説明

対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラム

【課題】 監視範囲を撮像した画像を用いて監視対象物の変動を容易に監視することが可能な対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラムを提供する。
【解決手段】 対象物監視システム1は、トンネルTの切羽Kに設置された複数のマーカ2と、このマーカ2を含む撮像範囲Aを撮像する撮像装置3と、この撮像装置3で撮像された画像を処理する画像処理装置4と、画像処理装置4での処理結果を出力する出力装置5と、画像処理装置4に接続され、画像や処理結果などを記憶するデータ記憶装置6と、画像処理装置4に命令などを入力するための入力装置7と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラムに関し、さらに詳しくは、切羽や法面などの工事対象物を撮像した画像を用いて対象物の変動を監視する対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル切羽や法面、あるいは取り壊し中の建物などの工事対象物は、万一崩壊した場合に甚大な被害が発生するおそれがあるため、対象物の状態を常に監視して、崩壊のおそれがある場合には、対策工を施したり人員を退避させたりなど、適切な処置をとらなければならない。
【0003】
従来、トンネル切羽の監視方法(トンネル崩壊予知方法)としては、例えば特許文献1が開示されている。かかるトンネル切羽の監視方法によれば、切羽の地盤内に鋼棒の先端を固定し、その鋼棒の露出端に地中変位ターゲットを取り付け、また、切羽の表面に表面変位ターゲットを取り付け、レーザ変位測定器によって地中変位ターゲットと表面変位ターゲットの移動量の差を測定することにより、切羽地盤の変位速度が測定される。
【0004】
また、他のトンネル切羽の監視方法(トンネル切羽変位警報方法)としては、例えば特許文献2が開示されている。かかる方法によれば、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各変位量をレーザ測距により測定し、該変位量に基づいて地山崩落などの危険発生を示す兆候が現れたか否かを判定することにより、当該判定結果に応答して作業者に警報が発せられる。
【特許文献1】特開平9−287948号公報(段落0007〜0014、図1)
【特許文献2】特開2001−194112号公報(段落0023〜0027、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のトンネル切羽の監視方法は、監視対象物である切羽(地山)を削孔して鋼棒を設置するため、手間と費用がかかるという問題があった。
【0006】
また、従来のトンネル切羽の監視方法は、レーザ測定器を用いることから、レーザ測定器を観測点にいちいち向け直さなければならず、手間がかかる。そのため、監視範囲が大きくなると、計測作業に時間がかかり、作業時間の増大、判断の遅延を招くこととなる。また、監視作業を自動化するには大掛かりなレーザ測定器の自動制御装置が必要となり、コストの増大を招くこととなる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、監視範囲を撮像した画像を用いて監視対象物の変動を容易に監視することが可能な対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る対象物監視システムは、監視対象物の監視範囲内に設置された複数のマーカと、前記監視範囲を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像した画像データを処理する画像処理装置と、前記画像処理装置による処理結果を出力する出力装置と、を備える対象物監視システムであって、前記画像処理装置は、前記撮像装置により撮像された基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出部と、前記基準画像データから抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出部と、前記撮像装置により撮像された現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出部と、前記現在画像データから抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出部と、前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出部と、前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る対象物監視方法は、前記した対象物監視システムを用いた対象物監視方法であって、前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して監視の規準となる基準画像データを生成する基準画像撮像ステップと、前記基準マーカ抽出部によって前記基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出ステップと、前記基準距離算出部によって、前記基準画像データから抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出ステップと、前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して比較対象となる現在画像データを生成する現在画像撮像ステップと、前記現在マーカ抽出部によって前記現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出ステップと、前記現在距離算出部によって、前記現在画像データから抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出ステップと、前記距離変化量算出部によって、前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出ステップと、前記距離変化量判定部によって、前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定ステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、まず、撮像装置によって所定の時間間隔で監視範囲が撮像される。ここで、説明の都合上、撮像装置によって撮像される画像データのうち、監視の基準となる画像データを基準画像データと定義するとともに、当該基準画像データよりも後に撮像された画像を現在画像データと定義する。
【0011】
次に、画像処理装置では、基準画像データの中から、監視範囲内に設置されたマーカの画像が、基準マーカ抽出部によって抽出される。抽出された各マーカには番号を割当てるのが好ましい。
【0012】
次に、基準画像データから抽出された各マーカ間の距離(以下、「基準距離」という。)が、基準距離算出部によって算出される。各マーカ間の基準距離は、例えば画像処理装置に接続されたデータ記憶装置に、両端のマーカと対応付けて記憶するのが好ましい。
【0013】
次に、現在画像データの中から、監視範囲内に設置されたマーカの画像が、現在マーカ抽出部によって抽出される。抽出された各マーカには、基準画像データから抽出されたマーカの番号に対応する番号を割当てるのが好ましい。
【0014】
次に、現在画像データから抽出された各マーカ間の距離(以下、「現在距離」という。)が、現在距離算出部によって算出される。各マーカ間の現在距離は、両端のマーカと対応付けてデータ記憶装置に記憶するのが好ましい。
【0015】
次に、距離変化量算出部によって、前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量が算出される。
【0016】
そして、距離変化量判定部によって、前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号が送信される。
すなわち、かかる構成によれば、監視範囲を撮像した画像を用いて監視対象物の変化を察知し、各マーカ間の距離の変化量に応じて所定の信号を出力装置に出力することができる。
【0017】
ここで、マーカは、対象物の表面の中で他の部分と識別できる部分であればどのようなものでもよく、対象物自体の特徴点でもよいし、対象物の表面に後から取り付けたり、着色したものでもよい。対象物の表面に取り付けるものとしては、例えば対象物と区別しやすい色・形状のもの(ターゲット板等)や、道路標識用の反射シートやプリズムなどの反射板や、特定色の発光体(電球、LED等)等を用いることができる。また、着色する場合には、赤、青、緑など、対象物と区別しやすい色を用いるのが好ましい。
【0018】
また、撮像装置は、画像を電子データとして取り込むことができるCCD撮像素子を備えるデジタルカメラなどを用いるのが好ましい。また、撮像範囲を撮像する時間間隔については、現場の状況に合わせて適宜設定するのが好ましい。
【0019】
また、出力装置は、処理結果を人間に伝達できるものであれば、映像、音声など出力方法を問わない。出力装置としては、例えば、ディスプレイやプリンタ、あるいは警報装置などを用いるのが好ましい。
【0020】
また、データ記憶装置は、公知の記憶装置を適宜用いることが可能であり、例えばRAMなどのメモリ装置、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、CDやDVDなどの光記録媒体、ハードディスク装置、などを用いるのが好ましい。
【0021】
また、基準画像データからマーカを抽出する方法としては、公知の画像処理方法を用いることができる。例えば、特定の色彩、輝度、明度等に基づいて基準画像データをフィルタ処理することにより、マーカを抽出することができる。
【0022】
また、各マーカ間の距離は、例えば抽出された各マーカの画像の面積重心点(図心)を求め、当該面積重心点の座標に基づいて算出するのが好ましい。なお、各マーカ間の距離は、現実の距離ではなく画像データ上の距離(間隔)を用いることができる。
【0023】
また、基準画像データから抽出したマーカと、現在画像データから抽出したマーカとを対応させる手法としては、例えば、両者の座標を比較して最も近い座標同士を対応させてもよいし、抽出したマーカの画像の色や形状に基づいて対応させてもよいし、これら複数の手法を組み合わせて対応関係を判断してもよい。
【0024】
また、出力装置に送信される所定の信号としては、例えば、警報装置に警報を発生させる警報発令信号やディスプレイに表示する処理結果を含んだ信号などが好ましい。また、閾値を段階的に設定して、各段階にあわせて信号を設定してもよい。
【0025】
また、本発明に係る対象物監視システムの画像処理装置は、前記基準画像データから前記各マーカ間を結ぶ線分上の画像を基準線分画像として抽出する基準線分画像抽出部と、前記現在画像データから前記各マーカ間を結ぶ線分上の画像を現在線分画像として抽出する現在線分画像抽出部と、前記基準線分画像と前記現在線分画像とを比較して相異点を検出する相異点検出部と、を備えて構成するのがよい。
【0026】
かかる構成によれば、基準線分画像抽出部によって、基準画像データから、各マーカ間を結ぶ線分上の画像が基準線分画像として抽出される。また、現在線分画像抽出部によって、現在画像データから、各マーカ間を結ぶ線分上の画像が現在線分画像として抽出される。そして、相異点検出部によって、基準線分画像と現在線分画像とが比較され、両者の相異点が検出される。これにより、監視対象物の変化発生箇所を特定することができる。
【0027】
また、前記画像処理装置は、前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出部と、前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出部と、前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出部と、前記各マーカの変位量が閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定部と、を備えて構成するのがよい。
【0028】
かかる構成によれば、基準画像データから抽出された各マーカの基準座標が基準座標算出部によって算出され、現在画像データから抽出された各マーカの現在座標が現在座標抽出手段によって算出され、基準座標と現在座標との差分から各マーカの変位量が座標変位量算出部によって算出され、当該各マーカの変位量が閾値以上である場合に、座標変位量判定部によって、出力装置に所定の信号が送信される。そのため、例えば、監視対象物全体(あるいは監視範囲全体)が変位したことにより、各マーカ間の距離が変化しなかった場合でも、各マーカの座標の変位に基づいて、監視対象物の変化を検出し、出力装置に信号を送信することができる。
【0029】
また、各マーカの座標は、例えば抽出された各マーカの画像の面積重心点(図心)を求めることにより算出するのが好ましい。なお、各マーカの座標は、現実の座標ではなく、画像データ上の座標を用いることができる。
【0030】
また、本発明に係る対象物監視システムは、前記複数のマーカのうちの少なくとも一つを不動点に設置するのが好ましい。
【0031】
かかる構成によれば、監視対象物と撮像装置とが一緒に移動(変位)した場合でも、複数のマーカのうちの少なくとも一つが不動点に設置されていることから、不動点マーカと他のマーカとの距離の変化、あるいは、不動点の座標の変化に基づいて、監視対象物の変化を検出し、出力装置に信号を送信することができる。
【0032】
また、本発明に係る対象物監視システムは、異なる監視範囲をそれぞれ撮像する複数の前記撮像装置を備え、一の監視範囲は、他の監視範囲との重複部分を有し、前記重複部分には、少なくとも一つの前記マーカが含まれるように構成するのが好ましい。
【0033】
かかる構成によれば、異なる監視範囲をそれぞれ撮像する複数の前記撮像装置を備えることから、より広い範囲を監視することができる。そのうえ、一の監視範囲は、他の監視範囲との重複部分を有し、前記重複部分には、少なくとも一つの前記マーカが含まれることから、異なる監視範囲を関連付けながら監視することができる。そのため、監視範囲間の隙間をなくし、監視漏れを防止することができる。また、一方の監視範囲に前記した不動マーカを設けることで、他方の監視範囲のマーカと不動マーカとを関連付けることができる。そのため、他方の監視範囲(監視対象物)と撮像装置が一緒に変位した場合でも、当該変位を検出することができる。
【0034】
また、本発明にかかる対象物監視プログラムは、監視対象物の監視範囲を撮像した画像データに基づいて前記監視対象物を監視するために、コンピュータを、前記監視範囲を撮像する撮像装置によって撮像された基準画像データから、前記監視範囲内に設置された複数のマーカを抽出する基準マーカ抽出手段、前記基準マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出手段、前記撮像装置によって撮像された現在画像データから、前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出手段、前記現在マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出手段、前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出手段、前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定手段、として機能させることを特徴とする。
【0035】
かかるプログラムによれば、コンピュータを用いて、対象物監視システムに係る画像処理装置を容易に構成することができる。
【0036】
また、本発明に係る対象物監視システムは、監視対象物の監視範囲内に設置された少なくとも1つのマーカと、前記監視範囲を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像した画像データを処理する画像処理装置と、前記画像処理装置による処理結果を出力する出力装置と、を備える対象物監視システムであって、前記画像処理装置は、前記撮像装置により撮像された基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出部と、前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出部と、前記撮像装置により撮像された現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出部と、前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出部と、前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出部と、前記各マーカの座標の変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定部と、を備えることを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る対象物監視方法は、前記した対象物監視システムを用いた対象物監視方法であって、前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して監視の規準となる基準画像データを生成する基準画像撮像ステップと、前記基準マーカ抽出部によって前記基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出ステップと、前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を前記基準座標算出部によって算出する基準座標算出ステップと、前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して比較対象となる現在画像データを生成する現在画像撮像ステップと、前記現在マーカ抽出部によって前記現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出ステップと、前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を前記現在座標算出部によって算出する現在座標算出ステップと、前記座標変位量算出部によって、前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出ステップと、前記座標変位量判定部によって、前記各マーカの座標の変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定ステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0038】
かかる構成によれば、まず、撮像装置によって所定の時間間隔で監視範囲が撮像される。
【0039】
次に、画像処理装置では、基準画像データの中から、監視範囲内に設置されたマーカの画像が、基準マーカ抽出部によって抽出される。抽出された各マーカには番号を割当てるのが好ましい。
【0040】
次に、基準画像データから抽出された各マーカの基準座標が基準座標算出部によって算出される。各マーカの基準座標は、各マーカに対応付けてデータ記憶装置に記憶するのが好ましい。
【0041】
次に、現在画像データの中から、監視範囲内に設置されたマーカの画像が、現在マーカ抽出部によって抽出される。抽出された各マーカには、基準画像データから抽出されたマーカの番号に対応する番号を割当てるのが好ましい。
【0042】
次に、現在画像データから抽出された各マーカの現在座標が現在座標算出部によって算出される。各マーカの現在座標は、各マーカに対応付けてデータ記憶装置に記憶するのが好ましい。
【0043】
次に、座標変位量算出部によって、前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量が算出される。
【0044】
そして、前記各マーカの座標の変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、座標変位量判定部によって、前記出力装置に所定の信号が送信される。
すなわち、かかる構成によれば、監視範囲を撮像した画像を用いて監視対象物に設置したマーカの変位を察知し、各マーカの座標の変位量に応じて所定の信号を出力装置に出力することができる。なお、各マーカの変位量のうち、幾つのマーカが閾値を超えた場合に信号を送信するかは、現場の状況に応じて適宜設定すればよく、一つでもよいし、複数でもよい。
【0045】
なお、本発明にかかる対象物監視プログラムは、監視対象物の監視範囲を撮像した画像データに基づいて前記監視対象物を監視するために、コンピュータを、前記監視範囲を撮像する撮像装置によって撮像された基準画像データから、前記監視範囲内に設置された複数のマーカを抽出する基準マーカ抽出手段、前記基準マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出手段、前記撮像装置によって撮像された前記監視範囲の現在画像データから、前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出手段、前記現在マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出手段、前記各マーカ間の基準座標と現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出手段、前記各マーカの変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定手段、として機能させることを特徴とする。
【0046】
かかるプログラムによれば、コンピュータを用いて、対象物監視システムに係る画像処理装置を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、監視範囲を撮像した画像を用いて監視対象物の変動を容易に監視することが可能な対象物監視システム、対象物監視方法および対象物監視プログラムを提供することができる。そのため、レーザ測定器を用いる必要がなく、監視作業の自動化が容易になり、コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
[第1実施形態]
(対象物監視システム1の構成)
図1は、第1実施形態に係る対象物監視システムの構成を示した斜視図である。図2は、第1実施形態に係る対象物監視システムの主要な構成を示したブロック図である。
第1実施形態に係る対象物監視システム1は、監視対象物であるトンネルTの切羽Kを撮像し、その画像に基づいて切羽Kの変動を検出して警報などを発するシステムである。
第1実施形態に係る対象物監視システム1は、図1に示すように、トンネルTの切羽Kに設置された複数のマーカ2と、このマーカ2を含む撮像範囲Aを撮像する撮像装置3と、この撮像装置3で撮像された画像を処理する画像処理装置4と、画像処理装置4での処理結果を出力する出力装置5と、画像処理装置4に接続され、画像や処理結果などを記憶するデータ記憶装置6と、画像処理装置4に命令などを入力するための入力装置7と、から構成されている。
【0050】
(マーカ2)
マーカ2は、切羽Kの表面に設けられた監視の基準となるマークである。本実施形態では、切羽Kの地山の色と区別可能な色彩の塗料(例えば緑色の塗料)を切羽Kに塗布することにより設けられている。
なお、マーカ2は、このような塗料に限られるものではなく、例えば、ターゲット板や反射板、LEDランプなどを地山に設置してもよい。
【0051】
マーカ2は、図1に示すように、撮像装置3の撮像範囲A内に複数設置する。これにより、マーカ2同士の間の距離が計測可能となる。マーカ2の設置間隔は、切羽Kの状態に合わせて適宜調節する。例えば、切羽Kの地山に断層やクラックのような変位し易い箇所があれば、その付近にマーカ2を多く配置してもよい。
【0052】
(撮像装置3)
撮像装置3は、切羽Kの画像を撮像する装置であり、例えばデジタルカメラなどで構成されている。撮像装置3は、所定の時間間隔で切羽Kを撮像できるように構成されている。具体的には、タイマー機能を備えて構成するか、画像処理装置4からの命令によって所定のタイミングで撮像するように構成するのが好ましい。これにより、撮像装置3は、監視の基準となる基準画像と、監視の対象となる現在画像を撮像することができる。
撮像装置3は画像処理装置4に接続されており、撮像された画像は、基準画像データまたは現在画像データとして画像処理装置4に送信される。
【0053】
(画像処理装置4)
画像処理装置4は、撮像装置3によって撮像された画像を処理して切羽Kの変化を検出する装置であり、例えば所定のプログラムを備えるコンピュータによって構成されている。
画像処理装置4は、図2に示すように、基準画像データからマーカ2を抽出する基準マーカ抽出部401と、抽出したマーカ2の基準座標を算出する基準座標算出部402と、算出された基準座標に基づいて各マーカ2間の基準距離を算出する基準距離算出部403と、現在画像データからマーカ2を抽出する現在マーカ抽出部404と、抽出されたマーカ2の現在座標を算出する現在座標算出部405と、現在座標に基づいて各マーカ2間の現在距離を算出する現在距離算出部406と、基準距離と現在距離とに基づいて距離変化量を算出する距離変化量算出部407と、マーカ2間の距離の変化量に基づいて監視対象物の変化を判定する距離変化量判定部408と、基準画像データから各マーカ2間の基準線分画像を抽出する基準線分画像抽出部409と、現在画像データから各マーカ2間の現在線分画像を抽出する現在線分画像抽出部410と、基準線分画像と現在線分画像の相異点を検出する相異点検出部411と、から構成されている。
画像処理手段の各機能ブロックの機能については、後に説明する対象物監視方法のフローの中で詳細に説明する。
【0054】
画像処理装置4は、図1に示すように、データ記憶装置6に接続されており、撮像装置3で撮像された基準画像データおよび現在画像データや、画像処理装置4で処理した処理画像および処理データをデータ記憶装置6に保存可能になっている。
【0055】
(出力装置5)
出力装置5は、画像処理装置4の処理結果に応じて、例えば警報や画像を出力する装置であり、本実施形態では、図2に示すように、ディスプレイ501と警報装置502とから構成されている。
【0056】
(データ記憶装置6)
データ記憶装置6は、撮像装置3で撮像された画像や、画像処理装置4で処理された画像およびデータを記憶する装置であり、例えばRAMなどのメモリ装置やハードディスク装置などから構成されている。
データ記憶装置6は、図2に示すように、画像に関するデータを記憶する画像記憶部601と、各マーカの座標に関するデータを記憶する座標記憶部602と、各マーカ間の距離に関するデータを記憶する距離記憶部603とを備えている。各記憶部については後に詳しく説明する。
【0057】
(入力装置7)
入力装置7は、画像処理装置4に所定の命令を入力する装置であり、例えばキーボードやマウスなどから構成されている。対象物監視システム1の操作者は、ディスプレイ501に表示される画面の指示にしたがって、当該入力装置7から画像処理装置4に命令を入力することができる。
【0058】
(対象物監視システム1を利用した対象物監視方法)
つづいて、対象物監視システム1を利用した対象物監視方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係る対象物監視システムを用いた対象物監視方法のフロー図である。図4は、基準画像データの処理の流れを模式的に示した図である。図5は、データ記憶部の内容を模式的に示した図であり、(a)は座標記憶部、(b)は距離記憶部を示す。図6は、現在画像データの処理の流れを模式的に示した図である。図7は、線分画像の抽出および相異点の検出について説明するための図である。
以下、図1〜7を適宜参照して詳細に説明する。
【0059】
(事前準備)
事前準備として、図1に示すように、トンネルTの切羽Kに複数のマーカ2を設置するとともに、撮像範囲A内にマーカ2がすべて入るように撮像装置3を設置する。そして、所定の時間間隔で撮像範囲Aを撮像するように設定する。本実施形態では5分間隔とする。
【0060】
(基準画像撮像ステップS1)
対象物監視システム1が実行されると、はじめに、撮像装置3によって撮像範囲Aが撮像され、基準画像データG1(図4(a)参照)が生成される。基準画像データG1には、図4(a)に示すように、切羽Kとマーカ2とが撮像されている。
撮像された基準画像データG1は、画像処理装置4の基準マーカ抽出部401に送信されるとともに、データ記憶装置6の画像記憶部601に記憶される。
【0061】
(基準マーカ抽出ステップS2)
基準画像データG1が基準マーカ抽出部401に送信されると、基準マーカ抽出部401は、基準画像データG1を例えばフィルタリング処理して、基準画像データG1の中からマーカ2を抽出する。
【0062】
具体的には、例えば、マーカ2が切羽Kに塗布された塗料(例えば緑色)である場合には、入力装置7を介して画像処理装置4にマーカ2の色彩に関する情報を入力しておく。そして、基準マーカ抽出部401は、かかる色彩に関する情報に基づいて基準画像データG1から緑色の色彩を有する画素のみを抽出し、基準マーカ抽出画像データG2(図4(b)参照)を生成する。すなわち、基準マーカ抽出画像データG2は、各マーカ2とそれ以外の部分に2値化されたデータとなる。また、基準マーカ抽出部401によって、抽出された画素の集団、すなわちマーカ2の画像毎に番号n(No.1〜6)が割当てられる(図4(c)参照)。なお、本実施形態では、X座標の小さいものから順に番号nを割当てることとし、X座標が同じ場合にはY座標の小さいものを優先するようにした。
【0063】
(基準座標算出ステップS3)
基準マーカ抽出画像データG2が生成されると、基準座標算出部402は、当該基準マーカ抽出画像データG2に基づいて、各マーカ2の基準座標を算出する。
【0064】
具体的には、基準座標算出部402は、基準マーカ抽出画像データG2の各マーカ2の画像について、図4(d)に示すように、画像の左下隅を座標(0,0)として面積重心点(図心)を算出する。各マーカ2の面積重心点(Xn,Yn)は、下記の計算式によって計算される。
n=SYn/An
n=SXn/An
ここで、Xnはn番目のマーカ2の面積重心点のX座標、Ynはn番目のマーカ2の面積重心点のY座標、Anはn番目のマーカ2の面積、SYnはn番目のマーカ2のY軸に関する断面1次モーメント、SXnはn番目のマーカ2のX軸に関する断面1次モーメント、である。
算出された各マーカ2の基準座標は、図5(a)に示すように、各マーカ2の番号n及び撮像時間と関連付けられて座標記憶部602の基準座標記憶テーブルT1に記憶される。
【0065】
なお、本実施形態においては、撮像されたマーカ2の面積重心点(図心)を求めてマーカ2の座標(Xn,Yn)としたが、これに限られるものではなく、他の方法によってマーカ2の座標を定めてもよい。
他の方法の詳細については後に詳しく説明する。
【0066】
(基準距離算出ステップS4)
基準距離算出部403は、算出された基準座標に基づいて、各マーカ2同士の間の距離を算出する。このとき、基準距離算出部403は、図4(e)に示すように、各マーカ2同士を結ぶ線分A〜Iを定義し、かかる線分A〜Iを距離記憶部603の線分記憶テーブルT4に記憶する(図5(b)参照)。なお、本実施形態においては、線分同士が交差しないように線分を定義することで線分の数を削減し、計算の効率を向上させている。
【0067】
そして、基準距離算出部403は、線分の両端のマーカ2の基準座標に基づいて、当該線分A〜Iの長さ、すなわち両端のマーカ2間の基準距離を算出する。
具体的には、各線分の長さLAIは、下式によって計算される。
A=〔(X2−X12+(Y2−Y120.5
B=〔(X3−X12+(Y3−Y120.5
・・・
I=〔(X6−X52+(Y6−Y520.5
計算された基準距離は、各線分A〜Iに関連付けられて、図5(b)に示すように、距離記憶部603の基準距離記憶テーブルT5に記憶される。
【0068】
(基準線分画像抽出ステップS5)
基準線分画像抽出部409は、基準画像データG1の中から、基準距離算出ステップS4で定義した線分A〜Iと重なる部分の画像を、基準線分画像データとして抽出する。具体的には、図7(a)に示すように、各線分A〜Iに沿って、所定の幅の範囲にある画素のデータを抽出する。
抽出したデータは、各線分A〜Iと関連付けて、基準線分画像として画像記憶部601に記憶される。
【0069】
(現在画像撮像ステップS6)
そして、基準画像の撮像から所定時間(本実施形態では5分)が経過すると、撮像装置3によって撮像範囲A(図1参照)が撮像され、現在画像データG3(図6(a)参照)が生成される。現在画像データG3には、図4(b)に示すように、切羽Kと、マーカ2と、が撮像されている。なお、切羽KにクラックCが生じた場合には、クラックCも撮像されることとなる。
撮像された現在画像データG3は、画像処理装置4の現在マーカ抽出部404に送信されるとともに、データ記憶装置6の画像記憶部601に記憶される。
【0070】
(現在マーカ抽出ステップS7)
現在画像データG3が現在マーカ抽出部404に送信されると、現在マーカ抽出部404は、現在画像データG3を例えばフィルタリング処理してマーカ2の画像を抽出し、現在マーカ抽出画像データG4(図6(b)参照)を生成する。なお、マーカ2の具体的な抽出方法は、基準マーカ抽出ステップS2の説明と重複するため省略する。
【0071】
ここで、現在マーカ抽出部404は、図6(c)に示すように、現在画像データG3から抽出された各マーカ2の画像に対して、基準マーカ抽出ステップS2で割当てた番号nに対応した番号nを割当てる。具体的には、想定される各マーカ2の変位量(管理基準値など)よりも各マーカ同士の間隔を十分大きくしておけば、基準マーカ抽出部401と同じ基準で番号nを割当てることにより、各マーカ2に対して、基準マーカ抽出ステップS2で割当てた番号nに対応した番号nを割当てることができる。
【0072】
(現在座標算出ステップS8)
現在マーカ抽出画像データG4が生成されると、現在座標算出部405は、当該現在マーカ抽出画像データG4に基づいて、各マーカ2の現在座標を算出する。具体的には、基準座標算出ステップS3と同様にして、現在マーカ抽出画像データG4内の各マーカ2の面積重心点の座標(Xn’,Yn’)、(Xn”,Yn”)、…を算出する。算出した座標は、図5(a)に示すように、各マーカ2の番号および撮像時間と関連付けられて、座標記憶部602の現在座標記憶テーブルT2に現在座標として記憶される。
なお、本実施形態では、現在座標記憶テーブルT2は、複数の現在座標を順次記憶可能に構成されているが、これに限られるものではなく、現在画像データG3が撮像されて現在座標が算出されるごとに、上書き更新するようにしてもよい。
【0073】
(現在距離算出ステップS9)
現在距離算出部406は、現在座標に基づいて、各マーカ2間の現在距離、すなわち各線分A〜Iの長さLAI’、LAI”を算出する。算出された現在距離は、図5(b)に示すように、距離記憶部603の現在距離記憶テーブルT6に記憶される。
【0074】
(現在線分画像抽出ステップS10)
現在線分画像抽出部410は、現在画像データG3の中から、線分A〜Iと重なる部分の画像を、現在線分画像データとして抽出する。具体的には、図7(a)に示すように、各線分A〜Iに沿って、所定の幅の範囲にある画素のデータを抽出する。
抽出したデータは、各線分A〜Iと関連付けて、現在線分画像として画像記憶部601に記憶される。
【0075】
(距離変化量算出ステップS11)
距離変化量算出部407は、距離記憶部603に記憶された基準距離と現在距離とに基づいて、各マーカ2間の距離の変化量(以下、「距離変化量」という。)を算出する。算出された距離変化量は、距離記憶部603の距離変化量記憶テーブルT7に記憶される。
【0076】
(距離変化量判定ステップS12)
距離変化量判定部408は、距離変化量算出ステップS11で算出された各マーカ2間の距離の変化量に基づいて、対象物が変化したか否かを判定する。具体的には、距離変化量判定部408は、各マーカ2間の距離の変化量のうち少なくとも一つが、予め設定された閾値以上であるか否かを、以下の判定式により判定する。
距離変化量=|現在距離−基準距離|≧閾値
ここで、閾値は、各種工事の安全基準、地山(対象物)の状態、工事の重要度、過去の工事の経験などを踏まえて適宜設定するのがよい。
【0077】
そして、距離変化量が閾値未満である場合は、ステップS6にもどって監視作業(S6〜S12)を繰り返す。
【0078】
(線分画像相異点検出ステップS13)
一方、距離変化量が閾値以上である場合は、相異点検出部411は、基準線分画像と現在線分画像とを比較して相異点を検出する。
例えば、図7(c)に示すように、距離変化量が閾値以上となった現在線分画像PE”と、これに対応する基準線分画像PEとを読み出し、一方の端部から順に両者の画像(画素値)を比較していく。一般に、クラックCが発生した部分は、暗い線状の画像となるから、基準線分画像と現在線分画像の画素値が異なることとなり、相異点Qが検出されることとなる。そして、このような比較を、距離変化量が閾値以上となったすべての現在線分画像に対して行っていく。
【0079】
(相異点表示ステップS14)
相異点検出部411は、検出した相異点Qの画像および端部からの距離dに関する情報を含む信号をディスプレイ501に送信する。ディスプレイ501には、検出した相異点Qの画像および端部からの距離dが表示される。これにより、操作者は相異点Qの状態および位置を把握することができる。このとき、各線分画像から検出された相異点Qをつなぐことにより、どのような方向にクラックCが発生したかを把握することができる。
【0080】
(警報装置作動ステップS15)
また、距離変化量判定部408は、距離変化量が所定の閾値以上であると判断した場合に、警報装置502に対して警報発令信号を送信する。これにより、警報装置502から警報が発せられ、作業員の退避など、所定の対策がなされることとなる。
【0081】
このように、第1実施形態に係る対象物監視システム1によれば、対象物を撮像した画像を用いて対象物の変化を検出することができる。
また、第1実施形態に係る対象物監視システム1によれば、線分画像を用いて、対象物の変化点を特定することができる。すなわち、第1実施形態に係る対象物監視システムによれば、基準画像の一部と現在画像の一部を比較するだけで、画像全体を比較することなく、対象物の変化点を特定できる。
【0082】
なお、第1実施形態においては、画像処理装置4に、基準線分画像抽出部409と、現在線分画像抽出部410と、相異点検出部411と、を備えるように構成したが、これらを省略してもよい。かかる構成でも、各マーカ2間の距離の変化量に基づいて、対象物の変化を検出することができる。
【0083】
[第2実施形態]
(対象物監視システム10の構成)
図8は、第2実施形態に係る対象物監視システムの主な構成を示したブロック図である。
第2実施形態に係る対象物監視システム10は、基準線分画像抽出部409、現在線分画像抽出部410、相異点検出部411(図2参照)、に替えて、座標変位量算出部412と座標変位量判定部413とを備えている点が、第1実施形態に係る対象物監視システム1と異なっている。
【0084】
座標変位量算出部412は、基準座標算出部402で算出された各マーカ2の基準座標(Xn,Yn)と、現在座標算出部405で算出された各マーカ2の現在座標(Xn’,Yn’)と、に基づいて、各マーカ2の座標変位量を算出するものである。
各マーカ2の座標変位量Hnは、下式によって算出される。
n=〔(Xn−Xn’)2+(Yn−Yn’)20.5
【0085】
算出された各マーカ2の座標変位量は、各マーカ2と関連付けられて、座標記憶部602の座標変位量記憶テーブルT3(図5(a)参照)に記憶される。
【0086】
座標変位量判定部413は、座標変位量算出部412で算出された座標変位量Hnのうち少なくとも一つが、予め設定された閾値(座標の変位量の閾値)以上であるか否かを判定するものである。
【0087】
座標変位量判定部413は、座標変位量Hnが閾値以上である場合に、例えば座標変位量Hnが閾値以上となったマーカ2の番号をディスプレイ501に表示したり、警報発令信号を警報装置502に送信したりするように構成されている。
【0088】
すなわち、例えば、撮像範囲A全体が変位した場合には、各マーカ2間の距離は変化しないため、距離変化量判定部408では、対象物である切羽Kの変化を検出することができないが、座標変位量算出部412と座標変位量判定部413とを組み合わせることにより、仮に撮像範囲A全体が変位した場合であっても、各マーカ2の座標の変位量に基づいて、切羽Kの変化を検出して、警報などを発することができる。
【0089】
(対象物監視システム10を利用した対象物監視方法)
次に、対象物監視システム10を利用した対象物監視方法について説明する。
図9は、第2実施形態に係る対象物監視システムを用いた対象物監視方法のフロー図である。
ここで、図9に示すステップS101〜S110は、図3に示した対象物管理方法のステップS1〜S4、ステップS6〜S9およびステップS11、ステップS12と同一であるため、詳細な説明は省略する。
以下、ステップS111〜S114について説明する。
【0090】
(座標変位量算出ステップS111)
距離変化量判定ステップS110において各マーカ2間の距離の変化量が閾値未満である場合(ステップS110、NO)には、座標変位量算出部412は、各マーカ2の基準座標と現在座標に基づいて、各マーカ2の座標の変位量を算出する。
【0091】
(座標変位量判定ステップS112)
つぎに、座標変位量判定部413は、座標変位量算出部412で算出された各マーカ2の座標の変位量が、予め設定された閾値(座標の変位量の閾値)以上であるか否かを判定する。
【0092】
そして、各マーカ2の座標の変位量が予め設定された閾値未満である場合(ステップS112、NO)には、ステップS105に戻って監視作業を繰り返す。
【0093】
(変位点表示ステップS113)
一方、各マーカ2の座標の変位量が予め設定された閾値以上である場合(ステップS112、YES)には、座標変位量判定部413は、座標の変位量が閾値以上となったマーカ2の座標(あるいは画像)をディスプレイ501に表示する。
すなわち、座標変位量判定部413によって切羽Kの変位が検出される。
【0094】
(警報装置作動ステップS14)
そして、座標変位量判定部413は、警報装置502に対して警報発令信号を送信する。これにより、警報装置502から警報が発せられ、作業員の退避など、所定の対策がなされることとなる。
なお、各マーカ2間の距離の変化量が閾値(距離の変化量の閾値)以上である場合(ステップS110、YES)、にも、距離変化量判定部408によって、警報装置502に対して警報発令信号が送信され、警報が発せられることとなる。
【0095】
このように、第2実施形態に係る対象物監視システム10および対象物監視方法によれば、切羽Kなどの対象物が全体的に変動(変位)した場合でも、その変動を検出することができる。
【0096】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る対象物監視システムの構成を示した図である。
第3実施形態に係る対象物監視システム20は、図10に示すように、第2実施形態に係る対象物監視システム10の構成に、不動マーカFMを付加したものである。
第2実施形態に係る対象物監視システムでは、仮に、切羽Kと撮像装置3の設置箇所が一緒に変動してしまうと、切羽Kと撮像装置3の相対変化量が0となるため、切羽Kの変動を検出することができない。第3実施形態は、このような場合に備えて、不動点にマーカ2を設置し、撮像範囲A内に不動マーカFMを設けることにより、上記のような場合でも切羽Kの変動を検出可能にするものである。
【0097】
不動マーカFMは、他のマーカ2と同じ特徴(例えば色彩など)を備えるマーカであり、トンネルT内の不動点に設置されている。そのため、不動マーカFMは変移しない。
ここで、不動点は、監視対象物(本実施形態では切羽K)の変動と無関係な部分に設置するのが好ましい。
【0098】
図11は、第3実施形態に係る対象物監視システムによって撮像・抽出されたマーカ2の画像であり、(a)は基準時、(b)は監視時の画像である。
はじめに、撮像装置3によって撮像範囲Aを撮像すると、図11(a)に示すような位置関係で7つのマーカ2が撮像される。かかる画像は、画像処理装置4によって解析されて、各マーカ2の座標やマーカ2同士の距離などが算出される。なお、マーカ2の抽出、座標および距離の算出方法は第2実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0099】
つぎに、所定時間が経過するまでの間に、切羽Kと撮像装置3の設置箇所とが一緒に変動すると、図11(b)に示すように、不動マーカFM以外のマーカ2と撮像範囲Aとの相対的な位置関係は変化しない。しかし、不動マーカFMは不動点に設置されているため、現在画像データにおいては、当該不動マーカFMだけが撮像範囲Aの中で変移して撮像されることとなる。
【0100】
かかる不動マーカFMと他のマーカ2との距離の変化および不動マーカFMの座標の変位は、距離変化量算出部407および距離変化量判定部408、並びに、座標変位量算出部412および座標変位量判定部413(図8参照)によって検出することができる。そのため、かかる対象物監視システム20によれば、切羽Kと撮像装置3の設置箇所とが一緒に変動した場合でも、切羽Kの変動を検出することができる。
【0101】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態に係る対象物監視システムの概略構成を示した図面である。
第4実施形態に係る対象物監視システム30は、2台の撮像装置3A,3Bを用いて2つの撮像範囲A1,A2を監視するように構成されている点が、前記した第3実施形態と異なっている。
【0102】
対象物監視システム30は、2台の撮像装置3A,3Bを備えており、撮像装置3Aによって撮像範囲A1が撮像され、撮像装置3Bによって撮像範囲A2が撮像されるようになっている。
なお、画像処理装置4、出力装置5、データ記憶装置6、入力装置7については、前記した第3実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0103】
撮像範囲A1,A2には、図12に示すように、11個のマーカ2が設置されており、そのうちの一つ(No.11)は不動点に設置された不動マーカFMとなっている。また、撮像範囲A1と撮像範囲A2とは、一部が重複しており、その重複部分には、No.5とNo.6のマーカ2が設置されている。
【0104】
かかる構成によれば、不動マーカFMは撮像範囲A1内に設置されているため、撮像装置3Bで撮像した画像には写らないが、No.5とNo.6のマーカ2を介して、不動マーカFMと撮像範囲A2内のマーカ2との関係を検知することができる。そのため、撮像範囲毎に不動マーカFMを設置しなくても、撮像装置3と撮像範囲Aとが一緒に変動したことを検出することができる。
【0105】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0106】
前記各実施形態においては、対象物監視システムをトンネルTの切羽Kの監視に適用したが、これに限られるものではなく、例えば、崩落の危険がある法面の監視や、取り壊し作業中の建物の監視などに適用することもできるのはいうまでもない。
【0107】
また、前記各実施形態においては、マーカ2として緑色の塗料を対象物に塗布することとしたが、これに限られるものではなく、例えばターゲット板や反射板、さらには電球などの発光体を設置してもよい。かかる場合には、色彩に基づいてマーカ2を抽出するのではなく、例えば画素値の輝度に基づいてマーカ2を抽出するのが好ましい。
【0108】
また、監視対象物をはっきりと撮像するために、対象物監視システムに照明装置を設けるように構成してもよい。
【0109】
また、第2実施形態に係る対象物監視システム10においては、抽出した各マーカ2の間の距離の変化量に基づいて、対象物の変動を検出するとともに、補助的に、各マーカ2の座標の変位に基づいて対象物の変動を検出するように構成したが、これに限られるものではなく、はじめから、各マーカ2の座標の変位に基づいて対象物の変動を検出するように構成してもよい。
すなわち、図8に示す対象物監視システム10の構成において、基準距離算出部403、現在距離算出部406、距離変化量算出部407、距離変化量判定部408を省略してもよい。
【0110】
かかる構成によれば、基準座標算出部402で算出した各マーカ2の基準座標と、現在座標算出部405で算出した各マーカ2の現在座標と、に基づいて、座標変位量算出部412が各マーカ2の座標の変位量を算出し、座標変位量判定部413によって対象物の変動が判定(検出)されることとなる。さらには、かかる構成と不動マーカFM(図10参照)とを組み合わせてもよい。
【0111】
また、第1実施形態においては、マーカ2の座標を面積重心点としたが、これに限られるものではなく、次のような方法により求めた点をマーカ2の座標としてもよい。
例えば、図13(a)に示すように、基準マーカ抽出画像データG2あるいは現在マーカ抽出画像データG4(図4、図6参照)に撮像された各マーカ2の画像について、X座標の最大値Xmaxと最小値Xmin、および、Y座標の最大値Ymaxと最小値Yminを抽出し、その中間点をマーカ2の座標(Xn,Yn)としてもよい。
この場合の計算式は下式のようになる。
Xn=(Xmin+Xmax)/2
Yn=(Ymin+Ymax)/2
【0112】
また、その他の方法としては、図13(b)、(c)に示すように、基準マーカ抽出画像データG2あるいは現在マーカ抽出画像データG4(図4、図6参照)に撮像されたマーカ2を構成するドット数Dnをカウントし、当該ドット数Dnを水平方向および垂直方向にそれぞれ1/2に分割する水平ラインLHおよび垂直ラインLVを求め、そのラインのX座標およびY座標を当該マーカ2の座標(Xn,Yn)とする方法が考えられる。
なお、これらの方法は一例であり、マーカ2の座標を求める方法はこれらに限られるものではないことはいうまでもない。
【0113】
なお、上述した画像処理装置における一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータ、などによって実現することができる。当該プログラムは、ネットワークや記録媒体を介してインストールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】第1実施形態に係る対象物監視システムの構成を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る対象物監視システムの主要な構成を示したブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る対象物監視システムを用いた対象物監視方法のフロー図である。
【図4】基準画像データの処理の流れを模式的に示した図である。
【図5】データ記憶部の内容を模式的に示した図であり、(a)は座標記憶部、(b)は距離記憶部を示す。
【図6】現在画像データの処理の流れを模式的に示した図である。
【図7】線分画像の抽出および相異点の検出について説明するための図である。
【図8】第2実施形態に係る対象物監視システムの主な構成を示したブロック図である。
【図9】第2実施形態に係る対象物監視システムを用いた対象物監視方法のフロー図である。
【図10】第3実施形態に係る対象物監視システムの構成を示した図である。
【図11】第3実施形態に係る対象物監視システムによって撮像・抽出されたマーカ2の画像であり、(a)は基準時、(b)は監視時の画像である。
【図12】第4実施形態に係る対象物監視システムの概略構成を示した図面である。
【図13】マーカの座標の算出方法を説明するための図面である。
【符号の説明】
【0115】
1 対象物監視システム
2 マーカ
3 撮像装置(撮像手段)
4 画像処理装置(画像処理手段)
401 基準マーカ抽出部(基準マーカ抽出手段)
402 基準座標算出部(基準座標算出手段)
403 基準距離算出部(基準距離算出手段)
404 現在マーカ抽出部(現在マーカ抽出手段)
405 現在座標算出部(現在座標算出手段)
406 現在距離算出部(現在距離算出手段)
407 距離変化量算出部(距離変化量算出手段)
408 距離変化量判定部(距離変化量判定手段)
409 基準線分画像抽出部(基準線分画像抽出手段)
410 現在線分画像抽出部(現在線分画像抽出手段)
411 相異点検出部(相異点検出手段)
5 出力装置(出力手段)
6 データ記憶装置(データ記憶手段)
7 入力装置
A 撮像範囲
K 切羽
T トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物の監視範囲内に設置された複数のマーカと、
前記監視範囲を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像した画像データを処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置による処理結果を出力する出力装置と、を備える対象物監視システムであって、
前記画像処理装置は、
前記撮像装置により撮像された基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出部と、
前記基準画像データから抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出部と、
前記撮像装置により撮像された現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出部と、
前記現在画像データから抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出部と、
前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出部と、
前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定部と、を備えることを特徴とする対象物監視システム。
【請求項2】
前記画像処理装置は、
前記基準画像データから前記各マーカ間を結ぶ線分上の画像を基準線分画像として抽出する基準線分画像抽出部と、
前記現在画像データから前記各マーカ間を結ぶ線分上の画像を現在線分画像として抽出する現在線分画像抽出部と、
前記基準線分画像と前記現在線分画像とを比較して相異点を検出する相異点検出部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の対象物監視システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出部と、
前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出部と、
前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出部と、
前記各マーカの変位量が閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定部と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の対象物監視システム。
【請求項4】
前記複数のマーカのうちの少なくとも一つを不動点に設置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の対象物監視システム。
【請求項5】
異なる監視範囲をそれぞれ撮像する複数の前記撮像装置を備え、
一の監視範囲は、他の監視範囲との重複部分を有し、
前記重複部分には、少なくとも一つの前記マーカが含まれることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の対象物監視システム。
【請求項6】
監視対象物の監視範囲内に設置された少なくとも1つのマーカと、
前記監視範囲を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像した画像データを処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置による処理結果を出力する出力装置と、を備える対象物監視システムであって、
前記画像処理装置は、
前記撮像装置により撮像された基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出部と、
前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出部と、
前記撮像装置により撮像された現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出部と、
前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出部と、
前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出部と、
前記各マーカの座標の変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定部と、を備えることを特徴とする対象物監視システム。
【請求項7】
請求項1に記載の対象物監視システムを用いた対象物監視方法であって、
前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して監視の規準となる基準画像データを生成する基準画像撮像ステップと、
前記基準マーカ抽出部によって前記基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出ステップと、
前記基準距離算出部によって、前記基準画像データから抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出ステップと、
前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して比較対象となる現在画像データを生成する現在画像撮像ステップと、
前記現在マーカ抽出部によって前記現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出ステップと、
前記現在距離算出部によって、前記現在画像データから抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出ステップと、
前記距離変化量算出部によって、前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出ステップと、
前記距離変化量判定部によって、前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定ステップと、を含んでなることを特徴とする対象物監視方法。
【請求項8】
請求項6に記載の対象物監視システムを用いた対象物監視方法であって、
前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して監視の規準となる基準画像データを生成する基準画像撮像ステップと、
前記基準マーカ抽出部によって前記基準画像データから前記各マーカを抽出する基準マーカ抽出ステップと、
前記基準画像データから抽出された前記各マーカの基準座標を前記基準座標算出部によって算出する基準座標算出ステップと、
前記撮像装置によって前記監視範囲を撮像して比較対象となる現在画像データを生成する現在画像撮像ステップと、
前記現在マーカ抽出部によって前記現在画像データから前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出ステップと、
前記現在画像データから抽出された前記各マーカの現在座標を前記現在座標算出部によって算出する現在座標算出ステップと、
前記座標変位量算出部によって、前記基準座標と前記現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出ステップと、
前記座標変位量判定部によって、前記各マーカの座標の変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、前記出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定ステップと、を含んでなることを特徴とする対象物監視方法。
【請求項9】
監視対象物の監視範囲を撮像した画像データに基づいて前記監視対象物を監視するために、コンピュータを、
前記監視範囲を撮像する撮像装置によって撮像された基準画像データから、前記監視範囲内に設置された複数のマーカを抽出する基準マーカ抽出手段、
前記基準マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカ間の基準距離を算出する基準距離算出手段、
前記撮像装置によって撮像された現在画像データから、前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出手段、
前記現在マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカ間の現在距離を算出する現在距離算出手段、
前記各マーカ間の基準距離と現在距離との差分から前記各マーカ間の距離の変化量を算出する距離変化量算出手段、
前記各マーカ間の距離の変化量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、出力装置に所定の信号を送信する距離変化量判定手段、として機能させるための対象物監視プログラム。
【請求項10】
監視対象物の監視範囲を撮像した画像データに基づいて前記監視対象物を監視するために、コンピュータを、
前記監視範囲を撮像する撮像装置によって撮像された基準画像データから、前記監視範囲内に設置された複数のマーカを抽出する基準マーカ抽出手段、
前記基準マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカの基準座標を算出する基準座標算出手段、
前記撮像装置によって撮像された前記監視範囲の現在画像データから、前記各マーカを抽出する現在マーカ抽出手段、
前記現在マーカ抽出手段によって抽出された前記各マーカの現在座標を算出する現在座標算出手段、
前記各マーカ間の基準座標と現在座標との差分から前記各マーカの変位量を算出する座標変位量算出手段、
前記各マーカの変位量のうち少なくとも一つが閾値以上である場合に、出力装置に所定の信号を送信する座標変位量判定手段、として機能させるための対象物監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−3380(P2007−3380A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184583(P2005−184583)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】