説明

基板処理装置

【課題】処理ガス供給配管の置換容積を最小限とし、反応室内に供給する処理ガスの切替え速度を向上できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板を収容する処理室52と、該処理室内に複数の処理ガスを供給する複数の処理ガス供給手段と、前記処理室内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段と、前記処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、前記複数の処理ガス供給手段と前記キャリアガス供給手段と前記排気手段とを制御する制御手段とを具備し、前記複数の処理ガス供給手段は、処理ガス配管部に上流側から順に設けられた上流側バルブ56,63と流量制御手段57,58,64と下流側第1バルブ59,65と下流側第2バルブ62,67とを有し、前記キャリアガス供給手段は、キャリアガス配管部に設けられたバルブ79,83の下流側で前記下流側第2バルブ62,67と前記処理室52との間にもそれぞれ接続される基板処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板に薄膜の生成、酸化処理、不純物の拡散、アニール処理、エッチング等の処理を行い、半導体装置を製造する基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学気相成長法の1つに原子層堆積法(ALD法)がある。ALD(Atomic Layer Deposition)法は、温度や時間等の成膜条件の下で、2種類以上の処理ガスを1種類ずつ基板表面上に交互に流し、基板表面上原子と反応させて単層ずつ膜を堆積させる方法であり、単原子層ずつ制御が可能である為、均一な膜厚を形成させることができ、膜質としても非常に緻密に膜を成長させることができる。
【0003】
図6に於いて、従来のガス供給システムの概略について説明する。
【0004】
反応管1にガスを供給するガス供給BOX2は、図示しない第1のガス供給源、第2のガス供給源及びキャリアガス供給源と接続され、又第1のガス供給管4及び第2のガス供給管6と接続されている。前記第1のガス供給管4は、第1のガス供給源から供給される処理ガスと、キャリアガス供給源から供給されるN2 等の不活性ガスであるキャリアガスを前記反応管1内に噴出する第1のノズル3と接続され、又前記第2のガス供給管6は、第2のガス供給源からの処理ガスとキャリアガス供給源からのキャリアガスを前記反応管1内に噴出する第2のノズル5と接続されている。
【0005】
前記第1のガス供給管4は、前記ガス供給BOX2内で2股に分れ、一方が第1の切替えバルブ7と接続され、他方が第3の切替えバルブ8と接続されている。又、前記第2のガス供給管6も前記ガス供給BOX2内で2股に分れ、一方が第2の切替えバルブ9と接続され、他方が第4の切替えバルブ11と接続されている。
【0006】
前記第1のガス供給管4と接続された前記第1の切替えバルブ7と前記第3の切替えバルブ8は、それぞれ上流側で流量制御器である第1のMFC12と第3のMFC14に接続されている。又、前記第1のMFC12は上流側でキャリアガス供給バルブ16と接続され、前記第3のMFC14は上流側で第1のガス供給バルブ17と接続されている。
【0007】
前記第2のガス供給管6と接続された前記第2の切替えバルブ9と前記第4の切替えバルブ11は、それぞれ上流側で流量制御器である第2のMFC13と第4のMFC15に接続されている。又、前記第2のMFC13は上流側で前記第1のMFC12と前記キャリアガス供給バルブ16の間に合流しており、前記第4のMFC15は上流側で第2のガス供給バルブ18と接続されている。
【0008】
上記ガス供給BOX2を用いてALD法により基板に膜を堆積させる際には、図7の処理シーケンスに示される様に、前記第1のガス供給バルブ17と前記第3の切替えバルブ8を開き、前記第2の切替えバルブ9を閉じて前記反応管1内に前記第1のノズル3より処理ガスを噴出させ、所定の時間が経過すると、前記第3の切替えバルブ8を閉じ、前記キャリアガス供給バルブ16と第1の切替えバルブ7を開いて前記第1のガス供給管4にキャリアガスを導入し、該第1のガス供給管4及び前記第1のノズル3内の残留ガスを置換する。
【0009】
上記の残留ガスの置換処理と並行して、前記第2のガス供給バルブ18と前記第4の切替えバルブ11を開き、前記第2の切替えバルブ9を閉じて前記反応管1内に前記第2のノズル5より処理ガスを噴出させ、所定の時間が経過すると、前記第4の切替えバルブ11を閉じ、前記第2の切替えバルブ9を開いて前記第2のガス供給管6にキャリアガスを導入し、該第2のガス供給管6及び前記第2のノズル5内の残留ガスを置換する。
【0010】
更に、前記第2のガス供給管6及び前記第2のノズル5の置換処理中に前記第1のノズル3より処理ガスが前記反応管1内に噴出される。以上の処理が繰返されることで、基板上に交互に膜が堆積される。
【0011】
然し乍ら、ALD法により基板に膜を堆積させる場合、処理基板上で各々のガスが混合し、気相反応を起さない様、シーケンスの間に前記反応管1内、前記ノズル3,5内、ガス供給管4,6内にキャリアガスを流して処理ガスを不活性ガスに置換する必要があり、前記ガス供給管4,6の長さが長い為、処理ガスの切替えに時間が掛り、CVD法等と比べると成膜速度が遅いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−49367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は斯かる実情に鑑み、ガス供給管の置換を最小限とし、反応室内に供給するガスの切替え速度を向上させることで成膜速度を向上させる基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板を収容する処理室と、該処理室内に複数の処理ガスをそれぞれ供給する複数の処理ガス供給手段と、前記処理室内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段と、前記処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、前記複数の処理ガス供給手段と前記キャリアガス供給手段と前記排気手段とを制御する制御手段とを具備し、前記複数の処理ガス供給手段はそれぞれ処理ガスを供給する処理ガス供給源及び前記処理室と接続される処理ガス配管部と、該処理ガス配管部に処理ガスの上流側から順に設けられた上流側バルブと流量制御手段と下流側第1バルブと下流側第2バルブとを有し、前記キャリアガス供給手段はキャリアガス供給源及び前記処理室と接続されるキャリアガス配管部と、該キャリアガス配管部に設けられたキャリアガスバルブを有し、前記キャリアガス配管部は前記キャリアガスバルブの下流側で前記下流側第2バルブと前記処理室との間にそれぞれ接続され、処理ガスの除去を行う際には、前記下流側第1バルブと前記下流側第2バルブを閉じ、前記キャリアガスバルブを開いた状態で前記処理ガス配管部にキャリアガスを供給すると共に、前記処理室内の雰囲気を排気する様前記処理ガス供給手段、前記キャリアガス供給手段、前記排気手段を制御する基板処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板を収容する処理室と、該処理室内に複数の処理ガスをそれぞれ供給する複数の処理ガス供給手段と、前記処理室内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段と、前記処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、前記複数の処理ガス供給手段と前記キャリアガス供給手段と前記排気手段とを制御する制御手段とを具備し、前記複数の処理ガス供給手段はそれぞれ処理ガスを供給する処理ガス供給源及び前記処理室と接続される処理ガス配管部と、該処理ガス配管部に処理ガスの上流側から順に設けられた上流側バルブと流量制御手段と下流側第1バルブと下流側第2バルブとを有し、前記キャリアガス供給手段はキャリアガス供給源及び前記処理室と接続されるキャリアガス配管部と、該キャリアガス配管部に設けられたキャリアガスバルブを有し、前記キャリアガス配管部は前記キャリアガスバルブの下流側で前記下流側第2バルブと前記処理室との間にそれぞれ接続され、処理ガスの除去を行う際には、前記下流側第1バルブと前記下流側第2バルブを閉じ、前記キャリアガスバルブを開いた状態で前記処理ガス配管部にキャリアガスを供給すると共に、前記処理室内の雰囲気を排気する様前記処理ガス供給手段、前記キャリアガス供給手段、前記排気手段を制御するので、前記処理室内に供給するガスの切替えを前記上流側バルブと前記下流側バルブの切替えによって行うことができ、ガスの切替えの際に排気が必要な前記配管部の長さを短くできる為、成膜処理に於けるシーケンス時間を短縮でき成膜速度の向上を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に於ける基板処理装置の概略斜視図である。
【図2】本発明に於ける処理炉の概略縦断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】本発明に於けるガス供給システムを示す概略説明図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すガス供給システムの概略説明図である。
【図6】従来のガス供給システムを示す概略説明図である。
【図7】従来の処理シーケンスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0018】
先ず、図1に於いて、本発明に於ける基板処理装置21について説明する。
【0019】
該基板処理装置21は、一例として半導体装置(IC)の製造方法に於ける処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。尚、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理等を行う縦型の装置を適用した場合について述べる。
【0020】
シリコン等からなるウェーハ(基板)22を収納したウェーハキャリアとしてのカセット23が使用されている前記基板処理装置21は、筐体24を具備している。該筐体24の正面壁25の下方には、メンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口(図示せず)が開設され、該正面メンテナンス口を開閉する正面メンテナンス扉(図示せず)が建付けされている。該正面メンテナンス扉には、図示しないカセット搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)が前記筐体24内外を連通する様に開設されており、前記カセット搬入搬出口は図示しないフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)によって開閉される様になっている。前記カセット搬入搬出口の前記筐体24内側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)26が設置されている。前記カセット23は前記カセットステージ26上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、又前記カセットステージ26上から搬出される様になっている。
【0021】
該カセットステージ26は、工程内搬送装置によって前記カセット23内のウェーハ22が垂直姿勢となり、前記カセット23のウェーハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。前記カセットステージ26は、前記カセット23を前記筐体24後方に向けて右回り縦方向に90°回転し、前記カセット23内のウェーハ22が水平姿勢となり、前記カセット23のウェーハ出入れ口が前記筐体24後方を向く様に動作可能となっている。
【0022】
前記筐体24内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)27が設置され、該カセット棚27は複数段複数列にて複数個の前記カセット23を保管する様に構成されている。前記カセット棚27には、後述するウェーハ移載機構35の搬送対象となる前記カセット23が収納される移載棚29が設けられている。又、前記カセットステージ26の上方には予備カセット棚31が設けられ、予備的に前記カセット23を保管する様になっている。
【0023】
前記カセットステージ26と前記カセット棚27との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)32が設置されている。該カセット搬送装置32は、前記カセット23を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)33と搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収容器搬送機構)34とで構成されており、前記カセットエレベータ33とカセット搬送機構34との連続動作により、前記カセットステージ26、前記カセット棚27、前記予備カセット棚31との間で前記カセット23を搬送する様に構成されている。
【0024】
前記カセット棚27の後方には、前記ウェーハ移載機構(基板移載機構)35が設置されており、該ウェーハ移載機構35はウェーハ22を水平方向に回転ないし直動可能なウェーハ移載装置(基板移載装置)36、及び該ウェーハ移載装置36を昇降させる為のウェーハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)28とで構成されている。前記ウェーハ移載装置36及び前記ウェーハ移載装置エレベータ28の連続動作により、前記ウェーハ移載装置36のツイーザ(基板保持体)37をウェーハ22の載置部として、ボート(基板保持具)38に対してウェーハ22を装填(チャージング)及び装脱(ディスチャージング)する様に構成されている。
【0025】
前記筐体24の後方上部には、処理炉39が設けられている。該処理炉39の下端部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)41によって開閉される様に構成されている。
【0026】
前記処理炉39の下方には、前記ボート38を前記処理炉39に昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)42が設けられ、該ボートエレベータ42の昇降台に連結された連結具としてのアーム43には蓋体としてのシールキャップ44が水平に据付けられており、該シールキャップ44は前記ボート38を垂直に支持し、前記処理炉39の下端部を閉塞可能な様に構成されている。
【0027】
前記ボート38は複数本の保持部材を有しており、複数枚(例えば50枚〜150枚程度)のウェーハ22をその中心に揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持する様に構成されている。
【0028】
前記カセット棚27の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給する様、供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット45が設けられており、クリーンエアを前記筐体24の内部に流通させる様に構成されている。
【0029】
又、前記ウェーハ移載装置エレベータ28及び前記ボートエレベータ42側と反対側である前記筐体24の左側側端部には、クリーンエアを供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット46が設置されており、該クリーンユニット46から吹出されたクリーンエアは、前記ウェーハ移載装置36、前記ボート38を流通した後に、図示しない排気装置に吸込まれて前記筐体24の外部に排気される様になっている。
【0030】
次に、前記基板処理装置21の動作について説明する。
【0031】
前記カセット23はカセット搬入搬出口(図示せず)から搬入され、前記カセットステージ26の上にウェーハ22が垂直姿勢且つ前記カセット23のウェーハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。その後、前記カセット23は、前記カセットステージ26によって前記カセット23内のウェーハ22が水平姿勢となり、前記カセット23のウェーハ出入れ口が前記筐体24の後方を向く様に、該筐体24後方に右回り90°回転させられる。
【0032】
次に、前記カセット23は、前記カセット棚27或は前記予備カセット棚31の指定された棚位置へ前記カセット搬送装置32によって自動的に搬送されて受渡され、一時的に保管された後、前記カセット棚27或は前記予備カセット棚31から前記カセット搬送装置32によって前記移載棚29に搬送されるか、或は直接該移載棚29に搬送される。
【0033】
前記カセット23が前記移載棚29に移載されると、ウェーハ22は前記カセット23から前記ウェーハ移載装置36の前記ツイーザ37によりウェーハ出入れ口を通じてピックアップされ、前記移載棚29の後方にある前記ボート38に装填される。該ボート38にウェーハ22を受渡した前記ウェーハ移載装置36は前記カセット23に戻り、次のウェーハ22を前記ボート38に装填する。
【0034】
予め指定された枚数のウェーハ22が前記ボート38に装填されると、前記炉口シャッタ41によって閉じられていた前記処理炉39の下端部が、前記炉口シャッタ41によって開放される。続いて、ウェーハ22群を保持した前記ボート38は、前記シールキャップ44が前記ボートエレベータ42によって上昇されることにより、前記処理炉39内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0035】
ローディング後は、該処理炉39にてウェーハ22に任意の処理が実施される。処理後は、上述とは逆の手順でウェーハ22及び前記カセット23が前記筐体24の外部へ払出される。
【0036】
次に、図2〜図4に於いて、前記基板処理装置21に適用される前記処理炉39について説明する。
【0037】
加熱装置(加熱手段)であるヒータ47の内側に、基板であるウェーハ22を処理する反応容器としての反応管48が設けられ、該反応管48の下端には、例えばステンレス等のマニホールド49が、気密部材であるOリング51を介して設けられ、前記マニホールド49の下端開口は蓋体である前記シールキャップ44により前記Oリング51を介して気密に閉塞されており、少なくとも前記反応管48、前記マニホールド49及び前記シールキャップ44により処理室52を形成している。
【0038】
前記シールキャップ44には、ボート支持台53を介して基板保持部材(基板保持手段)である前記ボート38が立設され、前記ボート支持台53は前記ボート38を保持する保持体となっている。又、該ボート38にはバッチ処理される複数のウェーハ22が水平姿勢で管軸方向に多段に積載されており、前記処理室52に前記ボート38が装入されると、前記ヒータ47によりウェーハ22が所定の温度迄加熱される様になっている。
【0039】
前記処理室52へは複数種類、本実施例では2種類の処理ガスを供給する供給経路として、配管部である第1のガス供給管54と第2のガス供給管55の2本のガス供給管が設けられている。
【0040】
前記第1のガス供給管54には、上流方向から順に原料の供給/停止を行う上流側バルブである第1の原料供給バルブ56、流量制御装置(流量制御手段)である液体マスフローコントローラ(MFC)57、気化器58、及び下流側第1バルブである第1の切替えバルブ59が設けられ、該第1の切替えバルブ59の下流でキャリアガスを供給する第1のキャリアガス供給管61が合流されており、該第1のキャリアガス供給管61との合流箇所よりも下流側には下流側第2バルブである第1のファイナルバルブ62が設けられている。又、図示しない液体原料供給源、前記第1の原料供給バルブ56、前記液体MFC57、前記気化器58、前記第1の切替えバルブ59、前記第1のファイナルバルブ62とで第1処理ガス供給手段を構成している。
【0041】
前記第2のガス供給管55には、上流方向から順に原料の供給/停止を行う上流側バルブである第2の原料供給バルブ63、流量制御装置(流量制御手段)である第1のMFC64、下流側第1バルブである第2の切替えバルブ65が設けられ、該第2の切替えバルブ65の下流でキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給管66が合流されており、該第2のキャリアガス供給管66との合流箇所よりも下流側には下流側第2バルブである第2のファイナルバルブ67が設けられている。又、図示しない処理ガス供給源、前記第2のガス供給管55、前記第2の原料供給バルブ63、前記第1のMFC64、前記第2の切替えバルブ65、前記第2のファイナルバルブ67とで第2処理ガス供給手段を構成している。
【0042】
前記第1のキャリアガス供給管61及び前記第2のキャリアガス供給管66の上流側には、図示しないキャリアガス供給源よりキャリアガスを供給するキャリアガス供給管68が設けられており、該キャリアガス供給管68はキャリアガス供給源からのキャリアガスの供給/停止を行う上流側バルブであるキャリアガス供給バルブ69が設けられると共に、下流側で4股に分れ、それぞれ前記第1のキャリアガス供給管61、前記第2のキャリアガス供給管66、第3のキャリアガス供給管71、第4のキャリアガス供給管72とに分岐している。又、図示しないキャリアガス供給源、前記キャリアガス供給管68、前記第1のキャリアガス供給管61、前記第2のキャリアガス供給管66、前記第3のキャリアガス供給管71、前記第4のキャリアガス供給管72、第2〜第5のMFC73,75,77,81、第3〜第6の切替えバルブ74,76,78,82、第3、第4のファイナルバルブ79,83とでキャリアガス供給手段を構成している。
【0043】
前記第1のキャリアガス供給管61には、上流方向から順に流量制御装置(流量制御手段)である第2のMFC73、第3の切替えバルブ74が設けられ、前記第2のキャリアガス供給管66には、上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)である第3のMFC75、第4の切替えバルブ76が設けられている。又、前記第3のキャリアガス供給管71には、上流方向から順に流量制御装置(流量制御手段)である第4のMFC77、第5の切替えバルブ78及びキャリアガスバルブである第3のファイナルバルブ79が設けられており、該第3のファイナルバルブ79の下流側で前記第1のガス供給管54と合流している。又、前記第4のキャリアガス供給管72には、上流方向から順に流量制御装置(流量制御手段)である第5のMFC81、第6の切替えバルブ82及びキャリアガスバルブである第4のファイナルバルブ83が設けられており、該第4のファイナルバルブ83の下流側で前記第2のガス供給管55と合流している。
【0044】
尚、前記第1の原料供給バルブ56、前記液体MFC57、前記気化器58、前記第1の切替えバルブ59、前記第2の原料供給バルブ63、前記第1のMFC64、前記第2の切替えバルブ65、前記キャリアガス供給バルブ69、前記第2のMFC73、前記第3の切替えバルブ74、前記第3のMFC75、前記第4の切替えバルブ76、前記第4のMFC77、前記第5の切替えバルブ78、前記第5のMFC81、前記第6の切替えバルブ82と、これらと接続された配管とでガス供給BOX80が構成されている。
【0045】
又、前記第1のガス供給管54の下流側の先端部には、第1のノズル84が設けられている。該第1のノズル84は、前記処理室52を構成している前記反応管48の内壁とウェーハ22との間に於ける円弧状の空間に、前記反応管48の下部より上部の内壁にウェーハ22の積載方向に沿って設けられている。又、前記第1のノズル84の側面にはガスを供給する供給孔である第1のガス供給孔85が複数穿設され、該第1のガス供給孔85は、下部から上部に亘ってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0046】
又、前記第2のガス供給管55の下流側の先端部には、第2のノズル86が設けられている。該第2のノズル86は、前記処理室52を構成している前記反応管48の内壁とウェーハ22との間に於ける円弧状の空間に、前記反応管48の下部より上部の内壁にウェーハ22の積載方向に沿って設けられている。又、前記第2のノズル86の側面にはガスを供給する供給孔である第2のガス供給孔87が複数穿設され、該第2のガス供給孔87は、下部から上部に亘ってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0047】
例えば、前記第1のガス供給管54から供給される原料が液体の場合、該第1のガス供給管54からは、前記第1の原料供給バルブ56、前記液体MFC57、前記気化器58、及び前記第1の切替えバルブ59を介し、前記第1のキャリアガス供給管61と合流し、更に前記第1のファイナルバルブ62及び前記第1のノズル84を介して前記処理室52内に処理ガスが供給される。尚、前記第1のガス供給管54から供給される原料が気体の場合には、前記液体MFC57を気体用のMFCに交換し、前記気化器58は不要となる。又、前記第2のガス供給管55からは、前記第2の原料供給バルブ63、前記第1のMFC64、第2の切替えバルブ65を介し、前記第2のキャリアガス供給管66と合流し、更に前記第2のファイナルバルブ67及び前記第2のノズル86を介して前記処理室52内に処理ガスが供給される。
【0048】
又、該処理室52は、ガスを排気する排気管であるガス排気管88に接続され、該ガス排気管88は排気用バルブ89を介して排気装置(排気手段)である真空ポンプ91に接続され、該真空ポンプ91によって前記処理室52内のガスが真空排気される様になっている。尚、前記排気用バルブ89は、弁を開閉して前記処理室52の真空排気/真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して該処理室52の圧力調整が可能な開閉弁である。
【0049】
前記反応管48内の中央部には、複数枚のウェーハ22を多段に同一間隔で載置する前記ボート38が設けられており、該ボート38は前記ボートエレベータ42(図1参照)により前記反応管48に出入りできる様になっている。又、処理の均一性を向上させる様前記ボート38を回転する為のボート回転機構92が前記シールキャップ44の下部に設けられており、前記ボート回転機構92を駆動することにより、前記ボート支持台53に支持された前記ボート38が回転する様になっている。
【0050】
制御部(制御手段)であるコントローラ93は、前記第1、第2の原料供給バルブ56,63及び前記キャリアガス供給バルブ69、前記液体MFC57及び前記第1〜第5のMFC64,73,75,77,81、前記第1〜第6の切替バルブ59,65,74,76,78,82及び排気用バルブ89、前記ヒータ47、前記真空ポンプ91、前記ボート回転機構92、前記ボートエレベータ42とに接続されている。
【0051】
更に、前記コントローラ93は前記第1、第2の原料供給バルブ56,63及び前記キャリアガス供給バルブ69の開閉動作、前記液体MFC57及び前記第1〜第5のMFC64,73,75,77,81の流量調整、前記第1〜第6の切替えバルブ59,65,74,76,78,82の開閉動作、前記排気用バルブ89の開閉及び圧力調整、前記ヒータ47の温度調整、前記真空ポンプ91の起動/停止、前記ボート回転機構92の回転速度調節、前記ボートエレベータ42の昇降動作制御を行う様になっている。
【0052】
次に、ALD法を用いた成膜処理例について、半導体デバイスの製造工程の1つである、TEMAH及びO3 を用いてHfO2 膜を成膜する例を基に図4を参照して説明する。
【0053】
ALD法では、例えばHfO2 膜形成の場合、TEMAH(Hf[NCH3 C2 H5 ]4 、テトラキスメチルエチルアミノハフニウム)とO3 (オゾン)を用いて180〜250℃の低温で高品質の成膜が可能である。
【0054】
先ず始めに、ウェーハ22を前記ボート38に装填し、前記処理室52に搬入する。前記ボート38搬入後、後述する4つのステップを順次実行する。
【0055】
(ステップ1)
前記第1のガス供給管54にTEMAH、前記キャリアガス供給管68にキャリアガス(N2 )を流す。次に前記第1のガス供給管54の前記第1の原料供給バルブ56、前記第1の切替えバルブ59及び前記第1のファイナルバルブ62を開き、更に前記キャリアガス供給管68の前記キャリアガス供給バルブ69、前記第1のキャリアガス供給管61の前記第3の切替えバルブ74、及び前記ガス排気管88の前記排気用バルブ89(図2参照)を開く。
【0056】
キャリアガスは前記第1のキャリアガス供給管61から流れ、前記第2のMFC73により流量調整される。又、TEMAHは前記第1のガス供給管54から流れ、前記液体MFC57により流量調整され、前記気化器58により気化され、流量調整されたキャリアガスを混合し、前記第1のファイナルバルブ62を介して前記第1のノズル84の前記第1のガス供給孔85(図3参照)から前記処理室52内に供給されつつ前記ガス排気管88から排気される。
【0057】
この時、前記排気用バルブ89を適正に調整して前記処理室52の圧力を調整し、前記処理室52内の圧力を30〜500Paであって、例えば100Paに維持する。又、前記液体MFC57で制御するTEMAHの供給量は0.01〜0.1g/minであり、TEMAHガスにウェーハ22を晒す時間は30〜180秒間である。更にこの時、前記ヒータ47の温度はウェーハ22の温度が180〜250℃の範囲であって、例えば250℃になる様に設定されており、TEMAHを前記処理室52内に供給することで、ウェーハ22上の下地膜等の表面部分と表面反応(化学吸着)する。
【0058】
(ステップ2)
前記第1のノズル84及び前記処理室52内の置換を行う際には、前記第1の切替えバルブ59と前記第1のファイナルバルブ62を閉じ、前記処理室52内へのTEMAHの供給を停止する。この時、前記ガス排気管88の前記排気用バルブ89は開いたままとし、前記真空ポンプ91(図2参照)により前記処理室52内が20Pa以下となるまで排気し、残留TEMAHガスを前記処理室52内から排除する。
【0059】
又この時、前記第3のキャリアガス供給管71の前記第5の切替えバルブ78及び前記第3のファイナルバルブ79を開くことで、前記第4のMFC77によって流量調整されたキャリアガスが、前記第5の切替えバルブ78及び前記第3のファイナルバルブ79を介して前記第1のノズル84の前記第1のガス供給孔85から前記処理室52内に供給され、前記第1のノズル84、前記処理室52内がキャリアガス(N2 )によって置換され、更に残留TEMAHガスを排除する効果が高まる。
【0060】
(ステップ3)
残留TEMAHガスの排除後、前記第5の切替えバルブ78及び前記第3のファイナルバルブ79を閉じ、前記第2のガス供給管55にO3 を流す。次に、該第2のガス供給管55の前記第2の原料供給バルブ63、前記第2の切替えバルブ65及び前記第2のファイナルバルブ67を開き、更に前記第2のキャリアガス供給管66の前記第4の切替えバルブ76を開く。
【0061】
キャリアガスは、前記第2のキャリアガス供給管66から流れ、前記第3のMFC75によって流量調整される。又、O3 は前記第2のガス供給管55から流れ、前記第1のMFC64により流量調整され、流量調整されたキャリアガスを混合し、前記第2のファイナルバルブ67を介して前記第2のノズル86の前記第2のガス供給孔87(図3参照)から前記処理室52内に供給されつつ前記ガス排気管88から排気される。
【0062】
この時、前記排気用バルブ89を適正に調整して前記処理室52内の圧力を30〜500Paの範囲であって、例えば130Paに維持する。又、O3 にウェーハ22を晒す時間は10〜120秒間であり、この時のウェーハ22の温度が、ステップ1のTEMAHガスの供給時と同じく180〜250℃の範囲であって、例えば250℃となる様前記ヒータ47が設定される。O3 の供給により、ウェーハ22の表面に化学吸着したTEMAHとO3 とが表面反応し、ウェーハ22にHfO2 膜が成膜される。
【0063】
(ステップ4)
HfO2 膜の成膜後、前記第2のノズル86及び前記処理室52内の置換を行う際には、前記第2の切替えバルブ65及び前記第2のファイナルバルブ67を閉じ、前記処理室52内へのO3 の供給を停止する。この時、前記ガス排気管88の前記排気用バルブ89は開いたままとし、前記真空ポンプ91により前記処理室52内を真空排気し、残留するO3 の成膜に寄与した後のガスを排除する。
【0064】
又この時、前記第4のキャリアガス供給管72の前記第6の切替えバルブ82及び前記第4のファイナルバルブ83を開くことで、前記第5のMFC81によって流量調整されたキャリアガスが、前記第6の切替えバルブ82及び前記第4のファイナルバルブ83を介して前記第2のノズル86の前記第2のガス供給孔87から前記処理室52内に供給され、前記第2のノズル86、前記処理室52内がキャリアガス(N2 )によって置換され、更に残留するO3 の成膜に寄与した後のガスを排除する効果が高まる。
【0065】
初回の1サイクルは上述のステップ1〜ステップ4の処理が行われ、2回目以降はステップ1の前に前記第6の切替えバルブ82及び第4のファイナルバルブ83を閉じるという処理が加わったステップ1′〜ステップ4の処理が行われる。上記ステップ1(ステップ1′)〜ステップ4を1サイクルとし、該サイクルを複数回繰返すことにより、ウェーハ22上に所定の膜厚のHfO2 膜を成膜することができる。
【0066】
尚、上記では、ステップ1〜ステップ4迄の処理を順次行っていたが、シーケンス時間短縮の為、ステップ2とステップ3、或はステップ3とステップ4が重なってもよく、更にステップ2とステップ4の一部工程が重なってもよい。例えば、図4に示される様に前記第5の切替えバルブ78と前記第3のファイナルバルブ79及び前記第6の切替えバルブ82と前記第4のファイナルバルブ83が同時に開いている状態、即ち前記第1のガス供給管54、前記第1のノズル84及び前記第2のガス供給管55、前記第2のノズル86が同時にキャリアガスによって置換されていてもよい。
【0067】
上述の様に本発明では、前記キャリアガス供給管68を4股に分岐させ、前記第1のガス供給管54と合流する前記第1のキャリアガス供給管61には合流地点よりも下流側に前記第1のファイナルバルブ62を設け、前記第2のガス供給管55と合流する前記第2のキャリアガス供給管66には合流地点よりも下流側に前記第2のファイナルバルブ67を設け、前記第1のガス供給管54と前記第1のファイナルバルブ62の下流側で合流する前記第3のキャリアガス供給管71に前記第3のファイナルバルブ79を設け、前記第2のガス供給管55と前記第2のファイナルバルブ67の下流側で合流する前記第4のキャリアガス供給管72に前記第4のファイナルバルブ83を設けたので、前記処理室52内に供給するガスの切替え、或はガス供給管やノズル、処理室のガス置換を前記第1〜第4のファイナルバルブ62,67,79,83の切替えによって行うことができる。従って、置換、又はガスパージする部分は前記第1〜第4のファイナルバルブ62,67,79,83よりも下流側となるので、ガスの切替えの際に置換が必要なガス供給管の長さを短くでき、成膜処理に於けるシーケンス時間を短縮できると共に、成膜速度の向上を図ることができる。
【0068】
又、他の実施例として、図5に示される様に、例えば第1のガス供給管54を第1のファイナルバルブ62の上流側で分岐させ、分岐させた原料排気管94をガス排気管88と合流させ、前記原料排気管94の中途部に第5のファイナルバルブ95を設ける。
【0069】
前記原料排気管94と前記第5のファイナルバルブ95を設けたことで、例えば成膜処理に於いて液体原料を用い、前記第1のガス供給管54内で再液化、或は再供給時に液体MFC57の制御が安定しがたい場合に、第1のノズル84や処理室52を介することなく前記第1のガス供給管54から直接原料を排気でき、より第1のガス供給管54内の置換処理を容易に行うことができる。
【0070】
尚、本発明に於いては、ウェーハ22にHfO2 膜を成膜させる場合について説明したが、本発明はHfO2 膜だけではなく、他の膜種に対しても適用可能であることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0071】
21 基板処理装置
22 ウェーハ
39 処理炉
48 反応管
52 処理室
54 第1のガス供給管
55 第2のガス供給管
56 第1の原料供給バルブ
57 液体MFC
59 第1の切替えバルブ
62 第1のファイナルバルブ
63 第2の原料供給バルブ
64 第1のMFC
65 第2の切替えバルブ
67 第2のファイナルバルブ
68 キャリアガス供給管
69 キャリアガス供給バルブ
73 第2のMFC
74 第3の切替えバルブ
75 第3のMFC
76 第4の切替えバルブ
77 第4のMFC
78 第5の切替えバルブ
79 第3のファイナルバルブ
81 第5のMFC
82 第6の切替えバルブ
83 第4のファイナルバルブ
91 真空ポンプ
93 コントローラ
94 原料排気管
95 第5のファイナルバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理室と、該処理室内に複数の処理ガスをそれぞれ供給する複数の処理ガス供給手段と、前記処理室内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段と、前記処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、前記複数の処理ガス供給手段と前記キャリアガス供給手段と前記排気手段とを制御する制御手段とを具備し、前記複数の処理ガス供給手段はそれぞれ処理ガスを供給する処理ガス供給源及び前記処理室と接続される処理ガス配管部と、該処理ガス配管部に処理ガスの上流側から順に設けられた上流側バルブと流量制御手段と下流側第1バルブと下流側第2バルブとを有し、前記キャリアガス供給手段はキャリアガス供給源及び前記処理室と接続されるキャリアガス配管部と、該キャリアガス配管部に設けられたキャリアガスバルブを有し、前記キャリアガス配管部は前記キャリアガスバルブの下流側で前記下流側第2バルブと前記処理室との間にそれぞれ接続され、処理ガスの除去を行う際には、前記下流側第1バルブと前記下流側第2バルブを閉じ、前記キャリアガスバルブを開いた状態で前記処理ガス配管部にキャリアガスを供給すると共に、前記処理室内の雰囲気を排気する様前記処理ガス供給手段、前記キャリアガス供給手段、前記排気手段を制御することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−187485(P2011−187485A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48076(P2010−48076)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】