説明

容器の殺菌・洗浄用ノズル及び容器の殺菌・洗浄方法

【課題】殺菌効果や洗浄効果が高く、殺菌液や洗浄液の使用量を低減できる容器の殺菌・洗浄用ノズル及び容器の殺菌・洗浄方法を提供する。
【解決手段】倒立した容器2の口部35に挿入され、殺菌液又は洗浄液からなる液体を噴出して容器内を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄用ノズルであって、ノズル1は気体導入部11を備え、殺菌液又は洗浄液からなる液体に気体導入部11から導入された気体を混合して噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を充填する前に容器内を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄用ノズル及び容器の殺菌・洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるペットボトル等の樹脂製容器に飲料を無菌充填する場合、容器内を殺菌液により殺菌した後、洗浄液で容器内を洗浄している。かかる容器の殺菌又は洗浄においては、倒立した容器内にノズルを挿入して、薬剤を混入した殺菌液や洗浄液を噴射する。
近年、このような容器の殺菌や洗浄を効率的に行うと共に、殺菌液や洗浄液(以下、単に「液体」という)の使用量を少なくすることが要求されている。
これに対して、特許文献1には、殺菌・洗浄用ノズルのヘッドに第1噴射孔を設けると共にその下方に第2噴射孔を設けて、これらの噴射孔から倒立した容器内に液体を噴射することが開示されている。この特許文献1の技術では、第1噴射孔から噴射した液体が容器内面を流下し、流下して口部に溜まった液体を第2噴射孔から噴射する液体により掻き上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−181404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、容器口部に溜まった液体を第2噴射孔から噴射して掻き上げることで、容器口部に溜まった液体を容器内に飛散させているので、第2噴射孔から噴射された液体が容器内面と直接衝突できず、液体と容器内面との接触力(液体の衝突力)が弱く、効果的な殺菌や洗浄が期待できないという問題がある。この為、容器内面に対する液体の接触力を高めようとすれば、液体の噴射圧力を高くし流体速度を高める必要があるので、液体の使用量も多くなるという問題がある。
特に、特許文献1の技術では第1噴射孔からは上に向けて棒状に液体を噴射するので、噴射した液体が容器底面に衝突する領域が狭いと共に容器底面に衝突した液体が容器底面の全面に亘って分散し難く、容器側面の全面に亘って流下し難いという問題がある。
このため、従来通りの殺菌効果や洗浄効果を得る為には、所定量の液体を使用する必要があり、液体の使用量を低減することができない。
【0005】
そこで、本発明は、殺菌効果や洗浄効果が高く、殺菌液や洗浄液の使用量を低減できる容器の殺菌・洗浄用ノズル及び容器の殺菌・洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、倒立した容器の口部に挿入され、殺菌液又は洗浄液からなる液体を噴出して容器内を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄用ノズルであって、ノズルは気体導入部を備え、前記液体に気体導入部から導入された気体を混合して噴出することを特徴とする容器の殺菌・洗浄用ノズルである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ノズルは、ノズル本体の先端に設けてあり前記液体の噴出孔が形成してある液体噴出ヘッドと、ノズル本体の基端部に設けて前記液体を導入する液体導入部とを備え、前記気体導入部は、液体噴出ヘッドと液体導入部との間に設けてノズル周囲のエアーを導入しており、気体導入部は液体導入部から流れてきた前記液体にエアーを取り込むことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、気体導入部は、ノズル本体の外周面に形成され液体通路に連通するエアー吸引孔であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、気体導入部は、ノズル本体の外周に取付けてエアー吸引孔の外周側を覆うカバー部材を備え、カバー部材はノズル本体との間でエアー吸引孔と連通する空間を下方に向けて開口していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、エアー吸引孔と液体噴出ヘッドとの間には、前記液体通路の径を液体噴出ヘッド側ほど広くしたテーパ面を形成してあることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、液体噴出ヘッドは半球状であり、その頂部に設けた第1噴出孔と、第1噴出孔よりも下方で第1噴出孔の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第2噴出孔と、第2噴出孔よりも下方で第1噴出孔の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第3噴出孔とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、第2噴出孔と第3噴出孔とは第1噴出孔の周方向に対して互いに位置をずらしていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、第3噴出孔は第2噴出孔よりも第1噴出孔に対する噴出角度を大きくしていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、倒立した容器の口部に挿入した噴射ノズルから殺菌液又は洗浄液からなる液体を噴出して、容器の内面を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄方法であって、噴射ノズルは前記液体に気体を混合して噴出することを特徴とする容器の殺菌・洗浄方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び9に記載の発明によれば、殺菌液又は洗浄液(液体)に気体を混合してノズルから噴射しているので、噴射した液体はシャワー状(液体の粒)となって広範囲に拡散できると共に、液体が粒状となって容器内面に衝突することで液体が容器内面に強く接触し、容器内面を効率的に殺菌又は洗浄できる。したがって、従来通りの殺菌又は洗浄効果を得る為の液体の使用量を低減できる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、液体に混合する気体はノズル周囲のエアー(空気)であり、特別な気体を使用していないので、簡易で且つ安価である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、ノズル本体に孔を形成するだけで簡易な構成でエアーの取り込みができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、エアー吸引口から、容器を殺菌又は洗浄した後の液体が侵入するのを防止できる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、液体通路に圧力変動による乱流を形成して、液体と気体とを撹半できるので、簡易な構成で液体と気体との混合を高めることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれ一項に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、半球状の液体噴出ヘッドから容器内面の異なる領域に向けてエアー混合液体を噴出でき、容器内面と液体との衝突領域を広く取ることができる。また、第1噴出孔から噴出されるエアー混合液体は容器底面に衝突し、第2噴出孔から噴出される液体は第1噴出孔から噴出される液体よりも下方で容器内面に衝突し、第3噴出孔から噴出される液体は第2噴出孔から噴出される液体よりも下方で容器内面に衝突するので、例えば、第1噴出孔から噴出されて容器底面に衝突した液体は容器内面を流下するが、第2噴出孔から噴出された液体により掻き上げられてその部分で乱流を生じるので、容器内面に衝突した後の液体と容器内面との接触力を高めることで、更に殺菌や洗浄を高めることができる。尚、第3噴出孔から噴出される液体についても同様に容器内面を流下してきた液体を掻き上げて液体と容器内面との接触力を高めることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、容器内面の周方向で異なる領域にエアー混合液体を噴出できるから、容器内面に対する液体の衝突面積を更に広くすることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項6又は7に記載の発明と同様の効果を得ることができると共に、容器内面の上下方向の広い面積に亘って効率的な殺菌及び洗浄ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る容器の殺菌・洗浄用ノズルを一部切断して示す正面図である。
【図2】図1に示すノズルの気体導入部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】図1に示すノズルの液体噴出ヘッドの図であり、(a)は上から見た平面図、(b)は(a)に示すAーA断面図、(c)は(a)に示すBーB断面図である。
【図4】本実施の形態に係る殺菌・洗浄用ノズルの使用状態を示す断面図である。
【図5】本実施の形態にかかる殺菌・洗浄用ノズルの噴射状態を示す図であり、(a)は液体にエアーを混合して噴射した状態であり、(b)は液体のみを噴射した状態を示す図である。
【図6】本実施の形態にかかる殺菌・洗浄用ノズルを使用した洗浄効果を比較例と共に示すグラフである。
【図7】本実施の形態にかかる殺菌・洗浄用ノズルを使用した洗浄効果を比較例と共に示すグラフである。
【図8】比較例にかかる殺菌・洗浄用ノズルの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1に示すように、本実施の形態にかかるノズル(殺菌・洗浄用ノズル)1は、飲料を充填する前の容器2を殺菌又は洗浄するものであり、ノズル本体3と、ノズル本体3の上端に設けた液体噴出ヘッド5とを備えており、ノズル本体3の下端部(基端部)には液体導入部7が設けられている。液体導入部7からは、殺菌液又は洗浄液からなる液体が導入されるが、以下の説明では、液体として洗浄液を導入する場合について説明する。尚、容器2はいわゆるペットボトル等の樹脂製容器である。また、液体導入部7には液体供給管8が接続されている。
【0025】
ノズル本体3の内部には、液体導入部7から導入された液体を液体噴出ヘッド5に導く液体通路9が形成されている。液体導入部7と液体噴出ヘッド5との間の中間には、エアー導入部(気体導入部)11が設けられている。
図2に拡大して示すように、エアー導入部11では、ノズル本体3の内側に内筒15が嵌合されており、この内筒15とノズル本体3の側面には互いに連通したエアー吸引孔13a、13bが形成されている。
内筒15は、エアー吸引孔13aよりも上流側(液体導入部7側)に液体通路9の口径を狭める狭径部17と、エアー吸引孔13aよりも下流側(液体噴出ヘッド5側)に液体通路9の口径を広くした広径部19とが形成されている。広径部19は下流側ほど口径を広くしたテーパ状になっている。
ノズル本体3にはエアー吸引孔13bを覆うカバー部材21が設けてあり、カバー部材21はエアー吸引孔13bの上部及び外周側を覆っており、更にカバー部材21にはエアー吸引孔13bの外周側において下方に延出するスカート部23が設けてあり、エアー吸引孔13bの下でノズル本体3とスカート部23との間に下方に向けて開放した空間33からエアーを取り込むようになっている。このように、エアー吸引孔13bをカバー部材21で覆うことにより、エアー吸引孔13bから洗浄後の洗浄液が浸入するのを防止している。
【0026】
液体噴射ヘッド5は、図3に示すように、半球形状を成しており、その頂部に設けた第1噴出孔27と、第1噴出孔27よりも下方で第1噴出孔27の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第2噴出孔29と、第2噴出孔29よりも下方で第1噴出孔27の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第3噴出孔31とが形成されている。尚、本実施の形態では、各第1〜第3噴出孔27、29、31は丸孔であり、第2噴出孔29及び第3噴出孔31は共に4個ずつ周方向に等間隔で設けてある。
各第2噴出孔29と第3噴出孔31とは、第1噴出孔27の周方向に対して互いに位置をずらしており、第2噴出孔29と第3噴出孔31とは周方向に45度の角度で配置されている。
また、図3(b)(c)に示すように、互いに対向する第3噴出孔31、31が成す角度Eは、互いに対向する第2噴出孔29、29が成す角度Fよりも大きくしてあり、第3噴出孔31のほうが第2噴出孔29よりも第1噴出孔27に対する噴出角度を大きくしている。
【0027】
次に、本実施の形態にかかるノズル1の作用、効果について説明する。図1に示すように、ノズル1において、液体導入部7から導入された液体は液体通路9を通って液体噴出ヘッド5へ向けて流れる。図2に示すように、液体通路9はエアー導入部11において、内筒15の狭径部17で流路が狭められた後、広径部19で減圧されるので広径部19付近では乱流Gが生じて液体が撹半される。
一方、狭径部17と広径部19との間にはエアー吸引孔13aが形成されており、エアー吸引13aは液体通路9を液体が流れることにより減圧になり、エアー吸引孔13a、13bからエアーが吸引される。このとき、ノズル本体3とスカート部23との間に下方に向けて開放した空間33からエアーが取り込まれる。
エアー吸引孔13a、13bから液体通路9取り込まれたエアーは、図2に示すように、内筒15の広径部19付近及びその下流で生じる乱流Gにより液体と混合される。そして、エアーが混合された液体は、液体噴出ヘッド5から噴出される。
【0028】
図4に示すように、容器2は口部35を下に向けて倒立して配置されており、口部35からノズル1の液体噴出ヘッド5が容器2内に挿入されている。ここで、液体噴出ヘッド5から噴出される液体について図5を参照して説明する。図5(a)及び(b)は本実施の形態にかかるノズル1を用いて液体を噴射させたときの様子を概略的に図で示したものであり、(a)はエアー混合液体を噴射した場合を示し、(b)はエアーを混合していない液体を噴射した状態を示している。
図5(a)に示すように、液体噴出ヘッド5の各噴出孔27、29、31から噴出されるエアー混合液体は、エアーが混合されていることにより、各噴射領域S1〜S3を広げて噴射される。しかも、図5(a)に破線で示すように、エアー混合液体は、細かい粒子状となって噴射される。これに対して、図5(b)に示す比較例から明らかなように、比較例では、符号Vで示すように、液体噴出ヘッド5の各噴出孔27、29、31から噴出される液体はホースから水を放出するように、略棒状に噴射されると共に、噴射領域Wも図5(a)に示す噴射領域Sよりも狭くなっている。
図4に示すように、第1噴出孔27から噴出されたエアー混合液体は容器底面にM1の領域で衝突し、第2噴射孔29から噴射されたエアー混合液体はM2の領域で容器側面に衝突し、第3噴射孔31から噴射されたエアー混合液体はM3の領域で容器側面に衝突する。第2噴射孔27から噴射されたエアー混合液体の領域M2は、第3噴射孔31から噴射されたエアー混合液体の領域M3よりも上に位置する。
第1噴射孔27から噴射されたエアー混合液体は容器底面に衝突するとその一部は容器底面から容器側面を伝わって流下するが、符号T1で示すように、第2噴射孔29から噴射されたエアー混合液体に掻き上げられると共に互いに衝突して容器内で乱流を生じ又は撹半して容器内面に液体を擦りつけるので、液体を容器内面と強く接触させることができる。
同様に、第2噴射孔29から噴射されたエアー混合液体と第3噴射孔31から噴射されたエアー混合液体との間でも符合T2で示すような液体の掻き上げと容器内面との強い接触が行われる。
このように、エアー混合液体は、粒子状の液体が容器内面に衝突すると共に流下してくる液体を容器内面に強く接触させることができるので、容器内面を効率的に洗浄することができる。
【0029】
本実施の形態にかかるノズル1による容器の洗浄について、比較例との比較実験を行ったのでその実験と結果について説明する。
【0030】
(実験1)
図6は、容器を洗浄したときの洗浄液の使用水量と、洗浄後に容器内に残留した平均残水量とを測定したものである。横軸に示している各実施例と比較例との数値は、各実施例1〜6及び比較例1、2で使用した流量(リットル/分)である。また、各実施例1〜6及び比較例1、2では、各々同じ時間洗浄を行った。
各実施例では、上述した実施の形態にかかるノズル1を用いて実験を行った。尚、比較例では、図8に示すように、先行技術文献1と同様にノズル51の先端に開口した噴射口53からエアーを混合していない液体を噴射すると共にノズル先端よりも下側から容器内にエアーKのみを噴出して水切りの促進を図った。また、実施例及び比較例共に各噴射流体圧力は、0.2MPa〜0.4MPaとした。ノズル挿入高さは容器口部の下端から30〜50mmとした。
図6に示すグラフから明らかなように、500ml容器の場合、比較例1は流量が7(リットル/分)であったが、実施例1〜3では流量2.5〜5(リットル/分)で比較例1と略同様な平均残水量とすることができた。即ち、本実施の形態によれば、比較例1に対して約35%〜約70%の水量で容器の洗浄をすることができた。
また、1.5リットル容器に対して実験を行った比較例2及び実施例4〜6においては、比較例2では約10(リットル/分)の水量が必要であったのに対して、実施例4〜6では2.5〜5(リットル/分)の水量で略同等な洗浄を図ることができた。即ち、1.5リットル容器の洗浄の場合には、比較例2に対して約25%〜約50%の水量で容器の洗浄をすることができた。
【0031】
(実験2)
図7は、殺菌液として水酸化カリウム溶液を用いて容器を殺菌した後、容器を洗浄し、洗浄後に容器内に残留した平均残留カリウムの濃度を示したものである。
図7において横軸に示している数値は、図6と同様に、各実施例7〜11及び比較例3、4で使用した流量(リットル/分)である。また、各実施例7〜11及び比較例3、4では各々同じ時間洗浄を行った。実験の条件は図6と同様であった。
図7に示すグラフから明らかなように、500ml容器の場合、比較例3は流量が7(リットル/分)であったが、実施例7〜9では流量2.5〜5(リットル/分)で比較例3と略同様な平均残留カリウム濃度とすることができた。即ち、本実施の形態によれば、比較例3に対して約35%〜約70%の水量で容器の洗浄をすることができた。
また、1.5リットル容器に対して実験を行った比較例4及び実施例9〜11においても、比較例4では約10(リットル/分)の水量が必要であったのに対して、実施例9〜11では2.5〜5(リットル/分)の水量で同等な洗浄を図ることができた。即ち、1.5リットル容器の洗浄の場合には、比較例4に対して約25%〜約50%の水量で容器の洗浄をすることができた。
【0032】
本実施の形態によれば、洗浄液に気体を混合してノズル1から噴射しているので、噴射した液体は噴霧状となって広範囲に拡散できると共に、噴霧状の液体が粒状となって容器内面に衝突するので容器内面との衝突面積を高め容器内面を効率的に洗浄できる。したがって、従来通りの洗浄効果を得る為の液体の使用量を低減できる。
【0033】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
上述した実施の形態では、液体として洗浄液を用いて容器を洗浄する例を説明したが、液体として薬液を用いて容器内を殺菌するものであっても同様な効果を得ることができる。
ノズル本体3には、内筒15を設けないで、液体通路9に直接、広径部19や狭径部17を形成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ノズル
3 ノズル本体
5 液体噴射ヘッド
7 液体導入部
9 液体通路
11 エアー導入部(気体導入部)
13a、13b エアー吸引孔
19 広径部
21 カバー部材
27 第1噴射孔
29 第2噴射孔
31 第3噴射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倒立した容器の口部に挿入され、殺菌液又は洗浄液からなる液体を噴出して容器内を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄用ノズルであって、
ノズルは気体導入部を備え、前記液体に気体導入部から導入された気体を混合して噴出することを特徴とする容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項2】
ノズルは、ノズル本体の先端に設けてあり前記液体の噴出孔が形成してある液体噴出ヘッドと、ノズル本体の基端部に設けて前記液体を導入する液体導入部とを備え、前記気体導入部は、液体噴出ヘッドと液体導入部との間に設けてノズル周囲のエアーを導入しており、気体導入部は液体導入部から流れてきた前記液体にエアーを取り込むことを特徴とする請求項1に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項3】
気体導入部は、ノズル本体の外周面に形成され液体通路に連通するエアー吸引孔であることを特徴とする請求項2に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項4】
気体導入部は、ノズル本体の外周に取付けてエアー吸引孔の外周側を覆うカバー部材を備え、カバー部材はノズル本体との間でエアー吸引孔と連通する空間を下方に向けて開口していることを特徴とする請求項3に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項5】
エアー吸引孔と液体噴出ヘッドとの間には、前記液体通路の径を液体噴出ヘッド側ほど広くしたテーパ面を形成してあることを特徴とする請求項3又は4に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項6】
液体噴出ヘッドは半球状であり、その頂部に設けた第1噴出孔と、第1噴出孔よりも下方で第1噴出孔の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第2噴出孔と、第2噴出孔よりも下方で第1噴出孔の周囲に沿って等間隔に配置した複数の第3噴出孔とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずか一項に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項7】
第2噴出孔と第3噴出孔とは第1噴出孔の周方向に対して互いに位置をずらしていることを特徴とする請求項6に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項8】
第3噴出孔は第2噴出孔よりも第1噴出孔に対する噴出角度を大きくしていることを特徴とする請求項6又は7に記載の容器の殺菌・洗浄用ノズル。
【請求項9】
倒立した容器の口部に挿入した噴射ノズルから殺菌液又は洗浄液からなる液体を噴出して、容器の内面を殺菌又は洗浄する容器の殺菌・洗浄方法であって、
噴射ノズルは前記液体に気体を混合して噴出することを特徴とする容器の殺菌・洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178411(P2011−178411A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42388(P2010−42388)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【Fターム(参考)】