説明

外観検査装置

【課題】撮像手段の数を少なくしながらも、高精度に検出することができる外観検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象物(C)の外観を検査する外観検査装置において、
検査対象物(C)を特定方向から見たときの主検査面を撮像するように設置された撮像手段(3)と、該検査対象物(C)を前記特定方向とは異なる方向から見たときの副検査面の画像を前記撮像手段(3)に取り込むように該副検査面からの光の方向を変更する変更手段(4,5,6,7)とを備え、検査対象物(C)の副検査面から撮像手段(3)までの第1光路の光路長に検査対象物(C)の主検査面から該撮像手段(3)までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段(10,12)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の検査対象物の外観の検査を行うための外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記外観検査装置は、検査対象物の外形、寸法、表面の微小な孔や凹み、汚れ、キズ、欠け等を検査することにより、検査対象物の良否を判定し、良品と不良品とに選別するものである。
【0003】
そして、この種の外観検査装置では、前記検査を行うべく、検査対象物の上面及び下面の他、検査対象物の周面を4つ割りに分割した4つの側面の合計6画像をそれぞれに対応して設けられた合計6つのラインセンサ(撮像手段)にて取り込み、その取り込んだ6画像から検査対象物の良否を判定することになる。
【0004】
しかし、前記のように6つのラインセンサを設けると、ラインセンサ数の増加に伴い、コスト高になるだけでなく、装置全体も大型化する不都合があった。そこで、検査対象物の上面又は下面と2つの側面の3つの画像を1台のラインセンサにて取り込む構成にすることにより、2台のラインセンサで済ませることができるものが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−317415号公報(図1〜図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる提案による装置においては、上面の画像を取り込むように撮像手段を配置すると共に側面の画像を多数の反射板を介して撮像手段へ取り込むようにしている。このことから、上面から撮像手段までの光路長に対して側面から撮像手段までの光路長が長くなってしまう。
このため、側面からの画像のピントと上面からの画像のピントとを合わせることができず、上面の画像と側面の画像を均一の精度で処理して検査を行うことが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その解決しようとするところは、撮像手段の数を少なくしながらも、高精度に検出することができる外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の外観検査装置は、前述の課題解決のために、検査対象物の外観を検査する外観検査装置において、検査対象物を特定方向から見たときの主検査面を撮像するように設置された撮像手段と、該検査対象物を前記特定方向とは異なる方向から見たときの副検査面の画像を前記撮像手段に取り込むように該副検査面からの光の方向を変更する変更手段とを備え、検査対象物の副検査面から撮像手段までの第1光路の光路長に検査対象物の主検査面から該撮像手段までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段を備えていることを特徴としている。尚、検査対象物は多面体の他、曲面を備えた立体物等であってもよいし、また、それら検査対象物を撮像する方向は、どのような方向であってもよい。
【0008】
また、検査対象物の外観を検査する外観検査装置において、検査対象物の上面と側面のうちの一方を撮像するように設置された撮像手段と、該検査対象物の上面と側面のうちの他方の画像を前記撮像手段に取り込むように他方からの光の方向を変更する変更手段とを備え、該検査対象物の前記他方から撮像手段までの第1光路の光路長に検査対象物の前記一方から該撮像手段までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段を備えて、外観検査装置を構成してもよい。
【0009】
またさらに、検査対象物の外観を検査する外観検査装置において、検査対象物の下面と側面のうちの一方を撮像するように設置された撮像手段と、該検査対象物の下面と側面のうちの他方の画像を前記撮像手段に取り込むように他方からの光の方向を変更する変更手段とを備え、該検査対象物の前記他方から撮像手段までの第1光路の光路長に検査対象物の前記一方から該撮像手段までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段を備えて、外観検査装置を構成してもよい。
【0010】
また、前記第1光路と前記第2光路の少なくとも一方が、その光路長を調整可能に構成されていてもよい。
【0011】
さらに、前記光路冗長手段において、前記第2光路の光路長が調整可能に構成されていてもよい。
【0012】
また、前記光路冗長手段として、光が進む方向を180度反転させた反対方向にほぼ平行となる状態で変更するための主反射部と、該主反射部からの光を前記撮像手段側に変更するための補助反射部とを備え、前記主反射部を光の進行方向又は進行方向と反対方向に移動自在に構成してもよい。
【0013】
またさらに、前記検査対象物を搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備え、前記撮像手段が、前記検査対象物の搬送方向と直交する方向に走査方向を持つラインセンサからなり、前記搬送手段にて搬送されてきた検査対象物の上面又は下面を撮像するように前記ラインセンサを設置し、前記変更手段が、前記検査対象物の側面の画像を前記ラインセンサに取り込むように該側面からの光の方向を変更するようにしてもよい。
【0014】
特に、前記検査対象物の周面を、平面視において該検査対象物の搬送方向と該搬送方向と直交する搬送幅方向とで4つの側面に分割し、それら分割された4つの側面のうちの搬送方向前側の左右の2つの側面又は搬送方向後側の左右の2つの側面から搬送方向と交差する方向へ出射された光を搬送経路側へ反射させる第1反射部と、該第1反射部からの光を上方又は下方へ反射させるための第2反射部とを備えさせて、前記変更手段を構成し、前記主反射部の移動方向を、検査対象物の搬送方向又は該搬送方向と反対方向とし、前記補助反射部が前記主反射部からの光を上方又は下方へ反射させるように配置し、前記検査対象物の上面又は下面からの光を搬送方向又は搬送方向と反対方向に反射させて前記主反射部へ送る第3反射部を備えさせてもよい。
【0015】
また、前記撮像手段と前記変更手段と前記光路冗長手段とを備えた検査部を、前記搬送方向の前後に2つ備え、前記2つの検査部のうちの一方が、検査対象物の上面及び4つの側面のうちの特定の2つの側面を検査する第1検査部からなり、該2つの検査部のうちの他方が、検査対象物の下面及び残りの2つの側面を検査する第2検査部からなっていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明における外観検査装置にあっては、検査対象物の複数の面を1つの撮像手段にて撮像するとともに光路冗長手段を第2光路上に備えて第1光路と第2光路の光路長を同一長さにしたので、撮像手段の数を少なくしながらも、高精度に検出することができる。
【0017】
また、少なくとも一方の光路長を調整可能に構成している場合には、外観検査装置を構成する各種の構成部材の組付け誤差が生じても光路長を調整することによってそれを吸収することができ、また、大きさの異なる検査対象物を検査する際にも光路長を調整することによって容易にその変更に対応することができる。
【0018】
さらに、前記光路冗長手段として、光が進む方向を180度反転させた反対方向にほぼ平行となる状態で変更するための2つの反射面を有する主反射部と、該主反射部からの光を前記撮像手段側に変更するための補助反射部とを備え、前記主反射部を光の進行方向又は進行方向と反対方向に移動自在に構成している場合には、撮像手段側に変更するための補助反射部を移動させずに主反射部を直線移動させるだけでピント合わせが可能になり、撮像手段に取り込まれる画像が位置変化することなくピント合わせを簡単な構成で行うことができる。
【0019】
また、前記検査対象物の周面を、平面視において該検査対象物の搬送方向と該搬送方向と直交する搬送幅方向とで4つの側面に分割し、それら分割された4つの側面のうちの搬送方向前側の左右の2つの側面又は搬送方向後側の左右の2つの側面から搬送方向と交差する方向へ出射された光を搬送方向側へ反射させる第1反射部と、該第1反射部からの光を上方又は下方へ反射させるための第2反射部とを備えさせて、前記変更手段を構成し、前記主反射部の移動方向を、検査対象物の搬送方向又は該搬送方向と反対方向とし、前記補助反射部が前記主反射部からの光を上方又は下方へ反射させるように配置し、前記検査対象物の上面又は下面からの光を搬送方向又は搬送方向と反対方向に反射させて前記主反射部へ送る第3反射部を備えさせた構成である場合には、変更手段が2つの反射部から構成できるので、構成の簡素化を図ることができる。即ち、対向する2つの側面の画像をラインセンサに取り込む場合(例えば4つの側面のうちの搬送方向前側の左側の側面と搬送方向後側の右側の側面の画像をラインセンサに取り込む場合)には、反射部が3つ必要となるが、上述のように構成することによって、変更手段としての反射部が2つで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び図2に、本発明の外観検査装置を構成する第1検査部Kを示している。この第1検査部は、搬送手段1にて搬送経路に沿って搬送されてきた検査対象物である錠剤Cに検査用光を照射する照射手段(図示せず)と、この照射手段が内部の上部に備えられた下方開放型のケーシング2と、検査対象物の搬送方向と直交する方向(搬送幅方向)に走査方向を持つラインセンサ3と、前記ラインセンサ3にて取り込んだ画像に基づいて検査対象物の良否を判定する判定処理部8を備えている。
【0021】
ラインセンサ3は、錠剤Cを鉛直方向上側(特定方向)から見たときの主検査面である上面を撮像するように、錠剤Cの搬送面よりも上方に配置されている。そして、錠剤Cを水平方向から見たときの副検査面である側面の画像をラインセンサ3に取り込むために、この側面からの光の方向を変更する変更手段として反射部を備えている。本実施形態においては副検査面が2つである場合、即ち、2つの側面の画像をラインセンサ3に取り込む場合であって、従って、各側面に対応してそれぞれ反射部4,5及び反射部6,7を備えている。図1では、錠剤Cの搬送方向A後側の左右の側面の画像と上面の画像の合計3つの画像を1つのラインセンサ3に取り込む。
【0022】
そして、第1検査部Kにて検出できなかった錠剤Cの残る3つの画像、即ち、錠剤Cの下面(主検査面)の画像と残る2つの側面(2つの副検査面)の画像の合計3つの画像を別途ラインセンサで取り込んで検査するために、該第1検査部Kと同様の構成の第2検査部(図示せず)が、搬送方向下手側に配置されている。第2検査部はその上下が第1検査部Kと反対となる状態で構成されており、外観検査装置は、第1および第2の検査部を有している。
【0023】
ここで、検査対象物としては、図1で示した円柱形状の他、4面以上を備えた各種の形状を有する多面体や、曲面を備えた各種形状の立体物等であってもよく、上下両面が扁平となる錠剤Cやカプセル等の医薬品や健康食品の他、飴等の菓子、ワッシャ、ボタン電池、半導体等の電子部品等がある。
【0024】
そして、前記判定処理部8にて不良品と判定された場合には、その不良品を不良品回収部(図示せず)に回収し、良品と判定された場合には、その良品を良品回収部(図示せず)に回収するように制御部(図示せず)に判定処理部8からの判定結果を出力して、制御部にて不良品回収部(図示せず)又は良品回収部(図示せず)を作動させるように構成している。以下、外観検査装置をより詳細に説明する。
【0025】
前記搬送手段1は、搬送経路を形成するための搬送方向視においてほぼ台形状で長尺な搬送レール1Aと、この搬送レール1Aの搬送幅方向に備えた左右一対の頂部1B,1Bに取り付けられ、図示していない駆動装置にて駆動されて錠剤Cを搬送するための無端状の左右一対の丸ベルト(図示せず)とから構成されている。前記搬送レール1Aの上面の搬送幅方向ほぼ中央部には搬送方向に延びる溝部1Mが形成され、この溝部1Mからエアを吸い込むことによって錠剤を吸引するとともに前記丸ベルトが上方へ浮き上がることがないようにしている。
【0026】
前記照射手段は、照射方向が下方を向いた状態でケーシング内に環状に配置された多数の発光ダイオード(図示せず)と、この発光ダイオードからの光を均一光とするために発光ダイオードと搬送される錠剤Cとの間に配置された拡散板(図示せず)とから構成している。この照射手段は錠剤Cに対して上方から下方に向けて光を照射するように構成されている。
【0027】
このようして照射手段から光が照射された錠剤Cの周面のうちの2つの側面の画像を変更手段を介して1つのラインセンサ3で取り込むのであるが、その2つの側面については具体的には図3(a)に示している。即ち、前記錠剤Cの周面を平面視において搬送方向Xと搬送幅方向Yとで略90度毎の4つ割りとし、それら分割された4つの側面のうちの隣り合う2つの側面の画像を取り込む。より詳細には、搬送方向Xに対してほぼ45度の方向から出る側面から光をそれぞれ変更手段を介してラインセンサ3に送り込むようにしている。尚、図3(a)および後述する図3(b)においてHが錠剤Cの側面からの光の受光範囲である。
【0028】
そして、まず第1検査部Kにて錠剤Cの搬送方向後側の左右の2つの側面の画像を上面の画像とともに取り込む一方、前述した第2検査部にて残る錠剤Cの搬送方向前側の左右の2つの側面の画像を下面の画像とともに取り込む。
【0029】
さらに、第1検査部Kにおいて、側面からの光の方向を変更する変更手段の具体的構成をさらに説明する。図1に示すように、前記分割された4つの側面のうちの搬送方向後側の左右の2つの側面から搬送方向Xと交差する方向、つまり搬送方向に対して45度の角度となる方向へ出射された光D1,E1を、搬送経路側へ反射させる第1反射部としての第1ミラー4,6と、該第1ミラー4,6からの光D2,E2を上方へ反射させるための第2反射部としての第2ミラー5,7とが備えられている。
【0030】
前記第2ミラー5,7にて上方へ反射された光D3,E3は、上方に位置する方向転換用のミラー9にて水平方向に方向転換してから前記ラインセンサ3に入射するようになっている。
【0031】
このように錠剤Cの搬送方向後側の左右それぞれの側面から前記ラインセンサ3までの2つの光路は、互いの光路長が同一長さであって、この光路が第1光路である。一方、錠剤Cの上面から前記ラインセンサ3までの光路が第2光路であり、この第1光路の光路長に第2光路の光路長を合わせるために、第2光路を冗長させる光路冗長手段を第2光路上に備えている。
【0032】
まず、この第2光路について説明すると、図5に示すように、前記錠剤Cの上面からの光F1を、第3反射部としての第3ミラー11によって、搬送方向Aとは反対方向(搬送方向後側)に反射させる。該第3ミラー11は、上端側ほど搬送方向始端側に位置するように水平面に対して45度の角度で傾斜している。そして、該第3ミラー11にて反射した光F2を下側の反射板10Aで上方へ反射させた後に上側の反射板10Bで搬送方向Aに戻し、さらに、その反射光F4を第4ミラー12で上方に反射させて、この反射光F3は前記方向転換用のミラー9を介してラインセンサ3へ送られる。なお、第4ミラー12は、上端側ほど搬送方向終端側に位置するように水平面に対して45度傾斜している。
【0033】
かかる第2光路における上下2枚の反射板10A,10Bと第4ミラー12が前記光路冗長手段である。すなわち、上下2枚の反射板10A,10Bは、錠剤Cの上面からの光が進む方向を180度反転した反対方向にほぼ平行となる状態で変更するための主反射部10で、第4ミラー12は、主反射部10からの光をラインセンサ3側、具体的には搬送経路の上方に位置するミラー9側に変更するための補助反射部である。
【0034】
すなわち、第3ミラー11からの光を図5に破線で示す反射板Mにてミラー9へ反射させる場合に比べて、該反射板Mから下側の反射板10Aまでの光F5の長さと上側の反射板10Bから第4ミラー12までの光F4の長さの合計長さ分だけ、第2光路の光路長が長くなり、かかる上下2枚の反射板10A,10Bと第4ミラー12を設けたことによって、第1光路と第2光路とを同一長さにしている。なお、光F4と光F5の長さは同一であるため、一方の光F4又はF5の長さの2倍の長さ分だけ、第2光路の光路長が長くなる。尚、図5に示すF2は、第3ミラー11から下側の反射板10Aまでの光を示している。
【0035】
尚、第2光路における第4ミラー12と第1光路における2つの第2ミラー5,7は、錠剤Cの搬送幅方向(搬送方向と直交する方向)に一直線上に並んでおり、前記ラインセンサ3には、2つの第2ミラー5,7からの2つの光と第4ミラー12からの1つの光の合計3つの光が並んで入射する。
【0036】
このように、第1光路と第2光路とを光路冗長手段にて同一長さにしているが、さらに本実施形態においては、第2光路の光路長が調整可能となっている。具体的には、第4ミラー12を固定の構造とする一方、2枚の反射板10A,10Bを錠剤Cの搬送方向又は搬送方向と反対方向へ一体的に移動自在に構成しており、この2枚の反射板10A,10Bを移動させることで第2光路長を微調整することができる。
【0037】
なお、2枚の反射板10A,10Bの移動に関しては、手入力あるいは搬送経路上の検出手段で検出することによって錠剤Cの大きさを制御装置に入力することにより、2枚の反射板10A,10Bを錠剤Cの大きさに基づいて搬送方向に自動的に移動させて光路長を自動調整してもよいし、手動にて2枚の反射板10A,10Bを移動させてもよい。また、2枚の反射板10A,10Bをアクチュエータで移動させるようにする他、手動式のネジ機構で移動させるようにしてもよい。
【0038】
ここで、以上のように構成された外観検査装置の動作の流れを説明する。なお、図2(a)〜(d)には、第1検査部Kのケーシング2及びラインセンサ3を省略したものを示している。
錠剤Cの搬送方向後側の左右の側面から放たれた光D1,E1は、第1ミラー4,6により搬送方向と直交する搬送幅方向へ反射され、その反射光D2,E2は第2ミラー5,6により上方へ反射され、その反射光D3,E3が方向転換用のミラー9で搬送幅方向に反射されてラインセンサ3へ取り込まれる(以上、第1光路)。
【0039】
一方、錠剤Cの上面からの光F1は、第3ミラー11にて搬送方向後側へ反射され、その反射光F2が下側の反射板10Aにて上方へ反射され、上側の反射板10Bにて錠剤Cの搬送方向前側へ折り返され、その折り返された光F4が第4ミラー12にて上方へ反射され、その反射光F3が方向転換用のミラー9で搬送幅方向に反射されてラインセンサ3へ取り込まれる(以上、第2光路)。
【0040】
そして、ラインセンサ3に取り込まれた光は、判定処理部8にて良否が判定される。なお、前記第1検査部Kにて検査された錠剤Cは、搬送方向下手側に位置する第2検査部にて下面及び搬送方向前側の左右の側面の光が第2検査部のラインセンサにて取り込まれて、判定処理部8にて良否が判定される。
【0041】
このように、上面の画像と2つの側面の画像とを一つのラインセンサ3で取り込むようにしたため、ラインセンサ3の個数を少なくすることができ、装置を簡素化することができる。そして、第1光路と第2光路とを光路冗長手段にて同一長さにしているので、上面の画像と側面の画像とを同レベルの高い精度で取り込むことができるので、判定処理部8において高い検査精度が得られる。
【0042】
しかも、第2光路長を調整可能としているため、ミラー等の組付け精度も高くなくて済み、その組付け誤差を光路長の調整によって吸収することができる。また、錠剤Cを異なる大きさのもの、具体的には外径(ここでは円形の錠剤Cであるから直径となる)の異なるものに変更して検査する場合にも大きな効果がある。
【0043】
すなわち、錠剤Cの直径が異なると第1光路の光路長が変化することになるので、第2光路の光路長を調整して第1光路の光路長と同じとなるようにする。したがって、直径が異なる錠剤Cを同じ装置で引き続き高精度に検査することができる。例えば外径の大きい錠剤を検査する場合には、第1光路長が短くなるので、2枚の反射板10A,10Bを搬送方向Aに移動させて第2光路長を短くする。逆に、小さい外径の錠剤を検査する場合には、第1光路長が長くなるので、搬送方向Aとは反対方向(図5において左側)に移動させることにより第2光路の光路長を長くする。錠剤Cの大きさは、直径の他、厚みの違いにより異なることもあるため、厚みの違いによっても2枚の反射板10A,10Bを搬送方向に移動させて光路長を調整することもできる。
【0044】
なお、本実施形態では、主反射部10を2枚の反射板10A,10Bから構成したが、2つの反射面を有する1つの板状又は塊状の部材から構成することもできる。また、2枚の反射板10A,10Bを側面視くの字状に構成して光を上下で往復させたが、2枚の反射板10A,10Bを平面視くの字状として光を左右で往復させるようにしてもよい。
【0045】
また、方向転換用のミラー9を省略して、該上方へ反射してきた光を前記ラインセンサ3に直接入射するように該ラインセンサ3を搬送経路の上方に下向き配置で配置してもよい。
【0046】
また、上述の説明では、第2光路長を調整可能に構成した場合を示しているが、第1光路長を調整可能に構成してもよいし、第1光路長及び第2光路長の両方を調整可能に構成してもよい。
【0047】
なお、上記実施形態では、図4(a)に示すように、分割された4つの側面のうちの周方向で隣り合う2つの側面からの光D1,E1を、2枚のミラー4,5、6,7にて錠剤Cの搬送方向Xと直交する方向、つまりラインセンサ3の走査方向Rへ変更するようにしたが、図4(b)に示すように、4つの側面のうちの対角線上に位置する2つの側面、つまり搬送方向X前側の左側側面(又は右側側面)と搬送方向X後側の右側側面(又は左側側面)の2つの側面からの光D1,E1を、3枚のミラー13,14,15、16,17,18にてラインセンサ3の走査方向Rへ変更するようにしてもよい。この図4(b)の場合では、錠剤Cの搬送方向前側の左側側面からの光を第1番目のミラー16で、また、搬送方向後側の右側側面からの光を第1番目のミラー13で、それぞれ搬送方向Xと平行となる方向でかつ両者が接近する側に向けて反射させ、その反射光D2,E2をそれぞれ第2番目のミラー17,14で錠剤Cの搬送方向Xと直交する方向へ変更し、その変更された光D3,E3をそれぞれ第3番目のミラー18、15にて上方へ反射させるようにしている。
ただし、図4(b)の場合には、変更手段としてのミラーが側面に対して一枚ずつ合計二枚多くなる関係上、装置が複雑で大型化してしまう不都合があるので、図4(a)に示すようにして装置の簡素化を図ることが好ましい。なお、図4(a),(b)に示すZは、錠剤Cの画像の移動方向を示している。
【0048】
また、錠剤Cの周面の分割についても変更可能であって、図3(a)に示したように分割する以外に、図3(b)に示すように、搬送方向に対して45度の角度でそれぞれ交差する2本の直線X1,Y1とで4つの側面に分割し、搬送方向及び搬送幅方向からの照射光(画像)をそれぞれラインセンサに取り込むようにしてもよい。さらに、錠剤Cの周面を4つの側面に分割し、それら4箇所の側面を第1検査部のラインセンサと第2検査部のラインセンサで受光する場合を示したが、錠剤Cの周面を2つの側面に分割し、それら2箇所の側面をそれぞれ受光するようにしてもよい。ただし、4箇所の側面を受光すると、2箇所の側面を受光する場合に比べて左右両端での検出精度が向上するので好ましい。
【0049】
前記撮像手段としてラインセンサを示したが、エリアセンサを用いてもよい。また、検査対象物が円柱形状であることから、検査対象物の上面又は下面を主検査面として撮像するように撮像手段を検査対象物の上方又は下方に設置し、副検査面としての側面からの光(画像)を変更手段で変更してその撮像手段で取り込むようにしたが、逆に検査対象物の側面を主検査面とし且つ上面又は下面を副検査面として、側面を撮像するように撮像手段を設置すると共に上面あるいは下面からの光を変更手段で変更して撮像手段に送り込むようにしてもよい。更に、主検査面に対して副検査面が直交しない場合でもよい。
【0050】
なお、主検査面と2つの副検査面の合計3つの画像を1つの撮像手段で取り込む場合を説明したが、主検査面と1つの副検査面の合計2つの画像を1つの撮像手段で取り込む場合にも適用可能である。
【0051】
なお、搬送手段としては、平ベルトを備えたベルトコンベアから構成してもよく、また、各種のベルトコンベアの他、錠剤Cを載置して搬送するものであれば、どのような構成であってもよい。さらに、検査対象物である錠剤Cを搬送する搬送手段1にて搬送しながら撮像するように構成したが、搬送手段1を用いずに錠剤Cを所定位置に個々に位置させて撮像することも可能である。
【0052】
また、照射手段をハロゲンランプ等で構成してもよい。また、十分な光量のある状況下において検査対象物を撮像する場合や検査対象物自体が発光する場合等には、照射手段を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1検査部の斜視図である。
【図2】一部省略した第1検査部を示し、(a)はそれの正面図、(b)はそれの平面図、(c)はそれの側面図、(d)はそれの斜視図である。
【図3】(a),(b)は錠剤を4つの側面に分割する2つの例を示す平面図である。
【図4】(a),(b)は2つの側面からの光を案内するためのミラーを配置した2つの例を示す平面図である。
【図5】錠剤の上面から方向転換用のミラーまでの光の移動経路を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…搬送手段、1A…搬送レール、1B…頂部、1M…溝部、2…ケーシング、3…ラインセンサ(撮像手段)、4,6…第1反射部(変更手段)、5,7…第2反射部(変更手段)、8…判定処理部、9…ミラー、10…主反射部、10A,10B…反射板、11〜18…ミラー、12…補助反射部(第4ミラー)、10,12…光路冗長手段、C…錠剤、K…第1検査部、R…走査方向、A,X…搬送方向、X1,Y1…直線、Y…搬送幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物(C)の外観を検査する外観検査装置において、
検査対象物(C)を特定方向から見たときの主検査面を撮像するように設置された撮像手段(3)と、該検査対象物(C)を前記特定方向とは異なる方向から見たときの副検査面の画像を前記撮像手段(3)に取り込むように該副検査面からの光の方向を変更する変更手段(4,5,6,7)とを備え、検査対象物(C)の副検査面から撮像手段(3)までの第1光路の光路長に検査対象物(C)の主検査面から該撮像手段(3)までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段(10,12)を備えていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
検査対象物(C)の外観を検査する外観検査装置において、
検査対象物(C)の上面と側面のうちの一方を撮像するように設置された撮像手段(3)と、該検査対象物(C)の上面と側面のうちの他方の画像を前記撮像手段(3)に取り込むように他方からの光の方向を変更する変更手段(4,5,6,7)とを備え、該検査対象物(C)の前記他方から撮像手段(3)までの第1光路の光路長に検査対象物(C)の前記一方から該撮像手段(3)までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段(10,12)を備えていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
検査対象物(C)の外観を検査する外観検査装置において、
検査対象物(C)の下面と側面のうちの一方を撮像するように設置された撮像手段(3)と、該検査対象物(C)の下面と側面のうちの他方の画像を前記撮像手段(3)に取り込むように他方からの光の方向を変更する変更手段(4,5,6,7)とを備え、該検査対象物(C)の前記他方から撮像手段(3)までの第1光路の光路長に検査対象物(C)の前記一方から該撮像手段(3)までの第2光路の光路長を合わせるために、該第2光路を冗長させる光路冗長手段(10,12)を備えていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
前記第1光路と前記第2光路の少なくとも一方が、その光路長を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記光路冗長手段において、前記第2光路の光路長が調整可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記光路冗長手段(10,12)として、光が進む方向を180度反転させた反対方向にほぼ平行となる状態で変更するための主反射部(10)と、該主反射部(10)からの光を前記撮像手段(3)側に変更するための補助反射部(12)とを備え、前記主反射部(10)を光の進行方向又は進行方向と反対方向に移動自在に構成したことを特徴とする請求項5に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記検査対象物(C)を搬送経路に沿って搬送するための搬送手段(1)を備え、前記撮像手段(3)が、前記検査対象物(C)の搬送方向と直交する方向に走査方向を持つラインセンサからなり、前記搬送手段(1)にて搬送されてきた検査対象物(C)の上面又は下面を撮像するように前記ラインセンサを設置し、前記変更手段(4,5,6,7)が、前記検査対象物(C)の側面の画像を前記ラインセンサに取り込むように該側面からの光の方向を変更する請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記検査対象物(C)の周面を、平面視において該検査対象物(C)の搬送方向と該搬送方向と直交する搬送幅方向とで4つの側面に分割し、それら分割された4つの側面のうちの搬送方向前側の左右の2つの側面又は搬送方向後側の左右の2つの側面から搬送方向と交差する方向へ出射された光を搬送経路側へ反射させる第1反射部(4,6)と、該第1反射部(4,6)からの光を上方又は下方へ反射させるための第2反射部(5,7)とを備えさせて、前記変更手段を構成し、前記主反射部(10)の移動方向を、検査対象物(C)の搬送方向又は該搬送方向と反対方向とし、前記補助反射部(12)が前記主反射部(10)からの光を上方又は下方へ反射させるように配置し、前記検査対象物(C)の上面又は下面からの光を搬送方向又は搬送方向と反対方向に反射させて前記主反射部(10)へ送る第3反射部(11)を備えさせてなることを特徴とする請求項7に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記撮像手段(3)と前記変更手段(4,5,6,7)と前記光路冗長手段(10,12)とを備えた検査部を、前記搬送方向の前後に2つ備え、前記2つの検査部のうちの一方が、検査対象物(C)の上面及び4つの側面のうちの特定の2つの側面を検査する第1検査部からなり、該2つの検査部のうちの他方が、検査対象物(C)の下面及び残りの2つの側面を検査する第2検査部からなることを特徴とする請求項8に記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−115489(P2009−115489A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286040(P2007−286040)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】