説明

基板搬送装置

【課題】 ガラス基板の拡大化と洗浄液とによる搬送シャフトの撓みを解消し、基板搬送性能を向上させる枚葉式の基板搬送装置を提供する。
【解決手段】 ベース板4に設置された2つのシャフト支持部3に支持され、複数のローラ2を具備したガラス基板5を搬送する搬送シャフト1と、搬送シャフト1の中央部に取り付けられた複数のローラ2の内の1つのローラ2及び補助ローラ8と、補助ローラ8を支持する2つの軸受け9と、ベース板4に設置されて、2つの軸受け9を支持する中間支持部7とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄工程において、各種基板の搬送を行う基板搬送装置に係り、詳しくは、ガラス基板の拡大化と洗浄液による搬送シャフトの撓みを解消し、基板搬送性能を向上させる枚葉式の基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、フラットパネルディスプレイの画面表示サイズが比較的小さい場合、例えば4枚取りのガラス基板サイズが730mm×920mm以下の場合は、ガラス基板が撓むという問題はあまり生じなかった。しかし大画面化の進歩に伴い、例えば1870mm×2200mm以上のガラス基板を洗浄する場合、ガラス基板の洗浄装置に基板を搬入又は搬出する工程で、ガラス基板と洗浄液による重量により、シャフトが撓み、搬送トラブルが発生するという問題が生じた。図5は、従来の基板搬送装置の使用例を示す模式図である。図5aにおいて、基板搬送装置の搬送単位は、ベース板4の両側にシャフト支持部3が設置され、一本のシャフト1には4つのローラ2が取り付けられて、シャフト支持部3に設置されて成る。シャフト1の駆動部は図示されていない。ガラス基板5が、4つのローラ2の上に置かれて搬送されるが、ガラス基板5のサイズの拡大化に伴い、ガラスと洗浄液6の重量によりシャフト1の中央部が撓み、搬送に支障を来たすこととなった。
【0003】
図5bは、この問題を解決するために、シャフト1の径を太くして撓みを解消したものである。図5cは、一本のシャフト1を2分割し、中間に中間指示部7を設けてシャフト1を支え、撓みを解消したものである。ところがシャフト1を太くすると重量が増すため、回転トルクとシャフト支持部3の強度とを増す必要があり、高価な設備となる。またシャフト1が重いため、メンテナンスのための取り外し作業においても従来に比べ負担が増す、等の問題があった。また、中間でシャフトを分割すると、駆動系が2倍となり、部品点数が増加し、その結果高価な設備となる。また駆動系及びシャフトの増加により、メンテナンスが従来以上に増加する問題があった。特許文献1には、回転軸を支持する支承部材が容易に交換できて、回転軸の磨耗を低減させることが出来る回転軸の支持構造に関する記載がされている。
【特許文献1】特開2000−87954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ガラス基板の拡大化と洗浄液とによる搬送シャフトの撓みを解消し、基板搬送性能を向上させる枚葉式の基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基板搬送装置は、洗浄工程において基板を搬送する枚葉式の基板搬送装置であって、
ベース板に設置された2つのシャフト支持部に支持され、複数のローラを具備した前記基板を搬送する搬送シャフトと、
前記搬送シャフトの中央部に取り付けられた前記複数のローラの内の1つのローラ及び補助ローラと、
前記補助ローラを支持する2つの軸受けと、
前記ベース板に設置されて、前記2つの軸受けを支持する中間支持部とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の基板搬送装置の前記中間支持部が、前記搬送シャフトの中央部の高さを上下に調整できる高さ調整部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の基板搬送装置の前記中間支持部が、さらに、前記2つの軸受けを洗浄する洗浄部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基板搬送装置によれば、搬送シャフトが長くなっても、シャフトを中央で受ける構造であるため、構造が簡単で、取り外しが容易となり、メンテナンス性、生産性の向上が図れる。また、基板上の洗浄液が中央に溜まらないように高さが調整できるため、洗浄効果が改善される。さらに、2つの軸受けが洗浄部で洗浄されるため、軸受けからの発塵による不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の基板搬送装置の搬送単位を示す構成図である。図1において、搬送シャフト1は、中央部とその両側に複数のローラ2を有し、さらに中央部に補助ローラ8を有する。この搬送シャフト1は、ベース板4に設置されたシャフト支持部3に取り付けられ駆動される。図示されていないが、左右いずれかのシャフト支持部3の外側に回転駆動用のモータが設置され、搬送シャフト1に回転力を与えている。補助ローラ8は、高さ調整部10に取り付けられた軸受け9で支持され、高さ調整部10は、中間支持部7に取り付けられて固定されている。
【0010】
基板搬送装置は、この搬送単位を複数具備して構成されるため、ガラス基板5をローラ上に配置して、所定の場所へと搬送することができる。搬送シャフト1の補助ローラ8は、中央部で中間指示部7、高さ調整部10及び軸受け9により支えられているため、ガラス基板5及び図示されていない洗浄液6の重さにより、中央部が下方に撓むことはなく、ガラス基板5は、安定して搬送される。また、高さ調整部10には、図4において説明される軸受け9を洗浄する洗浄部12が設置されている。
【0011】
図2は、図1の一点鎖線AA´により切断された断面を示す概略図である。図2において、搬送シャフト1のローラ2の上にガラス基板5が配置されている。このガラス基板5の中央部での重みは、補助ローラ8が軸受け9と接触回転することで支えられている。この軸受け9は高さ調整部10に取り付けられ、高さ調整部10は、ベース板4に固定された中間支持部7に取り付けられている。これにより、補助ローラ8は、中央部でのガラス基板5と洗浄液6との重量を支え、安定して回転することができる。
【0012】
図3は、本発明の基板搬送装置の高さ調整部の機能を示す構成図である。図3において、高さ調整部10は、高さ調整ツマミ11を有する。高さ調整ツマミ11を調整することにより、搬送シャフト1を上方向にわずかながら湾曲させることができる。この湾曲に沿ってガラス基板5が撓むため、洗浄液6は左右に流れ落ちることが可能となる。これにより、大型ガラス基板の場合ガラス基板5の表面に部分的に洗浄液6が滞留し、汚染物質をそのまま次の工程へ送るという不具合を回避することが可能となる。
【0013】
図4は、本発明の基板搬送装置の軸受けを洗浄する洗浄部を示す構成図である。図4において、軸受け9を洗浄する洗浄部12は、高さ調整部10に取り付けられている。軸受け9は、洗浄部12に蓄えられた洗浄液に浸っており、補助ローラ8の回転に従って回転することにより、自動的に洗浄される。これにより、補助ローラ8と軸受け9との接触回転により生じる発塵を洗浄部12が取り込み、ガラス基板5への汚染を回避することができる。また洗浄部12の洗浄液は、搬送シャフト1の定期メンテナンスのとき、同時に洗浄液の交換がなされるため、特にメンテナンス負担を増すことはなく、常に清浄を保つことができる。
【0014】
以上説明したように、本発明の基板搬送装置によれば、搬送シャフトが長くなっても、シャフトを中央で受ける構造であるため、構造が簡単で、取り外しが容易となり、メンテナンス性、生産性の向上が図れる。また、基板上の洗浄液が中央に溜まらないように高さが調整できるため、洗浄効果が改善される。さらに、2つの軸受けが洗浄部で洗浄されるため、軸受けからの発塵による不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による基板搬送装置の搬送単位を示す構成図。
【図2】本発明による基板搬送装置の一点鎖線AA´による断面を示す概略図。
【図3】本発明による基板搬送装置の高さ調整部の機能を示す構成図。
【図4】本発明による基板搬送装置の軸受けを洗浄する洗浄部を示す構成図。
【図5】従来の基板搬送装置の搬送単位を示す構成図。
【符号の説明】
【0016】
1 搬送シャフト
2 ローラ
3 シャフト支持部
4 ベース板
5 ガラス基板
6 洗浄液
7 中間支持部
8 補助ローラ
9 軸受け
10 高さ調整部
11 高さ調整ツマミ
12 洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄工程において基板を搬送する枚葉式の基板搬送装置であって、
ベース板に設置された2つのシャフト支持部に支持され、複数のローラを具備した前記基板を搬送する搬送シャフトと、
前記搬送シャフトの中央部に取り付けられた前記複数のローラの内の1つのローラ及び補助ローラと、
前記補助ローラを支持する2つの軸受けと、
前記ベース板に設置されて、前記2つの軸受けを支持する中間支持部とを含むことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記中間支持部が、前記搬送シャフトの中央部の高さを上下に調整できる高さ調整部を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記中間支持部が、さらに、前記2つの軸受けを洗浄する洗浄部を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−73613(P2007−73613A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256648(P2005−256648)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】