導電性ポリマーナノワイヤの脳−マシンインターフェースシステムおよび方法
本発明は、導電性ポリマーナノワイヤおよび安全で、堅固で、かつ侵襲性が最小の脳−マシンインターフェースにおけるそれらの使用に関する。本発明の第1の態様によれば、導電性ポリマーナノワイヤを備える、血管による脳−マシンインターフェースが開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国国立科学基金によって授与された国庫補助の助成金番号CTS−0227589の下になされた。この譲渡の条項に従って、米国政府は本発明に対して一定の権利を有し得るものとする。
【背景技術】
【0002】
近代社会における神経科学の役割を考えるとき、脳−マシンインターフェース(例えば人間の脳とコンピュータの間)の問題は、取り組むべき中心課題のうちの1つである。実際、容易に携帯されるように十分軽い新規の情報の分析および収納のシステムを設計し構築する能力は、過去数年で指数関数的に進歩した。最終的に、脳−マシンインターフェースが、恐らくそのようなシステムとの堅固で迅速な通信への大きな障害になるであろう。
【0003】
今日まで、脳−マシンインターフェースに向けた開発は、小型化またはコンピュータの能力拡張における進歩ほどすばらしいものではなかった。実際、大多数の最新デバイスの制約要因は、ヒューマンインターフェースに関するものである。例えば、ボタンは操作するのに十分大きくなければならず、ディスプレイは符号認識が可能であるほど大きくなくてはならない。明らかに、脳とそのようなデバイスのより直接的な関係を築くことが望ましく、恐らくますます重要になるであろう。
【0004】
従来の手段で、頭蓋の表面から脳活動を記録することができる。脳波記録法(EEG)の場合には、電極が頭蓋上に配置され、記録動作が脳の表面で起こる。電磁式脳造影法(MEG)の場合には、記録用プローブも表面に配置されるが、三角測量を通じて脳活動を3次元にマッピングすることができる。
【0005】
EEGおよびMEGなどの方法は、侵襲性が最小である一方、頭皮と頭蓋によってもたらされる電磁界のゆがみのために、分解能が不十分なことおよび信号ひずみに苦慮する。既知の技術でこれらの制限を克服するには、頭蓋を開き脳の主要部の中へ電極を挿入する、はるかにより侵襲性の選択が必要となる。同様に、パーキンソン病などの何人かの患者向けに治療上行われるように脳を刺激するために、頭蓋を開いて電極を挿入しなければならない。
【0006】
脳とマシンのより直接的な関係の必要性が、ますます重要になるにつれて、ナノテクノロジー(n−テクノロジー)の分野で変革が起こっている。ナノテクノロジーは、1マイクロメートル未満の特有の寸法を有する生産物を扱う。本発明者らは、脳−マシンのボトルネックがナノテクノロジーの応用を通じて最終的に解決されるであろうということを確信している。ナノスケール電子回路と結合されたナノスケールの電極プローブの利用が、この点に関して有望と思われる。
【0007】
今日まで、最も微細な電極はガラスから引き出されている。これらの微小電極は直径1ミクロン未満のチップを有し、導電性溶液で充填される。それらは、一般に、神経細胞および筋細胞からの細胞内記録に使用される。一度に1個のセルからしか動作が記録されないという制限がある。しかし、多重電極配列を使用して、100個を上回る個別のセルからの記録を得ることが可能であった。それにもかかわらず、これは電極が頭蓋の表面から脳へ下げられるので、侵襲性の処理である。
【0008】
脳内の多数の点を調べることに加えて、こうして捕えられた多数の信号を意味のあるやり方で処理し分析することも必要である。脳内の複数の位置からの信号を処理して表示する方法は、動物に対する多重電極の研究および人間の被験者に対するMEGの研究向けに開発されてきた。
【0009】
タップを付け、アドレス指定し、かつ脳活動を解析するための堅固で非侵襲性の方法が、将来の脳−マシン相互作用のために最適化され、例えば米国で公開された特許出願第2004/0133118号に開示されており、これを参照により本明細書に合体する。しかし、より優れた生物学的適合性および生分解を有し、したがってより優れた脳インターフェースを可能にするナノワイヤの用途に対する必要性が存在する。具体的には、血液と生体適合物質の間の接触が、凝固および補体系の急速な活性化をもたらす。一方トロンビンおよび他の活性化された凝固因子は、高い血流条件下で薄められ得て、ナノワイヤの挿入が血流を変えることができ、または血流の血小板の付着を助長することができる乱流をもたらす。多くのポリマーは生物学的適合であるが、すべてが分解できるとは限らない。分解または溶解は、ポリマーの形状、サイズまたは質量を変化させる。ポリマーが分解する最も一般的なモードが加水分解であるが、酸化および酵素で、細胞分解または微生物分解も起こり得る。ナノワイヤのより優れた生物学的適合性によって、血流の乱れをより少なくし、脳にタップを付け、アドレス指定し、かつ解析する能力が高まることになる。
【0010】
同様に、現在の金属電極は、容易に曲げられるか、またはわずかな力の印加で破損さえする。そのため、より優れた柔軟性および疲労に対する耐性を有し、血液内の微粒子による衝撃に耐える、より抵抗力のあるナノワイヤの必要性がある。
【0011】
マシンと相互作用する手段としての働きに加えて、脳−マシンインターフェースは、多くの神経学的症状および精神異常の診断および治療にも有効であり得る。
【0012】
その上、現在の金属電極は、ワイヤの軸芯に沿って長手方向にも横方向にも電気を通す。そのため、多くの神経学的症状および精神異常の治療および試験のために、充電位置によりよく導くように、長手方向にのみ電気を通すことができるナノワイヤの必要性がある。同様に、現在の電極は任意の軸に沿って選択的に偏向することができず、したがってそれらが導かれ得る先の特定性に制限がある。
【特許文献1】米国特許出願第2004/0133118号明細書
【特許文献2】米国特許第6249076号明細書
【特許文献3】米国特許第6157113号明細書
【特許文献4】米国特許第6084321号明細書
【非特許文献1】Wang、Pharm.Res.(2004)21、1362−1373
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ポリマーが絶縁物として働く能力は、それらが電気分野および電子分野で広範囲に使用されるための基本である。しかし、材料設計者は、ポリマーの製造上の融通性を金属の多くの電気的性質と組み合わせようと努めてきた。帯電防止材、低融点ヒータ、電磁放射遮蔽および電界グレーディングを必要とする用途などで、ポリマーの向上した導電性または比誘電率が保証された例がある。ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール他などいくつかの選ばれたポリマーは、ドーピングによって真性の電子導電性を示すように仕向けることができるが、これらのシステムは、多くの場合ひどく費用がかかり商品に仕上げるのが困難になる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、導電性ポリマーナノワイヤおよび安全で、堅固で、かつ侵襲性が最小の脳−マシンインターフェースにおけるそれらの使用に関する。本発明の第1の態様によれば、導電性ポリマーナノワイヤを備える、血管による脳−マシンインターフェースが開示される。
【0015】
神経系実質組織に豊富な血管床が広がるという事実によって、このスペースが脳−マシンインターフェース用に非常に魅力的な領域になる。脳質量へのガス交換および栄養素配送が、約10ミクロンの直径を有する25,000メートルにわたる毛細血管を介して脳内で行われる。心臓に向って移動すると、血管の直径は急激に増加し、最終の直径は20ミリメートルを上回る。
【0016】
本発明は、導電性の電極上に電気化学的堆積によって合成され得て導電性ポリマーのナノワイヤおよびマイクロワイヤを製造し得る導電性ポリマーを使用する。導電性ポリマーナノワイヤ技術は、ナノテクノロジーの電子記録活動と結合され、および/または脈管系を介して神経系、例えば脳または脊髄を刺激する。本発明によって、医学および特にインターベンショナル神経放射線学で広範に使用されているカテーテル技術により、血管床を介して脳に配送される絶縁された多数の導電性ポリマーナノプローブによって神経系がアドレス指定されることが可能になる。
【0017】
本発明によれば、記録装置の例示の実施形態は、脳の脈管系の特定の部分の中へ「花束」配置で広げられ得るようにカテーテル内の電子回路につながれた1組の導電性ポリマーナノワイヤ(n−ワイヤ)を備える。そのような配置は、極めて多数(例えば数百万)のプローブを支持することができる。各導電性ポリマーナノワイヤは、脳実質に侵入することなく単一ニューロンまたはニューロンの小さな群の電気的活動を記録するために使用される。そのような導電性ポリマー、導電性ポリマーナノワイヤの配列の利点は、その小さなサイズによって、血流、ガス交換または栄養素交換の妨げにならず、また脳活動を乱さないことである。
【0018】
本発明の技術は、脳の異常な働きの診断および治療にも適用可能である。そのような技術によって、脳活動の持続的な監視および機能的な結像ならびに直接的な調整が可能になる。例えば、本発明によって、刺激されるべき脳の領域へ導電性ポリマーナノワイヤまたは花束状ナノワイヤを導入し、ワイヤを選択的に偏向させて長手方向に導電性を生成することによりその領域へ電流を選択的に導くことによって、従来の脳深部電気刺激法の進歩した変形形態を実施することができる。
【0019】
本発明を用いて、血管内のニューロンの記録を増幅し、処理して、コンピュータのインターフェースまたは人工器官の制御用に使用することができる。コンピュータ機器の制御には、今日キーボードおよびマウスなどのデバイスの操作があるのと非常によく似て、ニューロンの活動がユーザ入力になる。脊髄またはそれ以外の傷によって神経供給から切り離された生来の手足の運動を制御するために、そのような入力信号も使用することができるであろう。したがって、「知的な」デバイスとの直接のインターフェースは、健康な個人の生活の質を大いに改善することができる一方で、身体障害者に影響を与えることもできて、日常の活動により十分に関与することができるようにする。
【0020】
侵襲性が最小で脳から記録を得ることは、神経病学および精神医学の有効な診断ツールであり得る。それは、磁気共鳴映像法(MRI)と結合すると、脳内深部の活動の場所を正確に突き止めることができて機能的な画像をもたらす。本発明による血管内の導電性ポリマーのナノ電極の装置は、現行の頭蓋を開く必要性なしで、局所的な深い脳刺激用にも使用することができる。血管内の導電性ポリマーのナノ電極を治療の刺激に使用することの利点の1つに、刺激する電極の位置を容易に調整できることがある。そのような調整は、今日使用されている埋め込みの刺激電極では困難である。
【0021】
本発明のナノテクノロジー/血管手法による脳−マシンインターフェースは、ナノメートル級の導電性ポリマー電極が十分に小さく、多数の電極でも、脳の完全性を侵さずにインターフェースを撤去することができるので回復可能であるという利点を有する。
【0022】
上記本発明の概要で論じられた本発明の他の目的、特徴および利点は、好ましい実施形態の単なる例示である以下の詳細な説明から、添付図面と一緒に考慮するとより明らかに理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、脳−マシンインターフェースで利用することができる導電性ポリマーナノワイヤを提供する。ナノワイヤの準備は、任意選択で、絶縁ポリマーで基体を被覆すること、基体または絶縁ポリマーで被覆された基体を従来手法によって金属バッキング層または導電バッキング層で被覆すること、モノマーまたはモノマーと活性体の混合物を使用して基体または金属被覆基体をポリマーで電気化学的に被覆すること、任意選択であらかじめ被覆された基体をドーピングエージェントでドープして導電性ポリマーナノワイヤを得ることを含んでよい。
【0024】
ほとんどの用途については、導電性ポリマーナノワイヤは、一般にナノワイヤの全長に沿って(チップ部分は含まずに)延びる絶縁層を伴って提供される。これは気相成長技術を使用して成され得る、絶縁体(例えばパリレン)で導電性ポリマーナノワイヤを被覆することによって達成することができる。一実施形態では、ピンホールがなく導電材料を十分に絶縁するほど十分に厚いパリレンの100nmの層が使用される。下にある導電性ポリマーをさらすために、レーザアブレーションを使用して、チップ部分からパリレン被覆を除去してよい。
【0025】
導電性ポリマーナノワイヤのチップが露出した状態で(すなわちあらゆる絶縁体が除去された状態で)、ナノワイヤのチップ領域のある特性を向上させるかまたは低減させるために、チップ領域をさらに処理してよい。例として、露出したチップ領域は、概算でナノワイヤの直径程度の全長を有してよい。したがって、ナノワイヤの直径が10μmであると、露出したチップ領域は1〜20μmの範囲の全長を有し得る。チップ領域の処理は、ナノワイヤのチップ領域の特性を制御するために選択的に行われてよい。例えば、チップ領域の導電率は、チップ領域にある材料を加えることにより向上または低下し得る。また、ある化学物質または材料に対するチップの親和力を向上または低下させるために、ある物質が加えられてよい。
【0026】
導電性ポリマーナノワイヤのチップ領域では、ナノワイヤを構成する材料の個々の素線は一般に「ほつれ」ていて、ロープを構成している個々のより線に似ている。この「ほつれ」は、チップ領域でナノワイヤの直径に影響を与えることがあるし、与えないこともある。いくつかの例ではナノワイヤの直径がほとんど増加しないことがあるが、一方他の例では、50%程度増加することがある。ナノワイヤの直径が増加すると、ナノワイヤは、例えば、ミクロトームブレードまたはレーザトリミングプロセスを使用して選択的に「削られ」または整えられてよい。
【0027】
ナノワイヤの終端の「ほつれ」は、ナノワイヤを構成する物質の露出表面領域を増加する働きをするポケットまたは開口を基本的に生成する。ナノワイヤのチップ領域のこの増加した表面積は、次いで、チップ領域で選択的に別の物質を加えるために電気化学的な浸漬または成長プロセスを受けてよい。実現されることが望まれる向上または機能に基づいて、特定の物質が加えられる。例えば、ナノワイヤのチップ領域の導電率向上が望まれるのであれば、チップ領域に白金が加えられる。チップに加えられる物質は、複数の異なったやり方で加えられてよい。例えば、そのようなプロセスは、電子線蒸着などの電着、無電解メッキまたは気相成長を含み得る。
【0028】
チップ領域に金属が加えられる場合、任意選択の後続の段階が金属を金属塩に変え得るはずである。これは、例えば電気化学的に金属を金属塩に変換することにより実現され得る。例えば、ナノワイヤ上に蒸着される銀などの金属の場合には、当技術で周知のように、電流を使用することによって、電気的に銀が塩化銀に変換され得る。
【0029】
絶縁外層を設けることの代替形態として、本発明で使用される導電性ポリマーナノワイヤは、長手方向にのみ導電性であるように製作され得て、ナノワイヤを構成するポリマー鎖の分子構造のためにそのような配向された導電性を示す。そのために、実際には半径方向に導電性がなく、長手方向の導電率が半径方向のものより10桁またはそれ以上の大きさである。そのようなポリマーナノワイヤの場合には、ワイヤの側方への導電性がないので個別の絶縁体層を設ける必要性がない。
【0030】
本発明とともに使用するための導電性ポリマーは、モノマーから合成されたポリマー、生体高分子、およびドープされた絶縁ポリマーを含むがこれには限定されない。導電性ポリマーワイヤを作製するために使用されるモノマーは、アニリン、ピロール、3−メチルピロール、アニシジンおよびトルエジエン(toluediene)などの窒素を含む芳香族化合物または複素環式化合物から成る群から選択される。好ましい導電性ポリマーは、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリエチレンジオキチオフェン(ポリEDOT)を含むが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、金属要素を含まないがその導電性が金属の働きを示すように導電性ポリマーを作製することができる。これらポリマーの導電性は、強いσ結合ならびに共有複合π結合による電子の非局在化の結果であると信じられている。ポリマー内部の電荷移送は、ポリマーの中軸に沿ったもの(鎖内伝達)ならびにチェーン間のもの(鎖間伝達)の両方で起こる。
【0031】
好ましい実施形態では、導電性ポリマーはn型にドープされるかまたはp型にドープされる。ポリアセチレンなど比較的絶縁性のポリマーにドーピング元素を加えることによって、高い真性導電率を得ることができる。使用されるドーパントのタイプおよびレベルを調整することによって、導電性ポリマーは、103から109S/mの範囲の導電性を有するように合成することができる。適当なドーピング元素は、Br2、Cl2、I2およびAsF5を含む。ポリマーにドーパントを加えるのに伴って、電荷的中性を維持するために電子またはホールを注入しなければならない。ポリマーが合成されている間に、または合成が完了した後に、ドーピングは、好ましくは化学的に、電気化学的に、あるいは光子吸収によって、実現されてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ドーピングレベルは、標準的な方法を用いて、化学的または電気化学的に切り換えることができる。ドーピングレベルを切り換えると、導電性ポリマーワイヤの導電性に劇的に影響を与えることができ、脳−マシンインターフェースの中へ組み込んだ後にポリマーワイヤ内の電荷に対する制御が向上する。好ましい実施形態では、ドーピングレベルは、電気信号によって半導体から導体(金属)まで連続的に切り換えることができる。そのプロセスは、以下に概略的に図示される。
【0033】
【化1】
【0034】
ドーピングレベルの切り換えに伴って、色および体積などの特性を調整することができる。例えば、ポリピロール(polypyrole)またはポリEDOTのドーピングレベルを切り換えることにより体積を変化させることができる。ポリマー合成がモノマーを使用するだけで行われるとき、ドーピングは任意選択で行われる。
【0035】
好ましい実施形態では、ドーピングは恒久的かまたは可逆的である。ドーピングが可逆的であると、電気化学的に制御可能な抵抗を有する導電性ポリマートランジスタを作製することができる。ポリピロール用の酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルが、図4に見られる。
【0036】
導電性ポリマーは、導電性電極上への電気化学的堆積によって合成することができる。電気化学的重合によって、電気回路を通して渡された電子の量によってポリマー成長を精密に制御することが可能になる。電極の動作端で起こる反応が以下に示されており、この例はポリピロールのものである。
【0037】
導電性ポリマーナノワイヤの製作の詳細は、例えば米国特許第6249076号、米国特許第6157113号および米国特許第6084321号に見出され得る。これらの内容を参照によって本明細書にまとめて合体する。
【0038】
合成時に対イオンが組み込まれ、ポリマー鎖の間に挿入される。重合は、酸化したモノマーのチェーン成長結合によってラジカルカチオンの形で起こると考えられる。一旦溶解限に到達すると、溶液から作用電極上に重合されたオリゴマーが沈殿する。図1Aおよび図1Bに電気化学的合成電池の概略図が見られる。導電性ポリマーのナノワイヤおよびマイクロワイヤは、電気化学的に成長したポリマーフィルムをスライスすることによって製造される。これらのワイヤの一例が、図2A、図2Bおよび図2Cに見られる。
【0039】
一実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、適切な寸法のポリマーファイバを導電性材料で被覆することによって作製される。好ましい実施形態では、導電性ポリマー材料で被覆されるポリマーファイバはエレクトロスピニングされたポリマーまたはカーボンナノチューブである。別の好ましい実施形態では、ファイバテンプレートは、長さが少なくとも約1mmで直径が約1μm未満である。
【0040】
エレクトロスピニングされたポリマーからポリマーファイバテンプレートを作製するとき、広範囲のポリマーを使用することができる。特定の実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリエチレンジオキチオフェン(ポリEDOT)または生体高分子(絹を含むがこれに限定されない)を含むがこれらに限定されない合成ポリマーである。絹で絶縁された導電性ポリマーワイヤは、標準的な技術を用いて、ファイバ上の化学重合により溶液中または蒸気中で作製することができる。絹は、強いにもかかわらず生物学的適合性のあるポリマーとしてのその特性のために特に好ましい基体である。
【0041】
カーボンナノチューブからポリマーファイバテンプレートを作製するとき、カーボンナノチューブは、スピニング法、リソグラフィパターニングまたは標準的な技術を用いて個々の大きな直径のナノチューブを使用することによって作製することができる。カーボンナノチューブは、強く高導電性のテンプレートをもたらすことにより、恒久的な用途向けに特に好まれる。好ましい実施形態では、カーボンナノチューブの導電性ポリマーワイヤは、ファイバ上に所望のポリマーを電着させて、次に絶縁被膜を施すことにより作製される。
【0042】
導電性ポリマーのマイクロワイヤまたはナノワイヤは、独立型導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製されてよい。そのようなフィルムを準備する複数のやり方およびそれらをスライスする複数のやり方がある。フィルムは、2つの電極の電池内での電着によって作製することができるポリピロールフィルムでよい。アノードとしてガラス質のカーボンが使用され、カソードとして銅が使用される。電池は、1%(体積)の蒸留水、0.05mol/Lのピロールおよび0.05mol/Lのテトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートを含む、−40℃に冷やされたプロピレンカーボネート溶液で充填される。電池によって電流が流されると、アノード上にポリピロールフィルムが形成する。結果として生じるフィルムは、一般に5μmと50μmの間の厚さを有し、個々の厚さは、アノードにおける電流密度および合計の堆積時間を変えることにより実現される。他のタイプの導電性ポリマーフィルムは、回転成形、落下成形、回転、無電解メッキまたは当技術において周知の他のプロセスによって準備されてよい。
【0043】
マイクロワイヤまたはナノワイヤはポリピロールフィルムから準備される。例示の一実施形態では、ポリピロールフィルムは、約2cm×2cmのピースに切断される。小さな長方形の容器が中ほどまで蒸留水で充填され、ポリピロールフィルムが水の表面上に浮かせられる。次いで、容器は、水が完全に凍結するまで冷凍装置に置かれる。ポリピロールフィルムおよび氷の上に蒸留水の層が加えられ、次に冷凍される。結果として生じる氷の塊は、次いでその容器から取り除かれ、埋め込む化合物とともにクライオ−ミクロトームステージに、ポリピロールフィルムがこのステージに対して垂直に配向されるように固定される。
【0044】
次いで、取り付けられたポリピロールフィルムは、クライオ−ミクロトーム(例えば、ミズーリ州セントルイスのVibratome社から入手可能なUltraPro 5000)上でスライスされる。例示の実施形態では、断面厚さは、正方形断面ワイヤを作製するようにフィルム厚さと等しく選択される。もちろん、任意の厚さおよび任意の断面形状も、特定の用途および作製する所望のマイクロワイヤまたはナノワイヤのタイプ次第で選択されてよいことを理解されたい。ワイヤは、スライドガラス上のミクロトームから収集され、室温に暖められて乾燥される。ポリ(エチレンオキシド)のジクロロメタン溶液の形で選択的に絶縁が適用されてよく、これは蒸発することが可能である。
【0045】
別の実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、従来のプラスチック処理技術を用いて作製される。具体的には、有機溶剤中に可溶で、溶解処理することができる多くの導電性ポリマーが本発明によって利用され得る。これらの処理可能な材料は、ポリアニリン、置換されたポリチオフェンおよび置換されたポリピロールを含むが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、処理可能な物質はそれほど導電性でなくてもよいが、その一方で脳インターフェース用途向けに十分な導電性をまだ維持している。他の好ましい実施形態では、処理可能な物質は、他の材料ほど処理に適さないかもしれないが、生物学的適合性のためのより高い可能性を維持する。一実施形態では、知的なナノ構造の足場は、合成中の、ポリアニリンのフィルム/ファイバの表面上およびポリマー構造体の中へのラミニンの粘着性ペプチド、YIGSRの共有結合によって作ることができる。
【0046】
一実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、光ファイバの製造に類似して、予備成形物から処理可能な材料を引き出すことにより作製される。予備成形物からナノワイヤを引き出すことが反復可能なフィーチャサイズをもたらす。ファイバ引出し技術を用いると、所望のサイズまで引き出され得る複数の導体および/またはシールドを有する複雑な導電性ポリマーワイヤ予備成形物を作製することができる。一実施形態では、ファイバ引出し技術によって作製されたナノワイヤは、カーボンブラック、グラファイト、金属粒子、炭素繊維、真性の導電性ポリマー、フラーレン、カーボンナノチューブおよびそれらの混合物を含むがこれらには限定されない除去可能な充填物質を含む。別の実施形態では、予備成形物から引き出されたナノワイヤは、引き出されたワイヤ中に複数のワイヤを備える。予備成形物から引き出されるナノワイヤは、任意選択で、処理可能な前駆物質を有する導電性ポリマーから与えることができる。例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)は、ポリ[p−キシレン−アルファ−ジメチルダルフォニウム(dimethyldulfonium)クロライド]、PXDMCの熱変換中に準備することができる。これらの処理可能な前駆物質は、標準的な方法を用いて、絶縁性前駆物質から導電性ポリマーに変換することができる。例えば、115℃より高温でPXDMCを加熱する際、脱離反応が起きて前駆物質を導電性ポリマーに変換する。好ましい実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、ファイバ引出し技術によってワイヤが様々な直径を有するように作製される。
【0047】
導電性ポリマーの溶解性のために、導電性ポリマーナノワイヤはコアシェルエレクトロスピニング法によって製作することができる。コアシェルエレクトロスピニング法では、導電性ポリマーが、絶縁性のエレクトロスピニング可能な流体のジェットのコアとして使用され、結果として生じるナノワイヤが絶縁被膜を有する導電性ポリマーコアを有する。エレクトロスピニングされたファイバは、回転するドラム電極に向けることができ、連続的な長いナノワイヤを作製する。絶縁物質は、適切な溶剤に溶かすことができ、外部接続およびチップの変更が可能になる。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明のナノワイヤは、脳−マシンプローブで使用するために100nmから1mmの範囲の様々な直径を有する。本発明のナノワイヤは、様々な電圧で使用することができる。ナノワイヤは160Vを超える電圧に耐えることができ、好ましくは、生体用途向けには0〜100Vで劣化しないことである。図3を参照すると、導電性ポリマーワイヤを通って流れる電流密度を電界の関数として大きな電界範囲にわたって表すグラフが示されている。
【0049】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、向上した柔軟性、生物学的適合性および操縦性を示す。生物学的適合性は、固体/液体の境界面での自由エネルギー、表面の疎水性/親水性の特性および表面の化学的性質/電荷密度を含むいくつかの要因によって影響を受ける。中立のポリマーおよびポリアニオンは、ポリカチオンほど細胞障害性でないように見える。ポリマーの柔軟性、表面の粗さおよび分子量も、生物学的適合性に影響を及ぼすことが証明されている。低分子量ポリマーは、タンパク質吸収がより低く、より低い血小板粘着を示す(例えばWang、Pharm.Res.(2004)21、1362−1373を参照されたい)。
【0050】
より詳細には、導電性ポリマーナノワイヤは、本明細書に説明されたいくつかの態様を伴う神経脈管のインターフェース方法およびシステムに利用することができる。これらの態様は、(a)最適の、血管を貫く記録条件の割り出しと、(b)血管内に導電性ポリマーナノワイヤを導入して導くための技術と、(c)血管内の所定の位置にナノワイヤを固定するための技術と、(d)ナノワイヤの設計を援助するためのデータ収集と、(e)記録するナノワイヤ、前置増幅器および増幅器、信号処理、ならびに信号の収集および記録を最適化する他のやり方のための最適特性の割り出しとを含む。本発明の導電性ポリマーナノワイヤによって、電気的刺激と細胞の増殖および調整の結合が可能になる。
【0051】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、脳ナノワイヤ用途で破壊する優れた抵抗を有する。金または白金など展性のある材料は、最小限の力で変形することになる。導電性ポリマーは展性がなく、したがって、血液微粒子の衝撃による変形に対してより抵抗性がある。
【0052】
第1の例示の実施形態によれば、腸の神経系(ENS)からの血管を貫く電気的な活動が記録される。機能的には、ENSは、律動的活動ばかりでなく固有の反射応答ができるという点で簡単な脳に似ている。したがって、ENS内に様々な活動を記録することができる。
【0053】
解剖学的に、ENSおよびその血液供給は容易に接触可能である。具体的には、小腸の神経分布は特に好ましい。哺乳動物では、上腸間膜動脈は腎臓のレベルで下行大動脈の中線から出現する。動脈が下るとともに、それは吻合ループの格子を形成する多数の腸間膜の枝路へ分岐する。まっすぐな動脈(直細動脈)は、ループから離れて進み、小腸に入る。図5を参照すると、蛙の消化管および腸間膜の一部を示すin situ図が示されている。
【0054】
各電極配列は、極めて多数の様々な全長の絶縁された導電性ポリマーナノワイヤを備える。各電極の直径は、0.1〜10μmであり得る。例示の実施形態では、1ミリメートルの直径を有するカテーテルによって配置され得る0.5μmの直径を有する導電性ポリマーナノワイヤの数は、約300万である。
【0055】
配列内の各導電性ポリマーナノワイヤは、選択的に、小さな拡張、むき出しの拡張、カップ状の拡張で終わり、これが周囲の流体に対して電気接点を与え、体内の例えば血管網内で電極の移動を支援するための「帆」として働く。電極ヘッドの最適の寸法および設計形状は、様々な直径の血管内で電極に作用する力次第である。電極が一旦血管中にあると、血液の流れによって全長に延びるまで運ばれる。図6を参照すると、活動が監視されるべき神経線維に最も近い血管内の、ナノ電極の配置が示されている。
【0056】
最も小さな血管要素である毛細血管は、導電性ポリマーナノワイヤ(直径0.1〜10μm)よりかなり大きい(直径15〜25μm)。そのため、小動脈および細動脈内の運動に対する耐性は最小限である。血圧は心臓からの距離とともに低下するが、ナノワイヤを適所へ移動させる十分な圧力を与えるはずである。心臓に、より接近している大きな血管では、血圧は各心拍で強力に鼓動し、血流速度は最大である。心臓からの距離の増加とともに血管径が縮小するのに伴って、血管の合計面積は急激に増加する。流れは層流になり、遅くなる。そのため、独立した血管枝路を通る血流は比較的一定であるものと見ることができる。
【0057】
本発明のインターフェースに含まれる電極のサイズの認識を与えるために、図7Aおよび図7Bに、比較する目的で、例示の脳内のニューロ−血管構造およびその中のナノワイヤ電極を示す。図7Aは、複数の毛細血管(h)(この場合は少なくとも20本)によって貫通されるニューロンの特有の樹枝状ツリーを有する個々のプルキンエ細胞を示す。図7Bは、図7Aの一部を拡大した詳細を示し、プルキンエ細胞の毛細血管内の直径が0.9μmであるナノワイヤ300を示す。
【0058】
神経分布に最も近い血管内の流体は、非常に小さな血管の壁が比較的大きな開口(すなわち血管の断面積の約5%)を有し、イオンによって浸透され得るので、電気的に充電される傾向がある。水およびイオンが毛細血管の細孔を通ってこれらの2つの区画間を自由に移動するので、血漿および細胞外液はイオン的にも浸透的にも平衡である。そのため、血管内の電位は、血管外部の電位に類似するかまたはその電位を反映する。これよって、近くの血管に組み込まれた導電性ポリマーナノワイヤを使用して神経線維またはニューロンの電気的活動を記録することが可能になる。好ましい実施形態では、より高い精度のために、導電性ポリマーナノワイヤを複数の近傍の血管へ向けることができる。
【0059】
大きな血管は、血管壁を通るイオンの流れを妨げる筋肉および線維組織の両方を含む(大動脈の平滑筋も、低振幅の電気信号を発生し得る)。したがって、電極が動脈から小動脈を経て毛細血管へと移動するのにつれて、神経の電気信号の振幅は増加するはずである。血管内に様々な全長のいくつかの導電性ポリマーナノワイヤを放流することによって、いくつかのポイントから記録を得ることができる。次いで、ナノワイヤからの信号は、増幅および処理されて、記録および解析することができる。これらの信号は、ナノワイヤの近くに配置された従来の細胞外のワイヤボール電極を使用して作製されたものと比較することもできる。これは、血管内で信号を頑健に記録することができる、神経からの最大距離を求めるのに役立つ。
【0060】
導かれた電気信号は、アナログ形式であり、さらなる処理のためにデジタル形式に変換しなければならない。次に図8を参照すると、これはアナログ−デジタル変換器(ADC)330を使用して達成される。受け取られた信号は、アナログデジタル変換に先立って、増幅器310によってまず増幅され、バンドパスフィルタ320によってフィルタリングされてよい。単一のADCが、いくつかの電極に向けて多重化されてよい。次いで、本明細書に説明されるように、ADC 330のデジタル出力は、さらなる処理のためにコンピュータ350に与えられてよい。同時サンプリングのために、各チャネルは独自の増幅器を有し、ADCへサンプルアンドホールドして多重化する。高速化のために、共通クロックおよび多チャネルメモリを使用して、各チャネルを独立させてよい。単一チャネルでは都合よく動作するかもしれないが、多くのチャネルが高周波数の信号で同時に動作している間、そのような装置の性能はチャネルクロストークのためにひどく悪化することがある。これは、特に電極数の増加および電極サイズの縮小に対する複数の導電性ポリマーナノワイヤ信号経路の間の懸念である。市販で多チャネルのアナログ入力モジュールがある。多くのチャネルが同時に動作する可能性が比較的低いので、そのような装置は、ほとんどの状況に対して適当である。さらに性能を向上させるために、各個別チャネルのアナログ回路をデジタル回路から絶縁するべきである。
【0061】
本発明で予期され得るものなど、ノイズの多い環境でゆっくり動く信号のためには、積分型ADCが最適であろう。積分型ADCは、50/60Hzのノイズを低減するのに効果的であるが、変換速度が低い。100MHzまで使用可能な、12ビットの分解能を有する最も普及しているコンバータは、逐次比較型である。高速のプログラマブルロジックデバイスは、モジュールを同期してアドレス指定する能力をもたらすことのほかに、あらゆるパイプライン遅れを説明することができる。
【0062】
別の普及型のコンバータはシグマ/デルタ型であり、1ビットのADCおよびパイプラインで送られる非常に高いクロック速度を使用する。シグマ/デルタ型ADCは、24ビットを超えた分解能を有することができ、ノイズに対して非常に強い。
【0063】
増幅器の信号入力は、シングルエンドでも差動でもよい。その選択は、概してシステムが動作するノイズ環境のタイプ次第である。好ましい実施形態では、優れた同相ノイズ除去をもたらすので差動入力が使用されるが、一般に複雑で大規模な回路が必要になる。ナノワイヤは直径が小さいので、その抵抗はかなりなものである(例えば100オームから10メガオーム)。そのため、電極と増幅器の信号入力の間のインピーダンスを整合させるときは、特別な注意を払うべきである。
【0064】
本発明で使用される増幅器は、監視されるべき信号を追跡することができることを保証するために十分に広い帯域幅を有するべきである。好ましい実施形態では、帯域幅は0Hzから100kHzの範囲である。ADC用のサンプリングクロック周波数は、増幅器の帯域幅の少なくとも2倍であるべきである。
【0065】
一般に、本発明のシステムが動作する環境はノイズがあるので、総合性能を改善するために入力フィルタが使用される。ハードウェアフィルタおよび/またはソフトウェアフィルタが使用されてよい。最適のフィルタリングは、ノイズの性質およびその特性次第である。ニューロン活動の信号の一般的な周波数を考慮して、100kHzより上の周波数を有する現象は一般にノイズと考えられ、フィルタリングされることになっている。
【0066】
ノイズは、局所的電場の電位のランダム変動として現われ、最終的に、電極によって測定された信号に何らかの望ましくない影響をもたらす。その上、任意のやり方で信号が処理されるかまたは伝達されるあらゆる機会にノイズが生じる。一般に、電極を取り囲む環境の不均一な性質に固有のノイズは、除去するのが最も困難である。
【0067】
システムにおけるノイズは、信号に固有のノイズと外部環境によってもたらされたノイズの2種類に細分することができる。固有のノイズ応答信号は、不均一で変化する環境(例えば血液の流れ)、ノイズのある刺激信号、またはテストおよび測定の装置自体の内部の他の何らかのノイズ源によって通常もたらされる。別の固有ノイズ源は、金属電極が電解質を介して試験片と接続する場合には常に存在する電極の接触電位によるものであり、これは本発明の環境の場合である。この電位の不規則変動はノイズ源である。適切な補償手段を求めるために、このノイズの統計解析を利用することができる。外部ノイズは、漂遊電界または漂遊磁界、不十分なシールドまたは不十分な接地、不十分な回路設計、ノイズのある電源、および過大な増幅などの原因によってテストおよび測定の装置の外部で発生する。
【0068】
固有ノイズを除去しないと、信号とともに増幅されることになる。したがって、信号処理の初期段階でノイズを除去することが望ましい。この目的のために選択的フィルタリングを用いることができる。例えば、高周波ノイズを除去するために、適切な遮断周波数およびロールオフを有するバンドパスフィルタリングを用いることにより周波数窓が生成され得て、基本的にロウパスフィルタをもたらす。
【0069】
いわゆる同相ノイズ(例えば周波数が50Hzまたは60Hzの電磁波を発生する電源によるノイズ)を除去するために、2つの電極を使用して差動信号を測定してよい。次いで、差動信号は差動増幅器へ入力され得る。同相ノイズは被測定信号よりはるかに強くなり得る。2つの入力が使用されると、差動増幅器は、どちらの入力にも存在する同相ノイズを基本的に引き去り、こうして真の信号だけを増幅することになる。
【0070】
システムのノイズに対する許容範囲を求める重要な要因は、被測定信号中のノイズの量(すなわち信号対雑音比)(SNR)である。SNRはバックグラウンドノイズに対する信号強度の指標である。入力信号の強度がVS(通常ミリボルト台)で、ノイズレベルがVNであると、信号対雑音比(デシベル)は次式となる。
SNR=20log10(VS/VN)
【0071】
VS=VNであると、SNR=0となる。この状況では、ノイズレベルが信号と厳しく競合するので、信号は不鮮明ともいえる。これは、データに強い不規則性をもたらし、その結果すべての信号処理操作に問題を引き起こすであろう。理想的には、SNRが大きな正の数となるように、VSはVNよりはるかに大きな値をとるべきである。例として、VS=10.0ミリボルトでVN=1.0ミリボルトの場合、SNR=20dBとなり、ほとんどの用途に対してかなり明確に認識可能な信号をもたらす。例えば信号が2.0ミリボルトとはるかに弱いが、まだノイズを上回る場合、SNR=6dBとなり、ほとんど余裕のない状況である。信号対雑音比が低いほど、信号を回復するために大きな計算上の労力が必要とされる(ある程度の誤差を伴う)。
【0072】
SNRの測定にはいくつかの方法がある。10MHzの帯域幅を有するオシロスコープを使用する例示の方法では、調査するべき電極(増幅の後)からの出力を接続し、信号の「黒レベル」を観察する。黒レベルは、いかなる外部刺激の印加もなしで測定されるべきである。これがVN、すなわちノイズ信号を表す。
【0073】
ナノワイヤによって記録された信号は、対応する神経のダイナミクスに対して調子が合って変化する物理的変数(電流または電圧)を表す。そのため、本発明の性能を最適化するために、以下の要因を考慮に入れるべきである。第1に、すべての電極が「正確な」位置に位置決めされるとは限らないであろう。すなわち、いくつかの電極は、あらゆるニューロンからあまりにも遠くて信頼できるデータをもたらすことができないかもしれず、一方、他のものは損傷を受けているかもしれない。第2に、2つの電極が、単一ニューロンの近傍ではあるがニューロンから異なった距離で配置されると、同じニューロンの挙動を表すのに振幅の異なる別の出力電圧パターンを生じることになる。第3に、電極が複数のニューロンの活動を同時に記録するとき、信号対雑音比が最適ではないかもしれない。
【0074】
本発明は、極めて多数の信号を扱う負荷にも取り組む一方で優れたノイズ性能をもたらす、ナノワイヤによって捕えられた信号を処理する方法を提供する。この目的のために、本発明の例示の実施形態では、ナノワイヤのアナログ出力信号は、以下のようにバイナリ形式に変換される。
xn(t)>xthrr‖t−tj−1<τであるとき、1
そうでなければ、xbinnbin(j)=0
上式で、tjはパルスの開始時間、xn(t)は電極nの時間信号、τは出力パルス(すなわちデジタル化された信号)の持続時間である。xthrは閾値であって、もし入力信号xn(t)がこれを超過すると、出力パルスが発生することになる。閾値xthrを適切に選択することによって、ノイズの影響はかなり低減される。その上、広範囲に変化する信号振幅を扱う問題が解消される。デジタル化されたパルスの持続時間τは固定されてよい(例えば5ms)。上式によって表された処理が、図9Aおよび図9Bに示されている。バイナリ変換方式のハードウェアの実現は、図10Bおよび図10Cに関して以下でより十分に説明される。
【0075】
所定の期間(例えば10秒)を超えて活動状態を示さない電極は無視することができる。さらに、バイナリデータの解析は、アナログデータとは対照的に、処理および保存の利点をもたらす。例えば、メモリ使用量がかなり低減され、計算の複雑さおよび計算時間も同様である。これは、処理するべき信号数が多い点を考慮すれば、特に重要なことである。その上、活動電位ダイナミクスを研究する目的にとって、ニューロン活動のそのようなバイナリ表現は十分に正確なはずである。様々な行動のニューロン状態は様々な燃焼速度を生ずる。ニューロンが主に活動電位によって互いと通信するように見えるので、上記の単純化は、有効な信号の内容を過度に廃棄することなく合理的である。
【0076】
図10Aは、本発明によってインターフェース装置を配置するために使用することができる従来のカテーテル挿入方法を示す。図10Aに示されるように、カテーテルは大腿動脈へ導入され、アドレス指定される血管領域まで押される。カテーテルも頚動脈または鎖骨下動脈へ差し込まれてよい。そのような方法は、カテーテルが中枢神経系のあらゆる部分に導かれるインターベンショナル神経放射線学技術に似ている。
【0077】
一旦、監視または刺激されるべき領域に達すると、カテーテルヘッドの内部に保持された1組のリードが延びて脳の循環系へ任意に分配され得るようになる。あらゆる主要な脳血管にカテーテルを配置することができるので、いかなる毛細血管床にも到着するのに必要なナノワイヤ電極の最大長さは、約2cmから3cmである。したがって、中枢神経系のあらゆる領域を、ステムカテーテルを収容する親血管から多数の電極で有効範囲に含むことができる。
【0078】
本発明は、移植蝸牛刺激装置に関連して使用されてもよい。病的な状態で、有毛細胞が損傷されて脳に送られるべき電気的パルスを発生しないとき、音は知覚されない。この条件下では、内耳にいくらかの残余の神経線維が常に存在し、局所的な電気的刺激でアドレス指定することができる。移植蝸牛刺激装置は、有毛細胞の機能を直接の電気的刺激で置換することにより、これら残余の線維を利用することを試みる。移植システムは、外部の音声プロセッサおよびヘッドセット、ならびに手術で移植された内部の電極配列を含む。これらの要素は、通常シリコンゴムで絶縁された白金イリジウム合金であって蝸牛に移植することができる1組の金属電極に結合される。
【0079】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、現在利用されている大きな金属配線を置換して、電気的信号システムとして使用されてよい。本発明による導電性ポリマーナノワイヤを使用することによってもたらされる利点は、蝸牛内の電気的な流れを、有毛細胞による電流の生理的な分布に似ているものに設計できることである。移植することができるポリマー電極の数が、所与の小さな直径では、現在使用されている金属電極の数の100倍から1000倍であり得るので、これを行うことができる。したがって、さらに多くの電極が使用され得て、より優れた有効範囲および信号分布を与えるために様々な位置に位置決めされてよい。電極数が増加することの利点は、電流の流れのためのポイント電源ではなく、充電がスペースで調整され得て、単一のケーブルシステムによって生成された単純な電気双極子以外の形状を有するという事実である。電極は、高周波音から低周波音を分離するために、蝸牛によって使用される位置コーディングに従って蝸牛内に分配される。電極は、音楽の微妙な持ち味の鑑賞を含む精巧な音声知覚に役立つ複雑な電流の流れの幾何形状を形成するように配置され得る。さらに、移植されたワイヤのチップ位置の非常に選別されたずれが、聴神経刺激および音声知覚の特定性に必要なエネルギーを最小化して、最適の導体選定に役立ち得る。他の用途に関連して利用される、血管を通る手法または血管内の手法とは対照的に、移植蝸牛刺激装置の場合には、ナノワイヤは血管外の位置に効果的に位置決めされる。
【0080】
本発明は、生来の手足の制御または人工四肢/義肢に関連して使用されてもよい。生来の手足の制御の場合には、特に生来の手足と脳の間の神経経路が切断されたか、もはや機能しない場合、本発明の導電性ポリマーナノワイヤが適切な制御/インターフェース電子回路とともに、脳と生来の手足、例えば生来の手足に関連した筋肉の間で信号を伝達するために一種の代替の電気的経路として使用され得る。
【0081】
人工四肢/義肢の場合には、本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、人工四肢/義肢を適切に操作し制御するために脳と人工四肢/義肢の間で信号を伝達するために、脳と義肢の制御/インターフェースの間の電気的経路として使用され得る。
【0082】
図10Bは、本発明による脳−マシンインターフェースデバイスのカテーテル600の例示の実施形態の概略図である。複数の単一のナノワイヤ電極610が増幅器/バイナリ変換器すなわちアナログ−デジタル変換器(ADC)620に結合され、次にこの変換器がマルチプレクサ(M)630に結合される。図11Cに、より詳細に示されるように、ADC 620は、N個のナノワイヤ電極610.1〜610.Nの各々用の増幅器612.1〜612.Nおよびシュミットトリガ615.1〜615.Nで構築することができる。各シュミットトリガは、それぞれの増幅器からの活動電位を、バイナリ値(HIGH/LOWまたは1/0)を有するパルス列に変換する。そのため、あらゆる所与の瞬間では、各ナノワイヤ電極上で活動電位を表すために必要とされるのは、わずか1ビットである。
【0083】
例示の実施形態では、各電極は、直径が約0.1μmで全長が30mm以下であり、マイクロワイヤの長さは約1メートルである。単一のカテーテルが1つまたは複数の配列を伝え得る。このようにして、少数の廉価で堅固なマイクロワイヤがカテーテルの全長に沿って使用され得て、非常に多くのナノワイヤ電極からのデータを伝達する。
【0084】
ナノワイヤは、それらが配置される血管に沿った様々なポイントに電極を位置決めするように、好ましくは全長が様々である。好ましくは、ナノワイヤはアクチュエータとして使用され、配置されたポイントの近くで様々なポイント間で操縦され得る。ナノワイヤの全長を最小化し、したがってノイズ性能を最適化するように、回路は、好ましくはカテーテルのチップ内または最も近くに配置される。回路は、また、カテーテルのチップ内または最も近くの利用可能な限定されたスペースに組み込むために、好ましくは集積回路技術を用いて実現される。配備に先立って、ナノワイヤはカテーテルのチップの個所で区画内に巻かれる。区画が開いている(例えば機械的にはね上げ戸のように)ので、電極は血管に沿って配置されて延び、血流によって運ばれ、分岐する血管に沿って枝分かれする。
【0085】
上で説明された、ハードウェアに関連した態様に加えて、本発明は、前述の血管装置によってもたらされる莫大な量のニューロンの情報を読み取り、格納し、状況に当てはめるソフトウェアの方法も提供する。そのような処理は、ニューロンの活動についての理解を提供するのを支援し、それによって脳の働き、さらに脳の電気生理現象と認識/運動特性の間の関係の定義への重要な窓口を与える。本発明の方法は、ニューロンの単位活動および場の電位の解析に基づいて脳の状態を分類することができる信号処理を含む。本発明は、アルゴリズムのパッケージならびにデータ解析および意志決定向けに適切かつ効果的な計算用ツールキットも提供する。
【0086】
本発明は、ニューロンの単位活動および場の電位の解析に基づいて脳の状態を分類することができるソフトウェアの方法を提供する。そのような方法の目標は、ニューロンの瞬間−瞬間の電気的活動を、大きくて機能的な脳の状態と、実時間で関連づけることである。ニューロンの電気的性質が、脳に起こり得るすべての状態を定義し、そのような状態が全体的な状態ダイナミクスで系統的に協調変化すると仮定されている。しかし、これは、脳活動の純粋に局所的なパターンと機能状態の特定の組の間に一対一の対応が存在することを示唆するものではない。物理的に、脳内の新規の機能状態の発生、例えば「睡眠−目覚めている状態」の移行は、ニューロンの多くの組における活動再編成に相当する。実際に、各々が他方とわずかに異なる、あり得る無限の数のパターンが存在する。この手法は、差異の小さいパターンを、機能状態の異なる比較的小さな組へ対応づけるものである。例えば、最も簡単な場合では、1)睡眠、2)目覚めている状態、3)「上記のどちらでもない」かまたは不確かな状態、例えば眠い状態の3つの全体的な機能状態だけが考慮され得る。最後の状態は、数学的なアルゴリズムの出力定義域を閉じるために必要である。というのは、そうでなければ、避けられないノイズの影響を含む、あり得るすべての入力パターンを正確に解明することは不可能なはずだからである。さらに、第3の状態は概念的な見解から重要である。例えば、目覚めている状態でのみ、光を見ることも見ないことも可能であり、したがって、睡眠中には、この状態は不確かになり得るからである。
【0087】
前述のように、本発明による計算アルゴリズムの例示の実施形態は、全体的な状態の変化に関係する脳活動の変化を検出する。この活動は、多くのニューロンから得られたバイナリ時系列の組によって、すなわち空間の一時的なパターンによって表される。以下に論じられるように、この問題は、次いでパターン識別のうちの1つとなる。アルゴリズムが有効であるためには、以下の項目に対して最適化しなければならない。1)データの組に関して仮説(あり得る機能上の状態)の最小限の数を求める。2)データ記憶領域および後続のデータ操作/計算を節約する。3)データの組の増加のために、また、機能状態の数のために調整する。そして、4)堅固であること。例示の実施形態では、本発明は、クラスタ分析手法に基づく方法を提供する。
【0088】
第1ステップで、所与の時間間隔にわたる活動電位をすべて含むデータの組が、長さTの時間窓をシフトさせることにより、J個の短い時間区間に分割される。時間スケールTは様々な目的のために変えることができ、特定のTの値の選択は、データ解析における速度と信頼性の間の妥協である。各時間窓は、窓が不変の機能状態を包含すると仮定して「対象」または要素と呼ばれることになる。クラスタの数Kに関する仮説の正確な組を仮定して(例えば、目覚めている状態、睡眠状態および不確かな状態の3つの全体的な機能状態、K=3の場合)、J個の異なる対象がK個の機能状態と関係づけられなければならない。
【0089】
アルゴリズムは、K個のランダムクラスタから開始して、次に、各クラスタ内の変化が最小限である一方でクラスタ間の変化が最大となるようにクラスタに対象を割り当てるために、それらのクラスタ間で対象を移動させる。この機能を実現するために、対象間の相違の測定が得られる。これは多次元スペースの対象間のユークリッド距離を算定することにより求めることができる。対象jからクラスタkへの平均相違(すなわちjとkの間の距離)およびクラスタk内の平均相違が、図12に示される。このアルゴリズムは、正確な相違が測定されているという仮定の下で都合よく機能する。時系列対象については、最も簡単な場合では、多次元スペースの中でニューロンの燃焼速度を座標として使用することができる。認識などの細かい機能状態を分類するのに有効であり得る他の可能な手段は、相互相関の合計に基づく相違マトリクスを含む。
【0090】
この分類アルゴリズムは「管理なし」と呼ばれてよい。それは「優れた」相違測定の仮説に基づき、いかなる最適化も含まない。この手法は管理された訓練データの組にアップグレードすることができ、データの一部分に対して分類の正確な結果が先験的に知られていて、計算の速度および信頼性の改善にフィードバックの参照として使用され得る。しかし、脳の塑性が生じるかもしれないので、このアルゴリズムは調整の後でさえ障害を起こすかもしれない。したがって、突然の誤りの可能性はフィードバックによって修正され得る。
【0091】
解決するべき問題の1つに、脳の働きの非定常な性質がある。これは、一見したところ、あらゆる解析に対してかなりの障害であるように思われる。しかし、この問題の詳細な研究によって、すべての機能状態が一時的であって、基本的に異なった時間スケールを有することが示されている。例えば、目覚めていることは何時間も続き得る一方で、認識は数10ミリ秒と短いものであり得る。その上、機能状態は限定された数しか並立することができないと仮定することは可能である。これら2つの考察により、基本的に、起こり得るあらゆる機能状態を識別することができる新規の適応性アルゴリズムの構築が可能になる。
【0092】
1)時間窓Tの期間、2)分割される対象のクラスタの数K、3)相違測定、の3つの主要なパラメータが登場する。分類のプロセスは、比較的長いT、および小さいKで始めることができる。したがって、第1のプロセス(機能状態)は、長時間にわたって平均するために除去されることになる。さらに、パターンが少数のクラスタへ分離されているので、中位の時間スケールで他のものに対して強い影響を有する機能状態は、非常に粗い類別のために省略されることになる。次いで、クラスタ境界の第1次近似が求められ、それが最上位レベルの機能状態を確実に検出することができるとき、窓サイズTを縮小し、かつより精細な機能状態を含める(Kを増やす)ことにより、段階を下げることができる。さらに、上位レベルの機能状態の「中で」作業し、かつ適合しない対象をすべて除去することが可能である。アルゴリズムのそのような変更によって、スケーラビリティおよびあり得るすべての機能状態の探索方法が可能になる。プロセスがより深い機能状態の階層へ進むと、より複雑な計算が必要になることに注目されたい。しかし、アルゴリズムの主要部分は容易に並列化することができ、したがって、並列式コンピュータまたは他の既知のプロセッサによって効果的に実行することができる。
【0093】
本発明は、本明細書に説明された特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に説明されたものに加えて本発明の様々な変更形態が、上記説明および添付の図から当業者には明らかになるはずである。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内であるように意図されている。
【0094】
すべての値はある程度の近似であり、説明の目的のために与えられていることをさらに理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1A】電気化学的合成組み立て電池の概略図である。
【図1B】もたらされるポリピロールフィルムのるつぼ側を示す図である。
【図2A】15μmの正方形断面を有する、全長が20mmの導電性ポリマーマイクロワイヤの電子顕微鏡写真である。
【図2B】15μmの正方形断面を有する、全長が20mmの導電性ポリマーマイクロワイヤのクローズアップ像の電子顕微鏡写真である。
【図2C】15μm×2μmの断面を有する導電性ポリマーマイクロワイヤの電子顕微鏡写真である。
【図3】導電性ポリマーワイヤを通って流れる電流密度を電界の関数として電界の広範囲にわたって表すグラフである。
【図4A】ポリピロール用の電気化学酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルの縮小された状態を表す図である。
【図4B】ポリピロール用の電気化学酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルの酸化された状態を表す図である。
【図5】蛙の消化管および腸間膜の一部を示すin situ図である。
【図6】活動が監視されるべき神経線維に最も近い血管内のナノ電極の配置を示す図である。
【図7A】脳およびその関連の血管のプルキンエ細胞を示す図である。
【図7B】脳およびその関連の血管のプルキンエ細胞を示す図である。
【図8】ナノ電極から得られた信号の処理を示すブロック図である。
【図9A】本発明によって取り込まれて処理された休止状態のニューロンの膜電位を示す図である。
【図9B】本発明によって取り込まれて処理された活動状態のニューロンの膜電位を示す図である。
【図10A】本発明による例示のカテーテル挿入方法およびデバイスを示す図である。
【図10B】本発明による例示のカテーテルデバイスを示す図である。
【図10C】本発明による例示のカテーテルデバイスを示す図である。
【図11】クラスタkに対する対象jの相違およびクラスタk内の相違の平均を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
h 毛細血管
300 ナノワイヤ
310 増幅器
320 バンドパスフィルタ
330 アナログ−デジタル変換器
350 コンピュータ
600 カテーテル
610 ナノワイヤ電極
612 増幅器
615 シュミットトリガ
620 アナログ−デジタル変換器
630 マルチプレクサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国国立科学基金によって授与された国庫補助の助成金番号CTS−0227589の下になされた。この譲渡の条項に従って、米国政府は本発明に対して一定の権利を有し得るものとする。
【背景技術】
【0002】
近代社会における神経科学の役割を考えるとき、脳−マシンインターフェース(例えば人間の脳とコンピュータの間)の問題は、取り組むべき中心課題のうちの1つである。実際、容易に携帯されるように十分軽い新規の情報の分析および収納のシステムを設計し構築する能力は、過去数年で指数関数的に進歩した。最終的に、脳−マシンインターフェースが、恐らくそのようなシステムとの堅固で迅速な通信への大きな障害になるであろう。
【0003】
今日まで、脳−マシンインターフェースに向けた開発は、小型化またはコンピュータの能力拡張における進歩ほどすばらしいものではなかった。実際、大多数の最新デバイスの制約要因は、ヒューマンインターフェースに関するものである。例えば、ボタンは操作するのに十分大きくなければならず、ディスプレイは符号認識が可能であるほど大きくなくてはならない。明らかに、脳とそのようなデバイスのより直接的な関係を築くことが望ましく、恐らくますます重要になるであろう。
【0004】
従来の手段で、頭蓋の表面から脳活動を記録することができる。脳波記録法(EEG)の場合には、電極が頭蓋上に配置され、記録動作が脳の表面で起こる。電磁式脳造影法(MEG)の場合には、記録用プローブも表面に配置されるが、三角測量を通じて脳活動を3次元にマッピングすることができる。
【0005】
EEGおよびMEGなどの方法は、侵襲性が最小である一方、頭皮と頭蓋によってもたらされる電磁界のゆがみのために、分解能が不十分なことおよび信号ひずみに苦慮する。既知の技術でこれらの制限を克服するには、頭蓋を開き脳の主要部の中へ電極を挿入する、はるかにより侵襲性の選択が必要となる。同様に、パーキンソン病などの何人かの患者向けに治療上行われるように脳を刺激するために、頭蓋を開いて電極を挿入しなければならない。
【0006】
脳とマシンのより直接的な関係の必要性が、ますます重要になるにつれて、ナノテクノロジー(n−テクノロジー)の分野で変革が起こっている。ナノテクノロジーは、1マイクロメートル未満の特有の寸法を有する生産物を扱う。本発明者らは、脳−マシンのボトルネックがナノテクノロジーの応用を通じて最終的に解決されるであろうということを確信している。ナノスケール電子回路と結合されたナノスケールの電極プローブの利用が、この点に関して有望と思われる。
【0007】
今日まで、最も微細な電極はガラスから引き出されている。これらの微小電極は直径1ミクロン未満のチップを有し、導電性溶液で充填される。それらは、一般に、神経細胞および筋細胞からの細胞内記録に使用される。一度に1個のセルからしか動作が記録されないという制限がある。しかし、多重電極配列を使用して、100個を上回る個別のセルからの記録を得ることが可能であった。それにもかかわらず、これは電極が頭蓋の表面から脳へ下げられるので、侵襲性の処理である。
【0008】
脳内の多数の点を調べることに加えて、こうして捕えられた多数の信号を意味のあるやり方で処理し分析することも必要である。脳内の複数の位置からの信号を処理して表示する方法は、動物に対する多重電極の研究および人間の被験者に対するMEGの研究向けに開発されてきた。
【0009】
タップを付け、アドレス指定し、かつ脳活動を解析するための堅固で非侵襲性の方法が、将来の脳−マシン相互作用のために最適化され、例えば米国で公開された特許出願第2004/0133118号に開示されており、これを参照により本明細書に合体する。しかし、より優れた生物学的適合性および生分解を有し、したがってより優れた脳インターフェースを可能にするナノワイヤの用途に対する必要性が存在する。具体的には、血液と生体適合物質の間の接触が、凝固および補体系の急速な活性化をもたらす。一方トロンビンおよび他の活性化された凝固因子は、高い血流条件下で薄められ得て、ナノワイヤの挿入が血流を変えることができ、または血流の血小板の付着を助長することができる乱流をもたらす。多くのポリマーは生物学的適合であるが、すべてが分解できるとは限らない。分解または溶解は、ポリマーの形状、サイズまたは質量を変化させる。ポリマーが分解する最も一般的なモードが加水分解であるが、酸化および酵素で、細胞分解または微生物分解も起こり得る。ナノワイヤのより優れた生物学的適合性によって、血流の乱れをより少なくし、脳にタップを付け、アドレス指定し、かつ解析する能力が高まることになる。
【0010】
同様に、現在の金属電極は、容易に曲げられるか、またはわずかな力の印加で破損さえする。そのため、より優れた柔軟性および疲労に対する耐性を有し、血液内の微粒子による衝撃に耐える、より抵抗力のあるナノワイヤの必要性がある。
【0011】
マシンと相互作用する手段としての働きに加えて、脳−マシンインターフェースは、多くの神経学的症状および精神異常の診断および治療にも有効であり得る。
【0012】
その上、現在の金属電極は、ワイヤの軸芯に沿って長手方向にも横方向にも電気を通す。そのため、多くの神経学的症状および精神異常の治療および試験のために、充電位置によりよく導くように、長手方向にのみ電気を通すことができるナノワイヤの必要性がある。同様に、現在の電極は任意の軸に沿って選択的に偏向することができず、したがってそれらが導かれ得る先の特定性に制限がある。
【特許文献1】米国特許出願第2004/0133118号明細書
【特許文献2】米国特許第6249076号明細書
【特許文献3】米国特許第6157113号明細書
【特許文献4】米国特許第6084321号明細書
【非特許文献1】Wang、Pharm.Res.(2004)21、1362−1373
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ポリマーが絶縁物として働く能力は、それらが電気分野および電子分野で広範囲に使用されるための基本である。しかし、材料設計者は、ポリマーの製造上の融通性を金属の多くの電気的性質と組み合わせようと努めてきた。帯電防止材、低融点ヒータ、電磁放射遮蔽および電界グレーディングを必要とする用途などで、ポリマーの向上した導電性または比誘電率が保証された例がある。ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール他などいくつかの選ばれたポリマーは、ドーピングによって真性の電子導電性を示すように仕向けることができるが、これらのシステムは、多くの場合ひどく費用がかかり商品に仕上げるのが困難になる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、導電性ポリマーナノワイヤおよび安全で、堅固で、かつ侵襲性が最小の脳−マシンインターフェースにおけるそれらの使用に関する。本発明の第1の態様によれば、導電性ポリマーナノワイヤを備える、血管による脳−マシンインターフェースが開示される。
【0015】
神経系実質組織に豊富な血管床が広がるという事実によって、このスペースが脳−マシンインターフェース用に非常に魅力的な領域になる。脳質量へのガス交換および栄養素配送が、約10ミクロンの直径を有する25,000メートルにわたる毛細血管を介して脳内で行われる。心臓に向って移動すると、血管の直径は急激に増加し、最終の直径は20ミリメートルを上回る。
【0016】
本発明は、導電性の電極上に電気化学的堆積によって合成され得て導電性ポリマーのナノワイヤおよびマイクロワイヤを製造し得る導電性ポリマーを使用する。導電性ポリマーナノワイヤ技術は、ナノテクノロジーの電子記録活動と結合され、および/または脈管系を介して神経系、例えば脳または脊髄を刺激する。本発明によって、医学および特にインターベンショナル神経放射線学で広範に使用されているカテーテル技術により、血管床を介して脳に配送される絶縁された多数の導電性ポリマーナノプローブによって神経系がアドレス指定されることが可能になる。
【0017】
本発明によれば、記録装置の例示の実施形態は、脳の脈管系の特定の部分の中へ「花束」配置で広げられ得るようにカテーテル内の電子回路につながれた1組の導電性ポリマーナノワイヤ(n−ワイヤ)を備える。そのような配置は、極めて多数(例えば数百万)のプローブを支持することができる。各導電性ポリマーナノワイヤは、脳実質に侵入することなく単一ニューロンまたはニューロンの小さな群の電気的活動を記録するために使用される。そのような導電性ポリマー、導電性ポリマーナノワイヤの配列の利点は、その小さなサイズによって、血流、ガス交換または栄養素交換の妨げにならず、また脳活動を乱さないことである。
【0018】
本発明の技術は、脳の異常な働きの診断および治療にも適用可能である。そのような技術によって、脳活動の持続的な監視および機能的な結像ならびに直接的な調整が可能になる。例えば、本発明によって、刺激されるべき脳の領域へ導電性ポリマーナノワイヤまたは花束状ナノワイヤを導入し、ワイヤを選択的に偏向させて長手方向に導電性を生成することによりその領域へ電流を選択的に導くことによって、従来の脳深部電気刺激法の進歩した変形形態を実施することができる。
【0019】
本発明を用いて、血管内のニューロンの記録を増幅し、処理して、コンピュータのインターフェースまたは人工器官の制御用に使用することができる。コンピュータ機器の制御には、今日キーボードおよびマウスなどのデバイスの操作があるのと非常によく似て、ニューロンの活動がユーザ入力になる。脊髄またはそれ以外の傷によって神経供給から切り離された生来の手足の運動を制御するために、そのような入力信号も使用することができるであろう。したがって、「知的な」デバイスとの直接のインターフェースは、健康な個人の生活の質を大いに改善することができる一方で、身体障害者に影響を与えることもできて、日常の活動により十分に関与することができるようにする。
【0020】
侵襲性が最小で脳から記録を得ることは、神経病学および精神医学の有効な診断ツールであり得る。それは、磁気共鳴映像法(MRI)と結合すると、脳内深部の活動の場所を正確に突き止めることができて機能的な画像をもたらす。本発明による血管内の導電性ポリマーのナノ電極の装置は、現行の頭蓋を開く必要性なしで、局所的な深い脳刺激用にも使用することができる。血管内の導電性ポリマーのナノ電極を治療の刺激に使用することの利点の1つに、刺激する電極の位置を容易に調整できることがある。そのような調整は、今日使用されている埋め込みの刺激電極では困難である。
【0021】
本発明のナノテクノロジー/血管手法による脳−マシンインターフェースは、ナノメートル級の導電性ポリマー電極が十分に小さく、多数の電極でも、脳の完全性を侵さずにインターフェースを撤去することができるので回復可能であるという利点を有する。
【0022】
上記本発明の概要で論じられた本発明の他の目的、特徴および利点は、好ましい実施形態の単なる例示である以下の詳細な説明から、添付図面と一緒に考慮するとより明らかに理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、脳−マシンインターフェースで利用することができる導電性ポリマーナノワイヤを提供する。ナノワイヤの準備は、任意選択で、絶縁ポリマーで基体を被覆すること、基体または絶縁ポリマーで被覆された基体を従来手法によって金属バッキング層または導電バッキング層で被覆すること、モノマーまたはモノマーと活性体の混合物を使用して基体または金属被覆基体をポリマーで電気化学的に被覆すること、任意選択であらかじめ被覆された基体をドーピングエージェントでドープして導電性ポリマーナノワイヤを得ることを含んでよい。
【0024】
ほとんどの用途については、導電性ポリマーナノワイヤは、一般にナノワイヤの全長に沿って(チップ部分は含まずに)延びる絶縁層を伴って提供される。これは気相成長技術を使用して成され得る、絶縁体(例えばパリレン)で導電性ポリマーナノワイヤを被覆することによって達成することができる。一実施形態では、ピンホールがなく導電材料を十分に絶縁するほど十分に厚いパリレンの100nmの層が使用される。下にある導電性ポリマーをさらすために、レーザアブレーションを使用して、チップ部分からパリレン被覆を除去してよい。
【0025】
導電性ポリマーナノワイヤのチップが露出した状態で(すなわちあらゆる絶縁体が除去された状態で)、ナノワイヤのチップ領域のある特性を向上させるかまたは低減させるために、チップ領域をさらに処理してよい。例として、露出したチップ領域は、概算でナノワイヤの直径程度の全長を有してよい。したがって、ナノワイヤの直径が10μmであると、露出したチップ領域は1〜20μmの範囲の全長を有し得る。チップ領域の処理は、ナノワイヤのチップ領域の特性を制御するために選択的に行われてよい。例えば、チップ領域の導電率は、チップ領域にある材料を加えることにより向上または低下し得る。また、ある化学物質または材料に対するチップの親和力を向上または低下させるために、ある物質が加えられてよい。
【0026】
導電性ポリマーナノワイヤのチップ領域では、ナノワイヤを構成する材料の個々の素線は一般に「ほつれ」ていて、ロープを構成している個々のより線に似ている。この「ほつれ」は、チップ領域でナノワイヤの直径に影響を与えることがあるし、与えないこともある。いくつかの例ではナノワイヤの直径がほとんど増加しないことがあるが、一方他の例では、50%程度増加することがある。ナノワイヤの直径が増加すると、ナノワイヤは、例えば、ミクロトームブレードまたはレーザトリミングプロセスを使用して選択的に「削られ」または整えられてよい。
【0027】
ナノワイヤの終端の「ほつれ」は、ナノワイヤを構成する物質の露出表面領域を増加する働きをするポケットまたは開口を基本的に生成する。ナノワイヤのチップ領域のこの増加した表面積は、次いで、チップ領域で選択的に別の物質を加えるために電気化学的な浸漬または成長プロセスを受けてよい。実現されることが望まれる向上または機能に基づいて、特定の物質が加えられる。例えば、ナノワイヤのチップ領域の導電率向上が望まれるのであれば、チップ領域に白金が加えられる。チップに加えられる物質は、複数の異なったやり方で加えられてよい。例えば、そのようなプロセスは、電子線蒸着などの電着、無電解メッキまたは気相成長を含み得る。
【0028】
チップ領域に金属が加えられる場合、任意選択の後続の段階が金属を金属塩に変え得るはずである。これは、例えば電気化学的に金属を金属塩に変換することにより実現され得る。例えば、ナノワイヤ上に蒸着される銀などの金属の場合には、当技術で周知のように、電流を使用することによって、電気的に銀が塩化銀に変換され得る。
【0029】
絶縁外層を設けることの代替形態として、本発明で使用される導電性ポリマーナノワイヤは、長手方向にのみ導電性であるように製作され得て、ナノワイヤを構成するポリマー鎖の分子構造のためにそのような配向された導電性を示す。そのために、実際には半径方向に導電性がなく、長手方向の導電率が半径方向のものより10桁またはそれ以上の大きさである。そのようなポリマーナノワイヤの場合には、ワイヤの側方への導電性がないので個別の絶縁体層を設ける必要性がない。
【0030】
本発明とともに使用するための導電性ポリマーは、モノマーから合成されたポリマー、生体高分子、およびドープされた絶縁ポリマーを含むがこれには限定されない。導電性ポリマーワイヤを作製するために使用されるモノマーは、アニリン、ピロール、3−メチルピロール、アニシジンおよびトルエジエン(toluediene)などの窒素を含む芳香族化合物または複素環式化合物から成る群から選択される。好ましい導電性ポリマーは、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリエチレンジオキチオフェン(ポリEDOT)を含むが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、金属要素を含まないがその導電性が金属の働きを示すように導電性ポリマーを作製することができる。これらポリマーの導電性は、強いσ結合ならびに共有複合π結合による電子の非局在化の結果であると信じられている。ポリマー内部の電荷移送は、ポリマーの中軸に沿ったもの(鎖内伝達)ならびにチェーン間のもの(鎖間伝達)の両方で起こる。
【0031】
好ましい実施形態では、導電性ポリマーはn型にドープされるかまたはp型にドープされる。ポリアセチレンなど比較的絶縁性のポリマーにドーピング元素を加えることによって、高い真性導電率を得ることができる。使用されるドーパントのタイプおよびレベルを調整することによって、導電性ポリマーは、103から109S/mの範囲の導電性を有するように合成することができる。適当なドーピング元素は、Br2、Cl2、I2およびAsF5を含む。ポリマーにドーパントを加えるのに伴って、電荷的中性を維持するために電子またはホールを注入しなければならない。ポリマーが合成されている間に、または合成が完了した後に、ドーピングは、好ましくは化学的に、電気化学的に、あるいは光子吸収によって、実現されてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ドーピングレベルは、標準的な方法を用いて、化学的または電気化学的に切り換えることができる。ドーピングレベルを切り換えると、導電性ポリマーワイヤの導電性に劇的に影響を与えることができ、脳−マシンインターフェースの中へ組み込んだ後にポリマーワイヤ内の電荷に対する制御が向上する。好ましい実施形態では、ドーピングレベルは、電気信号によって半導体から導体(金属)まで連続的に切り換えることができる。そのプロセスは、以下に概略的に図示される。
【0033】
【化1】
【0034】
ドーピングレベルの切り換えに伴って、色および体積などの特性を調整することができる。例えば、ポリピロール(polypyrole)またはポリEDOTのドーピングレベルを切り換えることにより体積を変化させることができる。ポリマー合成がモノマーを使用するだけで行われるとき、ドーピングは任意選択で行われる。
【0035】
好ましい実施形態では、ドーピングは恒久的かまたは可逆的である。ドーピングが可逆的であると、電気化学的に制御可能な抵抗を有する導電性ポリマートランジスタを作製することができる。ポリピロール用の酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルが、図4に見られる。
【0036】
導電性ポリマーは、導電性電極上への電気化学的堆積によって合成することができる。電気化学的重合によって、電気回路を通して渡された電子の量によってポリマー成長を精密に制御することが可能になる。電極の動作端で起こる反応が以下に示されており、この例はポリピロールのものである。
【0037】
導電性ポリマーナノワイヤの製作の詳細は、例えば米国特許第6249076号、米国特許第6157113号および米国特許第6084321号に見出され得る。これらの内容を参照によって本明細書にまとめて合体する。
【0038】
合成時に対イオンが組み込まれ、ポリマー鎖の間に挿入される。重合は、酸化したモノマーのチェーン成長結合によってラジカルカチオンの形で起こると考えられる。一旦溶解限に到達すると、溶液から作用電極上に重合されたオリゴマーが沈殿する。図1Aおよび図1Bに電気化学的合成電池の概略図が見られる。導電性ポリマーのナノワイヤおよびマイクロワイヤは、電気化学的に成長したポリマーフィルムをスライスすることによって製造される。これらのワイヤの一例が、図2A、図2Bおよび図2Cに見られる。
【0039】
一実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、適切な寸法のポリマーファイバを導電性材料で被覆することによって作製される。好ましい実施形態では、導電性ポリマー材料で被覆されるポリマーファイバはエレクトロスピニングされたポリマーまたはカーボンナノチューブである。別の好ましい実施形態では、ファイバテンプレートは、長さが少なくとも約1mmで直径が約1μm未満である。
【0040】
エレクトロスピニングされたポリマーからポリマーファイバテンプレートを作製するとき、広範囲のポリマーを使用することができる。特定の実施形態では、エレクトロスピニングされたポリマーは、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリエチレンジオキチオフェン(ポリEDOT)または生体高分子(絹を含むがこれに限定されない)を含むがこれらに限定されない合成ポリマーである。絹で絶縁された導電性ポリマーワイヤは、標準的な技術を用いて、ファイバ上の化学重合により溶液中または蒸気中で作製することができる。絹は、強いにもかかわらず生物学的適合性のあるポリマーとしてのその特性のために特に好ましい基体である。
【0041】
カーボンナノチューブからポリマーファイバテンプレートを作製するとき、カーボンナノチューブは、スピニング法、リソグラフィパターニングまたは標準的な技術を用いて個々の大きな直径のナノチューブを使用することによって作製することができる。カーボンナノチューブは、強く高導電性のテンプレートをもたらすことにより、恒久的な用途向けに特に好まれる。好ましい実施形態では、カーボンナノチューブの導電性ポリマーワイヤは、ファイバ上に所望のポリマーを電着させて、次に絶縁被膜を施すことにより作製される。
【0042】
導電性ポリマーのマイクロワイヤまたはナノワイヤは、独立型導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製されてよい。そのようなフィルムを準備する複数のやり方およびそれらをスライスする複数のやり方がある。フィルムは、2つの電極の電池内での電着によって作製することができるポリピロールフィルムでよい。アノードとしてガラス質のカーボンが使用され、カソードとして銅が使用される。電池は、1%(体積)の蒸留水、0.05mol/Lのピロールおよび0.05mol/Lのテトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートを含む、−40℃に冷やされたプロピレンカーボネート溶液で充填される。電池によって電流が流されると、アノード上にポリピロールフィルムが形成する。結果として生じるフィルムは、一般に5μmと50μmの間の厚さを有し、個々の厚さは、アノードにおける電流密度および合計の堆積時間を変えることにより実現される。他のタイプの導電性ポリマーフィルムは、回転成形、落下成形、回転、無電解メッキまたは当技術において周知の他のプロセスによって準備されてよい。
【0043】
マイクロワイヤまたはナノワイヤはポリピロールフィルムから準備される。例示の一実施形態では、ポリピロールフィルムは、約2cm×2cmのピースに切断される。小さな長方形の容器が中ほどまで蒸留水で充填され、ポリピロールフィルムが水の表面上に浮かせられる。次いで、容器は、水が完全に凍結するまで冷凍装置に置かれる。ポリピロールフィルムおよび氷の上に蒸留水の層が加えられ、次に冷凍される。結果として生じる氷の塊は、次いでその容器から取り除かれ、埋め込む化合物とともにクライオ−ミクロトームステージに、ポリピロールフィルムがこのステージに対して垂直に配向されるように固定される。
【0044】
次いで、取り付けられたポリピロールフィルムは、クライオ−ミクロトーム(例えば、ミズーリ州セントルイスのVibratome社から入手可能なUltraPro 5000)上でスライスされる。例示の実施形態では、断面厚さは、正方形断面ワイヤを作製するようにフィルム厚さと等しく選択される。もちろん、任意の厚さおよび任意の断面形状も、特定の用途および作製する所望のマイクロワイヤまたはナノワイヤのタイプ次第で選択されてよいことを理解されたい。ワイヤは、スライドガラス上のミクロトームから収集され、室温に暖められて乾燥される。ポリ(エチレンオキシド)のジクロロメタン溶液の形で選択的に絶縁が適用されてよく、これは蒸発することが可能である。
【0045】
別の実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、従来のプラスチック処理技術を用いて作製される。具体的には、有機溶剤中に可溶で、溶解処理することができる多くの導電性ポリマーが本発明によって利用され得る。これらの処理可能な材料は、ポリアニリン、置換されたポリチオフェンおよび置換されたポリピロールを含むが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、処理可能な物質はそれほど導電性でなくてもよいが、その一方で脳インターフェース用途向けに十分な導電性をまだ維持している。他の好ましい実施形態では、処理可能な物質は、他の材料ほど処理に適さないかもしれないが、生物学的適合性のためのより高い可能性を維持する。一実施形態では、知的なナノ構造の足場は、合成中の、ポリアニリンのフィルム/ファイバの表面上およびポリマー構造体の中へのラミニンの粘着性ペプチド、YIGSRの共有結合によって作ることができる。
【0046】
一実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、光ファイバの製造に類似して、予備成形物から処理可能な材料を引き出すことにより作製される。予備成形物からナノワイヤを引き出すことが反復可能なフィーチャサイズをもたらす。ファイバ引出し技術を用いると、所望のサイズまで引き出され得る複数の導体および/またはシールドを有する複雑な導電性ポリマーワイヤ予備成形物を作製することができる。一実施形態では、ファイバ引出し技術によって作製されたナノワイヤは、カーボンブラック、グラファイト、金属粒子、炭素繊維、真性の導電性ポリマー、フラーレン、カーボンナノチューブおよびそれらの混合物を含むがこれらには限定されない除去可能な充填物質を含む。別の実施形態では、予備成形物から引き出されたナノワイヤは、引き出されたワイヤ中に複数のワイヤを備える。予備成形物から引き出されるナノワイヤは、任意選択で、処理可能な前駆物質を有する導電性ポリマーから与えることができる。例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)は、ポリ[p−キシレン−アルファ−ジメチルダルフォニウム(dimethyldulfonium)クロライド]、PXDMCの熱変換中に準備することができる。これらの処理可能な前駆物質は、標準的な方法を用いて、絶縁性前駆物質から導電性ポリマーに変換することができる。例えば、115℃より高温でPXDMCを加熱する際、脱離反応が起きて前駆物質を導電性ポリマーに変換する。好ましい実施形態では、導電性ポリマーナノワイヤは、ファイバ引出し技術によってワイヤが様々な直径を有するように作製される。
【0047】
導電性ポリマーの溶解性のために、導電性ポリマーナノワイヤはコアシェルエレクトロスピニング法によって製作することができる。コアシェルエレクトロスピニング法では、導電性ポリマーが、絶縁性のエレクトロスピニング可能な流体のジェットのコアとして使用され、結果として生じるナノワイヤが絶縁被膜を有する導電性ポリマーコアを有する。エレクトロスピニングされたファイバは、回転するドラム電極に向けることができ、連続的な長いナノワイヤを作製する。絶縁物質は、適切な溶剤に溶かすことができ、外部接続およびチップの変更が可能になる。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明のナノワイヤは、脳−マシンプローブで使用するために100nmから1mmの範囲の様々な直径を有する。本発明のナノワイヤは、様々な電圧で使用することができる。ナノワイヤは160Vを超える電圧に耐えることができ、好ましくは、生体用途向けには0〜100Vで劣化しないことである。図3を参照すると、導電性ポリマーワイヤを通って流れる電流密度を電界の関数として大きな電界範囲にわたって表すグラフが示されている。
【0049】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、向上した柔軟性、生物学的適合性および操縦性を示す。生物学的適合性は、固体/液体の境界面での自由エネルギー、表面の疎水性/親水性の特性および表面の化学的性質/電荷密度を含むいくつかの要因によって影響を受ける。中立のポリマーおよびポリアニオンは、ポリカチオンほど細胞障害性でないように見える。ポリマーの柔軟性、表面の粗さおよび分子量も、生物学的適合性に影響を及ぼすことが証明されている。低分子量ポリマーは、タンパク質吸収がより低く、より低い血小板粘着を示す(例えばWang、Pharm.Res.(2004)21、1362−1373を参照されたい)。
【0050】
より詳細には、導電性ポリマーナノワイヤは、本明細書に説明されたいくつかの態様を伴う神経脈管のインターフェース方法およびシステムに利用することができる。これらの態様は、(a)最適の、血管を貫く記録条件の割り出しと、(b)血管内に導電性ポリマーナノワイヤを導入して導くための技術と、(c)血管内の所定の位置にナノワイヤを固定するための技術と、(d)ナノワイヤの設計を援助するためのデータ収集と、(e)記録するナノワイヤ、前置増幅器および増幅器、信号処理、ならびに信号の収集および記録を最適化する他のやり方のための最適特性の割り出しとを含む。本発明の導電性ポリマーナノワイヤによって、電気的刺激と細胞の増殖および調整の結合が可能になる。
【0051】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、脳ナノワイヤ用途で破壊する優れた抵抗を有する。金または白金など展性のある材料は、最小限の力で変形することになる。導電性ポリマーは展性がなく、したがって、血液微粒子の衝撃による変形に対してより抵抗性がある。
【0052】
第1の例示の実施形態によれば、腸の神経系(ENS)からの血管を貫く電気的な活動が記録される。機能的には、ENSは、律動的活動ばかりでなく固有の反射応答ができるという点で簡単な脳に似ている。したがって、ENS内に様々な活動を記録することができる。
【0053】
解剖学的に、ENSおよびその血液供給は容易に接触可能である。具体的には、小腸の神経分布は特に好ましい。哺乳動物では、上腸間膜動脈は腎臓のレベルで下行大動脈の中線から出現する。動脈が下るとともに、それは吻合ループの格子を形成する多数の腸間膜の枝路へ分岐する。まっすぐな動脈(直細動脈)は、ループから離れて進み、小腸に入る。図5を参照すると、蛙の消化管および腸間膜の一部を示すin situ図が示されている。
【0054】
各電極配列は、極めて多数の様々な全長の絶縁された導電性ポリマーナノワイヤを備える。各電極の直径は、0.1〜10μmであり得る。例示の実施形態では、1ミリメートルの直径を有するカテーテルによって配置され得る0.5μmの直径を有する導電性ポリマーナノワイヤの数は、約300万である。
【0055】
配列内の各導電性ポリマーナノワイヤは、選択的に、小さな拡張、むき出しの拡張、カップ状の拡張で終わり、これが周囲の流体に対して電気接点を与え、体内の例えば血管網内で電極の移動を支援するための「帆」として働く。電極ヘッドの最適の寸法および設計形状は、様々な直径の血管内で電極に作用する力次第である。電極が一旦血管中にあると、血液の流れによって全長に延びるまで運ばれる。図6を参照すると、活動が監視されるべき神経線維に最も近い血管内の、ナノ電極の配置が示されている。
【0056】
最も小さな血管要素である毛細血管は、導電性ポリマーナノワイヤ(直径0.1〜10μm)よりかなり大きい(直径15〜25μm)。そのため、小動脈および細動脈内の運動に対する耐性は最小限である。血圧は心臓からの距離とともに低下するが、ナノワイヤを適所へ移動させる十分な圧力を与えるはずである。心臓に、より接近している大きな血管では、血圧は各心拍で強力に鼓動し、血流速度は最大である。心臓からの距離の増加とともに血管径が縮小するのに伴って、血管の合計面積は急激に増加する。流れは層流になり、遅くなる。そのため、独立した血管枝路を通る血流は比較的一定であるものと見ることができる。
【0057】
本発明のインターフェースに含まれる電極のサイズの認識を与えるために、図7Aおよび図7Bに、比較する目的で、例示の脳内のニューロ−血管構造およびその中のナノワイヤ電極を示す。図7Aは、複数の毛細血管(h)(この場合は少なくとも20本)によって貫通されるニューロンの特有の樹枝状ツリーを有する個々のプルキンエ細胞を示す。図7Bは、図7Aの一部を拡大した詳細を示し、プルキンエ細胞の毛細血管内の直径が0.9μmであるナノワイヤ300を示す。
【0058】
神経分布に最も近い血管内の流体は、非常に小さな血管の壁が比較的大きな開口(すなわち血管の断面積の約5%)を有し、イオンによって浸透され得るので、電気的に充電される傾向がある。水およびイオンが毛細血管の細孔を通ってこれらの2つの区画間を自由に移動するので、血漿および細胞外液はイオン的にも浸透的にも平衡である。そのため、血管内の電位は、血管外部の電位に類似するかまたはその電位を反映する。これよって、近くの血管に組み込まれた導電性ポリマーナノワイヤを使用して神経線維またはニューロンの電気的活動を記録することが可能になる。好ましい実施形態では、より高い精度のために、導電性ポリマーナノワイヤを複数の近傍の血管へ向けることができる。
【0059】
大きな血管は、血管壁を通るイオンの流れを妨げる筋肉および線維組織の両方を含む(大動脈の平滑筋も、低振幅の電気信号を発生し得る)。したがって、電極が動脈から小動脈を経て毛細血管へと移動するのにつれて、神経の電気信号の振幅は増加するはずである。血管内に様々な全長のいくつかの導電性ポリマーナノワイヤを放流することによって、いくつかのポイントから記録を得ることができる。次いで、ナノワイヤからの信号は、増幅および処理されて、記録および解析することができる。これらの信号は、ナノワイヤの近くに配置された従来の細胞外のワイヤボール電極を使用して作製されたものと比較することもできる。これは、血管内で信号を頑健に記録することができる、神経からの最大距離を求めるのに役立つ。
【0060】
導かれた電気信号は、アナログ形式であり、さらなる処理のためにデジタル形式に変換しなければならない。次に図8を参照すると、これはアナログ−デジタル変換器(ADC)330を使用して達成される。受け取られた信号は、アナログデジタル変換に先立って、増幅器310によってまず増幅され、バンドパスフィルタ320によってフィルタリングされてよい。単一のADCが、いくつかの電極に向けて多重化されてよい。次いで、本明細書に説明されるように、ADC 330のデジタル出力は、さらなる処理のためにコンピュータ350に与えられてよい。同時サンプリングのために、各チャネルは独自の増幅器を有し、ADCへサンプルアンドホールドして多重化する。高速化のために、共通クロックおよび多チャネルメモリを使用して、各チャネルを独立させてよい。単一チャネルでは都合よく動作するかもしれないが、多くのチャネルが高周波数の信号で同時に動作している間、そのような装置の性能はチャネルクロストークのためにひどく悪化することがある。これは、特に電極数の増加および電極サイズの縮小に対する複数の導電性ポリマーナノワイヤ信号経路の間の懸念である。市販で多チャネルのアナログ入力モジュールがある。多くのチャネルが同時に動作する可能性が比較的低いので、そのような装置は、ほとんどの状況に対して適当である。さらに性能を向上させるために、各個別チャネルのアナログ回路をデジタル回路から絶縁するべきである。
【0061】
本発明で予期され得るものなど、ノイズの多い環境でゆっくり動く信号のためには、積分型ADCが最適であろう。積分型ADCは、50/60Hzのノイズを低減するのに効果的であるが、変換速度が低い。100MHzまで使用可能な、12ビットの分解能を有する最も普及しているコンバータは、逐次比較型である。高速のプログラマブルロジックデバイスは、モジュールを同期してアドレス指定する能力をもたらすことのほかに、あらゆるパイプライン遅れを説明することができる。
【0062】
別の普及型のコンバータはシグマ/デルタ型であり、1ビットのADCおよびパイプラインで送られる非常に高いクロック速度を使用する。シグマ/デルタ型ADCは、24ビットを超えた分解能を有することができ、ノイズに対して非常に強い。
【0063】
増幅器の信号入力は、シングルエンドでも差動でもよい。その選択は、概してシステムが動作するノイズ環境のタイプ次第である。好ましい実施形態では、優れた同相ノイズ除去をもたらすので差動入力が使用されるが、一般に複雑で大規模な回路が必要になる。ナノワイヤは直径が小さいので、その抵抗はかなりなものである(例えば100オームから10メガオーム)。そのため、電極と増幅器の信号入力の間のインピーダンスを整合させるときは、特別な注意を払うべきである。
【0064】
本発明で使用される増幅器は、監視されるべき信号を追跡することができることを保証するために十分に広い帯域幅を有するべきである。好ましい実施形態では、帯域幅は0Hzから100kHzの範囲である。ADC用のサンプリングクロック周波数は、増幅器の帯域幅の少なくとも2倍であるべきである。
【0065】
一般に、本発明のシステムが動作する環境はノイズがあるので、総合性能を改善するために入力フィルタが使用される。ハードウェアフィルタおよび/またはソフトウェアフィルタが使用されてよい。最適のフィルタリングは、ノイズの性質およびその特性次第である。ニューロン活動の信号の一般的な周波数を考慮して、100kHzより上の周波数を有する現象は一般にノイズと考えられ、フィルタリングされることになっている。
【0066】
ノイズは、局所的電場の電位のランダム変動として現われ、最終的に、電極によって測定された信号に何らかの望ましくない影響をもたらす。その上、任意のやり方で信号が処理されるかまたは伝達されるあらゆる機会にノイズが生じる。一般に、電極を取り囲む環境の不均一な性質に固有のノイズは、除去するのが最も困難である。
【0067】
システムにおけるノイズは、信号に固有のノイズと外部環境によってもたらされたノイズの2種類に細分することができる。固有のノイズ応答信号は、不均一で変化する環境(例えば血液の流れ)、ノイズのある刺激信号、またはテストおよび測定の装置自体の内部の他の何らかのノイズ源によって通常もたらされる。別の固有ノイズ源は、金属電極が電解質を介して試験片と接続する場合には常に存在する電極の接触電位によるものであり、これは本発明の環境の場合である。この電位の不規則変動はノイズ源である。適切な補償手段を求めるために、このノイズの統計解析を利用することができる。外部ノイズは、漂遊電界または漂遊磁界、不十分なシールドまたは不十分な接地、不十分な回路設計、ノイズのある電源、および過大な増幅などの原因によってテストおよび測定の装置の外部で発生する。
【0068】
固有ノイズを除去しないと、信号とともに増幅されることになる。したがって、信号処理の初期段階でノイズを除去することが望ましい。この目的のために選択的フィルタリングを用いることができる。例えば、高周波ノイズを除去するために、適切な遮断周波数およびロールオフを有するバンドパスフィルタリングを用いることにより周波数窓が生成され得て、基本的にロウパスフィルタをもたらす。
【0069】
いわゆる同相ノイズ(例えば周波数が50Hzまたは60Hzの電磁波を発生する電源によるノイズ)を除去するために、2つの電極を使用して差動信号を測定してよい。次いで、差動信号は差動増幅器へ入力され得る。同相ノイズは被測定信号よりはるかに強くなり得る。2つの入力が使用されると、差動増幅器は、どちらの入力にも存在する同相ノイズを基本的に引き去り、こうして真の信号だけを増幅することになる。
【0070】
システムのノイズに対する許容範囲を求める重要な要因は、被測定信号中のノイズの量(すなわち信号対雑音比)(SNR)である。SNRはバックグラウンドノイズに対する信号強度の指標である。入力信号の強度がVS(通常ミリボルト台)で、ノイズレベルがVNであると、信号対雑音比(デシベル)は次式となる。
SNR=20log10(VS/VN)
【0071】
VS=VNであると、SNR=0となる。この状況では、ノイズレベルが信号と厳しく競合するので、信号は不鮮明ともいえる。これは、データに強い不規則性をもたらし、その結果すべての信号処理操作に問題を引き起こすであろう。理想的には、SNRが大きな正の数となるように、VSはVNよりはるかに大きな値をとるべきである。例として、VS=10.0ミリボルトでVN=1.0ミリボルトの場合、SNR=20dBとなり、ほとんどの用途に対してかなり明確に認識可能な信号をもたらす。例えば信号が2.0ミリボルトとはるかに弱いが、まだノイズを上回る場合、SNR=6dBとなり、ほとんど余裕のない状況である。信号対雑音比が低いほど、信号を回復するために大きな計算上の労力が必要とされる(ある程度の誤差を伴う)。
【0072】
SNRの測定にはいくつかの方法がある。10MHzの帯域幅を有するオシロスコープを使用する例示の方法では、調査するべき電極(増幅の後)からの出力を接続し、信号の「黒レベル」を観察する。黒レベルは、いかなる外部刺激の印加もなしで測定されるべきである。これがVN、すなわちノイズ信号を表す。
【0073】
ナノワイヤによって記録された信号は、対応する神経のダイナミクスに対して調子が合って変化する物理的変数(電流または電圧)を表す。そのため、本発明の性能を最適化するために、以下の要因を考慮に入れるべきである。第1に、すべての電極が「正確な」位置に位置決めされるとは限らないであろう。すなわち、いくつかの電極は、あらゆるニューロンからあまりにも遠くて信頼できるデータをもたらすことができないかもしれず、一方、他のものは損傷を受けているかもしれない。第2に、2つの電極が、単一ニューロンの近傍ではあるがニューロンから異なった距離で配置されると、同じニューロンの挙動を表すのに振幅の異なる別の出力電圧パターンを生じることになる。第3に、電極が複数のニューロンの活動を同時に記録するとき、信号対雑音比が最適ではないかもしれない。
【0074】
本発明は、極めて多数の信号を扱う負荷にも取り組む一方で優れたノイズ性能をもたらす、ナノワイヤによって捕えられた信号を処理する方法を提供する。この目的のために、本発明の例示の実施形態では、ナノワイヤのアナログ出力信号は、以下のようにバイナリ形式に変換される。
xn(t)>xthrr‖t−tj−1<τであるとき、1
そうでなければ、xbinnbin(j)=0
上式で、tjはパルスの開始時間、xn(t)は電極nの時間信号、τは出力パルス(すなわちデジタル化された信号)の持続時間である。xthrは閾値であって、もし入力信号xn(t)がこれを超過すると、出力パルスが発生することになる。閾値xthrを適切に選択することによって、ノイズの影響はかなり低減される。その上、広範囲に変化する信号振幅を扱う問題が解消される。デジタル化されたパルスの持続時間τは固定されてよい(例えば5ms)。上式によって表された処理が、図9Aおよび図9Bに示されている。バイナリ変換方式のハードウェアの実現は、図10Bおよび図10Cに関して以下でより十分に説明される。
【0075】
所定の期間(例えば10秒)を超えて活動状態を示さない電極は無視することができる。さらに、バイナリデータの解析は、アナログデータとは対照的に、処理および保存の利点をもたらす。例えば、メモリ使用量がかなり低減され、計算の複雑さおよび計算時間も同様である。これは、処理するべき信号数が多い点を考慮すれば、特に重要なことである。その上、活動電位ダイナミクスを研究する目的にとって、ニューロン活動のそのようなバイナリ表現は十分に正確なはずである。様々な行動のニューロン状態は様々な燃焼速度を生ずる。ニューロンが主に活動電位によって互いと通信するように見えるので、上記の単純化は、有効な信号の内容を過度に廃棄することなく合理的である。
【0076】
図10Aは、本発明によってインターフェース装置を配置するために使用することができる従来のカテーテル挿入方法を示す。図10Aに示されるように、カテーテルは大腿動脈へ導入され、アドレス指定される血管領域まで押される。カテーテルも頚動脈または鎖骨下動脈へ差し込まれてよい。そのような方法は、カテーテルが中枢神経系のあらゆる部分に導かれるインターベンショナル神経放射線学技術に似ている。
【0077】
一旦、監視または刺激されるべき領域に達すると、カテーテルヘッドの内部に保持された1組のリードが延びて脳の循環系へ任意に分配され得るようになる。あらゆる主要な脳血管にカテーテルを配置することができるので、いかなる毛細血管床にも到着するのに必要なナノワイヤ電極の最大長さは、約2cmから3cmである。したがって、中枢神経系のあらゆる領域を、ステムカテーテルを収容する親血管から多数の電極で有効範囲に含むことができる。
【0078】
本発明は、移植蝸牛刺激装置に関連して使用されてもよい。病的な状態で、有毛細胞が損傷されて脳に送られるべき電気的パルスを発生しないとき、音は知覚されない。この条件下では、内耳にいくらかの残余の神経線維が常に存在し、局所的な電気的刺激でアドレス指定することができる。移植蝸牛刺激装置は、有毛細胞の機能を直接の電気的刺激で置換することにより、これら残余の線維を利用することを試みる。移植システムは、外部の音声プロセッサおよびヘッドセット、ならびに手術で移植された内部の電極配列を含む。これらの要素は、通常シリコンゴムで絶縁された白金イリジウム合金であって蝸牛に移植することができる1組の金属電極に結合される。
【0079】
本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、現在利用されている大きな金属配線を置換して、電気的信号システムとして使用されてよい。本発明による導電性ポリマーナノワイヤを使用することによってもたらされる利点は、蝸牛内の電気的な流れを、有毛細胞による電流の生理的な分布に似ているものに設計できることである。移植することができるポリマー電極の数が、所与の小さな直径では、現在使用されている金属電極の数の100倍から1000倍であり得るので、これを行うことができる。したがって、さらに多くの電極が使用され得て、より優れた有効範囲および信号分布を与えるために様々な位置に位置決めされてよい。電極数が増加することの利点は、電流の流れのためのポイント電源ではなく、充電がスペースで調整され得て、単一のケーブルシステムによって生成された単純な電気双極子以外の形状を有するという事実である。電極は、高周波音から低周波音を分離するために、蝸牛によって使用される位置コーディングに従って蝸牛内に分配される。電極は、音楽の微妙な持ち味の鑑賞を含む精巧な音声知覚に役立つ複雑な電流の流れの幾何形状を形成するように配置され得る。さらに、移植されたワイヤのチップ位置の非常に選別されたずれが、聴神経刺激および音声知覚の特定性に必要なエネルギーを最小化して、最適の導体選定に役立ち得る。他の用途に関連して利用される、血管を通る手法または血管内の手法とは対照的に、移植蝸牛刺激装置の場合には、ナノワイヤは血管外の位置に効果的に位置決めされる。
【0080】
本発明は、生来の手足の制御または人工四肢/義肢に関連して使用されてもよい。生来の手足の制御の場合には、特に生来の手足と脳の間の神経経路が切断されたか、もはや機能しない場合、本発明の導電性ポリマーナノワイヤが適切な制御/インターフェース電子回路とともに、脳と生来の手足、例えば生来の手足に関連した筋肉の間で信号を伝達するために一種の代替の電気的経路として使用され得る。
【0081】
人工四肢/義肢の場合には、本発明の導電性ポリマーナノワイヤは、人工四肢/義肢を適切に操作し制御するために脳と人工四肢/義肢の間で信号を伝達するために、脳と義肢の制御/インターフェースの間の電気的経路として使用され得る。
【0082】
図10Bは、本発明による脳−マシンインターフェースデバイスのカテーテル600の例示の実施形態の概略図である。複数の単一のナノワイヤ電極610が増幅器/バイナリ変換器すなわちアナログ−デジタル変換器(ADC)620に結合され、次にこの変換器がマルチプレクサ(M)630に結合される。図11Cに、より詳細に示されるように、ADC 620は、N個のナノワイヤ電極610.1〜610.Nの各々用の増幅器612.1〜612.Nおよびシュミットトリガ615.1〜615.Nで構築することができる。各シュミットトリガは、それぞれの増幅器からの活動電位を、バイナリ値(HIGH/LOWまたは1/0)を有するパルス列に変換する。そのため、あらゆる所与の瞬間では、各ナノワイヤ電極上で活動電位を表すために必要とされるのは、わずか1ビットである。
【0083】
例示の実施形態では、各電極は、直径が約0.1μmで全長が30mm以下であり、マイクロワイヤの長さは約1メートルである。単一のカテーテルが1つまたは複数の配列を伝え得る。このようにして、少数の廉価で堅固なマイクロワイヤがカテーテルの全長に沿って使用され得て、非常に多くのナノワイヤ電極からのデータを伝達する。
【0084】
ナノワイヤは、それらが配置される血管に沿った様々なポイントに電極を位置決めするように、好ましくは全長が様々である。好ましくは、ナノワイヤはアクチュエータとして使用され、配置されたポイントの近くで様々なポイント間で操縦され得る。ナノワイヤの全長を最小化し、したがってノイズ性能を最適化するように、回路は、好ましくはカテーテルのチップ内または最も近くに配置される。回路は、また、カテーテルのチップ内または最も近くの利用可能な限定されたスペースに組み込むために、好ましくは集積回路技術を用いて実現される。配備に先立って、ナノワイヤはカテーテルのチップの個所で区画内に巻かれる。区画が開いている(例えば機械的にはね上げ戸のように)ので、電極は血管に沿って配置されて延び、血流によって運ばれ、分岐する血管に沿って枝分かれする。
【0085】
上で説明された、ハードウェアに関連した態様に加えて、本発明は、前述の血管装置によってもたらされる莫大な量のニューロンの情報を読み取り、格納し、状況に当てはめるソフトウェアの方法も提供する。そのような処理は、ニューロンの活動についての理解を提供するのを支援し、それによって脳の働き、さらに脳の電気生理現象と認識/運動特性の間の関係の定義への重要な窓口を与える。本発明の方法は、ニューロンの単位活動および場の電位の解析に基づいて脳の状態を分類することができる信号処理を含む。本発明は、アルゴリズムのパッケージならびにデータ解析および意志決定向けに適切かつ効果的な計算用ツールキットも提供する。
【0086】
本発明は、ニューロンの単位活動および場の電位の解析に基づいて脳の状態を分類することができるソフトウェアの方法を提供する。そのような方法の目標は、ニューロンの瞬間−瞬間の電気的活動を、大きくて機能的な脳の状態と、実時間で関連づけることである。ニューロンの電気的性質が、脳に起こり得るすべての状態を定義し、そのような状態が全体的な状態ダイナミクスで系統的に協調変化すると仮定されている。しかし、これは、脳活動の純粋に局所的なパターンと機能状態の特定の組の間に一対一の対応が存在することを示唆するものではない。物理的に、脳内の新規の機能状態の発生、例えば「睡眠−目覚めている状態」の移行は、ニューロンの多くの組における活動再編成に相当する。実際に、各々が他方とわずかに異なる、あり得る無限の数のパターンが存在する。この手法は、差異の小さいパターンを、機能状態の異なる比較的小さな組へ対応づけるものである。例えば、最も簡単な場合では、1)睡眠、2)目覚めている状態、3)「上記のどちらでもない」かまたは不確かな状態、例えば眠い状態の3つの全体的な機能状態だけが考慮され得る。最後の状態は、数学的なアルゴリズムの出力定義域を閉じるために必要である。というのは、そうでなければ、避けられないノイズの影響を含む、あり得るすべての入力パターンを正確に解明することは不可能なはずだからである。さらに、第3の状態は概念的な見解から重要である。例えば、目覚めている状態でのみ、光を見ることも見ないことも可能であり、したがって、睡眠中には、この状態は不確かになり得るからである。
【0087】
前述のように、本発明による計算アルゴリズムの例示の実施形態は、全体的な状態の変化に関係する脳活動の変化を検出する。この活動は、多くのニューロンから得られたバイナリ時系列の組によって、すなわち空間の一時的なパターンによって表される。以下に論じられるように、この問題は、次いでパターン識別のうちの1つとなる。アルゴリズムが有効であるためには、以下の項目に対して最適化しなければならない。1)データの組に関して仮説(あり得る機能上の状態)の最小限の数を求める。2)データ記憶領域および後続のデータ操作/計算を節約する。3)データの組の増加のために、また、機能状態の数のために調整する。そして、4)堅固であること。例示の実施形態では、本発明は、クラスタ分析手法に基づく方法を提供する。
【0088】
第1ステップで、所与の時間間隔にわたる活動電位をすべて含むデータの組が、長さTの時間窓をシフトさせることにより、J個の短い時間区間に分割される。時間スケールTは様々な目的のために変えることができ、特定のTの値の選択は、データ解析における速度と信頼性の間の妥協である。各時間窓は、窓が不変の機能状態を包含すると仮定して「対象」または要素と呼ばれることになる。クラスタの数Kに関する仮説の正確な組を仮定して(例えば、目覚めている状態、睡眠状態および不確かな状態の3つの全体的な機能状態、K=3の場合)、J個の異なる対象がK個の機能状態と関係づけられなければならない。
【0089】
アルゴリズムは、K個のランダムクラスタから開始して、次に、各クラスタ内の変化が最小限である一方でクラスタ間の変化が最大となるようにクラスタに対象を割り当てるために、それらのクラスタ間で対象を移動させる。この機能を実現するために、対象間の相違の測定が得られる。これは多次元スペースの対象間のユークリッド距離を算定することにより求めることができる。対象jからクラスタkへの平均相違(すなわちjとkの間の距離)およびクラスタk内の平均相違が、図12に示される。このアルゴリズムは、正確な相違が測定されているという仮定の下で都合よく機能する。時系列対象については、最も簡単な場合では、多次元スペースの中でニューロンの燃焼速度を座標として使用することができる。認識などの細かい機能状態を分類するのに有効であり得る他の可能な手段は、相互相関の合計に基づく相違マトリクスを含む。
【0090】
この分類アルゴリズムは「管理なし」と呼ばれてよい。それは「優れた」相違測定の仮説に基づき、いかなる最適化も含まない。この手法は管理された訓練データの組にアップグレードすることができ、データの一部分に対して分類の正確な結果が先験的に知られていて、計算の速度および信頼性の改善にフィードバックの参照として使用され得る。しかし、脳の塑性が生じるかもしれないので、このアルゴリズムは調整の後でさえ障害を起こすかもしれない。したがって、突然の誤りの可能性はフィードバックによって修正され得る。
【0091】
解決するべき問題の1つに、脳の働きの非定常な性質がある。これは、一見したところ、あらゆる解析に対してかなりの障害であるように思われる。しかし、この問題の詳細な研究によって、すべての機能状態が一時的であって、基本的に異なった時間スケールを有することが示されている。例えば、目覚めていることは何時間も続き得る一方で、認識は数10ミリ秒と短いものであり得る。その上、機能状態は限定された数しか並立することができないと仮定することは可能である。これら2つの考察により、基本的に、起こり得るあらゆる機能状態を識別することができる新規の適応性アルゴリズムの構築が可能になる。
【0092】
1)時間窓Tの期間、2)分割される対象のクラスタの数K、3)相違測定、の3つの主要なパラメータが登場する。分類のプロセスは、比較的長いT、および小さいKで始めることができる。したがって、第1のプロセス(機能状態)は、長時間にわたって平均するために除去されることになる。さらに、パターンが少数のクラスタへ分離されているので、中位の時間スケールで他のものに対して強い影響を有する機能状態は、非常に粗い類別のために省略されることになる。次いで、クラスタ境界の第1次近似が求められ、それが最上位レベルの機能状態を確実に検出することができるとき、窓サイズTを縮小し、かつより精細な機能状態を含める(Kを増やす)ことにより、段階を下げることができる。さらに、上位レベルの機能状態の「中で」作業し、かつ適合しない対象をすべて除去することが可能である。アルゴリズムのそのような変更によって、スケーラビリティおよびあり得るすべての機能状態の探索方法が可能になる。プロセスがより深い機能状態の階層へ進むと、より複雑な計算が必要になることに注目されたい。しかし、アルゴリズムの主要部分は容易に並列化することができ、したがって、並列式コンピュータまたは他の既知のプロセッサによって効果的に実行することができる。
【0093】
本発明は、本明細書に説明された特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に説明されたものに加えて本発明の様々な変更形態が、上記説明および添付の図から当業者には明らかになるはずである。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内であるように意図されている。
【0094】
すべての値はある程度の近似であり、説明の目的のために与えられていることをさらに理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1A】電気化学的合成組み立て電池の概略図である。
【図1B】もたらされるポリピロールフィルムのるつぼ側を示す図である。
【図2A】15μmの正方形断面を有する、全長が20mmの導電性ポリマーマイクロワイヤの電子顕微鏡写真である。
【図2B】15μmの正方形断面を有する、全長が20mmの導電性ポリマーマイクロワイヤのクローズアップ像の電子顕微鏡写真である。
【図2C】15μm×2μmの断面を有する導電性ポリマーマイクロワイヤの電子顕微鏡写真である。
【図3】導電性ポリマーワイヤを通って流れる電流密度を電界の関数として電界の広範囲にわたって表すグラフである。
【図4A】ポリピロール用の電気化学酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルの縮小された状態を表す図である。
【図4B】ポリピロール用の電気化学酸化還元サイクルの分子のスペース充填モデルの酸化された状態を表す図である。
【図5】蛙の消化管および腸間膜の一部を示すin situ図である。
【図6】活動が監視されるべき神経線維に最も近い血管内のナノ電極の配置を示す図である。
【図7A】脳およびその関連の血管のプルキンエ細胞を示す図である。
【図7B】脳およびその関連の血管のプルキンエ細胞を示す図である。
【図8】ナノ電極から得られた信号の処理を示すブロック図である。
【図9A】本発明によって取り込まれて処理された休止状態のニューロンの膜電位を示す図である。
【図9B】本発明によって取り込まれて処理された活動状態のニューロンの膜電位を示す図である。
【図10A】本発明による例示のカテーテル挿入方法およびデバイスを示す図である。
【図10B】本発明による例示のカテーテルデバイスを示す図である。
【図10C】本発明による例示のカテーテルデバイスを示す図である。
【図11】クラスタkに対する対象jの相違およびクラスタk内の相違の平均を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
h 毛細血管
300 ナノワイヤ
310 増幅器
320 バンドパスフィルタ
330 アナログ−デジタル変換器
350 コンピュータ
600 カテーテル
610 ナノワイヤ電極
612 増幅器
615 シュミットトリガ
620 アナログ−デジタル変換器
630 マルチプレクサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性ポリマーナノワイヤであって、各ナノワイヤが遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有し、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤが監視されるべき血管領域へ配送される、複数の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路とを備える、血管によるプローブを使用して生体対象から電気信号を受け取るためのシステム。
【請求項2】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記信号プロセッサが、
各々が前記複数のナノワイヤのうちの1つに結合されている複数の増幅器と、
各々が前記複数の増幅器のうちの1つの出力をバイナリ表現に変換する複数のデジタル変換器と、前記複数のデジタル変換器の各出力端に結合され、前記デジタル変換器の出力を出力信号線上に多重化するマルチプレクサとを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端が選択的に偏向可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記生体対象から受け取られた前記電気信号が、コンピュータ機器を制御するために前記コンピュータ機器への入力として供給される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、実質的に横方向に可撓性である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、実質的に長手方向に剛体である請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、モノマー、生体高分子およびドープされた絶縁ポリマーのうちの1つから合成されたポリマーを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記モノマーが窒素を含む芳香属化合物または複素環式化合物から成る群から選択される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記導電性ポリマーナノワイヤの導電率が103から108S/mの範囲である請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ポリマーファイバがエレクトロスピニングされたポリマーを備える請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン、ジオキシチオフェン、生体高分子および絹のうちの1つを含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
Br2、Cl2、I2およびAsF5のうちの1つを含むドーパントを前記導電性ポリマーが含む請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ドーパントが、前記導電性ポリマーの色または体積を選択的に変化させるために使用される請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ポリマーファイバがカーボンナノチューブを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記カーボンナノチューブが、スピニング法、リソグラフィパターニングによって、あるいは大きな直径のナノチューブから形成される請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ナノワイヤが様々な全長を有し、各ナノワイヤの遠位端がカップ状の終端を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、カーボンブラック、グラファイト、金属粒子、炭素繊維、真性の導電性ポリマー、フラーレンおよびカーボンナノチューブのうちの1つを含む充填物質を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記生体対象が手足を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記生体対象から受け取られた前記信号が、義肢とインターフェースをとるために使用される請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが、パリレンを含む絶縁体をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去される請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受ける請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の層の物質が金属を含む請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記金属の部分が金属塩に変換される請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上に位置決めされ、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路とをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さいサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路とをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤをさらに備え、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングするためのフィルタと、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類するためのプロセッサであって、ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づけ、かつ脳の状態を見極めるためにパターン識別を行うのに有効なプロセッサとをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
複数の導電性ポリマーナノワイヤであって、各ナノワイヤが遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有し、
信号が伝えられる血管領域へ配送される複数の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路とを備える、血管によるプローブを使用して生体対象に電気信号を伝えるためのシステム。
【請求項39】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端が選択的に偏向可能である請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記生体対象から受け取られた前記電気信号が、コンピュータ機器を制御するために前記コンピュータ機器への入力として供給される請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記ナノワイヤが様々な全長を有する請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項38に記載のシステム。
【請求項47】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項38に記載のシステム。
【請求項48】
前記生体対象が手足を含む請求項38に記載のシステム。
【請求項49】
前記伝えられた信号が義肢と関連づけられる請求項38に記載のシステム。
【請求項50】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが絶縁体をさらに備え、少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去され、前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項38に記載のシステム。
【請求項51】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受け、前記第2の層の物質が金属を含む請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上で、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路とをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項55】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路とをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項56】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤをさらに備え、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項38に記載のシステム。
【請求項57】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングするためのフィルタと、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類するためのプロセッサであって、ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づけ、かつ脳の状態を見極めるためにパターン識別を行うのに有効なプロセッサとをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項58】
監視されるべき血管領域内に複数の導電性ポリマーナノワイヤを配置する段階であって、各ナノワイヤが、遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有する段階と、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路を設ける段階とを含む、血管によるプローブを使用して生体対象から電気信号を受け取るための方法。
【請求項59】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端を選択的に偏向する段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項62】
コンピュータ機器を制御するために、前記生体対象から受け取られた前記電気信号を前記コンピュータ機器への入力として供給する段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記ナノワイヤが様々な全長を有する請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記生体対象が手足を含む請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記伝えられた信号を義肢と関連づける段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが絶縁体をさらに備え、少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去され、前期絶縁体が除去される前記末端領域が、ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受け、前記第2の層の物質が金属を含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上で、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤを設ける段階と、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路を利用する段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項75】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤを設ける段階と、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路を利用する段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤを設ける段階をさらに含み、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項58に記載の方法。
【請求項77】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングする段階と、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類する段階と、
ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づける段階と、脳の状態を見極めるためにパターン識別を行う段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項78】
電気信号が伝えられるべき血管領域内に複数の導電性ポリマーナノワイヤを配置する段階であって、各ナノワイヤが、遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有する段階と、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路を設ける段階とを含む、血管によるプローブを使用して生体対象に電気信号を伝えるための方法。
【請求項1】
複数の導電性ポリマーナノワイヤであって、各ナノワイヤが遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有し、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤが監視されるべき血管領域へ配送される、複数の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路とを備える、血管によるプローブを使用して生体対象から電気信号を受け取るためのシステム。
【請求項2】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記信号プロセッサが、
各々が前記複数のナノワイヤのうちの1つに結合されている複数の増幅器と、
各々が前記複数の増幅器のうちの1つの出力をバイナリ表現に変換する複数のデジタル変換器と、前記複数のデジタル変換器の各出力端に結合され、前記デジタル変換器の出力を出力信号線上に多重化するマルチプレクサとを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端が選択的に偏向可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記生体対象から受け取られた前記電気信号が、コンピュータ機器を制御するために前記コンピュータ機器への入力として供給される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、実質的に横方向に可撓性である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、実質的に長手方向に剛体である請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、モノマー、生体高分子およびドープされた絶縁ポリマーのうちの1つから合成されたポリマーを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記モノマーが窒素を含む芳香属化合物または複素環式化合物から成る群から選択される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記導電性ポリマーナノワイヤの導電率が103から108S/mの範囲である請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ポリマーファイバがエレクトロスピニングされたポリマーを備える請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記エレクトロスピニングされたポリマーが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレン、ジオキシチオフェン、生体高分子および絹のうちの1つを含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
Br2、Cl2、I2およびAsF5のうちの1つを含むドーパントを前記導電性ポリマーが含む請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ドーパントが、前記導電性ポリマーの色または体積を選択的に変化させるために使用される請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ポリマーファイバがカーボンナノチューブを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記カーボンナノチューブが、スピニング法、リソグラフィパターニングによって、あるいは大きな直径のナノチューブから形成される請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ナノワイヤが様々な全長を有し、各ナノワイヤの遠位端がカップ状の終端を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、カーボンブラック、グラファイト、金属粒子、炭素繊維、真性の導電性ポリマー、フラーレンおよびカーボンナノチューブのうちの1つを含む充填物質を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記生体対象が手足を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記生体対象から受け取られた前記信号が、義肢とインターフェースをとるために使用される請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが、パリレンを含む絶縁体をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去される請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受ける請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の層の物質が金属を含む請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記金属の部分が金属塩に変換される請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上に位置決めされ、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路とをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さいサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路とをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤをさらに備え、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングするためのフィルタと、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類するためのプロセッサであって、ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づけ、かつ脳の状態を見極めるためにパターン識別を行うのに有効なプロセッサとをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
複数の導電性ポリマーナノワイヤであって、各ナノワイヤが遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有し、
信号が伝えられる血管領域へ配送される複数の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路とを備える、血管によるプローブを使用して生体対象に電気信号を伝えるためのシステム。
【請求項39】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端が選択的に偏向可能である請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記生体対象から受け取られた前記電気信号が、コンピュータ機器を制御するために前記コンピュータ機器への入力として供給される請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記ナノワイヤが様々な全長を有する請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項38に記載のシステム。
【請求項47】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項38に記載のシステム。
【請求項48】
前記生体対象が手足を含む請求項38に記載のシステム。
【請求項49】
前記伝えられた信号が義肢と関連づけられる請求項38に記載のシステム。
【請求項50】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが絶縁体をさらに備え、少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去され、前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項38に記載のシステム。
【請求項51】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受け、前記第2の層の物質が金属を含む請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上で、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路とをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項55】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤと、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路とをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項56】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤをさらに備え、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項38に記載のシステム。
【請求項57】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングするためのフィルタと、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類するためのプロセッサであって、ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づけ、かつ脳の状態を見極めるためにパターン識別を行うのに有効なプロセッサとをさらに備える請求項38に記載のシステム。
【請求項58】
監視されるべき血管領域内に複数の導電性ポリマーナノワイヤを配置する段階であって、各ナノワイヤが、遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有する段階と、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路を設ける段階とを含む、血管によるプローブを使用して生体対象から電気信号を受け取るための方法。
【請求項59】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤを前記血管領域内へ配送するためのカテーテルと、
前記カテーテル内に配置され前記複数のナノワイヤと電気通信している信号プロセッサとをさらに備える請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が長手方向の導電率および半径方向の導電率によって特徴づけられ、前記長手方向の導電率が前記半径方向の導電率より少なくとも5桁以上大きい請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つの前記遠位端を選択的に偏向する段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項62】
コンピュータ機器を制御するために、前記生体対象から受け取られた前記電気信号を前記コンピュータ機器への入力として供給する段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記導電性ポリマーナノワイヤの各々が、導電材料で被覆されたポリマーファイバを備える請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、凍った液体の層の間にはさまれた導電性ポリマーフィルムをスライスすることにより作製される請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記ナノワイヤが様々な全長を有する請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記導電性ポリマーナノワイヤが、コアシェルエレクトロスピニング法プロセスおよびファイバ引出し技術のうちの1つを使用して作製される請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記生体対象が蝸牛を含む請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記生体対象が手足を含む請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記伝えられた信号を義肢と関連づける段階をさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤが絶縁体をさらに備え、少なくとも1つの導電性ポリマーナノワイヤの末端領域で前記絶縁体が除去され、前期絶縁体が除去される前記末端領域が、ナノワイヤの特性を変更する追加物質をさらに与えられる請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記追加物質が、前記導電性ポリマーより高い導電率、および第2の物質に対する前記ポリマーの親和性と比べて前記第2の物質に対する異なった親和性のうちの1つによって特徴づけられる請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記絶縁体が除去される前記末端領域が、前記末端領域に第2の層の物質を加えるために電気化学的浸漬または成長プロセスを受け、前記第2の層の物質が金属を含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の層の物質が白金および銀のうちの1つを含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤの少なくとも1つに最も近い神経組織上で、前記神経組織に刺激を与えるために使用される追加の導電性ポリマーナノワイヤを設ける段階と、
前記神経組織に前記刺激を与えた後に前記追加のナノワイヤ上のさらなる信号を観測し、前記刺激信号を前記さらなる信号と比較するための回路を利用する段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項75】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2の導電性ポリマーナノワイヤを設ける段階と、
前記第2のナノワイヤへ刺激信号を与えるための回路を利用する段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記神経組織に最も近い第2の血管内に位置決めされ、毛細血管へ差し込まれ得るように十分に小さなサイズである第2のナノワイヤを設ける段階をさらに含み、前記第2のナノワイヤが監視信号を供給される請求項58に記載の方法。
【請求項77】
前記ナノワイヤからの前記信号をフィルタリングする段階と、
ニューロンの単位活動および場の電位解析のうちの1つに基づいて脳の状態を分類する段階と、
ニューロンの電気的活動を脳の状態と関連づける段階と、脳の状態を見極めるためにパターン識別を行う段階とをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項78】
電気信号が伝えられるべき血管領域内に複数の導電性ポリマーナノワイヤを配置する段階であって、各ナノワイヤが、遠位端および近位端ならびに各ナノワイヤの前記遠位端にある関連のプローブ部分を有する段階と、
前記複数の導電性ポリマーナノワイヤと電気通信している電子インターフェース回路であって、前記導電性ポリマーナノワイヤと前記導電性ポリマーナノワイヤの前記近位端の近傍にあるマイクロワイヤのインターフェースをとるためのインターフェースモジュールを備える電子インターフェース回路を設ける段階とを含む、血管によるプローブを使用して生体対象に電気信号を伝えるための方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−538517(P2008−538517A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504491(P2008−504491)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012259
【国際公開番号】WO2006/105478
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(594032322)ニューヨーク・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】New York University
【出願人】(507324290)マサチューセッツ・インスティトュート・オブ・テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012259
【国際公開番号】WO2006/105478
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(594032322)ニューヨーク・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】New York University
【出願人】(507324290)マサチューセッツ・インスティトュート・オブ・テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]