説明

基板処理装置

【課題】処理室内へのガス流量を均等にすると共に、質量流量計の数を低減させる。
【解決手段】 複数の基板を収容する処理室と、ガス供給源に接続されるガス供給管と、ガス供給管に接続され、ガス供給管からのガスを処理室内にそれぞれ供給する複数の分岐管と、分岐管にそれぞれ設けられる差圧生成部と、を備え、差圧生成部は、分岐管から処理室内に供給されるガスの流量が、複数の分岐管の間で均等になるように、差圧生成部より上流側の分岐管内と、差圧生成部より下流側の分岐管内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM等の半導体装置の製造工程の一工程を実施する従来の基板処理装置は、複数の基板を収容する処理室と、ガス供給源に接続されるガス供給管と、前記ガス供給管に接続され、前記ガス供給管からのガスを前記処理室内にそれぞれ供給する複数の分岐管と、を備えていた。上記従来の基板処理装置は、ガス供給管からのガスの流量を調整する質量流量計(マスフローコントローラ)を分岐管のそれぞれに備えていた(特開2008−172205)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−172205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の基板処理装置では、分岐管の数だけ高価な質量流量計が必要となる。また、他のガス種を用いる場合、その分岐管の数だけ質量流量計が必要となる。
【0005】
本発明は、処理室内へのガス流量を均等にすると共に、質量流量計の数を低減させることが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、複数の基板を収容する処理室と、ガス供給源に接続されるガス供給管と、前記ガス供給管に接続され、前記ガス供給管からのガスを前記処理室内にそれぞれ供給する複数の分岐管と、前記分岐管にそれぞれ設けられる差圧生成部と、を備え、前記差圧生成部は、前記分岐管から前記処理室内に供給される前記ガスの流量が、複数の前記分岐管の間で均等になるように、前記差圧生成部より上流側の前記分岐管内と、前記差圧生成部より下流側の前記分岐管内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせる基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理室内へのガス流量を均等にすると共に、質量流量計の数を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の横断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る反応管の外観斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る反応管の半形状を示す外観斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の要部拡大図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る処理ガス供給系の配管図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る不活性ガス供給系の配管図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るオリフィスの孔径に対するガス流量と差圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
(1)基板処理装置の構成
以下に本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(処理炉)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の縦断面図である。図2は本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の横断面図である。
【0011】
(反応管)
図1に示すように、基板処理装置は処理炉202を備えている。処理炉202は反応管203を有する。反応管203は、保持板としてのヒータベース251に支持されることで垂直に据え付けられている。反応管203は例えば石英(SiO)又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなる。反応管203は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の内部には処理室201が形成されている。反応管203は、ウエハ処理空間204において後述する基板保持具により水平姿勢で垂直方向に多段に整列されたウエハ200を処理可能である。ここで、ウエハ処理空間204とは、処理室201内でウエハ200を実際に処理可能な空間のことである。
【0012】
(ヒータ)
処理炉202は、加熱装置としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状に形成されている。ヒータ206は、反応管203の外周を覆うように設けられている。ヒータ206は、ヒータベース251に支持されることで垂直に据え付けられている。ヒータ206は、断熱体260と、後述するガス導入部230用の導入口261と、後述するガス排気部231用の導出口262と、を有する。断熱体260は、上部が閉じ下部が開口した筒状に形成されている。導入口261は、ガス導入部230を反応管203の側面からヒータ206の外側に水平に取り出せるよう形成されている。導出口262は、ガス排気部231を反応管203の側面からヒータ206の外側に水平に取り出せるよう形成されている。導入口261及び導出口262は、例えば、断熱体260の下端から上方に向かう溝形状の切欠部として形成されている。なお、反応管203の外側近傍には、温度検出器としての温度センサ(図示しない)が設置されている。ヒータ206及び温度センサには、後述するコントローラ240が接続されている。温度センサにより検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御される。
【0013】
(回転機構,昇降機構)
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219の下部には、後述する基板保持具であるボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転軸255は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。なお、図1には示されていないが、昇降機構としてのボートエレベータによってボート217を処理室201内外に対し搬送することが可能となっている。回転機構254及びボートエレベータは、後述するコントローラ240に接続されている。
【0014】
(ガス導入部・ガス排気部)
反応管203の側面には、反応管203内にガスを導入するガス導入部230と、反応管203内のガス雰囲気を排気するガス排気部231と、が設けられている。ガス導入部230及びガス排気部231は、図3に示すように扁平体形状に形成されている。ガス導入部230及びガス排気部231は、反応管203に一体接続、例えば溶着接続されてい
る。ガス導入部230及びガス排気部231は、反応管203と同材質の耐熱性材料からなる。ガス導入部230及びガス排気部231は、反応管203内に配置されるウエハ200の中心を通る水平直線上に配置されている。
【0015】
ガス導入部230は、導入部区画壁228によって、例えば5つに区画化されたガス導入区画部230a〜230eを有する。ガス導入区画部230a〜230eには、それぞれガスが流れるように構成されている。ガス導入区画部230a〜230eの下流端には、それぞれガス噴出口212が形成されている。また、ガス導入部230の上流側には、後述する処理ガス供給部及び不活性ガス供給部に接続される配管接続部(図示しない)が取り付けられている。配管接続部は、上流側に処理ガス供給部及び不活性ガス供給部が接続される2口の接続口を有すると共に、下流側に各ガス導入区画部230a〜230eに接続される1口の接続口を有する。なお、導入部区画壁228は、反応管203の内壁まで延設されている。この延設部分は、後述する処理区画部220の一部を構成している。
【0016】
ガス排気部231は、排気部区画壁229によって、例えば5つに区画化されたガス排気区画部231a〜231eを有する。ガス排気部231は、各ガス排気区画部からウエハ処理空間204を排気するようになっている。また、ガス排出口213は、ガス排気区画部231a〜231eのそれぞれに形成されている。また、ガス排気部231の下流側には、後述するガス排気系に接続される配管接続部(図示しない)が取り付けられている。なお、排気部区画壁229は、反応管203の内壁まで延設されている。この延設部分は、後述する処理区画部220の一部を構成している。
【0017】
(ボート)
基板保持具としてのボート217は、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱性材料からなる。ボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて垂直方向に多段に保持するように構成されている。ボート217は、ウエハ200の外周部を支持するよう複数本の支柱217aと、複数本の支柱217a上部を固定保持する天板217bと、複数本の支柱217a下部を固定保持する底板217cと、を有する。なお、ボート217の下部には、断熱部216として、ウエハ200と同形状の石英又は炭化シリコン等の耐熱性材料からなる断熱板が複数枚保持されている。断熱板は、ヒータ206からの熱が反応管203の下方に伝わり難くしている。
【0018】
ボート217には、例えば5つに区画化するボート区画壁221が設けられている。各ボート区画壁221は、例えばボート217の底板217c及び天板217bと同じ径をもつ円板状に形成されている。図5に示すように、各ボート区画壁221は、反応管203の内壁に向かうように、複数本の支柱217aよりも径方向外方に突き出している。反応管203の内壁には、導入部区画壁228の延設部分、排気部区画壁229の延設部分、及びボート区画壁221と共に、反応管203内部を複数に区画化する反応管区画壁301が設けられている。ボート区画壁221、導入部区画壁228の延設部分、排気部区画壁229の延設部分、及び反応管区画壁301によりウエハ処理空間204は、例えば5つに区画化された処理区画部220a〜220eを有し、処理区画部220a〜220e毎にガスが流れるようになっている。
【0019】
このように反応管203内は、ガス導入区画部230a〜230e、処理区画部220a〜220e、及びガス排気区画部231a〜231eによって5つに区画され、供給される処理ガス及び不活性ガスがサイドフローとなるように構成されている。
【0020】
(ガス排気系)
ガス排気部231の配管接続部の下流側には、ガス排気管(図示しない)が接続されている。ガス排気管の下流側には、上流から順に圧力検知器としての圧力センサ(図示しな
い)、例えばAPC(Auto Pressure Contoroller)として構成された圧力調整装置242、真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されている。主に、ガス排気部231、配管接続部、ガス排気管、圧力センサ、圧力調整装置242及び真空排気装置246により、本実施形態に係るガス排気系が構成されている。圧力センサ、圧力調整装置242及び真空排気装置246は、コントローラ240に接続されている。
【0021】
(処理ガス供給系)
上述したようにガス導入部230の上流側には、処理ガス供給部及び不活性ガス供給部に接続される配管接続部(図示しない)が取り付けられ、この配管接続部の上流側に処理ガス供給部及び不活性ガス供給部が接続される2口の接続口を有している。この配管接続部の2口のうち、一方の接続口には、処理ガス供給部400が接続される。図6に示すように、処理ガス供給部400は、上流から順にボンベ等の処理ガス供給源(図示しない)と、この処理ガス供給源に接続される処理ガス供給管402と、処理ガス供給管402に接続され、処理ガス供給管402からの処理ガスをガス供給口403a〜403eから配管接続部及びガス導入部230を介して処理室201内に供給する複数の分岐管401a〜401eと、分岐管401a〜401eにそれぞれ設けられる差圧生成部としてのオリフィス407a〜407eと、が設けられている。オリフィス407a〜407eは、オリフィス407a〜407eより上流側の分岐管401a〜401e内と、オリフィス407a〜407eより下流側の分岐管401a〜401e内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせるように形成されている。さらに、オリフィス407a〜407eは、生じさせる差圧を複数の分岐管401a〜401eの間で均等にするように形成されている。各オリフィス407a〜407eは、例えばガスケットにより形成されている。このガスケットには、例えばガスケットの中心に丸孔が形成されている。また、処理ガス供給管402の上流側には一次側バルブ404が設けられると共に、分岐管401a〜401eのオリフィス407a〜407eより下流側には二次側バルブ406a〜406eが設けられている。また、処理ガス供給管402には、質量流量計としてのマスフローコントローラ405が設けられている。マスフローコントローラ405は、処理ガスのガス種に応じて流体係数を切り替え可能に構成されている。
【0022】
本実施形態では、オリフィス407a〜407eの上流側の分岐管401a〜401eの内径及び配管長(すなわち容積)と、オリフィス407a〜407eの下流側の分岐管401a〜401eの内径及び配管長(すなわち容積)と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等にしている。言い換えると、処理ガス供給管402の接続位置408から各オリフィス407a〜407eまでの内径及び配管長と、各オリフィス407a〜407eから各ガス供給口403a〜403eまでの内径及び配管長と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等にしている。また、各オリフィス407a〜407eの孔径を同一にしている。これにより、各オリフィス407a〜407eの下流端から各ガス供給口403a〜403eまでに流れる処理ガスのガス流量が均等となり、各ガス供給口403a〜403eから配管接続部を介してガス導入部230の各ガス導入区画部230a〜230eに均等に処理ガスを導入可能となる。
【0023】
主に処理ガス供給源、処理ガス供給管402、一次側バルブ404、マスフローコントローラ405、分岐管401a〜401e、オリフィス407a〜407e、二次側バルブ406a〜406e、ガス供給口403a〜403e、配管接続部、及びガス導入部230が処理ガス供給系を構成している。なお、マスフローコントローラ405、一次側バルブ404,二次側バルブ406a〜406eは、コントローラ240に接続されている。
【0024】
(不活性ガス供給系)
配管接続部の2口のうち、他方の接続口には、不活性ガス供給部410が接続される。図7に示すように、不活性ガス供給部410は、上流から順にボンベ等の不活性ガス供給源(図示しない)と、この不活性ガス供給源に接続される不活性ガス供給管412と、不活性ガス供給管412に接続され、不活性ガス供給管412からの不活性ガスをガス供給口413a〜413eから配管接続部及びガス導入部230を介して処理室201内に供給する複数の分岐管411a〜411eと、分岐管411a〜411eにそれぞれ設けられるオリフィス417a〜417eと、が設けられている。オリフィス417a〜417eは、オリフィス417a〜417eより上流側の分岐管411a〜411e内と、オリフィス417a〜417eより下流側の分岐管411a〜411e内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせるように形成されている。さらに、オリフィス417a〜417eは、生じさせる差圧を複数の分岐管411a〜411eの間で均等にするように形成されている。各オリフィス417a〜417eは、上述した処理ガス供給系のオリフィス407a〜407eと同様に形成されている。また、不活性ガス供給管412の上流側には一次側バルブ414が設けられると共に、分岐管411a〜411eのオリフィス417a〜417eより下流側には二次側バルブ416a〜416eが設けられている。また、不活性ガス供給管412には、マスフローコントローラ415が設けられている。
【0025】
本実施形態では、オリフィス417a〜417eの上流側の分岐管411a〜411eの内径及び配管長(すなわち容積)と、オリフィス417a〜417eの下流側の分岐管411a〜411eの内径及び配管長(すなわち容積)と、が複数の分岐管411a〜411eの間で均等にしている。また、各オリフィス417a〜417eの孔径を同一にしている。これにより、各オリフィス417a〜417eの下流端から各ガス供給口413a〜413eまでに流れる不活性ガスのガス流量が均等となり、各ガス供給口413a〜413eから配管接続部を介してガス導入部230の各ガス導入区画部230a〜230eに均等に不活性ガスを導入可能となる。
【0026】
主に不活性ガス供給源、不活性ガス供給管412、一次側バルブ414、マスフローコントローラ415、分岐管411a〜411e、オリフィス417a〜417e、二次側バルブ416a〜416e、ガス供給口413a〜413e、配管接続部、及びガス導入部230が不活性ガス供給系を構成している。なお、マスフローコントローラ415、一次側バルブ414,二次側バルブ416a〜416eは、コントローラ241に接続されている。
【0027】
(制御部)
制御部としてのコントローラ240は、マスフローコントローラ405,415、一次側バルブ404,414、二次側バルブ406a,406b,406c,406d,406e,416a,416b,416c,416d,416e、圧力調整装置242、真空排気装置246、ヒータ206、回転機構254、ボートエレベータ(図示しない)を制御するように構成されている。なお、本実施形態では、コントローラ240は、処理室201内への処理ガスの供給を開始するとき、二次側バルブ406a〜406eを開いた後、一次側バルブ404を開くよう制御すると共に、処理室201内への処理ガスの供給を停止するとき、一次側バルブ404を閉じた後、二次側バルブ406a〜406eを閉じるよう制御するように構成されている。一方、コントローラ240は、処理室201内への不活性ガスの供給を開始するとき、二次側バルブ416a〜416eを開いた後、一次側バルブ414を開くよう制御すると共に、処理室201内への不活性ガスの供給を停止するとき、一次側バルブ414を閉じた後、二次側バルブ416a〜416eを閉じるよう制御するように構成されている。
【0028】
(2)基板処理工程
次に、上記構成に係る処理炉202を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程とし
て、例えばウエハ200上に形成された窒化アルミニウム薄膜を酸素含有ガスにて酸化処理する基板処理工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0029】
(搬入工程)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータによって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は反応管203の下端をシールした状態となる。また、搬入(ボートロード)により、ウエハ処理空間204の各所定位置(処理区画部202a〜202e)にウエハ200が配置される。
【0030】
(圧力、温度安定化工程)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるようにガス排気部231を介して真空排気装置246によって処理室201内の雰囲気が真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づき圧力調整装置242がフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室201内が所望の温度となるように、ヒータ206によって処理室201内が加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。続いて、回転機構254によりボート217が回転されることでウエハ200が回転される。なお、これら圧力調整、温度調整、及びウエハ回転は、次の酸化処理工程が終了するまで継続される。
【0031】
(酸化処理工程)
次いで、処理室201内に処理ガスとして酸素含有ガス、例えば酸素ガス(Oガス)の供給を開始することにより、酸化処理が開始される。各分岐管401a〜401eの二次側バルブ406a〜406eを開いた後、処理ガス供給管402の一次側バルブ404を開いて処理ガス供給源からのOガスの供給を開始する。これにより、各オリフィス407a〜407eから各二次側バルブ406a〜406eまでの配管内を先に真空排気することができるので、複数の分岐管401a〜401eでガスの総量を均等にすることができる。そして、処理ガス供給源からのOガスは、一次側バルブ404を介してマスフローコントローラ405により総量を調整されて各分岐管401a〜401e内へ流れる。このとき、マスフローコントローラ405は、マスフローコントローラ405の上流側と下流側との差圧に応じた開度に基づき内部のバルブがOガスを流す。
【0032】
そして、各分岐管401a〜401e内へ流れたOガスは、マスフローコントローラ405から各オリフィス407a〜407eまでに溜まり、マスフローコントローラ405から各オリフィス407a〜407eまでのガス圧が上がる。これにより、各オリフィス407a〜407eの上流側と下流側とで差圧が生じる。この差圧により、各オリフィス407a〜407eに流れるOガスの流量が決定される。
【0033】
ここで、オリフィス407a〜407eの上流側の分岐管401a〜401e(処理ガス供給管402の接続位置408から各オリフィス407a〜407eまで)の内径及び配管長と、オリフィス407a〜407eの下流側の分岐管401a〜401e(各オリフィス407a〜407eから各ガス供給口403a〜403eまで)の内径及び配管長と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等である。また、各オリフィス407a〜407eの孔径が同一である。これにより、各オリフィス407a〜407eの下流端から各ガス供給口403a〜403eまでに流れるOガスのガス流量が均等となり、各ガス供給口403a〜403eから配管接続部を介してガス導入部230の各ガス導入区画部230a〜230eに均等にOガスが供給され、ガス導入部230のガス噴出口2
12から処理室201内に均等に供給される。
【0034】
供給されたOガスは処理室201内の処理区画部220a〜220eを水平方向に流れ、ガス排気部231のガス排気区画部231a〜231hから配管接続部を介して真空排気装置246によって排気される。Oガスが処理室201内の処理区画部220a〜220eを流れる際、回転中のウエハ200上に形成された窒化アルミニウム薄膜と接触する。これにより、窒化アルミニウム薄膜が酸化されて薄膜表面の改質が行われる。
【0035】
所定時間経過後、所望膜厚まで窒化アルミニウム薄膜表面の改質が行われたら、Oガスの供給を停止して酸化処理を終了する。このとき、処理ガス供給管402の一次側バルブ404を閉じた後、各分岐管401a〜401eの二次側バルブ406a〜406eを閉じて処理室201内へのOガスの供給を停止する。これにより、各分岐管401a〜401e内の残留Oガスを排出でき、一次側バルブ404から二次側バルブ406a〜406eまでの配管内を真空雰囲気で密閉することができる。従って、次の工程でOガスを流し始める際、マスフローコントローラ405から各オリフィス407a〜407eに溜まるOガスの総量が各分岐管401a〜401eで均等であるので、マスフローコントローラ405を閉じた後の最終的なOガスの総量が各分岐管401a〜401eで均等となる。また、残留Oガスによるマスフローコントローラ405やオリフィス407a〜407eの汚染や腐食を低減させることができる。
【0036】
(常圧復帰工程)
そして、真空排気を所定時間継続し、未反応ガスや中間生成物等を処理室201内から排出した後、上述した処理ガスの供給と同様に処理室201内に不活性ガスの供給を開始することにより、処理室201内をパージして処理室201内のガス雰囲気を不活性ガスに置換する。各分岐管411a〜411eの二次側バルブ416a〜416eを開いた後、不活性ガス供給管412の一次側バルブ414を開いて不活性ガス供給源からのガス供給を開始する。不活性ガス供給源からの不活性ガスは、一次側バルブ414を介してマスフローコントローラ415により総量を調整されて各分岐管411a〜411e内へ流れる。
【0037】
そして、各分岐管411a〜411e内へ流れた不活性ガスは、マスフローコントローラ415から各オリフィス417a〜417eまでに溜まり、マスフローコントローラ415から各オリフィス417a〜417eまでのガス圧が上がる。そして、各オリフィス417a〜417eの上流側と下流側とで差圧が生じ、この差圧により各オリフィス417a〜417e内を不活性ガスが流れる。そして、各オリフィス417a〜417eの下流端から各分岐管411a〜411e内を不活性ガスが流れる。不活性ガスは、各ガス供給口413a〜413eから配管接続部を介してガス導入部230の各ガス導入区画部230a〜230eに均等に導入され、ガス導入部230のガス噴出口212から処理室201内に均等に供給される。
【0038】
供給された不活性ガスは処理室201内の処理区画部220a〜220eを水平方向に流れ、ガス排気部231のガス排気区画部231a〜231hから配管接続部を介して排気系により排気される。パージが完了したら、圧力調整装置242内のバルブの開度を調節して処理室201内の圧力を常圧に復帰させる。
【0039】
(搬出工程)
所定時間経過後、不活性ガス供給管412の一次側バルブ414を閉じた後、各分岐管411a〜411eの二次側バルブ416a〜416eを閉じて処理室201内への不活性ガスの供給を停止する。その後、ボートエレベータによりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口されると共に、処理済のウエハ200がボート217
に保持された状態で反応管203の下端から外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済みのウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0040】
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0041】
(a)本実施形態によれば、上流側の分岐管401a〜401e内と、下流側の分岐管401a〜401e内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせるオリフィス407a〜407eを分岐管401a〜401eに設けている。オリフィス407a〜407eの上流側の分岐管401a〜401e(処理ガス供給管402の接続位置408から各オリフィス407a〜407eまで)の内径及び配管長と、オリフィス407a〜407eの下流側の分岐管401a〜401e(各オリフィス407a〜407eから各ガス供給口403a〜403eまで)の内径及び配管長と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等にしている。また、各オリフィス407a〜407eの孔径を同一にしている。その結果、各オリフィス407a〜407eの下流端から各ガス供給口403a〜403eまでに流れる処理ガスのガス流量が均等となり、処理室201内に供給される処理ガスの流量を均等にすることができる。これにより、マスフローコントローラの数を低減させることができる。その結果、コストがかかることなく設置面積も少なくてすみ、ガス流量の流量制御や、メンテナンスが少なくてすむ。従って、流量制御性やメンテナンス性が良好で小型化でき安価となる。
【0042】
なお、本実施形態では、各オリフィス407a〜407eの孔径と同一にしている。図8に示すように、オリフィスの孔径に対してオリフィス内を流れるガスのガス流量は、オリフィスが生じさせる差圧に比例する関係となっている。これにより、φ0.1〜0.7のいずれかの孔径のオリフィスを用いても、差圧と流量との相関は直線的である。従って、差圧を調整することで、所望のガス流量を得ることができる。
【0043】
(b)本実施形態によれば、処理室201内への処理ガスの供給を開始するとき、二次側バルブ406a〜406eを開いた後、一次側バルブ404を開くようにしている。これにより、各オリフィス407a〜407eから各二次側バルブ406a〜406eまでの配管径及び配管長さが異なっても、各オリフィス407a〜407eから各二次側バルブ406a〜406eまでの配管内を先に真空排気することができるので、複数の分岐管401a〜401eでガスの総量を均等にすることができる。
【0044】
(c)本実施形態によれば、処理室201内への処理ガスの供給を停止するとき、一次側バルブ404を閉じた後、二次側バルブ406a〜406eを閉じるようにしている。これにより、各オリフィス407a〜407eから各二次側バルブ406a〜406eまでの配管径及び配管長さが異なっても、各分岐管401a〜401e内の残留ガスを排出でき、一次側バルブ404から二次側バルブ406a〜406eまでの配管内を真空雰囲気で密閉することができる。従って、次の工程で処理ガスを流し始める際、マスフローコントローラ405から各オリフィス407a〜407eに溜まるガス総量が各分岐管401a〜401eで均等であるので、マスフローコントローラ405を閉じた後の最終的なガス総量が各分岐管401a〜401eで均等となる。また、一次側バルブ404から二次側バルブ406a〜406eまでの配管内を真空雰囲気で密閉することができるので、残留ガスによるマスフローコントローラ405やオリフィス407a〜407eの汚染や腐食を低減させることができる。
【0045】
(d)本実施形態によれば、オリフィス407a〜407eは、二次側バルブ406a〜406eの上流側に設けられている。これにより、二次側バルブ406a〜406eが
処理室201内での基板処理の影響を低減することで、処理室201内での基板処理による副生成物の付着等によりオリフィス407a〜407eが詰まり易くなることを低減することができる。
【0046】
(e)本実施形態によれば、処理ガス供給管402にマスフローコントローラ405が設けられている。これにより、処理ガス供給源から所定のガス流量の処理ガスを各分岐管401a〜401eへ安定して供給することができる。
【0047】
<第2の実施形態>
第1の実施の形態と異なる点は、複数の分岐管で配管内径及び配管長が均等でなく、オリフィスの孔径が同一でない点である。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態では処理ガス供給系についてのみ記載する。
【0048】
第2の実施形態に係る処理ガス供給部は、オリフィス407a〜407eの上流側の分岐管401a〜401eの内径及び配管長(すなわち容積)と、オリフィス407a〜407eの下流側の分岐管401a〜401eの内径及び配管長(すなわち容積)と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等でないように形成されている。言い換えると、処理ガス供給部は、処理ガス供給管402の接続位置408から各オリフィス407a〜407eまでの内径及び配管長と、各オリフィス407a〜407eから各ガス供給口403a〜403eまでの内径及び配管長と、が複数の分岐管401a〜401eの間で均等でないように形成されている。また、オリフィス407a〜407eの孔径が同一でなく、それぞれ異なっている。
【0049】
なお、配管内径及び配管長が異なると配管内を流れるガスの圧力損失が異なる。この圧力損失は、配管内径に反比例し、配管長に比例する。このため、オリフィス407a〜407eの上流側の分岐管401a〜401e(処理ガス供給管402の接続位置408から各オリフィス407a〜407eまで)の内径及び配管長と、オリフィス407a〜407eの下流側の分岐管401a〜401e(各オリフィス407a〜407eから各ガス供給口403a〜403eまで)の内径及び配管長と、とに応じてオリフィス407a〜407eの孔径を異ならしている。これにより、各オリフィス407a〜407eの下流端から各ガス供給口403a〜403eまで流れる処理ガスが、均等のガス流量となる。そして、均等のガス流量の処理ガスが各ガス供給口403a〜403eからガス導入部230の各ガス導入区画部230a〜230eに均等に導入され、ガス導入部230のガス噴出口212から処理ガスが処理室201内に均等に供給可能である。
【0050】
本実施形態によれば、配管内径及び配管長が複数の分岐管401a〜401eで均等でなく、オリフィス407a〜407eの孔径が同一でない場合においても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0051】
<本発明の他の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、ガス導入部230、ガス排気部231、反応管203及びボート217に区画壁を設けて構成しているが、本発明はこれに限定されない。ガス導入部230及びガス排気部231にのみ区画壁を設けて構成してもよいし、ガス導入部230、ガス排気部231、反応管203、及びボート217に区画壁を設けることなく構成してもよい。
【0052】
また、上述の実施形態においては、ガス導入部230、ガス排気部231を反応管203に一体接続して構成しているが、本発明はこれに限定されない。ガス導入部230、ガス排気部231を、例えば導入ノズルのように形成してもよい。
【0053】
また、上述の実施形態においては、ウエハ200上に形成された窒化アルミニウム薄膜を酸化処理する基板処理装置に適用しているが、本発明はこれに限定されず、窒化処理、炭化処理、成膜処理であるCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法、拡散、アニール等の基板処理を実施する基板処理装置にも好適に適用可能である。
【0054】
また、本発明は、本実施形態にかかる半導体製造装置等のウエハ基板を処理する基板処理装置に限らず、プリント配線基板、液晶パネル、磁気ディスクやコンパクトディスク等の基板を処理する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0056】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0057】
複数の基板を収容する処理室と、
ガス供給源に接続されるガス供給管と、
前記ガス供給管に接続され、前記ガス供給管からのガスを前記処理室内にそれぞれ供給する複数の分岐管と、
前記分岐管にそれぞれ設けられる差圧生成部と、を備え、
前記差圧生成部は、
前記分岐管から前記処理室内に供給される前記ガスの流量が、複数の前記分岐管の間で均等になるように、前記差圧生成部より上流側の前記分岐管内と、前記差圧生成部より下流側の前記分岐管内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせる
基板処理装置が提供される。
【0058】
好ましくは、
前記差圧生成部より上流側の前記分岐管の内径及び配管長(すなわち容積)と、前記差圧生成部より下流側の前記分岐管の内径及び配管長(すなわち容積)と、が複数の前記分岐管の間で均等である場合、前記差圧生成部が生じさせる前記差圧を複数の前記分岐管の間で均等にする。
【0059】
より好ましくは、
前記ガス供給管の上流側には一次側バルブが設けられると共に、前記分岐管の前記差圧生成部より下流側には二次側バルブが設けられ、
前記処理室内へのガス供給を開始するとき、前記二次側バルブを開いた後、前記一次側バルブを開く制御部と、を備える。
【0060】
より好ましくは、
前記制御部は、
前記処理室内へのガス供給を停止するとき、前記一次側バルブを閉じた後、前記二次側バルブを閉じる。
【0061】
より好ましくは、前記ガス供給管には、質量流量計が設けられている。
【符号の説明】
【0062】
200 ウエハ(基板)
201 処理室
401a〜401e 分岐管
402 処理ガス供給管(ガス供給管)
407a〜407e オリフィス(差圧生成部)
412 不活性ガス供給管(ガス供給管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収容する処理室と、
ガス供給源に接続されるガス供給管と、
前記ガス供給管に接続され、前記ガス供給管からのガスを前記処理室内にそれぞれ供給する複数の分岐管と、
前記分岐管にそれぞれ設けられる差圧生成部と、を備え、
前記差圧生成部は、
前記分岐管から前記処理室内に供給される前記ガスの流量が、複数の前記分岐管の間で均等になるように、前記差圧生成部より上流側の前記分岐管内と、前記差圧生成部より下流側の前記分岐管内と、の間にそれぞれ差圧を生じさせる
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−159803(P2011−159803A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20261(P2010−20261)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】