説明

塗布方法及び塗布装置

【課題】室温で低粘度の塗布液を、薄膜で均一に塗布する塗布方法及び塗布装置を提供する。
【解決手段】連続搬送している基体上(9)に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した後、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)をコータ(1)を用いて塗布する塗布方法において、該コータ(1)に供給する該塗布液(B)の温度が、35℃以上、55℃以下であることを特徴とする塗布方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低粘度の塗布液を均一に塗布する塗布方法及び塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などのインクジェット記録材料に付着させ、画像や文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しおり、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野で急速に普及している。
【0003】
特に、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するため、インクジェット記録用紙の面からもその改良が進んでおり、高平滑性の支持体上にシリカに代表される無機微粒子と水溶性バインダーとからなる微小な空隙構造を有する多孔質インク吸収層を設けた空隙型のインクジェット記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を示し、加えて、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。
【0004】
一方、インクジェット記録用紙の製造方法において、上記の多孔質インク吸収層に対しては、さまざまな特性が要求され、これら種々の特性を改良するために、以下に記載の様な様々な添加剤の使用が提案されている。
【0005】
1:高い発色性や光沢を達成するために、約0.1μm程度以下の多孔質を形成する安定な微粒子
2:微粒子の保持力が高く、かつインク吸収速度を低下させないための低膨潤性親水性バインダー
3:インク吸収速度や被膜の耐水性を改良するための親水性バインダーの架橋剤
4:最適なドット径を達成するため、表面に分布した界面活性剤や親水性ポリマー
5:色素の滲みや耐水性を改良するためのカチオン性の定着剤
6:色素画像の光や酸化性ガスなどによる退色性を改良するための退色防止剤
7:白地を改良するための蛍光増白剤や色調調整剤(赤み剤や青み剤など)
8:表面の滑り性を改良するためのマット剤や滑り剤
9:多孔質インク吸収層に柔軟性を持たせるための各種のオイル成分やラテックス粒子あるいは水溶性可塑剤
10:色素の滲みや耐水性あるいは耐候性を改良するための種々の無機塩類(多価金属塩)
11:多孔質インク吸収層の膜面pHを調整するための酸やアルカリ類
等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、上記の種々の目的で使用する各添加剤を多孔質インク吸収層を形成する塗布液に添加した場合、多くの添加剤において、製造工程の安定性の観点から、種々の制約を受けるケースが多い。
【0007】
そのような問題点としては、例えば、
A:微粒子や添加剤同士の間で凝集が生じたり、塗布液中で相分離を起こすことにより、ムラのない安定した塗布が困難になる、光沢が低下してマット化する、塗布液のポットライフが短くなり、生産効率が大幅に低下する
B:調製した塗布液を長時間停滞させると、塗布液が大きく増粘してゲル化したり、逆に著しく減粘して、支持体上で塗布液が流れやすくなり、その結果安定した塗布が困難となり、均質な塗膜が得にくくなる
C:多孔質インク吸収層を塗布乾燥する際に、表面のひび割れが増大する
D:多孔質インク吸収層の空隙率が低下する
等が挙げられる。
【0008】
上記のA項やB項に係る問題は、主に添加剤の電気的な相互作用に基づく場合が多く、例えば、カチオン性の定着剤がその主因となり、アニオン基を有する種々の原材料と反応して、様々な問題を引き起こす結果となる。
【0009】
上記課題の解決方法の一つとして、多孔質インク吸収層の塗布液には前記添加剤を含有させず、支持体上に構成層としてまず塗布し、その後、前記添加剤を含有する塗布液を前記構成層上部に塗布する、いわゆるオーバーコート塗布方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。オーバーコート層の塗布液に含有される前記添加剤は、予め設けられた構成層(例えば、多孔質インク吸収層)に適度に浸透し、上記問題を起こすことなく好ましい機能を付与することが期待される。つまり、機能賦与化合物として働くことが期待される。もともと機能賦与化合物を多孔質インク吸収層に含浸させる目的であるから、オーバーコート層自体はごく薄いものでよいとされている。
【0010】
上記のようなオーバーコート塗布に使用される塗布液に求められる機能は、既に形成されているインク吸収層にあらたな機能のみを付与すればよく、またインク吸収層の空隙容量を減らさないため、低濃度である必要がある。この様な観点から、オーバーコート塗布に用いられる塗布液は、比較的低粘度(例えば、25℃における粘度として0.1〜10mPa・sec程度)のものが多い。また、薄膜(例えば、湿潤膜厚として1〜50μm)で塗布する必要がある。
【0011】
上記の様な特性が求められているオーバーコート層を、薄膜で塗布する方法として、例えば、スロットノズルスプレー装置を用いた塗布方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この塗布方法は、基材を搬送し、基材の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出するガスノズルとを有し、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、基材上に塗布液を薄膜に塗布する塗布方法であり、低粘度の塗布液を薄膜条件で塗布するのに適する方法であった。
【0012】
近年、インクジェットプリンターの急速な発達により、印字プリント速度の向上、あるいは高画質化の観点からインクジェット記録ヘッドより飛翔するインク液滴の微小化などが著しく進み、インクジェット記録画像としては、写真画質に匹敵するまでになっている。しかしながら、この様なインクジェットプリンターでのインク液滴の微小化、高密度化が進んだ結果、印字に用いるインクジェット記録用紙の表面にわずかにでもムラがあると、得るれるプリント品位を低下させてしまうという問題が顕在化してきた。そのため、極めて均一性の高い高品位のインクジェット記録画像を得るためには、インクジェット記録用紙に対し、高画質を達成するための様々な機能を付与すると共に、従来にも増して、高い塗膜均一性を備えたインクジェット記録用紙の開発が求められている。
【特許文献1】特開2002−331745号公報
【特許文献2】特開2004−906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、室温で低粘度の塗布液を、薄膜で均一に塗布する塗布方法及び塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0015】
(請求項1)
連続搬送している基体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した後、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)をコータ(b)を用いて塗布する塗布方法において、該コータ(b)に供給する該塗布液(B)の温度が、35℃以上、55℃以下であることを特徴とする塗布方法。
【0016】
(請求項2)
前記塗布液(B)は、前記コータ(b)に供給される前に脱泡処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
【0017】
(請求項3)
前記塗布液(B)の前記コータ(b)に供給する直前の温度T1と前記コータ(b)の温度T2との温度差の絶対値ΔT1が、10℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布方法。
【0018】
(請求項4)
前記塗布液(B)の前記コータ(b)に供給する直前の温度T1と前記コータ(b)が設置されている部屋の環境温度T3との温度差の絶対値ΔT2が、10℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0019】
(請求項5)
前記コータ(b)が、スロットノズルスプレー装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0020】
(請求項6)
支持体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した基体上に、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)を塗布するコータ(b)と、前記コータ(b)に該塗布液(B)を供給する塗布液供給源とを有する塗布装置において、該塗布液供給源または該塗布液供給源からコータ(b)に塗布液(B)を供給する供給配管が、温度調整手段を有し、かつ該塗布液(B)を35℃以上、55℃以下に保温することを特徴とする塗布装置。
【0021】
(請求項7)
前記塗布液(B)を前記コータ(b)に供給する前記供給配管の途中に、脱泡装置が設けられていることを特徴とする請求項6記載の塗布装置。
【0022】
(請求項8)
前記コータ(b)は、温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の塗布装置。
【0023】
(請求項9)
前記コータ(b)が設置されている部屋が、温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の塗布装置。
【0024】
(請求項10)
前記コータ(b)が、スロットノズルスプレー装置であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の塗布装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、室温で低粘度の塗布液を、薄膜で均一に塗布する塗布方法及び塗布装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、1)連続搬送している基体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した後、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)をコータ(b)を用いて塗布する塗布方法において、該コータ(b)に供給する該塗布液(B)の温度が、35℃以上、55℃以下であることを特徴とする塗布方法、あるいは2)支持体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した基体上に、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上10mPa・sec以下の塗布液(B)を塗布するコータ(b)と、前記コータ(b)に該塗布液(B)を供給する塗布液供給源とを有する塗布装置において、該塗布液供給源または該塗布液供給源からコータ(b)に塗布液(B)を供給する供給配管が、温度調整手段を有し、かつ該塗布液(B)を35℃以上、55℃以下に保温することを特徴とする塗布装置により、室温で低粘度の塗布液を、薄膜で均一に塗布する塗布方法あるいは塗布装置を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0028】
従来より、粘度の温度依存性を有する高粘性塗布液を塗布する際には、塗布する際の塗布液の温度と得られる塗膜品質との間には密接な関係が知られており、安定した塗膜形成のための様々な塗布条件等について広範囲に検討が進められている。また、例えば、0.1〜10mPa・secという低粘性塗布液を用いた塗布の場合には、粘度の温度依存性が小さく、多くの場合、塗布液の加温等は行う必要が無いと考えられていた。
【0029】
室温で高粘度の塗布液、例えば、水溶性バインダーなどを高濃度で含む塗布液は、加温することによって粘度を大きく低下させることにより安定した塗布が可能となる。そのため、例えば、特開2002−331745号公報の段落番号〔0079〕に記載のように、塗布液を一定温度に加温して塗布することが好ましいとされている。また、塗布液に用いるバインダーが、種類やその量によって室温にて凝固する場合、例えば、バインダーとしてゼラチン等を使用する塗布液においては、加温が必要不可欠な要件であった。また、ホットメルト接着剤などの塗布の場合には、例えば、特開平7−299394に記載のように、ホットメルト液を加温して溶融する装置を用いて塗布することが提案されている。これら塗布液を加温する方法は、室温で高粘度(例えば、室温で数万mPa・sec)あるいは固体の塗布液を塗布する際に低粘度化するための方法である。
【0030】
一方、室温で0.1〜10mPa・sec程度の低粘度塗布液であれば、別段加温する必要はなく、加温するための設備を新たに設け加温を行うとなると、そのための設備費用や使用するエネルギーの増大等を招くだけであって、加温することによる特段の利点に関する認識は、全くされていなかった。
【0031】
しかしながら、本発明者が、低粘度塗布液を用いた塗布における塗布液の基材に対する濡れ性や拡散性などに注目し、低粘度塗布液の保温効果について鋭意検討を行った結果、低粘度塗布液であっても、塗布液を加温することで、塗布性、特に塗布ムラ耐性や塗布幅方向で塗膜均一性が飛躍的に向上することが判明した。
【0032】
上述のように、低粘性塗布液を、塗布時に加熱することによる塗布ムラ耐性や塗布幅方向の均一性に関する効果に関しては、現時点ではその詳細なメガニズムは明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0033】
低粘性塗布液であっても、塗布時の塗布液温度をある温度に設定することにより、室温状態に比較し、塗布液に熱運動が活発となり、また、表面張力なども変化し、その結果、基材への濡れ性が向上し、塗膜形成が安定するものと推察される。また、塗布液を、例えば、35〜55℃という温度に加温することにより、基体に塗布された後も塗膜の濡れ広がりによる形成塗膜の平準化(レベリングともいう)が起こりやすいと推察される。また、スライドホッパーコータ、ロールコータ、バーコータなどを用いた塗布方法では、コータ中あるいは、コータ部と基材とが接する領域において濡れ広がりが安定するものと考えられる。また、ディップコート法などを用いた塗布方式においても、塗布液を加温することにより、塗布液を基体に転写するための液保留部中で塗布液の対流が活発となり、その結果、塗布液が均一になりやすいと考えられる。従って、たとえ低粘性塗布液であっても、塗布液を加温することにより、塗布均一性に優れた塗布方法を実現できたと推測している。
【0034】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0035】
本発明の塗布方法においては、無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)であるインク吸収層塗布液を基材上に塗布して、インク吸収層を形成した後、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)を35℃以上、55℃以下の範囲で加温した状態で、コータ(b)に供給して塗布することを特徴とすし、より塗布品質を向上させる観点から、塗布液(B)の温度を38℃以上、50℃以下の範囲で加温することが好まし、40℃以上、45℃以下の範囲で加温することが特に好ましい。塗布液(B)の加温する温度が30℃以上であれば、加温による塗布均一化効果を十分に発揮させることができ、また55℃以下であれば不要な加熱エネルギーを要することなく、また塗布液の対流等による塗布の不均一性を招くことが無く、安定して均一性の高い塗膜を得ることができる。
【0036】
次いで、本発明の塗布方法あるいは塗布装置を適用した塗布プロセスの全体概要について説明する。
【0037】
図1は、本発明に係る0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の低粘度塗布液(B)を塗布するコータ(b)を配置した塗布製造ラインの一例を示している。本発明では、被塗布体としては、基体上に第1の塗布機であるコータ(a)を用いて無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布してインク吸収層を形成したものを用いる。該インク吸収層を塗布後、乾燥する工程内に、複数(多段で)のコータ(b)を配置した。このように同一ライン上で、インク吸収層の形成と本発明によるコータ(b)によるオーバーコート層(最表層)の塗布とを連続して行うことをオンライン塗布と呼んでいる。
【0038】
図示しない搬送手段によって支持体の元巻きから、支持体が搬送ローラ21を通過し、更にバックアップロール22の位置にて反転搬送される過程で流量規制型のコータ(a)20より供給される多孔質インク吸収層(構成層)用の塗布液が塗布される。この多孔質インク吸収層用の塗布液は、水溶性バインダを含有しているので、冷却ゾーン30で一端冷却して固定する。この支持体上にインク吸収層を有する被塗布体9は、乾燥工程に搬送される。乾燥工程では、エアを吹き出して塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサ23と被塗布体9の裏面に接触して反転搬送させる通常の搬送ローラ24とを交互に設けて、被塗布体9を蛇行搬送させている。この乾燥工程においては、温風を吹き付けられて乾燥される(温風吹きつけ手段は不図示)。この乾燥工程の途中、好ましくは減率乾燥以降の位置に、2つのコータ(b)1による塗布が行われる。この時、コータ(b)にて塗布する塗布液(B)の温度を38℃以上、50℃以下の範囲で加温することを特徴とする。
【0039】
2つのコータ(b)のうち、少なくとも1つは、乾燥終点以降の位置に載置されることが乾燥性の観点で好ましい。図1では2つのコータ(b)を使用した例を示したが、1つでももちろんよく、あるいは、種類の異なる機能性化合物を3つ以上のコータ(b)を用いて塗布してもかまわない。多段に分けて塗布を行うことにより、乾燥負荷がより少なくなると同時に、膜厚均一性も高まることがわかった。
【0040】
本発明の塗布方法を用いて、被塗布体上に薄膜を形成する際の塗布速度としては、用いる塗布液の種類、濃度、溶媒含有量、乾燥能力等により変化し、一概に規定することはできないが、塗布速度として、50〜500m/minであることが好ましく、より好ましくは100〜300m/minである。
【0041】
本発明の塗布方法を用いて、少なくとも1層のインク吸収層を支持体上に有する被塗布体上に、コータ(b)による塗布液(B)の塗布を行う場合の時期としては、支持体上に形成したインク吸収層の減率乾燥以降、好ましくは乾燥終点以降である。また、前記インク吸収層をコータ(a)を用いて行う塗布工程と本発明に係るコータ(b)により行う塗布工程は、同じ製造ライン上で、連続して行うことが好ましい。
【0042】
本発明の塗布方法は、少量の塗布液であっても塗布が可能であるため、インク吸収層が完全に乾燥していない状態で行っても乾燥負荷が少なく、インク吸収層への悪影響も少ない。また、インク吸収層が完全に乾燥する前に、本発明の塗布方法により塗布を行う方が、形成したインク吸収層のひび割れ等のデメリットを防ぐことからも好ましい。
【0043】
本発明の塗布方法は、乾燥負荷が少ないので、インク吸収層の乾燥工程内においても実施することができる。乾燥工程は、通常は、湿潤状態の塗布膜を連続的に搬送しながら、その表面あるいは裏面より、特定の温度及び湿度条件に制御された乾燥風を吹き付けて乾燥させることが好ましい。
【0044】
図1において、基体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布するのに用いるコータ(a)としては、特に制限はなく、従来から、基材上に塗布液を塗布する方法として知られている塗布機を適用することができる。例えば、搬送される長尺の帯状基材(以下、単に基材ともいう)上に、塗布液(A)を高精度に塗布する方法としては、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、各種の方法が提案されており、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法等を適用することができる。また、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案されたスライドビード塗布方法、あるいはエクストルージョン塗布方法等、またカーテン塗布方法もダイスを用いた流量規制型の塗布方法も用いることができる。
【0045】
本発明に係る25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下で、温度が35℃以上、55℃以下である塗布液(B)の塗布に用いるコータ(b)としては、上述のコータ(a)に適用可能な各種塗布機の他に、低粘度塗布液を薄膜で安定に塗布する観点から、リバースロールコータ、グラビアロールコータ、あるいはスロットノズルスプレー装置を用いた塗布方法等が好ましいが、その中でも、均一性の高い塗膜を安定して形成できる観点からスロットノズルスプレー装置を用いた塗布方法が特に好ましい。
【0046】
図2は、本発明に適用可能なリバースロールコータの一例を示す概略図である。
【0047】
リバースロールコータ101は、バックアップローラ112、ケーシング113、アプリケータローラ114、メタリングローラ115、回収ローラ116からなる。
【0048】
バックアップローラ112には、アプリケータローラ114との間の間隔を調節するためにソレノイドからなる調節手段が設けられている。ここで、この基材Bの搬送速度とアプリケータローラ114の周速との関係で、シート状の基材Bに塗布する塗布液Pの膜厚を変化させることができる。
【0049】
ケーシング113は、内部に塗布液Pを収容するもので、バックアップローラ112の上部に配設されている。ケーシング113には、下端の抽出口128の前後両側部に、略L字形状のブレード129がそれぞれ取り付けられている。また、ケーシング113には、塗布液Pを撹拌するための撹拌手段130が設けられている。撹拌手段130は、駆動モータ131とケーシング113内の塗布液Pに浸漬される羽部材132とからなる。
【0050】
アプリケータローラ114は、バックアップローラ112上に対向するようにケーシング113の抽出口128の中央部に配設され、図示しない搬送手段によるシート基材Bの搬送方向Xと相対する逆のY方向に回転するようにされている。
【0051】
メタリングローラ115は、アプリケータローラ114と対向するとともに、ブレード129と接触するように、ケーシング113の抽出口128における搬送方向Xの下流側に配設されている。メタリングローラ115は、ケーシング113内の塗布液Pの注出量を一定させるために、図示しない駆動モータによってアプリケータローラ114との間のニップ部で互いに逆回転するようにされている。
【0052】
アプリケータローラ114とメタリングローラ115との間から押し出された塗布液Pが基材Bの表面に転がり塗り方式で塗布される。また、回収ローラ116側では、アプリケータローラ114との間隔が開いた状態であり、この間隔から回収ローラ116の回転によりアプリケータローラ114の表面に残留した塗布液Pが漏出することなく、ケーシング113内に回収される。
【0053】
図3は、本発明に適用可能なグラビアロールコータの一例を示す概略図である。
【0054】
基材Bの塗布位置に対応する位置には、バックアップロール202が基材Bの一面に接触するように配設されている。バックアップロール202にはグラビアロールとの間の間隔を調節するためにソレノイド221からなる調節手段が設けられている。
【0055】
また、バックアップロール202の基材Bを挟んで反対の面側には、グラビアロール203がその回転方向が基材Bの走行方向と直交するように支持されており、このグラビアロール3は、図示しない駆動モータからカップリングを介して前記基材Bの走行方向に対して逆方向に回転駆動されるようになされている。さらに、前記グラビアロール203の外周面には、基材Bの全幅より狭い幅を有するセルパターン(図示せず)が全周にわたって刻設されている。
【0056】
グラビアロール203の側方には、グラビアロール203に対向する面が開放された塗布液7を貯留する塗布液貯留ケース204が配設されており、この塗布液貯留ケース204の前記開放面には、塗布液貯留ケース204の下端部から互いに塗布液貯留ケース204の中央方向に延在するとともに前記グラビアロール203側に傾斜する2つのホルダ205がそれぞれ取付けられている。そして、これら各ホルダ205には、先端部が前記グラビアロール203の外周面に接触するドクタブレード206が対称に配設されており、ドクタブレード206、ホルダ205およびグラビアロール203の周面の一部により塗布液貯留ケース204の内部に閉空間が形成されるようになされている。また、塗布液貯留ケース204には、塗布液207を撹拌するための撹拌手段230が設けられている。該撹拌手段230は、駆動モータ231と塗布液207に浸漬される羽部材232とからなる。
【0057】
塗布液207を塗布液貯留ケース204の内部に供給することにより、塗布液貯留ケース204の内部に塗布液207を貯留し、この状態で、グラビアロール203を回転駆動させることにより、グラビアロール203の表面に塗布液207を塗布し、ドクタブレード206により、セルパターンに塗布されている余剰塗布液207を拭取るとともに、グラビアロール203のセルパターンに全幅に亘って適正量の塗布液207を充填させるとともに、そのセルパターンの両端から外側部分の塗布液207をも拭取るようになっている。
【0058】
グラビアロールコータを用いた塗布液207の塗布方法としては、まず、塗布液貯留ケース204の内部に塗布液207を貯留させ、前記撹拌手段230の羽部材232によって塗布液貯留ケース204内の塗布液207を撹拌し、塗布液207中に沈殿する物質等を掻き上げる。塗布液貯留ケース204の内部空間に位置するグラビアロール203の彫刻部の周面が塗布液207中に浸漬され、グラビアロール203の彫刻部の内部に塗布液207が充填供給される。そして、グラビアロール203を図中時計方向に回転させることにより、ドクタブレード206により、余分な塗布液207が拭取られセルパターンの全幅のみに適正量だけ充填供給され、このドクタブレード206によって拭取られた余剰塗布液207は、塗布液貯留ケース204の内部に戻される。
【0059】
このようにグラビアロール203のセルパターン内に適正量の塗布液207が供給されるようになったら、グラビアロール203を基材Bの表面に向けて移動させ、グラビアロール203のセルパターンを基材Bの表面に接触させてセルパターン内の塗布液207を基材Bの表面に塗布する。
【0060】
本発明の塗布方法においては、本発明に係る25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下で、温度が35℃以上、55℃以下である塗布液(B)の塗布に用いるコータ(b)としては、特に、スロットノズルスプレー装置を用いることが、本発明の目的効果をより発揮できる観点から好ましい。本発明に好ましく用いられるスロットノズルスプレー装置としては、例えば、特開2004−906号公報等に記載の装置を挙げることができる。
【0061】
以下、本発明に係るスロットノズルスプレー装置について、図を交えてその一例を示す。
【0062】
図4は、本発明に係るスロットノズルスプレー装置を用いた塗布方法を説明するための概略図である。
【0063】
図4において、参照符号1はスロットノズルスプレー装置(全容は不図示)のスロットノズルスプレー部、9は長尺の帯状支持体タイプの被塗布体である。
【0064】
被塗布体9は、被塗布体9の長手方向である図中の矢印の搬送方向に、図示しない搬送手段により一定の速度で搬送される。スロットノズルスプレー部1の塗布液ノズルCは、搬送方向と直交する方向である被塗布体9の幅手方向に長さを有し、被塗布体9の塗布面に対向するように配置されている。塗布液ノズルCからは、塗布液(B)が液滴状に噴霧され、搬送される被塗布体9上に液滴が着地することにより塗布が行われる。このとき被塗布体9の幅手方向の塗布液(B)が付着する長さが図中矢印で示した塗布幅に相当する。図4では、塗布幅は、被塗布体9の幅手方向の長さよりも短くなっているが、同じでももちろん構わない。
【0065】
図5は、図4で説明したスロットノズルスプレー部を含むスロットノズルスプレー装置の一例を示す概略断面図である。
【0066】
スロットノズルスプレー部1は、一対の内部ダイブロック3a、3bと、該一対の内部ダイブロック3a、3bの各々の外側に外部ダイブロック2a、2bを有し、一対の内部ダイブロック3a、3b間に塗布液ノズルCが形成され、内部ダイブロック3aと外部ダイブロック2a間、及び内部ダイブロック3bと外部ダイブロック2b間にそれぞれガスノズルDが構成されている。
【0067】
図5において、スロットノズルスプレー部1には、ガスポケットAを有する1対のガスノズルDと塗布液ポケットBを有する塗布液ノズルCを有している。塗布液は、ファイバー状にならず液滴を形成できる粘度(0.1〜250mPa・sが好ましい)を有する例えば機能賦与化合物含有溶液などの塗布液(B)を調製釜4に入れ、ポンプ5、脱包槽6を経て、塗布液ポケットBに供給されて塗布液ノズル3に導かれる。一方、ガスノズル2へは、加圧空気源7より、弁8を介して、ガスポケットAに加圧空気が供給される。塗布に際しては、塗布液ノズルCより規定の塗布量となるように調製釜4より塗布液(B)を供給すると同時に、一対のガスノズルDより加圧空気を吹き付け、塗布液(B)を液滴状にして、被塗布体9上に噴霧、吐着させるものである。本発明の塗布方法においては、塗布液の粘度が0.1mPa・sec〜10mPa・secであることを特徴としており、塗布液は微細な液滴として噴霧される。塗布液を微細な液滴として、被塗布体9表面に供給することにより、極めて均一性の高い薄膜を、乾燥負荷なく、高速で形成することができる。
【0068】
次に、図6を用いて、スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明する。
【0069】
図6において、塗布液ノズルCより吐出された塗布液Eは、塗布液ノズルCの両サイドに近接して設けられたガスノズルDより供給される圧縮空気Gにより、細分化、液滴化され球形に近い液滴粒子12となり、飛翔し、ギャップL5を隔てた被塗布体9表面に均一に着弾する。図6では、被塗布体9は、基材10上にインク吸収層11を構成層として塗布したモデルで示してある。被塗布体9上に着地する塗布液の液滴粒子12の面積範囲は、常に均一であることが好ましいが、特に、搬送方向における落下長さ(図中、落下長さL7と記載)が塗布幅にわたって均一であることが好ましい。また、塗布液ノズルCの開口端を基点として被塗布体に対し、噴霧される液滴群の広がり角度θは、塗布幅にわたって均一であることが好ましい。
【0070】
また、上述のスロットノズルスプレー装置を用いて、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧を行うには、塗布液の動的表面張力(DST)を20〜55mN/mに調整することが好ましく、より好ましくは20〜50mN/m、更に好ましくは20〜40mN/mとすることである。
【0071】
上記スロットノズルスプレー装置等を用いて、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形成するときのガス内圧は、10kPa以上、好ましくは20kPa以上、更に好ましくは50kPa以上とすると均一な噴霧が行い易い。ガスの流量としては、3.5CMM/m以上、好ましくは7CMM/m以上、更に好ましくは10CMM/m以上である。
【0072】
上記手段を用いて、塗布幅にわたり、連続ファイバー状ではなく、不連続な液滴状に飛散させることにより、塗布液が少量であっても、均一に、塗布液を被塗布体上に供給できる。結果として、塗布膜厚を均一にすることができる。また、不連続な液滴の被塗布体上への供給であって、塗布液量が少なくなるので、乾燥負荷もかからない。
【0073】
本発明の塗布方法においては、本発明に係る塗布液(B)の25℃における粘度が0.1〜10mPa・secであることを特徴とし、また、本発明に係る塗布液(B)には、粘度を上昇させる効果を有する水溶性バインダーを含まないことが好ましい。更には、粘度としては0.5mPa・sec以上、5.0mPa・sec以下であることがより好ましく、0.7mPa・sec以上、2.0mPa・sec以下であることが特に好ましい。
【0074】
このような低粘度の塗布液を安定に塗布する際には、上述のスロットノズルスプレー装置を適用することで、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧が可能である。なお、本発明でいう塗布液(B)の粘度を測定するには、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができる。粘度計としては、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A、VM1G−L等を挙げることができる。
【0075】
本発明の塗布方法においては、塗布液(B)をコータ(b)に供給する前に、塗布液(B)に脱泡処理を施すことが好ましい。また、本発明の塗布装置においては、塗布液(B)をコータ(b)に供給する供給配管の途中に、脱泡装置が設けられていることが好ましい。
【0076】
従来、低粘度の塗布液では、調製過程で混在する気泡等は、自然浮上等により塗布液から容易に取り除かれ、塗布時には気泡の存在はほとんど無く、そのため脱泡処理は必要ではないと考えられていた。しかしながら、作製した塗布物表面を詳細に検査すると、直径が1〜10mm程度の円形あるいは楕円状の塗布故障が散発していることが判明した。この塗布故障を詳細に検討した結果、塗布液に含まれた気泡が塗布された結果であると推定された。そのため、このような低粘度の塗布液を用いる場合においても、塗布前に塗布液の脱泡処理を行うことが好ましい。
【0077】
また、本発明の塗布方法においては、塗布液(B)を35〜55℃の範囲で加温することを特徴としているが、この様に塗布液を加温すると、塗布液中の気体の溶解度が低下し、塗布液中に気泡が生じやすくなる。そのため、本発明のように塗布液を一定温度に加温して塗布を行う塗布方法においては、特に塗布前に脱泡処理を施すことが好ましい。
【0078】
本発明でいう塗布液(B)がコータ(b)に供給される前とは、例えば、図5において、塗布液(B)を保留している調製釜4からスロットノズルスプレー部1(コータ(b))に供給されるまでの間をいい、図5に示すようにポンプ5とスロットノズルスプレー部1との間に脱包槽6を設置することが好ましい。また、脱泡時期としては、コータ(b)に塗布液(B)を送液する直前(数秒〜数10秒前)から15分以内に脱泡をすることであり、より好ましくは塗布液(B)を送液する直前(数秒〜数10秒前)から10分以内であり、特に好ましくは塗布液(B)を送液する直前(数秒〜数10秒前)から5分以内である。
【0079】
一般に、脱泡とは、狭義としては液中の気泡を分離除去あるいは溶解消滅させることをいい、広義としては前記狭義のものに加え一旦液中に溶けた空気等の気体が、使用段階において再び気泡となって出現する現象を防止する操作も包含する。
【0080】
狭義の脱泡は、泡を除去するか泡を溶解消滅させることの何れか一方、あるいは両方の操作を併せて行うことにより達成される。
【0081】
上記のように、脱泡には2種類のプロセスがあるが、何れか一方を選んだり、2プロセスを同時に行ったり、溶解消滅プロセス後に分離除去プロセスを行ったりしてもよい。例えば、第1のプロセスで大きな泡のみを分離除去し、その後、第1のプロセスで分離除去できなかった小さな泡のみを溶解消滅させる第2のプロセスとしてもよい。
【0082】
上記のような脱泡プロセスにおいて、比較的大きな泡のみを分離除去する方法としては、遠心力を用いて液中の気泡を取り除く遠心分離脱泡方法、あるいは超音波エネルギーを照射して、液中の気泡を合一させて浮上させたり、微細気泡を溶解する超音波脱泡方法、塗布液を含む容器を減圧して、液中の気泡を浮上、除去する減圧脱泡方法等を挙げることができる。また、液中の微細な気泡を溶解消滅させる方法としては、上述の超音波脱泡方法や加圧脱泡方法を挙げることができ、本発明においては、使用する塗布液(B)の特性に応じて、適宜選択することができる。
【0083】
本発明の塗布方法においては、コータ(b)を用いて塗布液(B)を塗布する際に、塗布液(B)と、コータ(b)あるいはコータ(b)を設置してある環境の温度差を、特定の範囲に規定することが好ましい。
【0084】
一つの温度規定条件としては、塗布液(B)のコータ(b)に供給する直前の温度T1と、コータ(b)の温度T2との温度差の絶対値ΔT1を10℃以下とすることが好ましく、塗膜品質を寄り向上させる観点からは、より好ましくは5℃以下であり、特に好ましくは0℃〜3℃である。
【0085】
また、他の温度規定条件としては、塗布液(B)のコータ(b)に供給する直前の温度T1と、コータ(b)が設置されている部屋の環境温度T3との温度差の絶対値ΔT2を10℃以下とすることが好ましく、塗膜品質をより向上させる観点からは、より好ましくは5℃以下であり、特に好ましくは0℃〜3℃である。
【0086】
上記で規定するような温度差の絶対値ΔT1、温度差の絶対値ΔT2とすることにより、塗布液(B)の調製から塗布される過程での温度変化を低く抑えることができ、その結果、安定した塗布を実現することができる。
【0087】
本発明の塗布装置においては、コータ(b)に塗布液(B)を供給する塗布液供給源を有し、塗布液供給源または塗布液供給源からコータ(b)に塗布液(B)を供給する供給配管が、温度調整手段を有していることを特徴とし、この温度調整手段により、上記で規定する温度差の絶対値ΔT1、温度差の絶対値ΔT2を10℃以下の条件に制御することができる。
【0088】
本発明でいう塗布液供給源とは、図5に示すような塗布液(B)を調製する調整釜4や、塗布前に一旦保存するストックタンクであり、塗布液供給源からコータ(b)に塗布液(B)を供給する供給配管とは、図5に示す調製釜4の底部にある塗布液排出口からスロットノズルスプレー部1(コータ(b))の供給口までの配管ラインをいう。
【0089】
これらの塗布液供給源や供給配管の温度制御方法としては、特に制限はないが、塗布液供給源や供給配管の外周部に保温ジャケットを設け、その保温ジャケット内部に冷水あるいは温水を流通させる方法や、塗布液供給源や供給配管の外周部にリボンヒータを巻き付けて、塗布液(B)を所望の温度に制御する方法が挙げられる。
【0090】
また、コータ(b)の温度制御方法としては、例えば、コータ(b)の内部あるいは外周部に温水を循環させる方法、コータ(b)の内部あるいは外周部にリボンヒータ等を設ける方法などが挙げられるが、コータ(b)全体の温度が均一になるという点からは、コータ内部に温水を循環させる方法が好ましい。
【0091】
また、本発明でいう塗布液(B)の温度とは、コータ(b)に供給する直前の塗布液(B)の温度をいい、この温度はライン中に温度計を設置して適宜測定することができる。
【0092】
また、コータ(b)が設置されている部屋の環境温度T3とは、コータ(b)が設置されている点から周囲1m以内で測定した塗布室の平均温度をいうが、塗布室全体の温度が均一に制御されていることがより好ましい。この際、コータ(b)が設置されている部屋は、温度調整機能を有する空調設備を備えた部屋であることが好ましい。
【0093】
次いで、塗布液(B)の構成について、詳細に説明する。
【0094】
本発明の塗布方法においては、本発明に係るスロットノズルスプレー装置を用いて、被塗布体に付与する塗布液としては、特に制限はないが、後述するインクジェット記録用紙の多孔質インク吸収層に対する機能付与化合物を含有していることが好ましい。
【0095】
多孔質インク吸収層に対する機能付与化合物として、特に制限はないが、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物、媒染剤及びpH調整剤から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0096】
多孔質インク吸収層の膜面pHを低下させる目的で使用できる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、フタル酸、こはく酸、蓚酸、ポリアクリル酸などの有機酸を挙げることができる。
【0097】
多孔質インク吸収層の膜面pHを増大させる目的で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ほう砂、燐酸ナトリウム、水酸化カルシウム、有機アミンなどが挙げられる。
【0098】
上記pH調整剤は、多孔質形成する塗布液中のpHが記録用紙の好ましい膜面pHと異なる場合に、特に好ましい。
【0099】
記録用紙の多孔質インク吸収層の膜面pHは、インクの種類によっても異なるが、一般には、より酸性側で染料の耐水性や滲みが改善されるが、耐光性はより高pH側で改良される傾向が大きいため、使用するインクとの組み合わせで最適なpHは選定される。好ましい多孔質表面の膜面pHは、3〜7であり、特に3.5〜6.5が好ましい。ここでいう膜面pHとは、J.TAPPI 49に規定される紙の表面pH測定方法にしたがって測定した値であり、具体的には、記録用紙表面に50μlの純水(pH=6.2〜7.3)を滴下し、市販の平面電極を用いて測定した値を言う。
【0100】
前記機能賦与化合物としては、親水性バインダーの架橋剤であってもよい。
【0101】
このような架橋剤としては、公知のものを使用でき、好ましいものとしては、前述のホウ酸類、ジルコニウム塩、アルミニウム塩もしくはエポキシ系架橋剤である。
【0102】
前記機能賦与化合物としては、画像安定剤(以下、退色防止剤ともいう)であってもよい。退色防止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。
【0103】
前記機能賦与化合物としては、カチオン性ポリマーを使用することができる。
【0104】
一般に、カチオン性ポリマーは、染料の定着剤として作用し、耐水性や滲みを防止するため、予め多孔質受容層を形成する塗布液に添加しておくことが好ましいが、塗布液中に添加した際に問題が発生する場合には、オーバーコート法で供給することもできる。例えば、カチオン性ポリマーの添加により、塗布液が経時で増粘したり、あるいは、多孔質層内でカチオン性ポリマーの分布を持たせて発色性を改善する場合などでは、オーバーコート法で供給することが好ましい。カチオン性ポリマーをオーバーコート法で供給する場合、記録用紙1m2当たり概ね0.1〜5gの範囲である。
【0105】
前記機能性付与化合物としては、水溶性多価金属化合物であってもよい。
【0106】
水溶性多価金属化合物は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝集を起こしやすく、これにより微少な塗布故障や光沢性の低下を引き起こしやすいため、特にオーバーコート法が供給するのが好ましい。
【0107】
そのような多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等が用いられる。
【0108】
上記の各機能性付与化合物は、単独で使用しても、あるいは2種以上を併用することもできる。具体的には、退色防止剤を2種以上含む水溶液を用いることも、また、退色防止剤と架橋剤を含有する溶液、退色防止剤と界面活性剤を含有する溶液、更には架橋剤、水溶性の多価金属化合物、および退色防止剤を併用することもできる。
【0109】
上記機能性付与化合物の溶媒としては、水または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることができ、水を用いることが特に好ましい。また、水と水混和性を有する低沸点有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等)との混合溶媒も好ましい溶媒である。水と水混和性の有機溶媒とを併せて使用する場合、水の含有率としては質量比で50質量%以上であることが好ましい。
【0110】
ここで水混和性を有する低沸点有機溶媒とは、室温で水に対して10質量%以上の溶解性を有し、沸点が約120℃以下の有機溶媒を言う。
【0111】
前記機能性付与化合物としては、媒染剤であってもよい。
【0112】
本発明では、媒染剤として、アルミニウム原子を含有する化合物を好適に用いることができる。アルミニウム原子を含有する化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、ポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸アルミニウム化合物、ポリ硫酸珪酸アルミニウム化合物であることが特に好ましい。
【0113】
ポリ塩化アルミニウム化合物は、一般式〔Al2(OH)nCl6-n〕m、〔Al(OH)3〕n・AlCl3で示されるものであり、例えば、〔Al6(OH)153+、〔Al8(OH)204+、〔Al13(OH)345+などのような塩基性で、かつ高い正荷電の多核縮合イオン(高分子性)を有効成分として、安定に含んでいるポリ塩化アルミニウムである。
【0114】
ポリ塩化アルミニウム化合物の市販品としては、例えば、浅田化学(株)製のポリ水酸化アルミニウム(Paho)、多木化学(株)製のポリ塩化アルミニウム(PAC)、(株)理研グリーン製のピュケラムWTが挙げられる。また、ポリ硫酸アルミニウム化合物は、一般式 〔Al2(OH)n(SO46-n/2〕m (但し、0<n<6)で表されるものであり、市販品としては浅田化学(株)製の塩基性硫酸アルミニウム(AHS)が挙げられる。ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物の市販品としては、日本軽金属(株)製のPASSが挙げられる。
【0115】
本発明の塗布方法において、被塗布体は基材上に主に無機微粒子と水溶性バインダーとから構成されている多孔質インク吸収層を有している。
【0116】
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。また、各々単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
【0117】
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
【0118】
上記無機微粒子の粒径は、空隙率の大きな構造を得る上で、平均一次粒径として30nm以下であることが好ましく、被膜の透明性を高める上で特には3〜10nmが好ましい。
【0119】
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質物質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0120】
また、本発明に係る多孔質インク吸収層で用いることのできる親水性バインダーとしては、特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
【0121】
親水性バインダーとして特にポリビニルアルコールが好ましい。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0122】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、平均重合度が1500〜5000のものが特に好ましく用いられる。
【0123】
ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0124】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0125】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0126】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0127】
アニオン変性ポリビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0128】
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0129】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0130】
本発明で用いることのできる基材は、吸水性支持体であっても、非吸収性支持体であってもよいが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体を用いることが好ましい。
【0131】
本発明で好ましく用いられる非吸収性支持体としては、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
【0132】
そのようなポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0133】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
【0134】
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0135】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0136】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0137】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0138】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0139】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもく、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0140】
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0141】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0142】
特にインク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
【0143】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
【0144】
上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
【0145】
本発明に係る多孔質インク吸収層には、各種の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0146】
上記の多孔質インク吸収層を、非吸収性支持体上に塗布する際の温度は、一般的には、30〜60℃であり、塗布後の冷却温度は塗膜温度が概ね20℃以下になるようにすれば良く、特に、15℃以下にすることが好ましい。
【0147】
冷却工程は、塗布後、例えば15℃以下に冷却されたゾーンを一定時間(好ましくは5秒間以上)通過させることで行うことができる。この冷却時点では、あまり強い風を吹き付けないことが、液ヨリを起こさず均一でムラのない塗膜を得る観点から好ましい。
【0148】
一旦冷却した以降は、強い風を吹き付けても、塗布液自体の増粘のため、液ヨリを起こしにくくなり、強い風を吹き付けても液ヨリの発生を抑制することができる。また、吹き付ける強い風の温度は、20℃以上の風を吹き付けることができるが、徐々に風の温度を上げるのが好ましい。
【0149】
多孔質インク吸収層用の塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥工程は、風を吹き付けたり高温状態のゾーンを通過させる、もしくは両者を併用することで行われる。
【0150】
高温ゾーンを通過させて乾燥させる場合、50〜150℃の乾燥ゾーンを通過させる。この際、乾燥温度は、支持体の耐熱性や塗膜への悪影響などを考慮して適切な乾燥温度を選択することが好ましい。乾燥する風は、通常、相対湿度が10〜50%、好ましくは15〜40%の風で行われる。乾燥時間は、湿潤膜厚にもよるが、概ね10分以内が好ましく、5分以内にするのが特に好ましい。
【0151】
塗布速度は、湿潤膜厚や設備の乾燥能力に依存するが、概ね1分当たり10〜1000m、好ましくは20〜500mである。
【実施例】
【0152】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0153】
実施例1
《記録用紙101の作製》
〔支持体の作製〕
木材パルプ(LBKP/NBSP=50/50)100質量部に対して、ポリアクリルアミドを1質量部、灰分(タルク)を4質量、カチオン化澱粉を2質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を0.5質量部、及び種々の添加量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が170g/m2になるように基紙を抄造した。これにカレンダー処理した後、7質量%のアナターゼ型酸化チタンおよび少量の色調調整剤を含有する密度0.92の低密度ポリエチレン樹脂を320℃で厚さ28μmになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリングローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度0.96の高密度ポリエチレン/密度0.92の低密度ポリエチレン=70/30の混合した溶融物を同様に溶融押し出し法で、厚さが32μmになるように被覆した。
【0154】
インク吸収層を設ける側の面の60度光沢度は56%、中心線平均粗さRaは0.12μmであった。
【0155】
この支持体の酸化チタン含有層側に、コロナ放電した後、ゼラチン0.05g/m2を下引き層として塗布した。
【0156】
一方反対側には、平均粒径約1.0μmのシリカ微粒子(マット剤)と少量のカチオン性ポリマー(導電剤)を含有するスチレン/アクリル系エマルジョンを、乾燥膜厚が約0.5μmになるように塗布して、インク吸収層を塗布するための支持体を作製した。
【0157】
バック面側は、光沢度が約18%、中心線平均粗さRaが約4.5μm、ベック平滑度は160〜200秒であった。
【0158】
このようにして得られた支持体の基紙の含水率は7.0〜7.2%であった。
【0159】
また、この支持体の不透明度は96.5%、白さは、L*=95.2、a*=0.56、b*=−4.35であった。
【0160】
〔インク吸収層塗布液の調製〕
下記の手順に従って、下記の組成からなるインク吸収層用塗布液を調製した。
【0161】
(酸化チタン分散液1の調製)
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)を500g、カチオンポリマー(P−1)を150g及びサンノブコ株式会社の消泡剤SN381を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
【0162】
【化1】

【0163】
(シリカ分散液1の調製)
水 71L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
全量を純水で100Lに仕上げた。
【0164】
無機微粒子として、気相法シリカ(平均一次粒子径 約12nm)を50kg用意し、これに上記添加剤を添加した後、特開2002−47454号公報の実施例5に記載された分散方法により分散してシリカ分散液1を得た。
【0165】
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
(シリカ分散液2の調製)
上記シリカ分散液1の調製において、カチオン性ポリマー(P−1)を、カチオン性ポリマー(P−2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液2を調製した。
【0166】
【化2】

【0167】
(インク吸収層塗布液の調製)
第1層、第2層、第3層及び第4層の各インク吸収層用塗布液を、以下の手順で調製した。
【0168】
〈第1層用塗布液〉
シリカ分散液1の610mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
【0169】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
220ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 1.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0170】
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液1の630mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
【0171】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0172】
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0173】
〈第4層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
【0174】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
サポニン50%水溶液 4ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 6ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0175】
【化3】

【0176】
上記のようにして調製した各塗布液を、20μmの捕集可能なフィルターで2段ろ過した。
【0177】
上記各塗布液は、いずれも40℃において30〜80mPa・s、15℃において30000〜100000mPa.sの粘度特性を示した。
【0178】
〔オーバーコート液1(塗布液(B))の調製〕
攪拌している水500ml中に、下記の添加剤を順次添加、溶解してオーバーコート液1を調製した。
【0179】
水溶性染料BasonylRed560(BASF製) 3.0g
界面活性剤(日信化学製 オルフィンE1010) 3.0g
水で1000mlに仕上げる。
【0180】
このオーバーコート液1の粘度は、25℃で1.0mPa・s、静的表面張力は35mN/m、動的表面張力は40mN/mであった。
【0181】
なお、動的表面張力(DST)の測定は、塗布液温度25℃において、クルス社製のBP2を使用し、連続的に泡を発生させ、バブルプレッシャー法により50ms時の表面張力の値を測定した。また、静的表面張力(SST)は、表面張力計(協和界面科学製:CBVP−Z)を使用し、25℃の時の白金プレート法による表面張力値を測定した。粘度は、振動式粘度計(山一電機製:VM1G−L)を用いて測定した。
【0182】
〔塗布〕
図1に記載の塗布製造ラインを用い、コータ(a)は4層式カーテンコータを用い、コータ(b)は図4〜6に記載のスロットノズルスプレー装置を1台のみ使用した。また、スロットノズルスプレー装置はその内部に冷温水による温度制御手段を設け、オーバーコート液の調整釜にはその外周部に温度制御用のジャケットを設け、温度制御可能とした。また、調製釜からスロットノズルスプレー装置の供給口までの供給配管は、その外周部に保温ジャケットを設け、任意の温度制御ができるようにした。更に、スロットノズルスプレー装置の配置した塗布領域は、間仕切りを設けて独立した塗布室とし、その塗布室全体を所定の温度に制御できるようにした。なお、記録用紙101の作製においては、図5に記載の脱泡槽は未使用とした。
【0183】
以上のような塗布製造ラインを用い、上記調製した各インク吸収層用塗布液を、上記作製したポリオレフィンで両面を被覆した支持体の表側に、第1層(35μm)、第2層(45μm)、第3層(45μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を同時塗布した。なお、各層のかっこ内の数値は、それぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、各インク吸収層用塗布液を40℃で4層式カーテンコーターを用い、塗布幅:約1.5m、塗布速度:150m/分で同時塗布を行った。
【0184】
塗布直後に8℃に保持した冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃、相対湿度20%以下で30秒間、60℃、相対湿度20%以下で120秒間、55℃、相対湿度20%以下で60秒間、各々の乾燥風を吹き付けて乾燥した。
【0185】
次いで、インク吸収層の乾燥終点に図4〜図6に記載の構成からなるスロットノズルスプレー装置を用いて、オーバーコート液の温度を5℃、スロットノズルスプレー装置の温度を25℃、オーバーコート塗布室の温度を25℃として、上記調製したオーバーコート液1を、多層インク吸収層上に、塗布速度150m/min、湿潤膜厚(hw)10.0μm、オーバーコート液1の液出口線速度を62.5cm/secの条件で塗布を行い、記録用紙101を作製した。
【0186】
なお、上記スロットノズルスプレー装置は、塗布液ノズルは40μmのスリット状、ガスノズルは150μm幅のスリット状とし外部ダイブロックの底面のなす角度は180度、塗布液ノズルの塗布液吐出口とガスノズルのガス吐出口のなす角度を30度、外部ダイブロックの底面を40mmとし、外部ダイブロックの底面と被塗布体表面との距離を10mmとした。また、ガスノズルより供給するガスは、空気を使用し、ガスノズルより200m/secの風量で供給した。
【0187】
〔記録用紙102〜111の作製〕
上記記録用紙101の作製おいて、オーバーコート液1(塗布液(B))のコータ(b)への供給時の温度を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙102〜111を作製した。
【0188】
〔記録用紙112、113の作製〕
上記記録用紙107、111の作製において、図5に記載のように供給配管のポンプ5とオーバーコート液1への塗布液供給口との間に、超音波脱泡槽(ブロンソン社製の超音波発信器を脱泡槽底部に設置)を設け、コータ(b)へオーバーコート液1を供給する5分前より脱泡処理を開始した以外は同様にして、記録用紙112、113を作製した。
【0189】
《記録用紙の評価》
上記作製した各記録用紙について、下記の方法に従って塗布ムラ耐性及び泡故障耐性の評価を行った。
【0190】
〔塗布ムラ耐性の評価〕
上記作製した各記録用紙を縦3cm、横3cmの大きさに断裁し、スキャナー(Epson ES−8000)で読み込み、あらかじめ作成しておいたスキャナーデータvs濃度変換テーブルにより濃度に変換後、さらに別に求めておいた染料の付量と濃度の関係から付量換算し、300点についての付量変動のRMSを下記式(1)により求めた。
【0191】
【数1】

【0192】
式中、Xiはそれぞれの濃度値、Xは濃度平均値、nは測定点数を表す。
【0193】
これは、平均濃度に対する各ポイントでの濃度差の二乗平均から塗布ムラを定量化したものであり、塗布ムラが小さいほどRMS値は小さい値となる。本発明においては、RMS算出値と目視評価の相関から、RMS値が3.0以下であれば、実技上問題ないと判断した。
【0194】
〔泡故障耐性の評価〕
上記各記録用紙の塗布を3回づつ行い、それぞれの記録用紙を5m、合計15mについて塗膜面を観察し、直径1〜10mmの円形あるいは楕円状の濃度変動部位の発生数を計測し、下記の基準に従って泡故障耐性の評価を行った。
【0195】
A:円形あるいは楕円状の故障は全く認められなかった
B:円形あるいは楕円状の故障が1個発生している
C:円形あるいは楕円状の故障が2〜5個発生している
D:円形あるいは楕円状の故障が6個以上発生している
上記評価で、実用上許容される品質レベルは、AまたはBである。
【0196】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0197】
【表1】

【0198】
表1に記載の結果より、低粘度のオーバーコート液においても、塗布液の温度を35〜55度に加温することにより、塗布ムラの発生が低減し、塗布均一性が向上していることが分かる。また、更に脱泡処理を行うことにより、円形あるいは楕円状の故障の発生が無いことが分かる。
【0199】
実施例2
《記録用紙201〜209の作製》
実施例1に記載の記録用紙112の作製において、スロットノズルスプレー装置(コータ(b))の保温温度を変更し、塗布液(B)の温度T1とコータ(b)の温度T2との温度差の絶対値ΔT1を表2に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙201〜209を作製した。
【0200】
《記録用紙の評価》
実施例1で作製した記録用紙112と、上記作製した記録用紙201〜209について、実施例1に記載の方法と同様にして塗布ムラ耐性及び泡故障耐性の評価と、下記の方法に従って、幅手塗布均一性の評価を行った。
【0201】
〔幅手塗布均一性の評価〕
各記録用紙を、搬送方向3cm×塗布幅方向140cmに切り出し、スキャナー(Epson ES−8000)で100点についてデータ読み込みを行い、あらかじめ作成しておいたスキャナーデータvs濃度変換テーブルにより濃度に変換した後、更に別に求めておいた染料の付量と濃度の関係から付量換算した。次いで、測定点100点について、換算した付量の最大値、最小値及び平均値を求め、下式に従って変動幅を計算した。
【0202】
変動幅=〔(最大付量値−最小付量値)/平均付量値〕×100(%)
変動幅が7%以内であれば、実技上問題ないと判断した。
【0203】
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0204】
【表2】

【0205】
表2に記載の結果より明らかなように、コータ(b)を加温し、塗布液(B)の温度T1とコータ(b)の温度T2との温度差の絶対値ΔT1を10℃以下、好ましくは5℃以下、特に好ましくは0℃とすることにより、良好な塗布ムラ耐性及び泡故障耐性を維持すると共に、幅手の塗布均一性がより一層向上していることが分かる。
【0206】
実施例3
《記録用紙301〜309の作製》
実施例2に記載の記録用紙205の作製において、スロットノズルスプレー装置(コータ(b))を設置してある塗布室の空調温度を変更し、塗布液(B)の温度T1とコータ(b)が設置されている塗布室の環境温度T3との温度差の絶対値ΔT2を、表3に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙301〜309を作製した。
【0207】
《記録用紙の評価》
実施例2で作製した記録用紙204と、上記作製した記録用紙301〜309について、実施例1、2に記載の方法と同様にして塗布ムラ耐性、泡故障耐性及び幅手塗布均一性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0208】
【表3】

【0209】
表3に記載の結果より明らかなように、コータ(b)が設置されている塗布室の空調温度を変更し、塗布液(B)の温度T1とコータ(b)が設置されている塗布室の環境温度T3との温度差の絶対値ΔT2を10℃以下、好ましくは5℃以下、特に好ましくは0℃とすることにより、良好な塗布ムラ耐性及び泡故障耐性を維持すると共に、幅手の塗布均一性がより一層向上していることが分かる。
【0210】
実施例4
《記録用紙401〜405の作製》
実施例3に記載の記録用紙305の作製において、コータ(b)の種類及び保温温度、塗布液(B)のコータ(b)への供給時温度及び塗布室の空調温度を、表4に記載の組み合わせで変更した以外は同様にして、記録用紙401〜405を作製した。
【0211】
なお、記録用紙402、403の作製に用いたリバースロールコータは図2に記載のコータを使用し、また、記録用紙404、405の作製に用いたグラビアロールコータは図3に記載のコータを使用した。
【0212】
《記録用紙の評価》
実施例3で作製した記録用紙305と、上記作製した記録用紙401〜405について、実施例1、2に記載の方法と同様にして塗布ムラ耐性及び幅手塗布均一性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
【0213】
【表4】

【0214】
表4に記載の結果より明らかなように、コータ(b)として、スロットノズルスプレー装置の他に、リバースロールコータ、グラビアロールコータを用いても、塗布液(B)の温度を35〜55度に加温することにより、塗布ムラ耐性及び幅手の塗布均一性に優れた結果が得られることが分かる。各種コータの中でも、特に、スロットノズルスプレー装置を用いた場合に、選りすぐれた効果が得られることが分かる。
【0215】
実施例5
上記実施例1〜4に記載の塗布方法において、染料水溶液に代えて、機能性付与化合物として、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物をそれぞれ含む各オーバーコート液を用いて、同様の塗布を行った。
【0216】
得られた各記録用紙について、同様の性能評価を行った結果、実施例1〜4に記載の結果と同様に、本発明の塗布方法は、比較例に対し、塗布ムラ耐性、幅手塗布均一性が向上し、塗布故障が低減し、安定して良質な膜面性能を得ることができることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】本発明に係る低粘度塗布液(B)を塗布するコータ(b)を配置した塗布製造ラインの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に適用可能なリバースロールコータの一例を示す概略図である。
【図3】本発明に適用可能なグラビアロールコータの一例を示す概略図である。
【図4】本発明に係るスロットノズルスプレー装置を用いた塗布方法を説明するための概略図である。
【図5】図4で説明したスロットノズルスプレー部を含むスロットノズルスプレー装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0218】
1 スロットノズルスプレー部(コータ(b))
2a、2b 外部ダイブロック
2c、2d 外部ダイブロックの底面
3a、3b 内部ダイブロック
3c、3d 内部ダイブロックの底面
4 調整釜
5 ポンプ
6 脱泡槽
7 加圧空気源
8 弁
9 被塗布体
10 基材
11 インク吸収層
12 液滴粒子
20 コータ(a)
30 冷却ゾーン
A ガスポケット
B 塗布液ポケット
C 塗布液ノズル
D ガスノズル
E 塗布液
G 圧縮空気
101 リバースロールコータ
111 搬送手段
112 バックアップローラ
113 ケーシング
114 アプリケータローラ
115 メタリングローラ
116 回収ローラ
201 グラビアロールコータ
202 バックアップロール
203 グラビアロール
204 塗布液貯留ケース
205 ホルダ
206 ドクタブレード
207 塗布液
230 攪拌手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続搬送している基体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した後、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)をコータ(b)を用いて塗布する塗布方法において、該コータ(b)に供給する該塗布液(B)の温度が、35℃以上、55℃以下であることを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記塗布液(B)は、前記コータ(b)に供給される前に脱泡処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
【請求項3】
前記塗布液(B)の前記コータ(b)に供給する直前の温度T1と前記コータ(b)の温度T2との温度差の絶対値ΔT1が、10℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記塗布液(B)の前記コータ(b)に供給する直前の温度T1と前記コータ(b)が設置されている部屋の環境温度T3との温度差の絶対値ΔT2が、10℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記コータ(b)が、スロットノズルスプレー装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布方法。
【請求項6】
支持体上に無機微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液(A)を塗布した基体上に、25℃における粘度が0.1mPa・sec以上、10mPa・sec以下の塗布液(B)を塗布するコータ(b)と、前記コータ(b)に該塗布液(B)を供給する塗布液供給源とを有する塗布装置において、該塗布液供給源または該塗布液供給源からコータ(b)に塗布液(B)を供給する供給配管が、温度調整手段を有し、かつ該塗布液(B)を35℃以上、55℃以下に保温することを特徴とする塗布装置。
【請求項7】
前記塗布液(B)を前記コータ(b)に供給する前記供給配管の途中に、脱泡装置が設けられていることを特徴とする請求項6記載の塗布装置。
【請求項8】
前記コータ(b)は、温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記コータ(b)が設置されている部屋が、温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記コータ(b)が、スロットノズルスプレー装置であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−346516(P2006−346516A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172137(P2005−172137)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】