説明

密封容器の製造装置及び密封容器の製造方法

【課題】本発明の目的は、溶接予定箇所を覆うように押さえつけた蓋と容器胴体とを均一に密着させた状態でレーザー溶接を行なうことができる密封容器の製造装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る製造装置は、開口部を有する容器胴体61と開口部を密閉する蓋63とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造装置であって、容器胴体61と蓋63との溶接予定箇所64にレーザー光46を照射する蓋溶接手段45と、容器胴体61に装着された蓋63を押さえる押当板44を有し、押当板44のうち少なくとも蓋63を押さえる押当部分44aがレーザー光46に対して透光性を有し、かつ、押当部分44aをレーザー光46の光路上に配置する蓋固定手段43とを、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー溶接法において、レーザー光を照射する前に容器胴体の開口部に、当該開口部を密閉する蓋を固定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
密封容器、例えば飲料用容器には、壜、缶、プラスチック容器等の各種容器が知られている。近年、その良ハンドリング性等の利便性の観点から缶やプラスチック容器が広く用いられるようになってきている。
【0003】
プラスチック容器に関しては、巻締工程を実施することが困難であり、飲料用金属缶容器のように巻き締めをして密封するプラスチック容器は流通していない。プラスチック容器において、最も流通している容器はPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルである。近年、金属製で、PETボトルと同じようなボトル形状の缶容器も流通している。
【0004】
また、熱溶着、超音波振動、高周波熱伝導でシール部材を容器胴体に溶着させて密封する技術が開示されている(例えば特許文献1又は2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平4−72193号公報
【特許文献2】特開2004−57803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1又は2をはじめとする熱溶着、超音波振動、高周波熱伝導で容器を密封する方法では、熱発生部材、超音波発生部材又は高周波発生部材等の機械的蓋固定手段がシール部材やキャップ等の蓋に接触する必要がある。そのため、コンベア等の容器搬送手段で高速搬送されている容器胴体と蓋とを正確に密着させる必要があるので、機械的蓋固定手段が複雑な構造となり、コストアップと省スペース化の妨げにつながる。
【0007】
レーザー溶接による溶着のために必要なエネルギーは、蓋に何らの物体も接触することなしに供給することができる。さらに方式によっては、レーザー溶接では機械的蓋固定手段が不要となり、省スペース化できる。しかし、レーザー溶接において、溶着する部材間の密封性を確保するために、当該部材を機械的固定手段で押さえつける前工程が広く行われている。一般に容器胴体と蓋とを密封する際には、容器搬送手段で高速搬送されている容器胴体と蓋とを正確に保持する必要があるため、機械的蓋固定手段が複雑な構造になりやすい。レーザー溶接を用いて容器胴体と蓋とを溶着する場合においても、複雑な機械的蓋固定手段はコストアップと省スペース化の妨げにつながる。
【0008】
また、飲料用又は食品用の容器をレーザー溶接する場合、密封時の周辺環境の液体(例えば装置へのかけ水)や充填される液体が溶接予定箇所に残留した状態で溶接する必要がある場合が多い。これらの液体が、一定の熱量を溶接予定箇所から奪ってしまうため、レーザー溶接の品質が低下する。
【0009】
本発明の目的は、溶接予定箇所を覆うように押さえつけた蓋と容器胴体とを均一に密着させた状態でレーザー溶接を行なうことができる密封容器の製造装置を提供することである。これにより、レーザー溶接の品質を高めることを目的とする。このとき、容器胴体と蓋との密封性を確保することで、容器胴体と蓋とを簡易な構造とし、密封容器を安値にすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意開発した結果、レーザー光に対して透光性を有する押当板で蓋を押さえることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明に係る密封容器の製造装置は、開口部を有する容器胴体と前記開口部を密閉する蓋とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造装置において、前記容器胴体と前記蓋との溶接予定箇所にレーザー光を照射する蓋溶接手段と、前記容器胴体に装着された前記蓋を押さえる押当板を有し、前記押当板のうち少なくとも前記蓋を押さえる押当部分が前記レーザー光に対して透光性を有し、かつ、前記押当部分を前記レーザー光の光路上に配置する蓋固定手段とを、備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る密封容器の製造装置では、前記押当部分は、前記レーザー光の透光率が80%以上であることが好ましい。前記押当部分が前記レーザー光を効率的に透過することで、レーザー溶接の品質がより高くなる。また、レーザー溶接のエネルギー効率が高くなり、ランニングコストがより安値になる。逆に透光率の低い材料を前記押当部分に用いると、レーザー溶接のエネルギー効率が低くなるばかりか、場合によっては前記押当部分が発熱し、品質上及び工程上のトラブル要因となる。
【0012】
本発明に係る密封容器の製造装置では、前記押当板のうち少なくとも前記押当部分が、ガラス又はアクリル樹脂で形成されていることが好ましい。ガラス又はアクリル樹脂を用いることで、レーザー溶接システムがより安値になる。
【0013】
本発明に係る密封容器の製造装置では、前記レーザー光に対して透光性を有し、かつ、柔軟性を有する補助板を、前記押当部分の表面のうち前記蓋と接触する面にさらに接合していることが好ましい。前記補助板が前記蓋の寸法誤差を吸収することで、前記押当板が前記蓋に圧力を均一に加え、レーザー溶接の品質がより高くなる。
【0014】
本発明に係る密封容器の製造装置では、前記蓋固定手段は、前記容器胴体に前記蓋を装着する蓋装着手段を兼ねることが好ましい。前記蓋固定手段が前記蓋装着手段を兼ねることで、蓋装着手段を別途設けることを不要とし、省スペース化することができ、レーザー溶接システムがより安値になる。また、蓋装着手段と蓋固定手段との動作を一連の動作で行なうことができるため、レーザー溶接の作業効率を向上させることができる。さらに、溶接に不必要な箇所をレーザー光から保護するためのカバーとして前記蓋固定手段を兼用することができ、例えば、前記容器胴体又は前記蓋にレーザー光を吸収する印字又は印刷がある場合に、これらがレーザー光により変質又は発熱してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る密封容器の製造装置では、前記容器胴体を搬送する容器搬送手段と該容器搬送手段の搬送速度と同じ速度で回転する回転円盤体とをさらに備え、前記蓋固定手段は前記回転円盤体の周縁に等間隔で複数個設置されていることが好ましい。前記蓋固定手段を前記回転円盤体に複数個備えることで、製造ラインの長さを短くでき、省スペース化することができる。
【0016】
本発明に係る密封容器の製造方法は、開口部を有する容器胴体と前記開口部を密閉する蓋とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造方法において、前記容器胴体に装着された前記蓋をレーザー光に対して透光性を有する押当板で押さえつけ、かつ、前記容器胴体と前記蓋との溶接予定箇所を密着状態としたままで前記押当板に前記レーザー光を照射し、前記押当板を透過した前記レーザー光を前記溶接予定箇所に照射して溶接を開始する蓋溶接工程を、備えることを特徴とする。前記溶接予定箇所を覆うように押さえつけた前記蓋と前記容器胴体とを均一に密着させた状態でレーザー溶接を行なうことができる。これにより、レーザー溶接の品質を高めることもできる。このとき、前記容器胴体と前記蓋との密封性を確保することで、前記容器胴体と前記蓋とを簡易な構造とし、密封容器を安値にすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、溶接予定箇所を覆うように押さえつけた蓋と容器胴体とを均一に密着させた状態でレーザー溶接を行なうことができる密封容器の製造装置を提供することができる。これにより、レーザー溶接の品質を高めることができる。このとき、容器胴体と蓋との密封性を確保することで、容器胴体と蓋とを簡易な構造とし、密封容器を安値にすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。なお、同一部材・同一部位には同一符号を付した。
【0019】
(実施の形態1)
本実施形態に係る密封容器の製造装置について説明する。図1に本実施形態に係る密封容器の製造装置の一形態を示す概略図を示した。本実施形態に係る密封容器の製造装置30は、開口部(不図示)を有する容器胴体61と開口部を密閉する蓋63とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造装置において、容器胴体61と蓋63との溶接予定箇所64にレーザー光46を照射する蓋溶接手段45と、容器胴体61に装着された蓋63を押さえる押当板44を有し、押当板44のうち少なくとも蓋63を押さえる押当部分44aがレーザー光46に対して透光性を有し、かつ、押当部分44aをレーザー光46の光路上に配置する蓋固定手段43とを、備えることを特徴とする。さらに、密封容器の製造装置30は、容器胴体61に装着された蓋63が密封されていない容器(以後、未密封容器)を供給する容器供給手段41、未密封容器71及び密封容器72を搬送するコンベア又はスターホイール等の容器搬送手段47、容器搬送手段47上の未密封容器71を自転させる自転テーブル48及び密封容器72を容器搬送手段47から排出する容器排出手段49を備えても良い。
【0020】
容器胴体61は、飲料用又は食品用の液体42が充填された後、予め蓋装着手段(不図示)により蓋63が開口部に装着される。これにより、蓋63を載せたままの未密封容器71が得られる。そして、蓋63が容器胴体61に装着された際、溶接予定箇所64の一部又は全部が密着しあっても良いし、溶接予定箇所64が密着しあっていなくても良い。レーザー光46を照射するとき、押当板44が蓋63を容器胴体61に押さえつけるからである。
【0021】
容器供給手段41は、未密封容器71を容器搬送手段47に供給する。
【0022】
ここで、本実施形態に係る密封容器について説明する。図2(a)に本実施形態に係る第1形態の密封容器の一部縦断面概略図を示した。密封容器100は、開口部9を有する容器胴体1が、開口部9を密閉する蓋3によって密封された密封容器であって、容器胴体1と蓋3との溶接予定箇所4を有する。
【0023】
図2(b)に本実施形態に係る第2形態の密封容器の一部縦断面概略図を示した。密封容器200は、開口部19を有する容器胴体11が、開口部19を密閉する蓋13によって密封された密封容器であって、容器胴体11と蓋13との溶接予定箇所14を有する。密封容器100は開封時にストローが挿しやすい形状であり、密封容器200はボトル形状である。また、密封容器100は溶接予定箇所4の面積を大きく取れるので耐圧強度を大きくすることができる。
【0024】
図2(c)に本実施形態に係る第3形態の密封容器の一部縦断面概略図を示した。密封容器300は、蓋23の端部に開蓋のためのつまみ27を設け、容器胴体21と蓋23との溶接予定箇所24を有する。容器胴体21から開口部29に至るまで、截頭円錐状とすることで、飲みやすい飲み口としている。また、蓋23を小型化でき、蓋材料の使用量を低減できる。
【0025】
図2(d)に本実施形態に係る第4形態の密封容器の一部縦断面概略図を示した。密封容器400は、容器胴体31の側面に、容器胴体31と蓋33との溶接予定箇所34を有する。そのため、レーザー溶接後に溶接予定箇所34は溶接箇所になるが、この溶接箇所には、内圧によって、当該側面の面方向であって蓋33の開封方向(図2(d)の矢印A方向)の剪断応力が加わる。密封容器400では溶接予定箇所34を容器胴体31の側面に設けたため、溶接面積を大きくできるので、蓋33と容器胴体31との単位面積あたりの溶接力が弱くても、高い剪断強度が得られる。そのため、比較的弱い溶接による容易な開蓋性と高い耐圧性を兼ね備えることができる。なお、溶接予定箇所34は、開口部39に向かってわずかに先細りのテーパー状であっても良く又はわずかな突起部を設けても良い(不図示)。溶接予定箇所34をこのような形状にすることで、容器胴体31と蓋33との溶接時の密着性を確保しやすくなる。
【0026】
容器胴体1,11,21,31及び蓋3,13,23,33は、レーザー溶接が可能である素材であればいかなる素材から形成されていても良いが、容器胴体に充填される液体によっても制限を受ける。例えば飲料用容器であれば、液体の品質保持の観点から、容器胴体に充填される液体に対して不活性であることが必要である。さらに酸素等のガスバリア性を備えていることが好ましい。また炭酸飲料を充填する場合には耐圧性を有する素材から形成されていることが必要である。このような観点から容器胴体1,11,21,31及び蓋3,13,23,33は、アルミニウム又はスチール等の金属材料或いはプラスチック材料から形成されていることが好ましい。また、容器胴体1,11,21,31及び蓋3,13,23,33は、リサイクル性の観点から同一素材で形成することが好ましい。特にプラスチック材料から形成することが好ましく、高温まで加熱しなくてもレーザー溶接が可能である。PET樹脂製の密封容器とすれば、従来のPETボトルと比較して、容器胴体と蓋とを同一材料にできるため、容器のリサイクル性が向上する。また、金属缶にプラスチック材料製の蓋を用いることも可能である。プラスチック容器の材料は透光性を有する材料を選択することができるため、従来の金属缶と異なって容器胴体に充填される液体を目視することができる。あるいは、蓋の金属部の少なくとも溶接予定箇所をプラスチック材料とすることもできる。さらに、缶構造と比較すると巻き締めできない形状であっても密封化でき、巻き締めする場合よりも小さな蓋を用いて密封化できる。
【0027】
例えば、容器胴体1,11,21,31と蓋3,13,23,33との材料の組み合わせとしては、プラスチック材料製の容器胴体とプラスチック材料製の蓋、金属材料製の容器胴体とプラスチック材料製の蓋又は金属材料製の容器胴体と金属材料製の蓋であって容器胴体と蓋との間にプラスチック樹脂シート(不図示)を挟みこんだものがある。なお、プラスチック樹脂シートを挟み込む前記いずれの場合においても、その代わりにプラスチック樹脂を含有したシール剤(不図示)を塗布しても良い。シール剤を用いると、プラスチック材料製の容器胴体とプラスチック材料製の蓋とを溶着させた場合より溶着強度が低下することが多いが、その一方で容易な開蓋性を得ることができる。
【0028】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマ樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。なお、容器胴体1,11,21,31及び蓋3,13,23,33をプラスチック材料製とする場合、その内表面若しくは外表面或いはその両面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜、Si含有DLC膜、ポリマーライクカーボン膜、SiOx膜、金属薄膜等のガスバリア性薄膜をコーティングしたものを用いても良い。飲料用プラスチック容器の場合、ガスバリア性が高いほうが好ましいからである。さらに、ガスバリア性薄膜がレーザーを吸収する場合にはレーザーの受光部が発熱する。したがって、レーザー光を吸収しない透明樹脂で容器を形成したとしても、ガスバリア性薄膜を成膜することで、別途、吸収部を設けなくてもレーザー溶接効率が良い。
【0029】
金属材料製の容器胴体1,11,21,31と金属材料製の蓋3,13,23,33とであれば、容器胴体と蓋との溶接予定箇所4,14,24,34にプラスチック樹脂シートを挟みこんでも良い。溶接予定箇所4,14,24,34において、プラスチック樹脂シートが溶融されて固化することで、容器胴体1,11,21,31と蓋3,13,23,33とが接合される。溶接予定箇所4,14,24,34に使用するプラスチック樹脂は、溶接方法によって適宜選択されるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマ樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂である。この中で、PETが金属と密着性が良いので特に好ましい。
【0030】
図1において、容器搬送手段47は、未密封容器71を蓋固定手段43が設置された箇所まで搬送する。
【0031】
蓋固定手段43は、押当板44の押当部分44aで蓋63を押さえて溶接予定箇所64を密着状態にする。図3に、蓋固定手段43の第1形態の一部縦断面概略図を示した。押当板44は、押当部分44a及び押当部分44aを支持する支持部分44bを有する。蓋固定手段43は、押当板44及び支持部分44bを上下させるシリンダー等の押当板駆動機構50から構成される。少なくとも押当部分44aは、レーザー光46に対する透光性を有する必要がある。また、押当板44の全体がレーザー光46に対する透光性を有しても良い。レーザー光照射部45aは、光ファイバー等の光接続手段を介してレーザー発信器(不図示)に接続されており、発振したレーザー光46を照射する。
【0032】
図1において、未密封容器71が搬送されてくると、押当板駆動機構50が支持部分44bを下降させ、押当部分44aが蓋63の天面を押さえて溶接予定箇所64を密着状態にする。
【0033】
その後、レーザー光照射部45aが押当部分44aにレーザー光46を照射し、押当部分44aを透過したレーザー光46が溶接予定箇所14に照射される。レーザー光46はスポット状、線状、領域状若しくはリング状に照射されても良い。レーザー光照射部45aと溶接予定箇所14との位置関係によって適宜、レーザー照射形状が選択される。このとき、レーザー強度はレーザー出力をモニタリングすることによって監視することが好ましい。また、レーザー光46のレーザー照射位置は、CCDカメラ等の画像センサー、光感受センサー若しくは赤外線センサー等の温度センサーによって、画像、発光若しくは発熱をモニタリングして監視することが好ましい。プラスチックの溶接は、光感受センサー若しくは温度センサーによって発光若しくは発熱をモニタリングすることによって監視することが好ましい。
【0034】
蓋溶接手段に組み込まれるレーザー発振素子は、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等のガスレーザー、YAGレーザーが、例示され、レーザー溶接を行なう容器胴体及び蓋の材質、レーザー照射移動速度、照射スポット形状等の各種パラメーターによって適宜選択する。プラスチック容器をレーザー溶接する場合には、レーザー光46の出力を1mmあたり17〜26Jとすることが好ましい。また、プラスチック樹脂シートを溶融させてレーザー溶接する場合には、レーザー光46の出力を1mmあたり0.5〜2.1Jとすることが好ましい。
【0035】
レーザー光46の照射の開始とは、蓋溶接手段が溶接予定箇所14を溶接する為に照射したレーザー光46が容器胴体11又は蓋13の外壁面に到達したときである。
【0036】
図1又は図3で示すように、未密封容器を自転テーブル48によって自転させても良い。固定されたレーザー光照射部45aから照射されたレーザー光46の光路上に溶接予定箇所14が通過するように未密封容器を自転させ、自転テーブル48が1周を終えることによってレーザー光46の照射が終了する。溶接速度は接合しようとする形状や材質などによるが、例えば、8〜100cm/秒である。このとき、レーザー溶接によって溶接箇所を正確にコントロールできる。
【0037】
また、レーザー光照射部45aがレーザー光照射部回転手段(不図示)によって、未密封容器を中心として回転しても良い。レーザー光照射部45aのレーザー光46の照射方向が溶接予定箇所14に向けられたままレーザー光照射部45aが未密封容器の周りを一周し、レーザー光照射部45aがレーザー光照射部回転手段によって1周を終えると、レーザー光46の照射を終了する。溶接速度は接合しようとする形状や材質などによるが、例えば、8〜100cm/秒である。このとき、レーザー溶接によって溶接箇所を正確にコントロールできる。
【0038】
溶接予定箇所14に2周以上レーザー光46を照射しても良い。このとき、未密封容器を自転テーブル48によって自転させて又はレーザー光照射部45aがレーザー光照射部回転手段により移動されて規定の周を終えると、レーザー光46の照射を終了する。さらに2個以上のレーザー光照射部45aを設置し、それぞれを1周させることにより、2以上の循環線状のレーザー溶接を行なっても良い。
【0039】
蓋溶接手段が発生させたレーザー光46を光分岐器(不図示)で分岐させ、2以上のレーザー光照射部45aを溶接予定箇所14に沿って配置しても良い。全ての溶接予定箇所14に対して同時又は略同時にレーザー光46の照射を開始し、溶接予定箇所14の溶接が終了するとレーザー光46の照射を終了する。このとき、溶接予定箇所14は溶接箇所となる。
【0040】
レーザー光46の照射を終了すると、押当板駆動機構50が支持部分44bを上昇させ、押当部分44aが天面13aから離れる。
【0041】
押当板駆動機構50をカム(不図示)としてもよい。未密封容器が図1に示した容器搬送手段47の下降位置aまで搬送されたとき、押当板駆動機構50が支持部分44bを下降させ、押当部分44aが天面13aを押さえて溶接予定箇所14を密着状態にする。次に、レーザー溶接が終了した密封容器が容器搬送手段47の上昇位置bまで搬送されたとき、押当板駆動機構50が支持部分44bを上昇させ、押当部分44aが天面13aから離れる。
【0042】
図4に、蓋固定手段43の第2形態の一部縦断面概略図を示した。図3の蓋固定手段と異なる点についてのみ説明する。蓋固定手段43は、押当部分44aで側面23aを押さえて溶接予定箇所24を密着状態にする。その後、上記と同様に溶接予定箇所24にレーザー光46を照射し、レーザー溶接を行なうことができる。
【0043】
レーザー光46に対して透光性を有しない機械的蓋固定手段で蓋を押さえると、機械的蓋固定手段を迂回させてレーザー光46を溶接予定箇所に照射する必要があり、蓋固定手段や蓋溶接手段の構造が複雑になる。だが、押当部分44aがレーザー光46に対して透光性を有することで、溶接予定箇所24に対して容易にレーザー光46を照射することができる。さらに、図1に示すように押当板44を平面板とするだけでなく、図4に示すように押当板44を変形させて蓋23の形状に適合させることで、本実施形態に係る密封容器の製造装置は、様々な形状の容器胴体と蓋とをレーザー溶接することができる。
【0044】
図1において、容器排出手段49が密封容器72を容器搬送手段47から排出する。
【0045】
容器胴体61や蓋63の洗浄水、密封容器の製造装置30へのかけ水或いは容器胴体61に充填された飲料用又は食品用の液体42等の残留液体が溶接予定箇所64に存在していることがある。この状態でレーザー光46を溶接予定箇所64に照射しても、残留液体が気化する際に一定の熱量を溶接予定箇所64から奪ってしまうため、レーザー溶接の品質が低下する。押当部分44aで蓋63を押さえると、溶接予定箇所64に存在した残留液体が押し出されて溶接予定箇所64に残留液体が残留しにくくなる。よって、レーザー光46の熱量が奪われにくくなり、レーザー溶接の品質が高くなる。このとき、容器胴体61と蓋63とを溶接予定箇所64に残留液体が残留しにくい複雑な構造にする必要がなく、容器胴体61と蓋63とを簡易な構造にでき、密封容器を安値にすることができる。
【0046】
さらに、従来の密封容器の製造装置と比べ、蓋固定手段43が押当板44及び押当板駆動機構50からなる簡素な構成であり、レーザー溶接システムを省スペース化することができる。
【0047】
押当部分44aの厚さやその表面の平滑性が押当部分44aの透光性に影響を及ぼすが本実施形態に係る密封容器の製造装置では、押当部分44aは、レーザー光46の透光率が80%以上であることが好ましい。この条件を満たせば、例えば、押当部分44aの厚さを10mm以上としても良い。押当部分44aがレーザー光46を効率的に透過することで、レーザー光46の熱量が押当部分44aで奪われることが少なくなり、レーザー溶接の品質がより高くなる。また、レーザー溶接のエネルギー効率が高くなり、ランニングコストがより安値になる。また、押当板44の交換も容易である。本実施形態に係る密封容器の製造装置では、750nm以上、1080nm以下の波長を有するレーザー光46を例示することができる。
【0048】
本実施形態に係る密封容器の製造装置では、押当板44のうち少なくとも押当部分44aが、ガラス又はアクリル樹脂で形成されていることが好ましい。一枚のガラス板又はアクリル樹脂板である押当部分44aの端にガラス、アクリル樹脂、プラスチック板は金属等の支持部分44bを略垂直に接合し、押当板44を形成しても良い。このとき、押当部分44aと支持部分44bとが接合する部分に金属材料製の補強部分(不図示)を設けると、押当部分44aと支持部分44bとを強く接合することができる。また、押当板44は、ガラス又はアクリル樹脂で押当部分44a及び支持部分44bを一体として形成しても良い。押当板44のうち少なくとも押当部分44aを安値なガラス又はアクリル樹脂とすることで、レーザー溶接システムがより安値になる。また、交換も容易である。
【0049】
例えば、蓋63が寸法誤差を有していることがある。このとき、押当板44で蓋63を押さえても押当部分44aの一部が蓋63に接触せず、押当板44から蓋63に圧力が均一に加わらず、溶接予定箇所64の密着性が低くなることがある。そこで、図5に示すように、本実施形態に係る密封容器の製造装置では、レーザー光46に対して透光性を有し、かつ、柔軟性を有する補助板51を、押当部分44aの表面のうち蓋13と接触する面にさらに接合していることが好ましい。図5に、蓋固定手段43の第3形態の一部縦断面概略図を示した。図3の蓋固定手段43と異なる点についてのみ説明する。例えば、補助板51は、シリコンゴム、ウレタンゴム等の透明ゴム又はポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン等の透明シートであっても良い。ここで透明とは、レーザー光46を吸収しにくく、かつ、レーザー光46を散乱させにくいことをいう。押当板44で蓋13を押さえたとき、補助板51が柔らかいことで蓋13の寸法誤差を吸収し、押当板44が蓋13に圧力を均一に加える。このとき、溶接予定箇所14の密封性を確保することができ、レーザー溶接の品質がより高くなる。さらに、補助板51が汚れても補助板51を容易に交換することができ、ランニングコストがより安値になる。
【0050】
補助板51を押当部分44aに接合するほか、押当板44の少なくとも押当部分44aを透明ゴムで形成しても良い。上記と同様に溶接予定箇所14の密封性を確保することができ、レーザー溶接の品質がより高くなる。
【0051】
(実施の形態2)
本実施形態に係る密封容器の製造装置について説明する。図6に本実施形態に係る密封容器の製造装置の一形態を示す概略図を示した。図1の密封容器の製造装置30と異なる点についてのみ説明する。密封容器の製造装置31は、蓋固定手段43及び蓋溶接手段45に加え、容器搬送手段47a,47b、蓋供給手段52a、蓋搬送手段52b及び回転円盤体53をさらに備える。回転円盤体53に蓋固定手段43及び蓋溶接手段45が設置される。なお、回転円盤体53の蓋63が位置する側と反対となる側に位置している容器胴体61を点線で示した。
【0052】
蓋供給手段52aは、蓋63を単列状に一個ずつ蓋搬送手段52bに供給する。容器供給手段41は、液体42が充填された容器胴体61を単列状に一個ずつ容器搬送手段47aに供給する。容器胴体61は、容器搬送手段47aから容器搬送手段47bに搬送される。また、蓋63は、蓋搬送手段52bから回転円盤体53に搬送される。図6に示すように、本実施形態に係る密封容器の製造装置では、蓋固定手段43は、容器胴体61に蓋63を装着する蓋装着手段(不図示)を兼ねることが好ましい。例えば、容器搬送手段47bと回転円盤体53とを同じ速度で回転させ、回転円盤体53に搬送された蓋63を押当板44で押さえて開口部69に装着しても良い。また、押当板44が未密封容器のレーザー溶接が終了するまで蓋63を押さえ続けても良い。回転円盤体53は、未密封容器を蓋溶接手段45が設置された箇所まで搬送する。押当板44で蓋63を押さえて溶接予定箇所64を密着状態にしてから、蓋溶接手段45が溶接予定箇所64にレーザー光46を照射する。蓋固定手段43が蓋装着手段を兼ねることで、蓋装着手段を別途設けることを不要とし、省スペース化することができ、レーザー溶接システムがより安値になる。また、蓋装着手段と蓋固定手段との動作を一連の動作で行なうことができるため、レーザー溶接の作業効率を向上させることができる。
【0053】
また、蓋固定手段43は単純な平板だけでなく、蓋63の形状に適合した凹凸のある形状にすることが好ましい。ここで、蓋固定手段43の形状を工夫すると、レーザー光46から溶接に不必要な箇所を保護するためのカバーとして蓋固定手段43を兼用することができ、例えば、容器胴体61又は蓋63にレーザー光46を吸収する印字又は印刷がある場合に、これらがレーザー光46により変質又は発熱してしまうことを防ぐことができる。
【0054】
図7に本実施形態に係る密封容器の製造装置の回転円盤体の上面図を示した。本実施形態に係る密封容器の製造装置では、容器胴体61を搬送する容器搬送手段47bと該容器搬送手段47bの搬送速度と同じ速度で回転する回転円盤体53とをさらに備え、蓋固定手段(不図示)は回転円盤体53の周縁に等間隔で複数個設置されることが好ましい。例えば、回転円盤体53は8個の蓋固定手段を備える。それぞれの蓋固定手段は押当板44を備える。押当板44の上面の側には、レーザー光照射部45aが設置される(一部不図示)。レーザー光照射部45aは、回転円盤体53の回転軸に設置された蓋溶接手段45に光ファイバー等の光接続手段45bを介して接続される。また、蓋溶接手段45が光分岐器(不図示)を備え、複数のレーザー光照射部45aから同時にレーザー光(不図示)を照射してもよい。図7において、位置a〜hは、回転円盤体53における押当板44の位置を示し、下降して蓋63を押さえた押当板44を実線で示し、上昇した状態の押当板44を破線で示した。
【0055】
位置aにおいて、容器胴体61が容器搬送手段47bまで搬送されてくるので、押当板44は上昇している。次に、容器搬送手段47bと回転円盤体53とが同じ速度で回転し続け、容器胴体61が位置bまで搬送されてくる。位置bにおいて、蓋63が回転円盤体53まで搬送されてくるので、押当板44は上昇している。次に、容器胴体61及び蓋63が位置cまで搬送されてくる。位置cにおいて、容器胴体61に蓋63を装着するため、押当板44が下降し始める。次に、容器胴体61及び蓋63が位置dまで搬送されてくる。位置dにおいて、押当板44が蓋63を押さえつけ、容器胴体61に蓋63を装着する。次に、未密封容器が位置eまで搬送されてくる。位置eから位置fまで押当板44が蓋63を押さえ続け、溶接予定箇所を密着状態にする。レーザー光照射部45aが押当板44の押当部分(不図示)にレーザー光を照射し、押当部分を透過したレーザー光が溶接予定箇所に照射される。レーザー光照射部45aがレーザー光を照射したまま、容器搬送手段47bと回転円盤体53とが同じ速度で回転し続け、位置fでレーザー溶接が終了する。レーザー溶接が終了すると、押当板44が上昇し始める。位置gにおいて、押当板44の上昇が終了する。次に、位置hにおいて、密封容器が容器搬送手段47bから排出される。同じ速度で回転する容器搬送手段47bと回転円盤体53とを備え、回転円盤体53に蓋固定手段を複数個備えることで、製造ラインの長さを短くでき、省スペース化することができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る密封容器の製造方法について説明する。図8に本実施形態に係る密封容器の製造方法の一形態を示す概略工程図を示した。本実施形態に係る密封容器の製造方法は、開口部69を有する容器胴体61と開口部69を密閉する蓋63とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造方法において、容器胴体61に装着された蓋63をレーザー光46に対して透光性を有する押当板44で押さえつけ、かつ、容器胴体61と蓋63との溶接予定箇所64を密着状態としたままで押当板44にレーザー光46を照射し、押当板44を透過したレーザー光46を溶接予定箇所64に照射して溶接を開始する蓋溶接工程S4を、備えることを特徴とする。例えば、図6の密封容器の製造装置31は、蓋供給工程S2から容器排出工程S5までを1つの装置で行なうことができる。図8では、さらに蓋溶接工程S4の前に、容器胴体61に液体42を充填する充填工程S1、蓋63を容器胴体61に供給する蓋供給工程S2、蓋63を容器胴体61に装着する蓋装着工程S3が示されている。蓋溶接工程S4の後に、蓋63で密封された容器胴体61を排出する容器排出工程S5、密封不良を検査する不良品検査工程S6が示されている。なお、充填工程S1の前に容器胴体61の内部や蓋63を洗浄する洗浄工程を設けても良い。また、蓋溶接工程S4を経た密封容器にラベルを付すラベリング工程を設けても良い。
【0057】
まず、充填工程S1において、飲料用又は食品用の液体42を容器胴体61に充填する。
【0058】
次に、液体42が充填された容器胴体61を蓋搬送手段52bまで搬送する。このとき、液体42が発泡している場合には泡切りを行ない、炭素ガスパージ若しくは窒素ガスパージを行なう。
【0059】
次に、蓋供給工程S2において、蓋供給手段52aによって蓋63が蓋搬送手段52bに供給される。蓋搬送手段52bは、蓋63を1つの容器胴体61につき一個、開口部69まで搬送する。
【0060】
次に、蓋装着工程S3において、回転円盤体53によって蓋63が容器胴体61に装着される。
【0061】
例えば、図1の密封容器の製造装置30は、蓋溶接工程S4を1つの装置で行なうことができる。蓋溶接工程S4において、押当板44で蓋63を押さえると、溶接予定箇所64に存在した残留液体が押し出されて溶接予定箇所64に残留液体が残留しにくくなる。また、レーザー光46に対して透光性を有することで、押当板44で蓋63を押さえつけて溶接予定箇所64を密着状態としたままレーザー溶接することができる。よって、レーザー光46の熱量が奪われにくくなり、レーザー溶接の品質が高くなる。このとき、容器胴体61と蓋63との密封性を確保することができ、容器胴体61と蓋63とを簡易な構造にでき、密封容器を安値にすることができる。
【0062】
次に、容器排出工程S5において、レーザー溶接を終えて密封された密封容器は、容器搬送手段47から降ろされる。
【0063】
次に、不良品検査工程S6において、不良容器排除手段54によって、密封不良の容器が排除される。密封不良の判断は、上記モニタリングの結果と共に画像検査機(不図示)の外観検査結果を基に行なうことが好ましい。
【実施例】
【0064】
押当板の透光率と密封容器の製造装置の密封不良率との関係を調べる為に、図3に示す密封容器の製造装置で合計10個の密封容器をレーザー溶接した。市販の500mlのペットボトルである容器胴体及び専用に成形したPET樹脂製の蓋を用いた。容器胴体には飲料水500mlを充填し、室温は15℃であった。また、厚さ10mmの押当板で5cmの天面面積の蓋に対し上方から100Nの荷重を蓋天面に加えた。容器運搬速度を50cm/秒とし、蓋の天面から蓋全体にわたって波長が808nmのレーザー光を0.8J/mmのエネルギー供給となるように照射し、溶接を実施した。
【0065】
上記の結果、蓋の耐圧強度が53000Pa前後となる密封容器が得られた。本発明に係る密封容器の製造方法を用いれば、蓋が十分な耐圧強度でレーザー溶接できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本願第1実施形態に係る密封容器の製造装置の概略図である。
【図2】本願第1実施形態に係る密封容器の概略図であり、(a)は第1形態の密封容器の一部縦断面概略図であり、(b)は第2形態の密封容器の一部縦断面概略図であり、(c)は第3形態の密封容器の一部縦断面概略図であり、(d)第4形態の密封容器の一部縦断面概略図である。
【図3】本願第1実施形態に係る蓋固定手段の第1形態の一部縦断面概略図である。
【図4】本願第1実施形態に係る蓋固定手段の第2形態の一部縦断面概略図である。
【図5】本願第1実施形態に係る蓋固定手段の第3形態の一部縦断面概略図である。
【図6】本願第2実施形態に係る密封容器の製造装置の概略図である。
【図7】本願第2実施形態に係る密封容器の回転円盤体の上面図である。
【図8】本願第2実施形態に係る密封容器の各製造工程を示す概略工程図である。
【符号の説明】
【0067】
1,11,21,31,61 容器胴体
3,13,23,33,63 蓋
13a 天面
23a 側面
4,14,24,34,64 溶接予定箇所
9,19,29,39,69 開口部
27 つまみ
30,31 密封容器の製造装置
41 容器供給手段
42 液体
43 蓋固定手段
44 押当板
44a 押当部分
44b 支持部分
45 蓋溶接手段
45a レーザー光照射部
45b 光接続手段
46 レーザー光
47,47a,47b 容器搬送手段
48 自転テーブル
49 容器排出手段
50 押当板駆動機構
51 補助板
52a 蓋供給手段
52b 蓋搬送手段
53 回転円盤体
54 不良容器排除手段
71 未密封容器
72 密封容器
100,200,300,400 密封容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器胴体と前記開口部を密閉する蓋とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造装置において、
前記容器胴体と前記蓋との溶接予定箇所にレーザー光を照射する蓋溶接手段と、
前記容器胴体に装着された前記蓋を押さえる押当板を有し、前記押当板のうち少なくとも前記蓋を押さえる押当部分が前記レーザー光に対して透光性を有し、かつ、前記押当部分を前記レーザー光の光路上に配置する蓋固定手段とを、備えることを特徴とする密封容器の製造装置。
【請求項2】
前記押当部分は、前記レーザー光の透光率が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の密封容器の製造装置。
【請求項3】
前記押当板のうち少なくとも前記押当部分が、ガラス又はアクリル樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封容器の製造装置。
【請求項4】
前記レーザー光に対して透光性を有し、かつ、柔軟性を有する補助板を、前記押当部分の表面のうち前記蓋と接触する面にさらに接合していることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の密封容器の製造装置。
【請求項5】
前記蓋固定手段は、前記容器胴体に前記蓋を装着する蓋装着手段を兼ねることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の密封容器の製造装置。
【請求項6】
前記容器胴体を搬送する容器搬送手段と該容器搬送手段の搬送速度と同じ速度で回転する回転円盤体とをさらに備え、前記蓋固定手段は前記回転円盤体の周縁に等間隔で複数個設置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の密封容器の製造装置。
【請求項7】
開口部を有する容器胴体と前記開口部を密閉する蓋とをレーザー溶接法によって溶着して気密状態とした密封容器の製造方法において、
前記容器胴体に装着された前記蓋をレーザー光に対して透光性を有する押当板で押さえつけ、かつ、前記容器胴体と前記蓋との溶接予定箇所を密着状態としたままで前記押当板に前記レーザー光を照射し、前記押当板を透過した前記レーザー光を前記溶接予定箇所に照射して溶接を開始する蓋溶接工程を、備えることを特徴とする密封容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−261666(P2007−261666A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92205(P2006−92205)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】