多周期的絶対位置検出器
本発明は、少なくとも1つの永久磁石を含む磁気位置検出器に関する。また本発明は、トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出する磁気装置に関する。本発明の目的は磁化ユニットの多周期的絶対位置を決定する装置を提供することである。従って本発明の主題は、少なくとも磁化ユニット(1)と、第1の磁気感受性プローブ(2)と、第2の磁気感受性プローブ(3)とを含む磁気位置検出器(A)である。第2の磁気感受性プローブ(3)は、この第2の磁気感受性プローブ(3)が作動しているか否かに関係なく磁石(1)の位置に関連する第2のデータを決定するために、絶対的、漸増的、かつ反転可能な方法で、磁場の完全な回転の回数を測定できる。検出器は、第1および第2のプローブ(2、3)にそれぞれ由来する第1および第2のデータに基づいて磁石(1)の絶対位置を計算するモジュールをさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの永久磁石を含む磁気位置検出器の分野に関する。
より正確には、本発明は約10度よりも大きく、数回転に及ぶ可能性がある角度に対する、線形または回転式の磁気位置検出器の分野に関する。1つの特に有利な使用法は、自動車ステアリングコラムの角度位置を測定するための位置検出器であるが、この用途が唯一の用途というわけではない。
【0002】
また、本発明は、トーションバーにより連結された、特に自動車ステアリングコラム用のトーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための磁気装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
この用途の場合、ステアリングコラムおよびハンドルの角度位置は、ESP(電子的安定性プログラム)およびEPS(電気式パワーステアリング)などの機能に必要な情報項目である。また、ステアリング角、したがって車輪の角度に関する情報は、指向性ヘッドライト、軌道制御、自動駐車などの補助機能に使用してもよい。
【0004】
ほとんどの自動車のハンドルは1回転以上回転できる必要があり、1回転検出器それ自体では、ほとんどの自動車のステアリングコラムの位置を検出することができない。1つの解決方法は、ハンドルが何回転目であるかを知るために「トップターン」を有する360°センサを組み合わせることであってもよい。これは、例えば、特許文献1に記載されている。これらのシステムは起動時に初期位置を仮定する。後続のすべての位置は、この開始位置に対する相対位置である。したがって、この種類のシステムが引き起こす問題は、自動車のコンタクトが確立されるたびに、この初期位置が再定義されるということである。このシステムがハンドル角度の最後の位置を記憶していない場合、またはコンタクトが切れているときに角度が変化する場合には、コンタクトが取れたときに示される角度は誤っているであろう。
【0005】
ステアリングコラム用途の仕様は非常に厳しい。具体的に、この用途では、±1°よりもよい精度および0.1°よりもよい分解能で、最大±720°(±2回転)またはさらに±1440°(±4回転)まで測定できる絶対検出器が必要となる。
【0006】
それを実行するには、角度測定を行うためのさまざまな絶対複数回転解決方法があり、これらはさまざまな電位差測定技術、光学技術、誘導技術、または磁気技術を使用する。
例えば、特許文献2または特許文献3に記載されているような光学的解決方法は複雑でかつ費用がかかり、エンジンルームの温度および環境条件と適合性がないためエンジンルーム内に取り付けるには不適となる可能性がある。
【0007】
例えば、特許文献4に記載されているような誘導的解決方法は、ステアリングコラムの開発および改良に関して非常に費用がかかる。
電位差測定式解決方法は、主にその費用および簡単さの点で大きな利点を有する。例えば、先行技術では、特許文献5が、2つの電位差測定式360°検出器から構成された絶対複数回転検出器を教示している。
【0008】
しかしながら、この解決方法には電位差計の接点と軌道の間の摩擦に起因する主要な欠点があり、それによって、検出器の寿命を短くしていることに注目すべきである。さらに、軌道はごみ、油、または他の液体との接触で劣化する可能性がある。したがって、電位差計を非接触システムに取り替える傾向にある。
【0009】
また、磁気非接触解決方法が先行技術から知られており、この解決方法では、例えば、特許文献6〜10に記載されているように、2つの回転検出器の間の連続位相差から回転部材の絶対位置を計算する。これらの検出器の原理は同じであり、それらの検出器はステアリングコラムに連結された歯車から構成されており、このステアリングコラムはわずかに異なる歯数を有する2つのギヤを駆動し、各ギヤは磁石に留められている。
【0010】
各磁石の回転が磁気感受性プローブにより検出され、その後、位相シフト信号がアルゴリズムに従って処理される。したがって、測定される絶対角度の精度は、2つの異なる検出器により出力される2つの信号の間の差に依存するとともに、計算アルゴリズムにも依存する。単一の測定値を得るために2つの信号の引き算を行うことは大きな欠点である。これは、2つの検出器のうちの1つで個々に得られる精度と比較して2倍ほど精度を低下させる。2つの検出器のうちの1つにおける最も小さいエラー、最も小さい機械的位相差、またはギヤのうちの1つにおける最も小さい遊びが、角度を測定する際に誤差を引き起こす。さらに、これは回転部材の絶対角度を計算するのに非常に高度なアルゴリズムを必要とする。歯車減速装置の使用は完全に非接触の解決方法ではないため、システム内に摩擦を付加する(歯車装置のギヤは磨耗部品であるため、寿命を制限する)。さらに、これらのギヤの追加、および検出器一式の組み立ての複雑さもまたシステムを高価なものにし、コンパクトなシステムを有することを妨げる。
【0011】
また、連続位相差を測定して、連続位相差から回転部材の位置を推定するこの同じ原理は、特許文献11〜14でも使用されている。これらの文献では、検出予定の回転部材の角度に応じて連続位相差を生成するために、2つの多極磁石、またはわずかに異なる極の対の数を有する2つの多極トラックを備えた1つの磁石を有している。また、この原理は、単一磁石および単一トラックを有しているが異なる角度幅の極を有する特許文献15にも記載がある。多極磁石に基づくこれらの原理は、わずかに異なる歯数を有する2つの歯車を使用する上述の原理と同じ欠点を有している。
【0012】
また、特許文献16が先行技術から知られており、この文献は絶対複数回転トルク/位置検出器について記載しており、この検出器では、特許文献5の原理に従って回転部材の位置が測定され、すなわち、2つの検出器、すなわち、回転部材に直接連結された360°検出器と、ジュネーブ型ホイールにより駆動される増分型の第2の検出器とにより位置が測定される。特許文献5とは異なり、使用される検出器は電位差測定式ではないが、非接触磁気型である。2つの検出器のそれぞれは、リング磁石と、そのリング磁石が生成する磁場の半径方向成分を測定して直角位相の2つの正弦波信号を得る、90°だけ離間した2つの磁気感受性素子とを有しており、これらの2つの正弦波信号は360°全体にわたって位置を決定するためにデコードされる。
【0013】
この特許文献16では特許文献5の接触を伴う測定問題は解決されているが、しかしながら、この場合も先と同様に、歯車減速装置を用いるという主要な欠点があり、この欠点により問題が複雑化され、摩擦、組み立て、および寿命の問題が引き起こされる。この解決方法の他の欠点は2つのプローブが存在することであり、それによって一方のプローブに対してもう一方のプローブを不正確に位置決めしてしまうことにより測定誤差を生じる可能性がある。また、90°だけ空間的に離れた2つの集積回路が存在することにより、プリント回路領域が大きくなる可能性があり、接続の数が増加することから、検出器の最終コストが増加する。
【0014】
さらに、先行技術では、本出願人による特許文献17が360°回転位置センサを教示しており、リング磁石または実質的に直径方向に磁化されたディスクの角度位置を決定するために磁気感受性プローブを使用している。この特許文献では、磁石が生成する磁場の方向に対して感受性を有するプローブを磁石の外側に配置しているため、例えば、ステアリングコラムの回転角測定用の、シャフト貫通回転検出器を得ることを可能にしている。さらに、この特許文献17は、数回転を超える回転を検出器における1回転以下の回転にまで落とすように動きを減速することと組み合わせた検出器の使用について記載している。この解決方法の主要な欠点はn倍減速を使用しているという事実であり、それによって結果的に分解能および精度が低下して、要求される精度および分解能が非常に高いこのようなステアリングコラム用途には不十分となる可能性がある。さらに、この解決方法もまた、上述したのと同じ欠点を有する歯車減速装置システムを使用している。
【0015】
さらに、先行技術では、本出願人が出願した特許文献18が絶対複数回転検出用の非接触360°位置検出器を開示している。非接触型の第1の検出器を使用して回転部材の0〜360°の回転角を測定し、第2の検出器を使用して回転部材の完全な回転の回数を決定する。連続n倍減速用の機械システムが2つの検出器の間に組み込まれている。したがって、この解決方法により測定の信頼性を向上させることが可能になるとともに、特に、シャフト貫通装置の場合に、この解決方法をさまざまな幾何学的構造(2回転検出器、3回転検出器など何回転であっても同じ精度および分解能を有する)に適合させることがさらに有利である。しかしながら、検出器の精度は回転部材の絶対回転角を測定する検出器の精度により決定され、この精度は±2°に限定され、これは自動車ステアリングコラム用途には不十分である。しかしながら、上述のこのすべてのシステムもまた上述の欠点を有する機械的減速システムを使用している。
【0016】
同様に、先行技術では、特許文献19がウィーガンド線の使用に基づく積算回転計技術を開示している。磁気変化がウィーガンド線の前を通過するたびに、ウィーガンド線の磁区の突発的な方向付けにより、取り囲むコイル内に電圧が生成され、この電圧を計数ユニットが使用して、回転数の値を増加させて不揮発性メモリに回転数の値を保存する。しかしながら、この方法は、[ウィーガンド線(磁石の通過の検出)+コイル(ワイヤ内の磁気変化の検出)+計数ユニット(検出された回転に関する情報を送信する)+不揮発性メモリ(行われた回転数を保存する)]アセンブリに依存しているため、多くの構成要素が機能する必要がある。さらに、記載の構成では、検出器はシャフトの端部上にのみ形成される可能性があるだけであり、シャフト貫通構成として提供される可能性はない。最終的に、回転数を計数し、この回転数が増加なのか減少なのかを知るために、検出器に電流を供給して補助プローブが回転の感知を判断する必要がある。
【0017】
また、例えば、特許文献20に記載するような積算回転計解決方法と組み合わせた磁気トルク検出器が先行技術から知られている。この検出器は単に、終端間に配置されて磁気複数回転位置検出器を備えた磁気トルク検出器を有しているだけである。したがって、検出器は大きく、数個のプリント回路またはフレキシブルプリント回路を使用する必要があるが、その理由はホール構成要素が異なる平面内にあり、トルクと位置検出器との間で磁気相互作用を行う必要があるためである。
【0018】
さらに、我々は先行技術においてトルク/位置検出器を開示する本出願人による特許文献21を見出すことができ、この検出器では位置検出器の磁石もまた固定子部分に精巧に組み込まれている。しかしながら、回転の計数は、本明細書の最初の部分に記載した欠点を有する機械的減速システムを用いて行われる。さらに、この検出器で得られる精度は360°に対して±0.5%(すなわち、角度精度±2°)であり、ステアリングコラム用途には不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第07/014599号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1219527号明細書
【特許文献3】米国特許第6848187号明細書
【特許文献4】米国特許第6384598号明細書
【特許文献5】米国特許第5200747号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/000288286号明細書
【特許文献7】特開2006−119082号公報
【特許文献8】米国特許第6941241号明細書
【特許文献9】米国特許第5930905号明細書
【特許文献10】米国特許第6466889号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0145663号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第1353151号明細書
【特許文献13】米国特許第6515571号明細書
【特許文献14】米国特許第7215112号明細書
【特許文献15】国際公開第2008/101702号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2005/076860号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2007/057563号パンフレット
【特許文献18】国際公開第2009/047401号パンフレット
【特許文献19】独国特許出願公開第102007039051号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2006/0236784号明細書
【特許文献21】国際公開第2009/047401号パンフレット
【特許文献22】欧州特許第1532425(B1)号明細書
【特許文献23】欧州特許第1740909(B1)号明細書
【特許文献24】仏国特許出願公開第2898189号明細書
【特許文献25】仏国特許出願公開第2909170号明細書
【特許文献26】仏国特許出願公開第2872896号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、より高い信頼性およびより高い精度の非接触位置検出器を作り出すことにより、先行技術が引き起こす問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これを行うために、本発明は、少なくとも磁化ユニットと、第1の磁気感受性プローブと、第2の磁気感受性プローブとを含む磁気位置検出器を提案し、第1および第2の磁気感受性プローブは互いに対して固定されており、磁化ユニットは変位行程にわたりこれらの第1および第2の磁気感受性プローブに対して可動であり、各瞬間において絶対位置を有しており、磁化ユニットは、第1の磁気感受性プローブの近くに、一方では法線成分と、他方では少なくとも1つの接線成分または横断成分とを有し、変位行程にわたり分布するN周期全体にわたって、正弦波的かつ周期的に変化する磁場を生成し、Nは2以上の数字であり、第1の磁気感受性プローブは、磁化ユニットの位置に関連する第1のデータを決定するために磁場の3成分のうちの少なくとも2つを測定できる。第2の磁気感受性プローブは、この第2の磁気感受性プローブが作動しているか否かに関係なく磁石の位置に関連する第2のデータを決定するために、絶対的、漸増的、かつ反転可能な方法で、磁場の完全な回転の回数を測定でき、検出器は第1のデータと第2のデータとから磁石の絶対位置を計算するためのモジュールを含んでいる。
【0022】
位置検出器の一般的な実施形態では、第1の磁気感受性プローブが、磁化ユニット(1)により生成される磁場の3成分のうちの2つを測定して(または角度を直接的に測定して)、これらの2成分から磁化ユニットの位置をデコードするが、これらの2成分の振幅は一般に異なっており、アークタンジェントを計算して磁化ユニットの位置を推定できるようにするために、使用される2成分を正規化する必要がある。これらのアークタンジェントおよび正規化機能は、磁場の2成分の測定と、アークタンジェントの計算と、磁場の2成分の正規化とを統合する別の構成要素により、または直接的にプローブ(例えば、MELEXIS90316またはHAL3625など)により実行される。特定の変形を行うことができ、この特定の変形では、例えば、プローブの位置および方向を適切に選択することにより、特定の磁石配置を使用することにより、特定の磁化を有することにより、または最後に第1のプローブにフィールドコンセントレータを配置することにより、磁場の成分が実質的に同じ値を有するであろう。位置デコーディングの後に、この第1のプローブに対する磁化ユニットの位置に依存するこの第1のプローブからの出力として、線形周期信号を取得する。
【0023】
その後、第2の磁気感受性プローブを使用して、現在の記録を区別して、その結果、プローブに対する磁化ユニットの位置を絶対的に決定する。具体的には、所望の移動の間に出力信号がn回繰り返されるため、第1のプローブにより出力される第1の信号だけを用いて磁化ユニットの位置を推定することはできず、このことが、本発明で第2のプローブを追加するよう提案する理由であり、この第2のプローブにより、第1のプローブが感じる磁場を生成するのと同じ磁石に基づいて、どの直線部内にシステムがあるのかを明確にすることができる。例として、磁気モーメントの回転に基づく成分を使用できる(特許文献22および特許文献23に記載するように)。磁化ユニットが生成するユニット内の磁場の回転と同時に、磁区は連続的に回転するが、結局、出力を処理しながら、磁場が360°回転するたびに離散的ではあるが絶対的な方法で増減する信号を取得するために、磁場が回転するたびにのみ磁区は磁気回路の中を伝搬する。したがって、これにより、システムがどの周期内に位置するのかを絶対的に区別することが可能になる。さらに、このような成分は磁区の回転に基づいているため、プローブが作動していないときでも、また、磁石とこの第2のいわゆるASICの磁気感受性プローブとの間に位置ずれがあるときでも、磁区は回転して、この位置ずれに基づき多かれ少なかれ伝搬する。電気的接触が確立されるとすぐに、その後、位置は失われない。その後、このシステムは一般的にTPO(true power on(正確な電源オン))システムであるといわれており、いかなる履歴現象も引き起こさずに2つの方向の運動で動作する。
【0024】
不揮発性メモリ宛ての電気パルスを、ウィーガンド線に関連するコイルを通じて送信することを積算回転計アセンブリが要求する特許文献19とは異なり、使用される本構成要素は、その物理的性質の変更により、それ自体で回転数を測定して計数することを可能にする(図7参照)。したがって、製作されるアセンブリはコンパクトであり、シャフト貫通検出が要求される場合には磁石の周辺まで移動することを可能にする。さらに、アセンブリは、検出器に電力を供給する必要なしに(TPOモードでの動作)、実行された回転数と、実行された回転の方向(増加または減少)とを計数することを可能にする。
【0025】
本願で提案する解決方法は、完全に非接触の解決方法を得ることを可能にするものであり、したがって、付加的な機械部品を省いて、検出器を単純化し、検出器の製造コストを低減しながら、検出器の精度を向上させることを可能にする。したがって、この解決方法により測定の信頼性を向上させることが可能になるとともに、特に、シャフト貫通装置の場合に、この解決方法をさまざまな幾何学的構造(2回転検出器、3回転検出器など)に適合させ、この解決方法を所望の精度に適合させることがさらに有利である。
【0026】
特定の実施形態によれば、
・磁化ユニットが、例えば、本出願人による特許文献24に記載のような変位方向に沿って連続的に変化できる磁化方向を有しており、
・磁化ユニットは変位方向に沿って直線的に変化する磁化方向を有しており、
・磁化ユニットは南北磁化極の交代を有しており、
・磁化ユニットは一方向磁化を有しており、磁化ユニットは、特許文献25に示すように、その寸法のうちの少なくとも1つが、磁化ユニットの接線成分および法線成分(または軸方向成分)の正弦波変動を近くに生成するために非定常的に変化する。
【0027】
さらに、他の実施形態によれば、
・磁化ユニットが環形状を有し、磁化ユニットの回転軸に垂直な平面内に磁化方向を有しており、
・磁化ユニットはディスク形状を有し、ディスクの平面に垂直な磁化方向を有している。
【0028】
磁化ユニットが近くに生成する磁場の成分を正弦波的に変化させるための先行技術から知られている任意の手段を本発明の文脈の中で想定してもよいということを指摘しておく。
【0029】
これらの磁石の近くで、磁場は、周期2π/Nの実質的に正弦波状の接線成分(Bt)、法線成分(Bn)、および横断成分(Bz)を生成する。成分BnおよびBzは同じ位相を有しており、他方、成分Btは4分の1周期分だけ位相シフトしている。必要に応じて、磁場の2成分の測定を統合し、アークタンジェントを計算し、磁場の2成分を正規化する第1の磁気感受性プローブを使用する。
【0030】
磁石を囲む空間内の点における成分BtおよびBnを第1のプローブを用いて測定する場合、下記の式を適用することにより磁石の線形位置を2π/Nの範囲まで決定できる。
【0031】
【数1】
ここで、
・Θは磁石の角度位置であり、Gtは必要に応じて接線成分を増幅するための利得である。
【0032】
より一般的な場合には、下記の式を使用してもよい。
【0033】
【数2】
一般的な場合において、これらの2成分に基づいて磁化ユニットの角度位置をデコードする場合には、これらの2成分の振幅が一般に異なっていることから、アークタンジェントを計算して磁化ユニットの線形位置を推定できるようにするには、使用される2成分を正規化する必要がある。線形部分の精度は、長さ2π/Nの周期に対してほぼ±0.3%程度である。したがって、周期が短いほど、言い換えればNが大きいほど、角度の精度が高くなるため、周期の回数Nを精度の所望のレベルに調節できる。
【0034】
第1および第2の磁気感受性プローブは同一のプリント回路上に配置することが好ましい。
プローブ(3)が区別できる磁場の完全な1回転の回数Nrを用途に応じて変更することにより、このプローブ(3)に制限をかけてもよい。例えば、プローブ(3)がN周期を含む磁化ユニットと向かい合うように組み込まれた場合、プローブ(3)は最大でNr個の異なる増分を送出することになるため、結局、検出器はNr/N回転に対して非常に高い精度で絶対的であることになる。したがって、確定した回転数に対して絶対的な検出器を望む場合、正確な回転数に対して絶対的な検出器を得るために、磁化の周期の回数を調節する必要があるであろう。
【0035】
特定の一実施形態により、直線的な用途において本発明を想定してもよい。その結果、磁化ユニットは変位方向に沿って直線的に延びている。
このバージョンでは、帯板形状の磁石があり、この磁石の磁化方向は変位方向に沿って連続的に変化する。周期の中で磁石の位置を決定するために、第1のプローブは半径方向成分、法線成分、および軸方向成分を測定する。絶対増分型の第2のプローブを使用して、磁化ユニットが生成する磁場の回転数を計数する。
【0036】
他の実施形態によれば、磁化ユニットが360°未満の角度幅にわたって広がった形状を有している。このような方法では、第1および第2のプローブからの信号を組み合わせることにより得られる位置信号は非常に精密である。
【0037】
また、本発明は、上述のように、位置検出器を含むトルク検出器を作り出すことも提案している。
これを行うために、本発明は、トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置を提案しており、この装置は、上述のような位置検出器と、第1のシャフトに留められ、放射状に配向された複数の磁石を含む回転子第1磁気構造と、第2のシャフトに留められ、うろこ状に重なって軸方向に配向された歯により広げられた2つのリングを含む固定子第2構造と、少なくとも第3の磁気感受性プローブを中に配置する少なくとも1つのギャップを形成する2つの磁束遮へい部品で構成された固定収集第3構造とを含んでいる。
【0038】
有利な実施形態によれば、
・第1、第2、および第3のプローブが同じプリント回路上に配置されており、
・磁化ユニットが、歯の周囲に位置するリングの形状をしており、
・複数の磁石が磁化ユニットに属している。
【0039】
したがって、この構造は、複数回転絶対トルク/位置検出器を得ることを可能にするものであり、この検出器の軸方向および半径方向の寸法は、単に磁石と2つのプローブとを追加して、トルク検出器の他のすべての部品を再利用することにより、単なるトルク検出器の寸法と同じである。この構成では、トルク検出器の磁石と位置検出器の磁石とは同心であり、すべてのホール構成要素が、検出器の回転軸に垂直な磁石の正中面内に位置している。これは単一プリント回路上にすべてのホール構成要素を挿入でき、一方の検出器ともう一方の検出器との磁気相互作用を無くすことができる利点を有している。
【0040】
さらに、このような集積化検出器のコストは、この検出器を構成する部品を共通化することにより低減される。位置検出器の磁石とトルク検出器の同心円状のリングとは同時にオーバーモールドしてもよく、したがって、同一のプリント回路の一部分を形成するトルク/位置検出器のホールプローブの場合と同様に単一の部品だけを形成する。この好ましい実施形態によれば、コレクタの角度幅が、位置検出器の磁石の周期の角度幅に等しいか、または位置検出器の磁石の周期の角度幅のK周期分に等しいように選択されるであろう。
【0041】
この実施形態は複数回転トルク/位置検出器解決方法を提供し、この解決方法は、2つの検出器に対して単一の共通磁石だけを用いて、第1の好ましい実施形態と、例えば、特許文献26に記載しているような磁気トルク検出器とを慎重に組み合わせる。したがって、この磁石はトルク検出器および位置検出器に対する磁場の供給源であり、すべての電子部品が同じプリント回路上に配置されている。この構成では、単一磁石が生成する磁場を第1および第2のプローブが測定できるように、固定子をトルク検出器から離れる方向に軸方向に動かす必要がある。軸方向寸法は、より大きくなるが、これにより、単一磁石だけを用いて検出器のコストを低減することが可能になる。
【0042】
また、トルク固定子を互いに切り離す代わりに、1つ以上の固定子を超えて軸方向に広がるようにトルク検出器の磁石を延ばすことも可能であり、トルク検出器の磁石の周辺部に第1および第2のプローブを配置することも可能である。また、これにより単一磁石を有することが可能になるが、トルク検出器に関連するプローブ用、および位置検出器のプローブ用の2つの別々のプリント回路を有する欠点を伴う。
【0043】
また、本発明は、トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置に関し、上述のような位置検出器と、補助磁化ユニットと、補助磁気感受性プローブとを含み、位置検出器の磁化ユニットは第1のシャフトに留められ、この第1のシャフトの角度位置Θ1に関する第1の位置情報項目を位置検出器が送出できるようになっており、補助磁化ユニットは第2のシャフトに留められ、補助磁気感受性プローブに対して動くことができ、この補助プローブは第2のシャフトの角度位置Θ2に関する第2の位置情報項目を送出できるようになっており、装置は第1および第2の位置情報項目の組み合わせから第1のシャフトと第2のシャフトとの間の角度位置の差を下記のように計算できる中央処理モジュールを含む。
【0044】
【数3】
ここで、
・Bn1は、第1のプローブにより測定される、磁化ユニットが生成する磁場の法線成分であり、
・Bn2は、補助プローブにより測定される、補助磁化ユニットが生成する磁場の法線成分であり、
・Bt1は、第1のプローブにより測定される、磁化ユニットが生成する磁場の接線成分であり、
・Bt2は、補助プローブにより測定される、補助磁化ユニットが生成する磁場の接線成分である。
【0045】
トルクは、2本のシャフト間の相対角度の測定値、すなわち、(Θ1−Θ2)を使用することにより計算される。
周期的かつ正弦波的な磁化を生成する2つの同じ磁石を有していることを考慮すれば、下記の式を書いてもよい。
・Bn1=|Bn1|sin(NΘ1)およびBt1=|Bt1|cos(NΘ1)
・Bn2=|Bn2|sin(NΘ2)およびBt2=|Bt2|cos(NΘ2)
下記の式、すなわち
【0046】
【数4】
が成り立つことから、これにより下記の式を用いて2本のシャフト間の相対角度を推定できる。
【0047】
【数5】
ここで、G、G1、およびG2は、|Bn1|=G1|Bt1|、|Bn2|=G2|Bt2|、およびG|Bn1|=|Bn2|のようになっている(基準を同等と見なす)。
【0048】
したがって、この実施形態は、第1の実施形態により規定される入力シャフトに関連する検出器に対して、出力シャフトに関連する同じ磁石だけを付加することにより、および同一の第1のプローブもまた付加することにより、最低限の部品数で複数回転トルク/位置検出器を得ることができることを可能にする。具体的に言えば、もはやこの構成においては、高価な部品であったトルク検出器用の固定子およびコレクタの必要性がない。
【0049】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら詳細な実施形態に関する下記の説明を読むとき、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】リング磁石を備えた好ましい実施形態の位置検出器を示す図である。
【図2】ディスク磁石を備えた第2の実施形態の位置検出器を示す図である。
【図3】図1または図2の磁石(1)の近くのプローブ(2)により読み取られた正弦波信号を示す図である。
【図4】図3に表示された信号から、磁化の1周期に対して計算した位置信号を示す図である。
【図5】図4の位置信号に関連する非線形信号を示す図である。
【図6】磁石(1)が4回転する間にプローブ(2)により与えられる位置信号を示す図である。
【図7】磁石(1)の回転の関数としてプローブ(3)により出力されるように得られる信号を示す図である。
【図8】本発明の直線変位検出器を示す図である。
【図9】本発明の360°未満の角変位検出器を示す図である。
【図10】本発明の位置検出器と組み合わせることができる先行技術のトルク検出器を示す図である。
【図11】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第1の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図12】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第2の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図13】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第3の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図14】本発明の位置検出器を用いる第4の実施形態のトルク検出器を示す図である。
【図15】図14のトルク検出器の磁気構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、第1の実施形態の高精度の単一回転または複数回転位置検出器(A)を示している。位置検出器(A)は、いくつかの磁化周期を有する磁石(1)で構成されている。したがって、磁化方向は磁石(1)の角変位の方向に沿って連続的に変化し、この非制限的実施例では360°の磁石(1)に対して4回繰り返される。
【0052】
磁石(1)の近くに位置しているのは、いわゆる第1のプローブ(2)である。この第1のプローブ(2)はプリント回路(4)上に配置されており、磁石(1)が生成する磁場の方向(振幅ではない)を測定する。例えば、MLX90316、2SA10、または磁気抵抗(AMR、GMRなど)プローブのようなホール効果プローブを用いて想定できる。このプローブの近くでは、磁化は、成分が実質的に正弦波状の磁場を生成する。
【0053】
図3は、図1に示すような磁石と磁化とを用いてプローブ(2)により測定された半径方向成分(23)および接線成分(24)の振幅(単位:ボルト)の変動を、位置(単位:度)の関数として示している。
【0054】
2つの測定された正弦波信号から、下記の式を適用することにより磁石の線形位置を決定できる。
【0055】
【数6】
ここで、
・Θは角度位置であり、
・Btは磁場の接線成分であり、
・Bnは磁場の法線成分であり、
・Gは補正利得である。
【0056】
この式を図2の測定された信号に適用することにより、出力信号が図4に示すように得られ、この信号は図4ではボルト単位で表されており、度単位で表された位置の関数として線形的であり、90°周期で周期的である。
【0057】
度単位で表された位置の関数として非線形性の変動の割合を示している図5で分かるように、得られた信号は90°の周期に対して非常に良好な線形性を示している。例として、その典型的な値は、約0.3%であり、0.27°に対応する。
【0058】
図1の場合には、4回の磁化周期を考慮するとき、出力信号は、したがって、回転あたり4回繰り返される。磁石(1)の4回転の回転を考慮すると、我々が有するのは、したがって、図4に示すようなパターンが、図6に示すように16回繰り返されるパターンであり、度単位で表された位置の関数としてボルト単位で表された信号の変動を示している。
【0059】
得られるこれらの16回の周期の中では反復パターンは常に同じであるため、磁石の角度位置を推定することはできない。この機能は、図1に示す絶対増分型のプローブ(3)を使用することにより可能となり、このプローブ(3)は磁石(1)の近くにプローブ(2)を支持する同じプリント回路(4)上に配置されることが有利である。この絶対増分型のプローブ(3)は、先と同様に同じ磁石(1)を用いて、システムがどの直線部分に位置するかを決定する働きをする。
【0060】
この絶対増分型のプローブ(3)は、絶対増分型のプローブ(3)に電流が供給されているか否かに関係なく、磁石(1)の磁場により行われる回転の回数を絶対的な方法で検出することを可能にする。したがって、検出は絶対増分型のプローブ(3)の物理的性質を変更することにより達成される。
【0061】
区別してもよい磁場の完全な1回転の回数Nrにより、絶対増分型のプローブ(3)に制限をかけてもよい。例えば、絶対増分型のプローブ(3)がいくつかの磁化周期Nppで磁石と向かい合うように組み込まれた場合、この構成要素はNr/Nppの周期で周期的な離散信号(Nr値)を送出するであろう。
【0062】
したがって、例えば、図1の磁石を用いた場合、絶対増分型のプローブ(3)からの出力信号は、絶対増分型のプローブ(3)を磁場の16回の完全な回転に制限すると仮定するとき、90°(360/4)ごとに異なる出力電圧を有し、度単位で表された位置の関数としてボルト単位で表された信号の変動を示している図7に示すように4回転(16/4=4回転)の周期で周期的である。
【0063】
90°の周期で連続的に変化する磁化方向を有する磁石(1)を用いると、したがって、約0.2°の典型的な精度を有する複数回転位置検出器(図1の場合、4回転)を得ることができる。
【0064】
この実施形態は決して限定的なものではない。したがって、本発明は、さまざまな方法で、特に、図2に示すようにディスクの形をした磁石(1)を用いて実行してもよい。ディスク磁石(1)は、磁石の360°の間のいくつかの周期に沿って南北磁化極の交代を有している。この実施形態では、磁化方向はディスクの表面に垂直である。
【0065】
同様に、いくつかの周期にわたって連続的に変化する磁化方向を有する磁石(1)を示す、例えば、図8に描写するような直線バージョンを想像してもよい。これも先と同様に、同じプリント回路(4)上に配置されている、1周期中の磁石(1)の位置を推定するために垂直磁場(または軸磁場)および接線磁場の方向を測定するプローブ(2)と、磁場の回転数、すなわち、磁場周期の回数を計数する絶対増分型のプローブ(3)とを示している。このように、2つの信号の組み合わせは、非常に高い精度の位置検出器を作り出すことを可能にする。
【0066】
さらに、先と同様に、図9は、半径方向に磁化した南北磁化極の交代を有する磁石タイルまたはアーチ(1)の形の回転式バージョンと、2つのプローブ(2および3)を支持するプリント回路(4)とを示している。限定された角度幅のタイルを作ることにより、また、磁化周期の回数を増やすことにより、得られる検出器の精度を高めることができる。
【0067】
本発明は、例えば、本出願人による特許文献26に記載されるように、また、図10に示すように、位置検出器(A)とトルク検出器(B)とを組み合わせるという状況に特に関連している。
【0068】
このトルク検出器(B)はトーションバー(19)により連結された2本のシャフト(5および6)の相対的回転を検出するために使用され、このトルク検出器(B)は、
・ヨーク(20)に固定され半径方向に磁化された複数の磁石(8)を含む回転子第1磁気構造(7)と、
・軸方向に延びる複数のうろこ状に重なった歯(12、13)を有する2つの同心円状のリング(10、11)を含む固定子第2磁気構造(9)と、
・2つの磁気感受性素子(18)が配置された2つの測定ギャップ(17)を形成するように接近する枝(21、22)が延びている2つの磁束遮へい部品(15、16)で構成された固定収集第3構造(14)とから構成されている。この重複構成は冗長機能を提供する働きをするが、単一の磁気感受性素子を備えた単一ギャップが考えられる。
【0069】
位置検出器(A)と組み合わせる場合、トルク検出器(B)は、図11に示すように、トルク検出器(B)の第2の磁気構造(9)を支持するプラスチック部分(図示せず)上にオーバーモールドできる、連続的に変化する磁化方向を有する多極磁化磁石(1)でできた第4の構造から構成される。また、プローブ(2)と、位置検出器(A)の動作に必要な絶対増分型のプローブ(3)と、トルク検出器(B)を使用するために磁場の振幅を測定する磁気感受性の第3のプローブ(18)とを支持するプリント回路(4a)が存在している。
【0070】
図11に示すこの構成では、連続的に変化する磁化方向を有する多極磁石(1)を固定子構造(9)に留めている。この新規な検出器は従来のトルク検出器と同じ寸法を有しているが、この新規な検出器はまた、固定子部分(9)に留められたシャフト(6)の角度位置を絶対的に、および数回転にわたり測定する。
【0071】
図12は、上述のような位置検出器(A)とトルク検出器(B)との考えられる他の組み合わせを示している。この実施形態では、磁石(8)は半径方向に磁化した多極磁石である。したがって、この磁石(1)はトルク検出器(B)および位置検出器(A)に対する磁場の供給源であり、すべてのプローブ(2、3、18)は同じプリント回路(4a)上に配置されている。これは、軸方向寸法を増加させる欠点を有する磁石(1)を、たった一つしか含まないという利点を有している。
【0072】
トルク検出器の歯(12および13)の影響は位置検出器の正確な動作にとって有害である可能性があるが、図13に示すように他の実施形態を想定でき、図13では、プローブ(2および3)を他のプリント回路(4b)上に配置するために固定子アセンブリ(9)を超えて延びるように単一の磁石(1、8)を製作している。アセンブリは、位置検出器(A)がトルク検出器(B)の影響を受けないようにすることができる。
【0073】
最後に、図14は、先と同様に図1に示すような位置検出器(A)の使用に基づく革新的なトルク/位置検出器を示している。
この実施形態では、連続的に変化可能な磁化方向を有する2つの多極磁石(1aおよび1b)を使用している。
【0074】
ステアリングコラム上で、トーションバー(19)が入力シャフト(5)と出力シャフト(6)とを連結しており、このことは、入力シャフト(5)と出力シャフト(6)との間の角度の測定値からトルクを推定できることを意味している。本発明は、各シャフト(5および6)上に、N対の極を有し連続的に変化する磁化方向を有する多極磁石(それぞれ1aおよび1b)と、各磁石(1aおよび1b)と向かい合って、生成される磁場の半径方向成分(または軸方向成分)および接線成分を測定する1つの磁気感受性プローブ(それぞれ2aおよび2b)と、入力シャフト(5)または出力シャフト(6)のどちらかに結合された磁石(1b)と向かい合う1つの絶対増分型のプローブ(3)とを組み込むことを提案する。
【0075】
この実施形態では、位置Θ1にある第1のシャフト(5)と、位置Θ2にある第2のシャフト(6)との間の角度位置の差は、プローブ(2aおよび2b)からの信号の組み合わせにより下記のように決定される。
【0076】
【数7】
この方程式内のパラメータについては上述の本文内で既に説明している。この実施形態では、図15に示すように、第1のプリント回路(4a)上にプローブ(2a)を配置し、第2のプリント回路(4b)上にプローブ(2bおよび3)を配置している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの永久磁石を含む磁気位置検出器の分野に関する。
より正確には、本発明は約10度よりも大きく、数回転に及ぶ可能性がある角度に対する、線形または回転式の磁気位置検出器の分野に関する。1つの特に有利な使用法は、自動車ステアリングコラムの角度位置を測定するための位置検出器であるが、この用途が唯一の用途というわけではない。
【0002】
また、本発明は、トーションバーにより連結された、特に自動車ステアリングコラム用のトーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための磁気装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
この用途の場合、ステアリングコラムおよびハンドルの角度位置は、ESP(電子的安定性プログラム)およびEPS(電気式パワーステアリング)などの機能に必要な情報項目である。また、ステアリング角、したがって車輪の角度に関する情報は、指向性ヘッドライト、軌道制御、自動駐車などの補助機能に使用してもよい。
【0004】
ほとんどの自動車のハンドルは1回転以上回転できる必要があり、1回転検出器それ自体では、ほとんどの自動車のステアリングコラムの位置を検出することができない。1つの解決方法は、ハンドルが何回転目であるかを知るために「トップターン」を有する360°センサを組み合わせることであってもよい。これは、例えば、特許文献1に記載されている。これらのシステムは起動時に初期位置を仮定する。後続のすべての位置は、この開始位置に対する相対位置である。したがって、この種類のシステムが引き起こす問題は、自動車のコンタクトが確立されるたびに、この初期位置が再定義されるということである。このシステムがハンドル角度の最後の位置を記憶していない場合、またはコンタクトが切れているときに角度が変化する場合には、コンタクトが取れたときに示される角度は誤っているであろう。
【0005】
ステアリングコラム用途の仕様は非常に厳しい。具体的に、この用途では、±1°よりもよい精度および0.1°よりもよい分解能で、最大±720°(±2回転)またはさらに±1440°(±4回転)まで測定できる絶対検出器が必要となる。
【0006】
それを実行するには、角度測定を行うためのさまざまな絶対複数回転解決方法があり、これらはさまざまな電位差測定技術、光学技術、誘導技術、または磁気技術を使用する。
例えば、特許文献2または特許文献3に記載されているような光学的解決方法は複雑でかつ費用がかかり、エンジンルームの温度および環境条件と適合性がないためエンジンルーム内に取り付けるには不適となる可能性がある。
【0007】
例えば、特許文献4に記載されているような誘導的解決方法は、ステアリングコラムの開発および改良に関して非常に費用がかかる。
電位差測定式解決方法は、主にその費用および簡単さの点で大きな利点を有する。例えば、先行技術では、特許文献5が、2つの電位差測定式360°検出器から構成された絶対複数回転検出器を教示している。
【0008】
しかしながら、この解決方法には電位差計の接点と軌道の間の摩擦に起因する主要な欠点があり、それによって、検出器の寿命を短くしていることに注目すべきである。さらに、軌道はごみ、油、または他の液体との接触で劣化する可能性がある。したがって、電位差計を非接触システムに取り替える傾向にある。
【0009】
また、磁気非接触解決方法が先行技術から知られており、この解決方法では、例えば、特許文献6〜10に記載されているように、2つの回転検出器の間の連続位相差から回転部材の絶対位置を計算する。これらの検出器の原理は同じであり、それらの検出器はステアリングコラムに連結された歯車から構成されており、このステアリングコラムはわずかに異なる歯数を有する2つのギヤを駆動し、各ギヤは磁石に留められている。
【0010】
各磁石の回転が磁気感受性プローブにより検出され、その後、位相シフト信号がアルゴリズムに従って処理される。したがって、測定される絶対角度の精度は、2つの異なる検出器により出力される2つの信号の間の差に依存するとともに、計算アルゴリズムにも依存する。単一の測定値を得るために2つの信号の引き算を行うことは大きな欠点である。これは、2つの検出器のうちの1つで個々に得られる精度と比較して2倍ほど精度を低下させる。2つの検出器のうちの1つにおける最も小さいエラー、最も小さい機械的位相差、またはギヤのうちの1つにおける最も小さい遊びが、角度を測定する際に誤差を引き起こす。さらに、これは回転部材の絶対角度を計算するのに非常に高度なアルゴリズムを必要とする。歯車減速装置の使用は完全に非接触の解決方法ではないため、システム内に摩擦を付加する(歯車装置のギヤは磨耗部品であるため、寿命を制限する)。さらに、これらのギヤの追加、および検出器一式の組み立ての複雑さもまたシステムを高価なものにし、コンパクトなシステムを有することを妨げる。
【0011】
また、連続位相差を測定して、連続位相差から回転部材の位置を推定するこの同じ原理は、特許文献11〜14でも使用されている。これらの文献では、検出予定の回転部材の角度に応じて連続位相差を生成するために、2つの多極磁石、またはわずかに異なる極の対の数を有する2つの多極トラックを備えた1つの磁石を有している。また、この原理は、単一磁石および単一トラックを有しているが異なる角度幅の極を有する特許文献15にも記載がある。多極磁石に基づくこれらの原理は、わずかに異なる歯数を有する2つの歯車を使用する上述の原理と同じ欠点を有している。
【0012】
また、特許文献16が先行技術から知られており、この文献は絶対複数回転トルク/位置検出器について記載しており、この検出器では、特許文献5の原理に従って回転部材の位置が測定され、すなわち、2つの検出器、すなわち、回転部材に直接連結された360°検出器と、ジュネーブ型ホイールにより駆動される増分型の第2の検出器とにより位置が測定される。特許文献5とは異なり、使用される検出器は電位差測定式ではないが、非接触磁気型である。2つの検出器のそれぞれは、リング磁石と、そのリング磁石が生成する磁場の半径方向成分を測定して直角位相の2つの正弦波信号を得る、90°だけ離間した2つの磁気感受性素子とを有しており、これらの2つの正弦波信号は360°全体にわたって位置を決定するためにデコードされる。
【0013】
この特許文献16では特許文献5の接触を伴う測定問題は解決されているが、しかしながら、この場合も先と同様に、歯車減速装置を用いるという主要な欠点があり、この欠点により問題が複雑化され、摩擦、組み立て、および寿命の問題が引き起こされる。この解決方法の他の欠点は2つのプローブが存在することであり、それによって一方のプローブに対してもう一方のプローブを不正確に位置決めしてしまうことにより測定誤差を生じる可能性がある。また、90°だけ空間的に離れた2つの集積回路が存在することにより、プリント回路領域が大きくなる可能性があり、接続の数が増加することから、検出器の最終コストが増加する。
【0014】
さらに、先行技術では、本出願人による特許文献17が360°回転位置センサを教示しており、リング磁石または実質的に直径方向に磁化されたディスクの角度位置を決定するために磁気感受性プローブを使用している。この特許文献では、磁石が生成する磁場の方向に対して感受性を有するプローブを磁石の外側に配置しているため、例えば、ステアリングコラムの回転角測定用の、シャフト貫通回転検出器を得ることを可能にしている。さらに、この特許文献17は、数回転を超える回転を検出器における1回転以下の回転にまで落とすように動きを減速することと組み合わせた検出器の使用について記載している。この解決方法の主要な欠点はn倍減速を使用しているという事実であり、それによって結果的に分解能および精度が低下して、要求される精度および分解能が非常に高いこのようなステアリングコラム用途には不十分となる可能性がある。さらに、この解決方法もまた、上述したのと同じ欠点を有する歯車減速装置システムを使用している。
【0015】
さらに、先行技術では、本出願人が出願した特許文献18が絶対複数回転検出用の非接触360°位置検出器を開示している。非接触型の第1の検出器を使用して回転部材の0〜360°の回転角を測定し、第2の検出器を使用して回転部材の完全な回転の回数を決定する。連続n倍減速用の機械システムが2つの検出器の間に組み込まれている。したがって、この解決方法により測定の信頼性を向上させることが可能になるとともに、特に、シャフト貫通装置の場合に、この解決方法をさまざまな幾何学的構造(2回転検出器、3回転検出器など何回転であっても同じ精度および分解能を有する)に適合させることがさらに有利である。しかしながら、検出器の精度は回転部材の絶対回転角を測定する検出器の精度により決定され、この精度は±2°に限定され、これは自動車ステアリングコラム用途には不十分である。しかしながら、上述のこのすべてのシステムもまた上述の欠点を有する機械的減速システムを使用している。
【0016】
同様に、先行技術では、特許文献19がウィーガンド線の使用に基づく積算回転計技術を開示している。磁気変化がウィーガンド線の前を通過するたびに、ウィーガンド線の磁区の突発的な方向付けにより、取り囲むコイル内に電圧が生成され、この電圧を計数ユニットが使用して、回転数の値を増加させて不揮発性メモリに回転数の値を保存する。しかしながら、この方法は、[ウィーガンド線(磁石の通過の検出)+コイル(ワイヤ内の磁気変化の検出)+計数ユニット(検出された回転に関する情報を送信する)+不揮発性メモリ(行われた回転数を保存する)]アセンブリに依存しているため、多くの構成要素が機能する必要がある。さらに、記載の構成では、検出器はシャフトの端部上にのみ形成される可能性があるだけであり、シャフト貫通構成として提供される可能性はない。最終的に、回転数を計数し、この回転数が増加なのか減少なのかを知るために、検出器に電流を供給して補助プローブが回転の感知を判断する必要がある。
【0017】
また、例えば、特許文献20に記載するような積算回転計解決方法と組み合わせた磁気トルク検出器が先行技術から知られている。この検出器は単に、終端間に配置されて磁気複数回転位置検出器を備えた磁気トルク検出器を有しているだけである。したがって、検出器は大きく、数個のプリント回路またはフレキシブルプリント回路を使用する必要があるが、その理由はホール構成要素が異なる平面内にあり、トルクと位置検出器との間で磁気相互作用を行う必要があるためである。
【0018】
さらに、我々は先行技術においてトルク/位置検出器を開示する本出願人による特許文献21を見出すことができ、この検出器では位置検出器の磁石もまた固定子部分に精巧に組み込まれている。しかしながら、回転の計数は、本明細書の最初の部分に記載した欠点を有する機械的減速システムを用いて行われる。さらに、この検出器で得られる精度は360°に対して±0.5%(すなわち、角度精度±2°)であり、ステアリングコラム用途には不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第07/014599号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1219527号明細書
【特許文献3】米国特許第6848187号明細書
【特許文献4】米国特許第6384598号明細書
【特許文献5】米国特許第5200747号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/000288286号明細書
【特許文献7】特開2006−119082号公報
【特許文献8】米国特許第6941241号明細書
【特許文献9】米国特許第5930905号明細書
【特許文献10】米国特許第6466889号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0145663号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第1353151号明細書
【特許文献13】米国特許第6515571号明細書
【特許文献14】米国特許第7215112号明細書
【特許文献15】国際公開第2008/101702号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2005/076860号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2007/057563号パンフレット
【特許文献18】国際公開第2009/047401号パンフレット
【特許文献19】独国特許出願公開第102007039051号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2006/0236784号明細書
【特許文献21】国際公開第2009/047401号パンフレット
【特許文献22】欧州特許第1532425(B1)号明細書
【特許文献23】欧州特許第1740909(B1)号明細書
【特許文献24】仏国特許出願公開第2898189号明細書
【特許文献25】仏国特許出願公開第2909170号明細書
【特許文献26】仏国特許出願公開第2872896号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、より高い信頼性およびより高い精度の非接触位置検出器を作り出すことにより、先行技術が引き起こす問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これを行うために、本発明は、少なくとも磁化ユニットと、第1の磁気感受性プローブと、第2の磁気感受性プローブとを含む磁気位置検出器を提案し、第1および第2の磁気感受性プローブは互いに対して固定されており、磁化ユニットは変位行程にわたりこれらの第1および第2の磁気感受性プローブに対して可動であり、各瞬間において絶対位置を有しており、磁化ユニットは、第1の磁気感受性プローブの近くに、一方では法線成分と、他方では少なくとも1つの接線成分または横断成分とを有し、変位行程にわたり分布するN周期全体にわたって、正弦波的かつ周期的に変化する磁場を生成し、Nは2以上の数字であり、第1の磁気感受性プローブは、磁化ユニットの位置に関連する第1のデータを決定するために磁場の3成分のうちの少なくとも2つを測定できる。第2の磁気感受性プローブは、この第2の磁気感受性プローブが作動しているか否かに関係なく磁石の位置に関連する第2のデータを決定するために、絶対的、漸増的、かつ反転可能な方法で、磁場の完全な回転の回数を測定でき、検出器は第1のデータと第2のデータとから磁石の絶対位置を計算するためのモジュールを含んでいる。
【0022】
位置検出器の一般的な実施形態では、第1の磁気感受性プローブが、磁化ユニット(1)により生成される磁場の3成分のうちの2つを測定して(または角度を直接的に測定して)、これらの2成分から磁化ユニットの位置をデコードするが、これらの2成分の振幅は一般に異なっており、アークタンジェントを計算して磁化ユニットの位置を推定できるようにするために、使用される2成分を正規化する必要がある。これらのアークタンジェントおよび正規化機能は、磁場の2成分の測定と、アークタンジェントの計算と、磁場の2成分の正規化とを統合する別の構成要素により、または直接的にプローブ(例えば、MELEXIS90316またはHAL3625など)により実行される。特定の変形を行うことができ、この特定の変形では、例えば、プローブの位置および方向を適切に選択することにより、特定の磁石配置を使用することにより、特定の磁化を有することにより、または最後に第1のプローブにフィールドコンセントレータを配置することにより、磁場の成分が実質的に同じ値を有するであろう。位置デコーディングの後に、この第1のプローブに対する磁化ユニットの位置に依存するこの第1のプローブからの出力として、線形周期信号を取得する。
【0023】
その後、第2の磁気感受性プローブを使用して、現在の記録を区別して、その結果、プローブに対する磁化ユニットの位置を絶対的に決定する。具体的には、所望の移動の間に出力信号がn回繰り返されるため、第1のプローブにより出力される第1の信号だけを用いて磁化ユニットの位置を推定することはできず、このことが、本発明で第2のプローブを追加するよう提案する理由であり、この第2のプローブにより、第1のプローブが感じる磁場を生成するのと同じ磁石に基づいて、どの直線部内にシステムがあるのかを明確にすることができる。例として、磁気モーメントの回転に基づく成分を使用できる(特許文献22および特許文献23に記載するように)。磁化ユニットが生成するユニット内の磁場の回転と同時に、磁区は連続的に回転するが、結局、出力を処理しながら、磁場が360°回転するたびに離散的ではあるが絶対的な方法で増減する信号を取得するために、磁場が回転するたびにのみ磁区は磁気回路の中を伝搬する。したがって、これにより、システムがどの周期内に位置するのかを絶対的に区別することが可能になる。さらに、このような成分は磁区の回転に基づいているため、プローブが作動していないときでも、また、磁石とこの第2のいわゆるASICの磁気感受性プローブとの間に位置ずれがあるときでも、磁区は回転して、この位置ずれに基づき多かれ少なかれ伝搬する。電気的接触が確立されるとすぐに、その後、位置は失われない。その後、このシステムは一般的にTPO(true power on(正確な電源オン))システムであるといわれており、いかなる履歴現象も引き起こさずに2つの方向の運動で動作する。
【0024】
不揮発性メモリ宛ての電気パルスを、ウィーガンド線に関連するコイルを通じて送信することを積算回転計アセンブリが要求する特許文献19とは異なり、使用される本構成要素は、その物理的性質の変更により、それ自体で回転数を測定して計数することを可能にする(図7参照)。したがって、製作されるアセンブリはコンパクトであり、シャフト貫通検出が要求される場合には磁石の周辺まで移動することを可能にする。さらに、アセンブリは、検出器に電力を供給する必要なしに(TPOモードでの動作)、実行された回転数と、実行された回転の方向(増加または減少)とを計数することを可能にする。
【0025】
本願で提案する解決方法は、完全に非接触の解決方法を得ることを可能にするものであり、したがって、付加的な機械部品を省いて、検出器を単純化し、検出器の製造コストを低減しながら、検出器の精度を向上させることを可能にする。したがって、この解決方法により測定の信頼性を向上させることが可能になるとともに、特に、シャフト貫通装置の場合に、この解決方法をさまざまな幾何学的構造(2回転検出器、3回転検出器など)に適合させ、この解決方法を所望の精度に適合させることがさらに有利である。
【0026】
特定の実施形態によれば、
・磁化ユニットが、例えば、本出願人による特許文献24に記載のような変位方向に沿って連続的に変化できる磁化方向を有しており、
・磁化ユニットは変位方向に沿って直線的に変化する磁化方向を有しており、
・磁化ユニットは南北磁化極の交代を有しており、
・磁化ユニットは一方向磁化を有しており、磁化ユニットは、特許文献25に示すように、その寸法のうちの少なくとも1つが、磁化ユニットの接線成分および法線成分(または軸方向成分)の正弦波変動を近くに生成するために非定常的に変化する。
【0027】
さらに、他の実施形態によれば、
・磁化ユニットが環形状を有し、磁化ユニットの回転軸に垂直な平面内に磁化方向を有しており、
・磁化ユニットはディスク形状を有し、ディスクの平面に垂直な磁化方向を有している。
【0028】
磁化ユニットが近くに生成する磁場の成分を正弦波的に変化させるための先行技術から知られている任意の手段を本発明の文脈の中で想定してもよいということを指摘しておく。
【0029】
これらの磁石の近くで、磁場は、周期2π/Nの実質的に正弦波状の接線成分(Bt)、法線成分(Bn)、および横断成分(Bz)を生成する。成分BnおよびBzは同じ位相を有しており、他方、成分Btは4分の1周期分だけ位相シフトしている。必要に応じて、磁場の2成分の測定を統合し、アークタンジェントを計算し、磁場の2成分を正規化する第1の磁気感受性プローブを使用する。
【0030】
磁石を囲む空間内の点における成分BtおよびBnを第1のプローブを用いて測定する場合、下記の式を適用することにより磁石の線形位置を2π/Nの範囲まで決定できる。
【0031】
【数1】
ここで、
・Θは磁石の角度位置であり、Gtは必要に応じて接線成分を増幅するための利得である。
【0032】
より一般的な場合には、下記の式を使用してもよい。
【0033】
【数2】
一般的な場合において、これらの2成分に基づいて磁化ユニットの角度位置をデコードする場合には、これらの2成分の振幅が一般に異なっていることから、アークタンジェントを計算して磁化ユニットの線形位置を推定できるようにするには、使用される2成分を正規化する必要がある。線形部分の精度は、長さ2π/Nの周期に対してほぼ±0.3%程度である。したがって、周期が短いほど、言い換えればNが大きいほど、角度の精度が高くなるため、周期の回数Nを精度の所望のレベルに調節できる。
【0034】
第1および第2の磁気感受性プローブは同一のプリント回路上に配置することが好ましい。
プローブ(3)が区別できる磁場の完全な1回転の回数Nrを用途に応じて変更することにより、このプローブ(3)に制限をかけてもよい。例えば、プローブ(3)がN周期を含む磁化ユニットと向かい合うように組み込まれた場合、プローブ(3)は最大でNr個の異なる増分を送出することになるため、結局、検出器はNr/N回転に対して非常に高い精度で絶対的であることになる。したがって、確定した回転数に対して絶対的な検出器を望む場合、正確な回転数に対して絶対的な検出器を得るために、磁化の周期の回数を調節する必要があるであろう。
【0035】
特定の一実施形態により、直線的な用途において本発明を想定してもよい。その結果、磁化ユニットは変位方向に沿って直線的に延びている。
このバージョンでは、帯板形状の磁石があり、この磁石の磁化方向は変位方向に沿って連続的に変化する。周期の中で磁石の位置を決定するために、第1のプローブは半径方向成分、法線成分、および軸方向成分を測定する。絶対増分型の第2のプローブを使用して、磁化ユニットが生成する磁場の回転数を計数する。
【0036】
他の実施形態によれば、磁化ユニットが360°未満の角度幅にわたって広がった形状を有している。このような方法では、第1および第2のプローブからの信号を組み合わせることにより得られる位置信号は非常に精密である。
【0037】
また、本発明は、上述のように、位置検出器を含むトルク検出器を作り出すことも提案している。
これを行うために、本発明は、トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置を提案しており、この装置は、上述のような位置検出器と、第1のシャフトに留められ、放射状に配向された複数の磁石を含む回転子第1磁気構造と、第2のシャフトに留められ、うろこ状に重なって軸方向に配向された歯により広げられた2つのリングを含む固定子第2構造と、少なくとも第3の磁気感受性プローブを中に配置する少なくとも1つのギャップを形成する2つの磁束遮へい部品で構成された固定収集第3構造とを含んでいる。
【0038】
有利な実施形態によれば、
・第1、第2、および第3のプローブが同じプリント回路上に配置されており、
・磁化ユニットが、歯の周囲に位置するリングの形状をしており、
・複数の磁石が磁化ユニットに属している。
【0039】
したがって、この構造は、複数回転絶対トルク/位置検出器を得ることを可能にするものであり、この検出器の軸方向および半径方向の寸法は、単に磁石と2つのプローブとを追加して、トルク検出器の他のすべての部品を再利用することにより、単なるトルク検出器の寸法と同じである。この構成では、トルク検出器の磁石と位置検出器の磁石とは同心であり、すべてのホール構成要素が、検出器の回転軸に垂直な磁石の正中面内に位置している。これは単一プリント回路上にすべてのホール構成要素を挿入でき、一方の検出器ともう一方の検出器との磁気相互作用を無くすことができる利点を有している。
【0040】
さらに、このような集積化検出器のコストは、この検出器を構成する部品を共通化することにより低減される。位置検出器の磁石とトルク検出器の同心円状のリングとは同時にオーバーモールドしてもよく、したがって、同一のプリント回路の一部分を形成するトルク/位置検出器のホールプローブの場合と同様に単一の部品だけを形成する。この好ましい実施形態によれば、コレクタの角度幅が、位置検出器の磁石の周期の角度幅に等しいか、または位置検出器の磁石の周期の角度幅のK周期分に等しいように選択されるであろう。
【0041】
この実施形態は複数回転トルク/位置検出器解決方法を提供し、この解決方法は、2つの検出器に対して単一の共通磁石だけを用いて、第1の好ましい実施形態と、例えば、特許文献26に記載しているような磁気トルク検出器とを慎重に組み合わせる。したがって、この磁石はトルク検出器および位置検出器に対する磁場の供給源であり、すべての電子部品が同じプリント回路上に配置されている。この構成では、単一磁石が生成する磁場を第1および第2のプローブが測定できるように、固定子をトルク検出器から離れる方向に軸方向に動かす必要がある。軸方向寸法は、より大きくなるが、これにより、単一磁石だけを用いて検出器のコストを低減することが可能になる。
【0042】
また、トルク固定子を互いに切り離す代わりに、1つ以上の固定子を超えて軸方向に広がるようにトルク検出器の磁石を延ばすことも可能であり、トルク検出器の磁石の周辺部に第1および第2のプローブを配置することも可能である。また、これにより単一磁石を有することが可能になるが、トルク検出器に関連するプローブ用、および位置検出器のプローブ用の2つの別々のプリント回路を有する欠点を伴う。
【0043】
また、本発明は、トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置に関し、上述のような位置検出器と、補助磁化ユニットと、補助磁気感受性プローブとを含み、位置検出器の磁化ユニットは第1のシャフトに留められ、この第1のシャフトの角度位置Θ1に関する第1の位置情報項目を位置検出器が送出できるようになっており、補助磁化ユニットは第2のシャフトに留められ、補助磁気感受性プローブに対して動くことができ、この補助プローブは第2のシャフトの角度位置Θ2に関する第2の位置情報項目を送出できるようになっており、装置は第1および第2の位置情報項目の組み合わせから第1のシャフトと第2のシャフトとの間の角度位置の差を下記のように計算できる中央処理モジュールを含む。
【0044】
【数3】
ここで、
・Bn1は、第1のプローブにより測定される、磁化ユニットが生成する磁場の法線成分であり、
・Bn2は、補助プローブにより測定される、補助磁化ユニットが生成する磁場の法線成分であり、
・Bt1は、第1のプローブにより測定される、磁化ユニットが生成する磁場の接線成分であり、
・Bt2は、補助プローブにより測定される、補助磁化ユニットが生成する磁場の接線成分である。
【0045】
トルクは、2本のシャフト間の相対角度の測定値、すなわち、(Θ1−Θ2)を使用することにより計算される。
周期的かつ正弦波的な磁化を生成する2つの同じ磁石を有していることを考慮すれば、下記の式を書いてもよい。
・Bn1=|Bn1|sin(NΘ1)およびBt1=|Bt1|cos(NΘ1)
・Bn2=|Bn2|sin(NΘ2)およびBt2=|Bt2|cos(NΘ2)
下記の式、すなわち
【0046】
【数4】
が成り立つことから、これにより下記の式を用いて2本のシャフト間の相対角度を推定できる。
【0047】
【数5】
ここで、G、G1、およびG2は、|Bn1|=G1|Bt1|、|Bn2|=G2|Bt2|、およびG|Bn1|=|Bn2|のようになっている(基準を同等と見なす)。
【0048】
したがって、この実施形態は、第1の実施形態により規定される入力シャフトに関連する検出器に対して、出力シャフトに関連する同じ磁石だけを付加することにより、および同一の第1のプローブもまた付加することにより、最低限の部品数で複数回転トルク/位置検出器を得ることができることを可能にする。具体的に言えば、もはやこの構成においては、高価な部品であったトルク検出器用の固定子およびコレクタの必要性がない。
【0049】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら詳細な実施形態に関する下記の説明を読むとき、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】リング磁石を備えた好ましい実施形態の位置検出器を示す図である。
【図2】ディスク磁石を備えた第2の実施形態の位置検出器を示す図である。
【図3】図1または図2の磁石(1)の近くのプローブ(2)により読み取られた正弦波信号を示す図である。
【図4】図3に表示された信号から、磁化の1周期に対して計算した位置信号を示す図である。
【図5】図4の位置信号に関連する非線形信号を示す図である。
【図6】磁石(1)が4回転する間にプローブ(2)により与えられる位置信号を示す図である。
【図7】磁石(1)の回転の関数としてプローブ(3)により出力されるように得られる信号を示す図である。
【図8】本発明の直線変位検出器を示す図である。
【図9】本発明の360°未満の角変位検出器を示す図である。
【図10】本発明の位置検出器と組み合わせることができる先行技術のトルク検出器を示す図である。
【図11】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第1の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図12】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第2の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図13】図10のトルク検出器と、本発明の図1に示すような第3の実施形態の位置検出器との組み合わせを示す図である。
【図14】本発明の位置検出器を用いる第4の実施形態のトルク検出器を示す図である。
【図15】図14のトルク検出器の磁気構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、第1の実施形態の高精度の単一回転または複数回転位置検出器(A)を示している。位置検出器(A)は、いくつかの磁化周期を有する磁石(1)で構成されている。したがって、磁化方向は磁石(1)の角変位の方向に沿って連続的に変化し、この非制限的実施例では360°の磁石(1)に対して4回繰り返される。
【0052】
磁石(1)の近くに位置しているのは、いわゆる第1のプローブ(2)である。この第1のプローブ(2)はプリント回路(4)上に配置されており、磁石(1)が生成する磁場の方向(振幅ではない)を測定する。例えば、MLX90316、2SA10、または磁気抵抗(AMR、GMRなど)プローブのようなホール効果プローブを用いて想定できる。このプローブの近くでは、磁化は、成分が実質的に正弦波状の磁場を生成する。
【0053】
図3は、図1に示すような磁石と磁化とを用いてプローブ(2)により測定された半径方向成分(23)および接線成分(24)の振幅(単位:ボルト)の変動を、位置(単位:度)の関数として示している。
【0054】
2つの測定された正弦波信号から、下記の式を適用することにより磁石の線形位置を決定できる。
【0055】
【数6】
ここで、
・Θは角度位置であり、
・Btは磁場の接線成分であり、
・Bnは磁場の法線成分であり、
・Gは補正利得である。
【0056】
この式を図2の測定された信号に適用することにより、出力信号が図4に示すように得られ、この信号は図4ではボルト単位で表されており、度単位で表された位置の関数として線形的であり、90°周期で周期的である。
【0057】
度単位で表された位置の関数として非線形性の変動の割合を示している図5で分かるように、得られた信号は90°の周期に対して非常に良好な線形性を示している。例として、その典型的な値は、約0.3%であり、0.27°に対応する。
【0058】
図1の場合には、4回の磁化周期を考慮するとき、出力信号は、したがって、回転あたり4回繰り返される。磁石(1)の4回転の回転を考慮すると、我々が有するのは、したがって、図4に示すようなパターンが、図6に示すように16回繰り返されるパターンであり、度単位で表された位置の関数としてボルト単位で表された信号の変動を示している。
【0059】
得られるこれらの16回の周期の中では反復パターンは常に同じであるため、磁石の角度位置を推定することはできない。この機能は、図1に示す絶対増分型のプローブ(3)を使用することにより可能となり、このプローブ(3)は磁石(1)の近くにプローブ(2)を支持する同じプリント回路(4)上に配置されることが有利である。この絶対増分型のプローブ(3)は、先と同様に同じ磁石(1)を用いて、システムがどの直線部分に位置するかを決定する働きをする。
【0060】
この絶対増分型のプローブ(3)は、絶対増分型のプローブ(3)に電流が供給されているか否かに関係なく、磁石(1)の磁場により行われる回転の回数を絶対的な方法で検出することを可能にする。したがって、検出は絶対増分型のプローブ(3)の物理的性質を変更することにより達成される。
【0061】
区別してもよい磁場の完全な1回転の回数Nrにより、絶対増分型のプローブ(3)に制限をかけてもよい。例えば、絶対増分型のプローブ(3)がいくつかの磁化周期Nppで磁石と向かい合うように組み込まれた場合、この構成要素はNr/Nppの周期で周期的な離散信号(Nr値)を送出するであろう。
【0062】
したがって、例えば、図1の磁石を用いた場合、絶対増分型のプローブ(3)からの出力信号は、絶対増分型のプローブ(3)を磁場の16回の完全な回転に制限すると仮定するとき、90°(360/4)ごとに異なる出力電圧を有し、度単位で表された位置の関数としてボルト単位で表された信号の変動を示している図7に示すように4回転(16/4=4回転)の周期で周期的である。
【0063】
90°の周期で連続的に変化する磁化方向を有する磁石(1)を用いると、したがって、約0.2°の典型的な精度を有する複数回転位置検出器(図1の場合、4回転)を得ることができる。
【0064】
この実施形態は決して限定的なものではない。したがって、本発明は、さまざまな方法で、特に、図2に示すようにディスクの形をした磁石(1)を用いて実行してもよい。ディスク磁石(1)は、磁石の360°の間のいくつかの周期に沿って南北磁化極の交代を有している。この実施形態では、磁化方向はディスクの表面に垂直である。
【0065】
同様に、いくつかの周期にわたって連続的に変化する磁化方向を有する磁石(1)を示す、例えば、図8に描写するような直線バージョンを想像してもよい。これも先と同様に、同じプリント回路(4)上に配置されている、1周期中の磁石(1)の位置を推定するために垂直磁場(または軸磁場)および接線磁場の方向を測定するプローブ(2)と、磁場の回転数、すなわち、磁場周期の回数を計数する絶対増分型のプローブ(3)とを示している。このように、2つの信号の組み合わせは、非常に高い精度の位置検出器を作り出すことを可能にする。
【0066】
さらに、先と同様に、図9は、半径方向に磁化した南北磁化極の交代を有する磁石タイルまたはアーチ(1)の形の回転式バージョンと、2つのプローブ(2および3)を支持するプリント回路(4)とを示している。限定された角度幅のタイルを作ることにより、また、磁化周期の回数を増やすことにより、得られる検出器の精度を高めることができる。
【0067】
本発明は、例えば、本出願人による特許文献26に記載されるように、また、図10に示すように、位置検出器(A)とトルク検出器(B)とを組み合わせるという状況に特に関連している。
【0068】
このトルク検出器(B)はトーションバー(19)により連結された2本のシャフト(5および6)の相対的回転を検出するために使用され、このトルク検出器(B)は、
・ヨーク(20)に固定され半径方向に磁化された複数の磁石(8)を含む回転子第1磁気構造(7)と、
・軸方向に延びる複数のうろこ状に重なった歯(12、13)を有する2つの同心円状のリング(10、11)を含む固定子第2磁気構造(9)と、
・2つの磁気感受性素子(18)が配置された2つの測定ギャップ(17)を形成するように接近する枝(21、22)が延びている2つの磁束遮へい部品(15、16)で構成された固定収集第3構造(14)とから構成されている。この重複構成は冗長機能を提供する働きをするが、単一の磁気感受性素子を備えた単一ギャップが考えられる。
【0069】
位置検出器(A)と組み合わせる場合、トルク検出器(B)は、図11に示すように、トルク検出器(B)の第2の磁気構造(9)を支持するプラスチック部分(図示せず)上にオーバーモールドできる、連続的に変化する磁化方向を有する多極磁化磁石(1)でできた第4の構造から構成される。また、プローブ(2)と、位置検出器(A)の動作に必要な絶対増分型のプローブ(3)と、トルク検出器(B)を使用するために磁場の振幅を測定する磁気感受性の第3のプローブ(18)とを支持するプリント回路(4a)が存在している。
【0070】
図11に示すこの構成では、連続的に変化する磁化方向を有する多極磁石(1)を固定子構造(9)に留めている。この新規な検出器は従来のトルク検出器と同じ寸法を有しているが、この新規な検出器はまた、固定子部分(9)に留められたシャフト(6)の角度位置を絶対的に、および数回転にわたり測定する。
【0071】
図12は、上述のような位置検出器(A)とトルク検出器(B)との考えられる他の組み合わせを示している。この実施形態では、磁石(8)は半径方向に磁化した多極磁石である。したがって、この磁石(1)はトルク検出器(B)および位置検出器(A)に対する磁場の供給源であり、すべてのプローブ(2、3、18)は同じプリント回路(4a)上に配置されている。これは、軸方向寸法を増加させる欠点を有する磁石(1)を、たった一つしか含まないという利点を有している。
【0072】
トルク検出器の歯(12および13)の影響は位置検出器の正確な動作にとって有害である可能性があるが、図13に示すように他の実施形態を想定でき、図13では、プローブ(2および3)を他のプリント回路(4b)上に配置するために固定子アセンブリ(9)を超えて延びるように単一の磁石(1、8)を製作している。アセンブリは、位置検出器(A)がトルク検出器(B)の影響を受けないようにすることができる。
【0073】
最後に、図14は、先と同様に図1に示すような位置検出器(A)の使用に基づく革新的なトルク/位置検出器を示している。
この実施形態では、連続的に変化可能な磁化方向を有する2つの多極磁石(1aおよび1b)を使用している。
【0074】
ステアリングコラム上で、トーションバー(19)が入力シャフト(5)と出力シャフト(6)とを連結しており、このことは、入力シャフト(5)と出力シャフト(6)との間の角度の測定値からトルクを推定できることを意味している。本発明は、各シャフト(5および6)上に、N対の極を有し連続的に変化する磁化方向を有する多極磁石(それぞれ1aおよび1b)と、各磁石(1aおよび1b)と向かい合って、生成される磁場の半径方向成分(または軸方向成分)および接線成分を測定する1つの磁気感受性プローブ(それぞれ2aおよび2b)と、入力シャフト(5)または出力シャフト(6)のどちらかに結合された磁石(1b)と向かい合う1つの絶対増分型のプローブ(3)とを組み込むことを提案する。
【0075】
この実施形態では、位置Θ1にある第1のシャフト(5)と、位置Θ2にある第2のシャフト(6)との間の角度位置の差は、プローブ(2aおよび2b)からの信号の組み合わせにより下記のように決定される。
【0076】
【数7】
この方程式内のパラメータについては上述の本文内で既に説明している。この実施形態では、図15に示すように、第1のプリント回路(4a)上にプローブ(2a)を配置し、第2のプリント回路(4b)上にプローブ(2bおよび3)を配置している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、磁化ユニット(1)と、第1の磁気感受性プローブ(2)と、第2の磁気感受性プローブ(3)とを含む磁気位置検出器(A)において、
・前記第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)は互いに対して固定されており、
・前記磁化ユニット(1)は変位行程にわたり前記の第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)に対して可動であり、各瞬間において絶対位置を有しており、
・前記磁化ユニット(1)は、前記第1の磁気感受性プローブ(2)の近くに、一方では法線成分と、他方では少なくとも1つの接線成分または横断成分とを有する磁場であって、前記変位行程にわたり分布するN周期にわたって、正弦波的かつ周期的に変化する前記磁場を生成し、Nは1よりも大きい数字であり、
・前記第1の磁気感受性プローブ(2)は、前記磁場の3成分のうちの少なくとも2つを測定して、前記磁化ユニット(1)の位置に関連する第1のデータを決定することができる、磁気位置検出器(A)であって、
前記第2の磁気感受性プローブ(3)は、この第2の磁気感受性プローブ(3)が作動しているか否かに関係なく、絶対的、漸増的、かつ反転可能な方法で、前記磁場の完全な回転の回数を測定して、磁石(1)の位置に関連する第2のデータを決定することができ、前記検出器は前記第1のデータと前記第2のデータとから前記磁石(1)の絶対位置を計算するモジュールを含むことを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が変位方向に沿って連続的に変化できる磁化方向を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が前記変位方向に沿って直線的に変化する磁化方向を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が南北磁化極の交代を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が一方向磁化を有しており、その寸法のうちの少なくとも1つが非定常的に変化することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が環形状を有し、前記磁化ユニット(1)の回転軸に垂直な平面内に磁化方向を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)がディスク形状を有し、ディスクの平面に垂直な磁化方向を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が360°未満の角度幅にわたって広がった形状を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項9】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の直線磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が変位方向に沿って直線的に延びていることを特徴とする直線磁気位置検出器(A)。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)を同一のプリント回路(4)上に配置することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項11】
トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置であって、
・請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の位置検出器(A)と、
・前記第1のシャフトに留められ、放射状に配向された複数の磁石(8)を含む回転子第1磁気構造(7)と、
・前記第2のシャフトに留められ、うろこ状に重なって軸方向に配向された歯(12、13)により広げられた2つのリング(10、11)を含む固定子第2構造(20)と、
・少なくとも第3の磁気感受性プローブ(17)配置される少なくとも1つのギャップ(18)を形成する2つの磁束遮へい部品(15、16)で構成された固定収集第3構造(14)と
を備える、磁気装置。
【請求項12】
同じプリント回路(4a)上に前記第1、第2、および第3のプローブ(2、3、17)を配置している、請求項11に記載の磁気検出装置。
【請求項13】
前記磁化ユニット(1)が、前記歯(12、13)の周囲に位置するリングの形状をしている、請求項11または12に記載の磁気検出装置。
【請求項14】
前記複数の磁石(8)が前記磁化ユニット(1)に属している、請求項11または12に記載の磁気検出装置。
【請求項15】
トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置であって、
・請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の位置検出器(A)と、補助磁化ユニット(1b)と、補助磁気感受性プローブ(2b)とを備え、
・前記位置検出器(A)の前記磁化ユニット(1a)は前記第1のシャフト(5)に留められて、この第1のシャフト(5)の角度位置Θ1に関する第1の位置情報項目を前記位置検出器(A)が送出できるようになっており、
・前記補助磁化ユニット(1b)は前記第2のシャフト(6)に留められ、前記補助磁気感受性プローブ(2b)に対して動くことができ、この補助プローブ(2b)は前記第2のシャフト(6)の角度位置Θ2に関する第2の位置情報項目を送出することが可能であり、
・前記装置は前記第1および第2の位置情報項目の組み合わせから前記第1のシャフト(5)と前記第2のシャフト(6)との間の角度位置の差を、
【数1】
のように計算することが可能な中央処理モジュールを備え、ここで、
・Bn1は、前記第1のプローブ(2a)により測定される、前記磁化ユニット(1a)が生成する磁場の法線成分であり、
・Bn2は、前記補助プローブ(2b)により測定される、前記補助磁化ユニット(1b)が生成する磁場の法線成分であり、
・Bt1は、前記第1のプローブ(2a)により測定される、前記磁化ユニット(1a)が生成する磁場の接線成分であり、
・Bt2は、前記補助プローブ(2b)により測定される、前記補助磁化ユニット(1b)が生成する磁場の接線成分であり、
・|Bn1|=G1|Bt1|、|Bn2|=G2|Bt2|、およびG|Bn1|=|Bn2|である、磁気装置。
【請求項1】
少なくとも、磁化ユニット(1)と、第1の磁気感受性プローブ(2)と、第2の磁気感受性プローブ(3)とを含む磁気位置検出器(A)において、
・前記第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)は互いに対して固定されており、
・前記磁化ユニット(1)は変位行程にわたり前記の第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)に対して可動であり、各瞬間において絶対位置を有しており、
・前記磁化ユニット(1)は、前記第1の磁気感受性プローブ(2)の近くに、一方では法線成分と、他方では少なくとも1つの接線成分または横断成分とを有する磁場であって、前記変位行程にわたり分布するN周期にわたって、正弦波的かつ周期的に変化する前記磁場を生成し、Nは1よりも大きい数字であり、
・前記第1の磁気感受性プローブ(2)は、前記磁場の3成分のうちの少なくとも2つを測定して、前記磁化ユニット(1)の位置に関連する第1のデータを決定することができる、磁気位置検出器(A)であって、
前記第2の磁気感受性プローブ(3)は、この第2の磁気感受性プローブ(3)が作動しているか否かに関係なく、絶対的、漸増的、かつ反転可能な方法で、前記磁場の完全な回転の回数を測定して、磁石(1)の位置に関連する第2のデータを決定することができ、前記検出器は前記第1のデータと前記第2のデータとから前記磁石(1)の絶対位置を計算するモジュールを含むことを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が変位方向に沿って連続的に変化できる磁化方向を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が前記変位方向に沿って直線的に変化する磁化方向を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が南北磁化極の交代を有することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が一方向磁化を有しており、その寸法のうちの少なくとも1つが非定常的に変化することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が環形状を有し、前記磁化ユニット(1)の回転軸に垂直な平面内に磁化方向を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)がディスク形状を有し、ディスクの平面に垂直な磁化方向を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の回転式の磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が360°未満の角度幅にわたって広がった形状を有することを特徴とする回転式の磁気位置検出器(A)。
【請求項9】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の直線磁気位置検出器(A)であって、前記磁化ユニット(1)が変位方向に沿って直線的に延びていることを特徴とする直線磁気位置検出器(A)。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の磁気位置検出器(A)であって、前記第1および第2の磁気感受性プローブ(2、3)を同一のプリント回路(4)上に配置することを特徴とする磁気位置検出器(A)。
【請求項11】
トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置であって、
・請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の位置検出器(A)と、
・前記第1のシャフトに留められ、放射状に配向された複数の磁石(8)を含む回転子第1磁気構造(7)と、
・前記第2のシャフトに留められ、うろこ状に重なって軸方向に配向された歯(12、13)により広げられた2つのリング(10、11)を含む固定子第2構造(20)と、
・少なくとも第3の磁気感受性プローブ(17)配置される少なくとも1つのギャップ(18)を形成する2つの磁束遮へい部品(15、16)で構成された固定収集第3構造(14)と
を備える、磁気装置。
【請求項12】
同じプリント回路(4a)上に前記第1、第2、および第3のプローブ(2、3、17)を配置している、請求項11に記載の磁気検出装置。
【請求項13】
前記磁化ユニット(1)が、前記歯(12、13)の周囲に位置するリングの形状をしている、請求項11または12に記載の磁気検出装置。
【請求項14】
前記複数の磁石(8)が前記磁化ユニット(1)に属している、請求項11または12に記載の磁気検出装置。
【請求項15】
トーションバーにより連結された第1のシャフトと第2のシャフトとの間のトルクを検出するための、特に自動車ステアリングコラム用の磁気装置であって、
・請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の位置検出器(A)と、補助磁化ユニット(1b)と、補助磁気感受性プローブ(2b)とを備え、
・前記位置検出器(A)の前記磁化ユニット(1a)は前記第1のシャフト(5)に留められて、この第1のシャフト(5)の角度位置Θ1に関する第1の位置情報項目を前記位置検出器(A)が送出できるようになっており、
・前記補助磁化ユニット(1b)は前記第2のシャフト(6)に留められ、前記補助磁気感受性プローブ(2b)に対して動くことができ、この補助プローブ(2b)は前記第2のシャフト(6)の角度位置Θ2に関する第2の位置情報項目を送出することが可能であり、
・前記装置は前記第1および第2の位置情報項目の組み合わせから前記第1のシャフト(5)と前記第2のシャフト(6)との間の角度位置の差を、
【数1】
のように計算することが可能な中央処理モジュールを備え、ここで、
・Bn1は、前記第1のプローブ(2a)により測定される、前記磁化ユニット(1a)が生成する磁場の法線成分であり、
・Bn2は、前記補助プローブ(2b)により測定される、前記補助磁化ユニット(1b)が生成する磁場の法線成分であり、
・Bt1は、前記第1のプローブ(2a)により測定される、前記磁化ユニット(1a)が生成する磁場の接線成分であり、
・Bt2は、前記補助プローブ(2b)により測定される、前記補助磁化ユニット(1b)が生成する磁場の接線成分であり、
・|Bn1|=G1|Bt1|、|Bn2|=G2|Bt2|、およびG|Bn1|=|Bn2|である、磁気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図7】
【公表番号】特表2012−533058(P2012−533058A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519041(P2012−519041)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051431
【国際公開番号】WO2011/004120
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(501377391)ムービング マグネット テクノロジーズ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051431
【国際公開番号】WO2011/004120
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(501377391)ムービング マグネット テクノロジーズ (12)
【Fターム(参考)】
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