説明

安定なエマルジョン組成物および汚泥脱水方法

【課題】汚泥脱水剤としての機能に優れ、コスト的、エネルギー的にも効率が良く、ハンドリング性能にも優れる形態の組成物とその使用方法を提供する。
【解決手段】アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物である安定な油中水滴型エマルジョン組成物およびこれを用いた汚泥の脱水方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定なエマルジョン組成物およびその用途に関するものであり、詳しくはアミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンを含んだ組成物とそれを用いた汚泥の脱水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚泥の脱水処理には、多くの場合カチオン性高分子脱水剤が使用されているが、単位時間の処理量を向上させるために汚泥の含水率を低減させたり、汚泥脱水剤の添加量を削減したりする技術が要求されている。また従来の汚泥脱水剤では処理できない、難脱水汚泥に好適な汚泥脱水剤が要求されている。これらの要求に対して、両性の汚泥脱水剤、あるいは(メタ)アクリレート系カチオン性高分子の架橋性重合体、これらを組み合わせてなる汚泥脱水剤、あるいはアミジン構造を有する汚泥脱水剤が特許文献として開示されている。
【0003】
しかしながら、汚泥脱水剤としての機能は満足のできるものではなく、アミジン構造を有する水溶性高分子とそれ以外の水溶性高分子を組み合わせてなる汚泥脱水剤も提案されているが、これらは汚泥含水率低減の目的には、十分満足できるものではなかった。
【0004】
このような背景から、汚泥脱水剤としての機能に優れ、コスト的、エネルギー的にも効率が良く、ハンドリング性能にも優れる形態の組成物が望まれているが、このような組成物は未だかつて提案されていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−149292号公報
【特許文献2】特開平2−219887号公報
【特許文献3】特開平11−319412号公報
【特許文献4】特開平5−192513号公報
【特許文献5】特開平5−309208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、汚泥脱水剤としての機能に優れ、コスト的、エネルギー的にも効率が良く、ハンドリング性能にも優れる形態の組成物とその使用方法と提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下水溶性単量体を共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物であることを特徴とする安定な油中水滴型エマルジョン組成物が、本発明の目的に適うことを発見した。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、(A)アミジン構造を有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと(B)多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下共重合したアミジン構造を有さない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物であることを特徴とする安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。
【0009】
請求項2の発明は、前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜100mol%と(b)非イオン性単量体0〜95mol%を共重合して得られることを特徴とする、請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。

【化1】

一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X−は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】

一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X−は陰イオンをそれぞれ表わす。
【0010】
請求項3の発明は、前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(b)非イオン性単量体0〜100mol%および/または(c)下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体0〜100mol%を(共)重合して得られることを特徴とする、請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。
【化3】

一般式(3)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOO、YおよびYは水素イオンまたは陽イオン
【0011】
請求項4の発明は、前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜99mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜49mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(c)と(a)の組成比(c)/(a)が0<(c)/(a)<1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。
【0012】
請求項5の発明は、前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体1〜49mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体5〜95mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(a)と(c)の組成比(a)/(c)が0<(a)/(c)<1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。
【0013】
請求項6の発明は、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体を、前記カチオン性単量体、前記非イオン性単量体および前記アニオン性単量体から選択される一種以上の単量体の合計質量に対して1〜50,000ppmの範囲で存在させて重合したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物である。
【0014】
請求項7の発明は、前記(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンが、油溶性乳化剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの水溶液を共重合した後、加水分解して得た安定な油中水滴型エマルジョンであることを特徴とする、請求項1に記載の安定なエマルジョン組成物である。
【0015】
請求項8の発明は、前記(A)アミジン構造を有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと前記(B)アミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物が、質量比でそれぞれ(A):(B)=1:9〜9:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の安定なエマルジョン組成物である。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の(A)アミジン構造を有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと前記(B)アミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合した安定なエマルジョン組成物を汚泥に添加し、脱水機により脱水することを特徴とする汚泥脱水方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、水溶性単量体を共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物であることを特徴とする。本発明の安定な油中水滴型エマルジョン組成物によれば、多岐にわたる高分子凝集剤としての用途において、特に廃水処理剤、汚泥脱水剤、歩留向上剤、濾水性向上剤などの用途における作業環境の改善や装置の運転の自動化による省力化などに貢献する。さらには、排水処理過程における汚泥含水率の低下、汚泥脱水剤の添加量削減など、エネルギー的にあるいはコスト的に産業上多大な貢献をするものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を具体的に説明する。本発明における(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンは、アミジン構造を含有することが特徴であってその製造方法に特に制限はないが、例えば油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下、アクリロニトリルと酸または塩基による加水分解により高分子主鎖にビニルアミン単位を生じる単量体の水溶液を共重合した後、酸または塩基で加水分解しさらにアミジン変性を行って得る方法、あるいは油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下、アクリルアミドとアクリロニトリルの共重合物を乳化重合した後、塩基存在下塩素ガスを吹き込んでホフマン変性を行い、さらに加温してアミジン変性を行って得る方法などがあげられる。さらには、アミジン構造を有する水溶性高分子の水溶液を、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤と水に非混和性液状炭化水素の存在下、乳化し油中水滴型エマルジョンを形成して得ることもできる。
【0019】
酸または塩基による加水分解により高分子主鎖にビニルアミン単位を生じる単量体は特に制限はなく、N−ビニルカルボン酸アミドがあげられ、その例としてはN−ビニルホルムアミドの他、N−ビニルアセトアミドなどが好適である。製造の容易さ、コストの面を考慮すると、N−ビニルホルムアミドを用いることが好適で、油溶性乳化剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの共重合した組成物を、酸または塩基で加水分解した後アミジン変性して得る方法が好ましい。
【0020】
加水分解は酸、塩基いずれを用いることが可能である。加水分解に用いる酸としては、特に制限はなく、無機酸、有機酸いずれも用いることができるが、特に一価の無機酸を用いることが好適である。
加水分解に用いる塩基としては、水溶液中で塩基性を示すものであれば特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどアルカリ金属の水酸化物を用いることが好適である。また加水分解の際ゲル化を防止するため水酸化アンモニウムやヒドロキシルアミン塩を添加することが好適である。
【0021】
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下、アクリロニトリルと酸または塩基による加水分解により高分子主鎖にビニルアミン単位を生じる単量体の水溶液を共重合した後、酸または塩基で加水分解しさらにアミジン変性を行って得る方法においては、安定な油中水滴型エマルジョンを得るために、乳化安定剤の存在下、加水分解を行うことができる。乳化安定剤の添加量としては、前記油中水滴型エマルジョン(A)の重量に対して1〜10%の範囲で、好適に用いることができる。
【0022】
乳化安定剤としては、親水基と疎水基間にエーテル結合を有するHLBが2〜12の範囲の非イオン性界面活性剤を用いることができ、例えばポリエチレングリコールステアリルエーテルなどがあげられる。
【0023】
本発明における(B)多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの製造方法としては、前記イオン性単量体、あるいはイオン性単量体および共重合可能な非イオン性単量体とからなる単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成することができる。
【0024】
本発明の(B)多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下共重合したアミジン構造を有さない水溶性高分子は、多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下水溶性の単量体を重合して得ることができる。多官能性単量体の例として、メチレンビスアクリルアミドやエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−トなどがあげられる。また架橋性単量体としてはN、N−ジメチルアクリルアミドのような熱架橋性単量体などがあげられる。
【0025】
汚泥脱水処理において、汚泥含水率の削減や、スクリュープレス機を用いる脱水のように形成するフロックの強度が重要視される場合には、多官能性単量体および/または架橋性単量体を共重合した水溶性単量体の質量に対して1〜50,000ppmの範囲存在する条件下で共重合することが好適である。その際、重合度を調節するため連鎖移動剤としてイソプロピルアルコール等を対単量体0.01〜3重量%併用すると効果的である。
【0026】
一般式(1)および/または(2)で表される単量体はカチオン性を有するラジカル重合可能な単量体であって、例として以下のような単量体があげられる。すなわち、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミンなどの重合体や共重合体が上げられ、四級アンモニウム基含重合体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物があげられる。
【0027】
一般式(3)で表される単量体はアニオン性を有するラジカル重合可能な単量体であって、アニオン性を有する官能基は、スルホン基でもカルボキシル基でもさしつかえなく、さらにはそれぞれを単量体として併用しても良い。スルホン基含有単量体の例は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などであり、またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。さらにはこれらの塩類が例としてあげられる。
【0028】
非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドアクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。
【0029】
本発明のアミジン構造を含有しない(B)水溶性高分子がカチオン性の場合は、以下の単量体を共重合することにより製造することができる。すなわち多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜100mol%と(b)非イオン性単量体0〜95mol%を共重合するが、好ましくは(a)前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表されるカチオン性単量体15〜100mol%と(b)非イオン性単量体0〜85mol%である。5mol%未満では、凝集性能が弱く実用にならない。
【0030】
本発明のアミジン構造を含有しない(B)水溶性高分子が両性の場合は、用途によってその組成のモル比が異なる。汚泥脱水向けには、都市下水の消化汚泥のように対象となる汚泥中のアニオン成分が多く汚泥脱水処理にカチオン成分が必要な場合には、カチオン性単量体の組成比がそれ以外の単量体より大きい方が有利である。その組成の範囲は、多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜99mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜49mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(c)と(a)の組成比(c)/(a)が0<(c)/(a)<1の範囲である。
【0031】
また汚泥脱水処理において、汚泥含水率の削減や、ベルトプレス脱水機を用いる脱水のように汚泥の濾布からの剥離性が重要視される場合や、カチオン性高分子凝集剤単独でフロックを形成し難い難脱水性の余剰汚泥には(B)を形成するアニオン性単量体の組成比がその他の単量体と比較して大きい方が有利である。その組成の範囲は、多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体1〜49mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体5〜95mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(a)と(c)の組成比(a)/(c)が0<(a)/(c)<1の範囲である。
【0032】
さらに本発明のアミジン構造を含有しない(B)水溶性高分子がアニオン性あるいは非イオン性の場合は、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、前記一般式(3)のアニオン性単量体0〜100mol%、(b)非イオン性単量体0〜100mol%を(共)重合して得られる。非イオン性水溶性高分子では、アミジン構造を含有する水溶性高分子とイオン的な相互作用をしないと考えられるが、このような組成物が有効に作用する汚泥の場合もある。
【0033】
前記(A)および(B)を形成する、分散媒として使用する水と非混和性の炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
【0034】
前記(A)および(B)における、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB2〜12のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%の範囲である。
【0035】
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面化成剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面化成剤の例としては、カチオン性界面化成剤やHLB9〜15のノニオン性界面化成剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。添加量としては、油中水滴型エマルジョン(A)および(B)の重量に対して、0.1〜10%の範囲で好適である。
【0036】
(共)重合反応は、上記モノマー混合物を重合開始剤存在下、ラジカル(共)重合でおこなうことができる。重合開始剤は一般的なラジカル重合開始剤であれは特に制限は無く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系重合開始剤や光重合開始剤等を使用することが可能であり、油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどがあげられ、水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。
【0037】
またレドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。さらに過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。光重合開始剤としてはベンゾインエチルエステル、ベンゾインイソプロピルエステル等が上げられる。これらの重合開始剤の添加量は、製品の目的、反応温度により異なるが、モノマー重量に対して10〜30,000ppmの範囲であり、一度で全量添加することも、複数回に分けて添加することも可能である。
【0038】
重合反応の温度は、選択した開始剤や、カチオン粒子の目的により異なるが、一般的には5〜100℃の範囲であり、重合開始剤の効率や、反応速度の制御について考慮すると、油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲であることが好ましい。
【0039】
本発明における組成物は、上記油中水滴型エマルジョン(A)および(B)を混合した組成物である。この組成物は、高分子凝集剤用途に幅広く用いることができる。例えば、排水処理剤、汚泥脱水剤、製紙原料歩留向上剤、填料歩留向上剤などである。特に、汚泥脱水剤として汚泥に添加して用いた場合、汚泥の脱水、脱水後の汚泥含水率の低下に優れた効果を示す。
【0040】
(A)の組成比が高いものは製造コストが高いばかりでなく、汚泥脱水剤の添加量の増大といった問題が生じるが、汚泥含水率が低下するというメリットも生じる。一方で(B)の組成比が高いものは、製造コストの低減、汚泥脱水剤添加量の減少などのメリットが生じるが、汚泥含水率の低下が(A)の組成比が高いものほど望めないといったデメリットも生じる。さらには、(A)および(B)の混合による相乗効果として、凝集したフロックが増大するといった相乗効果が現われる。従って、組成物を混合して使用する範囲としては、その使用目的やコストによってかえることが好ましく、その質量比で(A):(B)=1:9〜9:1の範囲である。
【0041】
汚泥脱水剤としての使用方法に特に制限はないが、例えば本発明の組成物の希釈物を汚泥に添加して使用することができる。この際、さらに無機凝集剤、カチオン性高分子、アニオン性高分子を組み合わせて使用することもできる。これらの組み合わせて使用する無機凝集剤は、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄などある。カチオン性高分子の例は、アミン・エピクロルヒドリン縮合物などである。アニオン性水溶性高分子の例は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはアクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などのそれぞれ単独重合体あるいは前記モノマーから二つ以上を選択した共重合体、あるいは(メタ)アクリルアミドとの共重合体などである。
【0042】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(試作例A)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、N−ビニルホルムアミド57.3g、アクリロニトリル42.7g、脱イオン水87.2gおよびアイソパーM(商品名、エッソ社製、高沸点ケロシン)100g、ハイパーマーB−246(商品名、ユニケマ社製、高級脂肪酸エステル)2g、ソルビタンモノオレート6.5gを秤量し、3000rpmにて3分間攪拌した。攪拌回転数を400rpmに落とした後、このものに窒素ガスを導入し脱酸素操作を行った後、[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)]を全重量に対して2500ppm添加後、温度52℃で18時間反応を行った。18時間後温度を70℃で2時間静置し、(A)アミジン構造を有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンを得た。このものを試作−Aとした。
【0044】
(試作例−B1)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、50重量%アクリルアミド水溶液(以下AM)5.7g、80重量%濃度アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(以下DMQ)183.9g、0.2重量%メチレンビスアクリルアミド水溶液(以下MBAA)0.6g、イオン交換水169.8gを採取した。別に沸点190℃イソパラフィン(以下ISP)125gにソルビタンモノオレート(以下SOL)10.0gおよびHYPERMER 1084(商品名、ユニケマ社製、高分子界面活性剤)5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを試作−B1とした。
【0045】
(試作例−B2)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 239.0g、80重量%アクリル酸水溶液(以下AC)37.9g、MBAA 0.2g、イオン交換水82.6gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.1gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを試作−B2とした。
【0046】
(試作例−B3)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 88.7g、DMQ 120.8g、AC 11.2g、MBAA 0.2g、イオン交換水139.1gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.2gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを試作−B3とした。
【0047】
(試作例−B4)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 111.2g、DMQ 75.7g、AC 42.3g、MBAA 0.2g、イオン交換水130.7gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.2gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを試作−B4とした。
【0048】
(比較試作例1)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、50重量%アクリルアミド水溶液(以下AM)5.7g、80重量%濃度アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(以下DMQ)183.9g、イオン交換水170.4gを採取した。別に沸点190℃イソパラフィン(以下ISP)125gにソルビタンモノオレート(以下SOL)10.0gおよびHYPERMER 1084(商品名、ユニケマ社製、高分子界面活性剤)5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを比較−1とした。
【0049】
(比較試作例―2)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 239.0g、80重量%アクリル酸水溶液(以下AC)37.9g、イオン交換水82.8gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.1gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを比較−2とした。
【0050】
(比較試作例−3)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 88.7g、DMQ 120.8g、AC 11.2g、イオン交換水139.3gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.2gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを比較−3とした。
【0051】
(比較試作例―4)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、AM 111.2g、DMQ 75.7g、AC 42.3g、MBAA 0.2g、イオン交換水130.7gを採取した。別にISP 125gにSOL 10.0gおよびHYPERMER 1084 5.0gを仕込み溶解させた。それぞれを、混合し、ホモジナイザーにて3000rpmで10分間攪拌乳化した。得られたエマルジョンをモノマー溶液の温度を46〜50℃の範囲に保ち、窒素置換を30分行った後、N,N’−アゾビズイソブチロニトリル0.2gを加え、重合反応を開始させた。反応温度を46〜50℃の範囲で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル5.0gを添加混合した。このものを比較−4とした。
【実施例1】
【0052】
試作Aと試作B1〜試作B4を表1に記載した質量比により混合し、組成物1〜12とする。これらの結果を表1に示す。
【0053】
(比較例1)試作Aと比較1〜比較4を表2に記載した質量比により混合し、比較組成物1〜12とする。これらの結果を表2に示す。
【0054】
(表1)

【0055】
(表2)

【実施例2】
【0056】
組成物1〜3を用いて汚泥脱水試験を行った。都市下水消化汚泥(pH7.1、全ss分28,200mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、汚泥脱水剤として試作Aを対全重量250ppm添加し、ビーカー移し変え攪拌20回行った後、生成したフロック径を目視測定した。T−1178Lのナイロン濾布で濾過し、濾過した汚泥をプレス圧2kg/mで1分間脱水した後濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0057】
(比較例2)試作Aおよび試作B1および比較組成物1〜3を用いたこと以外は実施例2と同様な方法で汚泥脱水試験を行い、生成したフロック径、濾布剥離性およびケーキ含水率を測定した。結果を表3に示す。

【0058】
(表3)

【0059】
表3の結果から、実施例2の組成物1〜3は比較例2の試作A及び試作B1と比較して汚泥の含水率が低下しており、さらに比較組成物1〜3と比較し大きな汚泥のフロックが形成されており、実施例は比較例より優位であることが確認された。
【実施例3】
【0060】
組成物4〜6を用いて汚泥脱水試験を行った。し尿余剰汚泥(pH6.8、全ss分20,600mg/L)を塩酸でpH3.0に調整後、200mLポリビーカーに採取し、汚泥脱水剤として試作Aを対全重量150ppm添加し、ビーカー移し変え攪拌20回行った後、生成したフロック径を目視測定した。T−1178Lのナイロン濾布で濾過し、濾過した汚泥をプレス圧2kg/mで1分間脱水した後濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0061】
(比較例3)試作A、試作B2および比較組成物4〜6を用いたこと以外は実施例3と同様な方法で汚泥脱水試験を行い、生成したフロック径、濾布剥離性およびケーキ含水率を測定した。結果を表4に示す。
【0062】
(表4)

【0063】
表4の結果から、実施例3の組成物5及び6は比較例3の試作B2及び比較組成物4〜6と比較して汚泥の含水率が低下しており、さらに組成物4〜6では、試作A、試作B2及び比較組成物7〜9と比較し大きな汚泥のフロックが形成されており、実施例は比較例より優位であることが確認された。
【実施例4】
【0064】
組成物7〜9を用いて汚泥脱水試験を行った。都市下水余剰汚泥(pH6.7、全ss分22,200mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、汚泥脱水剤として試作Aを対全重量150ppm添加し、ビーカー移し変え攪拌20回行った後、生成したフロック径を目視測定した。T−1178Lのナイロン濾布で濾過し、濾過した汚泥をプレス圧2kg/mで1分間脱水した後濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
【0065】
(比較例4)試作A、試作B3および比較組成物7〜9を用いたこと以外は実施例4と同様な方法で汚泥脱水試験を行い、生成したフロック径、濾布剥離性およびケーキ含水率を測定した。結果を表5に示す。
【0066】
(表5)

【0067】
表5の結果から、実施例4の組成物7〜9は試作A、試作B3及び比較組成物7〜9と比較して汚泥の含水率が著しく低下しており、実施例は比較例より優位であることが確認された。
【実施例5】
【0068】
組成物10〜12を用いて汚泥脱水試験を行った。難脱水性余剰汚泥(pH6.3、全ss分25,300mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、汚泥脱水剤として試作Aを対全重量150ppm添加し、ビーカー移し変え攪拌20回行った後、生成したフロック径を目視測定した。T−1178Lのナイロン濾布で濾過し、濾過した汚泥をプレス圧2kg/mで1分間脱水した後濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表6に示す。
【0069】
(比較例5)試作A、試作B4および比較組成物10〜12を用いたこと以外は実施例5と同様な方法で汚泥脱水試験を行い、生成したフロック径、濾布剥離性およびケーキ含水率を測定した。結果を表6に示す。
【0070】
(表6)

【0071】
表6の結果から、実施例5の組成物10〜12は試作B4および比較組成物12と比較して汚泥の含水率が低下し、さらに試作A、試作B4および比較組成物1〜12と比較して大きな汚泥のフロックが形成されており、実施例は比較例より優位であることが確認された。なお試作A、比較組成物10および比較組成物11については、形成したフロックが著しく小さかったため、脱水ケーキの支持性が悪く脱水ケーキの含水率の測定が不可能であった。
【0072】
以上の結果を見て明らかなように、本発明の(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと(B)多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物は、従来の汚泥脱水剤と比較して、効果が優れていることがわかる。








【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと(B)多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、水溶性単量体を共重合したアミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンとの混合物であることを特徴とする安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【請求項2】
前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜100mol%と(b)非イオン性単量体0〜95mol%を共重合して得られることを特徴とする、請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【化1】

一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X−は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】

一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X−は陰イオンをそれぞれ表わす。
【請求項3】
前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(b)非イオン性単量体0〜100mol%および/または(c)下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体0〜100mol%を(共)重合して得られることを特徴とする、請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【化3】

一般式(3)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOO、YおよびYは水素イオンまたは陽イオン
【請求項4】
前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体5〜99mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜49mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(c)と(a)の組成比(c)/(a)が0<(c)/(a)<1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【請求項5】
前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体の存在下、(a)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるカチオン性単量体1〜49mol%、(b)非イオン性単量体0〜94mol%、(c)一般式(3)で表されるアニオン性単量体5〜95mol%を共重合して得られる水溶性高分子であって、(a)と(c)の組成比(a)/(c)が0<(a)/(c)<1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【請求項6】
前記アミジン構造を含有しない水溶性高分子が、前記多官能性単量体および/または架橋性単量体を、前記カチオン性単量体、前記非イオン性単量体および前記アニオン性単量体から選択される一種以上の単量体の合計質量に対して1〜50,000ppmの範囲で存在させて重合したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の安定な油中水滴型エマルジョン組成物。
【請求項7】
前記(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンが、油溶性乳化剤と水に非混和性の液状炭化水素の存在下、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの水溶液を共重合した後、加水分解して得た安定な油中水滴型エマルジョンであることを特徴とする、請求項1に記載の安定なエマルジョン組成物。
【請求項8】
前記(A)アミジン構造を含有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと前記(B)アミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合物が、質量比でそれぞれ(A):(B)=1:9〜9:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の安定なエマルジョン組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の(A)アミジン構造を有する水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンと(B)アミジン構造を含有しない水溶性高分子の安定な油中水滴型エマルジョンの混合した安定なエマルジョン組成物を汚泥に添加し、脱水機により脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。






















【公開番号】特開2008−80256(P2008−80256A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263773(P2006−263773)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】