説明

容器にプラズマ被覆を付着させる方法及び装置

本発明は容器の内側表面にプラズマ被覆を施してガス透過に対する有効なバリヤーを与える方法及び装置を記載する。この方法は容器の内部表面に非常に薄い、そしてほぼ欠陥のないポリオルガノシロキサン及び酸化ケイ素の層を迅速かつ均一に付着させてバリヤー性を1オーダー以上増大させることを達成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、更に詳しくは容器、好ましくはプラスチック容器、の内側表面上に、プラズマ形成被覆を付着させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器(container)は多年にわたり非炭酸又は炭酸飲料用包装容器に使用されてきた、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)のようなプラスチックは、これらが耐破損性であり、かつ軽量で透明であるため、消費者に好まれてきた。残念なことに、飲料のプラスチックにおける保存期間はその比較的高いO2及びCO2透過度のために限られている。
【0003】
プラスチック容器を処理して低O2及びCO2透過性にする努力は知られている。例えばLaurentら(特許文献1)は、プラズマ増進化学蒸着(PECVD)を用いて、プラスチック容器の内側表面をSiOx層で被覆することを記載している。一般に、SiOx被覆はガス透過に対する有効なバリヤーを提供するが、SiOxはプラスチック容器に対するガス透過に対する有効なバリヤーを形成するには不十分である。
【0004】
Namikiは、特許文献2において、PET及びPPボトルの外側表面へのプラズマ重合ケイ酸化合物(silicic compound)の付着(deposition)、それに続くSiOx層の付着を述べている。この重合ケイ酸化合物の厚さは0.01〜0.1μmでSiOx層の厚さは0.03〜0.2μmである。Namikiはプラズマ重合ケイ酸化合物とSiOx層(xは1.5〜2.0)の組合せが、それぞれ単独の層に比べて卓越したバリヤー性を示すが、層の合計付着時間は15分のオーダーであり、これは商業用としては非実用的である。更にNamikiのプロセスは多くのプラズマ重合モノマーが所望の表面以外の場所に付着するので不利である。この非所望的付着は非効率的な前駆体−被覆軟化、汚染、機器の腐蝕及び下地被覆の非均一性を生じる。
【0005】
【特許文献1】WO 9917333号明細書
【0006】
【特許文献2】米国特許第5,641,559号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、容器、特にプラスチック容器、を迅速かつ均一に被覆してガス透過に対する効果的なバリヤー(障壁)を提供するプロセスを見出すことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内表面を有する容器の保護バリヤーを製造するにあたり、
a)部分真空下、そして酸素リッチ雰囲気において、第一の有機ケイ素化合物を、均一な厚さのポリオルガノシロキサン層が容器の内表面上に付着するような条件下に、プラズマ重合させ、そして
b)部分真空下に、第二の有機ケイ素化合物を、同一又は異なったポリオルガノシロキサン層に重ね合せて、均一な厚さの酸化ケイ素層が付着するような条件下に、プラズマ重合させる
工程を含んでなる保護バリヤーの製造方法を提供することによって当業界における課題に対応する。
【0009】
第二の態様において、本発明は、容器の表面にプラズマで形成させた被覆を付着させる改良装置であって、その装置が
a)キャビティ、内部及び外部を有する外部導電性共鳴シリンダー、
b)共鳴キャビティの外部に接続されたマイクロウェーブ域に電磁界を生ぜしめることのできる発電機、
c)外部導電性共鳴シリンダーと発電機との間に位置して、マイクロ波を外部導電性共鳴シリンダーの内部に向けることができるウェーブガイド、
d)外部導電性共鳴シリンダー内に配置した、マイクロウェーブに、対して透明な円筒状チューブであって容器を導入できるようにするために一端が閉鎖され、そして他端が開放されたチューブ、
e)共鳴キャビティに位置する少なくとも一つの電気的に導電性のプレート並びに
f)開放端のカバー
を有し、そして改良点が、多孔性であるか、同軸であるか、長手方向に往復動するか、長手方向軸の周りに回転するか又はその組合せであり、そして少なくとも部分的に容器中に伸びるように容器中に挿入可能な、カバーに適したインジェクターを含む改良装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明プロセスはWO 0066804号明細書に記載の装置に図1に示すような改良を加えた装置を用いて実施する、独特ではないが、有利なプロセスである。装置10は、好ましくは円筒状の、外部導電性共鳴キャビティ(external conducting resonant cavity)(キャビティを有する外部導電性共鳴シリンダーとも呼ばれる)12を有する。装置10は共鳴キャビティの外側に接続される発電機(又は発生器)(generator)14を含んでいる。この発電機14はマイクロウェーブ域に電磁界、更に詳しくは周波数2.45GHzに相当する電磁界を生ずることができる。発電機14は共鳴キャビティの外側のボックス13に配置し、それが放出する電磁的放射はウェーブガイド15によって共鳴キャビティ12に吸い取られる。このウェーブガイド15は軸A1に対して実質的に垂直で、共鳴キャビティ12の半径に沿って伸び、共鳴キャビティの内部に位置するウィンドウを通して排出する。
【0011】
チューブ16は、共鳴キャビティ12の内部に位置するマイクロウェーブに対して透明な(透過度の大きい)、中空円筒である。チューブ16はその一端において壁26により閉鎖されており、そして他端においてはPECVDによって処理される容器24が導入できるように開放されている。容器24はガラス、セラミックス、複合体及びプラスチックのような任意の非電導性材料のものである。容器24は好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリアルキレンテレフタレート、ポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどのポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル並びにポリ乳酸のようなプラスチックが好ましい。
【0012】
チューブ16の開放端は、容器24の内部に減圧部分圧を生じさせるために、チューブ16によって規定される空間を部分真空(partial vacuum)で吸引できるよう、カバー20でシールする。容器24は容器24用ホルダー22によってその首部で所定位置に保持されている。部分真空は容器24の内部及び外部の両者に適用して、容器24が、容器24の変形を生じるおそれのある、極めて大きい圧力差に曝されるのを防止するという利点がある。容器の内側及び外側の部分真空度が異なり、容器の外側に維持される部分真空は、付着で望ましくない容器24の外側へのプラズマ生成を生じないように設定する。好ましくは、容器24の内側に対して、20μbar〜200μbarの範囲の部分真空に維持し、そして20mbar〜100mbar又は10μbarより低い部分真空を容器24の外側に吸引する。
【0013】
カバー20は容器24中に適合させるインジェクター27と組合され、反応性モノマー及びキャリヤーを含む反応性流体を導入できるように、少なくとも部分的に容器24中に伸びる。インジェクター27は、例えば多孔性、末端開放、長手方向に往復動したり、回転したり、同軸であったり、そしてこれらの組合せであったりするように設計することができる。本明細書において使用する用語“多孔性”は伝統的な意味での複数の孔を含むことをいい、そしてまた一つ又はそれ以上のスリットを含むすべての気体通過性通路(pathway)も含む広い意味で使用するものとする。インジェクター27の好ましい態様は末端開放の多孔性インジェクターであり、更に好ましくは孔度に勾配を有する(即ち異なったグレードの又は度合の孔度の)末端開放であり、このインジェクターは好ましくは容器のほとんど全長に伸びる。インジェクター27の孔径は好ましくは容器24の内表面に活性化前駆体ガスのフラックス(flux)の均一性を最適化するように、容器24の底部に向って増大するのが好ましい。図1はこの孔度の相違をシェードの違いで示しており、頂部1/3のインジェクター27aの孔度は中間1/3のインジェクター27bの孔度より低く、そしてそのインジェクター27bの孔度は底部1/3のインジェクター27cの孔度より低い。インジェクター27の孔度は一般に0.5μm〜1mmの範囲のオーダーである。しかしながら、この勾配又は傾斜(gradation)は例示のように段階的から真に連続的までの種々の形態をとりうる。インジェクター27の断面径は容器24の最も硬い部分の内径よりほんの少し小さい径(一般には40mm)から1mm程度まで変化することができる。
【0014】
装置10はまた、少なくとも一つの共鳴キャビティに少なくとも一つの電気的に導電性のプレートを含み、容器24の内部におけるプラズマの部分をコントロールするように共鳴キャビティの幾何学的配置を調整する。更に好ましくは、必須ではないが、図1に示すように、装置10は、共鳴キャビティ12及び取り囲むチューブ16に位置する、二つの環状の導電性プレート28及び30を含む。プレート28及び30は、互いに、それらがそれらを通してウェーブガイド15が共鳴キャビティ12中に注ぐようにチューブ16の両側に軸方向に取り付けられるように、配置されている。プレート28及び30は、付着の間、プラズマを発火し、維持するように設計される。プレート28及び30の位置は滑動するロッド32及び34によって調節することができる。
【0015】
ポリオルガノシロキサン及びSiOxの付着は以下のようにして実施することができる。バランスガス及び作用ガス(working gas)(一緒にして合計ガス混合物)を含むガス混合物を、所望のガスバリヤー性を有する被覆を創成するような濃度、電力密度(power density)及び時間でインジェクター27を通して流す。
【0016】
本明細書において使用する用語「作用ガス」は反応性物質をいい、それは標準温度及び圧力において、ガス状であっても、ガス状でなくてもよく、重合して下地の上に被覆を形成することができるものをいう。適当なガスの例としては、シラン、シロキサン及びシラザンのような有機ケイ素化合物をあげることができる。シランの例としては、テトラメチルシラン、トリメチルシラン、ジメチルシラン、メチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、テトラエトキシシラン(テトラエチルオルソシリケート又はTEOSともいう)、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、フェニルトリエトキシシラン及びジメトキシジフェニルシランがあげられる。シロキサンの例としては、テトラメチルジシロキサンヘキサメチルジシロキサン及びオクタメチルトリシロキサンをあげることができる。シラザンの例としてはヘキサメチルシラザン及びテトラメチルシラザンをあげることができる。シロキサンが好ましい作用ガスであり、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)が特に好ましい。
【0017】
本明細書において、用語「バランスガス」は電極を通して最終的には下地へ作用ガスを運ぶ反応性又は非反応性ガスである。適当なバランスガスの例としては、空気、O2,CO2,NO,N2O及びこれらの組合せをあげられる。酸素(O2)が好ましいバランスガスである。
【0018】
第一のプラズマ重合工程において、第一の有機ケイ素化合物は、予め、例えば粗面化、架橋化又は表面酸化などの表面変性されていても、されていなくてもよい容器の内表面上に、酸素リッチ雰囲気中でプラズマ重合させる。本明細書において、用語「酸素リッチ雰囲気」はバランスガスが少なくとも20%酸素、更に好ましくは少なくとも50%の酸素を含むことを意味する。即ち、本発明の目的に対して、空気は適当なバランスガスであるが、N2はそうではない。
【0019】
ポリオルガノシロキサン層の品質は、バランスガス80モル%までは、合計ガス混合物に対するバランスガスのモル%比率に事実上依存し、そこでは前記層の品質が実質的に崩壊する。ポリオルガノシロキサン層の製造用のプラズマの電力密度は好ましくは10MJ/kgより大きく、更に好ましくは20MJ/kgより大きく、そして最も好ましくは30MJ/kgより大きく、そして好ましくは1000MJ/kgより小さく、更に好ましくは500MJ/kgより小さく、そして最も好ましくは300MJ/kgより小さい。
【0020】
第一工程において、プラズマは5秒間より短く維持するのが好ましく、更に好ましくは2秒間より短く、そして最も好ましくは1秒間より短く、そして好ましくは0.1秒内より長く、そして更に好ましくは0.2秒間より長く維持することにより、厚さが好ましくは500Åより薄い、より好ましくは200Åより薄い、そして最も好ましくは100Åより薄い、そして好ましくは25Åより厚い、そして更に好ましくは50Åより厚いポリオルガノシロキサン被覆を形成する。
【0021】
好ましくは、第一のプラズマ重合工程は、500Å/secより小さく、更に好ましくは200Å/secより大きく、そして好ましくは50Å/secより大きく、そして更に好ましくは100Å/secより大きい付着速度で実施する。
【0022】
好ましいポリオルガノシロキサン層の化学組成は、
SiOxyz
(式中、xは1.0〜2.4の範囲であり、yは0.2〜2.4の範囲であり、そしてzは0に等しいか、それより大きく、更に好ましくは4以下である。)
である。
【0023】
第二のプラズマ重合工程においては、第一の有機ケイ素化合物と同一又は別の第二の有機ケイ素化合物がプラズマ重合して前述の又は別のポリオルガノシロキサン層の上に酸化ケイ素層を形成する。言い換えれば、別の化学組成の一つより多いポリオルガノシロキサン層を有することが可能であり、場合によっては有利である。好ましくは酸化ケイ素層はSiOx層(式中、xは1.5〜2.0の範囲である)である。
【0024】
第二のプラズマ重合工程については、合計ガス混合物に対するバランスガスのモル比はバランスガス及び作用ガスに対し化学量論的であるのが好ましい。例えばバランスガスが酸素であり、そして作用ガスがTMDSOである場合には、合計ガスに対するバランスガスの好ましいモル比は85〜95%である。酸化ケイ素の製造に対するプラズマの電力密度は、好ましくは10MJ/kgより大きく、更に好ましくは20MJ/kgより大きく、そして最も好ましくは30MJ/kgより大きく、そして好ましくは500MJ/kgより小さく、そして更に好ましくは300MJ/kgより小さい。
【0025】
この第二の工程において、プラズマは、好ましくは10秒より短く、更に好ましくは5秒より短く、そして好ましくは1秒より長く維持して、厚さが500Åより薄く、更に好ましくは300Åより薄く、最も好ましくは200Åより薄く、そして好ましくは50Åより厚く、更に好ましくは100Åより厚い酸化ケイ素被覆を形成する。
【0026】
第二プラズマ重合工程は、好ましくは500Å/secより低く、更に好ましくは200Å/secより低く、そして好ましくは50Å/secより高く、更に好ましくは100Å/secより高い付着速度で実施する。
【0027】
第一及び第二プラズマ重合層の合計厚は、好ましくは1000Åより小さく、更に好ましくは500Åより小さく、更に好ましくは400Åより小さく、最も好ましくは300Åより小さく、そして好ましくは100Åより大きい。合計プラズマ重合付着時間(即ち、第一及び第二層のための付着時間)は好ましくは20秒より短く、更に好ましくは10秒より短く、最も好ましくは5秒より短い。
【0028】
驚くべきことに、均一な厚さの非常にうすい被覆を容器の内表面に迅速に付着してO2やCO2のような小さな分子の透過に対してのバリヤーを創成することを見出した。本明細書において使用する用語「均一な厚さ」は被覆領域全体の厚さの変動が25%より少ない被覆を意味する。被覆に事実上クラックや有孔部(foramina)がないのが好ましい。バリヤー改良因子(BIF、処理ボトルに対する非処理ボトルの特定のガスの透過速度の比)が少なくとも10であるのが好ましく、少なくとも20であるのが更に好ましい。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、例示の目的のためのみで、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例:PETボトル上へのプラズマ被覆の製造
この実施例は図1の装置を用いる。本例において、容器24は炭酸飲料用に適当な500mLPETボトルである。ボトル24は共鳴キャビティ12に位置するチューブ16中へ挿入する。カバー12は、インジェクター27がボトル24の底から1cmに位置するように、ボトル24中に取り付けた末端開放の孔度が勾配を有するインジェクター27に、適合されている。インジェクター27は、図1に示すように、2.5″長(6.3cm)の多孔中空ステンレスチューブ(外径0.25″(0.64cm)、内径0.16″(0.41cm))の3部分を一緒に溶接することによって、7.5″(19cm)の孔度勾配を有するインジェクターを作製する。頂部1/3のインジェクター27aの孔径は20μmで、中間1/3のインジェクター27bの孔径は30μmで、そして底部1/3のインジェクター27cの孔径は50μmである(多孔チューブはMott,Corp.より入手)。
【0030】
ボトル24の内側及び外側の両方に部分真空を確立する。ボトル24の外側は80mbarに維持し、そして内側は当初10μbarに維持する。オルガノシロキサン層は、以下のようにして、ボトル24の内側表面に均一に付着させる。TMDSO及びO2をそれぞれインジェクター27を10sccmの速度で一緒に流すことによって容器内部の分圧が増大する。分圧が40μbarに到達したら(一般には1秒より短い)、電力150W(電力密度120MJ/kgに相当)を0.5秒間適用して、厚さ50Åのオルガノシロキサン層を形成させる。
【0031】
前記オルガノシロキサン層の上に、以下のようにして、SiOx層を付着させる。TMDSO及びO2をインジェクター27を通して、それぞれ、10sccm及び80sccmの速度で、流すことによって、ボトル24の内部の分圧が上昇する。この分圧が60μbarに達したら(一般には1秒より短い)、350Wの電力(120MJ/kgの電力密度に相当)を3.0秒間適用して厚さ150ÅのSiOx層を形成させる。
【0032】
バリヤー性能は、バリヤー改良因子(BIF)、即ち被覆ボトルに対する非被覆ボトルの酸素透過速度の比によって示す。Oxtran2/20酸素透過装置(Mocon,Inc.より入手)を用いて測定したBIF値は27で、これは酸素透過速度0.0017cm3/ボトル/日に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は容器内面を被覆するのに使用する装置の一例である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内表面を有する容器の保護バリヤーを製造するにあたり、
a)部分真空下、そして酸素リッチ雰囲気において、第一の有機ケイ素化合物を、均一な厚さのポリオルガノシロキサン層が容器の内表面上に付着するような条件下に、プラズマ重合させ、そして
b)部分真空下に、第二の有機ケイ素化合物を、同一又は異なったポリオルガノシロキサン層に重ね合せて、均一な厚さの酸化ケイ素層が付着するような条件下に、プラズマ重合させる
工程を含んでなる保護バリヤーの製造方法。
【請求項2】
ポリオルガノシロキサン層及び酸化ケイ素層の組合せ厚が400Åより薄くなるような電力密度並び第一及び第二の有機ケイ素化合物の濃度で、そしてそのような時間で、プラズマ重合工程を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一のプラズマ重合工程を100Å/secより大きく、200Å/secより小さい付着速度で実施し、そして第二のプラズマ重合工程を30Å/sec以上で60Å/sec以下の付着速度で実施し、かつ合計プラズマ重合付着時間が10秒以下である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオルガノシロキサンが式:
SiOxyz
(式中、xは1.0〜2.4の範囲であり、yは0.2〜2.4の範囲であり、そしてzは4以下である)
によって表わされ、そして酸化ケイ素層が式:
SiOx
(式中、xは1.5〜2.0である)によって表わされ、かつ容器がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ乳酸からなる群から選ばれるプラスチックを含んでなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
酸素並びに第一及び第二の有機ケイ素化合物を、多孔性であるか、末端開放であるか、長手方向に往復動するか、回転するか、もしくは同軸であるか、又はこれらの組合せであるインジェクターを通して供給する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
酸素並びに第一及び第二の有機ケイ素化合物を、容器内に位置し、かつほぼ容器長にのびる、末端開放で、孔度に勾配のある多孔インジェクターであって、その孔度が容器底部に向かって段階的又は連続的様式で増大する多孔インジェクターを通して供給する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
容器の内側及び外側の両方を部分真空に保持し、容器の内側の部分真空が約20μbar〜約200μbarであり、そして容器の外側の部分真空が20mbar〜約100mbar又は10μbarより低い請求項6に記載の方法。
【請求項8】
容器の表面にプラズマ形成被覆を付着させる改良装置であって、その装置が
a)キャビティ、内部及び外部を有する外部導電性共鳴シリンダー、
b)共鳴キャビティの外部に接続されたマイクロウェーブ域に電磁界を生ぜしめることのできる発電機、
c)外部導電性共鳴シリンダーと発電機との間に位置して、マイクロ波を外部導電性共鳴シリンダーの内部に向けることができるウェーブガイド、
d)外部導電性共鳴シリンダー内に配置した、マイクロウェーブに対して透明な円筒状チューブであって、容器を導入できるようにするために、一端が閉鎖され、そして他端が開放されたチューブ、
e)共鳴キャビティに位置する少なくとも一つの電気的に導電性のプレート並びに
f)開放端のカバー
を有し、そして改良点が、多孔性であるか、同軸であるか、長手方向に往復動するか、長手方向軸の周りに回転するか又はその組合せであり、そして少なくとも部分的に容器中に伸びるように容器中に挿入可能な、カバーに適合したインジェクターを含む装置。
【請求項9】
インジェクターが孔度に勾配のある多孔性で末端開放であり、そしてその孔度がインジェクターの開放末端部分に対し段階的又は連続的様式で増大する請求項8に記載の装置。

【公表番号】特表2006−507197(P2006−507197A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507125(P2005−507125)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/035701
【国際公開番号】WO2004/044039
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】