説明

大モード面積でマルチモードの利得生成光ファイバを用いる高パワー光学装置

【課題】高輝度ポンプ光源でコア・ポンプされるマルチモードのGPFを提供する。
【解決手段】光学装置は、ファイバのコアの中で伝播する信号光に利得を与えるマルチモードの利得生成ファイバと、コアの中で吸収されるポンプ光を供給するポンプ光源とを含み、(i)ポンプ光源が例示的には、低輝度のレーザ・ダイオードのアレイと、ポンプ光の輝度を増大させる変換器とを備え、(ii)ポンプ光が、コアの中に直接結合され、(iii)コアの面積が、約350μmを超えることを特徴とする。一実施形態では、利得生成ファイバに入る前に標準の入力ファイバの中を共に、信号光はシングル・モードで伝播し、ポンプ光は少なくとも同じシングル・モードで前方伝播し、モード・エクスパンダが、入力ファイバと利得生成ファイバの間で配設される。別の実施形態では、複数のポンプが、利得生成ファイバのコアの中に結合される。複数のポンプは、同じ波長の光または異なる波長の光を発生させてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大モード面積(LMA)でマルチモードの利得生成光ファイバを用いる高パワー光学装置に関し、より詳細には高パワー光増幅器およびそのようなファイバを用いるレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバのコアの中で伝播する光信号を増幅するために、典型的にはコアは、利得生成の化学種で添加されており、次いでこの化学種によって吸収される波長で光ポンプによってポンプされる。シリカ光ファイバでは、コアは例示的には、希土類元素(例えば、Er、Yb、Er−Yb、Nd、Tm、Hoなど)またはクロム(Cr)で添加されており、それにより近赤外線範囲(例えば、〜1000から1600nm)の波長の信号が増幅されることを可能にする。ErおよびEr−Ybシリカ・ファイバは通常、約1500nmを上回る波長の信号を増幅するために使用され、典型的には980nmまたは1480nmで、あるいは980nmまたは1480nmの近くでポンプされる。
【0003】
利得生成ファイバ(GPF:gain−producting fiber)の応用は、電気通信などの比較的に低パワーの応用から材料加工、分光法および距離測定などのよりいっそう高パワーの応用まで及ぶ。本明細書においては、後者に目を向けている。
【0004】
GPFに基づくレーザおよび増幅器のシステムは、小型で強固な高パワー放射源(例えば、ピーク・パワーが>数10kW)である。安全上の理由により1500nmを超える目に安全な波長でそのようなシステムを動作させることが望ましい。典型的には、Er−Ybを共添加したよく知られているダブル・クラッド・ファイバ(DCF:double clad fiber)を用いる増幅器が、これらの波長で使用される。これらの増幅器は、低輝度ダイオード・レーザのアレイによってポンプされる。アレイの光出力は、大きな角度分布を有するので、それは大きな開口数(NA)を有するマルチモード・ファイバの中にだけ効率的に結合できる。ダイオードのエネルギーを効率的に使用するために、(信号が内部を伝播する)中心コアが利得生成の化学種で添加され、高NAの導波管によって囲まれているDCFの形状がGPFに利用される。導波管は、コアを囲むと共にダイオード・アレイ・ポンプ光を誘導する無添加の内側クラッドと、内側クラッドを囲むより低い屈折率の外側クラッドとを含む。このダブル・クラッド形状により、コア面積に対する内側クラッド面積の比におおよそ比例する因子によって単位長さ当りのポンプ吸収を低減させる。したがって、比較的に高濃度のコア・ドーパントが、短いファイバ長にわたって高いポンプ吸収を達成するために必要とされ、そのことは非線形効果、増幅自然放出光(ASE)および信号再吸収を最小化するために望ましいものである。
【0005】
しかし、シリカ中のEr濃度は、ペアにより引き起こされる消光(pair−induced quenching)によって制限される。ポンプ・エネルギーが高濃度のYbによって吸収されると共にErへ伝達されるところのEr−Yb共添加ファイバは、この制限を克服し、高いポンプ吸収および高い単位長さ当りの利得を与える。[A.Galvanauskas、「Mode−Scalable Fiber−Based Chirped Pulse Amplification Systems」、IEEE J.Selected Topics in Quant.Electr.、Vol.7、No.4、504〜517頁(2001)を参照。これは、参照により本明細書に組み込まれる。]。この手法により、(非線形性が出始める前は)エネルギー262μJで、しかしM=2.1の劣化したビームであるパルスの発生という結果になった[M.Savage−Leuchsら、「High pulse energy extraction with high peak power from short−pulse,eye safe all−fiber laser system」、Proc.of SPIE、Vol.6102、610207−(1−8)頁、(2006)を参照。これも、参照により本明細書に組み込まれる。]。しかし、Er−Yb共添加ファイバは、ある種の不都合を有している。YbからErへ効率的なエネルギー伝達を達成するために、Er−Yb共添加ファイバは、大量のリン(P)で共添加され、それによりコア・インデックスを高くしており、それにより最大達成可能モードフィールド面積(MFA:maximum achievable mode−field−area)を制限し、それらを高くマルチモード化させる。コアの屈折率分布は大抵、製造を行っている間のPのバーン・ホフにより大きなセンター・ディップ(large center dip)を有し、それにより空間モードを歪ませる。それらは、900nm〜1000nmの波長でポンプされ、したがって、1500nmでの利得に対する量子効率は低い。したがって、かなりの熱が発生させられ、内側クラッドを囲む高分子被膜に対する損傷を防ぐために冷却が必要とされ得る。
【0006】
Er−Ybに基礎を置く光増幅器の代替として、DCF設計が提案されている。[例えば、D.Tavernerら、「158−μJ pulses from a single−transverse−mode,large−mode−area erbium fiber amplifier」、Opt.Lett.、Vol.22、No.6、378〜380頁(1997)を参照。これは、参照により本明細書に組み込まれる。]。10年が経過したこの論文の中で、著者らは、パワー段がLMAのシングル・モードのEr添加ファイバを含んでいる光ファイバ増幅器が、980nmのTiサファイア・レーザによって逆方向に端面励起されたことを説明している。増幅される1534nmの信号は、前置増幅器段を通ってパワー段まで標準のバルク光学部品を介して結合された。Er添加ファイバと前置増幅器段の間の結合光学系は、それらの大きなNA不整合を吸収するように選択された。この設計は、10〜100pJの信号パルスをエネルギーが158μJおよびピーク・パワーが>100kWまで増幅したと報告された。しかし、Tavernerの増幅器設計は、以下のいくつかの理由で不利である。すなわち、(i)Tavernerの増幅器設計は、複数のバルク光学部品を使用し、それにより環境条件が経時的に変化する際に調整することおよび調整を維持することが困難である;(ii)Tavernerの増幅器設計は、大きくて、制御が困難であり、パワーを制限したTiサファイア固体ポンプレーザを使用する;および(iii)Tavernerの増幅器設計は、シングル・モードEr添加ファイバを使用しており、これはMFAが制限されること、およびしたがってファイバのエネルギー蓄積能力が同様に制限されることを意味する。
【特許文献1】米国特許第7013678号
【特許文献2】米国特許第5864644号
【非特許文献1】A.Galvanauskas、「Mode−Scalable Fiber−Based Chirped Pulse Amplification Systems」、IEEE J.Selected Topics in Quant.Electr.、Vol.7、No.4、504〜517頁(2001)
【非特許文献2】M.Savage−Leuchsら、「High pulse energy extraction with high peak power from short−pulse,eye safe all−fiber laser system」、Proc.of SPIE、Vol.6102、610207−(1−8)頁、(2006)
【非特許文献3】D.Tavernerら、「158−μJ pulses from a single−transverse−mode,large−mode−area erbium fiber amplifier」、Opt.Lett.、Vol.22、No.6、378〜380頁(1997)
【非特許文献4】URL http://www.rp−photonics.com/brightness.html、「Encyclopedia of Laser Physics and Technology」
【非特許文献5】C.Headleyによる「Raman Amplification in Fiber Optical Communication Systems」、Elsevier Academic Press、Ch.7 Cascaded Raman Resonators、303〜374頁(2006)
【非特許文献6】J.M.Fini、「Bend−Resistant Design of Conventional and Microstructure Fibers with Very Large Mode Area」、Optics Express、Vol.14、No.1、69〜81頁(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当技術分野では、従来技術の設計の1つまたは複数の欠点を改善する高パワーのGPF装置の必要が続けて存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
高いポンプ吸収および高い単位長さ当りの利得を達成するために、本発明は、高輝度ポンプ光源でコア・ポンプされるマルチモードのGPFを利用する。コア・ポンプのスキームは、好ましい実施形態において、ポンプ光および信号光が実質的に同じ横モードで伝播し、したがって互いに実質的に完全に重なり、それによりASEを低減させるという利点を有する。略完全な重なりは、特定の利得に必要とされるファイバ長も最小化し、それはラマン散乱、ブリルアン散乱および自己位相変調などの非線形効果によって引き起こされる悪化を低減させるために重要である。
【0009】
高パワー・パルス(例えば、>数10kWのピーク・パワー)を生成し、その高パワー・パルスを送るために、好ましくは本発明のGPFは、比較的に大きなコア面積を有し、そのことはファイバのエネルギー蓄積能力(したがってパルス・エネルギー)を増大させると共に非線形性効果を減少させるのに有利であり、それによりパルスの劣化を低減させる。
【0010】
本発明の一態様によれば、光学装置は、ファイバのコアの中で伝播する信号光(光放射)に利得を与えるマルチモードのGPFと、コアの中で吸収されるポンプ光(光放射)を供給するポンプ光源とを含み、(i)ポンプ光源が例示的には、低輝度のレーザ・ダイオードのアレイと、ポンプ光の輝度を増大させる変換器とを備え、(ii)ポンプ光が、コアの中に直接結合され、(iii)コアの面積が、約350μmを超え、好ましくは約800μmを超えることを特徴とする。
【0011】
一実施形態では、信号光は、GPFに入る前に標準の入力ファイバの中をシングル横モードで伝播し、ポンプ光は、入力ファイバの中を少なくとも同じシングル・モードで前方伝播する。すなわち、好ましくはないが、ポンプ光は、いくらかマルチモード化されてよい。加えて、入力ファイバは典型的には、GPFのコア面積よりも小さなコア面積を有しているので、ファイバ・ベースのモード・エクスパンダ(mode expander)が、入力ファイバとGPFの間で配設される。一実施形態では、モード・エクスパンダは、約1000〜1600nmの範囲にわたって実質的に波長に依存しない、適切に設計されたファイバ・ベースのGRINレンズを備える。好ましい実施形態では、GPFはErで添加されており、信号波長は、約1500〜1600nmであり、ポンプ波長は、約1460〜1490nmである。
【0012】
別の実施形態では、複数のポンプ光源が、LMAでマルチモードのGPFのコアの中に結合される。複数のポンプ光源は、同じ波長の光または異なる波長の光を発生させてよい。それら複数のポンプ光源の光は、周波数多重化されてよく、または空間的に多重化されてよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の具体的な実施形態によれば、コア面積875μmを有するシングル・クラッドEr添加ファイバの中で1545nmのナノ秒光パルスの増幅を発明者は実証しており、このコアは1480nmの高輝度ラマン・レーザによってポンプされたものであり、パルスは数100kWの記録的なピーク・パワーを有した。
【0014】
本発明および本発明の様々な特徴および利点は、添付図面と関連して取り上げられる後続のより詳細な説明から容易に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
構造の概要
本発明を詳細に述べる前に、まず図1に戻ると、図1は、光源14から発する信号光(λ)をポンプ光(λ)がGPF12の中で吸収されると同時に増幅するLMAでマルチモードのGPF12を備える光増幅器(OA:optical amplifier)10を示している。さらに具体的には、典型的には異なる波長を有する信号光およびポンプ光は、それぞれ別個の典型的には標準の入力光ファイバ24および26を介して波長分割マルチプレクサ(WDM)18へ伝送される。WDM18は、信号およびポンプ光をGPF12のコアの中に結合される典型的には標準の入力ファイバ22上へ多重化する。入力ファイバ22、24および26は、小さなコア面積のシングル・モード・ファイバであってよく、または入力ファイバ22、24および26はより大きなコア面積のマルチモード・ファイバであってよく、しかしいずれにしてもファイバは、好ましくは信号およびポンプ光が同じシングル横モード(例えば基本モード)で伝播するように設計される。代替として、ポンプ光は、他のモードで伝播してもよく、すなわち、ポンプ光のモード群が少なくともシングル・モードの信号光を含むならば、ポンプ光はいくらかマルチモード化されてよい。
【0016】
典型的な高パワーの応用については、信号光は短期間の高エネルギー・パルスの形態で発生される。そのようなパルスのピーク・パワーは例示的には、数10キロワットよりも大きく、しばしば数100キロワットよりも大きい。
【0017】
本発明の一態様によれば、OA10は、本発明の増幅器が記録的なピーク・パワーを有する信号光パルスを発生させることを可能にしている、いくつかの重要な特徴を有する。すなわち、(i)GPF12のコアの面積が、約350μmを超え、好ましくは約800μmを超え、(ii)ポンプ光源16が、ポンプ光の高輝度光源であり、(iii)ポンプ光が、(典型的な従来技術のDCF設計におけるようなクラッドの中にではなく)GPF12のコアの中に直接結合され、(iv)好ましくは同じシングル横モードで伝播するポンプ光および信号光が、モード・エクスパンダ20を介してGPF12の中に結合される。
【0018】
ビーム光源の輝度は、遠視野における発散の単位立体角当りのビーム焦点での単位モード面積当りのパワー(P)として定義される。ビーム光源の輝度は、W/(sr cm)の単位で測定される。より詳細については、例えば、インターネット上においてURL http://www.rp−photonics.com/brightness.htmlで見つけられ得る「Encyclopedia of Laser Physics and Technology」を参照されたい。これは本明細書において参照により組み込まれる。輝度は、光源の面積および光が伝播して通る立体角の関数である面積(etendue)によって除算されるパワーとして表現できる。簡単なシステムに関しては、面積(etendue)は、π・S・NAによって近似でき、ここでSは光源面積である。
【0019】
直径dおよび開口数NAのコアを有するファイバのピグテイル(fiber pigtail)によって光をGPFへ送る従来の低輝度レーザ・ダイオード・アレイを考えてみる。典型的な市販のレーザ・ダイオード・アレイは、パワーおおよそ10Wを直径105μmおよび0.22NA(面積(etendue)がおおよそ1.3×10 sr μm)のリード線コアの中に送るものであり、それは出力ビームが輝度約7.6mW/(sr μm)を有することを意味する。高輝度により、本発明のポンプ光源の輝度は、従来の低輝度レーザ・ダイオード・アレイの輝度よりも少なくとも30倍大きい、好ましくは100倍大きいものであるということを発明者は意味している。したがって、例示の本発明の高輝度ポンプ光源は、少なくとも760mW/(sr μm)でGPF12に送るものである。
【0020】
概して、モード・エクスパンダ20の機能は、横モードの次数を変化させることなく、あるモードのサイズ(MFA)を増大させることになる。例えば、標準のコア直径8μmの入力ファイバ22をマルチモードのコア直径45μmのGPF12に結合するモード・エクスパンダを考えてみる。基本モード信号光が入力ファイバ22の中で伝播し、このモードが50μmのMFAを有すると仮定する。次いで、モード・エクスパンダ20は例えば、GPF12中でこの信号のMFAを700μmへ増大させる可能性があるが、基本モードで信号を維持することになるはずである。同様の見解は、図2のエクスパンダ20を通って伝播するポンプ光に当てはまる。
【0021】
ここでは、光ファイバのコア面積Acoreは、単純にコアの断面形状の物理的面積(円形コアの場合はAcore=πD/4)であるのに対して、光ファイバ・モードの有効面積(すなわち、光ファイバのMFA)は、Amode=∫|E|dA)/∫|E|dAによって定義され、ここでEは局所電場であり、各積分はコアの断面積にわたって行われると理解されることに留意されたい。この積分は、非線形の悪化の影響を正確に定量化するために、光強度の面積の重みづけを捕らえる。これら2つの面積はしばしば、互いからかなり異なる。例えば、1500nmにおいて、Δn=0.003の直径30μmの円形コアは、モードフィールド直径24μmだけを有する横モードを含む。そのようなモードは、コア面積の約64%だけを満たす。同様に、1500nmにおいて、Δn=0.003の45μmのコアは、モードフィールド直径32μmだけを有するモードを含む。そのようなモードは、コア面積の約53%だけを満たす。
【0022】
入力ファイバ22では、好ましくは信号光およびポンプ光は、同じシングル横モードで伝播し、好ましくは基本モードで伝播する。しかし、LMA GPF12のコアは、ファイバ22のコアよりもかなり大きい(例えば、>350μmのコア面積に対して>21μm)。したがって、モード・エクスパンダ20は、比較的により小さいコアの入力ファイバ22の中の信号光およびポンプ光の比較的により小さいモードフィールドを典型的にはGPF12のずっとより大きいのコアの中のより大きいモードフィールドに結合する。
【0023】
図2中により詳細に示すように、例示的には、モード・エクスパンダ20は、入力ファイバ22およびLMA GPF12と軸方向に位置合わせされたファイバ・ベースのGRINレンズを備える。GRINレンズは、固定された軸方向ピッチで光を焦点から外したり焦点に合わせたりする放物線インデックス分布を有する。光の断面の(放射状の)スポット・サイズは、長手方向に変化する。GRINレンズの長さがこのピッチの倍数である場合は、出力スポット・サイズ(面積)は、入力スポット・サイズと同じである。しかし、この長さがピッチの半分である場合は、ビームはずっとより大きいスポット・サイズで出て行き、このスポット・サイズはGRINレンズ自体の直径と同様にできる。よく知られた設計技術を使用してGPF12のコア面積と実質的に同じスポット・サイズを作製する。
【0024】
大変驚いたことに、発明者は、シリカ・ファイバ・ベースのGRINレンズなどのモード・エクスパンダは、約1000〜1600nmの範囲にわたって実質的に波長に依存しないということを見出した。例えば、標準のシングル・モード・ファイバから1550nmのマルチモードのステップ・インデックス(Δn−0.01)のシングル・クラッドのEr添加LMAファイバへ光を結合するように設計されるシリカGRINレンズを考えてみる。最適化されたGRINレンズの放物線屈折率プロファイルを用いて、発明者は800nm〜1700nmのモード結合を計算した。発明者は、1000〜1600nmの範囲にわたって、LP01モードの結合損失が約0.12〜0.20dBだけであることを見出した。加えて、発明者は、LP01モードから失われた大部分のエネルギーが高次モード(例えば、LP02およびLP03)の中に放たれることを見出した。これらの計算は、信号波長とポンプ光波長の間の比較的に広い隔たりが許容できることを示す。
【0025】
ファイバ・ベースのGRINレンズの製作は、2006年3月21日に発行された米国特許第7013678号においてD.J.DiGiovanniらによって説明されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
代替のモード・エクスパンダ20は、よく知られているスプライサにおいて長時間の加熱を用いて生成される単純な拡散のファイバ・スプライスである。入力ファイバ22のコアは、スプライシングの前に拡散可能であり、それにより入力ファイバ22のモード面積を増大させてGPFファイバ12のモード面積と整合させることができる。
【0027】
別の代替のモード・エクスパンダ20は、コアの断面積がセグメントの縦軸に沿って先細りである(例えば、セグメントが円形の断面を有するならば、コア直径が先細りである)、マルチモード・ファイバのセグメントを含む。そのような先細りのセグメントの一端では、モードフィールドは、比較的に低損失の信号結合をGPF12中に行うためにGPF12のモードフィールドと整合すべきである。反対側では、セグメントは、入力ファイバ22のモードフィールドと整合すべきである。例えば、引伸ばすことによって先細りにすることによりコアの半径方向の寸法を縮小し、その結果、コアは、比較的に低い損失の結合で入力ファイバ22から信号モードを誘導する。そのような先細りのセグメントは、比較的に低い結合損失でポンプ光をやはり伝送することになる。マルチモード・ファイバの先細りのセグメントは、1本の標準のファイバから、またはGPF12の一部から形成可能である。
【0028】
本発明の代替実施形態では、複数のポンプ光源を使用してマルチモードのLMA GPF12をポンプする。これらの光源は、GPF12の中に周波数/波長多重化されてよく、または空間的に多重化されてよい。したがって、図3のOA10’に示すように、ポンプ光源16.1および16.2は、典型的には標準の入力ファイバ26.1および26.2を介してそれぞれWDM18に結合され、一方、信号源14は、典型的には標準の入力ファイバ24を介してWDM18に結合される。前述のように、WDM18は、信号光およびポンプ光を、GPF12のコアの中に結合される典型的には標準の入力ファイバ22の上へ多重化する。さらに、図1中のように、信号入力ファイバ24およびポンプ入力ファイバ26.1および26.2は、シングル・モード・ファイバまたはマルチモード・ファイバであってよい。モード・エクスパンダ20は、WDM18とGPF12の間に挿入される。
【0029】
本実施形態では、複数のポンプ光源は、波長がGPF12の吸収スペクトル内であるならば、実質的に同じ波長(λp1=λp2;例えば1480nm)を有してよく、または複数のポンプ光源は、異なる波長(λp1≠λp2;例えば1480nmまたは1485nm)を有してよい。いずれにしても、別個のWDM(図示せず)を利用してポンプ光源それぞれをGPF12のコアの中に結合することができ、あるいは薄膜フィルタ・アレイまたはアレイにされた導波管格子(AWG:arrayed waveguide grating)などのマルチポートWDMを使用できる。加えて、WDM18がシングル・モード・ポンプ光を用いて使用される場合は、複数のポンプ光源は、WDM18の干渉効果を避けるために異なる波長を有するべきである。
【0030】
一方、複数のポンプをGPF12のコアの中に空間的に結合するために、図4に示されるタイプの結合の構成が好ましい。ここで、先細りのファイバ束30は、GRINレンズ・モード・エクスパンダ20に結合され、GRINレンズ・モード・エクスパンダ20は、GPF12に結合される。束30において、ポンプ光は、外側の入力ファイバ26.1および26.2によって伝えられ、一方、信号光は、中央の入力ファイバ24によって伝えられる。3本のファイバ全ては、光をGRINレンズ20の中に(すなわち、GPF12のコアの中に)結合するために使用される、縮小され、密に詰められ、融着した交差部に向けて領域32で先細りである。しかし、本実施形態では、エクスパンダ20は、シングル・モード(例えば、基本モード)信号光だけのMFAを増大させる。様々な角度でGPF12のコアの中に結合されるポンプ光は、高次モードを励起し、それにより効果的にコアを満たす。したがって、エクスパンダ20は、そのような高次モードのサイズを増大させるように設計される必要はない。
【0031】
ファイバ26.1、26.2および24の外径、および場合によってコアは、先細りである。先細りにすることは、加熱された束を物理的に引伸ばすことによって、または引伸ばさずに束の中に融合する前にファイバをエッチングすることによってなされることができる。
【0032】
単に簡略化のために2つのポンプ光源の使用を選んで例示する。当業者には、3つ以上のポンプ光源を用いることが容易にでき、その実際の個数は、ポンプ光および信号光がGRINレンズ20の中に効率的に結合されることを可能にするように、交差部に向かういっそう多くのファイバを十分に小さく先細りにすることの実際的な制約にだけ依存することを理解されよう。
【0033】
束30は、1999年1月26日に発行された米国特許第5864644号(これは参照により本明細書に組み込まれる)においてD.J.DiGiovanniらによって説明されるものに類似している。しかし、本発明のファイバ束30は、ポンプ光が、ダブル・クラッドGPFのクラッドの中にではなくシングル・クラッドGPF12のコアの中に結合されるという点で主に異なる。
【0034】
GPF12のコア面は比較的に大きいので、GPF12は多くの横モードを支持でき、GPF12は高輝度ポンプ光を誘導できる。したがって、ポンプ光は、高次横モード42のコアによって捕らえられることができ(図4)、一方で、信号は典型的には、別のモード(例えば、ガウス分布40によって表される基本モード)で伝播する。ポンプ光は、GPF12の中で高次モードを励起するので、ポンプ・ファイバ26.1および26.2は、マルチモードであってもよく、上述のようにマルチモード・ポンプ光を送ってもよい。しかし、ポンプ光の輝度は、GPF12のコアによって効率的に捕らえられる(すなわち、高輝度ポンプ光源では、光線は、ファイバ軸に対して比較的に浅い角度をなし、したがってより容易に捕らえられる)ために、いっそう適当に高くすべきである。重要なことだが、複数のポンプの使用は、GPF12のコアの中で結合されるポンプ光の量を増大させ、したがって信号光に対する可能な利得を増大させる。しかし、GPF12の大きなコアがポンプ光で満たされた後は、信号光の横方向(径方向)分布とポンプ光の横方向(径方向)分布の間の重なりは、典型的には信号モードがLMAコアの一部だけを満たすのでそれほど完全ではない。この構成では、複数のポンプ光源の使用によりわずかに悪化したポンプ信号の重なりを犠牲にして利得を生成する。しかし、この悪化は、信号モードが存在するところのコア領域への利得ドーパント(gain dopant)を制限することによって部分的に修復できる。そのような設計では、ポンプ光は、かなりの信号が存在する領域の中だけで吸収される。
【0035】
異なるポンプ波長および信号波長の条件により図4のモード・エクスパンダ20の後に複数のポンプ・モードが励起することに留意されたい。
【0036】
上述の構成は、本発明の原理の応用を表すために案出され得る、多数の可能性のある具体的な実施形態の単なる例示であることが理解されたい。非常に多くの種々の他の構成が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によりこれらの原理によって案出可能である。
【0037】
具体的には、前方伝播ポンプを利用するような図1〜図5のポンプ構成を説明したが、後方伝播ポンプ構成も、好ましくはないが利用可能であり、当業者によく知られている。
【0038】
さらに、複数のOA段は、互いに前後に並んで配置されてよい。増幅効率を高めるために、各段は、始め(すなわち、信号源の最も近く)は段が最小のコア面積のGPFであり、および最後(すなわち、信号源から最も遠く)は段が最大のコア面積のGPFである、次第に大きくなるコア面積のGPFを含んでよい。
【0039】
加えて、光共振器の中にGPF12を配置することによって、例えば、GPF12の入力端および出力端で標準のファイバの中に適当なファイバ格子または他の反射体(図示せず)を形成することによって、上述したOAを利用してレーザに対して必要な利得を与えることができる。もちろんレーザの場合は、別個の信号源14は、利用される必要はなく、すなわち、信号は、GPF12によって内部に発生されることになり、それによりレーザの能動媒質として働く。
【0040】
この議論全体にわたって波長になされる言及は、特定の発光の中心波長を意味するように意図されており、そのような発光全部は、中心波長の上下のよく知られている波長の範囲を含む特有の線幅を有すると理解されている。加えて、シングル横モードの光伝播になされる言及は、実質的にシングル・モードの伝播を含むように意図されており、すなわち実質的な意味では、他のモードの完全な抑制は、必ずしも可能であるとは限らない可能性がある。しかし、シングル・モードは、そのような他のモードの強度が小さいまたは取るに足りないことを示唆するものである。
【0041】
いくつかの実施形態において、発明者は、シングル・クラッドであるGPF12に言及した。例示において説明したこれらのシングル・クラッドのファイバは、実際にはシングル光クラッド(例えば、シングル・シリカ・クラッド)によって囲まれるコアを備えていた。しかし、発明者は概して、複数の特徴(例えば、インデックス・リング、溝またはエア・ホール)を有するクラッドなどのより複雑なクラッドを除外するようにシングル・クラッドという句を意図していない。さらに、本明細書で使用されるシングル・クラッドのGPFの重要な態様は、ポンプ光がクラッドではなくコアの中に誘導されるということである。
【0042】
最後に、目に安全な信号波長の高パワー応用については、図5に示されるタイプのOA10’’が好ましい。ここで、GPF12は、比較的に大きいコア面積(例えば、>800μm)を有するEr添加ファイバである。信号源14は、短い(例えば、ナノ秒)期間に1500nmを上回る波長で(例えば、1545nmで)光パルスを発生させる。一方、ポンプ光源16は、約900〜1000nm(例えば、915nm)のポンプ光を発生させる半導体レーザ・ダイオード(LD)のアレイ16.3として例示的に表される低輝度の第1の光源を備える。このアレイの輝度は、第2の光源、Yb添加クラッド・ポンプ式ファイバ・レーザ16.4をポンプするためにそのLDを用いることによって(例えば200倍に)増大される。(例えば、1100〜1200nmの)レーザ16.4の出力は、カスケード式ラマン共振器レーザ16.5によって1480〜1490nmへシフトされる。ラマン・レーザは、C.Headleyによる「Raman Amplification in Fiber Optical Communication Systems」、Elsevier Academic Press、Ch.7 Cascaded Raman Resonators、303〜374頁(2006)の中で説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。ラマン・レーザ16.5の1480〜1490nmの出力により、上述のやり方で、高輝度ポンプ光をWDM18およびモード・エクスパンダ20介してGPF12へ供給する。
【0043】
もちろん、他の希土類元素(例えば、Nd、Tm、Hoなど)またはクロム(Cr)などの他の利得生成の化学種を使用して光増幅スキームを実行してよい。例えば、800nmのLDを使用してNd添加ファイバ・レーザをポンプして1060nmの高輝度出力を生成することができ、1060nmの高輝度出力はYb添加ファイバ増幅器をポンプして1080nmの信号に利得を与える。
【実施例】
【0044】
本実施例により、シングル・クラッドでマルチモードのLMA Er添加ファイバにおけるナノ秒パルスの増幅を説明する。様々な物質、寸法および動作条件は、例示だけによって与えられるが、別段の明示的定めがない限り、それらの様々な物質、寸法および動作条件は、本発明の範囲を限定するように意図されるものではない。Er添加コアの面積は、記録が875μmだった。このコアは、ラマン・ファイバ・レーザを用いて1480nmでポンプされた。Er添加ファイバの大きなエネルギー蓄積能力および低い非線形性は、ファイバ系全体が、M<1.1のシングル横モードのパルス当りの記録的なエネルギーおよび記録的なピーク・パワーを発生させることを可能にした。
【0045】
Er添加LMAファイバは、マルチモード・ファイバだったが、信号光およびポンプ光は、シングル(基本)モードでこのファイバの中を伝播した。
【0046】
全てのファイバ手段の部品は、自由空間がファイバの中に結合することなく、共に融着する。レーザ・ダイオードおよびファイバのピグテイルを有する他の部品は、自由空間の結合を使用してよく、ただしよく管理されたパッケージの内側で使用してよい。
【0047】
図6は、本発明の増幅器チェーンの概略である。信号源14は、(中心波長はλ=1545nmに設定した)波長調節可能な外部空洞cwレーザ14.1(ECL:external cavity cw laser)と、そのレーザを変調する(Photline Technologies(ニュージャージ州、Pittstown)から市販の)高消光電気光学変調器14.2(EOM:electro−optic modulator)と、その後に続くいくつかの前置増幅器段およびフィルタリング段とを備えた。パルスの期間および波長は、正確に制御された。500kHzのパルス列は、標準のシングル・モードのEr添加ファイバの前置増幅器14.3(EDFA:Er−doped fiber preamplifier)で増幅された。パルス列は、(大部分のASEを除去するために)フィルタ14.4によって分光的にフィルタされ、Er−Ybファイバ前置増幅器14.5(ダブル・クラッド5/130μmのコア/クラッド直径)で増幅された。次いでパルス列は、(立ち上がり時間100nsの)音響光学変調器14.6(AOM:acousto−optic modulator)を通って送信されて最終出力用の所望の値へとパルス繰返し率を減少させた。
【0048】
初期の高い繰返し率により、(自然とは対照的な)誘導放出によって反転分布の大部分が使い果たされることになり、その結果、低いパルス間ASEとなった。AOMを用いて繰返し率を減少させることにより累積したパルス間ASEをさらに除去した。次いでパルスは、シングル・モードのダブル・クラッドEr−Ybファイバ前置増幅器14.7(12/125μmのコア/クラッド直径)の中で増幅された。出力は、幅1nmの帯域フィルタ14.8を用いて分光的にフィルタされた。スペクトル信号対バックグラウンド比は、>45dBだった。次いでこの出力は、WDM18として働く1480/1550nm融着ファイバ結合器を介して最終パワー増幅器段に中に結合された。この箇所でのパルスのピーク・パワーは、利得ファイバに続く小面積の標準のシングル・モード・ファイバからなる部品で引き起こされた非線形性によって、〜300Wに制限された。
【0049】
各アイソレータ14.9は、フィルタ14.4と増幅器14.5の間、増幅器14.5とAOM14.6の間、およびフィルタ14.8とWDM18の間で配設された。
【0050】
本発明のパワー増幅器段は、45/125μmのコア/クラッド直径を有する長さ3mのシングル・クラッドの大モード面積のEr添加マルチモード・シリカ・ファイバ12を備えていた。このファイバ12は、面積〜875μmと共にステップ・インデックス分布を有した。単位長さ当りのポンプ吸収は、信号波長1535nmで20dB/mだった。シリカ・ファイバ・ベースのGRINレンズのモード・エクスパンダ20は、1480/1550nm結合器(WDM)モードをEr添加ファイバ12の基本モードに整合させた。マルチパス干渉のスペクトル測定は、光エネルギーの〜1%だけが高次モードの中に結合されることを示した。Er添加ファイバのコイル径は、ベンドが引き起こしたモード混合および面積の減少という有害な影響[J.M.Fini、「Bend−Resistant Design of Conventional and Microstructure Fibers with Very Large Mode Area」、Optics Express、Vol.14、No.1、69〜81頁(2006)を参照。これは、参照により本明細書に組み込まれる。]を最小化するために30cmを超えた。M<1.1は、高い繰返し率および低い増幅レベルで測定されたものであり、それにより増幅器のクリーンな信号モードの励起を確かにした(図7)。ファイバの取扱いは、何ら深刻な問題を生じず、乱されていないファイバの出力ビーム分布は、全てのパワーレベルにおいて一様および定常であり続けた。
【0051】
パワー増幅器段用ポンプは、図5のポンプ光源16として示されるタイプの構成を備えたものであり、すなわち、ポンプ光源16は、カスケード式ラマン共振器(CRR;cascaded Raman resonator)レーザ16.5によって〜1100nmから1480nmまでシフトされた波長を有する、(低輝度915nmダイオードのアレイ16.3によってポンプされる)クラッド・ポンプYb添加ファイバ・レーザ16.4(CPFL:Cladding Pumped,Yb−doped Fiber Laser)を備えた。28Wの915nmポンプ・パワーを用いて、1480nmのシングル・モード・ファイバの〜9Wの高輝度の光を発生させることができた。CRRの出力部で傾斜した格子(図示せず)を使用して、〜1585nmに中心がある次のストークス・オーダ(Stokes order)をフィルタした。
【0052】
Er増幅器の性能は、1nsおよび5nsの入力パルス期間τにおけるパルス繰返し周波数Fの関数として特徴付けられた。入力パルス・ピーク・パワーは、全ての繰返し率において250W〜300Wで維持された。
【0053】
増幅器出力パルス・エネルギーは、20GHzサンプリング・オシロスコープを用いて記録されたパルス幅から計算された。追跡面積とパルス・エネルギーの間の相関関係は、高い繰返し率で確立されていた。発明者は、パルス・エネルギーが、様々な繰返し率でファイバによって吸収されるポンプ・パワーの関数として直線的に増大することを観測し、それにより最大パルス・エネルギーにおいて増幅器が不飽和である続けることを実証した。発明者は、繰返し率の関数としてパルス・エネルギー、平均パワー、パルス・ピーク・パワー、および効率の測定も行った。これらの測定は、目に安全な波長1545nmでのナノ秒パルスの増幅について記録的なモード面積のEr添加ファイバを用いて発明者が本発明のコア・ポンプのスキーム有効性を実証することを可能にした。記録的なパルス・エネルギー(数100μJ)、ピーク・パワー(数100kW)、および平均パワー(数100mW)が、ファイバ・スキーム全てにおいてM<1.1のシングル・モード動作の下で達成された。しかし、発明者は、図3〜図4の複数のポンプ光源の設計を用いていっそうより良い結果を予想する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態による光増幅器の概略構成図である。
【図2】本発明の様々な実施形態で使用するためのモード・エクスパンダの概略図である。
【図3】本発明の別な実施形態による複数のポンプ光源を含む光増幅器の概略構成図である。
【図4】例えば、図3の実施形態で使用するためのポンプ結合の構成およびモード・エクスパンダの概略図である。
【図5】高輝度の1480nmのポンプ光源によってポンプされるEr添加ファイバを用いる光増幅器の概略構成図である。
【図6】より詳細に信号源を示す、図5の光増幅器の概略構成図である。
【図7】低パワーおよび高いパルス繰返し率で測定されたM<1.1を示すグラフである。利得生成ファイバを励起する光は、レンズによって光検出器の上へ合焦された。レンズから検出器までの距離が増大され、光ビームの幅が測定された。完全なガウス・ビームの挙動は知られているので、ビームに沿った軸方向距離(走査距離)と共に最小のビーム幅およびビームの変動幅を使用してビームのMを計算した。ビームは典型的には、わずかに非線形だったので、測定は、xおよびyで示される2つの直交方向で行われた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングル横モードの信号光および少なくとも同じシングル横モードのポンプ光を伝播するように構成される第1のコア領域を有する入力ファイバと、
前記ポンプ光の高輝度光源と、
第2のコア領域および前記第2のコア領域を囲むクラッド領域を有するマルチモードの利得生成光ファイバとを含み、前記第2のコア領域の断面積が約350μmを超えると共に前記第1のコア領域の前記断面積を超え、前記第2のコア領域は、その中で前記ポンプ光が吸収されるときにその中で伝播する前記信号光に利得を与えるように構成されており、さらに、
前記信号光および前記ポンプ光を前記第1のコア領域から前記第2のコア領域の中に結合すると共に、前記入力ファイバ中の前記信号光および前記ポンプ光のモードフィールド面積を変えて前記第2のコア領域中の対応するモードフィールド面積を整合するモードエクスパンダとを含むことを特徴とする高パワー光ファイバ装置。
【請求項2】
前記モードエクスパンダがファイバベースのGRINレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記信号光が約1500〜1600nmの範囲の波長を有し、前記ポンプ光が約1480〜1490nmの波長を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記利得生成ファイバがErで添加されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ポンプ光源が、
低輝度の第1のポンプ光を発生させるLDのアレイと、
前記第1のポンプ光によってポンプされるファイバレーザとを含み、前記ファイバレーザの出力が前記利得生成ファイバをポンプするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ファイバレーザが、
前記低輝度ポンプ光に応答してより高輝度の第2のポンプ光を発生させる第1のファイバレーザと、
前記より高輝度の第2のポンプ光に応答して前記より高輝度のポンプ光の波長をシフトアップするラマンファイバレーザとを含み、前記シフトアップされたポンプ光が前記利得生成ファイバに供給されて前記信号光を増幅することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記LDのアレイが、前記低輝度の第1のポンプ光を約900〜1000nmの波長で発生させるように構成され、前記第1のファイバレーザが前記より高輝度の第2のポンプ光を発生させるように構成されるYb添加ファイバレーザを含み、前記ラマンレーザが、前記第2のポンプ光に応答して前記波長をシフトして前記信号光を増幅することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記Yb添加レーザがクラッドポンプ式ファイバレーザを含み、前記ラマンレーザがカスケード式ラマン共振器レーザを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のコア領域の面積が約800μmを超えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ポンプ光の前記高輝度光源が、異なる波長をそれぞれ有する複数のポンプ光光源を含み、前記ポンプ光および前記信号光が前記入力ファイバの上へ多重化されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が光増幅器を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置がレーザを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記利得生成ファイバがシングルクラッドファイバを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記入力ファイバが、前記ポンプ光がその中で前記信号光と同じシングル横モードだけで伝播するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記モードエクスパンダがファイバセグメントを備え、ファイバセグメントのコア領域の断面積が前記セグメントの縦軸に沿って先細りであり、前記セグメントが、前記第2のコア領域に隣接する比較的により大きい面積と前記第1のコア領域に隣接する比較的により小さい面積とを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
基本横モードの信号光およびポンプ光を伝播するように構成される、第1のコア領域を有する入力ファイバと、
低輝度の第1のポンプ光を発生させるLDのアレイと、前記低輝度ポンプ光に応答してより高輝度の第2のポンプ光を発生させる第1のファイバレーザと、前記より高輝度の第2のポンプ光に応答して前記より高輝度のポンプ光の波長をシフトアップするラマンファイバレーザとを含む前記ポンプ光の高輝度光源とを含み、前記シフトアップされたポンプ光が前記信号光を増幅するように前記利得生成ファイバに供給され、さらに、
第2のコア領域と前記コア領域を囲むクラッド領域とを有するマルチモードの利得生成Er添加シングルクラッド光ファイバを含み、前記第2のコア領域の断面積が、約800μmを超えると共に前記第1のコア領域の断面積を超え、前記第2のコア領域はその中で前記ポンプ光が吸収されるときにその中で伝播する前記信号光に利得を与えるように構成され、さらに、
前記信号光および前記ポンプ光を前記第1のコア領域から前記第2のコア領域の中に結合すると共に、前記入力ファイバ中の前記信号光および前記ポンプ光のモードフィールド面積を変えて前記第2のコア領域中の対応するモードフィールド面積を整合する、ファイバベースのGRINレンズ モードエクスパンダを含み、
前記信号光が約1500〜1600nmの範囲の波長を有し、前記ポンプ光が約1480〜1490nmの波長を有することを特徴とする高パワー光ファイバ増幅器。
【請求項17】
シングル横モードの信号光を伝播するように構成される第1のコア領域を含む入力ファイバと、
第2のコア領域および前記コア領域を囲むクラッド領域を有するマルチモード利得生成光ファイバを含み、前記コア領域の断面積が約350μmを超えると共に前記第1のコア領域の断面積を超え、前記第2のコア領域はその中でポンプ光が吸収されるときにその中で伝播する前記信号光に利得を与えるように構成され、さらに、
前記第2のコア領域の中にだけ結合される前記ポンプ光の複数の高輝度光源と、
前記第2のコア領域内で、シングル横モードの前記信号光および様々な横モードの前記ポンプ光を伝播するように構成される前記利得生成ファイバとを含むことを特徴とする高パワー光ファイバ装置。
【請求項18】
複数の前記ポンプ光源が実質的に同じ波長でポンプ光を発生させることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
複数の前記ポンプ光源が異なる波長でポンプ光を発生させることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記信号光が約1500〜1600nmの範囲の波長を有し、前記ポンプ光が約1480〜1490nmの波長を有することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記コア領域内で前記信号光が基本横モードで伝播し、前記ポンプ光が複数の高次モードで伝播することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記信号光を前記第2のコア領域の中に直接結合するモードエクスパンダをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記信号およびポンプ光を前記モードエクスパンダの中に光学的に結合する結合器をさらに含み、前記結合器が、前記信号光を運ぶ中心ファイバセグメントと前記ポンプ光を運ぶ複数の周辺ファイバセグメントとを含み、各前記セグメントが、前記モードエクスパンダに結合される領域の断面積を減少させるように先細りであることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記第2のコア面積が約800μmを超えることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項25】
前記利得生成ファイバがシングルクラッドファイバを備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項26】
前記装置が光増幅器を備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項27】
前記装置がレーザを備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−187176(P2008−187176A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−14379(P2008−14379)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(302003314)フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】