説明

太陽光発電装置の製造方法、エッチング方法、およびエッチング装置

【課題】テクスチャの密度や大きさを制御してより光反射率の低い半導体ウェハや半導体薄膜を得ることができる太陽光発電装置の製造方法を得ること。
【解決手段】有機物とハロゲン酸塩とを含むエッチング液を用いて、第1導電型の半導体ウェハの第1の主面をエッチングしてテクスチャを形成する工程と、テクスチャを形成した半導体ウェハの表面に第2導電型の拡散層を形成する工程と、半導体ウェハの端面に形成された拡散層を除去する工程と、半導体ウェハの第1の主面上に反射防止膜を形成する工程と、半導体ウェハの第1の主面および第1の主面に対向する第2の主面上に、所定の形状の電極を印刷し、焼成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電装置の製造方法に関する。また、太陽光発電装置に用いられるシリコンや薄膜の表面にテクスチャを形成するエッチング方法およびエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置において太陽光を効率よく吸収するためには、該装置を構成するシリコンウェハや薄膜に照射される光をできるだけ吸収する、すなわち光の反射率をできるだけ小さくすることが望ましい。そのため、シリコンウェハや薄膜を高温のアルカリ溶液でウェットエッチングすることによって、シリコンウェハやシリコン薄膜の表面にテクスチャを形成している。このとき、より反射率を低減するために、高温のアルカリ溶液に脂肪族ポリアルコールを添加剤として添加して、シリコン基板をウェットエッチングする方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。これによって、波長800nm付近で14.4%の反射率が得られている。なお、テクスチャとは、シリコンウェハや薄膜の表面に形成する微小凹凸の総称である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−123811公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、上記のエッチングによって、シリコン基板の表面に微細なピラミッド状のテクスチャを形成しているが、その走査型電子顕微鏡の写真を見る限りにおいては、テクスチャは均一とはいい難い。つまり、個々のテクスチャのサイズが均一ではない。そのため、個々のテクスチャのサイズを均一にすることで、さらに反射率を下げることが可能である。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、テクスチャの密度や大きさを制御してより光反射率の低い太陽発電装置用のウェハや薄膜を得ることができる太陽光発電装置の製造方法、エッチング方法およびエッチング装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明にかかる太陽光発電装置の製造方法は、有機物とハロゲン酸塩とを含むエッチング液を用いて、第1導電型の半導体ウェハの第1の主面をエッチングしてテクスチャを形成するテクスチャ形成工程と、前記テクスチャを形成した半導体ウェハの表面に第2導電型の拡散層を形成する拡散層形成工程と、前記半導体ウェハの端面に形成された前記拡散層を除去する拡散層除去工程と、前記半導体ウェハの前記第1の主面上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程と、前記半導体ウェハの第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面上に、所定の形状の電極を印刷し、焼成する電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、エッチング液に有機物だけでなくハロゲン酸塩も添加したので、最初に形成されたテクスチャ構造がそのままサイズを大きくして成長していくことを抑制し、所望の大きさと密度のテクスチャを形成することができ、従来に比してより光反射率の低いウェハや薄膜を得ることができる。その結果、これらのウェハや薄膜を用いて変換効率の高い太陽光発電装置を製作することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、従来のエッチング方法を用いた場合のテクスチャの形成の様子を模式的に示す図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態1のエッチング方法を用いた場合のテクスチャの形成の様子を模式的に示す図である。
【図3−1】図3−1は、シリコンウェハの(100)面をエッチングした場合の光学顕微鏡写真である。
【図3−2】図3−2は、シリコンウェハの(311)面をエッチングした場合の光学顕微鏡写真である。
【図4】図4は、異なるエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。
【図5】図5は、ハロゲン酸塩の量を一定とし、有機物の量を変化させたエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。
【図6】図6は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。
【図7】図7は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした場合の片面エッチング量を示す図である。
【図8】図8は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした場合の片面エッチング速度を示す図である。
【図9】図9は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング時間とシリコンウェハの反射率との関係を示す図である。
【図10】図10は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング温度とシリコンウェハの反射率との関係を示す図である。
【図11】図11は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング液のアルカリ濃度と片面エッチング速度との関係を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態2によるエッチング装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【図13】図13は、実施の形態3によるエッチング装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【図14】図14は、シリコンウェハの反射率の測定結果を示す図である。
【図15】図15は、シリコンウェハの波長700nmにおける反射率の測定結果を示す図である。
【図16】図16は、エッチングしたシリコンウェハから作製した太陽光発電装置の特性の測定結果を示す図である。
【図17】図17は、シリコンウェハの反射率の測定結果を示す図である。
【図18】図18は、シリコンウェハの波長700nmにおける反射率の測定結果を示す図である。
【図19】図19は、エッチングしたシリコンウェハから作製した太陽光発電装置の特性の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかるエッチング方法、エッチング液およびエッチング装置を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
本発明者らは、添加剤によるアルカリ条件下でのウェットエッチングの抑制および促進効果について検討した。その結果、有機物を添加することによってウェットエッチングが抑制され、臭素酸などのハロゲン酸塩を添加することによってウェットエッチングが促進されることを見出した。より具体的には、臭素酸などのハロゲン酸塩を添加することによって、エッチング量(エッチング反応前後のシリコンウェハの重量差)が増大することを見出した。また、有機物とハロゲン酸塩の両方を添加し、ハロゲン酸塩の添加量を制御することによって、テクスチャサイズと密度を制御できることを見出した。
【0011】
つぎに、上記見出した事実から、この実施の形態1によるエッチング方法を用いた半導体基板や半導体薄膜へのテクスチャ形成の仕組みについて、従来のエッチング方法を用いた場合と比較しながら説明する。
【0012】
一般的に、エッチング液中でシリコンウェハのケイ素(Si)は水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリと反応してエッチング液中に溶出し、シリコンウェハにテクスチャが形成される。その反応は次式(1)に示される通りであり、その際水素ガスが発生する。この反応を促進するため、ウェットエッチングは高温、高アルカリの条件下で実施される。
Si+2OH-+4H2O→Si(OH)62-+2H2↑ ・・・(1)
【0013】
エッチング液に有機物が存在すると、シリコンウェハ表面でのこの反応が抑制される。より具体的には、シリコンウェハは疎水性であるため、疎水性である有機物の炭素鎖部分がシリコンウェハ表面に吸着し、上記エッチング反応を阻害する。なお、シリコンウェハだけでなく、薄膜においてもテクスチャが同様に形成される。
【0014】
図1は、従来のエッチング方法を用いた場合のテクスチャの形成の様子を模式的に示す図である。この図1において、(a)はエッチング処理の初期段階におけるシリコンウェハの一部上面図であり、(b)はエッチング処理が進行した段階におけるシリコンウェハの一部上面図であり、(c)は(a)の側面図であり、(d)は(b)の側面図である。この図1には、(100)面が露出したシリコンウェハの表面に、有機物のみを含むアルカリ溶液でテクスチャを形成する場合を模式的に示している。
【0015】
エッチングの初期の段階では、図1(a)、(c)に示されるように、テクスチャはほぼ四角錐の形をしている。有機物はテクスチャ表面に吸着してエッチング反応を抑制し、その結果小さなテクスチャが形成される。このような有機物のエッチング反応抑制によって、シリコンウェハ表面(100面)のエッチング反応が進むと、図1(a)、(c)に示されるテクスチャのサイズは次第に大きくなる。つまり、エッチング反応が抑制されることで、図1(a)、(c)に示される構造が維持された状態で、テクスチャの底に対応するウェハの表面が徐々に後退していくことによって、テクスチャのサイズは大きくなっていく。この状態が、図1(b)、(d)に示されている。
【0016】
しかし、エッチング液の流動状態は局所的に見れば一様ではないため、有機物のエッチング液内分布も一様ではない。したがって、有機物によるエッチング反応抑制もシリコンウェハ表面で一様ではない。その結果、テクスチャサイズやテクスチャ密度に、シリコンウェハの面内においてばらつきが生じることとなる。すなわち、大小様々な大きさのテクスチャが形成され、またその密度に関しても、高いところや低いところが生じてしまう。このような現象が、上記した特許文献1によるエッチング処理で生じているものと考えられる。
【0017】
図2は、この発明の実施の形態1のエッチング方法を用いた場合のテクスチャの形成の様子を模式的に示す図である。この図2において、(a)はエッチング処理の初期段階におけるシリコンウェハの一部上面図であり、(b)はエッチング処理が進行した段階におけるシリコンウェハの一部上面図であり、(c)は(a)の側面図であり、(d)は(b)の側面図である。この図2には、(100)面が露出したシリコンウェハの表面に、有機物と臭素酸塩とを含むアルカリ溶液でテクスチャを形成する場合を模式的に示している。
【0018】
エッチングの初期の段階では、図2(a)、(c)に示されるように、テクスチャはほぼ四角錐の形をしている。また、図1の場合と同様に、有機物はテクスチャ表面に吸着する。さらに、臭素酸は有機物と比較して分子量が小さいため、有機物と有機物の間に入り込み、有機物によるエッチング反応の抑制を緩和する。臭素酸がシリコンウェハ表面に吸着することによってエッチング反応が促進されるため、テクスチャサイズは図1に示したように大きくならず、小さいテクスチャが高密度に生成される。この様子が図2(b)、(d)に示されている。ここで、臭素酸の添加量を調整することによって、上記エッチング反応の促進の程度が異なる。すなわち、臭素酸の添加量が多いほど有機物と有機物の隙間に入り込む臭素酸の数が増え、その結果、高密度のテクスチャが形成される。このように、有機物と臭素酸を添加することによって、テクスチャのサイズと密度を制御することができる。なお、ここでは、シリコンウェハについて説明したが、シリコンウェハだけでなく、シリコン薄膜においても同様の効果が確認される。
【0019】
このように、シリコンウェハやシリコン薄膜に均一なテクスチャを形成するためには、有機物とハロゲン酸塩を含むアルカリ溶液をエッチング液として用いることが望ましい。
【0020】
ここで、有機物としては、アルコール類、有機酸類、ケトン類などを例示することができる。アルコール類として、具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル2−プロパノール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(sec−アミルアルコール)、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール)、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−ヘプタノール、6−ヘプタノール、7−ヘプタノール、8−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,3−ヘプタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,5−ヘプタンジオール、2,6−ヘプタンジオール、2,7−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、3,6−ヘプタンジオール、3,7−ヘプタンジオールなどおよびこれらに挙げた物質以外の異性体(同一炭素数で直鎖または側鎖のあるものおよび/またはOH基の位置が異なるもの)が挙げられる。また、カテコールのようなベンゼン環がついたものも挙げられ、さらにウルシオール、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)、カテキンなどのポリフェノール類、ヒドロキノン、レゾルシノールが挙げられる。
【0021】
なお、アルコール類の炭素数Cnは3以上7以下の添加剤を使用することが望ましい。アルコール類の炭素数Cnが7よりも大きくなると、エッチング反応の阻害効果が非常に大きくなり、逆にエッチング反応が進まなくなるため、添加剤の炭素数Cnは7以下であることが好ましい。一方、炭素数Cnが3よりも小さくなると(すなわち2以下になると)、エッチング反応の阻害効果が不十分となり、効果的にテクスチャを形成することができない。そのため、添加剤の炭素数Cnは3以上であることが好ましい。
【0022】
また、OH基の数nと炭素数Cnとの比(Cn/n)について、1≦Cn/n≦4となる添加剤を使用するのが好ましく、さらに、1≦Cn/n≦3となる添加剤を使用するのがより好ましく、さらにまた、添加剤のエッチング液への溶解性やシリコンウェハやシリコン薄膜の表面への吸着力も考慮すると、2≦Cn/n≦3となる添加剤を使用するのが特に好ましい。このようなCn/n比のアルコール類を使用することによって、エッチング液への溶解性および均一なテクスチャの形成効果の両方を維持することができる。特に、2≦Cn/n≦3の場合に得られる効果が最も大きくなる。
【0023】
さらに、直鎖の炭素で構成される添加剤のうち、直鎖の両端にOH基が付いた添加剤を使用することが好ましい。添加剤の炭素原子で構成される直鎖の両端にOH基が存在することによって、親水基であるOH基が疎水性であるシリコンと反発してシリコンウェハやシリコン薄膜の表面から離れる一方、疎水基である直鎖部分の炭素原子がシリコンウェハやシリコン薄膜の表面に対して寝そべるような分子構造で吸着することによって、適度な吸着力を有するとともに、シリコンウェハやシリコン薄膜の表面のエッチング反応を最も効果的に阻害できる添加剤となる。
【0024】
なお、ここでは、アルコール類について例を挙げたが、親水基を持つ添加剤であればこれに限られる必要はない。たとえば、エーテル基を持つ物質でもアルコール誘導体を添加剤として使用した場合に同様の効果が得られるので、エーテルを添加剤として使用することもできる。このようなエーテルとしては、たとえば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどが挙げられる。
【0025】
これらの条件に当てはまるアルコール類を添加剤として使用することによって、シリコンウェハやシリコン薄膜の表面のエッチング反応を適度に抑制して、より効果的にシリコンウェハやシリコン薄膜の表面にテクスチャを形成することができる。なお、十分な上記吸着力を維持できれば直鎖に側鎖の炭素が存在してもよく、さらにはこの炭素にOH基が付いていてもよい。ここで炭素の鎖の数が多い方を直鎖とする。
【0026】
また、有機酸類としてはカルボン酸類またはその塩であり、具体的には、蟻酸、酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、蓚酸、クエン酸およびそれらの塩が挙げられる。
【0027】
さらに、ケトン類として、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールおよびそれらの塩が挙げられる。
【0028】
なお、添加剤としての有機物は、上述した物質に限られず、たとえばCとCの結合として単結合に加えて二重結合や三重結合が存在する有機物でもよいし、炭素Cとケイ素Siが結合した有機ケイ素化合物でもよい。
【0029】
また、ハロゲン酸塩としては、均一なテクスチャ構造の形成に最も効果のある臭素酸ナトリウムや臭素酸カリウムの他に、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウムなどを用いることができる。また、これらのハロゲン酸塩に、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩を加えてもよい。硝酸塩を加えることによって、ハロゲン酸塩を添加することによる効果を持続させることが可能となる。
【0030】
さらに、エッチング液に添加するアルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムなどのうちの少なくとも1つを用いることができる。また、このエッチング液は、上記溶質が0.1wt%以上、10wt%以下の割合で含まれていることが望ましい。さらに、エッチング液は、pH12以上であることが望ましい。
【0031】
エッチング方法としては、シリコンウェハやシリコン薄膜を、このようなエッチング液に浸漬して行うが、エッチング時には空気、酸素、窒素、オゾン、水素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、メタン、プロパンのうち少なくとも1つを含む気体をエッチング液中に供給することが好ましい。これは、気体を供給することによってエッチング液の拡散が促進され、シリコンウェハ表面でのエッチング反応が効率的に進行するためである。また、エッチング液に上記添加剤が添加されると、径の小さい気泡が生成し、エッチング液の循環をより促進するとともに、エッチング反応を促進することができる。さらに、(1)式に示されるように、エッチング時には水素ガスが発生するが、この発生した水素ガスの気泡径も小さくなり、エッチング液の循環をより促進するとともに、エッチング反応を促進することができる。
【0032】
エッチング時における気体の1分間あたりの供給量は、エッチング液量に対して体積比で0.01〜10倍とするのが好ましい。体積比が0.01倍より小さい場合には、気体の供給量が不十分でエッチング液の拡散が不十分となる。一方、体積比が10倍より大きいと、エッチング液に添加剤が存在していても気泡径が大きくなってしまい、エッチング反応を促進することができない。さらにシリコンウェハに対する気泡の衝撃も大きくなり、シリコンウェハの振動が大きくなって隣接するシリコンウェハと接触したり、割れたりするという問題がある。
【0033】
図3−1は、シリコンウェハの(100)面をエッチングした場合の光学顕微鏡写真であり、図3−2は、シリコンウェハの(311)面をエッチングした場合の光学顕微鏡写真である。これらの図において、(a)は、添加剤として有機物のみを添加したエッチング液を用いてエッチング処理を行った後のシリコンウェハの表面の状態を示しており、(b)は、実施の形態1による添加剤として有機物と臭素酸ナトリウムを添加したエッチング液を用いてエッチング処理を行った後のシリコンウェハの表面の状態を示している。なお、光学顕微鏡写真の倍率は、2,000倍である。
【0034】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、(a)の場合では、有機物として3−メチル−1,5−ペンタンジオールのみを50mmol/L添加し、(b)の場合では、有機物として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを50mmol/Lと臭素酸ナトリウムを50mmol/Lを添加して、エッチング液を調製する。そして、このエッチング液の温度を90℃に維持して、(a)の場合には(100)面でカットされたシリコンウェハを、(b)の場合には(311)面でカットされたシリコンウェハを、10分間浸漬し、エッチングを行う。
【0035】
有機物のみを含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングすると、(100)面のシリコンウェハの場合には、図3−1(a)に示されるように、一辺の長さが10μm程度のテクスチャとそれよりもサイズの小さなテクスチャが混在して形成されている。また、テクスチャが形成されている場所もまばらであり、テクスチャが形成されていない領域が多くなっている。また、(311)面のシリコンウェハの場合には、図3−2(a)に示されるように、サイズの不均一なテクスチャがシリコンウェハの全面を覆うような形で形成されている。これらの写真に示されるように、有機物のみを含むエッチング液では、均一なテクスチャを形成することはできない。
【0036】
これに対して、有機物と臭素酸とを含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングすると、(100)面のシリコンウェハの場合には、図3−1(b)に示されるように、一辺の長さが数μm程度のテクスチャが、シリコンウェハの全面に略均一に形成されるようになる。また、図3−1(a)の場合にはテクスチャが形成されていない領域が多くなっていたが、図3−1(b)では、テクスチャが形成されていない領域は大幅に減少している。また、(311)面のシリコンウェハの場合には、図3−2(b)に示されるように、図3−2(a)の場合に比してサイズの小さなテクスチャが、シリコンウェハの全面に略均一に形成されている。これらの写真から、臭素酸ナトリウムを添加することによって、テクスチャのサイズを小さく、かつ高密度に制御できることがわかる。なお、シリコンウェハだけでなく、シリコンの薄膜においても同様の効果が確認される。
【0037】
図4は、異なるエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。この図において、縦軸は、波長700nmの光におけるエッチング処理後のシリコンウェハの反射率(%)を示している。
【0038】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、(a)の場合では、添加剤として有機物の3−メチル−1,5−ペンタンジオールのみを50mmol/L添加し、(b)の場合では、添加剤としてハロゲン酸塩の臭素酸ナトリウムのみを50mmol/L添加し、(c)の場合では、添加剤として、有機物の3−メチル−1,5−ペンタンジオールとハロゲン酸塩の臭素酸ナトリウムをそれぞれ50mmol/L添加し、そして、(d)の場合では、添加剤として、有機物の3−メチル−1,5−ペンタンジオールと臭化ナトリウムをそれぞれ50mmol/L添加して、それぞれエッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの反射率を測定する。なお、反射率の測定では、実際には波長300〜1,200nmのシリコンウェハの反射率を測定しているが、シリコンウェハの反射率が他のシリコンウェハの反射率とかぶらない(=交差しない)ため、代表的な波長として700nmの波長を図4では採用している。
【0039】
図4に示されるように、波長700nmの反射率の値は、(a)の3−メチル−1,5−ペンタンジオールのみ添加した場合で10.2%であり、(b)の臭素酸ナトリウムのみ添加した場合で30.5%であり、(c)の3−メチル−1,5−ペンタンジオールと臭素酸ナトリウムとを添加した場合で8.7%であり、(d)の3−メチル−1,5−ペンタンジオールと臭化ナトリウムを添加した場合で11.5%となる。これらの結果から、反射率を低減させるには、エッチング液に有機物を含むことが望ましい。また、ハロゲン酸塩のみをエッチング液に添加した場合と比較して、これに有機物を添加させることによって、エッチング処理後のシリコン基板の反射率を10%近くにまで大幅に低減させることができる。なお、図3−1と図3−2の結果と合わせて考察すると、有機物とハロゲン酸塩とを添加したエッチング液を用いることによって、サイズが略均一なテクスチャが多数形成される。つまり、有機物のみが添加されたエッチング液(図4(a))と、図4(c)と(d)は反射率が同等であるが、図4(c)と(d)の方が、図4(a)に比して略均一なサイズのテクスチャを有するシリコンウェハが得られる。
【0040】
以上から、有機物とハロゲン酸塩を同時に添加したエッチング液でエッチングすることによって、略均一な大きさのテクスチャを、所望の密度で形成することができる結果、大幅に反射率を低下させることができる。また、ハロゲン酸塩として、臭素酸ナトリウム以外の臭化ナトリウムなどを用いた場合や、他の有機物を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0041】
図5は、ハロゲン酸塩の量を一定とし、有機物の量を変化させたエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。この図において、横軸は、エッチング液に添加した有機物の量(mmol/L)を対数目盛で示し、縦軸は、波長700nmの光におけるエッチング処理後のシリコンウェハの反射率(%)を示している。
【0042】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、濃度を変化させた3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、所定の量の臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの反射率を測定する。
【0043】
図5に示されるように、反射率の観点からは、3−メチル−1,5−ペンタンジオールをエッチング液に1mmol/L以上、200mmol/L以下添加するのが好ましい。添加量が1mmol/未満の場合には、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの添加量が小さくシリコンウェハ表面に十分なテクスチャを形成できず、光吸収効果が得られないため好ましくない。一方、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの添加量が200mmol/Lより大きい場合には、3−メチル−1,5−ペンタンジオールによるエッチング反応の抑制効果が小さく、テクスチャの形成が不十分となり、光の反射率が増大してしまうため、好ましくない。なお、3−メチル−1,5−ペンタンジオール以外の上述した他の有機物でも同様の効果があることを確認している。また、臭素酸ナトリウムの添加量が5mmol/L以上、150mmol/L以下の範囲でも同様の効果があることを確認している。
【0044】
図6は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした後のシリコンウェハの反射率の違いを示す図である。この図において、横軸は、エッチング液に添加したハロゲン酸塩の量(mmol/L)を示し、縦軸は、波長700nmの光におけるエッチング処理後のシリコンウェハの反射率(%)を示している。
【0045】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、所定の量の3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、濃度を変化させた臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの反射率を測定する。
【0046】
図6に示されるように、反射率の点から、臭素酸ナトリウムの添加量はエッチング液に対して5mmol/L以上、150mmol/L以下とするのが好ましく、10mmol/L以上、100mmol/L以下とするのがより好ましい。添加量が5mmol/L未満の場合には、臭素酸ナトリウムの添加量が小さくシリコンウェハ表面のテクスチャ密度が小さくなり、臭素酸ナトリウムを添加した場合の効果が得られないため好ましくない。一方、臭素酸ナトリウムの添加量が150mmol/Lより大きい場合には、テクスチャのサイズが小さくなりすぎ、臭素酸を添加しない場合よりも反射率が高くなってしまうため好ましくない。なお、上述した他の有機物およびハロゲン酸でも同様の効果があることを確認している。また、有機物の添加量が1mmol/L以上、200mmol/L以下の範囲でも同様の効果があることを確認している。
【0047】
図7は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした場合の片面エッチング量を示す図である。この図において、横軸は、エッチング液に添加したハロゲン酸塩の量(mmol/L)を示し、縦軸は、シリコンウェハの片面エッチング量(μm)を示している。
【0048】
また、図8は、有機物の量を一定とし、ハロゲン酸塩の量を変化させたエッチング液でエッチングした場合の片面エッチング速度を示す図である。この図において、横軸は、エッチング液に添加したハロゲン酸塩の量(mmol/L)を示し、縦軸は、シリコンウェハの片面エッチング速度(μm/秒)を示している。
【0049】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、所定量の3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、濃度を変化させた臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの片面エッチング量を測定する。また、片面エッチング量とエッチング時間とから、片面エッチング速度を求める。
【0050】
図7と図8に示されるように、エッチング液への臭素酸ナトリウムの添加量は、エッチング液に対して5mmol/L以上、150mmol/L以下とするのが好ましく、10mmol/L以上、100mmol/L以下とするのがより好ましい。臭素酸ナトリウムを添加しない場合と比較して、エッチング量およびエッチング速度を小さくしてエッチング反応を抑制することによってテクスチャの形成を促進できることを確認しており、上記図6で示した反射率の測定結果と相関がある。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることを確認している。
【0051】
図9は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング時間とシリコンウェハの反射率との関係を示す図である。この図において、横軸は、エッチング時間(分)を示し、縦軸は、波長700nmの光におけるエッチング処理後のシリコンウェハの反射率(%)を示している。
【0052】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、50mmol/Lの3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、50mmol/Lの臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、時間を変化させてシリコンウェハを浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの反射率を測定する。
【0053】
図9に示されるように、エッチング時間は1分以上、30分以下とするのが好ましい。エッチング時間が1分よりも短いとエッチング反応が十分に進まず、シリコンウェハ表面に効果的にテクスチャを形成することができない。また、エッチング時間が30分よりも長いとシリコンウェハのエッチングが過度に進行し、シリコンウェハが薄くなって割れやすくなる。さらに、テクスチャのサイズが大きくなりすぎて表面の凹凸が激しくなり反射率が低下するとともに、太陽光発電装置の製造工程で行われる反射防止膜形成や印刷工程で不具合が発生する。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることを確認している。
【0054】
図10は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング温度とシリコンウェハの反射率との関係を示す図である。この図において、横軸は、エッチング温度(℃)を示し、縦軸は、波長700nmの光におけるエッチング処理後のシリコンウェハの反射率(%)を示している。
【0055】
ここでは、3wt%(pH12以上)の水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、50mmol/Lの3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、50mmol/Lの臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を変化させて、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの反射率を測定する。
【0056】
図10に示されるように、エッチング液の温度は60℃以上、95℃以下とするのが好ましい。エッチング温度が60℃未満の場合には、エッチング反応が進まない、または非常に遅くなりテクスチャが形成されず好ましくない。一方、エッチング温度を95℃よりも高くすると、エッチング反応がより速く進行するが反射率はあまり変化せず(95℃で9.8%、98℃で10.0%)、またエッチング液の水分蒸発が大きくなりすぎ、テクスチャ密度の制御が難しくなるため好ましくない。そのため、エッチング温度は60℃以上、95℃以下とするのが好ましい。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることを確認している。
【0057】
図11は、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でシリコンウェハをエッチングしたときのエッチング液のアルカリ濃度と片面エッチング速度との関係を示す図である。この図において、横軸は、アルカリ濃度(wt%)を対数目盛で示し、縦軸は、片面エッチング速度(μm/秒)を示している。
【0058】
ここでは、pH12以上として濃度を変化させた水酸化ナトリウム溶液に、添加剤として、50mmol/Lの3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、50mmol/Lの臭素酸ナトリウムを添加して、エッチング液を調製する。その後、このエッチング液の温度を90℃に維持して、シリコンウェハを10分間浸漬し、エッチングを行う。このとき、エッチング液には連続して空気を供給する。そして、エッチング後のシリコンウェハの片面エッチング量を測定し、この片面エッチング量とエッチング時間とから、片面エッチング速度を求める。
【0059】
図11に示されるように、エッチング液の水酸化ナトリウム濃度としてはエッチング液量に対して水酸化ナトリウム濃度を重量比で0.1wt%以上、10wt%以下(いずれもpH12以上)とするのが好ましい。水酸化ナトリウム濃度が重量比で0.1%未満の場合には、エッチング反応が非常に遅くなり好ましくない。また、水酸化ナトリウム濃度が重量比で10%よりも大きくなると、エッチング液の粘性が高くなるとともにエッチング槽の腐食が進行しやすくなるため好ましくない。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることを確認している。
【0060】
ここで、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、臭素酸ナトリウムともにこれらの添加量がパラメータとならない場合にある一定の添加量で評価した結果を示したが、この実施の形態1の効果はこれに限られず、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの最適範囲と臭素酸ナトリウムの最適範囲において、上記効果を確認している。
【0061】
このようなテクスチャの形成は、シリコンウェハなどの半導体ウェハを用いて構成される太陽光発電装置や、シリコン薄膜などの半導体薄膜を有する太陽光発電装置の製造方法に適用することができる。たとえば、第1導電型の半導体ウェハの第1の主面にテクスチャを形成するテクスチャ形成工程と、テクスチャを形成した半導体ウェハの表面に第2導電型の拡散層を形成する拡散層形成工程と、半導体ウェハの端面に形成された拡散層を除去する拡散層除去工程と、半導体ウェハの第1の主面上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程と、半導体ウェハの第1の主面および第1の主面に対向する第2の主面上に、所定の形状の電極を印刷し、焼成する電極形成工程と、を含む太陽光発電装置の製造方法のテクスチャ形成工程で、上述した方法を用いて半導体ウェハの第1の主面をエッチングすることによって、均一なテクスチャを形成することができる。
【0062】
また、pn接合またはpin接合を有する光電変換層と、光電変換層の一方の主面に形成される金属電極と、光電変換層の他方の主面に形成される透明電極と、を含む光電変換素子が基板上に形成された太陽光発電装置の製造方法において、光電変換層を形成した後に、上述した方法を用いて光電変換層の上面をエッチングすることによって、均一なテクスチャを形成することができる。
【0063】
この実施の形態1によれば、有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液を用いてシリコンウェハやシリコン薄膜のエッチングを行ったので、均一なサイズのテクスチャを所望の密度で形成することができる。その結果、シリコンウェハやシリコン薄膜のエッチング後の反射率を従来に比してさらに抑えることができ、太陽光発電装置に好適なテクスチャを有するシリコンウェハやシリコン薄膜を提供することができるという効果を有する。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態1では、シリコンウェハやシリコン薄膜に均一なサイズのテクスチャを所望の密度で形成することができるエッチング液とエッチング方法について説明した。以下の実施の形態2,3では、上記エッチング方法を実現するエッチング装置について説明する。
【0065】
図12は、実施の形態2によるエッチング装置の構成の一例を模式的に示す図である。ウェットエッチングを行うエッチング槽1には、アルカリ供給部10と、有機物供給部20と、ハロゲン酸塩供給部30と、純水供給配管40と、気体供給部50と、が接続されている。
【0066】
アルカリ供給部10は、エッチング槽1に接続されるアルカリ供給配管11を有し、このアルカリ供給配管11の端部にアルカリ貯留槽12が設けられる。また、アルカリ貯留槽12とエッチング槽1との間のアルカリ供給配管11上には、アルカリ貯留槽12からアルカリをエッチング槽1へと供給するアルカリ供給ポンプ13が設けられている。アルカリ貯留槽12は、たとえばNaOHなどのアルカリ水溶液を貯留する。
【0067】
有機物供給部20は、エッチング槽1に接続される有機物供給配管21を有し、この有機物供給配管21の端部に有機物貯留槽22が設けられる。また、有機物貯留槽22とエッチング槽1との間の有機物供給配管21上には、有機物貯留槽22から有機物をエッチング槽1へと供給する有機物供給ポンプ23が設けられている。
【0068】
ハロゲン酸塩供給部30は、エッチング槽1に接続されるハロゲン酸塩供給配管31を有し、このハロゲン酸塩供給配管31の端部にハロゲン酸塩貯留槽32が設けられる。また、ハロゲン酸塩貯留槽32とエッチング槽1との間のハロゲン酸塩供給配管31上には、ハロゲン酸塩貯留槽32からハロゲン酸塩をエッチング槽1へと供給するハロゲン酸塩供給ポンプ33が設けられている。
【0069】
純水供給配管40は、エッチング槽1へイオン交換水、蒸留水、または純水を供給する。また、気体供給部50は、エッチング槽1の底部付近に設けられる気体放出部51と、気体放出部51に接続される気体供給配管52とを有する。気体放出部51は、エッチング処理対象物72よりも下に位置するように配置されればよい。なお、気体放出部51として、小さい気泡を供給することができる装置であることが望ましい。
【0070】
また、エッチング槽1には温度制御部60が設けられている。この温度制御部60は、エッチング槽1内に設けられ、エッチング槽1内のエッチング液を加熱するヒータ61と、エッチング槽1の外部に設けられるヒータ熱源62と、ヒータ熱源62とヒータ61との間を接続するヒータ配線63と、を備える。また、温度制御部60は、エッチング槽1内に投入される温度測定部64と、温度測定部64で測定されたエッチング液の温度に基づいて、エッチング液が所望の温度となるようにヒータ熱源62の温度制御を行う温度計付温度調整器65と、を備える。なお、ヒータ熱源62と温度計付温度調整器65とは、温度調整用信号線66を介して接続されている。
【0071】
さらに、エッチング槽1内には、キャリア支持台71が、気体放出部51よりも上部となるように設けられている。キャリア支持台71には、シリコンウェハなどのエッチング処理対象物72を複数保持するキャリア73が載置される。たとえば、1台のキャリア73には10〜100枚のシリコンウェハを保持することが可能である。キャリア支持台71上には、たとえば1〜10個のキャリア73を載置することができる。
【0072】
また、エッチング槽1には、オーバーフロー槽81が併設されている。このオーバーフロー槽81は、エッチング槽1とエッチング液循環配管82で接続されている。また、エッチング液循環配管82上には、オーバーフロー槽81にオーバーフローしたエッチング槽1からのエッチング液を、エッチング槽1へと循環させるエッチング液循環ポンプ83が設けられている。さらに、エッチング槽1には、エッチング液を排出するドレーン84が接続されている。
【0073】
つぎに、このエッチング装置の動作について説明する。まず、エッチング槽1に純水供給配管40を介して純水を供給し、アルカリ供給部10からアルカリ溶液を供給し、有機物供給部20からは有機物を供給し、ハロゲン酸塩供給部30からはハロゲン酸塩を供給する。具体的には、アルカリ供給部10では、アルカリ供給配管11を介してアルカリ供給ポンプ13によってアルカリ貯留槽12からアルカリ溶液が供給される。また、有機物供給部20では、有機物供給配管21を介して有機物供給ポンプ23によって有機物貯留槽22から所定量の有機物が供給される。同様に、ハロゲン酸塩供給部30では、ハロゲン酸塩供給配管31を介してハロゲン酸塩供給ポンプ33によってハロゲン酸塩貯留槽32からハロゲン酸塩が供給される。なお、ここでは、エッチング槽1内に満たされるエッチング液が実施の形態1で説明した濃度範囲となるように、所定量の純水、アルカリ溶液、有機物およびハロゲン酸塩が供給される。
【0074】
ついで、気体供給配管52から気体が供給され、また、エッチング液循環ポンプ83によってオーバーフロー槽81にオーバーフローしたエッチング液がエッチング液循環配管82を介してエッチング槽1に送られて循環される。さらに、ヒータ61によってエッチング槽1内のエッチング液を所定温度まで加熱する。
【0075】
ついで、エッチング処理対象物72としてシリコンウェハが置かれた1〜複数台のキャリア73が、図示しないロボットアームなどの搬送機構によってエッチング槽1に投入されて所定時間浸漬して、シリコンウェハに対してウェットエッチング処理を実施する。所定時間経過後、再度ロボットアームなどによってエッチング槽1からキャリア73を引き上げる。引き上げられたキャリア73は、次工程に送られる(1バッチ)。その際、シリコンウェハは予めダメージエッチング処理が実施されていることが好ましい。ダメージエッチング処理としては、所定時間シリコンウェハをアルカリ溶液に浸漬するなどの方法がある。
【0076】
ついで、同様に別のシリコンウェハが置かれた1〜複数台のキャリア73がロボットアームなどによってエッチング槽1に投入されて、順次ウェットエッチング処理が実施される。所定バッチ数のウェットエッチング処理が完了すると、エッチング槽1内のエッチング液はドレーン84を介して排出される。その後、上記の通り新たにエッチング液がエッチング槽1に生成され、エッチング処理が行われる。なお、バッチ数はシリコンウェハからエッチング液に溶出されたシリコンの量などから決定される。また、ウェットエッチング処理の時間はバッチ数毎に異ならせることが望ましく、バッチ数が増えるほど長くすることが望ましい。
【0077】
ここで供給されるアルカリと有機物は液体の方が好ましいが、固体を純水などに溶解させて供給してもよいし、固体を直接エッチング槽1に所定量投入してもよい。また、エッチング反応によってアルカリが消費されていくため、あるバッチ数毎にアルカリを追加してもよい。適宜アルカリを追加することによって、エッチング液のアルカリ濃度を一定に保つことが可能になり、バッチ数ごとのエッチング反応のばらつきが小さくなり、エッチング液の交換まで一様なエッチング反応を実施することが可能となる。その結果、一様なテクスチャを形成したシリコンウェハを得ることが可能となる。
【0078】
また、エッチング反応で溶解したエッチング液中のシリコンは、別途乾燥、凝集沈澱などによってシリコンを回収し、シリコンを除いたエッチング液に再度アルカリを添加してエッチング液を再利用することも可能である。これによって純水、有機物、ハロゲン酸塩の使用量を抑制できるだけでなく、廃水処理への負荷も低減できる。さらに、上述した説明では、バッチ式のウェットエッチング処理について示したが、枚葉式でのウェットエッチング処理も可能である。
【0079】
この実施の形態2によれば、エッチング槽1内で、所定量のアルカリ溶液、有機物およびハロゲン酸塩を含むエッチング液を調製し、所望の温度に保ちながらエッチング処理対象物を、反射率が10%以下となるようにエッチングすることができるという効果を有する。
【0080】
実施の形態3.
図13は、実施の形態3によるエッチング装置の構成の一例を模式的に示す図である。このエッチング装置は、実施の形態2で、気体放出部51が除去され、代わりに微細気泡発生部53がエッチング槽1の外部に設けられている。また、気体供給配管52は、微細気泡発生部53に接続されている。さらに、微細気泡発生部53は、エッチング液循環配管82上のエッチング槽1とエッチング液循環ポンプ83との間に設けられている。この微細気泡発生部53として、スリット式、多孔質板式、配列多孔板式、極細ニードル式、メンブレン式、加圧溶解式、ベンチュリ式などの気泡発生装置を用いることができる。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0081】
このような構成によって、オーバーフロー槽81にオーバーフローしたエッチング液をエッチング液循環ポンプ83でエッチング槽1に戻す際に、微細気泡発生部53で発生された微細気泡が含まれたエッチング液がエッチング槽1に戻されることになる。なお、気体としては空気を使用してもよいし、実施の形態1で説明した他の気体を用いてもよい。また、バッチ式のウェットエッチング処理だけでなく、枚葉式でのウェットエッチング処理も可能である。
【0082】
この実施の形態3においても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0083】
ここで、実施の形態2に示されるエッチング装置を用いたシリコンウェハのエッチング処理の実施例について、比較例とともに示す。
【0084】
(実施例1と比較例1)
<エッチング液>
実施例1では、純水に対して、水酸化ナトリウム濃度が3wt%となり、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの添加量が50mmol/Lとなり、臭素酸ナトリウムの添加量が50mmol/Lとなるように、それぞれを添加してエッチング液を作製する。また、比較例1では、添加量が50mmol/Lとなるように添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールのみを添加したエッチング液を用いる。
【0085】
<エッチング条件>
実施例1と比較例1ともに、サイズ15.6cm×15.6cm、厚さ200μmのシリコンウェハが50枚納められたキャリア73を3個、90℃の温度の60Lのエッチング液中に浸漬して300秒間ウェットエッチング処理を実施する。エッチング時において、循環エッチング液量は1分間あたりエッチング液量の1/10とし、供給気体流量は循環エッチング液量の1/10とする。また、気体放出部51としてフッ素樹脂製のバブラーを使用する。ここでシリコンウェハとして太陽光発電装置用の単結晶を使用した。なお、予めシリコンウェハのスライスダメージを除去するために、水酸化ナトリウム濃度6wt%、80℃の温度のエッチング液中に120秒間浸漬した。ただし、上記スライスダメージを除去する工程は省略することも可能である。
【0086】
<太陽光発電装置製造方法>
上記シリコンウェハを使用して、太陽光発電装置のセルを製作する。セルの製作は、まずテクスチャを形成した上記シリコンウェハに高温下でPOCl3と酸素ガスを供給して、n層を形成させる(リン拡散工程)。続いて、リン拡散工程で形成されたリンガラスをHF溶液で除去する(リンガラス除去)。続いて、pn接合のショートを防ぐため、プラズマを用いて端面のn層を除去する(端面n層除去)。続いて、プラズマCVD法を使用して反射防止膜をウェハ表面に形成する(反射防止膜形成)。そして、裏面アルミニウム電極印刷、裏面銀電極印刷、表面銀電極印刷を実施し、電極を焼成して、HFディップを実施してシリコン酸化膜やガラス被膜を除去してセルを製作する。
【0087】
<評価方法>
実施例1と比較例1ともに、エッチングしたシリコンウェハについて、波長300〜1,200nmでスキャンして反射率(平均値)を測定する。また、エッチングしたシリコンウェハを用いて、太陽電池セルを作製し、開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(F.F.)および光電変換効率を測定する。
【0088】
<評価結果>
図14は、シリコンウェハの反射率の測定結果を示す図であり、図15は、シリコンウェハの波長700nmにおける反射率の測定結果を示す図である。図14に示されるように、波長300〜1,200nmでスキャンした反射率(平均値)は、300〜1,120nmの範囲で実施例1の方が、比較例1よりも低い値となる。特に、波長600〜1,040nmの範囲では、反射率が10%以下となり、太陽光の反射を効率よく抑えていることがわかる。また、図15に示されるように、波長700nmの反射率(平均値)は、実施例1の方が比較例1に比して9.4ポイント低い。以上より、実施例1の方が比較例1に比して効果的にテクスチャを形成できていることが推測される。
【0089】
図16は、エッチングしたシリコンウェハから作製した太陽光発電装置の特性の測定結果を示す図である。図16に示されるように、シリコンウェハの反射率が低い実施例1の方が、比較例1に比して光電変換効率が0.95ポイント高くなり、開放電圧と短絡電流も大きくなっている。これによって、添加剤として有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でエッチングしたシリコンウェハを用いる方が、変換効率の高い太陽光発電装置を製作することができることがわかる。
【0090】
(実施例2と比較例2)
<実験方法>
実施例2では、実施例1と同じエッチング液を用いて実施したウェットエッチング処理を1バッチとして(1バッチごとにエッチング液量を保つために純水を供給)、19バッチ実施した後に、実施例2のウェットエッチング処理を1バッチ実施する。このときのエッチング時間は600秒間とし、その他の条件は実施例1で実施した条件と同じとする。また、比較例2では、比較例1と同様に臭素酸ナトリウムを添加しないエッチング液を用いて実施したウェットエッチング処理を19バッチ実施した後に、比較例2のウェットエッチング処理を1バッチ実施する。このときのエッチング時間は600秒間とし、その他の条件は比較例1で実施した条件と同じとする。また、上記シリコンウェハを使用して、太陽光発電装置のセルを製作した。製作方法は実施例1と比較例1で説明した方法と同じである。さらに、評価方法は、実施例1と比較例1の場合と同様とする。
【0091】
<評価結果>
図17は、シリコンウェハの反射率の測定結果を示す図であり、図18は、シリコンウェハの波長700nmにおける反射率の測定結果を示す図である。図17に示されるように、波長300〜1,200nmでスキャンした反射率(平均値)は、300〜1,120nmの範囲で実施例2の方が、比較例2よりも低い値となる。特に、波長550〜1,040nmの範囲では、反射率が10%以下となり、太陽光の反射を効率よく抑えていることがわかる。また、図18に示されるように、波長700nmの反射率(平均値)は、実施例2の方が比較例2に比して6.8ポイント低い。以上より、実施例2の方が比較例2に比して効果的にテクスチャを形成できていることが推測される。
【0092】
図19は、エッチングしたシリコンウェハから作製した太陽光発電装置の特性の測定結果を示す図である。図19に示されるように、シリコンウェハの反射率が低い実施例2の方が、比較例2に比して光電変換効率が0.49ポイント高くなり、開放電圧と短絡電流も大きくなっている。これによって、添加剤として有機物とハロゲン酸塩を含むエッチング液でエッチングしたシリコンウェハを用いる方が、変換効率の高い太陽光発電装置を製作することができることがわかる。
【0093】
なお、実施の形態3の図13に示したように、気体放出部51を取り外し、エッチング液を循環するエッチング液循環ポンプ83とエッチング槽1との間に微細気泡発生装置53を取り付け、微細気泡発生装置53に気体供給配管52を介して気体を供給しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明にかかるエッチング方法は、太陽光発電装置で使用されるシリコン基板やシリコン薄膜のエッチングに有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 エッチング槽
10 アルカリ供給部
11 アルカリ供給配管
12 アルカリ貯留槽
13 アルカリ供給ポンプ
20 有機物供給部
21 有機物供給配管
22 有機物貯留槽
23 有機物供給ポンプ
30 ハロゲン酸塩供給部
31 ハロゲン酸塩供給配管
32 ハロゲン酸塩貯留槽
33 ハロゲン酸塩供給ポンプ
40 純水供給配管
50 気体供給部
51 気体放出部
52 気体供給配管
53 微細気泡発生部
60 温度制御部
61 ヒータ
62 ヒータ熱源
63 ヒータ配線
64 温度測定部
65 温度計付温度調整器
67 温度調整用信号線
71 キャリア支持台
72 エッチング処理対象物
73 キャリア
81 オーバーフロー槽
82 エッチング液循環配管
83 エッチング液循環ポンプ
84 ドレーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物とハロゲン酸塩とを含むエッチング液を用いて、第1導電型の半導体ウェハの第1の主面をエッチングしてテクスチャを形成するテクスチャ形成工程と、
前記テクスチャを形成した半導体ウェハの表面に第2導電型の拡散層を形成する拡散層形成工程と、
前記半導体ウェハの端面に形成された前記拡散層を除去する拡散層除去工程と、
前記半導体ウェハの前記第1の主面上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程と、
前記半導体ウェハの第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面上に、所定の形状の電極を印刷し、焼成する電極形成工程と、
を含むことを特徴とする太陽光発電装置の製造方法。
【請求項2】
半導体材料によって構成される光電変換層と、前記光電変換層の一方の主面に形成される金属電極と、前記光電変換層の他方の主面に形成される透明電極と、を含む光電変換素子が基板上に形成された太陽光発電装置の製造方法において、
前記光電変換層を形成した後、有機物とハロゲン酸塩とを含むエッチング液を用いて、前記光電変換層の上面をエッチングしてテクスチャを形成することを特徴とする太陽光発電装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機物は、前記エッチング液に1mmol/L以上200mmol/L以下含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項4】
前記ハロゲン酸塩は、前記エッチング液に5mmol/L以上150mmol/L以下含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項5】
前記有機物は、アルコール類、有機酸類、ケトン類から選択される少なくとも1つの材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項6】
前記ハロゲン酸塩は、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウムおよび臭化ナトリウムから選択される少なくとも1つの材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング液は、0.1wt%以上10wt%以下のアルカリ濃度を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムから選択される少なくとも1つの材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の太陽光発電装置の製造方法。
【請求項9】
太陽光発電装置のウェハまたは薄膜の表面のエッチング方法において、
有機物とハロゲン酸塩とを含むエッチング液を用いてエッチングを行うことを特徴とするエッチング方法。
【請求項10】
エッチング液が入れられるエッチング槽と、
前記エッチング槽にアルカリを供給するアルカリ供給手段と、
前記エッチング槽に有機物を供給する有機物供給手段と、
前記エッチング槽にハロゲン酸塩を供給するハロゲン酸塩供給手段と、
前記エッチング槽に水を供給する水供給手段と、
前記アルカリ、前記有機物、前記ハロゲン酸塩および前記水を前記エッチング槽に供給して形成されたエッチング液をある温度となるように制御するエッチング液加熱制御手段と、
前記エッチング液に気体を含有させる気体供給手段と、
を備えることを特徴とするエッチング装置。
【請求項11】
前記エッチング槽からオーバーフローした前記エッチング液を貯留するオーバーフロー槽と、
前記オーバーフロー槽と前記エッチング槽とを接続する配管と、
前記オーバーフロー槽に貯留した前記エッチング液を前記エッチング槽に循環させるポンプと、
をさらに備え、
前記気体供給手段は、前記エッチング槽と前記ポンプとの間に設けられることを特徴とする請求項10に記載のエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【公開番号】特開2011−159745(P2011−159745A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19420(P2010−19420)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】