説明

容器搬出装置

【課題】ジュース等の充填包装機、特に高速充填包装機により製造されるジュース等が充填された容器を、高速かつ確実に搬出しうる容器搬出装置を提供すること。
【解決手段】上下方向を有する直方体状容器を容器搬送方向と直交する方向に排出する容器押動部材を備えた排出手段と、排出された直方体状容器を容器押動部材で押動しながら正立ガイド部材で正立させる正立手段とを有し、正立ガイド部材が容器底部を案内するガイドと容器頂部付近を案内するガイドとを備え、容器押動部材が、容器重心又は回転中心を含む領域を押動する機構を備える容器搬出装置により包装容器を搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュース等の充填包装機により製造された直方体状包装容器の搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、充填包装機により製造されたジュース等が充填された直方体状容器1は、上下方向、すなわちその頂部2と底部3を有する。この種の包装容器は、充填包装機によりまず枕状容器として成形され、倒立した状態で間欠駆動搬送コンベアで搬送されながらその端部が折り曲げられて直方体状容器に整形され、次に図2に示すように、容器排出位置で停止した容器1は容器長手方向(間欠駆動搬送コンベアの容器搬送方向)に連続駆動エンドレスチェーン4に設けられた押動ピン5により容器の上部を掻き出して排出し、容器を正立させ、搬出させていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の容器搬出装置では、ジュース等が充填された容器の排出を間欠駆動コンベアの容器搬送方向のわずかなスペースを利用した容器の上部掻き出し機構6により順次排出しなければならず、かかる従来の容器搬出装置を、例えば1時間当たり7000パック以上、特に8000パック以上の生産能力を有する高速充填包装機に適用した場合、容器上部掻き出しによる排出が不安定となり、たとえ排出し得たとしても、進行方向斜め上方へ移送しその後反転させながら落下させることで正立状態とする構造では、容器が高速で移送されてくることから、反転落下時の衝撃による容器の潰れや転倒を起こすことが多々あった。
【0004】
本発明の課題は、特に高速充填包装機により製造されるジュース等が充填された容器を、高速かつ確実に搬出しうる容器搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、1時間当たり7000パック以上、特に8000パック以上の生産能力を有する高速充填包装機により製造されるジュース等が充填された容器を、高速かつ確実に搬出しうる容器搬出装置を開発すべく鋭意研究した結果、上下方向を有する直方体状容器を、従来の搬出装置のように間欠駆動搬送コンベアの容器搬送方向ではなく、容器搬送方向と直交する方向に排出させ、次いで容器を回転・正立させることにより、従来の充填包装機はもとより、1時間当たり7000パック以上、特に8000パック以上という高速充填包装機から製造される容器を高速かつ確実に搬出しうることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、上下方向を有する直方体状容器を容器搬送方向と直交する方向に排出する容器押動部材を備えた排出手段と、排出された直方体状容器を容器押動部材で押動しながら正立ガイド部材で正立させる正立手段とを有し、正立ガイド部材が容器底部を案内するガイドと容器頂部付近を案内するガイドとを備え、容器押動部材が、容器重心又は回転中心を含む領域を押動する機構を備える容器搬出装置に関する。
【0007】
また、本発明は、正立ガイド部材が断面円形を有するものであり、長手方向に容器押動部材が通過するための切り欠きを有し、また正立ガイド部材の延長上に移送コンベアが配置され、移送コンベアの移送速度が容器押動部材の移動速度より速く設定されている容器搬出装置に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明にかかる容器搬出装置についての実施例を図面を参照して説明するが、本発明はこれら図面に記載された実施例に限定されるものではない。
【0009】
ジュース等が充填された上下方向を有する直方体状の包装容器は、例えば図3に示されるような高速充填包装機により製造される。すなわち、ロール状の包装材料ウェブは順次巻き戻され、殺菌された後チューブ状に成形され、ジュース等が充填された後横方向にシール・切断され、枕状容器7に成形される。
【0010】
次いで、枕状容器7は倒立した状態で間欠駆動容器搬送コンベアにより搬送されながら、その端部が折り曲げられ、直方体状容器1に整形される。
【0011】
図4及び図5に示すように、間欠駆動容器搬送コンベア10は、前後に設けられた一対のスプロケット11A、11Bと、これらスプロケットに巻き掛けられている一対のエンドレスチェーン12と、両チェーンにまたがるように取付られて多数のホルダ13を備えている。
【0012】
間欠駆動容器搬送コンベア10のホルダ13は、側板14および底板15よりなるT字状のものであり、チェーン12の上側をホルダ13が移動するときには、前後隣り合う2つのホルダ13の側板14は平行であり、かつ底板15は一直線に連なり、同ホルダ13の側板14間に直方体状容器1が進行方向から挟まれ、かつ同ホルダ13の底板15にまたがって直方体状容器1が受けられることにより、直方体状容器1がホルダ13に保持されるようになっている。
【0013】
ホルダ13がスプロケット11Aのまわりを旋回させられる途中の容器排出位置(図5参照)で停止したとき、前後のホルダ13の側板14の傾斜角度は先端側が広がるように開かれており、ホルダ13の間から容器1が取り出し易くなっている。また、このとき容器1は進行方向斜め上向きに倒された安定した状態で保持されており、容器頂部を底面とする倒立しているときに比べて安定的に排出することができる。
【0014】
間欠駆動容器搬送コンベア10の終端部には、容器押動手段を備えた排出ユニット20が配置されている。排出ユニット20は、一対のスプロケット21A、21Bと、これらスプロケット21A、21Bに巻き掛けられているエンドレスチェーン22と、チェーン22に等間隔に取り付けられている多数のL形プレート23とから構成されている。
【0015】
エンドレスチェーン22は、間欠駆動容器搬送コンベア10に対し直交する方向に駆動するスプロケット21Aと、スプロケット21Aに従動するスプロケット21Bに巻き掛けられている。
【0016】
L形プレート23は、図6に示されているように、ゴムなどの弾性部材24を介してエンドレスチェーン22に等間隔に取り付けられており、間欠駆動容器搬送コンベア10のホルダ13がスプロケット11Aのまわりを旋回させられる途中で停止させられる容器排出位置と交差しながら移動し、また、間欠駆動容器搬送コンベア10が停止している間にL形プレート23が通過するように、間欠駆動容器搬送コンベア10とエンドレスチェーン22とは同期するように調整されている。
【0017】
容器排出位置の、間欠駆動容器搬送コンベア10の容器搬送方向と直交する側方には、排出ユニット20のチェーン22に沿って延びた一部切り欠き31を有する円筒状ガイド32と、ガイド内に取り付けられたガイド棒33とを有する正立ガイドユニット30が配置されている。
【0018】
円筒状ガイド32は、エンドレスチェーン22に沿って平行に設けられ、L形プレート23が通過するための切り欠き31を長手方向に有している。L形プレート23は、円筒状ガイド32内で移動する直方体状容器の重心又は回転中心を含む領域を常に押動するようにエンドレスチェーン22に取り付けられていることから、L形プレート23が連続的に移動すると、直方体状容器は、その頂部となる一端がガイド棒33に当接しガイドされ、正立状態へと転回しながらスムーズに搬送される。
【0019】
円筒状ガイド32の延長上には移送コンベア40が配置されている。移送コンベア40は、正立ガイドユニット30により正立された直方体状容器1を図示しない別の処理装置まで移送するものであり、移送コンベア40での移送速度は、L形プレート23の移動速度より速く設定されていることから、L形プレート23が往路から復路にスプロケット部21Bで方向転換する際に、L形プレート23が直方体状容器を押して転倒させないようになっている。
【0020】
本発明にかかる容器搬出装置は、以上のように構成されていることから、ホルダ13が容器排出位置に停止すると、連続的に駆動させられているチェーン22に取り付けられたL形プレート23が、進行方向斜め上向きに安定した状態にある直方体状容器1を間欠駆動容器搬送コンベア10の搬出方向と直交する方向に直方体状容器1を排出させ、排出された直方体状容器1は、その容器頂部の一部が円筒状ガイド32内にあるガイド棒33に、容器底部の一部が円筒状ガイド32にそれぞれ当接し、L形プレート23が押動を続けることにより直方体状容器1はガイド棒33と円筒状ガイド32の当接した部分で摺動しながら正立し、正立した直方体状容器はL形プレート23に押動されながら移送コンベア40に乗り移り、移送コンベア40上でその搬送速度を上げ、L形プレート12から離れる。L形プレート23はその後、復路にて間欠駆動容器搬送コンベア10と交差する位置へと戻り、押動の動作を繰り返す。
【0021】
本発明の好ましい実施例について上述したが、次のような実施態様も本発明に包含される。
【0022】
上記実施例では、容器排出位置から排出された直方体状容器1を、正立ガイドユニット30により正立させた後、移送コンベア40により移送するようになっているが、円筒状ガイド32の延長上に、移送コンベア40に代えてシューター等の移送手段を適宜設けることができ、必ずしも直方体状容器を正立させる必要がない場合もあり、このような場合には容器排出位置から排出された直方体状容器1を適宜回転させた後、次の移送手段にスムーズに移し換えることもできる。
【0023】
上記実施例では、正立ガイドユニット30等容器のガイド部材として、円筒状ガイド32とガイド棒33とを用いたが、容器のガイド部材としては容器を回転・正立させうるものであれば、容器底部を案内するレール状ガイドとガイド棒とから構成されるもの等いかなる形状のものでもよい。
【0024】
また、上記実施例で用いた円筒状ガイド32については、円筒状と同じく断面円形を有するものであれば、円筒状に限らずU字状や直角に曲がったものなど種々の形状のものを用いて搬送方向を自由に設定することができる。同様に、容器頂部付近を案内して回転・正立させるガイド棒33の始点から終点に至る間の形状は、直線部分が折れ曲がりながら連なったものやスパイラル状のものでもよい。
【0025】
上記実施例では、間欠駆動容器搬送コンベア10からの排出と円筒状ガイド32内での直方体状容器1の押動をL形プレート23により兼用しているが、それぞれ別の押動部材により行ってもよく、また、L形プレート23は、直方体状容器を確実に押動しうるものであれば別にL形でなくてもよく、またプレートでなく丸棒等他の形状のものに変更することもできる。
【0026】
さらに、上記実施例では、容器の排出を、ホルダ13がスプロケット11Aのまわりを旋回させられる途中の容器排出位置で行ったが、直方体状容器1が間欠駆動容器搬送コンベア10上で倒立した状態の容器排出位置で行ってもよく、その場合は直方体状容器1を、該間欠駆動容器搬送コンベア10に隣接したターレットに排出し、該ターレットにより反転正立させた後、移送することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によると、従来の充填包装機はもちろん、1時間当たり7000パック以上、特に8000パック以上の生産能力を有する高速充填包装機により製造されるジュース等が充填された容器を、容器の潰れや転倒なしで、迅速かつ確実に搬出することができる。
【0028】
また、間欠駆動搬送コンベアでの容器排出位置を容器が進行方向斜め上向きに倒された安定した状態としたことで、安定的に排出し得るばかりでなく、その後の正立状態への反転に要する回転角度が少なく、ガイド棒が短くてよく、高速で搬送されてくる容器を確実に搬出することができる。
【0029】
さらに、容器を押動するL形プレート23は、ゴムなどの弾性部材24を介してエンドレスチェーン22に等間隔に取り付けられていることから、何らかの原因で搬送中に容器が不意に詰まった場合でも弾性部材24の部分で曲がり、装置には大きな損傷を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】上下方向を有する直方体状包装容器の斜視図である。
【図2】従来の容器排出装置の縦断面図である。
【図3】充填包装機の概略斜視図である。
【図4】本発明の容器搬出装置の斜視図である。
【図5】容器排出位置における縦断面図である。
【図6】本発明の容器排出装置における排出ユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
7 枕状容器
10 間欠駆動搬送コンベア
13 ホルダ
20 排出ユニット
23 L形プレート
30 正立ガイドユニット
32 円筒状ガイド
33 ガイド棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向を有する直方体状容器を容器搬送方向と直交する方向に排出する容器押動部材を備えた排出手段と、排出された直方体状容器を容器押動部材で押動しながら正立ガイド部材で正立させる正立手段とを有し、前記正立ガイド部材が容器底部を案内するガイドと容器頂部付近を案内するガイドとを備え、前記容器押動部材が、容器重心又は回転中心を含む領域を押動する機構を備えることを特徴とする容器搬出装置。
【請求項2】
前記正立ガイド部材が断面円形を有するものであり、長手方向に前記容器押動部材が通過するための切り欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の容器搬出装置。
【請求項3】
前記正立ガイド部材の延長上に移送コンベアが配置され、前記移送コンベアの移送速度が前記容器押動部材の移動速度より速く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−213525(P2006−213525A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119542(P2006−119542)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【分割の表示】特願平8−244708の分割
【原出願日】平成8年9月17日(1996.9.17)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】