏面に接触する位置を精度良く検知し、その位置に第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15を位置決めする必要がある。従来はこの検知を目視で行っているが、目視では、第1ロール型洗浄部材13、第2ロール型洗浄部材15及び被洗浄基板Wfが配置されている基板洗浄装置10内の狭いスペースでは正確に検知できない。特に、第2ロール型洗浄部材15は被洗浄基板Wfの下方に位置するので、目視で第2ロール型洗浄部材15が被洗浄基板Wfの裏面に接触する位置を検知するのは、極めて困難である。
【0020】
そこでここでは、図3に示す構成のロール治具(ダミーのロール型洗浄部材)と、図4に示す構成の基板治具(ダミーの被洗浄基板Wf)を用意する。そして後に詳細に説明する手順で、第2ロール治具が基板治具の裏面に接触する位置を検知して、この位置に第2ロール回転機構18を位置決めすると共に、第1ロール治具が基板治具の表面に接触する位置を検知して、この位置に第1ロール回転機構17を位置決めする。そして第1ロール治具を第1ロール型洗浄部材13に換え、第2ロール治具を第2ロール型洗浄部材15に換え、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15のそれぞれを被洗浄基板Wfの表面及び裏面に接触させ、更に接触してからの押し付け量を調整しながら、基板回転機構に支持されて回転する被洗浄基板Wfの表面及び裏面を同時に洗浄する。
【0021】
図3は第1ロール治具40−1及び第2ロール治具40−2に用いるロール治具の構成を示す図で、図3(a)は側面図、図3(b)は側断面図である。ロール治具40は図3に示すように、樹脂材(ここではPEEK樹脂材を使用)43に心棒として剛性の大きい円柱材(ここできSUSの円柱材)42を埋め込み、外径が第1及び第2ロール型浄部材13、15と同じ外径の複数個(図では3個)の大径部41と外径が該大径部41より小さい複数個(図では4個)の小径部44が形成されるように樹脂材を削り出して円柱状に形成したものである。このようにPEEK材に芯棒としてSUSの円柱材を埋め込むことにより、PEEK材を削る加工時の変形を押さえ込むことが可能で、外径寸法バラツキを小さくすることができる。ここでは、大径部と小径部とも外径寸法バラツキを0.05mm以下とすることができた。
【0022】
図4は基板治具の構成を示す図で、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図である。基板治具50は円板状で、その外径寸法及び厚さ寸法は、被洗浄基板Wfの外径寸法及び厚さ寸法と略同じになっている。基板治具50には、後述するようにダイヤルゲージを使用して基板治具50の表面(上面)と第2ロール治具40−2の外周頂部の距離を測定し、基板治具50の裏面と第2ロール治具40−2の外周面との間の隙間を検出するための間隙測定用窓52が中央部に設けられ、その両側にも間隙測定用窓51が設けられている。
【0023】
上記第2ロール治具40−2と基板治具50とダイヤルゲージ使用して基板治具50の表面(上面)と第2ロール治具40−2の外周頂部の間隙(基板治具50の裏面と第2ロール治具40−2の外周面の間隙)を測定する方法を、図5を用いて説明する。先ず、基板洗浄装置10の第2ロール回転機構18の第2ロール型洗浄部材15を装着するロール装着部に第2ロール治具40−2を装着すると共に、基板回転機構の複数のスピンドル11(図1参照)の上部のコマ12の円周溝12aに図5に示すように、基板治具50の外周部を挿入し、該複数のコマ12(ここでは4個のコマ)で基板を支持する。コマ12の円周溝12aの幅寸法は基板治具50の厚さ寸法と略同じで、基板治具50がコマ12の円周溝12aに隙間なく挿入される。
【0024】
この状態でエアシリンダ32(図2参照)を動作させ、第2ロール回転機構18のロール装着部に装着されている第2ロール治具40−2を上昇させ、該第2ロール治具40−2の大径部41の外周面の頂部が基板治具50の裏面位置の近傍に達するまで上昇させる。この状態でダイヤルゲージ45を用いて、第2ロール治具40−2の大径部41の外周面頂部と基板治具50の上面との間の距離を測定する。ここで、基板治具50の厚さは既知であるから、大径部41の外周面頂部と基板治具50の上面との間の距離を測定することは、第2ロール治具40−2の大径部41と基板治具50の裏面の間隙を測定することになる。この間隙がゼロになるようにエアシリンダ32により第2ロール治具40−2を上昇させ、ゼロになったことで第2ロール治具40−2の大径部41の外周面が基板治具50の裏面に接触した位置を検知できる。
【0025】
また、第2ロール治具40−2を上昇させ、該第2ロール治具40−2の小径部44の外周面の頂部が基板治具50の裏面に接触する位置近傍に達するまで上昇させる。この状態でダイヤルゲージ45を用いて、第2ロール治具40−2の大径部41の外周面頂部と基板治具50の上面との間の距離を測定する。第2ロール治具40−2の大径部41の外径と小径部44の外径の差は既知であるから、小径部44の外周面頂部と基板治具50の上面との間の距離を測定することは、第2ロール治具40−2の大径部41と基板治具50の裏面の間隙を測定することにもなる。従って、この間隙がゼロになるようにエアシリンダ32により第2ロール治具40−2を下降させ、ゼロになったことで第2ロール治具40−2の大径部41の外周面が基板治具50の裏面に接触した位置を検知できる。
【0026】
上記のように、ダイヤルゲージ45により間隙測定用窓52及びその両側の間隙測定用窓51、51を通して第2ロール治具40−2の大径部41と基板治具50の裏面の間隙を測定し、該間隙がゼロになった点(位置)を検知することにより、上記のように第2ロール治具40−2の外径寸法バラツキを0.05mm以下と極めて小さくできているから、第2ロール回転機構18のロール装着部に第2ロール治具40−2に換えて第2ロール型洗浄部材15を装着した場合、上記間隙がゼロになった点は、第2ロール型洗浄部材15の外周面頂部全体が被洗浄基板Wfの裏面に接触する位置となる。この位置に第2ロール回転機構18を位置決めする。
【0027】
上記第2ロール治具40−2の大径部41が基板治具50の裏面に接触した、該第2ロール治具40−2の位置を基準に第1ロール回転機構17に装着された第1ロール治具40−1の位置決めを行う。第1ロール治具40−1の位置決めは、図6に示すように上記位置決めした第2ロール治具40−2の上に所定厚さ(被洗浄基板Wfの厚さと略同じ厚さ)のスキミゲージ47を載置し、エアシリンダ31により第1ロール回転機構17のロール装着部に装着している第1ロール治具40−1を下降させ、該第1ロール治具40−1と第2ロール治具40−2とでスキミゲージ47を挟持した点(接触した位置)で、第1ロール回転機構17の位置決めを行う。
【0028】
上記のように第2ロール治具40−2の大径部41が基板治具50の裏面に接触した点(位置)をダイヤルゲージ45で検知して、その点に第2ロール回転機構18を位置決めし、この位置決めされた第2ロール治具40−2の上に載置されたスキミゲージ47に、第1ロール治具40の大径部41が接触した点(位置)に第1ロール回転機構17を位置決めする。これにより、第1ロール回転機構17及び第2ロール回転機構18のそれぞれロール装着部に第1ロール型洗浄部材13、第2ロール型洗浄部材15を装着した場合、第1ロール回転機構17及び第2ロール回転機構18が上記位置決めした位置に達すると、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の外周面頂全体はそれぞれ、被洗浄基板Wfの表面及び裏面に接触するか、又は該接触点に極めて近い位置に達することになるから、この位置から第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の押し付け量を調整することにより、適切な荷重で第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15を被洗浄基板Wfの表面及び裏面に押付け洗浄が可能となる。
【0029】
なお、上記実施形態例では、第2ロール治具40−2の大径部41と基板治具50の裏面の間隙がゼロになった点(接触位置)を検知し、この位置に第2ロール回転機構18を位置決めし、更に第2ロール治具40−2の上に載置されたスキミゲージ47に、第1ロール治具40の大径部41が接触した点(接触位置)に第1ロール回転機構17を位置決めしているが、第2ロール治具40−2の大径部41と基板治具50の裏面の極めて接近した所定の間隙を有する位置、第2ロール治具40−2の上に載置されたスキミゲージ47に、第1ロール治具40の大径部41が極めて接近した所定の間隙を有する位置に第1ロール回転機構17を位置決めするようにしてもよい。この場合は、第2ロール型洗浄部材15及び第1ロール型洗浄部材13は、この位置決めした位置から所定量上昇及び下降させた位置で、被洗浄基板Wfの裏面及び表面に接触することになる。
【0030】
図7は第1ロール回転機構17に第1ロール型洗浄部材13を装着する時の状態を示す外観図である。図示するように、第1ロール回転機構17には駆動軸部23と従動軸部22が設けられ、従動軸部22は図9に示すように、第1ロール型洗浄部材13の端部に装着する装着ソケット22bが設けられている。該装着ソケット22bはコイルバネ22aにより矢印Gに示す方向と反対方向に付勢されている。第1ロール型洗浄部材13の一端部に設けた係合部(図示せず)を装着ソケット22bの係合部22cに係合させ、第1ロール型洗浄部材13を矢印Gに示すように、コイルバネ22aの弾性力に抗して押圧し、第1ロール型洗浄部材13の他端を矢印Hに示すように移動させ、その係合部(図示せず)を駆動軸部23の係合部23aに係合させることにより、第1ロール型洗浄部材13を駆動軸部23と従動軸部22の間に装着できる。
【0031】
駆動軸部23には、図示しない第1ロール型洗浄部材13を回転駆動するためのモータ等を具備する駆動部が設けられおり、該駆動部で第1ロール型洗浄部材13を回転駆動することにより、該第1ロール型洗浄部材13の端部は装着ソケット22b内に設けられた軸受(玉軸受)22dにより回転自在に支持され、駆動軸部23と従動軸部22の間で回転する。
【0032】
図8は第2ロール回転機構18に第2ロール型洗浄部材15を装着した状態を示す外観図である。図示するように、第2ロール回転機構18には駆動軸部26と従動軸部25が設けられ、従動軸部25には図示を省略するが、図9に示すのと同様な構成の第2ロール型洗浄部材15を装着する装着ソケットが設けられ、駆動軸部26と従動軸部25の間に第2ロール型洗浄部材15を装着できるようになっている。駆動軸部26には、モータ等を具備する駆動部が設けられており、該駆動部で第2ロール型洗浄部材15を回転駆動することにより、駆動軸部26と従動軸部25の間で回転する。
【0033】
第2ロール型洗浄部材15は、図10に示すように、新しいロールスポンジ15aにスポンジシャフト15bを挿入し、該スポンジシャフト15bの端部にナット15cを螺合させて、第2ロール型洗浄部材15を組立てた構成である。第1ロール型洗浄部材13も第2ロール型洗浄部材15と同様な構成である。上記のように、第2ロール回転機構18の第2ロール治具40−2の位置決め、及び第1ロール回転機構17の第1ロール治具40−1の位置決めが終了した後、基板治具50を取り外す。その後、上記第2ロール型洗浄部材15を第2ロール回転機構18の従動軸部25と駆動軸部26の間に装着(図8参照)すると共に、第1ロール型洗浄部材13を第1ロール回転機構17の従動軸部22と駆動軸部23の間に装着(図7参照)する。続いて、被洗浄基板Wfを4個のコマ12で挟持する。そして4個のコマ12の内の駆動コマを回転させることにより被洗浄基板Wfが回転する。
【0034】
エアシリンダ32により、第2ロール回転機構18を第2ロール型洗浄部材15が上記第2ロール治具40−2により位置決めした位置に達するまで上昇させることにより、第2ロール型洗浄部材15は被洗浄基板Wfの裏面(下面)に接触する。また、エアシリンダ31により、第1ロール回転機構17を第1ロール型洗浄部材13が上記第1ロール治具40−1により位置決めした位置に達するまで下降させることにより、第1ロール型洗浄部材13は被洗浄基板Wfの表面(上面)に接触する。また、被洗浄基板Wf、第2ロール型洗浄部材15、及び第1ロール型洗浄部材13はそれぞれ回転し、且つ洗浄液ノズル19から被洗浄基板Wfの表裏面に洗浄液が供給されているから、被洗浄基板Wfの表裏面を確実に洗浄できる。また、エアシリンダ31により第1ロール型洗浄部材13の下降量、エアシリンダ32により第2ロール型洗浄部材15の上昇量を調整することにより、第1ロール型洗浄部材13及び第2ロール型洗浄部材15の被洗浄基板Wfの押圧力を調整できる。
【0035】
以上、本発明を第1から第4の実施形態を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、第1及び第2ロール治具40−1,40−2を図3に示すように、複数の大径部41を有する構成としたが、第1及び第2ロール治具40−1,40−2のいずれか一方、又は両方を大径部41がない全体が同径で、且つ第1ロール型洗浄部材13、第2ロール型洗浄部材15の外径と同一の円柱状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る基板洗浄装置の基板回転機構を除いた概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の基板処理装置のロール間隙調整方法に用いるロール治具の構成例を示す図で、(a)は側面図、(b)は側断面図である。
【図4】本発明の基板処理装置のロール間隙調整方法に用いる基板治具の構成例を示す図である。
【図5】本発明の基板処理装置のロール間隙調整方法を説明するための図である。
【図6】本発明の基板処理装置のロール間隙調整方法を説明するための図である。
【図7】第1ロール回転機構に第1ロール型洗浄部材を装着する時の状態を示す外観図である。
【図8】第2ロール回転機構に第2ロール型洗浄部材を装着した状態を示す外観図である。
【図9】装着ソケットの構成を示す断面図である。
【図10】ロール型洗浄部材の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 基板洗浄装置
11 スピンドル
12 コマ
13 第1ロール型洗浄部材
15 第2ロール型洗浄部材
17 第1ロール回転機構
18 第2ロール回転機構
19 洗浄液ノズル
20 洗浄アーム
21 揺動軸
22 従動軸部
23 駆動軸部
25 従動軸部
26 駆動軸部
30 基台
31 エアシリンダ
32 エアシリンダ
33 ストッパーボルト(ダイヤル式ストッパー)
34 ストッパーボルト(ダイヤル式ストッパー)
40 ロール治具
41 大径部
44 小径部
45 ダイヤルゲージ
47 スキミゲージ
50 基板治具
51 間隙測定用窓
52 間隙測定用窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基板を支持して回転させる基板回転機構と、
第1ロールを第1回転軸線上に支持し回転させながら前記基板の表面に摺接させる第1ロール回転機構と、
第2ロールを前記第1回転軸線に平行する第2回転軸線上で、且つ前記基板を挟むように対向して支持し回転させながら前記基板の裏面に摺接させる第2ロール回転機構とを備えた基板処理装置における前記第1ロールと前記第2ロール間の間隙を調整する基板処理装置のロール間隙調整方法であって、
前記基板回転機構に前記基板に相当する板状の基板治具を支持させると共に、前記第2ロール回転機構に前記第2ロールに相当する第2ロール治具を支持させ、前記基板治具裏面と前記第2ロール治具の間の間隙が所定値になるように、前記第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、
前記第2ロール治具に前記第1ロール回転機構に支持させた前記第1ロールに相当する第1ロール治具を対向させ、前記第2ロール治具と該第1ロール治具の間の間隙が所定値になるように前記第1ロール回転機構の位置を調整して位置決めし、
しかる後、前記第1ロール回転機構及び前記第2ロール回転機構に、前記第1ロール治具及び第2ロール治具に換えて、前記第1ロール及び第2ロールを支持させることを特徴とする基板処理装置のロール間隙調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置のロール間隙調整方法において、
前記基板治具には、前記第2ロール治具に対応する位置に間隙測定用窓を設け、該間隙測定用窓を通してダイヤルゲージを用いて前記基板治具裏面と前記第2ロール治具の間隙を測定し、該間隙が前記所定値になるように、前記第2ロール回転機構の位置を調整して位置決めすることを特徴とする基板処理装置のロール間隙調整方法。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置のロール間隙調整方法において、
前記第2ロール治具と前記第1ロール治具の間の間隙調整は、前記第2ロール回転機構を位置決めした後、前記第2ロール治具と前記第1ロール治具の間に所定値の厚みを有するスキミゲージを介在させて、該第2ロール治具とスキミゲージと第1ロール治具が接触した状態で前記第1ロール回転機構の位置を位置決めすることを特徴とする基板処理装置のロール間隙調整方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置のロール間隙調整方法において、
前記第1及び第2ロール治具は、樹脂材に剛性の大きい円柱材を埋め込み、該樹脂材の外周を外径が前記第2ロールの外径と同じ外径を有するロール状に形成するか又は少なくとも一部に前記第2ロールの外径と同じ外径の大径部を有する円柱状に形成したことを特徴とする基板処理装置のロール間隙調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129704(P2010−129704A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301738(P2008−301738)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】