説明

基板塗布装置および基板塗布方法

【課題】ノズルの先端が乾燥することを防ぎつつ、基板の端部から塗布処理を開始することができる浮上搬送式の基板塗布処理装置を提供する。
【解決手段】基板Wに塗布処理を行うための塗布ステージは塗布前ステージ40と塗布後ステージ41とに分かれており、空気の噴出及び排気を行って、基板Wを浮上させるための空気流を形成する小孔が、それぞれのステージに形成されている。基板Wは先端が塗布前ステージ40と塗布後ステージ41との境界線上に位置して停止しており、塗布後ステージ41上方に配置されたスリットノズル55が下降し、基板端部の塗布開始位置に向けて移動する。このとき、塗布後ステージ41からの空気の噴出および吸引は一時的に停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶用ガラス角型基板、半導体基板、フィルム液晶用フレキシブル基板、フォトマスク用基板、カラーフィルター用基板等の精密電子装置用基板、あるいはそれに類する各種の基板の表面に、処理液を塗布する基板塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種基板の製造工程においては、基板の表面に処理液を塗布する基板塗布装置が用いられている。このような基板塗布装置として、スリットノズルから処理液を吐出しつつ該スリットノズルを基板に対して相対的に直進移動させて、基板全体に処理液を塗布するスリットコータが知られている。特に、大型基板への処理液の塗布では、基板を回転させながら処理液を塗布するスピン方式の採用は困難であるため、このようなスリットコータが主流である。
【0003】
このような直進型(リニアコート方式)の基板塗布装置では、タクトタイムの短縮化の観点において、基板を吸着保持して塗布処理を行うよりも、浮上搬送させて塗布処理を行うほうが望ましい。
【0004】
また、リニアコート方式でレジスト塗布処理を行う際、スリットノズルと基板表面異物との接触によるノズルのダメージや塗布不良が問題となるため、ノズルには何らかの保護機構が必要である。
【0005】
特許文献1には、吸着ステージ上で吸着保持された基板に塗布処理を行う際、ノズルの進行方向前面に保護機構を設置して、基板の端部から基板表面を走査する際に、基板前面の異物を検知し、ノズルの先端を保護することが可能な基板塗布装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−105623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、浮上搬送方式で基板にレジスト液などの処理液塗布処理を行う場合、基板の端部からノズル保護機構を用いて基板表面を走査しようとすると、ノズルは、下方に基板が存在しない状態で、浮上ステージに下降させなくてはならない。そのため、浮上ステージから噴出、排気される空気の流れにより、ノズル先端の処理液は乾燥して、基板に塗布処理を行う際に、塗布不良を起こす恐れがある。
【0008】
また、ノズル直下に基板の端部が存在する状態で、ノズルを下降させれば、上記の問題は発生しないが、塗布を開始する基板端部の実際の浮上高さを測定することができない。また、図28に示すように、基板の端部から保護機構の間の基板表面については異物の検出を行うことができない。
【0009】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、浮上搬送方式で基板に処理液の塗布処理を行う際に、ノズル先端の処理液の乾燥による塗布不良を防止することを第1の目的とする。
【0010】
本発明の第2の目的は、基板の先端部における異物検出を可能としつつ、ノズル先端の処理液の乾燥による塗布不良を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板に処理液を塗布するための基板塗布装置であって、ステージ面に設けた気体孔を通る気体流により前記ステージ面上に圧力気体層を形成し、前記圧力気体層によって基板を浮上させる浮上ステージと、前記基板に対して相対的に移動させるノズルから所定の処理液を前記基板上に吐出することにより、前記基板上に前記処理液を塗布する処理液供給手段と、前記気体流の形成状態と停止状態とを切り替える気体流制御手段と、を備え、前記相対的な移動と並行して行う前記処理液の吐出の前に、前記ノズルからの前記処理液の吐出を止めた状態で、前記ノズルを、前記浮上ステージ上の基板存在領域から外れた位置から、前記基板存在領域まで相対的に移動させる空走期間が設定されており、前記気体流制御手段は、前記空走期間のうち少なくとも一部の期間においては、前記ノズルの直下領域での前記気体流の形成を一時的に停止することを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された基板塗布装置であって、前記ノズルを、前記浮上ステージの上方空間で昇降させる昇降手段、をさらに備え、前記空走期間は、前記ノズルが、所定の待機高さから下降する下降期間と、前記ノズルが下降状態になってから水平方向に前記ノズルを前記基板に対して相対的に接近させる水平移動期間とを有しており、前記基板上への前記処理液の塗布は、前記下降状態において行われるものであり、前記空走期間のうち少なくとも前記水平移動期間においては、前記気体流の形成を停止させておくことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載された基板塗布装置であって、前記浮上ステージにおいては、それぞれに気体孔が形成された複数の気体流形成領域が、別プレートまたは1つのプレートの別部分として隣接配置されており、前記複数の気体流形成領域のそれぞれに対応して気体流路の開閉機構が設けられており、前記気体流制御手段は、前記開閉機構を用いた前記気体流の形成の一時的な停止を、前記複数の気体流形成領域のうち、前記ノズルの直下に存在するとともにその上には前記基板が存在しない領域についてのみ行うことを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された基板塗布装置であって、前記気体流の一時的な停止の後、前記基板の塗布開始位置から前記ノズルが前記処理液の吐出を開始するまでに、前記浮上ステージのすべての気体孔を用いた気体流の形成を再開することを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された基板塗布装置であって、前記基板の浮上高さを測定する浮上高さ測定手段、をさらに備えるとともに、前記処理液供給手段は、前記ノズルのうち、前記相対的な移動において前方に相当する側に取付けられて前記ノズルの先端を保護する保護部材をさらに備え、前記浮上高さ測定手段が前記基板端部の塗布開始位置の浮上高さを検出しつつ前記ノズルを下降させてから、前記ノズルと前記基板とを相対的に移動させることにより、前記保護部材が前記ノズルよりも先に基板端部に進入することを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載された基板塗布装置であって、前記気体流の形成の一時的な停止による前記基板の温度変動の許容値があらかじめ決定されており、前記気体流の形成の前記一時的な停止状態の継続時間は、前記温度変動が前記許容値以下となる時間として決定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載された基板塗布装置であって、前記浮上ステージには、前記気体を噴出する複数の噴出孔と、前記気体を吸引する複数の吸引孔とが混在して形成されており、前記気体流は、前記複数の噴出孔から噴出した圧力気体が前記複数の吸引孔から吸引される過程において発生しており、前記気体流制御手段は、前記複数の噴出孔への気体供給経路の開閉と、前記複数の吸引孔からの気体吸引経路の開閉とによって、前記気体流の形成状態と停止状態とを切り替えることを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る発明は、所定のノズルから吐出した処理液を基板に塗布するための方法であって、ステージ面に設けた気体孔を通る気体流により前記ステージ面上に圧力気体層を形成し、前記圧力気体層によって基板を浮上させる第1工程と、前記ステージ面のうち、基板存在領域を外れており、かつノズルの直下となっている特定領域について前記空気流を一時的に停止する工程と、所定の待機高さから前記特定領域に向けてノズルを降下させる工程と、前記ノズルと前記基板とを相対的に移動させて前記ノズルを前記基板の塗布開始位置の上に到達させ、前記ノズルからの前記処理液の吐出を開始する工程と、前記処理液の吐出を開始するまでに、前記特定領域についての前記空気流の形成を再開する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1から請求項8に記載の発明によれば、ノズルからの処理液の吐出を止めた状態で、ノズルを、浮上ステージ上の基板存在領域から外れた位置から、基板存在領域の上方に相対的に移動させる空走期間のうち少なくとも一部の期間において、基板存在領域を外れた領域のうち少なくともノズルの直下の領域を含む範囲での気体流の形成を一時的に停止させる。そのため、気体圧力層形成のための空気流の影響で、ノズルの先端の処理液が乾燥し、塗布処理を行う際に、基板に塗布ムラが発生する可能性を抑えることができる。
【0020】
また、特に請求項2に記載の発明によれば、最も空気流の影響を受けやすい水平移動期間での気体流の形成を停止するため、処理液の乾燥防止効果が特に高い。
【0021】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、気体流の形成の一時的な停止を、複数の気体流形成領域のうち、ノズルの直下領域について行うような個別制御を可能としてある。このため、ノズルを基板に接近させる際に、気体流形成領域によって気体孔の分布状況を変更することが可能であり、部分的に安価なプレートまたはプレート区画を利用できる。
【0022】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、基板が塗布開始位置に到達したら、全ての浮上ステージ上で圧力気体層の形成が行われるため、塗布処理を行うために基板の搬送を行っても、基板が撓む恐れがない。
【0023】
また、特に請求項5に記載の発明によれば、ノズルの先端の保護部材を使用して、基板の端部から基板表面を走査できるため、基板全面の異物について検知することが可能である。
【0024】
また、特に請求項6に記載の発明によれば、浮上ステージ上の圧力気体層の形成を止めることによる基板の温度変動の影響をより定量的に抑えることができるので、塗布処理を行った際に、基板側の温度変動に起因して塗布ムラが発生することを抑制できる。
【0025】
また、特に請求項7に記載の発明によれば、浮上ステージ上の気体流による圧力気体層の形成を気体の噴出と吸引とにより行っているため、圧力気体層の圧力のバランスがとれて、基板の浮上をより安定的に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る基板処理装置の上面図である。
【図2】ノズルユニットおよびノズル洗浄待機ユニットを取り外した場合における図1の基板処理装置の上面図である。
【図3】基板処理装置の制御機構を表したブロック図である。
【図4】上昇時における移載ユニットのYZ断面図である。
【図5】下降時における移載ユニットのYZ断面図である。
【図6】コロコンベアおよび移載ユニットのXZ側面図である。
【図7】昇降コンベアサポートフレームの上面図である。
【図8】本実施の形態に係る塗布ステージの上面図である。
【図9】図8に示す塗布ステージへの空気の供給および吸引の流路を示すXZ断面図である。
【図10】本発明に係る基板処理装置のYZ断面図である。
【図11】本発明に係る基板処理装置の動作を表したタイムチャートである。
【図12】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図13】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図14】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図15】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図16】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図17】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図18】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図19】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図20】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図21】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図22】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示したXZ断面図である。
【図23】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図24】本発明に係る基板処理装置の処理の流れを部分的に示した上面図である。
【図25】変形例に係る塗布ステージの上面図である。
【図26】ノズルと基板との位置関係による空気流のON/OFF切換を示す部分拡大図である。
【図27】ノズルと基板との位置関係による空気流のON/OFF切換を示す部分拡大図である。
【図28】ノズルを基板上で降下させた場合の状況を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
なお、以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜図中に示す3次元のXYZ直交座標を用いる。ここで、X軸及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向(+Z側が上側、−Z側が下側)を示す。また、便宜上、X軸方向を左右方向(基板搬送に関して+X側が下流側、−X側が上流側)とし、Y軸方向を奥行き方向(+Y側、−Y側)とする。
【0029】
<1. 基板処理装置の概要>
図1は本発明の実施の形態に係る基板処理装置1の概略構成を示した上面図である。図2は、ノズルユニット5およびノズル洗浄待機ユニット9を取り外した場合における本発明の実施の形態に係る基板処理装置1の概略構成を示した上面図である。
【0030】
基板処理装置1は、処理液を吐出するスリットが形成された長尺のノズルと基板とを相対的に移動させて基板の表面に処理液を塗布する装置(スリットコータ)として構成されている。この装置1は、基板の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングする前処理として、処理液としてのレジスト液を基板に塗布するプロセスなどに利用される。スリットコータの塗布対象となる基板は、代表的に液晶表示装置に画面パネルを製造するための角形のガラス基板であるが、半導体基板、フィルム液晶用フレキシブル基板、フォトマスク用基板、カラーフィルター用基板などの他の基板であってもよい。
【0031】
基板処理装置1の機構的構成は、上流ユニットから搬送されてくる水平姿勢の矩形基板Wを受け入れて(+X)方向に搬送する基板搬送装置2と、基板Wに処理液を塗布する塗布装置3と、出口浮上ステージ11とに大別される。この基板処理装置1で処理液を塗布された後の基板Wは、出口浮上ステージ11から移載ロボット36によって減圧乾燥ユニット37、38のいずれかに移載され、塗布された処理液の減圧乾燥を受ける。その後、減圧乾燥ユニット38と上下方向に積層された受け渡し位置39に基板Wが移載され、さらに次の工程のための別装置に払い出される。
【0032】
基板搬送装置2は、上流ユニットから送られてきた基板Wを搬送するコロコンベア30、圧縮空気によって基板Wを浮上させる入口浮上ステージ10、コロコンベア30から入口浮上ステージ10に基板Wを移載する移載ユニット6および基板Wの両側端を吸着保持して下流に搬送する基板搬送チャック8に、大別される。また、基板塗布装置3は、処理液を吐出するスリットノズル55を備えたノズルユニット5、スリットノズル55の洗浄を行うノズル洗浄待機ユニット9、および塗布処理が行われる塗布ステージ4に大別される。
【0033】
この基板処理装置1の全体を通して見たときの基板搬送区間TRは、基板の支持方式の違いによって3つの区間に大別される。
【0034】
(1) 接触支持区間TA:
上流側の接触支持区間TAは、基板Wの下面に接触するコロ配列で基板Wを支持しつつ、それぞれのコロの回転によって基板を搬送する「コロ搬送方式」となっている。この「コロ搬送方式」での基板支持は、基板Wの下面に接触して基板Wを支持する「接触支持形式」の1態様となっている。基板処理装置1の前段側に存在する上流ユニットでの搬送もまたコロ搬送方式となっている。
【0035】
(2) 浮上支持区間TC1,TC2:
後述する支持形式転換区間TBをはさんで接触支持区間TAの下流側にある浮上支持区間TC1、TC2は、圧縮空気によって基板を浮上させることによって基板Wを支持する。一般に、基板を浮上させて基板を支持する形式が「浮上支持形式」であるが、この実施形態では、加圧気体(具体的には圧縮空気)によって浮上支持形式を実現しつつ、基板の両側端を吸着保持して基板を移動させる浮上搬送方式となっている。区間TC1、TC2のうち区間TC1は、処理液の塗布に直接に関係する塗布用搬送区間であり、区間TC2は基板を移載ロボット36に受け渡すための出口区間である。
【0036】
(3) 支持形式転換区間:TB
上記2種類の区間TA,(TC1,TC2)の間に設けられた支持形式転換区間TBは、接触支持区間TAと浮上支持区間TC1、TC2との間で、基板の支持方式を転換するための区間である。基板の支持形式ではなく搬送方式という観点から見れば、支持形式転換区間TBは、接触支持区間TAでの「接触搬送方式」としての「コロ搬送方式」と、浮上支持区間TC1、TC2での「浮上搬送方式」との間で、基板の搬送方式を転換する区間である。
【0037】
図3は、制御部7と、それによって主に制御される各機能部との関係を示す図である。制御部7はコンピュータを用いて構成されており、コンピュータにインストールされたプログラムと、装置各部の特性データ、および各基板の処理手順(レシピ)に従って装置各部を制御し、一連の基板の連続処理が行われる。制御対象となっている各部の機能については、それぞれの関係箇所において後述する。
【0038】
<2. 各部の構成>
<●コロコンベア30>
コロコンベア30は、回転する複数のコロ301の外周面の最上部が基板Wの下面に当接することで、基板Wに推進力を与え、下流方向に移動させる接触式の搬送装置である。駆動源であるモータ35と1本の回転軸302、さらにそれぞれ隣接する回転軸302同士において、タイミングベルト32(図6参照)が掛け渡されているため、同じ回転速度を、同じタイミングで各回転軸302に与えることが可能である。これらの複数のコロ301は、後述する移載ユニット6のコロ601とは異なり、固定高さに設けられて基板の下面に接触するコロ群を構成する。
【0039】
このコロコンベア30において、X軸方向と平行な両端部の一方には、減速センサ(図示せず)が設置されており、この減速センサの設置位置よりもさらに基板Wの搬送方向下流側には、停止センサ(図示せず)が設置されている。搬送される基板Wの先端WE(図12参照)が、減速センサに検知されることにより、コロ301の回転速度は減速され、停止センサが基板Wの先端WEを検知することでコロ301の回転は停止される。このように事前に搬送される基板Wの速度を落とすことで、基板Wに加わる衝撃を最小限にしたうえで、基板Wの停止が可能となる。
【0040】
<●移載ユニット6>
コロコンベア30の下流側には移載ユニット6が設置されている。この移載ユニット6はコロコンベア30と入口浮上ステージ10との間隔空間に設置されており、浮上パッド64と移載昇降コロコンベア60とを備えている。
【0041】
浮上パッド64は、それぞれの上面から基板Wの下面に圧縮気体、例えば空気を噴出して基板Wを浮上させ、基板Wを非接触状態で支持する浮上機構である。浮上パッド64は、空気を噴出するための多数の噴出孔64a(図12参照)を上面に分布させて設けた長方形状の部材で構成されており、その上面が気体噴射面となる。噴出孔64aからは常に空気が噴出されている。この浮上パッド64が、長手方向を基板Wの搬送方向と平行になるように、Y軸方向に沿って所定間隔をおいて複数設置されている。これら複数の浮上パッド64の集合体が基板Wの浮上ステージとして機能するが、各浮上パッド64はそれの構成要素たる単位浮上ステージとなっている。
【0042】
所定間隔をおいて配列された浮上パッド64間の空隙には、移載昇降コロコンベア60の複数のコロ601からなるコロ群が、各コロ601の外周面の最上部における回転方向と、浮上パッド64の長手方向とが平行になる向きで位置しており、コロ601の回転の中心を回転軸602が貫いている。後述する図4および図5に示すように浮上パッド64は回転軸602の上方に存在し、浮上パッド64の長手方向と直交するように、複数のコロ601の回転中心を貫いた回転軸602が略水平に並んでいる。
【0043】
コロ601および回転軸602の駆動については、コロコンベア30と同様に、駆動源であるモータ65と1本の回転軸602、さらにそれぞれ略水平に隣接する回転軸602同士において、タイミングベルト62(図6参照)が掛け渡されており、同じ回転速度を、同じタイミングで移載昇降コロコンベア60を構成する各回転軸602に与えることが可能である。
【0044】
各コロ601の回転軸602の下方には、例えばシリンダのような、昇降機構66(図4参照)が設置されており、この昇降機構66と各コロ601の回転軸602とが部材を介して連結されている。そのため、この昇降機構66の駆動に合わせて、略水平を保ちつつ、移載昇降コロコンベア60はZ軸方向に昇降する。
【0045】
図4は移載昇降コロコンベア60の上昇時における移載ユニット6のYZ断面図である。図5は移載昇降コロコンベア60の下降時における移載ユニット6のYZ断面図である。
【0046】
図4に示すように、上昇時のコロ601の位置は、その外周面の最上部が基板Wの下面と接触する位置であり、噴出孔64aからの空気の噴出により基板Wが浮上する高さよりも高い位置である。また、図5に示すように、下降時は、コロ601の外周面の最上部が浮上パッド64の上面よりも低い位置まで下降する。上昇時においては、コロコンベア30と同様に、回転するコロ601の外周面の最上部が基板Wの下面に当接することで、基板Wに推進力を与え、基板Wを下流方向に移動させる。
【0047】
この移載昇降コロコンベア60が上昇した状態で回転することにより、基板Wはコロコンベア30から入口浮上ステージ10へと搬送される。基板Wがコロコンベア30を通過すると、移載昇降コロコンベア60は浮上パッド64の上面よりも下方に下降する。そのため、移載ユニット6による基板Wの支持は浮上パッド64による浮上力のみとなり、入口浮上ステージ10での浮上力と協働して基板Wを浮上させ、コロなどの下部機構とは非接触状態に移行する。
【0048】
この移載ユニット6の搬送方向(+X方向)の長さすなわち図1における支持形式転換区間TBの長さは、搬送方向における基板Wの長さよりも短くなっている。換言すれば、搬送方向(+X方向)について所定長の基板Wの処理を行う装置1において、移載ユニット6の搬送方向(+X方向)の長さはその所定長よりも短くされている。そのため、基板処理ラインの全長を短縮化することが可能である。
【0049】
図6はコロコンベア30と移載ユニット6との側面図である。図6に示すように、コロコンベア30と移載ユニット6とは、隣接配置されてはいるが連結されてはおらず、完全に別々の装置として空間的に分離されている。このとき、昇降コンベアサポートフレーム69は、側面から見た場合に連結されているように見えるが、実際は図7に示したAの部分の上面図のように、空間的に連結されてはいない。従ってコロコンベア30のコロ駆動に伴う振動が移載ユニット6より下流側に伝達されることはない。その結果、後述する処理液塗布処理において、無用の振動に起因する塗布ムラを防止できる。
【0050】
<●入口浮上ステージ10>
移載ユニット6の下流側には入口浮上ステージ10が設置されている。この入口浮上ステージ10は、多数の空気の噴出孔10aが1枚の板状ステージ面の全面にわたって分布形成されており、圧縮空気の噴出による気体圧力で基板Wを浮上させて、基板Wを、入口浮上ステージ10の上面すなわち気体噴射面に対して非接触状態にすることが可能である。このときの基板Wの浮上高さは10〜500マイクロメートルとなる。入口浮上ステージ10におけるこのような基板浮上原理は、移載ユニット6における浮上パッド64の平行配列と同じである。
【0051】
図12に示すように、基板処理装置1の基板搬送路において、基板Wの搬送方向に対して平行な基板Wの2辺よりもY軸方向に沿って外側の位置(以下、「側方位置」と称する)には、ガイドローラ102p〜102sが設置されている。移載ユニット6の(+Y)側にはガイドローラ102pが、(−Y)側にはガイドローラ102rが、入口浮上ステージ10の(+Y)側にはガイドローラ102qが、(−Y)側にはガイドローラ102sが設置されている。このガイドローラ102p〜102sは、入口浮上ステージ10に基板Wの搬送が行われない場合には退避位置(基板Wの側辺の移動軌跡に相当するラインから離れた位置)にあるが、基板搬送時には、ガイドローラ102p〜102sに取り付けられたガイドローラシリンダ(図示せず)により、搬送方向に平行な基板Wの2辺を、X軸と平行な基板Wの中心線に向けて両側から押し付けるように接触する。ガイドローラ102p〜102sは、回転軸がZ軸と平行に設置されており、これによって移載ユニット6から入口浮上ステージ10に乗り移る際、コロコンベア30および移載昇降コロコンベア60のコロ601の回転によって与えられる推進力を搬送方向にのみ伝達することが可能となるため、基板Wの横ずれを防止できる。
【0052】
入口浮上ステージ10の、X軸方向と平行な両端部の一方には、コロコンベア30と同様に減速センサ(図示せず)と停止センサ(図示せず)とが設置されており、基板Wの搬送速度を減速させたうえで、入口浮上ステージ10における所定の停止位置で基板Wの搬送を停止させることができる。
【0053】
図15に示すように、入口浮上ステージ10の停止センサによって停止した基板Wを整列処理するための整列処理ピン105c〜105fが、移載ユニット6と入口浮上ステージ10との周囲に設置されている。具体的には、X軸方向に対して平行な基板Wの2辺に接する整列処理ピン105g〜105jが、移載ユニット6と入口浮上ステージ10との側方位置において、(+Y)側に105g,105hが、(−Y)側に105i,105jが設置されており、基板WのX軸方向と平行な2辺に接する。搬送方向に対して後端の基板Wの1辺に接する整列処理ピン105e,105fは、コロコンベア30と移載ユニット6との境界に、Y軸方向に沿って設置されている。そして、搬送方向に対して先端の基板Wの1辺に接する整列処理ピン105c,105dは、入口浮上ステージ10上で停止位置にある基板Wの先端の1辺よりもさらに下流側の入口浮上ステージ10に形成された、整列処理ピン105c,105dに合った大きさの凹部内に、設置されており、Y軸方向に沿って設けられている。このY軸方向に平行な、基板Wの先端WEと後端との2辺に接する整列処理ピン105c〜105fについては、通常の基板搬送時には、基板搬送の邪魔にならないように、コロコンベア30と移載ユニット6との境界、そして入口浮上ステージ10に形成された凹部、の下方に退避している。整列処理を行う際には、整列処理ピンシリンダ(図示せず)の動作によって基板Wと当接できる位置まで基板搬送路の上方に伸長し、基板Wと当接する最上端の部分が、基板方向に位置を変えることで、基板WのY軸方向に平行な2辺と接する。このように、合計8カ所に設置された各整列処理ピン105c〜105fが動作することによって、基板Wは正確な停止位置に位置決めされる。
【0054】
<●塗布ステージ4>
入口浮上ステージ10の下流には塗布ステージ4が存在する。この塗布ステージ4上において基板Wはスリットノズル55から処理液としてレジスト液を塗布される。
【0055】
この塗布ステージ4は入口浮上ステージ10と同様に、ステージ表面において多数の小孔が分布形成されている。ただし、入口浮上ステージ10において、小孔は空気の噴出のみが行われていたが、塗布ステージ4においては、空気の噴出だけでなく、空気の吸引を行うための小孔も形成されている。つまり、塗布ステージ4上に存在する多数の小孔(気体孔)は、図8に示すように、圧縮空気の噴出孔40a,41aと吸引孔40b,41bとに分類される。このように空気の噴出と吸引とが行われることで、噴出孔40a,41aからステージ面上に噴出した圧縮空気の空気流は水平方向に広がった後、それらの噴出孔40a,41aに隣接する吸引孔40b,41bから吸引されることになり、浮上した基板Wと塗布ステージ4上面との間における空気層(圧力気体層)での圧力バランスは、より安定的となる。
【0056】
この塗布ステージ4は、2分割されており、図8は、2分割された塗布ステージ4の上面図である。
【0057】
入口浮上ステージ10で停止していた基板Wは、基板搬送チャック8によりその側端部が吸引保持されつつ(+X)方向に搬送されて塗布ステージ4上でいったん停止する。この停止した基板Wの先端WEの直下となる位置がプレート境界Stとされており、このプレート境界Stにおいて塗布ステージ4を構成するプレートは、2分割されている。プレート境界Stよりも(−X)方向に位置するプレートを塗布前ステージ40、(+X)方向に位置するプレートを塗布後ステージ41とする。
【0058】
図9は、塗布前ステージ40および塗布後ステージ41における空気の供給流路と吸引流路とを示している。空気の供給流路は、コンプレッサなどの圧縮機構201で圧縮された空気が、温調ユニット202で所定の温度に達せられた後で、塗布前ステージ40と塗布後ステージ41とのそれぞれの流路に分岐される。温調ユニット202により空気が所定の温度に設定されるのは、外気温に関係なく空気を一定の温度状態に保つためである。分岐後の空気は、それぞれの流路においてフィルタ12,22を通って清浄化され、ニードル弁13,23で圧力を調節された後で流量計14,24、圧力計15,25、エアオペレーションバルブ16,26を通過して、塗布前ステージ40および塗布後ステージ41における噴出孔40aおよび41aから噴出される。空気の供給の開始および停止は、エアオペレーションバルブ16,26の開閉を制御部7(図3)からの指令信号によって行うことで実行される。圧縮空気の圧力制御もまた制御部7が行う。
【0059】
空気の吸引は、吸引手段としてブロワ18,28が用いられており、駆動モータ(図示せず)がインバータ制御されている。塗布前ステージ40および塗布後ステージ41上に設けられた吸引孔40bおよび41bからの吸引流路中には、圧力計17,27が設置されており、吸引流路中の圧力を測定できる。また、吸引流路中にはリリーフ弁19,29が設置されている。これにより、ブロワ18,28の回転によって得られる吸引圧力よりも吸引流路内の圧力が高い場合に、リリーフ弁19,29から吸引流路内の空気を外部に放出することで、吸引流路内の圧力を一定に保つための微調整を行うことができる。
【0060】
空気の供給手段としての圧縮機構201は1台であり、分岐させることでステージ毎に流路を分けることができる。一方、吸引手段としてのブロワ18,28は、各ステージにおけるそれぞれの吸引流路毎に設置されている。
【0061】
このように塗布ステージ4は2つに分かれており、内部の流路が、塗布前ステージ40と塗布後ステージ41とで、分割されているため、空気の噴出と吸引とをステージごとに調節することが可能である。つまり、2つのステージ40,41での圧力気体層(空気流)は個別に制御可能であり、圧縮空気の噴出と吸引とを双方同時に行うこともできるだけでなく、そのうちの一方だけについて一時的に空気の噴出と吸引とを停止させることもできる。
【0062】
たとえば、塗布後ステージ41の空気の噴出および吸引を単独で停止させたい場合、噴出についてはエアオペレーションバルブ26を全閉にし、吸引についてはブロワ28の駆動モータ(図示せず)と接続されたインバータ(図示せず)を停止させることで、そのような単独制御を実現できる。エアオペレーションバルブ26や前記インバータは圧力気体層を形成するための空気流を制御する気体流制御手段として機能する。
【0063】
<●ノズルユニット5>
図10は基板搬送チャック8とノズルユニット5とノズル洗浄待機ユニット9とのYZ断面図である。
【0064】
基板Wの表面にレジスト液を塗布するノズルユニット5は、塗布ステージ4の上方に設置されており、図10に示す架橋構造を持つ。このような架橋構造は、例えばカーボンファイバ補強樹脂を骨材とするノズル支持部と、その両端を支持して昇降させる昇降機構とから構成されている。ノズル支持部にはスリットノズル55が設置されている。このスリットノズル55は、処理液供給機構(図示せず)から供給されるレジスト液を、その下端に形成されているスリット状の吐出口55aから基板Wの上面へ吐出する。この吐出口55aは、塗布ステージ4に対して略水平であり、Y軸方向に沿って延びている。
【0065】
ノズルの昇降機構はノズル支持部の両端に設置されており、主に駆動源であるサーボモータ59と、ボールねじ58とによって構成されている。このサーボモータ59により、ノズル支持部は塗布ステージ4に対して鉛直方向に延びたボールねじ58に沿って昇降駆動されて、スリットノズル55の吐出口55aと基板Wとの間隔は調節される。
【0066】
この昇降機構には、基板搬送路の両端(−Y側、+Y側)で基板と接しない位置にX軸方向に沿ってノズルユニット走行ガイド51が設置してある。
【0067】
2つのノズルユニットリニアモータ(−Y側、+Y側)のそれぞれの固定子は本体装置のY軸方向の側面にX軸方向に沿って設けられており、それぞれの移動子は昇降機構の外側に固設されている。これらの固定子と移動子との間に生じる磁気相互作用によって、ノズルユニット5は、ノズルユニット走行ガイド51に沿って移動する。
【0068】
2つのノズルユニットリニアスケール52についても、本体装置の両端(−Y側、+Y側)に、それぞれ設置されている。このノズルユニットリニアスケール52がノズルユニット5の移動位置を検出するため、制御部7はその検出結果に基づいてノズルユニットリニアモータ53の駆動を制御し、ノズルユニット5のX軸方向における移動、つまりはスリットノズル55による基板表面への走査を制御する。
【0069】
塗布処理を行う際には、スリットノズル55の吐出口55aからレジスト液を吐出した状態で、基板搬送チャック8が基板Wの両端を保持して(+X)軸方向に所定の速度で水平移動させる。
【0070】
基板搬送チャック8は、下面が非接触状態にある基板Wのエッジを保持して基板Wを下流方向に搬送するための装置である。原点状態において基板搬送チャック8は、浮上パッド64と入口浮上ステージ10とに跨って停止した基板Wの、X軸方向に平行な両端部の直下に位置している。つまり、基板Wをチャッキングする位置の内側に、移載ユニット6と入口浮上ステージ10とが位置する構造である。
【0071】
図1などに示すように、基板搬送チャック8は、基板搬送経路に沿って、入口浮上ステージ10、塗布ステージ4および出口浮上ステージ11の両側部のみならず、移載ユニット6の両側部にも延在している。そして、基板搬送チャック8による基板Wの搬送速度と、コロコンベア30の各コロ301の回転による基板搬送速度と、上昇状態にある移載ユニット6の各コロ601の回転による基板搬送速度とは同じ速度であって、所定の基準速度に統一されている。ただし、ここで言う「搬送速度」は、搬送の開始および終了の際の加減速期間を除く、定常速度区間での速度として規定される。これによって、先後の複数の基板を装置1内で同時に移動させる期間において、基板相互の衝突の防止のために基板間の間隔を余分にとらずに済む。
【0072】
図10に示すように基板搬送チャック8は、左右対称(+Y側と−Y側とで対称)構造となっており、左右それぞれで、基板Wを吸着保持するチャック部88と、X軸方向に移動するための搬送チャック走行ガイド81と、その移動のための駆動力を発生させる搬送チャックリニアモータ83と、基板Wの位置を検出するための搬送チャックリニアスケール82とを、備えている。
【0073】
図4、図5に示すように、チャック部88はチャック昇降シリンダ85の動作により昇降させることが可能である。チャック部88が上昇することで、+Y側、−Y側の基板Wの両端部の下面は支持され、吸着保持される。
【0074】
このチャック部88の下方には、基板搬送路の両端(−Y側、+Y側)で、ノズルユニット走行ガイド51よりも内側の位置に、X軸方向に沿って搬送チャック走行ガイド81が設置してある。
【0075】
2つの搬送チャックリニアモータ(−Y側、+Y側)のそれぞれの固定子は基板処理装置1のY軸方向における最も内側の側面にX軸方向に沿って設けられている。それぞれの移動子は基板搬送チャック8に固設されている。これらの固定子と移動子との間に生じる磁気相互作用によって基板搬送チャック8は、搬送チャック走行ガイド81に沿って移動する。
【0076】
2つの搬送チャックリニアスケール82についても、基板処理装置1の両端(−Y側、+Y側)に、それぞれ設置されている。この搬送チャックリニアスケール82が基板搬送チャック8の移動位置を検出するため、制御部7はその検出結果に基づいて基板位置の制御を行う。
【0077】
ノズル洗浄待機ユニット9は、スリットノズル55が基板Wの表面に塗布処理を行った後で、レジスト液で汚れたノズル先端を洗浄し、次の塗布処理に向けてスリットノズル55の吐出口55aの状態を整えるための装置である。そのため、スリットノズル55からのレジスト液の吐出対象となる略円筒状のローラ95を備えている。
【0078】
図10に示すように、このノズル洗浄待機ユニット9は、X軸方向に沿って、基板搬送路よりも外側で、かつノズルユニット5よりも内側の位置に設置されている。ノズル洗浄待機ユニット9においても、左右(−Y側、+Y側)それぞれに、ノズル洗浄待機ユニット走行ガイド91、ノズル洗浄待機ユニットリニアモータ93、そしてノズル洗浄待機ユニットリニアスケール92が備わっている。
【0079】
ノズル洗浄待機ユニット走行ガイド91は、Y軸方向に見た場合、ノズルユニット走行ガイド51と搬送チャック走行ガイド81との間に位置しており、X軸方向に沿うように、基板搬送路の両端(−Y側、+Y側)に設置してある。
【0080】
両端(−Y側、+Y側)に設けられたノズル洗浄待機ユニットの2つのリニアモータ93は、それぞれの固定子が基板処理装置1のY軸方向における内側の側面にX軸方向に沿って設けられている。またそれぞれの移動子はノズル洗浄待機ユニット9に固設されている。これらの固定子と移動子との間に生じる磁気相互作用によってノズル洗浄待機ユニット9は、ノズル洗浄待機ユニット走行ガイド91に沿って移動する。
【0081】
2つのノズル洗浄待機ユニットリニアスケール92についても、基板処理装置1の両端に(−Y側、+Y側)それぞれに設置されている。このノズル洗浄待機ユニットリニアスケール92がノズル洗浄待機ユニット9の移動位置を検出するため、制御部7はその検出結果に基づいてノズル洗浄待機ユニット9の位置について制御が可能である。
【0082】
このノズル洗浄待機ユニット9には主にローラ95、洗浄ユニット99、ローラバット96などが備わっている。この洗浄ユニット99において、塗布処理が行われた後のスリットノズル55の吐出口55aの洗浄が行われる。ローラ95の外周面にスリットノズル55を近接させた状態で吐出口55aから一定のレジスト液を吐出させると、吐出口55aにレジスト液の液だまりが形成される。このように吐出口55aに液だまりが均一に形成されると、その後の塗布処理を高精度に行うことが可能となる。このように、スリットノズル55の吐出口55aは初期化され、(以下、「予備吐出」と称する)次の塗布処理に備える。ローラ95の回転はローラ回転モータ98の駆動により行われる。ローラ95に付着したレジスト液は、ローラ95が回転する際にローラバット96内に貯留された洗浄液に下端が浸漬されることで、除去される。
【0083】
図18中に示すように、ノズルユニット5のスリットノズル55には、ノズル先端を保護するための保護部材57が取り付けられている。これはノズルユニット5が基板表面を走査する際に、基板上に異物が存在した場合、ノズル先端が異物に接触して、スリットノズル55が破損する可能性を抑えるためである。そのため、スリットノズル55が基板上を走査する際に、ノズル先端よりも先に基板Wに進入する位置にプレート状の保護部材57を、プレート面が基板面に対して直交するように、スリットノズル55の先端よりもプレートの下面が下方に位置するように、取り付ける。異物が存在した場合、保護部材57が接触して、振動が発生し、その振動がスリットノズル55に伝達される。スリットノズル55には振動を検出するための振動センサ55Sが設けられており、検出された電気信号が制御部7に入力されることで異物の存在を認識し、スリットノズル55の走査は強制的に停止される。
【0084】
また、スリットノズル55には、水平方向に基板Wとスリットノズル55とを相対的に移動させた際に、保護部材57よりも先に基板Wの上方領域に進入する位置に、基板Wの浮上高さを非接触で検知するための浮上高さ検知センサ58が設置されている。この浮上高さ検知センサ58によって、浮上した基板Wと、塗布ステージ4の上面との離間距離を測定することが可能であり、その検出値に伴って、制御部7を介して、スリットノズル55が下降する位置を調整することができる。検知センサ58としては、光学式センサや、超音波式センサなどを用いることができる。
【0085】
図8および図9で説明したように、塗布ステージ4は2分割され、それぞれのステージで空気の供給流路と吸引流路とは個別に調節できる。そのため、基板Wの先端WEが塗布前ステージ40の直上に移動してきた段階では、この塗布前ステージ40での空気の噴出・吸引は維持させつつ、その段階では基板Wがまだ上方に到達していない領域となっている塗布後ステージ41については、その塗布後ステージ41での空気の噴出と吸引とを停止させることができる。そのため、ノズル直下に基板Wが存在しない状態で、塗布開始高さまでスリットノズル55を下降させても、その領域(塗布後ステージ41の存在領域)における空気の噴出と吸引とによりスリットノズル55の吐出口55aの処理液が乾燥することを防止できる。このため、ノズル先端における処理液が部分的に乾燥してしまうことによる処理液の吐出不良が防止され、基板Wの塗布不良を防ぐことができる。
【0086】
また、スリットノズル55が下降してから、基板Wに向けて水平方向に走査するようにできるため、スリットノズル55が塗布を開始する基板の先端WEの実際の正確な浮上高さを、最初に基板の先端WEに進入するノズル高さ検知センサ58が検出できる。そのため、ノズルユニット5はスリットノズル55の下降高さを微調整しつつ、スリットノズル55の吐出口55aを、実際に塗布処理を行う際のノズル先端と基板表面との所定間隔に対応する高さにして、基板の先端WEに進入させ、ノズル先端を塗布開始位置SPに到達させることが可能である。この塗布開始位置SPは、基板の先端WEよりも若干だけ基板Wの中央側に寄った位置とされるのが通例であるが、基板の先端WEとほぼ同じ位置であってもよい。また、基板Wの端部からスリットノズル55は走査を開始できるため、基板全面の異物について、保護部材57と振動センサ55Sとによる異物の検知が可能となる。
【0087】
塗布ステージ4の下流には出口浮上ステージ11が設置されている。この出口浮上ステージ11は入口浮上ステージ10と同様に気体を噴出させるための噴出孔11aが形成されており、さらにリフトピン115が噴出孔11aの合間を縫って所定間隔をおいて、基板Wの全面に対向するように配置されている。リフトピン115は出口浮上ステージ11の下方に設置されたリフトピン昇降機構(図示せず)によって、鉛直方向(Z軸方向)に昇降駆動される。下降時はリフトピン115の先端が出口浮上ステージ11の上面以下に、上昇時はリフトピン115の先端が基板Wを移載ロボット36に受け渡す位置まで上昇する。リフトピン115が上昇することで基板Wの下面は支持され、持ち上げられるので、基板Wは出口浮上ステージ11の上面から引きはがされる。出口浮上ステージ11の下流に設置された移載ロボット36がリフトピン115間に移載フォークを差し込み、リフトピン115からの基板Wの受け渡しが行われる。
【0088】
<3. 基板処理装置の動作>
次に、基板処理装置1の基本的な動作の流れについて説明する。
【0089】
図11は、基板Wの処理状況に応じた主な機能部の動作についてのタイムチャートである。このタイムチャートは、基板Wが連続処理されている状況において、各装置の機能部の連動の様子を表している。
【0090】
タイムチャートにおけるステップは、(A)から(E)までの5ステップに分かれている。
【0091】
●第1段階 =(A)から(B):
・基板W0については、塗布開始位置SPに停止し、塗布処理を開始するまでの工程;
・次処理予定の基板Wについては、コロコンベア30の停止位置に停止している状態から移載ユニット6に搬送されはじめるまでの工程。
【0092】
●第2段階 =(B)から(C):
・基板W0については、塗布処理が行われているときの工程;
・基板Wについては、入口浮上ステージ10に乗り移るまでの工程。
【0093】
●第3段階 =(C)から(D):
・基板W0については、塗布処理が終わって、出口浮上ステージ11上で停止するまでの工程;
・基板Wについては、整列処理が行われる工程。
【0094】
●第4段階 =(D)から(E):
・基板W0については、下流側の装置に搬送される工程;
・基板Wについては、整列処理されたまま、塗布処理を行う準備工程。
【0095】
●第5段階 =(E)から(A):
・基板Wについては、塗布開始位置SPまで移動する工程に相当;
・コロコンベア30では、次の処理が行われる基板が停止位置まで搬入される。
【0096】
これらの基板処理装置1の動作を具体的に以下で説明するが、理解を容易にする目的で、基板Wが基板処理装置1に搬入され、搬出されるまでを説明するため、図11のステップ(A)から(E)を2回繰り返す。1回目のサイクルでは図11で右上がりのハッチングを付した基板Wbが着目基板Wに相当し、2回目のサイクルでは、右下がりのハッチングを付した基板Waが着目基板Wに相当する。
【0097】
<3−1. 1回目:第1段階(A)〜(B)>
図12は基板Wがコロコンベア30で搬送されている様子を示した上面図である。ただし、この図12のほか、図13、図15、図17、図23、図24では、図示の便宜上、着目する基板Wよりも先行する基板は描かれていない。
【0098】
図11および図12において、上流ユニットにて処理が行われた基板Wは、下流工程へ搬送されるため、固定式のコロコンベア30に移される。このコロコンベア30の回転により、基板Wの下面とコロの外周面の最上部とが接するため、基板Wは(+X)方向に推進力が与えられ、下流方向に搬送される。コロコンベア30のX軸方向と平行な両端部の一方には、減速センサと停止センサとが、設置されている。搬送される基板Wの先端WEが減速センサに検知されると、コロコンベア30の回転速度は減速され、基板Wの搬送速度は遅くなる。そして基板Wの先端WEが停止センサに検知されると、コロコンベア30の回転は止まり、基板Wの搬送が停止される。
【0099】
ステップ(B)の直前にコロコンベア30の回転が再開される。このとき、移載昇降コロコンベア60は上昇状態になっており、ステップ(B)では、コロコンベア30と移載昇降コロコンベア60とは、基板Wを搬送するため、同時に回転駆動を行う。図11において、1回目のサイクルでのこの段階でのノズル関係の動作は、先行する基板Waへの処理液の塗布に関するものであるため、着目基板Wについての処理には関係しない。
【0100】
<3−2. 1回目:第2段階(B)〜(C)>
図13は基板Wが移載ユニット6を通って入口浮上ステージ10に搬入される様子を示した上面図である。図14は基板Wが移載ユニット6を通って入口浮上ステージ10に搬入される様子を示したXZ断面図である。
【0101】
図11に示すように、移載ユニット6の浮上パッド64から空気は常に噴出された状態であり、ステップ(B)〜(C)の期間では、移載昇降コロコンベア60は上昇位置にある。コロコンベア30と移載昇降コロコンベア60とは、同じ回転速度で回転し、移載ユニット6の下流に設置された入口浮上ステージ10に基板Wを搬送する。図11には示されていないが、入口浮上ステージ10の空気も常に噴出された状態にある。したがって、基板Wのうち入口浮上ステージ10に進入した部分は入口浮上ステージ10上で浮上した状態で進行する。
【0102】
この際に、移載ユニット6と入口浮上ステージ10との側方に設置されていたガイドローラ102p〜102sが進出し、基板WのX軸方向に平行な2辺に当接する。ガイドローラ102p〜102sにより基板WのX軸方向に平行な2辺は押さえられるため、基板Wは、基板搬送経路を横切る方向に関して位置が規制され、その方向にずれることなく下流方向に搬送される。このようにガイドローラ102p〜102sが存在することによって、コロコンベア30と移載昇降コロコンベア60とにより、基板Wに伝達される推進力は、すべて下流方向に向きを揃えられ、基板Wがずれることを防ぐ。
【0103】
このとき、コロコンベア30と、移載ユニット6とは、別々の装置として完全に切り離されている(すなわち空間的に非接触である)ため、コロコンベア30の振動が移載ユニット6に伝達されることはない。このため、無用の振動によって先行する基板の塗布処理に悪影響を与えることが防止される。
【0104】
入口浮上ステージ10には、コロコンベア30と同様に減速センサと停止センサとが、設置されている。搬送される基板Wの先端WEが、減速センサに検知されることにより、移載ユニット6の移載昇降コロコンベア60はその回転の速度を落とす。
【0105】
搬送される基板Wの後端がコロコンベア30の停止センサを通過した段階で、コロコンベア30の駆動は停止される。そして搬送される基板Wの先端WEが、入口浮上ステージ10の停止センサに検知されるまで、基板Wは移載昇降コロコンベア60の駆動のみによって、入口浮上ステージ10に搬送される。入口浮上ステージ10の停止センサに検知されることで、移載昇降コロコンベア60の回転は停止される。
【0106】
なお、1回目のサイクルでのステップ(B)〜(D)における基板搬送チャック8の動きは先行する基板の搬送のためのものであるため、この段階での説明は省略する。
【0107】
<3−3. 1回目:第3段階(C)〜(D)>
図15は、基板Wが移載ユニット6に乗り移って停止している様子を示した上面図である。図16は移載ユニット6が下降して基板Wが非接触状態となった様子を示したXZ断面図である。
【0108】
搬送される基板Wの後端が移載ユニット6に完全に乗り移り、基板Wが移載ユニット6と入口浮上ステージ10とに跨った状態で停止すると、上昇していた移載昇降コロコンベア60は、コロ601の外周面の最上部が浮上パッド64の上面よりも下方の位置まで下降する。このようにして基板Wは全面が、浮上パッド64と入口浮上ステージ10とによる空気の噴出によって浮上し、浮上パッド64や入口浮上ステージ10とは非接触状態になる。
【0109】
移載ユニット6が基板Wの長さより短いため、移載ユニット6上の基板Wにおいて、移載昇降コロコンベア60の上方と、浮上パッド64の上方とで、気流による温度低下の程度が異なることによる基板Wの温度の不均一性は低くなる。そのため、基板Wの温度分布(温度の不均一性)に起因した塗布ムラを抑制することができる。
【0110】
非接触状態で停止した基板Wの、搬送方向における前後、そして左右には、所定の停止位置に位置決めを行うための整列処理ピン105c〜105jが設置されている。基板Wの側方位置で、(+Y)側に設置された整列処理ピン105g,105h、そして(−Y)側に設置された整列処理ピン105i,105jは基板Wに向けて整列処理ピンシリンダ(図示せず)により水平方向に移動して、基板WのX軸方向と平行な2辺に接する。前後の位置決めに用いられる整列処理ピン105c〜105fは、基板Wの搬送路よりも下方に待機しているので、整列処理ピン昇降シリンダの上昇駆動によって、ステージ上面の基板Wと当接する位置まで上昇し、さらに、基板Wと当接する最上端の部分が、基板方向に位置を変えることで、基板Wの先端WEと後端との2辺に接する。このようにして各整列処理ピン105c〜105jが動作することにより、基板Wは正確な停止位置に位置決めが行われる。
【0111】
<3−4. 1回目:第4段階(D)〜(E)>
基板Wは整列処理ピン105c〜105jによって整列処理が行われている。その間に、先に塗布処理が行われていた基板W0(図11の基板Wa)を搬送した基板搬送チャック8において、チャック部88の吸着が停止され、チャック部88を基板W0のエッジよりも低い高さに下降させた状態で、基板Wの搬送を行うために初期位置に向けて、(−X)方向に移動する。図11の基板搬送チャック8の動作において(−)記号が付された期間がそれに相当する。なお、基板搬送チャック8の動作のステップ(C)などにおいて(+)記号が付された期間は、基板搬送チャック8の(−X)方向への移動期間である。
【0112】
基板W0の塗布処理が行われたスリットノズル55は、ノズルの洗浄と予備吐出とを行うために、(+X)方向に水平移動し、塗布後ステージ41の上方へ移動する。
【0113】
<3−5. 1回目:第5段階(E)〜(A)>
図17は基板Wが塗布開始位置SPで停止し、次処理予定の基板W1がコロコンベア30の停止位置にある様子を示した上面図である。
【0114】
(−X)方向に移動した基板搬送チャック8は、整列処理ピン105c〜105fにより、正確に位置決めされて、停止していた基板Wの、搬送方向と平行な基板Wの両端の2辺の下方の位置で、停止する。そして、基板搬送チャック8は、チャック昇降シリンダ85の動作によって、チャック部88を上昇させ、基板Wの下面の両端に吸着する。図11中に示すように、この吸着のための吸引は基板Wに当たる前に開始される。これによって基板Wはチャック部88に保持され、基板搬送チャック8は(+X)方向へ移動し、基板Wは浮上したまま塗布ステージ4に搬送される。
【0115】
塗布ステージ4は、当該ステージを構成するプレートが2枚に分割されていることにより、塗布前ステージ40と塗布後ステージ41とに分かれている。基板搬送チャック8によって基板Wは、その先端WEがその2つのプレートの境界線Stの上方に位置するまで搬送される。
【0116】
図18はスリットノズル55に予備吐出を行っている様子を示したXZ断面図である。図19はノズル洗浄待機ユニット9が退避位置に移動する様子を示したXZ断面図である。
【0117】
ノズルユニット5は、スリットノズル55が塗布後ステージ41の上方に存在する位置で、停止している。ノズル洗浄待機ユニット9がスリットノズル55の位置に合わせて移動し、スリットノズル55の吐出口55aの洗浄および予備吐出が行われる。予備吐出により、スリットノズル55の先端が初期化されると、ノズル洗浄待機ユニット9は(−X)方向に向けて移動し、退避する。
【0118】
また、基板Wを塗布開始位置SPに移動させるための基板搬送チャック8の移動と同期してコロコンベア30も駆動され、図15に示す上流ユニットにおいて前処理が行われた次処理予定の基板W1を、コロコンベア30上の停止位置まで搬送する。
【0119】
<3−6. 2回目:第1段階(A)〜(B)>
図20はスリットノズル55が塗布開始高さに下降する様子を示したXZ断面図である。図21はスリットノズル55が塗布開始位置SPに水平移動する様子を示したXZ断面図である。また、図21の部分拡大図が図26に示されており、スリットノズル55が塗布開始位置SPに到達し、塗布後ステージ41の圧縮空気の噴出と吸引を開始した場合の部分拡大図に相当する図が、図27に示されている。2回目のサイクルとして見た図11においては、先行している基板Waが、ここで着目している基板Wに相当する。
【0120】
ノズル洗浄待機ユニット9が退避することで、スリットノズル55と、塗布後ステージ41との間には空間ができる。この空間をスリットノズル55は設定された下降位置、つまり塗布開始高さまで下降する。塗布開始高さまで下降したスリットノズル55は、基板Wの先端WEの近傍の塗布開始位置SPまで(−X)方向に移動する。
【0121】
塗布開始位置SPにスリットノズル55が移動する際に、最初にノズル高さ検知センサ58が基板Wの先端WEである塗布開始位置SPに進入する。ノズル高さ検知センサ58によって塗布開始位置SPの実際の浮上高さを検出することができるため、スリットノズル55を実際の塗布高さにするための微調整を行いつつ、スリットノズル55は(−X)方向に移動する。続いて、プレート形状の保護部材57が基板の先端WEから進入し、基板表面上を走査する。基板の先端WEから走査していくため、基板全面の異物を検知することが可能である。このときのスリットノズル55の高さは、実際に塗布を行う際の高さと同等の位置である。スリットノズル55が塗布開始位置SPに到達すると、スリットノズル55の(−X)方向への移動は停止する。
【0122】
スリットノズル55が下降を始めてから、塗布開始位置SPに到達するまでの期間は、それまで周囲の温度を一定に保つため行われていた塗布後ステージ41の噴出孔41aからの圧縮空気の噴出と吸引孔41bからの空気の吸引とは一時停止される。それによって空気流(気体流)の形成(したがって圧力気体層の形成)も一時停止される。
【0123】
すなわち、スリットノズル55が待機位置から下降を開始して下降を完了するまでの下降期間と、下降が完了した後に処理液を吐出していない状態のままでスリットノズル55が水平移動を開始して基板Wの塗布開始位置SPにスリットノズル55が到達するまでの水平移動期間とのいずれもが、処理液を吐出せずにスリットノズル55が移動する「空走期間」に属し、この空走期間のうち少なくとも一部の期間で、スリットノズル55の直下領域に相当する塗布後ステージ41での空気流の形成(圧力空気層の形成)を停止する(OFF状態にする)。
【0124】
好ましくは、前記下降期間のうちスリットノズル55の下降が完了するまでに空気の噴出および吸引をOFF状態に移行させ、スリットノズル55が水平移動して基板Wの塗布開始位置SPに到達するまでは、空気流のOFF状態を継続する。
【0125】
さらに好ましくは、前記下降期間と前記水平移動期間との双方を空気流の一時停止期間とする。
【0126】
このような空気流の一時停止を行うのは、基板存在領域を外れた領域のうち少なくともノズルの直下の領域を含む範囲となる。
【0127】
このようにすることによって、スリットノズル55が下降して、塗布後ステージ41に接近するときに、空気の噴出と吸引との影響により、スリットノズル55の吐出口55aの処理液が乾燥することを防ぐことができる。従って、実際に基板表面に塗布処理を行った際に、スジ状のムラや吐出不良の発生を抑制できる。
【0128】
図28に示すように、仮に、スリットノズル55を上方の待機位置から基板の先端WEの直上で下降させた場合には、塗布後ステージ41による空気流の形成を一時停止しなくても、スリットノズル55の先端での処理液の乾燥は生じない。しかしながら、この場合には基板Wの先端WE付近の直上を保護部材57が走査しないため、先端WE付近に異物があっても、保護部材57によってそれを排除あるいは検出できない。そのため、異物によってスリットノズル55の先端が汚損する可能性がある。したがって、スリットノズル55を基板Wの先端WEから水平方向に離れた位置で降下させてから基板Wの先端WEに進入させることが望ましいが、それにあたって、上記のように塗布後ステージ41での空気流を一時停止することが特に有効となる。
【0129】
その一方で、前記下降期間よりも前の期間では、空気流をON状態にしておく。それは、空気の噴出の停止時間があまり長くなると環境温度が変動して基板Wの温度が変化し、それに伴って基板Wの熱変形や塗布時のムラにつながる可能性があるためである。したがって、好ましくは、空気流の形成の一時的な停止状態の継続時間は、基板の温度変動が所定の許容値以下となるような時間としてあらかじめ実験的に決定しておくことによって、基板側の温度変動に起因する塗布不良を防止できる。
【0130】
スリットノズル55が塗布後ステージ41に近いほど、塗布後ステージ41から噴出した空気流の影響を受けやすいことを考えると、上記空走期間の一部だけで空気流の一時停止をする場合には、上記下降期間と水平移動期間とのうち水平移動期間を空気流の一時停止期間に含めることが好ましい。
【0131】
スリットノズル55が塗布開始位置SPに到達すると、それまで停止すなわちOFF状態とされていた塗布後ステージ41の空気の噴出および吸引が再開されてON状態となる。このため、塗布ステージ4のすべての空気孔を用いた圧力空気層の形成が再び行われるようになり、この状態で、スリットノズル55による塗布開始位置SPからの処理液の塗布が開始される。また、基板搬送チャック8が塗布後ステージ41側(+X方向)に移動を開始し、それによって、スリットノズル55に対する基板Wの相対移動が始まる。したがって、実際の処理液の塗布動作時には塗布ステージ4の全域で圧力空気層が形成されており、基板Wの浮上支持を安定に行う。
【0132】
また、基板搬送チャック8の移動開始と同時に、次処理予定の基板W1を搬送するために、コロコンベア30と上昇位置である移載昇降コロコンベア60とは駆動を開始する。
【0133】
<3−7. 2回目:第2段階(B)〜(C)>
図22は塗布処理が行われている様子を示したXZ断面図である。図23は塗布処理が行われている様子を示した上面図である。
【0134】
図22に示すように、基板Wの両端をチャック部88が保持した状態で、基板搬送チャック8は所定の速度で下流方向に向けて移動される。スリットノズル55は、塗布開始位置SPについてからは固定された状態で、吐出口55aからレジスト液を供給し続け、基板Wが浮上状態で下流方向に移動することで、基板Wの表面に塗布処理を行う。すなわち、スリットノズル55が下降して塗布開始位置SPに至るまでは基板Wは浮上して停止しており、スリットノズル55が(−X)方向に移動するが、スリットノズル55が塗布開始位置SPに至った後には、基板Wが(+X)方向に移動し、それによってスリットノズル55と基板Wとの相対移動による塗布走査が開始される。
【0135】
このとき、次処理予定の基板W1は、コロコンベア30から移載ユニット6を通って、入口浮上ステージ10に搬送される。そして、入口浮上ステージ10と移載ユニット6とに跨って停止する。
【0136】
<3−8. 2回目:第3段階(C)〜(D)>
次処理予定の基板W1は、移載昇降コロコンベア60が下降して、全面が浮上した状態となる。そして、整列処理ピン105c〜105jによって整列処理が行われる。
【0137】
基板Wはスリットノズル55直下を通り抜け、塗布処理が終了すると、基板Wは基板搬送チャック8の駆動により塗布後ステージ41を通過して、出口浮上ステージ11へと搬送される。
【0138】
<3−9. 2回目:第4段階(D)〜(E)>
塗布処理が行われた後、スリットノズル55は最初に下降した位置まで(+X)方向に水平移動し、そこから元のノズル高さに上昇する。そして、退避していたノズル洗浄待機ユニット9が(+X)方向に移動して、次の塗布処理に向けてスリットノズル55の洗浄および予備吐出が行われる。
【0139】
図24は基板Wが出口浮上ステージ11に搬送される様子を示した上面図である。基板Wが出口浮上ステージ11に搬送されると、基板搬送チャック8のチャック昇降シリンダ85の動作により、チャック部88は下降位置に下げられ、基板Wの両端の吸着保持は解かれる。そして、チャック部88が下降位置にある状態で基板搬送チャック8は次処理予定の基板W1の搬送を行うため、初期位置へ移動する。基板Wと、次処理予定の基板W1との搬送間隔が密であるため、次処理予定の基板W1はすでに全面が浮上している状態で、基板搬送チャック8を待つことになる。そのため、チャック部88を上昇させた状態では、浮上状態にある次処理予定の基板W1に当たるため、チャック部88を下降させて、基板搬送チャック8は初期位置に戻る。
【0140】
出口浮上ステージ11上に設けられた空気の噴出孔11aにより、非接触状態にある基板Wに対して、所定間隔をおいて配置されたリフトピン115群が上昇し、基板Wの下面を支持しつつ持ち上げる。下流に設置された移載ロボット36の移載フォークがリフトピン115の合間を進入して基板Wを受け取り、減圧乾燥ユニット37に移載する。移載ロボット36は減圧乾燥ユニット37、そして減圧乾燥ユニット38、減圧乾燥ユニット38と積層構造である下流方向への受け渡し位置39等へ基板Wを移載する。
【0141】
このあと、基板W1は基板Wと同じように塗布処理が行われて、下流方向へ搬送される。以上が、基板処理装置1において行われる処理の流れである。
【0142】
<4. 変形例>
上記実施の形態においては、基板Wが移載ユニット6を通過してから次処理予定の基板W1が搬入されていたが、このような形態に限られることはない。
【0143】
基板搬送チャック8によって搬送され、塗布処理が行われている基板Wの後端が、移載ユニット6を通過していない状態で、次処理予定の基板W1の搬送が行われても構わない。この場合は、本来ならば上昇しているはずの移載昇降コロコンベア60は、塗布処理が行われている基板Wの後端がまだ残っているため、下降した状態で次処理予定の基板W1を移載ユニット6に受け入れなくてはならない。
【0144】
そこで、塗布処理されている基板Wの後端が移載ユニット6を通過した段階で、コロコンベア30の回転と同じ回転速度で、移載昇降コロコンベア60のコロ601は回転しながら、上昇される。最初はコロコンベア30の回転による推進力だけで移載ユニット6へと搬送される次処理予定の基板W1は、途中から上昇してきた移載昇降コロコンベア60のコロ601によって、下面を支持され、コロ601の回転により推進力を与えられる。そして、入口浮上ステージ10の停止センサが検知する位置まで基板W1の搬送が行われる。
【0145】
このように、コロコンベア30のコロ301の回転と、移載昇降コロコンベア60のコロ601の回転、そして、基板搬送チャック8の搬送スピードとを同等に設定することができるため、基板Wの塗布動作が行われている間に、次処理予定の基板W1を移載ユニット6に搬入させることができる。これによって、基板Wと基板W1との搬送間隔をより密にすることができるため、処理にかかる時間をより短くすることが可能となる。
【0146】
また、上記実施の形態においては、塗布ステージ4のプレートは2分割されたものであったが、これに限られるものではない。図25は3分割されたプレートで構成された塗布ステージ130である。このときそれぞれのプレートを塗布前ステージ110、本塗布ステージ118、塗布後ステージ120とする。
【0147】
本塗布ステージ118においては、ステージ面に設けられた気体孔として、空気の噴出孔118aと吸引孔118bとが密になった構成となっている。それに対して、両端の塗布前ステージ110と塗布後ステージ120とにおいては、本塗布ステージ118よりも噴出孔110aと吸引孔110b、噴出孔120aと吸引孔120bの密度が低く、孔間の距離が長い構成である。
【0148】
この場合、本塗布ステージ118の区域境界Scの位置に搬送方向における基板Wの先端WEが位置するように、基板Wは停止する。区域境界Scは異なるプレートの境界ではなく、1枚のプレートの略中央に規定された概念的な区域境界である。スリットノズル55は本塗布ステージ118の区域境界Scよりも下流側の塗布後ステージ120上方に位置している。このとき、プレートは3分割されているが、内部の空気の流路は、区域境界Scよりも上流側、下流側とで2系統に分離された構造となっている。
【0149】
上記実施の形態と同様に、スリットノズル55は停止位置から塗布開始高さまで下降し、そこから(−X)方向に水平移動する。この下降開始から、スリットノズル55が基板W上の塗布開始位置に到達するまでは、区域境界Scより下流側に位置する噴出孔118a,120aおよび吸引孔115b,120bからの、空気の噴出および吸引は一時的に停止される。このようにして、上記実施の形態と同様に、下降の間にスリットノズル55の吐出口55aが乾燥することを防ぐことができる。
【0150】
プレートについては、噴出孔と吸引孔との密度を高くしたほうが、より基板Wを安定的に浮上させることが可能であるが、加工にコストがかかる。この場合、特に基板Wを安定的に浮上させておきたいのは、搬送される基板Wに塗布処理を行う領域である。従って、この領域の下方に位置する本塗布ステージ118のみに噴出孔118aと吸引孔118bとの密度の高い、精密なプレートを採用することで、必要な効果は十分に得ることが可能である。このようにプレートを3分割して使い分けることで、両端の塗布前ステージ110と、塗布後ステージ120とにおいては、本塗布ステージ118のプレートよりも空気の噴出孔110a,120aおよび吸引孔110b,120bの密度を低くした安価なプレートを使用することができる。
【0151】
塗布ステージ130は、プレートが3分割された構成であったが、プレートは何分割されていても構わず、一般には、複数枚に分割しておくことができる。内部の空気の流路も、スリットノズル55が上昇位置から下降し、基板W上の塗布開始位置に到達するまで、搬送方向における基板Wの先端の位置よりも下流側の領域の空気の噴出及び吸引が一時的に停止できるのであれば、何流路に分かれていても構わない。
【0152】
また、内部の空気の流路が分かれていて独立にON/OFF制御できるように構成していれば、プレートは物理的に分割されていなくても構わない。
【0153】
一般に表現すれば、それぞれに気体孔が形成された複数の気体流形成領域が、別プレートまたは1つのプレートの別部分として隣接配置されていて、それら複数の気体流形成領域のそれぞれに対応して気体流路の開閉機構が設けられた構成とする。そして、前記開閉機構を用いた気体流の形成の一時的な停止を、複数の気体流形成領域のうち、ノズルの直下に存在するとともにその上には基板が存在しない領域についてのみ行うことによって上記実施形態と同様の結果を得ることができる。
【0154】
また、上記の実施形態中では、スリットノズル55が下降し、(−X)方向に移動することで、基板Wの塗布開始位置SPに到達させているが、スリットノズル55が下降し、基板Wが(+X)方向に移動することで塗布開始位置SPにスリットノズル55の吐出口55aを到達させる機構であっても構わない。この場合、スリットノズル55が下降する間は、上方に基板Wが存在しない領域の塗布ステージ4からの空気の噴出および吸引は停止させる。そして、基板Wがスリットノズル55に向かって(+X)方向に移動し、スリットノズル55の吐出口55aが塗布開始位置SPに到達した段階で、空気の噴出と吸引とを再開させる。このようにして、スリットノズル55の吐出口55aの乾燥を防ぐ。
【0155】
また、基板Wを浮上させるための圧縮気体として空気を用いることが典型的であるが、酸化を嫌うプロセスでの基板搬送には不活性ガスとして窒素ガスなどを圧縮して用いることもできる。
【0156】
また、上記実施形態の基板処理装置においてはコロ搬送機構で受け入れた基板を浮上搬送機構に受け渡す際に移載ユニットを用いているが、浮上搬送機構で受け入れた基板を、移載ユニット(支持形式転換手段)によってコロ搬送機構側に受け渡す形態の装置にもこの発明は適用できる。
【0157】
さらに、本実施形態においては、ノズル洗浄待機ユニット9はX軸方向に移動可能な機構であるが、移動ができなくても構わない。つまり、ノズルユニット5が移動する場合であればノズル洗浄待機ユニット9が固定されていても構わない。この場合、ノズル洗浄待機ユニット9のノズル洗浄待機ユニットリニアスケール92、ノズル洗浄待機ユニットリニアモータ93は設置されていない構造となる。ノズル洗浄待機ユニット9を手動で移動できるようにノズル洗浄待機ユニット走行ガイド91だけは設置されており、搬送中は動かないようにロック機構によって固定される。
【符号の説明】
【0158】
1 基板処理装置
2 基板搬送装置
3 基板塗布装置
4 塗布ステージ
5 ノズルユニット
6 移載ユニット
7 制御部
8 基板搬送チャック
9 ノズル洗浄待機ユニット
10 入口浮上ステージ
11 出口浮上ステージ
16,26 エアオペレーションバルブ
18,28 ブロワ
40 塗布前ステージ
40a,41a 噴出孔
40b,41b 吸引孔
41 塗布後ステージ
55 スリットノズル
57 保護部材
55S 振動センサ
60 移載昇降コロコンベア
64 浮上パッド
W,W0,W1,Wa,Wb 基板
WE 基板の先端
SP 塗布開始位置
St ステージ境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を塗布するための基板塗布装置であって、
ステージ面に設けた気体孔を通る気体流により前記ステージ面上に圧力気体層を形成し、前記圧力気体層によって基板を浮上させる浮上ステージと、
前記基板に対して相対的に移動させるノズルから所定の処理液を前記基板上に吐出することにより、前記基板上に前記処理液を塗布する処理液供給手段と、
前記気体流の形成状態と停止状態とを切り替える気体流制御手段と、
を備え、
前記相対的な移動と並行して行う前記処理液の吐出の前に、前記ノズルからの前記処理液の吐出を止めた状態で、前記ノズルを、前記浮上ステージ上の基板存在領域から外れた位置から、前記基板存在領域まで相対的に移動させる空走期間が設定されており、
前記気体流制御手段は、前記空走期間のうち少なくとも一部の期間においては、前記ノズルの直下領域での前記気体流の形成を一時的に停止することを特徴とする基板塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載された基板塗布装置であって、
前記ノズルを、前記浮上ステージの上方空間で昇降させる昇降手段、
をさらに備え、
前記空走期間は、前記ノズルが、所定の待機高さから下降する下降期間と、前記ノズルが下降状態になってから水平方向に前記ノズルを前記基板に対して相対的に接近させる水平移動期間とを有しており、
前記基板上への前記処理液の塗布は、前記下降状態において行われるものであり、
前記空走期間のうち少なくとも前記水平移動期間においては、前記気体流の形成を停止させておくことを特徴とする基板塗布装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された基板塗布装置であって、
前記浮上ステージにおいては、それぞれに気体孔が形成された複数の気体流形成領域が、別プレートまたは1つのプレートの別部分として隣接配置されており、
前記複数の気体流形成領域のそれぞれに対応して気体流路の開閉機構が設けられており、
前記気体流制御手段は、
前記開閉機構を用いた前記気体流の形成の一時的な停止を、前記複数の気体流形成領域のうち、前記ノズルの直下に存在するとともにその上には前記基板が存在しない領域についてのみ行うことを特徴とする基板塗布装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された基板塗布装置であって、
前記気体流の一時的な停止の後、前記基板の塗布開始位置から前記ノズルが前記処理液の吐出を開始するまでに、前記浮上ステージのすべての気体孔を用いた気体流の形成を再開することを特徴とする基板塗布装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された基板塗布装置であって、
前記基板の浮上高さを測定する浮上高さ測定手段、
をさらに備えるとともに、
前記処理液供給手段は、
前記ノズルのうち、前記相対的な移動において前方に相当する側に取付けられて前記ノズルの先端を保護する保護部材をさらに備え、
前記浮上高さ測定手段が前記基板端部の塗布開始位置の浮上高さを検出しつつ前記ノズルを下降させてから、前記ノズルと前記基板とを相対的に移動させることにより、前記保護部材が前記ノズルよりも先に基板端部に進入することを特徴とする基板塗布装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された基板塗布装置であって、
前記気体流の形成の一時的な停止による前記基板の温度変動の許容値があらかじめ決定されており、
前記気体流の形成の前記一時的な停止状態の継続時間は、前記温度変動が前記許容値以下となる時間として決定されていることを特徴とする基板塗布装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された基板塗布装置であって、
前記浮上ステージには、前記気体を噴出する複数の噴出孔と、前記気体を吸引する複数の吸引孔とが混在して形成されており、
前記気体流は、前記複数の噴出孔から噴出した圧力気体が前記複数の吸引孔から吸引される過程において発生しており、
前記気体流制御手段は、前記複数の噴出孔への気体供給経路の開閉と、前記複数の吸引孔からの気体吸引経路の開閉とによって、前記気体流の形成状態と停止状態とを切り替えることを特徴とする基板塗布装置。
【請求項8】
所定のノズルから吐出した処理液を基板に塗布するための方法であって、
ステージ面に設けた気体孔を通る気体流により前記ステージ面上に圧力気体層を形成し、前記圧力気体層によって基板を浮上させる第1工程と、
前記ステージ面のうち、基板存在領域を外れており、かつノズルの直下となっている特定領域について前記空気流を一時的に停止する工程と、
所定の待機高さから前記特定領域に向けてノズルを降下させる工程と、
前記ノズルと前記基板とを相対的に移動させて前記ノズルを前記基板の塗布開始位置の上に到達させ、前記ノズルからの前記処理液の吐出を開始する工程と、
前記処理液の吐出を開始するまでに、前記特定領域についての前記空気流の形成を再開する工程と、
を備えることを特徴とする基板塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−227850(P2010−227850A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79303(P2009−79303)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】