説明

実装基板、表示装置、および電子機器

【課題】表示パネルに対して回路基板をフェイスダウン実装した構成において、表示パネル側の電極端子と回路基板側の接続配線とを低抵抗で接続可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネル3の周縁部の実装領域3bに電極端子9が引き出され、接続配線15が延設された回路基板5を実装させた表示装置1Aである。表示パネル3と回路基板5との間には、電極端子9と接続配線15とを接続すると共に、表示パネル9と回路基板5とを接着する異方性導電膜7が挟持されている。表示パネル3の実装領域3bは、開口部13Aを備えた有機保護膜13で覆われ、この開口部13Aは、有機保護膜13下の無機絶縁膜11に設けた電極端子9を露出させる接続部開口11Aと共に、接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側の領域を連続して露出させる形状である。この開口部13Aの底部において、接続配線15を対向させた状態で回路基板5が実装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板、表示装置、および電子機器に関し、特には装置パネルと回路基板とが異方性導電膜を介して接続された構成の実装基板、表示装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置などの平面型の表示装置においては、表示パネルと回路基板とを、接着性の異方性導電膜(Anisotropic conductive film:ACF)を介して電気的かつ機械的に接続する実装構造が一般的である。
【0003】
この場合、表示パネルの周縁部には内部領域から電極端子が引き出され、この周縁部を覆う有機保護膜に電極端子の接続部のみを露出させた開口部を設けておく。一方、回路基板の周縁部にも接続配線が設けられ、を配線しておく。そして、表示パネルの周縁部と回路基板の周縁部を対向配置し、異方性導電膜を挟持させる。これにより、表示パネルの周縁部と回路基板の周縁部とが異方性導電膜の接着性によって接合させる。また、表示パネルにおいて有機保護膜に設けた開口部に露出する電極端子と、回路基板側の接続配線とが、異方性導電膜によって電気的に接続させる。
【0004】
以上のような構成においては、表示パネル側の周縁部を覆う有機保護膜と異方性導電膜との接着性が弱いため、実装工程において表示パネル側に仮止めした異方性導電膜がずれ、目的とする実装状態が得られない場合があった。そこで、有機保護膜に、電極端子以外の部分を露出させる開口部を設け、この部分を異方性導電膜の密着領域とする構成が提案されている(以上、例えば下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−41064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述した実装構造では、回路基板側に設けた接続配線が、表示パネル側の有機保護膜に設けた開口部内から開口部外にかけて配線された状態になる。ところが、有機保護膜は、表示パネル側の電極などを保護するためのものであって、ある程度の厚みを有して形成されるため、これに設けた開口部もある程度の深さを有するものとなる。したがって、このような深さを有する開口部の側壁付近では、開口部内に露出する表示パネル側の電極端子と、回路基板側に設けた接続配線との間隔が広くなり、異方性導電膜を介しての電極端子と接続配線との接続抵抗を低く維持することが困難である。
【0007】
そこで本発明は、装置パネルに対して回路基板をフェイスダウン実装した構成において、装置パネル側の電極端子と回路基板側の接続配線とを低抵抗で接続可能な実装基板、表示装置、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明の実装基板は、周縁部の実装領域に電極端子が引き出された装置パネルに対して、周縁部に接続配線が延設された回路基板を実装させたものである。これらの装置パネルと回路基板との間には、電極端子と接続配線とを接続すると共に当該装置パネルと当該回路基板とを接着する異方性導電膜が挟持されている。このような構成において、装置パネルの実装領域は、開口部を備えた有機保護膜で覆われている。この開口部は、電極端子における外部配線との接続部と共に、当該接続部よりも装置パネルの端縁側の領域を連続して露出させる状態で設けられている。そして、このような開口部の底部において、上述した接続部から装置パネルの端縁側に向かって、接続配線を対向させた状態で回路基板が実装されている。
【0009】
以上のような構成の実装基板では、端子配線における接続部から装置パネルの端縁に向かって対向配置された回路基板側の接続配線は、当該接続部からはなれた位置において有機絶縁膜の開口部の側壁を乗り越えて配線されることになる。このため、電極端子における接続部の縁部において、有機保護膜の開口部側壁を乗り越えることに起因して電極端子と接続配線との間隔が広くなることが防止される。したがって、異方性導電膜を介しての電極端子と接続配線との接続を十分に図ることが可能になる。
【0010】
また本発明は、上記構成の実装基板において、装置パネルを表示パネルとした表示装置でもある。また本発明はこのような表示パネルを備えた電子機器でもある。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、装置パネルに対して異方性導電膜を介して回路基板をフェイスダウン実装した構成において、装置パネル側の電極端子と回路基板側の接続配線とを低抵抗で接続可能な実装基板、表示装置、および電子機器を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態を以下の順序で説明する。
1.第1実施形態(接続部とその端縁側とを連続開口する開口部を有する例)
2.第2実施形態(接続部とその端縁側と共に接続部の外周部分を開口する開口部を設けた例)
3.第3実施形態(隣接する接続部を連続開口する開口部を有する例)
4.第4実施形態(接続部を開口する開口部が端縁方向に開放した形状である例)
5.第5実施形態(無機絶縁膜を設けていない例)
【0013】
≪1.第1実施形態≫
<表示装置(実装基板)の構成>
図1は、第1実施形態の表示装置であり実装基板の全体構成を示す斜視図である。この図に示すように、表示装置(実装基板)1Aは、実質的な機能部として表示機能が形成された表示パネル3と、この表示パネル3を外部装置に接続するための回路基板5とを備えている。これらの表示パネル3と回路基板5とは、異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続されている。
【0014】
図2は、第1実施形態の特徴部を説明するための平面図であり、図1のZ部の拡大図である。さらに図3は、図2のA−A’断面図およびB−B’断面図である。次にこれらの図1〜図3を用いて表示装置(実装基板)1Aの詳細な構成を説明する。
【0015】
表示パネル3は、例えば実質的な機能部として表示部を設けたものであてえ、アクティブマトリックス型またはパッシブマトリックス型の表示装置の表示パネルとして構成されたものである。このような表示パネル3は、ガラス基板や他の透明材料を用いて構成された支持基板3-1の上方に、複数の画素が配列形成された表示領域3aと、この表示領域3aから複数本の電極端子9が引き出された実装領域3bとを備えている。
【0016】
このうち、表示領域3a内に配列された各画素には、例えば有機EL素子を設けてなる。また、この表示パネル3がアクティブマトリックス型の表示装置を構成するものであれば、各画素には有機EL素子と共にこの有機EL素子を駆動するための駆動回路が設けられる。また、表示領域3aを囲む領域には、駆動回路に走査信号やデータ信号を送る周辺回路が配置されている。
【0017】
以上のような表示領域3aやその周辺領域を覆う状態で、支持基板3-1上に対向基板3-2が設けられており、これらの支持基板3-1と対向基板3-2とで挟まれた部分に、上述した有機EL素子、駆動回路、および周辺回路が設けられている。
【0018】
また、実装領域3bは、支持基板3-1の周縁部であって、表示領域3aから引き出された複数の電極端子9が支持基板3-1の端縁に向かって延設される状態で配列形成されている。このように電極端子9が配列された実装領域3b上は、表示領域3aから連続して設けられた無機絶縁膜11で覆われ、さらにこの上部が有機保護膜13で覆われている。
【0019】
このうち無機絶縁膜11は、例えば窒化シリコンや酸化シリコンなで構成され、約1μm以下の膜厚を有していることとする。この無機絶縁膜11には、実装領域3bにおいて電極端子9のみを露出する接続部開口11Aが設けられている。この接続部開口11Aは、電極端子9に対して外部配線を接続させる部分を露出するように設けられ、電極端子9のみで底面が構成されている。このような接続部開口11Aは、各電極端子9を個別に露出させる状態で、例えば矩形形状や略正方形形状等の独立して閉じられた平面形状を有していることとする。
【0020】
また無機絶縁膜11を覆う有機保護膜13は、例えばポリイミド、エポキシ系樹脂、さらにはアクリレート系樹脂などで構成されていることとする。この有機保護膜13には、実装領域3bにおいて接続部開口11Aを露出する開口部13Aが設けられている。この開口部13Aは、接続部開口11Aと共に、この接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側の領域を連続して露出させる状態で設けられているところが特徴的である。これにより、開口部13Aの底面には、接続部開口11Aの底部を構成する電極端子9と、接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側の無機絶縁膜11とが露出された状態となっているところが重要である。
【0021】
尚、このような開口部13A、例えば矩形形状や略正方形形状等の独立して閉じられた平面形状を有し、表示パネル3の最端縁が有機保護膜13で連続的に覆った状態とする。これにより、1枚の大型基板の表示パネル3を形成した場合に、この大側基板を各表示パネル3に分断する際のパネル分断性を確保でき、また無機絶縁膜11の加工保護性を確保することができる。
【0022】
以上のような有機保護膜13は、表示パネル3側の電極などを保護するためのものであって、例えば1μm以上のある程度の厚みを有して形成される。ただし、有機保護膜13の膜厚は、次に説明する接続配線15の膜厚を超えない範囲であることとする。このため、これに設けた開口部13Aもある程度の深さを有するものとなる。そこで、開口部13Aは、順テーパ形状の周壁で構成されていることとする。
【0023】
尚、以上のような構成の表示パネル3は、有機EL素子を設けてなるものに限定されることはなく、液晶表示パネルやLED表示パネルであっても良い。
【0024】
一方、この表示パネル3に対して実装させる回路基板5は、表示パネル3を外部装置に接続するためのインターフェイスとなる基板である。ここで用いる回路基板5は、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)や、テープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package:TCP)など、フレキシブルに屈曲する支持基板5-1上に、複数の接続配線15を設けてなる。ただし、異方性導電膜7を介して表示パネル3に実装されるため、異方性導電膜7を構成する導電性微粒子の弾性圧縮変形量がある程度必要である。このため、回路基板5の変形が小さい方が、導電性微粒子に掛かる圧縮力が均一に安定し、良好な電気的接続に繋がる。
【0025】
このような回路基板5に設けられている接続配線15は、膜厚5〜20μm程度である。これらの接続配線15は、支持基板5-1の一端縁にまで延設される状態で配列形成されている。
【0026】
このような回路基板5は、接続配線15の形成面を、表示パネル3における電極端子9の形成面に対向させる状態で配置されている。そして、回路基板5における接続配線15が延設された端縁と、表示パネル3において電極端子9が設けられた実装領域3b側の端縁とを対向させた位置から、これらの表示パネル3と回路基板5の端縁同士が重ね合わせられた状態となっている。
【0027】
また重ね合わせられた状態において、表示パネル3側における開口部13A内に露出している電極端子9に対して、回路基板5側の接続配線15が対向配置されている。各接続配線15は、開口部13A内において、接続部開口11A上から、この接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側に向かって、無機絶縁膜11が露出されている部分上、さらには開口部13Aの側壁を乗り越えて有機保護膜13上を通過する様に配置される。これにより、有機保護膜13の開口部13Aには、電極端子9だけではなく、接続配線15が面する領域にも設けられた構成としている。
【0028】
以上のように表示パネル3と回路基板5とが重ね合わされた部分には、異方性導電膜7(断面図参照)が挟持されている。この異方性導電膜7は、例えば熱硬化性樹脂のような接着性材料7a内に導電性微粒子7bを分散させてなるもので、接着性材料7aの接着性によって表示パネル3と回路基板5との端縁同士の接合がなされている。また、接続部開口11Aにおいて、電極端子9と接続配線15との間に導電性微粒子7bが挟持されることにより、これらの電気的な接続がなされている。
【0029】
<表示装置(実装基板)の製造手順>
以上のような構成の表示装置(実装基板)1Aの製造手順を図4に基づいて説明する。
【0030】
先ず、表示パネル3の実装領域3b上に、フィルム状に整形された異方性導電膜7を載置して仮止めする。次に、表示パネル3の実装領域3b上に回路基板5を配置し、表示パネル3側の接続部開口11Aに対して回路基板5側の接続配線15が所定状態で配置されるように、表示パネル3と回路基板5とのアライメントを行う。この状態で、異方性導電膜7を介して表示パネル3と回路基板5とを押し圧しながら加熱し、異方性導電膜7の樹脂成分を溶融させ、さらに樹脂成分が硬化さる。これにより、異方性導電膜7に含まれている導電性微粒子7bによって電極端子9と接続配線15とを電気的に接続させると共に、表示パネル3の実装領域3bに回路基板5を接着固定して実装する。
【0031】
以上のようにして得られた図1〜図3に示した表示装置(実装基板)1Aによれば、有機保護膜13に設けた開口部13Aが、電極端子9を露出させている接続部開口11Aだけではなく、これよりも装置パネル3の端縁側も広く露出させる形状である。これにより、図3のB−B’断面に示されるように、電極端子9を露出させるための開口部13Aおよび接続部開口11Aは、装置パネル3の端縁側に向かって段階的に開口幅が拡大される形状となる。
【0032】
このため、回路基板5側の接続配線15は、接続部開口11Aから接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側に向かって、開口幅が段階的に拡大される部分を通過して配置されることになる。したがって、接続部開口11Aの縁部において、接続配線15が有機保護膜13の開口部13A側壁の大きな段差を乗り越えることに起因して電極端子9と接続配線15との間隔dが広くなることが防止される。
【0033】
ここで図5には、比較例として無機絶縁膜11に設けた接続部開口11aのみを露出するように、有機保護膜13の開口部13a’を設けた構成の平面図およびB−B’断面図を示す。このような構成では、電極端子9と接続配線15との接続部の縁部において、電極端子9と接続配線15との間隔dが広くなる。
【0034】
これに対して、第1実施形態の表示装置1Aでは、上述のように電極端子9と接続配線15との接続部の縁部で、この間隔dが広くなることが防止されるため、異方性導電膜7を介しての電極端子9と接続配線15とを低抵抗で接続可能になる。
【0035】
また、有機保護膜13の開口部13A内には、無機絶縁膜11が露出している。このため、無機絶縁膜11−異方性導電膜7間の界面の接着性により、表示パネル3と回路基板5との接合を補強することができる。
【0036】
図6は、図1〜3を用いて説明した第1実施形態の表示装置1Aと、図5に示した比較例とについての、高温高湿保存時間と密着強度との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、有機保護膜13の開口部13A内に無機絶縁膜11を露出させた第1実施形態の構成では、無機絶縁膜11を露出させていない比較例の構成よりも、回路基板(FPC)の密着強度が向上することが確認された。
【0037】
また以上の他にも、酸素や水分の透過率、含有率が高い有機保護膜13が電極端子9付近から減り、電極端子9の金属イオン化による隣接電極間短絡や、有機膜膨潤による無機膜との密着性低下などを軽減できる効果も得られる。
【0038】
≪2.第2実施形態≫
【0039】
図7は、第2実施形態の表示装置(実装基板)の特徴部を説明するための平面図である。尚、本第2実施形態の表示装置(実装基板)1Bの全体構成図は、第1実施形態と同様であり、図7は図1のZ部の拡大図に相当する。
【0040】
この図に示す第2実施形態の表示装置(実装基板)1Bが、第1実施形態と異なるところは、有機保護膜13に設けた開口部13Bの大きさにあり、他の構成は第1実施形態と同様であることとする。
【0041】
すなわち開口部13Bは、接続部開口11Aと共に、この接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側の領域を連続して露出させる状態で設けられており、さらに接続部開口11Aの外周部分も露出する大きさを有している。ここで接続部開口11Aの外周部分とは、電極端子9の配列方向における接続部開口11Aの外周部分で有り無機絶縁膜11上の部分である。
【0042】
このような構成の第2実施形態の表示装置(実装基板)1Bであっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態の構成と比較して開口部11B内に露出される無機絶縁膜11の面積が拡大される。これにより、第1実施形態と比較して、無機絶縁膜11−異方性導電膜7間の界面の接着性による表示パネル3と回路基板5との接合を、さらに補強することが可能になる。
【0043】
≪3.第3実施形態≫
図8は、第3実施形態の表示装置(実装基板)の特徴部を説明するための平面図である。尚、本第3実施形態の表示装置(実装基板)1Cの全体構成図は、第1実施形態と同様であり、図8は図1のZ部の拡大図に相当する。
【0044】
この図に示す第2実施形態の表示装置(実装基板)1Cが、第1実施形態と異なるところは、有機保護膜13に設けた開口部13Cの大きさにあり、他の構成は第1実施形態と同様であることとする。
【0045】
すなわち開口部13Cは、各電極端子9にそれぞれ設けた接続部開口11Aのうち、隣接して設けられた複数の接続部開口11Aを連続して開口する開口形状を有している。つまり、開口部13Cの底部には、隣接して設けられた複数(例えば2つ)の接続部開口11Aと電極端子9が露出した状態となっている。
【0046】
このような構成の第3実施形態の表示装置(実装基板)1Cであっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態の構成および第2実施形態の構成と比較して、開口部11C内に露出される無機絶縁膜11の面積がさらに拡大される。これにより、第1実施形態と比較して、無機絶縁膜11−異方性導電膜7間の界面の接着性による表示パネル3と回路基板5との接合を、さらに補強することが可能になる。
【0047】
≪4.第4実施形態≫
図9は、第4実施形態の表示装置(実装基板)の特徴部を説明するための平面図である。尚、本第4実施形態の表示装置(実装基板)1Dの全体構成図は、第1実施形態と同様であり、図9は図1のZ部の拡大図に相当する。
【0048】
この図に示す第4実施形態の表示装置(実装基板)1Dが、第1実施形態と異なるところは、有機保護膜13に設けた開口部13Dの形状にあり、他の構成は第1実施形態と同様であることとする。
【0049】
すなわち開口部13Dは、接続部開口11Aと共に、この接続部開口11Aよりも表示パネル3の端縁側の領域を連続して露出させる状態で設けられており、さらに表示パネル3の端縁側に開放された形状を有している。これにより、表示パネル3の実装領域3bの際周端は、有機保護膜13で覆われている部分と覆われていない部分とが交互に配置された状態となる。
【0050】
このような構成の第4実施形態の表示装置(実装基板)1Dでは、回路基板5側の接続配線15が、有機保護膜13上に乗り上げて配置されることがない。したがって、接続配線15を高低さなく配線できるため、他の実施形態と比較して、電極端子9と接続配線15との間隔をより確実に一定に維持でき、電極端子9と接続配線15との接続抵抗をさらに低抵抗化することができる。
【0051】
≪5.第5実施形態≫
図10は、第5実施形態の表示装置(実装基板)の特徴部を説明するための平面図である。尚、本第5実施形態の表示装置(実装基板)1Eの全体構成図は、第1実施形態と同様であり、図10は図1のZ部の拡大図に相当する。
【0052】
この図に示す第5実施形態の表示装置(実装基板)1Dが、他の実施形態と異なるところは、実装領域3bに無機絶縁膜(11)が設けられておらず、電極端子9上に直接、有機保護膜13が設けられているところにある。このため、有機保護膜13の開口部は、電極端子9の線端部に設定された接続部9Eを露出し、さらにこの接続部9Eよりも表示パネル3の端縁側の領域を連続して露出させる状態で設けられている。これにより、開口部13Aの底面には、電極端子9の接続部9Eと共に、接続部9Eよりも表示パネル3の端縁側の支持基板3-1の表面が露出された状態となる。
【0053】
このような第5実施形態の構成の(実装基板)1Dでは、回路基板5側の接続配線15が、電極端子9の端縁から支持基板3-1の表面に引き下ろされ配置される。このため、第1実施形態〜第3実施形態の構成と比較した場合、電極端子9と接続配線15との間隔が広げられる要素が排除され、この間隔を一定に維持し易い。したがって、第1実施形態〜第3実施形態の構成と比較して、電極端子9と接続配線15との接続抵抗をさらに低抵抗化することができる。
【0054】
また、有機保護膜13の開口部13A内には、支持基板3-1の表面が露出している。このため、支持基板3-1−異方性導電膜7間の界面の接着性により、表示パネル3と回路基板5との接合を補強することができる。
【0055】
<適用例>
以上説明した本発明に係る製造方法によって得られる表示装置は、図11〜図15に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0056】
図11は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0057】
図12は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0058】
図13は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0059】
図14は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0060】
図15は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0061】
尚、以上説明した各実施形態においては、実質的な機能部として表示機能が形成された表示パネル3に回路基板5を実装した表示装置1A〜1Eの構成を説明した。しかしながら本発明は、表示パネルを用いた表示装置への適用に限定されることはない。例えば、実質的な機能部として演算機能や他の機能を備えた装置パネルを用いても良く、このような装置パネルに対して回路基板を実装してなる実装基板に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態の表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の表示装置の要部を説明するための拡大平面図である。
【図3】第1実施形態の表示装置の要部断面図である。
【図4】第1実施形態の表示装置の製造を説明するための図である。
【図5】本発明と比較する表示装置の平面図とそのB−B’断面図である。
【図6】第1実施形態の表示装置と比較例との高温高湿保存時間と密着強度との関係を示すグラフである。
【図7】第2実施形態の表示装置の要部を説明するための拡大平面図である。
【図8】第3実施形態の表示装置の要部を説明するための拡大平面図である。
【図9】第4実施形態の表示装置の要部を説明するための拡大平面図である。
【図10】第5実施形態の表示装置の要部を説明するための拡大平面図である。
【図11】本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図12】本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図13】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図14】本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図15】本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C,1D,1E…表示装置(実装基板)、3…表示パネル、3b…実装領域、5…回路基板、7…異方性導電膜、9…電極端子、9E…接続部、11…無機絶縁膜、11A…接続部開口(接続部)、13…有機保護膜、13A,13B,13C,13D…開口部、15…接続配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部の実装領域に電極端子が引き出された装置パネルと、
前記実装領域を覆う有機保護膜と、
前記電極端子における外部配線との接続部および当該接続部よりも前記装置パネルの端縁側の領域を連続して露出させる状態で、前記有機保護膜に設けられた開口部と、
周縁部に接続配線が延設され、前記有機保護膜の開口底部において前記接続部から前記装置パネルの端縁側に向かって当該接続配線を対向させた状態で前記装置パネルに実装された回路基板と、
前記装置パネルと前記回路基板との間に挟持され、前記電極端子と前記接続配線とを接続すると共に当該装置パネルと当該回路基板とを接着する異方性導電膜とを備えた
実装基板。
【請求項2】
前記装置パネルの実装領域は、無機絶縁膜を介して前記有機保護膜で覆われ、
前記無機絶縁膜には、前記電極端子における外部配線との接続部となる接続部開口が設けられている
請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記有機保護膜の開口部は、閉じられた開口形状を有している
請求項1または2に記載の実装基板。
【請求項4】
前記有機保護膜の開口部は、前記接続部よりも前記装置パネルの端縁側の領域と共に当該接続部の外周部分を露出する大きさを有している
請求項1〜3の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項5】
前記有機保護膜の開口部は、隣接して配置された前記電極端子を連続して開口する開口形状を有している
請求項1〜4の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項6】
前記有機保護膜の開口部は、順テーパ形状の周壁で構成されている
請求項1〜5の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項7】
周縁部の実装領域に電極端子が引き出された表示パネルと、
前記実装領域を覆う有機保護膜と、
前記電極端子における外部配線との接続部および当該接続部よりも前記表示パネルの端縁側の領域を連続して露出させる状態で、前記有機保護膜に設けられた開口部と、
周縁部に接続配線が延設され、前記有機保護膜の開口底部において前記接続部から前記表示パネルの端縁側に向かって当該接続配線を対向させた状態で前記表示パネルに実装された回路基板と、
前記表示パネルと前記回路基板との間に挟持され、前記電極端子と前記接続配線とを接続すると共に当該表示パネルと当該回路基板とを接着する異方性導電膜とを備えた
表示装置。
【請求項8】
周縁部の実装領域に電極端子が引き出された表示パネルと、
前記実装領域を覆う有機保護膜と、
前記電極端子における外部配線との接続部および当該接続部よりも前記表示パネルの端縁側の領域を連続して露出させる状態で、前記有機保護膜に設けられた開口部と、
周縁部に接続配線が延設され、前記有機保護膜の開口底部において前記接続部から前記表示パネルの端縁側に向かって当該接続配線を対向させた状態で前記表示パネルに実装された回路基板と、
前記表示パネルと前記回路基板との間に挟持され、前記電極端子と前記接続配線とを接続すると共に当該表示パネルと当該回路基板とを接着する異方性導電膜とを備えた
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−92959(P2010−92959A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259351(P2008−259351)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】