容量結合による高電圧レベルのシフト
【課題】簡単な回路構成で、高電圧のレベルシフトを行う。
【解決手段】アース電圧(アース1)を基準とする入力回路(10)と、コンデンサ(C1またはC2)を介して入力回路に結合された別のアース電圧(アース2)を基準とする出力回路(12)とを備える回路構造である。
【解決手段】アース電圧(アース1)を基準とする入力回路(10)と、コンデンサ(C1またはC2)を介して入力回路に結合された別のアース電圧(アース2)を基準とする出力回路(12)とを備える回路構造である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「容量結合による高電圧レベルシフト方式」を発明の名称とし、2004年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/619,970号の権利に基づくものであり、この米国仮特許出願の内容を、本願で参考例として援用する。
【0002】
本発明は、高電圧レベルシフト方法、およびその改良に関する。
【背景技術】
【0003】
(数百ボルトまでの)高電圧信号のレベルシフトは、最新のパワーシステムの重要な部分となっている。高電圧信号レベル信号方式は、制御信号とスイッチングパワー出力との間をアイソレートしなければならない。
【0004】
従来、このような高電圧レベルシフトは、所有権のある高電圧接合アイソレート技術、ホール効果センサにより、または光アイソレートデバイスにより実現されていた。これらの解決方法のいずれも、伝搬遅延時間が長く、作動速度が遅いという欠点を有している。しかし、新技術として出現しつつあるアプリケーション、およびシステムアーキテクチャは、高速の作動速度、例えばメガヘルツレンジ内の高速度を必要としている。
【0005】
更に、ホール効果センサまたは光アイソレートデバイスは、かさばり、1つのチップに集積化できない。更に、従来の高電圧接合アイソレート(HVJI)技術は、標準的な低電圧CMOS技術とコンパーチブルではなく、2つの非アース点の間で、信号のレベルシフトを行うときに、余分なプロセスステップ、周辺条件化回路、またはマルチステップレベルシフトを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハーフブリッジドライブシステムでは、負のDCバス電圧がゼロ電圧となるように、DCバスが構成されている。最近のアプリケーションでは、このDCバスは、スプリット電源として構成されており、このことは、DCバスの中間点がゼロ電圧となっていることを意味する。
【0007】
別の最新のアプリケーションでは、DCバスは、フローティングスプリットDC電源として構成されている。これら2つのタイプのDCバスコンフィギュレーションに対し、従来のHVJIは、入力がゼロ電圧であるときのマルチステップ高電圧レベルシフト、基板を負のDCバスに保持するための別の高電圧DC電源、ゼロ電圧を基準とする別の入力電源を必要とする。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の上記した欠点がない高電圧レベルシフト方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わる回路は、第1アースを基準とする入力回路と、別のアースを基準とする出力回路とを備え、入力回路は、少なくとも1つのコンデンサにより、出力回路に容量結合されている。
【0010】
本発明の好ましい実施例では、入力回路は、相補的な入力信号を提供する。この相補的入力信号の各々は、それぞれのコンデンサの入力プレートに結合され、各コンデンサの出力プレートは、出力回路に結合されている。
【0011】
各コンデンサの入力プレートと出力プレートとは、コンデンサの誘電体により、互いに絶縁されているので、入力回路と出力回路との間は、オーミックアイソレートされている。しかし、入力プレートと出力プレートとの間の電荷移動に起因し、出力信号を再構成するために、入力回路からの入力信号を使用できる。
【0012】
入力信号を使って、半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを作動できる。例えば、ドライバー回路のドライブステージに出力信号を供給でき、次に、ドライブステージがパワーMOSFET、IGBTなどのゲートをドライブする。
【0013】
本発明に係わる出力回路は、入力信号によって生じた電荷移動に起因するコンデンサの出力プレートにおける電圧変化とノイズ、例えば共通モードのノイズに起因する電圧変化とを区別できる。従って、本発明に係わる出力回路は、ノイズに関連した誤作動に対して耐性がある。
【0014】
従って、本発明に係わる回路は、容量結合の原理と完全差動信号処理とを統合したものである。好ましいことに、コンデンサの両側における信号は、数百ボルトまで、フローティングアースを基準とすることができる。
【0015】
更に本発明に係わるレベルシフト方式は、固定DC電源構造、またはフローティングDC電源構造の双方に対して、単一ステップのレベルシフト方式であり、別の電源を必要としない。
【0016】
本発明に係わる出力回路は、集積化されたドライバーICと、モノリシックに集積化することが好ましい。かかるデバイスは、標準的なCMOS製造方法を使って製造できる。
【0017】
本発明に係わるモノリシックデバイスは、可能な場合には、5MHz程度の作動速度、50V/nsまでの共通モードのノイズ耐性、および50ns程度に低いIC伝搬遅延時間で、数百ボルトまでの信号レベルシフトを行う。
【0018】
添付図面を参照して行う本発明の次の説明から、本発明の上記以外の特徴および利点が明らかとなると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を参照する。本発明の一実施例に係わる回路装置は、アース1および電源1を基準とする入力回路10と、アース2および電源2を基準とする出力回路12とを備えている。入力回路10は、制御信号を発生できる任意のマイクロコントローラとすることができ、本発明の好ましい実施例では、入力回路10は、相補的信号、すなわち反対の極性の信号を発生できる。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、入力回路10と出力回路12とは、少なくとも1つのコンデンサにより、互いに容量結合されている。好ましい実施例では、入力回路10と出力回路12とを容量結合するのに、2つのコンデンサ14、16が使用されている。
【0021】
より詳細に説明すれば、コンデンサ14の入力プレート18と、コンデンサ16の入力プレート20とは、入力回路10に接続されており、一方、コンデンサ14の出力プレート22と、コンデンサ16の出力プレートとは、出力回路12に電気的に接続されている。
【0022】
このように、入力回路10と出力回路12とは、互いにオーミック絶縁されながら容量結合されている。その結果、入力回路10と出力回路12とは、異なるアース電圧を基準とすることができる。
【0023】
出力回路12は、好ましくは、信号バイアス部分26と、エッジトリガーされた信号検出部分28と、ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30と、バッファ化された出力部分32とを有している。出力回路12は、単一のモノリシック半導体ダイ上に設けられた集積回路(IC)として構成することが好ましい。
【0024】
信号バイアスブロック26は、コンデンサ14の出力プレート22、およびコンデンサ16の出力プレート24に電気的に接続されている。
【0025】
図2Aを詳細に参照する。入力プレート18により、正の入力信号INPが受信されると、コンデンサ14の出力プレート22の電圧は、正の方向に一時的に上昇する。
【0026】
正の入力信号INPがオフになると、出力プレート22の電圧は、負の方向に一時的に低下する。同様に、入力プレート20により、負の入力信号INNが受信されると、出力プレート24の電圧は、負の方向に一時的に変化し、負の入力信号INNがターンオフされると、出力プレート24の電圧は、正の方向に一時的に変化する。このような出力プレート22、24における電圧の一時的な変化は、電荷の移動に起因するものである。
【0027】
図2Aは、通常スイッチングアース2を基準とするノードV+34およびV−36に対するバイアス方式を示す。D1、D2、D3およびD4は、V+ノード34およびV−ノード36を、電源2およびアース2を有するトラック上の電圧に維持するツェナーダイオードである。
【0028】
R1、R2、R3およびR4は、V+ノード34およびV−ノード36のための適当なDCレベルを提供する。R5、R6およびR7は、基準電圧がV+ノード34およびV−ノード36上のDC電圧と共にトラッキングされるよう、次の信号処理のためのパワー電圧基準P_REFおよびN_REFを発生するためにV+ノード34およびV−ノード36に対するDC電圧をバイアスする。P_REFおよびN_REFは、V+ノード34の電圧(V+)およびV−ノード36の電圧(V−)によってトラッキングされる。
【0029】
出力プレート22は、V+ノード34に接続されており、一方、出力プレート24は、V−ノード36に電気的に接続されている。出力プレート22における電圧が変化する結果、V+ノード34における電圧の変化が生じ、一方、出力プレート24における電圧が変化する結果、V−ノード36における電圧が変化する。
【0030】
次に、図2Bを参照する。V+ノード34、およびV−ノード36の電圧変化を検出し、ロジック信号を発生するのに、差動コンパレータ25を使用できる。これらのロジック信号は、各入力信号INP、INNの開始エッジ、終了エッジ、すなわち正の入力信号INPの立ち上がりエッジおよび降下エッジ、並びに負の入力信号INNの降下エッジおよび立ち上がりエッジを決定するのに使用される。
【0031】
入力信号に起因する電圧変化に基づくロジック信号の発生の他に、信号バイアスブロックはノイズ、例えば共通モードのノイズに起因する、V+ノード34およびV−ノード36における電圧変化に基づくロジック信号を発生できる。
【0032】
信号バイアス部分26によって発生されるロジック信号は、エッジでトリガーされた信号検出部分28により受信され、検出部分28は、論理演算を実行することにより、正および負の入力信号に関連するロジック信号とノイズに関連するロジック信号とを区別し、これに応答して、受信された入力信号を再構成するための信号を発生する。
【0033】
より詳細に述べると、エッジトリガー信号検出部分28は、負および正の入力信号INP、INNの開始に応答して、設定信号を発生し、正および負の入力信号INP、INNの終了の検出に応答して、リセット信号を発生する。
【0034】
ブランキングフィルタおよび信号再構成部分39は、設定信号を受信し、これに応答して、出力電圧を発生する。この再構成部分がリセット信号を受信すると、出力電圧をターンオフし、よって入力電圧を再構成する。
【0035】
ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30と共に含まれるブランキングフィルタは、ノイズをフィルタ除去するよう、セット信号およびリセット信号の発生を遅延することに使用されることに留意すべきである。
【0036】
更に、ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30のうちのブランキングフィルタは、信号成分または信号の不整合に起因する差動モードのノイズ、または異なる寄生パスに起因する共通モードのノイズから生じる差動モードの信号を除去する。
【0037】
こうして再構成された信号は、バッファ出力部分32を通して、ドライブステージ、例えばパワー半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを駆動するためのドライブステージに供給される。
【0038】
図3を参照する。入力信号INP、INNの開始および終了は、次のように決定される。V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断されると、受信された信号は、入力信号INN、INPの開始であると結論づけられ、セット信号が発生される。V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断されると、受信された信号は、入力信号INN、INPの終了であると結論づけられ、リセット信号が発生される。
【0039】
これらの条件が満たされない場合、信号は発生されない。その結果、ノイズに起因する出力プレート22、24における電圧変化は認識されない。すなわち、ノイズと真の入力信号とが効果的に区別される。
【0040】
より詳細には、コンパレータ27は、V+>P_REFを判断し、そうである場合には高レベル信号を発生し、コンパレータ29は、V−<N_REFを判断し、そうである場合には、高レベル信号を発生する。
【0041】
次にANDゲート35は、コンパレータ27およびコンパレータ29からの2つの高レベル信号を受信した場合、高レベル信号を発生し、この高レベル信号は、ラッチ回路39のセットターミナル41で受信される。ラッチ回路39は、セット信号に応答し、オンにラッチするので、出力信号を発生する。この出力信号は、ドライブステージに結合できる。
【0042】
同様に、コンパレータ31は,V+N_REFかどうかを判断し、そうである場合、高レベル信号を発生し、コンパレータ33は、V−<N_REFかどうかを判断し、そうである場合、高レベル信号を発生する。
【0043】
ゲート37は、コンパレータ31、33からの2つの高レベル信号を受信すると、高レベル信号を発生する。この高レベル信号は,ラッチ回路39のリセットターミナル43で受信される。ラッチ回路39は,リセットターミナル43で高レベル信号を受信すると、出力信号をターンオフする。
【0044】
図4を参照する。入力回路10が正の入力信号INPを発生すると、コンデンサ14の入力プレート18上の電圧は正となり、この信号は、正の入力信号INPの開始を表示する。同様に、入力回路10が負の入力信号INNを発生すると、コンデンサ16の入力プレート20上の電圧は負となり、このことは、負の入力信号INNの開始を表示する。
【0045】
入力プレート18、20の電圧が変化する結果、対応する出力プレート22、24の電圧も、一時的に変化する。特に出力プレート22の電圧38が正となる一方、出力プレート24の電圧は負となる。
【0046】
他方、正の入力信号INOPの終了時に、入力プレート18の電圧は、負に向かってシフトし、負の入力信号INNの終了時には、入力プレート20の電圧は、正の方向に向かってシフトする。従って、出力プレート22の電圧42は、負に向かってシフトし、出力プレート24の電圧44は、正に向かってシフトする。
【0047】
入力プレート18、20に、ノイズまたは共通モードのノイズがあるとき、電圧が負に向かってシフトする結果、出力プレート22、24における電圧46はシフトし、入力プレート18、20の電圧が正に向かってシフトする結果、出力プレート22、24の電圧48は正に向かってシフトする。
【0048】
本発明によれば、論理演算は、出力プレート22、24における電圧変化が入力信号INP、INNに関係するか、またはノイズに関係するかを判断できる。より詳細には、V+>P_REF、V−<N_REF、V+<P_REF、またはV−>N_REFと判断された場合、コンパレータ25は、信号50を発生する。
【0049】
V+<N_REFまたはV+>P_REFと判断された場合、コンパレータ25によって信号は発生されない。V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断されると、エッジトリガー信号検出部分28によってセット信号52が発生される。セット信号52は、入力信号INP、INNの開始を表示し、この信号の結果、ラッチ回路39から出力信号54がスタートする。
【0050】
V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断されると、リセット信号56が発生される。このリセット信号56は終了を表示し、出力信号54をターンオフさせる。その結果、出力信号54が発生される。ブランキングフィルタ、および信号再構成部分30のブランキングフィルタにより、出力信号54の発生は、若干時間シフトさせられる。
【0051】
上記条件が満たされないと、セット信号52のリセット信号56も発生されない。従って、ノイズおよび共通モードのノイズが効果的にブロックされる。より詳細には、V+<N_REFおよびV−<N_REFのとき、リセット信号52は発生されない。同様に、V+<P_REFおよびV−<P_REFのとき、リセット信号56は発生されない。従って、出力信号54は発生されない。
【0052】
パワー半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを作動させるのに、出力回路12が発生した出力を使用できる。
【0053】
図5を参照する。一実施例において、1つ以上のパワーMOSFETをドライブするように構成されたドライバーIC58のドライブステージにより、リセット信号52およびリセット信号56を受信できる。
【0054】
例えばハーフブリッジ構造において、高電圧側パワーMOSFET60、および低電圧側パワーMOSFET62をドライブするようになっているドライバーIC58は、本発明に従い、出力回路12を含むように構成できる。従って、本発明に係わる出力回路12は、ドライバー回路と組み合わせ、1つのモノリシック半導体ダイ上の集積回路として構成できる。
【0055】
本発明に従い、出力回路12を含むように変形できる適当なドライバーIC58は、IR2112である。このICは、本発明の出願人によって販売されている高電圧側および低電圧側ドライバーであり、その動作は、本願で参考例として援用する米国特許第5,514,981号に記載されている。
【0056】
図6に示す値は、単なる例であり、当業者であれば、示されている値は本発明の要旨から逸脱することなく、所望に応じて変更できるとことは理解しうると思う。
【0057】
図6を参照する。本発明の第2実施例に係わる出力回路12では、コンパレータ64により、P_REFが受信され、コンパレータ66により、N_REFが受信される。バッファ68は、V+ノード34に接続されており、バッファ70は、V−ノード36に接続されており、各バッファ68、70は、図示するようにオペアンプ72に接続されている。
【0058】
図6に示す抵抗器の値は、単なる例にすぎず、本発明の要旨から逸脱することなく、所望するように変えることができることに留意すべきである。オペアンプ72の出力は、図示のように、コンパレータ64、66に接続されており、よって入力信号INP、INNの開始および終了を識別するように、出力プレート22、24の電圧変化とP_REFおよびN_REFとを比較できる。
【0059】
より詳細に説明すれば、V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断された場合、ラッチ回路39(このラッチ回路は、1対のクロス結合されたNANDゲート74によって形成できる)にリセット信号が送られ、従って出力信号54が発生される。V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断された場合、ラッチ回路39にリセット信号が送られ、ラッチ信号は入力信号INP、INNの終了を表示すると共に、出力信号54をターンオフする。
【0060】
こうして発生された出力信号は、ドライバーIC58のドライバーステージによって受信され、次にドライバーICは、パワー半導体デバイスにゲートドライブ信号を提供する。
【0061】
次に図6、図7A〜図7Eを参照する。ポイントA(図7A)において、入力プレート22および入力プレート20において、入力信号INPおよびINNはそれぞれ受信されると、出力プレート22上の電圧38および出力プレート24上の電圧は低下する。また、入力信号INPおよび入力信号INNの終了時に、それぞれ出力プレート22の電圧および出力プレート24の電圧は上昇する。
【0062】
ポイントB(図7B)において、図示のようなバッファ68の出力68’およびバッファ70の出力70’は、出力プレートの電圧変化と対照的となっている。
【0063】
ポイントC(図7C)において、バッファ68、70の出力は、オペアンプ72により受信され、次に、オペアンプは、入力信号INP、INNの開始および終了をそれぞれ示すV+信号およびV−信号を発生する。次に、ポイントD(図7D)において、コンパレータ64、66による論理演算により、セット信号52およびリセット信号56が発生させられる。その後、ラッチ回路39は、図7Eに示されるような出力信号54を発生する。
【0064】
次に、図8Aおよび図8Bを参照する。ノイズに起因する信号が生じる結果、出力プレート22、24において、同一方向の電圧変化が生じる(図8A)。かかる信号の組み合わせに応答し、オペアンプ72は、信号を発生しないので、出力回路12による出力信号の最終的な発生を効果的にブロックする。
【0065】
図6は、高電圧側ドライバーステージと組み合わせて使用できる出力回路12しか示していない。しかしながら、本発明は、高電圧側ドライバーステージだけに限定されるものではなく、同じように、低電圧側ドライバーとも組み合わせることができる。
【0066】
以上、本発明の特定の実施例と関連して、本発明について説明したが、当業者には、その他の多くの変形例および変更例、並びに他の使用も明らかであると思う。従って、本発明は、本明細書の特定の開示だけに限定されるものでなく、特許請求の範囲のみに限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例に係わるレベルシフト方式のトップレベルのブロック図を示す。
【図2A】本発明の好ましい実施例に係わる信号バイアス回路を示す。
【図2B】本発明の好ましい実施例に係わる回路のエッジトリガーロジック部分と信号バイアス回路との協働関係を示す。
【図3】好ましい実施例に係わる回路におけるエッジトリガー信号を再構成するための回路を示す。
【図4】本発明に係わる信号再構成およびノイズブロック方式を示す。
【図5】本発明に係わる回路の好ましいアプリケーションを略図で示す。
【図6】本発明の別の実施例を示す。
【図7A】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7B】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7C】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7D】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7E】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図8A】第2実施例に係わる回路内で実施されるノイズブロック方式を示す。
【図8B】第2実施例に係わる回路内で実施されるノイズブロック方式を示す。
【符号の説明】
【0068】
10 入力回路
12 出力回路
14、16 コンデンサ
18、20 入力プレート
22、24 出力プレート
26 信号バイアス部分
28 エッジトリガー信号検出部分
30 信号再構成部分
32 バッファ出力部分
34、36 ノード
【技術分野】
【0001】
本願は、「容量結合による高電圧レベルシフト方式」を発明の名称とし、2004年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/619,970号の権利に基づくものであり、この米国仮特許出願の内容を、本願で参考例として援用する。
【0002】
本発明は、高電圧レベルシフト方法、およびその改良に関する。
【背景技術】
【0003】
(数百ボルトまでの)高電圧信号のレベルシフトは、最新のパワーシステムの重要な部分となっている。高電圧信号レベル信号方式は、制御信号とスイッチングパワー出力との間をアイソレートしなければならない。
【0004】
従来、このような高電圧レベルシフトは、所有権のある高電圧接合アイソレート技術、ホール効果センサにより、または光アイソレートデバイスにより実現されていた。これらの解決方法のいずれも、伝搬遅延時間が長く、作動速度が遅いという欠点を有している。しかし、新技術として出現しつつあるアプリケーション、およびシステムアーキテクチャは、高速の作動速度、例えばメガヘルツレンジ内の高速度を必要としている。
【0005】
更に、ホール効果センサまたは光アイソレートデバイスは、かさばり、1つのチップに集積化できない。更に、従来の高電圧接合アイソレート(HVJI)技術は、標準的な低電圧CMOS技術とコンパーチブルではなく、2つの非アース点の間で、信号のレベルシフトを行うときに、余分なプロセスステップ、周辺条件化回路、またはマルチステップレベルシフトを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハーフブリッジドライブシステムでは、負のDCバス電圧がゼロ電圧となるように、DCバスが構成されている。最近のアプリケーションでは、このDCバスは、スプリット電源として構成されており、このことは、DCバスの中間点がゼロ電圧となっていることを意味する。
【0007】
別の最新のアプリケーションでは、DCバスは、フローティングスプリットDC電源として構成されている。これら2つのタイプのDCバスコンフィギュレーションに対し、従来のHVJIは、入力がゼロ電圧であるときのマルチステップ高電圧レベルシフト、基板を負のDCバスに保持するための別の高電圧DC電源、ゼロ電圧を基準とする別の入力電源を必要とする。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の上記した欠点がない高電圧レベルシフト方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わる回路は、第1アースを基準とする入力回路と、別のアースを基準とする出力回路とを備え、入力回路は、少なくとも1つのコンデンサにより、出力回路に容量結合されている。
【0010】
本発明の好ましい実施例では、入力回路は、相補的な入力信号を提供する。この相補的入力信号の各々は、それぞれのコンデンサの入力プレートに結合され、各コンデンサの出力プレートは、出力回路に結合されている。
【0011】
各コンデンサの入力プレートと出力プレートとは、コンデンサの誘電体により、互いに絶縁されているので、入力回路と出力回路との間は、オーミックアイソレートされている。しかし、入力プレートと出力プレートとの間の電荷移動に起因し、出力信号を再構成するために、入力回路からの入力信号を使用できる。
【0012】
入力信号を使って、半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを作動できる。例えば、ドライバー回路のドライブステージに出力信号を供給でき、次に、ドライブステージがパワーMOSFET、IGBTなどのゲートをドライブする。
【0013】
本発明に係わる出力回路は、入力信号によって生じた電荷移動に起因するコンデンサの出力プレートにおける電圧変化とノイズ、例えば共通モードのノイズに起因する電圧変化とを区別できる。従って、本発明に係わる出力回路は、ノイズに関連した誤作動に対して耐性がある。
【0014】
従って、本発明に係わる回路は、容量結合の原理と完全差動信号処理とを統合したものである。好ましいことに、コンデンサの両側における信号は、数百ボルトまで、フローティングアースを基準とすることができる。
【0015】
更に本発明に係わるレベルシフト方式は、固定DC電源構造、またはフローティングDC電源構造の双方に対して、単一ステップのレベルシフト方式であり、別の電源を必要としない。
【0016】
本発明に係わる出力回路は、集積化されたドライバーICと、モノリシックに集積化することが好ましい。かかるデバイスは、標準的なCMOS製造方法を使って製造できる。
【0017】
本発明に係わるモノリシックデバイスは、可能な場合には、5MHz程度の作動速度、50V/nsまでの共通モードのノイズ耐性、および50ns程度に低いIC伝搬遅延時間で、数百ボルトまでの信号レベルシフトを行う。
【0018】
添付図面を参照して行う本発明の次の説明から、本発明の上記以外の特徴および利点が明らかとなると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を参照する。本発明の一実施例に係わる回路装置は、アース1および電源1を基準とする入力回路10と、アース2および電源2を基準とする出力回路12とを備えている。入力回路10は、制御信号を発生できる任意のマイクロコントローラとすることができ、本発明の好ましい実施例では、入力回路10は、相補的信号、すなわち反対の極性の信号を発生できる。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、入力回路10と出力回路12とは、少なくとも1つのコンデンサにより、互いに容量結合されている。好ましい実施例では、入力回路10と出力回路12とを容量結合するのに、2つのコンデンサ14、16が使用されている。
【0021】
より詳細に説明すれば、コンデンサ14の入力プレート18と、コンデンサ16の入力プレート20とは、入力回路10に接続されており、一方、コンデンサ14の出力プレート22と、コンデンサ16の出力プレートとは、出力回路12に電気的に接続されている。
【0022】
このように、入力回路10と出力回路12とは、互いにオーミック絶縁されながら容量結合されている。その結果、入力回路10と出力回路12とは、異なるアース電圧を基準とすることができる。
【0023】
出力回路12は、好ましくは、信号バイアス部分26と、エッジトリガーされた信号検出部分28と、ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30と、バッファ化された出力部分32とを有している。出力回路12は、単一のモノリシック半導体ダイ上に設けられた集積回路(IC)として構成することが好ましい。
【0024】
信号バイアスブロック26は、コンデンサ14の出力プレート22、およびコンデンサ16の出力プレート24に電気的に接続されている。
【0025】
図2Aを詳細に参照する。入力プレート18により、正の入力信号INPが受信されると、コンデンサ14の出力プレート22の電圧は、正の方向に一時的に上昇する。
【0026】
正の入力信号INPがオフになると、出力プレート22の電圧は、負の方向に一時的に低下する。同様に、入力プレート20により、負の入力信号INNが受信されると、出力プレート24の電圧は、負の方向に一時的に変化し、負の入力信号INNがターンオフされると、出力プレート24の電圧は、正の方向に一時的に変化する。このような出力プレート22、24における電圧の一時的な変化は、電荷の移動に起因するものである。
【0027】
図2Aは、通常スイッチングアース2を基準とするノードV+34およびV−36に対するバイアス方式を示す。D1、D2、D3およびD4は、V+ノード34およびV−ノード36を、電源2およびアース2を有するトラック上の電圧に維持するツェナーダイオードである。
【0028】
R1、R2、R3およびR4は、V+ノード34およびV−ノード36のための適当なDCレベルを提供する。R5、R6およびR7は、基準電圧がV+ノード34およびV−ノード36上のDC電圧と共にトラッキングされるよう、次の信号処理のためのパワー電圧基準P_REFおよびN_REFを発生するためにV+ノード34およびV−ノード36に対するDC電圧をバイアスする。P_REFおよびN_REFは、V+ノード34の電圧(V+)およびV−ノード36の電圧(V−)によってトラッキングされる。
【0029】
出力プレート22は、V+ノード34に接続されており、一方、出力プレート24は、V−ノード36に電気的に接続されている。出力プレート22における電圧が変化する結果、V+ノード34における電圧の変化が生じ、一方、出力プレート24における電圧が変化する結果、V−ノード36における電圧が変化する。
【0030】
次に、図2Bを参照する。V+ノード34、およびV−ノード36の電圧変化を検出し、ロジック信号を発生するのに、差動コンパレータ25を使用できる。これらのロジック信号は、各入力信号INP、INNの開始エッジ、終了エッジ、すなわち正の入力信号INPの立ち上がりエッジおよび降下エッジ、並びに負の入力信号INNの降下エッジおよび立ち上がりエッジを決定するのに使用される。
【0031】
入力信号に起因する電圧変化に基づくロジック信号の発生の他に、信号バイアスブロックはノイズ、例えば共通モードのノイズに起因する、V+ノード34およびV−ノード36における電圧変化に基づくロジック信号を発生できる。
【0032】
信号バイアス部分26によって発生されるロジック信号は、エッジでトリガーされた信号検出部分28により受信され、検出部分28は、論理演算を実行することにより、正および負の入力信号に関連するロジック信号とノイズに関連するロジック信号とを区別し、これに応答して、受信された入力信号を再構成するための信号を発生する。
【0033】
より詳細に述べると、エッジトリガー信号検出部分28は、負および正の入力信号INP、INNの開始に応答して、設定信号を発生し、正および負の入力信号INP、INNの終了の検出に応答して、リセット信号を発生する。
【0034】
ブランキングフィルタおよび信号再構成部分39は、設定信号を受信し、これに応答して、出力電圧を発生する。この再構成部分がリセット信号を受信すると、出力電圧をターンオフし、よって入力電圧を再構成する。
【0035】
ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30と共に含まれるブランキングフィルタは、ノイズをフィルタ除去するよう、セット信号およびリセット信号の発生を遅延することに使用されることに留意すべきである。
【0036】
更に、ブランキングフィルタおよび信号再構成部分30のうちのブランキングフィルタは、信号成分または信号の不整合に起因する差動モードのノイズ、または異なる寄生パスに起因する共通モードのノイズから生じる差動モードの信号を除去する。
【0037】
こうして再構成された信号は、バッファ出力部分32を通して、ドライブステージ、例えばパワー半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを駆動するためのドライブステージに供給される。
【0038】
図3を参照する。入力信号INP、INNの開始および終了は、次のように決定される。V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断されると、受信された信号は、入力信号INN、INPの開始であると結論づけられ、セット信号が発生される。V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断されると、受信された信号は、入力信号INN、INPの終了であると結論づけられ、リセット信号が発生される。
【0039】
これらの条件が満たされない場合、信号は発生されない。その結果、ノイズに起因する出力プレート22、24における電圧変化は認識されない。すなわち、ノイズと真の入力信号とが効果的に区別される。
【0040】
より詳細には、コンパレータ27は、V+>P_REFを判断し、そうである場合には高レベル信号を発生し、コンパレータ29は、V−<N_REFを判断し、そうである場合には、高レベル信号を発生する。
【0041】
次にANDゲート35は、コンパレータ27およびコンパレータ29からの2つの高レベル信号を受信した場合、高レベル信号を発生し、この高レベル信号は、ラッチ回路39のセットターミナル41で受信される。ラッチ回路39は、セット信号に応答し、オンにラッチするので、出力信号を発生する。この出力信号は、ドライブステージに結合できる。
【0042】
同様に、コンパレータ31は,V+N_REFかどうかを判断し、そうである場合、高レベル信号を発生し、コンパレータ33は、V−<N_REFかどうかを判断し、そうである場合、高レベル信号を発生する。
【0043】
ゲート37は、コンパレータ31、33からの2つの高レベル信号を受信すると、高レベル信号を発生する。この高レベル信号は,ラッチ回路39のリセットターミナル43で受信される。ラッチ回路39は,リセットターミナル43で高レベル信号を受信すると、出力信号をターンオフする。
【0044】
図4を参照する。入力回路10が正の入力信号INPを発生すると、コンデンサ14の入力プレート18上の電圧は正となり、この信号は、正の入力信号INPの開始を表示する。同様に、入力回路10が負の入力信号INNを発生すると、コンデンサ16の入力プレート20上の電圧は負となり、このことは、負の入力信号INNの開始を表示する。
【0045】
入力プレート18、20の電圧が変化する結果、対応する出力プレート22、24の電圧も、一時的に変化する。特に出力プレート22の電圧38が正となる一方、出力プレート24の電圧は負となる。
【0046】
他方、正の入力信号INOPの終了時に、入力プレート18の電圧は、負に向かってシフトし、負の入力信号INNの終了時には、入力プレート20の電圧は、正の方向に向かってシフトする。従って、出力プレート22の電圧42は、負に向かってシフトし、出力プレート24の電圧44は、正に向かってシフトする。
【0047】
入力プレート18、20に、ノイズまたは共通モードのノイズがあるとき、電圧が負に向かってシフトする結果、出力プレート22、24における電圧46はシフトし、入力プレート18、20の電圧が正に向かってシフトする結果、出力プレート22、24の電圧48は正に向かってシフトする。
【0048】
本発明によれば、論理演算は、出力プレート22、24における電圧変化が入力信号INP、INNに関係するか、またはノイズに関係するかを判断できる。より詳細には、V+>P_REF、V−<N_REF、V+<P_REF、またはV−>N_REFと判断された場合、コンパレータ25は、信号50を発生する。
【0049】
V+<N_REFまたはV+>P_REFと判断された場合、コンパレータ25によって信号は発生されない。V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断されると、エッジトリガー信号検出部分28によってセット信号52が発生される。セット信号52は、入力信号INP、INNの開始を表示し、この信号の結果、ラッチ回路39から出力信号54がスタートする。
【0050】
V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断されると、リセット信号56が発生される。このリセット信号56は終了を表示し、出力信号54をターンオフさせる。その結果、出力信号54が発生される。ブランキングフィルタ、および信号再構成部分30のブランキングフィルタにより、出力信号54の発生は、若干時間シフトさせられる。
【0051】
上記条件が満たされないと、セット信号52のリセット信号56も発生されない。従って、ノイズおよび共通モードのノイズが効果的にブロックされる。より詳細には、V+<N_REFおよびV−<N_REFのとき、リセット信号52は発生されない。同様に、V+<P_REFおよびV−<P_REFのとき、リセット信号56は発生されない。従って、出力信号54は発生されない。
【0052】
パワー半導体デバイス、例えばパワーMOSFETを作動させるのに、出力回路12が発生した出力を使用できる。
【0053】
図5を参照する。一実施例において、1つ以上のパワーMOSFETをドライブするように構成されたドライバーIC58のドライブステージにより、リセット信号52およびリセット信号56を受信できる。
【0054】
例えばハーフブリッジ構造において、高電圧側パワーMOSFET60、および低電圧側パワーMOSFET62をドライブするようになっているドライバーIC58は、本発明に従い、出力回路12を含むように構成できる。従って、本発明に係わる出力回路12は、ドライバー回路と組み合わせ、1つのモノリシック半導体ダイ上の集積回路として構成できる。
【0055】
本発明に従い、出力回路12を含むように変形できる適当なドライバーIC58は、IR2112である。このICは、本発明の出願人によって販売されている高電圧側および低電圧側ドライバーであり、その動作は、本願で参考例として援用する米国特許第5,514,981号に記載されている。
【0056】
図6に示す値は、単なる例であり、当業者であれば、示されている値は本発明の要旨から逸脱することなく、所望に応じて変更できるとことは理解しうると思う。
【0057】
図6を参照する。本発明の第2実施例に係わる出力回路12では、コンパレータ64により、P_REFが受信され、コンパレータ66により、N_REFが受信される。バッファ68は、V+ノード34に接続されており、バッファ70は、V−ノード36に接続されており、各バッファ68、70は、図示するようにオペアンプ72に接続されている。
【0058】
図6に示す抵抗器の値は、単なる例にすぎず、本発明の要旨から逸脱することなく、所望するように変えることができることに留意すべきである。オペアンプ72の出力は、図示のように、コンパレータ64、66に接続されており、よって入力信号INP、INNの開始および終了を識別するように、出力プレート22、24の電圧変化とP_REFおよびN_REFとを比較できる。
【0059】
より詳細に説明すれば、V+>P_REFおよびV−<N_REFと判断された場合、ラッチ回路39(このラッチ回路は、1対のクロス結合されたNANDゲート74によって形成できる)にリセット信号が送られ、従って出力信号54が発生される。V+<N_REFおよびV−>P_REFと判断された場合、ラッチ回路39にリセット信号が送られ、ラッチ信号は入力信号INP、INNの終了を表示すると共に、出力信号54をターンオフする。
【0060】
こうして発生された出力信号は、ドライバーIC58のドライバーステージによって受信され、次にドライバーICは、パワー半導体デバイスにゲートドライブ信号を提供する。
【0061】
次に図6、図7A〜図7Eを参照する。ポイントA(図7A)において、入力プレート22および入力プレート20において、入力信号INPおよびINNはそれぞれ受信されると、出力プレート22上の電圧38および出力プレート24上の電圧は低下する。また、入力信号INPおよび入力信号INNの終了時に、それぞれ出力プレート22の電圧および出力プレート24の電圧は上昇する。
【0062】
ポイントB(図7B)において、図示のようなバッファ68の出力68’およびバッファ70の出力70’は、出力プレートの電圧変化と対照的となっている。
【0063】
ポイントC(図7C)において、バッファ68、70の出力は、オペアンプ72により受信され、次に、オペアンプは、入力信号INP、INNの開始および終了をそれぞれ示すV+信号およびV−信号を発生する。次に、ポイントD(図7D)において、コンパレータ64、66による論理演算により、セット信号52およびリセット信号56が発生させられる。その後、ラッチ回路39は、図7Eに示されるような出力信号54を発生する。
【0064】
次に、図8Aおよび図8Bを参照する。ノイズに起因する信号が生じる結果、出力プレート22、24において、同一方向の電圧変化が生じる(図8A)。かかる信号の組み合わせに応答し、オペアンプ72は、信号を発生しないので、出力回路12による出力信号の最終的な発生を効果的にブロックする。
【0065】
図6は、高電圧側ドライバーステージと組み合わせて使用できる出力回路12しか示していない。しかしながら、本発明は、高電圧側ドライバーステージだけに限定されるものではなく、同じように、低電圧側ドライバーとも組み合わせることができる。
【0066】
以上、本発明の特定の実施例と関連して、本発明について説明したが、当業者には、その他の多くの変形例および変更例、並びに他の使用も明らかであると思う。従って、本発明は、本明細書の特定の開示だけに限定されるものでなく、特許請求の範囲のみに限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例に係わるレベルシフト方式のトップレベルのブロック図を示す。
【図2A】本発明の好ましい実施例に係わる信号バイアス回路を示す。
【図2B】本発明の好ましい実施例に係わる回路のエッジトリガーロジック部分と信号バイアス回路との協働関係を示す。
【図3】好ましい実施例に係わる回路におけるエッジトリガー信号を再構成するための回路を示す。
【図4】本発明に係わる信号再構成およびノイズブロック方式を示す。
【図5】本発明に係わる回路の好ましいアプリケーションを略図で示す。
【図6】本発明の別の実施例を示す。
【図7A】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7B】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7C】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7D】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図7E】第2実施例に係わる回路内で実施される信号再構成方式を示す。
【図8A】第2実施例に係わる回路内で実施されるノイズブロック方式を示す。
【図8B】第2実施例に係わる回路内で実施されるノイズブロック方式を示す。
【符号の説明】
【0068】
10 入力回路
12 出力回路
14、16 コンデンサ
18、20 入力プレート
22、24 出力プレート
26 信号バイアス部分
28 エッジトリガー信号検出部分
30 信号再構成部分
32 バッファ出力部分
34、36 ノード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアースを基準とする入力回路と、
パワー半導体デバイスを作動させるための、第2のアースを基準とする出力回路と、
前記入力回路に電気的に接続された入力プレートおよび前記出力回路に電気的に接続された出力プレートとを有する少なくとも1つのコンデンサとを備える回路装置。
【請求項2】
前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを含む別のコンデンサを更に備える、請求項1記載の回路装置。
【請求項3】
前記出力回路は、信号バイアス部分と、エッジトリガー信号検出部分と、信号再構成部分とを含む、請求項1記載の回路装置。
【請求項4】
前記信号バイアス部分は、前記入力回路から、前記コンデンサの入力プレートへの入力信号に基づき、基準信号を発生するようになっている、請求項3記載の回路装置。
【請求項5】
前記エッジトリガー信号検出部分は、前記信号バイアス部分が発生した基準信号に基づき、前記入力信号の開始および終了を検出し、前記エッジトリガー信号検出部分が前記入力信号の開始を検出したときに、エッジ識別信号を発生するとともに、前記入力信号の前記信号を検出したときに、エッジ識別信号を発生するようになっている、請求項4記載の回路装置。
【請求項6】
前記信号再構成部分は、前記エッジ識別信号に基づき、出力信号を発生するようになっている、請求項5記載の回路装置。
【請求項7】
前記出力回路は、信号再構成に先立ち、ノイズをフィルタ除去するためのブランキングフィルタを更に備えている、請求項6記載の回路装置。
【請求項8】
前記出力回路は、バッファ化された出力部分を更に含む、請求項6記載の回路装置。
【請求項9】
相補的入力信号を発生できるとともに、第1のアースを基準とする入力回路と、
パワー半導体デバイスを作動させるための、第2のアースを基準とする出力回路と、
前記相補的入力信号のうちの1つを受信するよう、前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを備える第1コンデンサと、
前記相補的入力信号のうちの他方の1つを受信するよう、前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを有する第2コンデンサとを備える回路装置。
【請求項10】
前記入力回路は、信号バイアス部分と、エッジトリガー信号検出部分と、信号再構成部分とを含む、請求項9記載の回路装置。
【請求項11】
前記信号バイアス部分は、前記第1コンデンサの出力プレートの電圧変化に基づく基準信号、および前記第2コンデンサの出力プレートの電圧変化に基づき基準信号を発生するようになっている、請求項10記載の回路装置。
【請求項12】
前記エッジトリガー信号検出部分は、前記出力プレートの電圧の各変化に基づくエッジ識別信号を発生するようになっている、請求項11記載の回路装置。
【請求項13】
前記エッジ再構成部分は、前記エッジ識別信号に基づく出力信号を発生するようになっている、請求項11記載の回路装置。
【請求項14】
前記出力回路は、前記出力信号の発生に先立ち、ノイズをフィルタ除去するためのブランキングフィルタを更に含む、請求項13記載の回路装置。
【請求項15】
前記出力回路は、バッファ化された出力部分を更に含む、請求項13記載の回路装置。
【請求項16】
前記信号再構成部分は、ノイズに関連する前記出力プレートの電圧変化と、前記相補的入力信号に関係する出力プレートの電圧変化とを区別できるようになっている、請求項13記載の回路装置。
【請求項17】
第1アース電圧を基準とする入力回路と、第2アース電圧を基準とするパワー半導体デバイスを作動させるための出力回路とを容量結合するステップと、
前記出力回路における前記入力回路からの入力信号の開始を検出するステップと、
前記入力信号の終了を検出するステップと、
前記検出ステップに基づき、出力信号を再構成するステップとを有する、高電圧側レベルシフトを行う方法。
【請求項18】
前記入力信号の開始の検出に応答し、ラッチ回路へセット信号を送り、前記入力信号の終了の検出に応答して、前記ラッチ回路へリセット信号を送ることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ノイズに応答し、前記ラッチ回路に信号を送らないことを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ドライバー回路のドライバーステージに前記出力信号を送ることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項1】
第1のアースを基準とする入力回路と、
パワー半導体デバイスを作動させるための、第2のアースを基準とする出力回路と、
前記入力回路に電気的に接続された入力プレートおよび前記出力回路に電気的に接続された出力プレートとを有する少なくとも1つのコンデンサとを備える回路装置。
【請求項2】
前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを含む別のコンデンサを更に備える、請求項1記載の回路装置。
【請求項3】
前記出力回路は、信号バイアス部分と、エッジトリガー信号検出部分と、信号再構成部分とを含む、請求項1記載の回路装置。
【請求項4】
前記信号バイアス部分は、前記入力回路から、前記コンデンサの入力プレートへの入力信号に基づき、基準信号を発生するようになっている、請求項3記載の回路装置。
【請求項5】
前記エッジトリガー信号検出部分は、前記信号バイアス部分が発生した基準信号に基づき、前記入力信号の開始および終了を検出し、前記エッジトリガー信号検出部分が前記入力信号の開始を検出したときに、エッジ識別信号を発生するとともに、前記入力信号の前記信号を検出したときに、エッジ識別信号を発生するようになっている、請求項4記載の回路装置。
【請求項6】
前記信号再構成部分は、前記エッジ識別信号に基づき、出力信号を発生するようになっている、請求項5記載の回路装置。
【請求項7】
前記出力回路は、信号再構成に先立ち、ノイズをフィルタ除去するためのブランキングフィルタを更に備えている、請求項6記載の回路装置。
【請求項8】
前記出力回路は、バッファ化された出力部分を更に含む、請求項6記載の回路装置。
【請求項9】
相補的入力信号を発生できるとともに、第1のアースを基準とする入力回路と、
パワー半導体デバイスを作動させるための、第2のアースを基準とする出力回路と、
前記相補的入力信号のうちの1つを受信するよう、前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを備える第1コンデンサと、
前記相補的入力信号のうちの他方の1つを受信するよう、前記入力回路に電気的に接続された入力プレート、および前記出力回路に電気的に接続された出力プレートを有する第2コンデンサとを備える回路装置。
【請求項10】
前記入力回路は、信号バイアス部分と、エッジトリガー信号検出部分と、信号再構成部分とを含む、請求項9記載の回路装置。
【請求項11】
前記信号バイアス部分は、前記第1コンデンサの出力プレートの電圧変化に基づく基準信号、および前記第2コンデンサの出力プレートの電圧変化に基づき基準信号を発生するようになっている、請求項10記載の回路装置。
【請求項12】
前記エッジトリガー信号検出部分は、前記出力プレートの電圧の各変化に基づくエッジ識別信号を発生するようになっている、請求項11記載の回路装置。
【請求項13】
前記エッジ再構成部分は、前記エッジ識別信号に基づく出力信号を発生するようになっている、請求項11記載の回路装置。
【請求項14】
前記出力回路は、前記出力信号の発生に先立ち、ノイズをフィルタ除去するためのブランキングフィルタを更に含む、請求項13記載の回路装置。
【請求項15】
前記出力回路は、バッファ化された出力部分を更に含む、請求項13記載の回路装置。
【請求項16】
前記信号再構成部分は、ノイズに関連する前記出力プレートの電圧変化と、前記相補的入力信号に関係する出力プレートの電圧変化とを区別できるようになっている、請求項13記載の回路装置。
【請求項17】
第1アース電圧を基準とする入力回路と、第2アース電圧を基準とするパワー半導体デバイスを作動させるための出力回路とを容量結合するステップと、
前記出力回路における前記入力回路からの入力信号の開始を検出するステップと、
前記入力信号の終了を検出するステップと、
前記検出ステップに基づき、出力信号を再構成するステップとを有する、高電圧側レベルシフトを行う方法。
【請求項18】
前記入力信号の開始の検出に応答し、ラッチ回路へセット信号を送り、前記入力信号の終了の検出に応答して、前記ラッチ回路へリセット信号を送ることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ノイズに応答し、前記ラッチ回路に信号を送らないことを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ドライバー回路のドライバーステージに前記出力信号を送ることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2008−517562(P2008−517562A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538038(P2007−538038)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037764
【国際公開番号】WO2006/045022
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504392083)インターナショナル レクティファイアー コーポレイション (107)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037764
【国際公開番号】WO2006/045022
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504392083)インターナショナル レクティファイアー コーポレイション (107)
【Fターム(参考)】
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