説明

多板クラッチ装置

【課題】入力部材38と連動するクラッチアウタ37Bと、上記クラッチアウタ37Bの内側において出力部材と連動するクラッチインナ40Bとを備え、クラッチアウタ37Bの内周面に形成されたクラッチアウタ側係合部37aに係合する摩擦板43と、クラッチインナ40Bの外周面に形成されたクラッチインナ側係合部40aに係合する摩擦板44とが交互に配置され、これらが圧接されることによりクラッチアウタ37Bからクラッチインナ40Bへ動力が伝達される多板クラッチ装置において、既存の構造を利用して、入力部材38とクラッチアウタ37Bとを接続する簡単な手段を提供する。
【解決手段】上記入力部材38に設けられた入力部材側係合部38aと上記クラッチアウタ側係合部37aとが係合することによって、入力部材38とクラッチアウタ37Bとが一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の駆動歯車と噛合する従動歯車と、多板クラッチ装置のクラッチアウタとの接続手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、従動歯車の端部に形成された係合用歯形に対応する歯形を、クラッチアウタの内周面に形成し、従動歯車の端部を上記クラッチアウタの内周に係合させることにより、クラッチアウタと従動歯車とを一体化した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記文献では、クラッチアウタの従動歯車とは反対の側に、摩擦板が嵌め込まれて係合するためのスリットが形成されている(図2の外周4箇所のスリット)。この構造のクラッチアウタには、上記スリットに加えて、従動歯車の歯形と係合する係合部を設ける必要があり、クラッチアウタの軸方向に関して大型化を招くことになる。さらに、このクラッチアウタには、スリットと歯形のように、異なる加工が施されるためクラッチアウタの肉厚を厚くするなどクラッチアウタ自体の強度を高める必要があり、この点からもクラッチアウタの大型化を招くので、その改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−43562号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既存の構造を利用して、従動歯車に連なる入力部材とクラッチアウタとを接続する簡単な手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、
入力部材と一体に連動するクラッチアウタと、上記クラッチアウタの内側において出力部材と一体に連動するクラッチインナとを備え、
クラッチアウタの内周面に形成されたクラッチアウタ側係合部に係合する摩擦板と、クラッチインナの外周面に形成されたクラッチインナ側係合部に係合する摩擦板とが交互に配置され、これらが圧接されることによりクラッチアウタからクラッチインナへ動力が伝達される多板クラッチ装置において、
上記入力部材に設けられた入力部材側係合部と上記クラッチアウタ側係合部とが係合することによって、入力部材とクラッチアウタとが一体化されることを特徴とする多板クラッチ装置に関するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多板クラッチ装置において、
上記入力部材は、駆動源の駆動歯車と噛合する従動歯車に連結される円環状の部材であり、上記入力部材側係合部は、上記入力部材の外周面に形成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多板クラッチ装置において、
上記入力部材は、駆動源の駆動歯車と噛合する従動歯車に連結される円環状で、且つ椀状に形成された部材であり、上記入力部材側係合部は、上記入力部材の外周円筒部の内周面に形成され、上記クラッチアウタ側係合部にクラッチアウタの外周から係合されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多板クラッチ装置において、
上記クラッチアウタは、円筒の一端が閉塞された形状であり、上記摩擦板は、クラッチアウタの開放端から挿入できるように、クラッチアウタの内周面には開放端から連続してクラッチアウタ側係合部が形成され、上記摩擦板が挿入された後に、上記入力部材はクラッチアウタ側係合部に挿入されて一体化されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の多板クラッチ装置において、
上記クラッチアウタと入力部材とは着脱可能に係合されており、上記入力部材と、同入力部材に最も近接する摩擦板との間には、摩擦板が過度に入力部材側に移動することを規制する移動規制部材がクラッチアウタの内面に取付けられたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項4に記載の多板クラッチ装置において、
上記クラッチ装置は、複数の一端閉塞円筒形のクラッチアウタが、その閉塞端を互いに密着固定され、各クラッチインナは、それぞれ異なる出力部材に連結される形式のもの、即ちツインクラッチ装置であって、
上記クラッチアウタはエンジンの左右方向に並べて配置され、上記入力部材はエンジン中心寄りに配置されるクラッチアウタのみに係合されることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6に記載の多板クラッチ装置において、
上記入力部材と上記クラッチアウタとの間に弾性部材を介してこれらを結合したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の多板クラッチ装置において、
上記弾性部材は、上記入力部材と上記クラッチアウタとに挟まれて固定保持されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明において、
クラッチアウタ側係合部に係合可能な入力部材側係合部を入力部材に形成し、クラッチアウタ側係合部を利用してクラッチアウタと入力部材とを一体化したので、クラッチアウタ側に入力部材と係合させるための特別な係合部が不要となり、大型化を抑制できる。さらに、それに伴う加工も必要がなくなることで、クラッチアウタに必要とされる強度を保ちつつ、クラッチの大型化を防ぐことができる。
【0015】
請求項2の発明において、
外周面に係合部を形成した円環状の入力部材を従動歯車とは別体の部品として形成し、これを従動歯車と連結し、上記入力部材の係合部をクラッチアウタ側係合部に係合させて、従動歯車とクラッチアウタとを一体回転可能にし、係合部の加工を入力部材側にのみ施し、従動歯車自体に新たな係合部を形成しなくても済むようにしたので、従動歯車の加工が複雑とならずに、汎用部品の従動歯車を使用することができて、コスト上昇を抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明において、
椀状の入力部材にてクラッチアウタの外周側から係合するようにしたので、クラッチアウタと入力部材にてクラッチアウタ内部の空間を閉じた空間に形成できるので、クラッチ内部の潤滑油の滞留を促して潤滑性を保つことができるとともに、クラッチ内部から発生する騒音の低減を図ることができる。
【0017】
請求項4の発明において、
一端閉塞円筒形のクラッチアウタの開放端側から摩擦板を挿入した後に入力部材にて係合するようにしたため、入力部材でクラッチアウタの開放端に蓋をする形になるので、内部に収容した摩擦板の脱落を防ぐことができる。
【0018】
請求項5の発明において、
クラッチアウタの内面に摩擦板の移動規制部材を設けたため、入力部材と摩擦板との干渉を抑制して入力部材による摩擦板への影響を抑制できると共に、入力部材を取付けない状態のとき、摩擦板がクラッチアウタから脱落することを防ぐので、組付け性が向上する。
【0019】
請求項6の発明において、
エンジンの幅方向に並べて配置されるツインクラッチ装置の場合は一般にクラッチの幅が大きくなるため、エンジンの大型化を招きやすいが、入力部材をエンジン中心寄りに配置されるクラッチアウタのみに係合するようにしたので、クラッチの外側即ちエンジンの外側への出っ張りを抑制してエンジンの大型化を防ぐことができる。
【0020】
請求項7の発明において、
弾性部材を介して結合することにより、クラッチ内部の潤滑油の漏れ出しを抑制できて潤滑性を保つことができるとともに、入力部材とクラッチアウタとによる騒音を低減することができる。
【0021】
請求項8の発明において、
弾性部材を、入力部材とクラッチアウタとに挟んで固定保持するようにしたので、特別な固定保持手段が不要であるため、部品点数を増やすことなく簡素な構造で弾性部材を固定保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジン1の右側面図である。
【図2】上記エンジンの変速機7の断面図である。
【図3】クラッチ21及びその周辺の断面図である。
【図4】入力部材組立体76の縦断面図、
【図5】図4のV矢視図である。
【図6】入力部材38の縦断面図
【図7】図6のVII矢視図である。
【図8】クラッチアウタ組立体77の縦断面図である。
【図9】図8のIX−IX断面図であり、
【図10】本発明の第2実施形態に係るクラッチ80及びその周辺の断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るクラッチ90及びその周辺の断面図である。
【図12】上記クラッチ90のクラッチアウタ組立体95の縦断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエンジン1の右側面図である。このエンジン1は、並列2気筒エンジンである。矢印Fはこのエンジン1が車両に搭載されたときの車両の前方に対応して前方を指している。エンジン1の主な外殻は、上部クランクケース2Aと下部クランクケース2Bとからなるクランクケース2、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5、及びオイルパン6からなっている。上記クランクケース2には、変速機7が一体的に組み込まれている。上下に2分割されているクランクケース2の合わせ面の軸受にクランク軸8、変速機のメイン軸9およびカウンタ軸10が回転可能に支持されている。下部クランクケース2Bの下端に接続されているオイルパン6にストレーナ11を備えたオイル吸入管12が設けられ、その上部に制御用オイルポンプ13と、制御用オイルポンプ13に連なる制御用オイルフィルタ14が接続されている。このエンジン1には潤滑用オイルポンプも設けられているが、制御用オイルポンプ13の向こう側に設けてあるので、図では見えていない。潤滑用オイルフィルタ15はエンジンの前部に設けてある。制御用オイルポンプ13の吐出圧は、クラッチアクチュエータ用に高くなっており、潤滑用オイルポンプの吐出圧は、制御用オイルポンプの吐出圧に比して低い。
【0024】
上記エンジン1のクランクケース2の後部に収容されている変速機7は、常時噛合い式ツインクラッチ変速機である。また、クランクケース2の後部には、上記変速機7の変速段を変化させるシフトドラム16等のチェンジ機構が収容されている。クランクケースの右側部は右クランクケースカバー17で覆われている。右クランクケースカバー17の外面には各種油路70の外側部が襞状に膨出している。なお、カウンタ軸10から動力を得て車両を駆動する出力軸18がクランク軸8の下方に設けてある。
【0025】
図2は、上記変速機7の断面図である。図の矢印L、Rはエンジン1を車両に搭載した時の車両の左右に対応する左右の方向を示している。変速機7は、メイン軸9と、カウンタ軸10と、プライマリ従動歯車20と、第1クラッチ21Aと第2クラッチ21Bとからなる一対のクラッチ21を備えている。
【0026】
メイン軸9の左端はボールベアリング22を介してクランクケース2に、中央部はボールベアリング23を介してクランクケース2に、それぞれ回転可能に支持されている。メイン軸9の右端は、ボールベアリング24を介して右クランクケースカバー17に回転可能に支持されている。カウンタ軸10の左端はボールベアリング25を介してクランクケース2に、右端はニードルベアリング26を介してクランクケース2に、それぞれ回転可能に支持されている。
【0027】
メイン軸9は長いメイン軸内軸9Aと、メイン軸外軸9Bとからなっている。メイン軸外軸9Bは、メイン軸内軸9Aの一部をニードルベアリング27A、27Bを介して相対回転可能に覆っている。メイン軸外軸9Bの左端は、C形止め輪28によって左方移動が規制されている。メイン軸外軸9Bの右端は、クラッチアウタ共通ボス部37Cに環状スペーサ29を介して当接し、右方移動が規制されている。メイン軸9にはM1〜M6の6個の歯車が設けてあり、カウンタ軸10には上記歯車M1〜M6に対応して、これらと常時噛み合うC1〜C6の6個の歯車が設けてある。Mはメイン軸付属歯車、Cはカウンタ軸付属歯車、添数字1〜6は1速〜6速の変速比を決める歯車であることを示している。奇数変速段の歯車M1、M5、M3はメイン軸内軸9Aに、偶数変速段の歯車M4、M6、M2はメイン軸外軸9Bに設けてある。
【0028】
図において、上記歯車符号に付した添字xは、軸と一体形成された固定歯車、添字wは、軸に保持され、軸上の所定の位置で軸に対して相対回転可能の空転歯車、添字sは軸方向摺動可能の摺動歯車を表す。摺動歯車は、スプライン30によって軸に保持され軸に対して周方向に相対回転しないが軸方向には摺動が可能な歯車である。固定歯車(添字x)及び摺動歯車(添字s)が噛み合う相手側の歯車は、必ず空転歯車(添字w)である。空転歯車(添字w)は単独では歯車としての機能を果たせず、歯車としての機能を果たすには、隣に設けられている摺動歯車(添字s)によって軸に固定されることが必要である。摺動歯車には、チェンジ機構(図示なし)のシフトフォークが係合する係合溝Gが設けてあり、これに係合するシフトフォークによって、摺動歯車(添字s)は必要に応じて軸方向に移動する。
【0029】
図3は、クラッチ21及びその周辺の拡大図である。メイン軸内軸9Aの右半部には、クラッチアウタ共通ボス部37Cが設けてある。クラッチアウタ共通ボス部37Cは、ニードルベアリング31A、31Bを介して、メイン軸内軸9Aの軸端部の回りを回転可能に覆っている。クラッチアウタ共通ボス部37Cの右端は、他の部材に環状スペーサ32を介して当接し、この部材と共にメイン軸内軸9Aの軸端のワッシャ33及びナット34によって移動規制されている。クラッチアウタ共通ボス部37Cの左端は、メイン軸外軸9Bの右端に環状スペーサ29を介して当接している。
【0030】
上記クラッチアウタ共通ボス部37Cに、第1クラッチ21Aのクラッチアウタ37Aと、第2クラッチ21Bのクラッチアウタ37Bとが溶接部35で溶接されている。クラッチアウタ37A、37Bの外周部も互いに溶接部36で溶接されている。即ち、クラッチアウタ共通ボス部37Cと、第1クラッチ21Aのクラッチアウタ37Aと、第2クラッチ21Bのクラッチアウタ37Bとは、一体化されてクラッチアウタ組立体77(図8)を形成している。
【0031】
第1クラッチ21Aのクラッチインナ40Aはメイン軸内軸9Aの右端においてスプライン41に嵌合し、ワッシャ33とナット34によってメイン軸内軸9Aに固定されている。第2クラッチ21Bのクラッチインナ40Bはメイン軸外軸9Bの右端にスプライン42に嵌合して固定されている。
【0032】
上記一対のクラッチ21A、21Bは共に多板クラッチである。複数の駆動摩擦板43が、上記一対のクラッチ21の各クラッチアウタ37A、37Bの外周部の内側の係合溝37aに係合されて、同クラッチアウタ37A、37Bに対して相対回転不能且つ軸方向移動可能に設けてある。複数の被動摩擦板44が、上記一対のクラッチ21の各クラッチインナ40A、40Bの外側の係合溝40aに係合されて、同クラッチインナ40A、40Bに対して相対回転不能且つ軸方向移動可能に設けてある。上記駆動摩擦板43と被動摩擦板44は交互に配置されて摩擦板群45を構成している。
【0033】
上記各クラッチ21のクラッチアウタ37A、37Bの端板部37bと摩擦板群45との間に、加圧プレート46が設けてあり、加圧プレート46の外周部の端部は、摩擦板群45の一端の駆動摩擦板43に当接している。上記摩擦板群45の他端の駆動摩擦板43はクラッチアウタ37に嵌められたC形止め輪47を介して移動規制されている。加圧プレート46とクラッチインナ40との間にバネ受け部材48が設けてある。バネ受け部材48の内周端はクラッチアウタ共通ボス部37Cに設けられたC形止め輪49よって移動規制されている。バネ受け部材48の外周端はシール部材50を介して加圧プレート46の外周部の内側に摺動可能に接している。バネ受け部材48に一端を接するコイルばね51を介して、加圧プレート46はクラッチアウタ37の端板部37bの方へ押されている。
【0034】
それぞれのクラッチ21A、21Bにおいて、クラッチアウタの端板部37bと加圧プレート46との間に加圧室52A、52Bが形成されている。バネ受け部材48と加圧プレート46との間に圧力調整室53A、53Bが形成されている。
【0035】
第2クラッチ21のクラッチインナ40Bのボス部の外周に、プライマリ従動歯車20が、ニードルベアリング19を介して相対回転可能に設けてある。プライマリ従動歯車20は、クランク軸8に設けられたプライマリ駆動歯車(図示なし)に常時噛合う歯車である。プライマリ従動歯車20とボールベアリング23との間にはスリーブ状スペーサ54が設けられ、プライマリ従動歯車20とクラッチインナ40Bとの間には環状スペーサ55が設けられ、これらによって、プライマリ従動歯車20は軸方向移動が規制されている。
【0036】
プライマリ従動歯車20には、この歯車20を上記クラッチ21Bのクラッチアウタ37Bに係合させるための入力部材38がリベット39を介して取付けてある。クラッチアウタ37Bには、駆動摩擦板43を係合させるための複数列の係合溝37aが設けてあり、この係合溝37aはクラッチアウタ37Bの開放端側へ延長してある。入力部材38の外周には、上記係合溝37aに噛合する係合歯形38aが形成してある。この係合歯形38aとクラッチ21Bの開放端側の係合溝37aとの噛合によって、クラッチアウタ37Bはプライマリ従動歯車20の回転に連動して回転し、クラッチアウタ37Bと一体のクラッチアウタ37A及びクラッチアウタ共通ボス部37Cも共に回転する。プライマリ従動歯車20と入力部材38との間には緩衝部材としてコイルばね67が設けてあり、クラッチ21A、21Bに急激な回転が加わることを防いでいる。
【0037】
メイン軸内軸9Aには、左側に開口するメイン軸左側中心孔56と、右側に開口するメイン軸右側中心孔57が設けてある。右側中心孔57は複数段の内径を有する段付き孔となっている。右側中心孔57には、同軸の2本のパイプ、即ち内側パイプ58と外側パイプ59が挿入されている。内側パイプ58の左端部はシール部材60Aを介して右側中心孔57の細径部に嵌装され、その右端部はシール部材60Bを介して右クランクケースカバー17に支持され、これらのシール部材60A、60Bを介して内側パイプ58の内外は仕切られている。外側パイプ59の左端部はシール部材61Aを介して右側中心孔57の大径部に嵌装され、その右端部はシール部材61Bを介して右クランクケースカバー17に支持され、これらのシール部材61A、61Bを介して外側パイプ59の内外は仕切られている。
【0038】
内側パイプ58の外側と外側パイプ59の内側と右側中心孔57の中径部の内側との間に形成された油路をメイン軸端第1油路62A、内側パイプ58の内孔と右側中心孔57の細径部をつなぐ油路をメイン軸端第2油路62B、外側パイプ59の外側と右側中心孔57の大径部の内側との間に形成された油路をメイン軸端第3油路62Cと名付ける。
【0039】
メイン軸端第1油路62Aには、右クランクケースカバー17に設けられた第1制御油路71Aが連通している。メイン軸端第2油路62Bには、右クランクケースカバー17に設けられた第2制御油路71Bが連通している。メイン軸端第3油路62Cには、右クランクケースカバー17に設けられた潤滑油路71Cが連通している。
【0040】
上記エンジンは、制御用オイルポンプ13と潤滑用オイルポンプ(図示なし)を備えている。また、一対のクラッチに制御用オイルを送るために、第1アクチュエータと第2アクチュエータ(図示なし)を備えている。制御用オイルポンプ13は、第1アクチュエータを介して、第1制御油路71A、メイン軸端第1油路62A、径方向油路63を経由して第1クラッチ21Aの加圧室52Aに連なると共に、第2アクチュエータを介して、第2制御油路71B、メイン軸端第2油路62B、径方向油路64を経由して第2クラッチ21Bの加圧室52Bへ連なっている。
【0041】
第1クラッチ21Aの加圧室52Aに高圧オイルが供給された時、加圧プレート46はコイルばね51の付勢力に抗して摩擦板群45の方へ動き、摩擦板が圧接され、クラッチアウタ37Aの回転がクラッチインナ40Aに伝達され、メイン軸内軸9Aが回転駆動される。
【0042】
第2クラッチ21Bの加圧室52Bに高圧オイルが供給された時、加圧プレート46はコイルばね51の付勢力に抗して摩擦板群45の方へ動き、摩擦板が圧接され、クラッチアウタ37Bの回転がクラッチインナ40Bに伝達され、メイン軸外軸9Bが回転駆動される。
【0043】
上記一対のクラッチアクチュエータは、一方がONのときには、他方はOFFとされる。一対のクラッチアクチュエータのいずれをONとするかは、電子コントロールユニット(図示なし)によって自動的に判断される。
【0044】
潤滑用オイルポンプから吐出されるオイルの一部は、潤滑油路71C、メイン軸端第3油路62C、径方向油路65を介して、第1クラッチ21Aの圧力調整室53Aに供給される。また、他の一部は、メイン軸左側中心孔56、径方向油路66を介して、第1クラッチ21Aの圧力調整室53Bに供給される。圧力調整室53A、53Bへ供給されたオイルは、遠心力による加圧室52A、52Bの圧力増加分を圧力調整室53A、53Bのオイルにかかる遠心力による圧力増加分によって相殺し、クラッチOFFを可能にするためのものである。なお、圧力調整室53A、53Bへ供給されるオイルによって、ニードルベアリング31A、31Bが潤滑される。
【0045】
潤滑用オイルポンプから吐出されメイン軸左側中心孔56を経由するオイルの一部は、径方向油路68を経由して、メイン軸外軸9Bを支えるニードルベアリング27Bと、プライマリ従動歯車20を支えるニードルベアリング19を潤滑する。
【0046】
図4は、プライマリ従動歯車20と入力部材38とコイルばねカバー部材73とをリベット39で一体化した入力部材組立体76の縦断面図、図5は図4のV矢視図である。図4、図5において、プライマリ従動歯車20の周囲部には、歯部20aが設けてあり、クランク軸8(図1)に設けられたプライマリ駆動歯車(図示なし)に噛合して動力の伝達を受ける。
【0047】
入力部材38は、リベット39を挿通する孔を備えた3個の係合凸部38bを有し、リベット39とともにプライマリ従動歯車20の3箇所の係合凸部挿通孔20bに挿入され、コイルばねカバー部材73と共にリベット39で一体化される。入力部材38とコイルばねカバー部材73とは、リベット頭部39aとリベット39端部のかしめによって、固く一体化されているが、係合凸部挿通孔20bは係合凸部38bの断面に比して大きい孔であり、さらに、入力部材38とプライマリ従動歯車20との間には皿ばね74が設けてあるので、一体化された入力部材38とコイルばねカバー部材73との、プライマリ従動歯車20に対する結合は緩やかであり、回転方向に若干の相対移動が可能である。
【0048】
図5において、プライマリ従動歯車20には、コイルばね収容部20cが6箇所設けてあり、それぞれにコイルばね67が装着されている。コイルばねカバー部材73は環状の平板部73aの一部を湾曲膨出させて湾曲部73bを形成したもので、この湾曲部73bによって、コイルばね67の一方の側が覆われる。平板部73aの回転方向の縁73cに、上記コイルばね67の端部が当接させてある。
【0049】
図6は入力部材38の縦断面図、図7は図6のVII矢視図である。図6、図7において、入力部材38の周囲部には、後述のクラッチアウタ37Bの係合溝37aに係合する係合歯形38aが設けてある。係合凸部38b、リベット孔38cについては前述した通りである。入力部材38のコイルばね67に対向する位置にコイルばね収容凹部38dが設けてある。このコイルばね収容凹部38dによって、コイルばね67の他方の側が覆われる。凹部38dの回転方向の端面38fに、上記コイルばね67の端部が当接させてある。
【0050】
図4〜図7において、クランク軸8からプライマリ駆動歯車を介して、プライマリ従動歯車20に衝撃的な回転力が加わったときには、コイルばね67を介して、コイルばねカバー部材73の平板部73aの回転方向の縁73cと、入力部材38の凹部38dの回転方向の端面38fとが押されて、結果として入力部材38に回転力が伝達されるので、衝撃的な回転力の伝達は防止される。
【0051】
図8は、クラッチアウタ37A、クラッチアウタ37B、及びクラッチアウタ共通ボス部37Cを、溶接によって一体化したクラッチアウタ組立体77の縦断面図である。上記3部材は、溶接部35、36によって結合されている。図9は図8のIX−IX断面図であり、第2クラッチのクラッチアウタ37Bの断面を示している。
【0052】
図8、図9において、クラッチアウタ共通ボス部37Cには、第1クラッチの加圧室52Aに連通する径方向油路63、第2クラッチの加圧室52Bに連通する径方向油路64、第1クラッチの圧力調整室53Aに連通する径方向油路65、及び、第2クラッチの圧力調整室53Bに連通する径方向油路66、が設けてある。
【0053】
クラッチアウタ37Bの内側には、駆動摩擦板43が、回転不能且つ軸方向摺動可能に係合する多数の係合溝37aが設けてある。上記クラッチアウタ37A、37Bは、円筒の端版部37b側が溶接されている。駆動摩擦板43はそれぞれのクラッチアウタの開放端側から装着される。このため係合溝37aはクラッチアウタ37A、37Bの開放端から奥部まで連続している。クラッチアウタ37A、37Bの内側には、摩擦板群45が開放端から脱落しないように、C形止め輪47が装着される(図3)。隣り合う各係合溝37aの間の突条部37cには、C形止め輪47の係合溝37dが設けてある。
【0054】
上述の係合溝37aの本来の目的は、駆動摩擦板43を係合させることであって、この目的のために、係合溝37aはクラッチアウタの開放端から奥部まで連続して設けられている。一方、図6、図7に示されるように、入力部材38の外周部には、上記クラッチアウタの係合溝37aに係合可能の係合歯形38aが設けられ、第2クラッチのクラッチアウタ37Bの係合溝37aの、開放端に近い部分に係合させることによって、入力部材38とクラッチアウタ37Bの回転方向の結合を図っている。クラッチアウタの係合溝37aを利用して、入力部材38とクラッチアウタ37Bとを一体回転可能にしたので、クラッチアウタ37B側に入力部材38と係合させるための特別な係合部の形成が不要となり、大型化を抑制できる。
【0055】
図10は、本発明の第2実施形態に係るクラッチ80及びその周辺の拡大図である。本実施形態のクラッチ80も、第1実施形態のクラッチと同じく、第1クラッチ80Aと第2クラッチ80Bとからなるツインクラッチであり、それぞれのクラッチのクラッチアウタ81A、81Bは、その閉塞端を互いに密着固定されると共に、クラッチアウタ共通ボス部81Cに密着固定されている。それぞれのクラッチインナ82A、82Bは、それぞれメイン軸内軸9A、メイン軸外軸9Bに連結されている。入力部材83はエンジン中心寄りに配置される第2クラッチ80Bのクラッチアウタ81Bの係合溝81aに係合されている。
【0056】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、入力部材83の外周部にフランジ83aが設けられたことと、上記フランジ83aとクラッチアウタ81Bの端部との間に弾性部材84が設けられたことである。上記以外の構成は第1実施形態と同じである。弾性部材84を介して結合することによって、第2クラッチ80Bの内部の潤滑油の漏れ出しを抑制できて潤滑性を保つことができるとともに、入力部材83とクラッチアウタ81Bとの間で生じる騒音を低減することができる。
【0057】
図11は、本発明の第3実施形態に係るクラッチ90及びその周辺の拡大図である。本実施形態のクラッチ90も、第1実施形態のクラッチと同じく、第1クラッチ90Aと第2クラッチ90Bとからなるツインクラッチであり、それぞれのクラッチのクラッチアウタ91A、91Bは、その閉塞端を互いに密着固定されると共に、クラッチアウタ共通ボス部91Cに密着固定されている。それぞれのクラッチインナ92A、92Bは、それぞれメイン軸内軸9A,メイン軸外軸9Bに連結されている。入力部材93はプライマリ従動歯車20に連結される円環状で、且つ椀状に形成された部材であり、上記入力部材93の外周円筒部93aの内周面に入力部材側係合部として内向き係合歯形93bが形成され、上記クラッチアウタ91Bの係合部にクラッチアウタ91Bの外周から係合されている。入力部材93の外周円筒部93aとクラッチアウタ91Bの間に弾性部材94が介装されている。
【0058】
図12は、クラッチアウタ91A、91B、及びクラッチアウタ共通ボス部91Cとからなるクラッチアウタ組立体95の断面図である。クラッチアウタ91Bの端部においては、クラッチアウタ91Bの外周を取り巻いていた外周筒状部91aと、その内側に形成されていた係合溝91bと、係合溝91bと交互に形成されていた突条部91cのうち、外周の筒状部91aが取り除かれ、これに応じて係合溝91bは内外貫通隙間91dとなり、突条部91cだけが実体物として残っている。
【0059】
図13は、図11のXIII−XIII断面図である。突条部91cだけが、クラッチアウタ91B側の実体物として残っている。隣り合う突条部91cの間は、内外貫通隙間91dである。上記入力部材93の外周円筒部93aの内周面に内向き係合歯形93bが形成され、上記クラッチアウタ91Bの内外貫通隙間91dに外周側から係合されている。実際には、メイン軸の軸線の方向に係合が行われるが、断面図をみると内向き係合歯形93bが、あたかも内外貫通隙間91dの外周側から係合しているように見える。入力部材の外周円筒部93aがクラッチアウタの突条部91cの外周を覆っている。第3実施形態の上記以外の構成は第1、第2実施形態と同じである。
【0060】
椀形形状の入力部材93の外周円筒部93aがクラッチアウタ91Bの端部の突条部91cを外側から覆い、弾性部材94を介して結合することによって、クラッチアウタ内部の空間を閉じた空間に形成できるので、潤滑油の漏れ出しを抑制でき、クラッチ内部の潤滑油の滞留を促して潤滑性を保つことができるとともに、クラッチ90Bの内部から発生する騒音の洩れの低減を図ることができる。
【0061】
以上詳述したように、本実施形態においては次のような効果がもたらされる。
(1)クラッチアウタ側係合部37aに係合可能な入力部材側係合部38aを入力部材38に形成し、クラッチアウタ側係合部37aを利用してクラッチアウタ37Bと入力部材38とを一体化したので、クラッチアウタ37B側に入力部材38と係合させるための特別な係合部が不要となり、大型化を抑制できる。さらに、それに伴う加工も必要がなくなることで、クラッチアウタに必要とされる強度を保ちつつ、クラッチの大型化を防ぐことができる。
(2)外周面に係合部38aを形成した円環状の入力部材38をプライマリ従動歯車20とは別体の部品として形成し、これをプライマリ従動歯車20と連結し、その係合部38aをクラッチアウタ側係合部37aに係合させて、プライマリ従動歯車20とクラッチアウタ37Bとを一体回転可能にし、係合部の加工を入力部材38側にのみ施し、プライマリ従動歯車20自体に新たな係合部を形成しなくても済むようにしたので、プライマリ従動歯車20の加工が複雑とならずに、汎用部品のプライマリ従動歯車20を使用することができて、コスト上昇を抑制することができる。
(3)椀状の入力部材93にてクラッチアウタ91Bの外周側から係合するようにしたものにおいては、入力部材93とクラッチアウタ91Bとによってクラッチアウタ91Bの内部空間を閉じた空間に形成できるので、クラッチ内部の潤滑油の滞留を促して潤滑性を保つことができるとともに、クラッチ内部から発生する騒音の外部への洩れの低減を図ることができる。
(4)一端閉塞円筒形のクラッチアウタ37Bの開放端側から摩擦板43、44を挿入した後に入力部材38にて係合するようにしたため、入力部材38でクラッチアウタ37Bの開放端に蓋をする形になるので、内部に収容した摩擦板43、44の脱落を防ぐことができる。
(5)クラッチアウタ37Bの内面に摩擦板43、44の移動規制部材47を設けたため、入力部材38と摩擦板43、44との干渉を抑制して入力部材38による摩擦板43、44への影響を抑制できると共に、入力部材38を取付けない状態のとき、摩擦板43、44がクラッチアウタ37Bから脱落することを防ぐので、組付け性が向上する。
(6)エンジン1の幅方向に並べて配置されるツインクラッチ装置の場合は一般にクラッチの幅が大きくなるため、エンジンの大型化を招きやすいが、入力部材38をエンジン中心寄りに配置されるクラッチアウタ37Bのみに係合するようにしたので、クラッチの外側即ちエンジンの外側への出っ張りを抑制してエンジンの大型化を防ぐことができる。
(7)弾性部材84、94を介して、入力部材83、93とクラッチアウタ81B、91Bとを結合したものにおいては、クラッチ内部の潤滑油の漏れ出しを抑制できて潤滑性を保つことができるとともに、入力部材とクラッチアウタとの間で生じる騒音を低減することができる。
(8)弾性部材84、94を、入力部材83、93とクラッチアウタ81B、91Bとに挟んで固定保持するようにしたので、特別な固定保持手段が不要であるため、部品点数を増やすことなく簡素な構造で弾性部材を固定保持できる。
【符号の説明】
【0062】
20…プライマリ従動歯車、21…クラッチ、21A…第1クラッチ、21B…第2クラッチ、37…クラッチアウタ、37A…クラッチアウタ、37B…クラッチアウタ、37a…係合溝、37b…端板部、37c…突条部、37d…C形止め輪47の係合溝、38…入力部材、38a…係合歯形、40…クラッチインナ、40A…クラッチインナ、40B…クラッチインナ、40a…係合溝、43…駆動摩擦板、44…被動摩擦板、45…摩擦板群、47…C形止め輪、75…C形止め輪嵌入用凹部、80…クラッチ、80A…第1クラッチ、80B…第2クラッチ、81A…クラッチアウタ(第1クラッチ)、81B…クラッチアウタ(第2クラッチ)、81C…クラッチアウタ共通ボス部、81a…係合溝、83…入力部材、83a…フランジ、84…弾性部材、90…クラッチ、90A…第1クラッチ、90B…第2クラッチ、91A…クラッチアウタ(第1クラッチ)、91B…クラッチアウタ(第2クラッチ)、91C…クラッチアウタ共通ボス部、91a…外周筒状部(第2クラッチ)、91b…係合溝(第2クラッチ)、91c…突条部(第2クラッチ)、93…入力部材、93a…入力部材の外周円筒部、93b…入力部材の内向き係合歯形、94…弾性部材、95…クラッチアウタ組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材と一体に連動するクラッチアウタと、上記クラッチアウタの内側において出力部材と一体に連動するクラッチインナとを備え、
クラッチアウタの内周面に形成されたクラッチアウタ側係合部に係合する摩擦板と、クラッチインナの外周面に形成されたクラッチインナ側係合部に係合する摩擦板とが交互に配置され、これらが圧接されることによりクラッチアウタからクラッチインナへ動力が伝達される多板クラッチ装置において、
上記入力部材に設けられた入力部材側係合部と上記クラッチアウタ側係合部とが係合することによって、入力部材とクラッチアウタとが一体化されることを特徴とする多板クラッチ装置。
【請求項2】
上記入力部材は、駆動源の駆動歯車と噛合する従動歯車に連結される円環状の部材であり、上記入力部材側係合部は、上記入力部材の外周面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の多板クラッチ装置。
【請求項3】
上記入力部材は、駆動源の駆動歯車と噛合する従動歯車に連結される円環状で、且つ椀状に形成された部材であり、上記入力部材側係合部は、上記入力部材の外周円筒部の内周面に形成され、上記クラッチアウタ側係合部にクラッチアウタの外周から係合されることを特徴とする請求項1に記載の多板クラッチ装置。
【請求項4】
上記クラッチアウタは、円筒の一端が閉塞された形状であり、上記摩擦板は、クラッチアウタの開放端から挿入できるように、クラッチアウタの内周面には開放端から連続してクラッチアウタ側係合部が形成され、上記摩擦板が挿入された後に、上記入力部材はクラッチアウタ側係合部に挿入されて一体化されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多板クラッチ装置。
【請求項5】
上記クラッチアウタと入力部材とは着脱可能に係合されており、上記入力部材と、同入力部材に最も近接する摩擦板との間には、摩擦板が過度に入力部材側に移動することを規制する移動規制部材がクラッチアウタの内面に取付けられたことを特徴とする請求項3に記載の多板クラッチ装置。
【請求項6】
上記クラッチ装置は、複数の一端閉塞円筒形のクラッチアウタが、その閉塞端を互いに密着固定され、各クラッチインナは、それぞれ異なる出力部材に連結される形式のもの、即ちツインクラッチ装置であって、
上記クラッチアウタはエンジンの左右方向に並べて配置され、上記入力部材はエンジン中心寄りに配置されるクラッチアウタのみに係合されることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の多板クラッチ装置。
【請求項7】
上記入力部材と上記クラッチアウタとの間に弾性部材を介してこれらを結合したことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の多板クラッチ装置。
【請求項8】
上記弾性部材は、上記入力部材と上記クラッチアウタとに挟まれて固定保持されることを特徴とする請求項7に記載の多板クラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−33044(P2011−33044A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176686(P2009−176686)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】