説明

壊死又はアポトーシスによって生じた組織損傷又は疾患の治療におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤としての3,6−置換された5−アリールアミノ−1H−ピリジン−2−オン誘導体及び関連化合物

本発明は、式(I)
【化1】


(式中、R1及びR3は、相互に独立してフッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;R2は、水素、フッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;Xは、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;Arは、非置換又は少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールである)の化合物に関する。
前記化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤であり、そして以下:壊死又はアポトーシスのために細胞損傷又は細胞死から生じる組織損傷、神経に介在する組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再灌流障害、神経学的障害及び神経変性障害、血管卒中、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓手術に伴う虚血、加齢性黄斑変性、関節炎、動脈硬化症、癌、複製老化を伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病の心筋障害から選ばれる疾患を治療する医薬に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換された2−ピリドン誘導体、その製造方法及び医薬としてのその使用に関するもので、一般式I
【化1】

(式中、置換基R1、R2、R3、Ar及びXの定義は、以下の説明に記載されている)の化合物、及びその生理学上許容しうる塩、これらの化合物の製造方法及び医薬としてその使用についてのものである。これらの化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ADP−リボース)シンセターゼ(PAR)としても知られているポリ(アデノシン5'−二リン酸−リボース)ポリメラーゼ[ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ、PARP]は、核当たり約2×105分子が存在する真核細胞のクロマチン結合した核酵素である。最新の研究結果によれば、PARPは種々の障害の病因に関与し、このためPARP酵素活性の阻害は、臨床前の動物モデルの障害の経過において有益効果を有することができる(Cristina Cosi, Expert Opin. Ther. Patents, 2002, 12, 1047-1071 及び L. Virag and C. Szabo, Pharmacol.
Rev., 2002, 54, 1-54)。ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼは酵母菌を除く全ての真核生物で生じ、遺伝情報を遺伝毒性の影響から保護するためのゲノムサーベイランスネットワークの一部である。DNA損傷は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの酵素活性を誘発し、生理学的条件下、DNA中で酵素によって認識された過誤の修復をもたらす。しかしながら、虚血、低酸素、再灌流又は炎症プロセスにおける場合のような病理学的状況では、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼは、フリーラジカル酸素種によって強く活性化されることがあり、その結果、酵素によってその基質NADが大量に消費される。NADのこの枯渇は、患部組織で観察される細胞死が1つの理由である(いわゆるエネルギー危機理論)。PARP阻害剤の治療上使用するのは、組織中でこのNADの枯渇を予防又は減少させるためである。細胞中の酸化性ストレスからNAD枯渇までのシグナル伝達における本明細書に記載された役割とは別に、PARPのさらなる細胞機能は、現在、文献に示唆されており、そしてこれは病理学的状況でPARP阻害剤の分子作用機構において同様の役割を果たすと考えられる(A. Chiarugi, Trends Pharmacol. Sci., 2002, 23, 122-129)。分子作用機構についてのこの未解決の議論に関係なく、種々のPARP阻害剤の治療効力は、いくつかの臨床前の動物モデル:例えば急性心筋梗塞、急性腎不全、脳虚血(卒中)、神経変性障害(例えばパーキンソン病のモデル)、糖尿病、生体異物誘発性肝毒性、関節炎、ショック肺、敗血症性ショックについて及び腫瘍性疾患の化学療法における増感剤として示されている(summarized in L. Virag and C. Szabo, Pharmacol. Rev., 2002, 54, 1-54)。
【0003】
特に、PARP阻害剤は、急性心筋梗塞において形態学的及び機能的な改善をもたらすことを示すことができるだけでなく(J. Bowes et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 359, 143-150; L. Liaudet et al., Br. J. Pharmacol., 2001, 133, 1424-1430; N. Wayman et al., Eur. J. Pharmacol., 2001, 430, 93-100)、またPARP阻害剤治療中の慢性心不全においても有意に心機能を改善する (P. Pacher, J. Am. Coll. Cardiol., 2002, 40, 1006-1016)。梗塞性の心臓において細胞死を通して器官の機能喪失をもたらすような低灌流は、個々の領域、さらに器官機能の喪失又は完全な欠損に至る事象の連鎖の開始時にも脳卒中に現れる。従って、PARP−1遺伝子の遺伝的除去の他に(M. J. L. Eliasson et al., Nat. Med., 1997, 10, 1089-1095)−脳虚血モデル(K. Takahashi et al., L. Cereb. Blood Flow Metab., 1997, 11, 1137-1142)、MPTP−誘発性神経毒性モデル(C. Cosi et al., Brain Res., 1996, 729, 264-269)及びニューロン興奮毒性モデル(A.S. Mandir et al., J. Neurosci., 2000, 21, 8005-8011)においてもPARP阻害剤の有効性を示すことは可能である。心臓血管障害に関連する非常に重要なさらなる発見は、虚血により損傷を受けた腎臓におけるPARP阻害の有効性であり、その際、プラシーボの治療を受けた動物と比較してPARP阻害剤で治療された動物において器官の濾過機能における改善が同様に見出された(D.R. Martin et al., Am. J. Physiol. Regulatory Integrative Comp. Physiol., 2000, 279, R1834−R1840)。前記障害の急性の虚血性傷害と対照的に、慢性PARP活性化は、例えば糖尿病のような種々の病理で生じる。PARP阻害剤の有効性はI型糖尿病の臨床前モデル(W.L. Suarez−Pinzon et al., Diabetes, 2003, 52, 1683-1688)及びII型糖尿病の臨床前モデル(F.G. Soriano et al., Nat. Med., 2001, 7, 108-113; F.G. Soriano et al., Circulation, 2001, 89, 684−691)の両方で示されている。I型糖尿病におけるPARP阻害剤の有益効果は、その抗炎症性質に起因しており、それはまた、例えば慢性大腸炎(H.B. Jijon et al., Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 2000, 279, G641−G651)、コラーゲン誘発性関節炎(H. Kroger et al., Inflammation, 1996, 20, 203-215)のようなさらなる臨床前のモデル及び敗血症性ショック(B. Zingarelli et al., Shock, 1996, 5, 258-264)において示すことができる。さらに、PARP阻害剤は、マウスの化学療法で腫瘍における感作効果を有する(L. Tentori et al., Blood, 2002, 99, 2241-2244)。
【0004】
例えばインドール、ベンゾイミダゾール、イソキノリノール又はキナゾリノンの誘導体といったような多くの異なる種類の化学物質がPARP阻害剤として使用できることが、文献(例えばC. Cosi, Expert Opin. Ther. patents, 2002, 12, 1047-1071; Southan et al.,
Current Medicinal Chemistry, 2003, 10, 321-340)に開示されている。以前に開示されたPARP阻害剤の多くは、二又は多環式の塩基性構造の誘導体である。
【0005】
ピリドン誘導体及び医薬上活性物質としてのその使用可能性は、知られている。しかし、PARP阻害剤としてのピリドン誘導体の使用は、まだ記載されていない。文献に記載されたピリドン誘導体は、式Iの本発明の化合物と比べて異なる置換パターンを有する。
【0006】
US 4,431,651は、強心剤として5位に置換されたフェニル又はピリジニル基を有する2−ピリドン誘導体を記載している。
【0007】
US 4,699,914は、鬱血性心不全の治療用の5位にイミダゾリルチエニル又はイミダゾリルフェニル基を有する2−ピリドン誘導体を記載している。
【0008】
EP−A 489327は、心臓血管系に対する効果を示し、2−ピリドン−アミノ基によって置換することができるクロマン誘導体を記載している。
【0009】
WO93/07137は、プロテインキナーゼアゴニストとして3位に種々の置換基を有するピリジノール誘導体を記載している。
【0010】
WO95/00511は、2−ピリドン−アミノ基によって置換されうる、抗リウマチ性を有するナフチリジン及びピリドピラゾン誘導体を記載している。
【0011】
WO95/13272は、心臓血管障害の治療用の、ジヒドロキソピリジル基によって置換されうるクロマン誘導体を記載する。
【0012】
WO01/02400は、ハロゲン及びアミノ基の他に、非置換又は一置換された2−ピリジン−アミノ基を有し、そしてアデノシンA2受容体拮抗剤として用いることができる縮合イミダゾール誘導体を製造するための中間体として役立つフェニル、ピリジニル及びピリミジニル誘導体を記載している。
【0013】
WO01/25220及びUS 2004/0116388は、キナーゼ阻害剤として2−ピリドンアミノ基を有することができるトリアジン誘導体を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
PARPの阻害によって治療することができる心筋梗塞のような疾患は、ヒト及び他の哺乳動物の健康に深刻な危険性があるため、このような疾患を治療するための好都合な治療プロファイルを有する新規な医薬が大いに必要とされている。従って、本発明は、PARPにおける阻害作用を有する新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、式I
【化2】

の置換された2−ピリドン誘導体又はその生理学上許容しうる塩に関する。
【0016】
式中、意味は:
R1及びR3は、相互に独立してフッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、又はメトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
R2は、水素、フッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
Xは、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
Arは、非置換、又は少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)(C1−C6−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C6−アルキル置換基は、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく、
そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく;
アリールは、5〜10員芳香族単又は二環であり;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員芳香族単又は二環式複素環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員非芳香族単又は二環式複素環であり;
【0017】
R4及びR5基は、相互に独立して水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片は、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2によってさらに少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合した窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片は、フッ素又はC1−C3−アルキルによってさらに少なくとも一置換されていてもよく;
但し、XがNH又はN(C1−C3−アルキル)である場合、Arはトリアジニル又はクロマニルでなく、そしてArはピリドピラジニル又はナフチリジニルでない。
【0018】
例えばアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルコキシなどのような基、断片、基又は置換基が式(I)の化合物中で1回を超えて存在する場合、それらは全て相互に独立して前記の意味を有し、従ってそれぞれの(個々の)場合、同一の又は相互に独立した意味を有する。以下の説明は、アリール基、置換基、断片又は基としてのその表示にかかわりなく(例えば)アリール及び他のいずれかの基にも適用される。さらなる例は−N(C1−C3−アルキル)2基であり、ここでは、2つのアルキル置換基が同一又は異なることができる(例えばエチル2回又はプロピル1回及びメチル1回)。
【0019】
式(I)の化合物の上記の定義において置換基、例えばアリールが非置換又はさらなる置換基、例えばC1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲンなどの群によって少なくとも一置換されうる場合、次いでアリールが多置換される場合の選択は、相互に独立した一連のさらなる置換基から行う。従って、例えば、アリールが二置換される場合、さらなる置換基の全ての組み合わせが含まれる。従って、アリールは、例えばエチルで二置換されていてもよく、アリールは、各場合、メチル及びエトキシで一置換されていてもよく、アリールは、各場合、エチル及びフッ素で一置換されていてもよく、アリールは、メトキシなどで二置換されていてもよい。
【0020】
アルキル基は直鎖状又は分枝、非環式又は環式であることができる。また、これは、例えばアルコキシ基(C1−C10−アルキル−O−)、アルコキシカルボニル基又はアミノ基のような別の基の一部である場合、又はそれらが置換されている場合にも適用される。
【0021】
アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルである。その中には、これらの基のn異性体、及びイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチルなどが含まれる。特に明記しない限り、用語アルキルには、さらに非置換、又は1つ又はそれ以上のさらなる基、例えばアリール、ヘテロアリール、アルコキシ又はハロゲンのような例えば1、2、3又は4個の同一又は異なる基によって場合により置換されたアルキル基が含まれる。さらなる置換基がアルキル基のいずれか所望の位置に生じることは可能である。また、用語アルキルには、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル(シクロアルキルによってさらに置換されたアルキル)が含まれ、ここでシクロアルキルは少なくとも3個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシルである。また、環系は、必要に応じて、多環式、例えばデカリニル、ノルボルナニル、ボルナニル又はアダマンタニルである。シクロアルキル基は、非置換、又はアルキル基の例のように上記の1つ又はそれ以上のさらなる基によって場合により置換されていてもよい。
【0022】
アルケニル基の例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、2−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル2−ブテニルである。また、本明細書では、用語アルケニルには、シクロアルケニル基及び少なくとも3個の炭素原子を含むシクロアルケニルアルキル基(シクロアルケニルによって置換されたアルキル)が含まれることが明らかである。シクロアルケニルの例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルである。
【0023】
アルケニル基は、1〜3個の共役型又は非共役型の二重結合(すなわちまた、アルカ−ジエニル及びアルカ−トリエニル基)、好ましくは直鎖又は分枝鎖中に一つの二重結合を有することができる。アルケニル基は、非置換、又はアルキル基の例のような上記の1つ又はそれ以上のさらなる基によって場合により置換されていてもよい。
【0024】
特に明記しない限り、上記のアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、非置換であってもよいし、又はいずれか所望の位置において1つ又はそれ以上、例えば1、2、3又は4個のさらなる上記置換基を有してもよい。例えば、一置換されたフェニル基の置換基は、2、3又は4位にあることができ、二置換されたフェニル基の置換基は、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位又は3,5位にあることができる。三置換されたフェニル基の置換基は、2,3,4位、2,3,5位、2,3,6位、2,4,5位、2,4,6位又は3,4,5位にあることができる。四置換されたフェニル基の置換基は、2,3,4,5位、2,3,4,6位又は2,3,5,6位にあることができる。
【0025】
一価の基に関する上記の及び以下の定義は、フェニレン、ナフチレン又はヘテロアリーレンのような二価の基に同様に厳密に適用される。これらの二価の基(断片)は、いずれか所望の環炭素原子について隣接した基に結合することができる。フェニレン基の場合、これは1,2位置(オルト−フェニレン)、1,3位置(メタ−フェニレン)又は1,4位置(パラ−フェニレン)にあることができる。例えばチオフェン又はフランのようなヘテロ原子を含む5員芳香族系の場合、2つのフリーボンドは、2,3位、2,4位、2,5位又は3,4位にあることができる。例えばピリジンのようなヘテロ原子を有する6員芳香族系から誘導された二価の基は、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ピリジンジイル基であることができる。また、非対称二価基の場合、本発明は、全ての位置異性体を含む、すなわち、例えば2,3−ピリジンジイル基の場合、一方の隣接基が2位にあり、もう一方の隣接基が3位にある化合物は、一方の隣接基が3位にあり、もう一方の隣接基が2位にある化合物と同じ程度に含まれる。
【0026】
特に明記しない限り、ヘテロアリール基ヘテロアリーレン基、ヘテロシクリル基及びヘテロシクリレン基、並びに窒素に結合した2個の基によって形成された環は、異なるか又は同一であることができる1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む完全に飽和、部分的に又は全体として不飽和の複素環(すなわちヘテロシクロアルカン、ヘテロシクロアルケン、複素芳香族)から誘導されるのが好ましい。それらは、同一又は異なることができる1、2又は3個、特に好ましくは1又は2個のヘテロ原子を含む複素環から誘導されるのが好ましい。特に明記しない限り、複素環は、単又は多環式、例えば単環式、二環式又は三環式である。それは、好ましくは単環式又は、二環式である。5員、6員又は、7員環が好ましく、そして5員又は6員環は特に好ましい。2個及びそれ以上のヘテロ原子を有する多環式複素環の場合、これらは、全て同じ環にあってもよいし、又は複数の環に分散されていてもよい。
【0027】
本発明においてヘテロアリールと称する基は、単環式又は二環式芳香族複素環から誘導される。ヘテロアリールの例は、ピロリル、フラニル(=フリル)、チオフェニル(=チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3−オキサゾリル(=オキサゾリル)、1,2−オキサゾリル(=イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル、1,3−チアゾリル(=チアゾリル)、1,2−チアゾリル(=イソチアゾリル)、テトラゾリル、ピリジニル(=ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4,5−テトラジニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、チエノチオフェニル、1,8−ナフチリジニル、他のナフチリジニル、プテリジニル又はチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルである。また、系が単環式でない場合、前記のヘテロアリールのそれぞれについての第2の環には、個々の形態が知られており、かつ安定な限りにおいて、飽和形態(パーヒドロ形態)若しくは部分的に不飽和形態(例えばジヒドロ形態又はテトラヒドロ形態)又は最大不飽和(非芳香族)形態が含まれる。従って、本発明において、用語ヘテロアリールには、例えば両方のいずれの環も芳香族である二環式基又は一方の環のみが芳香族である二環式基も含まれる。このようなヘテロアリールの例は、3H−インドリニル、2(1H)−キノリノニル、4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニル、2H−1−オキソイソキノリル、1,2−ジヒドロキノリニル、3,4−ジヒドロキノリニル、1,2−ジヒドロイソキノリニル、3,4−ジヒドロイソキノリニル、クロモニル、クロマニル、1,3−ベンゾジオキソリル、オキシインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、5,6−ジヒドロキノリニル、5,6−ジヒドロイソキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル又は5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリルである。
【0028】
本発明においてヘテロシクリルと称する基は、単環式又は二環式非芳香族複素環から誘導される。非芳香族複素環は、以下において特にヘテロシクロアルカン(完全飽和複素環)及びヘテロシクロアルケン(部分的不飽和複素環)を意味する。ヘテロシクロアルケンの場合、2個又はそれ以上の二重結合を有する化合物も含まれ、これはまた場合により一緒になって共役していてもよい。ヘテロシクリルの例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキシニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロ−1,2−オキサジニル、テトラヒドロ−1,3−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、アゼピニル、1,2−ジアゼピニル、1,3−ジアゼピニル、1,4−ジアゼピニル、1,3−オキサゼピニル、1,3−チアゼピニル、アゼパニル、2−オキソアゼパニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、4(3H)−ピリミドニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニル及びジヒドロチオピラニルである。複素環式基の飽和度は、それぞれの定義に示されている。
【0029】
これらの複素環から誘導された置換基は、いずれかの適切な炭素原子を経て結合し、そしてさらなる置換基を有することができる。窒素を含む複素環から誘導された基は、対応する窒素原子上で水素原子又は別の置換基を有することができる。例としては、ピロール、イミダゾール、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン基などが含まれる。また、これらの窒素を含むヘテロ環式基は、特に対応するヘテロ環式基が炭素原子に結合している場合、環窒素原子を経て結合することができる。例えば、チエニル基は、2−チエニル又は3−チエニルの形態、ピペリジニル基は1−ピペリジニル(ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル又は4−ピペリジニルの形態であることができる。また、適切な窒素含有複素環は、N−オキシド又は生理学上許容しうる酸から誘導された対イオンを有する第四級塩の形態であってもよい。例えば、ピリジル基は、ピリジンN−オキシドの形態であることができる。また、適切な硫黄含有複素環は、S−オキシド又はS−S−ジオキシドの形態であることができる。
【0030】
本発明においてアリールと称する基は、環ヘテロ原子を含まない単環式又は二環式芳香族系から誘導される。また、系が単環式でない場合、用語アリールにおける第2の環については、個々の形態が知られており、かつ安定な限り、飽和形態(パーヒドロ形態)又は部分的に不飽和形態(例えばジヒドロ形態又はテトラヒドロ形態)である。また、本発明において用語アリールには、例えば両方のいずれの環も芳香族である二環式基、又は一方の環のみが芳香族である二環式基が含まれる。アリールの例は、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2−ジヒドロナフテニル、1,4−ジヒドロナフテニル、インデニル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフチルである。
【0031】
アリールアルキル(例えばアリール(C1−C6−アルキル))は、アルキル基(例えばC1−C6−アルキル)がアリール基によってさらに置換されていることを意味する。ヘテロアリールアルキル(例えばヘテロアリール(C1−C6−アルキル))は、アルキル基(例えばC1−C6−アルキル)がヘテロアリール基によってさらに置換されていることを意味する。ヘテロシクリルアルキル(例えばヘテロシクリル(C1−C6−アルキル))は、アルキル基(例えばC1−C6−アルキル)がヘテロシクリル基によってさらに置換されていることを意味する。アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの定義及び可能な置換については、前記定義を参照のこと。
【0032】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素又は臭素であり、そして特に好ましくはフッ素又は塩素である。
【0033】
本発明は、式(I)の化合物の全ての立体異性体の形態を含む。式(I)の化合物中の不斉炭素原子は、相互に独立してS配置又はR配置を有することができる。本発明は、全ての可能な鏡像異性体及びジアステレオマー及び全ての量及び比率における2つ又はそれ以上の立体異性体の混合物、例えば鏡像異性体及び/又はジアステレオマーの混合物を含む。従って、本発明の化合物は、鏡像体的に純粋な形態にある鏡像異性体として、右旋性及び左旋性の両方の対掌体として、ラセミ体の形態で、及び全ての比率における2つの鏡像異性体の混合物の形態で存在することができる。シス/トランス異性体の場合、本発明は、両方のシス型及びトランス型、並びに全ての比率におけるこれらの形態の混合物を含む。本発明は、全てのこれらの形態に関する。個々の立体異性体の製造は、所望により、合成用の立体化学的に純粋な出発物質を用いることにより慣用の方法によって、例えばクロマトグラフィ又は結晶化によって混合物を分離することによって、又は立体選択的な合成によって可能である。また、別法として、立体異性体を分離する前に誘導体化を実施することもできる。立体異性体の混合物の分離は、式(I)の化合物で又は合成中の適当な中間体で実施することができる。また、本発明は、さらに式(I)の化合物の全ての互変異性体の形態、特にケト/エノール互変異性を含み、すなわち、対応する化合物は、そのケト型又はそのエノール型又は全ての比率におけるそれらの混合物のいずれかであることができる。
【0034】
式(I)の化合物が、1つ又はそれ以上の酸性又は塩基性の基を含む場合、本発明は、対応する生理学上又は毒物学上許容しうる塩を含む。
【0035】
生理学上許容しうる塩は、水への溶解度が出発又は塩基性化合物のものより大きいため、特に医療用途に適している。これらの塩は、生理学上許容しうるアニオン又はカチオンを有しなければならない。本発明の化合物の適切な生理学上許容しうる酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、スルホン酸及び硫酸、並びに有機酸、例えば酢酸、テオフィリン酢酸、メチレンビス−b−オキシナフトン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸及びトリフルオロ酢酸の塩である。適切な医薬上許容しうる塩基性塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム及びカリウム塩)及びアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム及びカルシウム塩)である。
【0036】
同様に、医薬上許容しえないアニオンで塩は、医薬上許容しうる塩を製造又は精製するための及び/又は非治療(例えばin vitro)用途に使用するための有用な中間体として本発明の枠内に属する。
【0037】
式(I)の化合物は、同じ分子中に酸性及び塩基性の両方の基を含む場合、本発明は、前記詳述した塩の形態に加えて内部塩又はベタイン(両性イオン)も含む。
【0038】
式(I)の化合物の対応する塩は、当業者に知られている慣用の方法によって、例えば溶媒又は分散媒中で有機又は無機の酸又は塩基と反応させることによって、又は他の塩とアニオン若しくはカチオン交換することによって得ることができる。
【0039】
本発明は、さらに式(I)の化合物の全ての溶媒和物、例えば水和物又はアルコールとの付加物、式(I)の化合物の活性代謝物、及び除去することができる生理学上許容しうる基、例えばエステル又はアミドを含む誘導体を含む。
【0040】
本明細書に用いる「生理学上機能性の誘導体」なる用語は、式Iの本発明の化合物のすべての生理学上許容しうる誘導体、例えばエステルのことであり、これは、例えばヒトのような哺乳動物に投与すると、式Iの化合物又はその活性代謝物を(直接又は間接的に)形成することができる。
【0041】
また、生理学上機能性の誘導体には、本発明の化合物のプロドラッグも含まれる。このようなプロドラッグは、生体内で新陳代謝されて本発明の化合物を生成することができる。これらのプロドラッグは、それ自体活性であってもよいし、又は活性でなくてもよく、同様に本発明はプロドラッグに関する。
【0042】
また、本発明の化合物は、種々の多形性形態、例えば非晶質及び結晶性多形性形態として存在することができる。本発明の化合物の全ての多形性形態は、本発明の枠内に属し、そして本発明のさらなる態様である。
【0043】
一般式(I)の好ましい化合物は、上記の置換基R1〜R5、X、Ar、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの1つ、複数又は全てが相互に独立して以下に詳述する意味(定義)を有するそれらの化合物であり、そして本発明は、前記の意味における置換基と組み合わせと同様に、好ましい、より好ましい、そして特に好ましい意味(定義)の全ての可能な組み合わせに関する。
【0044】
Xは、好ましくはO、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
Xは、より好ましくはNH又はN(C1−C3−アルキル)、そして特に好ましくはNH又はN−メチルであり;
R1は、好ましくはフッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R1は、より好ましくはC1−C3−アルキル、そして特に好ましくはエチルであり;
R2は、好ましくは水素、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R2は、より好ましくは水素であり;
R3は、好ましくはフッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R3は、より好ましくはC1−C3−アルキル、そして特に好ましくはメチルであり;
Arは、好ましくは非置換又は一置換されたフェニル又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、
そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、より好ましくは非置換又は、少なくとも一置換されたフェニル、インダニル、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、ナフチル、イソキノリニル、ピリジニル、キノリニル、2,3−ジヒドロインドリル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチルであり、
ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリール、フェニル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−CH2NR4R5、−SO2NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、ヘテロアリール又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、そしてフェニル及びヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
【0045】
Arは、特に好ましくは非置換又は一置換されたフェニル、ピリジル、キノリニル、インダニル、2,3−ジヒドロインドリル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチルであり、
ここで置換基は、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリ
ール、−O−ヘテロアリール、−CH2 NR4R5、−SO2 NR4R5、及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、ヘテロアリール又はOHによって一置換されていてもよく、そしてヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキルによって一置換されていてもよく;
R4は、好ましくは水素又はC1−C3−アルキルであり;
R4は、より好ましくは水素であり、
R5は、好ましくは;水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群よりさらに選ばれ;
R5は、より好ましくは水素;非置換又は一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群よりさらに選ばれ;
【0046】
R5は、特に好ましくは水素、C1−C3アルキル又はピリジニルであり、
R4及びR5は、好ましくはそれらが結合している窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル及びピペラジニルからなる群より選ばれる基を形成し、
ここで、置換基はフッ素、−C(O)−(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル及びピロリジニルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、さらにフッ素又はC1−C3−アルキルであり;
R4及びR5は、より好ましくはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジニル基を形成し;
アリールは、好ましくはフェニル、インダニル又はナフチルであり;
アリールは、より好ましくはフェニル又はインダニルであり;
アリールは、特に好ましくはフェニルであり;
ヘテロアリールは、好ましくはピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロアリールは、より好ましくはピリジニル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソキノリニル、ピロリル又は2,3−ジヒドロインドリルであり;
ヘテロアリールは、特に好ましくはピリジニル、イミダゾリル;又はピリミジニルであり;
ヘテロシクリルは、好ましくはモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルであり;
ヘテロシクリルは、より好ましくはモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はピペラジニルであり;
ヘテロシクリルは、特に好ましくはピロリジニルである。
【0047】
また、本発明は、式Iにおいて
Xは、O、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R2は、水素、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R3は、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
Arは、非置換又は一置換されたフェニル又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
R4は、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R5は、水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群よりさらに選ばれ;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル及びピペラジニルからなる群より選ばれる基を形成し、
ここで置換基は、フッ素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル及びピロリジニルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、さらにフッ素又はC1−C3−アルキルであり;
アリールは、フェニル、インダニル又はナフチルであり;
ヘテロアリールは、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである;
の意味を有する式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩に関する。
【0048】
本発明は、さらに、式Iにおいて、
Xは、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、C1−C3−アルキルであり;
R2は、水素であり;
R3は、C1−C3−アルキルであり;
Arは、非置換又は一置換されたフェニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、イソキノリニル、ピリジニル、キノリニル又は2,3−ジヒドロインドリルであり、
ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリール、フェニル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、ヘテロアリール又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、そしてフェニル及びヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
R4は、水素であり、
R5は、水素;非置換又は一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基は、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群よりさらに選ばれ;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたピロリジニル基を形成し、ここで置換基は、C1−C3−アルキル及びヒドロキシからなる群より選ばれ;
アリールは、フェニル又はインダニルであり;
ヘテロアリールは、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソキノリニル、ピロリル又は2,3−ジヒドロインドリルである;
の意味を有する式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩に関する。
【0049】
また、本発明は、式Iにおいて、
Xは、NH又はN−メチルであり;
R1は、エチルであり;
R2は、水素であり;
R3は、メチルであり;
Arは、非置換又は一置換されたフェニル、インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、ピリジニル、キノリニル又は2,3−ジヒドロインドリルであり、
ここで置換基は、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、ここでC1−C3−アルキル置換基は、ヘテロアリール又はOHによって一置換されていてもよく、そしてヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキルによって一置換されていてもよく;
R4は、水素であり
R5は、水素、C1−C3−アルキル又はピリジニルであり;
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジニル基を形成し;
ヘテロアリールは、ピリジニル、イミダゾリル又はピリミジニルである;
の意味を有する式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩に関する。
【0050】
また、本発明は、
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンゾニトリル;
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンズアミド;
5−(3−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
N−[3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)フェニル]アセトアミド;
3−エチル−6−メチル−5−(キノリン−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
4−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド;
3−エチル−6−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(4−イミダゾール−1−イルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
5−(1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
4−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)−N−ピリジン−2−イル−ベンゼンスルホンアミド;
3−エチル−6−メチル−5−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
N−[6−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル] −アセトアミド;
6−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ニコチノニトリル;
【0051】
3−エチル−6−メチル−5−(1−オキソインダン−5−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−4−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
5−(2−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
5−(4−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−メトキシフェノキシ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルオキシ)ベンゾニトリル;
3−エチル−6−メチル−5−(3−メチルアミノメチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−メタンスルホンイルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−[3−(2−メチルピリミジン−4−イル)フェニルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(3−ピロリジン−1−イルメチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−[3−(1−ヒドロキシエチル)フェニルアミノ]−6−メチル1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(メチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
からなる群より選ばれる一般式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩に関する。
【0052】
式Iの化合物が1つ又はそれ以上の酸性又は塩基性の基又は1つ又はそれ以上の塩基性の複素環を含む場合、対応する生理学上又は毒物学上許容しうる塩、特に医薬上使用できる塩も、また、本発明に属する。従って、酸性基、例えば1つ又はそれ以上のCOOH基を有する式Iの化合物は、例えばアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム若しくはカリウム塩として、又はアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム若しくはマグネシウム塩として、又はアンモニウム塩として、例えばアンモニアで塩として又は有機アミン又はアミノ酸として使用することができる。また、1つ又はそれ以上の塩基性の、すなわちプロトン化できる基を有する、又は1つ又はそれ以上の塩基性のヘテロ環式環を含む式Iの化合物は、例えば塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩などのような無機又は有機酸とのそれらの生理学上許容しうる酸付加塩の形態で使用することができる。式Iの化合物が分子中に酸性及び塩基性基の両方を含む場合、記載された塩形態の他に、ベタインと称する分子内塩も本発明に属する。塩は、式Iの化合物から慣用の方法によって、例えば溶媒又は分散媒中で酸又は塩基と合わせることによって、又は別法として他の塩から陰イオン交換によって得ることができる。
【0053】
式Iの化合物は、適切に置換された場合、立体異性体の形態で存在する。式Iの化合物が1つ又はそれ以上の非対称中心を含む場合、これは、相互に独立してS配置又はR配置を有することができる。本発明は、全ての可能な立体異性体、例えば鏡像異性体又はジアステレオマー、及びあらゆる比率の2つ又はそれ以上の立体異性体形態の混合物、例えば鏡像異性体及び/又はジアステレオマーを含む。従って、鏡像異性体は、例えば左旋性及び右旋性の対掌体として鏡像体的に純粋な形態で、及び異なる比率の2つの鏡像異性体の混合物の形態で又はラセミ体の形態で本発明に属する。個々の立体異性体は、所望により、慣用の方法によって混合物を分別することによって又は例えば立体選択的な合成によって製造することができる。また、可動性の水素原子が存在する場合、本発明は式Iの化合物の互変異性体の形態を含む。
【0054】
式Iの化合物は、本発明に同様に属する種々の化学的方法によって製造することができる。いくつかの典型的な経路を、スキーム1〜3として以下に参照する反応順序で説明する。置換基Rは、以下で特に明記しない限り、各場合、上記定義された通りである。出発化合物及び中間体は、商業的に入手可能であるか又は当業者に知られている方法によって製造することができる。
【0055】
【化3】

【0056】
従って、例えば、式Iの化合物は、スキーム2及び3に示すように中間体II又はIII(可能な製法は、スキーム1に記載されている)から得られる。
【0057】
中間体IIは、適切にR1−、R2−及びR3−置換された2(1H)−ピリドンから臭素化又はヨウ化(これは、溶媒としてメタノール中の例えばN‐ブロモスクシンイミド又はN−ヨードスクシンイミドを用いて実施することができる)そしてその後のO−アルキル化(例えば炭酸銀を添加したジクロロメタン中のヨウ化メチルによって)によって製造することができる。例えば、3−エチル−6−メチル−2(1H)−ピリドンを出発物質として選び、R1がエチルであり、R2が水素でありそしてR3がメチルである化合物を製造する。R1−R3の所望の基により、出発物質として他の適切に置換された2(1H)−ピリドンを使用することができる。
【0058】
中間体IIIは、中間体IIからパラジウム触媒作用によるホウ素化によって製造することができる(例えば溶媒としてジメチルスルホキシド又は1,4−ジオキサン中で触媒として二塩化パラジウム1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、そして塩基として酢酸カリウム又はトリエチルアミンを用いてビス(ピナコラト)二ホウ素又は4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させることによって)。
【0059】
【化4】

【0060】
式IVの化合物は、アニリンを用いてパラジウム触媒作用によるブッフバルト−ハルトヴィッヒアミノ化によって製造することができる(スキーム2)。式IVの化合物からメチル基を脱離(例えばアセトニトリル中のトリメチルクロロシラン及びヨウ化カリウムによって)して式Iのピリドンを得る。
【0061】
【化5】

【0062】
式Vの化合物の製造は、中間体IIIから出発して(例えばピリジン中で)フェノールとの銅触媒作用によるカップリングによって反応させることができる(スキーム3)。式Vの化合物からメチル基を脱離して(例えばアセトニトリル中のトリメチルクロロシラン及びヨウ化カリウムによって)式Iのピリドンを得る。
【0063】
スキームII及びIIIに使用されるアニリン及びフェノールは、購入することができるか又は文献から知られている酸によって合成することができる。
【0064】
全ての方法において、ある種の反応方法で一時的に保護することは分子中の官能基にとって適当でありうる。このような保護基は、当業者によく知られている。考慮すべき基についての保護基の選択並びにその導入及び脱離方法は、文献に記載されており、そして個々の場合に適当ならば困難なしに適応させることができる。
【0065】
また、本発明は、医薬又は薬剤としての式Iの化合物の使用に関する。
【0066】
一般式(I)の化合物は、PARP阻害剤であり、従ってPARPと関連があり、それによって促進される又はそれが関与して生じる疾患の治療に適している。
【0067】
本発明の化合物で治療することができる疾患の例としては、壊死又はアポトーシスにより細胞損傷又は細胞死から生じる組織損傷、神経的に介在する組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再灌流障害、神経学的障害及び神経変性障害、血管卒中、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓手術に伴う虚血、加齢性黄斑変性、関節炎、動脈硬化症、癌、その後に複製老化を伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病の心筋障害が含まれる。
【0068】
本発明の化合物は、虚血又は再灌流損傷によって生じる疾患の治療に使用するのが好ましい。治療することができる疾患は、好ましくは脳虚血、再灌流障害、心臓血管障害、心筋梗塞、心臓手術に伴う心筋虚血及び虚血からなる群より選ばれる。
【0069】
本発明の化合物は、特に心筋梗塞の治療に使用することができる。
【0070】
上記の説明における治療なる用語は、上記の疾患の予防、治療又は治癒を含む。
【0071】
式Iの本発明の化合物及びその生理学上許容しうる塩は、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトにおいてそれ自体で医薬として、互いに混合して又は医薬製剤の形態で使用することができる。本発明は、医薬としての使用するための式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩、前記病理学的段階の治療におけるその使用並びにそのための薬剤及びPARP阻害効果を有する薬剤を製造するためのその使用に関する。本発明は、さらに慣用の医薬上許容しうる担体及び賦形剤に加えて活性成分として有効量の少なくとも1つの式Iの化合物及び/又はその生理学上許容しうる塩を含んでなる医薬製剤に関する。医薬製剤は、通常、式Iの化合物及び/又はその生理学上許容しうる塩0.1〜90質量パーセントを含む。医薬製剤は、それ自体で知られているやり方で製造することができる。このために、式Iの化合物及び/又はその生理学上許容しうる塩を1つ又はそれ以上の固体又は液体の医薬担体及び/又は賦形剤と共に混合し、必要に応じて、他の活性医薬成分と組み合わせて適切な提示形態又は剤形に変換し、次いで、これをヒト用医薬品又は動物用医薬品において医薬として使用することができる。
【0072】
式Iの本発明の化合物及び/又はその生理学上許容しうる塩を含んでなる医薬は、経口的に、非経口的に、例えば静脈内に、直腸に、吸入によって又は局所的に投与することができ、好ましい投与は、個々場合、例えば治療する障害の特定の症状に左右される。
【0073】
当業者は、所望の医薬組成物に適した賦形剤に関して、専門的な知識を基礎としてよく知っている。溶媒、ゲル形成剤、坐剤基剤、錠剤賦形剤及び他の活性成分担体の他に、例えば抗酸化剤、分散媒、乳化剤、消泡剤、マスキングフレーバー、保存剤、可溶化剤、貯蔵効果を得るための薬剤、緩衝物質又は着色剤を使用することができる。
【0074】
経口投与の形態では、活性化合物を、この目的に適した添加剤、例えば担体、安定剤又は不活性希釈剤と混合し、そして慣用の方法によって錠剤、コーティング錠、硬質ゼラチンカプセル、水性、アルコール性又は油性溶液といったような適切な提示形態に変換する。使用することができる不活性担体の例は、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、乳糖、グルコース又はデンプン、特にコーンスターチである。さらに、乾燥及び湿性の粒子として製造することができる。適切な油性担体又は溶媒は、例えば野菜又は動物油、例えばヒマワリ又は魚肝油である。水性又はアルコール溶液についての適切な溶媒は、例えば水、エタノール又は糖溶液又はそれらの混合物である。また、他の投与形態のためのさらなる賦形剤は、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。
【0075】
皮下又は静脈内投与では、活性化合物は、所望によりこの目的に一般的な物質、例えば可溶化剤、乳化剤又はさらなる賦形剤を用いて溶液、懸濁液又は乳濁液に変換される。また、式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩は、凍結乾燥することができ、生成した凍結乾燥物は、例えば注射又は注入について生成物を製造するために使用される。適切な溶媒の例は、水、生理食塩水又はアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、の他に糖溶液、例えばグルコース又はマンニトール溶液、又は他に記載された種々の溶媒の混合物である。
【0076】
エーロゾル剤又はスプレー剤の形態での投与に適した医薬組成物は、例えば医薬上許容しうる溶媒、例えば特にエタノール又は水、又はこのような溶媒の混合物中の式Iの活性成分又はその生理学上許容しうる塩の溶液、懸濁液又は乳濁液である。また、製剤は、必要に応じて他の医薬賦形剤、例えば界面活性剤、乳化剤及び安定剤及び噴射剤ガスを含むことができる。このような製剤は、通常、活性成分を約0.1〜10質量%、特に約0.3〜3質量%の濃度で含む。
【0077】
投与する式Iの活性成分又はその生理学上許容しうる塩の投与量は、個々の場合に左右され、最適効果のため個々の場合の状況に通常通り適応させなければならない。それは、当然、投与の頻度並びに治療又は予防に使用する個々の化合物の効力及び作用時間、そしてまた治療する疾患の性質及びひどさ、並びに治療されるヒト又は動物の性別、年齢、体重及び個々の反応並びに治療が急性又は予防かどうかに左右される。体重約75kgの患者への投与における式Iの化合物の日用量は、通常0.001mg/kg体重〜100mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜20mg/kg体重である。用量は、一用量の形態で投与することができ、又は一用量を複数、例えば2、3又は4回に分割することができる。特に心筋梗塞の急性の場合の治療では、例えば集中治療室中では、注射又は注入による、例えば持続的な静脈注入による非経口投与も、好都合でありうる。
【0078】
実験部分
略語の記載
nBuLi nブチルリチウム
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq. モル当量
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
NaOtBu ナトリウムtert−ブタノレート
NBS N−ブロモスクシンイミド
NEt3 トリエチルアミン
NIS N−ヨードスクシンイミド
PdCl2(pddf) 1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド
Pd2dba3 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
RT 室温
RP−HPLC 逆相高速クロマトグラフィ
(tBu)2Pbiphenyl ジ(tert−ブチル)ビフェニルホスフィン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMSCI トリメチルシリルクロリド
KI ヨウ化カリウム
【0079】
式IIのハライドの合成
スキーム1に示した合成をブロミド(R1はエチルであり、R2は水素であり、そしてR3はメチルである)によって説明する。
【0080】
3−ブロモ−5−エチル−6−メトキシ−2−メチルピリジン(化合物1)
【化6】

メタノール(450ml)中の3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン(23.92g,174.4mmol)及びN−ブロモスクシンイミド(32.67g,183.5mmol)の混合物を窒素下、室温で撹拌した。数時間後、濃厚な懸濁液が形成され、さらに24時間室温で撹拌した。反応混合物を最初の体積の半分から三分の一に濃縮し、水200mlで希釈した。混合物を撹拌しながら氷浴中で冷却し、次いで吸引濾過した。残留物を冷水で洗浄し、65℃で乾燥した。5−ブロモ−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2オン35.93g(95%)を淡褐色粉末の形態で得た。5−ブロモ−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2オン(25g,115.7mmol)をクロロホルム200ml中に溶解して橙色溶液を形成した。炭酸銀(31.9g,115.7mmol)を加え、混合物を激しく撹拌した。この懸濁液にヨウ化メチル(10.8ml,1.5mmol)を加え、次いでこれを窒素下、室温で暗所にて撹拌した。3日後、混合物を濾過し、そして溶液はロータリーエバポレータで濃縮した。移動相としてn−ヘプタンを用いてシリカゲル上で残留物をクロマトグラフィにかけ、無色の油(21.7g,82%)を得た。
MS:m/z = 230及び232(M+1)
1H−NMR(CDCl3)δ= 7.44 (s, 1H); 3.91 (s, 3H); 2.52 (q, 2H, J = 7.6 Hz); 2.50 (s, 3H); 1.16 (t, 3H, J = 7.6 Hz)。
【0081】
式IIIのホウ酸エステルの合成
スキーム1に示した合成をホウ酸のピナコールエステル(R1はエチルであり、R2は水素であり、そしてR3はメチルである)によって説明する。
【0082】
3−エチル−2−メトキシ−6−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(化合物2)
【化7】

3−ブロモ−5−エチル−6−メトキシ−2−メチルピリジン(11.51g,50mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(8.31g,64.95mmol)及びトリエチルアミン(21.84ml,164.4mmol)をアルゴン下でジオキサン100ml中に溶解し、次いで1,1'ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(1.94g,2.65mmol)を加えた。混合物を90℃で18時間撹拌し、さまして酢酸エチルで希釈し、そしてシリカゲルを通して濾過した。溶液を0℃に冷却し、水と混合し、酢酸エチルで2回抽出した。乾燥して濃縮した有機相をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけ、真空乾燥オーブン中45℃で乾燥した。淡色の淡褐色固形物(9.94g,72%)を得た。
MS:m/z = 278(M+1)
1H−NMR(CDCl3):δ= 7.68 (s, 1H); 3.95 (s, 3H); 2.62 (s, 3H); 2.53 (q, 2H, J = 7.6 Hz); 1.33 (s, 12H); 1.16 (t, 3H, J = 7.6 Hz)。
【0083】
式IVのアニリオピリジンの合成(スキーム2)
一般的な方法
ナトリウムtert−ブトキシド135mg(1.4mmol)をアルゴン下でトルエン2mlに溶解し、化合物1の230mg(1mmol)及びそれぞれのアニリン2mmolを加え、室温で10分間撹拌した。それから、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル48mg(0.16mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)9.2mg(0.01mmol)を加えた。混合物をマイクロ波(CEM Discover)中100℃で30分間反応させ、次いで水及び酢酸エチルで希釈し、珪藻土カートリッジ(Varian Chem Elut)を通して濾過した。RP−HPLCによって5〜50%の間の収率で所望の生成物を単離した。
【0084】
化合物3の合成方法
3−(5−エチル−6−メトキシ−2−メチルピリジン−3−イルアミノ)ベンゾニトリル(化合物3)
【化8】

ナトリウムtert−ブトキシド125mg(1.3mmol)をアルゴン下でトルエン2mlに溶解し、化合物1の230mg(1mmol)及び2−アミノベンゾニトリル236mg(2mmol)を加え、室温で10分間撹拌し、次いで2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル48mg(0.16mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)9.2mg(0.01mmol)を加えた。混合物をマイクロ波(CEM Discover)中180℃で15分間反応させ、次いで水及び酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで2回抽出し、そして有機相を濃縮し、次いでRP−HPLCによって精製した。標題化合物25mg(理論の9%)を得た。
MS:m/z = 268(M+1)
【0085】
式IVの以下の化合物は、上記の一般的な方法に従って製造した。化合物4〜21及び24〜30の場合に使用したアニリンは、以下の通りである:
4:3−アミノベンズアミド;5:3−アセチルアニリン;6:N−(3−アミノフェニル)アセトアミド;7:3−アミノキノリン;8:4−アミノベンゼンスルホンアミド;9:4
−(ピリジン−3−イルオキシ)アニリン;10:4−(イミダゾール−1−イル)アニリン;11:1−(6−アミノ−2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エタノン;12:4−アミノ−N−ピリジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;13:6−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン;14:N−(6−アミノピリジン−3−イル)アセトアミド;15:6−アミノニコチノニトリル;16:5−アミノインダン−1−オン;17:4−アミノピリジン;18:2−アミノピリジン;19:2−アセチルアニリン;20:4−アセチルアニリン;21:3−アミノピリジン;24:3−(メチルアミノメチル)アニリン;25:3−ヒドロキシメチルアニリン;26:3−メタンスルホニルアニリン;27:3−(2−メチルピリミジン−4−イル)アニリン;28:3−ピロリジン−1−イルメチルアニリン;29:1−(3−アミノフェニル)エタノール;30:n−メチルアニリン。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
式Vのアリールエーテルピリジンの合成(スキーム3)
3−エチル−2−メトキシ−5−(3−メトキシフェノキシ)−6−メチルピリジン(化合物22)
【化9】

化合物2の277mg(1mmol)、3−メトキシフェノール62mg(0.5mmol)及び酢酸銅(II)90mg(0.5mmol)をジクロロメタン3ml中で混合し、次いでトリエチルアミン253mg(2.5mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を水及びジクロロメタンと混合し、珪藻土カートリッジを通して濾過し、そしてRP−HPLCによって精製した。無色の油36mg(理論の26%)を得た。
MS:m/z = 274(M+1)
【0090】
3−(5−エチル−6−メトキシ−2−メチルピリジン−3−イルオキシ)ベンゾニトリル(化合物23)
【化10】

前記の標題化合物35mg(理論の26%)を3−シアノフェノール60mg(0.5mmol)から同様に単離した。
MS:m/z = 269(M+1)
【0091】
式IV及びVの2−メトキシピリジンの脱保護による式Iのピリドンの合成
一般的な方法
ヨウ化カリウム2当量及びトリメチルクロロシラン2当量をアルゴン下、無水アセトニトリル(3−5ml/mmol)中の式V又はVの2−メトキシピリジンの混合物に加え、そして濁った混合物を60〜80℃で1〜3時間加熱した。次いで混合物を室温にさまし、水で希釈した。沈殿した生成物を吸引濾過し、水で洗浄し、真空乾燥オーブン中40℃で乾燥した。濾液を酢酸エチルで抽出し、濃縮した後、しばしばさらなる生成物を得、
これを、必要に応じてHPLCによって精製した。
【0092】
以下の実施例は、これらの方法に従って合成した:
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

【0096】
【表8】

【0097】
理学的研究
PARP酵素アッセイ
試験物質を、DNA活性化され、組換え発現され、そして精製されたPARP−1酵素と共にインキューベートすることによって最大半減阻害剤濃度を測定した。具体的には、種々の濃度の試験物質を50mMトリス、5mM MgCl2、1mM DTT、200μM NAD、0.1mCi/ml トリチウム標識化NAD、0.1mg/ml DNA、0.1mg/ml ヒストン、2μg/ml 組換え発現されたヒトPARP−1酵素を含む反応溶液50μl中、pH=8.0、室温で1時間インキューベートした。20%トリクロロ酢酸150μlを加えることによって反応を停止し、放射性同位元素標識化タンパク質成分が沈殿した。氷上で10分間インキュベーションした後、標識化された不溶性成分を、ガラス繊維フィルタを通して分離し、そして20%トリクロロ酢酸で3回を洗浄した後に、PARP−1酵素によって取り込まれた放射活性を放射線ルミネセンスで測定した。このように測定した取り込み率を試験物質の濃度の関数として考察し、達成しうる最大値(阻害剤なしのインキュベーション)の半分に取り込み率を減らす試験物質の濃度として最大半減阻害剤濃度(IC50)を得た。
【0098】
以下のIC−50値は、このようにして下記の化合物について測定した:
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の化合物及びその生理学上許容しうる塩。
式中、
R1及びR3は、相互に独立してフッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
R2は、水素、フッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
Xは、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
Arは、非置換、又は少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)(C1−C6−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C6−アルキル置換基は、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく、
そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく;
アリールは、5〜10員芳香族単又は二環であり;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員芳香族単又は二環式複素環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員非芳香族単又は二環式複素環であり;
R4及びR5基は、相互に独立して水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片も又、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2によって少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合した窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片も又、フッ素又はC1−C3−アルキルによって少なくとも一置換されていてもよく;
但し、XがNH又はN(C1−C3−アルキル)である場合、Arはトリアジニル又はクロマニルでなく、そしてArはピリドピラジニル又はナフチリジニルでない。
【請求項2】
式Iにおいて、
Xは、O、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R2は、水素、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
R3は、フッ素、−OCF3又はC1−C4−アルキルであり;
Arは、非置換、又は一置換されたフェニル又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、
そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
R4は、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R5は、水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基も又、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群より選ばれ;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル及びピペラジニルからなる群より選ばれる基を形成し、
ここで置換基は、フッ素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル及びピロリジニルからなる群より選ばれ、これらの置換基も又、フッ素又はC1−C3−アルキルであり;
アリールは、フェニル、インダニル又はナフチルであり;
ヘテロアリールは、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである;
請求項1記載の式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩。
【請求項3】
式Iにおいて、
Xは、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、C1−C3−アルキルであり;
R2は、水素であり;
R3は、C1−C3−アルキルであり;
Arは、非置換、又は一置換されたフェニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、イソキノリニル、ピリジニル、キノリニル又は2,3−ジヒドロインドリルであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリール、フェニル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、ヘテロアリール又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく、
そしてフェニル及びヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも一置換されていてもよく;
R4は、水素であり、
R5は、水素;非置換又は一置換されたC1−C6−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ヒドロキシ、非置換又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群より選ばれ、これらの置換基も又、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2及び−N(CH3)2からなる群より選ばれ;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたピロリジニル基を形成し、ここで置換基は、C1−C3−アルキル及びヒドロキシからなる群より選ばれ;
アリールは、フェニル又はインダニルであり;
ヘテロアリールは、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソキノリニル、ピロリル又は2,3−ジヒドロインドリルである;
請求項1または2記載の式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩。
【請求項4】
式Iにおいて、
Xは、NH又はN−メチルであり;
R1は、エチルであり;
R2は、水素であり;
R3は、メチルであり;
Arは、非置換、又は一置換されたフェニル、インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、ピリジニル、キノリニル又は2,3−ジヒドロインドリルであり、
ここで置換基は、−CN、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロアリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2−NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C3−アルキル置換基は、ヘテロアリール又はOHによって一置換されていてもよく、
そしてヘテロアリール置換基は、C1−C3−アルキルによって一置換されていてもよく;
R4は、水素であり
R5は、水素、C1−C3−アルキル又はピリジニルであり;
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジニル基を形成し;
ヘテロアリールは、ピリジニル、イミダゾリル又はピリミジニルである;
請求項1〜3のいずれか1項記載の式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩。
【請求項5】
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンゾニトリル;
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンズアミド;
5−(3−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
N−[3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)フェニル]アセトアミド;
3−エチル−6−メチル−5−(キノリン−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
4−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド;
3−エチル−6−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(4−イミダゾール−1−イルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
5−(1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
4−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)−N−ピリジン−2−イル−ベンゼンスルホンアミド;
3−エチル−6−メチル−5−(5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
N−[6−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル] −アセトアミド;
6−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルアミノ)ニコチノニトリル;
3−エチル−6−メチル−5−(1−オキソインダン−5−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−4−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
5−(2−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
5−(4−アセチルフェニルアミノ)−3−エチル−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(ピリジン−3−イルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−メトキシフェノキシ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−(5−エチル−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イルオキシ)ベンゾニトリル;
3−エチル−6−メチル−5−(3−メチルアミノメチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−(3−メタンスルホンイルフェニルアミノ)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−[3−(2−メチルピリミジン−4−イル)フェニルアミノ]−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(3−ピロリジン−1−イルメチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−5−[3−(1−ヒドロキシエチル)フェニルアミノ]−6−メチル1H−ピリジン−2−オン;
3−エチル−6−メチル−5−(メチルフェニルアミノ)−1H−ピリジン−2−オン;
からなる群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項記載の式Iの化合物及びその生理学上許容しうる塩。
【請求項6】
医薬として使用するための請求項1〜5のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその生理学上許容しうる塩。
【請求項7】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)を阻害するための、式I:
【化2】

の化合物又はその生理学上許容しうる塩。
式中、
R1及びR3は、相互に独立してフッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
R2は、水素、フッ素、メトキシ、−OCF3、C2−C3−アルケニル又は塩素、メトキシ若しくは1、2若しくは3個のフッ素原子によって場合により置換されたC1−C4−アルキルであり;
Xは、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
Arは、非置換、又は少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここで置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)(C1−C6−アルキル)、NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、オキソ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5及び−C(O)NR4R5からなる群より選ばれ、
ここでC1−C6−アルキル置換基は、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく、
そしてアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHによって少なくとも1回置換されていてもよく;
アリールは、5〜10員芳香族単又は二環であり;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員芳香族単又は二環式複素環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員非芳香族単又は二環式複素環であり;
R4及びR5基は、相互に独立して水素;非置換又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片も又、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2によって少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合した窒素原子と一緒になって非置換又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群より選ばれ、
そしてこれらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片も又、フッ素又はC1−C3−アルキルによって少なくとも一置換されていてもよい。
【請求項8】
壊死又はアポトーシスのために細胞損傷又は細胞死から生じる組織損傷、神経に介在する組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再灌流障害、神経学的障害及び神経変性障害、血管卒中、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓手術に伴う虚血、加齢性黄斑変性、関節炎、動脈硬化症、癌、その後に複製老化を伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病の心筋障害からなる群より選ばれる疾患を治療する医薬に使用するための請求項1〜5及び7のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその生理学上許容しうる塩。
【請求項9】
壊死又はアポトーシスのために細胞損傷又は細胞死から生じる組織損傷、神経に介在する組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再灌流障害、神経学的障害及び神経変性障害、血管卒中、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓手術に伴う虚血、加齢性黄斑変性、関節炎、動脈硬化症、癌、その後に複製老化を伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病の心筋障害からなる群より選ばれる疾患を治療する薬剤を製造するための請求項1〜5及び7のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその生理学上許容しうる塩の使用。
【請求項10】
疾患が脳虚血、再灌流損傷、心臓血管障害、心筋梗塞、心臓手術に伴う心筋虚血及び虚血からなる群より選ばれる請求項9記載の使用。
【請求項11】
疾患が心筋梗塞である請求項9または10記載の使用。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物又はその生理学上許容しうる塩の有効量及び生理学上許容しうる担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−516902(P2008−516902A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536043(P2007−536043)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010697
【国際公開番号】WO2006/042638
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】