導電性ナノワイヤーの製造方法
【課題】 本発明は、導電性ナノワイヤーなどナノスケールでの分子集合体を得ることを目的とする。
【解決手段】 具体的には、2本の電極と、電解液と前記2本の電極とを保持する電解セルとを含み、前記2本の電極の間隔が1nm〜100μmであり、前記電解セルに分子集合体を構成する分子を含む電解液を保持させ、電解液と前記2本の電極とが接触した状態で前記2本の電極に電圧を印加することにより分子集合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 具体的には、2本の電極と、電解液と前記2本の電極とを保持する電解セルとを含み、前記2本の電極の間隔が1nm〜100μmであり、前記電解セルに分子集合体を構成する分子を含む電解液を保持させ、電解液と前記2本の電極とが接触した状態で前記2本の電極に電圧を印加することにより分子集合体を製造する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤーや針状結晶などの分子集合体の製造方法および装置などに関する。より詳しくは、電解結晶成長法を分子集合体の製造に応用した、導電性ナノワイヤーやナノレベルの針状結晶の製造方法などナノレベルの微小な分子集合体を製造するための電解装置および電解装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子集合体成長方法、特に単結晶を成長させる方法としては、液相エピタキシャル(LPE)法、分子線エピタキシャル(MBE)法、化学輸送(CVT)法、化学気相成長(CVD)法など数多くの方法が提案されている。これらの方法を用いることにより比較的大きな単結晶又は単結晶膜を得ることができる。また、電気分解反応を利用した結晶育成法である電解法によって結晶を育成する方法が知られている(例えば、実験化学講座12物質の機能性第4版第40ページから第45ページ丸善書店発行)。
【0003】
また、日本国特許公開平6−321686号公報には、金属有機酸塩と炭素クラスターを溶解した有機溶媒中で、電解結晶法によりカソード側で当該化合物の単結晶を成長させることを特徴とする、金属原子をドープした炭素クラスター化合物の製造方法が記載されている。
【0004】
分子ナノワイヤーを製造する場合には、超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法を用いて製造することが知られていた。また、デンドリマーや閉殻分子を並べて分子ナノワイヤーを製造する方法やカーボンナノチューブを製造する方法が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−321686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電解法はできるだけ大きな結晶を得ることを目的とするもので、ナノスケールでの分子集合体を得ようとするものではない。また、従来の電解法では、ミリスケール以上の結晶を得るために純度がよい結晶を得ることは難しいという問題があった。
【0007】
また、特開平6−321686号公報に記載の炭素クラスターの製造方法で製造される炭素クラスターも、ミリメートル単位の大きさをもち、分子レベルで制御したものではない。また、同公報に記載の発明は、より大きな単結晶を得ることを目的としたものであり、本発明のようなナノスケールの分子集合体を得ることを目的とするものではない。その結果、同公報に記載の発明は、分子集合体を得るために電解結晶成長法を用いているが、本発明のように電極間の狭い電極を用いたものではなく、ミリレベル又はサブミリレベルの大きさの分子集合体のみが得られる。
【0008】
また、超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法を用いてナノワイヤーを製造した場合、真空装置は高価かつ複雑であり、大掛かりな装置を必要とする。また真空を得るためにすら労力を必要とするといった問題があった。超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法では、分子同士、あるいは分子と基板を固定するために分子間、あるいは分子と基板間に例えば水素結合などの相互作用を起こす官能基などを導入しなければならないという問題があった。また、真空中でナノワイヤーを形成した場合、真空を破るとそのナノワイヤーが酸化するなどして物性が大きく変わるという問題があった。従来のナノワイヤー(分子集合体)では、閉殻構造(HOMO(最高被占軌道)に2電子が入った構造)を持つ分子の集合体であり、半占有分子軌道(SOMO)をもつ分子が存在しない結果、電子の移動が起こりにくく導電性に乏しいものしか得られないという問題があった。
【0009】
さらには、ナノスケールまたはサブマイクロスケールの機能部位を有する電子回路およびそのような電子回路を用いた電子デバイスの提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくともひとつは、以下の発明により解決される。
【0011】
本発明の第1の側面は、基板上に設けられた対向する2本の電極と、有機伝導体分子を含む電解液と前記基板とを保持する電解セルと、前記2本の電極により連結され、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための電圧制御装置と、を有する電解装置を用いた分子集合体の製造方法に関する。
【0012】
前記2本の電極は、電子線リソグラフィー法により前記基板上に形成されたものであり、それぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部か、又は前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有し、前記2本の対向する電極の突起部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するか、またはもう一方の突起部に近接するに従って先細状となっている。前記有機伝導体分子を含む電解液は、テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを含む電解液である。
【0013】
そして、本発明の分子集合体の製造方法は、前記電解液と前記2本の電極とが接触した状態で、電圧を前記2本の電極に印加することにより、前記基板上に前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含み,長さ1μm以上10μm以下,幅500nm以上3μm以下の分子集合体を製造する工程を含む。
【0014】
本発明の第2の側面は、電子回路を得ることができる分子集合体の製造方法に関する。この方法は、第1の側面において、前記電極は、電子回路を構成する電極であり、前記2本の電極の先端部同士の間を前記分子集合体で連結する工程を含み,これにより2本の電極間を前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含む分子集合体により連結した電子回路を得ることができるというものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解装置、分子集合体の製造方法によれば、ナノレベルのオーダーで制御された微小な針状結晶・ナノワイヤーを得ることができる。また、真空を用いることなく電解装置を製造することができるため、費用を大幅に削減することができる。本発明によれば、分子は電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集するため、分子に相互作用性の官能基を導入することなく分子集合体・ナノワイヤーを製造することができる。
【0016】
また、本発明によれば分子集合体を溶液内などの真空以外の系で成長させるため、真空を破った際に分子集合体の物性が変わるという自体を回避できる。本発明の分子集合体は、その構造が分子レベルで制御されており、様々なデバイスへの応用が期待される。本発明の分子集合体が、有機伝導体の分子集合体であれば、帯電制御剤や電子銃、回路素子などへ応用することができる。
【0017】
本発明の分子集合体は、例えばSOMOをもつ分子が存在する場合に、部分酸化状態となり、従来の微小分子集合体(ナノワイヤーなど)と異なり高い導電性をもつ。したがって、LSIなどの分子配線に利用可能である。また、本発明の微小分子集合体自体でFET素子を製造することが可能である。本発明の微小分子集合体の構成成分の一部を他の機能性分子と置きかえる事で、伝導度を制御することや、磁気機能をもたせること、光導電性をもたせること、メモリー機能をもたせることが可能である。
【0018】
また、1または2分子のみを電子回路の接続に用い、連結デバイスとすることで、例えば単電子トンネル素子や単電子トランジスタのような分子レベルでの機能性素子を製造することが可能である。
【0019】
また、本発明によれば、所望の機能を持った電子回路を分子レベルで容易かつ簡便に製造することができ、当該機能をも容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、電解セルの概図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、電解セルの概図(上面図)である。
【図3】図3(a)、図3(b)、図3(c)は、それぞれ電極の概図である。
【図4】図4(a)、図4(b)、図4(c)は、それぞれ突起部の概図(図3のAなど)である。
【図5】図5は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図5(a)は平面図、図5(b)は断面図である。
【図6】図6は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図6(a)は平面図、図6(b)は断面図である。
【図7】図7は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図7(a)は平面図、図7(b)は断面図である。
【図8】図8(a)、図8(b)、図8(c)は、本発明の電子回路の一例を表す図である。
【図9】図9は、実施例1−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図10】図10は、実施例1−2で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図11】図11は、実施例1−3で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図12】図12は、実施例1−4で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図13】図13は、実施例1−5で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図14】図14は、実施例1−6で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図15】図15は、実施例1−7で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図16(a)】図16は、実施例1−8で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。図16(a)は80,000倍のSEM写真を表す。
【図16(b)】図16は、実施例1−8で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。図16(b)は1,100倍のSEM写真を表す。
【図17】図17は、実施例1−9で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図18】図18は、実施例2−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図19】図19は、実施例3−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図20】図20は、実施例3−2で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図21】図21は、実施例3−3で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図22】図22は、実施例3−4で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図23】図23は、実施例3−5で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図24】図24は、実施例4−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔電解装置〕図1は、本発明の電解装置の概図である。
図1中、1は電解セルを、2は銅線を、3は基板差し込み部を、4は電極を、5は基板を表す。本発明の電解装置は、2本の電極(4)と、電解セル(1)とを有する。また、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための図示しない電圧制御装置、及び/または前記2本の電極に供給する電流を制御するための図示しない電流制御装置を有していることも望ましい。本発明の電解装置は、電解セルに分子集合体を構成する分子を含む電解液を保持させ、電解液と前記2本の電極とが接触した状態で前記2本の電極に電圧を印加する(または、電流を供給する)ことにより分子集合体を製造する。
【0022】
なお、電極の電位を測定するための参照電極や電位測定装置、ゲート電極、制御用コンピュータが更に含まれていてもよい。電解セルは、電解液(溶液)を保持する電解液保持部と、基板を差し込む基板差し込み部とを含む。基板差し込み部には、図2(a)に表されるように、例えば粘土状の絶縁物を盛っておくことが好ましい。これは基板を保持するのと同時に電極を保護する役割を持つ。このような絶縁物としては、パテが好ましい。図2(a)中、2は銅線を、3は基板差し込み部を、6は絶縁物を表す。
【0023】
〔基板〕
本発明の基板は、少なくとも2本の電極をその上に搭載できるものであることが好ましい。基板の材質としては、ガラス基板や、シリコン基板、プラスチック基板などがあげられるが、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーの基板として適するものであれば特に限定されるものではない。基板の形状としては、直方体が好ましい。基板の長さとしては、0.1mmから10cmが好ましく、1mmから5cmであればより好ましく、1cmから4cmであればさらに好ましく、2cmから3cmであれば特に好ましい。基板は、不純物を含まないように洗浄された後用いられることが好ましい。
【0024】
〔電極〕
本発明における電極としては、基板上に設けられ、対向する2本の電極を含むものが好ましい。図6(a)、図6(b)に示すように、対向する2本の電極の一部は絶縁物に覆われた絶縁部分を有するものが好ましい。絶縁部分としては、図5a、図5bのように電極の面のうち、互いの電極にもっとも近い面以外の面を絶縁部分とするものがあげられ、電極に突起部分を有する場合は、図7(a)、図7(b)のように突起部分以外の部分を絶縁部分とするものが挙げられる。図5(a)、図5(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を表す。図7(a)、図7(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を、16はゲート電極を表す。
【0025】
また、図6(a)、図6(b)に示すように基板上(5)に設けられたゲート電極(16)と、ゲート電極を被覆する絶縁層(15)上に設けられた対向する2本の電極(4)とを含むものは、FET電界効果トランジスタとして機能し得るため好ましい。図6(a)、図6(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を、16はゲート電極を表す。
基板上に設けられる電極の材質としては、金、白金、銅、グラファイトなど導電性の材質のものがあげられ、これらのうちでは、金、または白金がより好ましいが、上記リソグラフィーに適したものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
電極は、基板上に少なくとも2本以上形成されることが好ましい。なお、電解セルが、電極のうち1本の役割を果たす電極であってもよい。また、ゲート電極や、参照電極がさらに設けられていてもよいし、電解液等の物性を測定するための電極がさらに設けられてもよい。
電極の形状としては、図3(b)のように2つの電極が対向しているものが好ましく、図3(c)のようにそれぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部があるものか、又は図3(a)Aのように前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有する電極が好ましい。このような形状であれば、効果的に導電性ナノワイヤーなどの分子集合体を生成できるからである。図3(a)、図3(b)、図3(c)中、4は電極を、11は間隔を、12は突起部を表す。
【0027】
突起部の形状としては、図4(a)に例示されるように、前記2本の対向する電極のギャップ部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するものが好ましく、または図4(b)や図4(c)に例示されるようにもう一方のギャップ部に近接するに従って先細状となっているものはより好ましく、その中でも図4(c)のように階段状となっているものが好ましい。
【0028】
電極の間隔(11)としては、1nm〜100μmが好ましく、1nm〜1μmであればより好ましく、1nm〜200nmであればさらに好ましいが、希望するナノワイヤーの長さに適するものであれば特に限定されるものではない。
【0029】
電極の幅としては、0.5nm〜1cmが好ましく、0.5nm〜200nmあるいは1mm〜3mmであればより好ましい。電極の長さとしては、1nm〜25mmが好ましい。電極は電解液に浸っていることが好ましく、電極の体積の20%以上が浸っている場合が好ましく、50%以上が浸っている場合は更に好ましく、80%以上が浸っている場合は特に好ましい。また、電極間に電解液を滴下して基板上で電気分解を行うことも好ましい。
【0030】
〔電圧制御装置〕
電極に印加される電圧は、電極と連結した電圧制御装置により制御されることが好ましい。なお、電解セル中に参照電極があり、電極間の電位差を測定することができ、その測定結果に応じて電極に電極に印加する電圧を制御することができることはより好ましい。電圧制御装置とともに、または電圧制御装置に変えて電極に供給する電流を制御する電流制御装置であってもよい。
【0031】
〔電極の製造方法〕
本発明においては、電極が基板上に形成されることが好ましい。電極を基板上に形成する方法としては、マスク蒸着法、フォトリソグラフィー法、および電子線リソグラフィー法およびこれらの方法を組合せた方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マスク蒸着法では、電極となるべき形状をくりぬいたマスクを基板にかぶせ、その上から金属膜を蒸着する。その後にマスクを基板から除去する。このようにして電極部分だけに金属膜が蒸着され、微小電極を作成することができる。
【0032】
フォトリソグラフィー法による電極作成では、基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに感光させる感光工程と、感光させたレジスト層を現像する現像工程と、現像により残ったレジスト層をマスクとして、金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては、いわゆるフォトレジストであれば特に限定されるものではない。
【0033】
電子線リソグラフィー法による電極作成では、基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに電子線を照射する電子線照射工程と、電子線を照射したレジスト層を現像する現像工程と、現像により残ったレジスト層をマスクとして、金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては、いわゆる電子線レジストであれば特に限定されるものではない。
【0034】
〔分子集合体の製造方法〕
本発明の分子集合体の製造方法においては、上記電解装置を用いて行うことが好ましい。分子集合体を製造する際には、分子集合体となる物質(分子集合体を構成する分子)を溶解させた溶液(電解液)を用いることが好ましい。分子集合体となる物質を溶解させた電解液に上記電極を用いて電圧を印加する電解法により分子集合体を製造することが好ましい。本発明においては、電極間が微小であり微小な分子集合体(針状結晶やナノワイヤー)を製造することができる。従来の超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法などでは、ナノワイヤーなどの分子集合体を製造する際に分子間に例えば水素結合などの相互作用を起こす官能基などを導入しなければならなかった。また、得られた分子集合体も閉殻構造をもつ分子の集合体であり、HOMOに2電子が詰まっている結果電荷移動が起こりにくく伝導性・導電性のない分子集合体(絶縁体)しか得られなかった。しかしながら、本発明の電解結晶成長法(電解法)では、閉殻分子のHOMOの一部、あるいは全部から電子が抜き取られ、分子集合体の一部、あるいは全部がSOMOとなった状態を作り出すことができる。本発明では、電界中で針状結晶・ナノワイヤーを成長させることにより、電荷移動相互作用を利用して針状結晶・ナノワイヤーを成長させることができるのである。その結果、本発明では、導電性・伝導性のある針状結晶・ナノワイヤーを得ることができるのである。
【0035】
分子集合体となる物質としては、有機伝導体などがあげられるが、電解法によって導電体を形成する化合物がより好ましい。有機伝導体としては、π電子を持つ有機化合物があげられ、これらの中でも、BEDT−TTF誘導体を含むTTF誘導体、dmit錯体類、ポルフィリン錯体類、フタロシアニン類が好ましい。電解法によって導電体を形成する化合物としては、縮合多環炭化水素誘導体、複素環化合物誘導体、複素多環化合物誘導体及びこれらを含む錯体があげられ、これらの中でも、BEDT−TTF誘導体を含むTTF誘導体、dmit錯体類、ポルフィリン錯体類、フタロシアニン類が好ましく、フタロシアニン類およびポルフィリン類が、さらに好ましく特に化学式1で表されるTPP・[Co(Pc)(CN)2]TPP・[Co(Pc)(CN)2](テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニン)が好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】
フタロシアニン類としては、下記一般式2で表される化合物を基本骨格とする化合物が好ましい。
【0038】
【化2】
【0039】
ポルフィリン類としては、下記一般式3で表される化合物を基本骨格とする化合物が好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
分子集合体となる物質を溶解する溶媒としては、有機溶剤があげられ、これらの中でも、アセトニトリル、アセトン、アルコール類、ベンゼン、ハロゲン化ベンゼン、1−クロロナフタレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ピリジンなどが好ましく、アセトニトリル、アセトン、エタノール、メタノールがより好ましく、アセトン、アセトニトリルが更に好ましい。有機溶剤の割合としては、例えば、分子集合体となる物質を飽和させたものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
電極に流される電流としては、直流電流でも交流電流でもよい。電極に流される電流としては、1nA〜1mAが好ましく、100nA〜10μAであればより好ましい。電極間の電位差としては、10mV〜20Vが好ましく、1V〜5Vであればより好ましく、2V〜3Vであれば特に好ましい。交流電流の場合には、周波数1mHz〜1kHzが好ましく、500mHz〜10Hzがより好ましい。また、交流電流の場合には、波形は正弦波、方形波、ノコギリ波などがあげられるが、正弦波、方形波が好ましく、方形波が特に好ましい。交流電流の場合の振幅には、10mV〜20Vが好ましく、1V〜5Vであればより好ましく、2.5V〜5Vが特に好ましい。電圧を印加する時間としては、例えば10日以下が挙げられ、0.001秒から10日が好ましく、1秒から2日であればより好ましいが、得ようとする分子集合体の大きさ、種類、印加する電圧、印加される電圧などにより適当な時間とすればよい。
【0043】
電解液の温度としては、−30°C〜200°Cが好ましく、−30°C〜120°Cであればより好ましく、15°C〜30°Cであれば特に好ましいが、電解液が沸騰あるいは凝固していないものが好ましい。
【0044】
〔分子集合体〕
本発明の分子集合体の製造方法によって得られる分子集合体としては、針状結晶や導電性ナノワイヤーが挙げられる。本明細書においてナノワイヤーとは、分子が規則的に整列した、幅分子1個分〜1μm、長さ分子2個分以上の線状物質のことを指す。
針状結晶およびナノワイヤーの直径としては、1nmから1μmが挙げられ、1nm〜200nmであればより好ましい。針状結晶の長さとしては、10nm〜100μmがあげられる。本発明の分子集合体としては、長軸lと短軸sの比(l/s)が、1以上であれば好ましく、2以上であればより好ましい。
【0045】
本発明の分子集合体の製造方法としては、得られた分子集合体のうち、直径が1nm〜100nm、長さが10nm〜100μmのものが60%以上であることが好ましく、80%以上であれば更に好ましく、90%以上であればより好ましく、95以上であれば更に好ましく、99%以上であれば特に好ましい。
【0046】
特に、分子集合体を構成する分子が1列〜100列規則正しく並んだ単位が繰り返され分子集合体を構成しているものが好ましく、分子が1列〜50列であればより好ましく、分子が1列〜20列であれば更に好ましく、分子が1、2、3、4、または5列であれば特に好ましい。針状結晶は、ある程度湾曲したワイヤー状のものでもよい。電気分解による酸化還元反応を利用するため、微小分子集合体自体に導電性を付与することが可能となる。すなわち、従来の微小分子集合体のような閉殻構造を持たないために、分子集合体を構成する分子間で電子の移動が起こりやすくなるため高い導電性を有することが可能となるのである。
分子集合体の伝導度としては、要求される導電性ナノワイヤーなどに応じて制御することが好ましいが、一般的には、1S・cm−1以上超伝導体以下のものが好ましく、10S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく、100S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく、500S・cm−1以上超伝導体以下であれば特に好ましいが、伝導度は、1×10100S・cm−1以下であっても、1×1010S・cm−1以下でもよく、その用途に応じて好ましい伝導度が選択される。
【0047】
分子集合体の形状としては、線状、柱状、円柱状、ブロック状が好ましいが、分子が規則的に整列したものであれば特に限定されるものではない。
分子集合体は基板上に成長することが好ましく、電極上、電極周囲に成長することがより好ましく、電極間、とくにギャップ部間に成長することが特に好ましい。電解セルは成長期間中、静置されていることが好ましい。
【0048】
分子集合体は、そのまま導電性ナノワイヤーとしても良い。分子集合体をさらに束ねて導電性ナノワイヤーとしても良いし、分子集合体をカップリング処理し、例えば導電性フィラー用に処理して導電性ナノワイヤーとしてもよい。
【0049】
〔電子回路の製造方法〕
本発明は、更に間隔が1nm〜100μmである部分を有する電子回路の、当該間隔を、π電子を含む有機伝導体を含む電解液でつなぐ工程と、前記電子回路に電圧を印加し、前記間隔に発生する導電性分子集合体を用いて、前記間隔を連結工程とを含む機能性電子回路の製造方法を提供する。また、導電性分子集合体による連結部分を有する電子回路の製造方法であって、間隔が1nm〜100μmであり、導電性分子集合体により連結される部分を有する電子回路を、π電子を含む有機伝導体を含む電解液と接触させる工程と、前記間隔に発生する導電性分子集合体を用いて、前記間隔を連結する工程と、を含む電子回路の製造方法を提供する。例えば、図8(a)にあるような間隔部を有する電子回路をあらかじめ製造しておき、回路部分をマスクした後、電解液に浸漬し(図8(b))、電子回路に電圧を印加する。すると、間隔部に導電性分子集合体が発生し、間隔をつなぐ(図8(c))。この際発生する分子集合体を制御することで、電子回路に様々な特性を付与することができる。なお、電解液と電子回路とを接触させる際は、前記間隔部以外の部分(特に電子回路の回路部分)は、電解液と直接接触しないようにマスクしておくことが好ましい。図8(a)、図8(b)、図8(c)中、21は電子回路を、22は間隔を、23は直流・交流電源を、25は電解液を、27は分子集合体を表す。
【0050】
電子回路の間隔部を連結する導電性分子集合体(導電性ナノワイヤー)は、例えば、伝導度が異なるなど通常の電子回路と異なった物性を示す。この導電性分子集合体部分の特性を生かし、機能性電子回路とする。上記製造方法により製造された電子回路はそのままICなどのチップとして用いることができる。
【0051】
導電性分子集合体部分が、トランジスタやトンネル素子などの素子として機能することとなる。また、回路部分と、導電性分子集合体とは、抵抗率が異なる。したがって、導電性分子集合体を制御すれば、適切な抵抗を持った電子回路が得られる。
なお、電子回路の間隔部としては、分子1個から10個程度の間隔の場合も本発明は好適に用いることができる。たとえば、1または2分子のみを回路の接続に用い、連結デバイスとすることができる。このようにすることで、例えば単電子トンネル素子や単電子トランジスタのような分子レベルでの機能性素子を製造することができる。
【実施例1】
【0052】
〔製造例1:電解セルの製造〕
市販されている試薬瓶を用いて図1で表される電解セルを製造した。図2(b)に表されるように、銅線と電極の上部とを金線で結んだ。図2(b)中、2は銅線を、7は金を、8は銀ペーストを表す。電解液保持部は、試薬瓶の導体部分を用い、基板差し込み部は試薬瓶のキャップ部分を改造して用いた。基板差し込み部にはパテを盛った。
試薬瓶の直径は、23mmであった。
【0053】
〔製造例2:20μm間隔の電極の製造〕
電解結晶法に用いる電極をガラス板上に製造した。
25×10mmのガラスを用意し、マスクをガラスに付着させた。その後、マスキングをしたガラス基板に金を蒸着させた。その後、マスクをガラス基板から除去した。このようにして、ガラス基板上に金電極を形成した。それぞれの電極の幅は、2〜5mm、それぞれの電極の長さは、2.0cm〜2.3cm、電極の間隔は20μmであった。
【0054】
〔製造例3:ナノ間隔電極の製造〕
電解結晶法に用いる電極をガラス板上に製造した。
25×10mmのガラスを用意し、ガラス基板上に白金を蒸着した。電極の概形のマスクをOHPシートに印刷した。フォトレジスト剤を白金を蒸着したガラス基板上にスピンコート塗布した。スピンコーターの回転数は、3000rpmで、60秒間回転塗布を行った。110℃で1分間乾燥して塗膜を形成した。フォトレジスト剤を塗布したガラス基板にマスク通して、水銀灯光源のマスクアライナーを用いて露光した。Microposit
Developer MF319(シプレイ・ファーイースト(株)製)を用いて60秒間現像を行った。この際、非露光部分は完全に溶解した。ついで純水を用いて洗浄を行った。このようにして、電極の概形を作成した。
【0055】
さらに、電極の概形を作成した基板に対して電子線レジストとしてZEP7000(日本ゼオン(株)製)を、スピンコーターを用いて350nmの厚さに塗布した。その後大気中で180℃で180秒間ベーキングを行った。基板はこの電子線レジストに対して良好な濡れ性と展開性を示した。この電子線レジストを塗布した基板に対して電子線描画を行った。すなわち、加速電圧30kV、電子線強度4μC・cm−2の直径20nmのガウス型円形電子線を用いて、多数の密集した細線からなる図形データに従って基板上を走査し、電子線露光を行った。露光後、ZED500(日本ゼオン(株)製)で電子線レジストの現像処理を行った。このようにして電極を作成した。
【0056】
〔実施例1−1〕
電解液保持部にTPP・[Co(Pc)(CN)2]5mg、アセトニトリル14mlを加え溶解させたところ、溶け残りのある飽和電解液となった。基板差し込み部に電極基板を挿入しパテを用いて電極基板を定位置に固定した。電極の上部と電解セルの銅線の間に金線を渡し、銀ペーストで固定した。基板保持部を電解液保持部と結合させた後、銅線にデジタルマルチメータを接続した。電極に、2.0Vの電圧を掛け、1日間静置した。この際の溶解液の温度は、23℃であった。
【0057】
このようにして得られた分子集合体は、長さ50μm〜300μm、幅は5μm〜30μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図9に示す。
【0058】
〔実施例1−2〕
電解期間を100分をとした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜20μm、幅1μm〜5μmの板状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図10に示す。
【0059】
〔実施例1−3〕
電圧を1.0Vとして1日間電圧を印加した後、さらに1.5Vの電圧を1日間印加した以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ6μm〜10μm、幅2μm〜5μmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図11に示す。
【0060】
〔実施例1−4〕
電解期間を193分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅500nm〜8μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図12に示す。
【0061】
〔実施例1−5〕
印加電圧を2.5V、電解期間を193分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅500nm〜8μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図13に示す。
【0062】
〔実施例1−6〕
印加電圧を2.5V、電解期間を33分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅100nm〜200nmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図14に示す。
【0063】
〔実施例1−7〕
印加電圧を2.5V、電解期間を26分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ2μm〜10μm、幅200nm〜300nmの湾曲したワイヤー状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図15に示す。
【0064】
〔実施例1−8〕
印加電圧を2.5V、電解期間を26分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜30μm、幅100nm〜300nmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図16に示す。
【0065】
〔実施例1−9〕
印加電圧を2.5V、電解期間を4分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
【0066】
このようにして得られた分子集合体は、長さ5μm〜30μm、幅300nm〜3μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図17に示す。
【0067】
〔実施例2−1〕
基板として、電子線リソグラフィーによって作製したナノ間隔電極を用い(図3a、図4c)、印加電圧を2.5V、電解期間を339分とした以外は実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜10μm、幅500nm〜3μmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図18に示す。
【0068】
〔実施例3−1〕
交流電流(振幅3.0V、周波数2.0Hz、方形波)、電解期間を10秒とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ30μm〜50μm、幅500nm〜1μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図19に示す。
【0069】
〔実施例3−2〕
交流電流(振幅2.5V、周波数0.1Hz、正弦波)、電解期間4分の後、交流電流(振幅5.0V、周波数0.1Hz、正弦波)、電解期間18分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜3μm、幅200nm〜800nmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図20に示す。
【0070】
〔実施例3−3〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.5Hz、正弦波)、電解期間20分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ500nm〜10μm、幅50nm〜1μmの針状束であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図21に示す。
【0071】
〔実施例3−4〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.2Hz、正弦波)、電解期間23分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜3μm、幅100nm〜500nmの針状束であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図22に示す。
【0072】
〔実施例3−5〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.1Hz、方形波)、電解期間5分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜20μm、幅1μm〜2μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図23に示す。
【0073】
〔実施例4−1〕
基板差し込み部に電極基板を挿入しパテを用いて電極基板を定位置に固定した。電極の上部と電解セルの銅線の間に金線を渡し、銀ペーストで固定した(図2(b))。パスツールピペットを用いて基板上にTPP・[Co(Pc)(CN)2]のアセトニトリル飽和溶液を1滴、両電極を覆うように載せた。基板保持部を電解液保持部と結合させた後、銅線にデジタルマルチメータを接続した。電極に交流電流(振幅3.0V、周波数2.0Hz、方形波)を流し、10秒間静置した。この際の溶解液の温度は、23℃であった。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅は200nm〜1μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図24に示す。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、微細な導電性化合物の分子集合体を分子レベル(ナノレベル)で制御し、製造することができることとなる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤーや針状結晶などの分子集合体の製造方法および装置などに関する。より詳しくは、電解結晶成長法を分子集合体の製造に応用した、導電性ナノワイヤーやナノレベルの針状結晶の製造方法などナノレベルの微小な分子集合体を製造するための電解装置および電解装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子集合体成長方法、特に単結晶を成長させる方法としては、液相エピタキシャル(LPE)法、分子線エピタキシャル(MBE)法、化学輸送(CVT)法、化学気相成長(CVD)法など数多くの方法が提案されている。これらの方法を用いることにより比較的大きな単結晶又は単結晶膜を得ることができる。また、電気分解反応を利用した結晶育成法である電解法によって結晶を育成する方法が知られている(例えば、実験化学講座12物質の機能性第4版第40ページから第45ページ丸善書店発行)。
【0003】
また、日本国特許公開平6−321686号公報には、金属有機酸塩と炭素クラスターを溶解した有機溶媒中で、電解結晶法によりカソード側で当該化合物の単結晶を成長させることを特徴とする、金属原子をドープした炭素クラスター化合物の製造方法が記載されている。
【0004】
分子ナノワイヤーを製造する場合には、超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法を用いて製造することが知られていた。また、デンドリマーや閉殻分子を並べて分子ナノワイヤーを製造する方法やカーボンナノチューブを製造する方法が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−321686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電解法はできるだけ大きな結晶を得ることを目的とするもので、ナノスケールでの分子集合体を得ようとするものではない。また、従来の電解法では、ミリスケール以上の結晶を得るために純度がよい結晶を得ることは難しいという問題があった。
【0007】
また、特開平6−321686号公報に記載の炭素クラスターの製造方法で製造される炭素クラスターも、ミリメートル単位の大きさをもち、分子レベルで制御したものではない。また、同公報に記載の発明は、より大きな単結晶を得ることを目的としたものであり、本発明のようなナノスケールの分子集合体を得ることを目的とするものではない。その結果、同公報に記載の発明は、分子集合体を得るために電解結晶成長法を用いているが、本発明のように電極間の狭い電極を用いたものではなく、ミリレベル又はサブミリレベルの大きさの分子集合体のみが得られる。
【0008】
また、超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法を用いてナノワイヤーを製造した場合、真空装置は高価かつ複雑であり、大掛かりな装置を必要とする。また真空を得るためにすら労力を必要とするといった問題があった。超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法では、分子同士、あるいは分子と基板を固定するために分子間、あるいは分子と基板間に例えば水素結合などの相互作用を起こす官能基などを導入しなければならないという問題があった。また、真空中でナノワイヤーを形成した場合、真空を破るとそのナノワイヤーが酸化するなどして物性が大きく変わるという問題があった。従来のナノワイヤー(分子集合体)では、閉殻構造(HOMO(最高被占軌道)に2電子が入った構造)を持つ分子の集合体であり、半占有分子軌道(SOMO)をもつ分子が存在しない結果、電子の移動が起こりにくく導電性に乏しいものしか得られないという問題があった。
【0009】
さらには、ナノスケールまたはサブマイクロスケールの機能部位を有する電子回路およびそのような電子回路を用いた電子デバイスの提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくともひとつは、以下の発明により解決される。
【0011】
本発明の第1の側面は、基板上に設けられた対向する2本の電極と、有機伝導体分子を含む電解液と前記基板とを保持する電解セルと、前記2本の電極により連結され、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための電圧制御装置と、を有する電解装置を用いた分子集合体の製造方法に関する。
【0012】
前記2本の電極は、電子線リソグラフィー法により前記基板上に形成されたものであり、それぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部か、又は前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有し、前記2本の対向する電極の突起部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するか、またはもう一方の突起部に近接するに従って先細状となっている。前記有機伝導体分子を含む電解液は、テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを含む電解液である。
【0013】
そして、本発明の分子集合体の製造方法は、前記電解液と前記2本の電極とが接触した状態で、電圧を前記2本の電極に印加することにより、前記基板上に前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含み,長さ1μm以上10μm以下,幅500nm以上3μm以下の分子集合体を製造する工程を含む。
【0014】
本発明の第2の側面は、電子回路を得ることができる分子集合体の製造方法に関する。この方法は、第1の側面において、前記電極は、電子回路を構成する電極であり、前記2本の電極の先端部同士の間を前記分子集合体で連結する工程を含み,これにより2本の電極間を前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含む分子集合体により連結した電子回路を得ることができるというものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解装置、分子集合体の製造方法によれば、ナノレベルのオーダーで制御された微小な針状結晶・ナノワイヤーを得ることができる。また、真空を用いることなく電解装置を製造することができるため、費用を大幅に削減することができる。本発明によれば、分子は電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集するため、分子に相互作用性の官能基を導入することなく分子集合体・ナノワイヤーを製造することができる。
【0016】
また、本発明によれば分子集合体を溶液内などの真空以外の系で成長させるため、真空を破った際に分子集合体の物性が変わるという自体を回避できる。本発明の分子集合体は、その構造が分子レベルで制御されており、様々なデバイスへの応用が期待される。本発明の分子集合体が、有機伝導体の分子集合体であれば、帯電制御剤や電子銃、回路素子などへ応用することができる。
【0017】
本発明の分子集合体は、例えばSOMOをもつ分子が存在する場合に、部分酸化状態となり、従来の微小分子集合体(ナノワイヤーなど)と異なり高い導電性をもつ。したがって、LSIなどの分子配線に利用可能である。また、本発明の微小分子集合体自体でFET素子を製造することが可能である。本発明の微小分子集合体の構成成分の一部を他の機能性分子と置きかえる事で、伝導度を制御することや、磁気機能をもたせること、光導電性をもたせること、メモリー機能をもたせることが可能である。
【0018】
また、1または2分子のみを電子回路の接続に用い、連結デバイスとすることで、例えば単電子トンネル素子や単電子トランジスタのような分子レベルでの機能性素子を製造することが可能である。
【0019】
また、本発明によれば、所望の機能を持った電子回路を分子レベルで容易かつ簡便に製造することができ、当該機能をも容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、電解セルの概図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、電解セルの概図(上面図)である。
【図3】図3(a)、図3(b)、図3(c)は、それぞれ電極の概図である。
【図4】図4(a)、図4(b)、図4(c)は、それぞれ突起部の概図(図3のAなど)である。
【図5】図5は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図5(a)は平面図、図5(b)は断面図である。
【図6】図6は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図6(a)は平面図、図6(b)は断面図である。
【図7】図7は、基板上の電極の一例をあらわす図である。図7(a)は平面図、図7(b)は断面図である。
【図8】図8(a)、図8(b)、図8(c)は、本発明の電子回路の一例を表す図である。
【図9】図9は、実施例1−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図10】図10は、実施例1−2で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図11】図11は、実施例1−3で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図12】図12は、実施例1−4で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図13】図13は、実施例1−5で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図14】図14は、実施例1−6で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図15】図15は、実施例1−7で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図16(a)】図16は、実施例1−8で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。図16(a)は80,000倍のSEM写真を表す。
【図16(b)】図16は、実施例1−8で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。図16(b)は1,100倍のSEM写真を表す。
【図17】図17は、実施例1−9で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図18】図18は、実施例2−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図19】図19は、実施例3−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図20】図20は、実施例3−2で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図21】図21は、実施例3−3で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図22】図22は、実施例3−4で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図23】図23は、実施例3−5で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【図24】図24は、実施例4−1で得られた図面に代わる分子集合体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔電解装置〕図1は、本発明の電解装置の概図である。
図1中、1は電解セルを、2は銅線を、3は基板差し込み部を、4は電極を、5は基板を表す。本発明の電解装置は、2本の電極(4)と、電解セル(1)とを有する。また、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための図示しない電圧制御装置、及び/または前記2本の電極に供給する電流を制御するための図示しない電流制御装置を有していることも望ましい。本発明の電解装置は、電解セルに分子集合体を構成する分子を含む電解液を保持させ、電解液と前記2本の電極とが接触した状態で前記2本の電極に電圧を印加する(または、電流を供給する)ことにより分子集合体を製造する。
【0022】
なお、電極の電位を測定するための参照電極や電位測定装置、ゲート電極、制御用コンピュータが更に含まれていてもよい。電解セルは、電解液(溶液)を保持する電解液保持部と、基板を差し込む基板差し込み部とを含む。基板差し込み部には、図2(a)に表されるように、例えば粘土状の絶縁物を盛っておくことが好ましい。これは基板を保持するのと同時に電極を保護する役割を持つ。このような絶縁物としては、パテが好ましい。図2(a)中、2は銅線を、3は基板差し込み部を、6は絶縁物を表す。
【0023】
〔基板〕
本発明の基板は、少なくとも2本の電極をその上に搭載できるものであることが好ましい。基板の材質としては、ガラス基板や、シリコン基板、プラスチック基板などがあげられるが、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーの基板として適するものであれば特に限定されるものではない。基板の形状としては、直方体が好ましい。基板の長さとしては、0.1mmから10cmが好ましく、1mmから5cmであればより好ましく、1cmから4cmであればさらに好ましく、2cmから3cmであれば特に好ましい。基板は、不純物を含まないように洗浄された後用いられることが好ましい。
【0024】
〔電極〕
本発明における電極としては、基板上に設けられ、対向する2本の電極を含むものが好ましい。図6(a)、図6(b)に示すように、対向する2本の電極の一部は絶縁物に覆われた絶縁部分を有するものが好ましい。絶縁部分としては、図5a、図5bのように電極の面のうち、互いの電極にもっとも近い面以外の面を絶縁部分とするものがあげられ、電極に突起部分を有する場合は、図7(a)、図7(b)のように突起部分以外の部分を絶縁部分とするものが挙げられる。図5(a)、図5(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を表す。図7(a)、図7(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を、16はゲート電極を表す。
【0025】
また、図6(a)、図6(b)に示すように基板上(5)に設けられたゲート電極(16)と、ゲート電極を被覆する絶縁層(15)上に設けられた対向する2本の電極(4)とを含むものは、FET電界効果トランジスタとして機能し得るため好ましい。図6(a)、図6(b)中、4は電極を、5は基板を、15は絶縁層を、16はゲート電極を表す。
基板上に設けられる電極の材質としては、金、白金、銅、グラファイトなど導電性の材質のものがあげられ、これらのうちでは、金、または白金がより好ましいが、上記リソグラフィーに適したものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
電極は、基板上に少なくとも2本以上形成されることが好ましい。なお、電解セルが、電極のうち1本の役割を果たす電極であってもよい。また、ゲート電極や、参照電極がさらに設けられていてもよいし、電解液等の物性を測定するための電極がさらに設けられてもよい。
電極の形状としては、図3(b)のように2つの電極が対向しているものが好ましく、図3(c)のようにそれぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部があるものか、又は図3(a)Aのように前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有する電極が好ましい。このような形状であれば、効果的に導電性ナノワイヤーなどの分子集合体を生成できるからである。図3(a)、図3(b)、図3(c)中、4は電極を、11は間隔を、12は突起部を表す。
【0027】
突起部の形状としては、図4(a)に例示されるように、前記2本の対向する電極のギャップ部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するものが好ましく、または図4(b)や図4(c)に例示されるようにもう一方のギャップ部に近接するに従って先細状となっているものはより好ましく、その中でも図4(c)のように階段状となっているものが好ましい。
【0028】
電極の間隔(11)としては、1nm〜100μmが好ましく、1nm〜1μmであればより好ましく、1nm〜200nmであればさらに好ましいが、希望するナノワイヤーの長さに適するものであれば特に限定されるものではない。
【0029】
電極の幅としては、0.5nm〜1cmが好ましく、0.5nm〜200nmあるいは1mm〜3mmであればより好ましい。電極の長さとしては、1nm〜25mmが好ましい。電極は電解液に浸っていることが好ましく、電極の体積の20%以上が浸っている場合が好ましく、50%以上が浸っている場合は更に好ましく、80%以上が浸っている場合は特に好ましい。また、電極間に電解液を滴下して基板上で電気分解を行うことも好ましい。
【0030】
〔電圧制御装置〕
電極に印加される電圧は、電極と連結した電圧制御装置により制御されることが好ましい。なお、電解セル中に参照電極があり、電極間の電位差を測定することができ、その測定結果に応じて電極に電極に印加する電圧を制御することができることはより好ましい。電圧制御装置とともに、または電圧制御装置に変えて電極に供給する電流を制御する電流制御装置であってもよい。
【0031】
〔電極の製造方法〕
本発明においては、電極が基板上に形成されることが好ましい。電極を基板上に形成する方法としては、マスク蒸着法、フォトリソグラフィー法、および電子線リソグラフィー法およびこれらの方法を組合せた方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マスク蒸着法では、電極となるべき形状をくりぬいたマスクを基板にかぶせ、その上から金属膜を蒸着する。その後にマスクを基板から除去する。このようにして電極部分だけに金属膜が蒸着され、微小電極を作成することができる。
【0032】
フォトリソグラフィー法による電極作成では、基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに感光させる感光工程と、感光させたレジスト層を現像する現像工程と、現像により残ったレジスト層をマスクとして、金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては、いわゆるフォトレジストであれば特に限定されるものではない。
【0033】
電子線リソグラフィー法による電極作成では、基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに電子線を照射する電子線照射工程と、電子線を照射したレジスト層を現像する現像工程と、現像により残ったレジスト層をマスクとして、金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては、いわゆる電子線レジストであれば特に限定されるものではない。
【0034】
〔分子集合体の製造方法〕
本発明の分子集合体の製造方法においては、上記電解装置を用いて行うことが好ましい。分子集合体を製造する際には、分子集合体となる物質(分子集合体を構成する分子)を溶解させた溶液(電解液)を用いることが好ましい。分子集合体となる物質を溶解させた電解液に上記電極を用いて電圧を印加する電解法により分子集合体を製造することが好ましい。本発明においては、電極間が微小であり微小な分子集合体(針状結晶やナノワイヤー)を製造することができる。従来の超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法などでは、ナノワイヤーなどの分子集合体を製造する際に分子間に例えば水素結合などの相互作用を起こす官能基などを導入しなければならなかった。また、得られた分子集合体も閉殻構造をもつ分子の集合体であり、HOMOに2電子が詰まっている結果電荷移動が起こりにくく伝導性・導電性のない分子集合体(絶縁体)しか得られなかった。しかしながら、本発明の電解結晶成長法(電解法)では、閉殻分子のHOMOの一部、あるいは全部から電子が抜き取られ、分子集合体の一部、あるいは全部がSOMOとなった状態を作り出すことができる。本発明では、電界中で針状結晶・ナノワイヤーを成長させることにより、電荷移動相互作用を利用して針状結晶・ナノワイヤーを成長させることができるのである。その結果、本発明では、導電性・伝導性のある針状結晶・ナノワイヤーを得ることができるのである。
【0035】
分子集合体となる物質としては、有機伝導体などがあげられるが、電解法によって導電体を形成する化合物がより好ましい。有機伝導体としては、π電子を持つ有機化合物があげられ、これらの中でも、BEDT−TTF誘導体を含むTTF誘導体、dmit錯体類、ポルフィリン錯体類、フタロシアニン類が好ましい。電解法によって導電体を形成する化合物としては、縮合多環炭化水素誘導体、複素環化合物誘導体、複素多環化合物誘導体及びこれらを含む錯体があげられ、これらの中でも、BEDT−TTF誘導体を含むTTF誘導体、dmit錯体類、ポルフィリン錯体類、フタロシアニン類が好ましく、フタロシアニン類およびポルフィリン類が、さらに好ましく特に化学式1で表されるTPP・[Co(Pc)(CN)2]TPP・[Co(Pc)(CN)2](テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニン)が好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】
フタロシアニン類としては、下記一般式2で表される化合物を基本骨格とする化合物が好ましい。
【0038】
【化2】
【0039】
ポルフィリン類としては、下記一般式3で表される化合物を基本骨格とする化合物が好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
分子集合体となる物質を溶解する溶媒としては、有機溶剤があげられ、これらの中でも、アセトニトリル、アセトン、アルコール類、ベンゼン、ハロゲン化ベンゼン、1−クロロナフタレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ピリジンなどが好ましく、アセトニトリル、アセトン、エタノール、メタノールがより好ましく、アセトン、アセトニトリルが更に好ましい。有機溶剤の割合としては、例えば、分子集合体となる物質を飽和させたものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
電極に流される電流としては、直流電流でも交流電流でもよい。電極に流される電流としては、1nA〜1mAが好ましく、100nA〜10μAであればより好ましい。電極間の電位差としては、10mV〜20Vが好ましく、1V〜5Vであればより好ましく、2V〜3Vであれば特に好ましい。交流電流の場合には、周波数1mHz〜1kHzが好ましく、500mHz〜10Hzがより好ましい。また、交流電流の場合には、波形は正弦波、方形波、ノコギリ波などがあげられるが、正弦波、方形波が好ましく、方形波が特に好ましい。交流電流の場合の振幅には、10mV〜20Vが好ましく、1V〜5Vであればより好ましく、2.5V〜5Vが特に好ましい。電圧を印加する時間としては、例えば10日以下が挙げられ、0.001秒から10日が好ましく、1秒から2日であればより好ましいが、得ようとする分子集合体の大きさ、種類、印加する電圧、印加される電圧などにより適当な時間とすればよい。
【0043】
電解液の温度としては、−30°C〜200°Cが好ましく、−30°C〜120°Cであればより好ましく、15°C〜30°Cであれば特に好ましいが、電解液が沸騰あるいは凝固していないものが好ましい。
【0044】
〔分子集合体〕
本発明の分子集合体の製造方法によって得られる分子集合体としては、針状結晶や導電性ナノワイヤーが挙げられる。本明細書においてナノワイヤーとは、分子が規則的に整列した、幅分子1個分〜1μm、長さ分子2個分以上の線状物質のことを指す。
針状結晶およびナノワイヤーの直径としては、1nmから1μmが挙げられ、1nm〜200nmであればより好ましい。針状結晶の長さとしては、10nm〜100μmがあげられる。本発明の分子集合体としては、長軸lと短軸sの比(l/s)が、1以上であれば好ましく、2以上であればより好ましい。
【0045】
本発明の分子集合体の製造方法としては、得られた分子集合体のうち、直径が1nm〜100nm、長さが10nm〜100μmのものが60%以上であることが好ましく、80%以上であれば更に好ましく、90%以上であればより好ましく、95以上であれば更に好ましく、99%以上であれば特に好ましい。
【0046】
特に、分子集合体を構成する分子が1列〜100列規則正しく並んだ単位が繰り返され分子集合体を構成しているものが好ましく、分子が1列〜50列であればより好ましく、分子が1列〜20列であれば更に好ましく、分子が1、2、3、4、または5列であれば特に好ましい。針状結晶は、ある程度湾曲したワイヤー状のものでもよい。電気分解による酸化還元反応を利用するため、微小分子集合体自体に導電性を付与することが可能となる。すなわち、従来の微小分子集合体のような閉殻構造を持たないために、分子集合体を構成する分子間で電子の移動が起こりやすくなるため高い導電性を有することが可能となるのである。
分子集合体の伝導度としては、要求される導電性ナノワイヤーなどに応じて制御することが好ましいが、一般的には、1S・cm−1以上超伝導体以下のものが好ましく、10S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく、100S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく、500S・cm−1以上超伝導体以下であれば特に好ましいが、伝導度は、1×10100S・cm−1以下であっても、1×1010S・cm−1以下でもよく、その用途に応じて好ましい伝導度が選択される。
【0047】
分子集合体の形状としては、線状、柱状、円柱状、ブロック状が好ましいが、分子が規則的に整列したものであれば特に限定されるものではない。
分子集合体は基板上に成長することが好ましく、電極上、電極周囲に成長することがより好ましく、電極間、とくにギャップ部間に成長することが特に好ましい。電解セルは成長期間中、静置されていることが好ましい。
【0048】
分子集合体は、そのまま導電性ナノワイヤーとしても良い。分子集合体をさらに束ねて導電性ナノワイヤーとしても良いし、分子集合体をカップリング処理し、例えば導電性フィラー用に処理して導電性ナノワイヤーとしてもよい。
【0049】
〔電子回路の製造方法〕
本発明は、更に間隔が1nm〜100μmである部分を有する電子回路の、当該間隔を、π電子を含む有機伝導体を含む電解液でつなぐ工程と、前記電子回路に電圧を印加し、前記間隔に発生する導電性分子集合体を用いて、前記間隔を連結工程とを含む機能性電子回路の製造方法を提供する。また、導電性分子集合体による連結部分を有する電子回路の製造方法であって、間隔が1nm〜100μmであり、導電性分子集合体により連結される部分を有する電子回路を、π電子を含む有機伝導体を含む電解液と接触させる工程と、前記間隔に発生する導電性分子集合体を用いて、前記間隔を連結する工程と、を含む電子回路の製造方法を提供する。例えば、図8(a)にあるような間隔部を有する電子回路をあらかじめ製造しておき、回路部分をマスクした後、電解液に浸漬し(図8(b))、電子回路に電圧を印加する。すると、間隔部に導電性分子集合体が発生し、間隔をつなぐ(図8(c))。この際発生する分子集合体を制御することで、電子回路に様々な特性を付与することができる。なお、電解液と電子回路とを接触させる際は、前記間隔部以外の部分(特に電子回路の回路部分)は、電解液と直接接触しないようにマスクしておくことが好ましい。図8(a)、図8(b)、図8(c)中、21は電子回路を、22は間隔を、23は直流・交流電源を、25は電解液を、27は分子集合体を表す。
【0050】
電子回路の間隔部を連結する導電性分子集合体(導電性ナノワイヤー)は、例えば、伝導度が異なるなど通常の電子回路と異なった物性を示す。この導電性分子集合体部分の特性を生かし、機能性電子回路とする。上記製造方法により製造された電子回路はそのままICなどのチップとして用いることができる。
【0051】
導電性分子集合体部分が、トランジスタやトンネル素子などの素子として機能することとなる。また、回路部分と、導電性分子集合体とは、抵抗率が異なる。したがって、導電性分子集合体を制御すれば、適切な抵抗を持った電子回路が得られる。
なお、電子回路の間隔部としては、分子1個から10個程度の間隔の場合も本発明は好適に用いることができる。たとえば、1または2分子のみを回路の接続に用い、連結デバイスとすることができる。このようにすることで、例えば単電子トンネル素子や単電子トランジスタのような分子レベルでの機能性素子を製造することができる。
【実施例1】
【0052】
〔製造例1:電解セルの製造〕
市販されている試薬瓶を用いて図1で表される電解セルを製造した。図2(b)に表されるように、銅線と電極の上部とを金線で結んだ。図2(b)中、2は銅線を、7は金を、8は銀ペーストを表す。電解液保持部は、試薬瓶の導体部分を用い、基板差し込み部は試薬瓶のキャップ部分を改造して用いた。基板差し込み部にはパテを盛った。
試薬瓶の直径は、23mmであった。
【0053】
〔製造例2:20μm間隔の電極の製造〕
電解結晶法に用いる電極をガラス板上に製造した。
25×10mmのガラスを用意し、マスクをガラスに付着させた。その後、マスキングをしたガラス基板に金を蒸着させた。その後、マスクをガラス基板から除去した。このようにして、ガラス基板上に金電極を形成した。それぞれの電極の幅は、2〜5mm、それぞれの電極の長さは、2.0cm〜2.3cm、電極の間隔は20μmであった。
【0054】
〔製造例3:ナノ間隔電極の製造〕
電解結晶法に用いる電極をガラス板上に製造した。
25×10mmのガラスを用意し、ガラス基板上に白金を蒸着した。電極の概形のマスクをOHPシートに印刷した。フォトレジスト剤を白金を蒸着したガラス基板上にスピンコート塗布した。スピンコーターの回転数は、3000rpmで、60秒間回転塗布を行った。110℃で1分間乾燥して塗膜を形成した。フォトレジスト剤を塗布したガラス基板にマスク通して、水銀灯光源のマスクアライナーを用いて露光した。Microposit
Developer MF319(シプレイ・ファーイースト(株)製)を用いて60秒間現像を行った。この際、非露光部分は完全に溶解した。ついで純水を用いて洗浄を行った。このようにして、電極の概形を作成した。
【0055】
さらに、電極の概形を作成した基板に対して電子線レジストとしてZEP7000(日本ゼオン(株)製)を、スピンコーターを用いて350nmの厚さに塗布した。その後大気中で180℃で180秒間ベーキングを行った。基板はこの電子線レジストに対して良好な濡れ性と展開性を示した。この電子線レジストを塗布した基板に対して電子線描画を行った。すなわち、加速電圧30kV、電子線強度4μC・cm−2の直径20nmのガウス型円形電子線を用いて、多数の密集した細線からなる図形データに従って基板上を走査し、電子線露光を行った。露光後、ZED500(日本ゼオン(株)製)で電子線レジストの現像処理を行った。このようにして電極を作成した。
【0056】
〔実施例1−1〕
電解液保持部にTPP・[Co(Pc)(CN)2]5mg、アセトニトリル14mlを加え溶解させたところ、溶け残りのある飽和電解液となった。基板差し込み部に電極基板を挿入しパテを用いて電極基板を定位置に固定した。電極の上部と電解セルの銅線の間に金線を渡し、銀ペーストで固定した。基板保持部を電解液保持部と結合させた後、銅線にデジタルマルチメータを接続した。電極に、2.0Vの電圧を掛け、1日間静置した。この際の溶解液の温度は、23℃であった。
【0057】
このようにして得られた分子集合体は、長さ50μm〜300μm、幅は5μm〜30μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図9に示す。
【0058】
〔実施例1−2〕
電解期間を100分をとした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜20μm、幅1μm〜5μmの板状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図10に示す。
【0059】
〔実施例1−3〕
電圧を1.0Vとして1日間電圧を印加した後、さらに1.5Vの電圧を1日間印加した以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ6μm〜10μm、幅2μm〜5μmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図11に示す。
【0060】
〔実施例1−4〕
電解期間を193分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅500nm〜8μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図12に示す。
【0061】
〔実施例1−5〕
印加電圧を2.5V、電解期間を193分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅500nm〜8μmの柱状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図13に示す。
【0062】
〔実施例1−6〕
印加電圧を2.5V、電解期間を33分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅100nm〜200nmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図14に示す。
【0063】
〔実施例1−7〕
印加電圧を2.5V、電解期間を26分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ2μm〜10μm、幅200nm〜300nmの湾曲したワイヤー状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図15に示す。
【0064】
〔実施例1−8〕
印加電圧を2.5V、電解期間を26分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜30μm、幅100nm〜300nmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図16に示す。
【0065】
〔実施例1−9〕
印加電圧を2.5V、電解期間を4分とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
【0066】
このようにして得られた分子集合体は、長さ5μm〜30μm、幅300nm〜3μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図17に示す。
【0067】
〔実施例2−1〕
基板として、電子線リソグラフィーによって作製したナノ間隔電極を用い(図3a、図4c)、印加電圧を2.5V、電解期間を339分とした以外は実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜10μm、幅500nm〜3μmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図18に示す。
【0068】
〔実施例3−1〕
交流電流(振幅3.0V、周波数2.0Hz、方形波)、電解期間を10秒とした以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ30μm〜50μm、幅500nm〜1μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図19に示す。
【0069】
〔実施例3−2〕
交流電流(振幅2.5V、周波数0.1Hz、正弦波)、電解期間4分の後、交流電流(振幅5.0V、周波数0.1Hz、正弦波)、電解期間18分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜3μm、幅200nm〜800nmのブロック状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図20に示す。
【0070】
〔実施例3−3〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.5Hz、正弦波)、電解期間20分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ500nm〜10μm、幅50nm〜1μmの針状束であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図21に示す。
【0071】
〔実施例3−4〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.2Hz、正弦波)、電解期間23分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ1μm〜3μm、幅100nm〜500nmの針状束であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図22に示す。
【0072】
〔実施例3−5〕
交流電流(振幅5.0V、周波数0.1Hz、方形波)、電解期間5分とした以外は、実施例3−1と同様にして分子集合体を得た。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜20μm、幅1μm〜2μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図23に示す。
【0073】
〔実施例4−1〕
基板差し込み部に電極基板を挿入しパテを用いて電極基板を定位置に固定した。電極の上部と電解セルの銅線の間に金線を渡し、銀ペーストで固定した(図2(b))。パスツールピペットを用いて基板上にTPP・[Co(Pc)(CN)2]のアセトニトリル飽和溶液を1滴、両電極を覆うように載せた。基板保持部を電解液保持部と結合させた後、銅線にデジタルマルチメータを接続した。電極に交流電流(振幅3.0V、周波数2.0Hz、方形波)を流し、10秒間静置した。この際の溶解液の温度は、23℃であった。
このようにして得られた分子集合体は、長さ10μm〜50μm、幅は200nm〜1μmの針状であった。この際得られた、分子集合体のSEM写真を図24に示す。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、微細な導電性化合物の分子集合体を分子レベル(ナノレベル)で制御し、製造することができることとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた対向する2本の電極と、有機伝導体分子を含む電解液と前記基板とを保持する電解セルと、前記2本の電極により連結され、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための電圧制御装置と、を有する電解装置を用いた分子集合体の製造方法であって、
前記2本の電極は、
電子線リソグラフィー法により前記基板上に形成されたものであり、
それぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部か、又は前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有し、
前記2本の対向する電極の突起部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するか、またはもう一方の突起部に近接するに従って先細状となっており、
前記有機伝導体分子を含む電解液は、テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを含む電解液であり、
前記電解液と前記2本の電極とが接触した状態で、電圧を前記2本の電極に印加することにより、前記基板上に前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含み,長さ1μm以上10μm以下,幅500nm以上3μm以下の分子集合体を製造する工程を含む、
分子集合体の製造方法。
【請求項2】
前記電極は、電子回路を構成する電極であり、前記2本の電極の先端部同士の間を前記分子集合体で連結する工程を含み,これにより2本の電極間を前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含む分子集合体により連結した電子回路を得ることができる,
請求項1に記載の分子集合体の製造方法。
【請求項1】
基板上に設けられた対向する2本の電極と、有機伝導体分子を含む電解液と前記基板とを保持する電解セルと、前記2本の電極により連結され、前記2本の電極に印加する電圧を制御するための電圧制御装置と、を有する電解装置を用いた分子集合体の製造方法であって、
前記2本の電極は、
電子線リソグラフィー法により前記基板上に形成されたものであり、
それぞれの電極の途中に存在し、もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部か、又は前記それぞれの電極の先端にあって、もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有し、
前記2本の対向する電極の突起部のうちそれぞれの先端部は、互いに平行に対向するか、またはもう一方の突起部に近接するに従って先細状となっており、
前記有機伝導体分子を含む電解液は、テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを含む電解液であり、
前記電解液と前記2本の電極とが接触した状態で、電圧を前記2本の電極に印加することにより、前記基板上に前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含み,長さ1μm以上10μm以下,幅500nm以上3μm以下の分子集合体を製造する工程を含む、
分子集合体の製造方法。
【請求項2】
前記電極は、電子回路を構成する電極であり、前記2本の電極の先端部同士の間を前記分子集合体で連結する工程を含み,これにより2本の電極間を前記テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンを構成分子として含む分子集合体により連結した電子回路を得ることができる,
請求項1に記載の分子集合体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−115942(P2011−115942A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274561(P2010−274561)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【分割の表示】特願2003−574562(P2003−574562)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【分割の表示】特願2003−574562(P2003−574562)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
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